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JP2004227995A - ハイブリッド車両の充放電制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の充放電制御装置 Download PDF

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JP2004227995A
JP2004227995A JP2003016212A JP2003016212A JP2004227995A JP 2004227995 A JP2004227995 A JP 2004227995A JP 2003016212 A JP2003016212 A JP 2003016212A JP 2003016212 A JP2003016212 A JP 2003016212A JP 2004227995 A JP2004227995 A JP 2004227995A
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voltage
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cell
charge
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JP2003016212A
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Takezo Yamaguchi
武蔵 山口
Susumu Komiyama
晋 小宮山
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Charge And Discharge Circuits For Batteries Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】走行中の燃料消費量を効果的に低減しつつ、蓄電装置のバラツキ補正を行うことが可能なハイブリッド車両の充放電制御装置を提供する。
【解決手段】複数のセルを直列接続して構成された蓄電装置と、発電装置と駆動モータを備え、発電装置からの発電電力や回生制動時において駆動モータから得られる回生電力を用いた充電により、すべてのセル電圧を所定電圧近傍に揃えることが可能なハイブリッド車両の充放電制御装置において、各セル電圧のバラツキが所定状態になったことを検出するバラツキ検出手段(S401)と、所定状態のバラツキが検出された場合に、回生エネルギーを充電できるように、全セル電圧の中で最低のセル電圧の目標値を設定する目標最低セル電圧設定手段(S404)と、前記最低セル電圧の目標値に基づいて前記発電装置の目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段(S405)と、前記目標発電電力を実現する目標発電電力実現手段(S406)と、からなることを特徴とする充放電制御装置を提供する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のロータをステータに同軸的に配置したモータのロータ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッド車両に用いられる電池は、高電圧を発生する必要があり、複数の電池セルを直列接続した組み電池が利用される。このような電池では、充放電を繰り返し行うと各セルの内部抵抗の違いによりセル電圧にバラツキが発生する。
このため、そのまま充放電を継続するとバラツキが拡大し、バラツキの大きなセルから順に過充放電が発生してしまう。この問題を解決する従来技術として、予め設定した条件が満たされた場合にすべてのセル電圧が設定値に達するまで発電装置からの電力や回生制動電力を用いて充電し、セル電圧をほぼ均一にする制御装置が開示されている(このセル電圧の均一化をバラツキ補正と称する)(特許文献1参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バラツキ補正により各セル電圧が設定電圧に均一化後に満充電電圧付近となる場合、車両の制動時の回生エネルギーを回収し、電池を充電することができない。走行中の燃料消費量を低減することを考えた場合は、回生制動電力を極力回収することが望ましい。従来技術ではこのような検討がされていないため、燃料消費量を効果的に低減することができないという問題が生じる。
【0004】
本発明は、以上のような問題点について鑑みたものであり、走行中の燃料消費量を効果的に低減しつつ、蓄電装置のバラツキ補正を行うことが可能なハイブリッド車両の充放電制御装置を提供する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−23306号公報
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のハイブリッド車両の充放電制御装置は、複数のセルを直列接続して構成された蓄電装置と、発電装置と駆動モータを備え、発電装置からの発電電力や回生制動時において駆動モータから得られる回生電力を用いた充電により、すべてのセル電圧を所定電圧近傍に揃えるものである。
【0007】
この充放電制御装置において、各セル電圧のバラツキが所定状態になったことを検出するバラツキ検出手段と、所定状態のバラツキが検出された場合に、回生エネルギーを充電できるように、全セル電圧の中で最低のセル電圧の目標値を設定する目標最低セル電圧設定手段と、前記最低セル電圧の目標値に基づいて前記発電装置の目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段と、前記目標発電電力を実現する目標発電電力実現手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
【作用・効果】
複数のセルを直列接続して構成された蓄電装置と、発電装置と、駆動モータを備えるハイブリッド車両において、所定状態のバラツキが検出された場合に、所定の回生エネルギーを充電できるように車両駆動中の最低セル電圧の目標値を設定し、発電電力を制御する。このため、車両駆動中にバラツキ補正を終了したことにより、その後制動中に得られる回生エネルギーを充電できないというような回生エネルギーを無駄にしてしまう頻度を低減できるので、走行中の燃料消費量を低減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を適用するシリーズハイブリッド車両の構成図を示す。実施形態においては、発電装置を内燃機関と発電機で構成したシリーズハイブリッド車両について説明するが、発電装置に燃料電池を用いたシリーズハイブリッド車両でも、またパラレルハイブリッド車両においても容易に適用することができる。
【0010】
ハイブリッド車両のパワートレイン(駆動システム)は、内燃機関1と、内燃機関1に直結され内燃機関1の出力を電力に変換したり、始動時にはクランキングを行う電動機としても動作可能な発電機2と、発電機2で発電された電力または蓄電装置3に蓄えられている電力、さらにそれら両方の電力で駆動される駆動モータ4で構成される。駆動モータ4のトルクはファイナルギア6を介してタイヤ5に伝達される。
【0011】
内燃機関1の目標トルクは、統合コントローラ12から出力される内燃機関トルク指令値を実現するよう内燃機関コントローラ7がスロットル開度を制御することにより達成される。また、内燃機関1及び発電機2の回転速度は、統合コントローラ12から出力される回転速度指令値と等しくなるように発電機2に対して発電機コントローラ8がベクトル制御を行う。セルコントローラ9は、複数の電池で構成された蓄電装置3の各セルの電圧のバラツキを抑制したり、過充放電を検出する回路を備え、各セルの状態の情報(各セルの端子電圧等)を統合コントローラ12に送る。蓄電装置コントローラ10は蓄電装置3の電圧・電流を検出し、蓄電装置3への入出力可能電力を演算し統合コントローラ12に送る。また、駆動モータコントローラ11は統合コントローラ12から出力されるモータトルク指令値に基づき駆動モータのトルクをベクトル制御する。また、ナビゲーション手段13(ナビゲーション装置)は、道路勾配や道路種別を検出し、統合コントローラ12は、道路勾配や道路種別を走行中に得られる回生エネルギーを予測する際に用いる。ナビゲーション手段13は、公知のナビゲーションシステムが適用可能である。また、図示しないが蓄電装置3には、いずれかのセルの温度を検出し、検出値を統合コントローラ12に送出する温度センサが設けられる。ハイブリッド車両には走行距離を計測する装置(図示しない)が設けられる。
【0012】
内燃機関コントローラ7、発電機コントローラ8、蓄電装置コントローラ10、駆動モータコントローラ11、統合コントローラ12は、中央演算処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力インターフェースなどから構成されている。なお、上記の種々のコントローラのいくつかを一体化して設けることも可能である。
【0013】
ここで、セルコントローラ9の回路構成を図2に示す。なお、図2に示す回路構成は特開2000−23306号に開示されているものである。図2の21はセルを示しており、セルコントローラ9はセル21と並列に接続された抵抗22、セル21と並列に接続され且つ抵抗22と直列に接続されるツェナーダイオード23を具備しており、直列接続された複数のセルのそれぞれに抵抗22とツェナーダイオード23が備えられている。また、図示しないが各セル電圧(セルの端子電圧)がモニタできるように電圧計が設けてある。
【0014】
次に回路の動作について説明する。この回路では、通常電流I[A]はセル21側に流れセル21が充電される。一方、セル21の電圧がツェナーダイオード23の逆方向電圧を超えた場合には、電流I[A]が抵抗22側に流れ、熱損失が生じる。このため、すべてのセルの電圧をツェナーダイオード23の逆方向電圧に均一に調整することができる。ここで、ツェナーダイオード23の逆方向電圧は一般的にセルの満充電時の電圧付近に設定される。これは、電圧をできるだけ広く使い、電気エネルギーを有効に利用するためである。
【0015】
他のセルコントローラ9の回路構成としては、ツェナーダイオード23の代わりにスイッチング用トランジスタを設け、セル電圧が満充電電圧付近の所定の電圧を超えた場合に、トランジスタを導通させる構成としても良い。
【0016】
図2の回路を用いた場合には、自動的にバラツキ補正が行われるため、バラツキ補正を開始する条件を設定する必要がないように思える。しかしながら、バラツキ補正以外における充放電制御では、過充電を防止するために満充電付近まで充電を行う頻度は極めて少ない。例えば、通常運転時において、充電量SOC60%を目標値として充放電制御(SOCフィードバック制御)を行う。さらに、SOCが40〜80%の範囲から外れないように充放電電力の制限を行う。一方、バラツキ補正時において、例えば、バラツキ補正の開始条件が満足されると、SOCの上限値を引き上げ、充電電力の制限が満充電付近となるまで行われないようにし、各セルを満充電付近まで充電できるようにしておく。
【0017】
図3は、統合コントローラ12が実行する制御のメインルーチンを示すフローチャートである。この処理は一定周期(例えば100[msec])毎に実行される。
ステップS401において、セルに発生したバラツキを検出する。
ステップS402において、最も低いセル電圧(セル端子電圧)を検出する。
ステップS403において、車両走行状態にもとづいて、駆動モータにより回生制動を行う際に得られる回生エネルギーを予測する。
ステップS404において、予測された回生エネルギーにもとづいて車両駆動中における目標最低電圧を設定する。
ステップS405において、目標最低電圧にもとづいて目標発電電力を求める。後述するように、ここでは、最も低い端子電圧を有するセルの開放電圧の目標値が設定される。
ステップS406において、目標発電電力を実現するようエンジン、発電機のトルクを制御する。
【0018】
次回の回生制動時にバラツキ補正が必要と判断がなされた場合、その回生制動が発生するまでの間に蓄電装置のセル電圧を調整する制御が行われる。ここで、その回生制動で得られる回生電力を無駄なく使用してバラツキ補正できるよう、セル電圧を低下させておく。次回の回生制動が終了した時点で全てのセルが満充電付近に均一化され、バラツキ補正されることになる。
【0019】
例えば、車速が高いときに(この場合に制動が行われると、大きな回生電力が得られる)、バラツキ補正が必要と判断された場合、蓄電装置のセル電圧を予め低下させておく。ステップS401においてバラツキ補正が必要か否かが判断される。
【0020】
図3におけるステップS401のセルのバラツキを検出する処理では、前回バラツキ補正を終了した時点からの充放電サイクル数を統合コントローラ12のRAMから読み出し、現時点での充放電サイクル数が所定のサイクル数(例えば、100サイクル)になった場合にバラツキ補正開始フラグF_varyを1に設定する。つまり、所定のサイクル数以上の充放電があった場合に、バラツキ補正が必要であると判断し、バラツキ補正開始フラグF_varyを1に設定している。また、このとき、バラツキ補正に備えSOCの上限値を引き上げ、充電電力の制限が満充電付近となるまで行われないようにしてもよい。なお、バラツキ補正が終了した場合には、バラツキ補正開始フラグF_varyはリセットされ、ゼロに設定される。統合コントローラ12は、蓄電装置コントローラ10が検出する蓄電装置3の電圧・電流に基づいて、前回バラツキ補正を終了した時点からの充放電サイクル数のカウントを行い、充放電サイクル数をRAMに記憶しておくことが可能である。
【0021】
図4は、図3におけるステップS402の最も低いセル電圧を検出する処理の詳細を示したフローチャートである。
ステップS501において、バラツキ補正開始フラグF_varyが1であるか否かを判断する。
ステップS501においてバラツキ補正開始フラグF_varyが1である場合には、ステップS502において、セル電圧Vn(n=1…m)(通常通電のセル電圧である)を検出し、検出したセルの端子電圧Vn(n=1…m)の中から最低セル電圧Vmin[V]を検出する。同時に、最低セル電圧Vmin[V]を有するセルの番号nを検出する。
ステップS501において、バラツキ補正開始フラグF_varyが1でない場合には、そのまま処理を終了する。
【0022】
図5は、図3におけるステップS403の駆動モータにより回生制動を行う際に得られる回生エネルギーを予測する処理の詳細を示したフローチャートである。
ステップS601において、車速センサ(図示せず)からの信号により、現在の車速を演算する。なお、車速センサは、駆動モータ4の回転数を検出するものであってよい。
【0023】
ステップS602において、現在の車両状態から駆動モータにより回生制動を行ったと仮定した場合の車速パターン(車速の経時変化)を予測する。
【0024】
車速パターンは、たとえば予め車速毎に駆動モータで発生する目標回生制動トルクを設定することにより、減速中のある時間t[sec]における車速VSPt[km/h]を数式1から求めることができる。
【0025】
【数式1】
Figure 2004227995
ここで、VSPt−1[km/h]はある時間tの1秒前における車速、g[m/s]は重力加速度、iは総ギア比、ηは動力伝達効率、r[m]はタイヤ有効半径、μは転がり抵抗、mveh[kg]は車両総重量、μ[kN・h/m・km]は空気抵抗係数、A[m]は前面投影面積、φは車両回転部を考慮した場合の見かけの重量増加分(車両内の回転部分慣性重量を車両総重量割り算し得られる)である。また、目標回生制動トルクtTm[Nm]は、例えば各車速において一定減速度を得られるように求めても良いし、また内燃機関のみを駆動源とする車両で発生するエンジンブレーキ相当の制動力が得られるように求めても良い。また、GRDは道路勾配であり、ナビゲーション手段の地図情報から値を取得する。
【0026】
上記の式(1)の計算を回生制動開始から車両停止に至るまで繰り返すことにより、減速時の車速パターンを得ることができる。
【0027】
また、車速VSPt[km]と駆動モータの回転数Nm[rpm]は、次の数式2の関係がある。
【0028】
【数式2】
Figure 2004227995
数式2の関係より、時刻t[sec]における回生電力Prg[kW]は次の数式3から算出できる。
【0029】
【数式3】
Figure 2004227995
ここで、Pm_loss[kW]は駆動モータにおいて発生する損失電力であり、図7に示すマップMAPpmloss(tTm,Nm)を検索することにより求めることができる。このマップは、統合コントローラ12のメモリに記憶されている。
【0030】
また、駆動モータが制動を開始してから車両が停止するまでに得られる回生エネルギーErg[kJ]は次の数式4から求めることができる。
【0031】
【数式4】
Figure 2004227995
図6は、図3のステップS404、回生エネルギーにもとづいて車両駆動中における目標最低セル電圧を設定する処理の詳細を示したフローチャートである。
【0032】
ここでは、回生エネルギーにより充電し回生終了時に最低セル電圧Emin[V]、が所定電圧Ecom[V]になるようにするために、車両駆動中における目標最低セル電圧を求める。ここで、なお、Emin[V]は、ステップS502において特定した最低セル電圧Vmin[V]を有するセルの開放電圧(非通電時の電圧)である。なお、図2のセルコントローラ9の回路構成では、所定電圧Ecom[V]はツェナーダイオード23の逆方向電圧に相当するものである。回生終了時には、開放値での最低セル電圧Emin[V]が所定電圧Ecom[V]に達するのでセル間のバラツキ補正が完了する。具体的な処理としては、所定電圧に揃った回生終了時を出発点として時間をさかのぼり回生開始時におけるセルの開放電圧を求め、その開放電圧を車両駆動中の最低セル電圧の目標値tEmin[V](開放電圧としての値)に設定する。
【0033】
ステップS701では、回生開始時から終了時までの蓄電装置の充電状態SOC[%]の推移を予測し、ステップS702では最低セル電圧の目標値tEmin[V]を設定する。
【0034】
ここでは簡単のため以下に両ステップを一度に説明し、目標最低セル電圧tEmin[V]を求めるにあたり必要な特性及び、関係式をまとめる。
【0035】
蓄電装置の開放電圧E[V]は充電状態SOC[%]との関数として表現できるとし、図8に示すようなマップTABLEe(SOC)を検索することによって算出する。(ただし、ここではすべてのセルの充電状態SOC[%]が同一であると仮定している。)図8のテーブルあるいはマップは、統合コントローラ12のメモリに記憶されている。
【0036】
また、蓄電装置の充電状態SOC[%]は蓄電装置に流れる電流I[A]の積算により表現できるとし、数式5から算出する。
【0037】
【数式5】
Figure 2004227995
ここでCap[Ah]は、セルの容量を示す。
【0038】
また、回生電力Prg[kW]を充電する際に蓄電装置に流れる電流I[A]を数式6に表すことができる。
【0039】
【数式6】
Figure 2004227995
ここで、R[Ω]は内部抵抗であり、蓄電装置の電圧、電流検出値から求めることができる。具体的には、電流検出値が0の状態であるときの電圧検出値Ea(開放電圧)と、電流が流れているときの電圧検出値Vta、及び電流検出値Iaから数式7を用いることにより算出することができる。
【0040】
【数式7】
Figure 2004227995
なお、式(7)では開放電圧における電圧検出値が必要であるため、走行中いつでも内部抵抗Rを算出できるわけではないが、極力上記演算を実行することにより推定の精度を向上することができる。算出された内部抵抗は、その都度統合コントローラ12のRAMに記憶され、必要に応じて読み出される。
【0041】
回生終了時Tend[sec]においてセルの開放電圧は所定電圧Ecom[V]に揃うとするので、数式8が成り立つ。所定電圧Ecom[V]は、例えば、満充電時の電圧よりも若干低めな値と仮定する。但し、低く設定するとエネルギー利用範囲が狭くなり燃費向上効果を低減するので、満充電時の電圧が4.2[V]である場合にはEcom=4.0[V]程度の値に設定するのが良い。
【0042】
【数式8】
Figure 2004227995
ここで、n_cellは蓄電装置のセル数を示す。
【0043】
回生終了から1秒手前のTend−1[sec]において、蓄電装置に流れる充電電流は次の数式9で表すことができる。
【0044】
【数式9】
Figure 2004227995
このときの蓄電装置の充電状態SOC(Tend−1)は、
【0045】
【数式10】
Figure 2004227995
ここでSOC(Tend)はTABLEe(SOC)を逆引きして、蓄電装置の開放電圧がEcom*n_cellとなるようなSOCを検索することにより求めることができる。
【0046】
また、このときの蓄電装置の開放電圧E(Tend−1)[V]は、数式11により求めることができる。
【0047】
【数式11】
Figure 2004227995
以上のような演算を、さらにTend−2[sec]から回生開始時Tstart[sec]まで繰り返すことより、回生開始時における最低セル電圧の目標値tEmin[V] (開放電圧における)を数式12のように求めることができる。
【0048】
【数式12】
Figure 2004227995
上記の処理に用いる回生電力を、予測した回生電力Prg[kW]の所定の割合(例えば、85[%])の値として最低セル電圧の目標値tEmin[V]を算出する処理を実行してもよい。これは、回生電力の予測誤差により回生エネルギーが不足することをあらかじめ考慮して、最低セル電圧の目標値tEmin[V]を高めに設定するためである。
また、この所定の割合は、実走行によって生じた回生電力の予測誤差に応じて学習することにより設定し、回生終了時において確度高くバラツキ補正を終了させることができる。
【0049】
図3、ステップS405の目標最低セル電圧にもとづいて目標発電電力を算出する処理では、式(13)のように最低セル電圧が目標値になるようフィードバック制御を行うことにより、目標発電電力tPgを数式13のように算出することができる。
【0050】
【数式13】
Figure 2004227995
ここで、Pm[kW]は駆動モータにおける消費電力、Paux[kW]は補機類における消費電力、Kはフィードバック制御における比例制御ゲインである。
【0051】
また、Emin[V]は最低セル電圧の開放電圧であり、蓄電装置の電流検出値I[A]と、最低セル電圧の検出値Vmin[V](最低セル電圧を有するセルの端子電圧)にもとづいて数式14から求めることができる。このように最低セル電圧を有するセルの開放電圧と目標値tEminとの差、駆動モータにおける消費電力Pm[kW]、補機類における消費電力Paux[kW]に基づいて目標発電電力tPgが設定される。
【0052】
【数式14】
Figure 2004227995
ここで、Rmin[Ω]は最低セル電圧を有するセルの内部抵抗の推定値である。
【0053】
このRmin[Ω]の推定方法としては、セルの劣化状態を予測し、例えば走行距離が長いほど大きな値に推定する方法があり、図6の処理ルーチンのステップS701、S702において蓄電装置の電圧、電流検出値から求めた内部抵抗R[Ω]に対して、走行距離Mileage[km]に応じて内部抵抗Rmin[Ω]が大きな値になるような係数を乗算することにより求めることができる。また、セルの温度が低いほど内部抵抗Rmin[Ω]を大きな値に推定する方法では、セルの温度Temp_cell[℃]に応じて内部抵抗Rmin[Ω]が大きな値となるような係数を乗算することにより求めることができる。さらに、全セルの平均電圧と最小セル電圧との差Vdif[V]が大きいほど内部抵抗Rmin[Ω]を小さな値に推定する方法があり、Vdif[V]に応じて内部抵抗Rmin[Ω]が大きな値となるような係数を蓄電装置の電圧、電流検出値から求めた内部抵抗R[Ω]に乗算することにより求めることができる。
【0054】
ここで、Vdif[V]は全セルの平均電圧Vave[V]と最小セル電圧Vmin[V]を用いて式(15)から算出できる。
【0055】
【数式15】
Figure 2004227995
ここで、
【0056】
【数式16】
Figure 2004227995
である。ここで、mは全セルの数を表す。
【0057】
なお、上記劣化状況、セル温度、平均セル電圧と最低セル電圧との差に対する影響を一度に考慮して内部抵抗Rmin[Ω]を求めても良いし、上記のうち2つを考慮して求めても良い。いずれにしても、内部抵抗Rmin[Ω]を確度高く推定することが可能となる。
【0058】
さらに、最低セル電圧の目標値tEmin[V]に関しては、数式12に計算されたtEmin[V]を係数倍することにより、最低セル電圧となるセルの劣化が進行しているほど、目標最低セル電圧を低く設定してもよいし、セルの温度が低いほど、目標最低セル電圧を低く設定してもよい。このようにすれば、バラツキ補正開始から次の回生終了時までに確度高くバラツキ補正を終了することができる。また、平均セル電圧と最低セル電圧の偏差Vdif[V]が大きいほど、目標最低セル電圧を高く設定することも可能である。このようにすれば、バラツキが大きい場合には素早くバラツキ補正を終了することができる。
【0059】
図3、ステップS406の目標発電電力を実現する処理では、目標発電電力tPg[kW]を実現するための内燃機関1の動作点(回転数, トルク)と発電機2の動作点(回転数, トルク)をそれぞれ内燃機関コントローラ7、発電機コントローラ8に送る。なお、内燃機関1と発電機2は連結されているので動作点は同じである。内燃機関コントローラ7は、目標発電電力を実現するように内燃機関のスロットル開度や燃料噴射量等を制御し、発電機コントローラ8は目標発電電力を実現するようにベクトル制御を行う。なお、目標発電電力を実現する際の内燃機関と発電機の動作点は、内燃機関の燃料消費率と発電機2の損失電力を考慮し、発電電力を得るために最も効率が良くなる動作点を予め求め、図9に示すようなマップを検索することによって算出することができる。
【0060】
次に本発明の実施態様の効果を以下にまとめておく。
【0061】
充放電制御装置において、各セル電圧のバラツキが所定状態になったことを検出するバラツキ検出手段(S401)と、所定状態のバラツキが検出された場合に、回生エネルギーを充電できるように、全セル電圧の中で最低のセル電圧の目標値を設定する目標最低セル電圧設定手段(S404)と、前記最低セル電圧の目標値に基づいて前記発電装置の目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段(S405)と、前記目標発電電力を実現する目標発電電力実現手段(S406)と、を設ける。
これにより、車両駆動中にバラツキ補正を終了したためにその後の制動中に得られる回生エネルギーを充電できないというような回生エネルギーを無駄にしてしまう頻度を低減できるので、走行中の燃料消費量を低減することができる。
【0062】
バラツキ検出手段は、充放電サイクル回数が所定値に達したことによりセル電圧のバラツキを検出する手段としたので、簡単な構成でセル電圧のバラツキを検出することができる。
【0063】
目標最低セル電圧設定手段は、車両走行状態に基づいて、回生制動時に得られる回生エネルギーを予測する回生エネルギー予測手段を備え、さらに回生終了時において最低のセル電圧が所定電圧となるように前記最低セル電圧の目標値を設定する。このため、回生エネルギーを有効に利用してバラツキ補正を行い、且つ、バラツキ補正開始から次の回生終了までの期間で、素早くバラツキ補正を終了することができる。
【0064】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するシリーズハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】電池セル間のバラツキを補正する回路の構成を示す回路図である。
【図3】セル電圧を調整する制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図4】最も低いセル電圧を検出するサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】回生エネルギーを予測するサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】車両駆動中における目標最低セル電圧を設定するサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】駆動モータの回転数及び駆動モータの目標回生制動トルクとから損失電力を見積もるためのマップである。
【図8】蓄電装置の開放電圧E[V]と充電状態SOC[%]との関係を示すマップである。
【図9】目標発電電力を得るために最も効率が良くなる動作点(回転数, トルク)を検索するためのマップである。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 発電機
3 蓄電装置
4 駆動モータ
7 内燃機関コントローラ
8 発電機コントローラ
9 セルコントローラ
10 蓄電装置コントローラ
11 駆動モータコントローラ
12 統合コントローラ
13 ナビゲーション手段

Claims (11)

  1. 複数のセルを直列接続して構成された蓄電装置と、発電装置と、駆動モータを備え、発電装置からの発電電力や回生制動時において駆動モータから得られる回生電力を用いた充電により、すべてのセル電圧を所定電圧近傍に揃えることが可能なハイブリッド車両の充放電制御装置において、
    各セル電圧のバラツキが所定状態になったことを検出するバラツキ検出手段と、
    所定状態のバラツキが検出された場合に、回生エネルギーを充電できるように、全セル電圧の中で最低のセル電圧の目標値を設定する目標最低セル電圧設定手段と、
    前記最低セル電圧の目標値に基づいて前記発電装置の目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段と、
    前記目標発電電力を実現する目標発電電力実現手段と、からなることを特徴とする充放電制御装置。
  2. バラツキ検出手段は、充放電サイクル回数が所定値に達したことを検出することを特徴とする請求項1に記載の充放電制御装置。
  3. 目標最低セル電圧設定手段は、
    車両走行状態に基づいて、回生制動時に得られる回生エネルギーを予測する回生エネルギー予測手段を備え、さらに
    回生終了時において最低のセル電圧が前記所定電圧となるように前記最低セル電圧の目標値を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の充放電制御装置。
  4. 目標最低セル電圧設定手段は、
    車両走行状態に基づいて、回生制動時に得られる回生エネルギーを予測する回生エネルギー予測手段を備え、
    予測された回生エネルギーよりも小さい回生エネルギーに基づいて回生終了時において最低のセル電圧が前記所定電圧となるように前記最低セル電圧の目標値を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の充放電制御装置。
  5. 目標最低セル電圧設定手段は、最低セル電圧となるセルの劣化が進行しているほど、目標最低セル電圧を低く設定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の充放電制御装置。
  6. 目標最低セル電圧設定手段は、セルの温度を検出する温度検出手段を備え、セルの温度が低いほど、目標最低セル電圧を低く設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の充放電制御装置。
  7. 目標最低セル電圧設定手段は、全セルの平均電圧算出する平均セル電圧算出手段を備え、充放電時の平均セル電圧と最低セル電圧の偏差が大きいほど、目標最低セル電圧を高く設定することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の充放電制御装置。
  8. 前記蓄電装置の電流を検出する手段と、
    セル電圧を検出する手段と、
    前記蓄電装置の内部抵抗を検出する手段と、
    検出された前記蓄電装置の内部抵抗から最低のセル電圧を有するセルの内部抵抗を推定する手段と、
    さらに内部抵抗、前記蓄電装置の電流、通電時のセル電圧とに基づいて最低のセル電圧となるセルの開放電圧を推定する手段とを備えており、
    前記目標発電電力算出手段が、最低のセル電圧となるセルの開放電圧と該開放電圧の目標値との差に基づいてフィードバック制御を行い、目標発電電力を算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の充放電制御装置。
  9. 最低のセル電圧となるセルの劣化が進行しているほど、最低のセル電圧となるセルの内部抵抗が大きく推定されることを特徴とする請求項8に記載の充放電制御装置。
  10. セルの温度を検出する温度検出手段を備え、
    セルの温度が低いほど、最低のセル電圧となるセルの内部抵抗が大きく推定されることを特徴とする請求項8又は9に記載の充放電制御装置。
  11. 全セルの平均電圧を算出する平均セル電圧算出手段を備え、
    充放電時の平均電圧と最低セル電圧の偏差が大きいほど、最低のセル電圧となるセルの内部抵抗が大きく推定されることを特徴とする請求項8から10のいずれか一つに記載の充放電制御装置。
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