JP2004347829A - 光コネクタ用フェルールおよびコネクタ付光ファイバ - Google Patents
光コネクタ用フェルールおよびコネクタ付光ファイバ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】精密加工が必要なフェルール挿通孔や不具合の原因となる接着剤固定を回避して低コスト化および信頼性を向上させた光コネクタフェルールおよび光ファイバを提供する。
【解決手段】フェルールを光ファイバと直接融着可能な材料で構成し、内部にコア−クラッド構造による光導波路を形成する。光導波路は、例えばフェルール内部にレーザ光を集光照射し、その集光点をフェルール内部で相対移動させて形成する。フェルールの端部には光ファイバの位置決めおよび融着用の凸部、凹部、またはV溝突出部を設けて、光ファイバを直接融着する。
【選択図】 図1
【解決手段】フェルールを光ファイバと直接融着可能な材料で構成し、内部にコア−クラッド構造による光導波路を形成する。光導波路は、例えばフェルール内部にレーザ光を集光照射し、その集光点をフェルール内部で相対移動させて形成する。フェルールの端部には光ファイバの位置決めおよび融着用の凸部、凹部、またはV溝突出部を設けて、光ファイバを直接融着する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフェルールおよび光コネクタ付光ファイバに関し、特に、フェルールの挿通孔および光ファイバの接着固定を不要として簡易かつ安価に製造することができるフェルールおよびコネクタ付光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信で用いられる簡易接続用光ファイバコネクタの構成を図9に示す。図9に示すように、光コネクタ40は光ファイバを固定するフェルール50と、フェルールを覆うハウジング部41で構成されている。図10はフェルール50と光ファイバの接続を示す図である。図10(a)に示すように、光ファイバ心線60は光ファイバ61と、光ファイバ61の周囲を覆う被覆部62とで構成されている。フェルール50は光ファイバ心線60を収容する金属製のフランジ51と、例えばセラミック材料からなり中心に挿通孔52が設けられたキャピラリ53とを備える。
【0003】
図10(b)に示すように、フランジ51の内部に光ファイバ心線60が導入され、キャピラリ53の挿通孔52に光ファイバ61が挿入される。光ファイバの挿入時にはフランジ51の空洞およびキャピラリ53の挿通孔52に接着剤を塗布または充填し、フェルールに光ファイバを固着させる。その後にフェルールの端面を研磨して低接続損失および低反射減衰量を得る。光ファイバの接続では直径10μm程度のコア部分同士を正確に位置合わせする必要があるため、フェルール50の製造および研磨には高精度の加工技術が要求される。なお、このような光ファイバコネクタの例が特許文献1に記載されている。
【0004】
一方、本願発明の前提となる従来技術として、ガラス材料の内部にレーザを集光して光導波路を形成する方法がある(例えば、特許文献2)。この技術では、光誘起屈折率変化を起こすレーザ光をガラス材料の内部に集光しながら集光点を連続的に移動させることにより、ガラス材料の内部に連続した屈折率変化領域すなわち光導波路を形成する。このようにして得られた光導波路は、コアとクラッドとの間に明確な界面が存在しないことから界面損失が極めて少なく、光集積回路等に有効に用いることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−98379号公報(図8)
【特許文献2】
特開平9−311237号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の光ファイバコネクタには、以下のような問題があった。第1に、上述したように光ファイバの接続ではフェルールの表面粗さ、内外径、円心度、挿通孔の中心度等に高度の精密加工が要求されており、高品質を達成するためにフェルールの製造に多くの工程がかかり、フェルールが高価なものになるという問題がある。
【0007】
第2に、従来はフェルールの挿通孔に接着剤を充填してフェルールと光ファイバを固定しているため、コネクタの製造工程において接着剤の保管や配合、硬化温度および硬化時間等の品質管理が必要となり、この品質管理に手間がかかり作業性が悪いという問題がある。
【0008】
第3に、光ファイバとフェルールとの結合は接着剤で異なる材質を固着させるため、各材料の熱膨張率が異なることにより、温度サイクルをかけた場合に光ファイバの突き出し、凹み、接着剤の応力等によるストレスが生じ、部材間の剥離や光ファイバの断線等の問題が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は上記のような問題に鑑みなされたものであり、光ファイバと直接融着可能な材料でフェルールを構成し、内部にコア−クラッド構造による光導波路を形成することにより、精密加工が必要な挿通孔や不具合の原因となる固着方法を回避して光ファイバコネクタの低コスト化および信頼性を向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本願第1発明は、光ファイバコネクタ用のフェルールであって、光ファイバと融着可能な材料で構成され、その内部全長に亘って屈折率を変化させた光導波路が形成されており、当該光導波路の端部に前記光ファイバとの融着部を具えることを特徴とする光コネクタ用フェルールに関する。
ここで、前記光導波路は前記フェルール内部にレーザ光を集光照射し、その集光点を前記フェルール内部で相対移動させて形成することができる。あるいは、このフェルールは前記光ファイバと同様の製造工程により、前記光ファイバとほぼ同じ直径のコア部の周囲にクラッド層および被覆層を形成して構成することができる。
【0011】
このように、本発明ではフェルールの内部にコア−クラッド構造による光導波路を形成して光ファイバと融着接続するため、光ファイバの挿通孔や接着剤の使用を不要として作業性を向上させ製造コストの削減を図ることができる。また、接着剤で異なる材料を固着する構成としていないため、熱サイクルによる光ファイバの断線を防止することができる。
【0012】
本発明の光コネクタ用フェルールにおいて、前記フェルールの融着部は前記光ファイバとの融着用の凸部または凹部またはV字型突出部として構成することが有効である。これにより、フェルールに光ファイバケーブルを接続する際の位置決めおよび融着を容易にして作業性を向上させることができる。
【0013】
また、前記フェルール内部に前記光導波路を複数平行して形成することにより、多心ファイバ用の光コネクタ用フェルールとして構成してもよい。
【0014】
本願第2発明は、上記の光コネクタ用フェルールが光ファイバ心線の端末に融着接続されていることを特徴とするコネクタ付光ファイバに関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。図1は本発明に係る光コネクタ用フェルールの第1実施形態を示す図である。図1(a)に断面図を示すように、このフェルール1は図10に示す従来のフェルール50におけるフランジ51とキャピラリ53とを一体的に成型した形状を有し、接続する光ファイバと融着可能な材料で無垢に形成される。
【0016】
このフェルール1には、例えば石英ガラス、シリカガラス、ハロゲン化ガラス等のガラス材料を上記形状に成型した後、図1(b)に示すようにフェルール1内部にパルスレーザ光5を集光照射することにより、図1(c)に示すようにその中心軸に沿って光導波路10が形成されている。より具体的には、ピークパワー強度105W/cm2以上のフェムト秒パルスレーザをレンズ等の集光装置6を用いてフェルール1の中心軸上に集光するとともに、フェルール1と集光装置6を相対的に動かして図1(b)に矢印で示すように集光点をフェルールの軸方向に連続的に移動させると、集光点の屈折率が変化して断面が直径10〜20μmの円形のコア部となり、それ以外の部分がクラッド層となる。コアとクラッドとの間に明確な界面が存在しないことから界面損失が極めて少ない光導波路を得ることができる。
【0017】
この光導波路の形成方法は光集積回路等の製造方法として前述した特許文献1(特開平9−311237号公報)等に開示されており、本願発明者がこのたび光ファイバコネクタ用フェルールへの応用を想起するに至ったものである。これにより、従来のように高度な精密加工にてフェルールに挿通孔を設けたり、接着剤を挿通孔に充填して光ファイバを固定したりすることが不要となり、作業性やフェルールの信頼性を向上することができる。
【0018】
このように構成したフェルールの実施例を図2〜図7に示す。図2に示すフェルール20では、光ファイバ接続側端部に位置決め及び融着用の凸部20aが設けられている。図2(a)に示すように、凸部20aはフェルール20の光ファイバ接続側端面において光導波路10の延長線上に形成されており、光ファイバ61とほぼ同じ直径で融着し易い長さにする。この凸部20aに光ファイバ61を融着することによりフェルール20と光ファイバ心線60を接続する。この融着は光ファイバ同士の融着接続と同様に、例えばアーク放電等により実施することができる。
【0019】
図3に示すフェルール21では、上記実施例の凸部20aとは逆に光ファイバ接続側端部に凹部21aが設けられている。この凹部21aもフェルール21における光導波路10の端部に設けられており、凹部21aに光ファイバ61を融着接続することにより光ファイバ61と光導波路10が接続される。
【0020】
図4は、第3実施例であるフェルール22の光ファイバ接続側部の構成を示す拡大図である。図4に示すように、フェルール22の光ファイバ接続側端面には光ファイバ61を位置決めするための融着用V溝22a(V字型突出部)が設けられている。このV溝22aの斜面に光ファイバ61を配置して、光ファイバ61の端面とV溝の当接部22bを融着する。当接部22bは光導波路10の端部にあり、融着によって光ファイバ61と光導波路10が接続される。
【0021】
なお、上記凸部20a、凹部21a、V溝22aは必須の構成要素ではなく、フェルールにおける光ファイバ接続側端面を平面に構成してもよい。その場合も光ファイバ心線を光導波路端部に正確に位置合わせして融着接続する。
【0022】
図5に示すフェルール23は、上記フェルール20〜22とは異なる円柱形状に形成され、さらに金属部品23aと一体的に構成される。このように、上記実施例のフェルール20〜22は図9に示される従来のハウジング41をそのまま適用できるように従来のフェルール50と同じ形に成型されているが、本発明に係るフェルールは内部の光導波路を確保すれば外形は実施環境に応じて適宜変化させることができる。
【0023】
図6に示す実施例では、フェルール24の光導波路10の端面部近傍10aの径が意図的に大きく構成されている。このような光導波路10は、例えば集光照射するレーザ光の強度を部分ごとに調整することにより得ることができる。このように光導波路10を端面部で若干広くなるように構成すると、このフェルール23を用いた光コネクタの接続において入射光を広く捉えることができ、接続損失の減少を実現することができる。なお、これとは逆に光導波路10の端面部近傍の径を小さく構成し接合効率を高めるようにしてもよい。
【0024】
図7に立面図を示す実施例は多心コネクタ用のフェルール25であり、フェルール内部に複数の光導波路を平行に形成して多心用光ファイバとの融着を可能としている。この多心コネクタのフェルール25も図1に示すような方法、すなわちカラス材料の内部にパルスレーザ光を集光照射して光導波路を形成する方法で容易に製造することができる。ここで、試料内部へのパルスレーザの集光による光導波路形成では複数の光導波路を平面的に並べたものに限らず立体的に並べて構成することも可能であり、例えば12心×5段の60心コネクタ等を製造することができる。なお、本願発明の特徴部分ではないので図示は省略するが、多心コネクタ用フェルールは高精度な外径寸法を有するアライメントピンなど必要な要素を具えるものとする。
【0025】
次に、本発明に係る光コネクタ用フェルールの第2実施形態について説明する。図8は本実施形態に係るフェルール26の構成を示す図である。このフェルール26は、言うなれば一本の太い光ファイバ心線の構成を有する。すなわち、内側に光を伝搬するコア部27があり、その周囲にクラッド層28および被覆層29が設けられ円柱形状に構成されている。ただし、コア部27の直径はこのフェルール26に接続する光ファイバのコアと一致させて10μm程度に設計し、それ以外の部分をクラッド層28および被覆層29で構成する。この構成により、コア部27が光導波路として構成されたフェルールを得ることができる。
【0026】
このフェルール26は、光ファイバ心線と同様の製造方法、すなわち不純物をガラスに加えコア部とクラッド部を生成した後に線引き工程を実施して製造する。このとき線引き後にフェルールの外径となるようにし、また、上記のコア径が達成されるようにコア部とクラッド部の比率を決定する。このようにフェルール26を構成すれば、従来のような挿通孔を不要としたフェルールを得ることができる。
【0027】
なお、上記第2実施形態に係るフェルール26にも、図2〜図5に示すような凹部20a、凸部21a、V溝22aのいずれかを設けて構成してもよい。また、フェルール26とハウジング部との組み立てが容易となるよう適宜加工した形状としてもよい。
【0028】
上記のようにして得たフェルール20〜26を用いて、フェルール内部に形成した光導波路の端部に光ファイバ61を融着接続し、図9に示すようなコネクタハウジング41を取り付けてコネクタ付光ファイバを構成する。ここで図2に示すように融着部を凸部形状に構成している場合、光ファイバが融着する際に表面張力が働くため、光ファイバのコアとフェルールの光導波路との軸合わせが多少不完全であっても表面が最もスムーズになるように自己調心作用が働いて固定される。このフェルールを端末に融着接続してなる光ファイバケーブルは比較的安価に製造することができ信頼性も高いものとなる。
【0029】
本発明の実施例をいくつか説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、他の様々な実施例として実現することができる。特に、上述のように第1実施例のフェルールの形状は自由に変更可能であり、接続する相手方コネクタの形状等の実施条件に応じて適宜決定することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明のフェルールは、光ファイバと直接融着可能な材料からなり、内部にコア−クラッド構造による光導波路を形成しているため、従来のフェルールのように挿通孔に接着剤で光ファイバを固定する必要がなく、フェルール端部に光ファイバを直接に融着接続することができる。この構成により、フェルールを比較的低コストで製造することができるとともに、接着剤の面倒な取り扱いを不要として作業性を向上させ、さらに、異なる素材を接着することによる断線の問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフェルールの実施形態の構成を示す図である。
【図2】第1実施例に係るフェルールの構成を示す図である。
【図3】第2実施例に係るフェルールの構成を示す斜視図である。
【図4】第3実施例に係るフェルールの構成を示す斜視図である。
【図5】第4実施例に係るフェルールの構成を示す斜視図である。
【図6】第5実施例に係るフェルールの構成を示す図である。
【図7】第6実施例に係る多心コネクタ用フェルールの構成を示す図である。
【図8】本発明に係るフェルールの別の実施形態を説明する図である。
【図9】フェルールを用いた光ファイバコネクタの外観を示す図である。
【図10】従来のフェルールの構成を説明する図である。
【符号の説明】
1、20、21、22、23、24、25、26 光コネクタ用フェルール
10 光導波路
20a 凸部
21a 凹部
22a V溝
27 コア部
28 クラッド層
29 被覆部
40 光コネクタ
41 コネクタハウジング
51 フランジ
52 挿通孔
53 キャピラリ
60 光ファイバ心線
61 光ファイバ
62 被覆
【発明の属する技術分野】
本発明はフェルールおよび光コネクタ付光ファイバに関し、特に、フェルールの挿通孔および光ファイバの接着固定を不要として簡易かつ安価に製造することができるフェルールおよびコネクタ付光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信で用いられる簡易接続用光ファイバコネクタの構成を図9に示す。図9に示すように、光コネクタ40は光ファイバを固定するフェルール50と、フェルールを覆うハウジング部41で構成されている。図10はフェルール50と光ファイバの接続を示す図である。図10(a)に示すように、光ファイバ心線60は光ファイバ61と、光ファイバ61の周囲を覆う被覆部62とで構成されている。フェルール50は光ファイバ心線60を収容する金属製のフランジ51と、例えばセラミック材料からなり中心に挿通孔52が設けられたキャピラリ53とを備える。
【0003】
図10(b)に示すように、フランジ51の内部に光ファイバ心線60が導入され、キャピラリ53の挿通孔52に光ファイバ61が挿入される。光ファイバの挿入時にはフランジ51の空洞およびキャピラリ53の挿通孔52に接着剤を塗布または充填し、フェルールに光ファイバを固着させる。その後にフェルールの端面を研磨して低接続損失および低反射減衰量を得る。光ファイバの接続では直径10μm程度のコア部分同士を正確に位置合わせする必要があるため、フェルール50の製造および研磨には高精度の加工技術が要求される。なお、このような光ファイバコネクタの例が特許文献1に記載されている。
【0004】
一方、本願発明の前提となる従来技術として、ガラス材料の内部にレーザを集光して光導波路を形成する方法がある(例えば、特許文献2)。この技術では、光誘起屈折率変化を起こすレーザ光をガラス材料の内部に集光しながら集光点を連続的に移動させることにより、ガラス材料の内部に連続した屈折率変化領域すなわち光導波路を形成する。このようにして得られた光導波路は、コアとクラッドとの間に明確な界面が存在しないことから界面損失が極めて少なく、光集積回路等に有効に用いることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−98379号公報(図8)
【特許文献2】
特開平9−311237号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の光ファイバコネクタには、以下のような問題があった。第1に、上述したように光ファイバの接続ではフェルールの表面粗さ、内外径、円心度、挿通孔の中心度等に高度の精密加工が要求されており、高品質を達成するためにフェルールの製造に多くの工程がかかり、フェルールが高価なものになるという問題がある。
【0007】
第2に、従来はフェルールの挿通孔に接着剤を充填してフェルールと光ファイバを固定しているため、コネクタの製造工程において接着剤の保管や配合、硬化温度および硬化時間等の品質管理が必要となり、この品質管理に手間がかかり作業性が悪いという問題がある。
【0008】
第3に、光ファイバとフェルールとの結合は接着剤で異なる材質を固着させるため、各材料の熱膨張率が異なることにより、温度サイクルをかけた場合に光ファイバの突き出し、凹み、接着剤の応力等によるストレスが生じ、部材間の剥離や光ファイバの断線等の問題が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は上記のような問題に鑑みなされたものであり、光ファイバと直接融着可能な材料でフェルールを構成し、内部にコア−クラッド構造による光導波路を形成することにより、精密加工が必要な挿通孔や不具合の原因となる固着方法を回避して光ファイバコネクタの低コスト化および信頼性を向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本願第1発明は、光ファイバコネクタ用のフェルールであって、光ファイバと融着可能な材料で構成され、その内部全長に亘って屈折率を変化させた光導波路が形成されており、当該光導波路の端部に前記光ファイバとの融着部を具えることを特徴とする光コネクタ用フェルールに関する。
ここで、前記光導波路は前記フェルール内部にレーザ光を集光照射し、その集光点を前記フェルール内部で相対移動させて形成することができる。あるいは、このフェルールは前記光ファイバと同様の製造工程により、前記光ファイバとほぼ同じ直径のコア部の周囲にクラッド層および被覆層を形成して構成することができる。
【0011】
このように、本発明ではフェルールの内部にコア−クラッド構造による光導波路を形成して光ファイバと融着接続するため、光ファイバの挿通孔や接着剤の使用を不要として作業性を向上させ製造コストの削減を図ることができる。また、接着剤で異なる材料を固着する構成としていないため、熱サイクルによる光ファイバの断線を防止することができる。
【0012】
本発明の光コネクタ用フェルールにおいて、前記フェルールの融着部は前記光ファイバとの融着用の凸部または凹部またはV字型突出部として構成することが有効である。これにより、フェルールに光ファイバケーブルを接続する際の位置決めおよび融着を容易にして作業性を向上させることができる。
【0013】
また、前記フェルール内部に前記光導波路を複数平行して形成することにより、多心ファイバ用の光コネクタ用フェルールとして構成してもよい。
【0014】
本願第2発明は、上記の光コネクタ用フェルールが光ファイバ心線の端末に融着接続されていることを特徴とするコネクタ付光ファイバに関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。図1は本発明に係る光コネクタ用フェルールの第1実施形態を示す図である。図1(a)に断面図を示すように、このフェルール1は図10に示す従来のフェルール50におけるフランジ51とキャピラリ53とを一体的に成型した形状を有し、接続する光ファイバと融着可能な材料で無垢に形成される。
【0016】
このフェルール1には、例えば石英ガラス、シリカガラス、ハロゲン化ガラス等のガラス材料を上記形状に成型した後、図1(b)に示すようにフェルール1内部にパルスレーザ光5を集光照射することにより、図1(c)に示すようにその中心軸に沿って光導波路10が形成されている。より具体的には、ピークパワー強度105W/cm2以上のフェムト秒パルスレーザをレンズ等の集光装置6を用いてフェルール1の中心軸上に集光するとともに、フェルール1と集光装置6を相対的に動かして図1(b)に矢印で示すように集光点をフェルールの軸方向に連続的に移動させると、集光点の屈折率が変化して断面が直径10〜20μmの円形のコア部となり、それ以外の部分がクラッド層となる。コアとクラッドとの間に明確な界面が存在しないことから界面損失が極めて少ない光導波路を得ることができる。
【0017】
この光導波路の形成方法は光集積回路等の製造方法として前述した特許文献1(特開平9−311237号公報)等に開示されており、本願発明者がこのたび光ファイバコネクタ用フェルールへの応用を想起するに至ったものである。これにより、従来のように高度な精密加工にてフェルールに挿通孔を設けたり、接着剤を挿通孔に充填して光ファイバを固定したりすることが不要となり、作業性やフェルールの信頼性を向上することができる。
【0018】
このように構成したフェルールの実施例を図2〜図7に示す。図2に示すフェルール20では、光ファイバ接続側端部に位置決め及び融着用の凸部20aが設けられている。図2(a)に示すように、凸部20aはフェルール20の光ファイバ接続側端面において光導波路10の延長線上に形成されており、光ファイバ61とほぼ同じ直径で融着し易い長さにする。この凸部20aに光ファイバ61を融着することによりフェルール20と光ファイバ心線60を接続する。この融着は光ファイバ同士の融着接続と同様に、例えばアーク放電等により実施することができる。
【0019】
図3に示すフェルール21では、上記実施例の凸部20aとは逆に光ファイバ接続側端部に凹部21aが設けられている。この凹部21aもフェルール21における光導波路10の端部に設けられており、凹部21aに光ファイバ61を融着接続することにより光ファイバ61と光導波路10が接続される。
【0020】
図4は、第3実施例であるフェルール22の光ファイバ接続側部の構成を示す拡大図である。図4に示すように、フェルール22の光ファイバ接続側端面には光ファイバ61を位置決めするための融着用V溝22a(V字型突出部)が設けられている。このV溝22aの斜面に光ファイバ61を配置して、光ファイバ61の端面とV溝の当接部22bを融着する。当接部22bは光導波路10の端部にあり、融着によって光ファイバ61と光導波路10が接続される。
【0021】
なお、上記凸部20a、凹部21a、V溝22aは必須の構成要素ではなく、フェルールにおける光ファイバ接続側端面を平面に構成してもよい。その場合も光ファイバ心線を光導波路端部に正確に位置合わせして融着接続する。
【0022】
図5に示すフェルール23は、上記フェルール20〜22とは異なる円柱形状に形成され、さらに金属部品23aと一体的に構成される。このように、上記実施例のフェルール20〜22は図9に示される従来のハウジング41をそのまま適用できるように従来のフェルール50と同じ形に成型されているが、本発明に係るフェルールは内部の光導波路を確保すれば外形は実施環境に応じて適宜変化させることができる。
【0023】
図6に示す実施例では、フェルール24の光導波路10の端面部近傍10aの径が意図的に大きく構成されている。このような光導波路10は、例えば集光照射するレーザ光の強度を部分ごとに調整することにより得ることができる。このように光導波路10を端面部で若干広くなるように構成すると、このフェルール23を用いた光コネクタの接続において入射光を広く捉えることができ、接続損失の減少を実現することができる。なお、これとは逆に光導波路10の端面部近傍の径を小さく構成し接合効率を高めるようにしてもよい。
【0024】
図7に立面図を示す実施例は多心コネクタ用のフェルール25であり、フェルール内部に複数の光導波路を平行に形成して多心用光ファイバとの融着を可能としている。この多心コネクタのフェルール25も図1に示すような方法、すなわちカラス材料の内部にパルスレーザ光を集光照射して光導波路を形成する方法で容易に製造することができる。ここで、試料内部へのパルスレーザの集光による光導波路形成では複数の光導波路を平面的に並べたものに限らず立体的に並べて構成することも可能であり、例えば12心×5段の60心コネクタ等を製造することができる。なお、本願発明の特徴部分ではないので図示は省略するが、多心コネクタ用フェルールは高精度な外径寸法を有するアライメントピンなど必要な要素を具えるものとする。
【0025】
次に、本発明に係る光コネクタ用フェルールの第2実施形態について説明する。図8は本実施形態に係るフェルール26の構成を示す図である。このフェルール26は、言うなれば一本の太い光ファイバ心線の構成を有する。すなわち、内側に光を伝搬するコア部27があり、その周囲にクラッド層28および被覆層29が設けられ円柱形状に構成されている。ただし、コア部27の直径はこのフェルール26に接続する光ファイバのコアと一致させて10μm程度に設計し、それ以外の部分をクラッド層28および被覆層29で構成する。この構成により、コア部27が光導波路として構成されたフェルールを得ることができる。
【0026】
このフェルール26は、光ファイバ心線と同様の製造方法、すなわち不純物をガラスに加えコア部とクラッド部を生成した後に線引き工程を実施して製造する。このとき線引き後にフェルールの外径となるようにし、また、上記のコア径が達成されるようにコア部とクラッド部の比率を決定する。このようにフェルール26を構成すれば、従来のような挿通孔を不要としたフェルールを得ることができる。
【0027】
なお、上記第2実施形態に係るフェルール26にも、図2〜図5に示すような凹部20a、凸部21a、V溝22aのいずれかを設けて構成してもよい。また、フェルール26とハウジング部との組み立てが容易となるよう適宜加工した形状としてもよい。
【0028】
上記のようにして得たフェルール20〜26を用いて、フェルール内部に形成した光導波路の端部に光ファイバ61を融着接続し、図9に示すようなコネクタハウジング41を取り付けてコネクタ付光ファイバを構成する。ここで図2に示すように融着部を凸部形状に構成している場合、光ファイバが融着する際に表面張力が働くため、光ファイバのコアとフェルールの光導波路との軸合わせが多少不完全であっても表面が最もスムーズになるように自己調心作用が働いて固定される。このフェルールを端末に融着接続してなる光ファイバケーブルは比較的安価に製造することができ信頼性も高いものとなる。
【0029】
本発明の実施例をいくつか説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、他の様々な実施例として実現することができる。特に、上述のように第1実施例のフェルールの形状は自由に変更可能であり、接続する相手方コネクタの形状等の実施条件に応じて適宜決定することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明のフェルールは、光ファイバと直接融着可能な材料からなり、内部にコア−クラッド構造による光導波路を形成しているため、従来のフェルールのように挿通孔に接着剤で光ファイバを固定する必要がなく、フェルール端部に光ファイバを直接に融着接続することができる。この構成により、フェルールを比較的低コストで製造することができるとともに、接着剤の面倒な取り扱いを不要として作業性を向上させ、さらに、異なる素材を接着することによる断線の問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフェルールの実施形態の構成を示す図である。
【図2】第1実施例に係るフェルールの構成を示す図である。
【図3】第2実施例に係るフェルールの構成を示す斜視図である。
【図4】第3実施例に係るフェルールの構成を示す斜視図である。
【図5】第4実施例に係るフェルールの構成を示す斜視図である。
【図6】第5実施例に係るフェルールの構成を示す図である。
【図7】第6実施例に係る多心コネクタ用フェルールの構成を示す図である。
【図8】本発明に係るフェルールの別の実施形態を説明する図である。
【図9】フェルールを用いた光ファイバコネクタの外観を示す図である。
【図10】従来のフェルールの構成を説明する図である。
【符号の説明】
1、20、21、22、23、24、25、26 光コネクタ用フェルール
10 光導波路
20a 凸部
21a 凹部
22a V溝
27 コア部
28 クラッド層
29 被覆部
40 光コネクタ
41 コネクタハウジング
51 フランジ
52 挿通孔
53 キャピラリ
60 光ファイバ心線
61 光ファイバ
62 被覆
Claims (6)
- 光ファイバコネクタ用のフェルールであって、光ファイバと融着可能な材料で構成され、その内部全長に亘って屈折率を変化させた光導波路が形成されており、当該光導波路の端部に前記光ファイバとの融着部を具えることを特徴とする光コネクタ用フェルール。
- 請求項1に記載の光コネクタ用フェルールにおいて、前記光導波路は前記フェルール内部にレーザ光を集光照射し、その集光点を前記フェルール内部で相対移動させて形成されることを特徴とする光コネクタ用フェルール。
- 請求項1に記載の光コネクタ用フェルールにおいて、当該フェルールが前記光ファイバと同様の製造工程により、前記光ファイバとほぼ同じ直径のコア部の周囲にクラッド層および被覆層を形成して構成されていることを特徴とする光コネクタ用フェルール。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の光コネクタ用フェルールにおいて、前記フェルールの融着部は前記光ファイバとの融着用の凸部または凹部またはV字型突出部として構成されていることを特徴とする光コネクタ用フェルール。
- 請求項1に記載の光コネクタ用フェルールにおいて、前記フェルール内部に前記光導波路が複数平行して形成されていることを特徴とする多心ファイバ用の光コネクタ用フェルール。
- 請求項1乃至5に記載の光コネクタ用フェルールが光ファイバ心線の端末に融着接続されていることを特徴とするコネクタ付光ファイバ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003144295A JP2004347829A (ja) | 2003-05-22 | 2003-05-22 | 光コネクタ用フェルールおよびコネクタ付光ファイバ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003144295A JP2004347829A (ja) | 2003-05-22 | 2003-05-22 | 光コネクタ用フェルールおよびコネクタ付光ファイバ |
Publications (1)
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JP2004347829A true JP2004347829A (ja) | 2004-12-09 |
Family
ID=33531770
Family Applications (1)
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JP2003144295A Pending JP2004347829A (ja) | 2003-05-22 | 2003-05-22 | 光コネクタ用フェルールおよびコネクタ付光ファイバ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004347829A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7309167B2 (en) * | 2005-02-22 | 2007-12-18 | Innovaquartz Inc. | High energy fiber terminations and methods |
-
2003
- 2003-05-22 JP JP2003144295A patent/JP2004347829A/ja active Pending
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US7309167B2 (en) * | 2005-02-22 | 2007-12-18 | Innovaquartz Inc. | High energy fiber terminations and methods |
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