JP2004217712A - アミン変性エポキシエステル樹脂組成物 - Google Patents
アミン変性エポキシエステル樹脂組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】グリコール類、芳香族系溶剤等の強溶剤を併用しなくても脂肪族炭化水素系の弱溶剤に容易に溶解でき、且つ塗膜の低温硬化性、耐食性、密着性等に優れる硬化剤内在型のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)、有機溶剤(B)及び金属石鹸(C)を含むことを特徴とするアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし。
【解決手段】炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)、有機溶剤(B)及び金属石鹸(C)を含むことを特徴とするアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族炭化水素系の弱溶剤にも可溶であり、塗膜の耐食性、密着性等に優れ、硬化剤内在型の常温硬化用塗料に好適に用いることができるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシエステル樹脂は、耐薬品性、耐食性、基材との密着性等に優れ、塗料を初めとする幅広い分野で使用されている。このうち硬化剤を内在する一液型エポキシエステル樹脂組成物は、取り扱いが容易であるものの、優れた性能を発現させる為には各種材料によるエポキシエステル樹脂の変性及び/又は高分子量化が必要であり、この結果幅広い種類の有機溶剤に対する溶解性が低下し、特定の有機溶剤を使用しなければならず、使用後の刷毛洗い等の作業性に問題があり、改善が求められている。
【0003】
かかる問題に対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と特定のアミン類と脂肪酸とを反応させて得られる変性エポキシエステル樹脂は、有機溶剤に対する溶解性が良好である事が示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、特許文献1記載の手法で得られた変性エポキシエステル樹脂を溶解できる有機溶剤としては、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレングリコールアセテート等のグリコール類、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等の低沸点、低引火点、高有毒性の強溶剤に限られており、これを塗料として用いた場合には環境や人体に有害であり塗装環境の悪化の原因となっている。また補修用塗料として用いた際には、旧塗膜の溶解、膨潤により塗膜欠陥を起こす原因となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−100431号公報(第3−5頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような実情に鑑み、本発明の課題は、グリコール類、芳香族系溶剤等の強溶剤を併用しなくても脂肪族炭化水素系の弱溶剤に容易に溶解でき、且つ塗膜の耐食性、密着性等に優れる硬化剤内在型のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこの様な課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族エポキシエステル樹脂をアミンを用いて変性した樹脂は、エポキシエステル樹脂が本来有している優れた耐食性等の塗膜性能を損なわず、且つグリコール類、芳香族系溶剤等の強溶剤を併用しなくても脂肪族炭化水素系の弱溶剤に対する溶解性が良好である事を見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)、有機溶剤(B)及び金属石鹸(C)を含むアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)は、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族エポキシエステル樹脂をアミンで変性した樹脂であり、その構造が特に制限されるものではない。
【0010】
前記芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)としては、例えば、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族多価エポキシ樹脂(a1)と脂肪族1級アミン類(a2)及び/又は脂肪族2級アミン類(a3)と不飽和カルボン酸(a4)とを反応させて得ることができる。
【0011】
該脂肪族炭化水素基の炭素原子数が3以下の置換基を有するものでは、得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の脂肪族炭化水素系の弱溶剤に対する溶解性が不足し、また、該炭素原子数が19以上の置換基を有するものでは、得られる硬化塗膜の耐食性が満足できるものではなく、従って該炭素原子数は4〜18であることを必須とし、炭素原子数が4〜10であることが好ましい。
【0012】
前記芳香族多価エポキシ樹脂(a1)としては、例えば、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に1〜4個有する芳香族多価エポキシ樹脂が挙げられる。
【0013】
前記芳香族多価エポキシ樹脂(a1)としては、例えば、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香環に有する多価フェノール(x1)とエピハロヒドリン(x2)とを反応させて得られる化合物(a1−1)、前記化合物(a1−1)と更にフェノール類(x3)及び/又はカルボン酸類(x4)とを反応させて得られる化合物(a1−2)、及び前記多価フェノール(x1)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(x5)とを反応させて得られる化合物(a1−3)等が挙げられ、これらの中でも、得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の脂肪族炭化水素系の弱溶剤に対する溶解性と、硬化塗膜の耐食性のバランスに優れ、且つ塗膜の変色が起こりにくい点から、多価フェノール(x1)とエピハロヒドリン(x2)とを反応させて得られる化合物(a1−1)、前記化合物(a1−1)と更にフェノール類(x3)及び/又はカルボン酸類(x4)とを反応させて得られる化合物(a1−2)が好ましい。
【0014】
前記芳香族多価エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量としては、特に制限されるものではないが、弱溶剤に対する溶解性が良好で、且つ硬化塗膜の耐食性に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られることから200〜1000g/eqであることが好ましい。
【0015】
前記脂肪族炭化水素基としては、その構造が特に制限されるものではなく、直鎖、分岐の何れでも可能であり、また1分子中に異なる長さ、構造の置換基を複数個有しているものでも良い。これらの中でも、弱溶剤に耐する溶解性に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られることから、炭素原子数が4〜10である脂肪族炭化水素基であることが好ましく、特に分岐構造を有するものが好ましく、ターシャリーブチル基であることが最も好ましい。
【0016】
前記多価フェノール類(x1)としては、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香環に1〜4個有する多価フェノール類が挙げられこれらの中でも該置換基を1〜2個有する多価フェノール類が好ましく、例えば、ブチルフェノールノボラック、ヘキシルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、ノニルフェノールノボラック、ドデシルフェノールノボラック、オクタデシルフェノールノボラック等のアルキルフェノールノボラック類、ブチルジヒドロキシベンゼン、ジブチルジヒドロキシベンゼン、オクチルジヒドロキシベンゼン、ジオクチルジヒドロキシベンゼン、ノニルジヒドロキシベンゼン、ジノニルジヒドロキシベンゼン、ドデシルジヒドロキシベンゼン、ジドデシルジヒドロキシベンゼン、オクタデシルジヒドロキシベンゼン、ジオクタデシルジヒドロキシベンゼン等のアルキルジヒドロキシベンゼン類、ブチルジナフトール、ジブチルジナフトール、オクチルジナフトール、ジオクチルジナフトール、ノニルジナフトール、ジノニルジナフトール、ドデシルジナフトール、ジドデシルジナフトール、オクタデシルジナフトール、ジオクタデシルジナフトール等のアルキルジナフトール類等が挙げられ、これらは1種類単独でも、2種類以上の混合物として用いることも可能である。
【0017】
これらの中でも、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルフェノールから誘導されるノボラック類、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルジヒドロキシベンゼン類が好ましく、特に炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルフェノールから誘導されるノボラック類であって芳香核の平均核体数が2〜8個であるもの、炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルジヒドロキシベンゼン類が好ましく、硬化塗膜の耐食性、機械強度に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られることから、ブチルフェノールノボラック、ノニルフェノールノボラック、4−ターシャリーブチルカテコール、2−ターシャリーブチルハイドロキノンが最も好ましい。
【0018】
前記エピハロヒドリン(x2)としては特に限定されるものではないが、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン等が挙げられる。これらの中でも反応性の点からエピクロルヒドリンが好ましい。
【0019】
前記多価フェノール(x1)とエピハロヒドリン(x2)とを反応させて得られる化合物(a1−1)の製造方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、前記多価フェノール(x1)とエピハロヒドリン(x2)とを反応させてグリシジル化する方法が挙げられる。
【0020】
前記製造条件は特に制限されるものではないが、例えば、前記多価フェノール(x1)の水酸基の1当量に対しエピハロヒドリン(x2)を0.3〜10当量添加し、塩基の存在下に40〜100℃で常圧または減圧下で、必要に応じて、溶媒を用いて反応を行う方法が好ましい。
【0021】
前記溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0022】
前記塩基としては特に限定されるものではないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられ、これらの中でも水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。またこれらの塩基は水溶液、固形のいずれでも好適に用いることができる。
【0023】
前記の手法により得られる化合物(a1−1)中のエポキシ基の一部とフェノール類(x3)及び/又はカルボン酸類(x4)とを、オニウム塩、ホスフィン類、アルカリ(土類)金属水酸化物、アミン類等の塩基性触媒の存在下で反応させる事により分子量、エポキシ当量を調節して、本発明で用いる化合物(a1−2)とする事ができる。
【0024】
前記フェノール類(x3)としては、1価フェノール類として、例えば、フェノール、o−クレゾール、p−ターシャリーブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール類、α−ナフトール、ブチルナフトール等のアルキルナフトール類、2,3−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール等のジアルキルフェノール類、ジメチルナフトール、ジブチルナフトール等のジアルカリナフトール類等が挙げられ、多価フェノール類としては、例えば、カテコール、ハイドロキノン、ブチルジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等のノボラック類、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂類等が挙げられる。これらの中でも、弱溶剤に対する溶解性に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られ、且つ硬化塗膜の変色が起こりにくい点からはアルキルフェノール類、ジヒドロキシベンゼン類が好ましく、低価格の変性エポキシエステル樹脂が得られる点からは、ビスフェノールA、ビスフェノールFを用いることが好ましい。また、これらは単独でも、2種以上の混合物として使用することも可能である。
【0025】
前記カルボン酸類(x4)としては、例えば、トール油脂肪酸、ネオデカン酸、ドデカン酸、ひまし油脂肪酸等のモノカルボン酸類、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、乾性油、半乾性油から得られる精製植物脂肪酸等の高級不飽和脂肪酸を二量化して得られるダイマー酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の炭素原子数18の不飽和脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸等が挙げられる。
【0026】
前記化合物(a1−1)と前記フェノール類(x3)及び/又は前記カルボン酸類(x4)の仕込み比は、得られる芳香族多価エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量が所望の値になるように設定して、調節することが好ましい。
【0027】
また、前記多価フェノール(x1)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(x5)とを、オニウム塩、ホスフィン類、アルカリ(土類)金属水酸化物、アミン類等の塩基性触媒の存在下で反応させる事により分子量、エポキシ当量を調節して、本発明で用いる化合物(a1−3)とする事ができる。
【0028】
ここで用いることができるエポキシ化合物(x5)としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば良く、その構造が特に制限されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも工業的入手が容易である点からはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく、弱溶剤に対する溶解性に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られる点からは、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。また、これらは単独でも、2種以上の混合物として使用することも可能である。
【0029】
前記多価フェノール(x1)と前記エポキシ化合物(x5)の仕込み比は、得られる芳香族多価エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量が所望の値になるように設定して、調節することが好ましい。
【0030】
また、本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の性能を損なわない範囲で、芳香族多価エポキシ樹脂(a1)に他のエポキシ樹脂を併用することも可能である。
【0031】
ここで併用できる他のエポキシ樹脂としては、特に制限されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、1価又は多価アルコールのグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0032】
本発明で用いるその他のエポキシ樹脂の使用量は特に制限されるものではないが、得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の弱溶剤に対する溶解性が良好であり、且つ硬化塗膜の耐食性に優れる点から、芳香族多価エポキシ樹脂(a1)100重量部に対し、1〜50重量部であることが好ましい。
【0033】
本発明で用いる脂肪族1級アミン類(a2)としては、1分子中に1級アミノ基を1個以上有する脂肪族の化合物であれば良く、その構造が特に制限されるものではないが、炭素原子数が2〜38の脂肪族炭化水素基を有する脂肪族1級アミン類である事が好ましく、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、2−エチルヘキシルアミン、モノエタノールアミン等が挙げられ、これらの中でも得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の弱溶剤に対する溶解性が良好である点から、オレイルアミン、2−エチルヘキシルアミンが特に好ましい。また、これらの化合物は1種類単独でも、2種類以上の混合物としても用いることが可能である。
【0034】
本発明で用いる脂肪族2級アミン類(a3)としては、1分子中に2級アミノ基を1個以上有する脂肪族の化合物であれば良くその構造が特に制限されるものではないが、アルカノールアミン類であることが好ましく、例えば、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン等が挙げられ、これらの中でも得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の硬化塗膜の耐食性が良好である点からジエタノールアミンが特に好ましい。また、これらの化合物は1種類単独でも、2種類以上の混合物としても用いることが可能である。
【0035】
本発明で用いる不飽和カルボン酸(a4)としては、1分子中にエチレン性不飽和基とカルボン酸を有する化合物であれば良く、特に制限されるものではないが、例えば、亜麻仁油、桐油、サフラワー油、脱水ひまし油等の乾性油から得られる植物油脂肪酸、ごま油、綿実油、米糠油、菜種油等の半乾性油から得られる植物脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の炭素原子数18の不飽和脂肪酸、α、β−不飽和カルボン酸が好ましく、これらは1種類の単独でも、2種類以上の混合物としても使用可能である。
【0036】
本発明で用いる芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)のエポキシ当量としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化塗膜の耐食性が良好である点から1,000〜50,000g/eqであることが好ましく、3,000〜50,000g/eqであることが特に好ましい。
【0037】
前記芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)は、前記芳香族多価エポキシ樹脂(a1)と前記脂肪族1級アミン(a2)及び/又は前記脂肪族1級アミン(a3)と前記不飽和カルボン酸(a4)を反応させて得られるものであり、その製造方法並びに仕込み比としては特に制限されるものではないが、得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の弱溶剤への溶解性が良好で、その硬化塗膜の耐食性が優れる点から、以下の方法で製造することが好ましい。
【0038】
まず第1段階として、芳香族多価エポキシ樹脂(a1)と不飽和カルボン酸(a4)とを、触媒存在下、有機溶剤中にて酸価が1以下になるまで反応させる。ここで用いる不飽和カルボン酸(a4)の使用量としては、特に制限されるものではないが、芳香族多価エポキシ樹脂(a1)、変性に用いる脂肪族1級アミン(a2)及び脂肪族2級アミン(a2)との合計100重量部に対し5〜30重量部、好ましくは8〜15重量部である。
【0039】
前記触媒としては、エポキシ基とカルボキシル基の反応を促進できる化合物であれば良く、特に制限されるものではないが、例えば、オニウム塩、ホスフィン類、アルカリ(土類)金属水酸化物、アミン類等の塩基性触媒が挙げられ、これらの中でもアミン類が好ましい。
【0040】
前記有機溶剤としては、特に制限されるものではないが、脂肪族炭化水素系の有機溶剤、引火点40℃以上の芳香族炭化水素を主成分とする有機溶剤であることが好ましく、これらは1種類の単独でも、2種類以上の混合溶剤としても使用可能である。
【0041】
次に、第1段階で得られた反応物のエポキシ当量を測定し、反応後のエポキシ当量が15,000〜25,000g/eqになる量の脂肪族1級アミン(a2)を仕込み、反応を行う。なお、第1段階で得られた反応物のエポキシ当量が3,000g/eqを超える場合は、この反応を行わなくても良い。
【0042】
なお、この反応は第1段階の反応終了後、精製によって反応物を取り出した後に行っても良いが、製造時間短縮のために、得られた反応液をそのまま用いる事が好ましい。
【0043】
次に、第2段階で得られた反応物のエポキシ当量を測定し、該エポキシ当量1に対して脂肪族2級アミン(a2)の活性水素当量が0.95〜1.05の範囲になるような量を仕込み、反応を行う。この反応においても、第2段階で得られた反応液をそのまま使用することが好ましい。
【0044】
上記の手法によって得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物を含む反応液は、精製によって反応物を取り出すことも可能であるが、製造時間短縮のためには、得られた反応液をそのまま本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物に使用することが好ましい。
【0045】
本発明で用いる有機溶剤(B)としては、特に制限されるものではなく、従来塗料分野で有機溶剤として使用されている有機溶剤を使用することが可能であり、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等のアルカン類、シクロヘキサン、デカリン等のシクロアルカン類、これらを主成分とする工業用ガソリンであるJIS K2201の4号(ミネラルスピリット、引火点30℃以上、50%留出温度180℃以下、蒸留終点205℃以下)、工業用ガソリンJIS K2201の5号(クリーニングソルベント、引火点38℃以上、50%留出温度180℃以下、蒸留終点210℃以下)等の脂肪族炭化水素系の有機溶剤、炭素原子数9〜11の混合芳香族炭化水素類、芳香族石油ナフサ類、これらの市販品であるソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(以上、エクソン化学株式会社製)、ぺガソールR−100、ぺガソールR−150(以上、モービル石油株式会社製)、イプゾール#100(出光石油化学株式会社製)、スワゾール#100(丸善石油化学株式会社製)、スーパーゾール#1500(三菱石油株式会社製)等、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン等のケトン類、ブチルセロソルブ等のグリコール類等が挙げられ、これらの中でも、塗装環境が良好である点から脂肪族炭化水素系の有機溶剤であることが好ましく、引火点が高く塗装環境が良好であり、また補修用塗料として用いた場合の旧塗膜の溶解、膨潤に伴うリフティングによる塗膜欠陥の防止効果が良好である点から、JIS K2201の4号、工業用ガソリンJISK2201の5号であることが特に好ましい。また、これらの有機溶剤は1種類の単独でも、2種類以上の混合溶剤としても使用可能である。
【0046】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物中の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)と有機溶剤(B)との混合比は特に制限されるものではないが、塗料として用いたときの乾燥性が良好である点から芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)と有機溶剤(B)との合計100重量部中、芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性(A)が20〜70重量部であることが好ましく、40〜60重量部であることが特に好ましい。
【0047】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の必須成分である金属石鹸(C)としては、本発明で用いる芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)中の不飽和結合部分を空気中の酸素を用いて酸化重合する際に触媒として働くことができる金属石鹸であれば良く特に制限されるものではないが、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸バナジウム等が挙げられ、これらの中でも硬化反応が速やかに進行する点から、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ジルコニウムが好ましい。
【0048】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物中の金属石鹸(C)の配合量は、硬化反応時に十分な触媒効果が得られ、且つ、硬化後の耐食性等が良好である点から、金属原子としての濃度が芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)100重量部に対し、0.01〜1重量部の範囲であることが好ましい。また、その添加方法については特に制限されるものではなく、芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物を合成した後、樹脂溶液に添加し撹拌、溶解することによって、容易に本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を得ることができ、そのまま保存することが可能であり、また、使用直前に金属石鹸(C)を添加することも可能である。
【0049】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を特に塗料用途に用いる場合は、必要に応じ、防錆顔料、着色顔料、体質顔料などの各種フィラーや各種添加剤等を配合することが好ましい。
【0050】
前記防錆顔料としては亜鉛粉末、リンモリブチン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、クロム酸バリウム、アルミニウム、グラファイト等の鱗片状顔料等、着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、ベンガラ等、体質顔料としては硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が代表的なものとして挙げられる。これらは1種類で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。これらフィラーの配合量は、塗料組成物100重量部中、20〜70重量部であることが好ましい。
【0051】
前記添加剤としては、例えばハジキ防止剤、ダレ止め剤、流展剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、可塑剤等が代表的なものとして挙げられる。
【0052】
前記フィラー、添加剤の本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物への配合方法は、特に限定されないが、例えば、フィラー及び添加剤を混合ミキサー、ボールミル等の装置を用いて十分に混練、均一に分散させた顔料ペーストを予め用意し、これとアミン変性エポキシエステル樹脂組成物とをさらに前記装置を用いて混練、分散した後、所望の濃度に有機溶剤を用いて調製し混合することで得ることができる。
【0053】
前記手法によって得られた塗料組成物は、各種の塗装方法によって様々な基材に塗布することができ、特にその手法は制限されるものではなく、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、バーコーター、刷毛塗り、ディッピング塗布、スプレー塗布等のコーティング方法が挙げられる。
【0054】
また、前記塗料組成物を塗装した後の硬化方法についても特に制限されるものではなく、空気中の酸素によって酸化重合されるものであり、常温硬化、加熱硬化の何れでも硬化塗膜を得ることができる。
【0055】
【実施例】
次に、本発明を、実施例および比較例により更に詳細に説明する。尚、実施例中「部」、「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
【0056】
実施例1
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機、邪魔板を備えた、下部に分液コック付のセパラブルフラスコに、4−ターシャリーブチルカテコール375部、エピクロルヒドリン1250部、イソプロピルアルコール300部を仕込み、撹拌、溶解させ40℃まで昇温した。滴下ロートに20%水酸化ナトリウム水溶液950部を仕込み、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に30分撹拌を続けた後、撹拌を停止して静置後、下層の食塩水を分液により取り除いた。次いで、過剰のエピクロルヒドリン、イソプロピルアルコール、水を蒸留回収した。得られた反応物をトルエン600部に溶解し、5%水酸化ナトリウム水溶液を125部加え、80℃で3時間撹拌した。その後、水洗を行い、生成した塩、アルカリ成分が溶解している水相を分離し、さらに脱水、ろ過、トルエンの蒸留回収により精製を行って、エポキシ当量が211g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)を得た。
【0057】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
温度計、冷却管、撹拌機を備えた四つ口フラスコに実施例1−▲1▼で得られた芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部及びハートールFA−1(トール油脂肪酸、ハリマ化成株式会社製、酸当量289g/eq)15.5部を仕込み、80℃まで加温して均一に溶解した。ここにトリメチルアンモニウムクロライドを固形分として樹脂に対し50ppm入れ、140℃で酸価が1以下になるまで2時間撹拌して反応させた。このときのエポキシ当量は275g/eqであった。温度を80℃まで冷却してからオレイルアミン55.2部、ミネラルスピリット73.2部を加え、80℃で4時間撹拌した。さらにジエタノールアミン0.9部加えて120℃で4時間撹拌した後、ミネラルスピリット98.4部を加え80℃で1時間撹拌し、均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−i)のミネラルスピリット溶液を得た。
【0058】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−i)のミネラルスピリット溶液に金属石鹸として、Zr−NAPHTHENATE 6%(6%ナフテン酸ジルコニウム、大日本インキ化学工業株式会社製)とCo−NAPHTHENATE 6%(6%ナフテン酸コバルト、大日本インキ化学工業株式会社製)をそれぞれ、樹脂溶液100部に対して0.6部、0.2部になるように加え、十分に室温で撹拌して溶解させて、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(i)を得た。
【0059】
実施例2
実施例1−▲2▼において、ハートールFA−1 15.5部の代わりに、TOENOL#1140A(亜麻仁油脂肪酸、当栄ケミカル株式会社製、酸当量289g/eq)15.5部を用いる以外は実施例1と同様にして、樹脂分50%の変性エポキシエステル樹脂(A−ii)のミネラルスピリット溶液を得た後、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(ii)を得た。
【0060】
実施例3
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
温度計、冷却管、撹拌機を備えた四つ口フラスコに実施例1で得られた芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部、t−ブチルカテコール25.5部を仕込み80℃まで昇温し均一に撹拌した後、トリメチルアンモニウムクロライドを固形分に対して100ppm添加した。窒素雰囲気下140℃で3時間撹拌して反応させ、エポキシ当量が750g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iii)を得た。
【0061】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例1−▲2▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iii)100部を用い、ハートールFA−1 11.2部を用いる以外は実施例1と同様に反応させた後、オレイルアミン11.8部、ミネラルスピリット52.7部、さらにジエタノールアミン0.7部を用いて同様に反応させた後、さらにミネラルスピリット71部を加えて均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−iii)のミネラルスピリット溶液を得た。
【0062】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−iii)のミネラルスピリット溶液を用いて実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(iii)を得た。
【0063】
実施例4
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
実施例3−▲1▼において、t−ブチルカテコール25.5部の代わりにビスフェノールA38.3部を用いる以外は実施例3−▲1▼と同様にして、エポキシ当量が1000g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iv)を得た。
【0064】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例1−▲2▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iv)100部を用い、ハートールFA−1 10.7部を用いる以外は実施例1と同様に反応させた後、オレイルアミン7.6部、ミネラルスピリットと「ソルベッソ100」(エクソン化学株式会社製)の等重量混合溶剤50.7部、さらにジエタノールアミン0.7部を用いて同様に反応させた後、さらにミネラルスピリットと「ソルベッソ100」の等重量混合溶剤67.6部を加えて均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−iv)のミネラルスピリットと「ソルベッソ100」の混合溶剤溶液を得た。
【0065】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−iv)のミネラルスピリットと「ソルベッソ100」の混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(iv)を得た。
【0066】
実施例5
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機、邪魔板を備えた、下部に分液コック付のセパラブルフラスコに、p−ターシャリーブチルフェノールノボラック樹脂(平均核体数2.1)375部、エピクロルヒドリン290部、イソプロピルアルコール90部を仕込み、撹拌、溶解させ40℃まで昇温した。滴下ロートに20%水酸化ナトリウム水溶液280部を仕込み、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に30分撹拌を続けた後、撹拌を停止して静置後、下層の食塩水を分液により取り除いた。次いで、過剰のエピクロルヒドリン、イソプロピルアルコール、水を蒸留回収した。得られた反応物をトルエン600部に溶解し、5%水酸化ナトリウム水溶液を125部加え、80℃で3時間撹拌した。その後、水洗を行い、生成した塩、アルカリ成分が溶解している水相を分離し、さらに脱水、ろ過、トルエンの蒸留回収により精製を行って、エポキシ当量が450g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−v)を得た。
【0067】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例1−▲2▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−v)100部を用い、ハートールFA−112.3部を用いる以外は実施例1と同様に反応させた後、オレイルアミン23.3部、ミネラルスピリット58部、さらにジエタノールアミン0.7部を用いて同様に反応させた後、さらにミネラルスピリット78部を加えて均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−v)のミネラルスピリット溶液を得た。
【0068】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−v)のミネラルスピリット溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(v)を得た。
【0069】
実施例6
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
温度計、冷却管、撹拌機を備えた四つ口フラスコに実施例5で得られた芳香族多価エポキシ樹脂(a1−v)100部、ビスフェノールA10.4部を仕込み80℃まで昇温した。さらにトリメチルアンモニウムクロライドを固形分に対して100ppm添加し、窒素雰囲気下140℃で3時間撹拌して反応させ、エポキシ当量が750g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−vi)を得た。
【0070】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例3−▲2▼において芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iii)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−vi)100部を用い、溶媒として「ソルベッソ100」を用いる以外は実施例3と同様にして、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−vi)の「ソルベッソ100」溶液を得た。
【0071】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−vi)の「ソルベッソ100」溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(vi)を得た。
【0072】
実施例7
実施例6において、ハートールFA−1の代わりにTOENOL#1140Aを用いる以外は実施例6と同様にして、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−vii)の「ソルベッソ100」溶液を得た後、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(vii)を得た。
【0073】
実施例8
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
実施例3−▲1▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりにビスフェノールA型液状エポキシ樹脂EPICLON 850(大日本インキ化学工業株式会社製、エポキシ当量188g/eq)100部を用い、更にt−ブチルカテコール21.7部を用いる以外は実施例3−▲1▼と同様にして、エポキシ当量が450g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−viii)を得た。
【0074】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例1−▲2▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−viii)100部を用い、ハートールFA−1 12.3部を用いる以外は実施例1と同様に反応させた後、オレイルアミン23.3部、「ソルベッソ100」58部、さらにジエタノールアミン0.7部を用いて同様に反応させた後、さらに「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤78部を加えて均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−viii)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を得た。
【0075】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−viii)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(viii)を得た。
【0076】
実施例9
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
実施例3−▲1▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりにビスフェノールA型固形エポキシ樹脂EPICLON 1050(大日本インキ化学工業株式会社製、エポキシ当量470g/eq)100部を用い、t−ブチルカテコール25.5部の代わりにp−ターシャリーブチルフェノールノボラック10.3部を用いる以外は実施例3−▲1▼と同様にして、エポキシ当量が750g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−ix)を得た。
【0077】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例3−▲2▼において芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iii)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−ix)100部を用い、溶媒として「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤を用いる以外は実施例3と同様にして、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−ix)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を得た。
【0078】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−ix)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(ix)を得た。
【0079】
比較例1
実施例1−▲2▼において芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりにEPICLON 850 100部を用い、さらにハートールFA−1 16.3部を用いる以外は実施例1−▲2▼と同様にして反応を行った後、反応物とオレイルアミン62.5部を、「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤76.6部中で反応させ、さらにジエタノールアミン0.9部を仕込み、同様に反応させた。反応終了後、「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤103部を加えて均一にし、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−x)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を得た。得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−x)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(x)を得た。
【0080】
比較例2
実施例1−▲2▼において芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりにEPICLON 1050 100部を用い、さらにハートールFA−1 12.2部を用いる以外は実施例1−▲2▼と同様にして反応を行った後、反応物とオレイルアミン22部を、「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤58部中で反応させ、さらにジエタノールアミン0.67部を仕込み、同様に反応させた。反応終了後、「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤77部を加えて均一にし、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−xi)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を得た。得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−xi)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(xi)を得た。
【0081】
試験例1〜9、及び比較試験例1〜2
実施例1〜9及び比較例1〜2で得られたアミン変性エポキシエステル樹脂組成物(i)〜(xi)を用いて、ミネラルスピリットへの溶解性(希釈率)を以下の手法によって測定し、表1に試験例1〜9、比較試験例1〜2として記載する。
【0082】
希釈率の測定方法
アミン変性エポキシエステル樹脂溶液(樹脂分50%)5gを100mlの透明な三角フラスコに仕込み、25℃の環境下で、滴下ロートからミネラルスピリットを滴下し、撹拌して均一になった時点で白濁するまでの滴下量(ml)を測定し、以下の式に従って希釈率を算出する。尚、白濁の判定方法は、三角フラスコの下においた新聞紙の文字が判別できなくなった点とする。
希釈率(%)=[白濁までに要した滴下量(ml)/組成物の重量(g)]×100
【0083】
【表1】
【0084】
表1より、本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を用いた試験例1〜9では高沸点、高引火点で安全性の高い弱溶剤への溶解性に優れていることを確認した。一方、従来のエポキシ樹脂を用いて変性した比較試験例1〜2では、該弱溶剤への溶解性が低く、実用に耐えないことが判明した。
【0085】
応用例1〜9、及び比較応用例1〜2
実施例1〜9及び比較例1〜2で得られたアミン変性エポキシエステル樹脂組成物(i)〜(xi)を用いて、表2に示す配合にて塗料組成物(不揮発分35%、不揮発分中の充填剤含有量[PWC]40%)を調製した。これらの塗料組成物に対して、密着性、屈曲性、耐衝撃性(デュポン式衝撃試験)、耐食性(塩水噴霧試験、5%水酸化ナトリウム水溶液浸漬試験、5%塩酸浸漬試験)及び上塗り特性の試験を実施し、応用例1〜9及び比較応用例1〜2として結果を表3に示す。また、調製した塗料組成物の保存安定性試験を実施し、その結果を表3に示す。
【0086】
尚、各評価試験は以下の方法に従って行った。
密着性
表2に従って得られた塗料組成物を、冷間熱延鋼板:JIS,G,3141(SPCC,SB)、0.8×70×150mmのサンドペーパー#240表面処理板にバーコーターにて乾燥膜厚40μmになるように塗布し、25℃、7日間乾燥させて試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS K5400 6.15に従って、1mm間隔の碁盤目試験を行った。
○:はがれなし
×:はがれる
【0087】
屈曲性
密着性試験と同様に0.3×50×100mmの磨き鋼板に塗料組成物を塗布し乾燥して、試験片を得た。この試験片を用いて、JIS K5600 5.1に従い、2mmφの試験棒による屈曲性試験を行った。
○:はがれなし。
×:はがれ・亀裂が発生。
【0088】
耐衝撃性
密着性試験と同様にして得られた試験片を用いて、JIS K5400−7,8に従いデュポン式衝撃試験(300g)を実施した。
○:50cm異常なし。
×:50cmではがれる。
【0089】
耐食性
鉛筆硬度試験と同様にして得られた試験片を用いて、JIS K5400−7,8に従って塩水噴霧試験(250時間)を行った。また、前記試験片を5%水酸化ナトリウム水溶液及び5%塩酸の薬液に、25℃、7日間浸漬した。
○:異常なし、錆なし。
×:著しいフクレ、錆発生。
【0090】
上塗り特性
磨き鋼板に塩化ゴム塗料ラバマリンBTD(関西ペイント株式会社製)を塗布し、この乾燥塗膜のうえに、刷毛を用いて表2で得られた塗料組成物を塗装し、25℃で7日間乾燥した。得られた塗膜の状況を目視により確認することによって、上塗り特性試験を行った。
○:リフティング・膨潤なし。
×:リフティング・膨潤あり。
【0091】
保存安定性
調製した塗料組成物を500gの石油缶に300g測りとり、密閉して25℃で3ヶ月間貯蔵し、目視によって塗料の状態を確認した。
○:増粘なし。
×:増粘若しくは固化。
【0092】
【表2】
【0093】
表2の脚注:
有機溶剤としては、応用例1〜9ではミネラルスピリットを用いたが、比較応用例1〜2では樹脂組成物のミネラルスピリットへの溶解度が低く均一に溶解することができなかったため、キシレンを用いた。
【0094】
【表3】
【0095】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を用いた応用例1〜9では、従来のエポキシ樹脂を用いて変性した比較応用例1〜2と比較し、その密着性・耐食性・保存安定性は同等以上の性能であることを確認した。
【0096】
一方、上塗り特性試験においては、本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を用いた応用例1〜9では、弱溶剤を主成分とする溶剤を使用していることにより塩化ゴム塗料を侵すことなく上塗りを施すことが可能であるが、従来のエポキシ樹脂を用いて変性した比較応用例1〜2では、溶剤であるキシレンによって、塩化ゴム塗料が侵されており、実用に耐えないことを確認した。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、グリコール類、芳香族系溶剤等の強溶剤を併用しなくても脂肪族炭化水素系の弱溶剤に容易に溶解でき、且つ塗膜の耐食性、密着性等に優れる硬化剤内在型のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族炭化水素系の弱溶剤にも可溶であり、塗膜の耐食性、密着性等に優れ、硬化剤内在型の常温硬化用塗料に好適に用いることができるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシエステル樹脂は、耐薬品性、耐食性、基材との密着性等に優れ、塗料を初めとする幅広い分野で使用されている。このうち硬化剤を内在する一液型エポキシエステル樹脂組成物は、取り扱いが容易であるものの、優れた性能を発現させる為には各種材料によるエポキシエステル樹脂の変性及び/又は高分子量化が必要であり、この結果幅広い種類の有機溶剤に対する溶解性が低下し、特定の有機溶剤を使用しなければならず、使用後の刷毛洗い等の作業性に問題があり、改善が求められている。
【0003】
かかる問題に対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と特定のアミン類と脂肪酸とを反応させて得られる変性エポキシエステル樹脂は、有機溶剤に対する溶解性が良好である事が示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、特許文献1記載の手法で得られた変性エポキシエステル樹脂を溶解できる有機溶剤としては、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレングリコールアセテート等のグリコール類、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等の低沸点、低引火点、高有毒性の強溶剤に限られており、これを塗料として用いた場合には環境や人体に有害であり塗装環境の悪化の原因となっている。また補修用塗料として用いた際には、旧塗膜の溶解、膨潤により塗膜欠陥を起こす原因となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−100431号公報(第3−5頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような実情に鑑み、本発明の課題は、グリコール類、芳香族系溶剤等の強溶剤を併用しなくても脂肪族炭化水素系の弱溶剤に容易に溶解でき、且つ塗膜の耐食性、密着性等に優れる硬化剤内在型のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこの様な課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族エポキシエステル樹脂をアミンを用いて変性した樹脂は、エポキシエステル樹脂が本来有している優れた耐食性等の塗膜性能を損なわず、且つグリコール類、芳香族系溶剤等の強溶剤を併用しなくても脂肪族炭化水素系の弱溶剤に対する溶解性が良好である事を見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)、有機溶剤(B)及び金属石鹸(C)を含むアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)は、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族エポキシエステル樹脂をアミンで変性した樹脂であり、その構造が特に制限されるものではない。
【0010】
前記芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)としては、例えば、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族多価エポキシ樹脂(a1)と脂肪族1級アミン類(a2)及び/又は脂肪族2級アミン類(a3)と不飽和カルボン酸(a4)とを反応させて得ることができる。
【0011】
該脂肪族炭化水素基の炭素原子数が3以下の置換基を有するものでは、得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の脂肪族炭化水素系の弱溶剤に対する溶解性が不足し、また、該炭素原子数が19以上の置換基を有するものでは、得られる硬化塗膜の耐食性が満足できるものではなく、従って該炭素原子数は4〜18であることを必須とし、炭素原子数が4〜10であることが好ましい。
【0012】
前記芳香族多価エポキシ樹脂(a1)としては、例えば、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に1〜4個有する芳香族多価エポキシ樹脂が挙げられる。
【0013】
前記芳香族多価エポキシ樹脂(a1)としては、例えば、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香環に有する多価フェノール(x1)とエピハロヒドリン(x2)とを反応させて得られる化合物(a1−1)、前記化合物(a1−1)と更にフェノール類(x3)及び/又はカルボン酸類(x4)とを反応させて得られる化合物(a1−2)、及び前記多価フェノール(x1)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(x5)とを反応させて得られる化合物(a1−3)等が挙げられ、これらの中でも、得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の脂肪族炭化水素系の弱溶剤に対する溶解性と、硬化塗膜の耐食性のバランスに優れ、且つ塗膜の変色が起こりにくい点から、多価フェノール(x1)とエピハロヒドリン(x2)とを反応させて得られる化合物(a1−1)、前記化合物(a1−1)と更にフェノール類(x3)及び/又はカルボン酸類(x4)とを反応させて得られる化合物(a1−2)が好ましい。
【0014】
前記芳香族多価エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量としては、特に制限されるものではないが、弱溶剤に対する溶解性が良好で、且つ硬化塗膜の耐食性に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られることから200〜1000g/eqであることが好ましい。
【0015】
前記脂肪族炭化水素基としては、その構造が特に制限されるものではなく、直鎖、分岐の何れでも可能であり、また1分子中に異なる長さ、構造の置換基を複数個有しているものでも良い。これらの中でも、弱溶剤に耐する溶解性に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られることから、炭素原子数が4〜10である脂肪族炭化水素基であることが好ましく、特に分岐構造を有するものが好ましく、ターシャリーブチル基であることが最も好ましい。
【0016】
前記多価フェノール類(x1)としては、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香環に1〜4個有する多価フェノール類が挙げられこれらの中でも該置換基を1〜2個有する多価フェノール類が好ましく、例えば、ブチルフェノールノボラック、ヘキシルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、ノニルフェノールノボラック、ドデシルフェノールノボラック、オクタデシルフェノールノボラック等のアルキルフェノールノボラック類、ブチルジヒドロキシベンゼン、ジブチルジヒドロキシベンゼン、オクチルジヒドロキシベンゼン、ジオクチルジヒドロキシベンゼン、ノニルジヒドロキシベンゼン、ジノニルジヒドロキシベンゼン、ドデシルジヒドロキシベンゼン、ジドデシルジヒドロキシベンゼン、オクタデシルジヒドロキシベンゼン、ジオクタデシルジヒドロキシベンゼン等のアルキルジヒドロキシベンゼン類、ブチルジナフトール、ジブチルジナフトール、オクチルジナフトール、ジオクチルジナフトール、ノニルジナフトール、ジノニルジナフトール、ドデシルジナフトール、ジドデシルジナフトール、オクタデシルジナフトール、ジオクタデシルジナフトール等のアルキルジナフトール類等が挙げられ、これらは1種類単独でも、2種類以上の混合物として用いることも可能である。
【0017】
これらの中でも、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルフェノールから誘導されるノボラック類、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルジヒドロキシベンゼン類が好ましく、特に炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルフェノールから誘導されるノボラック類であって芳香核の平均核体数が2〜8個であるもの、炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルジヒドロキシベンゼン類が好ましく、硬化塗膜の耐食性、機械強度に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られることから、ブチルフェノールノボラック、ノニルフェノールノボラック、4−ターシャリーブチルカテコール、2−ターシャリーブチルハイドロキノンが最も好ましい。
【0018】
前記エピハロヒドリン(x2)としては特に限定されるものではないが、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン等が挙げられる。これらの中でも反応性の点からエピクロルヒドリンが好ましい。
【0019】
前記多価フェノール(x1)とエピハロヒドリン(x2)とを反応させて得られる化合物(a1−1)の製造方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、前記多価フェノール(x1)とエピハロヒドリン(x2)とを反応させてグリシジル化する方法が挙げられる。
【0020】
前記製造条件は特に制限されるものではないが、例えば、前記多価フェノール(x1)の水酸基の1当量に対しエピハロヒドリン(x2)を0.3〜10当量添加し、塩基の存在下に40〜100℃で常圧または減圧下で、必要に応じて、溶媒を用いて反応を行う方法が好ましい。
【0021】
前記溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0022】
前記塩基としては特に限定されるものではないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられ、これらの中でも水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。またこれらの塩基は水溶液、固形のいずれでも好適に用いることができる。
【0023】
前記の手法により得られる化合物(a1−1)中のエポキシ基の一部とフェノール類(x3)及び/又はカルボン酸類(x4)とを、オニウム塩、ホスフィン類、アルカリ(土類)金属水酸化物、アミン類等の塩基性触媒の存在下で反応させる事により分子量、エポキシ当量を調節して、本発明で用いる化合物(a1−2)とする事ができる。
【0024】
前記フェノール類(x3)としては、1価フェノール類として、例えば、フェノール、o−クレゾール、p−ターシャリーブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール類、α−ナフトール、ブチルナフトール等のアルキルナフトール類、2,3−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール等のジアルキルフェノール類、ジメチルナフトール、ジブチルナフトール等のジアルカリナフトール類等が挙げられ、多価フェノール類としては、例えば、カテコール、ハイドロキノン、ブチルジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等のノボラック類、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂類等が挙げられる。これらの中でも、弱溶剤に対する溶解性に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られ、且つ硬化塗膜の変色が起こりにくい点からはアルキルフェノール類、ジヒドロキシベンゼン類が好ましく、低価格の変性エポキシエステル樹脂が得られる点からは、ビスフェノールA、ビスフェノールFを用いることが好ましい。また、これらは単独でも、2種以上の混合物として使用することも可能である。
【0025】
前記カルボン酸類(x4)としては、例えば、トール油脂肪酸、ネオデカン酸、ドデカン酸、ひまし油脂肪酸等のモノカルボン酸類、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、乾性油、半乾性油から得られる精製植物脂肪酸等の高級不飽和脂肪酸を二量化して得られるダイマー酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の炭素原子数18の不飽和脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸等が挙げられる。
【0026】
前記化合物(a1−1)と前記フェノール類(x3)及び/又は前記カルボン酸類(x4)の仕込み比は、得られる芳香族多価エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量が所望の値になるように設定して、調節することが好ましい。
【0027】
また、前記多価フェノール(x1)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(x5)とを、オニウム塩、ホスフィン類、アルカリ(土類)金属水酸化物、アミン類等の塩基性触媒の存在下で反応させる事により分子量、エポキシ当量を調節して、本発明で用いる化合物(a1−3)とする事ができる。
【0028】
ここで用いることができるエポキシ化合物(x5)としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば良く、その構造が特に制限されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも工業的入手が容易である点からはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく、弱溶剤に対する溶解性に優れるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物が得られる点からは、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。また、これらは単独でも、2種以上の混合物として使用することも可能である。
【0029】
前記多価フェノール(x1)と前記エポキシ化合物(x5)の仕込み比は、得られる芳香族多価エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量が所望の値になるように設定して、調節することが好ましい。
【0030】
また、本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の性能を損なわない範囲で、芳香族多価エポキシ樹脂(a1)に他のエポキシ樹脂を併用することも可能である。
【0031】
ここで併用できる他のエポキシ樹脂としては、特に制限されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、1価又は多価アルコールのグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0032】
本発明で用いるその他のエポキシ樹脂の使用量は特に制限されるものではないが、得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の弱溶剤に対する溶解性が良好であり、且つ硬化塗膜の耐食性に優れる点から、芳香族多価エポキシ樹脂(a1)100重量部に対し、1〜50重量部であることが好ましい。
【0033】
本発明で用いる脂肪族1級アミン類(a2)としては、1分子中に1級アミノ基を1個以上有する脂肪族の化合物であれば良く、その構造が特に制限されるものではないが、炭素原子数が2〜38の脂肪族炭化水素基を有する脂肪族1級アミン類である事が好ましく、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、2−エチルヘキシルアミン、モノエタノールアミン等が挙げられ、これらの中でも得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の弱溶剤に対する溶解性が良好である点から、オレイルアミン、2−エチルヘキシルアミンが特に好ましい。また、これらの化合物は1種類単独でも、2種類以上の混合物としても用いることが可能である。
【0034】
本発明で用いる脂肪族2級アミン類(a3)としては、1分子中に2級アミノ基を1個以上有する脂肪族の化合物であれば良くその構造が特に制限されるものではないが、アルカノールアミン類であることが好ましく、例えば、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン等が挙げられ、これらの中でも得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の硬化塗膜の耐食性が良好である点からジエタノールアミンが特に好ましい。また、これらの化合物は1種類単独でも、2種類以上の混合物としても用いることが可能である。
【0035】
本発明で用いる不飽和カルボン酸(a4)としては、1分子中にエチレン性不飽和基とカルボン酸を有する化合物であれば良く、特に制限されるものではないが、例えば、亜麻仁油、桐油、サフラワー油、脱水ひまし油等の乾性油から得られる植物油脂肪酸、ごま油、綿実油、米糠油、菜種油等の半乾性油から得られる植物脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の炭素原子数18の不飽和脂肪酸、α、β−不飽和カルボン酸が好ましく、これらは1種類の単独でも、2種類以上の混合物としても使用可能である。
【0036】
本発明で用いる芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)のエポキシ当量としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化塗膜の耐食性が良好である点から1,000〜50,000g/eqであることが好ましく、3,000〜50,000g/eqであることが特に好ましい。
【0037】
前記芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)は、前記芳香族多価エポキシ樹脂(a1)と前記脂肪族1級アミン(a2)及び/又は前記脂肪族1級アミン(a3)と前記不飽和カルボン酸(a4)を反応させて得られるものであり、その製造方法並びに仕込み比としては特に制限されるものではないが、得られるアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の弱溶剤への溶解性が良好で、その硬化塗膜の耐食性が優れる点から、以下の方法で製造することが好ましい。
【0038】
まず第1段階として、芳香族多価エポキシ樹脂(a1)と不飽和カルボン酸(a4)とを、触媒存在下、有機溶剤中にて酸価が1以下になるまで反応させる。ここで用いる不飽和カルボン酸(a4)の使用量としては、特に制限されるものではないが、芳香族多価エポキシ樹脂(a1)、変性に用いる脂肪族1級アミン(a2)及び脂肪族2級アミン(a2)との合計100重量部に対し5〜30重量部、好ましくは8〜15重量部である。
【0039】
前記触媒としては、エポキシ基とカルボキシル基の反応を促進できる化合物であれば良く、特に制限されるものではないが、例えば、オニウム塩、ホスフィン類、アルカリ(土類)金属水酸化物、アミン類等の塩基性触媒が挙げられ、これらの中でもアミン類が好ましい。
【0040】
前記有機溶剤としては、特に制限されるものではないが、脂肪族炭化水素系の有機溶剤、引火点40℃以上の芳香族炭化水素を主成分とする有機溶剤であることが好ましく、これらは1種類の単独でも、2種類以上の混合溶剤としても使用可能である。
【0041】
次に、第1段階で得られた反応物のエポキシ当量を測定し、反応後のエポキシ当量が15,000〜25,000g/eqになる量の脂肪族1級アミン(a2)を仕込み、反応を行う。なお、第1段階で得られた反応物のエポキシ当量が3,000g/eqを超える場合は、この反応を行わなくても良い。
【0042】
なお、この反応は第1段階の反応終了後、精製によって反応物を取り出した後に行っても良いが、製造時間短縮のために、得られた反応液をそのまま用いる事が好ましい。
【0043】
次に、第2段階で得られた反応物のエポキシ当量を測定し、該エポキシ当量1に対して脂肪族2級アミン(a2)の活性水素当量が0.95〜1.05の範囲になるような量を仕込み、反応を行う。この反応においても、第2段階で得られた反応液をそのまま使用することが好ましい。
【0044】
上記の手法によって得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物を含む反応液は、精製によって反応物を取り出すことも可能であるが、製造時間短縮のためには、得られた反応液をそのまま本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物に使用することが好ましい。
【0045】
本発明で用いる有機溶剤(B)としては、特に制限されるものではなく、従来塗料分野で有機溶剤として使用されている有機溶剤を使用することが可能であり、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等のアルカン類、シクロヘキサン、デカリン等のシクロアルカン類、これらを主成分とする工業用ガソリンであるJIS K2201の4号(ミネラルスピリット、引火点30℃以上、50%留出温度180℃以下、蒸留終点205℃以下)、工業用ガソリンJIS K2201の5号(クリーニングソルベント、引火点38℃以上、50%留出温度180℃以下、蒸留終点210℃以下)等の脂肪族炭化水素系の有機溶剤、炭素原子数9〜11の混合芳香族炭化水素類、芳香族石油ナフサ類、これらの市販品であるソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(以上、エクソン化学株式会社製)、ぺガソールR−100、ぺガソールR−150(以上、モービル石油株式会社製)、イプゾール#100(出光石油化学株式会社製)、スワゾール#100(丸善石油化学株式会社製)、スーパーゾール#1500(三菱石油株式会社製)等、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン等のケトン類、ブチルセロソルブ等のグリコール類等が挙げられ、これらの中でも、塗装環境が良好である点から脂肪族炭化水素系の有機溶剤であることが好ましく、引火点が高く塗装環境が良好であり、また補修用塗料として用いた場合の旧塗膜の溶解、膨潤に伴うリフティングによる塗膜欠陥の防止効果が良好である点から、JIS K2201の4号、工業用ガソリンJISK2201の5号であることが特に好ましい。また、これらの有機溶剤は1種類の単独でも、2種類以上の混合溶剤としても使用可能である。
【0046】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物中の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)と有機溶剤(B)との混合比は特に制限されるものではないが、塗料として用いたときの乾燥性が良好である点から芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)と有機溶剤(B)との合計100重量部中、芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性(A)が20〜70重量部であることが好ましく、40〜60重量部であることが特に好ましい。
【0047】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物の必須成分である金属石鹸(C)としては、本発明で用いる芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)中の不飽和結合部分を空気中の酸素を用いて酸化重合する際に触媒として働くことができる金属石鹸であれば良く特に制限されるものではないが、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸バナジウム等が挙げられ、これらの中でも硬化反応が速やかに進行する点から、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ジルコニウムが好ましい。
【0048】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物中の金属石鹸(C)の配合量は、硬化反応時に十分な触媒効果が得られ、且つ、硬化後の耐食性等が良好である点から、金属原子としての濃度が芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)100重量部に対し、0.01〜1重量部の範囲であることが好ましい。また、その添加方法については特に制限されるものではなく、芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物を合成した後、樹脂溶液に添加し撹拌、溶解することによって、容易に本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を得ることができ、そのまま保存することが可能であり、また、使用直前に金属石鹸(C)を添加することも可能である。
【0049】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を特に塗料用途に用いる場合は、必要に応じ、防錆顔料、着色顔料、体質顔料などの各種フィラーや各種添加剤等を配合することが好ましい。
【0050】
前記防錆顔料としては亜鉛粉末、リンモリブチン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、クロム酸バリウム、アルミニウム、グラファイト等の鱗片状顔料等、着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、ベンガラ等、体質顔料としては硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が代表的なものとして挙げられる。これらは1種類で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。これらフィラーの配合量は、塗料組成物100重量部中、20〜70重量部であることが好ましい。
【0051】
前記添加剤としては、例えばハジキ防止剤、ダレ止め剤、流展剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、可塑剤等が代表的なものとして挙げられる。
【0052】
前記フィラー、添加剤の本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物への配合方法は、特に限定されないが、例えば、フィラー及び添加剤を混合ミキサー、ボールミル等の装置を用いて十分に混練、均一に分散させた顔料ペーストを予め用意し、これとアミン変性エポキシエステル樹脂組成物とをさらに前記装置を用いて混練、分散した後、所望の濃度に有機溶剤を用いて調製し混合することで得ることができる。
【0053】
前記手法によって得られた塗料組成物は、各種の塗装方法によって様々な基材に塗布することができ、特にその手法は制限されるものではなく、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、バーコーター、刷毛塗り、ディッピング塗布、スプレー塗布等のコーティング方法が挙げられる。
【0054】
また、前記塗料組成物を塗装した後の硬化方法についても特に制限されるものではなく、空気中の酸素によって酸化重合されるものであり、常温硬化、加熱硬化の何れでも硬化塗膜を得ることができる。
【0055】
【実施例】
次に、本発明を、実施例および比較例により更に詳細に説明する。尚、実施例中「部」、「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
【0056】
実施例1
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機、邪魔板を備えた、下部に分液コック付のセパラブルフラスコに、4−ターシャリーブチルカテコール375部、エピクロルヒドリン1250部、イソプロピルアルコール300部を仕込み、撹拌、溶解させ40℃まで昇温した。滴下ロートに20%水酸化ナトリウム水溶液950部を仕込み、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に30分撹拌を続けた後、撹拌を停止して静置後、下層の食塩水を分液により取り除いた。次いで、過剰のエピクロルヒドリン、イソプロピルアルコール、水を蒸留回収した。得られた反応物をトルエン600部に溶解し、5%水酸化ナトリウム水溶液を125部加え、80℃で3時間撹拌した。その後、水洗を行い、生成した塩、アルカリ成分が溶解している水相を分離し、さらに脱水、ろ過、トルエンの蒸留回収により精製を行って、エポキシ当量が211g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)を得た。
【0057】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
温度計、冷却管、撹拌機を備えた四つ口フラスコに実施例1−▲1▼で得られた芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部及びハートールFA−1(トール油脂肪酸、ハリマ化成株式会社製、酸当量289g/eq)15.5部を仕込み、80℃まで加温して均一に溶解した。ここにトリメチルアンモニウムクロライドを固形分として樹脂に対し50ppm入れ、140℃で酸価が1以下になるまで2時間撹拌して反応させた。このときのエポキシ当量は275g/eqであった。温度を80℃まで冷却してからオレイルアミン55.2部、ミネラルスピリット73.2部を加え、80℃で4時間撹拌した。さらにジエタノールアミン0.9部加えて120℃で4時間撹拌した後、ミネラルスピリット98.4部を加え80℃で1時間撹拌し、均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−i)のミネラルスピリット溶液を得た。
【0058】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−i)のミネラルスピリット溶液に金属石鹸として、Zr−NAPHTHENATE 6%(6%ナフテン酸ジルコニウム、大日本インキ化学工業株式会社製)とCo−NAPHTHENATE 6%(6%ナフテン酸コバルト、大日本インキ化学工業株式会社製)をそれぞれ、樹脂溶液100部に対して0.6部、0.2部になるように加え、十分に室温で撹拌して溶解させて、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(i)を得た。
【0059】
実施例2
実施例1−▲2▼において、ハートールFA−1 15.5部の代わりに、TOENOL#1140A(亜麻仁油脂肪酸、当栄ケミカル株式会社製、酸当量289g/eq)15.5部を用いる以外は実施例1と同様にして、樹脂分50%の変性エポキシエステル樹脂(A−ii)のミネラルスピリット溶液を得た後、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(ii)を得た。
【0060】
実施例3
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
温度計、冷却管、撹拌機を備えた四つ口フラスコに実施例1で得られた芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部、t−ブチルカテコール25.5部を仕込み80℃まで昇温し均一に撹拌した後、トリメチルアンモニウムクロライドを固形分に対して100ppm添加した。窒素雰囲気下140℃で3時間撹拌して反応させ、エポキシ当量が750g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iii)を得た。
【0061】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例1−▲2▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iii)100部を用い、ハートールFA−1 11.2部を用いる以外は実施例1と同様に反応させた後、オレイルアミン11.8部、ミネラルスピリット52.7部、さらにジエタノールアミン0.7部を用いて同様に反応させた後、さらにミネラルスピリット71部を加えて均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−iii)のミネラルスピリット溶液を得た。
【0062】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−iii)のミネラルスピリット溶液を用いて実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(iii)を得た。
【0063】
実施例4
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
実施例3−▲1▼において、t−ブチルカテコール25.5部の代わりにビスフェノールA38.3部を用いる以外は実施例3−▲1▼と同様にして、エポキシ当量が1000g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iv)を得た。
【0064】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例1−▲2▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iv)100部を用い、ハートールFA−1 10.7部を用いる以外は実施例1と同様に反応させた後、オレイルアミン7.6部、ミネラルスピリットと「ソルベッソ100」(エクソン化学株式会社製)の等重量混合溶剤50.7部、さらにジエタノールアミン0.7部を用いて同様に反応させた後、さらにミネラルスピリットと「ソルベッソ100」の等重量混合溶剤67.6部を加えて均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−iv)のミネラルスピリットと「ソルベッソ100」の混合溶剤溶液を得た。
【0065】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−iv)のミネラルスピリットと「ソルベッソ100」の混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(iv)を得た。
【0066】
実施例5
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機、邪魔板を備えた、下部に分液コック付のセパラブルフラスコに、p−ターシャリーブチルフェノールノボラック樹脂(平均核体数2.1)375部、エピクロルヒドリン290部、イソプロピルアルコール90部を仕込み、撹拌、溶解させ40℃まで昇温した。滴下ロートに20%水酸化ナトリウム水溶液280部を仕込み、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に30分撹拌を続けた後、撹拌を停止して静置後、下層の食塩水を分液により取り除いた。次いで、過剰のエピクロルヒドリン、イソプロピルアルコール、水を蒸留回収した。得られた反応物をトルエン600部に溶解し、5%水酸化ナトリウム水溶液を125部加え、80℃で3時間撹拌した。その後、水洗を行い、生成した塩、アルカリ成分が溶解している水相を分離し、さらに脱水、ろ過、トルエンの蒸留回収により精製を行って、エポキシ当量が450g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−v)を得た。
【0067】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例1−▲2▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−v)100部を用い、ハートールFA−112.3部を用いる以外は実施例1と同様に反応させた後、オレイルアミン23.3部、ミネラルスピリット58部、さらにジエタノールアミン0.7部を用いて同様に反応させた後、さらにミネラルスピリット78部を加えて均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−v)のミネラルスピリット溶液を得た。
【0068】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−v)のミネラルスピリット溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(v)を得た。
【0069】
実施例6
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
温度計、冷却管、撹拌機を備えた四つ口フラスコに実施例5で得られた芳香族多価エポキシ樹脂(a1−v)100部、ビスフェノールA10.4部を仕込み80℃まで昇温した。さらにトリメチルアンモニウムクロライドを固形分に対して100ppm添加し、窒素雰囲気下140℃で3時間撹拌して反応させ、エポキシ当量が750g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−vi)を得た。
【0070】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例3−▲2▼において芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iii)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−vi)100部を用い、溶媒として「ソルベッソ100」を用いる以外は実施例3と同様にして、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−vi)の「ソルベッソ100」溶液を得た。
【0071】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−vi)の「ソルベッソ100」溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(vi)を得た。
【0072】
実施例7
実施例6において、ハートールFA−1の代わりにTOENOL#1140Aを用いる以外は実施例6と同様にして、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−vii)の「ソルベッソ100」溶液を得た後、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(vii)を得た。
【0073】
実施例8
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
実施例3−▲1▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりにビスフェノールA型液状エポキシ樹脂EPICLON 850(大日本インキ化学工業株式会社製、エポキシ当量188g/eq)100部を用い、更にt−ブチルカテコール21.7部を用いる以外は実施例3−▲1▼と同様にして、エポキシ当量が450g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−viii)を得た。
【0074】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例1−▲2▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−viii)100部を用い、ハートールFA−1 12.3部を用いる以外は実施例1と同様に反応させた後、オレイルアミン23.3部、「ソルベッソ100」58部、さらにジエタノールアミン0.7部を用いて同様に反応させた後、さらに「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤78部を加えて均一に溶解させ、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−viii)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を得た。
【0075】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−viii)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(viii)を得た。
【0076】
実施例9
▲1▼芳香族多価エポキシ樹脂(a1)の合成
実施例3−▲1▼において、芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりにビスフェノールA型固形エポキシ樹脂EPICLON 1050(大日本インキ化学工業株式会社製、エポキシ当量470g/eq)100部を用い、t−ブチルカテコール25.5部の代わりにp−ターシャリーブチルフェノールノボラック10.3部を用いる以外は実施例3−▲1▼と同様にして、エポキシ当量が750g/eqの芳香族多価エポキシ樹脂(a1−ix)を得た。
【0077】
▲2▼芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)の合成
実施例3−▲2▼において芳香族多価エポキシ樹脂(a1−iii)100部の代わりに芳香族多価エポキシ樹脂(a1−ix)100部を用い、溶媒として「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤を用いる以外は実施例3と同様にして、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−ix)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を得た。
【0078】
▲3▼アミン変性エポキシエステル樹脂組成物の調製
▲2▼で得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−ix)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(ix)を得た。
【0079】
比較例1
実施例1−▲2▼において芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりにEPICLON 850 100部を用い、さらにハートールFA−1 16.3部を用いる以外は実施例1−▲2▼と同様にして反応を行った後、反応物とオレイルアミン62.5部を、「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤76.6部中で反応させ、さらにジエタノールアミン0.9部を仕込み、同様に反応させた。反応終了後、「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤103部を加えて均一にし、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−x)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を得た。得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−x)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(x)を得た。
【0080】
比較例2
実施例1−▲2▼において芳香族多価エポキシ樹脂(a1−i)100部の代わりにEPICLON 1050 100部を用い、さらにハートールFA−1 12.2部を用いる以外は実施例1−▲2▼と同様にして反応を行った後、反応物とオレイルアミン22部を、「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤58部中で反応させ、さらにジエタノールアミン0.67部を仕込み、同様に反応させた。反応終了後、「ソルベッソ100」とキシレンの等重量混合溶剤77部を加えて均一にし、樹脂分50%の芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−xi)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を得た。得られた芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A−xi)の「ソルベッソ100」とキシレンの混合溶剤溶液を用いて、実施例1−▲3▼と同様にして、アミン変性エポキシエステル樹脂組成物(xi)を得た。
【0081】
試験例1〜9、及び比較試験例1〜2
実施例1〜9及び比較例1〜2で得られたアミン変性エポキシエステル樹脂組成物(i)〜(xi)を用いて、ミネラルスピリットへの溶解性(希釈率)を以下の手法によって測定し、表1に試験例1〜9、比較試験例1〜2として記載する。
【0082】
希釈率の測定方法
アミン変性エポキシエステル樹脂溶液(樹脂分50%)5gを100mlの透明な三角フラスコに仕込み、25℃の環境下で、滴下ロートからミネラルスピリットを滴下し、撹拌して均一になった時点で白濁するまでの滴下量(ml)を測定し、以下の式に従って希釈率を算出する。尚、白濁の判定方法は、三角フラスコの下においた新聞紙の文字が判別できなくなった点とする。
希釈率(%)=[白濁までに要した滴下量(ml)/組成物の重量(g)]×100
【0083】
【表1】
【0084】
表1より、本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を用いた試験例1〜9では高沸点、高引火点で安全性の高い弱溶剤への溶解性に優れていることを確認した。一方、従来のエポキシ樹脂を用いて変性した比較試験例1〜2では、該弱溶剤への溶解性が低く、実用に耐えないことが判明した。
【0085】
応用例1〜9、及び比較応用例1〜2
実施例1〜9及び比較例1〜2で得られたアミン変性エポキシエステル樹脂組成物(i)〜(xi)を用いて、表2に示す配合にて塗料組成物(不揮発分35%、不揮発分中の充填剤含有量[PWC]40%)を調製した。これらの塗料組成物に対して、密着性、屈曲性、耐衝撃性(デュポン式衝撃試験)、耐食性(塩水噴霧試験、5%水酸化ナトリウム水溶液浸漬試験、5%塩酸浸漬試験)及び上塗り特性の試験を実施し、応用例1〜9及び比較応用例1〜2として結果を表3に示す。また、調製した塗料組成物の保存安定性試験を実施し、その結果を表3に示す。
【0086】
尚、各評価試験は以下の方法に従って行った。
密着性
表2に従って得られた塗料組成物を、冷間熱延鋼板:JIS,G,3141(SPCC,SB)、0.8×70×150mmのサンドペーパー#240表面処理板にバーコーターにて乾燥膜厚40μmになるように塗布し、25℃、7日間乾燥させて試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS K5400 6.15に従って、1mm間隔の碁盤目試験を行った。
○:はがれなし
×:はがれる
【0087】
屈曲性
密着性試験と同様に0.3×50×100mmの磨き鋼板に塗料組成物を塗布し乾燥して、試験片を得た。この試験片を用いて、JIS K5600 5.1に従い、2mmφの試験棒による屈曲性試験を行った。
○:はがれなし。
×:はがれ・亀裂が発生。
【0088】
耐衝撃性
密着性試験と同様にして得られた試験片を用いて、JIS K5400−7,8に従いデュポン式衝撃試験(300g)を実施した。
○:50cm異常なし。
×:50cmではがれる。
【0089】
耐食性
鉛筆硬度試験と同様にして得られた試験片を用いて、JIS K5400−7,8に従って塩水噴霧試験(250時間)を行った。また、前記試験片を5%水酸化ナトリウム水溶液及び5%塩酸の薬液に、25℃、7日間浸漬した。
○:異常なし、錆なし。
×:著しいフクレ、錆発生。
【0090】
上塗り特性
磨き鋼板に塩化ゴム塗料ラバマリンBTD(関西ペイント株式会社製)を塗布し、この乾燥塗膜のうえに、刷毛を用いて表2で得られた塗料組成物を塗装し、25℃で7日間乾燥した。得られた塗膜の状況を目視により確認することによって、上塗り特性試験を行った。
○:リフティング・膨潤なし。
×:リフティング・膨潤あり。
【0091】
保存安定性
調製した塗料組成物を500gの石油缶に300g測りとり、密閉して25℃で3ヶ月間貯蔵し、目視によって塗料の状態を確認した。
○:増粘なし。
×:増粘若しくは固化。
【0092】
【表2】
【0093】
表2の脚注:
有機溶剤としては、応用例1〜9ではミネラルスピリットを用いたが、比較応用例1〜2では樹脂組成物のミネラルスピリットへの溶解度が低く均一に溶解することができなかったため、キシレンを用いた。
【0094】
【表3】
【0095】
本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を用いた応用例1〜9では、従来のエポキシ樹脂を用いて変性した比較応用例1〜2と比較し、その密着性・耐食性・保存安定性は同等以上の性能であることを確認した。
【0096】
一方、上塗り特性試験においては、本発明のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を用いた応用例1〜9では、弱溶剤を主成分とする溶剤を使用していることにより塩化ゴム塗料を侵すことなく上塗りを施すことが可能であるが、従来のエポキシ樹脂を用いて変性した比較応用例1〜2では、溶剤であるキシレンによって、塩化ゴム塗料が侵されており、実用に耐えないことを確認した。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、グリコール類、芳香族系溶剤等の強溶剤を併用しなくても脂肪族炭化水素系の弱溶剤に容易に溶解でき、且つ塗膜の耐食性、密着性等に優れる硬化剤内在型のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物を提供することができる。
Claims (8)
- 炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)、有機溶剤(B)及び金属石鹸(C)を含むことを特徴とするアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
- 前記芳香族エポキシエステル樹脂のアミン変性物(A)が、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有する芳香族多価エポキシ樹脂(a1)と脂肪族1級アミン類(a2)及び/又は脂肪族2級アミン類(a3)と不飽和カルボン酸(a4)とを反応させて得られるものである請求項1記載のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
- 芳香族多価エポキシ樹脂(a1)が、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香環に有する多価フェノール(x1)とエピハロヒドリン(x2)とを反応させて得られる化合物(a1−1)、前記化合物(a1−1)と更にフェノール類(x3)及び/又はカルボン酸類(x4)とを反応させて得られる化合物(a1−2)、及び前記多価フェノール(x1)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(x5)とを反応させて得られる化合物(a1−3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物からなる芳香族多価エポキシ樹脂である請求項2記載のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
- 前記多価フェノール(x1)が炭素数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルフェノールを原料とするノボラック類、及び/又は炭素数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として芳香環に有するアルキルジヒドロキシベンゼン類である請求項3記載のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
- 脂肪族1級アミン類(a2)が炭素原子数2〜38の脂肪族炭化水素基を有する脂肪族1級アミン類であり、脂肪族2級アミン類(a3)がアルカノールアミン類である請求項4記載のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
- 不飽和カルボン酸(a4)が乾性油から得られる植物油脂肪酸、半乾性油から得られる植物脂肪酸、炭素原子数18の不飽和脂肪酸、及びα、β−不飽和カルボン酸からなる群から選ばれる1種以上の不飽和カルボン酸である請求項5記載のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
- 有機溶剤(B)が脂肪族炭化水素系の有機溶剤を含むものである請求項1〜6の何れか1項記載のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
- 前記脂肪族炭化水素系の有機溶剤が工業用ガソリンJIS K2201の4号及び/又は5号に該当する溶剤である請求項7記載のアミン変性エポキシエステル樹脂組成物。
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2003
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