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JP2004344755A - ゼオライト複合薄膜 - Google Patents

ゼオライト複合薄膜 Download PDF

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JP2004344755A
JP2004344755A JP2003143922A JP2003143922A JP2004344755A JP 2004344755 A JP2004344755 A JP 2004344755A JP 2003143922 A JP2003143922 A JP 2003143922A JP 2003143922 A JP2003143922 A JP 2003143922A JP 2004344755 A JP2004344755 A JP 2004344755A
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Hiroyuki Hanabatake
博之 花畑
Masayoshi O
王  正宝
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

【課題】多孔性の支持体上にクラックやピンホールのないゼオライト薄膜を配置した複合膜であって、分離性能を損なうことなく被分離物質の高い透過速度を有する複合膜の提供に関する。
【解決手段】平均孔径が0.3nm〜500nmの多孔性支持体上に、ZSM−5またはA型ゼオライト膜が担持されてなる複合膜であって、該ゼオライトのX線回折で得られたチャートの最大ピークにおいて、X線入射角度を0°から回折ピーク角の2θまで変化させて測定したロッキングカーブの半値幅が0.05〜10°であることを特徴とする複合膜。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は多孔性支持体と配向性ゼオライト薄膜とからなる複合膜であって、主に気体・液体の分離を用途とするものに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体または気体の混合物の分離膜には、ポリスルホンやポリイミドなどの高分子材料に代表される有機質材料が使用されているが、耐熱性、耐久性、さらには分離の際の選択性や透過速度などに問題が残されていた。
近年、このような有機質材料の問題点を解決するため、有機質材料に置き換わるものとして無機質材料を用いた分離膜が研究されつつあり、その中でもとりわけ、ゼオライト結晶中の孔径が均一で高い分離性能を示すゼオライト多孔膜が注目されている。
【0003】
しかし、ゼオライトの成形性があまり優れないために、多孔体上に積層するとクラックやピンホールといった欠陥部分が発生し、充分な分離性能を得ることができていない。これに対して、これらの欠陥部分を被う方法として、膜厚を厚くする方法が一般的な方法として採用されている。しかし、厚膜化によって、分離性能は達成できるものの透過速度が著しく小さくなってしまい、工業生産性の面で問題が生じている。
【0004】
具体的には、多孔性支持体の上に直接、種結晶法によりゼオライト膜を積層する方法が報告されているが(たとえば、非特許文献1参照。)、得られた膜の膜厚は10μmよりも厚く、透過速度が小さいため被分離ガスまたは液体の処理量が少ないという問題が生じているのである。
すなわち分離性能と工業生産性の両方を同時に満足するゼオライトを有する複合膜は得られていないのである。
【0005】
【非特許文献1】
A. Gouzinis, M. Tsapatsis,Chem.Mater.10(1998)2497
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、本発明の課題は多孔性の支持体上にクラックやピンホールのないゼオライト薄膜を配置した複合膜であって、分離性能を損なうことなく被分離物質の高い透過速度を有する複合膜の提供に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、平均孔径が0.3nm〜500nmの多孔性支持体上に、ZSM−5またはA型ゼオライト膜が担持されて成る複合膜であって、X線回折で得られたチャートの最大ピークのX線入射角度を0°から回折ピーク角の2θまで変化させて測定したロッキングカーブの半値幅が0.05〜10°であることを特徴とする複合膜が上記課題を解決することを見出し本発明を完成した。
【0008】
以下本発明の複合膜について説明する。
本発明の複合膜を構成するゼオライトは、SiOを含むZSM−5型またはA型のゼオライトであり、これらを構成する単結晶が規則的に配向した膜は高い分離性能を示す。
ここにZSM−5型とは試料のX線回折チャートのパターンがICDD−JCPDS(International Center for Diffraction Data− Joint Center for Powder Diffraction)カードのZSM−5型のパターンと同一になったものを言う。
【0009】
このZSM−5型のゼオライトは、単結晶がb軸方向に10員環からなる直線状の細孔を有し、a軸方向には10員環からなるジグザグな細孔を有する構造上の特徴がある。
そして、本発明の複合膜では用いるZSM−5型のゼオライトは、b軸またはc軸が本発明に用いる多孔性支持体表面に対して垂直に配置することを特徴とする。
【0010】
尚、ZSM−5の中でもアルミニウムを含有しないものを特にシリカライトゼオライトと言う。
一方、本発明に用いるA型ゼオライトは主成分のSiOのSiがアルミニウムで部分的に置換された立方晶系のゼオライトであり、最大細孔径が0.42nmの8員環からなる細孔を有し、複合膜ではa軸が本発明に用いる多孔性支持体に対して垂直に配置することを特徴とする。
【0011】
尚、本発明に用いるA型ゼオライトについても、上記のZSM−5型のゼオライトの場合と同様に、X線回折チャートのパターンがICDD−JCPDSカードのA型ゼオライトのパターンと同一になったものを言う。
本発明のゼオライト膜中のゼオライトの結晶配向性は、X線回折分析により確認できる。
本明細書中、ゼオライト膜が配向しているとは、上記のゼオライト単結晶が規則的に配向して膜を形成していることを言い、X線回折測定で得られるチャートに回折ピークが存在し、かつ、最大の回折ピークについて入射角0°から回折ピーク角の2θまでのロッキングカーブの半値幅が0.05°〜10°であること、好ましくは0.05°〜9°、より好ましくは0.1°〜8°であることを言う。
【0012】
ロッキングカーブの半値幅が0.05°であることは、各ゼオライト単結晶がすべて同一方向に配向していることを意味する。一方、半値幅が10°を越えるとゼオライト膜の配向性が悪くなり、後述するようにピンホールやクラック発生が起こりやすくなり、十分な分離性能が得られなくなるので好ましくない。
又、本発明に用いるゼオライトはX線回折で得られるチャートの各ピークを分析することから結晶面の配向軸を決定することもできる。即ち、得られるチャートの各ピークを(h,k,l)面(但し、h,k,lはそれぞれ正整数)に同定することでゼオライトがいずれの軸方向に配向しているかを示すことが可能となる。例えば、各ピークが(k,0,0)面配向と表されれば、ゼオライト結晶のa軸が多孔性支持体表面に対して垂直に配向していることを示し、(0,k,0)面配向と表されれば、ゼオライト結晶のb軸が多孔性支持体表面に対して垂直に配向していることを示す。さらに(0、0、h)面配向と表されれば、ゼオライト結晶のc軸が多孔性支持体表面に対して垂直に配向していることを示す。
【0013】
ここで、(h,k,l)面の配向面の確定方法について説明する。
まず膜表面からX線を照射して測定したX線回折チャートから、回折ピーク角2θを求め、さらにブラッグの式からd(面間隔)もあわせて求める。これらの値と、粉末試料の回折パターンを上記のICDD−JCPDSカードと照合することにより、試料の配向面(h,k,l)面を同定できる。
多孔性支持体上に配置された本発明に用いることのできるゼオライト膜はゼオライト単結晶の配向方向が一様であるため、従来膜のような結晶粒界部に発生するピンホールが著しく少なく、また膜厚を10μm以下の極薄膜とすることができるので、クラック発生も著しく抑制される。そのため、被分離物質の高い透過速度を維持した状態でゼオライトによる分離性能を発揮することが可能となったものである。
【0014】
本発明のゼオライト膜の膜厚は後述の製造法により制御できる。好ましい範囲は0.01μm〜10μmである。膜厚が0.01μmよりも薄いと所望する分離性能が得られないし、逆に10μmを超えると被分離物質の透過速度が激減するので好ましくない。尚、より好ましい膜厚範囲は0.1μm〜10μm、特に好ましい膜厚範囲は0.1μm〜2μmである。
以上、本発明に用いることが可能なゼオライトについて説明したが、中でもZSM−5型でアルミニウムを含有しないシリカライトゼオライトが好ましい。
【0015】
次に本発明に用いる多孔性支持体について説明する。
本発明に用いる多孔性支持体としては、非晶性シリカ、ガラス、アルミナ、ジルコニア、チッ化ケイ素、 炭化ケイ素等のセラミックスおよびこれらの混合物からなるセラミックス、アルミニウム、銀、ステンレス等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリイミド等の有機高分子からなる多孔質材料を用いることができる。
【0016】
多孔性支持体の平均孔径は0.3nm〜500nm、気孔率が10〜90%程度のものが好適である。孔径は好ましくは0.5nm〜500nm、より好ましくは1nm〜300nmの孔径である。これらの内、特に平均孔径1nm〜300nm、気孔率10%〜50%のジルコニア、非晶性のシリカ、または、ジルコニアまたはアルミナ含有率が0.01wt%〜100wt%であるジルコニア−シリカ系セラミックスまたはアルミナ−シリカ系セラミックスが好ましい。
【0017】
特に、ジルコニア−シリカ系セラミックス支持体は、ゼオライト薄膜を積層する場合における強塩基性下での耐久性にも優れているので好ましい。
多孔質支持体の形状としては、平板状、レンコン状や管状などが挙げられるが、これらの中でレンコン状や管状のような円筒状であることが、支持体強度の面で好ましい。円筒状の中でも、細い中空繊維状のもの(中空糸)は表面積が著しく大きくできるという点で特に好ましい。
【0018】
そして、分離様式としてパーベーパレーション法(分離前後の被分離種がそれぞれ、液体および蒸気であるような分離法)、ベーパーパーミエーション法(分離前後の被分離種が両方とも気体であるような分離法)に用いられる分離膜の支持体として、またはナノフィルターや限外ろ過フィルターとして用いられる支持体としては、外径10μm〜5mm、長さ20cm〜100cmの中空糸であって、その厚さは10μm〜50μmのものが好ましい。
【0019】
以上、本発明に用いることができる多孔性支持体について説明した。
次に、本発明の多孔性支持体とゼオライト薄膜とからなる複合膜の製造法について説明する。
本発明の複合膜は、先ず、多孔性支持体に存在する孔部分が、後工程で除去可能な犠牲物質で充填された状態を形成する工程を有することを特徴とする。犠牲物質で孔が充填されることにより、多孔性支持体の表面全体が平坦化され、この状態で多孔性支持体表面に積層されたゼオライト膜は配向性が高くクラック、ピンホールのない薄膜化を達成できるからである。そして、このように多孔性支持体の孔および表面全体が犠牲物質で平滑化されたものに、ゼオライト膜を積層し、引き続き、犠牲物質を除去することで、被分離物質の透過速度を減少させることなく分離能を有する本発明の複合膜とすることができる。
【0020】
そこで、先ず、多孔性支持体の孔部分が犠牲物質で充填されて表面が平滑化された多孔性支持体の製造方法について説明する。
本発明で好適に用いることができる犠牲物質は、熱分解性の高分子物質、光分解性物質、さらに有機や無機溶剤によって溶解除去されるものであることが好ましい。
熱分解性の高分子物質としてはポリスルホン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアンハイドライド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリジエン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルアミド、ポリビニルアミン、ポリビニルエステル、ポリビニルアルコール、ポリハロゲン化ビニル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリイミン、ポリイミド、セルロース、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0021】
又、溶剤によって溶解除去される物質の一例としては、B−NaOが挙げられる。
多孔性支持体の孔部分が犠牲物質で充填され表面が平滑化された多孔性支持体とするには、たとえば先述したようなセラミックの粒子と、熱分解性の高分子物質および有機溶媒からなる紡糸原液を用い、これを乾湿式紡糸して得ることができる。得られた支持体の構造は、セラミック粒子同士が融着した多孔構造の空隙が熱分解性の高分子で充填された構造になっており、かつ、支持体表面は平滑化されている(例えば、特開平2−2846号公報)。
【0022】
上記のような支持体形状の形成と同時に支持体表面の平滑化を達成しうる製造方法の中でもスピノーダル分相と呼ばれる相分離法によって得られるホウケイ酸ガラスは、多孔性支持体としての多孔性ガラス(SiO)の多孔部を犠牲物質としてのB−NaOが充填した状態で成形することが可能なので、支持体形状の形成と同時に支持体表面の平滑化が可能であることに加えて多孔性支持体に用いる多孔性ガラスの化学組成が、ゼオライト膜と同じか、または類似しているため、多孔性ガラスにゼオライト膜を積層する場合、両者の接着性が向上するので好適である。
【0023】
そこで、このホウケイ酸ガラスを用いた中空糸形状の支持体の製造方法について詳細に説明する。
原料としてシリカSiO、ホウ酸HBOおよび炭酸ナトリウムNaCOとの混合物を、攪拌下、1200〜1400℃で加熱溶融したあとで、白金坩堝製の2重紡口を用いて、内側の紡口からは空気を、外側の紡口からは原料の加熱溶融液を吐出することにより、SiOとB−NaOの2成分に分相した状態での中空糸状のホウケイ酸ガラス繊維を得ることができる。得られたものは多孔性支持体が多孔性ガラスであって、その孔が犠牲物質B−NaOで充填された、表面が平滑な中空状の多孔性支持体とすることができる(たとえば、工業材料、2001年5月号、94〜97頁)。
【0024】
尚、本発明では、多孔性支持体の孔部分を犠牲物質で充填する方法として、多孔性支持体表面に直接、犠牲物質を塗布したあとで、表面を研磨して平滑性を高める、といった方法も可能である。
ここに、本発明における平滑な表面とは表面粗度が100nm以下の表面状態、好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下の表面状態であることをいう。
【0025】
以上のようにして得られた、多孔性支持体の孔部分が犠牲物質で充填されて表面が平滑化された支持体の表面には、次に、ゼオライト膜が積層される。
そこで次に、ゼオライト膜の積層方法について説明する。
ゼオライト膜の積層方法は具体的には2つの積層方法を採用することが可能であるので以下のそれぞれについて説明する。
まず、第一の方法として直接水熱合成法によるゼオライト膜の積層方法について説明する。
【0026】
直接水熱合成法では、表面を平滑化した支持体を、ゼオライト合成溶液中に浸漬し、オートクレーブを用いて水熱処理によりゼオライト膜を支持体表面上に積層する方法である。
ここにゼオライト合成溶液とは、ゼオライト原料、ゼオライト結晶化調整剤として用いる有機アミンおよび水を少なくとも含有する溶液を言う。
ゼオライト原料にはシリコン化合物及び/またはアルミニウム化合物を含有すればよい。シリコン化合物としては特定構造の4官能性アルコキシシラン、コロイド状シリカ、フュームドシリカ粉末、水ガラス等が用いられる。アルコキシシランは4官能性アルコキシシラン以外にその部分加水分解物および/または縮合物が含まれていてもよい。
【0027】
特定構造の4官能性アルコキシシランはアルコキシシランのうち4官能性のものから選ばれる。具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどである。
この中でテトラエトキシシランが特に好ましい。
【0028】
アルミニウム化合物の具体例として、金属アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水性コロイド状アルミナ、アルミナ粉末等が挙げられる。
尚、ゼオライト原料を構成するシリコン化合物とアルミニウム化合物の混合割合は、シリコン原子に対するアルミニウム原子のモル比として、0〜2となるように混合すればよい。
【0029】
尚、本発明では、アルミニウム以外のヘテロ原子を必要に応じてゼオライト原料に添加することも可能である。例えば、Fe、Zr、Ti、GaおよびBなどが挙げられる。
次にゼオライト結晶化調整剤として用いる有機アミンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニアなどを挙げることができる。その中でテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
【0030】
有機アミンの添加量は珪素原子1モルに対して0.01モル〜5モル、好ましくは0.1モル〜2モル、より好ましくは0.2モル〜0.6モルである。この塩基性化合物量が0.01モル未満または5モルを超えると、ゼオライト結晶が配向成長しない。
また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を上記のアミン以外にまたは併用して、ゼオライト結晶化調整剤として本発明のゼオライト合成溶液に添加してもよい。
【0031】
水の添加量は原料として仕込まれるゼオライト原料中の珪素原子1モル当たり、0.1モル〜200モルの範囲が好ましい。より好ましく20モル〜180モル、さらに好ましくは50モル〜180モルである。水の添加量がこの範囲にあると、緻密な膜ができるので好ましい。
本発明のゼオライト合成溶液中には、合成溶液の貯蔵安定性、積層性能および薄膜性能をより向上させるなどの目的から有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒の中で、特にアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒およびエステル系溶媒が好ましい。
【0032】
具体的にはエタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0033】
尚、本発明で用いるゼオライト合成溶液を製造する場合に、ゼオライト原料、ゼオライト結晶化調整剤、水および必要に応じて有機溶媒を同時に全量を添加しても良いし、一部を段階的に添加してもかまわない。さらに、アルコキシシランをゼオライト合成溶液に用いる場合には、各原料を混合したあとで、速やかにゼオライト膜を支持体上に積層しても構わないが、予め、アルコキシシランの一部を加水分解または縮合反応した後支持体上にゼオライト膜を積層してもよい。
【0034】
上記のようにして調製したゼオライト合成溶液に表面を平滑化した支持体を浸漬して支持体表面に直接水熱合成方法でゼオライト膜を積層するには、反応温度は製造されるゼオライト膜の種類によっても異なるが、一般に200℃以下、好ましくは50℃〜180℃であり、ゼオライト合成溶液組成を一定に保つために、通常オートクレーブなどの密閉容器内で合成される。200℃を超えるとゼオライト結晶の成長が早すぎて緻密な膜ができない。50℃よりも低い温度であったとしても今度は、結晶の成長が遅すぎて緻密な膜はできない。合成時間は1〜100時間、好ましくは2時間〜50時間、より好ましくは2時間〜10時間である。
【0035】
次に、もう一つの積層方法である種結晶法(二次成長法)について説明する。
この方法は、先記した直接水熱合成に用いたゼオライト合成溶液を用いて、表面を平滑化した支持体を浸漬することなく予めゼオライト合成溶液の段階で、ゼオライト微粒子にまで成長させたサスペンジョンとし、このサスペンジョンを表面を平滑化した支持体上へキャストして先ずキャスト体とする。その後、キャスト体を第一の方法である直接合成法に用いたと同様のゼオライト合成溶液中で水熱合成してキャストしたゼオライト微粒子を二次成長させてゼオライト膜を支持体表面へ積層するものである。
【0036】
そこで、以下に、予めゼオライト合成溶液の段階で、ゼオライト微粒子にまで成長させたサスペンジョンの調製方法について説明する。
予めゼオライト合成溶液の段階で水熱合成してゼオライト微粒子を調製するための合成溶液は先記した第一の方法である直接水熱合成法で用いるゼオライト合成溶液と同じ組成を用いることができるが、ゼオライト微粒子の粒子径の制御をするために水の量を原料として仕込む珪素原子1モル当たり、10モル〜150モルの範囲が好ましい。より好ましくは20モル〜120モルである。水の添加量がこの範囲にあると、20nm〜1500nmの適当なサイズの微粒子ができるので好ましい。
【0037】
水熱合成反応温度は製造されるゼオライト微粒子の構造によっても異なるが、一般に150℃以下、好ましくは50℃〜120℃であり、密閉容器で合成される。120℃を超えるとゼオライト結晶の成長が早すぎて、微粒子のサイズが大きくなりすぎる。50℃よりも低い温度であれば、結晶の成長が遅すぎて微粒子の生成ができない。合成時間は合成温度にもよるが、5時間〜300時間、好ましくは10時間〜200時間である。
【0038】
好ましい微粒子の大きさ(最大長)は20nm〜1500nmで、より好ましくは40nm〜1200nmである。粒子の大きさが20nm以下であると、理由ははっきりしないが、ゼオライト分離膜の分離機能が低下して好ましくない。逆に粒子の大きさが1500nmを越えると、粒子間に隙間ができやすくなり、この場合にも分離機能が低下する。
以上の方法で、予めゼオライト合成溶液の段階で、ゼオライト微粒子にまで成長させたサスペンジョンは引き続き表面を平滑化した支持体にキャストされる。
【0039】
表面を平滑化した支持体へサスペンジョンをキャストする方法として、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレー法などがあるが、支持体の形状が中空糸、レンコンおよび管状の場合にはディップコーティング(浸漬)やスプレー法が、また、支持体の形状が平板状の場合にはスピンコーティング法およびスプレー法が好ましい。
上記のキャスト体は60℃〜450℃で2〜3時間加熱処理した後、二次成長用のゼオライト合成溶液で、さらに、水熱合成される。
【0040】
具体的には、先記した第一の方法に用いたと同様のゼオライト合成溶液を調製し、その溶液中で、上記のキャスト体を水熱合成せしめるのである。
水熱合成のための温度と時間は、上記の直接合成法の条件と同じで、一般に200℃以下、好ましくは50℃〜180℃であり、合成時間は1時間〜100時間、好ましくは2時間〜50時間である。
尚、本発明のゼオライト微粒子サスペンジョンの中には、サスペンジョンの貯蔵安定性、積層性能および薄膜性能をより向上させるなどの目的から酸およびアルカリ溶液を添加してもよい。
【0041】
本発明のゼオライト膜の膜厚は、水熱合成溶液中の各構成成分濃度はじめ合成時間や温度などの水熱合成条件やキャスティング条件により制御することができる。
以上の2つの方法のいずれかにより表面を平滑化した支持体上にゼオライト膜を積層したものは、引き続き、支持体表面の平滑化に用いられた犠牲物質を除去することで、本発明のゼオライト膜が多孔性支持体上に積層されてなる複合膜とすることができる。
【0042】
犠牲物質を除去する方法には、加熱や有機溶剤、酸、塩基物質による溶解除去などが挙げられる。
加熱により除去する場合、加熱温度は用いる支持体の種類にもよるが、100℃〜1800℃。好ましくは、300℃〜1600℃である。
例えば、先に記載した多孔性支持体がガラス(SiO)で犠牲物質がB−NaOであるホウケイ酸ガラスの場合には犠牲物質であるB−NaOの除去は、一般の鉱酸、有機酸、無機、有機塩基が使用され、通常1Nの硫酸で100℃前後の温度下で、1時間以内で容易に除去することができる。
【0043】
また、多孔性支持体がアルミナAlであって犠牲物質にポリスルホンを用いた場合には、1500℃程度の加熱により、Alの焼結と同時に、ポリスルホンは完全に除去され、多孔性のアルミナ支持体とすることができる。
尚、犠牲物質の除去に紫外線や電子線などを使って、除去を促進してもよい。
また、多孔性支持体の形態が中空糸の場合には、ゼオライト合成溶液に浸漬或いはキャストする前にあらかじめ中空糸の先端部をエポキシ接着剤などで封止しておく必要がある。そして、封止した部分は、水熱合成後に切り落とすことになる。
【0044】
以上、本発明の多孔性支持体とゼオライト薄膜からなる複合膜の製造方法について説明したが、上記の製造方法で得られた複合膜はそのままでも分離性能を呈するが分離膜として用いる直前に400℃〜500℃で焼成することでより顕著な効果を呈し、特に犠牲物質を加熱処理以外の方法で除去した場合に効果を呈する。
本発明のゼオライトを有する複合膜は多孔性の支持体の孔を予め犠牲物質で充填して平滑化した後にゼオライト膜を積層し、その後、犠牲物質を除去するため、結晶配向性が高いゼオライト膜を薄く多孔性支持体上に形成できる。
【0045】
このため従来のような多孔性の支持体上の孔を直接ゼオライト膜で覆って複合膜を得る場合に比して、ゼオライトの結晶成長が支持体の孔の影響を受けて結晶成長方向がランダムとなることがなく、クラックやピンホールの原因となる結晶粒界の発生を抑制できるため、膜厚を増加させることなく高い分離性能を達成できるのである。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例および比較例をもって具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
ゼオライト合成溶液およびゼオライト薄膜の評価は下記の方法によって行った。
(1)X線によるゼオライト膜中のゼオライト結晶の同定と配向性の評価方法
作製したゼオライト膜の同定と結晶配向性の評価は、理学電機製X線回折装置ATX−Gを使っておこなった。すなわち、通常の2θ/θスキャン法により検出された回折チャートのパターンをICDD−JCPDSカードと比較することでゼオライトの種類を同定するとともに、回折ピークのロッキングカーブを測定し、その半値幅を評価することにより結晶配向性を評価した。
ロッキングカーブの測定には平行ビームを使うことが必要であるため、入射光学系には格子面間隔傾斜放物線多層膜ミラーにより、X線の発散角を0.05°程度にした。検出器を回折ピークの2θ位置に固定して、試料面を回転してX線の入射角度を変化させることによりロッキングカーブ測定を行った。
【0047】
(2)表面を犠牲物質で平滑化した多孔性支持体の表面粗度
支持体の表面粗度はスロアン社製のデックタックIIA装置を用いて行なった。2mm幅の間隔で平均粗度を求めた。
【0048】
【実施例1】
テトラエトキシシラン68gと水938g混合液に40%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド53g溶液を加え、室温で4時間攪拌して、本発明のゼオライト合成溶液を調製した。
次に、シリカ(SiO)を65molとホウ酸HBOを13molおよび炭酸ナトリウムNaCOを10molとの混合物を1300℃で1時間溶融したあとで、白金坩堝製の二重紡口より、該融液を吐出して、外径が80μm(内径60μm)の、ホウケイ酸ガラス中空糸(多孔性ガラス支持体の孔の部分を犠牲物質B−NaOで充填した支持体)を得た。このガラス中空糸の表面粗度は最大20nmであった。
【0049】
このホウケイ酸ガラス中空糸を長さ300mmに切断し、両先端部をエポキシ接着剤で封止した後で、オートクレーブ内に仕込み、次に先に調製したゼオライト合成溶液をオートクレーブに添加した後、165℃で2.5時間水熱合成を行い、多孔性ガラス支持体の孔の部分が犠牲物質B−NaOで充填されて表面が平滑である中空状の支持体上にゼオライト膜を積層した。
このようにして得られた支持体を、1N硫酸によって100℃、1時間洗浄することによって、犠牲物質B−NaOを除去し、本発明の多孔性支持体上にゼオライト膜が積層された複合膜とした。犠牲物質を除去した多孔性ガラス支持体の孔径は10nmであった。
【0050】
ゼオライト膜厚は電子顕微鏡(SEM)写真により、最大1μmであった。膜表面の緻密性もSEMにより観察され、ピンホールは観察されなかった。XRDパターンの解析により、シリカライトゼオライトであることが確認されるとともに、(0,2,0)、(0,4,0)、(0,6,0)、(0,8,0)、(0,10,0)の配向面も観測され、ゼオライト結晶のb軸が多孔性支持体表面に対して垂直に配向していることが判明した。さらに、最大ピーク((0,2,0)面)のロッキングカーブの半値幅は6.9°であった。
【0051】
【実施例2】
多孔性支持体アルミナの中空糸(外径2.0mm、内径1.5mm、長さ300mm、平均孔径0.2μm)の両先端部をエポキシ接着剤で封止した。犠牲物質としてのポリスルホンをジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒で溶かしてディップコーティング法によりアルミナ中空糸に塗布した後に60℃で2時間乾燥した。その後、表面粗度20nm以下のアルミナ中空糸を1リットルのオートクレーブにセットし実施例1で用いたのと同様のゼオライト合成溶液をオートクレーブに添加した。その後、165℃で2.5時間水熱反応させることで犠牲物質が孔を充填して平滑化された支持体上にゼオライト膜を積層した。
【0052】
得られた支持体は、その後、空気中にて400℃にて、1時間加熱することにより、ポリスルホンの除去を行い、本発明の多孔性支持体上にゼオライト膜が積層された複合膜とした。
ゼオライト膜厚は電子顕微鏡(SEM)写真により測定したところ最大1μmであった。膜表面の緻密性もSEMにより観察されピンホールは観察されなかった。XRDパターンの解析により、シリカライトゼオライトであることが確認されるとともに、(0,2,0)、(0,4,0)、(0,6,0)、(0,8,0)、(0,10,0)などの配向面も観測され、ゼオライト結晶のb軸が多孔性支持体表面に対して垂直に配向していることが判明した。尚、最大ピーク((0,2,0)面)のロッキングカーブの半値幅は6.9°であった。
【0053】
【比較例1】
多孔性支持体アルミナの中空糸(外径2.0mm、内径1.5mm、長さ300mm、平均孔径0.2μm、表面粗度100nm)表面に犠牲物質(ポリスルホン)をコーティングしないで実施例2と同じ条件でゼオライト複合膜を得た。得られた複合膜は膜表面が緻密でなく配向度は最大ピークのロッキングカーブの半値幅が10°を越えていたことより低配向であることが判明した。
【0054】
【実施例3】
テトラエトキシシラン1000g、水1045g、の混合物に、40%テトラ(n−)プロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)水溶液757gを加え、室温で1日攪拌した後に80℃で4日間攪拌し反応させて遠心分離によりシリカライトゼオライトの60nmの微粒子64gを得た。
その後、64g微粒子を800gエタノールと40gTPAOH(40%)水溶液の混合液に添加した後に再分散させてシリカライトゼオライト微粒子(平均粒子径が60nm)のサスペンジョン904gを得た。
【0055】
得られたシリカライトゼオライト微粒子サスペンジョンをディップコーティング法により両先端部をエポキシ接着剤で封止した表面粗度が20nm以下の、実施例1で用いたのと同様のホウケイ酸ガラス中空糸(外径80μm、内径60μm、長さ300mm)にキャストしてキャスト支持体を得た。得られたキャスト支持体は、60℃で2〜3時間乾燥した後引き続きテトラエトキシシラン68gと水938g混合液に40%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド53g溶液を加え、室温で4時間攪拌することにより調製されたゼオライト合成溶液に浸漬して、オートクレーブで165℃で5時間水熱合成反応させ、キャスト支持体上にゼオライト膜を積層した。
【0056】
このようにして得られたゼオライト膜が積層されたキャスト支持体は、その後、1N硫酸によって100℃、1時間洗浄することによって、犠牲物質B−NaOを除去し本発明の多孔性支持体上にゼオライト膜が積層された複合膜とした。犠牲物質を除去した支持体の平均孔径は10nmであった。
膜厚は電子顕微鏡(SEM)写真により測定し最大2.0μmであった。膜表面の緻密性もSEMにより観察されピンホールは観察されなかった。XRDパターンの解析により、シリカライトゼオライトであることが確認されるとともに、(0,0,2)(0,0,4)などの配向面が確認されゼオライト結晶のc軸が多孔性支持体表面に対して垂直に配向していることが判明した。尚、最大ピーク((0,0,2)面)のロッキングカーブの半値幅は9°であった。
【0057】
【実施例4】
シリカゾル(DuPont社製、商品名Ludox SM (30.2wt% SiO, 0.66wt% NaO, 粒子サイズ7−8nm))400g、水酸化アルミニウム(Al(OH)和光社製)92g、水3300g、水酸化ナトリウム1.5g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH・5HO)518gを混合して、室温で2時間攪拌した後に90℃で20時間攪拌し反応させて遠心分離により、平均粒子径150nmのゼオライト微粒子60gを得た。その後、この微粒子60gをエタノール800gと25%水溶液のTMAOH30gの混合液に添加した後に再分散させてA型ゼオライト微粒子のサスペンジョン925gを得た。
【0058】
得られたA型ゼオライト微粒子サスペンジョンを用いてディップコーティング法により両先端部をエポキシ接着剤で封止した実施例1と同様のホウケイ酸ガラス中空糸の上にゼオライト微粒子を担持してキャスト体を得た。得られたキャスト体は、その後、シリカゾル(Ludox SM DuPont社製) 25g、水酸化アルミニウム(Al(OH)和光社製)12g、水1240g、水酸化ナトリウム0.2g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH・5HO)65gを混合して、室温で2時間攪拌することにより調製された二次成長用のゼオライト合成溶液に浸漬した状態でオートクレーブで90℃で2日間反応させ、キャスト体上にゼオライト膜を積層した。
【0059】
得られたゼオライト膜を積層したキャスト体は、引き続き、1N硫酸によって100℃、1時間洗浄することによって、犠牲物質B−NaOを除去し本発明の多孔性支持体上にゼオライト膜が積層された複合膜とした。犠牲物質を除去した支持体の平均孔径は10nmであった。
膜厚は電子顕微鏡(SEM)により測定し最大1.5μmであった。膜表面の緻密性もSEMにより観察されピンホールは観察されなかった。XRDパターンの解析により、A型ゼオライトであることが確認されるとともに、(2,0,0)(6,0,0)などの配向面が確認されゼオライト結晶のa軸が多孔性支持体表面に対して垂直に配向していることが判明した。尚、最大ピーク((2,0,0)面)のロッキングカーブの半値幅は7°であった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の高配向性ゼオライト薄膜が積層された多孔性支持体の複合膜は、ゼオライト結晶の方向性が一様で、極薄膜であるために、高い分離性能とともに分離種の処理量の両方を同時に達成できる。

Claims (4)

  1. 平均孔径が0.3nm〜500nmの多孔性支持体上に、ZSM−5またはA型ゼオライト膜が担持されてなる複合膜であって、該ゼオライトのX線回折で得られたチャートの最大ピークにおいて、X線入射角度を0°から回折ピーク角の2θまで変化させて測定したロッキングカーブの半値幅が0.05〜10°であることを特徴とする複合膜。
  2. 該ゼオライトがシリカライトゼオライトであることを特徴とする請求項1に記載の複合膜。
  3. 該多孔性支持体が中空糸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合膜。
  4. 多孔性支持体の孔が、犠牲物質で充填されて平滑となった該多孔性支持体表面にゼオライト膜を積層した後、該犠牲物質を除去して得られることを特徴とする請求項1〜3に記載の複合膜の製造法。
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