JP2004347985A - ポジ型レジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子線、X線、あるいはEUV光を使用する半導体素子の微細加工における性能向上技術の課題を解決することであり、特にレジスト組成物を250nm以下の超薄膜で用いる場合における、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なPEB温度依存性を同時に満足するポジ型レジストパターン形成方法を提供する。
【解決手段】(A) フェノール性水酸基とともに、フェノール性水酸基がアセタール基又はケタール基で保護された基を有する、アルカリ現像液に不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる性質を有するフェノール性樹脂、(B)電子線、X線、又はEUV光の照射によりスルホン酸を発生する化合物及び(C)溶剤を含むポジ型レジスト組成物を、基板上に250nm以下の膜厚で塗布する工程(a)、電子線、X線、又はEUV光を用いてパターン露光する工程(b)、及び現像する工程(c)を有することを特徴とするポジ型レジストパターン形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】(A) フェノール性水酸基とともに、フェノール性水酸基がアセタール基又はケタール基で保護された基を有する、アルカリ現像液に不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる性質を有するフェノール性樹脂、(B)電子線、X線、又はEUV光の照射によりスルホン酸を発生する化合物及び(C)溶剤を含むポジ型レジスト組成物を、基板上に250nm以下の膜厚で塗布する工程(a)、電子線、X線、又はEUV光を用いてパターン露光する工程(b)、及び現像する工程(c)を有することを特徴とするポジ型レジストパターン形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトパブリケーションプロセスに好適に用いられるポジ型レジストパターン形成方法に関するものである。さらに詳しくは、電子線、X線、EUV光を使用して高精細化したポジ型レジストパターン形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、さらにKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られ、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。また最近では、超微細パターンの解像性向上やパターン倒れ防止の目的でレジスト塗膜を薄膜化して用いる方法が重点開発されつつある。
【0003】
ポジ型レジストを用いた電子線リソグラフィーは、次世代もしくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられ、150nm以下の超微細パターン形成に有望な技術であるが、高感度、高解像力化と並んで、薄膜時に顕著となるパターン断面形状の矩形性の悪化、さらには150nm以下の超微細パターン領域においては、パターン寸法の露光後ベーク温度依存性(以下、PEB温度依存性と略す)が大きな問題になって来ている。特にPEB温度依存性が大きいと、露光後加熱時の基板内の温度ばらつきに起因するパターン寸法の基板内における面内均一性の悪化やベーク装置間差による基板間のパタ−ン寸法の無視できない有意差が生じ、パターンの微細化が進むにつれて極めて大きな改良課題となっている。以上のように、レジストの薄膜化、パターン寸法の微細化が進むにつれて、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なPEB温度依存性を如何にして同時に満足させるかが非常に重要である。
【0004】
さらにX線やEUV光を用いるリソグラフィーにおいても同様の課題があり、これらの解決が必要である。
かかる電子線、X線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィープロセスに適したパターン形成方法としては高感度化の観点から主に酸触媒反応を利用した化学増幅型レジストが用いられており、ポジ型レジストにおいては主成分として、アルカリ水溶液には不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる性質を有するフェノール性樹脂(以下、フェノール性酸分解性樹脂と略す)、及び酸発生剤からなる化学増幅型レジスト組成物が有効に使用されている。
【0005】
これらの電子線、X線、あるいはEUV用のポジ型レジスト組成物を250nm以下の薄膜に適用した例としては、特許文献1(米国特許2003/0017425号)を挙げることができ、3級エステル基で保護されたアクリレート構造を有するフェノール性酸分解性樹脂を用いたパターン形成方法が開示されている。しかしながら、超微細領域での、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なPEB温度依存性は同時に満足できていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
米国特許2003/0017425号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子線、X線、あるいはEUV光を使用する半導体素子の微細加工における性能向上技術の課題を解決することであり、特にレジスト組成物を250nm以下の超薄膜で用いる場合における、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なPEB温度依存性を同時に満足するポジ型レジストパターン形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、驚くべきことに本発明の課題は、アセタール基又はケタールで保護されたフェノール性樹脂を用いたポジ型パターン形成方法によって達成される。
即ち、本発明は下記構成によって達成される。
【0009】
(1) (A) フェノール性水酸基とともに、フェノール性水酸基がアセタール基又はケタール基で保護された基を有する、アルカリ現像液に不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる性質を有するフェノール性樹脂、
(B)電子線、X線、又はEUV光の照射によりスルホン酸を発生する化合物及び(C)溶剤を含むポジ型レジスト組成物を、基板上に250nm以下の膜厚で塗布する工程(a) 、
電子線、X線、又はEUV光を用いてパターン露光する工程(b)、及び
現像する工程(c) を有することを特徴とするポジ型レジストパターン形成方法。
【0010】
(2)フェノール性樹脂が、一般式(1)で表される繰り返し単位及び一般式(2)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする上記(1)に記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0011】
【化6】
【0012】
【化7】
【0013】
式中、R1は水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子又はペルフルオロ基を表す。
R2はアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基又はアシル基を表す。
R3及びR4は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは脂環式、芳香環式、有橋脂環式から選ばれる少なくとも1つの環状構造単位を有する炭素数6〜30の炭化水素基を表す。
nは0〜4の整数を表す。
【0014】
(3) フェノール性樹脂が、一般式(2)で表される繰り返し単位及び一般式(4)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする上記(1)に記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
【0017】
R1及びR11は、各々独立に、水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のペルフルオロ基を表す。
R2及びR12は、各々独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基又はアシル基を表す。
R13及びR14は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Z1は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。
nは各々独立に0〜4の整数を表す。
【0018】
(4)当該ポジ型レジスト組成物が更に含窒素塩基性化合物を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0019】
(5)フェノール性樹脂が、更に一般式(3)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0020】
【化10】
【0021】
R1は水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子又はペルフルオロ基を表す。
R2はアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基又はアシル基を表す。
nは0〜4の整数を表す。
Wは酸の作用により分解しない基を表す。
【0022】
以下、本発明の他の好ましい態様を挙げる。
(6) 当該ポジ型レジスト組成物が更にフッ素系及び/又はシリコン系活性剤を含有することを特徴とする上記(1)〜(5)に記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0023】
(7) 当該ポジ型レジスト組成物を基板上に50〜200nmの膜厚で塗布することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0024】
(8)当該ポジ型レジスト組成物が、更に電子線、X線又はEUV光の照射によりカルボン酸を発生する化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に用いられる化合物、及びパターン形成法ついて詳細に説明する。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0026】
〔1〕フェノール性樹脂(A成分)
本発明に用いられるポジ型レジスト組成物においては、フェノール性水酸基を有するとともに、フェノール性水酸基がアセタール基又はケタール基で保護された基を有するフェノール性樹脂(酸分解性樹脂)が用いられる。
このようなフェノール性樹脂として、一般式(1)で表される繰り返し単位及び(2)で表される繰り返し単位を含有する樹脂(樹脂A1)であることが好ましい。
【0027】
一般式(1)において、R1は水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はペルフルオロ基(CmF2m+1基を表し、mは1〜4の整数)を表す。R1として好ましくは水素原子、メチル基、又はCmF2m+1基(mは好ましくは1)であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0028】
R2としてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
R2としてのアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数1〜8の上記アルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
【0029】
R2としてのアリール基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
【0030】
R2としてのアシル基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数2〜8個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
【0031】
R3及びR4としての炭素数1〜4のアルキル基としては、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基を挙げることができる。
【0032】
これらの基が有してもよい置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。
【0033】
Zは脂環式、芳香環式、有橋脂環式から選ばれる少なくとも1つの環状構造を有する酸分解性基を表すが、芳香族基(特にフェニル基)を含む構造、又は下記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式又は有橋脂環式構造を含む構造であることが好ましい。
【0034】
【化11】
【0035】
式中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル
基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐
のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19及びR21のいずれかは炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐
のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0036】
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基が有してもよい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0037】
R11〜R25における脂環式炭化水素基あるいはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0038】
【化12】
【0039】
【化13】
【0040】
【化14】
【0041】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0042】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0043】
一般式(1)で表される基を含むモノマーの具体例を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
一般式(2)において、R1、R2、nはそれぞれ一般式(1)におけるR1、R2、nと同義である。
尚、一般式(2)におけるR1、R2、nは、それぞれ一般式(1)におけるR1、R2、nと同じであっても異なっていてもよい。
式(2)において、水酸基(−OH)はベンゼン環上のどの位置にあってもよいが、好ましくはスチレン骨格のメタ位かパラ位であり、特に好ましくはパラ位である。
【0048】
以下に、式(2)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定するものではない。
【0049】
【化18】
【0050】
樹脂(A1)は、更に上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有することも好ましい。
一般式(3)において、R1、R2、nはそれぞれ一般式(1)におけるR1、R2、nと同義である。
一般式(3)におけるR1、R2、nは、それぞれ一般式(1)及び(2)におけるR1、R2、nと同じであっても異なっていてもよい。
【0051】
Wは酸の作用により分解しない基(酸安定基ともいう)を表すが、具体的には水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルオキシ基(但し、−O−第3級アルキルは除く)、アシル基、シクロアルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルアミドメチルオキシ基、アルキルアミド基、アリールアミドメチル基、アリールアミド基等が挙げられる。酸安定基としては、好ましくはアシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミドオキシ基、アルキルアミド基であり、より好ましくはアシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基である。
Wの酸安定基において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基が好ましい。
Wはベンゼン環上のどの位置にあってもよいが、好ましくはスチレン骨格のメタ位かパラ位であり、特に好ましくはパラ位である。
【0052】
以下に、式(3)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるがこれらに限定するものではない。
【0053】
【化19】
【0054】
A成分のフェノール性樹脂は、一般式(4)及び一般式(2)で表される繰り返し単位を含有する樹脂(樹脂A2)であっても良い。
【0055】
一般式(4)において、R11、R12、R13、R14及びnはそれぞれ一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4及びnと同義である。
一般式(4)において、Z1は炭素数1〜5の炭化水素基を表し、置換基を有していてもよい。Z1として好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
これらのアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキルカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5)、アルキルカルボニルオキシ基基(好ましくは炭素数2〜5)、アルキルオキシカルボニル基基(好ましくは炭素数2〜5)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)等を挙げることができる。
また、Z1はR13又はR14と共同で環を形成してもよく、この場合は5〜6員環であることが好ましい。
【0056】
以下に、式(4)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるがこれらに限定するものではない。
【0057】
【化20】
【0058】
樹脂(A2)についても、更に上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0059】
樹脂(A1)における一般式(1)で表される繰り返し単位の含有率、及び樹脂(A2)における一般式(4)で表される繰り返し単位の含有率は、それぞれの樹脂における全繰り返し単位中、好ましくは3〜80モル%、より好ましくは5〜70モル%、特に好ましくは5〜50モル%である。3モル%未満では未露光部の膜減り増大や解像力が低下する傾向となり、また80モル%を超えると基板への密着不良やスカムが発生しやすくなる傾向がある。
樹脂(A1)及び(A2)における一般式(2)で表される繰り返し単位の含有率は、それぞれの樹脂における全繰り返し単位中、好ましくは20〜97モル%、より好ましくは30〜95モル%、特に好ましくは50〜95モル%である。20モル%未満では基板への密着不良やスカムが発生しやすくなり、また97モル%を超えると露光部の膜減り増大や解像力が低下する傾向がある。
樹脂(A1)及び(A2)は、それぞれ上記の必須の繰り返し単位の他に、一般式(3)で表される繰返し単位を有していてもよく、膜質向上、未露光部の膜減り抑制等の観点から好ましい。一般式(3)で表される繰り返し単位の含有率は、それぞれの全繰り返し単位中、好ましくは0〜50モル%、より好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは0〜30モル%である。
【0060】
また、樹脂(A1)及び(A2)は、アルカリ現像液に対する良好な現像性を維持するために、アルカリ可溶性基、例えばフェノール性水酸基、カルボキシル基が導入され得るように適切な他の重合性モノマーが共重合されていてもよいし、膜質向上のためにアルキルアクリレートやアルキルメタクリレートのような疎水性の他の重合性モノマーが共重合されてもよい。
さらに、樹脂(A1)及び(A2)は、それぞれ一般式(1)及び一般式(4)中に含まれる酸分解性基以外に、他の酸分解性基を有するモノマーを含有していてもよく、−C(=O)−X1−R0で表されるものを挙げることができる。
【0061】
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。X1は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
【0062】
樹脂(A1)及び(A2)の合成は、欧州特許254853号、特開平2−258500号、3−223860号、4−251259号に記載されているような、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解しうる基の前駆体を反応させる方法、もしくは、酸で分解しうる基を有するモノマーを種々のモノマーと共重合する方法など公知の合成法により合成することができる。
【0063】
樹脂(A1)及び(A2)の重量平均分子量(Mw)は、それぞれ1,000〜200,000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1,500〜100,000の範囲であり、特に好ましくは2,000〜50,000の範囲である。即ち、1,000未満では未露光部の膜減り防止の点から1,000以上が好ましく、樹脂自体のアルカリに対する溶解速度増大による感度の点から200,000以下が好ましい。
また、分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜4.0であることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0、特に好ましくは、1.0〜2.5である。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
また、樹脂(A1)及び(A2)は、それぞれ2種類以上組み合わせて使用してもよい。
樹脂(A1)及び(A2)の添加量は、合計でポジ型レジスト組成物の固形分に対し、10〜96質量%が適当であり、好ましくは15〜96質量%であり、特に好ましくは20〜95質量%である。
【0064】
以下に、樹脂(A1)の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化21】
【0066】
【化22】
【0067】
【化23】
【0068】
【化24】
【0069】
【化25】
【0070】
【化26】
【0071】
さらに、以下に樹脂(A2)の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
【化27】
【0073】
【化28】
【0074】
A成分のフェノール性樹脂の添加量は、ポジ型レジスト組成物の固形分に対し、50〜98質量%が適当であり、好ましくは60〜97質量%であり、特に好ましくは65〜96質量%である。
また、A成分のフェノール性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0075】
〔2〕電子線、X線、又はEUV光の照射によりスルホン酸を発生する化合物(B成分)
B成分は、X線、電子線又はEUV光の照射によりスルホン酸を発生する化合物(スルホン酸発生剤)であり、公知の化合物を適宜選択して使用することができる。たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等を挙げることができる。
【0076】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0077】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0078】
本発明においては、解像力、パターン形状等の画像性能向上の観点から好ましいスルホン酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホンを挙げることができる。
これらの中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0079】
【化29】
【0080】
【化30】
【0081】
【化31】
【0082】
【化32】
【0083】
【化33】
【0084】
【化34】
【0085】
【化35】
【0086】
スルホン酸発生剤の本発明で用いられるポジ型レジスト組成物中の含有量は、組成物の固形分を基準として、0.5〜20質量%で用いられるが、好ましくは1〜18質量%、特に好ましくは2〜16質量%である。即ち、感度の点から0,5質量%以上が好ましく、解像力やパターン形状、膜質の点から20質量%以下が好ましい。
また、スルホン酸発生剤は1種類を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0087】
〔3〕溶剤(C成分)
本発明のレジスト組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。全レジスト組成物成分の固形分濃度として、通常2〜30質量%とすることが好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
【0088】
本発明のレジスト組成物は、上記成分A〜Cとともに、以下の成分を好ましく含有することができる。
【0089】
〔4〕X線、電子線又はEUV光の照射によりカルボン酸を発生する化合物(D成分)
本発明においては、スルホン酸発生剤とともに、X線、電子線又はEUV光の照射により、カルボン酸を発生する化合物(カルボン酸発生剤)を併用することが、感度、解像力等の性能向上の点から好ましい。
カルボン酸発生剤としては下記一般式(D)で表される化合物が好ましい。
【0090】
【化36】
【0091】
式(D)中、R21〜R23は各々独立に、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R24は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、Zはイオウ原子又はヨウ素原子を表す。Zがイオウ原子である場合、pは1であり、ヨウ素原子である場合はpは0である。
【0092】
一般式(D)において、R21〜R23は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
R21〜R23としてのアルキル基、アルケニル基又はアリール基は、各々置換基を有するものも包含するものである。
アルキル基、アルケニル基の置換基の例としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。
アリール基の置換基の例としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、ニトロ基、シアノ基、アルキル基(メチル基、エチル基、t−ブチル基、t−アミル基、オクチル基等)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。
R21〜R23は、各々独立に、好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基又は炭素数6〜24のアリール基を表し、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは炭素数6〜15のアリール基である。これらの基は各々置換基を有していてもよい。
【0093】
R24は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。
R24としてのアルキル基、アルケニル基、アリール基は、各々置換基を有するものも包含するものである。
アルキル基、アルケニル基の置換基の例としては、上記R21がアルキル基である場合の置換基の例として挙げたものと同じものが挙げられる。アリール基の置換基の例としては、上記R21がアリール基である場合の置換基の例として挙げたものと同じものが挙げられる。
【0094】
R24は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜24のアリール基であり、より好ましくは、炭素数1〜18のアルキル、炭素数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基である。これらの基は、各々置換基を有していてもよい。
【0095】
Zはイオウ原子又はヨウ素原子を表す。pはZがイオウ原子である場合は1であり、Zがヨウ素原子である場合は0である。
尚、式(D)のカチオン部の2つ以上が、単結合又は連結基(例えば、−S−、−O−など)により結合し、式(D)のカチオン部を複数有するカチオン構造を形成してもよい。
【0096】
以下に、カルボン酸発生剤(D)の好ましい具体例を挙げるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0097】
【化37】
【0098】
【化38】
【0099】
【化39】
【0100】
カルボン酸発生剤(D)の、本発明のポジ型レジスト組成物中の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜5質量%、特に好ましくは0.05〜3質量%である。またこれらの活性光線又は放射線の照射によりカルボン酸を発生する化合物は1種類を用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
カルボン酸発剤(D)/スルホン酸発生剤(B)(質量比)は、通常99.9/0.1〜50/50、好ましくは99/1〜60/40、特に好ましくは98/2〜70/30である。
〔5〕含窒素塩基性化合物(E成分)
本発明においては、含窒素塩基性化合物を用いることが、解像力などの性能向上、保存安定性の向上などの観点から好ましい。
本発明で用いることができる好ましい含窒素塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。
好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。式(B)〜(E)は、環構造の一部であってもよい。
【0101】
【化40】
【0102】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0103】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0104】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0105】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0106】
また、テトラアルキルアンモニウム塩型の含窒素塩基性化合物も用いることができる。これらの中では、特に炭素数1〜8のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−(n−ブチル)アンモニウムヒドロキシド等)が好ましい。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0107】
酸発生剤と含窒素塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤の総量)/(含窒素塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。
該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤)/(含窒素塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0108】
〔6〕界面活性剤類
本発明においては、界面活性剤類を用いることができ、製膜性、パターンの密着性、現像欠陥低減等の観点から好ましい。
【0109】
界面活性剤の具体的としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、
【0110】
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171,F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラ−ドFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100質量部当たり、通常、2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0111】
尚、界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0112】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0113】
界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0114】
〔7〕その他の成分
本発明のポジ型レジスト組成物には必要に応じて、さらに、染料、光塩基発生剤などを含有させることができる。
【0115】
1.染料
本発明においては、染料を用いることができる。
好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS,オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0116】
2.光塩基発生剤
本発明の組成物に添加できる光塩基発生剤としては、特開平4−151156号、同4−162040号、同5−197148号、同5−5995号、同6−194834号、同8−146608号、同10−83079号、欧州特許622682号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−ニトロベンジルカルバメート、2,5−ジニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル−N−イソプロピルカーバメート等が好適に用いることができる。これらの光塩基発生剤は、レジスト形状などの改善を目的とし添加される。
【0117】
本発明においては、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を使用することができる。更にレジスト下層に反射防止膜を塗布して用いることもできる。
【0118】
レジストの下層として用いられる反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
【0119】
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
【0120】
〔8〕パターン形成方法
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆基板、ガラス基板、ITO基板、石英/酸化クロム被覆基板等)上に、本発明のポジ型レジスト組成物を塗布し、次にX線、電子線、イオンビーム又はEUVを照射し、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0121】
本発明で用いられるポジ型レジスト組成物は基板上に塗布され、膜厚250nm以下の薄膜を形成する。このレジスト膜の膜厚は、40〜250nmが好ましく、さらには50〜220nmが好ましく、特に好ましくは60〜180nmである。
【0122】
本発明のパターン形成工程は、基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆基板、ガラス基板、ITO基板、石英/酸化クロム被覆基板、あるいはこれらの基板上にさらに上記反射防止膜を設けた基板等)上に、本発明で用いられるポジ型レジスト組成物を250nm以下の膜厚で塗布し、その後露光前加熱して、溶剤を揮発させ、次に電子線、X線またはEUV光をパターン照射し、さらに露光後加熱、現像、リンス、乾燥することにより超微細なレジストパターンを形成することができる。
露光前加熱は30〜180℃の温度範囲が好ましく、さらに好ましくは50〜160℃であり、特に好ましくは70〜140℃である。加熱時間は10〜300秒が好ましく、さらに好ましくは20〜200秒、特に好ましくは30〜150秒である。
露光後加熱は50〜160℃の温度範囲が好ましく、さらに好ましくは60〜150℃であり、特に好ましくは70〜140℃である。加熱時間は10〜300秒が好ましく、さらに好ましくは20〜200秒、特に好ましくは30〜150秒である。
【0123】
本発明のポジ型レジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液(0.1〜20質量%)を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
【0124】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0125】
1. 構成素材の合成例
(1)樹脂
合成例1 : 樹脂(A1−3)の合成
1−1 ビニルエーテルの合成
ベンジルアルコール中にエチルビニルエーテルを混合し、そこへ酢酸水銀を添加して室温にて12時間攪拌した。酢酸エチル、水により抽出、水洗した後、減圧蒸留によりベンジルビニルエーテルを得た。
1−2 アセタール樹脂の合成
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達社製VP−8000)20g、上記のビニルエーテル5.7gをTHF100mlに溶解し、これにp−トルエンスルホン酸0.01gを添加して室温で18時間反応させた。反応液を蒸留水5Lに攪拌しながら滴下し、析出する粉体をろ過、乾燥し、樹脂(A1−3)を得た。NMRにて得られた樹脂のアセタール化率(モル比)を評価したところ、は0.24であった。また、この樹脂の重量平均分子量は8400であった。
【0126】
合成例2 : 樹脂(A1−34)の合成
2−1 ビニルエーテルの合成
p−シクロヘキシルフェノール83.1g(0.5モル)を300mlのトルエンに溶解し、次いで2−クロロエチルビニルエーテル150g、水酸化ナトリウム25g、テトラブチルアンモニウムブロミド5g、トリエチルアミン60gを加えて120℃で5時間反応させた。反応液を水洗し、過剰の2−クロロエチルビニルエーテルとトルエンを留去し、得られたオイルを減圧蒸留にて精製することにより4−シクロヘキシルフェノキシエチルビニルエーテルを得た。
2−2 アセタール樹脂の合成
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達社製VP−8000)20g、上記のビニルエーテル6gをTHF100mlに溶解し、これにp−トルエンスルホン酸0.01gを添加して室温で18時間反応させた。さらにこの溶液に無水酢酸1.5g、ピリジン1.5gを加えて室温にて1時間攪拌した。反応液を蒸留水5Lに攪拌しながら滴下し、析出する粉体をろ過、乾燥し、樹脂(A1−34)を得た。NMRにて得られた樹脂のアセタール化率およびアセチル化率を測定してところ、それぞれ0.15、0.08であった。また、この樹脂の重量平均分子量は8500であった。
他の樹脂も同様の方法で合成した。
【0127】
(2)酸発生剤
本発明の実施例で用いた酸発生剤については、いずれも公知の合成法により合成した。
【0128】
2. 実施例1
(1)ポジ型レジスト組成物の調製および塗設
A成分:樹脂(A1−2) 0.946g
B成分:スルホン酸発生剤(B−2) 0.05g
をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17gに溶解させ、さらに含窒素塩基性化合物としてE−1(下記参照)0.003gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.5gに溶解させ、さらに界面活性剤としてメガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製、以下W−1と略す)0.001gを添加、溶解させ、得られた溶液を0.1μm口径のメンブレンフィルターで精密ろ過して、レジスト溶液を得た。
このレジスト溶液を6インチシリコンウェハー上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いて塗布し、110℃、90秒ベークして膜厚150nmの均一膜を得た。
【0129】
(2) ポジ型レジストパターンの作製
このレジスト膜に、電子線描画装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50KeV)を用いて電子線照射を行った。照射後に110℃、90秒ベークし、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。得られたパターンを下記の方法で評価した。
(2−1) 感度
得られたパターンを走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−8840)を用いて表面観察した。0.12μmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射エネルギーを感度とした。
(2−2) 解像力
上記の感度を示す照射量における限界解像力(ラインとスペースが分離解像)を解像力とした。
(2−3) パターン形状
上記の感度を示す照射量における0.12μmラインパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察し、矩形、ややラウンドトップ、ラウンドトップの3段階評価を行った。
(2−4) PEB温度依存性
電子線照射後のベーク温度を104〜116℃の間で変更して、上記の感度を示す照射量における0.12μmライン(ライン:スペース=1:1)の寸法を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−8840)を用いて測定し、ベーク温度1℃あたりの寸法変動量で算出、評価した。
【0130】
実施例1の結果は、感度は7.5μC/cm2、解像力は0.09μm、パターン形状は矩形、PEB温度依存性は0.5nm/℃でいずれも非常に良好であった。
【0131】
(3) 実施例2〜20
表1に示した化合物を用いて、実施例1と全く同様にしてレジスト調製・塗設、電子線露光評価を行った。各実施例のレジスト膜の膜厚も併せて表1に示した。評価結果も併せて表1に示した。
【0132】
(4) 比較例1
フェノール性樹脂として下記X−1を用いた以外は、実施例1と同様にしてレジスト調製・塗布、電子線露光評価を行った。但し、露光後のベーク温度はこのレジストサンプルに最適な130℃に設定して評価した。レジスト組成物及び評価結果を表1にそれぞれ示した。
【0133】
実施例、比較例で用いたその他の化合物を以下に示す。
【0134】
含窒素塩基性化合物
E−1: トリ−n−ヘキシルアミン
E−2: 2,4,6−トリフェニルイミダゾール
E−3: テトラ−(n−ブチル)アンモニウムヒドロキシド
【0135】
界面活性剤
W−1: フッ素系界面活性剤、メガファックF−176(大日本インキ化学工業(株)製)
W−2: フッ素/シリコン系界面活性剤、メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
W−3: シリコン系界面活性剤、ポリシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)
【0136】
【化41】
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
表1から、本発明のポジ型パターン形成方法は、電子線の照射によるパターン形成に関して、比較例に比べて、高感度で高解像力であり、パターン形状、PEB温度依存性も優れていることがわかる。
【0140】
3.実施例21〜25及び比較例2〜3
レジスト組成物として実施例1と同じものを用い、表2に示すようにレジストの膜厚を変更した以外は実施例1と同様にして、感度、解像力、PEB温度依存性、パターン形状を評価した。
【0141】
【表3】
【0142】
表2から、本発明のポジ型パターン形成方法は、電子線の照射によるパターン形成に関して、比較例に比べて、高感度で高解像力であり、パターン形状、PEB温度依存性も優れていることがわかる。
【0143】
<EUV露光による評価>
実施例21及び比較例4
上記実施例1及び比較例1のレジスト組成物を用い、実施例1と同様の方法でレジスト膜を得た。レジスト膜厚は120nmとした。得られたレジスト膜にEUV光(波長13nm)を用いて、露光量を0〜5.0mJの範囲で0.5mJづつ変えながら面露光を行い、さらに110℃、90秒ベークした。その後2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、各露光量での溶解速度を測定し、感度曲線を得た。この感度曲線において、レジストの溶解速度が飽和するときの露光量を感度とし、また感度曲線の直線部の勾配から溶解コントラスト(γ値)を算出した。γ値が大きいほど溶解コントラストに優れている。
結果を表3に示す。
【0144】
【表4】
【0145】
表3から、本発明のポジ型パターン形成方法は、EUV光の照射による特性評価において、比較例に比べて、高感度で高コントラストであり、優れていることがわかる。
【0146】
【発明の効果】
本発明により、電子線、X線、又はEUV光の照射によるパターン形成に関して、感度、解像力に優れ、さらにはパターン形状、PEB温度依存性にも優れたポジ型パターン形成方法を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトパブリケーションプロセスに好適に用いられるポジ型レジストパターン形成方法に関するものである。さらに詳しくは、電子線、X線、EUV光を使用して高精細化したポジ型レジストパターン形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、さらにKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られ、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。また最近では、超微細パターンの解像性向上やパターン倒れ防止の目的でレジスト塗膜を薄膜化して用いる方法が重点開発されつつある。
【0003】
ポジ型レジストを用いた電子線リソグラフィーは、次世代もしくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられ、150nm以下の超微細パターン形成に有望な技術であるが、高感度、高解像力化と並んで、薄膜時に顕著となるパターン断面形状の矩形性の悪化、さらには150nm以下の超微細パターン領域においては、パターン寸法の露光後ベーク温度依存性(以下、PEB温度依存性と略す)が大きな問題になって来ている。特にPEB温度依存性が大きいと、露光後加熱時の基板内の温度ばらつきに起因するパターン寸法の基板内における面内均一性の悪化やベーク装置間差による基板間のパタ−ン寸法の無視できない有意差が生じ、パターンの微細化が進むにつれて極めて大きな改良課題となっている。以上のように、レジストの薄膜化、パターン寸法の微細化が進むにつれて、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なPEB温度依存性を如何にして同時に満足させるかが非常に重要である。
【0004】
さらにX線やEUV光を用いるリソグラフィーにおいても同様の課題があり、これらの解決が必要である。
かかる電子線、X線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィープロセスに適したパターン形成方法としては高感度化の観点から主に酸触媒反応を利用した化学増幅型レジストが用いられており、ポジ型レジストにおいては主成分として、アルカリ水溶液には不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる性質を有するフェノール性樹脂(以下、フェノール性酸分解性樹脂と略す)、及び酸発生剤からなる化学増幅型レジスト組成物が有効に使用されている。
【0005】
これらの電子線、X線、あるいはEUV用のポジ型レジスト組成物を250nm以下の薄膜に適用した例としては、特許文献1(米国特許2003/0017425号)を挙げることができ、3級エステル基で保護されたアクリレート構造を有するフェノール性酸分解性樹脂を用いたパターン形成方法が開示されている。しかしながら、超微細領域での、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なPEB温度依存性は同時に満足できていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
米国特許2003/0017425号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子線、X線、あるいはEUV光を使用する半導体素子の微細加工における性能向上技術の課題を解決することであり、特にレジスト組成物を250nm以下の超薄膜で用いる場合における、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なPEB温度依存性を同時に満足するポジ型レジストパターン形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、驚くべきことに本発明の課題は、アセタール基又はケタールで保護されたフェノール性樹脂を用いたポジ型パターン形成方法によって達成される。
即ち、本発明は下記構成によって達成される。
【0009】
(1) (A) フェノール性水酸基とともに、フェノール性水酸基がアセタール基又はケタール基で保護された基を有する、アルカリ現像液に不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる性質を有するフェノール性樹脂、
(B)電子線、X線、又はEUV光の照射によりスルホン酸を発生する化合物及び(C)溶剤を含むポジ型レジスト組成物を、基板上に250nm以下の膜厚で塗布する工程(a) 、
電子線、X線、又はEUV光を用いてパターン露光する工程(b)、及び
現像する工程(c) を有することを特徴とするポジ型レジストパターン形成方法。
【0010】
(2)フェノール性樹脂が、一般式(1)で表される繰り返し単位及び一般式(2)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする上記(1)に記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0011】
【化6】
【0012】
【化7】
【0013】
式中、R1は水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子又はペルフルオロ基を表す。
R2はアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基又はアシル基を表す。
R3及びR4は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは脂環式、芳香環式、有橋脂環式から選ばれる少なくとも1つの環状構造単位を有する炭素数6〜30の炭化水素基を表す。
nは0〜4の整数を表す。
【0014】
(3) フェノール性樹脂が、一般式(2)で表される繰り返し単位及び一般式(4)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする上記(1)に記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
【0017】
R1及びR11は、各々独立に、水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のペルフルオロ基を表す。
R2及びR12は、各々独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基又はアシル基を表す。
R13及びR14は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Z1は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。
nは各々独立に0〜4の整数を表す。
【0018】
(4)当該ポジ型レジスト組成物が更に含窒素塩基性化合物を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0019】
(5)フェノール性樹脂が、更に一般式(3)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0020】
【化10】
【0021】
R1は水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子又はペルフルオロ基を表す。
R2はアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基又はアシル基を表す。
nは0〜4の整数を表す。
Wは酸の作用により分解しない基を表す。
【0022】
以下、本発明の他の好ましい態様を挙げる。
(6) 当該ポジ型レジスト組成物が更にフッ素系及び/又はシリコン系活性剤を含有することを特徴とする上記(1)〜(5)に記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0023】
(7) 当該ポジ型レジスト組成物を基板上に50〜200nmの膜厚で塗布することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0024】
(8)当該ポジ型レジスト組成物が、更に電子線、X線又はEUV光の照射によりカルボン酸を発生する化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポジ型レジストパターン形成方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に用いられる化合物、及びパターン形成法ついて詳細に説明する。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0026】
〔1〕フェノール性樹脂(A成分)
本発明に用いられるポジ型レジスト組成物においては、フェノール性水酸基を有するとともに、フェノール性水酸基がアセタール基又はケタール基で保護された基を有するフェノール性樹脂(酸分解性樹脂)が用いられる。
このようなフェノール性樹脂として、一般式(1)で表される繰り返し単位及び(2)で表される繰り返し単位を含有する樹脂(樹脂A1)であることが好ましい。
【0027】
一般式(1)において、R1は水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はペルフルオロ基(CmF2m+1基を表し、mは1〜4の整数)を表す。R1として好ましくは水素原子、メチル基、又はCmF2m+1基(mは好ましくは1)であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0028】
R2としてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
R2としてのアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数1〜8の上記アルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
【0029】
R2としてのアリール基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
【0030】
R2としてのアシル基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数2〜8個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
【0031】
R3及びR4としての炭素数1〜4のアルキル基としては、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基を挙げることができる。
【0032】
これらの基が有してもよい置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。
【0033】
Zは脂環式、芳香環式、有橋脂環式から選ばれる少なくとも1つの環状構造を有する酸分解性基を表すが、芳香族基(特にフェニル基)を含む構造、又は下記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式又は有橋脂環式構造を含む構造であることが好ましい。
【0034】
【化11】
【0035】
式中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル
基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐
のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19及びR21のいずれかは炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐
のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0036】
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基が有してもよい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0037】
R11〜R25における脂環式炭化水素基あるいはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0038】
【化12】
【0039】
【化13】
【0040】
【化14】
【0041】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0042】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0043】
一般式(1)で表される基を含むモノマーの具体例を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
一般式(2)において、R1、R2、nはそれぞれ一般式(1)におけるR1、R2、nと同義である。
尚、一般式(2)におけるR1、R2、nは、それぞれ一般式(1)におけるR1、R2、nと同じであっても異なっていてもよい。
式(2)において、水酸基(−OH)はベンゼン環上のどの位置にあってもよいが、好ましくはスチレン骨格のメタ位かパラ位であり、特に好ましくはパラ位である。
【0048】
以下に、式(2)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定するものではない。
【0049】
【化18】
【0050】
樹脂(A1)は、更に上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有することも好ましい。
一般式(3)において、R1、R2、nはそれぞれ一般式(1)におけるR1、R2、nと同義である。
一般式(3)におけるR1、R2、nは、それぞれ一般式(1)及び(2)におけるR1、R2、nと同じであっても異なっていてもよい。
【0051】
Wは酸の作用により分解しない基(酸安定基ともいう)を表すが、具体的には水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルオキシ基(但し、−O−第3級アルキルは除く)、アシル基、シクロアルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルアミドメチルオキシ基、アルキルアミド基、アリールアミドメチル基、アリールアミド基等が挙げられる。酸安定基としては、好ましくはアシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミドオキシ基、アルキルアミド基であり、より好ましくはアシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基である。
Wの酸安定基において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基が好ましい。
Wはベンゼン環上のどの位置にあってもよいが、好ましくはスチレン骨格のメタ位かパラ位であり、特に好ましくはパラ位である。
【0052】
以下に、式(3)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるがこれらに限定するものではない。
【0053】
【化19】
【0054】
A成分のフェノール性樹脂は、一般式(4)及び一般式(2)で表される繰り返し単位を含有する樹脂(樹脂A2)であっても良い。
【0055】
一般式(4)において、R11、R12、R13、R14及びnはそれぞれ一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4及びnと同義である。
一般式(4)において、Z1は炭素数1〜5の炭化水素基を表し、置換基を有していてもよい。Z1として好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
これらのアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキルカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5)、アルキルカルボニルオキシ基基(好ましくは炭素数2〜5)、アルキルオキシカルボニル基基(好ましくは炭素数2〜5)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)等を挙げることができる。
また、Z1はR13又はR14と共同で環を形成してもよく、この場合は5〜6員環であることが好ましい。
【0056】
以下に、式(4)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるがこれらに限定するものではない。
【0057】
【化20】
【0058】
樹脂(A2)についても、更に上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0059】
樹脂(A1)における一般式(1)で表される繰り返し単位の含有率、及び樹脂(A2)における一般式(4)で表される繰り返し単位の含有率は、それぞれの樹脂における全繰り返し単位中、好ましくは3〜80モル%、より好ましくは5〜70モル%、特に好ましくは5〜50モル%である。3モル%未満では未露光部の膜減り増大や解像力が低下する傾向となり、また80モル%を超えると基板への密着不良やスカムが発生しやすくなる傾向がある。
樹脂(A1)及び(A2)における一般式(2)で表される繰り返し単位の含有率は、それぞれの樹脂における全繰り返し単位中、好ましくは20〜97モル%、より好ましくは30〜95モル%、特に好ましくは50〜95モル%である。20モル%未満では基板への密着不良やスカムが発生しやすくなり、また97モル%を超えると露光部の膜減り増大や解像力が低下する傾向がある。
樹脂(A1)及び(A2)は、それぞれ上記の必須の繰り返し単位の他に、一般式(3)で表される繰返し単位を有していてもよく、膜質向上、未露光部の膜減り抑制等の観点から好ましい。一般式(3)で表される繰り返し単位の含有率は、それぞれの全繰り返し単位中、好ましくは0〜50モル%、より好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは0〜30モル%である。
【0060】
また、樹脂(A1)及び(A2)は、アルカリ現像液に対する良好な現像性を維持するために、アルカリ可溶性基、例えばフェノール性水酸基、カルボキシル基が導入され得るように適切な他の重合性モノマーが共重合されていてもよいし、膜質向上のためにアルキルアクリレートやアルキルメタクリレートのような疎水性の他の重合性モノマーが共重合されてもよい。
さらに、樹脂(A1)及び(A2)は、それぞれ一般式(1)及び一般式(4)中に含まれる酸分解性基以外に、他の酸分解性基を有するモノマーを含有していてもよく、−C(=O)−X1−R0で表されるものを挙げることができる。
【0061】
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。X1は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
【0062】
樹脂(A1)及び(A2)の合成は、欧州特許254853号、特開平2−258500号、3−223860号、4−251259号に記載されているような、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解しうる基の前駆体を反応させる方法、もしくは、酸で分解しうる基を有するモノマーを種々のモノマーと共重合する方法など公知の合成法により合成することができる。
【0063】
樹脂(A1)及び(A2)の重量平均分子量(Mw)は、それぞれ1,000〜200,000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1,500〜100,000の範囲であり、特に好ましくは2,000〜50,000の範囲である。即ち、1,000未満では未露光部の膜減り防止の点から1,000以上が好ましく、樹脂自体のアルカリに対する溶解速度増大による感度の点から200,000以下が好ましい。
また、分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜4.0であることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0、特に好ましくは、1.0〜2.5である。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
また、樹脂(A1)及び(A2)は、それぞれ2種類以上組み合わせて使用してもよい。
樹脂(A1)及び(A2)の添加量は、合計でポジ型レジスト組成物の固形分に対し、10〜96質量%が適当であり、好ましくは15〜96質量%であり、特に好ましくは20〜95質量%である。
【0064】
以下に、樹脂(A1)の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化21】
【0066】
【化22】
【0067】
【化23】
【0068】
【化24】
【0069】
【化25】
【0070】
【化26】
【0071】
さらに、以下に樹脂(A2)の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
【化27】
【0073】
【化28】
【0074】
A成分のフェノール性樹脂の添加量は、ポジ型レジスト組成物の固形分に対し、50〜98質量%が適当であり、好ましくは60〜97質量%であり、特に好ましくは65〜96質量%である。
また、A成分のフェノール性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0075】
〔2〕電子線、X線、又はEUV光の照射によりスルホン酸を発生する化合物(B成分)
B成分は、X線、電子線又はEUV光の照射によりスルホン酸を発生する化合物(スルホン酸発生剤)であり、公知の化合物を適宜選択して使用することができる。たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等を挙げることができる。
【0076】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0077】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0078】
本発明においては、解像力、パターン形状等の画像性能向上の観点から好ましいスルホン酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホンを挙げることができる。
これらの中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0079】
【化29】
【0080】
【化30】
【0081】
【化31】
【0082】
【化32】
【0083】
【化33】
【0084】
【化34】
【0085】
【化35】
【0086】
スルホン酸発生剤の本発明で用いられるポジ型レジスト組成物中の含有量は、組成物の固形分を基準として、0.5〜20質量%で用いられるが、好ましくは1〜18質量%、特に好ましくは2〜16質量%である。即ち、感度の点から0,5質量%以上が好ましく、解像力やパターン形状、膜質の点から20質量%以下が好ましい。
また、スルホン酸発生剤は1種類を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0087】
〔3〕溶剤(C成分)
本発明のレジスト組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。全レジスト組成物成分の固形分濃度として、通常2〜30質量%とすることが好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
【0088】
本発明のレジスト組成物は、上記成分A〜Cとともに、以下の成分を好ましく含有することができる。
【0089】
〔4〕X線、電子線又はEUV光の照射によりカルボン酸を発生する化合物(D成分)
本発明においては、スルホン酸発生剤とともに、X線、電子線又はEUV光の照射により、カルボン酸を発生する化合物(カルボン酸発生剤)を併用することが、感度、解像力等の性能向上の点から好ましい。
カルボン酸発生剤としては下記一般式(D)で表される化合物が好ましい。
【0090】
【化36】
【0091】
式(D)中、R21〜R23は各々独立に、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R24は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、Zはイオウ原子又はヨウ素原子を表す。Zがイオウ原子である場合、pは1であり、ヨウ素原子である場合はpは0である。
【0092】
一般式(D)において、R21〜R23は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
R21〜R23としてのアルキル基、アルケニル基又はアリール基は、各々置換基を有するものも包含するものである。
アルキル基、アルケニル基の置換基の例としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。
アリール基の置換基の例としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、ニトロ基、シアノ基、アルキル基(メチル基、エチル基、t−ブチル基、t−アミル基、オクチル基等)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。
R21〜R23は、各々独立に、好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基又は炭素数6〜24のアリール基を表し、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは炭素数6〜15のアリール基である。これらの基は各々置換基を有していてもよい。
【0093】
R24は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。
R24としてのアルキル基、アルケニル基、アリール基は、各々置換基を有するものも包含するものである。
アルキル基、アルケニル基の置換基の例としては、上記R21がアルキル基である場合の置換基の例として挙げたものと同じものが挙げられる。アリール基の置換基の例としては、上記R21がアリール基である場合の置換基の例として挙げたものと同じものが挙げられる。
【0094】
R24は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜24のアリール基であり、より好ましくは、炭素数1〜18のアルキル、炭素数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基である。これらの基は、各々置換基を有していてもよい。
【0095】
Zはイオウ原子又はヨウ素原子を表す。pはZがイオウ原子である場合は1であり、Zがヨウ素原子である場合は0である。
尚、式(D)のカチオン部の2つ以上が、単結合又は連結基(例えば、−S−、−O−など)により結合し、式(D)のカチオン部を複数有するカチオン構造を形成してもよい。
【0096】
以下に、カルボン酸発生剤(D)の好ましい具体例を挙げるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0097】
【化37】
【0098】
【化38】
【0099】
【化39】
【0100】
カルボン酸発生剤(D)の、本発明のポジ型レジスト組成物中の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜5質量%、特に好ましくは0.05〜3質量%である。またこれらの活性光線又は放射線の照射によりカルボン酸を発生する化合物は1種類を用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
カルボン酸発剤(D)/スルホン酸発生剤(B)(質量比)は、通常99.9/0.1〜50/50、好ましくは99/1〜60/40、特に好ましくは98/2〜70/30である。
〔5〕含窒素塩基性化合物(E成分)
本発明においては、含窒素塩基性化合物を用いることが、解像力などの性能向上、保存安定性の向上などの観点から好ましい。
本発明で用いることができる好ましい含窒素塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。
好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。式(B)〜(E)は、環構造の一部であってもよい。
【0101】
【化40】
【0102】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0103】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0104】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0105】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0106】
また、テトラアルキルアンモニウム塩型の含窒素塩基性化合物も用いることができる。これらの中では、特に炭素数1〜8のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−(n−ブチル)アンモニウムヒドロキシド等)が好ましい。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0107】
酸発生剤と含窒素塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤の総量)/(含窒素塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。
該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤)/(含窒素塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0108】
〔6〕界面活性剤類
本発明においては、界面活性剤類を用いることができ、製膜性、パターンの密着性、現像欠陥低減等の観点から好ましい。
【0109】
界面活性剤の具体的としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、
【0110】
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171,F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラ−ドFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100質量部当たり、通常、2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0111】
尚、界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0112】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0113】
界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0114】
〔7〕その他の成分
本発明のポジ型レジスト組成物には必要に応じて、さらに、染料、光塩基発生剤などを含有させることができる。
【0115】
1.染料
本発明においては、染料を用いることができる。
好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS,オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0116】
2.光塩基発生剤
本発明の組成物に添加できる光塩基発生剤としては、特開平4−151156号、同4−162040号、同5−197148号、同5−5995号、同6−194834号、同8−146608号、同10−83079号、欧州特許622682号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−ニトロベンジルカルバメート、2,5−ジニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル−N−イソプロピルカーバメート等が好適に用いることができる。これらの光塩基発生剤は、レジスト形状などの改善を目的とし添加される。
【0117】
本発明においては、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を使用することができる。更にレジスト下層に反射防止膜を塗布して用いることもできる。
【0118】
レジストの下層として用いられる反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
【0119】
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
【0120】
〔8〕パターン形成方法
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆基板、ガラス基板、ITO基板、石英/酸化クロム被覆基板等)上に、本発明のポジ型レジスト組成物を塗布し、次にX線、電子線、イオンビーム又はEUVを照射し、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0121】
本発明で用いられるポジ型レジスト組成物は基板上に塗布され、膜厚250nm以下の薄膜を形成する。このレジスト膜の膜厚は、40〜250nmが好ましく、さらには50〜220nmが好ましく、特に好ましくは60〜180nmである。
【0122】
本発明のパターン形成工程は、基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆基板、ガラス基板、ITO基板、石英/酸化クロム被覆基板、あるいはこれらの基板上にさらに上記反射防止膜を設けた基板等)上に、本発明で用いられるポジ型レジスト組成物を250nm以下の膜厚で塗布し、その後露光前加熱して、溶剤を揮発させ、次に電子線、X線またはEUV光をパターン照射し、さらに露光後加熱、現像、リンス、乾燥することにより超微細なレジストパターンを形成することができる。
露光前加熱は30〜180℃の温度範囲が好ましく、さらに好ましくは50〜160℃であり、特に好ましくは70〜140℃である。加熱時間は10〜300秒が好ましく、さらに好ましくは20〜200秒、特に好ましくは30〜150秒である。
露光後加熱は50〜160℃の温度範囲が好ましく、さらに好ましくは60〜150℃であり、特に好ましくは70〜140℃である。加熱時間は10〜300秒が好ましく、さらに好ましくは20〜200秒、特に好ましくは30〜150秒である。
【0123】
本発明のポジ型レジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液(0.1〜20質量%)を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
【0124】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0125】
1. 構成素材の合成例
(1)樹脂
合成例1 : 樹脂(A1−3)の合成
1−1 ビニルエーテルの合成
ベンジルアルコール中にエチルビニルエーテルを混合し、そこへ酢酸水銀を添加して室温にて12時間攪拌した。酢酸エチル、水により抽出、水洗した後、減圧蒸留によりベンジルビニルエーテルを得た。
1−2 アセタール樹脂の合成
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達社製VP−8000)20g、上記のビニルエーテル5.7gをTHF100mlに溶解し、これにp−トルエンスルホン酸0.01gを添加して室温で18時間反応させた。反応液を蒸留水5Lに攪拌しながら滴下し、析出する粉体をろ過、乾燥し、樹脂(A1−3)を得た。NMRにて得られた樹脂のアセタール化率(モル比)を評価したところ、は0.24であった。また、この樹脂の重量平均分子量は8400であった。
【0126】
合成例2 : 樹脂(A1−34)の合成
2−1 ビニルエーテルの合成
p−シクロヘキシルフェノール83.1g(0.5モル)を300mlのトルエンに溶解し、次いで2−クロロエチルビニルエーテル150g、水酸化ナトリウム25g、テトラブチルアンモニウムブロミド5g、トリエチルアミン60gを加えて120℃で5時間反応させた。反応液を水洗し、過剰の2−クロロエチルビニルエーテルとトルエンを留去し、得られたオイルを減圧蒸留にて精製することにより4−シクロヘキシルフェノキシエチルビニルエーテルを得た。
2−2 アセタール樹脂の合成
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達社製VP−8000)20g、上記のビニルエーテル6gをTHF100mlに溶解し、これにp−トルエンスルホン酸0.01gを添加して室温で18時間反応させた。さらにこの溶液に無水酢酸1.5g、ピリジン1.5gを加えて室温にて1時間攪拌した。反応液を蒸留水5Lに攪拌しながら滴下し、析出する粉体をろ過、乾燥し、樹脂(A1−34)を得た。NMRにて得られた樹脂のアセタール化率およびアセチル化率を測定してところ、それぞれ0.15、0.08であった。また、この樹脂の重量平均分子量は8500であった。
他の樹脂も同様の方法で合成した。
【0127】
(2)酸発生剤
本発明の実施例で用いた酸発生剤については、いずれも公知の合成法により合成した。
【0128】
2. 実施例1
(1)ポジ型レジスト組成物の調製および塗設
A成分:樹脂(A1−2) 0.946g
B成分:スルホン酸発生剤(B−2) 0.05g
をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17gに溶解させ、さらに含窒素塩基性化合物としてE−1(下記参照)0.003gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.5gに溶解させ、さらに界面活性剤としてメガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製、以下W−1と略す)0.001gを添加、溶解させ、得られた溶液を0.1μm口径のメンブレンフィルターで精密ろ過して、レジスト溶液を得た。
このレジスト溶液を6インチシリコンウェハー上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いて塗布し、110℃、90秒ベークして膜厚150nmの均一膜を得た。
【0129】
(2) ポジ型レジストパターンの作製
このレジスト膜に、電子線描画装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50KeV)を用いて電子線照射を行った。照射後に110℃、90秒ベークし、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。得られたパターンを下記の方法で評価した。
(2−1) 感度
得られたパターンを走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−8840)を用いて表面観察した。0.12μmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射エネルギーを感度とした。
(2−2) 解像力
上記の感度を示す照射量における限界解像力(ラインとスペースが分離解像)を解像力とした。
(2−3) パターン形状
上記の感度を示す照射量における0.12μmラインパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察し、矩形、ややラウンドトップ、ラウンドトップの3段階評価を行った。
(2−4) PEB温度依存性
電子線照射後のベーク温度を104〜116℃の間で変更して、上記の感度を示す照射量における0.12μmライン(ライン:スペース=1:1)の寸法を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−8840)を用いて測定し、ベーク温度1℃あたりの寸法変動量で算出、評価した。
【0130】
実施例1の結果は、感度は7.5μC/cm2、解像力は0.09μm、パターン形状は矩形、PEB温度依存性は0.5nm/℃でいずれも非常に良好であった。
【0131】
(3) 実施例2〜20
表1に示した化合物を用いて、実施例1と全く同様にしてレジスト調製・塗設、電子線露光評価を行った。各実施例のレジスト膜の膜厚も併せて表1に示した。評価結果も併せて表1に示した。
【0132】
(4) 比較例1
フェノール性樹脂として下記X−1を用いた以外は、実施例1と同様にしてレジスト調製・塗布、電子線露光評価を行った。但し、露光後のベーク温度はこのレジストサンプルに最適な130℃に設定して評価した。レジスト組成物及び評価結果を表1にそれぞれ示した。
【0133】
実施例、比較例で用いたその他の化合物を以下に示す。
【0134】
含窒素塩基性化合物
E−1: トリ−n−ヘキシルアミン
E−2: 2,4,6−トリフェニルイミダゾール
E−3: テトラ−(n−ブチル)アンモニウムヒドロキシド
【0135】
界面活性剤
W−1: フッ素系界面活性剤、メガファックF−176(大日本インキ化学工業(株)製)
W−2: フッ素/シリコン系界面活性剤、メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
W−3: シリコン系界面活性剤、ポリシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)
【0136】
【化41】
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
表1から、本発明のポジ型パターン形成方法は、電子線の照射によるパターン形成に関して、比較例に比べて、高感度で高解像力であり、パターン形状、PEB温度依存性も優れていることがわかる。
【0140】
3.実施例21〜25及び比較例2〜3
レジスト組成物として実施例1と同じものを用い、表2に示すようにレジストの膜厚を変更した以外は実施例1と同様にして、感度、解像力、PEB温度依存性、パターン形状を評価した。
【0141】
【表3】
【0142】
表2から、本発明のポジ型パターン形成方法は、電子線の照射によるパターン形成に関して、比較例に比べて、高感度で高解像力であり、パターン形状、PEB温度依存性も優れていることがわかる。
【0143】
<EUV露光による評価>
実施例21及び比較例4
上記実施例1及び比較例1のレジスト組成物を用い、実施例1と同様の方法でレジスト膜を得た。レジスト膜厚は120nmとした。得られたレジスト膜にEUV光(波長13nm)を用いて、露光量を0〜5.0mJの範囲で0.5mJづつ変えながら面露光を行い、さらに110℃、90秒ベークした。その後2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、各露光量での溶解速度を測定し、感度曲線を得た。この感度曲線において、レジストの溶解速度が飽和するときの露光量を感度とし、また感度曲線の直線部の勾配から溶解コントラスト(γ値)を算出した。γ値が大きいほど溶解コントラストに優れている。
結果を表3に示す。
【0144】
【表4】
【0145】
表3から、本発明のポジ型パターン形成方法は、EUV光の照射による特性評価において、比較例に比べて、高感度で高コントラストであり、優れていることがわかる。
【0146】
【発明の効果】
本発明により、電子線、X線、又はEUV光の照射によるパターン形成に関して、感度、解像力に優れ、さらにはパターン形状、PEB温度依存性にも優れたポジ型パターン形成方法を提供できる。
Claims (5)
- (A) フェノール性水酸基とともに、フェノール性水酸基がアセタール基又はケタール基で保護された基を有する、アルカリ現像液に不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる性質を有するフェノール性樹脂、
(B)電子線、X線、又はEUV光の照射によりスルホン酸を発生する化合物及び(C)溶剤を含むポジ型レジスト組成物を、基板上に250nm以下の膜厚で塗布する工程(a) 、
電子線、X線、又はEUV光を用いてパターン露光する工程(b)、及び
現像する工程(c) を有することを特徴とするポジ型レジストパターン形成方法。 - 当該ポジ型レジスト組成物が更に含窒素塩基性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型レジストパターン形成方法。
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