【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板等の製造に有用な銅及び銅合金の表面を粗面化するためのマイクロエッチング用表面処理剤、及びこの表面処理剤を使用する銅及び銅合金の表面の粗面処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の一般的な製造方法としては、銅張りした薄層板等の銅張基板を使用し、ドライフィルムなどのエッチングレジストによって、銅表面を適宜被覆し、露光及び現像した後、エッチング液に浸漬して銅表面の不要部分を除去し、残留部分の銅によって回路を形成すると共に、形成された回路の保護のため、銅表面にソルダーレジストを適宜被覆することからなる方法がよく知られている。
【0003】
エッチングレジスト又はソルダーレジストでの被覆に当たっては、レジストと銅表面との密着性を向上させるために、銅表面を粗面化している。銅表面を粗面化する方法としては、物理的にはバフ研摩、化学的にはマイクロエッチングが知られているが、特に、細線パターンを有するプリント配線板については、マイクロエッチングが一般的に用いられている。
【0004】
銅及び銅合金の表面のマイクロエッチングに使用される表面処理剤としては、硫酸、硝酸等の鉱酸と過酸化水素とを主成分とし、さらに、5−アミノテトラゾールを添加した水溶液でなるものが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
一般に、鉱酸及び過酸化水素を主成分とする鉱酸−過酸化水素系処理液では、処理の間に、金属に対する溶解速度の著しい低下(老化とも称される)を生ずる。5−アミノテトラゾールは、このような老化の発生を抑制するために添加されている。
【0006】
また、過酸化水素、硫酸、プロピルアルコール及びシクロヘキシルアミンを含有するスプレーエッチング用表面処理剤も知られている(特許文献2参照)。
【0007】
この表面処理剤では、アルコールの添加によって、塩素イオンの混入による悪影響を受け難いものとするとともに、アミンを銅表面に吸着させることにより、銅表面の酸化速度を遅らせ、銅表面とレジストとの間における酸化物の介在を極端に低減させることによって、銅表面に対するレジストの密着性を増加せしめることを目的としており、スプレーエッチング後の酸洗浄を省略することが可能である。
【0008】
さらに、硫酸、過酸化水素及びリン酸に、アミンを添加してなる銅及び銅合金の化学研摩液も知られている(特許文献3参照)。
【0009】
このような化学研摩液において、アミンは、塩素等のハロゲンが系中に存在する場合において、得られる処理表面の光沢性及び曇り等の問題点及び研摩液の老化に関する問題点を解消する機能を果たす。
【特許文献1】
特開昭51−27819号公報
【特許文献2】
特開平5−295365号公報
【特許文献3】
特公昭53−32340号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の表面処理剤の内、過酸化水素−鉱酸−5−アミノテトラゾール系の表面処理剤は、塩素イオンが混入すると、エッチング能力が失われるため、その調製に当たっては、塩素イオンを含まない脱イオン水の使用が必須であり、塩素イオンを含有する水、例えば、水道水を使用できず、コストが高いとの課題がある。
【0011】
また、過酸化水素−硫酸−プロピルアルコール−シクロヘキシルアミン系の表面処理剤では、塩素イオン混入による悪影響は緩和されるものの、エッチング表面は、粗面化よりもむしろ平滑化しており、レジストとの充分な密着性が得られないとの課題がある。
【0012】
加えて、近年、特にビルドアップ法によるプリント回路板の製造では、基板の大きさが極端に小さくなり、この傾向は加速されてきており、小型になればなるほど、回路幅が微細化することにより、ドライフィルム及びソルダーレジストと回路との単位当たりの接触面積が少なくなり、上記の酸化物の介在防止による密着力の改善法では、カバーすることが困難な状況に至っている。
【0013】
さらに、硫酸−過酸化水素−リン酸−アミン系の化学研摩液は、銅又は銅合金の表面を研摩して、光沢のある平滑な表面を得るためのものであり、銅及び銅合金の表面をマイクロエッチングするための表面処理剤ではない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、鋭意研究を行った結果、過酸化水素及び硫酸を含有する水溶液に、5−アミノ−1H−テトラゾール及びシクロヘキシルアミンを含有させることによって、塩素イオンの混入に対して強く、レジストとの密着力向上に必要な銅及び銅合金の粗面化状態が得られることを見出し、本発明に至った。
【0015】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)銅及び銅合金のマイクロエッチング用表面処理剤を、水溶液の質量を基準として、過酸化水素1〜5質量%、硫酸3〜15質量%、5−アミノ−1H−テトラゾール0.01〜1.5質量%及びシクロヘキシルアミン0.05〜5.0質量%を含有する水溶液で構成する。
(2)上記(1)において、水溶液を構成する水として、脱イオン水又は塩素イオンを含有する水を使用する。
(3)上記(1)又は(2)において、水溶液における硫酸/過酸化水素の質量比を3〜15とする。
(4)銅及び銅合金の表面をマイクロエッチングして粗面化する方法において、マイクロエッチング用表面処理剤として、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の処理剤を使用する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明による銅及び銅合金のマイクロエッチング用表面処理剤を構成する水溶液における各種成分の含量(水溶液の質量を基準として質量%で示す)について説明する。
【0017】
表面処理剤を構成する水溶液における過酸化水素の含量は1〜5質量%である。1質量%未満では、実質的なエッチング速度が不足し、5質量%より大きくなると、エッチング速度が速くなり過ぎて、制御が困難になる。
【0018】
硫酸の含量は3〜15質量%であり、硫酸と過酸化水素との質量比(硫酸/過酸化水素)は3〜15である。硫酸の量が過酸化水素の3倍以下になると、エッチング時にムラが発生する。また、必要以上の硫酸を含有する場合、エッチング過程で生じた硫酸銅の溶解度を低下させ、表面処理剤中に硫酸銅の結晶を析出させることになる。
【0019】
本発明では、特に5−アミノ−1H−テトラゾールが使用される。他のテトラゾール化合物、例えば、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール等も使用できるが、水に対する溶解性の面から、5−アミノ−1H−テトラゾールが望ましい。5−アミノ−1H−テトラゾールの含量は0.01〜1.5質量%である。0.01質量%未満では、レジストとの密着力の向上に必要な粗面化状態が得られない。また、一般に、含量が大きいほど、エッチング速度が逆に遅くなり、しかも、この化合物は高価であるため、不経済である。より好ましくは、0.05〜1.0質量%である。
【0020】
シクロヘキシルアミンの含量は0.05〜5.0質量%である。含量が0.05質量%未満では、塩素イオンの混入による悪影響を抑制できない。また、含量が大きくなるにつれて、過酸化水素の安定性及び塩素イオンによる悪影響の抑制効果が向上するが、この表面処理剤を使用した後の廃液処理等を考慮すると、上限は5.0質量%である。より好ましくは、0.1〜3.0質量%である。
【0021】
本発明の表面処理剤は、使用時、各成分を、それぞれ、定められた含量となる量で配合することによって調製されるか、又は、予め調製されていたものが使用される。また、予め濃厚溶液として調製しておき、使用時に、本発明で定めた含量となるように希釈することもできる。
【0022】
本発明の表面処理剤の調製に当たり、水として、高価な純水又は脱イオン水を使用する必要はなく、通常の塩素イオンを含有する水、例えば、水道水を使用することができる。水道水における塩素イオン含量は、日本では0.021質量%であるが、国によって異なる。本発明では、各種の含量で塩素イオンを含有する水道水を使用できる。
【0023】
本発明の表面処理剤を使用して銅又は銅合金の表面をマイクロエッチングする場合、処理方法は特に限定されず、当分野で一般的に使用されている各種の方法、例えば、スプレーエッチング装置を使用するスプレー法、エッチングタンク内での揺動、ポンプによる液循環等を伴う浸漬法が使用される。
【0024】
マイクロエッチングの際の処理温度については、特に制限はないが、一般に常温〜50℃、好ましくは25〜40℃である。処理温度が高くなるにつれて、エッチング速度が増大するため、目的に応じて設定できる。
【0025】
銅又は銅合金の表面のエッチング量についても制限はない。一般に、0.3〜5.0μmの深さでエッチングすることが望ましい。エッチング量が多くなると粗面化の度合が増すことから、必要に応じてエッチング量を選択できる。目安としては、ドライフィルムレジストの前処理としては約1.0μm、ソルダーレジストの前処理としては約2.0μm、プリプレグ接着の前処理としては約4.0μmのエッチングを行うことが望ましい。
【0026】
本発明による金属表面の粗面処理法は、上述したレジスト及びプリプレグの前処理に限定されず、プリント配線板の製造工程における各種の前処理での使用も可能である。例えば、無電解メッキの前処理、電解メッキの前処理、プリスラックスの前処理、はんだホットレベラーの前処理等が挙げられる。
【0027】
以下に、実施例を参照して本発明を説明するが、本発明は実施例により制限されるものではない。
【0028】
【実施例1〜6】
水の一部に、過酸化水素、硫酸、5−アミノ−1H−テトラゾール及びシクロヘキシルアミンを、それぞれ、表1に示す含量となる量で添加、溶解させ、水の残りを加え、水溶液とすることによって、各種の表面処理剤を調製した。なお、水として、脱イオン水、我国の水道水及び後述する疑似水道水を使用している。
【0029】
比較のため、実施例1〜6における組成から、それぞれ、シクロヘキシルアミン又は5−アミノ−1H−テトラゾールを除外して、水溶液を調製した(比較例1〜12)。
【0030】
実施例3及び6は、それぞれ、実施例2及び5と同様ではあるが、我国の水道水を使用した場合の約3倍の量の塩素イオンが存在する水溶液を調製するため、水として、脱イオン水に塩化水素を添加して調製した疑似水道水(塩素イオン含量=0.06質量%)を使用している(これらの実施例は、日本以外の国の水道水では、塩素イオンが我国の水道水の2〜3倍多い量で含有されており、このような他国の水道水の使用を考慮したものである)。
【0031】
加えて、比較のため、従来技術の1例として詳述した特開昭51−27819号の開示に従って、表1に示す組成を有する各種の表面処理剤を調製した(比較例13〜16)。
【0032】
上記の如く調製した各表面処理剤を用いて、表面に電気銅メッキを施したプリント配線銅張積層板について、30℃において1分間スプレー処理を行い、銅のエッチング速度の測定、目視による銅表面の色の観察及び走査型電子顕微鏡による銅表面の状態の観察を行った。
【0033】
実施例2の表面処理剤でマイクロエッチングした銅表面の微細組織を、電子顕微鏡(日本電子(株)製:JSM−5300)にて、ステージ角30°で撮影した電子顕微鏡写真(3500倍)を図1に示す。同じく、実施例2の表面処理剤でマイクロエッチングした銅表面の粗面化深度を、プロファイルマイクロメータ(キーエンス社製:VF−7510)にて測定した微細組織の写真(2500倍)を図2に示す。
【0034】
また、比較例1の表面処理剤でマイクロエッチングした銅表面の微細組織を、電子顕微鏡(日本電子(株)製:JSM−5300)にて、ステージ角30°で撮影した電子顕微鏡写真(3500倍)を図3に示し、同じく、比較例1の表面処理剤でマイクロエッチングした銅表面を、プロファイルマイクロメータ(キーエンス社製:VF−7510)にて測定した微細組織の写真(2500倍)を図4に示す。
【0035】
通常、銅表面の色は、粗面化の度合が増すにつれて、光沢性から茶褐色に変色する。エッチング量は、処理の前後の質量差から算定した平均値である。
【0036】
得られた結果を、表1に合わせて示す。
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【0037】
得られた結果を検討すると、実施例1〜3の対比及び実施例4〜6の対比から、水溶液中における塩素イオンの存在は、表面処理剤のマイクロエッチング効果に対して格別の影響を及ぼさないことが理解される。
【0038】
実施例1〜6と比較例1〜6及び比較例7〜12との対比から、銅表面の良好な粗面化状態を得るには、5−アミノ−1H−テトラゾール及びシクロヘキシルアミンの両方の存在が必須であることが明らかである。
【0039】
さらに、実施例2と実施例3との対比及び実施例5と実施例6との対比から、水溶液中における塩素イオン濃度が、我国の水道水を使用した場合の約3倍であっても、マイクロエッチングに対して格別の影響を及ぼさないことが理解される。
【0040】
また、実施例1〜6と比較例13〜16(5−アミノ−1Hテトラゾールを含有するが、シクロヘキシルアミンではなく、トリブチルアミン又はエタノールを含有している)との対比から、過酸化水素及び硫酸を主成分とするマイクロエッチング表面処理剤における塩素イオン混入による悪影響の防止に関して、5−アミノ−1H−テトラゾール及びシクロヘキシルアミンの組合せが最適であることが理解される。
【0041】
次に、上記の各表面処理剤について、ドライフィルム及びソルダーレジストの密着性の評価を、下記の如く実施した。
【0042】
1)ドライフィルムの密着性の評価
電気銅メッキを施したプリント配線銅張積層板を、上述の実施例1〜6及び比較例1〜16の各水溶液を用いて、30℃において、スプレーエッチング法によって、1μm及び2μmの深さで粗面処理した後、ドライフィルム(デュポン社:RISTON FRA O63−50)を被覆し、露光(オーク社:661C)及び現像を行った。JISK5480に準拠して、ドライフィルムに幅1mmの碁盤目状の切り傷を付け、粘着テープによる引き剥がし試験を行った。
【0043】
2)ソルダーレジストの密着性の評価
ドライフィルムの密着性の評価の場合と同様にして、電気銅メッキを施したプリント配線銅張積層板の表面を、スプレーエッチング法によって、深さ1μm及び2μmで粗面処理した後、ソルダーレジスト(太陽インキ社:PSR−4000G24)を印刷法により厚さ20〜30μmで被覆し、露光(オーク社:661C)及び現像を行った。JIS K5480に準拠して、ソルダーレジストに幅1mmの碁盤目状の切り傷を付け、粘着テープによる引き剥がし試験を行った。
【0044】
得られた結果を表2に示す。
【表2−1】
【表2−2】
【0045】
【実施例7】
電気銅メッキを施したプリント配線銅張積層板を、水溶液の質量を基準として、過酸化水素2質量%、硫酸6質量%、5−アミノ−1H−テトラゾール0.05質量%及びシクロヘキシルアミン0.3質量%を含有する水溶液(水道水を使用)を用いて、30℃において、この水溶液中に銅張積層板を浸漬することによって1μmエッチングした後、ドライフィルム(デュポン社:RISTON FRAO63−50)を被覆し、露光(オーク社:661C)及び現像を行った。
【0046】
上記と同様にJIS K5480に準拠して、ドライフィルムに幅1mmの碁盤目状の切り傷を付け、粘着テープによる引き剥がし試験を行った。比較のため、5−アミノ−1H−テトラゾールを含まない場合(水溶液の質量を基準として、過酸化水素2質量%、硫酸6質量%及びシクロヘキシルアミン0.3質量%を含有する)について行った(比較例17)。
【0047】
【表3】
【0048】
【実施例8】
電気銅メッキを施したプリント配線銅張積層板を、水溶液の質量を基準として、過酸化水素3質量%、硫酸10質量%、5−アミノ−1H−テトラゾール0.05質量%及びシクロヘキシルアミン0.3質量%を含有する水溶液(水道水を使用)を使用して、30℃において2μm浸漬エッチングした後、ソルダーレジスト(太陽インキ社:PSR−4000G24)を印刷法により厚さ20〜30μmで被覆し、露光(オーク社:661C)及び現像を行った。
【0049】
上記と同様にJIS K5480に準拠して、ソルダーレジストに幅1mmの碁盤目状の切り傷を付け、粘着テープによる引き剥がし試験を行った。
【0050】
比較のため、5−アミノ−1H−テトラゾールを含まない場合(水溶液の質量を基準として、過酸化水素3質量%、硫酸10質量%及びシクロヘキシルアミン0.3質量%を含有する)についても行った(比較例18)。
【0051】
この結果を表4に示す。
【表4】
【0052】
図5は、実施例8の表面処理剤でマイクロエッチングしたプリント配線板の銅表面にソルダーレジストインクを塗布した後に行ったクロスカッター試験の結果を示す図であり、図6は、比較例18の表面処理剤でマイクロエッチングしたプリント配線板の銅表面にソルダーレジストインクを塗布した後に行ったクロスカッター試験の結果を示す図である。
【0053】
【発明の効果】
本発明の表面処理剤では、従来困難であって塩素イオンを含有する水、例えば、水道水を使用することが可能であり、また、浸漬エッチング法及びスプレーエッチング法のいずれによっても銅及び銅合金を粗面処理して、エッチングレジスト又はソルダーレジスト等の密着力を向上させることが可能であり、産業上の利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の表面処理剤でマイクロエッチングした銅表面の微細組織を、電子顕微鏡(日本電子(株)製:JSM−5300)にて、ステージ角30°で撮影した電子顕微鏡写真(3500倍)である。
【図2】実施例2の表面処理剤でマイクロエッチングした銅表面の粗面化深度を、プロファイルマイクロメータ(キーエンス社製:VF−7510)で測定した微細組織の写真(2500倍)である。
【図3】比較例1の表面処理剤でマイクロエッチングした銅表面の微細組織を、電子顕微鏡(日本電子(株)製:JSM−5300)にて、ステージ角30°で撮影した電子顕微鏡写真(3500倍)である。
【図4】比較例1の表面処理剤でマイクロエッチングした銅表面の粗面化深度を、プロファイルマイクロメータ(キーエンス社製:VF−7510)で測定した微細組織の写真(2500倍)である。
【図5】実施例8の表面処理剤でマイクロエッチングしたプリント配線板の銅表面にソルダーレジストインクを塗布した後に行ったクロスカッター試験の結果を示す銅表面の微細なパターンを写した写真である。
【図6】比較例18の表面処理剤でマイクロエッチングしたプリント配線板の銅表面にソルダーレジストインクを塗布した後に行ったクロスカッター試験の結果を示す銅表面の微細なパターンを写した写真である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention provides a microetching surface treatment agent for roughening the surface of copper and copper alloys useful for manufacturing printed wiring boards and the like, and a rough surface of copper and copper alloy surfaces using this surface treatment agent. Regarding processing method.
[0002]
[Prior art]
As a general method of manufacturing a printed wiring board, a copper-clad substrate such as a copper-clad thin-layer board is used, the copper surface is appropriately coated with an etching resist such as a dry film, exposed and developed, and then an etching solution is used. A well-known method is to remove unnecessary portions of the copper surface by immersion in the substrate, form a circuit with the remaining copper, and appropriately coat the copper surface with a solder resist to protect the formed circuit. ing.
[0003]
When coating with an etching resist or a solder resist, the copper surface is roughened in order to improve the adhesion between the resist and the copper surface. As a method for roughening the copper surface, buff polishing is physically known and microetching is chemically known, but microetching is generally used especially for a printed wiring board having a fine line pattern. Have been.
[0004]
As a surface treatment agent used for microetching the surface of copper and copper alloys, a solution mainly composed of a mineral acid such as sulfuric acid or nitric acid and hydrogen peroxide, and furthermore, an aqueous solution to which 5-aminotetrazole is added is used. It is known (see Patent Document 1).
[0005]
In general, a mineral acid-hydrogen peroxide-based treatment solution containing a mineral acid and hydrogen peroxide as main components causes a remarkable decrease in the dissolution rate of metal (also referred to as aging) during the treatment. 5-aminotetrazole is added to suppress the occurrence of such aging.
[0006]
Also, a surface treatment agent for spray etching containing hydrogen peroxide, sulfuric acid, propyl alcohol and cyclohexylamine is known (see Patent Document 2).
[0007]
With this surface treatment agent, the addition of alcohol makes it less likely to be adversely affected by the contamination of chlorine ions, and adsorbs the amine on the copper surface, thereby slowing the oxidation rate of the copper surface and causing the copper surface to resist. The purpose of the present invention is to increase the adhesion of the resist to the copper surface by extremely reducing the inclusion of the oxide in the above, and it is possible to omit the acid cleaning after the spray etching.
[0008]
Further, a chemical polishing solution for copper and copper alloy obtained by adding an amine to sulfuric acid, hydrogen peroxide and phosphoric acid is also known (see Patent Document 3).
[0009]
In such a chemical polishing liquid, the amine has a function of solving problems such as glossiness and haze of the obtained treated surface and problems relating to aging of the polishing liquid when halogen such as chlorine is present in the system. Fulfill.
[Patent Document 1]
JP-A-51-27819 [Patent Document 2]
JP-A-5-295365 [Patent Document 3]
Japanese Patent Publication No. 53-34040
[Problems to be solved by the invention]
Among the above-mentioned conventional surface treatment agents, hydrogen peroxide-mineral acid-5-aminotetrazole-based surface treatment agent loses its etching ability when mixed with chlorine ions, and therefore contains chlorine ions in its preparation. The use of deionized water is essential, and water containing chlorine ions, for example, tap water, cannot be used.
[0011]
In addition, with the hydrogen peroxide-sulfuric acid-propyl alcohol-cyclohexylamine-based surface treatment agent, although the adverse effect due to chloride ion mixing is alleviated, the etched surface is smoothed rather than roughened, and sufficient etching with the resist is achieved. There is a problem that high adhesion cannot be obtained.
[0012]
In addition, in recent years, especially in the manufacture of printed circuit boards by the build-up method, the size of the substrate has become extremely small, and this tendency has been accelerated. As the size becomes smaller, the circuit width becomes finer. In addition, the contact area per unit between the dry film and the solder resist and the circuit is reduced, and it is difficult to cover by the above-mentioned method of improving the adhesion by preventing the intervening oxide.
[0013]
Further, the chemical polishing solution of sulfuric acid-hydrogen peroxide-phosphoric acid-amine system is for polishing the surface of copper or copper alloy to obtain a glossy and smooth surface, and the surface of copper and copper alloy is used. Is not a surface treatment agent for micro-etching.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive research and have found that by adding 5-amino-1H-tetrazole and cyclohexylamine to an aqueous solution containing hydrogen peroxide and sulfuric acid, the resist is resistant to chloride ion contamination and resists The present inventors have found that a roughened state of copper and a copper alloy required for improving the adhesion of the steel can be obtained, and have reached the present invention.
[0015]
According to the present invention, the above-mentioned problem is solved as follows.
(1) A surface treating agent for micro-etching of copper and a copper alloy, based on the mass of the aqueous solution, 1 to 5% by mass of hydrogen peroxide, 3 to 15% by mass of sulfuric acid, 0.01 to 0.01% of 5-amino-1H-tetrazole It is composed of an aqueous solution containing 1.5% by mass and 0.05 to 5.0% by mass of cyclohexylamine.
(2) In the above (1), deionized water or water containing chloride ions is used as the water constituting the aqueous solution.
(3) In the above (1) or (2), the mass ratio of sulfuric acid / hydrogen peroxide in the aqueous solution is 3 to 15.
(4) In the method of microetching and roughening the surface of copper and a copper alloy, the treatment agent according to any one of the above (1) to (3) is used as a surface treatment agent for microetching.
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The contents of various components in the aqueous solution constituting the surface treating agent for micro-etching of copper and copper alloy according to the present invention (shown in mass% based on the mass of the aqueous solution) will be described.
[0017]
The content of hydrogen peroxide in the aqueous solution constituting the surface treatment agent is 1 to 5% by mass. If it is less than 1% by mass, the substantial etching rate is insufficient, and if it is more than 5% by mass, the etching rate becomes too fast and control becomes difficult.
[0018]
The content of sulfuric acid is 3 to 15% by mass, and the mass ratio of sulfuric acid to hydrogen peroxide (sulfuric acid / hydrogen peroxide) is 3 to 15. If the amount of sulfuric acid is three times or less than that of hydrogen peroxide, unevenness occurs during etching. In addition, when sulfuric acid is contained more than necessary, the solubility of copper sulfate generated in the etching process is reduced, and crystals of copper sulfate are precipitated in the surface treatment agent.
[0019]
In the present invention, 5-amino-1H-tetrazole is particularly used. Other tetrazole compounds such as 5-methyl-1H-tetrazole and 5-phenyl-1H-tetrazole can be used, but 5-amino-1H-tetrazole is preferred from the viewpoint of solubility in water. The content of 5-amino-1H-tetrazole is 0.01 to 1.5% by mass. If the amount is less than 0.01% by mass, a roughened state required for improving the adhesion to the resist cannot be obtained. In general, the higher the content, the slower the etching rate, and the more expensive this compound, the more uneconomical. More preferably, it is 0.05 to 1.0% by mass.
[0020]
The content of cyclohexylamine is 0.05 to 5.0% by mass. If the content is less than 0.05% by mass, it is not possible to suppress the adverse effects due to the mixing of chloride ions. Further, as the content increases, the stability of hydrogen peroxide and the effect of suppressing the adverse effects of chloride ions are improved, but in consideration of waste liquid treatment after using this surface treatment agent, the upper limit is 5.0% by mass. It is. More preferably, it is 0.1 to 3.0% by mass.
[0021]
At the time of use, the surface treatment agent of the present invention is prepared by blending each component in an amount that gives a predetermined content, or a previously prepared one is used. Alternatively, it may be prepared in advance as a concentrated solution, and diluted at the time of use so as to have the content specified in the present invention.
[0022]
In preparing the surface treatment agent of the present invention, it is not necessary to use expensive pure water or deionized water as water, and water containing ordinary chlorine ions, for example, tap water can be used. The chlorine ion content in tap water is 0.021% by mass in Japan, but varies from country to country. In the present invention, tap water containing chloride ions at various contents can be used.
[0023]
When microetching the surface of copper or copper alloy using the surface treatment agent of the present invention, the treatment method is not particularly limited, and various methods generally used in the art, for example, a spray etching apparatus A spray method to be used, an immersion method involving swinging in an etching tank, liquid circulation by a pump, and the like are used.
[0024]
The processing temperature at the time of microetching is not particularly limited, but is generally room temperature to 50 ° C, preferably 25 to 40 ° C. Since the etching rate increases as the processing temperature increases, it can be set according to the purpose.
[0025]
There is no limitation on the amount of etching of the copper or copper alloy surface. Generally, it is desirable to etch at a depth of 0.3 to 5.0 μm. If the amount of etching increases, the degree of surface roughening increases, so that the amount of etching can be selected as needed. As a guide, it is desirable to perform etching of about 1.0 μm as a pre-treatment for dry film resist, about 2.0 μm as a pre-treatment for solder resist, and about 4.0 μm as a pre-treatment for prepreg adhesion.
[0026]
The method for roughening a metal surface according to the present invention is not limited to the above-described pretreatment of the resist and the prepreg, and may be used in various pretreatments in a manufacturing process of a printed wiring board. For example, a pretreatment of electroless plating, a pretreatment of electrolytic plating, a pretreatment of pre-slux, a pretreatment of a solder hot leveler, and the like can be given.
[0027]
Hereinafter, the present invention will be described with reference to examples, but the present invention is not limited to the examples.
[0028]
[Examples 1 to 6]
Hydrogen peroxide, sulfuric acid, 5-amino-1H-tetrazole, and cyclohexylamine are added and dissolved in a part of water in the amounts shown in Table 1, respectively, and the remaining water is added to form an aqueous solution. Thus, various surface treatment agents were prepared. As the water, deionized water, Japanese tap water, and pseudo tap water described later are used.
[0029]
For comparison, aqueous solutions were prepared by omitting cyclohexylamine or 5-amino-1H-tetrazole from the compositions in Examples 1 to 6, respectively (Comparative Examples 1 to 12).
[0030]
Examples 3 and 6 are the same as Examples 2 and 5, respectively. However, in order to prepare an aqueous solution containing about three times the amount of chloride ions in the case of using tap water in Japan, the water was removed as water. Simulated tap water (chlorine ion content = 0.06% by mass) prepared by adding hydrogen chloride to ionized water is used. (These examples show that tap water in countries other than Japan uses chlorine ions in Japan. Of tap water in a quantity two to three times as large as that of tap water in other countries.)
[0031]
In addition, for comparison, various surface treatment agents having the compositions shown in Table 1 were prepared in accordance with the disclosure of JP-A-51-27819 which was described in detail as an example of the prior art (Comparative Examples 13 to 16).
[0032]
Using each surface treating agent prepared as described above, a printed wiring copper-clad laminate having a surface subjected to electrolytic copper plating is sprayed at 30 ° C. for 1 minute, a copper etching rate is measured, and the copper surface is visually observed. Was observed and the state of the copper surface was observed with a scanning electron microscope.
[0033]
An electron micrograph (3500 times) of the microstructure of the copper surface microetched with the surface treatment agent of Example 2 taken at an angle of 30 ° with an electron microscope (JSM-5300 manufactured by JEOL Ltd.). As shown in FIG. Similarly, FIG. 2 shows a photograph (2500 times) of a microstructure in which the depth of surface roughening of the copper surface microetched with the surface treatment agent of Example 2 was measured with a profile micrometer (VF-7510, manufactured by KEYENCE CORPORATION). Show.
[0034]
Further, an electron micrograph (3500 times magnification) of a microstructure of the copper surface microetched with the surface treatment agent of Comparative Example 1 taken at a stage angle of 30 ° using an electron microscope (JSM-5300 manufactured by JEOL Ltd.). ) Is shown in FIG. 3, and similarly, a photograph (2500 times) of a microstructure obtained by measuring the copper surface microetched with the surface treatment agent of Comparative Example 1 with a profile micrometer (VF-7510, manufactured by KEYENCE CORPORATION). It is shown in FIG.
[0035]
Usually, the color of the copper surface changes from glossy to brownish with increasing degree of surface roughening. The etching amount is an average value calculated from the difference in mass before and after the treatment.
[0036]
The results obtained are shown in Table 1.
[Table 1-1]
[Table 1-2]
[Table 1-3]
[0037]
When examining the obtained results, from the comparisons of Examples 1 to 3 and the comparisons of Examples 4 to 6, the presence of chloride ions in the aqueous solution does not significantly affect the microetching effect of the surface treatment agent. It is understood that.
[0038]
From the comparison between Examples 1 to 6 and Comparative Examples 1 to 6 and Comparative Examples 7 to 12, in order to obtain a good roughened surface of the copper surface, the presence of both 5-amino-1H-tetrazole and cyclohexylamine was required. It is clear that is essential.
[0039]
Further, from the comparison between Example 2 and Example 3 and the comparison between Example 5 and Example 6, even if the chloride ion concentration in the aqueous solution is about three times that in the case of using tap water in Japan, It is understood that it has no particular effect on microetching.
[0040]
Further, from the comparison between Examples 1 to 6 and Comparative Examples 13 to 16 (containing 5-amino-1H tetrazole, but not cyclohexylamine, but containing tributylamine or ethanol), hydrogen peroxide and sulfuric acid were used. It is understood that the combination of 5-amino-1H-tetrazole and cyclohexylamine is optimal for preventing the adverse effect of chlorine ion contamination in the microetching surface treatment agent containing as a main component.
[0041]
Next, the adhesion of the dry film and the solder resist was evaluated for each of the above surface treatment agents as follows.
[0042]
1) Evaluation of Adhesion of Dry Film A printed wiring copper-clad laminate subjected to electrolytic copper plating was spray-etched at 30 ° C. using the aqueous solutions of Examples 1 to 6 and Comparative Examples 1 to 16 described above. After roughening at a depth of 1 μm and 2 μm, a dry film (RISTON FRA O63-50, manufactured by DuPont) was coated, exposed (Oak: 661C), and developed. In accordance with JIS K5480, a 1 mm wide cut-like cut was made on the dry film, and a peeling test was performed with an adhesive tape.
[0043]
2) Evaluation of Solder Resist Adhesion In the same manner as in the evaluation of dry film adhesion, the surface of a printed wiring copper-clad laminate subjected to electrolytic copper plating was spray-etched at a depth of 1 μm and 2 μm. After the rough surface treatment, a solder resist (PSR-4000G24, manufactured by Taiyo Ink Co., Ltd.) was coated by a printing method to a thickness of 20 to 30 μm, and exposed (Oak Co., Ltd .: 661C) and developed. In accordance with JIS K5480, a 1 mm-wide grid-like cut was made on the solder resist, and a peeling test was performed using an adhesive tape.
[0044]
Table 2 shows the obtained results.
[Table 2-1]
[Table 2-2]
[0045]
Embodiment 7
A printed wiring copper-clad laminate subjected to electrolytic copper plating was prepared by adding 2% by mass of hydrogen peroxide, 6% by mass of sulfuric acid, 0.05% by mass of 5-amino-1H-tetrazole, and 0.1% of cyclohexylamine, based on the mass of the aqueous solution. Using an aqueous solution containing 3% by mass (using tap water), the copper-clad laminate is immersed in the aqueous solution at 30 ° C. to perform 1 μm etching, and then a dry film (Dupont: RISTON FRAO63-50) And exposed (Oak: 661C) and developed.
[0046]
In the same manner as described above, a 1 mm-wide grid-like cut was made on the dry film in accordance with JIS K5480, and a peeling test was performed using an adhesive tape. For comparison, a test was performed for the case where 5-amino-1H-tetrazole was not contained (containing 2% by mass of hydrogen peroxide, 6% by mass of sulfuric acid and 0.3% by mass of cyclohexylamine based on the mass of the aqueous solution) ( Comparative Example 17).
[0047]
[Table 3]
[0048]
Embodiment 8
The printed wiring copper-clad laminate subjected to electrolytic copper plating was prepared by adding 3% by mass of hydrogen peroxide, 10% by mass of sulfuric acid, 0.05% by mass of 5-amino-1H-tetrazole, and 0.1% by mass of cyclohexylamine, based on the mass of the aqueous solution. Using an aqueous solution containing 3% by mass (using tap water), immersion etching was performed at 30 ° C. at 2 μm, and then a solder resist (Taiyo Ink Co., Ltd .: PSR-4000G24) was coated to a thickness of 20 to 30 μm by a printing method. , Exposure (Oak Co .: 661C) and development.
[0049]
In the same manner as described above, a 1 mm-wide grid-like cut was made on the solder resist in accordance with JIS K5480, and a peeling test was performed using an adhesive tape.
[0050]
For comparison, a case where 5-amino-1H-tetrazole was not contained (containing 3% by mass of hydrogen peroxide, 10% by mass of sulfuric acid and 0.3% by mass of cyclohexylamine based on the mass of the aqueous solution) was also performed. (Comparative Example 18).
[0051]
Table 4 shows the results.
[Table 4]
[0052]
FIG. 5 is a diagram showing the results of a cross cutter test performed after applying a solder resist ink to the copper surface of a printed wiring board micro-etched with the surface treatment agent of Example 8, and FIG. It is a figure showing the result of the cross cutter test performed after applying solder resist ink to the copper surface of the printed wiring board microetched with the surface treating agent.
[0053]
【The invention's effect】
In the surface treatment agent of the present invention, water which is conventionally difficult and contains chlorine ions, for example, tap water can be used, and copper and copper alloy can be used by both the immersion etching method and the spray etching method. Can be roughened to improve the adhesion of an etching resist, a solder resist, or the like, and its industrial utility value is extremely high.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an electron micrograph (microscopic image) of a microstructure of a copper surface microetched with a surface treating agent of Example 2 taken with an electron microscope (JSM-5300, manufactured by JEOL Ltd.) at a stage angle of 30 ° ( 3500 times).
FIG. 2 is a photograph (2500 times) of a microstructure obtained by measuring the depth of surface roughening of a copper surface microetched with the surface treatment agent of Example 2 using a profile micrometer (VF-7510, manufactured by KEYENCE CORPORATION).
FIG. 3 is an electron micrograph (microscopic image of the microstructure of the copper surface microetched with the surface treating agent of Comparative Example 1 taken with an electron microscope (JSM-5300 manufactured by JEOL Ltd.) at a stage angle of 30 ° ( 3500 times).
FIG. 4 is a photograph (2500 times) of a microstructure obtained by measuring the roughening depth of a copper surface microetched with the surface treatment agent of Comparative Example 1 using a profile micrometer (manufactured by KEYENCE: VF-7510).
FIG. 5 is a photograph of a fine pattern on a copper surface showing the result of a cross cutter test performed after applying a solder resist ink to the copper surface of a printed wiring board micro-etched with the surface treating agent of Example 8; .
FIG. 6 is a photograph of a fine pattern on a copper surface showing the result of a cross cutter test performed after applying a solder resist ink to the copper surface of a printed wiring board micro-etched with the surface treatment agent of Comparative Example 18; .