【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた抗菌剤であるキノロン誘導体の製造原料として有用な、シス−2−フルオロシクロプロピルアミンの製造方法、及びその製造中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニューキノロン系の合成抗菌薬の中で、シス−2−フルオロシクロプロピル基を1位の置換基として有するキノロン誘導体は、強い抗菌活性と高い安全性を兼ね備えており優れた合成抗菌剤として期待されているが(特許文献1参照)、このシス−2−フルオロシクロプロピル基を構築するために有用なシス−2−フルオロシクロプロピルアミンの製造方法として、ブタジエンを出発原料として4工程で製造する方法が知られているが(非特許文献1参照)、フルオロシクロプロパン環形成反応におけるシス選択性が低いうえに、有毒かつ高価な試薬を使用するため、工業的に不利であった。また、1−フェニルアルキルアミンを出発原料として5工程で製造する方法は、シクロプロパン化において危険なジエチル亜鉛を使用するため(特許文献2及び特許文献3参照)、やはり工業的には不適な方法であった。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−231475号公報
【特許文献2】
特開平5−163212号公報
【特許文献3】
特開平6−92911号公報
【非特許文献1】
和歌山大学教育学部紀要33巻、33(1984)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安全かつ安価で工業的に有利に、シス−2−フルオロシクロプロピルアミンを製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、シス−2−フルオロシクロプロピルアミン誘導体の製造方法について鋭意検討を行った結果、相間移動触媒の存在下、安価なN−ビニルピロリドン誘導体を出発原料としてモノフルオロカルベンを作用させることにより、当該アミン誘導体が高収率で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(1):
【0006】
【化10】
【0007】
[式中、R1は、置換基を有していてもよいフェニル基もしくは置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12の鎖状のアルキル基もしくは置換基を有していてもよい炭素数4〜12の環状のアルキル基を意味し;R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は水素原子を意味し;R3及びR4は、共に水素原子を意味するか、又はこれらが結合している炭素原子と一緒になって芳香族環もしくは脂肪族環を形成してもよく;Xは、水素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。]で表される化合物を提供する。
【0008】
本発明はまた、一般式(2):
【0009】
【化11】
【0010】
[式中、R1、R3及びR4は、前に定義したとおりである。]で表される化合物を提供する。
【0011】
本発明はまた、一般式(3):
【0012】
【化12】
【0013】
[式中、R1、R3及びR4は、前に定義したとおりであり;R5は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基を意味する。]で表される化合物にモノフルオロカルベンを反応させ、所望により加水分解することを特徴とする、一般式(1):
【0014】
【化13】
【0015】
[式中、R1、R2、R3、R4及びXは、前に定義したとおりである。]で表される化合物の製造方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、一般式(1):
【0017】
【化14】
【0018】
[式中、R1、R2、R3、R4及びXは、前に定義したとおりである。]で表される化合物から、Xが水素原子以外の場合は還元によりXを除去し、R2が水素原子以外の場合は加水分解により脱保護しさらに還元することを特徴とする、一般式(2):
【0019】
【化15】
【0020】
[式中、R1、R3及びR4は、前に定義したとおりである。]で表され化合物の製造方法を提供する。
【0021】
本発明はさらにまた、一般式(3):
【0022】
【化16】
【0023】
[式中、R1、R3、R4及びR5は、前に定義したとおりである。]で表される化合物にモノフルオロカルベンを反応させ、一般式(1):
【0024】
【化17】
【0025】
[式中、R1、R2、R3、R4及びXは、前に定義したとおりである。]で表され化合物を得、当該化合物をXが水素原子以外の場合は還元によりXを除去し、R2が水素原子以外の場合には加水分解により脱保護しさらに還元することにより、一般式(2):
【0026】
【化18】
【0027】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、前に定義したとおりである。]で表される化合物を得、そして該化合物を加水分解することを特徴とする、シス−2−フルオロシクロプロピルアミンの製造方法を提供する。
【0028】
【発明の実施の形態】
式中、R1は、置換基を有していてもよいフェニル基もしくは置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12の鎖状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等)もしくは置換基を有していてもよい炭素数3〜12の環状のアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)を表す。フェニル基又はアルキル基が持ち得る置換基としては、各々1〜3個の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等を挙げることができるが、炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基であることがより好ましい。
R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は水素原子を表す。アルキル基、アシル基又はアラルキル基が持ち得る置換基としては、上記のものを挙げることができる。置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基であることが好ましい。
R3及びR4は、共に水素原子を示すか、又はこれらが結合している炭素原子と一緒になって芳香族環もしくは脂肪族環を形成してもよい。R3及びR4が一緒になって形成する芳香族環としては、ベンゼン環であることが好ましく、脂肪族環としては、シクロヘキサン環であることが好ましい。R3及びR4は、これらが結合している炭素原子と一緒になってベンゼン環を形成することが好ましい。
R5は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。アルキル基、アシル基又はアラルキル基が持ち得る置換基としては、上記のものを挙げることができる。R5としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
Xは、下記の製造方法の反応式中、化合物(1)においては、水素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、臭素原子であることが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法は、次の反応式で示すことができる。
【0030】
【化19】
【0031】
すなわち、出発原料として式(4)で表される化合物(以下、化合物(4)と称する。他の番号の化合物も同じ。)を用い、これとGrignard試薬との反応を行い、嵩高い基R1を導入して対応する化合物(5)を得(第1工程)、この化合物(5)のヒドロキシ基を保護して化合物(3)とし(第2工程)、この化合物(3)を相間移動触媒存在下、モノフルオロカルベンで処理し、化合物(1)とした(第3工程)後に、所望により脱保護し、Xが水素原子以外の場合はXを除去し(第4工程)、R2が水素原子以外の場合は脱保護(第5工程)、還元(第6工程)、そして加水分解して(第7工程)、シス−2−フルオロシクロプロピルアミン(8)を得る。以下に各工程を詳細に説明する。
【0032】
第1工程:
Grignard反応は、通常の条件に従って実施できる。反応溶媒は、反応の進行を阻害しないものであれば如何なるものでもよく、テトラヒドロフラン、エーテル等が好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。反応は、−78℃〜溶媒の沸点の範囲で行えばよく、0℃〜室温の範囲で行うことが好ましい。
【0033】
第2工程:
化合物(5)のアルキル化、アシル化又はアラルキル化は、塩基存在下、各々、アルキル化剤、アシル化剤、アラルキル化剤を反応させることにより行われる。アルキル化剤としては、アルキルハライド、アルキルトリフラート等を使用できるが、アルキルハライドであることが好ましく、ヨウ化メタンであることがより好ましい。塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物、水素化ナトリウム等の金属水素化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシドなどを挙げることができる。これらのうちで、金属水素化物が好ましく、水素化ナトリウムがより好ましい。反応は、0℃〜室温の範囲で行うことが好ましい。
【0034】
第3工程:
モノフルオロカルベンは、相間移動触媒の存在下、モノハロゲノフルオロメタン又はジハロゲノフルオロメタン、好ましくはジブロモフルオロメタン又はジヨードフルオロメタン、より好ましくは、ジブロモフルオロメタンを塩基と反応させて発生させることができる。
【0035】
相間移動触媒としては、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムスルフェート、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロリド等の4級ホスホニウム塩、クラウンエーテル等を挙げることができる。これらのうちで、クラウンエーテルを用いることが好ましい。クラウンエーテルとしては、18−クラウン−6、12−クラウン−4、15−クラウン−5、24−クラウン−8、ジベンゾ−18−クラウン−6、クリプタンド[2.2]、クリプタンド[2.2.2]等を挙げることができるが、使用する塩基のカウンターカチオンに応じて適切なものを選択すればよい。
【0036】
塩基としては、第2工程で示したものを使用できるが、これらのうちで、金属水酸化物が好ましく、水酸化カリウムがより好ましい。水酸化カリウムの使用には、18−クラウン−6を選択することが好ましい。
【0037】
反応溶媒としては、水と次に示す有機溶媒とを混合して使用することが好ましい。有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、ジアルキルエーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、エチルt−ブチルエーテル、メチルn−ブチルエーテル、エチルn−ブチルエーテル等)等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アルコール等の極性溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族溶媒等を使用することができるが、ジクロロメタン、トルエン、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、ヘキサン又はシクロヘキサンであることがより好ましく、ジクロロメタン又はトルエンであることが特に好ましい。また、2種以上の有機溶媒を混合して使用してもよい。
【0038】
反応は、溶媒の凝固点〜60℃の温度範囲にて行うことができるが、溶媒の凝固点〜25℃の温度範囲にて行うことが好ましく、0℃にて行うことが特に好ましい。
【0039】
本工程においては、所望のシス配置を有するN−2−フルオロシクロプロピルアミド誘導体(1)に加えてトランス体が副生する。
所望の配置はシス体であるが、その「シス」とは、下記式:
【0040】
【化20】
【0041】
で表される化合物のように、シクロプロパン環に置換しているフッ素原子とイソインドリノン環とがシクロプロパン環が形成する平面から見てシス配置であることを意味する。上記式の化合物において、シクロプロパン環の1位と2位の立体配置では、Xが塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子の場合には(1R,2R)体と(1S,2S)体とがあり、これらはイソインドリノン環の3位の立体配置によりさらに2種のジアステレオマーの関係にある立体異性体を生じ得る。
従って、本工程で生成するシス体((1R,2R)体及び(1S,2S)体)の中には、イソインドリノン環の3位の立体配置により、各々2種のジアステレオマーが存在し、各々いずれか一方のジアステレオマーが主生成物として得られる。(1R,2R)体から主生成物として得られるジアステレオマーと、(1S,2S)体から主生成物として得られるジアステレオマーとは、互いに鏡像体の関係にある。この主生成物としてのシス体のラセミ体を本願明細書では、「cis−major」と称する。そして、所望のシス体であるがイソインドリノン環の3位の立体配置がcis−majorとは異なる2種の光学異性体の混合物を「cis−minor」と称する。cis−minorもラセミ体である。
また、所望でないトランス体も副生するが、トランス体の中にもイソインドリノン環の3位の立体配置により、各々2種のジアステレオマーが存在し、いずれかがトランス体の中でも主生成物として生じる。このトランス体としての主生成物であるラセミ体を本願明細書では、「trans−major」と称する。そして、トランス体のイソインドリノン環の3位の立体配置がtrans−majorとは異なる2種の光学異性体の混合物を「trans−minor」と称する。trans−minorもラセミ体である。
【0042】
第4工程以降の生成物の立体については以下のとおりである。
所望の配置はシス体であるが、その「シス」とは、下記式:
【0043】
【化21】
【0044】
で表される化合物のように、シクロプロパン環に置換しているフッ素原子とイソインドリノン環とがシクロプロパン環が形成する平面から見てシス配置であることを意味する。上記式の化合物において、シクロプロパン環の1位と2位の立体配置では、Xが塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子の場合には(1R,2S)体と(1S,2R)体とがあり、(1R,2S)体と(1S,2R)体があり、これらは、イソインドリノン環の3位の立体配置により、さらに2種のジアステレオマーの関係にある立体異性体を生じ得る。
従って、第4工程で生成するシス体((1R,2S)体及び(1S,2R)体)の中には、イソインドリノン環の3位の立体配置により、各々2種のジアステレオマーが存在し、各々いずれか一方のジアステレオマーが主生成物として得られる。(1R,2S)体から主生成物として得られるジアステレオマーと、(1S,2R)体から主生成物として得られるジアステレオマーとは、互いに鏡像体の関係にある。この主生成物としてのシス体のラセミ体を本願明細書では、「cis−major」と称する。そして、所望のシス体であるがイソインドリノン環の3位の立体配置がcis−majorとは異なる2種の光学異性体の混合物を「cis−minor」と称する。cis−minorもラセミ体である。
また、所望でないトランス体も副生するが、トランス体の中にもイソインドリノン環の3位の立体配置により、各々2種のジアステレオマーが存在し、いずれかがトランス体の中でも主生成物として生じる。このトランス体としての主生成物であるラセミ体を本願明細書では、「trans−major」と称する。そして、トランス体のイソインドリノン環の3位の立体配置がtrans−majorとは異なる2種の光学異性体の混合物を「trans−minor」と称する。trans−minorもラセミ体である。
第5工程及び第6工程の生成物の立体についても、第4工程の生成物の立体と同様である。
【0045】
第4工程:
Xの除去は、例えば、Journal of Fluorine Chemistry、49、127−139(1990)に記載の方法に準じて実施できる。反応溶媒としては、反応の進行を阻害しないものであれば如何なるものでもよく、エタノールが好ましい。反応は、室温から溶媒の沸点付近の温度範囲にて行うことが好ましい。トランス体は、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の分離方法により容易に分離できる。
【0046】
第5工程:
脱アルキル化、脱アシル化又は脱アラルキル化は、通常の条件に従って実施することができる。例えば、含水溶媒中で、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマール酸等の無機酸もしくは有機酸を作用させると脱アルキル化が進行する。水と混合する溶媒としては、反応に不活性なものであれば如何なるものでもよく、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン等が好ましく、アセトンがより好ましい。本工程は、所望により第3工程に引き続いて実施してもよい。
【0047】
第6工程:
環状アミド(7)は、還元反応を通常の条件に従って実施することにより開環できる。使用する還元剤は、通常は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルコキシホウ素ナトリウム等から選択して使用することができる。これらのうちでは、水素化ホウ素ナトリウムを用いることが好ましい。反応溶媒としては、反応に反応の進行を阻害しないものであれば如何なるものでもよく、また水との混合溶媒でもよく、水とイソプロピルアルコールとの混合溶媒が好ましい。反応は、室温から溶媒の沸点付近の温度範囲にて行うことが好ましい。
【0048】
第7工程:
上記の工程で得られたシス−2−フルオロシクロプロピルアミド誘導体は、適宜の条件下、好ましくは酸存在下で加水分解して、シス−2−フルオロシクロプロピルアミン(8)に変換することができ、蒸留等により高純度なシス体を得ることができる。その後、一般的な光学分割の方法(例えば、特開平5−163233号公報)に従って、実質的に光学的に純粋な形態のシス−2−フルオロシクロプロピルアミン(8)を製造することができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例及び参考例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
参考例1(第1工程)
3−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェニル)−2−ビニル−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(A)の製造
マグネシウム(1.18g、48.5mmol)及びヨウ素(1mg)に、テトラヒドロフラン(20mL)を加え、ここに室温下、o−ブロモアニソール(5.75mL、46.2mmol)を滴下し、さらに30分間攪拌して、Grignard試薬を調製した。N−ビニルフタルイミド(4.00g、23.1mmol)のテトラヒドロフラン(65mL)溶液を0℃に冷却し、ここに調製したGrignard試薬(14.2mL)を滴下した。室温にて30分間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、析出した結晶にヘキサンを加え、30分間攪拌した後に結晶を濾取し、標題化合物(6.02g、93%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):
3.24(s,3H);4.27(d,1H,J=9.9Hz);4.72(d,1H,J=16.5Hz);6.67(dd,1H,J=16.5,9.9Hz);6.82−6.85(m,1H);7.04−7.10(m,1H);7.15−7.18(m,1H);7.28−7.34(m,1H);7.47−7.56(m,2H);7.73−7.76(m,1H);8.02−8.04(m,1H)
【0051】
参考例2(第2工程)
3−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−2−ビニル−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(B)の製造
化合物(A)(5.00g、17.8mmol)ジメチルホルムアミド(50mL)溶液を0℃に冷却し、ここに水素化ナトリウム(含量55%、1.55g、35.5mmol)を少量ずつ加えた。室温で15分間攪拌し、ヨウ化メチル(2.20mL、35.5mmol)を滴下し、1時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、析出した結晶にヘキサンを加え、30分間攪拌した後に結晶を濾取し、標題化合物(4.68g、89%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm):
2.97(s,3H);3.37(s,3H);4.35(d,1H,J=9.9Hz);4.77(d,1H,J=16.5Hz);6.71−6.74(m,1H);6.90(dd,1H, J=16.5,9.9Hz);7.03−7.09(m,1H);7.14−7.17(m,1H);7.26−7.33(m,1H);7.47−7.50(m,2H);7.86−7.90(m,1H);8.06−8.10(m,1H)
【0052】
実施例1(第3工程)
2−(2−ブロモ−2−フルオロシクロプロピル)−3−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(C)の製造
化合物(B)(102mg、0.346mmol)、18−クラウン−6−エーテル(18.0mg,0.068mmol)及びジブロモフルオロメタン(260mg、1.36mmol)のジクロロメタン(1.3mL)溶液を0℃に冷却し、ここに飽和水酸化カリウム水溶液(2.0mL)をゆっくり滴下した。0℃にて5時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して標題化合物(8種の立体異性体の混合物、114mg、83%)を無色油状物質として得た。また、未反応の化合物(B)を回収した(9.9mg、10%)。
1H−NMR(cis−major,400MHz,CDCl3) δ(ppm):
1.26(dd,1H, J=19,10Hz);2.22(ddd,1H,J=19,9.0,6.4Hz);2.78(dd,1H,J=10,6.4Hz);3.37(s,3H);6.73−6.77(m,1H);7.05−7.11(m,2H);7.29−7.36(m,1H);7.45−7.48(m,2H);7.85−7.88(m,1H);8.03−8.06(m,1H)
【0053】
実施例2(第4工程)
2−(cis−2−フルオロシクロプロピル)−3−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(D)の製造
化合物(C)(92mg、0.226mmol)及びエチレンジアミン(0.09mL、1.35mmol)のエタノール(4.3mL)溶液に、ラネーニッケル(エタノールで3回洗浄、0.1mL)を加えた。反応系内を水素で置換して10時間攪拌した後、反応溶液を酢酸エチルで希釈し、シリカゲルで濾過した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物(cis−major体、29mg、39%)を白色結晶として得た。また、cis−minor体、trans−major体及びtrans−minor体をそれぞれ、14mg(19%)、7.4mg(10%)、5.9mg(8%)得た。
1H−NMR(cis−major,400MHz,CDCl3) δ(ppm):
0.62(dddd,1H,J=15,8.8,8.6,6.1Hz);1.59(dddd,1H,J=24,9.3,6.1,3.3Hz);2.14−2.22(m,1H);2.94(s,3H);3.37(s,3H);4.68(dddd,1H,J=64,8.6,5.0,3.3Hz);6.73−6.76(m,1H);7.03−7.13(m,2H);7.29−7.35(m,1H);7.41−7.49(m,2H);7.84−7.90(m,1H);8.09−8.12(m,1H)
【0054】
実施例3(第5工程)
2−(cis−2−フルオロシクロプロピル)−3−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(E)の製造
化合物(D)(cis−major体、12.1mg、0.037mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液に、1規定塩酸(0.5mL)を加えた。100℃にて1時間攪拌した後、室温に冷却し、水を加えた。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標題化合物(2種の立体異性体の混合物、9.1mg、79%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(cis−major,400MHz,DMSO−d6) δ(ppm):
0.53−0.63(m,1H);1.67−1.82(m,1H);2.00−2.08(m,1H);3.29(s,3H);4.64(dm,1H, J=64Hz);6.81−6.87(m,1H);7.06−7.13(m,2H);7.28−7.34(m,1H);7.42−7.50(m,2H);7.64−7.68(m,1H);7.99−8.04(m,1H)
【0055】
実施例4(第6工程)
N−(cis−2−フルオロシクロプロピル)−2−[ヒドロキシ−(2−メトキシフェニル)−メチル]−ベンズアミド(F)の製造
化合物(E)(17.5mg、0.0559mmol)のイソプロピルアルコール(0.7mL)溶液に、水(0.1mL)及び水素化ホウ素ナトリウム(11.7mg、0.309mmol)を加えた。80℃にて1時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。ここに飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物(2種の立体異性体の混合物、10.6mg、60%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(cis−major,400MHz,CDCl3) δ(ppm):
0.82−0.96(m,1H);1.16−1.29(m,1H);3.00(br−s,1H);3.69(s,3H);4.61−4.85(m,1H);6.18−6.23(m,1H);6.79−6.87(m,1H);6.99−7.07(m,1H);7.15−7.18(m,1H);7.26−7.35(m,3H);7.46−7.55(m,1H)
【0056】
実施例5(第7工程)
シス−2−フルオロシクロプロピルアミン p−トルエンスルホン酸1水和物(G)の製造
化合物(F)(20.0mg、0.0634mmol)のジエチルエーテル(1.0mL)溶液に、p−トルエンスルホン酸1水和物(12.1mg、0.0636mmol)を加えた。室温にて1時間攪拌後に析出した結晶を濾取し、標題化合物(11.2mg、60%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD) δ(ppm):
1.16−1.29(m,2H);2.36(s,3H);2.63−2.70(m,1H);4.84(dm,1H,J=64Hz);7.23(d,1H,J=8.2Hz);7.70(d,1H,J=8.2Hz)
【0057】
【発明の効果】
本発明の製造方法によって、優れた抗菌剤であるキノロン誘導体の製造原料として有用なシス−2−フルオロシクロプロピルアミンを工業的に有利に製造できる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing cis-2-fluorocyclopropylamine, which is useful as a raw material for producing a quinolone derivative which is an excellent antibacterial agent, and an intermediate for producing the same.
[0002]
[Prior art]
Among the new quinolone-based synthetic antibacterial agents, quinolone derivatives having a cis-2-fluorocyclopropyl group as a substituent at position 1 are expected to be excellent synthetic antibacterial agents because they have both strong antibacterial activity and high safety. However, as a method for producing cis-2-fluorocyclopropylamine useful for constructing the cis-2-fluorocyclopropyl group, there is a method in which butadiene is used as a starting material in four steps. Although it is known (see Non-Patent Document 1), it is industrially disadvantageous because it has low cis selectivity in a fluorocyclopropane ring-forming reaction and uses toxic and expensive reagents. Further, the method of producing 1-phenylalkylamine as a starting material in 5 steps uses diethylzinc which is dangerous in cyclopropanation (see Patent Literature 2 and Patent Literature 3), which is also an industrially unsuitable method. Met.
[0003]
[Patent Document 1]
JP-A-2-231475
[Patent Document 2]
JP-A-5-163212
[Patent Document 3]
JP-A-6-92911
[Non-patent document 1]
Wakayama University Faculty of Education Bulletin 33, 33 (1984)
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a method for producing cis-2-fluorocyclopropylamine which is safe, inexpensive and industrially advantageous.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies on a method for producing a cis-2-fluorocyclopropylamine derivative, and found that in the presence of a phase transfer catalyst, an inexpensive N-vinylpyrrolidone derivative was used to act monofluorocarbene as a starting material. As a result, the present inventors have found that the amine derivative can be produced in high yield, and have completed the present invention.
That is, the present invention provides a compound represented by the general formula (1):
[0006]
Embedded image
[0007]
[Wherein, R 1 Is a phenyl group which may have a substituent or a naphthyl group which may have a substituent, or a linear alkyl group or substituent having 1 to 12 carbon atoms which may have a substituent A cyclic alkyl group having 4 to 12 carbon atoms which may have 2 Is an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms which may have a substituent, an acyl group having 2 to 7 carbon atoms which may have a substituent, an aralkyl group which may have a substituent or A hydrogen atom; R 3 And R 4 May both represent a hydrogen atom, or may form an aromatic or aliphatic ring together with the carbon atom to which they are attached; X is a hydrogen atom, a chlorine atom, a bromine atom or It means an iodine atom. And a compound represented by the formula:
[0008]
The present invention also provides a compound of the general formula (2):
[0009]
Embedded image
[0010]
[Wherein, R 1 , R 3 And R 4 Is as previously defined. And a compound represented by the formula:
[0011]
The present invention also provides a compound of the general formula (3):
[0012]
Embedded image
[0013]
[Wherein, R 1 , R 3 And R 4 Is as previously defined; R 5 Is an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms which may have a substituent, an aralkyl group which may have a substituent or an acyl group having 2 to 7 carbon atoms which may have a substituent. means. A compound represented by the general formula (1):
[0014]
Embedded image
[0015]
[Wherein, R 1 , R 2 , R 3 , R 4 And X are as previously defined. And a method for producing the compound represented by the formula:
[0016]
The present invention also provides a compound of the general formula (1):
[0017]
Embedded image
[0018]
[Wherein, R 1 , R 2 , R 3 , R 4 And X are as previously defined. When X is other than a hydrogen atom, X is removed from the compound represented by the formula 2 When is other than a hydrogen atom, it is deprotected by hydrolysis and further reduced, and is represented by the following general formula (2):
[0019]
Embedded image
[0020]
[Wherein, R 1 , R 3 And R 4 Is as previously defined. And a method for producing the compound.
[0021]
The present invention further provides a compound of the general formula (3):
[0022]
Embedded image
[0023]
[Wherein, R 1 , R 3 , R 4 And R 5 Is as previously defined. Is reacted with a monofluorocarbene to obtain a compound represented by the general formula (1):
[0024]
Embedded image
[0025]
[Wherein, R 1 , R 2 , R 3 , R 4 And X are as previously defined. When X is other than a hydrogen atom, the compound is reduced to remove X; 2 When is other than a hydrogen atom, by deprotection by hydrolysis and further reduction,
[0026]
Embedded image
[0027]
[Wherein, R 1 , R 2 , R 3 And R 4 Is as previously defined. And a method for producing cis-2-fluorocyclopropylamine, which comprises hydrolyzing the compound.
[0028]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Where R 1 Is a phenyl group which may have a substituent or a naphthyl group which may have a substituent, or a linear alkyl group having 1 to 12 carbon atoms which may have a substituent (for example, A methyl group, an ethyl group, an n-propyl group, an isopropyl group, an n-butyl group, a sec-butyl group, a t-butyl group, etc.) or a cyclic alkyl group having 3 to 12 carbon atoms which may have a substituent. (For example, a cyclopropyl group, a cyclopentyl group, a cyclohexyl group, etc.). Examples of the substituent which the phenyl group or the alkyl group may have include an alkyl group having 1 to 3 carbon atoms, an alkoxy group having 1 to 6 carbon atoms, a nitro group, an amino group, a hydroxyl group, a cyano group, and a halogen atom. And the like, but is preferably an alkoxy group having 1 to 6 carbon atoms, and more preferably a methoxy group.
R 2 Is an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms which may have a substituent, an acyl group having 2 to 7 carbon atoms which may have a substituent, an aralkyl group which may have a substituent or Represents a hydrogen atom. Examples of the substituent which the alkyl group, acyl group or aralkyl group can have include those described above. The alkyl group having 1 to 6 carbon atoms which may have a substituent is preferably a methyl group.
R 3 And R 4 May represent a hydrogen atom, or may form an aromatic ring or an aliphatic ring together with the carbon atom to which they are bonded. R 3 And R 4 Is preferably a benzene ring, and an aliphatic ring is preferably a cyclohexane ring. R 3 And R 4 Preferably forms a benzene ring together with the carbon atom to which they are bonded.
R 5 Is an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms which may have a substituent, an acyl group having 2 to 7 carbon atoms which may have a substituent or an aralkyl group which may have a substituent. Represent. Examples of the substituent which the alkyl group, acyl group or aralkyl group can have include those described above. R 5 Is preferably an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms which may have a substituent, and more preferably a methyl group.
X represents a hydrogen atom, a chlorine atom, a bromine atom or an iodine atom in the reaction formula of the following production method, and is preferably a bromine atom.
[0029]
The production method of the present invention can be represented by the following reaction formula.
[0030]
Embedded image
[0031]
That is, a compound represented by the formula (4) (hereinafter, referred to as compound (4); compounds of other numbers are also the same) is used as a starting material, and is reacted with a Grignard reagent to obtain a bulky group R 1 To obtain the corresponding compound (5) (first step), protecting the hydroxy group of the compound (5) to give a compound (3) (second step), and converting the compound (3) to a phase transfer catalyst After treatment with monofluorocarbene in the presence to give compound (1) (third step), deprotection is carried out if desired, and when X is other than a hydrogen atom, X is removed (fourth step); 2 Is a hydrogen atom, deprotection (fifth step), reduction (sixth step), and hydrolysis (seventh step) to obtain cis-2-fluorocyclopropylamine (8). Hereinafter, each step will be described in detail.
[0032]
First step:
The Grignard reaction can be performed according to ordinary conditions. The reaction solvent may be any as long as it does not inhibit the progress of the reaction, and is preferably tetrahydrofuran or ether, and more preferably tetrahydrofuran. The reaction may be carried out in the range of -78 ° C to the boiling point of the solvent, and preferably in the range of 0 ° C to room temperature.
[0033]
Second step:
The alkylation, acylation or aralkylation of the compound (5) is carried out by reacting an alkylating agent, an acylating agent and an aralkylating agent in the presence of a base, respectively. As the alkylating agent, an alkyl halide, an alkyl triflate, or the like can be used, but an alkyl halide is preferable, and methane iodide is more preferable. Examples of the base include metal hydroxides such as potassium hydroxide, sodium hydroxide, magnesium hydroxide, calcium hydroxide, and barium hydroxide; metal hydrides such as sodium hydride; metal alkoxides such as sodium methoxide and sodium ethoxide. And the like. Of these, metal hydrides are preferred, and sodium hydride is more preferred. The reaction is preferably performed in a range from 0 ° C. to room temperature.
[0034]
Third step:
Monofluorocarbene can be generated by reacting monohalogenofluoromethane or dihalogenofluoromethane, preferably dibromofluoromethane or diiodofluoromethane, more preferably dibromofluoromethane with a base in the presence of a phase transfer catalyst. it can.
[0035]
Examples of the phase transfer catalyst include quaternary ammonium salts such as tetraethylammonium chloride, tetrabutylammonium bromide, tetrabutylammonium chloride, tetrabutylammonium iodide, tetrabutylammonium sulfate, trioctylmethylammonium chloride, and triethylbenzylammonium chloride. Examples thereof include quaternary phosphonium salts such as butylphosphonium chloride and crown ethers. Among these, it is preferable to use a crown ether. Examples of crown ethers include 18-crown-6, 12-crown-4, 15-crown-5, 24-crown-8, dibenzo-18-crown-6, cryptand [2.2], and cryptand [2.2. 2] etc., but an appropriate one may be selected according to the counter cation of the base used.
[0036]
As the base, those shown in the second step can be used, and among these, metal hydroxides are preferable, and potassium hydroxide is more preferable. For the use of potassium hydroxide, it is preferred to select 18-crown-6.
[0037]
As a reaction solvent, it is preferable to use a mixture of water and the following organic solvents. Examples of the organic solvent include aromatic solvents such as toluene and benzene, halogenated solvents such as dichloromethane, dichloroethane, chloroform, and carbon tetrachloride; dialkyl ethers (diethyl ether, diisopropyl ether, methyl t-butyl ether, ethyl t-butyl ether, methyl n Ether solvents such as -butyl ether and ethyl n-butyl ether), ester solvents such as ethyl acetate, polar solvents such as tetrahydrofuran, acetonitrile, dimethylformamide and alcohol, and aliphatic solvents such as hexane and cyclohexane. However, it is more preferably dichloromethane, toluene, diisopropyl ether, methyl t-butyl ether, hexane or cyclohexane, and particularly preferably dichloromethane or toluene. Arbitrariness. Further, two or more kinds of organic solvents may be mixed and used.
[0038]
The reaction can be carried out in the temperature range from the freezing point of the solvent to 60 ° C, but is preferably carried out in the temperature range from the freezing point of the solvent to 25 ° C, particularly preferably at 0 ° C.
[0039]
In this step, a trans form is by-produced in addition to the N-2-fluorocyclopropylamide derivative (1) having a desired cis configuration.
The desired configuration is a cis isomer, the “cis” of which is of the following formula:
[0040]
Embedded image
[0041]
As shown in the compound represented by the formula, it means that the fluorine atom substituted on the cyclopropane ring and the isoindolinone ring have a cis configuration when viewed from the plane formed by the cyclopropane ring. In the compounds of the above formula, in the configuration at the 1-position and the 2-position of the cyclopropane ring, when X is a chlorine atom, a bromine atom or an iodine atom, there are (1R, 2R) form and (1S, 2S) form. These may give rise to two more diastereoisomeric stereoisomers due to the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring.
Therefore, in the cis form ((1R, 2R) form and (1S, 2S) form) formed in this step, two diastereomers are present each due to the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring. Then, any one diastereomer is obtained as a main product. The diastereomer obtained as the main product from the (1R, 2R) form and the diastereomer obtained as the main product from the (1S, 2S) form have a mirror image relationship with each other. This racemic cis-form as the main product is referred to herein as “cis-major”. Then, a mixture of two optical isomers which are desired cis isomers but the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring is different from cis-major is referred to as “cis-minor”. cis-minor is also racemic.
Although an undesired trans form is also produced as a by-product, the trans form also has two diastereomers due to the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring. It occurs as an object. The racemic form, which is the main product as the trans form, is referred to herein as "trans-major". Then, a mixture of two optical isomers in which the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring of the trans form is different from trans-major is referred to as “trans-minor”. trans-minor is also racemic.
[0042]
The three-dimensional structure of the product after the fourth step is as follows.
The desired configuration is a cis isomer, the “cis” of which is of the following formula:
[0043]
Embedded image
[0044]
As shown in the compound represented by the formula, it means that the fluorine atom substituted on the cyclopropane ring and the isoindolinone ring have a cis configuration when viewed from the plane formed by the cyclopropane ring. In the compounds of the above formula, in the configuration at the 1-position and the 2-position of the cyclopropane ring, when X is a chlorine atom, a bromine atom or an iodine atom, there are (1R, 2S) form and (1S, 2R) form. , (1R, 2S) -form and (1S, 2R) -form, which may generate two more diastereoisomeric stereoisomers depending on the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring.
Therefore, in the cis-form ((1R, 2S) -form and (1S, 2R) -form) formed in the fourth step, two diastereomers are respectively present due to the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring. Exist and each one of the diastereomers is obtained as the main product. The diastereomer obtained as the main product from the (1R, 2S) form and the diastereomer obtained as the main product from the (1S, 2R) form have a mirror image relationship with each other. This racemic cis-form as the main product is referred to herein as “cis-major”. Then, a mixture of two optical isomers which are desired cis isomers but the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring is different from cis-major is referred to as “cis-minor”. cis-minor is also racemic.
Although an undesired trans form is also produced as a by-product, the trans form also has two diastereomers due to the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring. It occurs as an object. The racemic form, which is the main product as the trans form, is referred to herein as "trans-major". Then, a mixture of two optical isomers in which the configuration at the 3-position of the isoindolinone ring of the trans form is different from trans-major is referred to as “trans-minor”. trans-minor is also racemic.
The solids of the products of the fifth and sixth steps are the same as the solids of the product of the fourth step.
[0045]
Fourth step:
X can be removed, for example, according to the method described in Journal of Fluorine Chemistry, 49, 127-139 (1990). The reaction solvent may be any solvent as long as it does not hinder the progress of the reaction, and ethanol is preferred. The reaction is preferably performed in a temperature range from room temperature to around the boiling point of the solvent. The trans form can be easily separated by ordinary separation methods such as column chromatography and recrystallization.
[0046]
Fifth step:
Dealkylation, deacylation or dearalkylation can be carried out according to usual conditions. For example, in a hydrous solvent, hydrochloric acid, sulfuric acid, nitric acid, hydrofluoric acid, hydrobromic acid, hydroiodic acid, p-toluenesulfonic acid, methanesulfonic acid, trifluoroacetic acid, trichloroacetic acid, acetic acid, formic acid, maleic acid When an inorganic or organic acid such as an acid or fumaric acid is allowed to act, dealkylation proceeds. As the solvent to be mixed with water, any solvent may be used as long as it is inert to the reaction, and ethanol, propanol, acetonitrile, acetone and the like are preferable, and acetone is more preferable. This step may be performed following the third step, if desired.
[0047]
Sixth step:
The cyclic amide (7) can be opened by carrying out a reduction reaction under ordinary conditions. The reducing agent used can usually be selected from sodium borohydride, lithium borohydride, zinc borohydride, sodium cyanoborohydride, sodium alkoxyborohydride and the like. Among them, it is preferable to use sodium borohydride. Any reaction solvent may be used as long as it does not inhibit the progress of the reaction in the reaction, and a mixed solvent of water and a mixed solvent of water and isopropyl alcohol is preferable. The reaction is preferably performed in a temperature range from room temperature to around the boiling point of the solvent.
[0048]
Seventh step:
The cis-2-fluorocyclopropylamide derivative obtained in the above step can be converted to cis-2-fluorocyclopropylamine (8) by hydrolysis under appropriate conditions, preferably in the presence of an acid. And a highly pure cis-isomer can be obtained by distillation or the like. Thereafter, cis-2-fluorocyclopropylamine (8) in a substantially optically pure form can be produced according to a general optical resolution method (for example, JP-A-5-163233).
[0049]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to Examples and Reference Examples, but the present invention is not limited thereto.
[0050]
Reference Example 1 (first step)
Production of 3-hydroxy-3- (2-methoxyphenyl) -2-vinyl-2,3-dihydroisoindol-1-one (A)
Tetrahydrofuran (20 mL) was added to magnesium (1.18 g, 48.5 mmol) and iodine (1 mg), and o-bromoanisole (5.75 mL, 46.2 mmol) was added dropwise thereto at room temperature, followed by stirring for 30 minutes. Thus, Grignard reagent was prepared. A solution of N-vinylphthalimide (4.00 g, 23.1 mmol) in tetrahydrofuran (65 mL) was cooled to 0 ° C., and the Grignard reagent (14.2 mL) prepared here was added dropwise. The mixture was stirred at room temperature for 30 minutes, and the reaction was stopped by adding a saturated ammonium chloride aqueous solution. The reaction mixture was extracted with ethyl acetate, and the organic layer was washed with water and dried over anhydrous sodium sulfate. After evaporating the solvent under reduced pressure, hexane was added to the precipitated crystals, and the mixture was stirred for 30 minutes. Then, the crystals were collected by filtration to obtain the title compound (6.02 g, 93%) as white crystals.
1 H-NMR (400 MHz, DMSO-d 6 ) Δ (ppm):
3.24 (s, 3H); 4.27 (d, 1H, J = 9.9 Hz); 4.72 (d, 1H, J = 16.5 Hz); 6.67 (dd, 1H, J = 16) 6.82-6.85 (m, 1H); 7.04-7.10 (m, 1H); 7.15-7.18 (m, 1H); 7.28 -7.34 (m, 1H); 7.47 to 7.56 (m, 2H); 7.73 to 7.76 (m, 1H); 8.02 to 8.04 (m, 1H).
[0051]
Reference Example 2 (second step)
Production of 3-methoxy-3- (2-methoxyphenyl) -2-vinyl-2,3-dihydroisoindol-1-one (B)
A solution of compound (A) (5.00 g, 17.8 mmol) in dimethylformamide (50 mL) was cooled to 0 ° C., and sodium hydride (content 55%, 1.55 g, 35.5 mmol) was added thereto in small portions. The mixture was stirred at room temperature for 15 minutes, methyl iodide (2.20 mL, 35.5 mmol) was added dropwise, and the mixture was stirred for 1 hour. The reaction was stopped by adding a saturated aqueous ammonium chloride solution. The reaction mixture was extracted with ethyl acetate, and the organic layer was washed with water and then dried over anhydrous sodium sulfate. After evaporating the solvent under reduced pressure, hexane was added to the precipitated crystals, and the mixture was stirred for 30 minutes, and the crystals were collected by filtration to obtain the title compound (4.68 g, 89%) as white crystals.
1 H-NMR (400 MHz, CDCl 3 ) Δ (ppm):
2.97 (s, 3H); 3.37 (s, 3H); 4.35 (d, 1H, J = 9.9 Hz); 4.77 (d, 1H, J = 16.5 Hz); 71-6.74 (m, 1H); 6.90 (dd, 1H, J = 16.5, 9.9 Hz); 7.03-7.09 (m, 1H); 7.14-7.17. (M, 1H); 7.26-7.33 (m, 1H); 7.47-7.50 (m, 2H); 7.86-7.90 (m, 1H); 8.06-8 .10 (m, 1H)
[0052]
Example 1 (third step)
Production of 2- (2-bromo-2-fluorocyclopropyl) -3-methoxy-3- (2-methoxyphenyl) -2,3-dihydroisoindol-1-one (C)
A solution of compound (B) (102 mg, 0.346 mmol), 18-crown-6-ether (18.0 mg, 0.068 mmol) and dibromofluoromethane (260 mg, 1.36 mmol) in dichloromethane (1.3 mL) was added at 0 ° C. , And a saturated aqueous potassium hydroxide solution (2.0 mL) was slowly added dropwise thereto. After stirring at 0 ° C. for 5 hours, a saturated ammonium chloride aqueous solution was added to stop the reaction. The reaction mixture was extracted with ethyl acetate, and the organic layer was washed with water and then dried over anhydrous sodium sulfate. After evaporating the solvent under reduced pressure, the residue was purified by silica gel column chromatography to obtain the title compound (mixture of 8 stereoisomers, 114 mg, 83%) as a colorless oil. Unreacted compound (B) was recovered (9.9 mg, 10%).
1 H-NMR (cis-major, 400 MHz, CDCl 3 ) Δ (ppm):
1.26 (dd, 1H, J = 19, 10 Hz); 2.22 (ddd, 1H, J = 19, 9.0, 6.4 Hz); 2.78 (dd, 1H, J = 10, 6. 4.37 (s, 3H); 6.73-6.77 (m, 1H); 7.05-7.11 (m, 2H); 7.29-7.36 (m, 1H) 7.45-7.48 (m, 2H); 7.85-7.88 (m, 1H); 8.03-8.06 (m, 1H).
[0053]
Example 2 (fourth step)
Production of 2- (cis-2-fluorocyclopropyl) -3-methoxy-3- (2-methoxyphenyl) -2,3-dihydroisoindol-1-one (D)
Raney nickel (washed three times with ethanol, 0.1 mL) was added to a solution of compound (C) (92 mg, 0.226 mmol) and ethylenediamine (0.09 mL, 1.35 mmol) in ethanol (4.3 mL). After replacing the inside of the reaction system with hydrogen and stirring for 10 hours, the reaction solution was diluted with ethyl acetate and filtered through silica gel. After evaporating the solvent under reduced pressure, the residue was subjected to silica gel column chromatography to obtain the title compound (cis-major body, 29 mg, 39%) as white crystals. In addition, 14 mg (19%), 7.4 mg (10%) and 5.9 mg (8%) of a cis-minor form, a trans-major form and a trans-minor form were obtained, respectively.
1 H-NMR (cis-major, 400 MHz, CDCl 3 ) Δ (ppm):
0.62 (dddd, 1H, J = 15, 8.8, 8.6, 6.1 Hz); 1.59 (dddd, 1H, J = 24, 9.3, 6.1, 3.3 Hz); 2.14-2.22 (m, 1H); 2.94 (s, 3H); 3.37 (s, 3H); 4.68 (dddd, 1H, J = 64, 8.6, 5.0). , 3.3 Hz); 6.73-6.76 (m, 1H); 7.03-7.13 (m, 2H); 7.29-7.35 (m, 1H); 7.41-7. .49 (m, 2H); 7.84-7.90 (m, 1H); 8.09-8.12 (m, 1H)
[0054]
Example 3 (fifth step)
Production of 2- (cis-2-fluorocyclopropyl) -3-hydroxy-3- (2-methoxyphenyl) -2,3-dihydroisoindol-1-one (E)
To a solution of compound (D) (cis-major body, 12.1 mg, 0.037 mmol) in tetrahydrofuran (1 mL) was added 1 N hydrochloric acid (0.5 mL). After stirring at 100 ° C. for 1 hour, the mixture was cooled to room temperature and water was added. The reaction mixture was extracted with ethyl acetate, and the organic layer was washed with water and saturated saline, and then dried over anhydrous sodium sulfate. After evaporating the solvent under reduced pressure, the residue was purified by silica gel column chromatography to obtain the title compound (a mixture of two stereoisomers, 9.1 mg, 79%) as white crystals.
1 H-NMR (cis-major, 400 MHz, DMSO-d 6 ) Δ (ppm):
0.53-0.63 (m, 1H); 1.67-1.82 (m, 1H); 2.00-2.08 (m, 1H); 3.29 (s, 3H); 64 (dm, 1H, J = 64 Hz); 6.81-6.87 (m, 1H); 7.06-7.13 (m, 2H); 7.28-7.34 (m, 1H); 7.42-7.50 (m, 2H); 7.64-7.68 (m, 1H); 7.99-8.04 (m, 1H)
[0055]
Example 4 (sixth step)
Production of N- (cis-2-fluorocyclopropyl) -2- [hydroxy- (2-methoxyphenyl) -methyl] -benzamide (F)
To a solution of compound (E) (17.5 mg, 0.0559 mmol) in isopropyl alcohol (0.7 mL), water (0.1 mL) and sodium borohydride (11.7 mg, 0.309 mmol) were added. After stirring at 80 ° C. for 1 hour, the solvent was distilled off under reduced pressure. A saturated aqueous ammonium chloride solution was added thereto, and the mixture was extracted with ethyl acetate. The organic layer was washed with saturated saline and dried over anhydrous sodium sulfate. After evaporating the solvent under reduced pressure, the residue was subjected to silica gel column chromatography to obtain the title compound (a mixture of two stereoisomers, 10.6 mg, 60%) as white crystals.
1 H-NMR (cis-major, 400 MHz, CDCl 3 ) Δ (ppm):
0.82-0.96 (m, 1H); 1.16-1.29 (m, 1H); 3.00 (br-s, 1H); 3.69 (s, 3H); 4.61- 6.85 (m, 1H); 6.18-6.23 (m, 1H); 6.79-6.87 (m, 1H); 6.99-7.07 (m, 1H); 15-7.18 (m, 1H); 7.26-7.35 (m, 3H); 7.46-7.55 (m, 1H)
[0056]
Example 5 (seventh step)
Production of cis-2-fluorocyclopropylamine p-toluenesulfonic acid monohydrate (G)
To a solution of compound (F) (20.0 mg, 0.0634 mmol) in diethyl ether (1.0 mL) was added p-toluenesulfonic acid monohydrate (12.1 mg, 0.0636 mmol). After stirring at room temperature for 1 hour, the precipitated crystals were collected by filtration to give the title compound (11.2 mg, 60%) as white crystals.
1 H-NMR (400 MHz, CD 3 OD) δ (ppm):
1.6-1.29 (m, 2H); 2.36 (s, 3H); 2.63-2.70 (m, 1H); 4.84 (dm, 1H, J = 64 Hz); 23 (d, 1H, J = 8.2 Hz); 7.70 (d, 1H, J = 8.2 Hz)
[0057]
【The invention's effect】
By the production method of the present invention, cis-2-fluorocyclopropylamine, which is useful as a raw material for producing a quinolone derivative which is an excellent antibacterial agent, can be industrially advantageously produced.