JP2004205478A - 3次元座標測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の面S1、S2から構成される被検物Oに対して、各面毎に3次元面形状とエッジ形状とをそれぞれ測定し、共通のエッジEの測定値を対応させることにより複数の面S1、S2の相対的な位置関係を求める3次元座標測定方法。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元座標測定方法に関し、特に、光学素子あるいはそれらをプラスチック成形、ガラス成形等で製造するときに用いる金型等のエッジに基づいて面形状、複数の面の相対的な位置関係等を求める3次元座標測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レンズやプリズム等の光学素子の面形状は、光学系の性能を大きく左右するので、絶対面形状測定は素子の製造工程における品質管理上、重要な課題となっている。光学素子の面形状を測定する方法としては、従来から干渉計が用いられているが、干渉計は参照面との相対的な比較であり、絶対形状は測定できない。
【0003】
また、絶対形状を測定する方法としては、触針式の形状測定機が市販されているが、光学的な軸と直交する断面の形状を測るものが主であり、2次元での面形状測定が困難なので、光学素子の非対称な面形状については正しく測定できない。また、型でも同様の問題があった。
【0004】
一方、試料表面の3次元座標を高精度で測定できる装置として、3次元測定機があるが、一般的に装置自体の絶対座標系を持たないので、絶対形状が測定できないという問題点がある。
【0005】
このような中、本出願人は、特願2000−383734、特願2001−296030、特願2001−299727において、非接触光プローブでエッジあるいはマークを同時に測定し、測定値をそのエッジ等で定まる座標に変換して光学素子の絶対形状を求める方法を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特願2000−383734等においては、光学素子あるいは型の面形状を表現する座標系間の相対位置関係を求める方法については、詳細には検討されていなかった。
【0007】
本発明は従来技術のこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検物である光学素子あるいはその型のエッジに基づいて面形状、複数の面の相対的な位置関係等を求める3次元座標測定方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の第1の3次元座標測定方法は、被検物上のエッジ近傍にそのエッジに略沿う曲線を設定し、その曲線と略直交する方向に走査して、エッジに基づいて定められた位置の座標値を検出することを特徴とする方法である。
【0009】
本発明の第2の3次元座標測定方法は、複数の面から構成される被検物に対して、各面毎に3次元面形状とエッジ形状とをそれぞれ測定し、共通のエッジの測定値を対応させることにより前記複数の面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする方法である。
【0010】
本発明の第3の3次元座標測定方法は、複数の面から構成される被検物と、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子とを相対的に固定し、被検物の各被検面の3次元面形状と基準素子の形状とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて基準素子の各基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面の3次元面形状測定値にも行うことにより、被検物の複数の被検面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする方法である。
【0011】
ここで、「同じ測定座標系」とは、共通の座標系を用いることを意味する外に、例えば被検面と基準面の測定の際に異なる座標系を用いても、各測定時に用いた座標系の相対位置が既知であれば、1つの座標系で2つの座標系の位置を表記できるので、そのような場合についても意味する。
【0012】
本発明の第4の3次元座標測定方法は、非接触光プローブで被検面の3次元座標を測定する3次元座標測定方法において、特定の測定点から次の測定点へ非接触光プローブを移動させる際に、特定の測定点での非接触光プローブを所定の微小距離だけ被検面から離れる方向へ移動させ、次いで被検面の設計値からその微小距離だけ離れてその設計値に沿うように移動させて次の測定点へ移動させ、その状態で次の測定点の測定を行うことを特徴とする方法である。
【0013】
本発明の第5の3次元座標測定方法は、複数の面から構成される素子を複数個用いて構成する被検物において、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物を相対的に固定し、被検物の各素子の少なくとも1面の3次元形状と基準素子とを同じ座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて基準素子の各基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面の3次元面形状測定値にも行うことにより、各素子を構成する少なくとも1面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする方法である。
【0014】
本発明においては、外形に対する各被検面の設計座標系(ローカル座標系)の相対位置を正確に求めることができ、また、複数の被検面におけるローカル座標系の相対的な位置関係を明確にすることが可能となる。そのため、複数の被検面における相対的な偏心量が分かることになり、光学性能劣化の要因解明、修正等に反映させることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の3次元座標測定方法を実施例に基づいて図面を参照にして説明する。
【0016】
本発明の測定方法に用いる3次元測定機としては、非接触光プローブで被検物の位置を測定するオートフォーカスタイプの非接触3次元測定機、共焦点顕微鏡タイプの非接触3次元測定機等がある。まず、これらの原理を説明する。
【0017】
図1は、オートフォーカスタイプの非接触3次元測定機(例えば、特開2000−146532)の構成を概略的に示す図であり、レーザ11から出たレーザ光は、ミラー13、12を経て、対物レンズ15に入射し、光軸中心の対物レンズ15の焦点面に向かって進み、被検物Oの被測定面1に入射して反射し、再び対物レンズ15を通って、ミラー12、13、14を経て、光位置検出装置17に結像する。対物レンズ15のフォーカスが被測定面1に合っていないとき、光位置検出装置17の結像位置が変化するので、この位置変化を光位置検出装置17が捉え、移動機構16により対物レンズ15をフォーカスする方向に移動させ、フォーカスが合ったときの対物レンズ15の位置により被測定面1のZ軸方向の高さが測定でき、また、被検物Oが載置されたXYステージ18の対物レンズ15の光軸に対する位置によりX−Y面の位置が分かる。このようにして、被検物Oの被測定面1の3次元形状が測定できる。
【0018】
図2は、共焦点顕微鏡タイプの非接触3次元測定機の構成を概略的に示す図であり、光源21から出た光は第1ピンホール22を照射し、第1ピンホール22を通過した光は、ハーフミラー23で反射され、対物レンズ24に入射し、光軸中心の対物レンズ24の像点位置に向かって進み、被検物Oの被測定面1に入射して反射し、再び対物レンズ24を通って、ハーフミラー23を透過し、第1ピンホール22と共役な位置に配置されが第2ピンホール25を通過し、光検出器26に入射する。被測定面1が第1ピンホール22と共役な位置にないとき、第1ピンホール22から出た光は第2ピンホール25を通過できないので、光検出器26は光を検知しない。このような系全体を移動機構27により光軸方向に移動させ、光検出器26が光を検知したときの位置により被測定面1のZ軸方向の高さが測定でき、また、被検物Oが載置されたXYステージ28の対物レンズ24の光軸に対する位置によりX−Y面の位置が分かる。このようにして、被検物Oの被測定面1の3次元形状が測定できる。
【0019】
以上のような非接触3次元測定機の位置検出用の光ビームを光プローブと呼ぶ。この非接触の光プローブを用いて被検物Oの被測定面1を走査することにより、面形状を表す測定データが得られる。また、被検物Oのエッジ部においては、光プローブを走査した際に、そのサンプリング点前後で高さの値が大きく変化するため、例えば走査開始点における高さを基準としたしきい値を設け、このしきい値よりも大きく高さの値が変化したポイントをエッジ部と定義することにより、エッジ部の位置を検出することが可能となる。
【0020】
そこで、例えば円形状のエッジ部Eを効率良く測定するためには、図3に示すように、円の略中心座標と半径近似値を入力することが必要になる。ここで、中心座標は、測定する円の略中心であればよい。そして、入力した中心座標と半径により、エッジEを測定するための光プローブの走査を開始する円Fを定義することになる。ただし、被検面の形状により、図3(a)に示すように、中心より外側の方向へ走査する場合(円板の場合)は、入力する半径の値を被検物の円の半径よりも僅かに小さくし、走査開始点が被検物の円の内側になるようにする。
【0021】
また、図3(b)に示すように、外側より中心の方向へ走査する場合(円穴の場合)は、入力する半径の値を、被検物の円の半径よりも僅かに大きくし、走査開始点が被検物の円の外側になるようにする。
【0022】
測定においては、円F上に複数の走査開始点を設定し、これらよりエッジE方向(図(a)の場合は外側方向、図1(b)の場合は内側方向)へ走査を行い、しきい値等の比較によりエッジEの座標を求めることになる。これらの光プローブの走査によって得られたエッジEの座標を、例えば最小2乗法を用いて円にフィッティングすることにより、被検物の中心座標、真円度等を算出することが可能となる。
【0023】
ただし、被検面のエッジの形状が円や直線でない曲線の場合、同様な測定は困難となる。例えば、自由曲面や、シリンドリカル面、アナモルフィック面、非球面、球面が偏心して構成されたプリズム等の光学素子の場合、プリズムを構成する面のエッジは、最早直線や円のみでは表すことができず、多項式で表記されるような曲線となる。
【0024】
以下に、このような被検物に対して、任意の曲線からなるエッジの形状を測定する例について説明する。
【0025】
図4(a)、(b)に示すような被検物(プリズム)OのエッジEを示す曲線の形状に沿った曲線Lを定義する。図4(a)は被検物Oに対して光プローブ2を走査することにより、その面の形状、エッジの形状を測定する様子を示す斜視図、図4(b)は被検物Oの被検面S1の上面図である。ここで、曲線Lの形状は、測定するエッジEの形状の設計値から算出してもよい。又は、図5に示すように、測定するエッジEの近傍にユーザーが少なくとも3つ以上の点を入力し、これらの点を滑らかに結んだ線を曲線Lと定義してもよい。この際、曲線Lを算出するときには、多項式によるフィッティングやスプライン演算等を行うことにより算出することができる。なお、スプライン演算とは、複数の入力点を滑らかに結んで曲線Lを求める演算法で、スプライン関数を求めることに帰す。スプライン関数は、小区間内でそれぞれ高々n次の違った多項式曲線で定義され、しかも、それらは互いにできるだけ滑らかに繋がっているようなものである。
【0026】
そして、エッジEの座標を測定する際には、定義した曲線L上の複数の走査開始点を設定し、各点よりそれぞれ曲線Lと略直交する方向に光プローブ2を走査し、しきい値等の比較によりエッジEの座標を求めることになる。このとき、測定するエッジEの範囲において、曲線Lが測定するエッジEと交わってしまうと、光プローブ2による走査が困難となり、正確にエッジEの座標を測定することができなくなる。そのような場合には、曲線Lを算出するのに使用する入力点の点数を増加させたり、フィッティングする多項式の項数を増やす必要がある。これにより、任意の曲線からなるエッジEの座標を少ない入力値で容易に測定することが可能となる。
【0027】
また、被検面S1内のエッジE1、E2と、被検面S1の有効エリアB内の面形状測定値とを同じ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定し、面形状データを設計式に当てはめるフィッティングを行い、その座標変換をエッジE1、E2の測定データにも行うことで、図6に示すような外形に対する各面の設計座標系(ローカル座標系)(X,Y)の相対位置を正確に求めることができる。これにより、被検面S1の面内における偏心量が分かるため、光学性能劣化の要因解明、修正等に反映させることが可能となる。
【0028】
なお、図6では、図の左右のエッジE1、E2のみを測定しているが、全エッジ部や必要なエッジ部のみを測定してもよい。また、エッジE1、E2の形状は、曲線に限定するものではなく、円弧や直線であってもよい。このときは、従来のエッジ測定の手法(図3)と組み合わせることで、効率良く測定することが可能となる。図6中、曲線L1はエッジE1に沿って定義された曲線、曲線L2はエッジE2に沿って定義された曲線である。
【0029】
ここで、本発明における被検物Oの例としては、プリズムのような任意の光学素子あるいはそのような光学素子をプラスチック成形、ガラス成形等で製造するときに用いる金型がある。そして、そのような光学素子としては、球面、回転対称非球面のみならず、シリンドリカル面、アナモルフィック面あるいは自由曲面を屈折面又は反射面を用いるものがある。ここで、自由曲面の表現方法としては種々の定義式があるが、その1例は、以下の式で定義されるものである。この定義式のZ軸が自由曲面の軸となる。
【0030】
ここで、(a)式の第1項は球面項、第2項は自由曲面項である。
【0031】
球面項中、
c:頂点の曲率
k:コーニック定数(円錐定数)
r=√(X2 +Y2 )
である。
【0032】
自由曲面項は、
ただし、Cj (jは2以上の整数)は係数である。
【0033】
上記自由曲面は、一般的には、X−Z面、Y−Z面共に対称面を持つことはないが、Xの奇数次項を全て0にすることによって、Y−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。また、Yの奇数次項を全て0にすることによって、X−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。
【0034】
次に、複数の面の境界からなるエッジを、そのエッジを構成する面毎に測定し、それらを組み合わせることで、エッジを構成する複数の面の相対的な偏心を算出する方法について説明する。ここでは、例えば、自由曲面や、シリンドリカル面、アナモルフィック面、非球面、球面が複数面相互に偏心して配置されることで構成されるプリズム等の光学素子の各面の設計座標系(ローカル座標系)の相対的な位置関係を求める場合を示す。
【0035】
図7を参照にして、被検物(プリズム)Oの1つのエッジEを共有する被検面S1、S2の偏心量を算出する方法について説明する。図7(a)は被検物Oの被検面S1に対して光プローブ2を走査することにより、その面の形状、エッジの形状を測定する様子を示す斜視図、図7(b)は被検面S1の上面図、図7(c)は被検面S2に対して光プローブ2を走査することにより、その面の形状、エッジの形状を測定する様子を示す斜視図、図7(d)は被検面S2の上面図である。
【0036】
まず、図6で示したように、各被検面S1、S2毎にエッジEの形状測定値と有効エリアB1、B2内の面形状測定値とを同じ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定し、その面形状データを各被検面S1、S2の設計値に当てはめるフィッティングを行い、その座標変換をエッジEの測定データにも行うことで、被検面S1、S2を表すローカル座標系A1、A2に対するエッジEの位置を求める。
【0037】
さらに、各面毎に測定したエッジEの各データが一致するように座標変換を行う。このとき、一方の面のエッジ測定値を固定とし、他方のエッジ測定値を偏心、シフトさせることで、面エッジが重なるようにしてもよい。また、解析には両エッジの測定値が略同一曲線上に乗るように最小2乗法を利用してもよい。
【0038】
この解析より得られた座標変換を、被検面S1、S2を表すローカル座標系A1、A2に対しても実行することで、図8に示すような、複数の面S1、S2におけるローカル座標系A1、A2の相対的な位置関係を明確にすることが可能となる。なお、図8では、エッジEを構成する被検面が2面のみの例を示したが、これに限定するものではなく、被検面が3面以上のローカル座標系の相対位置も同様の手法により求めることが可能となる。これらの手法により、複数の面における相対的な偏心量が分かるため、光学性能劣化の要因解明、修正等に反映させることが可能となる。
【0039】
次に、図9に示すように、共通のエッジEを共有する2つの被検面S1、S2の偏心量を、被検物Oの素子に固定した基準となる素子(基準ブロック)Dを用いて、算出する方法について説明する。図9(a)は被検物Oの被検面S1と基準ブロックDの1つの基準面Hに対して光プローブ2を走査することにより、被検面S1の形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す斜視図、図9(b)は被検面S1の上面図、図9(c)は被検面S2と基準ブロックDの他の基準面Hに対して光プローブ2を走査することにより、被検面S2の形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す斜視図、図9(d)は被検面S2の上面図である。
【0040】
被検物Oは基準ブロックDと保持具Cで一体に固定して保持されており、基準ブロックDの各基準面Hとそれに対応した各被検面S1、S2の形状をそれぞれ同じ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定できるようにする。
【0041】
なお、各被検面S1、S2の面形状データは、それぞれ各被検面S1、S2の設計値に当てはめるフィッティングを行うことで、被検面S1、S2を表すローカル座標系ローカル座標系A1、A2の位置を求めておく。
【0042】
また、ローカル座標系算出の際には、各被検面の設計形状を座標変換して、面形状データと座標変換した各設計形状を重ね合わせた際に、残差が最小となるような座標変換パラメータを求める最適化の解析行ってもよい。
【0043】
基準ブロックDの形状は、被検物Oの各被検面S1、S2の測定と同時に少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点の位置を測定できるように構成することが望ましい。このとき、測定に用いた少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点は、それらの測定結果より基準ブロックDの各基準面Hの位置を定義できるようなものとする必要がある。さらに、少なくとも各測定面Hと同時に測定するエッジeの角度や長さは、予め高精度に測定しておき、既知のものとしておき、これらの既知のデータから測定値で定義される各基準面Hの相対的な位置が分かるようにしておく。
【0044】
なお、基準ブロックDの形状は、例えば、被検物Oの形状に合わせて被検面S1、S2を平面で近似した構成の多面体の形状であってもよい。このとき、各被検面S1、S2の設計値のローカル座標系A1、A2で定義される平面で構成した多面体としてもよい。基準ブロックDを平面で構成する場合、測定が高精度かつ簡略化でき、解析も他の曲面に対して容易となる。また、このような形状にすることにより、基準ブロックDの各基準面Hとそれに対応した各被検面S1、S2を略水平に保持することが可能となり、同じ測定座標系を用いて、それぞれ容易に測定することが可能となる。
【0045】
次に、測定方法について説明する。まず、図9で示すように、各被検面S1、S2毎に基準ブロックDのエッジeの形状測定値と、被検物Oの有効エリアB1、B2内の面形状測定値とを、同じ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定する。また、後述するように、有効エリア以外の領域に、被検面上のローカル座標系で示した場合の座標位置が既知であるマークvが加工されている場合には、同様に、同じ測定座標系で測定する。
【0046】
なお、例えば測定機の関係で、被検面S1、S2を上に向ける必要がある場合、図9(a)〜(d)に示すように、各面の測定毎に被検物Oを回転させて保持する必要がある。そのため、図示しない回転機構を用いて、被検物Oと基準ブロックDを所望の方向に回転させて固定することになる。このとき、被検物Oと基準ブロックDは、回転によっても相対的な位置関係が変化しないようにする。
【0047】
基準ブロックDは、既知の測定値に対応させて、基準ブロックDの測定値より基準面位置を求めることができるような項目の測定を行う。図9では、各基準面H毎に2つのエッジeを測定した例を示している。これらのデータから、基準ブロックDの基準面Hの相対位置を求めることが可能となる。
【0048】
例えば、被検面S1とS2の各基準面Hのエッジの測定で、測定するエッジは、基準ブロックDを構成する基準面の境界となる稜線を含むものとし、さらに異なるエッジ部を測定することで、各基準面毎に稜線の位置と基準面を表す平面の位置を求めるようにしてもよい。ここで、稜線の位置とは、稜線が示す基準面の辺の少なくとも1つの頂点の位置と、稜線を表す直線式を導出した結果を意味する。頂点を算出するためには、基準面内で頂点をなす2つのエッジの形状の測定結果から交点を求めてもよい。また、例えば、基準面の頂点との位置関係が既知である点を測定できるようにしておき、その点の測定結果と稜線となるエッジの測定結果から、同様に稜線の位置と基準面を表す平面の位置を求めるようにしてもよい。このとき、解析にはエッジの測定値が略直線上になるように、最小2乗法等を利用してもよい。さらに、導出した平面と基準ブロックDの既知の測定値(辺の長さや辺と辺の角度)を対応させて、各基準面の位置を求めることが可能となる。ただし、各基準面位置として、平面の位置と稜線の位置が分かれば、後述する各被検面S1、S2の相対値の導出は可能となる。
【0049】
さらに、同じ測定座標系で被検面S1、S2の形状を測定することにより、基準面Hと被検面S1、S2の相対的な位置を各被検面S1、S2毎に把握することが可能となる。
【0050】
なお、後述するように、有効エリア以外の領域に、被検面上のローカル座標系で示した場合の座標位置が既知であるマークvが加工されている場合には、面形状と同様に、マーク位置を測定することで、基準面Hと被検面S1、S2上にあるマークvの相対的な位置を、各被検面S1、S2毎に把握することが可能となる。
【0051】
さらに、基準ブロックDを構成する基準面Hの既知のデータに対応させて、各基準面Hの測定値により求められた各面の位置を変換し、各面の相対的な位置関係を合わせる。このとき、シフトや回転といった座標変換を行う必要がある。
【0052】
例えば、同一の稜線を含む各基準面Hの測定結果からそれぞれ導出した稜線の位置が空間的に一致するように座標変換を行い、これにより空間的に一致した稜線を回転軸として、稜線を含む各平面を、基準素子の既知の値(基準素子で同じ稜線を構成する各基準面のなす角度) と対応するように、回転の座標変換を行うパラメータを算出してもよい。これにより、基準ブロックDの既知の角度を用いて、各基準面Hの相対位置を求めることが可能となる。
【0053】
これらの変換を各基準面と同じ測定座標系で測定した各被検面S1、S2の形状測定データに対しても行うことで、各被検面S1、S2の相対的な位置を算出することが可能となる。
【0054】
また、後述するように、有効エリア以外の領域に、被検面上のローカル座標系で示した場合に座標位置が既知であるマークvが加工されている場合には、面形状と同様に、各被検面と同じ測定座標系で各マーク位置を測定し、それらのマーク位置に対しても同じ変換を行うことで、被検面S1、S2上にある各マークvの相対的な位置を算出することが可能となる。
【0055】
この解析により得られた座標変換を、各被検面S1、S2のローカル座標系A1、A2にも実行することで、図10に示すような、複数の面S1、S2におけるローカル座標系A1、A2の相対的な位置関係を明確にすることが可能となる。なお、図10では、エッジEを構成する2面のみの例を示したが、これに限定するものではなく、3面以上のローカル座標系の相対位置も同様の手法により求めることが可能となる。また、本実施例では、1つの被検面に対して基準ブロックDの1つの基準面を同時に測定したが、被検物の形状によっては2つ以上の被検物に対して1つの基準面を同時に測定するようにしてもよい。これらの手法により、複数の面における相対的な偏心量が分かるため、光学性能劣化の要因解明、修正等に反映させることが可能となる。
【0056】
また、本手法の結果を基に製造を実施することで、精度の高い光学素子を作製することが可能となる。
【0057】
図11〜図14を参照にして、枠Wに光学素子(例えばプリズム)が複数配置された被検物Oの、各光学素子の偏心量を、被検物Oを保持する枠Wに固定した基準となる素子(基準ブロック)Dを用いて算出する方法について説明する。このとき、被検物Oは、ある方向において、各光学素子を構成する少なくとも1面の面形状が測定できるようにする。図11〜図14では、プリズムP1とプリズムP2が枠W内に配置され、プリズムP1を構成する面S1−1とプリズムP2を構成するS2−2が外側に出ており、光プローブ2を照射することで各面の測定が可能となっている。
【0058】
図11は、プリズムP1の被検面S1−1と基準ブロックDの1つの基準面Hに対して光プローブ2を走査することにより、被検面S1−1の形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す斜視図、図12は、被検面S1−1の上面図、図13は、プリズムP2の被検面S2−1と基準ブロックDの他の基準面Hに対して光プローブ2を走査することにより、被検面S2−1の形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す斜視図、図14は、被検面S2−1の上面図である。
【0059】
被検物Oは基準ブロックDと保持具Cで一体に固定して保持されており、基準ブロックDの各基準面Hとそれに対応した各被検面S1−1、S2−1の形状をそれぞれ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定できるようにする。なお、各被検面S1−1、S2−1の面形状データは、それぞれ各被検面S1−1、S2−1の設計値に当てはめるフィッティングを行うことで、被検面S1−1、S2−1を表すローカル座標系A1−1、A2−1の位置を求めておく。
【0060】
また、ローカル座標系算出の際には、各被検面の設計形状を座標変換して、面形状データと座標変換した各設計形状を重ね合わせた際に、残差が最小となるような座標変換パラメータを求める最適化の解析行ってもよい。
【0061】
基準面Hの形状は、被検物OのプリズムP1、P2の各被検面S1−1、S2−1の測定と同時に、少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点の位置を測定できるように構成することが望ましい。このとき、測定に用いた少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点は、それらの測定結果より基準ブロックDの各基準面Hの位置を定義できるようなものとする必要がある。さらに、少なくとも各測定面Hと同時に測定するエッジeの角度や長さは、予め高精度に測定しておき、これらの既知のデータから測定値で定義される各基準面Hの相対的な位置が分かるようにしておく。
【0062】
なお、基準ブロックDの形状は、例えば、被検物のプリズムP1、P2の形状に合わせて各被検面S1−1、S2−1を平面で近似した面を有する多面体の形状であってもよい。このとき、各被検面S1−1、S2−1の設計値のローカル座標系A1−1、A2−1で定義される平面を有する多面体の形状であってもよい。基準ブロックDを平面で構成する場合、測定が高精度かつ簡略化でき、解析も他の曲面に対して容易となる。また、材質としては、ガラスや金属等であってもよい。これらの材質で製作すると、高い面精度での加工が可能となるため、基準面の角度を高精度に測定することができる。また、鋭利なエッジ形状が形成できるため、基準面の高精度な測定が可能となる。
【0063】
次に、測定方法について説明する。まず、図11〜図14で示すように、各被検面S1−1、S2−1毎に基準ブロックDのエッジeの形状と、被検物OであるプリズムP1、P2の各被検面S1−1とS2−1の有効エリアB1−1とB2−1内の面形状を、同じ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定する。このとき、例えば、測定機の関係で、光プローブ2の入射する方向に対して被検面S1−1、S2−1が略垂直になるように、被検面S1−1、S2−1を上に向ける必要がある場合、図11〜図14に示すように、各面の測定毎に被検物Oを回転して保持する必要がある。そのため、図示しない回転機構を用いて、被検物Oと基準ブロックDを所望の方向に回転させて固定することになる。このとき、被検物Oと基準ブロックDは、回転によっても相対的な位置関係が変化しないようにする。
【0064】
このとき、基準ブロックDを、各被検面S1−1、S2−1の設計値のローカル座標系A1−1、A2−1で定義される平面を有する多面体の形状にしておくと、被検物Oの各被検面S1−1、S2−1と基準ブロックDの基準面の測定の際に、被検物Oの各被検面S1−1、S2−1と基準ブロックDの基準面が、同時に光プローブ2の入射する方向に対して略垂直になるように配置することが可能となるため、測定を容易に実行することができる。
【0065】
基準ブロックDは、例えば各基準面の辺の長さといった既知の測定値に対応させることで、基準ブロックDの測定値より基準面位置を求めることができるような項目の測定を行う。図11〜図14では、各基準面H毎に2つのエッジを測定した例を示している。これらの測定データから、基準ブロックDの基準面Hの位置を求めることが可能となる。
【0066】
なお、基準面Hの位置の導出には、図9で示した例と同様の手法を用いることができる。これにより、基準ブロックDの各基準面Hの位置を求めることが可能となる。さらに、同じ測定座標系で被検面S1−1、S2−1の形状を測定することにより、基準面Hと被検面S1−1、S2−1の相対的な位置を各被検面S1−1、S2−1毎に把握することが可能となる。
【0067】
さらに、基準ブロックDを構成する基準面Hの既知のデータに対応させて、各基準面Hの測定値により求められた各面の位置を変換し、各面の相対的な位置関係を合わせる。このとき、シフトや回転といった座標変換を行う必要がある。
【0068】
なお、各面の相対的な位置を求めるのには、図9で示した例と同様の手法を用いることができる。これらの変換を各基準面と同じ測定座標系で測定した各被検面S1−1、S2−1に対しても行うことで、被検面S1−1、S2−1の相対的な位置を把握することが可能となる。
【0069】
この解析により得られた座標変換を、各被検面S1−1、S2−1の各ローカル座標系A1−1、A2−1にも実施することで、図15に示すような、異なる光学素子(プリズムP1、P2)を構成する複数の面S1−1、S2−1におけるローカル座標系A1−1、A2−1の相対的な位置関係を求めることが可能となる。
【0070】
なお、図11〜図14では、2個のプリズムP1、P2から構成される例を示したが、これに限定されるものではなく、3個以上の光学素子の相対位置も同様の手法により求めることが可能となる。また、光学素子(プリズムP1、P2)について、被検面を1面とした例を示したが、これに限定されるものではなく、各素子について、複数の面を測定してもよく、これによりより多くの偏心及び寸法の情報を得ることが可能となる。この際には、基準ブロックの基準面の数を必要に応じて増やしてもよい。また、被検物として異なるプリズムの相対位置を求める例を示したが、被検物はこれに限定されるものではなく、レンズ、光学素子の金型、絞り、枠Wといったものでもよい。例えば、枠の場合、被検面の面形状を測定してもよいが、測定値から枠の位置が決定できるものを測定すればよく、例えば、凹凸、マークといったものと基準ブロックDの基準面Hを同じ測定座標系で測定してもよい。
【0071】
また、枠Wに組み込む前に、各プリズムの各面のローカル座標の相対位置を、例えば図9で示した手法により求めておけば、各プリズム毎にプリズムを構成する各面のローカル座標系の相対位置が既知であるため、それらの結果を図15で示した各プリズムP1、P2の被検面S1−1、S2−1をローカル座標系A1−1、A2−1の位置に対応させることで、図16に示すように、プリズムP1を構成するS1−1以外の面(S1−2、S1−3)及びプリズムP2を構成するS2−1以外の面(S2−2、S2−3)の各面のローカル座標系(A1−2、A1−3、A2−2、A2−3)の相対位置を求めることができる。これらの手法により、複数の素子における相対的な偏心量が分かるため、光学性能劣化の要因解明、修正等に反映させることが可能となる。また、本手法の結果を基に製造を実施することで、精度の高い光学系を作製することが可能となる。
【0072】
次に、図17を参照にして、例えば非球面レンズのような被検物Oに対して、表裏に配置された被検面のS3−1とS3−2の偏心量を、被検物Oに固定した基準となる素子(基準ブロック)Dを用いて算出する方法について説明する。図17(a)は非球面レンズOの被検面S3−1と基準ブロックDの1つの基準面Hに対して光プローブ2を走査することにより、被検面のS3−1の形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す横から見た図、図17(b)は被検面S3−1の斜視図、図17(c)は被検面S3−2と基準ブロックDの他の基準面Hに対して光プローブ2を走査することにより、被検面のS3−2の形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す斜視図である。
【0073】
被検物Oは基準ブロックHと保持具Cで一体に固定して保持されており、基準ブロックDの各基準面Hとそれに対応した各被検面S3−1、S3−2の形状をそれぞれ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定できるようにする。なお、各被検面S3−1、S3−2の面形状データは、それぞれ各被検面S3−1、S3−2の設計値に当てはめるフィッティングを行うことで、被検面S3−1、S3−2を表すローカル座標系A1−1、A2−1の位置を求めておく。
【0074】
基準ブロックHの形状は、被検物Oの非球面レンズの各被検面S3−1、S3−2の測定と同時に少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点の位置を測定できるように構成することが望ましい。このとき、測定に用いた少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点は、それらの測定結果より基準ブロックDの各基準面にHの位置を定義できるようなものとする必要がある。さらに、少なくとも各測定面Hと同時に測定するエッジeの角度や長さは、予め高精度に測定しておき、これらの既知のデータから測定値で定義される各基準面Hの相対的な位置が分かるようにしておく。
【0075】
なお、基準ブロックDの形状は、例えば、被検物Oの各被検面S3−1、S3−2の厚さ程度の直方体であってもよい。このとき、対向する平面を基準面として、各基準面で2つのエッジを測定してもよい。このとき、基準ブロックDの各辺の長さ、各基準面間の平行度や基準面に隣合う面との角度(直交度)、基準面間の高さ等を高精度に測定しておくことが望ましい。
【0076】
次に、測定方法について説明する。まず、図17に示すように、各被検面S3−1、S3−2毎に基準ブロックDのエッジeの形状と、被検物Oの各被検面S3−1、S3−2の有効エリアの面形状を、非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定する。このとき、例えば測定機の関係で、光プローブ2の入射する方向に対して被検面が略垂直になるように、被検面S3−1、S3−2を上に向ける必要がある場合、図17(a)〜(c)に示すように、各面の測定毎に被検物Oを略180°回転して保持する必要がある。このとき、被検物Oと基準ブロックDは、回転によっても相対的な位置関係が変化しないようにする。
【0077】
基準ブロックDは、例えば各基準面の辺の長さといった既知の測定値に対応させることで、基準ブロックDの測定値より基準面位置を求めることができるような項目の測定を行う。図17では、各基準面H毎に2つのエッジを測定した例を示している。これらの測定データから、基準ブロックDの基準面Hの位置を求めることが可能となる。なお、基準面Hの位置の導出には、図9で示した例と同様の手法を用いることができる。これにより、基準ブロックDの各基準面Hの位置を求めることが可能となる。さらに、同じ測定座標系で被検面S3−1、S3−2の形状を測定することにより、基準面Hと被検面S3−1、S3−2の相対的な位置を各被検面S3−1、S3−2毎に把握することが可能となる。
【0078】
さらに、基準ブロックDを構成する基準面Hの既知のデータに対応させて、各基準面Hの測定値により求められた各面の位置を変換し、各面の相対的な位置関係を合わせる。基準ブロックDが略直方体の場合、例えば、測定により算出した各基準面の頂点の座標と各基準面の傾きを、既知のデータの頂点の相対位置と平行度のデータと対応させてもよい。なお、図17では、基準面の境界となる稜線のエッジの形状は測定していないが、各基準面のエッジの相対的な位置関係が既知であれば、解析は可能となる。これらの変換を各基準面と同じ測定座標系で測定した各被検面S3−1、S3−2に対しても行うことで、被検面S3−1、S3−2の相対的な位置を把握することが可能となる。また、対向する基準面に加えて、両基準面とそれぞれ接する基準面の相対位置を測定し、それらの結果を、既知である基準ブロックの各面の角度に対応させて、対向する基準面の相対位置を導出する解析を行ってもよい。
【0079】
この解析により得られた座標変換を、各被検面S3−1、S3−2の各ローカル座標系A3−1、A3−2にも実施することで、図17(d)に示すように、非球面レンズを構成する面S3−1、S3−2におけるローカル座標系A3−1、A3−2の相対的な位置関係を明確にすることが可能となる。また、解析により各被検面の相対位置が分かるので、偏心の他に、レンズの肉厚等の情報も得ることが可能となる。さらに、これらの情報を基に製造を実施することで精度の高い光学素子を作製することが可能となる。
【0080】
被検面の形状が非球面の場合、被検面の面形状データから設計値に当てはめるフィッティングを行うことでローカル座標の位置を求めることができるが、被検面の形状が球面の場合は、同手法を用いてもローカル座標系の位置を決定することができない。そのような場合は、被検面上に、被検面の形状の測定時に同時に測定することで、ローカル座標系の位置を求めることが可能となるようなマークMを付けておいてもよい。この場合、ローカル座標系に対するマークMの相対位置は既知としておくことで、複数のマークの測定結果から、ローカル座標系の位置の導出が可能となる。なお、マークの形状は、上記解析が可能であれば形状を限定するものではなく、例えば、図18(a)に示すような十字や、図18(b)に示す円柱であってもよい。また、外形から上記解析が可能であれば、マーク等を加工する必要はない。例えば、図18(c)に示すような、小判型の外形をしている場合、外形の直線部の形状や、円弧部との頂点の位置等からローカル座標系の相対位置が導出できれば、それらの測定結果から被検面のローカル座標系を導出する解析を行ってもよい。
【0081】
また、被検面の形状が球面の場合、例えば、面形状データを球でフィッティングすることで球心位置を算出することは可能なので、各面の相対的な球心位置を求めることも可能である。その際に、球面の被検面の測定において、例えば図18に示すようなマークや外形といったものを同じ座標系で測定しておくことが望ましい。
【0082】
なお、外形の測定では、図18(c)に示すような小判型に限定するものではなく、通常の円形の外形であってもよい。その場合は、外形の測定結果を円でフィッティングすることにより、外形中心の位置を求めることが可能となる。それによって、例えば、マークの位置や外形中心といった基準位置に対する各面の球心の相対位置を求めることが可能となる。また、同様に非球面を含んだ場合にも、例えば、非球面の面形状データを球面でフィッティングすることで、ローカル座標系の他に、近似球心位置を求めることも可能である。このように本手法を用いることで、回転対称な光学面を有する被検物に対して、偏心の測定を行うことが可能となる。
【0083】
次に、図20を参照にして、図19に示すような枠Wに光学素子(例えば、レンズ、プリズム)が複数配置された被検物Oの各光学素子の偏心量を、被検物Oの枠Wに固定した基準となる素子(基準ブロック)Dを用いて算出する方法について説明する。このとき、被検物Oは、プリズムによって光軸が折り曲げられた光学系となっている。なお、被検物Oは、ある方向において複数の面の面形状が測定できるようにする。そのため、枠Wは、被検面測定の際に、枠Wと測定機を構成する部材、例えば図示しない光プローブ2を照射するレンズが衝突しないような構成とすることが望ましい。
【0084】
図19では、第1のレンズ群G1とプリズムP3と第2のレンズ群G2が枠W内に配置され、第1のレンズ群G1のレンズL1−1を形成する面SL1−1とプリズムP3を形成する面SP3−2と、第2のレンズ群G2のレンズL2−5を形成する面SL2−5が外側に出ており、光プローブ2を照射することで各面の測定が可能となっている。
【0085】
図20(a)は、被検面SL1−1と基準ブロックDの1つの基準面Hに対して光プローブ2を走査することにより、被検面SL1−1の形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す斜視図、図20(b)は、被検面SP3−2と基準ブロックDの他の基準面Hに対して光プローブ2を走査することにより、被検面のSP3−2の形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す斜視図、図20(c)は、被検面SL2−5と基準ブロックDの他の基準面Hに対して光プローブ2を走査することにより、被検面SL2−5の形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す斜視図である。
【0086】
被検物Oは基準ブロックHと保持具Cで一体に固定して保持されており、基準ブロックDの各基準面Hとそれに対応した各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の形状をそれぞれ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定できるようにする。なお、各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の面形状データは、それぞれ各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の設計値に当てはめるフィッティングを行うことで、被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5を表すローカル座標系AL1−1−1、AP3−2、AL2−5−2の位置を求めておく。
【0087】
また、ローカル座標系算出の際には、各被検面の設計形状を座標変換して、面形状データと座標変換した各設計形状を重ね合わせた際に、残差が最小となるような座標変換パラメータを求める最適化の解析行ってもよい。
【0088】
基準ブロックDの形状は、被検物OのレンズL1−1、L2−5、プリズムP3の各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の測定と同時に少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点の位置を測定できるように構成することが望ましい。このとき、測定に用いた少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点は、それらの測定結果より基準ブロックDの各基準面にHの位置を定義できるようなものとする必要がある。さらに、少なくとも各測定面Hと同時に測定するエッジeの角度や長さは、予め高精度に測定しておき、これらの既知のデータから測定値で定義される各基準面Hの相対的な位置が分かるようにしておく。
【0089】
なお、基準ブロックDの形状は、例えば、被検物Oの形状に合わせて各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5を平面で近似した面を有する多面体の形状であってもよい。このとき、各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の設計値のローカル座標系AL1−1−1、AP3−2、AL2−5−2で定義される平面を有する多面体の形状であってもよい。
【0090】
次に、測定方法について説明する。まず、図20で示すように、各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5毎に基準ブロックDのエッジeの形状と、被検物Oの各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の有効エリア内の面形状とを、非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定する。このとき、例えば測定機の関係で、光プローブ2の入射する方向に対して被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5が略垂直になるように、被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5を上に向ける必要がある場合、図20(a)〜(c)に示すように、各面の測定毎に被検物Oを回転して保持する必要がある。そのため、図示しない回転機構を用いて、被検物Oと基準ブロックDを所望の方向に回転させて固定することになる。このとき、被検物Oと基準ブロックDは、回転によっても相対的な位置関係が変化しないようにする。
【0091】
基準ブロックDは、例えば各基準面の辺の長さといった既知の測定値に対応させることで基準ブロックDの測定値より基準面位置を求めることができるような項目の測定を行う。図20では、各基準面H毎に2つのエッジを測定した例を示している。これらの測定データから、基準ブロックDの基準面Hの位置を求めることが可能となる。なお、基準面Hの位置の導出には、図9で示した例と同様の手法を用いることができる。これにより、基準ブロックDの各基準面Hの位置を求めることが可能となる。さらに、同じ測定座標系で被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の形状を測定することにより、基準面Hと被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の相対的な位置を各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5毎に把握することが可能となる。
【0092】
さらに、基準ブロックDを構成する基準面Hの既知のデータに対応させて、各基準面Hの測定値により求められた各面の位置を変換し、各面の相対的な位置関係を合わせる。このとき、シフトや回転といった座標変換を行う必要がある。なお、各面の相対的な位置を求めるのには、図9で示した例と同様の手法を用いることができる。これらの変換を各基準面と同じ測定座標系で測定した各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5に対しても行うことで、被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の相対的な位置を把握することが可能となる。
【0093】
この解析により得られた座標変換を、各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5の各ローカル座標系AL1−1−1、AP3−2、AL2−5−2にも実施することで、図22に示すような、複数の面SL1−1、SP3−2、SL2−5におけるローカル座標系AL1−1−1、AP3−2、AL2−5−2の相対的な位置関係を求めることが可能となる。
【0094】
また、枠Wに組み込む前に、被検物内に配置された各光学素子の各面のローカル座標の相対位置を、例えば各群やプリズム毎に求めておくことが望ましい。図21(a)〜(c)は、被検物を構成するレンズ群G1(レンズL1−1、L1−2から構成)とプリズムP3とレンズ群G2(レンズL2−1、L2−2、L2−3、L2−4、L2−5から構成)毎に、各面の偏心を測定した結果を示している。レンズ群G1、G2内における偏心は既存の測定機を用いて導出することが可能であり、また、プリズムP3に関しても、例えば図9で示した手法により偏心を導出することは可能である。導出された結果から、各面毎のローカル座標系の相対位置が分かることになり、図21(a)〜(c)に示すように、例えば、レンズ群G1では、レンズL1−1を構成する面のローカル座標系AL1−1−1、AL1−1−2と、レンズL1−2を構成する面のローカル座標系AL1−2−1、AL1−2−2の相対位置が分かる。また、例えば、プリズムP3では、プリズムP3を構成する面のローカル座標系AP3−1、AP3−2、AP3−3の相対位置が分かる。また、レンズ群G2では、レンズL2−1を構成する面のローカル座標系AL2−1−1、AL2−1−2と、レンズL2−2を構成する面のローカル座標系AL2−2−1、AL2−2−2と、レンズL2−3を構成する面のローカル座標系AL2−3−2と、レンズL2−4を構成する面のローカル座標系AL2−4−1、AL2−4−2と、レンズL2−5を構成する面のローカル座標系AL2−5−1、AL2−5−2の相対位置が分かる。
【0095】
このとき、各面のローカル座標系の相対位置がレンズ群やプリズム毎に既知であるため、図20に示すように、レンズL1−1、L2−5、プリズムP3の各被検面SL1−1、SP3−2、SL2−5のローカル座標系AL1−1−1、AP3−2、AL2−5−2との相対を組み合わせることで、レンズ群G1を構成する被検面SL1−1以外の面及びプリズムP3を構成するSP3−2以外の面及びレンズ群G2を構成するSL2−5以外の面を含む各ローカル座標系(AL1−1−1、AL1−1−2、AL1−2−1、AL1−2−2、AP3−1、AP3−2、AP3−3、AL2−1−1、AL2−1−2、AL2−2−1、AL2−2−2、AL2−3−2、AL2−4−1、AL2−4−2、AL2−5−1、AL2−5−2)の相対位置を求めることができる。これらの手法により、複数の素子における相対的な偏心量が分かるため、光学性能劣化の要因解明、修正等に反映させることが可能となる。また、本手法の結果を基に製造を実施することで、精度の高い光学系を作製することが可能となる。
【0096】
なお、各被検面の形状を測定する際、被検面が略上を向くように配置させる必要がある場合には、図示しない回転機構を用いると示したが、測定時に基準ブロックDと被検物の相対位置が変化しないで固定できればよいので、このような保持が可能であれば回転機構を用いなくてもよく、例えば、配置する姿勢を変えて固定してもよい。
【0097】
ところで、図1や図2のような非接触3次元測定機の光プローブ2を走査して被検物Oの被検面1(S1、S2)の3次元面形状を測定するには、被検面1の全面を連続的に隈なく走査することは測定時間等の関係で困難であるので、通常は、測定面内のサンプリングされた飛び飛びの点で測定するのが実際である。その飛び飛びの点間の光プローブ2の移動に関しては、従来は、図24(b)に示すように、特定の位置で高さを測定した▲1▼の状態の光プローブ2をそのままの高さを保ったまま水平に移動して▲2▼の状態で次の位置の測定を行う。しかしながら、このような測定点間の光プローブ2の移動では、被検面1の勾配が急である場合には、光プローブ2を出す対物レンズ15、24が被検面1と接触して被検面1あるいは対物レンズ15、24を傷つけたり、被検面1との距離が遠くなりすぎ反射した光が再び対物レンズ15、24に取り込めずに測定ができなくなる場合があり得る。
【0098】
そこで、本発明の測定方法においては、図24(a)に示すように、特定の位置で高さを測定した▲1▼の状態の光プローブ2を所定の微小距離αだけ上方へ移動させて▲2▼の状態にし、その後、被検面1の設計形状から微小距離αだけ離れてその形状に沿うように移動させて次の測定位置に持ってきて▲3▼の状態にし、その状態で次の測定位置の高さの測定を行うようにする。ここで、▲2▼から▲3▼の状態への移動は、最短距離で移動させても、あるいは、設計値+αの面に沿うように移動させてもよい。このような光プローブ2の移動方法をとることにより、対物レンズ15、24が被検面1と接触すること、及び、反射光が取り込めなくなることが何れも回避可能になる。なお、微小距離αは0以上で、被検面1からの反射光を非接触3次元測定機の対物レンズで取り込むことができる範囲において、任意に設定することができる。
【0099】
次に、被検物Oの被検面上のローカル座標系で指定した座標位置に、マークvを加工しておいたサンプルを使った測定方法について説明する。
【0100】
図25は、マークvを加工しておいたサンプルの一例である。図25に示すように、本発明の測定方法では、被検物Oの被検面上のローカル座標系で指定した座標位置にマークvを加工しておいたサンプルを用いてもよい。この場合、マーク位置を、被検面の面形状測定時に同じ測定座標系で測定し、各マーク位置の測定値から、被検面のローカル座標系の位置を求めることができる。従って、ローカル座標系導出の際に、フィッティングや最適化等の解析が必要ないため、解析が容易となる。
【0101】
なお、マーク形状は、上記解析が可能であれば、形状や個数を限定するものではなく、例えば、形状は円柱、角柱、円錐、角錐、十字状、L字状、交線、点等でもよい。また、測定が高精度にできれば凸形状、凹形状のどちらであってもよい。また、マーク加工位置は、光学系の有効エリアB1、B2以外の領域に加工することが望ましい。マーク位置は、例えば、マーク形状が円柱の場合には、上面の外形の円の中心位置としてもよい。また、十字状の場合には、各直線の交点の位置としてもよい。
【0102】
なお、各マークは、被検面の面形状測定時に同じ測定座標系でマーク形状を測定できれば、必ずしも被検面と同一の面内にある必要はなく、例えば、被検物Oを構成する別の面にあってもよい。
【0103】
図26は、マークvを加工しておいたサンプルの別の一例である。図26に示すように、発明の測定方法では、被検物Oの被検面上にローカル座標系で指定した座標位置にマークvを加工しておいたサンプルを用いてもよい。この場合、マーク位置を、被検面の面形状測定時に同じ測定座標系で測定し、各マーク位置の測定値から、被検面のローカル座標系の位置を求めることができる。よって、被検面S1、S2上の各マークvの測定結果より、各被検面を示すローカル座標系A1,A2の位置を求めておく。
【0104】
また、基準ブロックの形状は、図27に示すように、底面が多面体からなる角柱であってもよい。この場合、被検物Oを保持する際に、各被検面S1、S2と、それぞれ基準ブロックDを構成する少なくとも1つの面が略水平となるように保持する。ここで、各被検面S1、S2と、それぞれ略水平になった基準ブロックDの面を基準面Hとする。
【0105】
図27では、基準ブロックを構成する面H1、H2が、それぞれ各被検面S1、S2と略水平に保持されているため、各被検面の基準面Hとして使用する。このような構成にすることにより、被検物Oの形状にあわせて基準ブロックを製作する必要がなく、汎用的に同一の基準ブロックを使用することができる。なお、図27では、基準ブロックの形状を、8角柱としたが、上記保持が可能であれば、これに限定するものではない。
【0106】
次に、図28〜図31を参照にして、枠Wに光学素子( 例えばプリズム) が複数配置された被検物Oの、各光学素子の偏心量を、被検物Oを保持する枠Wに固定した基準となる素子( 基準ブロック) Dを用いて算出する第2の方法について説明する。このとき、被検物Oは、ある方向において、各光学素子を構成する少なくとも1面に加工しておいたマーク位置を測定できるようにする。
【0107】
なお、マーク形状は、上記測定が可能であれば、形状や個数を限定するものではなく、例えば、形状は円柱、角柱、円錐、角錐、十字状、L字状、交線、点等がある。また、測定が高精度にできれば凸形状、凹形状のどちらであってもよい。また、マーク加工位置は光学系の有効エリアB1−1、B2−1以外の領域に加工することが望ましい。
【0108】
図28〜図31では、プリズムP1とプリズムP2が枠W内に配置され、プリズムP1を構成する面S1−1とプリズムP2を構成する面S2−1上にそれぞれ加工されたマークvが外側に出ており、光プローブを照射することで各マーク形状の測定が可能となっており、その結果マークvの位置を求めることが可能である。
【0109】
図28は、プリズムP1の被検面S1−1と基準ブロックDの1つの基準面Hに対して光プローブを走査することにより、被検面のS1−1上にあるマーク形状、基準面Hのエッジe の形状を測定する様子を示す斜視図、図29は被検面S1−1の上面図、図30はプリズムP2の被検面S2−1と基準ブロックDの他の基準面Hに対して光プローブを走査することにより、被検面のS2−1上にあるマーク形状、基準面Hのエッジeの形状を測定する様子を示す斜視図、図31は被検面S2−1の上面図である。
【0110】
被検物Oは基準ブロックHと保持具Cで一体に固定して保持されており、基準ブロックDの各基準面Hとそれに対応した各被検面S1−1、S2−1上にあるマーク形状をそれぞれ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定できるようにして、マーク形状の測定値よりマーク位置を求める。
【0111】
基準ブロックの形状は、被検物OのプリズムP1、P2の各被検面S1−1、S2−1の測定と同時に少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点の位置を測定できるように構成することが望ましい。このとき、測定に用いた少なくとも2つのエッジe若しくは1つのエッジeと座標が既知である点により、基準ブロックDの各基準面にHの位置を定義できるようなものとする必要がある。さらに少なくとも各測定面Hと同時に測定するエッジeの角度や長さは、予め高精度に測定しておき、これらの既知のデータから測定値で定義される各基準面Hの相対的な位置が分かるようにしておく。
【0112】
次に測定方法について説明する。図11〜図14で示した例と同様の手法により、各被検面S1−1、S2−1毎に基準ブロックDのエッジeの形状と、被検物OであるプリズムP1、P2の各被検面S1−1、S2−1上にある各マークvを、同じ非接触3次元測定機を用いて同じ測定座標系で測定する。このとき、例えば測定機の関係で、光プローブの入射する方向に対して被検面を略垂直になるように、被検面S1−1、S2−1を上に向ける必要がある場合、図28〜図31に示すように、各面の測定毎に被検物Oを回転して保持する必要がある。そのため、図示しない回転機構を用いて、被検物Oと基準ブロックDを所望の方向に回転させて固定することになる。このとき、被検物Oと基準ブロックDは、回転によっても相対的な位置関係が変化しないようにする。
【0113】
なお、基準面Hの位置の導出には、図9で示した例と同様の手法を用いることができ、これにより、基準ブロックDの各基準面Hの位置を求めることが可能となる。さらに、同じ測定座標系で被検面S1−1、S2−1上にある各マークvの位置を測定することにより、被検面Hと被検面S1−1、S2−1上にあるマークvの相対的な位置を各被検面S1−1、S2−1毎に把握することが可能となる。
【0114】
このマークvについては、例えば図26で示した同様の手法を用いることで、すなわち、各面の形状測定とともに、同じ測定座標系を用いてマーク位置を測定し、同様の解析をすることで、各面の面形状とともに、マークの相対位置を算出することが可能となる。したがって、被検面の面形状とマーク位置の相対位置を導出することが可能である。
【0115】
さらに、基準ブロックDを構成する基準面Hの既知のデータに対応させて、各基準面Hの測定値により求められた各面の位置を変換し、各面の相対的な位置関係を合わせる。このとき、シフトや回転といった座標変換を行う必要がある。
【0116】
この解析により得られた座標変換を、各被検面S1−1、S2−1上にある各マークvにも実施することで、各被検面S1−1、S2−1上にあるマークの相対的な位置を把握することが可能となる。
【0117】
また、枠Wに組み込む前に、各プリズムの各被検面のマーク位置とローカル座標系の相対位置を、例えば図26で示した手法により求めておけば、各プリズム毎にプリズムを構成する各面のマークとローカル座標系の相対位置が既知となる。
【0118】
なお、マークが、被検面上のローカル座標系で指定した座標位置に加工してあれば、各マーク位置の測定結果より、容易にローカル座標系の位置を算出することが可能となる。そこで、例えば図26で示した手法により、各プリズム毎にプリズムを構成する各面の複数のマークvとローカル座標系の相対位置が分かる。
【0119】
ただし、各マークの、被検面のローカル座標系における座標位置が分からない場合でも、解析は可能である。この場合、マークの位置を測定する際に、同じ測定座標系を用いて、被検面の形状を測定するようにする。面形状データは、例えば座標変換によって、それぞれ各設計値形状に重ね合わせた際の残差が最小となるような最適化の解析を行うことで、被検面を表すローカル座標系の位置を求めることが可能となるので、各面毎にローカル座標系とマークvの相対的な位置が分かる。そこで、例えば図26で示した手法により、各プリズム毎にプリズムを構成する各面の面形状とローカル座標系とともに、各マークvの相対位置が分かる。この場合、マークvは、被検面と同一の面上になくても、同一の測定座標系で、マーク位置を測定できれば、同様の解析は可能である。
【0120】
そこで、これらの結果を図30で示した各プリズムP1、P2の被検面S1−1、S2−1上にある同一の各マークの位置に対応させることで、図31に示すように、プリズムP1を構成するS1−1以外の面(S1−2、S1−3)及びプリズムP2を構成するS2−1以外の面(S2−2、S2−3)の各面のローカル座標系(A1−2、A1−3、A2−2、A2−3)の相対位置も求めることができる。
【0121】
上記解析には、例えば対応する各被検面毎に、図30で測定したマーク位置と、枠W組み込み前に測定した各プリズムでの対応する各マークを座標変換して、各マーク位置間の距離の総和が最小になるように座標変換パラメータを算出するような最適化の解析を行ってもよい。さらに、この解析によって導出した座標変換を、マーク位置と相対的な位置関係が既知である、被検面のローカル座標系や他の被検面のローカル座標系にも実施すればよい。
【0122】
これらの手法により、複数の素子における相対的な偏心量が分かるため、光学性能劣化の要因解明、修正等に反映させることが可能となる。また、本手法の結果を基に製造を実施することで精度の高い光学系を作製することが可能となる。
【0123】
なお、本手法では、枠Wに組み込み前後で被検面のマークの測定を行う必要があるが、マーク位置を算出する際にフィッティングや最適化等の解析を必要としないため、枠Wに組み込み前後での測定誤差の影響を少なくすることが可能となる。
【0124】
また、上記解析では、各プリズム毎に、マーク付の被検面を1面ずつ用いた場合を示したが、これに限定するものではなく、例えば1つのプリズムについて、複数の被検面上にあるマークを用いて解析を行ってもよい。この場合、マーク位置の対応の情報が増加する為、算出される複数の素子における相対的な偏心量の精度が向上する。
【0125】
以上の本発明の3次元座標測定方法は、例えば次のように構成することができる。
【0126】
〔1〕 被検物上のエッジ近傍にそのエッジに略沿う曲線を設定し、その曲線と略直交する方向に走査して、エッジに基づいて定められた位置の座標値を検出することを特徴とする3次元座標測定方法。
【0127】
〔2〕 前記曲線を多項式で定義することを特徴とする上記1記載の3次元座標測定方法。
【0128】
〔3〕 前記曲線が、エッジ近傍の複数の点を選択し、その複数の点をなだらかに結んで定義した曲線であることを特徴とする上記1記載の3次元座標測定方法。
【0129】
〔4〕 前記複数の点をなだらかに結ぶ際にスプライン演算を用いることを特徴とする上記3記載の3次元座標測定方法。
【0130】
〔5〕 被検物を構成する面の中、少なくとも1面が自由曲面からなることを特徴とする上記1記載の3次元座標測定方法。
【0131】
〔6〕 被検物が、構成面の中少なくとも1面が自由曲面からなる光学素子であることを特徴とする上記5記載の3次元座標測定方法。
【0132】
〔7〕 被検物が、構成面の中少なくとも1面が自由曲面からなる光学素子を製作するための金型であることを特徴とする上記5記載の3次元座標測定方法。
【0133】
〔8〕 複数の面から構成される被検物に対して、各面毎に3次元面形状とエッジ形状とをそれぞれ測定し、共通のエッジの測定値を対応させることにより前記複数の面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
【0134】
〔9〕 異なる面毎に測定した共通のエッジの測定値が略同一の曲線上に乗るように対応付けをすることで、前記複数の面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする上記8記載の3次元座標測定方法。
【0135】
〔10〕 各面毎に測定した面形状測定値と面の設計値とを当てはめることで各面毎のローカル座標系を求め、1つの面で測定した共通のエッジの測定値と他の面で測定した共通のエッジの測定値とを対応させる座標変換を前記ローカル座標系にも行うことで、複数の面におけるローカル座標系の相対的な位置関係を求めることを特徴とする上記9記載の3次元座標測定方法。
【0136】
〔10−1〕 各面毎に測定した面形状測定値と、座標変換した各被検面の設計形状を重ね合わせた際に、残差が最小となるような座標変換パラメータを求める最適化によって、各面毎のローカル座標系を求め、1つの面で測定した共通のエッジの測定値と他の面で測定した共通のエッジの測定値とを対応させる座標変換を前記ローカル座標系にも行うことで、複数の面におけるローカル座標系の相対的な位置関係を求めることを特徴とする上記9記載の3次元座標測定方法。
【0137】
〔11〕 被検物を構成する面の中、少なくとも1面が自由曲面からなることを特徴とする上記9記載の3次元座標測定方法。
【0138】
〔12〕 被検物が、構成面の中少なくとも1面が自由曲面からなる光学素子であることを特徴とする上記11記載の3次元座標測定方法。
【0139】
〔13〕 被検物が、構成面の中少なくとも1面が自由曲面からなるを製作するための金型であることを特徴とする上記11記載の3次元座標測定方法。
【0140】
〔14〕 複数の面から構成される被検物と、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子とを相対的に固定し、被検物の各被検面の3次元面形状と基準素子の形状とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて基準素子の各基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面の3次元面形状測定値にも行うことにより、被検物の複数の被検面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
【0141】
〔14−1〕 複数の面から構成される被検物と、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物とを相対的に固定し、被検物の各被検面の3次元面形状と基準素子とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子の測定値から求まる面形状データに対応させて各基準素子の基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面のマークの位置にも行うことにより、被検物の複数の被検面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
【0142】
〔14−2〕 複数の面から構成される被検物において、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物とを相対的に固定し、被検物の各被検面上にあるマークの位置と基準素子とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子の測定値から求まる面形状データに対応させて各基準素子の基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面のマークの位置にも行うことにより、被検物の複数の被検面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
【0143】
〔14−3〕 複数の面から構成される被検物において、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物とを相対的に固定し、被検物の各被検面上にあるマークの位置と基準素子とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて各基準素子の基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面のマークの位置にも行うことにより、被検物の複数の被検面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
【0144】
〔15〕 複数の面から構成される素子を複数個用いて構成する被検物において、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物を相対的に固定し、被検物の各素子の少なくとも1面の3次元形状と基準素子とを同じ座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて基準素子の各基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面の3次元面形状測定値にも行うことにより、各素子を構成する少なくとも1面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
【0145】
〔15−1〕 複数の面から構成される素子を複数個用いて構成する被検物において、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物を相対的に固定し、被検物の各素子の少なくとも1面の3次元形状とと基準素子とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子の測定値から求まる面形状データに対応させて各基準素子の基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面の3次元形状測定値にも行うことにより、各素子を構成する少なくとも1つの面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
【0146】
〔15−2〕 複数の面から構成される素子を複数個用いて構成する被検物において、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物を相対的に固定し、被検物の各素子のそれぞれ少なくとも1つの被検面上にあるマークの位置と基準素子とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子の測定値から求まる面形状データに対応させて各基準素子の基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面のマークの位置にも行うことにより、各素子を構成するそれぞれ少なくとも1つの面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
【0147】
〔15−3〕 複数の面から構成される素子を複数個用いて構成する被検物において、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物を相対的に固定し、被検物の各素子のそれぞれ少なくとも1つの被検面上にあるマークの位置と基準素子とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて各基準素子の基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面のマークの位置にも行うことにより、各素子を構成するそれぞれ少なくとも1つの面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
【0148】
〔16〕 基準素子の少なくとも2つのエッジ、若しくは、1つのエッジと座標が既知である点の位置とを測定することにより基準素子の形状を求めることを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。
【0149】
〔17〕 基準素子を構成する各基準面のなす角度が既知であることを特徴とする上記16記載の3次元座標測定方法。
【0150】
〔18〕 基準面の測定するエッジは、各基準面からなる稜線を含むことを特徴とする上記17記載の3次元座標測定方法。
【0151】
〔19〕 基準面の少なくとも2つのエッジ、若しくは、1つのエッジと座標が既知である点の測定結果から、各基準面からなる稜線の位置と基準面を表す平面の位置を導出することを特徴とする上記18記載の3次元座標測定方法。
【0152】
〔20〕 同一の稜線を含む各基準面の測定結果からそれぞれ導出した稜線の位置が空間的に一致するように座標の変換を行い、これにより空間的に一致した稜線を回転軸として、稜線を含む各平面を、基準素子の既知の値と対応するように、座標の変換を行うパラメータを算出することを特徴とする上記19記載の3次元座標測定方法。
【0153】
〔21〕 前記座標の変換を、各基準面と同じ測定座標系で測定した各被検面の測定結果に対して実施することを特徴とする上記20記載の3次元座標測定方法。
【0154】
〔22〕 前記座標の変換を、各基準面と同じ測定座標系で測定した各被検面の測定結果から求めたローカル座標系に対して実施することを特徴とする上記20記載の3次元座標測定方法。
【0155】
〔23〕 各面毎に測定した面形状測定値と面の設計値とを当てはめることで各面毎のローカル座標系を求め、求めたローカル座標系に対して、各被検面の3次元面形状測定値に対して行う座標変換を行うことで、被検物の複数の被検面におけるローカル座標系の相対的な位置関係を求めることを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。
【0156】
〔23−1〕 各面被検面上のローカル座標系で指定した座標位置にマークを加工しておいたサンプルを用いて、各面毎に測定したマーク位置から、ローカル座標系を求め、求めたローカル座標系に対して、各基準面に対して行う座標変換を行うことで、被検物の複数の被検面におけるローカル座標系の相対的な位置関係を求めることを特徴とする上記14又は14−2又は15又は15−2記載の3次元座標測定方法。
【0157】
〔23−2〕 各面毎に測定した面形状測定値と、座標変換した各被検面の設計形状を重ね合わせた際に、残差が最小となるような座標変換パラメータを求める最適化によって、各面毎のローカル座標系を求め、求めたローカル座標系に対して、各基準面に対して行う座標変換を行うことで、被検物の複数の被検面におけるローカル座標系の相対的な位置関係を求めることを特徴とする上記14又は14−2又は15又は15−2記載の3次元座標測定方法。
【0158】
〔24〕 被検物を構成する面の中、少なくとも1面が自由曲面からなることを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。
【0159】
〔25〕 被検物が、構成面の中少なくとも1面が自由曲面からなる光学素子であることを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。
【0160】
〔26〕 被検物が、構成面の中少なくとも1面が自由曲面からなるを製作するための金型であることを特徴とする上記24記載の3次元座標測定方法。
【0161】
〔27〕 基準素子を構成する基準面が平面により構成されていることを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。。
【0162】
〔27−1〕 基準素子は、底面が多角形からなる角柱であることを特徴とする上記14又は14−3又は15又は15−2記載の3次元座標測定方法。
【0163】
〔28〕 基準素子の形状は、被検面を平面で近似した構成の多面体であることを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。
【0164】
〔29〕 基準素子の形状は、被検面のローカル座標系で定義される平面で構成される多面体であることを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。
【0165】
〔30〕 基準素子はガラスでできていることを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。
【0166】
〔31〕 基準素子は金属でできていることを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。
【0167】
〔32〕 被検物と基準素子は、回転機構を有する治具に保持することを特徴とする上記14、14−3、15、15−3のいずれかに記載の3次元座標測定方法。
【0168】
〔33〕 非接触光プローブを用いて測定を行い、その際に特定の測定点から次の測定点へ非接触光プローブを移動させるのに、特定の測定点での非接触光プローブを所定の微小距離だけ被検面から離れる方向へ移動させ、次いで被検面の設計値からその微小距離だけ離れてその設計値に沿うように移動させて次の測定点へ移動させ、その状態で次の測定点の測定を行うことを特徴とする上記1から32の何れか1項記載の3次元座標測定方法。
【0169】
〔34〕 被検物を構成する各素子を構成する各面の相対的な位置関係が既知であることを特徴とする上記15又は15−3に記載の3次元座標測定方法。
【0170】
〔35〕 複数の面から構成される素子を複数個用いて構成された被検物は、枠で保持されていることを特徴とする上記16記載の3次元座標測定方法。
【0171】
〔36〕 被検物を保持する枠は、被検面に光が照射できる構成にしたことを特徴とする上記16記載の3次元座標測定方法。
【0172】
〔37〕 被検物が回転対称な光学面を有することを特徴とする記15又は15−3に記載の3次元座標測定方法。
【0173】
〔38〕 被検物が折り曲げられた光軸を有する特徴とする記15又は15−3に記載の3次元座標測定方法。
【0174】
〔39〕 非接触光プローブで被検面の3次元座標を測定する3次元座標測定方法において、特定の測定点から次の測定点へ非接触光プローブを移動させる際に、特定の測定点での非接触光プローブを所定の微小距離だけ被検面から離れる方向へ移動させ、次いで被検面の設計値からその微小距離だけ離れてその設計値に沿うように移動させて次の測定点へ移動させ、その状態で次の測定点の測定を行うことを特徴とする3次元座標測定方法。
【0175】
〔40〕 上記1から39の何れか1項記載の3次元座標測定方法を用いた測定機。
【0176】
〔41〕 上記1から39の何れか1項記載の3次元座標測定方法で測定されたもの。
【0177】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の3次元座標測定方法によると、外形に対する各被検面の設計座標系(ローカル座標系)の相対位置を正確に求めることができ、また、複数の被検面におけるローカル座標系の相対的な位置関係を明確にすることが可能となる。そのため、複数の被検面における相対的な偏心量が分かることになり、光学性能劣化の要因解明、修正等に反映させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用可能なオートフォーカスタイプの非接触3次元測定機の構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明において使用可能な共焦点顕微鏡タイプの非接触3次元測定機の構成を概略的に示す図である。
【図3】円形状のエッジ部を測定する方法を説明するための図である。
【図4】本発明に基づいてエッジの形状を測定する方法を説明するための図である。
【図5】エッジの形状を測定する際の走査開始点を示す曲線の設定方法を説明するための図である。
【図6】本発明に基づいて外形に対する各面のローカル座標系の相対位置を求める方法を説明するための図である。
【図7】本発明に基づいて被検物の1つのエッジを共有する複数の被検面の偏心量を算出する方法を説明するための図である。
【図8】図7の方法で相対的な位置関係が明確になった複数の面のローカル座標系を示す図である。
【図9】本発明に基づいて被検物に固定した基準ブロックを用いて複数の被検面の偏心量を算出する方法を説明するための図である。
【図10】図9の方法で相対的な位置関係が明確になった複数の面のローカル座標系を示す図である。
【図11】本発明に基づいて被検物に固定した基準ブロックを用いて複数の素子の各素子を構成する被検面の偏心量を導出する方法を説明するための図中の、1つの素子の被検面と基準ブロックの1つの基準面に対して光プローブを走査することによりその被検面の形状、基準面のエッジの形状を測定する様子を示す斜視図である。
【図12】図11の被検面の上面図である。
【図13】図11の別の素子の被検面と基準ブロックの他の基準面に対して光プローブを走査することによりその被検面の形状、基準面のエッジの形状を測定する様子を示す斜視図である。
【図14】図13の被検面の上面図である。
【図15】図11〜図14の方法で相対的な位置関係が明確になった複数の素子の各素子を構成する面のローカル座標系の相対位置を示す図である。
【図16】図11〜図14の方法で、予め各素子を構成する面の偏心を導出しておいた素子からなる光学系を被検物として用いることにより、相対的な位置関係が明確になった複数の素子を構成する各面のローカル座標系の相対位置を示す図である。
【図17】本発明に基づいて被検物に固定した基準ブロックを用いて非球面レンズを構成する被検面の偏心量を導出する方法を説明するための図である。
【図18】図17の方法で被検面が球面であった場合に、被検面のローカル座標系を導出するために加工したマークや被検物の外形を示す図である。
【図19】2つのレンズ群とプリズムからなる被検物を説明するための図である。
【図20】本発明に基づいて被検物に固定した基準ブロックを用いて図19に示した2つのレンズ群とプリズムからなる被検物を構成する被検面の偏心量を導出する方法を説明するための図である。
【図21】図20に示した2つのレンズ群とプリズムについてそれぞれ各素子(レンズ、プリズム)を構成する各面のローカル座標系を説明するための図である。
【図22】図20の方法で相対的な位置関係が明確になった複数の群とプリズムの各素子を構成する面のローカル座標系の相対位置を示す図である。
【図23】図20の方法で予め各素子を構成する面の偏心を導出しておいた素子からなる光学系を被検物として用いることにより、相対的な位置関係が明確になった複数の素子を構成する各面のローカル座標系の相対位置を示す図である。
【図24】本発明における光プローブの移動方法を説明するための図である。
【図25】マークvを加工しておいたサンプルの一例を用いて、マークの位置に対する各面のローカル座標系の相対位置を求める方法を説明する為の図である。
【図26】マークvを加工しておいたサンプルの別の一例を用いて、被検物に固定した基準ブロックを用いて複数の被検面の偏心量を算出する方法を説明する為の図である。
【図27】本発明に基づいて被検物に固定した底面が多角形からなる角柱の基準ブロックを用いて複数の被検面の偏心量を算出する方法を説明する為の図である。
【図28】本発明に基づいて被検物に固定した基準ブロックを用いて複数の素子の各素子を構成する被検面の偏心量を導出する方法を説明するための図中の、1つの素子の被検面と基準ブロックの1つの基準面に対して光プローブを走査することによりその被検面上にあるマークの位置、基準面の形状を測定する様子を示す斜視図である。
【図29】図28の被検面の上面図である。
【図30】図28の別の素子の被検面と基準ブロックの他の被検面に対して光プローブを走査することによりその被検面上にあるマークの位置、基準面の形状を測定する様子を示す斜視図である。
【図31】図30の被検面の上面図である。
【符号の説明】
O…被検物
S1、S2、S1−1、S2−1、S1−2、S1−3、S2−2、S2−3、S3−1、S3−2、SL1−1、SP3−2、SL2−5 …被検面
P1、P2、P3…プリズム
L1−1、L1−2、L2−1、L2−2、L2−3、L2−4、L2−5…レンズ
G1、G2…レンズ群
A1、A2、A1−1、A2−1、A1−2、A1−3、A2−2、A2−3、A3−1、A3−2、AL1−1−1、AL1−1−2、AL1−2−1、AL1−2−2、AP3−1、AP3−2、AP3−3、AL2−1−1、AL2−1−2、AL2−2−1、AL2−2−2、AL2−3−2、AL2−4−1、AL2−4−2、AL2−5−1、AL2−5−2…ローカル座標系
W…枠
M…基準マーク
E、E1、E2、e…エッジ
L、L1、L2…曲線
B、B1、B2、B1−1、B2−1…有効エリア
D…基準ブロック
H、H1、H2…基準面
C…保持具
F…円
v…マーク
1…被測定面
2…光プローブ
11…レーザ
12、13、14…ミラー
15…対物レンズ
16…移動機構
17…光位置検出装置
18…XYステージ
21…光源
22…第1ピンホール
23…ハーフミラー
24…対物レンズ
25…第2ピンホール
26…光検出器
27…移動機構
28…XYステージ
Claims (7)
- 被検物上のエッジ近傍にそのエッジに略沿う曲線を設定し、その曲線と略直交する方向に走査して、エッジに基づいて定められた位置の座標値を検出することを特徴とする3次元座標測定方法。
- 複数の面から構成される被検物に対して、各面毎に3次元面形状とエッジ形状とをそれぞれ測定し、共通のエッジの測定値を対応させることにより前記複数の面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
- 複数の面から構成される被検物と、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子とを相対的に固定し、被検物の各被検面の3次元面形状と基準素子の形状とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて基準素子の各基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面の3次元面形状測定値にも行うことにより、被検物の複数の被検面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
- 非接触光プローブで被検面の3次元座標を測定する3次元座標測定方法において、特定の測定点から次の測定点へ非接触光プローブを移動させる際に、特定の測定点での非接触光プローブを所定の微小距離だけ被検面から離れる方向へ移動させ、次いで被検面の設計値からその微小距離だけ離れてその設計値に沿うように移動させて次の測定点へ移動させ、その状態で次の測定点の測定を行うことを特徴とする3次元座標測定方法。
- 複数の面から構成される素子を複数個用いて構成する被検物において、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物を相対的に固定し、被検物の各素子の少なくとも1面の3次元形状と基準素子とを同じ座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて基準素子の各基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面の3次元面形状測定値にも行うことにより、各素子を構成する少なくとも1面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
- 複数の面から構成される被検物と、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子とを相対的に固定し、被検物の各被検面上にあるマークの位置と基準素子とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて各基準素子の基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面のマークの位置にも行うことにより、被検物の複数の被検面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
- 複数の面から構成される素子を複数個用いて構成する被検物において、基準面の相対的な位置関係が既知な基準素子と被検物とを相対的に固定し、被検物の各素子のそれぞれ少なくとも1つの被検面上にあるマークの位置と基準素子とを同じ測定座標系でそれぞれ測定し、基準素子のエッジ形状の測定値から求まる面形状データに対応させて各基準素子の基準面の座標を変換し、その同じ座標変換を各被検面のマークの位置にも行うことにより、各素子を構成するそれぞれ少なくとも1つの面の相対的な位置関係を求めることを特徴とする3次元座標測定方法。
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