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JP2004225831A - デファレンシャル装置 - Google Patents

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JP2004225831A
JP2004225831A JP2003015693A JP2003015693A JP2004225831A JP 2004225831 A JP2004225831 A JP 2004225831A JP 2003015693 A JP2003015693 A JP 2003015693A JP 2003015693 A JP2003015693 A JP 2003015693A JP 2004225831 A JP2004225831 A JP 2004225831A
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JP
Japan
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gear
differential
rotation
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short
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Application number
JP2003015693A
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English (en)
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Masao Teraoka
正夫 寺岡
Masahiko Asahi
雅彦 朝日
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Publication date
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Abstract

【課題】製造、組み付け、部品管理を容易とし、差動制限力増大を可能とする。
【解決手段】デフケース45内に相対回転自在に支持され各別に出力取り出し可能な一対のヘリカルサイドギヤ47,49と、デフケース45に形成された少なくとも一対の円筒状の支持孔63,65内に支持されて相互に噛み合い且つヘリカルサイドギヤ47,49を噛み合い結合しデフケース45の回転をヘリカルサイドギヤ47,49に伝達すると共に各ヘリカルサイドギヤ47,49の相対回転を許容する少なくとも一対のロングヘリカルピニオンギヤ51,ショートヘリカルピニオンギヤ53とを備え、ショートヘリカルピニオンギヤ53の支持孔65を貫通形成し、ショートヘリカルピニオンギヤ53とヘリカルサイドギヤ47との回転軸芯方向端面を直接摺動回転可能としたことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などに供されるデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のデファレンシャル装置としては、例えば図6,図7に示すようなものがある。図6はデファレンシャル装置の断面図、図7は図6のSA−SA矢視においてデフケースと支持板との関係を示す断面図である。
【0003】
図6,図7のように、デファレンシャル装置201は、デフケース203を備えている。デフケース203は、車体側のデフキャリアに回転自在に支持され、外周側に設けたリングギヤからトルク入力を受けるようになっている。デフケース203内の外周側に、円筒状の支持孔205,207が周方向に隣接して設けられている。これら支持孔205,207の対は、周方向等間隔で4対設けられている。
【0004】
前記デフケース203内には、一対のヘリカルサイドギヤ209,211(以下、「サイドギヤ209,211」と称す。)が同心状に相対回転自在に支持されている。サイドギヤ209,211間には、支持板213が介設されている。支持板213は、支持部213aが前記一方の支持孔207に嵌合する形状に形成されている。サイドギヤ209,211には、それぞれ軸215,217が結合され、軸215,217からトルク出力が可能となっている。
【0005】
前記一対の支持孔205,207には、それぞれロングヘリカルピニオンギヤ219(以下、「ロングギヤ219」と称す。)と、ショートヘリカルピニオンギヤ221(以下、「ショートギヤ221」と称す。)とが配置され、その外周の歯先が前記支持孔205,207内周面で支持されるようになっている。
【0006】
前記各ロングギヤ219、ショートギヤ221は相互に噛み合い、且つロングギヤ219はサイドギヤ209に噛み合い、ショートギヤ221はサイドギヤ211に噛み合い、両サイドギヤ209,211を噛み合い結合している。
【0007】
そして、前記デフケース203にトルクが入力されると、デフケース203と共にロングギヤ219、ショートギヤ221が公転する。このロングギヤ219、ショートギヤ221の公転によって、サイドギヤ209,211にそれぞれトルクが伝達され、両軸215,217からそれぞれトルク出力を行うことができる。
【0008】
両軸215,217間に相対回転を生じたときには、両サイドギヤ209,211がデフケース203に対し相対回転する。この相対回転は、ロングギヤ219、ショートギヤ221の自転によって吸収される。デフケース203からのトルクは、両軸215,217の差動回転を許容しながらロングギヤ219、ショートギヤ221を介して両サイドギヤ209,221から両軸215,217へ伝達される。
【0009】
また、前記差動回転時に前記ロングギヤ219、ショートギヤ221は、相互の噛み合い反力及びサイドギヤ209,221との噛み合い反力によって、支持孔205,207の内面に押しつけられ、摺動回転する。この摺動回転によって、ロングギヤ219、ショートギヤ221の差動回転が摩擦係合力によって制限される。
【0010】
同時に、ロングギヤ219、ショートギヤ221は、噛み合い反力によって回転軸芯方向へ移動力(スラスト力)を受ける。ロングギヤ219は、デフケース203の端板203a又は203bに押し付けられて摩擦係合力を生じる。ショートギヤ221は、端板203b又は支持板213に押しつけられて摩擦係合力を生じる。
【0011】
前記ショートギヤ221が支持板213に押しつけられた時には、支持板213がサイドギヤ209を介して、端板203a側に支持されることになる。従って、ショートギヤ221と端板203b又は支持板213との間でも摩擦係合力を生じる。
【0012】
これら摩擦係合力によって、ロングギヤ219、ショートギヤ221の差動回転が制限され、差動制限力を発生しながら安定したコーナリング走行等を行うことが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−77264号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の構造では、支持板213がデフケース203側と一体的に回転する構成であるため、ショートギヤ221が支持板213に押しつけられて摩擦係合力を発生するとき、ショートギヤ221と支持板213との間の相対回転速度はデフケース203とショートギヤ221との間の相対回転速度と何ら変わりがなく、摩擦係合力の増大に限界を招いていた。
【0015】
また、サイドギヤ209,211、ロングギヤ219,ショートギヤ221の歯の諸元の変更によって、サイドギヤ209がサイドギヤ211側へ移動しようとするとき、スペーサスリーブ223に当接する構造となっている。従って、サイドギヤ209が支持板213等に対して摩擦係合力を十分に得ることができないばかりか、ショートギヤ221にサイドギヤ209のスラスト力を加えて該ショートギヤ221を端板203bへより強く押し付け、ショートギヤ221と端板203bとの間の摩擦係合力を増大するという作用を奏することができないという問題がある。
【0016】
従って、全体として差動制限力の増大に限界を招いていた。
【0017】
さらに、支持板213が図7のように、複雑な形状となり、その製造、組み付け、部品管理が煩雑であるという問題がある。
【0018】
本発明は、差動制限力をより増大させながら、製造、組み付け、部品管理を容易にすることのできるデファレンシャル装置の提供を課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車体側に回転自在に支持される本体回転部材と、前記本体回転部材内に相対回転自在に支持され各別に出力取り出し可能な一対の出力回転部材と、前記本体回転部材に形成された少なくとも一対の円筒状の支持孔内に支持されて相互に噛み合い且つ前記各出力回転部材を噛み合い結合し前記本体回転部材の回転を前記各出力回転部材に伝達すると共に各出力回転部材の相対回転を許容する少なくとも一対の差動回転部材とを備え、前記一方の差動回転部材と前記一方の出力回転部材との回転軸芯方向端面を直接摺動回転可能としたことを特徴とする。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1記載のデファレンシャル装置であって、前記一方の差動回転部材の支持孔を貫通形成して前記直接摺動回転を行わせることを特徴とする。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載のデファレンシャル装置であって、前記本体回転部材は、エンジン側からのトルクを入力し、前記一対の出力回転部材は、前輪側と後輪側とへ各別に出力することを特徴とする。
【0022】
【発明の効果】
請求項1の発明では、車体側に回転自在に支持される本体回転部材にトルクが入力されると、少なくとも一対の差動回転部材が本体回転部材と共に公転し、差動回転部材が噛み合い結合する一対の出力回転部材に本体回転部材の回転を伝達することができる。従って、本体回転部材に入力されたトルクを、一対の出力回転部材から各別に取り出すことが可能となる。
【0023】
そして、一対の出力回転部材側が差動回転したときには、少なくとも一対の差動回転部材が自転して、各出力回転部材の相対回転を許容することができる。差動回転によって一対の差動回転部材が円筒状の支持孔の内面に押しつけられたときには、一対の差動回転部材と支持孔内面との間に摩擦係合力を発生する。また、差動回転により一方の差動回転部材が一方の出力回転部材側へ移動力を受けたときには、一方の差動回転部材と一方の出力回転部材との回転軸芯方向端面を直接摺動回転させることができ、相互の逆方向への相対回転により大きな摩擦係合力を得ることができる。
【0024】
一方の出力回転部材が一方の差動回転部材側へ移動力を受け、一方の差動回転部材が同方向へ移動力を受けたときには、一方の差動回転部材と一方の出力回転部材との回転軸芯方向端面の直接摺動回転により摩擦係合力を発せさせることができる。また、一方の差動回転部材及び一方の出力回転部材双方の移動力により、一方の差動回転部材と本体回転部材との間を摺動回転させ大きな摩擦係合力を発生させることができる。
【0025】
従って、摩擦係合力を大幅に増大させることができ、より大きな差動制限力により安定した差動回転を行うことができる。
【0026】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、一方の差動回転部材の支持孔を貫通形成しているため、従来のような支持板を省略することができ、製造、組み付け、部品管理を容易にすることができる。
【0027】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、前記本体回転部材は、エンジン側からのトルクを入力し、前記一対の出力回転部材は前輪側と後輪側とへ各別に出力することができる。従って、いわゆるセンターデフとして機能させることができ、前輪側と後輪側との差動を大きな差動制限力によって安定して行わせることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は本発明の一実施形態を示している。図1は四輪駆動車の動力伝達系のスケルトン平面図、図2はデファレンシャル装置の断面図、図3は主ケース部の端面図、図4はヘリカルサイドギヤとショートヘリカルピニオンギヤとの回転軸芯方向での対応関係を示す概略断面図である。
【0029】
図1のように、本発明の一実施形態に係るデファレンシャル装置1は、トランスファ3内に支持され、センターデファレンシャルとして構成されている。すなわち、デファレンシャル装置1には、エンジン5からトランスミッション7、ミッション出力軸8を介してトルクが入力されるようになっている。デファレンシャル装置1の一方の出力軸9には、スプロケット11が設けられている。このスプロケット11には、トランスファ3内に支持された伝動軸13のスプロケット15との間にベルト状のチェーン17が掛け回されている。
【0030】
前記伝動軸13には、シャフト19を介してフロントデファレンシャル装置21が結合されている。フロントデファレンシャル装置21には、左右のアクスルシャフト23,25を介して、左右の前輪27,29が結合されている。
【0031】
前記トランスファ3内には、前記デファレンシャル装置1の他方の出力軸31によって駆動されるオイルポンプ33が設けられている。
【0032】
前記他方の出力軸31には、プロペラシャフト35を介してリヤデファレンシャル装置37が結合されている。リヤデファレンシャル装置37には、左右のアクスルシャフト39,41を介して、左右の後輪43,45が結合されている。
【0033】
従って、エンジン5からトランスミッション7を介してトランスファ3のデファレンシャル装置1にトルクが伝達されると、一方では出力軸9からスプロケット11、チェーン17、スプロケット15、伝動軸13、シャフト19、フロントデファレンシャル装置21、左右のアクスルシャフト23,25を介して、左右の前輪27,29へトルク伝達が行われる。
【0034】
また他方では、出力軸31、プロペラシャフト35、リヤデファレンシャル装置37、左右のアクスルシャフト39,41を介して、左右の後輪43,45へトルク伝達が行われる。
【0035】
これらによって、四輪駆動状態で走行を行うことができる。コーナリング走行などによって、前輪27,29と後輪43,45との間に差動回転を生じたときには、前記デファレンシャル装置1においてその差動回転を吸収することができる。
【0036】
前記デファレンシャル装置1の詳細は、図2のようになっている。デファレンシャル装置1は本体回転部材としてのデフケース45と、一対の出力回転部材としてのヘリカルサイドギヤ47,49(以下、「サイドギヤ47,49」と称す。)、少なくとも一対の差動回転部材としてロングヘリカルピニオンギヤ51(以下、「ロングギヤ51」と称す。)及びショートヘリカルピニオンギヤ53(以下、「ショートギヤ53」と称す。)を備えている。
【0037】
前記デフケース45は、主ケース部55と、該主ケース部55両側の端板部57,59とからなっている。主ケース部55、端板部57,59は、周方向所定間隔で複数本備えられたボルト61によって締結され、デフケース45を構成している。
【0038】
前記主ケース部55には、少なくとも一対の支持孔63,65が設けられている。支持孔63,65は、双方共に主ケース部55の回転軸芯方向に貫通形成されている。支持孔63,65は、図3のように隣接し且つ相互に連通して設けられ、本実施形態において周方向90°配置で4対設けられている。主ケース部55の軸芯部には、支持孔65が回転半径方向に連通する小径の収容孔67と支持孔63が回転半径方向に連通する大径の収容孔68が回転軸芯方向へ隣接して設けられている。
【0039】
前記一方の端板部57には、ボス部69が一体に設けられ、該ボス部69の回転軸芯方向中間部にボス部69内外を連通する流通孔71が設けられている。ボス部69の端部内周には、雌スプライン73が設けられている。この雌スプライン73には、前記トランスミッション7のミッション出力軸8端部の雄スプラインが嵌合するようになっている。
【0040】
前記ボス部69内には、前記雌スプライン73と流通孔71との間に閉止部材75が取り付けられている。閉止部材75は、ボス部69内を流通孔71側と雌スプライン73側とに区分けするようにシールする。前記端板部59にも、ボス部77が設けられている。
【0041】
前記サイドギヤ47,49は、前記デフケース45内に相対回転自在に支持され、各別に出力取り出し可能となっている。すなわち、大径のサイドギヤ47は、前記大径の収容孔68内に収容され、小径のサイドギヤ49は前記小径の収容孔67内に収容されている。
【0042】
前記サイドギヤ47には、ギヤボス部79が設けられ、該ギヤボス部79は前記端板部57の内周孔81に回転自在に支持されている。サイドギヤ47には、その内周に雌スプライン80が設けられている。サイドギヤ47と端板部57との間には、ワッシャ83が介設されている。
【0043】
前記サイドギヤ49には、ギヤボス部85が一体に設けられている。ギヤボス部85は、前記端板部59のボス部77内に嵌合支持されている。ギヤボス部85には、噛み合い部87が設けられている。噛み合い部87は、前記スプロケット11側に噛み合い結合する構成となっている。
【0044】
前記サイドギヤ47,49間、及びサイドギヤ49と端板部59との間には、ワッシャ89,91が設けられている。
【0045】
前記デフケース45の支持孔63には、前記ロングギヤ51が収容され、前記支持孔65には、前記ショートギヤ53が収容されている。ロングギヤ51とショートギヤ53とは相互に噛み合い、且つロングギヤ51はサイドギヤ47に噛み合い、ショートギヤ53はサイドギヤ49に噛み合っている。
【0046】
前記サイドギヤ47,49の軸芯部には、出力軸31が嵌合し、該出力軸31に設けられた雄スプライン93が前記サイドギヤ47の雌スプライン80にスプライン嵌合している。
【0047】
前記出力軸31の端部は、前記デフケース45の端板部57側でニードルベアリング95によってボス部69内周に回転自在に支持されている。出力軸31の軸芯部には、前記オイルポンプ33の吐出口に連通する流通孔97が貫通形成されている。流通孔97の端部は、前記端板部57のボス部69内に連通している。流通孔97の途中には、半径方向の流通孔99が設けられている。流通孔99は、前記ヘリカルサイドギヤ49の内周面に連通している。また出力軸31の外周面には、デフケース45外から前記ヘリカルサイドギヤ49内周側にかけて、油溝101が設けられている。
【0048】
前記サイドギヤ47とショートギヤ53との端面間の対応関係は、図4のようになっている。図3、図4のように、前記ショートギヤ53の回転軸芯CTは、前記サイドギヤ47の歯底円の径Rよりも内周側に位置している。
【0049】
そして、前記のようにミッション出力軸8からデファレンシャル装置1にトルクが入力されると、雌スプライン73からデフケース45にトルクが伝達される。このデフケース45へのトルク伝達によって、デフケース45が回転すると、支持孔63,65に支持されたロングギヤ51及びショートギヤ53がデフケース45と一体に動作し、デフケース45の回転軸芯を中心に公転する。
【0050】
この公転によって、両サイドギヤ47,49がデフケース45と共に一体的に回転し、サイドギヤ49からは噛み合い部87を介してトランスファ3内のスプロケット11側にトルク伝達が行われ、サイドギヤ47からは雌スプライン80、雄スプライン93を介して出力軸31へトルク伝達が行われる。従って、図1で説明したように前輪27,29、後輪43,45へエンジン5のトルクが伝達され、四輪駆動を行うことができる。
【0051】
また前記のように、前輪27,29と後輪43,45との間に差動回転が生じると、サイドギヤ47,49に差動回転が伝達され、ロングギヤ51、ショートギヤ53の自転によって、両サイドギヤ47,49間の差動回転が許容される。
【0052】
このとき、サイドギヤ47、ロングギヤ51間の噛み合い反力によってロングギヤ51が支持孔63の内面に押し付けられ、サイドギヤ49とショートギヤ53との噛み合い反力によってショートギヤ53が支持孔65の内面に押し付けられる。
【0053】
従って、ロングギヤ51と支持孔63との間、ショートギヤ53と支持孔65との間において摩擦係合力を生じる。
【0054】
また本実施形態では、サイドギヤ47及びロングギヤ51、サイドギヤ49及びショートギヤ53の歯の捩れ角の設定により、ショートギヤ53は矢印Aのようにサイドギヤ47側へスラスト力を受ける。またサイドギヤ47も矢印Bのように端板部57側へスラスト力を受ける。これらにより、サイドギヤ47が端板部57との内面で摺動し、摩擦係合力を発生する。この摩擦係合力は、サイドギヤ47に対しショートギヤ53のスラスト力も付加されることにより、より増大されたものとなっている。またサイドギヤ47とショートギヤ53との間で回転軸芯方向端面が直接摺動回転し大きな摩擦係合力を生じる。
【0055】
前記ロングギヤ51は、矢印Cのように端板部59側へスラスト力を受け、サイドギヤ49は矢印Dのように同様に端板部59側へスラスト力を受ける。これによって、ロングギヤ51と端板部59の内面との間で摩擦係合力を生じ、サイドギヤ49と端板部59との間では、ワッシャ91を介して摩擦係合力を生じる。
【0056】
これらの、特にサイドギヤ47とショートギヤ53との間での直接摺動回転による大きな摩擦係合力を含めて総合した摩擦係合力により、前記ロングギヤ51、ショートギヤ53の自転が大きく制限され、サイドギヤ47,49間の差動回転も大きく制限されることになる。これらにより、全体として大きな差動制限力を得ることができ、コーナリング走行時などにおいてデファレンシャル装置1では、安定した差動回転によりトルク伝達を行うことができる。
【0057】
なお、前記オイルポンプ33は、前記出力軸31によって駆動されており、オイルポンプ33から流通孔97へ流入したオイルが流通孔99からサイドギヤ49の内面側に至り、油溝101を介して、サイドギヤ49外へ流出する。また、流通孔97からボス部69内面へ至ったオイルは、ニードルベアリング95側に流入して潤滑を行うと共に、流通孔71からデフケース45外へ流出する。これによって、デフケース45内部を十分に潤滑することができる。
【0058】
組み付けに際しては、主ケース部55に端板部59を合わせ、端板部57を外した状態で行う。端板部57には、閉止部材75を組み付け、次いでニードルベアリング95を組み付けておく。
【0059】
次いで、ワッシャ91、サイドギヤ49、ワッシャ89をこの順に組み付け、ロングギヤ51を支持孔63に組み付け、ショートギヤ53を支持孔65に組み付ける。
【0060】
次いでサイドギヤ47を組み付け、ワッシャ83を配置し、端板部57を主ケース部55に合わせてボルト61を締め込む。これによってデファレンシャル装置1の組付けが完了する。この場合、サイドギヤ47、49、ショートギヤ53、ロングギヤ51などを主ケース部55に対し一方向から組み付けることができ、組み付け性を大幅に向上させることができる。
【0061】
またサイドギヤ47、ショートギヤ53間に従来のような支持板が存在しないので、その製造が不要となり、製造、組み付け、部品管理が極めて容易となる。
【0062】
前記サイドギヤ47の端面とショートギヤ53の端面とが摺接するときには、ショートギヤ53の回転軸芯CTがサイドギヤ47の歯底円の径Rよりも内周側において当接する。このため、ショートギヤ53がサイドギヤ47に対して確実に当接し、ショートギヤ53の端面の面当たりが向上し、ショートギヤ53の支持が安定する。従って、ショートギヤ53の前記差動回転等を安定して行わせることができると共に、ショートギヤ53とサイドギヤ47との間の摩擦係合力の発生、サイドギヤ47と端板部57との間の摩擦係合力の発生、ショートギヤ53とサイドギヤ47との間のスラスト力の伝達等を確実に行わせることができる。
【0063】
前記各ギヤの矢印A,B,C,Dで示すスラスト力は、上記実施形態に限られるものではなく、デフケース45及びサイドギヤ47,49に対する入出力部材の連結関係や、サイドギヤ47,49、ロングギヤ51、ショートギヤ53端部の摩擦係合力すなわち差動制限力をどのように車両として使用するかという車両走行状態とのマッチングに合わせて適宜変更することができ、ヘリカルの歯の捩れ角の大小、捩れ方向及び圧力角等のギヤ諸元を適宜選定することができるものである。
【0064】
図5はその一例としてスラスト力の向きを変更した実施形態に係り、デファレンシャル装置1Aの断面図である。
【0065】
図5においても、デファレンシャル装置1Aは、例えばセンターデフとして適用したものである。本実施形態においては、図2で示す両サイドギヤ47,49間のスラストワッシャ89は設けられていない。そして、ギヤ諸元の設定により、ショートギヤ53、サイドギヤ47、ロングギヤ51、サイドギヤ49は、それぞれ上記実施形態とは逆向きの矢印A1,B1,C1,D1方向にスラスト力を受ける構成となっている。
【0066】
従って、差動回転時には、サイドギヤ47及びショートギヤ53間の回転軸芯方向端面の直接摺動回転と、ショートギヤ53及び端板部59間の直接摺動回転とにより大きな摩擦係合力を生じると共に、ショートギヤ53のスラスト力にサイドギヤ47のスラスト力が付加されて、ショートギヤ53が端板部59に押しつけられ、大きな摩擦係合力を発生する。従って、サイドギヤ47とショートギヤ53との間のみならず、ショートギヤ53と端板部59との間でも大きな摩擦係合力を発生することができる。
【0067】
またロングギヤ51では、端板部57との間で摩擦係合力を発生し、サイドギヤ47,49間でも摩擦係合力を発生する。
【0068】
従って、本実施形態においても、大きな摩擦係合力によって安定した差動回転を行わせることができる。
【0069】
なお、上記実施形態では、デファレンシャル装置1,1Aをセンターデフとして説明したが、デフケース45からトルク入力を行い、両サイドギヤ47,49に左右のアクスルシャフトを結合する構成とし、フロントデファレンシャル装置21、リヤデファレンシャル装置37等として構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を適用した四輪駆動車の動力伝達系等を示すスケルトン平面図である。
【図2】一実施形態に係るデファレンシャル装置の断面図である。
【図3】主ケース部の端面図である。
【図4】ヘリカルサイドギヤとショートヘリカルピニオンギヤとの端面の対応関係を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るデファレンシャル装置の断面図である。
【図6】従来例に係るデファレンシャル装置の断面図である。
【図7】図6のSA−SA矢視における支持板の配置状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1A デファレンシャル装置
45 デフケース(本体回転部材)
47,49 ヘリカルサイドギヤ(出力回転部材)
51 ロングヘリカルピニオンギヤ(差動回転部材)
53 ショートヘリカルピニオンギヤ(差動回転部材)
63,65 支持孔

Claims (3)

  1. 車体側に回転自在に支持される本体回転部材と、
    前記本体回転部材内に相対回転自在に支持され各別に出力取り出し可能な一対の出力回転部材と、
    前記本体回転部材に形成された少なくとも一対の円筒状の支持孔内に支持されて相互に噛み合い且つ前記各出力回転部材を噛み合い結合し前記本体回転部材の回転を前記各出力回転部材に伝達すると共に各出力回転部材の相対回転を許容する少なくとも一対の差動回転部材とを備え、
    前記一方の差動回転部材と前記一方の出力回転部材との回転軸芯方向端面を直接摺動回転可能としたことを特徴とするデファレンシャル装置。
  2. 請求項1記載のデファレンシャル装置であって、
    前記一方の差動回転部材の支持孔を貫通形成して前記直接摺動回転を行わせることを特徴とするデファレンシャル装置。
  3. 請求項1又は2記載のデファレンシャル装置であって、
    前記本体回転部材は、エンジン側からのトルクを入力し、
    前記一対の出力回転部材は、前輪側と後輪側とへ各別に出力することを特徴とするデファレンシャル装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009197976A (ja) * 2008-02-25 2009-09-03 Jtekt Corp 歯車及びこれを備えた車両用差動装置

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