【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車の電装部品、エンジン補機であるオルタネータや中間プーリ、カーエアコン用電磁クラッチ等のような高温、高速、高荷重及び振動の激しい条件下で使用され、更に−40℃という極低温での流動性が要求される部品に使用されるグリース組成物、並びに前記グリース組成物を封入した転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車は小型軽量化を目的としたFF(フロントエンジンフロントドライブ)車の普及により、更には居住空間拡大の要望により、エンジンルーム空間の減少を余儀なくされ、上記に挙げたような電装部品やエンジン補機の小型軽量化がより一層進められており、それに組み込まれる各部品も高性能高出力化がますます求められている。しかし、小型化により出力の低下は避けられず、例えばオルタネータやカーエアコン用電磁クラッチでは高速化することにより出力の低下分を補っており、それに伴って中間プーリも高速化することになる。更に、静粛性向上の要望によりエンジンルームの密閉化が進み、エンジンルーム内の高温化が促進されるため、これらの部品は高温に耐えることも必要となっている。
【0003】
高温での焼付き寿命を向上させるために従来より種々の提案がなされており、トリメリット酸エステル油を含有する基油にウレア化合物を増ちょう剤として配合したグリースが広く使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【特許文献1】
特公平7−45677号公報
【特許文献2】
特許第3290010号公報
【特許文献3】
特許第3330755号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
自動車は世界各国で使用されており、その使用環境も多様であり、要求される特性もそれに応じて多様となっている。例えば、寒冷地ではエンジン起動時に潤滑剤の流動性不足による異音が発生しないことに対する要求が高く、熱帯雨林地域や海洋が近い地域では大気中の湿度や塩分濃度が高いため防錆性に対する要求が高い。
【0005】
しかし、このような多様な要求に対して、上記に挙げたグリースをはじめとして十分に対応し得るグリースは未だ得られていない。そこで、本発明は、−40℃の極低温でも異音を発することがなく、180℃に近い高温下でも優れた耐焼付き性を備え、更に防錆性能にも優れ、特に上記した電装部品やエンジン補機等に好適なグリース組成物並びに転がり軸受を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、リチウムコンプレックス石けんまたはN−置換テレフタラミン酸金属塩を配合した増ちょう剤と、芳香族エステル油を含有する基油とを組み合わせることにより、極低温から高温までの広い温度範囲にわたり優れた潤滑性能を示し、低温での異音の発生もなく、軸受の焼付き性能を大幅に改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、芳香族エステル油を含有する基油に、増ちょう剤としてリチウムコンプレックス石けんまたはN−置換テレフタラミン酸金属塩を配合してなることを特徴とする自動車電装補機用グリース組成物を提供する。更に、防錆剤として、カルボン酸またはカルボン酸塩からなる防錆剤、エステル系防錆剤及びアミン系防錆剤から選択される2種以上を含有することが好ましく、これにより十分な防錆性が付与される。また、これらの防錆剤は環境への悪影響も無い。
【0008】
また、本発明は、内輪と外輪との間に、保持器により複数の転動体を転動自在に保持するとともに、上記のグリース組成物を封入してなることを特徴とする転がり軸受を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動車電装補機用グリース組成物(以下、単に「グリース組成物」という)及び転がり軸受に関して詳細に説明する。
【0010】
(グリース組成物)
〔基油〕
本発明のグリース組成物において、基油は芳香族エステル油を含有する。芳香族エステル油の中でも、下記(I)式に示すトリメリット酸エステル油が好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】
(I)式中、R1、R2、R3は飽和または不飽和の直鎖または分岐炭化水素基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。また、炭素数は6〜10であることが好ましい。
【0013】
また、芳香族エステル油として下記(II)式に示すピロメリット酸エステル油も好ましい。
【0014】
【化2】
【0015】
(II)式中、R4、R5、R6、R7は飽和または不飽和の直鎖または分岐炭化水素基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。また、炭素数は6〜10であることが好ましい。
【0016】
従来より、耐熱性に優れる潤滑油として、ポリフェニルエーテル油、シリコーン油、フッ素油等が知られている。しかし、これらの潤滑油は何れも非常に高価であり、しかもシリコーン油やフッ素油は一般的に潤滑性に劣るという問題を抱えている。これに対し、上記芳香族エステル油は、比較的安価であり、更に耐熱性や耐酸化性、耐摩耗性等に優れるという利点を有する。特に、(I)式及び(II)式で表され、炭素数6〜10の炭化水素基を有するトリメリット酸エステル油及びピロメリット酸エステル油は、流動点も低く、粘度指数も高いため、極低温から高温まで広い使用温度が要求される自動車電装補機には好適である。特に、トリメリット酸エステル油は流動点が低く、好ましい。
【0017】
このような炭素数6〜10の炭化水素基を有するトリメリット酸エステル油及びピロメリット酸エステル油は市場からも入手でき、トリメリット酸エステル油として花王(株)製「トリメックスT−08」、「トリメックスN−08」、旭電化(株)製「アデカプルーバーT−45」、「アデカプルーバーT−90」、「アデカプルーバーPT−50」、UNIQEMA社製「EMKARATE8130」、「EMKARATE9130」等、ピロメリット酸エステル油として旭電化(株)製「アデカプルーバーLX−1891」、「アデカプルーバーLX−1892」等が挙げられる。
【0018】
上記芳香族エステル油の含有量は、基油全量の30質量%以上が好ましい。芳香族エステル油の含有量が30質量%を下回ると、高温での焼付きを起こしやすくなり、更には耐摩耗性も十分に発現しなくなる。併用できる潤滑油としては、流動点が低く、耐熱性や耐酸化性等に優れるものが好ましく、合成炭化水素油、エーテル油、エステル油が好適である。具体的には、合成炭化水素油としてポリ−α−オレフィン油等、エーテル系油としてアルキルジフェニルエーテル、アルキルトリフェニルエーテル等、エステル油としてジエステル油、ネオペンチル型ポリオールエステル油及びこれらのコンプレックスエステル油等をそれぞれ挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、適宜組み合わせて使用することもできる。中でも、極低温での異音発生を考慮した低音流動性に加え、高温、高速、高荷重及び振動の激しい条件下での潤滑性能や焼付き寿命の向上を考慮すると、ペンタエリスリトールエステル油等のポリオールエステル油や合成炭化水素油との併用が好ましい。
【0019】
また、基油は、40℃における動粘度が30〜150mm2/sであることが好ましく、低温流動性を勘案すると40〜100mm2/sがより好ましい。
【0020】
〔増ちょう剤〕
上記基油には、増ちょう剤としてリチウムコンプレックス石けんまたはN−置換テレフタラミン酸金属塩が配合される。
【0021】
リチウムコンプレックス石けんは、リチウムを金属源とし、少なくとも1個のヒドロキシル基を含む炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸と、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸とから合成される。炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸としては、9−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、9,10−ジヒドロキシステアリン酸等が挙げられるが、好ましくは12−ヒドロキシステアリン酸である。炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられるが、好ましくはアゼアライン酸である。また、炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸との合計量に占める炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸の割合は、20〜40質量%であることが重要である。前記割合が20質量%未満及び40質量%を超えると、熱的に安定なリチウムコンプレックス石けんが得られない。
【0022】
N−置換テレフタラミン酸金属塩は、下記(III)式で表される。
【0023】
【化3】
【0024】
(III)式中、R8は直鎖、分岐または環式の飽和または不飽和の1価の炭化水素基であり、Meは金属であり、nは金属の原子価に等しい数である。また、直鎖または分岐の炭化水素基の場合は炭素数10〜32、好ましくは12〜22であり、環式の場合は炭素数6〜28、好ましくは7〜22である。炭素数が前記の下限値を下回る場合、N−置換テレフタラミン酸金属塩を増ちょう剤としたときに基油が分散し難く、基油が分離する傾向がある。一方、炭素数が前記の上限値を上回るようなN−置換テレフタラミン酸金属塩は、工業的に製造するには現実的ではない。このようなR8として、デシル基、テトラデシル基、ハキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ブチルフェニル基等を好適に挙げることができる。
【0025】
また、Meとしてはリチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム等が挙げられ、ナトリウム、バリウム、リチウム、カリウムが好ましく、特にナトリウムが好ましい。
【0026】
上記のリチウムコンプレックス石けんまたはN−置換テレフタラミン酸金属塩は、グリース組成物全量に対して5〜35質量%配合される。配合量が5質量%未満ではグリース状態を維持することが困難となり、35質量%を超える場合はグリースが硬化しすぎて十分な潤滑効果を発揮することができない。より高温、高速、高荷重、高振動条件にも耐え得ることを考慮すると、高温、高せん断によるグリース軟化、また潤滑効果を勘案して配合量を10〜30質量%とすることが好ましい
【0027】
また、グリース組成物の混和ちょう度は220〜340が好ましい。
【0028】
グリース組成物には、その性能を一層高めるため、必要に応じて各種の添加剤を含有させることができる。本発明の用途である自動車電装補機用軸受では高い防錆性が要求さていることから、防錆剤の添加は特に望ましい。防錆剤の中でも、環境負荷の少ないカルボン酸及びカルボン酸塩からなる防錆剤、エステル系防錆剤、アミン系防錆剤が好ましい。これらは十分な防錆性能を発揮するために2種以上を混合して使用され、そのグリース組成物全量に対する含有量は、合計量で0.2〜10質量%であり、かつ個々の防錆剤は0.1〜9.9質量%である。耐焼付性は基油量が多いほど向上することから、防錆剤は合計で0.2〜6質量%、単独で0.1〜5.9質量%とすることが好ましい。
【0029】
カルボン酸及びカルボン酸塩からなる防錆剤、エステル系防錆剤、アミン系防錆剤には制限がないが、以下に好ましい例を示す。カルボン酸及びカルボン酸塩として、ステアリン酸等のモノカルボン酸、アルキルまたはアルケニルコハク酸及びその誘導体等のジカルボン酸、ナフテン酸、アビエチン酸、ラノリン脂肪酸またはアルケニルコハク酸のカルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉛等の金属塩等が挙げられるが、中でもアルケニルコハク酸、ナフテン酸亜鉛が好適である。エステル系防錆剤として、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタエリスリットモノオレエートやコハク酸ハーフエステル等の多価アルコールのカルボン酸部分エステル等が挙げられるが、中でもソルビタンモノオレエート、コハク酸ハーフエステルが好適である。アミン系防錆剤としては、アルコキシフェニルアミン、二塩基性カルボン酸の部分アミド等が好適である。
【0030】
その他の添加剤としては、アミン系、フェノール系、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛等の酸化防止剤、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン等の極圧剤、脂肪酸、動植物油等の油性向上剤、ベンゾトリアゾールの金属不活性剤等が挙げられ、これらを単独または2種以上組み合わせて添加することができる。これら添加剤の添加量は、本発明の所期の目的を達成できれば特に限定されるものではなく、適宜設定される。
【0031】
(転がり軸受)
本発明はまた、上記のグリース組成物を封入した転がり軸受に関する。転がり軸受の種類や構成、構造には制限はないが、例えば図1に示す玉軸受1を例示することができる。この玉軸受1は、内輪10と外輪11との間に、保持器12を介して複数の転動体である玉13を転動自在に保持し、更に、内輪10と外輪11と玉13とで形成される軸受空間Sに、上記のグリース組成物(図示せず)を充填し、シール部材14により封止して構成されている。封入量には制限がないが、軸受空間Sの25〜45体積%を占めることが好ましい。
【0032】
本発明の転がり軸受は、上記のグリース組成物が封入されているため、高温、高速、高荷重及び振動の激しい条件下でも良好に作動し、更には−40℃という極低温でも異音が発生せず、自動車電装補機用として好適である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0034】
(試験グリースの調製)
表1に示す配合にて、試験グリースを調製した。その際、ナトリウムテレフタラメートグリースを得るために、N−オクタデシルテレフタラミン酸のメチルエステルを基油に入れ、130℃に加熱して溶解し、その後100℃に冷却して50%水酸化ナトリウム水溶液を加えて十分に攪拌しながら徐々に加熱しケン化を行った。ケン化終了後、150℃において更に基油を加え、最高温度200℃まで加熱して反応を終了させ、酸化防止剤及び防錆剤を加えてミル処理及び脱泡処理した。
【0035】
また、リチウムコンプレックス石けん及びウレア化合物を増ちょう剤とする試験グリースは、通常の方法に従い調製した。
【0036】
尚、何れの試験グリースも、防錆剤の配合量は合計で2質量%とし、酸化防止剤の種類、配合量は共通とした。
【0037】
上記の如く調製した試験グリースを用いて下記に示す(1)焼付き試験、(2)低温異音試験、(3)高温ちょう度変化試験及び(4)防錆試験を行った。結果を表1に併記する。
【0038】
(1)焼付き試験
内径φ25mm、外径φ62mm、幅17mmの接触ゴムシール付き単列深溝玉軸受(図1参照)に、試験グリースを3.5g封入して試験軸受を作製した。そして、外輪回転速度10000min−1、軸受温度170℃、ラジアル荷重98N、アキシアル荷重1470Nの条件で連続回転させ、軸受外輪温度が15℃上昇したときに焼付きと見做し、試験を終了した。焼付き時間が1000時間以上を合格とした。
【0039】
(2)低温異音試験
内径φ25mm、外径φ62mm、幅17mmの接触ゴムシール付き単列深溝玉軸受に、試験グリースを3.5g封入して試験軸受を作製した。そして、−40℃で、アキシアル荷重980Nの条件で内輪を回転速度1800min−1で5秒回転した後3600min−1で5秒回転する操作を5回繰り返して行い、異音の発生の有無を確認した。異音が発生した場合を不合格とした。
【0040】
(3)高温ちょう度変化試験
試験グリースを鉄板上に3mm厚の膜状に塗布し、170℃環境下に240時間放置した。放置後に混和ちょう度を測定し、放置前の混和ちょう度と比較した。混和ちょう度の変化が±100を超える場合を不合格とした。
【0041】
(4)防錆試験
内径φ17mm、外径φ47mm、幅14mmの単列深溝玉軸受に、試験グリースを2.7g封入し、更に0.1%塩化ナトリウム水溶液を軸受内部に0.3mL注入し、非接触シールを取り付けて試験軸受を作製した。試験軸受を回転させて試験グリース及び塩化ナトリウム水溶液を軸受内部に行き渡らせた後、60℃、70%RHの環境下に3日間放置した。放置後、試験軸受を分解して、内輪軌道面を観察して錆の発生の有無を確認した。錆が発生している場合を不合格とした。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
表1に示すように、本発明に従い、芳香族エステル油を含む基油と、リチウムコンプレックス石けんまたはナトリウムテレフタラメートを増ちょう剤とする実施例の試験グリースは、高温での混和ちょう度の変化も少なく、高温耐久性に優れる。また、実施例の試験グリースを封入することにより、軸受の焼付き寿命を改善でき、低温での異音の発生も抑えることができ、更には防錆性も向上する。これに対し、比較例1のように、芳香族エステル油を含む基油を用いても、増ちょう剤にトリウレア化合物を用いると、高温耐久性に劣り、低温で異音も発生するようになる。また、比較例2及び比較例3のように、コンプレックス石けんまたはナトリウムテレフタラメートを増ちょう剤に用いても基油に芳香族エステル油を含まないものは、共通して低温異音が発生し、防錆性能も低下する。
【0045】
(芳香族エステル油の含有量の検証)
実施例5の試験グリースの配合に従い、トリメリット酸エステル油とペンタエリスリトールエステル油との配合比を変えた基油を用いて試験グリースを調製した。そして、試験グリースを用いて上記(1)焼付き試験を行った。
【0046】
図2に、トリメリット酸エステル油の含有量と焼付き寿命との関係をグラフにして示す。尚、焼付き寿命は、ペンタエリスリトールエステル油単独(100%)の対する相対値で示してある。図示されるように、トリメリット酸エステル油を30質量%以上の含有することにより、焼付き寿命が特に良好になることがわかる。
【0047】
(増ちょう剤配合量の検証)
実施例1の試験グリースの配合に従い、増ちょう剤の配合量を変えて試験グリースを調製した。そして、試験グリースを用いて上記(1)焼付き試験を行った。
【0048】
図3に、増ちょう剤の配合量と焼付き寿命との関係をグラフにして示す。尚、焼付き寿命は、比較例3に対する相対値で示してある。図示されるように、増ちょう剤を5〜35質量%、特に10〜30質量%配合することにより、焼付き寿命が良好になることがわかる。
【0049】
(基油の流動点と低温異音発生との関係)
流動点−55℃のペンタエリスリトールエステルと流動点−20℃のピロメリット酸エステルとを用いて流動点の異なる基油を調製し、各基油にLiコンプレックス石けんを配合して試験グリースを調製した。尚、増ちょう剤の配合量は一定で、混和ちょう度No.2に調整した。そして、試験グリースを用いて上記(2)低温異音試験を行った。
【0050】
図4に、基油の流動点と異音発生との関係を示すが、基油の流動点が−30℃以下であると、異音が発生しないことがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、−40℃の極低温でも異音を発することがなく、180℃に近い高温下でも優れた耐焼付き性を備え、更には防錆性能にも優れる自動車電装補機用グリース組成物が提供される。また、本発明によれば、電装部品やエンジン補機等に好適な転がり軸受が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり軸受の一実施形態である玉軸受を示す断面図である。
【図2】実施例で得られた、トリメリット酸エステル油の含有量と相対焼付き寿命との関係を示すグラフである。
【図3】実施例で得られた、増ちょう剤量と相対焼付き寿命との関係を示すグラフである。
【図4】実施例で得られた、基油流動点と低温時異音発生との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 玉軸受
10 内輪
11 外輪
12 保持器
13 玉
14 シール[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention is used under high-temperature, high-speed, high-load, and severe-vibration conditions, such as alternators and intermediate pulleys as engine auxiliary equipment, electromagnetic clutches for car air conditioners, and the like. The present invention relates to a grease composition used for parts requiring fluidity at extremely low temperatures, and a rolling bearing enclosing the grease composition.
[0002]
[Prior art]
The spread of FF (Front Engine Front Drive) vehicles for the purpose of reducing the size and weight of automobiles, and the demand for larger living spaces, forced the reduction of the engine room space. Machines are becoming smaller and lighter, and the components incorporated therein are also required to have higher performance and higher output. However, a reduction in output is unavoidable due to miniaturization. For example, in an alternator or an electromagnetic clutch for a car air conditioner, a reduction in output is compensated for by increasing the speed, and accordingly, the speed of the intermediate pulley also increases. Further, the demand for improved quietness increases the sealing of the engine room and promotes a high temperature in the engine room. Therefore, these parts also need to withstand high temperatures.
[0003]
Conventionally, various proposals have been made to improve the seizure life at high temperatures, and greases in which a urea compound is added as a thickener to a base oil containing trimellitate ester oil are widely used (for example, Patent Document 1, Patent Document 2, Patent Document 3).
[Patent Document 1]
Japanese Patent Publication No. Hei 7-45677 [Patent Document 2]
Japanese Patent No. 3290010 [Patent Document 3]
Japanese Patent No. 3330755
[Problems to be solved by the invention]
Automobiles are used all over the world, the usage environments are diverse, and the required characteristics are correspondingly diverse. For example, in cold regions, there is a high demand for noise generation due to lack of fluidity of the lubricant when starting the engine, and in rainforest regions and regions close to the ocean, high humidity and salt concentrations in the atmosphere require high rust prevention. Is high.
[0005]
However, greases that can sufficiently respond to such various demands, including the greases described above, have not yet been obtained. Therefore, the present invention does not generate abnormal noise even at an extremely low temperature of -40 ° C., has excellent seizure resistance even at a high temperature close to 180 ° C., and has excellent rust prevention performance. An object of the present invention is to provide a grease composition and a rolling bearing suitable for engine accessories and the like.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to solve the above problems, and as a result, combining a thickener containing lithium complex soap or N-substituted terephthalamic acid metal salt with a base oil containing an aromatic ester oil. As a result, it has been found that excellent lubrication performance is exhibited over a wide temperature range from extremely low temperature to high temperature, no abnormal noise occurs at low temperature, and the seizure performance of the bearing can be significantly improved, and the present invention has been completed. .
[0007]
That is, the present invention provides a grease composition for automotive electrical accessories, which is obtained by compounding a lithium complex soap or a metal salt of N-substituted terephthalamic acid as a thickener with a base oil containing an aromatic ester oil. I will provide a. Further, as a rust preventive, it is preferable to contain two or more kinds selected from a rust preventive comprising a carboxylic acid or a carboxylate, an ester rust preventive, and an amine rust preventive. Is imparted. Further, these rust preventive agents have no adverse effect on the environment.
[0008]
The present invention also provides a rolling bearing characterized in that a plurality of rolling elements are rotatably held by a retainer between an inner ring and an outer ring, and the grease composition is sealed therein. .
[0009]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the grease composition (hereinafter, simply referred to as “grease composition”) and the rolling bearing of the present invention will be described in detail.
[0010]
(Grease composition)
(Base oil)
In the grease composition of the present invention, the base oil contains an aromatic ester oil. Among the aromatic ester oils, trimellitic acid ester oils represented by the following formula (I) are preferable.
[0011]
Embedded image
[0012]
(I) In the formula, R1, R2, and R3 are saturated or unsaturated linear or branched hydrocarbon groups, which may be the same or different. Moreover, it is preferable that carbon number is 6-10.
[0013]
Further, a pyromellitic acid ester oil represented by the following formula (II) is also preferable as the aromatic ester oil.
[0014]
Embedded image
[0015]
(II) In the formula, R4, R5, R6, and R7 are saturated or unsaturated linear or branched hydrocarbon groups, which may be the same or different. Moreover, it is preferable that carbon number is 6-10.
[0016]
Conventionally, polyphenyl ether oil, silicone oil, fluorine oil and the like have been known as lubricating oils having excellent heat resistance. However, these lubricating oils are all very expensive, and silicone oil and fluorine oil generally have a problem of poor lubricity. On the other hand, the aromatic ester oil has an advantage that it is relatively inexpensive and has excellent heat resistance, oxidation resistance, abrasion resistance and the like. In particular, trimellitic acid ester oil and pyromellitic acid ester oil represented by the formulas (I) and (II) and having a hydrocarbon group having 6 to 10 carbon atoms have a low pour point and a high viscosity index. It is suitable for automotive electrical accessories that require a wide operating temperature from extremely low to high temperatures. In particular, trimellitic acid ester oil has a low pour point and is preferred.
[0017]
Such trimellitic acid ester oils and pyromellitic acid ester oils having a hydrocarbon group having 6 to 10 carbon atoms are also available from the market, and "TOMEX T-08" manufactured by Kao Corporation as trimellitic acid ester oil. , "Tremex N-08", "Adeka Plover T-45", "Adeka Plover T-90", "Adeka Plover PT-50" manufactured by Asahi Denka Co., Ltd., "EMKARATE 8130" manufactured by UNIQEMA, " Examples of pyromellitic acid ester oils include "ADEKA PROVER LX-1891" and "ADEKA PROVER LX-1892" manufactured by Asahi Denka Co., Ltd.
[0018]
The content of the aromatic ester oil is preferably 30% by mass or more based on the total amount of the base oil. When the content of the aromatic ester oil is less than 30% by mass, seizure at a high temperature is apt to occur, and the wear resistance is not sufficiently exhibited. As the lubricating oil that can be used in combination, those having a low pour point and excellent heat resistance and oxidation resistance are preferable, and synthetic hydrocarbon oils, ether oils, and ester oils are preferable. Specifically, poly-α-olefin oils and the like as synthetic hydrocarbon oils, alkyl diphenyl ethers and alkyl triphenyl ethers as ether oils, diester oils as ester oils, neopentyl type polyol ester oils and complex ester oils thereof, etc. Each can be mentioned. These may be used alone or in combination as appropriate. Above all, in addition to low sound fluidity in consideration of generation of abnormal noise at extremely low temperature, improvement of lubrication performance and seizure life under high temperature, high speed, high load and severe vibration conditions, pentaerythritol ester oil etc. A combination with a polyol ester oil or a synthetic hydrocarbon oil is preferred.
[0019]
The base oil preferably has a kinematic viscosity at 40 ° C. of 30 to 150 mm 2 / s, and more preferably 40 to 100 mm 2 / s in consideration of low-temperature fluidity.
[0020]
[Thickener]
Lithium complex soap or N-substituted terephthalamic acid metal salt is blended with the above base oil as a thickener.
[0021]
Lithium complex soap is synthesized from a hydroxyaliphatic monocarboxylic acid having 12 to 24 carbon atoms containing lithium as a metal source and containing at least one hydroxyl group, and an aliphatic dicarboxylic acid having 2 to 12 carbon atoms. Examples of the hydroxy aliphatic monocarboxylic acid having 12 to 24 carbon atoms include 9-hydroxystearic acid, 10-hydroxystearic acid, 12-hydroxystearic acid, and 9,10-dihydroxystearic acid. Hydroxystearic acid. Examples of the aliphatic dicarboxylic acid having 2 to 12 carbon atoms include oxalic acid, malonic acid, succinic acid, glutaric acid, adipic acid, pimelic acid, speric acid, azelaic acid, sebacic acid, dodecane diacid, and the like. Azerainic acid. The proportion of the aliphatic dicarboxylic acid having 2 to 12 carbon atoms in the total amount of the hydroxy aliphatic monocarboxylic acid having 12 to 24 carbon atoms and the aliphatic dicarboxylic acid having 2 to 12 carbon atoms is 20 to 40% by mass. It is important that If the ratio is less than 20% by mass or more than 40% by mass, thermally stable lithium complex soap cannot be obtained.
[0022]
The N-substituted terephthalamic acid metal salt is represented by the following formula (III).
[0023]
Embedded image
[0024]
(III) In the formula, R8 is a linear, branched or cyclic, saturated or unsaturated, monovalent hydrocarbon group, Me is a metal, and n is a number equal to the valence of the metal. In the case of a linear or branched hydrocarbon group, it has 10 to 32 carbon atoms, preferably 12 to 22 carbon atoms, and in the case of a cyclic hydrocarbon group, it has 6 to 28 carbon atoms, preferably 7 to 22 carbon atoms. When the number of carbon atoms is lower than the lower limit, when the metal salt of N-substituted terephthalamic acid is used as a thickener, the base oil is difficult to disperse and the base oil tends to separate. On the other hand, an N-substituted terephthalamic acid metal salt having a carbon number exceeding the upper limit is not practical for industrial production. As such R8, a decyl group, a tetradecyl group, a hexadecyl group, an octadecyl group, a cyclohexyl group, a benzyl group, a phenyl group, a tolyl group, a butylphenyl group and the like can be preferably mentioned.
[0025]
Examples of Me include lithium, potassium, magnesium, calcium, barium, zinc, and aluminum, and sodium, barium, lithium, and potassium are preferable, and sodium is particularly preferable.
[0026]
The lithium complex soap or the N-substituted terephthalamic acid metal salt is blended in an amount of 5 to 35% by mass based on the total amount of the grease composition. When the amount is less than 5% by mass, it is difficult to maintain the grease state, and when the amount exceeds 35% by mass, the grease is excessively hardened and cannot exert a sufficient lubricating effect. Considering that it can withstand higher temperature, high speed, high load, and high vibration conditions, it is preferable to set the blending amount to 10 to 30% by mass in consideration of grease softening due to high temperature and high shear, and a lubricating effect. ]
In addition, the mixing consistency of the grease composition is preferably from 220 to 340.
[0028]
The grease composition may contain various additives as needed to further enhance its performance. It is particularly desirable to add a rust preventive, since high rust resistance is required for the bearings for automotive electrical components and auxiliary equipment used in the present invention. Among the rust preventives, rust preventives composed of carboxylic acids and carboxylate salts, which have less environmental impact, ester-based rust preventives, and amine-based rust preventives are preferable. These are used in combination of two or more to exhibit sufficient rust-preventive performance. The content of the grease composition in the total amount is 0.2 to 10% by mass, and The agent is 0.1-9.9% by mass. Since the seizure resistance improves as the amount of the base oil increases, the total amount of the rust preventive is preferably 0.2 to 6% by mass, and 0.1 to 5.9% by mass alone.
[0029]
The rust preventive, ester-based rust preventive, and amine-based rust preventive comprising carboxylic acid and carboxylate are not limited, but preferred examples are shown below. As the carboxylic acid and carboxylate, monocarboxylic acid such as stearic acid, dicarboxylic acid such as alkyl or alkenyl succinic acid and derivatives thereof, naphthenic acid, abietic acid, lanolin fatty acid or alkenyl succinic acid calcium, barium, magnesium, aluminum, Examples thereof include metal salts such as zinc and lead. Among them, alkenyl succinic acid and zinc naphthenate are preferred. Examples of the ester-based rust preventive include sorbitan monooleate, sorbitan trioleate, carboxylic acid partial esters of polyhydric alcohols such as pentaerythritol monooleate and succinic acid half ester, among which sorbitan monooleate and succinic acid Acid half esters are preferred. As the amine-based rust preventive, alkoxyphenylamine and partial amides of dibasic carboxylic acids are suitable.
[0030]
Other additives include antioxidants such as amine-based, phenol-based, sulfur-based, zinc dithiophosphate, zinc dithiocarbamate, extreme pressure agents such as phosphorus-based, zinc dithiophosphate, organic molybdenum, fatty acids, animal and vegetable oils and the like. Examples thereof include an oiliness improver and a metal deactivator of benzotriazole, and these can be added alone or in combination of two or more. The addition amount of these additives is not particularly limited as long as the intended purpose of the present invention can be achieved, and is appropriately set.
[0031]
(Rolling bearing)
The present invention also relates to a rolling bearing enclosing the above-mentioned grease composition. There is no limitation on the type, configuration, and structure of the rolling bearing. For example, the ball bearing 1 shown in FIG. 1 can be exemplified. The ball bearing 1 holds a plurality of balls 13, which are rolling elements, between an inner ring 10 and an outer ring 11 via a retainer 12 so as to freely roll. The formed bearing space S is filled with the above-mentioned grease composition (not shown) and sealed with a seal member 14. Although there is no limitation on the amount of sealing, it is preferable to occupy 25 to 45% by volume of the bearing space S.
[0032]
Since the rolling bearing of the present invention is sealed with the above grease composition, it operates well under high temperature, high speed, high load and severe vibration conditions, and furthermore, generates abnormal noise even at an extremely low temperature of -40 ° C. Without this, it is suitable for automotive electrical accessories.
[0033]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be further described with reference to Examples and Comparative Examples, but the present invention is not limited thereto.
[0034]
(Preparation of test grease)
Test greases were prepared according to the formulations shown in Table 1. At that time, in order to obtain sodium terephthalamate grease, a methyl ester of N-octadecyl terephthalamic acid was put into a base oil, dissolved by heating at 130 ° C., and then cooled to 100 ° C. to obtain 50% sodium hydroxide. The aqueous solution was added, and the mixture was gradually heated with sufficient stirring to perform saponification. After completion of the saponification, the base oil was further added at 150 ° C., the reaction was terminated by heating to a maximum temperature of 200 ° C., and an antioxidant and a rust inhibitor were added, followed by milling and defoaming.
[0035]
In addition, a test grease using lithium complex soap and a urea compound as a thickener was prepared according to an ordinary method.
[0036]
Incidentally, in all the test greases, the compounding amount of the rust preventive was 2% by mass in total, and the type and the compounding amount of the antioxidant were common.
[0037]
Using the test grease prepared as described above, the following (1) seizure test, (2) low temperature abnormal noise test, (3) high temperature consistency change test, and (4) rust prevention test were performed. The results are also shown in Table 1.
[0038]
(1) Seizure Test A test bearing was prepared by enclosing 3.5 g of test grease in a single-row deep groove ball bearing (see FIG. 1) with a contact rubber seal having an inner diameter of 25 mm, an outer diameter of 62 mm, and a width of 17 mm. Then, the bearing was continuously rotated under the conditions of an outer ring rotation speed of 10,000 min -1 , a bearing temperature of 170 ° C., a radial load of 98 N, and an axial load of 1470 N. When the temperature of the bearing outer ring rose by 15 ° C., it was regarded as seizure, and the test was terminated. When the seizure time was 1000 hours or more, it was judged as acceptable.
[0039]
(2) Low-Temperature Noise Test A test bearing was prepared by enclosing 3.5 g of test grease in a single row deep groove ball bearing with a contact rubber seal having an inner diameter of 25 mm, an outer diameter of 62 mm, and a width of 17 mm. Then, at -40 ° C., performs an operation of rotating at 3600 min -1 5 seconds after rotating 5 seconds inner ring at a rotation speed 1800 min -1 under the conditions of the axial load 980 N 5 times repeated, confirming the presence or absence of the occurrence of abnormal noise did. A case where abnormal noise occurred was judged as rejected.
[0040]
(3) High-temperature consistency change test Test grease was applied on an iron plate in the form of a film having a thickness of 3 mm and allowed to stand at 170 ° C. for 240 hours. The mixing penetration was measured after standing and compared with the mixing penetration before standing. A case where the change in the penetration ratio exceeds ± 100 was rejected.
[0041]
(4) Rust prevention test 2.7 g of test grease was sealed in a single-row deep groove ball bearing with an inner diameter of 17 mm, an outer diameter of 47 mm, and a width of 14 mm, and 0.3 mL of a 0.1% sodium chloride aqueous solution was injected into the bearing. A test bearing was fabricated with a non-contact seal attached. After rotating the test bearing to spread the test grease and the aqueous solution of sodium chloride into the inside of the bearing, the test bearing was allowed to stand in an environment of 60 ° C. and 70% RH for 3 days. After standing, the test bearing was disassembled, and the inner ring raceway surface was observed to check for the occurrence of rust. The case where rust was generated was rejected.
[0042]
[Table 1]
[0043]
[Table 2]
[0044]
As shown in Table 1, according to the present invention, the test grease of the example using a base oil containing an aromatic ester oil and a lithium complex soap or sodium terephthalamate as a thickener shows a change in the penetration consistency at a high temperature. And has excellent high-temperature durability. Further, by enclosing the test grease of the embodiment, the seizing life of the bearing can be improved, the generation of abnormal noise at low temperatures can be suppressed, and the rust prevention property is also improved. On the other hand, even if a base oil containing an aromatic ester oil is used as in Comparative Example 1, when a triurea compound is used as a thickener, the durability at high temperatures is inferior, and abnormal noise occurs at low temperatures. . In addition, as in Comparative Examples 2 and 3, even when complex soap or sodium terephthalamate is used as a thickener, the base oil containing no aromatic ester oil has a low-temperature noise in common. Also, the rust prevention performance is reduced.
[0045]
(Verification of aromatic ester oil content)
A test grease was prepared using a base oil in which the blending ratio of trimellitate ester oil and pentaerythritol ester oil was changed according to the blending of the test grease of Example 5. Then, the above-mentioned (1) seizure test was performed using a test grease.
[0046]
FIG. 2 is a graph showing the relationship between the content of trimellitic acid ester oil and the seizure life. The seizure life is indicated by a relative value to pentaerythritol ester oil alone (100%). As shown in the figure, it can be seen that the seizure life becomes particularly good when the trimellitic acid ester oil is contained in an amount of 30% by mass or more.
[0047]
(Verification of thickener content)
Test grease was prepared by changing the compounding amount of the thickener according to the compounding of the test grease of Example 1. Then, the above-mentioned (1) seizure test was performed using a test grease.
[0048]
FIG. 3 is a graph showing the relationship between the amount of the thickener and the seizure life. Incidentally, the seizure life is shown as a relative value to Comparative Example 3. As shown in the figure, it is understood that the seizure life is improved by adding 5 to 35% by mass, particularly 10 to 30% by mass of the thickener.
[0049]
(Relation between pour point of base oil and generation of abnormal noise at low temperature)
Base oils having different pour points were prepared using pentaerythritol ester having a pour point of −55 ° C. and pyromellitic acid ester having a pour point of −20 ° C., and Li complex soap was blended with each base oil to prepare a test grease. . Incidentally, the compounding amount of the thickener was constant, and Adjusted to 2. Then, the above (2) low-temperature abnormal noise test was performed using a test grease.
[0050]
FIG. 4 shows the relationship between the pour point of the base oil and the generation of abnormal noise. It can be seen that no abnormal noise occurs when the pour point of the base oil is -30 ° C. or lower.
[0051]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, no abnormal noise is generated even at an extremely low temperature of −40 ° C., and excellent seizure resistance is obtained even at a high temperature close to 180 ° C., and further, excellent rust prevention performance. A grease composition for automotive electrical accessories is provided. Further, according to the present invention, a rolling bearing suitable for electrical components, engine accessories and the like is provided.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a ball bearing which is one embodiment of a rolling bearing of the present invention.
FIG. 2 is a graph showing the relationship between the content of trimellitate oil and the relative seizure life obtained in the examples.
FIG. 3 is a graph showing the relationship between the amount of a thickener and the relative seizure life obtained in an example.
FIG. 4 is a graph showing a relationship between a base oil pour point and occurrence of abnormal noise at low temperature, obtained in an example.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Ball bearing 10 Inner ring 11 Outer ring 12 Cage 13 Ball 14 Seal