JP2004358940A - 立体意匠板 - Google Patents
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Abstract
【課題】木目や複数着色は言うに及ばず、記号や文字、図形や写真画像といった表印刷面を、より現実的に見せられる意匠を有した3次元立体の下地基材と組み合わせて製作された意匠板を単一にしかも小ロットにて提供する。
【解決手段】昇華転写印刷によって染料染着層5が厚み方向に形成される透明又は半透明樹脂層4を、下層の切削加工によって立体形成された下地基材1に融合させることにより、単一で小ロットな生産ができ、見ても触れても、大変精度の高い深み感のある高精細な意匠と立体感を持った立体意匠板を形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】昇華転写印刷によって染料染着層5が厚み方向に形成される透明又は半透明樹脂層4を、下層の切削加工によって立体形成された下地基材1に融合させることにより、単一で小ロットな生産ができ、見ても触れても、大変精度の高い深み感のある高精細な意匠と立体感を持った立体意匠板を形成することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多品種・少量生産および一品生産に適した模様、柄、記号、図形、文字、罫線、写真等の画像を板に付与できるだけでなく、その意匠を同一の立体で表現できる立体意匠板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の意匠板としては、金属基板に単一色調による無地塗装か、または木目柄、抽象柄等を繰り返し印刷模様が施された製品がある。また、浅いシボ付の粘着剤を塗布した塩ビフィルムを基板に貼り付けた意匠板がある。
【0003】また、量産性のある塗装鋼板で、意匠性に優れた化粧板として、グラビヤ印刷・オフセット印刷・オフセットグラビヤ印刷を用いた一枚の基板上に異なる複数の着色が施されたドア乃至扉の表面材用化粧板が紹介されており、内装建材、外装建材、家電製品などの場所に使用されている。(特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開2002−067263号公報(請求項1、図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの技術によれば、平面基材に対して、鮮明で美しい画像を金属板に付与することができ、大量に必要とする製品においては、その量産性がある。また、グラビヤ印刷やオフセット印刷において製造される複数模様や着色の化粧板においては、現物に近い印刷での再現はできる。しかし、両者とも、印刷によって塗膜の表面に多数の凹凸部が形成されておらず、視覚的に現実味がなく、触知においては現物と程遠く、本物と同等の精度を求める事は出来ない。
加えて昨今は、量産製品で大量に生産されている製品ばかりでなく、高画質で鮮明な意匠性の高い板の必要性が高まっている。また、塩ビ使用においては、ダイオキシン問題を初めとする環境に及ぼす影響から敬遠される傾向にあり、塩ビ使用に変わる代替も望まれている。さらにまた、自然回帰を望む声が多く、多くの自然木や天然石、さらにまた小動物等の皮革を使用するケースも多いが、返って環境破壊や天然素材の枯渇をも招いている事実がある。従って、環境を破壊することなく、安定的供給と高加工性のある、見ても触れても現実により近い意匠板が求められている。
【0006】そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、その目的とするところは、木目や複数着色は言うに及ばず、記号や文字、図形や写真画像といった表印刷面を、より現実的に見せられる意匠を有した3次元立体の下地基材と組み合わせて製作された意匠板を単一にしかも小ロットにて提供することである。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
上記課題を解決するためにこの発明は、昇華転写印刷によって染料染着層が厚み方向に形成される透明又は半透明樹脂層を形成して柄や模様を形成できる性質を利用して、下層の切削加工によって得られた立体形成された下地基材と融合することにより、単一で小ロットな生産ができ、見ても触れても、大変精度の高い深み感のある高精細な意匠と立体感を持った立体意匠板を形成することができる。
【0008】また、透明樹脂層と下地基材との間には、有色のベースコート層、或いは更にプライマー層を設けてもよい。いずれの場合においても、塗料独特の表面張力と焼付けによる結束において、凸部端面が丸みを帯びることにより、より微細に再現される。
【0009】上記の如く構成する発明により、現存する皮模様や木目等に非常に酷似した意匠を立体的に表現できることになる。また、着色を現実の物と似せずに、まったく新しい色使いを行い、オリジナルの立体意匠板を作ることもでき、且つ下地基材となる材料を金属に限らず再現することができ、使用される場所や目的に応じて少量で多品種の立体意匠板ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、実施例について説明する。
図1は、本発明における立体意匠立板の縦断正面図であり、図2は本発明における立体意匠立板に有色ベースコート層を設けた縦断正面図、図3は本発明における立体意匠立板にプライマー層を設けた縦断正面図であり、1は下地基材、2は有色ベースコート層、3はプライマー層、4は透明樹脂塗膜層、5は昇華性染料染着層をそれぞれ表している。
【0011】本発明では、昇華転写を行おうとする任意に定めた昇華転写シートと同一の図柄をフラットエンドミルやボールエンドミルで切削加工機により削り出された鋼板や樹脂板を下地基材1とし、下地基材1の上に透明樹脂塗膜層4を設けている(図1)。最外層に透明樹脂塗膜層4がある限り、有色ベースコート層2を設けた下地基材(図2),更にプライマー層3を形成した下地基材(図3),有色ベースコート層2やプライマー層3がなく透明樹脂塗膜層4を直接設けた下地基材(図1)のいずれであってもよい。透明樹脂塗膜層4には、ポリエステル系樹脂,シリコーンポリエステル系樹脂,ポリアクリル系樹脂,エポキシ系樹脂,ポリウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される。昇華性染料で予め模様を付けた転写シートを、透明樹脂塗膜層4を設けた下地基材1に接触させて加熱すると、昇華した染料が透明樹脂塗膜層4中を浸透し、厚み方向に染着した模様が形成される。転写シートとしては、電子写真法、静電記録法,インクジェット法,感熱転写法等によって製造ロットに必要な枚数だけ製造することができる。
【0012】本発明に用いる下地基材1は特に制限はなく、切削性に優れているものであればなおよい。下地基材1の材料としては、例えば、ステンレス、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、チタンなどの金属材料、アクリルや塩ビ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABSやASA樹脂等の樹脂材料、杉、ヒノキ、松などの各種樹木からなる単板や合板等の木質材料等でもよい。
【0013】昇華性染料としては、大気圧70〜260℃で昇華又は蒸発する染料が好ましく、たとえば、アゾ,アントラキノン,キノフタロン,スチリル,ジ又はトリフェニルメタン,オキサジン,トリアジン,キサンテン,メチン,アゾメチン,アクリジン,ジアジン等の染料を用いることで容易に図柄が再現できる。
【0014】透明樹脂塗膜層4を設けた下地基材1と接触した状態で転写シートが加熱されると、転写シートに含まれている昇華性染料は、昇華し図1に示すように透明樹脂塗膜層4を厚み方向に浸透する。そのため、厚み方向にほぼ均一に染着された昇華性染料染着層5で立体的な印刷模様が発現される。得られた印刷模様は、透明樹脂塗膜層4の表層のみに昇華性染料が濃化したものではなく、熱転写で意匠を付与した後で転写印刷層を透明樹脂によって保護する後工程も省略される。しかも、厚み方向にほぼ均一に染着された昇華性染料染着層5で印刷模様が発現されるため、深み感,立体感,光沢度及び鮮映度に優れた印刷模様が得られる。このようにして、必要な模様を必要な時に簡便に付与することが可能になるため、各種模様付けが要求される意匠板の小ロット生産が容易になる。しかも、所定の模様を付けた意匠板としての在庫が必要でなくなり、ニーズに応じた模様付けが可能になる。更に、最上層の塗膜である透明樹脂塗膜層4は、塗膜中に浸透した昇華性染料が顔料によって遮蔽されることがないため、濃度上昇が図られ、色調変化も抑えられる。
【0015】熱硬化型の透明樹脂でできた透明樹脂塗膜層4は、転写時の150〜200℃の加熱で著しく軟化することはない。そのため、熱転写により模様を付与した後で、基材表面の光沢度が低下することはない。なお、透明樹脂塗膜層4として使用される透明樹脂には、太陽光線や紫外線の透過による昇華性染料や透明樹脂塗膜の劣化を防止するため、染料の褪色や塗膜の光沢低下を防止する紫外線吸収剤や光安定剤を添加となおよい。
【0016】透明樹脂としての透明樹脂塗膜4は、下地基材1に直接形成したり(図1)、有色ベースコート層2(図2)を介して形成することができる。何れの場合も、下地基材1やベースコート層2の色調が地模様となって染着された透明樹脂塗膜層4を通して現れる。そのため、下地素材の風合いを活かした独特の深み感をもった立体意匠板が作成される。有色ベースコート層2としては、白色に限らず他の色調をもつものでも良く、化成処理済みのめっき鋼板,ステンレス鋼板等に直接(図1)或いは下塗り塗膜としてのプライマー層3(図3)を介して設けることができる。
【0017】以下には、立体意匠板の一例をあげる。今回は、任意に画像データとして取り込んだトカゲのシボ模様を例にとって説明する。
まず、図4に示すように、下地基材1としてアルミ板(A5052P)、板厚t1.5mmを用い、数値制御できる切削加工機を使用し、この表面にボールエンドミルとフラットエンドミルを使用してくまなく切削していく。画像データを切削できる数値に置き換えることで、より短時間で大変美しい仕上がりの立体意匠を有したアルミ板が得られた。
【0018】次に、この切削で得られた下地基材1に、前述した染料の褪色や塗膜の光沢低下を防止する紫外線吸収剤や光安定剤を添加した透明樹脂塗膜層4として下地基材1に10〜15ミクロンで塗布し、180℃で20〜30分の時間焼き付け、形成する。そうすることで、凹凸に沿った透明樹脂塗膜が一層引き締まり、切削端面になじみ、丸みを帯びることでより現実に近い表皮となる。
【0019】次に、切削加工に使用した同じ画像データでインクジェットプリンタシステムを使用し、昇華性熱染料を転写シートに鏡像で出力した。得られた鏡像の転写シートを、下地基材1の透明樹脂塗膜面に重ね合わせ、160℃/5分間加熱圧着した。圧着完了後、下地基材1から転写シートを剥離し、転写された模様を目視観察したところ、切削された凹凸と転写シートの画像のずれは無く、鮮明な立体意匠板が出来上がった。
また、画像の濃淡と切削の凹凸が重なり合い相乗効果を生み、本物に酷似したとかげ模様をした立体意匠板が得られた。
【0020】上記実施形態の下地基材1は、アルミ板を用いたが一般的によく使われるステンレス鋼板や真鍮・銅等の金属にも使用することが出来る。また、金属に限らず切削性に優れている、樹木や合板および耐熱性のある樹脂板においても有効である。
【0021】さらに、素材感や素材色を生かした使用も可能であり、また、世の中に存在しないまったく新しい色使いの立体意匠板をも生み出すことが出来ることも実証された。
【0022】さらにまた、コストを削減したい場合は、数値制御による切削加工機の工程を工夫し、フラットエンドミルやボールエンドミル等のパス回数を減らしたり、切削深さを浅くする等の工法を用いたり、サンドブラストやビーズブラスト工法を用いて、仕上げる方法も有効である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明した通りこの発明によれば、数値制御できる切削加工機械に、画像パターンと切削条件を入力し、その画像パターン入力と同じデータを使用して作成された昇華型染料をインクジェットシステムなど使用し、転写シートに鏡像で出力する。切削した下地基材に、紫外線吸収剤を混ぜた透明樹脂塗膜層を形成したのち、その塗膜面に転写シートを直接当て熱圧着することで、多数の鋼材鋼種や単一樹木や合板および化成品において簡単に、非常に現実味を帯びた立体意匠板を得ることが出来る。また、透明樹脂塗膜層のみに限らず、下地基材と透明樹脂塗膜層との間に有色ベースコート層を設けて、世の中に存在しない色調や模様の立体意匠板を得てもよい。このように、昇華転写印刷によって染料染着層が厚み方向に形成される性質を利用して、切削による立体化した下地基材と融合させることで、必要な模様や柄、文字、記号、図形を簡単に小ロットで必要なとき必要なだけ生産することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における立体意匠板の縦断正面図
【図2】本発明における立体意匠板に有色ベースコート層を設けた縦断正面図
【図3】本発明における立体意匠板にプライマー層を設けた縦断正面図
【図4】切削において得られる下地基材の縦断正面図
【符号の説明】
1下地基材
2有色ベースコート層
3プライマー層
4透明樹脂塗膜層
5昇華性染料染着層
【発明の属する技術分野】本発明は、多品種・少量生産および一品生産に適した模様、柄、記号、図形、文字、罫線、写真等の画像を板に付与できるだけでなく、その意匠を同一の立体で表現できる立体意匠板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の意匠板としては、金属基板に単一色調による無地塗装か、または木目柄、抽象柄等を繰り返し印刷模様が施された製品がある。また、浅いシボ付の粘着剤を塗布した塩ビフィルムを基板に貼り付けた意匠板がある。
【0003】また、量産性のある塗装鋼板で、意匠性に優れた化粧板として、グラビヤ印刷・オフセット印刷・オフセットグラビヤ印刷を用いた一枚の基板上に異なる複数の着色が施されたドア乃至扉の表面材用化粧板が紹介されており、内装建材、外装建材、家電製品などの場所に使用されている。(特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開2002−067263号公報(請求項1、図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの技術によれば、平面基材に対して、鮮明で美しい画像を金属板に付与することができ、大量に必要とする製品においては、その量産性がある。また、グラビヤ印刷やオフセット印刷において製造される複数模様や着色の化粧板においては、現物に近い印刷での再現はできる。しかし、両者とも、印刷によって塗膜の表面に多数の凹凸部が形成されておらず、視覚的に現実味がなく、触知においては現物と程遠く、本物と同等の精度を求める事は出来ない。
加えて昨今は、量産製品で大量に生産されている製品ばかりでなく、高画質で鮮明な意匠性の高い板の必要性が高まっている。また、塩ビ使用においては、ダイオキシン問題を初めとする環境に及ぼす影響から敬遠される傾向にあり、塩ビ使用に変わる代替も望まれている。さらにまた、自然回帰を望む声が多く、多くの自然木や天然石、さらにまた小動物等の皮革を使用するケースも多いが、返って環境破壊や天然素材の枯渇をも招いている事実がある。従って、環境を破壊することなく、安定的供給と高加工性のある、見ても触れても現実により近い意匠板が求められている。
【0006】そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、その目的とするところは、木目や複数着色は言うに及ばず、記号や文字、図形や写真画像といった表印刷面を、より現実的に見せられる意匠を有した3次元立体の下地基材と組み合わせて製作された意匠板を単一にしかも小ロットにて提供することである。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
上記課題を解決するためにこの発明は、昇華転写印刷によって染料染着層が厚み方向に形成される透明又は半透明樹脂層を形成して柄や模様を形成できる性質を利用して、下層の切削加工によって得られた立体形成された下地基材と融合することにより、単一で小ロットな生産ができ、見ても触れても、大変精度の高い深み感のある高精細な意匠と立体感を持った立体意匠板を形成することができる。
【0008】また、透明樹脂層と下地基材との間には、有色のベースコート層、或いは更にプライマー層を設けてもよい。いずれの場合においても、塗料独特の表面張力と焼付けによる結束において、凸部端面が丸みを帯びることにより、より微細に再現される。
【0009】上記の如く構成する発明により、現存する皮模様や木目等に非常に酷似した意匠を立体的に表現できることになる。また、着色を現実の物と似せずに、まったく新しい色使いを行い、オリジナルの立体意匠板を作ることもでき、且つ下地基材となる材料を金属に限らず再現することができ、使用される場所や目的に応じて少量で多品種の立体意匠板ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、実施例について説明する。
図1は、本発明における立体意匠立板の縦断正面図であり、図2は本発明における立体意匠立板に有色ベースコート層を設けた縦断正面図、図3は本発明における立体意匠立板にプライマー層を設けた縦断正面図であり、1は下地基材、2は有色ベースコート層、3はプライマー層、4は透明樹脂塗膜層、5は昇華性染料染着層をそれぞれ表している。
【0011】本発明では、昇華転写を行おうとする任意に定めた昇華転写シートと同一の図柄をフラットエンドミルやボールエンドミルで切削加工機により削り出された鋼板や樹脂板を下地基材1とし、下地基材1の上に透明樹脂塗膜層4を設けている(図1)。最外層に透明樹脂塗膜層4がある限り、有色ベースコート層2を設けた下地基材(図2),更にプライマー層3を形成した下地基材(図3),有色ベースコート層2やプライマー層3がなく透明樹脂塗膜層4を直接設けた下地基材(図1)のいずれであってもよい。透明樹脂塗膜層4には、ポリエステル系樹脂,シリコーンポリエステル系樹脂,ポリアクリル系樹脂,エポキシ系樹脂,ポリウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される。昇華性染料で予め模様を付けた転写シートを、透明樹脂塗膜層4を設けた下地基材1に接触させて加熱すると、昇華した染料が透明樹脂塗膜層4中を浸透し、厚み方向に染着した模様が形成される。転写シートとしては、電子写真法、静電記録法,インクジェット法,感熱転写法等によって製造ロットに必要な枚数だけ製造することができる。
【0012】本発明に用いる下地基材1は特に制限はなく、切削性に優れているものであればなおよい。下地基材1の材料としては、例えば、ステンレス、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、チタンなどの金属材料、アクリルや塩ビ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABSやASA樹脂等の樹脂材料、杉、ヒノキ、松などの各種樹木からなる単板や合板等の木質材料等でもよい。
【0013】昇華性染料としては、大気圧70〜260℃で昇華又は蒸発する染料が好ましく、たとえば、アゾ,アントラキノン,キノフタロン,スチリル,ジ又はトリフェニルメタン,オキサジン,トリアジン,キサンテン,メチン,アゾメチン,アクリジン,ジアジン等の染料を用いることで容易に図柄が再現できる。
【0014】透明樹脂塗膜層4を設けた下地基材1と接触した状態で転写シートが加熱されると、転写シートに含まれている昇華性染料は、昇華し図1に示すように透明樹脂塗膜層4を厚み方向に浸透する。そのため、厚み方向にほぼ均一に染着された昇華性染料染着層5で立体的な印刷模様が発現される。得られた印刷模様は、透明樹脂塗膜層4の表層のみに昇華性染料が濃化したものではなく、熱転写で意匠を付与した後で転写印刷層を透明樹脂によって保護する後工程も省略される。しかも、厚み方向にほぼ均一に染着された昇華性染料染着層5で印刷模様が発現されるため、深み感,立体感,光沢度及び鮮映度に優れた印刷模様が得られる。このようにして、必要な模様を必要な時に簡便に付与することが可能になるため、各種模様付けが要求される意匠板の小ロット生産が容易になる。しかも、所定の模様を付けた意匠板としての在庫が必要でなくなり、ニーズに応じた模様付けが可能になる。更に、最上層の塗膜である透明樹脂塗膜層4は、塗膜中に浸透した昇華性染料が顔料によって遮蔽されることがないため、濃度上昇が図られ、色調変化も抑えられる。
【0015】熱硬化型の透明樹脂でできた透明樹脂塗膜層4は、転写時の150〜200℃の加熱で著しく軟化することはない。そのため、熱転写により模様を付与した後で、基材表面の光沢度が低下することはない。なお、透明樹脂塗膜層4として使用される透明樹脂には、太陽光線や紫外線の透過による昇華性染料や透明樹脂塗膜の劣化を防止するため、染料の褪色や塗膜の光沢低下を防止する紫外線吸収剤や光安定剤を添加となおよい。
【0016】透明樹脂としての透明樹脂塗膜4は、下地基材1に直接形成したり(図1)、有色ベースコート層2(図2)を介して形成することができる。何れの場合も、下地基材1やベースコート層2の色調が地模様となって染着された透明樹脂塗膜層4を通して現れる。そのため、下地素材の風合いを活かした独特の深み感をもった立体意匠板が作成される。有色ベースコート層2としては、白色に限らず他の色調をもつものでも良く、化成処理済みのめっき鋼板,ステンレス鋼板等に直接(図1)或いは下塗り塗膜としてのプライマー層3(図3)を介して設けることができる。
【0017】以下には、立体意匠板の一例をあげる。今回は、任意に画像データとして取り込んだトカゲのシボ模様を例にとって説明する。
まず、図4に示すように、下地基材1としてアルミ板(A5052P)、板厚t1.5mmを用い、数値制御できる切削加工機を使用し、この表面にボールエンドミルとフラットエンドミルを使用してくまなく切削していく。画像データを切削できる数値に置き換えることで、より短時間で大変美しい仕上がりの立体意匠を有したアルミ板が得られた。
【0018】次に、この切削で得られた下地基材1に、前述した染料の褪色や塗膜の光沢低下を防止する紫外線吸収剤や光安定剤を添加した透明樹脂塗膜層4として下地基材1に10〜15ミクロンで塗布し、180℃で20〜30分の時間焼き付け、形成する。そうすることで、凹凸に沿った透明樹脂塗膜が一層引き締まり、切削端面になじみ、丸みを帯びることでより現実に近い表皮となる。
【0019】次に、切削加工に使用した同じ画像データでインクジェットプリンタシステムを使用し、昇華性熱染料を転写シートに鏡像で出力した。得られた鏡像の転写シートを、下地基材1の透明樹脂塗膜面に重ね合わせ、160℃/5分間加熱圧着した。圧着完了後、下地基材1から転写シートを剥離し、転写された模様を目視観察したところ、切削された凹凸と転写シートの画像のずれは無く、鮮明な立体意匠板が出来上がった。
また、画像の濃淡と切削の凹凸が重なり合い相乗効果を生み、本物に酷似したとかげ模様をした立体意匠板が得られた。
【0020】上記実施形態の下地基材1は、アルミ板を用いたが一般的によく使われるステンレス鋼板や真鍮・銅等の金属にも使用することが出来る。また、金属に限らず切削性に優れている、樹木や合板および耐熱性のある樹脂板においても有効である。
【0021】さらに、素材感や素材色を生かした使用も可能であり、また、世の中に存在しないまったく新しい色使いの立体意匠板をも生み出すことが出来ることも実証された。
【0022】さらにまた、コストを削減したい場合は、数値制御による切削加工機の工程を工夫し、フラットエンドミルやボールエンドミル等のパス回数を減らしたり、切削深さを浅くする等の工法を用いたり、サンドブラストやビーズブラスト工法を用いて、仕上げる方法も有効である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明した通りこの発明によれば、数値制御できる切削加工機械に、画像パターンと切削条件を入力し、その画像パターン入力と同じデータを使用して作成された昇華型染料をインクジェットシステムなど使用し、転写シートに鏡像で出力する。切削した下地基材に、紫外線吸収剤を混ぜた透明樹脂塗膜層を形成したのち、その塗膜面に転写シートを直接当て熱圧着することで、多数の鋼材鋼種や単一樹木や合板および化成品において簡単に、非常に現実味を帯びた立体意匠板を得ることが出来る。また、透明樹脂塗膜層のみに限らず、下地基材と透明樹脂塗膜層との間に有色ベースコート層を設けて、世の中に存在しない色調や模様の立体意匠板を得てもよい。このように、昇華転写印刷によって染料染着層が厚み方向に形成される性質を利用して、切削による立体化した下地基材と融合させることで、必要な模様や柄、文字、記号、図形を簡単に小ロットで必要なとき必要なだけ生産することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における立体意匠板の縦断正面図
【図2】本発明における立体意匠板に有色ベースコート層を設けた縦断正面図
【図3】本発明における立体意匠板にプライマー層を設けた縦断正面図
【図4】切削において得られる下地基材の縦断正面図
【符号の説明】
1下地基材
2有色ベースコート層
3プライマー層
4透明樹脂塗膜層
5昇華性染料染着層
Claims (5)
- 昇華性染料の転写によって昇華性染料染着層が厚み方向に形成される透明又は半透明樹脂層が、切削加工によって3次元形成された下地基材を金属板とし一体になっていることを特徴とする立体意匠板。
- 昇華性染料の転写によって昇華性染料染着層が厚み方向に形成される透明又は半透明樹脂層が、切削加工によって3次元形成された下地基材を樹脂板とし一体になっていることを特徴とする立体意匠板。
- 昇華性染料の転写によって昇華性染料染着層が厚み方向に形成される透明又は半透明樹脂層が、切削加工によって3次元形成された下地基材を樹木板とし一体になっていることを特徴とする立体意匠板。
- 上記請求項1・2・3記載の透明又は半透明樹脂層と3次元形成された下地基材との間に有色のベースコート層が設けられている立体意匠板。
- 請求項4記載の有色のベースコート層と3次元形成された下地基材の間にプライマー層が形成されている立体意匠板。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003193937A JP2004358940A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 立体意匠板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003193937A JP2004358940A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 立体意匠板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004358940A true JP2004358940A (ja) | 2004-12-24 |
Family
ID=34055640
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JP2003193937A Pending JP2004358940A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 立体意匠板 |
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JP (1) | JP2004358940A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006328285A (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | Is Paint Co Ltd | 昇華転写プリント塗装皮革製品及びその製造方法 |
JP2006335422A (ja) * | 2005-06-02 | 2006-12-14 | Key Tranding Co Ltd | 模様付容器の製法およびそれによって得られる模様付容器 |
JP2012236574A (ja) * | 2011-05-13 | 2012-12-06 | Sakae Riken Kogyo Co Ltd | 樹脂製装飾品 |
KR101469998B1 (ko) * | 2008-06-25 | 2014-12-08 | 엘지이노텍 주식회사 | 케이스 |
-
2003
- 2003-06-03 JP JP2003193937A patent/JP2004358940A/ja active Pending
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