JP2004207108A - 電源システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池と2次電源とを有するハイブリッド電源システムの暖機時間の短縮化を図る。
【解決手段】本発明は、負荷に電力を供給する電源システムである。本電源システムは、負荷に接続可能な燃料電池を有する燃料電池システムと、充電可能な2次電池と負荷との間に並列に設けられた複数の双方向DC−DCコンバータとを有する2次電源システムと、所定の媒体を通じて、前記複数の双方向DC−DCコンバータから前記燃料電池に熱を伝達可能な熱伝達部と、前記燃料システムと前記2次電源システムとを制御可能な制御部と、を備える。この制御部は、複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つのDC−DCコンバータの電力供給方向を、他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にする制御モードである暖機モードを有することを特徴とする。
【選択図】 図9
【解決手段】本発明は、負荷に電力を供給する電源システムである。本電源システムは、負荷に接続可能な燃料電池を有する燃料電池システムと、充電可能な2次電池と負荷との間に並列に設けられた複数の双方向DC−DCコンバータとを有する2次電源システムと、所定の媒体を通じて、前記複数の双方向DC−DCコンバータから前記燃料電池に熱を伝達可能な熱伝達部と、前記燃料システムと前記2次電源システムとを制御可能な制御部と、を備える。この制御部は、複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つのDC−DCコンバータの電力供給方向を、他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にする制御モードである暖機モードを有することを特徴とする。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池と2次電池とを備える電源システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、環境に優しいクリーンな電源として注目されている。通常は、燃料電池単体では負荷変動に対処するのが困難な場合があるので、たとえば特許文献1に開示されているような燃料電池と2次電池とを組み合わせたハイブリッド電源システムが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−204106号公報
【特許文献2】
特開2002−223505号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなハイブリッド電源システムでは、従来は、燃料電池の暖機に時間を要するという問題があった。一方、燃料電池の暖機のためにヒータその他の装備を新たに設けるのは、重量やスペース、コストの増大といった問題を伴う。
【0005】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池と2次電池とを有するハイブリッド電源システムにおいて、暖機時間の短縮化を図る技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は、負荷に電力を供給する電源システムであって、
前記負荷に接続可能な燃料電池を有する燃料電池システムと、
充電可能な2次電池と、前記2次電池と前記負荷との間に並列に設けられた複数の双方向DC−DCコンバータと、を有する2次電源システムと、
所定の媒体を通じて、前記複数の双方向DC−DCコンバータから前記燃料電池に熱を伝達可能な熱伝達部と、
前記燃料システムと前記2次電源システムとを制御可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つのDC−DCコンバータの電力供給方向を、他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にする制御モードである暖機モードを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の電源では、複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つのDC−DCコンバータの電力供給方向を他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にすることができるので、複数の双方向DC−DCコンバータの1次側と2次側で電力を往復させることにより大きな熱を発生させることができる。このようにして発生した熱は、所定の媒体を通じて複数の双方向DC−DCコンバータから燃料電池に伝達することが可能である。これにより電源システムの暖機時間を短くすることができる。
【0008】
なお、所定の媒体には、双方向DC−DCコンバータと燃料電池とを冷却するための冷媒だけでなく、燃料電池に供給される空気や水素ガス、加湿用の水といった燃料電池内部に供給される流体も含まれる。これらも複数の双方向DC−DCコンバータから燃料電池に熱を伝達することができるからである。
【0009】
上記電源システムにおいて、前記複数の双方向DC−DCコンバータの各々には、連続的に出力することが許容される電流の実効値の最大である連続許容電流値が設定されており、
前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータの各々が前記連続許容電流値を超えない範囲で、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つが前記連続許容電流値に近づくように前記複数の双方向DC−DCコンバータを制御するようにすることが好ましい。
【0010】
こうすれば、各双方向DC−DCコンバータを保護しつつ最大限の熱を発生させることができる。
【0011】
上記電源システムにおいて、前記熱伝達部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータと前記燃料電池とを冷媒を用いて冷却可能な冷却水路とすることが好ましい。
【0012】
このように、複数の双方向DC−DCコンバータと燃料電池とを冷却可能な冷却水路を用いて熱を伝達すれば、双方向DC−DCコンバータが生成した熱を簡易かつ効率的に伝えることができる。
【0013】
上記電源システムにおいて、前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうち比較的に多くの電流を流す双方向DC−DCコンバータの制御内容を、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうち比較的に少ない電流を流す双方向DC−DCコンバータのいずれかの制御内容と、所定の時間毎に切り替えることが可能であるように構成することが好ましい。
【0014】
こうすれば、一部の双方向DC−DCコンバータのみ劣化が進むという問題を抑制することができる。
【0015】
上記電源システムにおいて、前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの所定の温度に達した双方向DC−DCコンバータの制御内容と、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの前記所定の温度に達していない双方向DC−DCコンバータのいずれかの制御内容と、を切り替えることが可能であるように構成することが好ましい。
【0016】
こうすれば、一部の双方向DC−DCコンバータのみ高温による劣化が進むという問題を抑制することができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、ハイブリッド電源システムおよびその制御方法、それらのシステムを備える移動体およびその制御方法、それらのシステムまたは方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.本発明の実施例におけるハイブリッド電源システムの構成:
B.本発明の実施例におけるハイブリッド電源システムの作動:
C.変型例:
【0019】
A.本発明の実施例におけるハイブリッド電源システムの構成:
図1は、本発明の実施例としての負荷200に接続されたハイブリッド電源システム100の冷却系統の概要を示す概略構成図である。ハイブリッド電源システム100は、燃料電池30と、2次電源システム20と、改質器31と、冷却系統50とを備えている。
【0020】
燃料電池30および2次電源システム20は、分担して改質器31と負荷200とに電力を供給することが可能である。燃料電池30は、水素を燃料として電力を生成するハイブリッド電源システム100の主電源である。2次電源システム20は、負荷200の負荷の変動に対応するための補助電源である。
【0021】
2次電源システム20は、燃料電池30の供給電力(FC電力)が、負荷200および改質器31の要求電力より大きいときには余剰電力を2次電池29に充電し、燃料電池30の供給電力が負荷200および改質器31の要求電力より小さいときには2次電池29から2次電源電力を供給するように構成されている。これにより、ハイブリッド電源システム100は、負荷200側の負荷の変動に迅速に対応することができる。
【0022】
改質器31は、ガソリンやメタノールといった燃料から、改質触媒を用いて燃料電池30に供給するための水素を生成する。改質器31が使用する電力は、改質器31の起動時には2次電源システム20から供給され、改質器31の起動後には2次電源システム20と燃料電池30とから供給される。燃料電池30は、改質器31の起動後に運転が開始されるからである。
【0023】
冷却系統50は、燃料電池30と2次電源システム20とを冷却するための系統である。これらを冷却するのは、燃料電池30および2次電源システム20の運転時の発熱によって、予め定められた運転温度の限界を超えないようにするためである。
【0024】
冷却系統50は、冷媒としての冷却水が巡回する冷却水路53と、冷却水路53に冷却水を巡回させるウォーターポンプ52と、燃料電池30を通過した冷却水の温度を計測する水温計54と、冷却水から熱を放散させるラジエータ51とを備えている。冷却系統50は以下のように作動する。ウォーターポンプ52により加圧された冷却水は、冷却水路53を通って、(1)2次電源システム20の熱を吸収し、(2)燃料電池30の熱を吸収し、(3)水温計54で冷却水の温度を計測し、(4)最後にラジエータ51に到達する。ラジエータ51に到達した冷却水は、2次電源システム20や燃料電池30で吸収した熱を放散する。この放熱によって冷却された冷却水は、ウォーターポンプ52に再び供給される。
【0025】
このようにして、冷却系統50は、燃料電池30と2次電源システム20とを冷却することができる。なお、冷却系統50は、本実施例では特許請求の範囲における「熱伝達部」に相当する。
【0026】
図2は、本発明の実施例における2次電源システム20を中心とした冷却系統の構成を示す説明図である。2次電源システム20は、1つの2次電池29と、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cとを備えている。本実施例では、2次電源システム20の構成要素のうち3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cが冷却系統50によって冷却されるように構成されている。
【0027】
この例では、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々は、電力の変換効率を高くするために均等に出力し、全体として電力Pを負荷200に供給している。また、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cは、負荷200に供給される電力の電圧リプルを小さくするために脈流電圧の位相を相互に120度ずつずらして電力を供給している。
【0028】
図3は、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cを中心としたハイブリッド電源システム100の回路図である。3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cは、2次電池29と負荷200との間に並列に接続されている。3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cが並列に接続されているので、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々が任意の割合で分担して負荷200に電力を供給することが可能である。
【0029】
制御部300は、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cと、燃料電池30を負荷200に接続可能としているFCスイッチ32と、に電気的に接続されており、これらの制御を含むハイブリッド電源システム100の制御を実行する。制御部300の各種の制御動作は、制御部300に内蔵されている図示しないメモリ内に格納されたコンピュータプログラムを、制御部300が実行することによって実現される。このメモリとしては、ROMやハードディスクなどの種々の記録媒体を利用することが可能である。
【0030】
図4は、本発明の実施例における双方向DC−DCコンバータ回路27aの回路構成を示す説明図である。双方向DC−DCコンバータ回路27aは、2つの端子13、15に接続された2次電池側直列回路と、2つの端子12、14に接続された負荷側直列回路と、インダクタンスLとを備えている。2次電池側直列回路は、スイッチQ1とスイッチQ2とを備えている。負荷側直列回路は、スイッチQ3とスイッチQ4とを備えている。なお、本実施例では、4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4としてMOS−FETを使用している。
【0031】
2次電池側直列回路の2つのスイッチQ1、Q2は、2次電池29側に以下のように接続されている。スイッチQ1の一端とスイッチQ2の一端は、接続点J1で接続されている。スイッチQ1の他端は、端子13を介して2次電池29のカソードに接続されている。スイッチQ2の他端は、端子15を介して2次電池29のアノードに接続されている。2つのスイッチQ1、Q2のゲート端子は、制御部300に接続されている。
【0032】
負荷側直列回路の2つのスイッチQ3、Q4は、負荷200側に以下のように接続されている。スイッチQ3の一端とスイッチQ4の一端は、接続点J2で接続されている。スイッチQ3の他端は、端子12を介して負荷200のカソードに接続されている。スイッチQ4の他端は、端子14を介して負荷200のアノードに接続されている。2つのスイッチQ3、Q4のゲート端子は、制御部300に接続されている。
【0033】
また、インダクタンスLは、接続点J1と接続点J2との間に接続されている。2次電池29のアノードは、端子15と端子14とを介して負荷200のアノードに接続されている。
【0034】
双方向DC−DCコンバータ回路27aは、2次電池側直列回路から負荷側直列回路に電力を供給するモードと、負荷側直列回路から2次電池側直列回路に向かって電力を供給するモードとの2つのモードで双方向に作動することができる。このような動作は、制御部300が4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4の開閉動作を適切に行うことによって実現される。なお、他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cは、双方向DC−DCコンバータ回路27aと同一の構成を有する回路である。
【0035】
B.本発明の実施例におけるハイブリッド電源システムの作動:
図5は、電力供給時に制御部300が4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4の各ゲート端子に印可する電圧を時系列で表すタイムチャートである。このような電圧の印可によって、4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4のオンオフ制御(開閉)が行われ、これにより2次電池29からの直流電力が昇圧されて負荷200に供給される。
【0036】
図6は、負荷200に電力を供給するときの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの作動状態を示す説明図である。具体的には、4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4のオンオフ制御によって以下の電圧変換動作が行われている。
(1)時刻t0(図5)では、2つのスイッチQ1、Q4がオンにされ、2つのスイッチQ2、Q3がオフにされる(図6(a))。これにより、インダクタンスLが2次電池29側に接続される。この時に、インダクタンスLに磁気エネルギが蓄積される。
(2)時刻t1では、2つのスイッチQ1、Q4がオフにされ、2つのスイッチQ2、Q3がオンにされる(図6(b))。これにより、インダクタンスLが負荷200側に接続される。この時に、インダクタンスLに蓄積された磁気エネルギが負荷200側に電力として供給される。
【0037】
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々が供給する電力は、制御部300がデューティ比(ON−OFF比)を調整することによって制御することができる。デューティ比を大きくすれば、負荷200側に供給される電力の電圧を高くすることができ、デューティ比を小さくすれば、負荷200側に供給される電力の電圧を低くすることができる。さらに、デューティ比を小さくすれば、負荷200側から2次電池29側に電力を供給することもできる。
【0038】
ここで、デューティ比(ON−OFF比)における「ON」と「OFF」は、以下のように定義される。「ON」は、2つのスイッチQ1、Q4がオンにされ、2つのスイッチQ2、Q3がオフにされる状態である(図6(a))。「OFF」は、2つのスイッチQ1、Q4がオフにされ、2つのスイッチQ2、Q3がオンにされる状態である(図6(b))。
【0039】
このように、ハイブリッド電源システム100は、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々の電力供給量を独立して制御して、負荷200に電力供給を行うことができる。さらに、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cのうちの一部の電力供給方向を、他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にすることも可能である。
【0040】
図7は、制御部300が3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに出力する制御出力信号の生成処理の内容を示すフローチャートである。この制御は、暖機の完了後に双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々の出力を均一化して変換効率を高めることを目的の一つとする。
【0041】
ステップS110では、制御部300は、応答性を良くするためのフィードフォワード項として共通基本デューティを計算する。共通基本デューティとは、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cが指定された電圧を出力するための理論値としてのデューティ比である。共通基本デューティの計算は、たとえば目標値として指定された出力電圧である出力指令電圧と、2次電池29の出力電圧とに応じて行うことができる。具体的には、たとえば出力指令電圧を、2次電池29の出力電圧と出力指令電圧の和で除することによって共通基本デューティを算出することができる。
【0042】
ステップS120では、制御部300は、偏差を小さくするためのフィードバック項として共通デューティ補正量を計算する。共通デューティ補正量は、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの現実の出力電圧を出力指令電圧に近づけるためのフィードバック量である。共通デューティ補正量の計算は、たとえば双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの現実の出力電圧を計測する電圧計62(図3)の計測値と、出力指令電圧との差に所定の比例ゲインを乗ずることによって行うことができる。
【0043】
ステップS130では、制御部300は、3相電流の均衡化処理を行う。3相電流とは、本明細書では、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々が相互に位相を120度ずつずらして生成する3つの相の脈流電流を意味する。位相を120度ずつずらすのは、前述のように直流の出力電力における電圧リプルを小さくするためである。3相電流の均衡化処理とは、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々に流れる各相の電流の値を相互に近づける処理である。各相の電流の値を相互に近づけるのは、前述のように電圧変換の効率を良くするとともに、電圧リプルを小さくするためである。
【0044】
3相電流の均衡化処理は、たとえば双方向DC−DCコンバータ回路27aの入力電流値に、2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cの電流値を近づける処理とすることができる。具体的には、たとえば双方向DC−DCコンバータ回路27bの3相電流の均衡化処理のための補正量(「コンバータ用補正量」とも呼ぶ)は、双方向DC−DCコンバータ回路27aの入力電流値を計測する電流計71(図3)の計測値と、双方向DC−DCコンバータ回路27bの入力電流値を計測する電流計72の計測値と、の差に比例ゲインを乗ずることによって算出することができる。また、双方向DC−DCコンバータ回路27cのコンバータ用補正量は、電流計71の計測値と、双方向DC−DCコンバータ回路27cの入力電流値を計測する電流計73の計測値と、の差に比例ゲインを乗ずることによって算出することができる。
【0045】
ステップS140では、制御部300は、PWM信号出力処理を行う。PWM信号は、デューティ比(ON−OFF比)における「ON」のパルス幅と「OFF」のパルス幅と規定する信号である。「ON」と「OFF」のパルス幅は、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々について算出される。
【0046】
この算出は、上記で算出された下記の値を用いて行われる。
(1)共通基本デューティ:
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに共通に使用されるフィードフォワード項である。
(2)共通デューティ補正量:
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに共通に使用される共通フィードバック項である。
(3)コンバータ用補正量:
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々に使用される3つのフィードバック項である。
【0047】
図8は、本発明の実施例におけるハイブリッド電源システム100の暖機時間における冷却水の温度を示す説明図である。本明細書では、暖機時間とは、ハイブリッド電源システム100の起動(時刻t10)から暖機完了(時刻t12)までの間を意味する。ハイブリッド電源システム100の起動とは、ハイブリッド電源システム100のスイッチを「ON」にして、2次電池29から双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cを経て改質器31に電力の供給が開始されるようにする操作を意味する。暖機完了とは、燃料電池30の出力制限が解除されることを意味する。
【0048】
暖機完了までの間、燃料電池30の出力が制限されているのは、フラッディングによる不測の出力低下を生じにくくするためである。フラッディングとは、燃料電池30の内部に生成水が滞留して出力電力が低下するという現象である。フラッディングは低温で大きな出力を発生させると生じやすいので、燃料電池30が所定の温度に達するまでの間、すなわち暖機時間において燃料電池30の出力を制限しているのである。
【0049】
図8に示される例では、冷却水温度が所定の温度Cthに達するまでの間は燃料電池30が所定の温度に達していないとみなして燃料電池30の出力が制限されている。ここで、冷却水温度は、前述のように水温計54で計測される燃料電池30の出口温度である。換言すれば、冷却水温度(燃料電池30の出口温度)が所定の温度Cthに達すると、燃料電池30が所定の温度に達したとみなされて燃料電池30の出力制限が解除されることになる。
【0050】
ハイブリッド電源システム100の起動開始(時刻t10)から改質器31の起動完了(時刻t11)までの間は、冷却水温度がゆっくりと上昇する。この温度上昇は、主として双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの発熱によるものである。双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cが発熱するのは、改質器31の作動のために電力を供給しているからである。改質器31の起動が完了すると、燃料電池30への燃料(水素)の供給が開始される。
【0051】
改質器31の起動完了(時刻t11)から暖機完了(時刻t12)までの間は、冷却水温度が比較的速く上昇する。この温度上昇は、燃料電池30の電力供給に伴う反応熱と双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの発熱によるものである。このように、ハイブリッド電源システム100は、特に改質器31の起動時において燃料電池30の温度が上昇しにくいために、暖機に長い時間を要していることが分かる。
【0052】
図9は、暖機モードにおける3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの作動状態の一例を示す説明図である。暖機モードとは、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cにおける電力変換効率を意図的に低下させて積極的に熱を発生させる運転モードである。この運転モードでは、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cで冷却水温度を上昇させることにより燃料電池30を暖めて暖機時間を短縮させることができる。
【0053】
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cは、前述の運転モードと同様に全体として負荷200側に電力Pを供給している。ただし、双方向DC−DCコンバータ回路27aは、最大出力Pmaxで負荷200側に電力を供給している。一方、2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cは、余剰電力(Pmax−P)を2次電池29側に均等に分担して逆流させている。
【0054】
すなわち、2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cは、余剰電力の半分((Pmax−P)/2)の電力を2次電池29側に逆流させていることになる。ここで、最大出力Pmaxとは、連続許容電流値のときの電力である。連続許容電流値とは、出力指令電圧において連続的に出力することが許容される電流の実効値の最大である。
【0055】
1つの双方向DC−DCコンバータ回路27aに最大出力Pmaxで電力を供給させているのは、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々を保護しつつより多くの熱を発生させて暖機時間をできるだけ短くするためである。
【0056】
図10は、暖機モードを有する双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに出力する制御出力信号の生成処理の内容を示すフローチャートである。この処理の内容は、前述の通常運転のみの制御出力信号の生成処理(図7)に対して暖機モードが追加されている点で相違する。すなわち、本処理は、暖機モードにおける処理であるステップS121とステップS130aとが追加されている点で通常運転のみの処理と異なる。
【0057】
ステップS121は、制御部300が冷却水温度が所定の温度C’thより高いか否かを判断する。ここで、温度C’thは、燃料電池30と冷却水路53との間の熱抵抗による温度差を考慮して再設定された温度Cthよりも少し高い値である。熱抵抗による温度差を考慮するのは、暖機モードでは、通常のモードと異なって燃料電池30側よりも冷却水側の方が高温となるからである。
【0058】
ステップS121では、この温度C’th基づいた判断に応じて、冷却水温度が所定の温度C’thより高いときには、通常運転モードにすべきであると決定してステップS130に進み、一方、冷却水温度が所定の温度C’th以下のときには、暖機運転モードにすべきであると決定してステップS130aに進む。
【0059】
ステップS130およびステップS130aでは、制御部300は、ともにコンバータ用補正量を算出する。ただし、ステップS130とステップS130aの処理は、下記の点で相違する。
(1)ステップS130では、前述のように通常運転を行うために、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々の出力を均一化するようにコンバータ用補正量が算出される。
(2)ステップS130aでは、暖機時間を短くするために、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cのうちの一部の電力供給方向を、他の双方向DC−DCコンバータ回路の電力供給方向と逆にするようにコンバータ用補正量が算出される。
【0060】
具体的には、たとえば暖機モードにおける双方向DC−DCコンバータ回路27aのコンバータ用補正量は、双方向DC−DCコンバータ回路27aの入力電流値を計測する電流計71(図3)の計測値と、双方向DC−DCコンバータ回路27aの連続許容電流値と、の差に比例ゲインを乗ずることによって算出することができる。一方、他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cのコンバータ用補正量は、ゼロとする。
【0061】
このようにして算出されたコンバータ用補正量を用いて、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々では、暖機モードにおいて以下のようなフィードバック制御が実行されることになる。
(1)双方向DC−DCコンバータ回路27aについては、出力指令電圧において連続許容電流で電力を供給するように、共通デューティ補正量を用いた電圧フィードバック制御と、コンバータ用補正量を用いた電流フィードバック制御とが行われる。
(2)他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cについては、出力指令電圧で電力を供給するように共通デューティ補正量を用いた電圧フィードバック制御が行われるが、電流フィードバック制御は行われない。
【0062】
この結果、双方向DC−DCコンバータ回路27aは、出力指令電圧で最大出力Pmaxを出力し、他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cは、負荷200側の電圧を出力指令電圧に近づけるように余剰電力を逆流させることになる。
【0063】
このように、本実施例によれば、3つの双方向DC−DCコンバータのうちの一部を他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にすることができるので、複数の双方向DC−DCコンバータの2次電池29側と負荷200側で電力を往復させることにより大きな熱を発生させることができる。
【0064】
このようにして発生した熱は、冷却系統50を通じて複数の双方向DC−DCコンバータから燃料電池に伝達することが可能なので、図11に示されるように改質器31の起動中に燃料電池30の温度を上昇させることができる。この温度上昇によって、ハイブリッド電源システム100の暖機時間を短くすることができる。
【0065】
また、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cのうち比較的に多くの電流を流す双方向DC−DCコンバータ回路27aの制御内容を、比較的に少ない電流を流す他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cのいずれかの制御内容と、所定の時間(たとえば1分)毎に切り替えることが可能であるように構成することが好ましい。こうすれば、一部の双方向DC−DCコンバータのみ劣化が進むという問題を抑制することができるという利点があるからである。
【0066】
なお、制御内容の切替は、たとえば2つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27bのコンバータ用補正量を入れ替えることにより可能である。
【0067】
また、3つの双方向DC−DCコンバータ回路のうち所定の温度に達した双方向DC−DCコンバータ回路の制御内容を、3つの双方向DC−DCコンバータのうちの所定の温度に達していない双方向DC−DCコンバータのいずれかの制御内容と、切り替え可能であるように構成することも好ましい。こうすれば、一部の双方向DC−DCコンバータのみ高温による劣化が進むという問題を抑制することができるという利点がある。
【0068】
C.変型例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0069】
C−1.上記実施例では、2次電源システムは、3つのDC−DCコンバータを用いているが、たとえば2つであっても良く4つ以上であっても良い。さらに、DC−DCコンバータの回路は実施例の回路形式に限られず、電力供給方向を変更することができる双方向DC−DCコンバータ用の回路であれば良い。一般に、本発明で使用される2次電源システムは、2次電池と負荷との間に並列に設けられた複数の双方向DC−DCコンバータを備えるものであれば良い。
【0070】
C−2.上記実施例では、2次電源システムと燃料電池とを冷却する冷却系統を用いて双方向DC−DCコンバータから燃料電池に熱を伝達しているが、たとえば燃料電池に供給される加湿空気を単独であるいは冷却水路とともに用いて燃料電池に熱を伝達するようにしても良い。一般に、本発明で使用する熱伝達部は、所定の媒体を通じて複数の双方向DC−DCコンバータから燃料電池に熱を伝達可能なものであれば良い。
【0071】
このように、所定の媒体には、双方向DC−DCコンバータと燃料電池とを冷却するための冷媒だけでなく、燃料電池に供給される空気や水素ガス、加湿用の水といった燃料電池内部に供給される流体も含まれることになる。ただし、複数の双方向DC−DCコンバータと燃料電池とを冷却可能な冷却水路を用いて熱を伝達すれば、双方向DC−DCコンバータが生成した熱を簡易かつ効率的に伝えることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としての負荷200に接続されたハイブリッド電源システム100の冷却系統の概要を示す概略構成図。
【図2】本発明の実施例における2次電源システム20を中心とした冷却系統の構成を示す説明図。
【図3】3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cを中心としたハイブリッド電源システム100の回路図。
【図4】本発明の実施例における双方向DC−DCコンバータ回路27aの回路構成を示す説明図
【図5】電力供給時に制御部300が4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4の各ゲート端子に印可する電圧を時系列で表すタイムチャート。
【図6】負荷200に電力を供給するときの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの作動状態を示す説明図。
【図7】制御部300が3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに出力する制御出力信号の生成処理の内容を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例におけるハイブリッド電源システム100の暖機時間における冷却水の温度を示す説明図。
【図9】暖機モードにおける3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの作動状態の一例を示す説明図。
【図10】暖機モードにおける制御部300が3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに出力する制御出力信号の生成処理の内容を示すフローチャート。
【図11】暖機モードの運転によってハイブリッド電源システム100の暖機時間が短縮される様子を示す説明図。
【符号の説明】
12、13、14、15…端子
27a、27b、27c…双方向DC−DCコンバータ回路
30…燃料電池
31…改質器
32…FCスイッチ
50…冷却系統
51…ラジエータ
52…ウォーターポンプ
53…冷却水路
54…水温計
62…電圧計
71、72、73…電流計
100…ハイブリッド電源システム
200…負荷
300…制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池と2次電池とを備える電源システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、環境に優しいクリーンな電源として注目されている。通常は、燃料電池単体では負荷変動に対処するのが困難な場合があるので、たとえば特許文献1に開示されているような燃料電池と2次電池とを組み合わせたハイブリッド電源システムが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−204106号公報
【特許文献2】
特開2002−223505号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなハイブリッド電源システムでは、従来は、燃料電池の暖機に時間を要するという問題があった。一方、燃料電池の暖機のためにヒータその他の装備を新たに設けるのは、重量やスペース、コストの増大といった問題を伴う。
【0005】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池と2次電池とを有するハイブリッド電源システムにおいて、暖機時間の短縮化を図る技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は、負荷に電力を供給する電源システムであって、
前記負荷に接続可能な燃料電池を有する燃料電池システムと、
充電可能な2次電池と、前記2次電池と前記負荷との間に並列に設けられた複数の双方向DC−DCコンバータと、を有する2次電源システムと、
所定の媒体を通じて、前記複数の双方向DC−DCコンバータから前記燃料電池に熱を伝達可能な熱伝達部と、
前記燃料システムと前記2次電源システムとを制御可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つのDC−DCコンバータの電力供給方向を、他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にする制御モードである暖機モードを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の電源では、複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つのDC−DCコンバータの電力供給方向を他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にすることができるので、複数の双方向DC−DCコンバータの1次側と2次側で電力を往復させることにより大きな熱を発生させることができる。このようにして発生した熱は、所定の媒体を通じて複数の双方向DC−DCコンバータから燃料電池に伝達することが可能である。これにより電源システムの暖機時間を短くすることができる。
【0008】
なお、所定の媒体には、双方向DC−DCコンバータと燃料電池とを冷却するための冷媒だけでなく、燃料電池に供給される空気や水素ガス、加湿用の水といった燃料電池内部に供給される流体も含まれる。これらも複数の双方向DC−DCコンバータから燃料電池に熱を伝達することができるからである。
【0009】
上記電源システムにおいて、前記複数の双方向DC−DCコンバータの各々には、連続的に出力することが許容される電流の実効値の最大である連続許容電流値が設定されており、
前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータの各々が前記連続許容電流値を超えない範囲で、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つが前記連続許容電流値に近づくように前記複数の双方向DC−DCコンバータを制御するようにすることが好ましい。
【0010】
こうすれば、各双方向DC−DCコンバータを保護しつつ最大限の熱を発生させることができる。
【0011】
上記電源システムにおいて、前記熱伝達部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータと前記燃料電池とを冷媒を用いて冷却可能な冷却水路とすることが好ましい。
【0012】
このように、複数の双方向DC−DCコンバータと燃料電池とを冷却可能な冷却水路を用いて熱を伝達すれば、双方向DC−DCコンバータが生成した熱を簡易かつ効率的に伝えることができる。
【0013】
上記電源システムにおいて、前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうち比較的に多くの電流を流す双方向DC−DCコンバータの制御内容を、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうち比較的に少ない電流を流す双方向DC−DCコンバータのいずれかの制御内容と、所定の時間毎に切り替えることが可能であるように構成することが好ましい。
【0014】
こうすれば、一部の双方向DC−DCコンバータのみ劣化が進むという問題を抑制することができる。
【0015】
上記電源システムにおいて、前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの所定の温度に達した双方向DC−DCコンバータの制御内容と、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの前記所定の温度に達していない双方向DC−DCコンバータのいずれかの制御内容と、を切り替えることが可能であるように構成することが好ましい。
【0016】
こうすれば、一部の双方向DC−DCコンバータのみ高温による劣化が進むという問題を抑制することができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、ハイブリッド電源システムおよびその制御方法、それらのシステムを備える移動体およびその制御方法、それらのシステムまたは方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.本発明の実施例におけるハイブリッド電源システムの構成:
B.本発明の実施例におけるハイブリッド電源システムの作動:
C.変型例:
【0019】
A.本発明の実施例におけるハイブリッド電源システムの構成:
図1は、本発明の実施例としての負荷200に接続されたハイブリッド電源システム100の冷却系統の概要を示す概略構成図である。ハイブリッド電源システム100は、燃料電池30と、2次電源システム20と、改質器31と、冷却系統50とを備えている。
【0020】
燃料電池30および2次電源システム20は、分担して改質器31と負荷200とに電力を供給することが可能である。燃料電池30は、水素を燃料として電力を生成するハイブリッド電源システム100の主電源である。2次電源システム20は、負荷200の負荷の変動に対応するための補助電源である。
【0021】
2次電源システム20は、燃料電池30の供給電力(FC電力)が、負荷200および改質器31の要求電力より大きいときには余剰電力を2次電池29に充電し、燃料電池30の供給電力が負荷200および改質器31の要求電力より小さいときには2次電池29から2次電源電力を供給するように構成されている。これにより、ハイブリッド電源システム100は、負荷200側の負荷の変動に迅速に対応することができる。
【0022】
改質器31は、ガソリンやメタノールといった燃料から、改質触媒を用いて燃料電池30に供給するための水素を生成する。改質器31が使用する電力は、改質器31の起動時には2次電源システム20から供給され、改質器31の起動後には2次電源システム20と燃料電池30とから供給される。燃料電池30は、改質器31の起動後に運転が開始されるからである。
【0023】
冷却系統50は、燃料電池30と2次電源システム20とを冷却するための系統である。これらを冷却するのは、燃料電池30および2次電源システム20の運転時の発熱によって、予め定められた運転温度の限界を超えないようにするためである。
【0024】
冷却系統50は、冷媒としての冷却水が巡回する冷却水路53と、冷却水路53に冷却水を巡回させるウォーターポンプ52と、燃料電池30を通過した冷却水の温度を計測する水温計54と、冷却水から熱を放散させるラジエータ51とを備えている。冷却系統50は以下のように作動する。ウォーターポンプ52により加圧された冷却水は、冷却水路53を通って、(1)2次電源システム20の熱を吸収し、(2)燃料電池30の熱を吸収し、(3)水温計54で冷却水の温度を計測し、(4)最後にラジエータ51に到達する。ラジエータ51に到達した冷却水は、2次電源システム20や燃料電池30で吸収した熱を放散する。この放熱によって冷却された冷却水は、ウォーターポンプ52に再び供給される。
【0025】
このようにして、冷却系統50は、燃料電池30と2次電源システム20とを冷却することができる。なお、冷却系統50は、本実施例では特許請求の範囲における「熱伝達部」に相当する。
【0026】
図2は、本発明の実施例における2次電源システム20を中心とした冷却系統の構成を示す説明図である。2次電源システム20は、1つの2次電池29と、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cとを備えている。本実施例では、2次電源システム20の構成要素のうち3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cが冷却系統50によって冷却されるように構成されている。
【0027】
この例では、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々は、電力の変換効率を高くするために均等に出力し、全体として電力Pを負荷200に供給している。また、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cは、負荷200に供給される電力の電圧リプルを小さくするために脈流電圧の位相を相互に120度ずつずらして電力を供給している。
【0028】
図3は、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cを中心としたハイブリッド電源システム100の回路図である。3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cは、2次電池29と負荷200との間に並列に接続されている。3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cが並列に接続されているので、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々が任意の割合で分担して負荷200に電力を供給することが可能である。
【0029】
制御部300は、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cと、燃料電池30を負荷200に接続可能としているFCスイッチ32と、に電気的に接続されており、これらの制御を含むハイブリッド電源システム100の制御を実行する。制御部300の各種の制御動作は、制御部300に内蔵されている図示しないメモリ内に格納されたコンピュータプログラムを、制御部300が実行することによって実現される。このメモリとしては、ROMやハードディスクなどの種々の記録媒体を利用することが可能である。
【0030】
図4は、本発明の実施例における双方向DC−DCコンバータ回路27aの回路構成を示す説明図である。双方向DC−DCコンバータ回路27aは、2つの端子13、15に接続された2次電池側直列回路と、2つの端子12、14に接続された負荷側直列回路と、インダクタンスLとを備えている。2次電池側直列回路は、スイッチQ1とスイッチQ2とを備えている。負荷側直列回路は、スイッチQ3とスイッチQ4とを備えている。なお、本実施例では、4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4としてMOS−FETを使用している。
【0031】
2次電池側直列回路の2つのスイッチQ1、Q2は、2次電池29側に以下のように接続されている。スイッチQ1の一端とスイッチQ2の一端は、接続点J1で接続されている。スイッチQ1の他端は、端子13を介して2次電池29のカソードに接続されている。スイッチQ2の他端は、端子15を介して2次電池29のアノードに接続されている。2つのスイッチQ1、Q2のゲート端子は、制御部300に接続されている。
【0032】
負荷側直列回路の2つのスイッチQ3、Q4は、負荷200側に以下のように接続されている。スイッチQ3の一端とスイッチQ4の一端は、接続点J2で接続されている。スイッチQ3の他端は、端子12を介して負荷200のカソードに接続されている。スイッチQ4の他端は、端子14を介して負荷200のアノードに接続されている。2つのスイッチQ3、Q4のゲート端子は、制御部300に接続されている。
【0033】
また、インダクタンスLは、接続点J1と接続点J2との間に接続されている。2次電池29のアノードは、端子15と端子14とを介して負荷200のアノードに接続されている。
【0034】
双方向DC−DCコンバータ回路27aは、2次電池側直列回路から負荷側直列回路に電力を供給するモードと、負荷側直列回路から2次電池側直列回路に向かって電力を供給するモードとの2つのモードで双方向に作動することができる。このような動作は、制御部300が4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4の開閉動作を適切に行うことによって実現される。なお、他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cは、双方向DC−DCコンバータ回路27aと同一の構成を有する回路である。
【0035】
B.本発明の実施例におけるハイブリッド電源システムの作動:
図5は、電力供給時に制御部300が4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4の各ゲート端子に印可する電圧を時系列で表すタイムチャートである。このような電圧の印可によって、4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4のオンオフ制御(開閉)が行われ、これにより2次電池29からの直流電力が昇圧されて負荷200に供給される。
【0036】
図6は、負荷200に電力を供給するときの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの作動状態を示す説明図である。具体的には、4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4のオンオフ制御によって以下の電圧変換動作が行われている。
(1)時刻t0(図5)では、2つのスイッチQ1、Q4がオンにされ、2つのスイッチQ2、Q3がオフにされる(図6(a))。これにより、インダクタンスLが2次電池29側に接続される。この時に、インダクタンスLに磁気エネルギが蓄積される。
(2)時刻t1では、2つのスイッチQ1、Q4がオフにされ、2つのスイッチQ2、Q3がオンにされる(図6(b))。これにより、インダクタンスLが負荷200側に接続される。この時に、インダクタンスLに蓄積された磁気エネルギが負荷200側に電力として供給される。
【0037】
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々が供給する電力は、制御部300がデューティ比(ON−OFF比)を調整することによって制御することができる。デューティ比を大きくすれば、負荷200側に供給される電力の電圧を高くすることができ、デューティ比を小さくすれば、負荷200側に供給される電力の電圧を低くすることができる。さらに、デューティ比を小さくすれば、負荷200側から2次電池29側に電力を供給することもできる。
【0038】
ここで、デューティ比(ON−OFF比)における「ON」と「OFF」は、以下のように定義される。「ON」は、2つのスイッチQ1、Q4がオンにされ、2つのスイッチQ2、Q3がオフにされる状態である(図6(a))。「OFF」は、2つのスイッチQ1、Q4がオフにされ、2つのスイッチQ2、Q3がオンにされる状態である(図6(b))。
【0039】
このように、ハイブリッド電源システム100は、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々の電力供給量を独立して制御して、負荷200に電力供給を行うことができる。さらに、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cのうちの一部の電力供給方向を、他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にすることも可能である。
【0040】
図7は、制御部300が3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに出力する制御出力信号の生成処理の内容を示すフローチャートである。この制御は、暖機の完了後に双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々の出力を均一化して変換効率を高めることを目的の一つとする。
【0041】
ステップS110では、制御部300は、応答性を良くするためのフィードフォワード項として共通基本デューティを計算する。共通基本デューティとは、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cが指定された電圧を出力するための理論値としてのデューティ比である。共通基本デューティの計算は、たとえば目標値として指定された出力電圧である出力指令電圧と、2次電池29の出力電圧とに応じて行うことができる。具体的には、たとえば出力指令電圧を、2次電池29の出力電圧と出力指令電圧の和で除することによって共通基本デューティを算出することができる。
【0042】
ステップS120では、制御部300は、偏差を小さくするためのフィードバック項として共通デューティ補正量を計算する。共通デューティ補正量は、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの現実の出力電圧を出力指令電圧に近づけるためのフィードバック量である。共通デューティ補正量の計算は、たとえば双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの現実の出力電圧を計測する電圧計62(図3)の計測値と、出力指令電圧との差に所定の比例ゲインを乗ずることによって行うことができる。
【0043】
ステップS130では、制御部300は、3相電流の均衡化処理を行う。3相電流とは、本明細書では、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々が相互に位相を120度ずつずらして生成する3つの相の脈流電流を意味する。位相を120度ずつずらすのは、前述のように直流の出力電力における電圧リプルを小さくするためである。3相電流の均衡化処理とは、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々に流れる各相の電流の値を相互に近づける処理である。各相の電流の値を相互に近づけるのは、前述のように電圧変換の効率を良くするとともに、電圧リプルを小さくするためである。
【0044】
3相電流の均衡化処理は、たとえば双方向DC−DCコンバータ回路27aの入力電流値に、2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cの電流値を近づける処理とすることができる。具体的には、たとえば双方向DC−DCコンバータ回路27bの3相電流の均衡化処理のための補正量(「コンバータ用補正量」とも呼ぶ)は、双方向DC−DCコンバータ回路27aの入力電流値を計測する電流計71(図3)の計測値と、双方向DC−DCコンバータ回路27bの入力電流値を計測する電流計72の計測値と、の差に比例ゲインを乗ずることによって算出することができる。また、双方向DC−DCコンバータ回路27cのコンバータ用補正量は、電流計71の計測値と、双方向DC−DCコンバータ回路27cの入力電流値を計測する電流計73の計測値と、の差に比例ゲインを乗ずることによって算出することができる。
【0045】
ステップS140では、制御部300は、PWM信号出力処理を行う。PWM信号は、デューティ比(ON−OFF比)における「ON」のパルス幅と「OFF」のパルス幅と規定する信号である。「ON」と「OFF」のパルス幅は、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々について算出される。
【0046】
この算出は、上記で算出された下記の値を用いて行われる。
(1)共通基本デューティ:
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに共通に使用されるフィードフォワード項である。
(2)共通デューティ補正量:
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに共通に使用される共通フィードバック項である。
(3)コンバータ用補正量:
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々に使用される3つのフィードバック項である。
【0047】
図8は、本発明の実施例におけるハイブリッド電源システム100の暖機時間における冷却水の温度を示す説明図である。本明細書では、暖機時間とは、ハイブリッド電源システム100の起動(時刻t10)から暖機完了(時刻t12)までの間を意味する。ハイブリッド電源システム100の起動とは、ハイブリッド電源システム100のスイッチを「ON」にして、2次電池29から双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cを経て改質器31に電力の供給が開始されるようにする操作を意味する。暖機完了とは、燃料電池30の出力制限が解除されることを意味する。
【0048】
暖機完了までの間、燃料電池30の出力が制限されているのは、フラッディングによる不測の出力低下を生じにくくするためである。フラッディングとは、燃料電池30の内部に生成水が滞留して出力電力が低下するという現象である。フラッディングは低温で大きな出力を発生させると生じやすいので、燃料電池30が所定の温度に達するまでの間、すなわち暖機時間において燃料電池30の出力を制限しているのである。
【0049】
図8に示される例では、冷却水温度が所定の温度Cthに達するまでの間は燃料電池30が所定の温度に達していないとみなして燃料電池30の出力が制限されている。ここで、冷却水温度は、前述のように水温計54で計測される燃料電池30の出口温度である。換言すれば、冷却水温度(燃料電池30の出口温度)が所定の温度Cthに達すると、燃料電池30が所定の温度に達したとみなされて燃料電池30の出力制限が解除されることになる。
【0050】
ハイブリッド電源システム100の起動開始(時刻t10)から改質器31の起動完了(時刻t11)までの間は、冷却水温度がゆっくりと上昇する。この温度上昇は、主として双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの発熱によるものである。双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cが発熱するのは、改質器31の作動のために電力を供給しているからである。改質器31の起動が完了すると、燃料電池30への燃料(水素)の供給が開始される。
【0051】
改質器31の起動完了(時刻t11)から暖機完了(時刻t12)までの間は、冷却水温度が比較的速く上昇する。この温度上昇は、燃料電池30の電力供給に伴う反応熱と双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの発熱によるものである。このように、ハイブリッド電源システム100は、特に改質器31の起動時において燃料電池30の温度が上昇しにくいために、暖機に長い時間を要していることが分かる。
【0052】
図9は、暖機モードにおける3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの作動状態の一例を示す説明図である。暖機モードとは、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cにおける電力変換効率を意図的に低下させて積極的に熱を発生させる運転モードである。この運転モードでは、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cで冷却水温度を上昇させることにより燃料電池30を暖めて暖機時間を短縮させることができる。
【0053】
3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cは、前述の運転モードと同様に全体として負荷200側に電力Pを供給している。ただし、双方向DC−DCコンバータ回路27aは、最大出力Pmaxで負荷200側に電力を供給している。一方、2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cは、余剰電力(Pmax−P)を2次電池29側に均等に分担して逆流させている。
【0054】
すなわち、2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cは、余剰電力の半分((Pmax−P)/2)の電力を2次電池29側に逆流させていることになる。ここで、最大出力Pmaxとは、連続許容電流値のときの電力である。連続許容電流値とは、出力指令電圧において連続的に出力することが許容される電流の実効値の最大である。
【0055】
1つの双方向DC−DCコンバータ回路27aに最大出力Pmaxで電力を供給させているのは、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々を保護しつつより多くの熱を発生させて暖機時間をできるだけ短くするためである。
【0056】
図10は、暖機モードを有する双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに出力する制御出力信号の生成処理の内容を示すフローチャートである。この処理の内容は、前述の通常運転のみの制御出力信号の生成処理(図7)に対して暖機モードが追加されている点で相違する。すなわち、本処理は、暖機モードにおける処理であるステップS121とステップS130aとが追加されている点で通常運転のみの処理と異なる。
【0057】
ステップS121は、制御部300が冷却水温度が所定の温度C’thより高いか否かを判断する。ここで、温度C’thは、燃料電池30と冷却水路53との間の熱抵抗による温度差を考慮して再設定された温度Cthよりも少し高い値である。熱抵抗による温度差を考慮するのは、暖機モードでは、通常のモードと異なって燃料電池30側よりも冷却水側の方が高温となるからである。
【0058】
ステップS121では、この温度C’th基づいた判断に応じて、冷却水温度が所定の温度C’thより高いときには、通常運転モードにすべきであると決定してステップS130に進み、一方、冷却水温度が所定の温度C’th以下のときには、暖機運転モードにすべきであると決定してステップS130aに進む。
【0059】
ステップS130およびステップS130aでは、制御部300は、ともにコンバータ用補正量を算出する。ただし、ステップS130とステップS130aの処理は、下記の点で相違する。
(1)ステップS130では、前述のように通常運転を行うために、双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々の出力を均一化するようにコンバータ用補正量が算出される。
(2)ステップS130aでは、暖機時間を短くするために、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cのうちの一部の電力供給方向を、他の双方向DC−DCコンバータ回路の電力供給方向と逆にするようにコンバータ用補正量が算出される。
【0060】
具体的には、たとえば暖機モードにおける双方向DC−DCコンバータ回路27aのコンバータ用補正量は、双方向DC−DCコンバータ回路27aの入力電流値を計測する電流計71(図3)の計測値と、双方向DC−DCコンバータ回路27aの連続許容電流値と、の差に比例ゲインを乗ずることによって算出することができる。一方、他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cのコンバータ用補正量は、ゼロとする。
【0061】
このようにして算出されたコンバータ用補正量を用いて、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの各々では、暖機モードにおいて以下のようなフィードバック制御が実行されることになる。
(1)双方向DC−DCコンバータ回路27aについては、出力指令電圧において連続許容電流で電力を供給するように、共通デューティ補正量を用いた電圧フィードバック制御と、コンバータ用補正量を用いた電流フィードバック制御とが行われる。
(2)他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cについては、出力指令電圧で電力を供給するように共通デューティ補正量を用いた電圧フィードバック制御が行われるが、電流フィードバック制御は行われない。
【0062】
この結果、双方向DC−DCコンバータ回路27aは、出力指令電圧で最大出力Pmaxを出力し、他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cは、負荷200側の電圧を出力指令電圧に近づけるように余剰電力を逆流させることになる。
【0063】
このように、本実施例によれば、3つの双方向DC−DCコンバータのうちの一部を他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にすることができるので、複数の双方向DC−DCコンバータの2次電池29側と負荷200側で電力を往復させることにより大きな熱を発生させることができる。
【0064】
このようにして発生した熱は、冷却系統50を通じて複数の双方向DC−DCコンバータから燃料電池に伝達することが可能なので、図11に示されるように改質器31の起動中に燃料電池30の温度を上昇させることができる。この温度上昇によって、ハイブリッド電源システム100の暖機時間を短くすることができる。
【0065】
また、3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cのうち比較的に多くの電流を流す双方向DC−DCコンバータ回路27aの制御内容を、比較的に少ない電流を流す他の2つの双方向DC−DCコンバータ回路27b、27cのいずれかの制御内容と、所定の時間(たとえば1分)毎に切り替えることが可能であるように構成することが好ましい。こうすれば、一部の双方向DC−DCコンバータのみ劣化が進むという問題を抑制することができるという利点があるからである。
【0066】
なお、制御内容の切替は、たとえば2つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27bのコンバータ用補正量を入れ替えることにより可能である。
【0067】
また、3つの双方向DC−DCコンバータ回路のうち所定の温度に達した双方向DC−DCコンバータ回路の制御内容を、3つの双方向DC−DCコンバータのうちの所定の温度に達していない双方向DC−DCコンバータのいずれかの制御内容と、切り替え可能であるように構成することも好ましい。こうすれば、一部の双方向DC−DCコンバータのみ高温による劣化が進むという問題を抑制することができるという利点がある。
【0068】
C.変型例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0069】
C−1.上記実施例では、2次電源システムは、3つのDC−DCコンバータを用いているが、たとえば2つであっても良く4つ以上であっても良い。さらに、DC−DCコンバータの回路は実施例の回路形式に限られず、電力供給方向を変更することができる双方向DC−DCコンバータ用の回路であれば良い。一般に、本発明で使用される2次電源システムは、2次電池と負荷との間に並列に設けられた複数の双方向DC−DCコンバータを備えるものであれば良い。
【0070】
C−2.上記実施例では、2次電源システムと燃料電池とを冷却する冷却系統を用いて双方向DC−DCコンバータから燃料電池に熱を伝達しているが、たとえば燃料電池に供給される加湿空気を単独であるいは冷却水路とともに用いて燃料電池に熱を伝達するようにしても良い。一般に、本発明で使用する熱伝達部は、所定の媒体を通じて複数の双方向DC−DCコンバータから燃料電池に熱を伝達可能なものであれば良い。
【0071】
このように、所定の媒体には、双方向DC−DCコンバータと燃料電池とを冷却するための冷媒だけでなく、燃料電池に供給される空気や水素ガス、加湿用の水といった燃料電池内部に供給される流体も含まれることになる。ただし、複数の双方向DC−DCコンバータと燃料電池とを冷却可能な冷却水路を用いて熱を伝達すれば、双方向DC−DCコンバータが生成した熱を簡易かつ効率的に伝えることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としての負荷200に接続されたハイブリッド電源システム100の冷却系統の概要を示す概略構成図。
【図2】本発明の実施例における2次電源システム20を中心とした冷却系統の構成を示す説明図。
【図3】3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cを中心としたハイブリッド電源システム100の回路図。
【図4】本発明の実施例における双方向DC−DCコンバータ回路27aの回路構成を示す説明図
【図5】電力供給時に制御部300が4つのスイッチQ1、Q2、Q3、Q4の各ゲート端子に印可する電圧を時系列で表すタイムチャート。
【図6】負荷200に電力を供給するときの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの作動状態を示す説明図。
【図7】制御部300が3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに出力する制御出力信号の生成処理の内容を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例におけるハイブリッド電源システム100の暖機時間における冷却水の温度を示す説明図。
【図9】暖機モードにおける3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cの作動状態の一例を示す説明図。
【図10】暖機モードにおける制御部300が3つの双方向DC−DCコンバータ回路27a、27b、27cに出力する制御出力信号の生成処理の内容を示すフローチャート。
【図11】暖機モードの運転によってハイブリッド電源システム100の暖機時間が短縮される様子を示す説明図。
【符号の説明】
12、13、14、15…端子
27a、27b、27c…双方向DC−DCコンバータ回路
30…燃料電池
31…改質器
32…FCスイッチ
50…冷却系統
51…ラジエータ
52…ウォーターポンプ
53…冷却水路
54…水温計
62…電圧計
71、72、73…電流計
100…ハイブリッド電源システム
200…負荷
300…制御部
Claims (5)
- 負荷に電力を供給する電源システムであって、
前記負荷に接続可能な燃料電池を有する燃料電池システムと、
充電可能な2次電池と、前記2次電池と前記負荷との間に並列に設けられた複数の双方向DC−DCコンバータと、を有する2次電源システムと、
所定の媒体を通じて、前記複数の双方向DC−DCコンバータから前記燃料電池に熱を伝達可能な熱伝達部と、
前記燃料システムと前記2次電源システムとを制御可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つのDC−DCコンバータの電力供給方向を、他の双方向DC−DCコンバータの電力供給方向と逆にする制御モードである暖機モードを有することを特徴とする、電源システム。 - 請求項1記載の電源システムであって、
前記複数の双方向DC−DCコンバータの各々には、連続的に出力することが許容される電流の実効値の最大である連続許容電流値が設定されており、
前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータの各々が前記連続許容電流値を超えない範囲で、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの少なくとも一つが前記連続許容電流値に近づくように前記複数の双方向DC−DCコンバータを制御する、電源システム。 - 請求項1または2に記載の電源システムであって、
前記熱伝達部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータと前記燃料電池とを冷媒を用いて冷却可能な冷却水路である、電源システム。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の電源システムであって、
前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうち比較的に多くの電流を流す双方向DC−DCコンバータの制御内容を、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうち比較的に少ない電流を流す双方向DC−DCコンバータのいずれかの制御内容と、所定の時間毎に切り替えることが可能である、電源システム。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の電源システムであって、
前記制御部は、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの所定の温度に達した双方向DC−DCコンバータの制御内容と、前記複数の双方向DC−DCコンバータのうちの前記所定の温度に達していない双方向DC−DCコンバータのいずれかの制御内容と、を切り替えることが可能である、電源システム。
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