JP2004224245A - タイヤ性能シミュレーション方法、装置、及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ性能を車両での使用状態において効率的に解析できるようにする。
【解決手段】性能を解析するタイヤ本体モデル及び取付対象モデルを結合して解析対象モデルを作成し、解析プログラムに従って4輪のタイヤ性能の解析シミュレーションを行うときに、解析対象を含むモデルが作成されると、解析処理(ステップ120)として、解析当初であるモデル全体のバランスを取る解析では、陰解法による処理(ステップ122)を行い、バランスがとれた後の動的現象の解析すなわちレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象など動的挙動の解析では陽解法による処理(ステップ124)を行う。
【選択図】 図4
【解決手段】性能を解析するタイヤ本体モデル及び取付対象モデルを結合して解析対象モデルを作成し、解析プログラムに従って4輪のタイヤ性能の解析シミュレーションを行うときに、解析対象を含むモデルが作成されると、解析処理(ステップ120)として、解析当初であるモデル全体のバランスを取る解析では、陰解法による処理(ステップ122)を行い、バランスがとれた後の動的現象の解析すなわちレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象など動的挙動の解析では陽解法による処理(ステップ124)を行う。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ性能シミュレーション方法、装置、及び記録媒体に係り、特に、タイヤの性能を使用状態で解析することができるタイヤ性能シミュレーション方法、及び装置、並びにタイヤの性能を使用状態で解析するプログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来では、タイヤの操縦安定性、騒音や振動乗り心地性能を予測及び改良しようとするとき、タイヤ単体で試験が行われていた。
【0003】
しかしながら、通常、タイヤ単体の試験機は、ホイールを取り付ける部位が試験機に固定されており、実際に装着された場合にタイヤ取り付け部位(すなわち、サスペンション)が可動する車両の場合とは本質的に異なっている。このため、タイヤパターン変更時や断面形状変更時のタイヤ性能の小さな相違を正確に測定することは困難であった。すなわち、タイヤ単体試験では、複数の陸部からなるパターン、特に、ラグ溝、サイプ、ハイアングル溝等を備えたパターン付きタイヤにおいて、パターンを変更した場合の効果、クラウン部やサイド部の曲率を小さく変更した場合の効果を正確に測定することは困難であった。
【0004】
この問題を解決するため、タイヤ単体試験機にサスペンションを取り付けることが行われているが、サスペンションの幾何学的位置を厳密に車両と一致させることが困難であると共に、様々な種類のサスペンションに対応するためには多種類のサスペンションを用意しなければならない、という問題がある。
【0005】
また、実際にタイヤを車両に装着して試験を行う場合には、タイヤ4本と車両とを準備しなければならず、試験時に車両と共にタイヤが運動する(並進運動)ので、測定が非常に難しく、時間と費用がかかる、という問題もある。
【0006】
これらを解決するため数値解析を行う試みもなされている。この数値解析において、操縦安定性、車内音解析や座席での振動乗り心地性能解析のためには、車両に装着された状態でかつタイヤのパターン、クラウン部やサイド部の曲率を正確に含めた解析をしなくてはならない。
【0007】
複数の陸部からなるパターン付きタイヤをタイヤボディ部要素モデルとトレッドパターン部要素モデルとで表してシミュレーションするためのモデル作成する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。ところが、この技術では、タイヤを車両に装着した状態でのシミュレーションを行うことはできない。
【0008】
また、車両とタイヤとを組み合わせたシミュレーションとしては、タイヤモデルとサスペンションモデルを含む車両モデルによりタイヤ性能をシミュレーションする方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。他の技術として、車両とタイヤとを想定したシミュレーションの技術も知られている(例えば、特許文献3、非特許文献1乃至非特許文献4を参照)。
【0009】
【特許文献1】
特許第3314082号公報
【特許文献2】
特許第3253952号公報
【特許文献3】
米国特許第5880362号公報
【非特許文献1】
Vehicle dynamics simulations with coupled multibody and finiteelement models,C.W.Mousseau,T.A.Laursen,M.Lidberg and R.L.Taylor, Finite Elements in Analysis and Design,31,(1999)295−315
【非特許文献2】
FEMタイヤモデルを使用した自動車段差乗り越しシミュレーション(林公博、Japan LSーDYNA User Conference ’99)
【非特許文献3】
メカニカルダイナミックス社のADAMSタイヤの解析(URL:http://www.adams.co.jp)
【非特許文献4】
The Effect of Tire properties and Their Interaction with the Ground and Suspension on Vehicle Dynamic Behavior−A Finite Element Approach, Tire Science & Tech. Vol.27, No.4,1999
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、タイヤを車両に装着する状態の考慮はされているもののシミュレーション自体すなわち解析の効率の考慮は十分ではない。
【0011】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、タイヤ性能を車両での使用状態において効率的に解析できるタイヤ性能シミュレーション方法、装置、及びタイヤ性能シミュレーションプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のタイヤ性能シミュレーション方法は、タイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせてタイヤモデルを作成すると共に、車両に装備されたサスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを作成し、タイヤモデルを含む第1の数値計算モデルとサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルとを1つの数値計算モデルとし、タイヤの性能を使用状態で解析するために、解析開始時点では、陰解法による解析を行い、その後に陽解法による解析を行うようにしたものである。
【0013】
前記タイヤは、複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤを用いることができる。
【0014】
前記タイヤモデルは、前記タイヤに取り付けられたホイールを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成されたホイールモデルを含むことができる。
【0015】
前記タイヤに近接する路面を複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成された路面モデルをさらに含むことができる。
【0016】
前記サスペンションモデルは、前記サスペンションを含む車両を複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成された車両モデルを採用することができる。
【0017】
また、他の発明のタイヤ性能シミュレーション装置は、タイヤ例えば複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成したタイヤモデルを含む第1の数値計算モデル、及び車両に装備されたサスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルを記憶した第1の記憶手段と、タイヤの性能を使用状態で解析するための陰解法プログラム及び陽解法プログラムを記憶した第2の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶された第1の数値計算モデル及び第2の数値モデルを1つの数値計算モデルとして、解析開始時点では陰解法により解析し、その後に陽解法による解析に切り換えてタイヤの性能を使用状態で解析する解析手段と、を含んで構成したものである。
【0018】
また、他の発明の記録媒体は、タイヤ例えば複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成したタイヤモデルを含む第1の数値計算モデルと、車両に装備されたサスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルと、第1の記憶手段に記憶された第1の数値計算モデル及び第2の数値モデルを1つの数値計算モデルとして、解析開始時点では陰解法により解析し、その後に陽解法による解析に切り換えてタイヤの性能を使用状態で解析するプログラムとをコンピュータ読み取り可能に記録したものである。
【0019】
ところで、タイヤ性能を車両での使用状態において効率的に解析する場合、その使用状態を忠実に再現する必要がある。例えば、車両、サスペンション、タイヤ及びホイールの各モデルを用いてタイヤ性能を解析するとき、まず、タイヤに内圧を充填した後に、モデル全体を路面に設置する。ところが、モデルが路面に置かれた状態で作成されていないこと、車両の重量配分が前後左右で異なること、内圧を充填すること等から解析開始時にはモデル全体のバランスをとるための解析が必要になる。
【0020】
このモデル全体のバランスがとれた状態とは、車両の車輪例えば4輪それぞれの上下、前後、左右方向に発生している力が安定したと見なせる、または車体のロール、ピッチ、ヨー角が安定したと見なせる、サスペンション各部材の動きが安定したと見なせる状態をいう。
【0021】
また、安定した状態とは、解析本来の目的であるタイヤ性能に関与する車両の使用状態、例えば、レーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などに対して、これらの影響が小さい範囲に入ったと見なせる状態をいう。
【0022】
車両の使用状態の一例であるレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などの動的挙動を解析する場合には、陽解法を用いることが一般的である。この陽解法では、解析の時間刻みは、モデル化、具体的には、有限要素のサイズとその要素の内の音速(v=√E/ρ、ヤング率と密度の比の平方根)から、全要素で最小の(有限要素のサイズ)/(その要素の音速)で決定されている。
【0023】
要素の大きさを変更せずに、これを大きくする手段としては、モデル化された物体の密度を実際より大きくする手法がとれるが、質量が異なるので実物とは異なるものを解析することになり、解析モデルの信頼性が低い。また、密度を一時的に大きくして解析所用時間を短くした場合、その後の動的挙動解析時は本来の密度に戻す必要があり、この時に計算の不安定を招くことがある。
【0024】
このように、モデル全体のバランスを取る解析は、本来解析対象となる例えばレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などと比較して動きが少なく動的な性能を考慮する必要が少ないにも関わらず、陽解法を使うとこの部分の解析所用時間を短縮することが難しく、解析を効率よく行うことが難しかった。
【0025】
そこで、本発明は、タイヤを、例えば、有限要素モデル(FEM)等の数値計算モデルで作成し、またサスペンションを含む車両も数値計算モデル(例えばFEM)で作成し、これらの数値モデルを結合して1つの数値計算モデルとして解析し、タイヤの性能を使用状態でシミュレーションする。このタイヤの性能を使用状態で解析するために、解析開始時点では、陰解法により解析し、その後に陽解法により解析するべく切り換える。
【0026】
すなわち、モデル全体のバランスを取る解析は、本来解析対象となるレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などと比較して動きが少なく、低い周波数(例えば、1Hzより小さい)の動的挙動を解析できればよい。解析全体の中でこのモデル全体のバランスを取る部分は、解析の時間刻みを大きくとることができるので、解析所用時間を短縮できる陰解法を用いて解析する。そして、モデル全体のバランスがとれた後にはレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象など、高い周波数(例えば、1Hz以上)の動的挙動を解析するために陽解法を用いて解析する。
【0027】
陰解法は、解析に時間刻みを大きくすることができるが、刻み毎の解析所用時間が長い特徴があり、低い周波数の現象を解析するのに適する。従って、モデル全体のバランスを取る部分は、動きが少なく高い周波数の動的挙動を考慮する必要がないので、陰解法で解析することで解析時間刻みを非常に大きくとり、解析所用時間を短縮することができる。このとき、モデル自体の幾何学形状、密度や材料物性等は物理的に正しい値を使用するのでモデルの信頼性は高く保たれる。
【0028】
陽解法は、解析時間刻みを大きくすることはできないが、1刻み毎の解析所用時間を短くできるという特徴があり、高い周波数の動的現象を解析するのに適している。例えば、100Hzまでの振動現象を解析するためには、時間刻みは1/100=0.01秒以下が必要になるため、解析時間刻みが短くなるというデメリットは小さく、1刻み毎の解析所用時間が短いメリットが大きくなる。つまり、動的現象解析には、陽解法の方が解析所用時間は短くなる。このとき、モデル自体の幾何学形状、密度や材料物性などは物理的に正しい値を使用するので、モデルの信頼性は高く保たれる。
【0029】
従って、解析開始直後のモデル全体のバランスを取るための部分は陰解法を用い、モデル全体のバランスがとれた後に陽解法に切り換えて動的特性を予測することで、全体の解析所用時間の短縮化を図ることができる。
【0030】
前記のタイヤとしては、複数の陸部からなるパターン(特に、ラグ溝、サイプ、ハイアングル溝)を備えたパターン付きタイヤを採用することができる。
【0031】
なお、本発明では、大規模の数値計算モデル作成時に、個々の部品毎、例えばパターンとケース、タイヤとホイール、サスペンションアームとブッシュ等にモデル化した後組み合わせることで、効率的にモデルを作成し、かつ容易にパターン変更することが可能である。
【0032】
複数の陸部からなるパターン付き、特にラグ溝、サイプ、ハイアングル溝等の場合、タイヤと車両とを合わせた数値解析を行えば、タイヤ取り付け部はサスペンションになるので可動し、車両での装着状態を容易に再現する事ができ、パターン変更時のタイヤ性能の小さな違いを正確に解析することができる。またサスペンションの幾何学的位置を厳密に車両と合わせることも可能で、様々な種類のサスペンションに容易に対応することができる。
【0033】
本発明のタイヤモデルは、タイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成されている。このため、解析モデルである数値計算モデルを作成するときに個々の部品毎にモデルを作成して組み合わせることで作成することができるので、大規模モデルでも容易に短い時間で作成することができる。
【0034】
第1の数値計算モデルには、ホイールを多数要素に分割して形成したホイールモデルを更に含ませることができる。このホイールモデルとタイヤモデルとを組み合わせることによりタイヤホイール組付体のモデルを作成することができる。また、第2の数値計算モデルには、サスペンションモデルの他、車体を多数要素に分割して形成した車体モデルを含ませることができる。
【0035】
また、タイヤをパターンを除くタイヤ本体とパターンとの2つの部品に分割し、タイヤ本体を多数要素に分割して形成した部品モデルとパターンを多数要素に分割して形成した部品モデルとを作成し、各部品モデルについて各々複数個用意し、選択した1つのタイヤ本体の部品モデルと選択した1つのパターンの部品モデルとを組み合わせてタイヤモデルを作成することで、効率良く異なるタイヤ本体と異なるパターンとを組み合わせたモデル解析をすることができる。また、パターン変更も容易にできる。なお、同じサイズのタイヤを解析する場合には、タイヤ本体の部品モデルについては、標準的なモデルを1つ用意するようにすればよい。
【0036】
また、タイヤモデルとは別に作成したホイールモデルを複数個作成して選択した1つのホイールモデルと選択した1つのタイヤモデルと組み合わせることによりタイヤホイール組付体モデルを作成し、効率良く異なるタイヤと異なるホイールとを組み合わせた組合体の性能を解析することができる。
【0037】
さらに、タイヤホイール組付モデルと別に作成したサスペンションモデルを組み合わせたり、さらに車体モデルを組み合わせることにより、効率良く性能予測ができる。
【0038】
大規模の数値計算モデル作成時に、個々の部品(パーツ)毎、例えばパターンとケース、タイヤとホイール、サスペンションアームとブッシュ等にモデル化した後組み合わせることで、効率的にモデルを作成し、かつ容易にパターン変更が可能である。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態のタイヤ性能シミュレーション装置は、図1に示すように、コンピュータと、タイヤやサスペンションの数値計算モデル及びタイヤ性能解析プログラムから構成されたタイヤ性能シミュレーションプログラムが記録された記録媒体としてのフレキシブルディスクFDとから構成されている。
【0040】
このコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、内部に設けられた記録媒体に予め記憶された処理プログラムに従ってタイヤ性能をシミュレートするコンピュータ本体12、及びコンピュータ本体12のシミュレート結果等を表示するCRT等の表示装置14から構成されている。
【0041】
コンピュータ本体12には、記録媒体としてのフレキシブルディスクFDが抜き差し可能なフレキシブルディスクドライブユニット(FDU)を備えている。後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフレキシブルディスクFDから読み込み可能である。従って、後述する処理ルーチンは、予めFDに記録しておき、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを実行してもよい。また、コンピュータ本体12にハードディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置(図示省略)へ格納(インストール)して実行するようにしてもよい。また、記録媒体としては、Zip(商品名)、Jazz(商品名)等の大容量磁気ディスクや、CD−ROM等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまたはさらに前記大容量磁気ディスク装置や、CD−ROM装置、MD装置、MO装置等を用いればよい。
【0042】
次に、図2を参照して、本実施の形態の有限要素法で表されたタイヤモデルについて説明する。図2に示すように、このタイヤモデル20は、タイヤ本体モデル22とトレッドパターンモデル24とを結合することにより作成されている。タイヤ本体モデル22及びトレッドパターンモデル24は、複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤを、タイヤ本体とトレッドパターン部とに分割し、タイヤ本体及びトレッドパターン部各々を多数要素に分割した有限要素で表すことにより作成されている。
【0043】
このタイヤ本体モデル22及びトレッドパターンモデル24は、タイヤの種類に応じて各々複数個作成されて、コンピュータ内部の記録媒体に記録されている。
【0044】
この記録媒体には、複数種類のタイヤホイールの各々を多数要素に分割して作成した複数のホイールモデル、複数種類のサスペンションの各々を多数要素に分割して作成した複数のサスペンションモデル、複数種類の車体の各々を多数要素に分割して作成した複数の車体モデル、タイヤが近接する路面を多数要素に分割して作成された複数の路面モデル、複数の車両の機構解析モデル、複数のサスペンションの機構解析モデルも同様に記録されている。
【0045】
次に、図3を参照してタイヤ性能シミュレーションプログラムの処理のルーチンを説明する。ステップ100では、オペレータから入力されたデータに基づいて、性能を解析する1つのタイヤ本体モデルを記録媒体に記録された複数のモデルから選択し、ステップ102においてこのタイヤ本体モデルに対するトレッドパターンモデルを1つ同様に選択する。
【0046】
ステップ104では、オペレータから入力されたデータに基づいて、タイヤを組付けるホイールモデルを1つ同様に選択し、ステップ106でタイヤホイール組付体を取り付けるための取付対象モデルを1つ同様に選択する。取付対象モデルとしては、サスペンションモデル、サスペンションモデル及び車体モデルの2モデル、車両の機構解析モデル、及びサスペンションの機構解析モデルのいずれか1つ等とすることができる。
【0047】
通常の使用状態でのタイヤ性能を解析する場合には、サスペンションモデル及び車体モデルが選択される。また、タイヤ性能解析の場合、タイヤ自身やサスペンションのバネ定数が、車体(ボディ)の弾性に比べ低いのでボディを剛体として近似することが可能である。車体の弾性変形を無視し剛体とし取り扱うことで、より効率良く(早く)性能予測が可能になる。この場合には、タイヤホイール組付体モデルを取り付ける対象モデルとしてサスペンションモデルが選択される。
【0048】
また、車体及びサスペンション構成部品自身のバネ定数よりもタイヤ自身やサスペンションバネのバネ定数の方が低い。従って、構成部品自身の弾性変形を無視し剛体として近似し、この幾何学的動きのみを考慮することで、より効率良く性能予測が可能になる。この場合ダンパーやブッシュなどの減衰に寄与する部品を解析モデルに含めることが望ましい。この理由は、減衰の大きさは、タイヤ自身だけでなくダンパーやブッシュ等の寄与も大きいからである。この場合には、車両の機構解析モデル、またはサスペンションの機構解析モデルが選択される。
【0049】
次のステップ108では、選択されたタイヤ本体モデルとドレッドパターンモデルとを結合してタイヤモデルを作成すると共に、作成したタイヤモデルにホイールモデルを結合してタイヤホイール組付モデルを作成する。次のステップ110では、タイヤホイール組付モデルと取付対象モデルとを結合して解析対象モデルを作成する。
【0050】
なお、このステップ110では、モデルを設置するための路面モデルも作成する。この作成した路面モデルを含めて解析対象モデルとしてもよく、解析対象モデルと路面モデルを連成させて如何に説明する解析を行ってもよい。
【0051】
図5〜図11に解析対象モデルの例を示す。図5は、車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを示すものであり、図6は、車体モデル無し(ボディー無し)で、サスペンションモデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示すものであり、図7は、車両を表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示すものであり、図8は、車体モデル無しで、サスペンションを表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示すものである。
【0052】
また、剛体ホイールモデルを組付けたタイヤホイールモデルとサスペンションモデルとを結合したモデル、車両を表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合したモデル、サスペンションを表す機構解析モデル、車体モデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合したモデル、車両を表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合したモデルを解析対象モデルとして使用することもできる。
【0053】
図10は、解析対象モデルの例として、車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを、路面モデルに設置した状態を示すものである。図11は、車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを、路面モデルに設置した状態について、タイヤモデル周辺の一部詳細を示している。
【0054】
そして、ステップ112では、後述する予め定められた解析プログラム(図4)に従って4輪のタイヤ性能の解析シミュレーションを行い、必要なデータを取得する。
【0055】
次に、図4を参照してタイヤ性能シミュレーション実行処理の詳細を説明する。上述のように、図3のステップ110までの処理において解析対象を含むモデルが作成されると、ステップ120において解析処理が実行される。この解析処理は、陰解法による処理(ステップ122)と、陽解法による処理(ステップ124)とを含んでいる。解析処理が終了すると、ステップ126へ進み、解析結果の評価を実行する。この解析結果の評価は、解析結果のデータを表示したり出力したりする処理である。
【0056】
まず、解析当初である、モデル全体のバランスを取る解析は、解析対象となるレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などと比較して動きが少ないので、動的な性能を考慮する必要がない。従って、解析全体の中でモデル全体のバランスを取る処理では、解析の時間刻みを大きくとることができる。そこで、本実施の形態では、モデル全体のバランスを取る解析当初の処理について、解析所用時間を短縮できる陰解法を用いて解析する(ステップ122)。そして、モデル全体のバランスがとれた後の解析で、レーンチェンジや非平坦路面上での振動現象など動的挙動を解析するときには陽解法を用いて解析する(ステップ124)。
【0057】
陰解法は、周知のように平衡状態を求めるためにエネルギ平衡を計算する方法であり、任意の時刻からの時間増分毎に状態を計算し、平衡状態を求めるものである。例えば、状態が既知の時刻tから時間増分Δtにおける平衡を満足する解を求める複数の連立方程式の解を求めることに相当する。従って、平衡を取れる限り時間増分Δtを大きくすることができ、高精度で状態を求めることができる。すなわち、時刻tから時間増分Δtで計算を区切り、時間増分Δt後の平衡状態を求め、これを元に新たな時間増分Δt’(Δtと同じでなくともよい)後の新たな平衡状態を求める、というように、順次状態を繰り返し求める。
【0058】
従って、陰解法は、解析の時間刻みを大きくすることができるが、刻み毎の解析所用時間が長くなるので、低い周波数の動的現象の解析、例えばモデル全体のバランスを取る解析、これは高い周波数の動的性能を考慮する必要がないのでこの解析を陰解法で解析する。これによって、解析時間刻みを非常に大きくとることで、解析所用時間を短縮することができる。このとき、モデル自体の幾何学形状、密度や材料物性等は物理的に正しい値を使用するのでモデルの信頼性は高く保たれる。
【0059】
また、陽解法は、周知のように運動方程式の複雑な連立方程式の解を求める計算方法であり、収束計算するものではなく、任意の時刻から時間増分Δt毎に平衡を取らずに状態を求めるものである。一般的には、計算負荷を減少させるため、連立方程式の解を求めることに代えて、時刻tにおける運動方程式を基にして時間増分Δt後(時刻t+Δt)の解を近似的に求める。例えば、外挿により時間増分Δt後の解を求める。しかし、陽解法では、時間増分Δtは安定条件を満たすように設定しなければならないので、大きくすることはできない。
【0060】
従って、陽解法は、解析時間刻みを大きくすることはできないが、1刻み毎の解析所用時間を短くできるので、高い周波数の動的現象の解析すなわち、レーンチェンジや非平坦路面上での振動現象など動的挙動を解析するときに用いる。例えば、100Hzまでの振動現象を解析するためには、時間刻みは1/100=0.01秒以下が必要になるため、解析時間刻みが短くなるというデメリットは小さく、1刻み毎の解析所用時間が短いメリットが大きくなる。つまり、高い周波数の動的現象解析には、陽解法の方が解析所用時間は短くなる。このとき、モデル自体の幾何学形状、密度や材料物性などは物理的に正しい値を使用するので、モデルの信頼性は高く保たれる。
【0061】
従って、解析開始直後のモデル全体のバランスを取るための部分は陰解法を用い、モデル全体のバランスがとれた後に陽解法に切り換えて動的特性を予測することで、全体の解析所用時間の短縮化を図ることができる。
【0062】
なお、従来は、ステップ120の解析すなわちステップ122及びステップ124の解析処理を共に陽解法による解析が想定されるが、本実施の形態のように、ステップ122では陰解法により解析し、ステップ124では陽解法により解析することが最も好ましい形態である。これは計算精度を高めつつ計算速度と必要メモリ容量などによる計算コストを抑制するという相反する条件を反映させることが可能なためである。すなわち、陰解法は高精度だが計算速度と必要メモリ容量などによる時間刻み当たりの計算コストが大きくなり、陽解法は低精度だが時間刻み当たりの計算コストを抑制できることから、モデル全体のバランスを考慮した解析をする過程で、解法を切り換えることが可能なためである。
【0063】
また、計算精度をより要求する場合、ステップ122及びステップ124共に陰解法により解析してもよい。また、モデル全体のバランスを考慮するときの計算コストを抑制する場合で、動的特性を高精度で求めたい場合には、ステップ122で陽解法により解析し、ステップ124では陰解法により解析するようにしてもよい。ただし、これらの場合、ステップ124では非常に多くの細かい時間刻みが必要となるので、時間刻み当たりの計算コストが大きいことと併せて、総計算コストは膨大になり、実用的ではない。
【0064】
なお、上記の実施の形態において、車両走行状態の解析は、車両モデルに簡易タイヤモデルを結合した機構解析等で行うかもしくは実験で行い、その結果からサスペンション取り付け点の軌跡を取り出し、この軌跡を用いて、1輪もしくは1軸のサスペンションとタイヤを取り出して詳細に解析を行えば、効率良く精度の高い性能予測が可能である。この場合には、例えば、図9に示すように、車体モデル無しで、サスペンションモデルとタイヤホイール組付体モデルと結合したモデルを用い、サスペンション取り付け点の軌跡データは車両モデルと簡易タイヤモデルとの機構解析結果、別の車両の解析結果、または実験結果を利用するこことができる。なお、図9において、○は、サスペンション取付点、すなわち軌跡データを与える点を示す。
【0065】
【実施例】
以下、上記で説明した本実施の形態のタイヤ性能シミュレーション装置を利用して、タイヤ性能をシミュレーションした実施例を説明する。
【0066】
(1)PSR195/65R15で4本主溝のタイヤ(図12参照)について、このタイヤをFEMモデル化し、ホイール、車両、サスペンションもFEMモデルを作成し、使用状態としてレーンチェンジのときの解析を実施した。解析開始から(シミュレーション対象における経過時間のうちの)0.4秒間は、モデル全体のバランスを取る解析(図4の解析A)として、この部分解析を陽解法、及び陰解法の両者で行った場合、すなわち、従来の有限要素モデルを用いた解析方法により解析した場合と本実施の形態のタイヤ性能シミュレーション装置を利用して解析方法を切り換えて解析した場合の解析所用時間を比較した。この比較結果を、表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
また、上記タイヤ、すなわちPSR195/65R15で4本主溝のタイヤのFEMモデル化、ホイール、車両、サスペンションもFEMモデルを用い、使用状態として、進行方向長さ30mm、高さ10mmの長方形断面クリート乗り越しのときの解析を上記と同様にして実施した。このときの上記と同様の比較結果を、表2に示した。
【0069】
【表2】
【0070】
これらの結果から理解されるように、解析当初のモデル全体のバランスを取る解析において陰解法を用いることで解析時間を短縮することができる。
【0071】
(2)PSR195/65R15で4本主溝のタイヤ(図13)について、このタイヤをFEMモデル化し、ホイール、車両、サスペンションもFEMモデル作成し、レーンチェンジ解析を実施した。ここでは、車両モデルは考慮せず、サスペンション取り付け点間を剛体結合し、車両重心位置に実際の車両同じ質量、慣性モーメントになるように、質量と慣性モーメントを定義した。また、解析開始から0.3秒間は、モデル全体のバランスを取る解析(図4の解析A)として、この部分を陽解法、陰解法の両者で行った場合、すなわち、従来の有限要素モデルを用いた解析方法により解析した場合と本実施の形態のタイヤ性能シミュレーション装置を利用して解析方法を切り換えて解析した場合の解析所用時間を比較した。この比較結果を、表3に示した。
【0072】
【表3】
【0073】
この結果から理解されるように、解析当初のモデル全体のバランスを取る解析において陰解法を用いることで大幅に解析時間を短縮することができる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、解析開始直後のモデル全体のバランスを取るために陰解法を用い、モデル全体のバランスがとれた後に陽解法に切り換えて動的特性を予測するので、全体の解析所用時間の短縮化を図ることができ、タイヤの性能を使用状態で効率的にシミュレーションすることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に使用するタイヤモデルを示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態のタイヤ性能シミュレーション処理ルーチンを示す流れ図である。
【図4】本発明の実施の形態のタイヤ性能シミュレーション処理における解析処理ルーチンの詳細を示す流れ図である。
【図5】本発明の実施の形態の車体、サスペンション、及びタイヤホイール組付体の3つのモデルを結合した解析対象モデルを示す概略図である。
【図6】車体無しでサスペンションモデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示す概略図である。
【図7】車両を表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示す概略図である。
【図8】車体無しでサスペンションを表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示す概略図である。
【図9】車体無しでサスペンションモデルとタイヤホイール組付体モデルと結合したモデルを用い、サスペンション取り付け点の軌跡データを別の結果を利用してシミュレーションする場合の概略図である。
【図10】レーンチェンジ解析をするために、車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを、路面モデルに設置した状態でシミュレーションする場合の概略図である。
【図11】車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを、路面モデルに設置した状態についてタイヤモデル周辺の一部詳細を示す概略図である。
【図12】本実施例に使用するタイヤのトレッドの一部の平面図である。
【図13】本実施例に使用するタイヤのトレッドの一部の平面図である。
【符号の説明】
10 キーボード
20 タイヤモデル
22 タイヤ本体モデル
24 トレッドパターンモデル
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ性能シミュレーション方法、装置、及び記録媒体に係り、特に、タイヤの性能を使用状態で解析することができるタイヤ性能シミュレーション方法、及び装置、並びにタイヤの性能を使用状態で解析するプログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来では、タイヤの操縦安定性、騒音や振動乗り心地性能を予測及び改良しようとするとき、タイヤ単体で試験が行われていた。
【0003】
しかしながら、通常、タイヤ単体の試験機は、ホイールを取り付ける部位が試験機に固定されており、実際に装着された場合にタイヤ取り付け部位(すなわち、サスペンション)が可動する車両の場合とは本質的に異なっている。このため、タイヤパターン変更時や断面形状変更時のタイヤ性能の小さな相違を正確に測定することは困難であった。すなわち、タイヤ単体試験では、複数の陸部からなるパターン、特に、ラグ溝、サイプ、ハイアングル溝等を備えたパターン付きタイヤにおいて、パターンを変更した場合の効果、クラウン部やサイド部の曲率を小さく変更した場合の効果を正確に測定することは困難であった。
【0004】
この問題を解決するため、タイヤ単体試験機にサスペンションを取り付けることが行われているが、サスペンションの幾何学的位置を厳密に車両と一致させることが困難であると共に、様々な種類のサスペンションに対応するためには多種類のサスペンションを用意しなければならない、という問題がある。
【0005】
また、実際にタイヤを車両に装着して試験を行う場合には、タイヤ4本と車両とを準備しなければならず、試験時に車両と共にタイヤが運動する(並進運動)ので、測定が非常に難しく、時間と費用がかかる、という問題もある。
【0006】
これらを解決するため数値解析を行う試みもなされている。この数値解析において、操縦安定性、車内音解析や座席での振動乗り心地性能解析のためには、車両に装着された状態でかつタイヤのパターン、クラウン部やサイド部の曲率を正確に含めた解析をしなくてはならない。
【0007】
複数の陸部からなるパターン付きタイヤをタイヤボディ部要素モデルとトレッドパターン部要素モデルとで表してシミュレーションするためのモデル作成する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。ところが、この技術では、タイヤを車両に装着した状態でのシミュレーションを行うことはできない。
【0008】
また、車両とタイヤとを組み合わせたシミュレーションとしては、タイヤモデルとサスペンションモデルを含む車両モデルによりタイヤ性能をシミュレーションする方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。他の技術として、車両とタイヤとを想定したシミュレーションの技術も知られている(例えば、特許文献3、非特許文献1乃至非特許文献4を参照)。
【0009】
【特許文献1】
特許第3314082号公報
【特許文献2】
特許第3253952号公報
【特許文献3】
米国特許第5880362号公報
【非特許文献1】
Vehicle dynamics simulations with coupled multibody and finiteelement models,C.W.Mousseau,T.A.Laursen,M.Lidberg and R.L.Taylor, Finite Elements in Analysis and Design,31,(1999)295−315
【非特許文献2】
FEMタイヤモデルを使用した自動車段差乗り越しシミュレーション(林公博、Japan LSーDYNA User Conference ’99)
【非特許文献3】
メカニカルダイナミックス社のADAMSタイヤの解析(URL:http://www.adams.co.jp)
【非特許文献4】
The Effect of Tire properties and Their Interaction with the Ground and Suspension on Vehicle Dynamic Behavior−A Finite Element Approach, Tire Science & Tech. Vol.27, No.4,1999
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、タイヤを車両に装着する状態の考慮はされているもののシミュレーション自体すなわち解析の効率の考慮は十分ではない。
【0011】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、タイヤ性能を車両での使用状態において効率的に解析できるタイヤ性能シミュレーション方法、装置、及びタイヤ性能シミュレーションプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のタイヤ性能シミュレーション方法は、タイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせてタイヤモデルを作成すると共に、車両に装備されたサスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを作成し、タイヤモデルを含む第1の数値計算モデルとサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルとを1つの数値計算モデルとし、タイヤの性能を使用状態で解析するために、解析開始時点では、陰解法による解析を行い、その後に陽解法による解析を行うようにしたものである。
【0013】
前記タイヤは、複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤを用いることができる。
【0014】
前記タイヤモデルは、前記タイヤに取り付けられたホイールを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成されたホイールモデルを含むことができる。
【0015】
前記タイヤに近接する路面を複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成された路面モデルをさらに含むことができる。
【0016】
前記サスペンションモデルは、前記サスペンションを含む車両を複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成された車両モデルを採用することができる。
【0017】
また、他の発明のタイヤ性能シミュレーション装置は、タイヤ例えば複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成したタイヤモデルを含む第1の数値計算モデル、及び車両に装備されたサスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルを記憶した第1の記憶手段と、タイヤの性能を使用状態で解析するための陰解法プログラム及び陽解法プログラムを記憶した第2の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶された第1の数値計算モデル及び第2の数値モデルを1つの数値計算モデルとして、解析開始時点では陰解法により解析し、その後に陽解法による解析に切り換えてタイヤの性能を使用状態で解析する解析手段と、を含んで構成したものである。
【0018】
また、他の発明の記録媒体は、タイヤ例えば複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成したタイヤモデルを含む第1の数値計算モデルと、車両に装備されたサスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルと、第1の記憶手段に記憶された第1の数値計算モデル及び第2の数値モデルを1つの数値計算モデルとして、解析開始時点では陰解法により解析し、その後に陽解法による解析に切り換えてタイヤの性能を使用状態で解析するプログラムとをコンピュータ読み取り可能に記録したものである。
【0019】
ところで、タイヤ性能を車両での使用状態において効率的に解析する場合、その使用状態を忠実に再現する必要がある。例えば、車両、サスペンション、タイヤ及びホイールの各モデルを用いてタイヤ性能を解析するとき、まず、タイヤに内圧を充填した後に、モデル全体を路面に設置する。ところが、モデルが路面に置かれた状態で作成されていないこと、車両の重量配分が前後左右で異なること、内圧を充填すること等から解析開始時にはモデル全体のバランスをとるための解析が必要になる。
【0020】
このモデル全体のバランスがとれた状態とは、車両の車輪例えば4輪それぞれの上下、前後、左右方向に発生している力が安定したと見なせる、または車体のロール、ピッチ、ヨー角が安定したと見なせる、サスペンション各部材の動きが安定したと見なせる状態をいう。
【0021】
また、安定した状態とは、解析本来の目的であるタイヤ性能に関与する車両の使用状態、例えば、レーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などに対して、これらの影響が小さい範囲に入ったと見なせる状態をいう。
【0022】
車両の使用状態の一例であるレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などの動的挙動を解析する場合には、陽解法を用いることが一般的である。この陽解法では、解析の時間刻みは、モデル化、具体的には、有限要素のサイズとその要素の内の音速(v=√E/ρ、ヤング率と密度の比の平方根)から、全要素で最小の(有限要素のサイズ)/(その要素の音速)で決定されている。
【0023】
要素の大きさを変更せずに、これを大きくする手段としては、モデル化された物体の密度を実際より大きくする手法がとれるが、質量が異なるので実物とは異なるものを解析することになり、解析モデルの信頼性が低い。また、密度を一時的に大きくして解析所用時間を短くした場合、その後の動的挙動解析時は本来の密度に戻す必要があり、この時に計算の不安定を招くことがある。
【0024】
このように、モデル全体のバランスを取る解析は、本来解析対象となる例えばレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などと比較して動きが少なく動的な性能を考慮する必要が少ないにも関わらず、陽解法を使うとこの部分の解析所用時間を短縮することが難しく、解析を効率よく行うことが難しかった。
【0025】
そこで、本発明は、タイヤを、例えば、有限要素モデル(FEM)等の数値計算モデルで作成し、またサスペンションを含む車両も数値計算モデル(例えばFEM)で作成し、これらの数値モデルを結合して1つの数値計算モデルとして解析し、タイヤの性能を使用状態でシミュレーションする。このタイヤの性能を使用状態で解析するために、解析開始時点では、陰解法により解析し、その後に陽解法により解析するべく切り換える。
【0026】
すなわち、モデル全体のバランスを取る解析は、本来解析対象となるレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などと比較して動きが少なく、低い周波数(例えば、1Hzより小さい)の動的挙動を解析できればよい。解析全体の中でこのモデル全体のバランスを取る部分は、解析の時間刻みを大きくとることができるので、解析所用時間を短縮できる陰解法を用いて解析する。そして、モデル全体のバランスがとれた後にはレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象など、高い周波数(例えば、1Hz以上)の動的挙動を解析するために陽解法を用いて解析する。
【0027】
陰解法は、解析に時間刻みを大きくすることができるが、刻み毎の解析所用時間が長い特徴があり、低い周波数の現象を解析するのに適する。従って、モデル全体のバランスを取る部分は、動きが少なく高い周波数の動的挙動を考慮する必要がないので、陰解法で解析することで解析時間刻みを非常に大きくとり、解析所用時間を短縮することができる。このとき、モデル自体の幾何学形状、密度や材料物性等は物理的に正しい値を使用するのでモデルの信頼性は高く保たれる。
【0028】
陽解法は、解析時間刻みを大きくすることはできないが、1刻み毎の解析所用時間を短くできるという特徴があり、高い周波数の動的現象を解析するのに適している。例えば、100Hzまでの振動現象を解析するためには、時間刻みは1/100=0.01秒以下が必要になるため、解析時間刻みが短くなるというデメリットは小さく、1刻み毎の解析所用時間が短いメリットが大きくなる。つまり、動的現象解析には、陽解法の方が解析所用時間は短くなる。このとき、モデル自体の幾何学形状、密度や材料物性などは物理的に正しい値を使用するので、モデルの信頼性は高く保たれる。
【0029】
従って、解析開始直後のモデル全体のバランスを取るための部分は陰解法を用い、モデル全体のバランスがとれた後に陽解法に切り換えて動的特性を予測することで、全体の解析所用時間の短縮化を図ることができる。
【0030】
前記のタイヤとしては、複数の陸部からなるパターン(特に、ラグ溝、サイプ、ハイアングル溝)を備えたパターン付きタイヤを採用することができる。
【0031】
なお、本発明では、大規模の数値計算モデル作成時に、個々の部品毎、例えばパターンとケース、タイヤとホイール、サスペンションアームとブッシュ等にモデル化した後組み合わせることで、効率的にモデルを作成し、かつ容易にパターン変更することが可能である。
【0032】
複数の陸部からなるパターン付き、特にラグ溝、サイプ、ハイアングル溝等の場合、タイヤと車両とを合わせた数値解析を行えば、タイヤ取り付け部はサスペンションになるので可動し、車両での装着状態を容易に再現する事ができ、パターン変更時のタイヤ性能の小さな違いを正確に解析することができる。またサスペンションの幾何学的位置を厳密に車両と合わせることも可能で、様々な種類のサスペンションに容易に対応することができる。
【0033】
本発明のタイヤモデルは、タイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成されている。このため、解析モデルである数値計算モデルを作成するときに個々の部品毎にモデルを作成して組み合わせることで作成することができるので、大規模モデルでも容易に短い時間で作成することができる。
【0034】
第1の数値計算モデルには、ホイールを多数要素に分割して形成したホイールモデルを更に含ませることができる。このホイールモデルとタイヤモデルとを組み合わせることによりタイヤホイール組付体のモデルを作成することができる。また、第2の数値計算モデルには、サスペンションモデルの他、車体を多数要素に分割して形成した車体モデルを含ませることができる。
【0035】
また、タイヤをパターンを除くタイヤ本体とパターンとの2つの部品に分割し、タイヤ本体を多数要素に分割して形成した部品モデルとパターンを多数要素に分割して形成した部品モデルとを作成し、各部品モデルについて各々複数個用意し、選択した1つのタイヤ本体の部品モデルと選択した1つのパターンの部品モデルとを組み合わせてタイヤモデルを作成することで、効率良く異なるタイヤ本体と異なるパターンとを組み合わせたモデル解析をすることができる。また、パターン変更も容易にできる。なお、同じサイズのタイヤを解析する場合には、タイヤ本体の部品モデルについては、標準的なモデルを1つ用意するようにすればよい。
【0036】
また、タイヤモデルとは別に作成したホイールモデルを複数個作成して選択した1つのホイールモデルと選択した1つのタイヤモデルと組み合わせることによりタイヤホイール組付体モデルを作成し、効率良く異なるタイヤと異なるホイールとを組み合わせた組合体の性能を解析することができる。
【0037】
さらに、タイヤホイール組付モデルと別に作成したサスペンションモデルを組み合わせたり、さらに車体モデルを組み合わせることにより、効率良く性能予測ができる。
【0038】
大規模の数値計算モデル作成時に、個々の部品(パーツ)毎、例えばパターンとケース、タイヤとホイール、サスペンションアームとブッシュ等にモデル化した後組み合わせることで、効率的にモデルを作成し、かつ容易にパターン変更が可能である。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態のタイヤ性能シミュレーション装置は、図1に示すように、コンピュータと、タイヤやサスペンションの数値計算モデル及びタイヤ性能解析プログラムから構成されたタイヤ性能シミュレーションプログラムが記録された記録媒体としてのフレキシブルディスクFDとから構成されている。
【0040】
このコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、内部に設けられた記録媒体に予め記憶された処理プログラムに従ってタイヤ性能をシミュレートするコンピュータ本体12、及びコンピュータ本体12のシミュレート結果等を表示するCRT等の表示装置14から構成されている。
【0041】
コンピュータ本体12には、記録媒体としてのフレキシブルディスクFDが抜き差し可能なフレキシブルディスクドライブユニット(FDU)を備えている。後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフレキシブルディスクFDから読み込み可能である。従って、後述する処理ルーチンは、予めFDに記録しておき、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを実行してもよい。また、コンピュータ本体12にハードディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置(図示省略)へ格納(インストール)して実行するようにしてもよい。また、記録媒体としては、Zip(商品名)、Jazz(商品名)等の大容量磁気ディスクや、CD−ROM等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまたはさらに前記大容量磁気ディスク装置や、CD−ROM装置、MD装置、MO装置等を用いればよい。
【0042】
次に、図2を参照して、本実施の形態の有限要素法で表されたタイヤモデルについて説明する。図2に示すように、このタイヤモデル20は、タイヤ本体モデル22とトレッドパターンモデル24とを結合することにより作成されている。タイヤ本体モデル22及びトレッドパターンモデル24は、複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤを、タイヤ本体とトレッドパターン部とに分割し、タイヤ本体及びトレッドパターン部各々を多数要素に分割した有限要素で表すことにより作成されている。
【0043】
このタイヤ本体モデル22及びトレッドパターンモデル24は、タイヤの種類に応じて各々複数個作成されて、コンピュータ内部の記録媒体に記録されている。
【0044】
この記録媒体には、複数種類のタイヤホイールの各々を多数要素に分割して作成した複数のホイールモデル、複数種類のサスペンションの各々を多数要素に分割して作成した複数のサスペンションモデル、複数種類の車体の各々を多数要素に分割して作成した複数の車体モデル、タイヤが近接する路面を多数要素に分割して作成された複数の路面モデル、複数の車両の機構解析モデル、複数のサスペンションの機構解析モデルも同様に記録されている。
【0045】
次に、図3を参照してタイヤ性能シミュレーションプログラムの処理のルーチンを説明する。ステップ100では、オペレータから入力されたデータに基づいて、性能を解析する1つのタイヤ本体モデルを記録媒体に記録された複数のモデルから選択し、ステップ102においてこのタイヤ本体モデルに対するトレッドパターンモデルを1つ同様に選択する。
【0046】
ステップ104では、オペレータから入力されたデータに基づいて、タイヤを組付けるホイールモデルを1つ同様に選択し、ステップ106でタイヤホイール組付体を取り付けるための取付対象モデルを1つ同様に選択する。取付対象モデルとしては、サスペンションモデル、サスペンションモデル及び車体モデルの2モデル、車両の機構解析モデル、及びサスペンションの機構解析モデルのいずれか1つ等とすることができる。
【0047】
通常の使用状態でのタイヤ性能を解析する場合には、サスペンションモデル及び車体モデルが選択される。また、タイヤ性能解析の場合、タイヤ自身やサスペンションのバネ定数が、車体(ボディ)の弾性に比べ低いのでボディを剛体として近似することが可能である。車体の弾性変形を無視し剛体とし取り扱うことで、より効率良く(早く)性能予測が可能になる。この場合には、タイヤホイール組付体モデルを取り付ける対象モデルとしてサスペンションモデルが選択される。
【0048】
また、車体及びサスペンション構成部品自身のバネ定数よりもタイヤ自身やサスペンションバネのバネ定数の方が低い。従って、構成部品自身の弾性変形を無視し剛体として近似し、この幾何学的動きのみを考慮することで、より効率良く性能予測が可能になる。この場合ダンパーやブッシュなどの減衰に寄与する部品を解析モデルに含めることが望ましい。この理由は、減衰の大きさは、タイヤ自身だけでなくダンパーやブッシュ等の寄与も大きいからである。この場合には、車両の機構解析モデル、またはサスペンションの機構解析モデルが選択される。
【0049】
次のステップ108では、選択されたタイヤ本体モデルとドレッドパターンモデルとを結合してタイヤモデルを作成すると共に、作成したタイヤモデルにホイールモデルを結合してタイヤホイール組付モデルを作成する。次のステップ110では、タイヤホイール組付モデルと取付対象モデルとを結合して解析対象モデルを作成する。
【0050】
なお、このステップ110では、モデルを設置するための路面モデルも作成する。この作成した路面モデルを含めて解析対象モデルとしてもよく、解析対象モデルと路面モデルを連成させて如何に説明する解析を行ってもよい。
【0051】
図5〜図11に解析対象モデルの例を示す。図5は、車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを示すものであり、図6は、車体モデル無し(ボディー無し)で、サスペンションモデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示すものであり、図7は、車両を表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示すものであり、図8は、車体モデル無しで、サスペンションを表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示すものである。
【0052】
また、剛体ホイールモデルを組付けたタイヤホイールモデルとサスペンションモデルとを結合したモデル、車両を表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合したモデル、サスペンションを表す機構解析モデル、車体モデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合したモデル、車両を表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合したモデルを解析対象モデルとして使用することもできる。
【0053】
図10は、解析対象モデルの例として、車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを、路面モデルに設置した状態を示すものである。図11は、車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを、路面モデルに設置した状態について、タイヤモデル周辺の一部詳細を示している。
【0054】
そして、ステップ112では、後述する予め定められた解析プログラム(図4)に従って4輪のタイヤ性能の解析シミュレーションを行い、必要なデータを取得する。
【0055】
次に、図4を参照してタイヤ性能シミュレーション実行処理の詳細を説明する。上述のように、図3のステップ110までの処理において解析対象を含むモデルが作成されると、ステップ120において解析処理が実行される。この解析処理は、陰解法による処理(ステップ122)と、陽解法による処理(ステップ124)とを含んでいる。解析処理が終了すると、ステップ126へ進み、解析結果の評価を実行する。この解析結果の評価は、解析結果のデータを表示したり出力したりする処理である。
【0056】
まず、解析当初である、モデル全体のバランスを取る解析は、解析対象となるレーンチェンジや非平坦路面上での振動現象などと比較して動きが少ないので、動的な性能を考慮する必要がない。従って、解析全体の中でモデル全体のバランスを取る処理では、解析の時間刻みを大きくとることができる。そこで、本実施の形態では、モデル全体のバランスを取る解析当初の処理について、解析所用時間を短縮できる陰解法を用いて解析する(ステップ122)。そして、モデル全体のバランスがとれた後の解析で、レーンチェンジや非平坦路面上での振動現象など動的挙動を解析するときには陽解法を用いて解析する(ステップ124)。
【0057】
陰解法は、周知のように平衡状態を求めるためにエネルギ平衡を計算する方法であり、任意の時刻からの時間増分毎に状態を計算し、平衡状態を求めるものである。例えば、状態が既知の時刻tから時間増分Δtにおける平衡を満足する解を求める複数の連立方程式の解を求めることに相当する。従って、平衡を取れる限り時間増分Δtを大きくすることができ、高精度で状態を求めることができる。すなわち、時刻tから時間増分Δtで計算を区切り、時間増分Δt後の平衡状態を求め、これを元に新たな時間増分Δt’(Δtと同じでなくともよい)後の新たな平衡状態を求める、というように、順次状態を繰り返し求める。
【0058】
従って、陰解法は、解析の時間刻みを大きくすることができるが、刻み毎の解析所用時間が長くなるので、低い周波数の動的現象の解析、例えばモデル全体のバランスを取る解析、これは高い周波数の動的性能を考慮する必要がないのでこの解析を陰解法で解析する。これによって、解析時間刻みを非常に大きくとることで、解析所用時間を短縮することができる。このとき、モデル自体の幾何学形状、密度や材料物性等は物理的に正しい値を使用するのでモデルの信頼性は高く保たれる。
【0059】
また、陽解法は、周知のように運動方程式の複雑な連立方程式の解を求める計算方法であり、収束計算するものではなく、任意の時刻から時間増分Δt毎に平衡を取らずに状態を求めるものである。一般的には、計算負荷を減少させるため、連立方程式の解を求めることに代えて、時刻tにおける運動方程式を基にして時間増分Δt後(時刻t+Δt)の解を近似的に求める。例えば、外挿により時間増分Δt後の解を求める。しかし、陽解法では、時間増分Δtは安定条件を満たすように設定しなければならないので、大きくすることはできない。
【0060】
従って、陽解法は、解析時間刻みを大きくすることはできないが、1刻み毎の解析所用時間を短くできるので、高い周波数の動的現象の解析すなわち、レーンチェンジや非平坦路面上での振動現象など動的挙動を解析するときに用いる。例えば、100Hzまでの振動現象を解析するためには、時間刻みは1/100=0.01秒以下が必要になるため、解析時間刻みが短くなるというデメリットは小さく、1刻み毎の解析所用時間が短いメリットが大きくなる。つまり、高い周波数の動的現象解析には、陽解法の方が解析所用時間は短くなる。このとき、モデル自体の幾何学形状、密度や材料物性などは物理的に正しい値を使用するので、モデルの信頼性は高く保たれる。
【0061】
従って、解析開始直後のモデル全体のバランスを取るための部分は陰解法を用い、モデル全体のバランスがとれた後に陽解法に切り換えて動的特性を予測することで、全体の解析所用時間の短縮化を図ることができる。
【0062】
なお、従来は、ステップ120の解析すなわちステップ122及びステップ124の解析処理を共に陽解法による解析が想定されるが、本実施の形態のように、ステップ122では陰解法により解析し、ステップ124では陽解法により解析することが最も好ましい形態である。これは計算精度を高めつつ計算速度と必要メモリ容量などによる計算コストを抑制するという相反する条件を反映させることが可能なためである。すなわち、陰解法は高精度だが計算速度と必要メモリ容量などによる時間刻み当たりの計算コストが大きくなり、陽解法は低精度だが時間刻み当たりの計算コストを抑制できることから、モデル全体のバランスを考慮した解析をする過程で、解法を切り換えることが可能なためである。
【0063】
また、計算精度をより要求する場合、ステップ122及びステップ124共に陰解法により解析してもよい。また、モデル全体のバランスを考慮するときの計算コストを抑制する場合で、動的特性を高精度で求めたい場合には、ステップ122で陽解法により解析し、ステップ124では陰解法により解析するようにしてもよい。ただし、これらの場合、ステップ124では非常に多くの細かい時間刻みが必要となるので、時間刻み当たりの計算コストが大きいことと併せて、総計算コストは膨大になり、実用的ではない。
【0064】
なお、上記の実施の形態において、車両走行状態の解析は、車両モデルに簡易タイヤモデルを結合した機構解析等で行うかもしくは実験で行い、その結果からサスペンション取り付け点の軌跡を取り出し、この軌跡を用いて、1輪もしくは1軸のサスペンションとタイヤを取り出して詳細に解析を行えば、効率良く精度の高い性能予測が可能である。この場合には、例えば、図9に示すように、車体モデル無しで、サスペンションモデルとタイヤホイール組付体モデルと結合したモデルを用い、サスペンション取り付け点の軌跡データは車両モデルと簡易タイヤモデルとの機構解析結果、別の車両の解析結果、または実験結果を利用するこことができる。なお、図9において、○は、サスペンション取付点、すなわち軌跡データを与える点を示す。
【0065】
【実施例】
以下、上記で説明した本実施の形態のタイヤ性能シミュレーション装置を利用して、タイヤ性能をシミュレーションした実施例を説明する。
【0066】
(1)PSR195/65R15で4本主溝のタイヤ(図12参照)について、このタイヤをFEMモデル化し、ホイール、車両、サスペンションもFEMモデルを作成し、使用状態としてレーンチェンジのときの解析を実施した。解析開始から(シミュレーション対象における経過時間のうちの)0.4秒間は、モデル全体のバランスを取る解析(図4の解析A)として、この部分解析を陽解法、及び陰解法の両者で行った場合、すなわち、従来の有限要素モデルを用いた解析方法により解析した場合と本実施の形態のタイヤ性能シミュレーション装置を利用して解析方法を切り換えて解析した場合の解析所用時間を比較した。この比較結果を、表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
また、上記タイヤ、すなわちPSR195/65R15で4本主溝のタイヤのFEMモデル化、ホイール、車両、サスペンションもFEMモデルを用い、使用状態として、進行方向長さ30mm、高さ10mmの長方形断面クリート乗り越しのときの解析を上記と同様にして実施した。このときの上記と同様の比較結果を、表2に示した。
【0069】
【表2】
【0070】
これらの結果から理解されるように、解析当初のモデル全体のバランスを取る解析において陰解法を用いることで解析時間を短縮することができる。
【0071】
(2)PSR195/65R15で4本主溝のタイヤ(図13)について、このタイヤをFEMモデル化し、ホイール、車両、サスペンションもFEMモデル作成し、レーンチェンジ解析を実施した。ここでは、車両モデルは考慮せず、サスペンション取り付け点間を剛体結合し、車両重心位置に実際の車両同じ質量、慣性モーメントになるように、質量と慣性モーメントを定義した。また、解析開始から0.3秒間は、モデル全体のバランスを取る解析(図4の解析A)として、この部分を陽解法、陰解法の両者で行った場合、すなわち、従来の有限要素モデルを用いた解析方法により解析した場合と本実施の形態のタイヤ性能シミュレーション装置を利用して解析方法を切り換えて解析した場合の解析所用時間を比較した。この比較結果を、表3に示した。
【0072】
【表3】
【0073】
この結果から理解されるように、解析当初のモデル全体のバランスを取る解析において陰解法を用いることで大幅に解析時間を短縮することができる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、解析開始直後のモデル全体のバランスを取るために陰解法を用い、モデル全体のバランスがとれた後に陽解法に切り換えて動的特性を予測するので、全体の解析所用時間の短縮化を図ることができ、タイヤの性能を使用状態で効率的にシミュレーションすることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に使用するタイヤモデルを示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態のタイヤ性能シミュレーション処理ルーチンを示す流れ図である。
【図4】本発明の実施の形態のタイヤ性能シミュレーション処理における解析処理ルーチンの詳細を示す流れ図である。
【図5】本発明の実施の形態の車体、サスペンション、及びタイヤホイール組付体の3つのモデルを結合した解析対象モデルを示す概略図である。
【図6】車体無しでサスペンションモデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示す概略図である。
【図7】車両を表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示す概略図である。
【図8】車体無しでサスペンションを表す機構解析モデルとタイヤホイール組付体モデルとを結合した解析対象モデルを示す概略図である。
【図9】車体無しでサスペンションモデルとタイヤホイール組付体モデルと結合したモデルを用い、サスペンション取り付け点の軌跡データを別の結果を利用してシミュレーションする場合の概略図である。
【図10】レーンチェンジ解析をするために、車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを、路面モデルに設置した状態でシミュレーションする場合の概略図である。
【図11】車体モデル、サスペンションモデル、及びタイヤホイール組付体モデルの3つのモデルを結合した解析対象モデルを、路面モデルに設置した状態についてタイヤモデル周辺の一部詳細を示す概略図である。
【図12】本実施例に使用するタイヤのトレッドの一部の平面図である。
【図13】本実施例に使用するタイヤのトレッドの一部の平面図である。
【符号の説明】
10 キーボード
20 タイヤモデル
22 タイヤ本体モデル
24 トレッドパターンモデル
Claims (7)
- タイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせてタイヤモデルを作成すると共に、
車両に装備されたサスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを作成し、
タイヤモデルを含む第1の数値計算モデルとサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルとを1つの数値計算モデルとし、
タイヤの性能を使用状態で解析するために、解析開始時点では、陰解法による解析を行い、その後に陽解法による解析を行う
タイヤ性能シミュレーション方法。 - 前記タイヤは、複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ性能シミュレーション方法。
- 前記タイヤモデルは、前記タイヤに取り付けられたホイールを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成されたホイールモデルを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ性能シミュレーション方法。
- 前記タイヤに近接する路面を複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成された路面モデルをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のタイヤ性能シミュレーション方法。
- 前記サスペンションモデルは、前記サスペンションを含む車両を複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成された車両モデルであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のタイヤ性能シミュレーション方法。
- タイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成したタイヤモデルを含む第1の数値計算モデル、及び車両に装備されたサスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルを記憶した第1の記憶手段と、
タイヤの性能を使用状態で解析するための陰解法プログラム及び陽解法プログラムを記憶した第2の記憶手段と、
第1の記憶手段に記憶された第1の数値計算モデル及び第2の数値モデルを1つの数値計算モデルとして、解析開始時点では陰解法により解析し、その後に陽解法による解析に切り換えてタイヤの性能を使用状態で解析する解析手段と、
を含むタイヤ性能シミュレーション装置。 - タイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせて作成したタイヤモデルを含む第1の数値計算モデルと、
車両に装備されたサスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルと、
第1の記憶手段に記憶された第1の数値計算モデル及び第2の数値モデルを1つの数値計算モデルとして、解析開始時点では陰解法により解析し、その後に陽解法による解析に切り換えてタイヤの性能を使用状態で解析するプログラムと
を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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