JP2004353973A - 変動パターンに基づく空調制御装置および方法 - Google Patents
変動パターンに基づく空調制御装置および方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】被空調者の快適感を損なうことなく、消費エネルギーの低減する空調制御をする。
【解決手段】変動パターンに基づいて変動する目標PMV値と室内PMV値とに基づいて空調を制御する。変動パターンは、被空調者にとって快適な快適PMV値u2とこの値より室外PMV値に近い省エネPMV値u1との間を変動する変動パターンであって、快適PMV値u2から省エネPMV値u1へ徐々に変動する第1変動と省エネPMV値u1から快適PMV値u2へ急激に変動する第2変動とを繰り返す。
【選択図】 図3
【解決手段】変動パターンに基づいて変動する目標PMV値と室内PMV値とに基づいて空調を制御する。変動パターンは、被空調者にとって快適な快適PMV値u2とこの値より室外PMV値に近い省エネPMV値u1との間を変動する変動パターンであって、快適PMV値u2から省エネPMV値u1へ徐々に変動する第1変動と省エネPMV値u1から快適PMV値u2へ急激に変動する第2変動とを繰り返す。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調装置を制御する空調制御装置に係わり、特に、被空調者の快適性を損なうことなく省エネルギーを図る空調制御装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、被空調者の快適性を維持しつつ、省エネルギーを実現させるための様々な空調装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、事前に設定された設定温度を基準として室内温度を1/f揺らぎで変動させる空調装置が開示されている。人は、一定温度の環境に長く置かれるとその環境に馴化してしまい、当初は快適と感じていた温度であっても不快と感じることがある。不快と感じた被空調者は設定温度を空調負荷の高いほうへ変更してしまい、結果として、エネルギーを無駄に消費することがある。この空調装置は、室内温度を1/f揺らぎで周期的に変化させることにより、馴れによる快適感の減退を防止するものである。これにより、被空調者の快適感を持続させ、設定温度の変更による消費エネルギーの無駄を防止することができる。つまり、この空調装置は、被空調者の快適感を持続させることにより、省エネルギー化を図っている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−61737号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、設定温度すなわち被空調者が快適と感じる温度を基準として揺らぎを与えているため、被空調者の感覚によっては、省エネルギーとならない場合がある。
【0006】
そこで、本発明では、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる空調制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の空調制御装置は、対象室内に空調を施す空調機器を制御する空調制御装置であって、対象室内の快適度の指標である環境値を取得する室内環境値取得手段と、所定の変動パターンをもって変動する目標環境値と取得された室内環境値とに基づいて空調機器を制御する制御手段と、を有し、変動パターンは、被空調者にとって快適な快適環境値とこの値より室外環境値に近い省エネ環境値との間を変動するパターンであって、快適環境値から省エネ環境値へ徐々に変動する第1変動と省エネ環境値から快適環境値へ急激に変動する第2変動とを繰り返すパターンであることを特徴とする。
【0008】
目標環境値を省エネ環境値へ徐々に変動させることにより、被空調者の快適と感じる範囲を広げる、または、空調負荷の小さいほうへ移動させることができる。また、目標環境値を省エネ環境値から快適環境値へ急激に変動させることにより、被空調者に快適感を印象付けることができる。そのため、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる。
【0009】
ここで、空調機器は、対象室内に空調空気を提供するものであれば、エアコン、クーラ、ヒータ等、どのようなものであってもよい。また、環境値は、快適度の指標としてISO7730で規定されているPMV値を用いることが好適であるが、温度など他の指標であってもよい。また、省エネ環境値は、不快と感じる被空調者が全体の2割未満となるような所定の値であることが望ましいが、他の値であってもよい。
【0010】
第2変動は、被空調者がその変動を体感できる所定の環境値差および速度での変動であることが好適であるがこれに限定されるものではない。また、第1変動は、所定の範囲で揺らぐ小変動を有していることが好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1に、本発明の実施の形態である空調装置10の概略構成図を示す。この空調装置10は、インバータ方式の空調手段14とこの空調手段14の制御を行う制御装置12に大別される。
【0013】
制御装置12は、対象空間の環境状態(温度、湿度、風速など)を検出するセンサ部18、諸パラメータを設定入力する設定入力部20、およびこれらから出力される情報に基づいて空調手段14を制御する主制御部16から構成されている。
【0014】
空調手段14は、室内外にそれぞれ配置された熱交換器26、32、34、冷媒を圧縮する圧縮機22、圧縮機22の周波数を変化させるインバータ24などから構成されている。
【0015】
冷房運転時においては、圧縮機22で吸入し圧縮された冷媒は、四方弁30を経て室外熱交換器26に送られ、ここで凝縮液化される。室外熱交換器26を出た冷媒は膨張弁40で減圧され、第1熱交換器34に導かれる。この第1熱交換器34を出た冷媒は、全開状態の電磁弁36を通過して第2熱交換器32に流入する。各熱交換器34、32では冷媒が室内空気から蒸発潜熱を奪い気化する。そしてこれら熱交換器34、32を経た冷媒は、再び四方弁30を経て圧縮機22に吸入される。
【0016】
暖房運転時においては、四方弁30が切り替えられ、冷房時と逆の流れになる。また、冷暖房時における冷・温風の風量および風向は室内ファン38を制御することにより調整される。
【0017】
主制御部16は、上述の四方弁30などの切り替え、インバータ24の制御を行うことにより、空調手段14の制御を行う。
【0018】
次に、このような空調装置10の制御装置12について詳述する。
【0019】
図2に制御装置12のブロック図を示す。制御装置12は、上述したようにセンサ部18、設定入力部20、および主制御部16から構成されている。
【0020】
センサ部18は、室内の温度、風速、湿度、および床の輻射温度を検出する4種類の検出器46、48、50、52を有している。このセンサ部18は、室内に設置され、検出した値を所定の間隔でデジタル値に変換して主制御部16に出力する。なお、各検出器を複数箇所に設置し、その平均値をとるようにしてもよい。また、風速検出器48を用いず、空調手段14の室内ファン38の風量を風速値として用いてもよい。また、輻射温度検出部52を設けず、事前に測定した値を入力するようにしてもよい。
【0021】
設定入力部20は、例えば、空調装置10の操作用リモコンなどに設けられる。これは、着衣量および作業量を入力できる着衣量・作業量入力部58と後述する変動パターンを入力する変動パターン入力部60を有している。着衣量は、被空調者の着衣量であり、「夏服」、「合服」、「冬服」の3段階で設定できる。ここで入力された着衣量は、衣服の熱抵抗を表すclo値に変換される。一方、作業量は、被空調者の作業量を「軽」、「中」、「重」の3段階で設定でき、動作代謝率を表すmet値に変換される。そして、入力された着衣量および作業量は、被空調者条件値として後述するPMV値算出部54に出力され、記憶される。
【0022】
変動パターン入力部60では、図3に示すような空調の目標PMV値の変動を表した変動パターンを入力、設定できる。入力された変動パターンは、主制御部16の空調制御部56に送られ、記憶される。なお、パターンそのものを入力しなくとも、このパターンを特定するためのパラメータ(周期、振幅など)のみを入力するようにしてもよい。その場合は、主制御部16において、各パラメータに基づいて変動パターンを形成するようにすればよい。
【0023】
主制御部16は、PMV値算出部54と空調制御部56から構成されている。PMV値算出部54は、センサ部18および着衣量・作業量入力部58から送られた温度、湿度、風速、輻射温度、着衣量、作業量の6項目に基づいてPMV値を算出する。
【0024】
ここで、PMV(Predicted Mean Vote)とは、平均予想温冷感申告と訳され、快適性を評価する指標の一つである。現在では、ISO−7730として国際規格化されている。
【0025】
このPMV値は、温度、湿度、輻射温度、風速、着衣量および作業量を快適方程式と呼ばれる式に当てはめることにより算出できる。そして、PMV値では、0を中立として、プラスになるほど暑く、マイナスになるほど寒いと評価される。
【0026】
本実施の形態では、このPMV値に基づいて空調制御を行う。PMV値を用いることにより、より被空調者の体感に近い制御が可能となり、消費エネルギーを抑えつつ、快適性を高めることが可能となる。
【0027】
空調制御部56では、この算出されたPMV値と変動パターンに基づき空調制御に必要な制御量を算出する。そして算出した制御量から必要な制御信号を空調手段14のインバータ24等に出力する。
【0028】
次に、空調制御の目標PMV値の変動を表す変動パターンについて図3を用いて説明する。
【0029】
図3は、冷房時における変動パターンの一例である。変動パターン入力部60で入力される変動パターンは、空調の目標PMV値の変動を表したものであり、空調制御部56は、この変動パターンから目標PMV値を取得する。変動パターンは、2つの所定のPMV値u1とu2との間を一定周期で変動するパターンである。快適PMV値であるu2は、被空調者が快適と体感できる値であり、空調負荷が比較的高い値である。一方、省エネPMV値u1は、快適PMV値u2より室外PMV値に近い値で、空調負荷が比較的低いが被空調者にとって不快に近い値である。
【0030】
この変動パターンでは、快適PMV値u2から省エネPMV値u1へ徐々に変動させる第1変動と省エネPMV値u1から快適PMV値u2へ急激に変動させる第2変動とを繰り返す。
【0031】
目標PMV値をこのように変動させることにより、被空調者の体感する快適領域を広げる、または、空調負荷の小さい方へ移動させることができる。すなわち、第1変動において、快適PMV値u2から省エネPMV値u1に徐々に変動させることにより、被空調者を徐々に空調負荷の小さい環境(室外PMV値に近い環境)に馴らすことができる。そのため、省エネPMV値u1が本来であれば不快と体感するPMV値であっても、不快と認識しにくくなるのである。
【0032】
また、省エネPMV値u1から快適PMV値u2へ急激に変動させることにより、被空調者に快適感を印象付け、全体として快適な空調が施されていると認識させることができる。したがって、被空調者の快適感を損なうことなく、消費エネルギーを低減した空調を提供することができる。
【0033】
このような変動パターンの各パラメータは、次の条件に基づいて決定される。
【0034】
省エネPMV値u1は、不快と感じる被空調者が全体の2割未満となるPMV値である。これは、ANSI/ASHARE(アシュレー規格)において、規定されている快適環境範囲の限界値である。すなわち、ANSI/ASHAREでは、快適と呼ばれる環境は、不快と感じる人が多くても2割未満の環境であるとして定義されている。
【0035】
快適PMV値u2は、被空調者に快適感を印象付けるために被空調者が第2変動を体感できる値である。また、消費エネルギーを抑えるためには、できるだけ省エネPMV値u1に近い値であることが望ましい。そして、変動の傾きが急激であるほど、その変動は体感されやすいが、この傾きは空調手段14の能力から一定の限界がある。したがって、快適PMV値u2は、空調手段14の限界に近い傾きで急激に変動させたときに、被空調者がその変動を体感でき、かつ、最も省エネPMV値u1に近い値となる。
【0036】
第1変動時間t1は、温度変動率が2.2[℃/時]以内であり、かつ、60分以内という条件から決定される。これは、ANSI/ASHAREによって決められた快適性を保つための条件である。これによれば、快適性を保つためには、温度変動率が2.2[℃/時]であることが望ましい。また、被空調者には60分以内に快適感を印象付けることが望ましい。したがって、この2つの条件を満たす範囲で第2変動時間t2が決定される。
【0037】
なお、本実施の形態では、より最適な変動パターンを得るために、各パラメータを上述の種々の条件から決定しているが、必ずしも、これらの条件に従う必要は無い。被空調者にとって快適な快適PMV値とこの値より室外PMV値に近い省エネPMV値との間を変動する変動パターンであって、快適PMV値から省エネPMV値へ徐々に変動する第1変動と省エネPMV値から快適PMV値へ急激に変動する第2変動とを繰り返す変動パターンであれば、各パラメータは、他の条件に基づいて決定されてもよい。
【0038】
つぎに、このような制御装置12での空調制御について説明する。
【0039】
空調を施す場合、空調制御部56は、入力された変動パターンから各時間の空調目標の目標PMV値を取得する。また、PMV値算出部54から送られた室内PMV値も取得する。空調制御部56は、この2つのPMV値の差を算出し、この差から必要な制御量を算出する。本実施の形態では、得られたPMV値差から目標PMV値に到達させるために必要な温度変化量を算出する。そして、その温度変化に必要な圧縮機22の回転周波数を算出する。空調制御部56は、この回転周波数をインバータ24などに出力し、空調を制御する。そして、室内PMV値が目標PMV値になるようにする。
【0040】
ここで、目標PMV値は、上述した変動パターンをもって変動するものである。そのため、室内PMV値が変動パターンと同じような変化になるように空調制御がなされさることになる。
【0041】
以上、説明したように、本実施の形態では、目標PMV値を省エネPMV値へ徐々に変動させるため、被空調者の快適と感じる範囲を広げる、または、空調負荷の小さいほうへ移動させることができる。また、目標PMV値を省エネPMV値から快適PMV値へ急激に変動させることにより、被空調者に快適感を印象付けることができる。そのため、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる。
【0042】
なお、本実施の形態においては、単に第1変動と第2変動を繰り返す変動パターンを用いたが、必要に応じて他のパターンと組み合わせた変動パターンを用いてもよい。例えば、オフィスなどに使用される場合には、図4に示すように出勤者が少ない早朝および残業時間、業務を行わない昼休みは、快適性を低くし、出勤者のピークとなる時間帯は快適感を印象付けるために快適性の高いPMV値となるような変動パターンを使用してもよい。
【0043】
また、第1変動および第2変動は、直線である必要はなく、図5に示すように段階的に変化するものであっても良い。
【0044】
また、本実施の形態では、PMV値を用いたが、従来から多用されている温度のみを用いた空調制御でもよい。その場合は、温度で定義した変動パターンを用いればよい。
【0045】
次に、他の実施の形態について図6、図7を用いて説明する。
【0046】
図6は、この実施の形態における制御装置12のブロック図であり、図7は、この実施の形態で使用される変動パターンである。
【0047】
本実施の形態では、設定入力部20に揺らぎ量入力部62が、主制御部16に揺らぎ補正部64が設けられている。
【0048】
揺らぎ量入力部62には、後述する変動パターンに追加される揺らぎ量を入力する。ここで入力される揺らぎ量は、例えば、揺らぎを決定するための振幅、周期などの値である。入力された揺らぎ量は、揺らぎ補正部64に送られる。この揺らぎ補正部64には、変動パターン入力部60で入力された基準の変動パターンも送られている。揺らぎ補正部64では、基準の変動パターンと揺らぎ量に基づいて、図7に示すような揺らぎ補正後の変動パターンを形成する。
【0049】
この補正後の変動パターンは、図7に示すように、所定の許容量wで揺らぎなら、省エネPMV値u1と快適PMV値u2との間で変動する。ここで、許容量wは、温度変化に換算して、少なくとも1.1℃以下であることが望ましい。被空調者の快適感を損ねないためには短時間での変動幅は1.1℃以下であることが望ましいからである(ANSI/ASHRAE55−92)。
【0050】
なお、揺らぎ量入力部62、揺らぎ補正部64を設けず、変動パターン入力部60に補正後の変動パターン(図7)を直接入力するようにしてもよい。
【0051】
このように、基準パターンに加えて、この所定の許容量で揺らぐ小変動があることにより、被空調者に対して、間欠的に温熱的刺激(体感変化)を与えることができる。一般に、人は、定期的に温熱的刺激を加えると快適感が持続しやすい。そのため、この小変動があることにより、被空調者の快適感をより長く持続させることができる。
【0052】
次に、インバータを有しない空調装置の場合について説明する。
【0053】
この空調装置10では、圧縮機22の周波数を変更するインバータが無いため、空調制御は、主に圧縮機22のON/OFF制御によって行われる。すなわち、目標PMV値に達するまで圧縮機22を稼動させ、室内PMV値が目標PMV値に到達すると圧縮機22を停止させる。そして、室内PMV値が所定のPMV値以上に目標PMV値と離れたら、再び圧縮機22を稼動させる。
【0054】
このような空調装置10においては、図8に示すような変動パターンを用いる。これは、省エネPMV値u1と快適PMV値u2との間を変動するものであり、かつ、所定の許容量wが規定されている。制御装置12は、室内PMV値が許容量wを超えて室外PMV値に近づけば(冷房時では、高くなれば)、圧縮機22を稼動させて、冷房または暖房を行う。反対に室内PMV値が許容量wを超えて過剰負荷側に移動すれば(冷房時では、低くなれば)、圧縮機22を停止させて、冷房または暖房を停止する。
【0055】
したがって、この場合の冷房時における室内PMV値の変化と圧縮機22の稼動状況、および室内PMV値は図8に示すようになる。すなわち、室内PMV値が許容量wを超えて高くなれば圧縮機22が起動し、冷房が施される。そのため、室内PMV値は、低下していく。そして、冷房が持続し、室内PMV値が許容量wを超えて低くなると、圧縮機22は停止される。冷房が止まるため、室内PMV値は、次第に上昇していき、再び、許容量wを超える。許容量wを超えると再び圧縮機22が起動される。このような動作を繰り返しながら、徐々に第1変動と第2変動とを繰り返す。つまり、本実施の形態において、室内PMV値は、省エネPMV値u1と快適PMV値u2との間を変動するとともに、所定の許容量wの幅で小変動するのである。
【0056】
この許容量wは、圧縮機22の機能的制約に基づいて定められる必要がある。すなわち、通常、圧縮機22の起動、停止には圧縮機保護のために、条件が設けられている。例えば、圧縮機の起動後に最低限必要な稼動時間などが定められている。許容量wは、これらの圧縮機22の機械的特性を考慮した値でなければならない。また、上述したように温度変化に換算して、少なくとも1.1℃以下であることが望ましい。
【0057】
以上、説明したように、インバータ24方式でない空調装置10の場合でも、変動パターンを定義することにより、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる。また、許容量wを与えることにより、被空調者に対して、間欠的に温熱的刺激(体感変化)を与えることができ、被空調者の快適感をより長く持続させることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である空調装置の概略構成図である。
【図2】制御装置のブロック図である。
【図3】冷房時における変動パターンの一例を示す図である。
【図4】他の実施の形態で使用される変動パターンを示す図である。
【図5】他の実施の形態で使用される変動パターンを示す図である。
【図6】他の実施の形態における制御装置のブロック図である。
【図7】他の実施の形態で使用される変動パターンを示す図である。
【図8】他の実施の形態で使用される変動パターンを示す図である。
【符号の説明】
10 空調装置、12 制御装置、14 空調手段、16 主制御部、18 センサ部、20 設定入力部、22 圧縮機、24 インバータ、54 PMV値算出部、56 空調制御部、58 着衣量・作業量入力部、60 変動パターン入力部、62 揺らぎ量入力部、64 ゆらぎ補正部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調装置を制御する空調制御装置に係わり、特に、被空調者の快適性を損なうことなく省エネルギーを図る空調制御装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、被空調者の快適性を維持しつつ、省エネルギーを実現させるための様々な空調装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、事前に設定された設定温度を基準として室内温度を1/f揺らぎで変動させる空調装置が開示されている。人は、一定温度の環境に長く置かれるとその環境に馴化してしまい、当初は快適と感じていた温度であっても不快と感じることがある。不快と感じた被空調者は設定温度を空調負荷の高いほうへ変更してしまい、結果として、エネルギーを無駄に消費することがある。この空調装置は、室内温度を1/f揺らぎで周期的に変化させることにより、馴れによる快適感の減退を防止するものである。これにより、被空調者の快適感を持続させ、設定温度の変更による消費エネルギーの無駄を防止することができる。つまり、この空調装置は、被空調者の快適感を持続させることにより、省エネルギー化を図っている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−61737号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、設定温度すなわち被空調者が快適と感じる温度を基準として揺らぎを与えているため、被空調者の感覚によっては、省エネルギーとならない場合がある。
【0006】
そこで、本発明では、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる空調制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の空調制御装置は、対象室内に空調を施す空調機器を制御する空調制御装置であって、対象室内の快適度の指標である環境値を取得する室内環境値取得手段と、所定の変動パターンをもって変動する目標環境値と取得された室内環境値とに基づいて空調機器を制御する制御手段と、を有し、変動パターンは、被空調者にとって快適な快適環境値とこの値より室外環境値に近い省エネ環境値との間を変動するパターンであって、快適環境値から省エネ環境値へ徐々に変動する第1変動と省エネ環境値から快適環境値へ急激に変動する第2変動とを繰り返すパターンであることを特徴とする。
【0008】
目標環境値を省エネ環境値へ徐々に変動させることにより、被空調者の快適と感じる範囲を広げる、または、空調負荷の小さいほうへ移動させることができる。また、目標環境値を省エネ環境値から快適環境値へ急激に変動させることにより、被空調者に快適感を印象付けることができる。そのため、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる。
【0009】
ここで、空調機器は、対象室内に空調空気を提供するものであれば、エアコン、クーラ、ヒータ等、どのようなものであってもよい。また、環境値は、快適度の指標としてISO7730で規定されているPMV値を用いることが好適であるが、温度など他の指標であってもよい。また、省エネ環境値は、不快と感じる被空調者が全体の2割未満となるような所定の値であることが望ましいが、他の値であってもよい。
【0010】
第2変動は、被空調者がその変動を体感できる所定の環境値差および速度での変動であることが好適であるがこれに限定されるものではない。また、第1変動は、所定の範囲で揺らぐ小変動を有していることが好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1に、本発明の実施の形態である空調装置10の概略構成図を示す。この空調装置10は、インバータ方式の空調手段14とこの空調手段14の制御を行う制御装置12に大別される。
【0013】
制御装置12は、対象空間の環境状態(温度、湿度、風速など)を検出するセンサ部18、諸パラメータを設定入力する設定入力部20、およびこれらから出力される情報に基づいて空調手段14を制御する主制御部16から構成されている。
【0014】
空調手段14は、室内外にそれぞれ配置された熱交換器26、32、34、冷媒を圧縮する圧縮機22、圧縮機22の周波数を変化させるインバータ24などから構成されている。
【0015】
冷房運転時においては、圧縮機22で吸入し圧縮された冷媒は、四方弁30を経て室外熱交換器26に送られ、ここで凝縮液化される。室外熱交換器26を出た冷媒は膨張弁40で減圧され、第1熱交換器34に導かれる。この第1熱交換器34を出た冷媒は、全開状態の電磁弁36を通過して第2熱交換器32に流入する。各熱交換器34、32では冷媒が室内空気から蒸発潜熱を奪い気化する。そしてこれら熱交換器34、32を経た冷媒は、再び四方弁30を経て圧縮機22に吸入される。
【0016】
暖房運転時においては、四方弁30が切り替えられ、冷房時と逆の流れになる。また、冷暖房時における冷・温風の風量および風向は室内ファン38を制御することにより調整される。
【0017】
主制御部16は、上述の四方弁30などの切り替え、インバータ24の制御を行うことにより、空調手段14の制御を行う。
【0018】
次に、このような空調装置10の制御装置12について詳述する。
【0019】
図2に制御装置12のブロック図を示す。制御装置12は、上述したようにセンサ部18、設定入力部20、および主制御部16から構成されている。
【0020】
センサ部18は、室内の温度、風速、湿度、および床の輻射温度を検出する4種類の検出器46、48、50、52を有している。このセンサ部18は、室内に設置され、検出した値を所定の間隔でデジタル値に変換して主制御部16に出力する。なお、各検出器を複数箇所に設置し、その平均値をとるようにしてもよい。また、風速検出器48を用いず、空調手段14の室内ファン38の風量を風速値として用いてもよい。また、輻射温度検出部52を設けず、事前に測定した値を入力するようにしてもよい。
【0021】
設定入力部20は、例えば、空調装置10の操作用リモコンなどに設けられる。これは、着衣量および作業量を入力できる着衣量・作業量入力部58と後述する変動パターンを入力する変動パターン入力部60を有している。着衣量は、被空調者の着衣量であり、「夏服」、「合服」、「冬服」の3段階で設定できる。ここで入力された着衣量は、衣服の熱抵抗を表すclo値に変換される。一方、作業量は、被空調者の作業量を「軽」、「中」、「重」の3段階で設定でき、動作代謝率を表すmet値に変換される。そして、入力された着衣量および作業量は、被空調者条件値として後述するPMV値算出部54に出力され、記憶される。
【0022】
変動パターン入力部60では、図3に示すような空調の目標PMV値の変動を表した変動パターンを入力、設定できる。入力された変動パターンは、主制御部16の空調制御部56に送られ、記憶される。なお、パターンそのものを入力しなくとも、このパターンを特定するためのパラメータ(周期、振幅など)のみを入力するようにしてもよい。その場合は、主制御部16において、各パラメータに基づいて変動パターンを形成するようにすればよい。
【0023】
主制御部16は、PMV値算出部54と空調制御部56から構成されている。PMV値算出部54は、センサ部18および着衣量・作業量入力部58から送られた温度、湿度、風速、輻射温度、着衣量、作業量の6項目に基づいてPMV値を算出する。
【0024】
ここで、PMV(Predicted Mean Vote)とは、平均予想温冷感申告と訳され、快適性を評価する指標の一つである。現在では、ISO−7730として国際規格化されている。
【0025】
このPMV値は、温度、湿度、輻射温度、風速、着衣量および作業量を快適方程式と呼ばれる式に当てはめることにより算出できる。そして、PMV値では、0を中立として、プラスになるほど暑く、マイナスになるほど寒いと評価される。
【0026】
本実施の形態では、このPMV値に基づいて空調制御を行う。PMV値を用いることにより、より被空調者の体感に近い制御が可能となり、消費エネルギーを抑えつつ、快適性を高めることが可能となる。
【0027】
空調制御部56では、この算出されたPMV値と変動パターンに基づき空調制御に必要な制御量を算出する。そして算出した制御量から必要な制御信号を空調手段14のインバータ24等に出力する。
【0028】
次に、空調制御の目標PMV値の変動を表す変動パターンについて図3を用いて説明する。
【0029】
図3は、冷房時における変動パターンの一例である。変動パターン入力部60で入力される変動パターンは、空調の目標PMV値の変動を表したものであり、空調制御部56は、この変動パターンから目標PMV値を取得する。変動パターンは、2つの所定のPMV値u1とu2との間を一定周期で変動するパターンである。快適PMV値であるu2は、被空調者が快適と体感できる値であり、空調負荷が比較的高い値である。一方、省エネPMV値u1は、快適PMV値u2より室外PMV値に近い値で、空調負荷が比較的低いが被空調者にとって不快に近い値である。
【0030】
この変動パターンでは、快適PMV値u2から省エネPMV値u1へ徐々に変動させる第1変動と省エネPMV値u1から快適PMV値u2へ急激に変動させる第2変動とを繰り返す。
【0031】
目標PMV値をこのように変動させることにより、被空調者の体感する快適領域を広げる、または、空調負荷の小さい方へ移動させることができる。すなわち、第1変動において、快適PMV値u2から省エネPMV値u1に徐々に変動させることにより、被空調者を徐々に空調負荷の小さい環境(室外PMV値に近い環境)に馴らすことができる。そのため、省エネPMV値u1が本来であれば不快と体感するPMV値であっても、不快と認識しにくくなるのである。
【0032】
また、省エネPMV値u1から快適PMV値u2へ急激に変動させることにより、被空調者に快適感を印象付け、全体として快適な空調が施されていると認識させることができる。したがって、被空調者の快適感を損なうことなく、消費エネルギーを低減した空調を提供することができる。
【0033】
このような変動パターンの各パラメータは、次の条件に基づいて決定される。
【0034】
省エネPMV値u1は、不快と感じる被空調者が全体の2割未満となるPMV値である。これは、ANSI/ASHARE(アシュレー規格)において、規定されている快適環境範囲の限界値である。すなわち、ANSI/ASHAREでは、快適と呼ばれる環境は、不快と感じる人が多くても2割未満の環境であるとして定義されている。
【0035】
快適PMV値u2は、被空調者に快適感を印象付けるために被空調者が第2変動を体感できる値である。また、消費エネルギーを抑えるためには、できるだけ省エネPMV値u1に近い値であることが望ましい。そして、変動の傾きが急激であるほど、その変動は体感されやすいが、この傾きは空調手段14の能力から一定の限界がある。したがって、快適PMV値u2は、空調手段14の限界に近い傾きで急激に変動させたときに、被空調者がその変動を体感でき、かつ、最も省エネPMV値u1に近い値となる。
【0036】
第1変動時間t1は、温度変動率が2.2[℃/時]以内であり、かつ、60分以内という条件から決定される。これは、ANSI/ASHAREによって決められた快適性を保つための条件である。これによれば、快適性を保つためには、温度変動率が2.2[℃/時]であることが望ましい。また、被空調者には60分以内に快適感を印象付けることが望ましい。したがって、この2つの条件を満たす範囲で第2変動時間t2が決定される。
【0037】
なお、本実施の形態では、より最適な変動パターンを得るために、各パラメータを上述の種々の条件から決定しているが、必ずしも、これらの条件に従う必要は無い。被空調者にとって快適な快適PMV値とこの値より室外PMV値に近い省エネPMV値との間を変動する変動パターンであって、快適PMV値から省エネPMV値へ徐々に変動する第1変動と省エネPMV値から快適PMV値へ急激に変動する第2変動とを繰り返す変動パターンであれば、各パラメータは、他の条件に基づいて決定されてもよい。
【0038】
つぎに、このような制御装置12での空調制御について説明する。
【0039】
空調を施す場合、空調制御部56は、入力された変動パターンから各時間の空調目標の目標PMV値を取得する。また、PMV値算出部54から送られた室内PMV値も取得する。空調制御部56は、この2つのPMV値の差を算出し、この差から必要な制御量を算出する。本実施の形態では、得られたPMV値差から目標PMV値に到達させるために必要な温度変化量を算出する。そして、その温度変化に必要な圧縮機22の回転周波数を算出する。空調制御部56は、この回転周波数をインバータ24などに出力し、空調を制御する。そして、室内PMV値が目標PMV値になるようにする。
【0040】
ここで、目標PMV値は、上述した変動パターンをもって変動するものである。そのため、室内PMV値が変動パターンと同じような変化になるように空調制御がなされさることになる。
【0041】
以上、説明したように、本実施の形態では、目標PMV値を省エネPMV値へ徐々に変動させるため、被空調者の快適と感じる範囲を広げる、または、空調負荷の小さいほうへ移動させることができる。また、目標PMV値を省エネPMV値から快適PMV値へ急激に変動させることにより、被空調者に快適感を印象付けることができる。そのため、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる。
【0042】
なお、本実施の形態においては、単に第1変動と第2変動を繰り返す変動パターンを用いたが、必要に応じて他のパターンと組み合わせた変動パターンを用いてもよい。例えば、オフィスなどに使用される場合には、図4に示すように出勤者が少ない早朝および残業時間、業務を行わない昼休みは、快適性を低くし、出勤者のピークとなる時間帯は快適感を印象付けるために快適性の高いPMV値となるような変動パターンを使用してもよい。
【0043】
また、第1変動および第2変動は、直線である必要はなく、図5に示すように段階的に変化するものであっても良い。
【0044】
また、本実施の形態では、PMV値を用いたが、従来から多用されている温度のみを用いた空調制御でもよい。その場合は、温度で定義した変動パターンを用いればよい。
【0045】
次に、他の実施の形態について図6、図7を用いて説明する。
【0046】
図6は、この実施の形態における制御装置12のブロック図であり、図7は、この実施の形態で使用される変動パターンである。
【0047】
本実施の形態では、設定入力部20に揺らぎ量入力部62が、主制御部16に揺らぎ補正部64が設けられている。
【0048】
揺らぎ量入力部62には、後述する変動パターンに追加される揺らぎ量を入力する。ここで入力される揺らぎ量は、例えば、揺らぎを決定するための振幅、周期などの値である。入力された揺らぎ量は、揺らぎ補正部64に送られる。この揺らぎ補正部64には、変動パターン入力部60で入力された基準の変動パターンも送られている。揺らぎ補正部64では、基準の変動パターンと揺らぎ量に基づいて、図7に示すような揺らぎ補正後の変動パターンを形成する。
【0049】
この補正後の変動パターンは、図7に示すように、所定の許容量wで揺らぎなら、省エネPMV値u1と快適PMV値u2との間で変動する。ここで、許容量wは、温度変化に換算して、少なくとも1.1℃以下であることが望ましい。被空調者の快適感を損ねないためには短時間での変動幅は1.1℃以下であることが望ましいからである(ANSI/ASHRAE55−92)。
【0050】
なお、揺らぎ量入力部62、揺らぎ補正部64を設けず、変動パターン入力部60に補正後の変動パターン(図7)を直接入力するようにしてもよい。
【0051】
このように、基準パターンに加えて、この所定の許容量で揺らぐ小変動があることにより、被空調者に対して、間欠的に温熱的刺激(体感変化)を与えることができる。一般に、人は、定期的に温熱的刺激を加えると快適感が持続しやすい。そのため、この小変動があることにより、被空調者の快適感をより長く持続させることができる。
【0052】
次に、インバータを有しない空調装置の場合について説明する。
【0053】
この空調装置10では、圧縮機22の周波数を変更するインバータが無いため、空調制御は、主に圧縮機22のON/OFF制御によって行われる。すなわち、目標PMV値に達するまで圧縮機22を稼動させ、室内PMV値が目標PMV値に到達すると圧縮機22を停止させる。そして、室内PMV値が所定のPMV値以上に目標PMV値と離れたら、再び圧縮機22を稼動させる。
【0054】
このような空調装置10においては、図8に示すような変動パターンを用いる。これは、省エネPMV値u1と快適PMV値u2との間を変動するものであり、かつ、所定の許容量wが規定されている。制御装置12は、室内PMV値が許容量wを超えて室外PMV値に近づけば(冷房時では、高くなれば)、圧縮機22を稼動させて、冷房または暖房を行う。反対に室内PMV値が許容量wを超えて過剰負荷側に移動すれば(冷房時では、低くなれば)、圧縮機22を停止させて、冷房または暖房を停止する。
【0055】
したがって、この場合の冷房時における室内PMV値の変化と圧縮機22の稼動状況、および室内PMV値は図8に示すようになる。すなわち、室内PMV値が許容量wを超えて高くなれば圧縮機22が起動し、冷房が施される。そのため、室内PMV値は、低下していく。そして、冷房が持続し、室内PMV値が許容量wを超えて低くなると、圧縮機22は停止される。冷房が止まるため、室内PMV値は、次第に上昇していき、再び、許容量wを超える。許容量wを超えると再び圧縮機22が起動される。このような動作を繰り返しながら、徐々に第1変動と第2変動とを繰り返す。つまり、本実施の形態において、室内PMV値は、省エネPMV値u1と快適PMV値u2との間を変動するとともに、所定の許容量wの幅で小変動するのである。
【0056】
この許容量wは、圧縮機22の機能的制約に基づいて定められる必要がある。すなわち、通常、圧縮機22の起動、停止には圧縮機保護のために、条件が設けられている。例えば、圧縮機の起動後に最低限必要な稼動時間などが定められている。許容量wは、これらの圧縮機22の機械的特性を考慮した値でなければならない。また、上述したように温度変化に換算して、少なくとも1.1℃以下であることが望ましい。
【0057】
以上、説明したように、インバータ24方式でない空調装置10の場合でも、変動パターンを定義することにより、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる。また、許容量wを与えることにより、被空調者に対して、間欠的に温熱的刺激(体感変化)を与えることができ、被空調者の快適感をより長く持続させることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、被空調者の快適感を損ねることなく、より消費エネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である空調装置の概略構成図である。
【図2】制御装置のブロック図である。
【図3】冷房時における変動パターンの一例を示す図である。
【図4】他の実施の形態で使用される変動パターンを示す図である。
【図5】他の実施の形態で使用される変動パターンを示す図である。
【図6】他の実施の形態における制御装置のブロック図である。
【図7】他の実施の形態で使用される変動パターンを示す図である。
【図8】他の実施の形態で使用される変動パターンを示す図である。
【符号の説明】
10 空調装置、12 制御装置、14 空調手段、16 主制御部、18 センサ部、20 設定入力部、22 圧縮機、24 インバータ、54 PMV値算出部、56 空調制御部、58 着衣量・作業量入力部、60 変動パターン入力部、62 揺らぎ量入力部、64 ゆらぎ補正部。
Claims (9)
- 対象室内に空調を施す空調機器を制御する空調制御装置であって、
対象室内の快適度の指標である環境値を取得する室内環境値取得手段と、
所定の変動パターンをもって変動する目標環境値と取得された室内環境値とに基づいて空調機器を制御する制御手段と、
を有し、変動パターンは、
被空調者にとって快適な快適環境値とこれより室外環境値に近い省エネ環境値との間を変動するパターンであって、快適環境値から省エネ環境値へ徐々に変動する第1変動と省エネ環境値から快適環境値へ急激に変動する第2変動とを繰り返すパターンであることを特徴とする空調制御装置。 - 請求項1に記載の空調制御装置であって、
第2変動は、被空調者がその変動を体感できる所定の環境値差および速度での変動であることを特徴とする空調制御装置。 - 請求項1または2に記載の空調制御装置であって、
省エネ環境値は、不快と体感する被空調者が全被空調者の2割未満となる所定の値であることを特徴とする空調制御装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1に記載の空調制御装置であって、
環境値取得手段は、
温度、湿度、輻射温度および気流速度である室内条件を取得する室内条件取得手段と、
着衣量および作業量である被空調者条件を設定できる被空調者条件設定手段と、
室内条件および被空調者条件に基づいてPMV値を算出するPMV算出手段と、
を有し、PMV値を環境値として用いることを特徴とする空調制御装置。 - 請求項1乃至4のいずれか1に記載の空調制御装置であって、
第1変動の変動時間は、60分以下であることを特徴とする空調制御装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1に記載の空調制御装置であって、
変動パターンにおける温度変動率は、2.2℃/時間より小さいことを特徴とする空調制御装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1に記載の空調制御装置であって、
第1変動は、所定の許容範囲で揺らぐ小波変動を有することを特徴とする空調制御装置。 - 請求項7に記載の空調制御装置であって、
小波変動の許容範囲は、少なくとも1.1℃より小さいことを特徴とする空調制御装置。 - 対象室内に空調を施す空調機器を制御する空調制御方法であって、
対象室内の快適度の指標である環境値を取得する室内環境値取得工程と、
所定の変動パターンをもって変動する目標環境値と取得された室内環境値とに基づいて空調機器を制御する制御工程と、
を有し、変動パターンは、
被空調者にとって快適な快適環境値とこの値より室外環境値に近い省エネ環境値との間を変動するパターンであって、快適環境値から省エネ環境値へ徐々に変動する第1変動と省エネ環境値から快適環境値へ急激に変動する第2変動とを繰り返すパターンであることを特徴とする空調制御方法。
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