【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、包装用、磁気記録媒体用、コンデンサー用などの各種の工業材料用フィルムとして、特に、ガスバリア性が要求されるコンピューター用磁気記録媒体基材用や包装資材用として有用な二軸配向積層熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスバリヤ性が要求される包装体用には、従来から、塩化ビニリデン(PVDC)をコーティングまたは共押出して製造されたガスバリヤ性フィルム、シートが一般に使用されている。しかし、このフィルムやシートにはPVDCが含まれているので、廃棄時に焼却処理を行うと、ダイオキシンなどの有毒ガスが発生する事から、PVDCを含有しない包装用ガスバリア性フィルムが望まれてきていた。
【0003】
そこで、PVDCを含まないガスバリア性フィルムとして、次のような素材が提案されている。
【0004】
特にポリエステルやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムに、金属蒸着、金属酸化物蒸着、水素化炭素(ダイアモンドライクカーボン、DLC、a−hCとも呼ばれている)蒸着、無機化合物であるモンモリロナイトや、バーミキュライトなどの微小無機平板のコーティング、又は、種々の異種材料の張り合わせ積層を行って作製した積層フィルムは、ガスバリヤ性を有し、焼却処理を行ってもダイオキシンが発生しない環境に優しい素材である(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
しかし、蒸着皮膜またはコーティング皮膜にはピンホール(微小な孔)、クレーズ(微小なひび割れ)、クラック(クレーズがつながった大きなひび割れ)などの微小欠陥が生じることが多いので、包装体として使用した場合に、微小欠陥から酸素や水蒸気が内部に透過し易く、例えば、液晶表示板が劣化したり、包装された食品や医薬品が酸化劣化したり、また、好気性菌増殖して包装品の中身の品質が劣化するという問題が生じ易い。
【0006】
さらに、蒸着や張り合わせまたはコーティングを行って形成した金属皮膜、金属酸化物皮膜、無機化合物皮膜、水素化炭素皮膜は、延展性に乏しいので、フィルム、シートに張力を加える加工工程、包装の加工工程、包装体の流通工程などにおいて粗雑な取り扱いを受け、張力が加わると、微小欠陥の数が増加するとともに微小欠陥の面積が広がり、包装体のガスバリヤ性が著しく低下する。この結果、中身の食品や医薬品の酸化劣化、好気性菌の増殖が更に進行し易くなり、さらに、製造コストが膨らみ経済的でないという問題がある。また、異種ポリマーの積層体では、使用済み後に回収する際の分別が難しく、回収、再利用が困難であるという問題もある。
【0007】
また、分散サイズの小さい無機質フィラーからなる層状無機化合物を配合した樹脂組成物は多数知られている(例えば、特許文献3)が、このような樹脂組成物から単層フィルムを形成しても層状無機化合物の含有量を多くすると、均一延伸できなかったり、多数の空隙が発生し結果的にガスバリア性が劣ったフィルムしか得られないという問題が生じてくるので、ガスバリア性を高めるために十分な量の層状無機化合物をフィルム中に含有させることは困難であった。
【0008】
【特許文献1】特開平6−93133号公報
【特許文献2】特開平11−42744号公報
【特許文献3】特開平8−302068号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、コーティングや張り合わせ等の工程を含まずにガスバリア性フィルムを製造でき、フィルム製造コストの削減やリサイクル時の分別回収コストの削減を図ることができる、ガスバリア性に優れた二軸配向積層フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題のために鋭意、研究検討した結果、高濃度の層状無機化合物が分散している基層部の積層厚みを薄くし、かつ、この基層部の両側には比較的厚めの層を積層させた積層構造とすることが、ガスバリア性に優れた二軸配向熱可塑性フィルムとするために有効であることを見いだした。すなわち、本発明の二軸配向積層熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂と層状無機化合物を主たる成分としてなる層(A層)を少なくとも1層含み、該A層の両面に、熱可塑性樹脂を主たる成分とするB層が積層された積層構造を含む、3層以上の積層フィルムであって、かつ、A層の厚み(tA)がフィルムの全厚みの1〜40%であることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の積層フィルムのA層において用いられる熱可塑性樹脂は、特に制限はされないが、その融点が150〜300℃のものが好ましく、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリオキシエトキシベンゾエート、ポリエチレンナフタレート、上記ポリエステルの構成成分に他の酸成分および/またはグリコール成分、たとえばイソフタル酸、P−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタール酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ダイマー酸のような酸成分、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ネオペンチルグリコールアルキレンオキシド付加体のような、グリコール成分を共重合したポリエステル、芳香族ポリエステル・ポリエーテルブロック共重合体、芳香族ポリエステル・ポリラクトンブロック共重合体、ポリアリレート等の広義のポリエステルが例示され、それらの単独または、複数樹脂のブレンドもしくは、それらの共重合体で用いられる。特に融点が200℃以上のものが耐熱性の点から好ましい。
【0012】
次に本発明の積層フィルムにおいて配合される層状無機化合物としては、具体的にはモンモリロナイト、サポナイト、ハイデライト、ヘフトライトおよびスティブンサイト等のスメクタイト系鉱物やバーミキュライト、ハロイサイトおよび膨潤性雲母(マイカ)などが挙げられる。この中でも層間にモノマーをインターカレートする性質を有していることが重要であるので膨潤性鉱物が適しており、特に膨潤性雲母が最適である。なお前記層状無機化合物は天然ものでも合成のものでもよく、複数種類混合されていてもよい。
【0013】
A層中に層状無機化合物が含有されることによって優れたガスバリア性が得られるが、その理由を、A層用の熱可塑性樹脂を重合する以前の工程において層状無機化合物を添加する場合を例にとって説明する。即ち、熱可塑性樹脂の重合工程において、層状無機化合物の層間にモノマーがインターカレーションされることにより、層状無機化合物が各層ごとに分離して分散し、熱可塑性樹脂中にアロイの如く均一に分散する。この結果、ガスがフィルム中を通過する際に、分離して均一に分散した層状無機化合物を避けて通過するため、透過するガスの通過行程が長くなり、ガスがフィルムを通過するのに多くの時間がかかることになり、ガスバリア性が大きく向上する。これに対し、A層中に含有される無機化合物の粒子形状が球形や楕円形の形状をしている場合は、延伸により粒子周りに空隙が形成されるためガスバリア性を十分に高められない。
【0014】
次に本発明の積層フィルムのB層において用いられる熱可塑性樹脂は、特に制限はされず、A層に用いられる熱可塑性樹脂と同一でも異なっていても構わない。また、本発明の目的を阻害しない範囲内で他種ポリマをブレンドしても構わないし、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤や不活性粒子などが添加されてもよいが、A層中に含有される層状無機化合物は、B層中に実質的に含有されないことが好ましい。
【0015】
次に本発明の二軸配向積層フィルムは、少なくとも1層のA層を含み、A層の両面にB層が積層された積層構造を含み、かつ、その層数が少なくとも3層以上である積層構成をとるものであり、例えば、B層/A層/B層、B層/A層/B層/C層、B層/A層/B層/A層/B層などの積層構成をとることができる。3層以上であれば4層でも5層でも構わない。また、B/A/Bの積層構造が重複して含まれていてもよい。これに対し、単層や2層の積層構成のシートを二軸配向したフィルムでは、目的とするガスバリア性が得られ難い。
【0016】
本発明において、A層の両面には、安定延伸性、ガスバリア性の点においてB層が積層されている必要があるが、表裏のB層を構成する熱可塑性樹脂およびその積層厚み(tB)は同一でも異なっていても構わない。
【0017】
本発明において、A層の厚み(tA)は、ガスバリア性の点からフィルムの全厚みの1〜40%である。好ましくは2〜30%であり、更に好ましくは、2〜15%である。全フィルム厚みに対するA層厚み(tA)の割合が、1%未満であると目的とするガスバリア性が得られない。逆に40%を越えると層状無機化合物を均一分散させた状態で配向させることが困難となり易いので、目的とするガスバリア性が得られ難い。
【0018】
本発明において、層状無機化合物のA層中における含有量は、0.5〜80重量%であることが好ましく、更に好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。含有量が0.5重量%未満であるとガスバリア性が不十分になり易い。また、80重量%を越えると、共押出できない場合があったり、二軸配向できない場合があるため好ましくない。
【0019】
本発明の二軸配向積層フィルムに用いられる層状無機化合物は、その厚さ方向に垂直な方向の粒子の大きさ(粒径)を特に限定するものではないが、その粒径が10μm以下であることが好ましく、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは0.1〜3μmである。粒径が10μmを越えるとA層中に粗大な空隙を形成させる場合があるためガスバリア性が悪化することがあるので好ましくない。
【0020】
本発明において、A層中に存在する層状無機化合物の平均厚さ(d)は、特に限定されないが、ガスバリア性の点から0.001〜0.5μmであることが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.1μmである。平均厚さがこの範囲内であるとA層中に存在する層状無機化合物の、特にA層の厚み方向に対する存在頻度が高まるため、ガスの通過行程が長くなり、ガスバリア性が向上できるので好ましい。
【0021】
本発明において、A層積層厚み(tA)が、A層中に含有される層状無機化合物のA層中での平均厚み(d)の5〜300倍であること、更に10〜200倍であることが好ましい。この厚み条件をとることにより、製膜工程において各層が均一に延伸され、層状無機化合物もポリマーの分子鎖に追従して配向されるので、ガスの通過行程が長くなり、ガスバリア性が一層良好となるので好ましい。
【0022】
本発明の積層フィルムは、前記した積層構成を有する未延伸フィルムを二軸配向せしめたものである。これに対し、一軸あるいは無配向のフィルムではガスバリア性が不良となるので本発明の目的を達成できない。この二軸配向の程度は特に限定されないが、高分子の分子配向の程度の目安であるヤング率が長手方向、幅方向ともに350kg/mm2 以上、好ましくは400kg/mm2 以上であることで表すことができ、この場合にガスバリア性がより一層良好となるので特に好ましい。
【0023】
また、本発明の二軸配向積層フィルムは、ヤング率が上記範囲内であっても、フィルムの厚さ方向の一部分、例えば表層付近のポリマ分子の配向が無配向、あるいは一軸配向である場合は、ガスバリア性が良好とならず好ましくない。すなわち厚さ方向の全部分の分子配向が二軸配向である場合にガスバリア性がより一層良好となる。特にアッベ屈折率計、レーザーを用いた屈折率計、全反射レーザーラマン法などによって測定される分子配向が、表面、裏面ともに二軸配向である場合にガスバリア性がより一層良好となる。
【0024】
次に本発明の二軸配向積層フィルムの製造方法について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
本発明で用いる熱可塑性樹脂は従来より知られている方法により製造されるものを用いることができる。たとえば、熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合の一例として、ポリエチレンテレフタレートの製造方法を例にとって説明する。
【0026】
本発明で使用する高分子量ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の、三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によって高分子量ポリマを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の、三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。
【0027】
ここで、エステル化反応は無触媒でも進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて反応を進行させる。またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
【0028】
また、所定の熱可塑性樹脂に添加される層状無機化合物は、樹脂製造工程における重合前、重合中、重合後のいずれの段階で添加してもよい。例えば、熱可塑性樹脂がポリエステルの場合には、▲1▼ジオール成分であるエチレングリコール中に層状無機化合物を分散させてスラリー状とし、このスラリー状エチレングリコール液を用いて、エチレングリコールと所定のジカルボン酸成分とを重合せしめる方法がある。また、層状無機化合物のA層中での平均厚み(d)に対するA層厚み(tA)の比(tA/d)を好ましい範囲内とするためには、粒子スラリーを、メディアとしてガラスビーズを充填させた状態で140〜200℃、特に180〜200℃の温度で30分〜5時間、特に1〜3時間、攪拌しながら熱処理することが有効である。さらに、分散剤や共重合ポリエステルエマルジョンやアニオン系界面活性剤を粒子スラリーに添加する方法もガスバリア性の高い二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製する上で有効である。
【0029】
また、▲2▼層状無機化合物をエチレングリコール中で140〜200℃、特に180〜200℃の温度で30分〜5時間、特に1〜3時間熱処理した後、溶媒を水に置換したスラリーの形にし、このスラリーを熱可塑性樹脂Aと混合し、ベント方式の2軸押出機を用いて混練して熱可塑性樹脂Aに練り込む方法も、本発明の二軸配向積層フィルムを得るための添加方法としてきわめて有効である。この時、熱可塑性樹脂中での層状無機化合物の凝集を防止するために層状無機化合物を表面処理してもよいし、分散剤を添加してもよい。
【0030】
層状無機化合物の含有量を所定水準に調節する方法としては、上記した▲1▼又は▲2▼の方法で高濃度マスターポリマを作り、この高濃度マスターポリマを製膜時に、層状無機化合物を実質的に含有しない熱可塑性樹脂Aで希釈して層状無機化合物の含有量を調節する方法が好ましく例示されるがこれに限定されるものではない。
【0031】
次に、層状無機化合物を所定量含有するペレットを乾燥したのち、A層用ポリマとして溶融押出機Aに供給し、また、別途調製したB層用ポリマを溶融押出機Bに供給し、通常の方法で所定の積層構造に積層した後、スリット状のダイからシ−ト状に押出し、キャスティングロ−ル上で冷却固化させて未延伸フィルムを作る。この時、口金スリット間隙と未延伸フィルム厚さとの比を10〜100、好ましくは20〜80の範囲にすることが、A層中での層状無機化合物がポリマーの分子鎖に沿って配向しやすくなり、層状無機化合物の凝集が防止されガスバリア性が向上するため好ましい。なお、所定の積層構造とするためには、必要に応じ、押出し機の数、マニホ−ルドの数または合流ブロックの形状等を適宜変更すればよい。
【0032】
次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法を用いることができるが、本発明の二軸配向積層フィルムのガスバリア性を満足するために、未延伸フィルムを一旦ガラス転移温度以上の温度に上げ、次いでガラス転移温度以下に下げ、長手方向、幅方向の延伸を行なうのが特に有効である。長手方向の延伸は3段階以上に分けて、延伸温度80〜180℃で行うことが好ましく、なかでも、通常、その1段目の延伸温度を60〜130℃とし、2段目以降の延伸温度はそれより高くすることが好ましい。総縦延伸倍率は2.0〜6.0倍、縦延伸速度は5,000〜50,000%/分の範囲で行なうのが好ましい。幅方向の延伸にはテンタ−を用いる延伸方法が好ましく、その延伸温度は80〜180℃が好ましく、その延伸倍率は場合により縦倍率より大きくかつ2.5〜6.0倍の範囲で、また、その延伸速度は1,000〜20,000%/分の範囲で行なうのが好ましい。さらに必要に応じて、再縦延伸、再横延伸を行なうこともできる。その場合の長手方向の延伸条件としては、延伸温度90〜180℃、延伸倍率1.1〜2.0倍が好ましく、幅方向の延伸方法としてはテンタ−を用いる方法が好ましく、その延伸温度90〜180℃、幅方向延伸倍率1.1〜2.0で行なうのが好ましい。
【0033】
次にこの二軸配向フィルムを熱処理する。この場合の熱処理温度は180〜250℃、特に200〜240℃が、また、熱処理時間は0.5〜60秒の範囲が好適である。
【0034】
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次のとおりである。
(1)A層の厚み(tA)の割合
フィルム断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、TEMの切片厚さは約100nmとしフィルムの全厚みが確認できる倍率を適宜選択して観察し、フィルム全厚みとA層厚みとを測定し、フィルム全厚みに対するA層厚みの割合を計算で求める。
【0035】
(2)層状無機化合物のA層中での平均厚み(d)
フィルム断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。A層中の層状無機化合物の平均厚みは、A層中に存在するその粒子の短径を、300個以上の層状無機化合物粒子について測定し、その短径値を平均した値である。
【0036】
(3)層状無機化合物の含有量
ポリマは溶解しかつ層状無機化合物は溶解させない溶媒を選択し、この溶媒と試料とを混合してポリマ分を溶解させた後、無機化合物分をポリマ溶解分から遠心分離することにより取得し、無機化合物分の重量を求める。無機化合物分重量の試料全体重量に対する比率(重量%)を求め、層状無機化合物の含有量とする。
【0037】
(4)フィルムのガスバリア性(酸素透過率)
ASTM D−3985に準じて、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/20)を用いて酸素透過率を測定した。試料フィルムは室温23℃、80%RH中で24時間調湿した後、同雰囲気下で測定を行った。
【0038】
【実施例】
本発明の積層フィルムを実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
[実施例1]
まずA層に用いる原料(ポリエステルA)を以下のように作製した。
【0040】
層状無機化合物として合成膨潤系マイカ(トピー工業(株)製;DMA−350)を用い、分散剤としてリン酸/EAH(4-エチルヒドロキシアミン、混合比1:1)をマイカに対して0.3重量%用いた。これらマイカ及び分散剤をエチレングリコールに加え、さらに、ガラスビーズ(粒径:50μm)をエチレングリコールと同体積量加えて攪拌分散させ、さらに、190℃で3時間撹拌したのち、ガラスビーズを取り出し、エチレングリコール中のマイカ濃度が50重量%であるマイカ含有エチレングリコールスラリーを調製した。次に、テレフタル酸ジメチル194重量部とエチレングリコールスラリー124重量部とに、酢酸マグネシウム4水塩0.1重量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。
【0041】
次いで、前記マイカ含有エチレングリコールスラリー181重量部に対しリン酸トリメチル0.05重量部を添加させたエチレングリコール溶液と、三酸化アンチモン0.05重量部とを、さらに加えて、低下した反応生成物温度が230℃に再び昇温するまで撹拌した後、生成した低重合体を20rpmで攪拌しながら、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分間とした。3時間重合反応させ所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、得られた重合体を冷水中にストランド状に吐出し、直ちにカッティングして、固有粘度0.66、マイカ含有量32重量%のポリエチレンテレフタレートのペレット(ポリエステルA)を得た。
【0042】
次に、粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.62)を、上記と同様の重合方法で作製した。さらに、B層に用いる原料として、平均粒径0.6μmのジビニルベンゼン粒子を2重量%含有したポリエチレンテレフタレートを上記と同様にして作製し、上記の無粒子ポリエチレンテレフタレートで希釈して、粒子濃度0.2重量%のポリエチレンテレフタレートを得た(ポリエステルB、固有粘度0.62)。
【0043】
これらの原料(ポリエステルA、B)をそれぞれ180℃で6時間減圧乾燥(3Torr)した後、押出機1、押出機2にそれぞれ供給し、溶融温度を295℃(A層側)、280℃(B層側)として溶融した。これらのポリマを通常の方法で濾過した後、3層用の矩形の合流ブロック(フィードブロック)にてB/A/Bの3層積層とした。なお、合流ブロックにおけるポリマ流路断面積の比率がA:B=1:20のものを用いた。また、各層の厚さはそれぞれのラインに設置されたギヤポンプの回転数を調節し、押出量を制御することによって調節した。
【0044】
口金スリットから押出された積層シート状物を静電印加キャスト法を用いて、表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時の口金スリット間隙/未延伸フィルム厚さの比は30とした。
【0045】
この未延伸フィルムを温度98℃にて長手方向に3.5倍延伸した。その延伸は2組ずつのロールの周速差で、4段階で行った。得られた一軸延伸フィルムをステンタを用いて延伸速度2000%/minで105℃で幅方向に3.8倍延伸し、定長下で、230℃にて3秒間熱処理し、A層厚み2μm、総厚さ15μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製した。結果を表1に示す。
【0046】
[実施例2]
実施例1で用いた原料を用いて、A層の積層厚みを1μmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、総厚さ15μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製した。
【0047】
[実施例3]
実施例1で用いた原料を用いて、A層の積層厚みを0.5μmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、総厚さ15μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製した。
【0048】
[実施例4]
常法によって重合した無粒子のポリエチレンテレフタレートと、イソフタル成分が12.5モル共重合された無粒子のポリエチレンテレフタレートとを1:1の割合で混合し、これをA層に用いる熱可塑性樹脂Aとした。
【0049】
また、実施例1で用いた層状無機化合物および分散剤を用いて、層状無機化合物の含有量を80重量%に変更したエチレングリコールスラリーを調製した。この粒子スラリーに実施例1と同様にガラスビーズを加え、190℃で5時間撹拌した後、ガラスビーズを除去し、さらに、溶媒を水に置換して粒子含有の水スラリーを作製した。この水スラリーを、上記の熱可塑性樹脂Aと混合し、ベント方式の2軸押出機を用いて混練し、押出機の吐出を調節して層状無機化合物の含有量が64重量%のA層用原料(ポリエステルA)とした。
【0050】
B層に用いる原料には、実施例1と同様のポリエステルBを用いた。これらポリエステルA及びポリエステルBを用い、A層の積層厚みを0.3μmになるよう変更した以外は全て実施例1と同様にして、総厚みが15μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製した。
【0051】
[実施例5]
A層に用いる原料には、実施例1で用いた層状無機化合物の含有量が3重量%となるように変更させた以外は実施例1と同様に重合して得られたポリエステルAを用いた。B層に用いる原料には、実施例1と同様のポリエステルBを用いた。これらポリエステルA及びポリエステルBを用い、A層の積層厚みを5.26μmになるよう変更した以外はすべて実施例1と同様にして、総厚みが15μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製した。
【0052】
[比較例1]
A層に用いる原料を、実施例1で作製した無粒子のポリエステルに変更した以外は全て実施例1と同様にして、A層厚み2μm、総厚さ15μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製した。
【0053】
[比較例2]
実施例1で用いた原料を用いて、A層の積層厚みを7μmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、総厚さ15μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製した。
【0054】
[比較例3]
A層中に含有させた層状無機化合物の代わりに平均粒径0.6μmのジビニルベンゼン粒子を6重量%含有したポリエステルを、実施例1と同様の方法で作製し、この粒子含有ポリエステルをA層用に用いた以外は全て実施例1と同様にして、A層厚み2μm、総厚さ15μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製した。
【0055】
[比較例4]
実施例1で用いたポリエステルAのみを用いて単層の未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを温度98℃にて長手方向に3.5倍延伸した。延伸は2組ずつのロールの周速差で、4段階で行った。得られた一軸延伸フィルムを、ステンタを用いて105℃、2000%/minの速度で横延伸を試みたが延伸できず、二軸配向フィルムは得られなかった。
【0056】
[比較例5]
実施例1で用いたポリエステルA、Bを用いてA/Bの2層積層の未延伸フィルムを作製し、実施例1と同様に延伸して二軸配向させ、A層厚み2μm、総厚さ15μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムは劈開性が悪化し実用価値の低いフィルムであった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、フィルム製造工程において安定かつ均一な延伸をすることができるので、コーティングや張り合わせ等の工程を含まずにガスバリア性フィルムを製造することができ、しかも、ガスバリア性に優れた二軸配向積層フィルムを得ることができる。そして、フィルム製造コストの削減や、使用済みフィルムのリサイクル時における分別回収コストの削減を図ることも可能となる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention is useful as a film for various industrial materials, for example, for packaging, for a magnetic recording medium, for a capacitor, and in particular, for a magnetic recording medium base material for a computer requiring gas barrier properties or a packaging material. The present invention relates to an axially oriented laminated thermoplastic resin film.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, gas barrier films and sheets produced by coating or co-extrusion with vinylidene chloride (PVDC) have been generally used for packages requiring gas barrier properties. However, since PVDC is contained in this film or sheet, a toxic gas such as dioxin is generated when incinerated at the time of disposal, so a gas barrier film for packaging containing no PVDC has been desired. .
[0003]
Therefore, the following materials have been proposed as gas barrier films containing no PVDC.
[0004]
In particular, on a film made of a thermoplastic resin such as polyester or polypropylene, metal deposition, metal oxide deposition, hydrogenated carbon (also called diamond-like carbon, DLC, a-hC) deposition, montmorillonite which is an inorganic compound, A laminated film produced by coating a micro-inorganic flat plate such as vermiculite or laminating and laminating various kinds of different materials is an environment-friendly material which has gas barrier properties and does not generate dioxin even when incinerated. For example, Patent Documents 1 and 2).
[0005]
However, vapor-deposited or coated films often have micro defects such as pinholes (micro holes), crazes (micro cracks), and cracks (large cracks connected to crazes). In addition, oxygen and water vapor easily permeate from the micro defects, for example, the liquid crystal display panel is degraded, packaged foods and pharmaceuticals are oxidatively degraded, and aerobic bacteria grow and the contents of the packaged product The problem of quality deterioration is likely to occur.
[0006]
In addition, metal coatings, metal oxide coatings, inorganic compound coatings, and hydrogenated carbon coatings formed by vapor deposition, lamination, or coating are poorly spreadable, so the process of applying tension to films and sheets, and the process of packaging If the package is subjected to rough handling in the distribution process or the like and is subjected to tension, the number of fine defects increases, the area of the fine defects increases, and the gas barrier property of the package significantly decreases. As a result, there is a problem that the oxidative deterioration of the contents of foods and pharmaceuticals and the growth of aerobic bacteria are further facilitated, and the production cost is increased, which is not economical. In addition, in the case of a laminate of different kinds of polymers, there is also a problem that it is difficult to separate when used and collected, and it is difficult to collect and reuse it.
[0007]
Further, many resin compositions containing a layered inorganic compound composed of an inorganic filler having a small dispersion size are known (for example, Patent Document 3). When the content of the inorganic compound is increased, uniform stretching cannot be performed, or a problem occurs in which a large number of voids are generated and only a film having poor gas barrier properties is obtained. It was difficult to incorporate an amount of the layered inorganic compound into the film.
[0008]
[Patent Document 1] JP-A-6-93133
[Patent Document 2] JP-A-11-42744
[Patent Document 3] JP-A-8-302068
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
Therefore, an object of the present invention is to provide a gas barrier film that can be manufactured without including steps such as coating and laminating, and that is capable of reducing the film manufacturing cost and the separation and collection cost during recycling, and has excellent gas barrier properties. It is to provide a biaxially oriented laminated film.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
Means for Solving the Problems The present inventors have intensively studied and studied for the above-mentioned problem, and as a result, have reduced the lamination thickness of a base layer in which a high concentration of a layered inorganic compound is dispersed, and have relatively thick layers on both sides of the base layer. Has been found to be effective for forming a biaxially oriented thermoplastic film having excellent gas barrier properties. That is, the biaxially oriented laminated thermoplastic resin film of the present invention contains at least one layer (A layer) mainly composed of a thermoplastic resin and a layered inorganic compound, and both sides of the A layer mainly contain a thermoplastic resin. It is a laminated film of three or more layers including a laminated structure in which the layer B as a component is laminated, and the thickness (tA) of the layer A is 1 to 40% of the total thickness of the film. Things.
[0011]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The thermoplastic resin used in the layer A of the laminated film of the present invention is not particularly limited, but preferably has a melting point of 150 to 300 ° C., for example, polyethylene terephthalate, polypropylene terephthalate, polybutylene terephthalate, polycyclohexane dimethylene. Terephthalate, polyoxyethoxybenzoate, polyethylene naphthalate, other acid components and / or glycol components such as isophthalic acid, P-oxybenzoic acid, adipic acid, sebacic acid, glutaric acid, diphenylmethanedicarboxylic acid, Acid components such as dimer acid, hexamethylene glycol, diethylene glycol, neopentyl glycol, bisphenol A, neopentyl glycol, bisphenol A, neope Examples include polyesters in a broad sense, such as polyesters copolymerized with a glycol component, aromatic polyester / polyether block copolymers, aromatic polyester / polylactone block copolymers, and polyarylates such as tyl glycol alkylene oxide adducts. , Or a blend of a plurality of resins or a copolymer thereof. In particular, those having a melting point of 200 ° C. or more are preferred from the viewpoint of heat resistance.
[0012]
Next, specific examples of the layered inorganic compound blended in the laminated film of the present invention include smectite-based minerals such as montmorillonite, saponite, hyderite, heftrite and stevensite, vermiculite, halloysite, and swelling mica (mica). Is mentioned. Among them, it is important to have a property of intercalating the monomer between the layers, so swellable minerals are suitable, and especially swellable mica is optimum. The layered inorganic compound may be a natural compound or a synthetic compound, or may be a mixture of plural kinds.
[0013]
An excellent gas barrier property is obtained by containing the layered inorganic compound in the A layer. The reason for this is that the layered inorganic compound is added in the step before polymerizing the thermoplastic resin for the A layer as an example. explain. That is, in the polymerization step of the thermoplastic resin, the monomer is intercalated between the layers of the layered inorganic compound, whereby the layered inorganic compound is separated and dispersed for each layer, and is uniformly dispersed in the thermoplastic resin as an alloy. I do. As a result, when the gas passes through the film, it passes while avoiding the layered inorganic compound that is separated and uniformly dispersed, so that the passage process of the permeating gas becomes longer, and more gas passes through the film. It takes time, and the gas barrier property is greatly improved. On the other hand, when the particle shape of the inorganic compound contained in the layer A is spherical or elliptical, voids are formed around the particles by stretching, so that the gas barrier property cannot be sufficiently improved.
[0014]
Next, the thermoplastic resin used in the layer B of the laminated film of the present invention is not particularly limited, and may be the same as or different from the thermoplastic resin used in the layer A. Further, other types of polymers may be blended within a range not to impair the object of the present invention, and heat stabilizers, antioxidants, ultraviolet absorbers, antistatic agents, flame retardants, pigments, dyes, fatty acid esters, waxes An organic lubricant such as, or inert particles may be added, but it is preferable that the layered inorganic compound contained in the A layer is not substantially contained in the B layer.
[0015]
Next, the biaxially oriented laminated film of the present invention includes a laminated structure including at least one layer A, a laminated structure in which layer B is laminated on both sides of layer A, and the number of layers is at least three or more. For example, a laminated structure such as B layer / A layer / B layer, B layer / A layer / B layer / C layer, B layer / A layer / B layer / A layer / B layer is adopted. be able to. As long as there are three or more layers, four layers or five layers may be used. Further, the stacked structure of B / A / B may be included in an overlapping manner. On the other hand, in the case of a film in which a single-layer or two-layer laminated sheet is biaxially oriented, it is difficult to obtain a desired gas barrier property.
[0016]
In the present invention, the B layer needs to be laminated on both sides of the A layer in terms of stable stretchability and gas barrier properties, and the thermoplastic resin constituting the B layer on the front and back and the lamination thickness (tB) are as follows. They may be the same or different.
[0017]
In the present invention, the thickness (tA) of the layer A is 1 to 40% of the total thickness of the film from the viewpoint of gas barrier properties. Preferably it is 2 to 30%, more preferably 2 to 15%. If the ratio of the layer A thickness (tA) to the total film thickness is less than 1%, the desired gas barrier properties cannot be obtained. Conversely, if it exceeds 40%, it becomes difficult to orient the layered inorganic compound in a uniformly dispersed state, so that it is difficult to obtain a desired gas barrier property.
[0018]
In the present invention, the content of the layered inorganic compound in the layer A is preferably 0.5 to 80% by weight, more preferably 5 to 80% by weight, and particularly preferably 10 to 50% by weight. If the content is less than 0.5% by weight, the gas barrier property tends to be insufficient. On the other hand, if it exceeds 80% by weight, coextrusion may not be performed or biaxial orientation may not be performed.
[0019]
The layered inorganic compound used in the biaxially oriented laminated film of the present invention does not particularly limit the size (particle size) of the particles in the direction perpendicular to the thickness direction, but the particle size is 10 μm or less. It is preferably 5 μm or less, more preferably 0.1 to 3 μm. If the particle size exceeds 10 μm, coarse voids may be formed in the layer A, and the gas barrier properties may deteriorate, which is not preferable.
[0020]
In the present invention, the average thickness (d) of the layered inorganic compound present in the layer A is not particularly limited, but is preferably 0.001 to 0.5 μm, more preferably 0.1 to 0.5 μm, from the viewpoint of gas barrier properties. 01 to 0.1 μm. When the average thickness is within this range, the frequency of the layered inorganic compound present in the layer A, particularly in the thickness direction of the layer A, increases, so that the gas passage becomes longer and the gas barrier property can be improved, which is preferable.
[0021]
In the present invention, the layer A laminated thickness (tA) is 5 to 300 times, and more preferably 10 to 200 times, the average thickness (d) of the layered inorganic compound contained in the layer A in the layer A. Is preferred. By adopting this thickness condition, each layer is uniformly stretched in the film forming step, and the layered inorganic compound is also oriented following the molecular chains of the polymer, so that the gas passage becomes longer, and the gas barrier property is further improved. Is preferred.
[0022]
The laminated film of the present invention is obtained by biaxially orienting an unstretched film having the above-mentioned laminated structure. On the other hand, a uniaxial or non-oriented film has poor gas barrier properties, so that the object of the present invention cannot be achieved. The degree of the biaxial orientation is not particularly limited, but the Young's modulus, which is a measure of the degree of molecular orientation of the polymer, is 350 kg / mm in both the longitudinal and width directions. Two Above, preferably 400 kg / mm Two This can be expressed by the above, and in this case, the gas barrier property is further improved, which is particularly preferable.
[0023]
Further, the biaxially oriented laminated film of the present invention, even if the Young's modulus is within the above range, a part in the thickness direction of the film, for example, if the orientation of the polymer molecules near the surface layer is non-oriented, or uniaxial orientation. The gas barrier property is not good, which is not preferable. That is, when the molecular orientation of all parts in the thickness direction is biaxial orientation, the gas barrier properties are further improved. In particular, when the molecular orientation measured by an Abbe refractometer, a refractometer using a laser, a total reflection laser Raman method, or the like is biaxial on both the front surface and the back surface, the gas barrier properties are further improved.
[0024]
Next, the method for producing the biaxially oriented laminated film of the present invention will be described, but the present invention is not limited thereto.
[0025]
As the thermoplastic resin used in the present invention, those manufactured by a conventionally known method can be used. For example, a method for producing polyethylene terephthalate will be described as an example of a case where polyester is used as a thermoplastic resin.
[0026]
The high molecular weight polyethylene terephthalate used in the present invention is usually produced by one of the following processes. That is, (1) a low molecular weight polyethylene terephthalate or oligomer is obtained by a direct esterification reaction using terephthalic acid and ethylene glycol as raw materials, and a high molecular weight is obtained by a subsequent polycondensation reaction using antimony trioxide or a titanium compound as a catalyst. A process for obtaining a polymer. (2) Dimethyl terephthalate and ethylene glycol are used as raw materials to obtain a low molecular weight product by transesterification, and then a high molecular weight polymer is obtained by a polycondensation reaction using antimony trioxide or a titanium compound as a catalyst. Is the process of gaining.
[0027]
Here, the esterification reaction proceeds without a catalyst, but in the transesterification reaction, the reaction usually proceeds using a compound such as manganese, calcium, magnesium, zinc, lithium, or titanium as a catalyst. After the transesterification reaction is substantially completed, a phosphorus compound may be added for the purpose of inactivating the catalyst used in the reaction.
[0028]
The layered inorganic compound to be added to the predetermined thermoplastic resin may be added at any stage before, during, or after the polymerization in the resin production process. For example, when the thermoplastic resin is a polyester, (1) a layered inorganic compound is dispersed in ethylene glycol, which is a diol component, to form a slurry. There is a method of polymerizing an acid component. Further, in order to make the ratio (tA / d) of the thickness A (tA) of the layered inorganic compound to the average thickness (d) in the layer A fall within a preferable range, the particle slurry is filled with glass beads as a medium. It is effective to perform a heat treatment while stirring at a temperature of 140 to 200 ° C., particularly 180 to 200 ° C. for 30 minutes to 5 hours, especially 1 to 3 hours. Further, a method of adding a dispersant, a copolymerized polyester emulsion, or an anionic surfactant to the particle slurry is also effective for producing a biaxially oriented laminated polyester film having high gas barrier properties.
[0029]
Also, (2) a slurry obtained by subjecting the layered inorganic compound to heat treatment in ethylene glycol at a temperature of 140 to 200 ° C., particularly 180 to 200 ° C. for 30 minutes to 5 hours, especially 1 to 3 hours, and then replacing the solvent with water. The method of mixing the slurry with the thermoplastic resin A, kneading the mixture with a vented twin-screw extruder and kneading the mixture into the thermoplastic resin A is also an addition method for obtaining the biaxially oriented laminated film of the present invention. Is extremely effective. At this time, the layered inorganic compound may be subjected to a surface treatment to prevent aggregation of the layered inorganic compound in the thermoplastic resin, or a dispersant may be added.
[0030]
As a method of adjusting the content of the layered inorganic compound to a predetermined level, a high-concentration master polymer is prepared by the above method (1) or (2), and the layered inorganic compound is substantially converted into a film when the high-concentration master polymer is formed. A method of adjusting the content of the layered inorganic compound by diluting with a thermoplastic resin A which is not contained therein is preferably exemplified, but is not limited thereto.
[0031]
Next, after drying the pellets containing a predetermined amount of the layered inorganic compound, it is supplied to the melt extruder A as a polymer for the A layer, and a separately prepared polymer for the B layer is supplied to the melt extruder B, and a normal After laminating in a predetermined lamination structure by a method, it is extruded in a sheet form from a slit-shaped die, and cooled and solidified on a castin roll to produce an unstretched film. At this time, the ratio between the die slit gap and the unstretched film thickness is set to be in the range of 10 to 100, preferably 20 to 80, so that the layered inorganic compound in the A layer is easily oriented along the molecular chain of the polymer. This is preferable because aggregation of the layered inorganic compound is prevented and gas barrier properties are improved. In order to obtain a predetermined laminated structure, the number of extruders, the number of manifolds, the shape of the merging block, and the like may be changed as necessary.
[0032]
Next, the unstretched film is biaxially stretched and biaxially oriented. As the stretching method, a sequential biaxial stretching method or a simultaneous biaxial stretching method can be used, but in order to satisfy the gas barrier properties of the biaxially oriented laminated film of the present invention, the unstretched film is once heated to a glass transition temperature or higher. It is particularly effective to raise the temperature, then lower it below the glass transition temperature, and perform stretching in the longitudinal and width directions. The stretching in the longitudinal direction is preferably performed in three or more stages at a stretching temperature of 80 to 180 ° C., and particularly, the stretching temperature of the first stage is usually 60 to 130 ° C. Is preferably higher. Preferably, the total longitudinal stretching ratio is 2.0 to 6.0 times, and the longitudinal stretching speed is 5,000 to 50,000% / min. For the stretching in the width direction, a stretching method using a tenter is preferable, the stretching temperature is preferably 80 to 180 ° C., and the stretching ratio is optionally larger than the longitudinal ratio and in the range of 2.5 to 6.0 times. The stretching speed is preferably in the range of 1,000 to 20,000% / min. Further, if necessary, re-stretching and re-stretching can be performed. In this case, the stretching conditions in the longitudinal direction are preferably a stretching temperature of 90 to 180 ° C. and a stretching ratio of 1.1 to 2.0 times, and the stretching method in the width direction is preferably a method using a tenter. It is preferable to carry out at a temperature of from 180 to 180 ° C and a stretching ratio in the width direction of from 1.1 to 2.0.
[0033]
Next, the biaxially oriented film is heat-treated. In this case, the heat treatment temperature is preferably from 180 to 250C, particularly from 200 to 240C, and the heat treatment time is preferably from 0.5 to 60 seconds.
[0034]
[Method of measuring physical properties and method of evaluating effects]
The method for measuring characteristic values and the method for evaluating effects in the present invention are as follows.
(1) Ratio of layer A thickness (tA)
The cross section of the film was observed using a transmission electron microscope (TEM), the section thickness of the TEM was about 100 nm, and the magnification was selected appropriately so that the total thickness of the film could be confirmed. The total thickness of the film and the thickness of the A layer were measured. The ratio of the thickness of the layer A to the total thickness of the film is calculated.
[0035]
(2) Average thickness of layered inorganic compound in layer A (d)
The cross section of the film is observed at a magnification of 10,000 times or more using a transmission electron microscope (TEM). The thickness of the section of the TEM is about 100 nm, and measurement is performed in 100 or more visual fields at different locations. The average thickness of the layered inorganic compound in the layer A is a value obtained by measuring the minor axis of the particles present in the layer A for 300 or more layered inorganic compound particles and averaging the minor axis values.
[0036]
(3) Content of layered inorganic compound
Select a solvent that dissolves the polymer and does not dissolve the layered inorganic compound.After dissolving the polymer component by mixing this solvent and the sample, the inorganic compound component is obtained by centrifugation from the polymer dissolved component, and the inorganic compound is obtained. Find the weight of the minute. The ratio (% by weight) of the weight of the inorganic compound to the total weight of the sample is determined, and is defined as the content of the layered inorganic compound.
[0037]
(4) Gas barrier properties (oxygen permeability) of the film
According to ASTM D-3985, the oxygen permeability was measured using an oxygen permeability measuring device (OX-TRAN 2/20, manufactured by Modern Control). The sample film was conditioned at room temperature 23 ° C. and 80% RH for 24 hours, and then measured under the same atmosphere.
[0038]
【Example】
EXAMPLES The laminated film of the present invention will be specifically described using examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0039]
[Example 1]
First, a raw material (polyester A) used for the layer A was produced as follows.
[0040]
Synthetic swelling mica (manufactured by Topy Industries, Ltd .; DMA-350) was used as the layered inorganic compound, and phosphoric acid / EAH (4-ethylhydroxyamine, a mixing ratio of 1: 1) was added to the mica as a dispersing agent at a concentration of 0.1%. 3% by weight was used. These mica and a dispersant are added to ethylene glycol, glass beads (particle size: 50 μm) are added to the same volume as ethylene glycol, and the mixture is stirred and dispersed. After stirring at 190 ° C. for 3 hours, the glass beads are taken out. A mica-containing ethylene glycol slurry having a mica concentration of 50% by weight in ethylene glycol was prepared. Next, 0.1 part by weight of magnesium acetate tetrahydrate was added to 194 parts by weight of dimethyl terephthalate and 124 parts by weight of ethylene glycol slurry, and a transesterification reaction was performed at 140 to 230 ° C. while distilling off methanol.
[0041]
Next, an ethylene glycol solution in which 0.05 parts by weight of trimethyl phosphate was added to 181 parts by weight of the ethylene glycol slurry containing mica, and 0.05 parts by weight of antimony trioxide were further added to reduce the reaction product. After stirring until the temperature was raised to 230 ° C again, the temperature of the reaction system was gradually raised from 230 ° C to 290 ° C while the resulting low polymer was stirred at 20 rpm, and the pressure was lowered to 0.1 kPa. . The time to reach the final temperature and the final pressure was 60 minutes. When the polymerization reaction was carried out for 3 hours and a predetermined stirring torque was reached, the reaction system was purged with nitrogen and returned to normal pressure to stop the polycondensation reaction, and the obtained polymer was discharged into cold water in the form of a strand and immediately cut. Thus, polyethylene terephthalate pellets (polyester A) having an intrinsic viscosity of 0.66 and a mica content of 32% by weight were obtained.
[0042]
Next, polyethylene terephthalate containing no particles (intrinsic viscosity: 0.62) was produced by the same polymerization method as described above. Further, as a raw material used for the layer B, polyethylene terephthalate containing 2% by weight of divinylbenzene particles having an average particle diameter of 0.6 μm was prepared in the same manner as described above, and diluted with the above-mentioned particle-free polyethylene terephthalate to obtain a particle concentration of 0%. A polyethylene terephthalate of 0.2% by weight was obtained (polyester B, intrinsic viscosity 0.62).
[0043]
These raw materials (polyesters A and B) were dried under reduced pressure (3 Torr) at 180 ° C. for 6 hours, respectively, and then supplied to extruders 1 and 2, respectively, and melted at 295 ° C. (A layer side) and 280 ° C. (B layer side). After filtering these polymers by a usual method, a three-layer laminate of B / A / B was formed by a rectangular merging block (feed block) for three layers. The ratio of the cross-sectional area of the polymer channel in the merging block was A: B = 1: 20. The thickness of each layer was adjusted by adjusting the number of revolutions of a gear pump installed on each line and controlling the amount of extrusion.
[0044]
The laminated sheet extruded from the die slit was wound around a casting drum having a surface temperature of 25 ° C. and solidified by cooling using an electrostatic application casting method to produce an unstretched film. At this time, the ratio of the die slit gap / unstretched film thickness was set to 30.
[0045]
This unstretched film was stretched 3.5 times in the longitudinal direction at a temperature of 98 ° C. The stretching was performed in four stages with a difference in peripheral speed between two sets of rolls. The obtained uniaxially stretched film was stretched 3.8 times in the width direction at 105 ° C. at a stretching speed of 2000% / min using a stenter, and heat-treated at 230 ° C. for 3 seconds under a constant length to obtain a layer A having a thickness of 2 μm. A biaxially oriented laminated polyester film having a total thickness of 15 μm was produced. Table 1 shows the results.
[0046]
[Example 2]
A biaxially oriented laminated polyester film having a total thickness of 15 μm was prepared in the same manner as in Example 1 except that the thickness of the layer A was changed to 1 μm using the raw materials used in Example 1.
[0047]
[Example 3]
A biaxially oriented laminated polyester film having a total thickness of 15 μm was prepared in the same manner as in Example 1 except that the thickness of the layer A was changed to 0.5 μm using the raw materials used in Example 1.
[0048]
[Example 4]
A particle-free polyethylene terephthalate polymerized by a conventional method and a particle-free polyethylene terephthalate obtained by copolymerizing 12.5 mol of an isophthalic component are mixed at a ratio of 1: 1. did.
[0049]
Further, using the layered inorganic compound and the dispersant used in Example 1, an ethylene glycol slurry in which the content of the layered inorganic compound was changed to 80% by weight was prepared. Glass beads were added to the particle slurry in the same manner as in Example 1, stirred at 190 ° C. for 5 hours, the glass beads were removed, and the solvent was replaced with water to prepare a particle-containing water slurry. This water slurry is mixed with the thermoplastic resin A and kneaded using a vented twin-screw extruder. The discharge of the extruder is adjusted to adjust the discharge of the extruder to a layer A having a layered inorganic compound content of 64% by weight. The raw material (polyester A) was used.
[0050]
As the raw material used for the B layer, the same polyester B as in Example 1 was used. Using these polyesters A and B, a biaxially oriented laminated polyester film having a total thickness of 15 μm was prepared in the same manner as in Example 1 except that the thickness of the layer A was changed to 0.3 μm.
[0051]
[Example 5]
As a raw material used for the A layer, a polyester A obtained by polymerization in the same manner as in Example 1 was used except that the content of the layered inorganic compound used in Example 1 was changed to 3% by weight. . As the raw material used for the B layer, the same polyester B as in Example 1 was used. Using these polyesters A and B, a biaxially oriented laminated polyester film having a total thickness of 15 μm was produced in the same manner as in Example 1 except that the thickness of the layer A was changed to 5.26 μm.
[0052]
[Comparative Example 1]
A biaxially oriented laminated polyester film having a layer A thickness of 2 μm and a total thickness of 15 μm was prepared in the same manner as in Example 1 except that the raw material used for the layer A was changed to the particle-free polyester prepared in Example 1. .
[0053]
[Comparative Example 2]
A biaxially oriented laminated polyester film having a total thickness of 15 μm was produced in the same manner as in Example 1 except that the thickness of the layer A was changed to 7 μm using the raw materials used in Example 1.
[0054]
[Comparative Example 3]
A polyester containing 6% by weight of divinylbenzene particles having an average particle diameter of 0.6 μm instead of the layered inorganic compound contained in the layer A was prepared in the same manner as in Example 1, and the polyester containing the particles was coated on the layer A. A biaxially oriented laminated polyester film having a layer A thickness of 2 μm and a total thickness of 15 μm was prepared in the same manner as in Example 1 except that the polyester film was used for the same purpose.
[0055]
[Comparative Example 4]
A single-layer unstretched film was produced using only the polyester A used in Example 1. This unstretched film was stretched 3.5 times in the longitudinal direction at a temperature of 98 ° C. Stretching was performed in four stages with a difference in peripheral speed between two sets of rolls. The obtained uniaxially stretched film was laterally stretched at 105 ° C. at a rate of 2000% / min using a stenter, but could not be stretched, and a biaxially oriented film could not be obtained.
[0056]
[Comparative Example 5]
Using polyesters A and B used in Example 1, an unstretched film of a two-layer laminate of A / B was prepared, stretched and biaxially oriented in the same manner as in Example 1, and A layer thickness 2 μm, total thickness A 15 μm biaxially oriented laminated polyester film was prepared. The obtained film was a film having a low practical value because of its poor cleavage.
[0057]
[Table 1]
[0058]
【The invention's effect】
According to the present invention, stable and uniform stretching can be performed in the film manufacturing process, so that a gas barrier film can be manufactured without including steps such as coating and laminating. An axially oriented laminated film can be obtained. In addition, it is possible to reduce the cost of film production and the cost of sorting and collecting used films during recycling.