JP2004360856A - 自在継手と軸との連結構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】略U字形断面を有するヨーク30の2枚の側板35,35を底板36から離れた位置にて締め付ける固定ボルト5の中途に、先端に向けて縮径する縮径部51を設ける。ヨーク30の2枚の側板35,35間に嵌め込まれる軸端部10に、固定ボルト5の差し込み側となるボルト孔37に対面するようにテーパ状に傾斜する押え面13を設け、固定ボルト5の締め付け字に縮径部51が押え面13に当接し、軸端部10を底板36に押し付ける構成とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸心が交叉、又は偏心した2軸を回転伝達可能に連結すべく用いられる自在継手と軸との連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自在継手(ユニバーサルジョイント)は、二股に分岐したフォーク状のピン受けアームを一側に備える一対のヨークを夫々のピン受けームが略直角をなして交叉するように向き合わせ、これらのピン受けアームの先端を十字形のクロスピンにより連結してなる公知の機械要素であり、軸心が交叉、又は偏心した2軸を回転伝達可能に連結すべく、多くの産業分野において用いられている。
【0003】
このような自在継手は、例えば、車両の操舵装置において、操舵部材としてのステアリングホイールの操作に応じて回転する操舵軸と舵取機構の入力軸との連結に用いられているが、この操舵軸と入力軸とは、車室の内外に各別に取付けられており、軸長方向位置が固定されたこれらの操舵軸及び入力軸の軸端部に対して夫々のヨークを後付けすることが要求される。そこで、少なくとも一方のヨークが、相対向する2枚の側板の一側を底板により連絡してなる略U字形断面を有する自在継手が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
図6は、この種のヨークと軸との連結構造の説明図である。図示の如くヨーク60は、互いに対向する2枚の側板61,61の一側をアーチ形に湾曲する底板62により連絡し、他側が開放された略U字形断面を有している。側板61,61には、底板62から離れた位置に、厚さ方向に貫通するボルト孔63,63が形成されている。
【0005】
このヨーク60に連結される軸7は、側板61,61の間への嵌め込みが可能な2面幅を有する当て面71,71と、これらの一側を連絡するアーチ面72と、同じく他側を連絡する平坦な押え面73とを備えており、図6(a)中に矢符にて示す如く、ヨーク60の側板61,61間に開口側から嵌め込まれ、図6(b)に示す如く、底板62の内面にアーチ面72を当接させた状態とされ、一方の側板61の外側からボルト孔63,63に固定ボルト8を通し、他方の側板61の外側に突出する固定ボルト8のねじ部に締め付けナット80を締め付けることにより連結されている。
【0006】
この連結は、軸7の径方向外側からヨーク60を嵌め込むことにより実現されるから、軸長方向位置が固定された軸7に対する後付けが可能である。ヨーク60の側板61,61間に嵌め込まれた軸7は、固定ボルト8の締め付けにより接近する側板61,61の内面に当て面71,71を挾圧させて固定される。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−9281号公報
【特許文献2】
特開平9−79279号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが以上の連結構造において、固定ボルト8の締め付けが側板61,61の開口側において行われるため、この締め付け部から離れて位置する底板62の近傍では、図6(b)に示す如く、側板61,61の内面と軸7の当て面71,71との間に、嵌め込みのために確保されたギャップδ1 が残る場合がある。
【0009】
また以上の連結構造において、側板61,61の開口側への軸7の移動は、押え面73に当接する固定ボルト8により拘束されるが、固定ボルト8と押え面73との間には、固定ボルト8の挿通を容易とするために所定のギャップδ2 が確保されているため、図6(b)に示す如く、固定ボルト8の締め付け後、該固定ボルト8と押え面73との間に前記ギャップδ2 が残る場合がある。
【0010】
このようにギャップδ1 及びδ2 が生じた状態で連結がなされた場合、この状態で回転する軸7がヨーク60の内部においてガタ付き、両者の衝突に伴うガタ音が発生し、更に、前述した如く車両の操舵装置に適用された場合、ステアリングホイールから舵取機構への伝動に前記ガタ付きの影響が生じ、例えば、ステアリングホイールの切り返し時に舵取機構の反応が遅れ、操舵感の悪化を招来するという不具合が発生する。
【0011】
このようなガタ付きの問題を解消するため、特許文献1においては、側板61,61の対向間隔を開口側に向けて広くし、更に、側板61,61の厚さを底板62と連絡部の近傍において薄くして、固定ボルト8の締め付けによる側板61,61での軸7の挾圧が底板62の側から開口側に向けて進行するようになし、底板62の近傍において側板61,61と当て面71,71との間に生じるギャップδ1 の解消を図った構成が採用されている。しかしながらこの構成においては、側板61,61の対向間隔及び薄肉部の肉厚の最適化が難しい上、固定ボルト8と押え面72との間のギャップδ2 を解消することはできず、十分なガタ付きの防止効果は得られない。
【0012】
また特許文献2においては、軸長方向の中途にカム部を備える固定ボルト8を用い、この固定ボルト8を側板61,61に挿通した後に軸回りに回転させて、前記カム部を軸7の押え面73に押し付け、固定ボルト8と押え面7との間に生じるギャップδ2 の解消を図った構成が採用されている。しかしながらこの構成においては、カム部を備える特殊な固定ボルト8が必要であり、また、カム部の押し付け強さを適正化すべく、組み付け時になされる固定ボルト8の回転位置の設定に手間を要する上、側板61,61と当て面71,71との間に生じるギャップδ1 を解消することはできず、十分なガタ付きの防止効果は得られない。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、自在継手の略U字形断面を有するヨーク内に連結対象となる軸の軸端部をガタ付きなく連結することを可能とする簡易な構成の連結構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明に係る自在継手と軸との連結構造は、相対向する2枚の側板の一側を底板により連絡してなる略U字形断面のヨークを備える自在継手と連結対象となる軸とを連結すべく、該軸の軸端部を前記ヨークの側板間に他側の開口を経て嵌め込み、前記底板から離れた位置にて側板を貫通する固定ボルトの締め付けにより、前記側板間に挾圧固定する自在継手と軸との連結構造において、前記固定ボルトの中途部に先端に向けて縮径する縮径部を、前記軸の軸端部の外面に前記縮径部に当接可能に傾斜する押え面を夫々設け、前記固定ボルトの締め付けに応じて前記縮径部により前記押え面を、前記ヨークの底板に向けて押圧する構成としてあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、ヨークの側板を貫通する固定ボルトの中途に設けた縮径部を軸端部の外面に設けた押え面に当接させ、この状態で固定ボルトを締め付け、縮径部により押え面を底板に向けて押圧し、ヨークの側板により両側から挾圧される軸端部を、この挾圧の方向と交叉する方向から、固定ボルトの縮径部とヨークの底板との間に挾圧せしめ、ヨーク内での軸端部のガタ付きを解消する。
【0016】
本発明の第2発明に係る自在継手と軸との連結構造は、相対向する2枚の側板の一側を底板により連絡してなる略U字形断面のヨークを備える自在継手と連結対象となる軸とを連結すべく、該軸の軸端部を前記ヨークの側板間に他側の開口を経て嵌め込み、前記底板から離れた位置にて側板を貫通する固定ボルトの締め付けにより、前記側板間に挾圧固定する自在継手と軸との連結構造において、前記軸の軸端部の外面に前記ヨークの開口側に向けて凸となる押え面を設け、前記固定ボルトの中途部を前記押え面に当接させるようになし、前記固定ボルトの締め付けに応じて前記押え面を前記ヨークの底板に向けて押圧する構成としてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、ヨークの側板を貫通する固定ボルトの中途部を、ヨークの側板間にて開口側に向けて凸となる軸端部の押え面に当接させ、該押え面にヨークの底板に向かう押圧力を加え、ヨークの側板により両側から挾圧される軸端部を、この挾圧の方向と交叉する方向から固定ボルトの中途部とヨークの底板との間に挾圧せしめ、ヨーク内での軸端部のガタ付きを解消する。固定ボルトと押え面との当接は、該押え面の頂点近傍での実質的な点接触として生じ、固定ボルトの挿通に支障を来すことはない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、車両の操舵装置における自在継手の使用状態の説明図である。図中1は、操舵部材としてのステアリングホイールの操作に応じて回転する操舵軸であり、また2は、舵取機構への回転入力のための入力軸(例えば、ラックピニオン式舵取機構のピニオン軸)である。操舵軸1は、車室の内部に位置決めされたステアリングホイールから下方に向けて延設され、また入力軸2は、車室の外部に固定支持された舵取機構から上方に向けて延設されており、軸心を交叉及び偏心させて対向する操舵軸1及び入力軸2の軸端部10,20の連結に、図示の如く、両端に自在継手3,3を備える中間軸4が用いられている。
【0019】
自在継手3,3は、二股に分岐したフォーク状のピン受けアーム32,33を一側に連設してなる各一対のヨーク30,31を備え、これらのヨーク30,31を夫々のピン受けアーム32,33が略直角をなして交叉するように向き合わせ、両アーム32,33の先端を十字形のクロスピン34により連結して構成されている。
【0020】
このような自在継手3,3は、円筒形をなす一側のヨーク31,31を中間軸4の両端部に夫々外嵌固定し、該中間軸4と一体化されている。操舵軸1と入力軸2との中間軸4による連結は、両端の自在継手3,3の他側のヨーク30,30を、図1中に矢符により示す如く、操舵軸1の軸端部10及び入力軸2の軸端部20の夫々に径方向の外側から嵌め込み、各別に保持させることにより実現されており、このような連結をガタ付きなく実現するために、前記ヨーク30,30及び軸端部10,20は、以下に示す特徴的な構成を有している。
【0021】
図2は、自在継手3のヨーク30と軸(図においては操舵軸1)との連結部分の斜視図である。図示の如くヨーク30は、略平行をなして対向する2枚の側板35,35の一側をアーチ形に湾曲する底板36により連絡し、他側が開放された略U字形の断面形状を有している。側板35,35には、底板36から離れて互いに対向する位置に夫々を厚さ方向に貫通するボルト孔37,38が形成されている。
【0022】
このようなヨーク30に連結される操舵軸1の軸端部10は、側板35,35間への嵌め込みが可能な2面幅を有して平坦化された当て面11,11を備え、これらの当て面11,11の一側を、ヨーク30の底板36に対応するアーチ形に湾曲するアーチ面12に連絡し、同じく他側を、幅方向の略半部にテーパ状に傾斜させてなる押え面13により連絡して、図示の如き断面形状を有している。
【0023】
このような軸端部10とヨーク30との連結は、まずヨーク30と軸端部10とを、図2(a)に示す如く、ヨーク30の側板35,35間の開口部が軸端部10のアーチ面12に対面するように位置決めし、次いで、ヨーク30を軸端部10に、前者の側板35,35の内面に後者の当て面11,11を沿わせるように嵌め込んだ後、側板35,35に設けられたボルト孔37,38に、一方の側板35の外側から固定ボルト5を通し、他方の側板35の外側に突出する固定ボルト5のねじ部に締め付けナット50を螺合して締め付けることにより、図2(b)に示す如く実現される。
【0024】
このような連結に用いられる固定ボルト5は、軸長方向の略中央部に、軸端部10の押え面13と対応する傾斜を有して先端に向けてテーパ状に縮径された縮径部51を備え、該縮径部51の先端側に、外周にねじが形成されたねじ部52が連設されている。ヨーク30の一方の側板35に設けられたボルト孔37は、固定ボルト5の基部の挿通が可能な大径孔とし、また他方の側板35に設けられたボルト孔38は、小径のねじ部52の挿通が可能な小径孔としてあり、固定ボルト5の挿通は、大径のボルト孔37の側から行われる。
【0025】
図3は、図2に示す連結構造の説明図であり、図3(a)は、固定ボルト5の締め付け前の状態を示し、図3(b)は、固定ボルト5の締め付け後の状態を示している。
【0026】
前述の如く、ヨーク30の側板35,35間への軸端部10の嵌め込みは、軸端部10に設けられた当て面11,11を側板35,35に沿わせてなされており、この嵌め込みの後の当て面11,11は、図3(a)に示す如く、嵌め込みのために必要なわずかなギャップを隔ててヨーク30の側板35,35の内面に対向する。またこのとき、当て面11,11の一側を連絡するアーチ面12は、ヨーク30の底板36に当接せしめられ、他側を連絡する押え面13は、中途のテーパ部を大径のボルト孔37の側に対面させられた状態となる。
【0027】
固定ボルト5の挿通は、この状態下において行われ、図3(a)に示す如く、固定ボルト5の縮径部51は、ボルト孔37に対面する押え面13に当接し、また、固定ボルト5のねじ部52の一部は、小径のボルト孔38を経て同側の側板35の外側に突出せしめられ、このねじ部52に締め付けナット50を螺合し、締め付けることにより、図3(b)に示す固定状態が得られる。
【0028】
このとき、ヨーク30の側板35,35は、固定ボルト5の締め付けにより対向幅を減じ、軸端部10の当て面11,11を両側から挾圧する作用をなす。また同時に固定ボルト5の縮径部51は、これに当接する軸端部10の押え面13に押し付けられ、該押え面13を、図中に白抜矢符にて示す向きに押圧する作用をなす。従って軸端部10は、ヨーク30の側板35,35により左右両側から挾圧されると共に、固定ボルト5の縮径部51とヨーク30の底板36とにより上下両側から挾圧されることとなり、図3(b)に示す如く、一側の当て面11が同側の側板35の内面に密着し、この側板35に連続する底板36の内面にアーチ面12が密着した固定状態が得られる。
【0029】
このように連結された軸端部10は、上下、左右のいずれの方向にもガタ付くことなくヨーク30と一体回転することができる。この連結は、固定ボルト5のねじ部52への締め付けナット50の単純な締め付けにより簡易に実施することができ、また、締め付け荷重を高精度に管理することなくガタ付きのない良好な連結がなされる。
【0030】
固定ボルト5の縮径部51の傾斜角度は、押え面13に加わる押圧力の方向を底板36に向かわせるために可及的に小さく設定するのが望ましいが、傾斜角度を小さくした場合、締め付けナット50の締め付けにより固定ボルト5の軸長方向に加わる引張力の分力として生じる前記押圧力の大きさが小さくなる。これらのことから前記傾斜角度は、必要となる押圧力の大きさ及び方向を考慮した上で設定する必要がある。図3に示す如く、側板35と底板36との境界部近傍に向けて押圧力が作用するように傾斜角度を設定した場合、軸端部10を底板36に向けて適正な力にて押圧することができ、良好なガタ付き防止効果が得られる。
【0031】
以上の作用をなす固定ボルト5の縮径部51は、先端に向けて同軸的に縮径せしめられており、汎用の工作機械を用いた加工により高精度に形成することができる。また軸端部10に設けられる押え面13も、所定の角度を有する傾斜面として簡易に形成することができ、以上の実施の形態に示す連結構造は、特殊な加工を要することなく実現することが可能である。
【0032】
図4は、自在継手3のヨーク30と軸との連結部分の他の実施の形態を示す斜視図である。本図に示す連結部分の構成は、固定ボルト5の構成及び軸端部10の構成を除いて図2と同じであり、対応する部分に同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0033】
軸端部10は、ヨーク30の側板35,35間への嵌め込みが可能な2面幅を有して平坦化された当て面14,14を備えており、これらの当て面14,14の一側を、ヨーク30の底板36に対応する湾曲形状を有するアーチ面15により連絡し、また他側を、略中央に頂部を有する凸形の湾曲形状を有する押え面16により連絡して、図示の如き小判形の断面形状を有している。
【0034】
また固定ボルト5は、頭部に連続する大径の押え部53と、該押え部53の先端側に連設され、外周にねじを備えるれた小径のねじ部54とを備えており、ヨーク30の側板35,35に設けられた一方のボルト孔37は、押え部53の挿通が可能な大径孔とし、また他方のボルト孔38は、ねじ部54の挿通が可能な小径孔としてある。
【0035】
以上の如き軸端部10とヨーク30との連結は、図4(a)中に矢符により示す如く、ヨーク30を軸端部10に、前者の側板35,35の内面に後者の当て面13,13を沿わせるようにアーチ面15の側から嵌め込み、次いで、ヨーク30側板35,35に設けられたボルト孔37,38に、大径のボルト孔37の側から固定ボルト5を通し、小径のボルト孔38を経て側板35の外側に突出するねじ部54に締め付けナット50を螺合して締め付けることにより、図4(b)に示す如く実現される。
【0036】
図5は、図4に示す連結構造の説明図であり、図5(a)は、固定ボルト5の挿通途中の状態を示し、図5(b)は、固定ボルト5の締め付け後の状態を示している。
【0037】
ヨーク30への軸端部10の嵌め込みは、図5(a)に示す如く、軸端部10の両側の当て面14,14をヨーク30の側板35,35の内面に対向させ、また当て面14,14の一側を連絡するアーチ面15をヨーク30の底板36に当接せしめてなされており、このとき当て面14,14の他側を連絡する押え面16は、中央に突出する頂部の上面を一側の側板35に形成された大径のボルト孔37の下縁に略一致させた状態にある。
【0038】
固定ボルト5の挿通は、この状態下において行われる。固定ボルト5先端のねじ部54は、押え部53に対応するボルト孔37よりも小径であり、図5(a)に示す如く、押え面16の頂点との間に所定のギャップを隔てて通過させることができ、他方のボルト孔38に挿通される。一方、このようなねじ部54に連続する大径の押え部53は、押え面16の頂点近傍に当接し、この後の固定ボルト5の押し込みにより押え面16に押え力を加え、軸端部10をヨーク30の底面36に向けて付勢する。なお、固定ボルト5の押え部53は、押え面16の頂点近傍に実質的に点接触した状態にあり、前記押え力を加えつつなされる固定ボルト5の押し込みは、小なる抵抗下にて容易に行わせることができる。
【0039】
ヨーク30への軸端部10の連結は、ボルト孔38を経て同側の側板35の外側に突出する固定ボルト5のねじ部54に締め付けナット50を締め付けることにより、図5(b)に示す如く実現される。このとき、ヨーク30の側板35,35は、固定ボルト5の締め付けにより対向幅を減じ、当て面14,14の上部を両側から挾圧する。また同時に固定ボルト5は、ヨーク30の側板35,35の対向幅の減少に応じて底板36に向けて変位し、該固定ボルト5の押え部53は、これに当接する軸端部10の押え面16に押し付けられ、該押え面16を、図中に白抜矢符にて示す如くヨーク30の底板36に向けて押圧する。これにより軸端部10は、ヨーク30の側板35,35により左右両側から挾圧されると共に、固定ボルト5の押え部53とヨーク30の底板36とにより上下両側から挾圧されてヨーク30に連結され、上下、左右のいずれの方向にもガタ付くことなくヨーク30と一体回転することができる。
【0040】
この連結は、固定ボルト5及び締め付けナット50の単純な締め付けにより簡易に実現することができる。固定ボルト5は、所定の外径を有する押え部53の先端側に、該押え部53よりもやや小径のねじ部54を連設した一般的なボルトであればよく、また軸端部10に設けられる押え面16は、例えば、円形断面を有する軸を所定の2面幅にて平坦加工して当て面14,14を形成した後に残る部分として、簡易に、しかも高精度に形成することができ、以上の実施の形態に示す連結構造は、特殊な加工を要することなく実現することが可能である。
【0041】
図1に示す操舵装置において、入力軸2の軸端部20と同側の自在継手3のヨーク30との連結も、図2及び図3、又は図4及び図5に示す連結構造にて実現されており、このような連結がなされた操舵装置においては、操舵軸1から中間軸4を介してなされる入力軸2への回転伝達が、ガタ音の発生、及びガタ付きに伴う応答遅れを生じることなく行われ、良好な操舵感が得られるようになる。
【0042】
なお、以上の実施の形態においては、車両の操舵装置への適用例について述べたが、本発明に係る自在継手と軸との連結構造は、略U字形断面を有するヨークを備える自在継手と軸とをガタ付きなく連結することが要求される用途全般に適用可能であり、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る自在継手と軸との連結構造においては、自在継手の略U字形断面を有するヨーク内に嵌め込まれ固定ボルトの締め付けにより側板間に挾圧された軸の軸端部を、簡素な構成の固定ボルトによりヨークの底板との間に挾圧し、ガタ付きを有効に防止することができ、ガタ付きに伴う不具合の発生を抑えて良好な伝動を行わせることが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の操舵装置における自在継手の使用状態の説明図である。
【図2】自在継手のヨークと軸との連結部分の斜視図である。
【図3】図2に示す連結構造の説明図である。
【図4】自在継手のヨークと軸との連結部分の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】図4に示す連結構造の説明図である。
【図6】自在継手のヨークと軸との従来の連結構造の説明図である。
【符号の説明】
1 操舵軸(軸)
2 入力軸(軸)
3 自在継手
5 固定ボルト
10 軸端部
13 押え面
16 押え面
20 軸端部
51 縮径部
30 ヨーク
35 側板
36 底板
38 凹溝
Claims (2)
- 相対向する2枚の側板の一側を底板により連絡してなる略U字形断面のヨークを備える自在継手と連結対象となる軸とを連結すべく、該軸の軸端部を前記ヨークの側板間に他側の開口を経て嵌め込み、前記底板から離れた位置にて側板を貫通する固定ボルトの締め付けにより、前記側板間に挾圧固定する自在継手と軸との連結構造において、
前記固定ボルトの中途部に先端に向けて縮径する縮径部を、前記軸の軸端部の外面に前記縮径部に当接可能に傾斜する押え面を夫々設け、前記固定ボルトの締め付けに応じて前記縮径部により前記押え面を、前記ヨークの底板に向けて押圧する構成としてあることを特徴とする自在継手と軸との連結構造。 - 相対向する2枚の側板の一側を底板により連絡してなる略U字形断面のヨークを備える自在継手と連結対象となる軸とを連結すべく、該軸の軸端部を前記ヨークの側板間に他側の開口を経て嵌め込み、前記底板から離れた位置にて側板を貫通する固定ボルトの締め付けにより、前記側板間に挾圧固定する自在継手と軸との連結構造において、
前記軸の軸端部の外面に前記ヨークの開口側に向けて凸となる押え面を設け、前記固定ボルトの中途部を前記押え面に当接させるようになし、前記固定ボルトの締め付けに応じて前記押え面を前記ヨークの底板に向けて押圧する構成としてあることを特徴とする自在継手と軸との連結構造。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009255195A (ja) * | 2008-04-14 | 2009-11-05 | Murata Mach Ltd | パラレルメカニズム |
CN102996659A (zh) * | 2011-09-13 | 2013-03-27 | 操纵技术Ip控股公司 | 中间轴连接确保装置 |
KR20180130275A (ko) * | 2017-05-29 | 2018-12-07 | 주식회사 한도 | 요크 |
US11630229B2 (en) | 2021-03-05 | 2023-04-18 | Patrick JOY | Metal detectors, components of metal detectors, and methods of detecting metal |
-
2003
- 2003-06-06 JP JP2003162456A patent/JP2004360856A/ja active Pending
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