JP2004224758A - ポリカルボフィルカルシウム含有製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリカルボフィルカルシウムを含有する酸性条件で崩壊可能な製剤を提供する。
【解決手段】ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤であって、有効成分としてポリカルボフィルカルシウムを含有し、かつ、架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸から選択される1種又は2種以上の添加物を含み、酸性条件で崩壊可能な製剤は、胃内の酸性条件で容易に崩壊することにより、カルシウムの脱離後ポリカルボフィルが消化管内に均一に分散されるため、確実な薬効が期待でき、消化管疾患治療剤,過敏性腸症候群並びに下部消化管の機能障害により起こる便秘及び下痢の治療剤として有用である。
【選択図】なし
【解決手段】ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤であって、有効成分としてポリカルボフィルカルシウムを含有し、かつ、架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸から選択される1種又は2種以上の添加物を含み、酸性条件で崩壊可能な製剤は、胃内の酸性条件で容易に崩壊することにより、カルシウムの脱離後ポリカルボフィルが消化管内に均一に分散されるため、確実な薬効が期待でき、消化管疾患治療剤,過敏性腸症候群並びに下部消化管の機能障害により起こる便秘及び下痢の治療剤として有用である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカルボフィルカルシウムを有効成分として含有する製剤に関し、消化管疾患治療剤、特に、過敏性腸症候群並びに下部消化管の機能障害により起こる便秘及び下痢の治療に使用される製剤に関する。
さらに詳細には、本発明はバルク形成緩下剤及び止瀉剤として繁用されるポリカルボフィルカルシウムを含有し、酸性条件で崩壊可能な製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカルボフィルカルシウム(ザ・メルク・インデックス(The Merck Index),13版,No.1702)は合成されたポリカルボン酸タイプの緩く架橋した親水性樹脂のカルシウム塩である。
ポリカルボフィルカルシウムの便秘及び下痢の治療に対する使用は、米国特許第3297664号明細書等に既に記載されている。ポリカルボフィルカルシウムの薬効発現には次のような物理的効果が関与していると考えられている(ファーマコセラピー(Pharmacotherapy),2(1),18〜28頁,1982年)。すなわち、ポリカルボフィルカルシウムが経口投与されると、胃液による酸性条件下、胃内でカルシウムが脱離してポリカルボン酸部分のカルボキシル基が遊離型であるポリカルボフィルとなり、さらに中性又は弱アルカリ性の腸内に移行した後に当該カルボキシル基がイオン化し、架橋高分子が吸水してコロイド状態が形成される。このコロイド状態が、便秘症状では糞便中の水分保持による便の硬さの低減と体積増加をもたらし排便を容易にする。又、下痢症状では腸内水分の流動性を低下させることにより止瀉作用をもたらす。従って、ポリカルボフィルカルシウムの胃内でのカルシウムの脱離、及び消化管内での均一な分散が薬効発現の重要な役割を担っている。
【0003】
しかし、カルボキシル基が遊離型であるポリカルボフィルの付着性は極めて強く、この性質を利用して粘膜付着性徐放性基剤としても使用できることが報告されている(ジャーナル・オブ・ファーマシユーティカル・サイエンシィズ(J.Pharm.Sci.),74,399〜405頁,1985年)。この様な性質のためにポリカルボフィルカルシウム製剤を酸性溶液(例えば、人工胃液:pH約1.2)中に投入した場合に、該製剤が容易に崩壊しないという問題点があった。すなわち、ポリカルボフィルカルシウム製剤が酸性溶液に接触すると、製剤表面のポリカルボフィルカルシウムからカルシウムが脱離してポリカルボフィルとなり、製剤表面に極めて粘着性の高いポリカルボフィル層が形成されるので、製剤内への水分侵入が困難になり、製剤の崩壊性及びカルシウムの脱離が著しく悪化する。この結果、ポリカルボフィルカルシウム製剤を経口投与しても製剤が充分に崩壊しないために、胃内でのカルシウムの脱離や消化管内での均一な分散が妨げられ、十分な薬効が発揮されないという問題点があった。
【0004】
この様な問題の解決を目的としたポリカルボフィルカルシウム製剤として、エイ・エイチ・ロビンス社のチュアブル錠(ミトロラン(商品名))が市販されている。チュアブル錠は口中で噛み砕きながら、崩壊後の製剤を胃内へ送ることにより、胃内での製剤崩壊の問題を解決している。しかし、噛み砕くことによる不快な味覚やざらざらした舌ざわりのために、患者が受け入れ難いという問題があった。
【0005】
又、アメリカン・サイアナミド・カンパニー社からは錠剤(特開昭63−253027号公報)が開示されている。該製剤は、ポリカルボフィルカルシウムにミクロクリスタリンセルロース(結晶セルロース),ステアリン酸マグネシウム,架橋したポリビニルピロリドン(クロスポビドン),ポリビニルピロリドン,シリカゲル(無水ケイ酸)及びステアリン酸を含んで成る製剤で、さらにカラメル粉を包含し、服用を容易にするために錠剤をフィルムで被覆したものである。尚、該錠剤の市販品としてはレダリー社のファイバーコン(商品名)が知られている。しかしながら、いずれの製剤においても崩壊性に問題があった。
さらに、その他のポリカルボフィルカルシウム改良製剤の一例として、アセント・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド社からスプリンクル製剤(特表平8−502073号公報)が開示されている。該製剤は、滑らかな微粒子の超微細なポリカルボフィルカルシウム粉末を含有し、バインダー,甘味剤等を加えて製造される粉末であり、小児にも投与可能とするために、美味で食物に混合又はふりかけることが可能な形状としたものである。しかしながら、錠剤や粒剤など汎用される製剤と比べて、その投薬方法は医薬品として簡便であるとは言いがたい。
尚、先に本出願人は、崩壊性を改良した製剤として、ポリカルボフィルカルシウムにセルロース誘導体を添加した製剤(特許第2609022号公報)、及びポリカルボフィルカルシウムに結合剤として知られているプルランを添加した製剤(特開平8−198761号公報)を開示しているが、さらに汎用性が高く安価な製剤添加剤を含有する崩壊性の優れたポリカルボフィルカルシウム製剤の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はポリカルボフィルカルシウムを含み、酸性条件で容易に崩壊する製剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本出願人は上記の課題を解決すべく鋭意検討してきた結果、驚くべきことに賦形剤又は結合剤として汎用されている架橋高分子,増粘剤又は結合剤として汎用されている天然多糖類,又は矯味剤又はpH調節剤として汎用されている水溶性有機酸から選択される1種又は2種以上の添加物を製剤中に配合することにより、ポリカルボフィルカルシウム含有製剤が酸性条件下で急速に崩壊すること、及びその結果として容易にカルシウムの脱離をおこし、均一な分散を生じることを発見するに至った。その検討の結果、該添加剤を含有するポリカルボフィルカルシウム製剤を経口投与すれば、充分な崩壊性を有するポリカルボフィルカルシウム製剤を提供できるとの本発明の知見に達するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤であって、有効成分としてポリカルボフィルカルシウムを含有し、かつ、架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸から選択される1種又は2種以上の添加物を含み、酸性条件で崩壊可能な製剤に関するものである。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、上記製剤において、該架橋高分子として、コムギデンプン,バレイショデンプン,トウモロコシデンプン,アルファー化デンプン,部分アルファー化デンプン,カルボキシメチルスターチナトリウム,クロスポビドンからなる群から選ばれる架橋高分子を含む製剤、及び/又は、該天然多糖類として、カンテン末,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,トラガント末からなる群から選ばれる天然多糖類を含む製剤、及び/又は、該水溶性有機酸として、クエン酸,dl−リンゴ酸,酒石酸から選ばれる有機酸を含む製剤が提供される。
【0010】
本発明の好ましい態様としては、ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤であって、有効成分としてポリカルボフィルカルシウムを含有し、かつ、アルファー化デンプン,トラガント末,dl−リンゴ酸から選択される1種又は2種以上の添加物を含み、酸性条件で崩壊可能な製剤が提供される。
【0011】
本発明の製剤は、消化管疾患治療剤として有用であり、特に、過敏性腸症候群並びに下部消化管の機能障害により起こる便秘及び下痢の治療剤として有用性が期待され、又、提供される製剤の形態としては、経口投与製剤として許容できる製剤であれば特に制限されないが、好ましくは、錠剤,粒剤,散剤,カプセル剤などの製剤が提供される。
【0012】
本発明の製剤に含有されるポリカルボフィルカルシウムとしては、種々の重合度のものが使用できるが、例えば、米国薬局方(USP24 291頁)収載の規格の重合度のものを使用することが好ましい。
【0013】
本発明の製剤において含有される架橋高分子は、自然界に広く存在するデンプン及びそれを化学的に修飾あるいは変性させた高分子化合物、又は架橋重合により合成された高分子化合物であり、例えば、コムギデンプン,バレイショデンプン,トウモロコシデンプン,アルファー化デンプン,部分アルファー化デンプン,カルボキシメチルスターチナトリウム,クロスポビドン等を例示することができる。製剤中に使用する架橋高分子の数及び種類は特に制限されず、これらの中の1種又は2種以上を使用することができる。
【0014】
本発明の製剤において含有される天然多糖類は、加水分解によって2分子以上の単糖を生ずる高分子の糖であり、例えば、カンテン末,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,トラガント末等を例示することができる。製剤中に使用する天然多糖類の数及び種類は特に制限されず、これらの中の1種又は2種以上を使用することができる。
【0015】
本発明の製剤において含有される水溶性有機酸としては、例えば、クエン酸,dl−リンゴ酸,酒石酸等を例示することができる。製剤中に使用する水溶性有機酸の数及び種類は特に制限されず、これらの中の1種又は2種以上を使用することができる。
【0016】
本発明の製剤に使用される架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸などの添加剤は日本薬局方,医薬品添加物規格又は食品添加物公定書に記載された添加剤成分であり、それらで定める基準に適合するものを使用することが好ましい。
【0017】
本発明の製剤には、上記の添加剤成分の他、例えば、医薬品添加剤として汎用される添加剤を加えることができる。本発明の製剤におけるそれらの添加剤としては、賦形剤,結合剤,滑沢剤,光沢化剤,矯味剤,帯電防止剤等の目的の添加剤が使用され、例えば、乳糖,結晶セルロース,D−マンニトール,白糖,プルラン,ステアリン酸,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸カルシウム,タルク,カルナウバロウ,サラシミツロウ,ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート,ステアリン酸ポリオキシル40,サッカリンナトリウム,アスパルテーム,メントール等を添加することができる。これらの添加剤はポリカルボフィルカルシウムに対して300重量%以下で使用される。
【0018】
本発明の製剤における好ましい組成としては、例えば、
(1)ポリカルボフィルカルシウム及び架橋高分子
(2)ポリカルボフィルカルシウム,架橋高分子及び天然多糖類
(3)ポリカルボフィルカルシウム,架橋高分子及び水溶性有機酸
(4)ポリカルボフィルカルシウム,架橋高分子,天然多糖類及び結晶セルロース
の様な組み合わせの組成物、及び/又は必要に応じ、さらに上記組成物に上記の他の医薬品添加剤を添加した組成物が挙げられる。
【0019】
本発明の製剤の製造方法としては、例えば、所定量のポリカルボフィルカルシウムに、架橋高分子、及び/又は必要に応じて、他の医薬品添加剤として汎用される添加剤を加えてV型混合機等により混合して均一な分散体を製造した後に、該分散体を含む製剤を製造すればよい。製剤としては、例えば、錠剤,粒剤,散剤等の形態の製剤を製造することができる。
【0020】
上記製造方法における分散体の製造にあたり、架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸のうちのいずれか1種以上又は全てを2種以上使用する場合には、それぞれを単独で配合しても良いが、それらの混合物を配合しても良い。上記の分散体は必要に応じて造粒してもよい。造粒にあたっては、上記の様にして得られた粉体状の分散体を、水,エタノール,イソプロパノール等の溶媒をポリカルボフィルカルシウムに対して100重量%以下で使用して破砕,押出,攪拌,転動等の操作により造粒し、40〜80℃で1〜24時間乾燥するか、流動層造粒乾燥機により40〜80℃で15〜120分間造粒,乾燥した後、必要に応じて整粒すればよい。一般には粒度が約50〜2000μmの造粒物が好ましい。尚、この造粒物にさらに架橋高分子,天然多糖類,水溶性有機酸、及び/又は、必要に応じて他の医薬品添加剤として汎用される添加剤を混合することもできる。又、上記造粒物は必要に応じてコーティング剤等の他の添加剤でコーティングしてもよい。
【0021】
本発明の製剤を製造するには、上記の様にして得られる粉体状の分散体又は造粒物をそのまま散剤,粒剤とするか、あるいは当業者に周知の手段により打錠して錠剤とすればよい。又、粒剤は上記の造粒物のコーティグ物を用いてもよく、錠剤は必要に応じてコーティング剤等の他の添加剤でコーティングしてもよい。
【0022】
本発明の製剤の好ましい製造方法の一例としては、ポリカルボフィルカルシウムに対して20重量%以下の架橋高分子を添加し、ポリカルボフィルカルシウムに対して2〜100重量%の水又はエタノールを添加して造粒し、50〜60℃で5〜20時間乾燥した後、50〜500μmの造粒物を得、さらに必要に応じてポリカルボフィルカルシウムに対して総量が1〜40重量%となる様に架橋高分子を添加混合し、さらに10〜50重量%の結晶セルロース又は乳糖、及び0.5〜5重量%のステアリン酸マグネシウム等を混合し、打錠して錠剤を製造する方法を挙げることができる。
【0023】
錠剤又は粒剤を製造するにあたり、当業者に周知の方法でフィルムコート等の剤皮を施すこともできる。コーティング剤としてはヒドロキシプロピルメチルセルロース,マクロゴール6000,酸化チタン,タルク,糖類等を挙げることができ、コーティング剤は錠剤重量に対して20重量%以下で使用される。
【0024】
上記の製造方法は、本発明の製剤を製造する方法の一つとして例示されたものであり、本発明の製剤の製造方法は上記の方法に限定されることはない。さらに、上記の方法には当業者に周知の改良が加えられてもよい。
【0025】
この様にして製造される本発明の製剤は、酸性条件で崩壊可能な製剤であり、例えばpH1〜4の酸性条件下、好ましくは第14改正日本薬局方記載の第1液を用いて崩壊試験法で試験した場合に60分以内、好ましくは20分以内に崩壊する製剤である。
【0026】
本発明の製剤は消化管疾患、特に、過敏性腸症候群並びに便秘及び下痢の治療剤として有用であり、通常、ポリカルボフィルカルシウムとして、成人一日当り1〜8gを1〜4回に分けて経口投与すればよい。
【0027】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらの実施例の特定の細部に限定されるものではない。
【0028】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにアルファー化デンプンの一部分(全量の約2分の1)を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して7重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、残りのアルファー化デンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウムを500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
【0029】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにアルファー化デンプンの一部分(全量の約2分の1)を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して7重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、残りのアルファー化デンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウムを500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
これにヒドロキシプロピルメチルセルロース,マクロゴール6000及び酸化チタンを用いフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0030】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにトラガント末を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して5重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、トウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウム500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
【0031】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにトラガント末を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して5重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、トウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。これを1錠中ポリカルボフィルカルシウム500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
これにヒドロキシプロピルメチルセルロース,マクロゴール6000及び酸化チタンを用いフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0032】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにdl−リンゴ酸を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して5重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、トウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウム500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
【0033】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにdl−リンゴ酸を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して5重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、トウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウム500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
これにヒドロキシプロピルメチルセルロース,マクロゴール6000及び酸化チタンを用いフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0034】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにトウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて室温で混合した後、カンテン末を溶解した水(ポリカルボフィルカルシウムに対して15重量%)を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を16メッシュの篩で整粒して顆粒を得た。
【0035】
比較例として架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸を含有しない製剤を以下のとおり調製した。
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにポリカルボフィルカルシウムに対して4重量%の水を加えて室温で造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。これを1錠中ポリカルボフィルカルシウムを500mg含有するように打錠し錠剤を得た。これにフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0036】
特開昭63−253027号公報記載の方法に従い、以下のとおり比較製剤を調製した。
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにカラメル,ポリビニルピロリドンを加え、さらにクロスポビドンの一部分(全量の5分の3)を加えて混合し、約50〜65℃に加熱した水を用いて造粒後50℃で6時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、残りのクロスポビドン,結晶セルロース及び無水ケイ酸を加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムとステアリン酸を加えて混合して打錠用粉末とした。これを1錠中ポリカルボフィルカルシウムを625mg含有するように打錠し錠剤を得た。
【0037】
比較例3
比較例2で得られた錠剤に、1錠あたりヒドロキシプロピルメチルセルロース20mg,マクロゴール6000 5mg及び酸化チタン5mgを用いてフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0038】
以上のようにして得られた製剤における酸性条件での崩壊性を検討した。
崩壊試験方法は、日本薬局方崩壊試験法の操作法(2)適当なコーティング剤で剤皮を施した錠剤、及び(5)顆粒剤に従い、第1液を用いて行った。
【0039】
各製剤の試験結果を表1に示す。
本発明の製剤は素錠,フィルムコート錠,顆粒剤いずれの場合にも優れた崩壊性を示した。
一方、比較例1(架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸を含有しない製剤)、比較例2(特開昭63−253027号公報に記載の製剤)、比較例3(比較例2の製剤のフィルムコート錠)及びファイバーコンらの製剤はいずれも、試験器のガラス管内でゲル化が起こり、60分以内には崩壊しなかった。
【0040】
【表1】
【発明の効果】
本発明の製剤は、酸性条件下において容易に崩壊し均一に分散されることから、胃における容易な崩壊及び消化管内での均一な分散,並びに確実な薬効が期待でき、又、不快な味覚や舌ざわりがないため、消化管疾患治療剤,特に過敏性腸症候群並びに便秘及び下痢の治療剤として極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカルボフィルカルシウムを有効成分として含有する製剤に関し、消化管疾患治療剤、特に、過敏性腸症候群並びに下部消化管の機能障害により起こる便秘及び下痢の治療に使用される製剤に関する。
さらに詳細には、本発明はバルク形成緩下剤及び止瀉剤として繁用されるポリカルボフィルカルシウムを含有し、酸性条件で崩壊可能な製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカルボフィルカルシウム(ザ・メルク・インデックス(The Merck Index),13版,No.1702)は合成されたポリカルボン酸タイプの緩く架橋した親水性樹脂のカルシウム塩である。
ポリカルボフィルカルシウムの便秘及び下痢の治療に対する使用は、米国特許第3297664号明細書等に既に記載されている。ポリカルボフィルカルシウムの薬効発現には次のような物理的効果が関与していると考えられている(ファーマコセラピー(Pharmacotherapy),2(1),18〜28頁,1982年)。すなわち、ポリカルボフィルカルシウムが経口投与されると、胃液による酸性条件下、胃内でカルシウムが脱離してポリカルボン酸部分のカルボキシル基が遊離型であるポリカルボフィルとなり、さらに中性又は弱アルカリ性の腸内に移行した後に当該カルボキシル基がイオン化し、架橋高分子が吸水してコロイド状態が形成される。このコロイド状態が、便秘症状では糞便中の水分保持による便の硬さの低減と体積増加をもたらし排便を容易にする。又、下痢症状では腸内水分の流動性を低下させることにより止瀉作用をもたらす。従って、ポリカルボフィルカルシウムの胃内でのカルシウムの脱離、及び消化管内での均一な分散が薬効発現の重要な役割を担っている。
【0003】
しかし、カルボキシル基が遊離型であるポリカルボフィルの付着性は極めて強く、この性質を利用して粘膜付着性徐放性基剤としても使用できることが報告されている(ジャーナル・オブ・ファーマシユーティカル・サイエンシィズ(J.Pharm.Sci.),74,399〜405頁,1985年)。この様な性質のためにポリカルボフィルカルシウム製剤を酸性溶液(例えば、人工胃液:pH約1.2)中に投入した場合に、該製剤が容易に崩壊しないという問題点があった。すなわち、ポリカルボフィルカルシウム製剤が酸性溶液に接触すると、製剤表面のポリカルボフィルカルシウムからカルシウムが脱離してポリカルボフィルとなり、製剤表面に極めて粘着性の高いポリカルボフィル層が形成されるので、製剤内への水分侵入が困難になり、製剤の崩壊性及びカルシウムの脱離が著しく悪化する。この結果、ポリカルボフィルカルシウム製剤を経口投与しても製剤が充分に崩壊しないために、胃内でのカルシウムの脱離や消化管内での均一な分散が妨げられ、十分な薬効が発揮されないという問題点があった。
【0004】
この様な問題の解決を目的としたポリカルボフィルカルシウム製剤として、エイ・エイチ・ロビンス社のチュアブル錠(ミトロラン(商品名))が市販されている。チュアブル錠は口中で噛み砕きながら、崩壊後の製剤を胃内へ送ることにより、胃内での製剤崩壊の問題を解決している。しかし、噛み砕くことによる不快な味覚やざらざらした舌ざわりのために、患者が受け入れ難いという問題があった。
【0005】
又、アメリカン・サイアナミド・カンパニー社からは錠剤(特開昭63−253027号公報)が開示されている。該製剤は、ポリカルボフィルカルシウムにミクロクリスタリンセルロース(結晶セルロース),ステアリン酸マグネシウム,架橋したポリビニルピロリドン(クロスポビドン),ポリビニルピロリドン,シリカゲル(無水ケイ酸)及びステアリン酸を含んで成る製剤で、さらにカラメル粉を包含し、服用を容易にするために錠剤をフィルムで被覆したものである。尚、該錠剤の市販品としてはレダリー社のファイバーコン(商品名)が知られている。しかしながら、いずれの製剤においても崩壊性に問題があった。
さらに、その他のポリカルボフィルカルシウム改良製剤の一例として、アセント・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド社からスプリンクル製剤(特表平8−502073号公報)が開示されている。該製剤は、滑らかな微粒子の超微細なポリカルボフィルカルシウム粉末を含有し、バインダー,甘味剤等を加えて製造される粉末であり、小児にも投与可能とするために、美味で食物に混合又はふりかけることが可能な形状としたものである。しかしながら、錠剤や粒剤など汎用される製剤と比べて、その投薬方法は医薬品として簡便であるとは言いがたい。
尚、先に本出願人は、崩壊性を改良した製剤として、ポリカルボフィルカルシウムにセルロース誘導体を添加した製剤(特許第2609022号公報)、及びポリカルボフィルカルシウムに結合剤として知られているプルランを添加した製剤(特開平8−198761号公報)を開示しているが、さらに汎用性が高く安価な製剤添加剤を含有する崩壊性の優れたポリカルボフィルカルシウム製剤の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はポリカルボフィルカルシウムを含み、酸性条件で容易に崩壊する製剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本出願人は上記の課題を解決すべく鋭意検討してきた結果、驚くべきことに賦形剤又は結合剤として汎用されている架橋高分子,増粘剤又は結合剤として汎用されている天然多糖類,又は矯味剤又はpH調節剤として汎用されている水溶性有機酸から選択される1種又は2種以上の添加物を製剤中に配合することにより、ポリカルボフィルカルシウム含有製剤が酸性条件下で急速に崩壊すること、及びその結果として容易にカルシウムの脱離をおこし、均一な分散を生じることを発見するに至った。その検討の結果、該添加剤を含有するポリカルボフィルカルシウム製剤を経口投与すれば、充分な崩壊性を有するポリカルボフィルカルシウム製剤を提供できるとの本発明の知見に達するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤であって、有効成分としてポリカルボフィルカルシウムを含有し、かつ、架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸から選択される1種又は2種以上の添加物を含み、酸性条件で崩壊可能な製剤に関するものである。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、上記製剤において、該架橋高分子として、コムギデンプン,バレイショデンプン,トウモロコシデンプン,アルファー化デンプン,部分アルファー化デンプン,カルボキシメチルスターチナトリウム,クロスポビドンからなる群から選ばれる架橋高分子を含む製剤、及び/又は、該天然多糖類として、カンテン末,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,トラガント末からなる群から選ばれる天然多糖類を含む製剤、及び/又は、該水溶性有機酸として、クエン酸,dl−リンゴ酸,酒石酸から選ばれる有機酸を含む製剤が提供される。
【0010】
本発明の好ましい態様としては、ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤であって、有効成分としてポリカルボフィルカルシウムを含有し、かつ、アルファー化デンプン,トラガント末,dl−リンゴ酸から選択される1種又は2種以上の添加物を含み、酸性条件で崩壊可能な製剤が提供される。
【0011】
本発明の製剤は、消化管疾患治療剤として有用であり、特に、過敏性腸症候群並びに下部消化管の機能障害により起こる便秘及び下痢の治療剤として有用性が期待され、又、提供される製剤の形態としては、経口投与製剤として許容できる製剤であれば特に制限されないが、好ましくは、錠剤,粒剤,散剤,カプセル剤などの製剤が提供される。
【0012】
本発明の製剤に含有されるポリカルボフィルカルシウムとしては、種々の重合度のものが使用できるが、例えば、米国薬局方(USP24 291頁)収載の規格の重合度のものを使用することが好ましい。
【0013】
本発明の製剤において含有される架橋高分子は、自然界に広く存在するデンプン及びそれを化学的に修飾あるいは変性させた高分子化合物、又は架橋重合により合成された高分子化合物であり、例えば、コムギデンプン,バレイショデンプン,トウモロコシデンプン,アルファー化デンプン,部分アルファー化デンプン,カルボキシメチルスターチナトリウム,クロスポビドン等を例示することができる。製剤中に使用する架橋高分子の数及び種類は特に制限されず、これらの中の1種又は2種以上を使用することができる。
【0014】
本発明の製剤において含有される天然多糖類は、加水分解によって2分子以上の単糖を生ずる高分子の糖であり、例えば、カンテン末,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,トラガント末等を例示することができる。製剤中に使用する天然多糖類の数及び種類は特に制限されず、これらの中の1種又は2種以上を使用することができる。
【0015】
本発明の製剤において含有される水溶性有機酸としては、例えば、クエン酸,dl−リンゴ酸,酒石酸等を例示することができる。製剤中に使用する水溶性有機酸の数及び種類は特に制限されず、これらの中の1種又は2種以上を使用することができる。
【0016】
本発明の製剤に使用される架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸などの添加剤は日本薬局方,医薬品添加物規格又は食品添加物公定書に記載された添加剤成分であり、それらで定める基準に適合するものを使用することが好ましい。
【0017】
本発明の製剤には、上記の添加剤成分の他、例えば、医薬品添加剤として汎用される添加剤を加えることができる。本発明の製剤におけるそれらの添加剤としては、賦形剤,結合剤,滑沢剤,光沢化剤,矯味剤,帯電防止剤等の目的の添加剤が使用され、例えば、乳糖,結晶セルロース,D−マンニトール,白糖,プルラン,ステアリン酸,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸カルシウム,タルク,カルナウバロウ,サラシミツロウ,ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート,ステアリン酸ポリオキシル40,サッカリンナトリウム,アスパルテーム,メントール等を添加することができる。これらの添加剤はポリカルボフィルカルシウムに対して300重量%以下で使用される。
【0018】
本発明の製剤における好ましい組成としては、例えば、
(1)ポリカルボフィルカルシウム及び架橋高分子
(2)ポリカルボフィルカルシウム,架橋高分子及び天然多糖類
(3)ポリカルボフィルカルシウム,架橋高分子及び水溶性有機酸
(4)ポリカルボフィルカルシウム,架橋高分子,天然多糖類及び結晶セルロース
の様な組み合わせの組成物、及び/又は必要に応じ、さらに上記組成物に上記の他の医薬品添加剤を添加した組成物が挙げられる。
【0019】
本発明の製剤の製造方法としては、例えば、所定量のポリカルボフィルカルシウムに、架橋高分子、及び/又は必要に応じて、他の医薬品添加剤として汎用される添加剤を加えてV型混合機等により混合して均一な分散体を製造した後に、該分散体を含む製剤を製造すればよい。製剤としては、例えば、錠剤,粒剤,散剤等の形態の製剤を製造することができる。
【0020】
上記製造方法における分散体の製造にあたり、架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸のうちのいずれか1種以上又は全てを2種以上使用する場合には、それぞれを単独で配合しても良いが、それらの混合物を配合しても良い。上記の分散体は必要に応じて造粒してもよい。造粒にあたっては、上記の様にして得られた粉体状の分散体を、水,エタノール,イソプロパノール等の溶媒をポリカルボフィルカルシウムに対して100重量%以下で使用して破砕,押出,攪拌,転動等の操作により造粒し、40〜80℃で1〜24時間乾燥するか、流動層造粒乾燥機により40〜80℃で15〜120分間造粒,乾燥した後、必要に応じて整粒すればよい。一般には粒度が約50〜2000μmの造粒物が好ましい。尚、この造粒物にさらに架橋高分子,天然多糖類,水溶性有機酸、及び/又は、必要に応じて他の医薬品添加剤として汎用される添加剤を混合することもできる。又、上記造粒物は必要に応じてコーティング剤等の他の添加剤でコーティングしてもよい。
【0021】
本発明の製剤を製造するには、上記の様にして得られる粉体状の分散体又は造粒物をそのまま散剤,粒剤とするか、あるいは当業者に周知の手段により打錠して錠剤とすればよい。又、粒剤は上記の造粒物のコーティグ物を用いてもよく、錠剤は必要に応じてコーティング剤等の他の添加剤でコーティングしてもよい。
【0022】
本発明の製剤の好ましい製造方法の一例としては、ポリカルボフィルカルシウムに対して20重量%以下の架橋高分子を添加し、ポリカルボフィルカルシウムに対して2〜100重量%の水又はエタノールを添加して造粒し、50〜60℃で5〜20時間乾燥した後、50〜500μmの造粒物を得、さらに必要に応じてポリカルボフィルカルシウムに対して総量が1〜40重量%となる様に架橋高分子を添加混合し、さらに10〜50重量%の結晶セルロース又は乳糖、及び0.5〜5重量%のステアリン酸マグネシウム等を混合し、打錠して錠剤を製造する方法を挙げることができる。
【0023】
錠剤又は粒剤を製造するにあたり、当業者に周知の方法でフィルムコート等の剤皮を施すこともできる。コーティング剤としてはヒドロキシプロピルメチルセルロース,マクロゴール6000,酸化チタン,タルク,糖類等を挙げることができ、コーティング剤は錠剤重量に対して20重量%以下で使用される。
【0024】
上記の製造方法は、本発明の製剤を製造する方法の一つとして例示されたものであり、本発明の製剤の製造方法は上記の方法に限定されることはない。さらに、上記の方法には当業者に周知の改良が加えられてもよい。
【0025】
この様にして製造される本発明の製剤は、酸性条件で崩壊可能な製剤であり、例えばpH1〜4の酸性条件下、好ましくは第14改正日本薬局方記載の第1液を用いて崩壊試験法で試験した場合に60分以内、好ましくは20分以内に崩壊する製剤である。
【0026】
本発明の製剤は消化管疾患、特に、過敏性腸症候群並びに便秘及び下痢の治療剤として有用であり、通常、ポリカルボフィルカルシウムとして、成人一日当り1〜8gを1〜4回に分けて経口投与すればよい。
【0027】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらの実施例の特定の細部に限定されるものではない。
【0028】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにアルファー化デンプンの一部分(全量の約2分の1)を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して7重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、残りのアルファー化デンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウムを500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
【0029】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにアルファー化デンプンの一部分(全量の約2分の1)を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して7重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、残りのアルファー化デンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウムを500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
これにヒドロキシプロピルメチルセルロース,マクロゴール6000及び酸化チタンを用いフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0030】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにトラガント末を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して5重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、トウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウム500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
【0031】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにトラガント末を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して5重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、トウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。これを1錠中ポリカルボフィルカルシウム500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
これにヒドロキシプロピルメチルセルロース,マクロゴール6000及び酸化チタンを用いフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0032】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにdl−リンゴ酸を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して5重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、トウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウム500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
【0033】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにdl−リンゴ酸を加えて室温で混合した後、ポリカルボフィルカルシウムに対して5重量%の水を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、トウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。粉末を1錠中ポリカルボフィルカルシウム500mg含有するように打錠し、錠剤を得た。
これにヒドロキシプロピルメチルセルロース,マクロゴール6000及び酸化チタンを用いフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0034】
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにトウモロコシデンプン及び結晶セルロースを加えて室温で混合した後、カンテン末を溶解した水(ポリカルボフィルカルシウムに対して15重量%)を用いて造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を16メッシュの篩で整粒して顆粒を得た。
【0035】
比較例として架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸を含有しない製剤を以下のとおり調製した。
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにポリカルボフィルカルシウムに対して4重量%の水を加えて室温で造粒し、50℃で10時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に結晶セルロースを加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを加えて混合し打錠用粉末とした。これを1錠中ポリカルボフィルカルシウムを500mg含有するように打錠し錠剤を得た。これにフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0036】
特開昭63−253027号公報記載の方法に従い、以下のとおり比較製剤を調製した。
上記成分を処方の比に量り、ポリカルボフィルカルシウムにカラメル,ポリビニルピロリドンを加え、さらにクロスポビドンの一部分(全量の5分の3)を加えて混合し、約50〜65℃に加熱した水を用いて造粒後50℃で6時間乾燥した。この造粒物を18メッシュの篩で整粒した後に、残りのクロスポビドン,結晶セルロース及び無水ケイ酸を加えて混合し、さらにステアリン酸マグネシウムとステアリン酸を加えて混合して打錠用粉末とした。これを1錠中ポリカルボフィルカルシウムを625mg含有するように打錠し錠剤を得た。
【0037】
比較例3
比較例2で得られた錠剤に、1錠あたりヒドロキシプロピルメチルセルロース20mg,マクロゴール6000 5mg及び酸化チタン5mgを用いてフィルムコートを施し、フィルムコート錠とした。
【0038】
以上のようにして得られた製剤における酸性条件での崩壊性を検討した。
崩壊試験方法は、日本薬局方崩壊試験法の操作法(2)適当なコーティング剤で剤皮を施した錠剤、及び(5)顆粒剤に従い、第1液を用いて行った。
【0039】
各製剤の試験結果を表1に示す。
本発明の製剤は素錠,フィルムコート錠,顆粒剤いずれの場合にも優れた崩壊性を示した。
一方、比較例1(架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸を含有しない製剤)、比較例2(特開昭63−253027号公報に記載の製剤)、比較例3(比較例2の製剤のフィルムコート錠)及びファイバーコンらの製剤はいずれも、試験器のガラス管内でゲル化が起こり、60分以内には崩壊しなかった。
【0040】
【表1】
【発明の効果】
本発明の製剤は、酸性条件下において容易に崩壊し均一に分散されることから、胃における容易な崩壊及び消化管内での均一な分散,並びに確実な薬効が期待でき、又、不快な味覚や舌ざわりがないため、消化管疾患治療剤,特に過敏性腸症候群並びに便秘及び下痢の治療剤として極めて有用である。
Claims (9)
- ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤であって、有効成分としてポリカルボフィルカルシウムを含有し、かつ、架橋高分子,天然多糖類及び水溶性有機酸から選択される1種又は2種以上の添加物を含み、酸性条件で崩壊可能な製剤。
- 該架橋高分子として、コムギデンプン,バレイショデンプン,トウモロコシデンプン,アルファー化デンプン,部分アルファー化デンプン,カルボキシメチルスターチナトリウム,クロスポビドンからなる群から選ばれる架橋高分子を含む請求項1に記載の製剤。
- 該天然多糖類として、カンテン末,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,トラガント末からなる群から選ばれる天然多糖類を含む請求項1に記載の製剤。
- 該水溶性有機酸として、クエン酸,dl−リンゴ酸,酒石酸から選ばれる有機酸を含む請求項1に記載の製剤。
- ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤であって、有効成分としてポリカルボフィルカルシウムを含有し、かつ、アルファー化デンプン,トラガント末,dl−リンゴ酸から選択される1種又は2種以上の添加物を含み、酸性条件で崩壊可能な製剤。
- 消化管疾患治療剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤。
- 製剤が錠剤の形態である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
- 製剤が粒剤の形態である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
- 製剤が散剤の形態である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
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