JP2004352917A - インキの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】経時的な気泡発生によるカスレを防止した腐食を起こさないインキを提供する。
【解決手段】少なくとも着色剤、増粘剤、水を含有する水性インキ中に、気体混合物を溶解させるにあたり、酸素又は窒素のいずれか一方の溶存重量を大気組成物を溶存させた場合にに比して50重量%以下とする気泡発生防止法によりカスレを防止する。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも着色剤、増粘剤、水を含有する水性インキ中に、気体混合物を溶解させるにあたり、酸素又は窒素のいずれか一方の溶存重量を大気組成物を溶存させた場合にに比して50重量%以下とする気泡発生防止法によりカスレを防止する。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキタンクに直接インキを収容するか又は繊維収束体にインキを含浸させて収容するインキタンクのインキをボールペンチップや棒状の繊維収束体ペン先、連通孔をインキ通路とする合成樹脂製ペン先、インキジェットプリンタのインキ吐出ヘッドなどに供給してインキを吐出させる、筆記具やインキジェットプリンタに使用するインキの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インキ収容管に直接インキを充填する方式の水性ボールペンは、インキ中に溶存する空気が成長して経時で気泡を発生することがあり、この気泡が成長してインキ流路を塞ぎ筆記時のカスレやインキの吐出不良を引き起こす場合があった。このため、水性ボールペンの製造方法、特にインキ収容管及び/又はボール把持部としてのボールペンチップ内での経時的な気泡の発生を防止するための製造方法として、インキ中の溶存空気を除去することで経時的に気泡に成長する核を無くす方法が知られている。このインキ中の溶存空気を除去する方法として例えば、インキ中に酸素と結合する還元性を有する物質、例えばアスコルビン酸を添加したもの(特許文献1参照)、コウジ酸を添加したもの(特許文献2参照)、ポリフェノールを添加したもの(特許文献3参照)、亜硫酸ナトリウムを添加したもの(特許文献4参照)等のインキを充填して溶存酸素を除去することにより結果的に溶存空気全体を除去する化学的方法や、インキをインキ収容管に収容させる前に減圧下に放置してインキ中の溶存気体量を一定値以下にしたインキを充填する方法(特許文献5参照)、インキを充填した水性ボールペンを減圧下にて遠心することでインキ中に混在している微小の気泡を効率的に除去する(特許文献6参照)といった物理的方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−71676公報(第2頁2行〜13行)
【特許文献2】
特開2002−97399公報(第2頁2行〜5行)
【特許文献3】
特開2001−81389公報(第2頁2行〜4行)
【特許文献4】
特開2002−80770公報(第2頁2行〜6行)
【特許文献5】
特開平8−183923号公報(第2頁2行〜25行)
【特許文献6】
特開平11−180088号公報(第2頁2行〜4行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、物理的にインキ中の溶存空気を除去する方法では、インキ充填時に混入した空気から発生した気泡はペンを遠心することにより除去できるが、インキ充填時に混入して溶解した空気や筆記時にペン先から巻き込んで混入した空気から発生した気泡やその時溶解した空気は除去できない欠点がある。そこでこれらの空気を除去しようと還元性を有する物質をインキ中に添加した場合、インキ中の成分と反応して変色や凝集等の不具合を発生する恐れもあったり、超硬やステンレス製のボールを使用したり、ボール抱持部としてのチップに洋白、ステンレス、真鍮等の腐食する可能性のある材質を使用した場合、還元性を有する物質とインキ中の酸素が反応して出来るパーオキシドラジカルが金属と反応して腐食を発生する不具合が生じる。
本発明は、経時的な気泡発生が無く、ボールペンなどの金属部品を腐食させず、経時的なカスレや筆記不能、更には書き味の低下といった不具合の発生を防止し、また、インキ中の成分と反応して変色や凝集等の不具合を起こし難いインキを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一種の気体又は大気と異なる組成の気体の混合物をインキ中に溶解させるインキの製造方法を要旨とするものである。
【0006】
以下、詳細に説明する。
本発明において、インキ中に溶解させる一種の気体又は大気と異なる組成の気体の混合物は、インキ中の溶存気体と大気との間の平衡状態を崩して、インキ中に溶存している気体を空気中に放出させるために用いるものである。大気は製造したインキ及びそのインキを収容した筆記具やインキカートリッジなどの置かれる環境の雰囲気であり、温度25℃において、おおよそ窒素と酸素とその他の微量気体総量との重量比率が、窒素が72〜78重量%、酸素が21〜27重量%、その他の微量気体総量が0〜2重量%のものとする。このような大気との平衡状態とは、インキ中に溶存している気体の各成分の分圧がインキの外の気体の各成分の分圧と異なる常態からほぼ同程度になることを指す。
インキに溶存する気体が大気と平衡状態になったとき、インキ中の溶存する気体の混合物の量は、窒素75.0重量%、酸素24.0重量%、アルゴン1.0重量%の組成からなる標準気体混合物をインキに飽和に溶存させたときの量の50重量%以下にするのが好ましいが、少なくとも、この標準気体混合物がそのインキに飽和に溶解しているときのその標準気体混合物中の窒素及び/又は酸素の重量に対して、実際に平衡となっている溶存気体中の窒素及び/又は酸素の溶存重量が50重量%とすればよい。経験的に溶存空気がインキ中の飽和溶存空気量の2分の1を超えると、経時的に気泡が発生しやすいことが判っている。
【0007】
インキ中に一種の気体又は大気と異なる組成の気体の混合物を溶解させるには、当該気体又は気体の混合物をインキ中に通して溶存している気体と置換するのが最も効果的であるがこれに限るものではない。一例を挙げると、多孔質の先端(いわゆるエアーストーン)を有するパイプ又はホースをガスボンベ又はエアーポンプに繋ぎ、この多孔質の先端をインキ中に投入して当該気体又は気体の混合物を小気泡にしてインキ中を通す方法。一部開放された容器にインキを入れ、これを当該気体又は気体の混合物の雰囲気中に置く方法。減圧状態に放置してインキ中の空気を減少させた後当該気体又は気体の混合物の雰囲気中に放置するか気体を上記方法で通す方法。さらにはインキを一種の気体又は空気と異なる組成の気体で加圧する方法等がある。
使用し得る気体の一例を挙げると、窒素、水素、二酸化炭素やヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス類等の1種もしくは2種以上の混合物があるが、これらに限られるものではない。
【0008】
次に、本発明に使用するインキの組成について説明する。
インキの主な媒体としては水及び/又は有機溶剤が使用可能であり、水を含有するものであれば水性インキ、水を含有せずに有機溶剤のみで構成されるものを油性インキとする。
【0009】
水性インキの場合には、水のほかに媒体として各種の水溶性有機溶剤が使用可能であり、インキの乾燥防止、低温時での凍結防止などに有効である。具体的には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブチルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2−エチル1,3−ヘキサングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のエーテル、N−メチルピロリドン、2−フェノキシエタノールなどが使用出来る。
これら水と共に使用される有機溶剤は、1種又は2種以上選択して併用できるものであり、その使用量はインキ全量に対して2〜50重量%が好ましい。2重量%未満では塗布部の乾燥防止効果が弱く使用不能になる恐れがある。50重量%を超えて添加してもその効果の向上は見られず添加することの意味が見い出せない。また、水性インキである場合に、水の使用量は、インキの全重量に対して30重量%以上が好ましい。30重量%以下の場合は相対的に水溶性有機溶剤の添加量が増加し、筆跡の乾燥性が悪くなる。
【0010】
着色剤は、従来のインキに用いられる染料及び顔料が使用可能であり、染料では酸性染料、直接染料、塩基性染料等のいずれも用いることができる。その一例を挙げれば、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラックL−200(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー#3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、カヤラススプラブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(同199)等の直接染料や、アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、スミノールファストブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187−L(同154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ダイワタートラジン(同23)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエローO(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターエロー#6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アイゼンエオシンGH(同87)、ウォーターピンク#2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノオールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(同17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー#9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、スプラノールブルーB(同15)、オリエントソルブルブルーOBC(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォーターブルー#115(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールブルー2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(同9)、ダイワグリーン#70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)等の酸性染料、アイゼンカチロンイエロー3GLH(C.I.ベーシックイエロー11)、アイゼンカチロンブリリアントイエロー5GLH(同13)、スミアクリルイエローE−3RD(同15)、マキシロンイエロー2RL(同19)、アストラゾンイエロー7GLL(同21)、カヤクリルゴールデンイエローGL−ED(同28)、アストラゾンイエロー5GL(同51)、アイゼンカチロンオレンジGLH(C.I.ベーシックオレンジ21)、アイゼンカチロンブラウン3GLH(同30)、ローダミン6GCP(C.I.ベーシックレッド1)、アイゼンアストラフロキシン(同12)、スミアクリルブリリアントレッドE−2B(同15)、アストラゾンレッドGTL(同18)、アイゼンカチロンブリリアントピンクBGH(同27)、マキシロンレッドGRL(同46)、アイゼンメチルバイオレット(C.I.ベーシックバイオレット1)、アイゼンクリスタルバイオレット(同3)、アイゼンローダミンB(同10)、アストラゾンブルーG(C.I.ベーシックブルー1)、アストラゾンブルーBG(同3)、メチレンブルー(同9)、マキシロンブルーGRL(同41)、アイゼンカチロンブルーBRLH(同54)、アイゼンダイヤモンドグリーンGH(C.I.ベーシックグリーン1)、アイゼンマラカイトグリーン(同4)、ビスマルクブラウンG(C.I.ベーシックブラウン1)等の塩基性染料が挙げられる。
【0011】
顔料ではアゾ系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、建て染め染料系顔料、媒染染料系顔料、及び天然染料系顔料等の有機系顔料、黄土、バリウム黄、紺青、カドミウムレッド、硫酸バリウム、酸化チタン、弁柄、鉄黒、カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用することが出来る。具体例を挙げるとアニリンブラック(C.I.50440)、シアニンブラック、ナフトールエローS(C.I.10316)、ハンザエロー10G(C.I.11710)、ハンザエロー5G(C.I.11660),ハンザエロー3G(C.I.11670)、ハンザエローG(C.I.11680),ハンザエローGR(C.I.11730)、ハンザエローA(C.I.11735)、ハンザエローRN(C.I.11740)、ハンザエローR(C.I.12710)、ピグメントエローL(C.I.12720)、ベンジジンエロー(C.I.21090)、ベンジジンエローG(C.I.21095)、ベンジジンエローGR(C.I.21100)、パーマネントエローNCG(C.I.20040)、バルカンファストエロー5G(C.I.21220)、バルカンファストエローR(C.I.21135)、タートラジンレーキ(C.I.19140)、キノリンエローレーキ(C.I.47005)、アンスラゲンエロー6GL(C.I.60520)、パーマネントエローFGL、パーマネントエローH10G、パーマネントエローHR、アンスラピリミジンエロー(C.I.68420)、スダーンI(C.I.12055)、パーマネントオレンジ(C.I.12075)、リソールファストオレンジ(C.I.12125)、パーマネントオレンジGTR(C.I.12305)、ハンザエロー3R(C.I.11725)、バルカンファストオレンジGG(C.I.21165)、ベンジジンオレンジG(C.I.21110)、ペルシアンオレンジ(C.I.15510)、インダンスレンブリリアントオレンジGK(C.I.59305)、インダンスレンブリリアントオレンジRK(C.I.59105)、インダンスレンブリリアントオレンジGR(C.I.71105)、パーマネントブラウンFG(C.I.12480)、パラブラウン(C.I.12071)、パーマネントレッド4R(C.I.12120)、パラレッド(C.I.12070)、ファイヤーレッド(C.I.12085)、パラクロルオルトアニリンレッド(C.I.12090)、リソールファストスカーレット、ブリリアントファストスカーレット(C.I.12315)、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッドF2R(C.I.12310)、パーマネントレッドF4R(C.I.12335)、パーマネントレッドFRL(C.I.12440)、パーマネントレッドFRLL(C.I.12460),パーマネントレッドF4RH(C.I.12420)、ファストスカーレットVD、バルカンファストルビンB(C.I.12320)、バルカンファストピンクG(C.I.12330),ライトファストレッドトーナーB(C.I.12450)、ライトファストレッドトーナーR(C.I.12455)、パーマネントカーミンFB(C.I.12490)、ピラゾロンレッド(C.I.12120)、リソールレッド(C.I.15630)、レーキレッドC(C.I.15585)、レーキレッドD(C.I.15500)、アンソシンB(C.I.18030)、ブリリアントスカーレットG(C.I.15800)、リソールルビンGK(C.I.15825)、パーマネントレッドF5R(C.I.15865)、ブリリアントカーミン6B(C.I.15850)、ピグメントスカーレット3B(C.I.16105)、ボルドー5B(C.I.12170)、トルイジンマルーン(C.I.12350)、パーマネントボルドーF2R(C.I.12385)、ヘリオボルドーBL(C.I.14830)、ボルドー10B(C.I.15880)、ボンマルーンライト(C.I.15825)、ボンマルーンメジウム(C.I.15880)、エオシンレーキ(C.I.45380)、ローダミンレーキB(C.I.45170)、ローダミンレーキY(C.I.45160)、アリザリンレーキ(C.I.58000)、チオインジゴレッドB(C.I.73300)、チオインジゴマルーン(C.I.73385)、パーマネントレッドFGR(C.I.12370)、PVカーミンHR、ワッチングレッド,モノライトファストレッドYS(C.I.59300)、パーマネントレッドBL、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ(C.I.42535)、ジオキサジンバイオレット、アルカリブルーレーキ(C.I.42750A、C.I.42770A)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42090)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42025)、ビクトリアブルーレーキ(C.I.44045)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ファストスカイブルー(C.I.74180)、インダンスレンブルーRS(C.I.69800)、インダンスレンブルーBC(C.I.69825)、インジゴ(C.I.73000)、ピグメントグリーンB(C.I.10006)、ナフトールグリーンB(C.I.10020)、グリーンゴールド(C.I.12775)、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ(C.I.42000)、フタロシアニングリーン等が挙げられる。
これらの着色剤の使用量は、インキ全量に対して0.5〜30重量%が好ましい。0.5重量%未満では、薄くて筆跡としての性能を果たさず、30重量%を超えるとチップ内でのドライアップが増長し書き出し性能が悪くなる傾向が有る。
【0012】
着色剤に顔料を用いた場合は顔料を安定に分散させるために分散剤を使用することは差し支えない。分散剤として従来一般に用いられている水溶性樹脂もしくは水可溶性樹脂や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤などの顔料の分散剤として用いられるものが使用できる。一例として、高分子分散剤として、リグニンスルホン酸塩、セラックなどの天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩、などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの非イオン性高分子などが挙げられる。また、界面活性剤として、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0013】
これら水可溶性樹脂及び界面活性剤は、その1種または2種以上を選択し、併用しても使用できる。その使用量は、顔料10重量部に対し0.05〜20重量部が好ましい。0.05重量部より少ない場合は添加する目的である分散効果が弱く、20重量部より多くしてもそれ以上の分散効果が望めず不経済である。
顔料の場合は、更に、水性媒体に分散した水性インキベースを用いることは、顔料インキ製造上有利なことである。具体的には、Fuji SP Black8031、同8119、同8167、同8276、同8381、同8406、Fuji SP Red 5096、同5111、同5193、同5220、Fuji SP Bordeaux 5500、Fuji SP Blue 6062、同6133、同6134、同6401、Fuji SP Green 7051、Fuji SP Yellow 4060、同4178、Fuji SP Violet 9011、Fuji SP Pink 9524、同9527、Fuji SP Orange 534、FUji SP Brown 3074、FUJI SP RED 5543、同5544(以上、富士色素(株)製)、Emacol Black CN、Emacol Blue FBB、同FB、同KR、Emacol Green LXB、Emacol Violet BL、Emacol Brown 3101、Emacol Carmmine FB、Emacol Red BS、Emacol Orange R、Emacol Yellow FD、同IRN、同3601、同FGN、同GN、同GG、同F5G、同F7G、同10GN、同10G、Sandye Super Black K、同C、Sandye Super Grey B、Sandye Super Brown SB、同FRL、同RR、SandyeSuper Green L5G、同GXB、Sandye Super Navy Blue HRL、同GLL、同HB、同FBL−H、同FBL−160、同FBB、Sandye Super Violet BL H/C、同BL、Sandye Super Bordeaux FR、Sandye Super Pink FBL、同F5B、Sandye Super Rubine FR、Sandye super Carmmine FB、SandyeSuper Red FFG、同RR、同BS、Sandye Super Orange FL、同R、同BO、Sandye Gold Yellow 5GR、同R、同3R、Sandye Ywllow GG、同F3R、同IRC、同FGN、同GN、同GRS、同GSR−130、同GSN−130、同GSN、同10GN(以上、山陽色素(株)製)、Rio Fast BlackFx 8012、同8313、同8169、Rio Fast Red Fx8209、同8172、Rio Fast Red S Fx 8315、同8316、Rio Fast Blue Fx 8170、Rio Fast Blue FX 8170、Rio Fast Blue S Fx 8312、Rio Fast Green S Fx 8314(以上、東洋インキ(株)製)、NKW−2101、同2102、同2103、同2104、同2105、同2106、同2107、同2108、同2117、同2127、同2137、同2167、同2101P、同2102P、同2103P、同2104P、同2105P、同2106P、同2107P、同2108P、同2117P、同2127P、同2137P、同2167P、NKW−3002、同3003、同3004、同3005、同3007、同3077、同3008、同3402、同3404、同3405、同3407、同3408、同3477、同3602、同3603、同3604、同3605、同3607、同3677、同3608、同3702、同3703、同3704、同3705、同3777、同3708、同6013、同6038、同6559(以上、日本蛍光(株)製)、コスモカラーS1000Fシリーズ(東洋ソーダ(株)製)、ビクトリアエロー G−11、同G−20、ビクトリアオレンジ G−16、同G−21、ビクトリアレッド G−19、同G−22、ビクトリアピンク G−17、同G−23、ビクトリアグリーン G−18、同G−24、ビクトリアブルー G−15、同G−25(以上、御国色素(株)製)、ポルックスPC5T1020、ポルックスブラックPC8T135、ポルックスレッドIT1030等のポルックスシリーズ(以上、住化カラー(株)製)などが挙げられるものであり、これらは1種又は2種以上選択して併用できるものである。
【0014】
水性インキに使用する剪断減粘性物質としては、HPC−SL、同L、同M、同H(以上、日本曹達(株)製)、アビセルPH−101、同102、同301、同M06、TG−101(以上、旭化成(株)製)等のセルロース類、ケルザン、ケルザンS、ケルザンF、ケルザンAR、ケルザンM、ケルザンD(以上、三晶(株)製)、コージン、コージンF、コージンT、コージンK(以上、(株)興人製)等のキサンタンガム、レオザン(三唱(株)製)等のサクシノグルカン、K1A96(三唱(株)製)等のウエランガム、K1A112、K7C2433(以上、三唱(株)製)等のラムザンガム、ジャガー8111、同8600、同HP−8、同HP−60、CP−13(以上、三唱(株)製)等のグァーガム類、プルラン((株)林原商事製)等の水溶性多糖類、レオジック250H(日本純薬(株)製)、ジュンロンPW111(日本純薬(株)製)、Uジェリ・CP(昭和電工(株)製)等の架橋型アクリル酸樹脂、カーボポール934、同940、同941、同980、同981、同1342、同1382、同2984、同5984、同ETD2020、同ETD2050、EZ−1、ペミュレンTR−1、同RT−2(BFGoodrich社製)等のアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、GX−205、NA−010(昭和電工(株)製)等のN−ビニルアセトアミド重合架橋物等の水溶性合成高分子、スメクトンSA(スメクタイト、クニミネ工業(株)製)、クニピア−F、クニピア−G(モンモリロナイト、クニミネ工業(株)製)、ベンゲルHV、同FW、同15、同23(ベントナイト、(株)豊順洋行製)、ベンゲルW−100、同W−100U、同W−200U、同W−300U、同W−300HP(アニオン系ポリマー複合精製ベントナイト、(株)豊順洋行製)、エスベン、同C、同W、同N400(4級アンモニウムカチオン変性モンモリロナイト、(株)豊順洋行製)等の無機粘土鉱物が挙げられる。
これらの内、キサンタンガムが、大きな剪断減粘性を持ち、温度変化に対する安定性、pHに対する安定性、塩に対する安定性の点から特に好ましい。上記は複数種を混合して使用することもできるが、その使用量は必要とする粘度が得られる量を添加すれば良い。
なお、収容管に直接インキを充填して使用する場合にはインキ粘度は剪断速度が10/secの時に20〜50000mPa・sの範囲に入るように調整して使用するのが好ましい。
【0015】
還元性物質をインキに添加すると、インキ充填時や経時的に空気からインキ中に混入する空気中の酸素を除去し、インキに溶存している気体と空気との平衡状態を崩し、溶存している気体を効率よく空気中に放出させる効果がある。ただし、還元性を有する化合物を添加するときは溶解させる気体は酸化性を持たないものにするのが好ましい。
還元性を有する化合物の一例を挙げると、アスコルビン酸、エリソルビン酸、コウジ酸及びこれらの塩やその誘導体、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、アミノフェノール、ハイドロキノン、ハイドロキノンスルホン酸及びその塩、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシノール、没食子酸及びその塩、カテキン、タンニン酸及びその塩、トリヒドロキシベンゼン等のポリフェノール類、tert−ブチルフェノール、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、アセトアニリド、アセトアセトアニリド等のケト−エノール異性体、ヒドロキシルアミン、オキシキノリンスルホン酸、ホルムアミジンスルフィン酸、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等が挙げられるが、これらに限られるわけではなく、還元能を有する物質で有れば大抵のものが使用可能である。
これらのものの使用量は添加する物質の還元性能によるが、インキ全体に対して5.0重量%未満が好ましい。
添加量が5.0重量%を超えると前述した金属の腐食やインキ中の成分との反応が起きる可能性が高くなる。
【0016】
その他、上記各成分以外、従来、筆記具用のインキに用いられる種々の添加剤を適宜必要に応じて使用することもできる。
例えば、インキの蒸発防止のためにソルビット、キシリット等の糖アルコールや、尿素、エチレン尿素及びこれらの誘導体を用いたり、筆記感を向上させるためにポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールポリオキシプロピレングリコール、オレイン酸やアシルアミノ酸、タウリン、メチルタウリン等のアルカリ金属塩やアミン塩や、水溶性潤滑油、硫化モリブデン等の潤滑剤を用いたりすることができる。
【0017】
さらに、アニオン系、ノニオン系、カチオン系の各種界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の表面張力調整剤、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾイソチアザリン−3−オンなどの防腐防黴剤、ベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などの防錆剤、pH調整剤として水酸化ナトリウム、アルカノールアミン、アミン、アンモニウム等のアルカリ化剤なども用いることもできる。
【0018】
インキの着色材を紙面に定着させるために結合材として各種樹脂を併用することもできる。一例を挙げるとセラック、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、同アミン塩、同アンモニウム塩、α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、同アミン塩、同アンモニウム塩、といった水溶性樹脂を用いることができる。また、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合物などの水不溶性樹脂などを用いることもできる。尚、水性インキに水不溶性樹脂は、水性エマルジョン形態で使用する。
【0019】
油性インキの場合には、媒体としての有機溶剤と、着色剤、場合によっては定着用の樹脂等が使用される。
使用可能な有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類。エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類のモノ及び/又はジアルキルエーテル類及び/又はそれらのアセテート類、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類等が使用可能であるがこれらに限られるものではない。
【0020】
着色剤としては、各種の油性染料や顔料が使用可能である。一例を挙げると染料としては、通常の染料インキ組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料等や通常の顔料インキ組成物に用いられる無機および有機顔料の中から任意のものを使用することができる。その配合量は、組成物全量当たり1〜50重量%の範囲で選ばれる。
【0021】
顔料を用いる場合、用いる有機溶剤に溶解し難く分散後の平均粒径が30nm〜700nmとなるものが好ましい。顔料の配合量は、インキ組成物全量に対し、0.5〜25重量%、好ましくは0.5〜20%までの範囲で必要に応じて配合することができる。使用できる顔料は、単独又は2種以上の混合で使用することができる。また、必要に応じて無機顔料を用いた分散体や染料等も分散安定性に悪影響を与えない程度で添加することができる。更に、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレフィン系モノマーを重合して得られる樹脂エマルションや、インキ中では膨潤して不定形となる中空樹脂エマルション、または、これらのエマルション自身を着色剤で染着して得られる染着樹脂粒子からなる有機多色顔料等が挙げられる。
【0022】
油性インキに使用する剪断減粘性物質としては、HPC−SL、同L、同M、同H(以上、日本曹達(株)製)、K1A96(三唱(株)製)等のウエランガム、K1A112、K7C2433(以上、三唱(株)製)等のラムザンガム、ジャガー8111、同8600、同HP−8、同HP−60、CP−13(以上、三唱(株)製)等のグァーガム類、プルラン((株)林原商事製)等の水溶性多糖類、レオジック250H(日本純薬(株)製)、ジュンロンPW111(日本純薬(株)製)、Uジェリ・CP(昭和電工(株)製)等の架橋型アクリル酸樹脂、カーボポール934、同940、同941、同980、同981、同1342、同1382、同2984、同5984、同ETD2020、同ETD2050、EZ−1、ペミュレンTR−1、同RT−2(BFGoodrich社製)等のアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、GX−205、NA−010(昭和電工(株)製)等のN−ビニルアセトアミド重合架橋物、ベントンSD−2、同27(NLケミカルズ(株)製、TIXOGEL VZ、同EZ(日産ガードラー触媒社製)、EX−0101(SUD化学製)等の有機ベントナイトが挙げられる。上記は単独或いは複数種を混合して使用することができるが、その使用量は必要とする粘度が得られる量を添加すれば良い。
【0023】
油性インキに使用される定着用の樹脂としては、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂がある。これらの樹脂の配合量としては、1〜30重量%がよく、より好ましくは1〜20%である。
【0024】
これらの成分以外に、各種の界面活性剤、防錆剤、潤滑剤、還元性物質等を適宜選択して使用出来る。
【0025】
なお、油性インキにおいても収容管に直接インキを充填して使用する場合にはインキ粘度は剪断速度が10/secの時に20〜50000mPa・sの範囲に入るように調整して使用するのが好ましい。
【0026】
ボールホルダーに抱持するボール材質として一例を挙げると、タングステンカーバイドを主成分とした超硬、ステンレス等が挙げられる。
【0027】
ボール抱持部としてのチップの材質としてはポリアセタール、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ステンレス、洋白、真鍮等が挙げられる。
【0028】
インキを直接充填するインキ収容管の材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、シリコン樹脂等が使用可能であるが、透湿性、透明性、コスト等を考えるとポリプロピレン製が好ましい。
【0029】
【作用】
インキ中に一種の気体又は空気と異なる組成の気体の混合物を溶存させるとインキ中にもともと溶存していた空気が置換され新たに溶存させた気体と同時に溶解していることになる。また、インキを空気と異なる加圧された気体中に放置するとインキ中に空気と異なる気体が溶解するので、これらのインキ中の溶存空気の置換、又はインキへの空気と異なる気体の溶解を行うとインキ中に溶存している各気体の分圧は空気における分圧と異なることになる。
【0030】
インキ中に溶存している各気体には空気との間で分圧が同じになるように力が働く。つまり平衡状態になろうとして、空気中の分圧よりも圧力の高い溶存気体はその分圧が空気中の分圧と平衡になるまで徐々にインキから放出される。加圧状態で溶解している気体は加圧を止め空気と導通させればインキの飽和溶解量以上の気体は空気中に放出しながら空気中の分圧と平衡状態になろうとする。
【0031】
ここで、インキ中に気泡が形成し経時的に成長しようとしたとき、インキ中の気体成分は多少なりとも放出されているので形成された気泡内の気体とインキ中の溶存気体との平衡は崩れていることになる。そのため、気泡内の気体成分はインキ中に溶解して気泡は減縮する。これが連続的に平衡状態になるまで行われるので、気泡は消滅するか気泡成長に必要な溶存空気の補給が出来ないので成長しないものと推察される。
これは、溶存ではなく、インキ中に混在する気体においても気泡と同じ原理で徐々に消滅するので同様の効果が得られるものと推察される。
【0032】
酸素又は窒素のいずれか一方の溶存重量を飽和溶存酸素重量又は飽和溶存窒素重量の50重量%以下とすると気泡発生が防止できるのは、大気とインキ中の気体の分圧が平衡状態になったとしてもインキ中の溶存気体重量は初期の飽和溶存気体重量の50重量%以下なので、インキの温度が水性ボールペンとして通常保管又は使用される温度範囲において上昇しても溶存可能な空気量に余裕があり、空気が溶存出来なくなって気泡を発生することが無いためと推察される。
また、本方法では気体を溶解させるだけなので、インキ及び使用しているチップ、ボールの金属と反応しなく、経時的にインキを凝集、変色させたり、金属部品を腐食させたりする不具合を発生させないものと思われる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を示す。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を示す。
標準気体混合物の飽和溶解重量の測定は、容量140mlのガラス瓶にインキを50g入れ、これに窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を細かい泡になるよう30分間通した後5分放置して溶存酸素重量又は溶存窒素重量を測定した。これを2回繰り返して溶存酸素重量又は溶存窒素重量がほぼ一定の値であることを確認してこの時の溶存酸素重量又は溶存窒素重量のとき溶存標準気体混合物は飽和状態であると仮定した。
【0034】
なお、還元性物質を含有するインキにおける飽和溶存酸素重量は還元性物質を除いた組成のインキで測定した値を代用する。
これは、還元性物を使用していても、還元性物質の還元作用は経時的に消滅するものであるので、継続的な効果を得ることはできず、結局は大気との平衡に達して気泡が発生することとなるので、還元作用が消滅した状態を考慮して、インキ中の溶存酸素重量が還元性物質を除いたインキの飽和溶存酸素重量の50重量%以下であれば経時的な気泡発生が防止できると考えて差し支えないので、飽和溶存酸素重量を測定する場合、還元性物質による溶存酸素消費の無い状態、即ち還元性物質を除いたインキに対して標準気体混合物を飽和させた時の溶存酸素重量を飽和溶存酸素重量として差し支えないと考えられる。
実施例における溶存酸素量測定は(株)堀場製作所製の溶存酸素計OM−10を用いて25℃にて行った。
【0035】
実施例1
インキ例1
ウォーターブラック#108−L(C.I.DIRECT BLACK19の1
4%水溶液、オリエント化学工業(株)製) 40.0部
エチレングリコール 10.0部
イオン交換水 39.0部
ベンゾトリアゾール 0.5部
ジチオジエタノール 9.0部
サルコシネートOH(N−オレオイルサルコシン、界面活性剤、日光ケミカルズ(株)製) 0.5部
ケルザンAR(キサンタンガム、増粘剤、三晶(株)製) 0.2部
水酸化ナトリウム 0.5部
プロクセルGXL(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、防腐剤、ICI(株)製) 0.3部
上記成分中、ケルザンARと水とをラボミキサーにて30分間攪拌して均一に溶解しケルザン水溶液を調整した。これに残りの各成分を加えて、更に2時間混合攪拌して剪断速度10sec−1の時の粘度56mPa・sの黒色インキを得た。
【0036】
気体溶解工程例1
上記インキ例1を500ミリリットルにセラミックストーン半丸−25φ(セラミック製多孔質体、気孔径60μm、古橋機器(株)製)を取り付けたチューブを入れ、もう一端をレギュレーターを取り付けた窒素ボンベを繋ぎ、0.3リットル/minで窒素を1時間流して溶解させたときの溶存酸素量は1.3mg/リットルであった。このものの飽和溶存酸素重量測定例1の溶存酸素重量に対する酸素の比率は17.1重量%であった。
【0037】
飽和溶存酸素重量測定例1
上記インキ例1のインキ500ミリリットルに気体溶解例1に準じて窒素ボンベの代わりにエアーポンプノンノイズ100(日本動物薬品(株)製)を繋ぎ窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を0.3リットル/minで1時間流して飽和させたときの溶存酸素重量は7.6mg/リットルであった。
【0038】
実施例2
インキ例2
ウォーターピンク#2(C.I.ACID RED92、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
ウォーターイエロー#6C(C.I.ACID YELLOW23、オリエント化学工業(株)製) 1.0部
ケルザンAR 0.5部
エチレングリコール 25.0部
グリセリン 10.0部
サルコシネートOH(N−オレオイルサルコシン、界面活性剤、日光ケミカルズ(株)製) 1.0部
ベンゾトリアゾール 0.5部
L−アスコルビン酸ナトリウム 0.1部
プロクセルGXL 0.3部
水酸化ナトリウム 0.1部
イオン交換水 56.5部
上記成分中、ケルザンARと水とをラボミキサーにて30分間攪拌して均一に溶解してケルザンAR水溶液を調整し、これに残りの各成分を加えて、更に2時間混合攪拌して剪断速度10sec−1の時の粘度653mPa・sの赤色インキを得た。
【0039】
気体溶解例2
気体溶解例1と同様に為し、このインキ例2を500ミリリットルにヘリウムガスを1時間流して溶解させたときの溶存酸素重量は0.2mg/リットルであった。このものの飽和溶存酸素重量測定例2の溶存酸素重量に対する酸素の比率は2.9重量%であった。
【0040】
飽和溶存酸素重量測定例2
インキ例2からL−アスコルビン酸を抜いてその分イオン交換水を加えた以外は同様に為してインキを作製し、これに飽和溶存酸素重量測定例1と同様に為して窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を飽和させたときの溶存酸素重量は6.8mg/リットルであった。
【0041】
実施例3
インキ素材例3
Fuji SP Blue 6401(顔料分19%、顔料水分散体、富士色素(株)製) 26.0部
ペミュレンTR−1(ポリアクリル酸アルキルエステル、剪断減粘性樹脂、日光ケミカルズ(株)製) 0.5部
エチレングリコール 10.0部
グリセリン 10.0部
イオン交換水 46.3部
ベンゾトリアゾール 0.5部
プロクセル GXL 0.3部
チオジグリコール酸モノエタノールアミン 6.0部
アミノメチルプロパンジオール 0.4部
上記成分中、ペミュレンTR−1と水とをラボミキサーにて30分間攪拌して均一に溶解したペミュレンTR−1水溶液を調整し、これに残りの各成分を加えて、更に2時間混合攪拌して剪断速度10sec−1の時の粘度1470mPa・sの青色インキを得た。
【0042】
気体溶解例3
インキ例3のインキ500ミリリットルを容器ごと活栓付デシケーターに入れアスピレータで20mmHgで30分減圧した後活栓を閉じ、そのまま24時間放置した。次いで、ヘリウムと窒素を重量比で1:1に混合した気体を充填して膨らましたゴム風船を活栓に取付け栓を開けて更に24hr放置して溶解させたとき溶存酸素重量は1.8mg/リットルであった。このものの飽和溶存酸素重量測定例3の溶存酸素重量に対する酸素の比率は24.7重量%であった。
【0043】
飽和溶存酸素重量測定例3
インキ例3のインキに実施例1と同様に為してインキに窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を飽和させたときの溶存酸素重量は7.3mg/リットルであった。
【0044】
実施例4
上記成分のうち、ケルザンARおよびイオン交換水20部混合し、1時間攪拌してケルザンAR水溶液を調整した。次いで残りの成分を混合し、1時間攪拌して均一に溶解した後ケルザンAR水溶液を加えて更に2時間攪拌して青色のインキを得た。
このインキは10sec−1の時の粘度が627mPa・sであった。
【0045】
気体溶解例4
ステンレス製の加圧可能な容器(容量5リットル、井内盛栄堂製)にアルゴンガスボンベを繋ぎ、この容器に5分間ガスを流して容器内の空気をアルゴンガスで置換した。この容器にインキ例4のインキを3リットル入れアルゴンガスを流して0.4MPaの圧力を24時間掛け続けた。その後アルゴンガスを流すのを止め容器の圧力を開放して24時間放置したとき溶存酸素重量は1.6mg/リットルであった。このものの飽和溶存酸素重量測定例4の溶存酸素重量に対する酸素の比率は24.6重量%であった。
【0046】
飽和溶存酸素重量測定例4
インキ例4のインキに実施例1と同様に為し窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を飽和させたときの溶存酸素重量は6.5mg/リットルであった。
【0047】
比較例1
実施例1のインキ例1を比較例1とする。このものの溶存酸素重量は7.3mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例1の溶存酸素重量に対する酸素の比率は96.1重量%であった。
【0048】
比較例2
実施例2のインキ例2のインキを比較例2とする。このものの溶存酸素重量は0.6mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例2の溶存酸素重量に対する酸素の比率は8.8重量%であった。
【0049】
比較例3
インキ例5
インキ例3のインキのイオン交換水0.3部を没食子酸ナトリウムに変えた以外はインキ例3と同様に為し青色のインキを得た。このものの溶存酸素重量は0.3mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例3に対する溶存酸素重量の比率は4.1重量%であった。
【0050】
比較例4
実施例4のインキ例4のインキを比較例4とする。このものの溶存酸素重量は1.6mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例4の溶存酸素重量に対する酸素の比率は24.6重量%であった。
【0051】
比較例5
インキ例5
インキ例1のイオン交換水0.7部をアスコルビン酸ナトリウムに代えた以外は同様に為し黒色のインキを得た。このものは剪断速度10sec−1の時の粘度54mPa・sの黒色インキを得た。このものの溶存酸素重量は0.2mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例1の溶存酸素重量に対する酸素の比率は2.6重量%であった。
【0052】
【発明の効果】
以上、実施例1〜4及び比較例1〜5の各インキをタングステンカーバイドを主成分とするボールを抱持したステンレスのチップを一方の端に取り付けたインキ収容管に充填しチップと反対側のインキの界面にインキの消費に伴ってインキ収容管内を移動するα−オレフィンオリゴマーをゲル化剤でゲル化した逆流防止剤を充填した後、遠心処理または減圧下での遠心処理を施して試験サンプルとして試験を行った。結果を表1に示す。
【0053】
経時カスレ試験:試験サンプル20本をペン先を上向きにして50℃に1ヶ月経時した後、筆記用紙A JIS P3201に手書き筆記してカスレ発生した本数を確認した。
【0054】
経時腐食試験:試験サンプルをペン先を下向きにして50℃に3ヶ月経時した後、ボールを取り出し表面の観察を顕微鏡で行い腐食の有無を目視で観察した。
【0055】
経時インキ変色・凝集試験:試験サンプルをペン先を下向きにして50℃に1ヶ月経時した後、インキを取り出し上質紙にヘラ引きして変色の有無を確認した。また、このインキをアドバンテック製の0.3μmの孔径のメンブランフィルターに点滴して凝集物の有無を目視観察した。
【0056】
【表1】
【0057】
本発明の水性ボールペンは経時での気泡発生が無く、筆記カスレ等のない良好な水性ボールペンである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキタンクに直接インキを収容するか又は繊維収束体にインキを含浸させて収容するインキタンクのインキをボールペンチップや棒状の繊維収束体ペン先、連通孔をインキ通路とする合成樹脂製ペン先、インキジェットプリンタのインキ吐出ヘッドなどに供給してインキを吐出させる、筆記具やインキジェットプリンタに使用するインキの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インキ収容管に直接インキを充填する方式の水性ボールペンは、インキ中に溶存する空気が成長して経時で気泡を発生することがあり、この気泡が成長してインキ流路を塞ぎ筆記時のカスレやインキの吐出不良を引き起こす場合があった。このため、水性ボールペンの製造方法、特にインキ収容管及び/又はボール把持部としてのボールペンチップ内での経時的な気泡の発生を防止するための製造方法として、インキ中の溶存空気を除去することで経時的に気泡に成長する核を無くす方法が知られている。このインキ中の溶存空気を除去する方法として例えば、インキ中に酸素と結合する還元性を有する物質、例えばアスコルビン酸を添加したもの(特許文献1参照)、コウジ酸を添加したもの(特許文献2参照)、ポリフェノールを添加したもの(特許文献3参照)、亜硫酸ナトリウムを添加したもの(特許文献4参照)等のインキを充填して溶存酸素を除去することにより結果的に溶存空気全体を除去する化学的方法や、インキをインキ収容管に収容させる前に減圧下に放置してインキ中の溶存気体量を一定値以下にしたインキを充填する方法(特許文献5参照)、インキを充填した水性ボールペンを減圧下にて遠心することでインキ中に混在している微小の気泡を効率的に除去する(特許文献6参照)といった物理的方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−71676公報(第2頁2行〜13行)
【特許文献2】
特開2002−97399公報(第2頁2行〜5行)
【特許文献3】
特開2001−81389公報(第2頁2行〜4行)
【特許文献4】
特開2002−80770公報(第2頁2行〜6行)
【特許文献5】
特開平8−183923号公報(第2頁2行〜25行)
【特許文献6】
特開平11−180088号公報(第2頁2行〜4行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、物理的にインキ中の溶存空気を除去する方法では、インキ充填時に混入した空気から発生した気泡はペンを遠心することにより除去できるが、インキ充填時に混入して溶解した空気や筆記時にペン先から巻き込んで混入した空気から発生した気泡やその時溶解した空気は除去できない欠点がある。そこでこれらの空気を除去しようと還元性を有する物質をインキ中に添加した場合、インキ中の成分と反応して変色や凝集等の不具合を発生する恐れもあったり、超硬やステンレス製のボールを使用したり、ボール抱持部としてのチップに洋白、ステンレス、真鍮等の腐食する可能性のある材質を使用した場合、還元性を有する物質とインキ中の酸素が反応して出来るパーオキシドラジカルが金属と反応して腐食を発生する不具合が生じる。
本発明は、経時的な気泡発生が無く、ボールペンなどの金属部品を腐食させず、経時的なカスレや筆記不能、更には書き味の低下といった不具合の発生を防止し、また、インキ中の成分と反応して変色や凝集等の不具合を起こし難いインキを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一種の気体又は大気と異なる組成の気体の混合物をインキ中に溶解させるインキの製造方法を要旨とするものである。
【0006】
以下、詳細に説明する。
本発明において、インキ中に溶解させる一種の気体又は大気と異なる組成の気体の混合物は、インキ中の溶存気体と大気との間の平衡状態を崩して、インキ中に溶存している気体を空気中に放出させるために用いるものである。大気は製造したインキ及びそのインキを収容した筆記具やインキカートリッジなどの置かれる環境の雰囲気であり、温度25℃において、おおよそ窒素と酸素とその他の微量気体総量との重量比率が、窒素が72〜78重量%、酸素が21〜27重量%、その他の微量気体総量が0〜2重量%のものとする。このような大気との平衡状態とは、インキ中に溶存している気体の各成分の分圧がインキの外の気体の各成分の分圧と異なる常態からほぼ同程度になることを指す。
インキに溶存する気体が大気と平衡状態になったとき、インキ中の溶存する気体の混合物の量は、窒素75.0重量%、酸素24.0重量%、アルゴン1.0重量%の組成からなる標準気体混合物をインキに飽和に溶存させたときの量の50重量%以下にするのが好ましいが、少なくとも、この標準気体混合物がそのインキに飽和に溶解しているときのその標準気体混合物中の窒素及び/又は酸素の重量に対して、実際に平衡となっている溶存気体中の窒素及び/又は酸素の溶存重量が50重量%とすればよい。経験的に溶存空気がインキ中の飽和溶存空気量の2分の1を超えると、経時的に気泡が発生しやすいことが判っている。
【0007】
インキ中に一種の気体又は大気と異なる組成の気体の混合物を溶解させるには、当該気体又は気体の混合物をインキ中に通して溶存している気体と置換するのが最も効果的であるがこれに限るものではない。一例を挙げると、多孔質の先端(いわゆるエアーストーン)を有するパイプ又はホースをガスボンベ又はエアーポンプに繋ぎ、この多孔質の先端をインキ中に投入して当該気体又は気体の混合物を小気泡にしてインキ中を通す方法。一部開放された容器にインキを入れ、これを当該気体又は気体の混合物の雰囲気中に置く方法。減圧状態に放置してインキ中の空気を減少させた後当該気体又は気体の混合物の雰囲気中に放置するか気体を上記方法で通す方法。さらにはインキを一種の気体又は空気と異なる組成の気体で加圧する方法等がある。
使用し得る気体の一例を挙げると、窒素、水素、二酸化炭素やヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス類等の1種もしくは2種以上の混合物があるが、これらに限られるものではない。
【0008】
次に、本発明に使用するインキの組成について説明する。
インキの主な媒体としては水及び/又は有機溶剤が使用可能であり、水を含有するものであれば水性インキ、水を含有せずに有機溶剤のみで構成されるものを油性インキとする。
【0009】
水性インキの場合には、水のほかに媒体として各種の水溶性有機溶剤が使用可能であり、インキの乾燥防止、低温時での凍結防止などに有効である。具体的には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブチルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2−エチル1,3−ヘキサングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のエーテル、N−メチルピロリドン、2−フェノキシエタノールなどが使用出来る。
これら水と共に使用される有機溶剤は、1種又は2種以上選択して併用できるものであり、その使用量はインキ全量に対して2〜50重量%が好ましい。2重量%未満では塗布部の乾燥防止効果が弱く使用不能になる恐れがある。50重量%を超えて添加してもその効果の向上は見られず添加することの意味が見い出せない。また、水性インキである場合に、水の使用量は、インキの全重量に対して30重量%以上が好ましい。30重量%以下の場合は相対的に水溶性有機溶剤の添加量が増加し、筆跡の乾燥性が悪くなる。
【0010】
着色剤は、従来のインキに用いられる染料及び顔料が使用可能であり、染料では酸性染料、直接染料、塩基性染料等のいずれも用いることができる。その一例を挙げれば、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラックL−200(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー#3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、カヤラススプラブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(同199)等の直接染料や、アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、スミノールファストブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187−L(同154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ダイワタートラジン(同23)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエローO(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターエロー#6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アイゼンエオシンGH(同87)、ウォーターピンク#2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノオールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(同17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー#9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、スプラノールブルーB(同15)、オリエントソルブルブルーOBC(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォーターブルー#115(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールブルー2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(同9)、ダイワグリーン#70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)等の酸性染料、アイゼンカチロンイエロー3GLH(C.I.ベーシックイエロー11)、アイゼンカチロンブリリアントイエロー5GLH(同13)、スミアクリルイエローE−3RD(同15)、マキシロンイエロー2RL(同19)、アストラゾンイエロー7GLL(同21)、カヤクリルゴールデンイエローGL−ED(同28)、アストラゾンイエロー5GL(同51)、アイゼンカチロンオレンジGLH(C.I.ベーシックオレンジ21)、アイゼンカチロンブラウン3GLH(同30)、ローダミン6GCP(C.I.ベーシックレッド1)、アイゼンアストラフロキシン(同12)、スミアクリルブリリアントレッドE−2B(同15)、アストラゾンレッドGTL(同18)、アイゼンカチロンブリリアントピンクBGH(同27)、マキシロンレッドGRL(同46)、アイゼンメチルバイオレット(C.I.ベーシックバイオレット1)、アイゼンクリスタルバイオレット(同3)、アイゼンローダミンB(同10)、アストラゾンブルーG(C.I.ベーシックブルー1)、アストラゾンブルーBG(同3)、メチレンブルー(同9)、マキシロンブルーGRL(同41)、アイゼンカチロンブルーBRLH(同54)、アイゼンダイヤモンドグリーンGH(C.I.ベーシックグリーン1)、アイゼンマラカイトグリーン(同4)、ビスマルクブラウンG(C.I.ベーシックブラウン1)等の塩基性染料が挙げられる。
【0011】
顔料ではアゾ系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、建て染め染料系顔料、媒染染料系顔料、及び天然染料系顔料等の有機系顔料、黄土、バリウム黄、紺青、カドミウムレッド、硫酸バリウム、酸化チタン、弁柄、鉄黒、カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用することが出来る。具体例を挙げるとアニリンブラック(C.I.50440)、シアニンブラック、ナフトールエローS(C.I.10316)、ハンザエロー10G(C.I.11710)、ハンザエロー5G(C.I.11660),ハンザエロー3G(C.I.11670)、ハンザエローG(C.I.11680),ハンザエローGR(C.I.11730)、ハンザエローA(C.I.11735)、ハンザエローRN(C.I.11740)、ハンザエローR(C.I.12710)、ピグメントエローL(C.I.12720)、ベンジジンエロー(C.I.21090)、ベンジジンエローG(C.I.21095)、ベンジジンエローGR(C.I.21100)、パーマネントエローNCG(C.I.20040)、バルカンファストエロー5G(C.I.21220)、バルカンファストエローR(C.I.21135)、タートラジンレーキ(C.I.19140)、キノリンエローレーキ(C.I.47005)、アンスラゲンエロー6GL(C.I.60520)、パーマネントエローFGL、パーマネントエローH10G、パーマネントエローHR、アンスラピリミジンエロー(C.I.68420)、スダーンI(C.I.12055)、パーマネントオレンジ(C.I.12075)、リソールファストオレンジ(C.I.12125)、パーマネントオレンジGTR(C.I.12305)、ハンザエロー3R(C.I.11725)、バルカンファストオレンジGG(C.I.21165)、ベンジジンオレンジG(C.I.21110)、ペルシアンオレンジ(C.I.15510)、インダンスレンブリリアントオレンジGK(C.I.59305)、インダンスレンブリリアントオレンジRK(C.I.59105)、インダンスレンブリリアントオレンジGR(C.I.71105)、パーマネントブラウンFG(C.I.12480)、パラブラウン(C.I.12071)、パーマネントレッド4R(C.I.12120)、パラレッド(C.I.12070)、ファイヤーレッド(C.I.12085)、パラクロルオルトアニリンレッド(C.I.12090)、リソールファストスカーレット、ブリリアントファストスカーレット(C.I.12315)、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッドF2R(C.I.12310)、パーマネントレッドF4R(C.I.12335)、パーマネントレッドFRL(C.I.12440)、パーマネントレッドFRLL(C.I.12460),パーマネントレッドF4RH(C.I.12420)、ファストスカーレットVD、バルカンファストルビンB(C.I.12320)、バルカンファストピンクG(C.I.12330),ライトファストレッドトーナーB(C.I.12450)、ライトファストレッドトーナーR(C.I.12455)、パーマネントカーミンFB(C.I.12490)、ピラゾロンレッド(C.I.12120)、リソールレッド(C.I.15630)、レーキレッドC(C.I.15585)、レーキレッドD(C.I.15500)、アンソシンB(C.I.18030)、ブリリアントスカーレットG(C.I.15800)、リソールルビンGK(C.I.15825)、パーマネントレッドF5R(C.I.15865)、ブリリアントカーミン6B(C.I.15850)、ピグメントスカーレット3B(C.I.16105)、ボルドー5B(C.I.12170)、トルイジンマルーン(C.I.12350)、パーマネントボルドーF2R(C.I.12385)、ヘリオボルドーBL(C.I.14830)、ボルドー10B(C.I.15880)、ボンマルーンライト(C.I.15825)、ボンマルーンメジウム(C.I.15880)、エオシンレーキ(C.I.45380)、ローダミンレーキB(C.I.45170)、ローダミンレーキY(C.I.45160)、アリザリンレーキ(C.I.58000)、チオインジゴレッドB(C.I.73300)、チオインジゴマルーン(C.I.73385)、パーマネントレッドFGR(C.I.12370)、PVカーミンHR、ワッチングレッド,モノライトファストレッドYS(C.I.59300)、パーマネントレッドBL、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ(C.I.42535)、ジオキサジンバイオレット、アルカリブルーレーキ(C.I.42750A、C.I.42770A)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42090)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42025)、ビクトリアブルーレーキ(C.I.44045)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ファストスカイブルー(C.I.74180)、インダンスレンブルーRS(C.I.69800)、インダンスレンブルーBC(C.I.69825)、インジゴ(C.I.73000)、ピグメントグリーンB(C.I.10006)、ナフトールグリーンB(C.I.10020)、グリーンゴールド(C.I.12775)、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ(C.I.42000)、フタロシアニングリーン等が挙げられる。
これらの着色剤の使用量は、インキ全量に対して0.5〜30重量%が好ましい。0.5重量%未満では、薄くて筆跡としての性能を果たさず、30重量%を超えるとチップ内でのドライアップが増長し書き出し性能が悪くなる傾向が有る。
【0012】
着色剤に顔料を用いた場合は顔料を安定に分散させるために分散剤を使用することは差し支えない。分散剤として従来一般に用いられている水溶性樹脂もしくは水可溶性樹脂や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤などの顔料の分散剤として用いられるものが使用できる。一例として、高分子分散剤として、リグニンスルホン酸塩、セラックなどの天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩、などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの非イオン性高分子などが挙げられる。また、界面活性剤として、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0013】
これら水可溶性樹脂及び界面活性剤は、その1種または2種以上を選択し、併用しても使用できる。その使用量は、顔料10重量部に対し0.05〜20重量部が好ましい。0.05重量部より少ない場合は添加する目的である分散効果が弱く、20重量部より多くしてもそれ以上の分散効果が望めず不経済である。
顔料の場合は、更に、水性媒体に分散した水性インキベースを用いることは、顔料インキ製造上有利なことである。具体的には、Fuji SP Black8031、同8119、同8167、同8276、同8381、同8406、Fuji SP Red 5096、同5111、同5193、同5220、Fuji SP Bordeaux 5500、Fuji SP Blue 6062、同6133、同6134、同6401、Fuji SP Green 7051、Fuji SP Yellow 4060、同4178、Fuji SP Violet 9011、Fuji SP Pink 9524、同9527、Fuji SP Orange 534、FUji SP Brown 3074、FUJI SP RED 5543、同5544(以上、富士色素(株)製)、Emacol Black CN、Emacol Blue FBB、同FB、同KR、Emacol Green LXB、Emacol Violet BL、Emacol Brown 3101、Emacol Carmmine FB、Emacol Red BS、Emacol Orange R、Emacol Yellow FD、同IRN、同3601、同FGN、同GN、同GG、同F5G、同F7G、同10GN、同10G、Sandye Super Black K、同C、Sandye Super Grey B、Sandye Super Brown SB、同FRL、同RR、SandyeSuper Green L5G、同GXB、Sandye Super Navy Blue HRL、同GLL、同HB、同FBL−H、同FBL−160、同FBB、Sandye Super Violet BL H/C、同BL、Sandye Super Bordeaux FR、Sandye Super Pink FBL、同F5B、Sandye Super Rubine FR、Sandye super Carmmine FB、SandyeSuper Red FFG、同RR、同BS、Sandye Super Orange FL、同R、同BO、Sandye Gold Yellow 5GR、同R、同3R、Sandye Ywllow GG、同F3R、同IRC、同FGN、同GN、同GRS、同GSR−130、同GSN−130、同GSN、同10GN(以上、山陽色素(株)製)、Rio Fast BlackFx 8012、同8313、同8169、Rio Fast Red Fx8209、同8172、Rio Fast Red S Fx 8315、同8316、Rio Fast Blue Fx 8170、Rio Fast Blue FX 8170、Rio Fast Blue S Fx 8312、Rio Fast Green S Fx 8314(以上、東洋インキ(株)製)、NKW−2101、同2102、同2103、同2104、同2105、同2106、同2107、同2108、同2117、同2127、同2137、同2167、同2101P、同2102P、同2103P、同2104P、同2105P、同2106P、同2107P、同2108P、同2117P、同2127P、同2137P、同2167P、NKW−3002、同3003、同3004、同3005、同3007、同3077、同3008、同3402、同3404、同3405、同3407、同3408、同3477、同3602、同3603、同3604、同3605、同3607、同3677、同3608、同3702、同3703、同3704、同3705、同3777、同3708、同6013、同6038、同6559(以上、日本蛍光(株)製)、コスモカラーS1000Fシリーズ(東洋ソーダ(株)製)、ビクトリアエロー G−11、同G−20、ビクトリアオレンジ G−16、同G−21、ビクトリアレッド G−19、同G−22、ビクトリアピンク G−17、同G−23、ビクトリアグリーン G−18、同G−24、ビクトリアブルー G−15、同G−25(以上、御国色素(株)製)、ポルックスPC5T1020、ポルックスブラックPC8T135、ポルックスレッドIT1030等のポルックスシリーズ(以上、住化カラー(株)製)などが挙げられるものであり、これらは1種又は2種以上選択して併用できるものである。
【0014】
水性インキに使用する剪断減粘性物質としては、HPC−SL、同L、同M、同H(以上、日本曹達(株)製)、アビセルPH−101、同102、同301、同M06、TG−101(以上、旭化成(株)製)等のセルロース類、ケルザン、ケルザンS、ケルザンF、ケルザンAR、ケルザンM、ケルザンD(以上、三晶(株)製)、コージン、コージンF、コージンT、コージンK(以上、(株)興人製)等のキサンタンガム、レオザン(三唱(株)製)等のサクシノグルカン、K1A96(三唱(株)製)等のウエランガム、K1A112、K7C2433(以上、三唱(株)製)等のラムザンガム、ジャガー8111、同8600、同HP−8、同HP−60、CP−13(以上、三唱(株)製)等のグァーガム類、プルラン((株)林原商事製)等の水溶性多糖類、レオジック250H(日本純薬(株)製)、ジュンロンPW111(日本純薬(株)製)、Uジェリ・CP(昭和電工(株)製)等の架橋型アクリル酸樹脂、カーボポール934、同940、同941、同980、同981、同1342、同1382、同2984、同5984、同ETD2020、同ETD2050、EZ−1、ペミュレンTR−1、同RT−2(BFGoodrich社製)等のアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、GX−205、NA−010(昭和電工(株)製)等のN−ビニルアセトアミド重合架橋物等の水溶性合成高分子、スメクトンSA(スメクタイト、クニミネ工業(株)製)、クニピア−F、クニピア−G(モンモリロナイト、クニミネ工業(株)製)、ベンゲルHV、同FW、同15、同23(ベントナイト、(株)豊順洋行製)、ベンゲルW−100、同W−100U、同W−200U、同W−300U、同W−300HP(アニオン系ポリマー複合精製ベントナイト、(株)豊順洋行製)、エスベン、同C、同W、同N400(4級アンモニウムカチオン変性モンモリロナイト、(株)豊順洋行製)等の無機粘土鉱物が挙げられる。
これらの内、キサンタンガムが、大きな剪断減粘性を持ち、温度変化に対する安定性、pHに対する安定性、塩に対する安定性の点から特に好ましい。上記は複数種を混合して使用することもできるが、その使用量は必要とする粘度が得られる量を添加すれば良い。
なお、収容管に直接インキを充填して使用する場合にはインキ粘度は剪断速度が10/secの時に20〜50000mPa・sの範囲に入るように調整して使用するのが好ましい。
【0015】
還元性物質をインキに添加すると、インキ充填時や経時的に空気からインキ中に混入する空気中の酸素を除去し、インキに溶存している気体と空気との平衡状態を崩し、溶存している気体を効率よく空気中に放出させる効果がある。ただし、還元性を有する化合物を添加するときは溶解させる気体は酸化性を持たないものにするのが好ましい。
還元性を有する化合物の一例を挙げると、アスコルビン酸、エリソルビン酸、コウジ酸及びこれらの塩やその誘導体、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、アミノフェノール、ハイドロキノン、ハイドロキノンスルホン酸及びその塩、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシノール、没食子酸及びその塩、カテキン、タンニン酸及びその塩、トリヒドロキシベンゼン等のポリフェノール類、tert−ブチルフェノール、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、アセトアニリド、アセトアセトアニリド等のケト−エノール異性体、ヒドロキシルアミン、オキシキノリンスルホン酸、ホルムアミジンスルフィン酸、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等が挙げられるが、これらに限られるわけではなく、還元能を有する物質で有れば大抵のものが使用可能である。
これらのものの使用量は添加する物質の還元性能によるが、インキ全体に対して5.0重量%未満が好ましい。
添加量が5.0重量%を超えると前述した金属の腐食やインキ中の成分との反応が起きる可能性が高くなる。
【0016】
その他、上記各成分以外、従来、筆記具用のインキに用いられる種々の添加剤を適宜必要に応じて使用することもできる。
例えば、インキの蒸発防止のためにソルビット、キシリット等の糖アルコールや、尿素、エチレン尿素及びこれらの誘導体を用いたり、筆記感を向上させるためにポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールポリオキシプロピレングリコール、オレイン酸やアシルアミノ酸、タウリン、メチルタウリン等のアルカリ金属塩やアミン塩や、水溶性潤滑油、硫化モリブデン等の潤滑剤を用いたりすることができる。
【0017】
さらに、アニオン系、ノニオン系、カチオン系の各種界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の表面張力調整剤、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾイソチアザリン−3−オンなどの防腐防黴剤、ベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などの防錆剤、pH調整剤として水酸化ナトリウム、アルカノールアミン、アミン、アンモニウム等のアルカリ化剤なども用いることもできる。
【0018】
インキの着色材を紙面に定着させるために結合材として各種樹脂を併用することもできる。一例を挙げるとセラック、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、同アミン塩、同アンモニウム塩、α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、同アミン塩、同アンモニウム塩、といった水溶性樹脂を用いることができる。また、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合物などの水不溶性樹脂などを用いることもできる。尚、水性インキに水不溶性樹脂は、水性エマルジョン形態で使用する。
【0019】
油性インキの場合には、媒体としての有機溶剤と、着色剤、場合によっては定着用の樹脂等が使用される。
使用可能な有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類。エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類のモノ及び/又はジアルキルエーテル類及び/又はそれらのアセテート類、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類等が使用可能であるがこれらに限られるものではない。
【0020】
着色剤としては、各種の油性染料や顔料が使用可能である。一例を挙げると染料としては、通常の染料インキ組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料等や通常の顔料インキ組成物に用いられる無機および有機顔料の中から任意のものを使用することができる。その配合量は、組成物全量当たり1〜50重量%の範囲で選ばれる。
【0021】
顔料を用いる場合、用いる有機溶剤に溶解し難く分散後の平均粒径が30nm〜700nmとなるものが好ましい。顔料の配合量は、インキ組成物全量に対し、0.5〜25重量%、好ましくは0.5〜20%までの範囲で必要に応じて配合することができる。使用できる顔料は、単独又は2種以上の混合で使用することができる。また、必要に応じて無機顔料を用いた分散体や染料等も分散安定性に悪影響を与えない程度で添加することができる。更に、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレフィン系モノマーを重合して得られる樹脂エマルションや、インキ中では膨潤して不定形となる中空樹脂エマルション、または、これらのエマルション自身を着色剤で染着して得られる染着樹脂粒子からなる有機多色顔料等が挙げられる。
【0022】
油性インキに使用する剪断減粘性物質としては、HPC−SL、同L、同M、同H(以上、日本曹達(株)製)、K1A96(三唱(株)製)等のウエランガム、K1A112、K7C2433(以上、三唱(株)製)等のラムザンガム、ジャガー8111、同8600、同HP−8、同HP−60、CP−13(以上、三唱(株)製)等のグァーガム類、プルラン((株)林原商事製)等の水溶性多糖類、レオジック250H(日本純薬(株)製)、ジュンロンPW111(日本純薬(株)製)、Uジェリ・CP(昭和電工(株)製)等の架橋型アクリル酸樹脂、カーボポール934、同940、同941、同980、同981、同1342、同1382、同2984、同5984、同ETD2020、同ETD2050、EZ−1、ペミュレンTR−1、同RT−2(BFGoodrich社製)等のアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、GX−205、NA−010(昭和電工(株)製)等のN−ビニルアセトアミド重合架橋物、ベントンSD−2、同27(NLケミカルズ(株)製、TIXOGEL VZ、同EZ(日産ガードラー触媒社製)、EX−0101(SUD化学製)等の有機ベントナイトが挙げられる。上記は単独或いは複数種を混合して使用することができるが、その使用量は必要とする粘度が得られる量を添加すれば良い。
【0023】
油性インキに使用される定着用の樹脂としては、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂がある。これらの樹脂の配合量としては、1〜30重量%がよく、より好ましくは1〜20%である。
【0024】
これらの成分以外に、各種の界面活性剤、防錆剤、潤滑剤、還元性物質等を適宜選択して使用出来る。
【0025】
なお、油性インキにおいても収容管に直接インキを充填して使用する場合にはインキ粘度は剪断速度が10/secの時に20〜50000mPa・sの範囲に入るように調整して使用するのが好ましい。
【0026】
ボールホルダーに抱持するボール材質として一例を挙げると、タングステンカーバイドを主成分とした超硬、ステンレス等が挙げられる。
【0027】
ボール抱持部としてのチップの材質としてはポリアセタール、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ステンレス、洋白、真鍮等が挙げられる。
【0028】
インキを直接充填するインキ収容管の材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、シリコン樹脂等が使用可能であるが、透湿性、透明性、コスト等を考えるとポリプロピレン製が好ましい。
【0029】
【作用】
インキ中に一種の気体又は空気と異なる組成の気体の混合物を溶存させるとインキ中にもともと溶存していた空気が置換され新たに溶存させた気体と同時に溶解していることになる。また、インキを空気と異なる加圧された気体中に放置するとインキ中に空気と異なる気体が溶解するので、これらのインキ中の溶存空気の置換、又はインキへの空気と異なる気体の溶解を行うとインキ中に溶存している各気体の分圧は空気における分圧と異なることになる。
【0030】
インキ中に溶存している各気体には空気との間で分圧が同じになるように力が働く。つまり平衡状態になろうとして、空気中の分圧よりも圧力の高い溶存気体はその分圧が空気中の分圧と平衡になるまで徐々にインキから放出される。加圧状態で溶解している気体は加圧を止め空気と導通させればインキの飽和溶解量以上の気体は空気中に放出しながら空気中の分圧と平衡状態になろうとする。
【0031】
ここで、インキ中に気泡が形成し経時的に成長しようとしたとき、インキ中の気体成分は多少なりとも放出されているので形成された気泡内の気体とインキ中の溶存気体との平衡は崩れていることになる。そのため、気泡内の気体成分はインキ中に溶解して気泡は減縮する。これが連続的に平衡状態になるまで行われるので、気泡は消滅するか気泡成長に必要な溶存空気の補給が出来ないので成長しないものと推察される。
これは、溶存ではなく、インキ中に混在する気体においても気泡と同じ原理で徐々に消滅するので同様の効果が得られるものと推察される。
【0032】
酸素又は窒素のいずれか一方の溶存重量を飽和溶存酸素重量又は飽和溶存窒素重量の50重量%以下とすると気泡発生が防止できるのは、大気とインキ中の気体の分圧が平衡状態になったとしてもインキ中の溶存気体重量は初期の飽和溶存気体重量の50重量%以下なので、インキの温度が水性ボールペンとして通常保管又は使用される温度範囲において上昇しても溶存可能な空気量に余裕があり、空気が溶存出来なくなって気泡を発生することが無いためと推察される。
また、本方法では気体を溶解させるだけなので、インキ及び使用しているチップ、ボールの金属と反応しなく、経時的にインキを凝集、変色させたり、金属部品を腐食させたりする不具合を発生させないものと思われる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を示す。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を示す。
標準気体混合物の飽和溶解重量の測定は、容量140mlのガラス瓶にインキを50g入れ、これに窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を細かい泡になるよう30分間通した後5分放置して溶存酸素重量又は溶存窒素重量を測定した。これを2回繰り返して溶存酸素重量又は溶存窒素重量がほぼ一定の値であることを確認してこの時の溶存酸素重量又は溶存窒素重量のとき溶存標準気体混合物は飽和状態であると仮定した。
【0034】
なお、還元性物質を含有するインキにおける飽和溶存酸素重量は還元性物質を除いた組成のインキで測定した値を代用する。
これは、還元性物を使用していても、還元性物質の還元作用は経時的に消滅するものであるので、継続的な効果を得ることはできず、結局は大気との平衡に達して気泡が発生することとなるので、還元作用が消滅した状態を考慮して、インキ中の溶存酸素重量が還元性物質を除いたインキの飽和溶存酸素重量の50重量%以下であれば経時的な気泡発生が防止できると考えて差し支えないので、飽和溶存酸素重量を測定する場合、還元性物質による溶存酸素消費の無い状態、即ち還元性物質を除いたインキに対して標準気体混合物を飽和させた時の溶存酸素重量を飽和溶存酸素重量として差し支えないと考えられる。
実施例における溶存酸素量測定は(株)堀場製作所製の溶存酸素計OM−10を用いて25℃にて行った。
【0035】
実施例1
インキ例1
ウォーターブラック#108−L(C.I.DIRECT BLACK19の1
4%水溶液、オリエント化学工業(株)製) 40.0部
エチレングリコール 10.0部
イオン交換水 39.0部
ベンゾトリアゾール 0.5部
ジチオジエタノール 9.0部
サルコシネートOH(N−オレオイルサルコシン、界面活性剤、日光ケミカルズ(株)製) 0.5部
ケルザンAR(キサンタンガム、増粘剤、三晶(株)製) 0.2部
水酸化ナトリウム 0.5部
プロクセルGXL(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、防腐剤、ICI(株)製) 0.3部
上記成分中、ケルザンARと水とをラボミキサーにて30分間攪拌して均一に溶解しケルザン水溶液を調整した。これに残りの各成分を加えて、更に2時間混合攪拌して剪断速度10sec−1の時の粘度56mPa・sの黒色インキを得た。
【0036】
気体溶解工程例1
上記インキ例1を500ミリリットルにセラミックストーン半丸−25φ(セラミック製多孔質体、気孔径60μm、古橋機器(株)製)を取り付けたチューブを入れ、もう一端をレギュレーターを取り付けた窒素ボンベを繋ぎ、0.3リットル/minで窒素を1時間流して溶解させたときの溶存酸素量は1.3mg/リットルであった。このものの飽和溶存酸素重量測定例1の溶存酸素重量に対する酸素の比率は17.1重量%であった。
【0037】
飽和溶存酸素重量測定例1
上記インキ例1のインキ500ミリリットルに気体溶解例1に準じて窒素ボンベの代わりにエアーポンプノンノイズ100(日本動物薬品(株)製)を繋ぎ窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を0.3リットル/minで1時間流して飽和させたときの溶存酸素重量は7.6mg/リットルであった。
【0038】
実施例2
インキ例2
ウォーターピンク#2(C.I.ACID RED92、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
ウォーターイエロー#6C(C.I.ACID YELLOW23、オリエント化学工業(株)製) 1.0部
ケルザンAR 0.5部
エチレングリコール 25.0部
グリセリン 10.0部
サルコシネートOH(N−オレオイルサルコシン、界面活性剤、日光ケミカルズ(株)製) 1.0部
ベンゾトリアゾール 0.5部
L−アスコルビン酸ナトリウム 0.1部
プロクセルGXL 0.3部
水酸化ナトリウム 0.1部
イオン交換水 56.5部
上記成分中、ケルザンARと水とをラボミキサーにて30分間攪拌して均一に溶解してケルザンAR水溶液を調整し、これに残りの各成分を加えて、更に2時間混合攪拌して剪断速度10sec−1の時の粘度653mPa・sの赤色インキを得た。
【0039】
気体溶解例2
気体溶解例1と同様に為し、このインキ例2を500ミリリットルにヘリウムガスを1時間流して溶解させたときの溶存酸素重量は0.2mg/リットルであった。このものの飽和溶存酸素重量測定例2の溶存酸素重量に対する酸素の比率は2.9重量%であった。
【0040】
飽和溶存酸素重量測定例2
インキ例2からL−アスコルビン酸を抜いてその分イオン交換水を加えた以外は同様に為してインキを作製し、これに飽和溶存酸素重量測定例1と同様に為して窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を飽和させたときの溶存酸素重量は6.8mg/リットルであった。
【0041】
実施例3
インキ素材例3
Fuji SP Blue 6401(顔料分19%、顔料水分散体、富士色素(株)製) 26.0部
ペミュレンTR−1(ポリアクリル酸アルキルエステル、剪断減粘性樹脂、日光ケミカルズ(株)製) 0.5部
エチレングリコール 10.0部
グリセリン 10.0部
イオン交換水 46.3部
ベンゾトリアゾール 0.5部
プロクセル GXL 0.3部
チオジグリコール酸モノエタノールアミン 6.0部
アミノメチルプロパンジオール 0.4部
上記成分中、ペミュレンTR−1と水とをラボミキサーにて30分間攪拌して均一に溶解したペミュレンTR−1水溶液を調整し、これに残りの各成分を加えて、更に2時間混合攪拌して剪断速度10sec−1の時の粘度1470mPa・sの青色インキを得た。
【0042】
気体溶解例3
インキ例3のインキ500ミリリットルを容器ごと活栓付デシケーターに入れアスピレータで20mmHgで30分減圧した後活栓を閉じ、そのまま24時間放置した。次いで、ヘリウムと窒素を重量比で1:1に混合した気体を充填して膨らましたゴム風船を活栓に取付け栓を開けて更に24hr放置して溶解させたとき溶存酸素重量は1.8mg/リットルであった。このものの飽和溶存酸素重量測定例3の溶存酸素重量に対する酸素の比率は24.7重量%であった。
【0043】
飽和溶存酸素重量測定例3
インキ例3のインキに実施例1と同様に為してインキに窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を飽和させたときの溶存酸素重量は7.3mg/リットルであった。
【0044】
実施例4
上記成分のうち、ケルザンARおよびイオン交換水20部混合し、1時間攪拌してケルザンAR水溶液を調整した。次いで残りの成分を混合し、1時間攪拌して均一に溶解した後ケルザンAR水溶液を加えて更に2時間攪拌して青色のインキを得た。
このインキは10sec−1の時の粘度が627mPa・sであった。
【0045】
気体溶解例4
ステンレス製の加圧可能な容器(容量5リットル、井内盛栄堂製)にアルゴンガスボンベを繋ぎ、この容器に5分間ガスを流して容器内の空気をアルゴンガスで置換した。この容器にインキ例4のインキを3リットル入れアルゴンガスを流して0.4MPaの圧力を24時間掛け続けた。その後アルゴンガスを流すのを止め容器の圧力を開放して24時間放置したとき溶存酸素重量は1.6mg/リットルであった。このものの飽和溶存酸素重量測定例4の溶存酸素重量に対する酸素の比率は24.6重量%であった。
【0046】
飽和溶存酸素重量測定例4
インキ例4のインキに実施例1と同様に為し窒素75重量%、酸素24重量%、アルゴン1重量%の組成からなる標準気体混合物を飽和させたときの溶存酸素重量は6.5mg/リットルであった。
【0047】
比較例1
実施例1のインキ例1を比較例1とする。このものの溶存酸素重量は7.3mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例1の溶存酸素重量に対する酸素の比率は96.1重量%であった。
【0048】
比較例2
実施例2のインキ例2のインキを比較例2とする。このものの溶存酸素重量は0.6mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例2の溶存酸素重量に対する酸素の比率は8.8重量%であった。
【0049】
比較例3
インキ例5
インキ例3のインキのイオン交換水0.3部を没食子酸ナトリウムに変えた以外はインキ例3と同様に為し青色のインキを得た。このものの溶存酸素重量は0.3mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例3に対する溶存酸素重量の比率は4.1重量%であった。
【0050】
比較例4
実施例4のインキ例4のインキを比較例4とする。このものの溶存酸素重量は1.6mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例4の溶存酸素重量に対する酸素の比率は24.6重量%であった。
【0051】
比較例5
インキ例5
インキ例1のイオン交換水0.7部をアスコルビン酸ナトリウムに代えた以外は同様に為し黒色のインキを得た。このものは剪断速度10sec−1の時の粘度54mPa・sの黒色インキを得た。このものの溶存酸素重量は0.2mg/リットルであり、飽和溶存酸素重量測定例1の溶存酸素重量に対する酸素の比率は2.6重量%であった。
【0052】
【発明の効果】
以上、実施例1〜4及び比較例1〜5の各インキをタングステンカーバイドを主成分とするボールを抱持したステンレスのチップを一方の端に取り付けたインキ収容管に充填しチップと反対側のインキの界面にインキの消費に伴ってインキ収容管内を移動するα−オレフィンオリゴマーをゲル化剤でゲル化した逆流防止剤を充填した後、遠心処理または減圧下での遠心処理を施して試験サンプルとして試験を行った。結果を表1に示す。
【0053】
経時カスレ試験:試験サンプル20本をペン先を上向きにして50℃に1ヶ月経時した後、筆記用紙A JIS P3201に手書き筆記してカスレ発生した本数を確認した。
【0054】
経時腐食試験:試験サンプルをペン先を下向きにして50℃に3ヶ月経時した後、ボールを取り出し表面の観察を顕微鏡で行い腐食の有無を目視で観察した。
【0055】
経時インキ変色・凝集試験:試験サンプルをペン先を下向きにして50℃に1ヶ月経時した後、インキを取り出し上質紙にヘラ引きして変色の有無を確認した。また、このインキをアドバンテック製の0.3μmの孔径のメンブランフィルターに点滴して凝集物の有無を目視観察した。
【0056】
【表1】
【0057】
本発明の水性ボールペンは経時での気泡発生が無く、筆記カスレ等のない良好な水性ボールペンである。
Claims (6)
- 一種の気体又は大気と異なる組成の気体の混合物をインキ中に溶解させるインキの製造方法。
- インキ中に前記一種の気体又は大気と異なる組成の気体の混合物を通過させる請求項1記載のインキの製造方法。
- インキに圧縮した前記一種の気体又は大気と異なる組成の気体の混合物を付与する請求項1記載のインキの製造方法。
- 窒素75.0重量%、酸素24.0重量%、アルゴン1.0重量%の組成からなる標準気体混合物をインキに飽和に溶存させたときの窒素の溶存重量又は酸素の溶存重量に対して、窒素又は酸素の少なくともいずれか一方の溶存重量を50重量%以下とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインキの製造方法。
- 前記インキが少なくとも着色剤と水とを含有する水性インキである請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインキの製造方法。
- 前記インキが更に増粘剤を含有する請求項5に記載のインキの製造方法。
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