JP2004296267A - コージェネレーションシステムおよびその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電力負荷追従運転をするコージェネレーションシステムを構成するに、システム内に蓄積された蓄熱量、時系列的な電力負荷、および熱負荷を管理する運転制御手段を設け、これら蓄熱量あるいは、電力負荷追従運転を行うことにより発生する熱負荷に対する熱出力の過不足量に応じて、電力負荷追従運転を行う追従応答速度を設定する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力と熱とを出力してその出力を調整可能な熱電併給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、要求されている電力負荷を賄えるように、前記電力負荷に応じて前記熱電併給装置の出力を調整する電力負荷追従運転を行うコージェネレーションシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のようなコージェネレーションシステムは、熱電併給装置として例えば燃料電池を備え、この熱電併給装置から出力される電力を消費可能とするとともに、出力される熱を、適宜、回収・利用するものとしている。
【0003】
即ち、運転制御手段が、電力負荷を賄えるように、熱電併給装置の出力を調整し、電力負荷追従運転を行うのであるが、熱需要がある場合は、熱消費に熱出力を回し、熱需要がない場合は、熱回収を実行したり、放熱したりしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
熱電併給装置として、燃料電池を備えた燃料電池システムでは、電気負荷や熱負荷に対して電気出力を連続的もしくはステップ的に追従させる。そして、従来、燃料電池システムが出力変化を起こす場合、改質器における燃料改質反応を伴うため、その化学反応速度に応じた速度にて、変化に追従することとしていた。
【0005】
一方、上述のように、この種の燃料電池システムでも、発電に伴って発生する熱は貯湯タンクに回収されて、給湯等に利用される。
【0006】
燃料電池システムが電主運転(電力負荷に対応できるように出力を変化させる運転)を行っている場合、熱出力が大きく、貯湯量が多い場合にはラジエータ等の放熱手段を使用して放熱したり、放熱手段をもたないシステムの場合は運転停止を行ったりする必要がある。即ち、その様なエネルギー的には無駄な処理が実行されている。一方、熱出力が熱負荷に対して不足し貯湯量が足りない場合は、バックアップ機器等を使用して追炊き操作をすることとなる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−258293号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような電主運転を行う場合には、発電した電気を有効に利用できるように運転が制御され、システム内に蓄熱された蓄熱量やシステムに要求されている熱利用量に関係なく、余剰熱等が発生するため、熱余り、熱不足状態が発生し、熱出力の有効利用が図れない。結果、電気、熱を合わせたエネルギー総合効率の低下を招来する場合が多い。
【0009】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、更なる省エネルギー化を実現することができるコージェネレーションシステムを提供する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明によれば、
運転制御手段が、システム内に蓄積された蓄熱量、時系列的な電力負荷、および熱負荷を管理するように構成され、
前記蓄熱量あるいは、前記電力負荷追従運転を行うことにより発生する前記熱負荷に対する熱出力の過不足量に応じて、前記電力負荷追従運転を行う追従応答速度を設定して運転を行う構成とされる。
【0011】
すなわち、運転制御手段は、システム内に蓄積される蓄熱量、時系列的な電力負荷、および、時系列的な熱負荷を管理しているので、熱需要が発生した場合における利用可能な熱量が判明しており、時系列的な電力負荷に対して電力負荷追従運転を行うことにより、時系列的な熱負荷に対して熱が不足する、あるいは、熱が余る、熱不足状態、熱余り状態の発生が判明している。
【0012】
一方、追従応答を行う場合の追従応答速度の設定にあって、上記の様に、判明している蓄熱量、熱出力の過不足量に応じた速度の選択が可能で、例えば、熱余り状態が発生すると判断される場合は、追従応答速度を低下させることで、発生する余剰熱量を抑えることが可能となる。
【0013】
結果、請求項1に記載の発明によれば、総合効率的にみれば、電力出力側、熱出力側、両者のバランスのとれた運転が可能となり、排熱量、補足熱量をできるだけ抑えた運転が可能となる。よって、更なる省エネルギー化を実現することができるコージェネレーションシステムを提供できるに至った。
【0014】
このシステムは、電力と熱とを出力してその出力を調整可能な熱電併給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、要求されている電力負荷を賄えるように、前記電力負荷に応じて前記熱電併給装置の出力を調整する電力負荷追従運転を行うコージェネレーションシステムの運転方法として、請求項7に記載されているように、
前記運転制御手段が、システム内に蓄積された蓄熱量、時系列的な電力負荷、および熱負荷を管理するように構成され、
前記蓄熱量あるいは、前記電力負荷追従運転を行うことにより発生する前記熱負荷に対する熱出力の過不足量に応じて、前記電力負荷追従運転を行う追従応答速度を設定して運転を行うこととなる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、前記蓄熱量が基準値より小さい場合あるいは、前記熱負荷が大きく熱出力が不足する場合に、前記追従応答速度としての出力増加速度を高速側増加速度とし、出力減少速度を低速側減少速度とする。
システム内に蓄積された熱量が小さい、あるいは、熱出力の不足が認められる場合は、熱不足が発生すると判断できる場合であるため、出力増加速度を速くし、出力減少速度を遅くすることで、熱電併給装置が発生する熱量を増加させる方向に導くことで、熱側のバランスを取ることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、前記蓄熱量が基準値より大きい場合あるいは、前記熱負荷が小さく熱出力が余る場合に、前記追従応答速度としての出力増加速度を低速側増加速度とし、出力減少速度は高速側減少速度とする。
システム内に蓄積された熱量が大きい、あるいは、熱出力の余剰が認められる場合は、熱余りが発生すると判断できる場合であるため、出力増加速度を遅くし、出力減少速度を速くすることで、熱電併給装置が発生する熱量を減少させる方向に導くことで、熱側のバランスを取ることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、前記熱電併給装置が燃料電池であり、前記追従応答速度である出力増加速度の最大速度が、前記燃料電池出力の最大増加速度とされる。
熱電併給装置が燃料電池の場合、電主運転が成された場合、電力と熱出力のアンバランスが発生しやすいとともに、燃料電池出力は、例えば、改質器に於ける触媒反応速度、水蒸気発生速度、燃料ガス増減速度、触媒温度の制御応答速度等による律速、燃料電池本体に於ける触媒反応速度、酸化剤ガス増減速度、燃料ガス増減速度、電池温度の制御応答速度等の律速をうける。
そこで、このような燃料電池出力の最大増加速度を限度として、この速度以下の範囲で追従応答速度を変化させることで、熱側のバランスを保つとともに、燃料電池の運転状態を良好に保った運転が実行できる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、熱出力を貯湯として蓄熱する貯湯タンクを備え、前記システム内に蓄熱される蓄熱量が、前記貯湯タンクに蓄熱される蓄熱量とされる。
この構成にあっては、貯湯タンクを備えることで、蓄熱を貯湯の状態で実行することとなる。そして、貯湯タンク内の湯の状態から、比較的簡便な手法で貯湯量を確認して、その蓄熱量を追従応答速度の設定に利用し、貯湯タンクを備えたシステムの総合効率を高めることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、熱電併給装置により発生される電力が、併設される電力供給設備に逆流する逆潮流を、システム内に蓄積される熱を発生して電力消費により防止する逆潮流防止機器を備える。
この構成にあっては、逆潮流防止機器を備えることで、システムから発生される電力が外部に逆に流れるのを防止され、システム内で熱の形態で回収される。
結果、有効な熱利用を、総合効率の高い状態で実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるコージェネレーションシステムについて図面に基づいて説明する。
〔システム〕
コージェネレーションシステムは、図1および図2に示すように、熱電併給装置としての燃料電池1と、その燃料電池1にて出力される熱を冷却水にて回収し、その冷却水を利用して、貯湯タンク2への貯湯および熱消費端末3への熱媒供給を行う貯湯ユニット4と、燃料電池1および貯湯ユニット4の運転を制御する運転制御手段としての運転制御部5などから構成されている。
燃料電池1は、燃料電池本体101と燃料ガス改質用の改質器100を内部に備えており、これら燃料電池本体101、改質器100も運転制御部5からの運転制御を受ける。
【0021】
〔電力系統〕
前記燃料電池1は、電力と熱とを出力してその出力を調整可能に構成され、その電力出力側には、系統連係用のインバータ6が設けられ、インバータ6は、燃料電池1の出力電力を商用系統7から供給される電力と同じ電圧および同じ周波数にするように構成されている。
前記商用系統7は、例えば、単相3線式100/200Vであり、商業用電力供給ライン8を介して、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電力負荷9に電気的に接続されている。
【0022】
インバータ6は、コージェネ用供給ライン10を介して商業用電力供給ライン8に電気的に接続され、燃料電池1からの発電電力をインバータ6およびコージェネ用供給ライン10を介して、所定の形態に変換し電力負荷9に供給するように構成されている。
【0023】
前記商業用電力供給ライン8には、電力負荷9の負荷電力を計測する電力負荷計測手段11が設けられている。この電力負荷計測手段11は、さらに、商業用電力供給ライン8を通して流れる電流に逆潮流が発生するか否かをも検出するように構成されている。
そして、逆潮流が生じないように、インバータ6により燃料電池1から商業用電力供給ライン8に供給される電力が制御され、発電電力の余剰電力は、その余剰電力を熱に変えて回収する電気ヒータ12に供給されるように構成されている。
【0024】
前記電気ヒータ12は、複数の電気ヒータから構成され、冷却水循環ポンプ15の作動により冷却水循環路13を通流する燃料電池1の冷却水を加熱するように設けられ、インバータ6の出力側に接続された作動スイッチ14によりON/OFFが切り換えられている。
また、作動スイッチ14は、余剰電力の大きさが大きくなるほど、電気ヒータ12の消費電力が大きくなるように、余剰電力の大きさに応じて電気ヒータ12の消費電力を調整する。
【0025】
〔熱系統〕
貯湯ユニット4は、温度成層を形成する状態で湯水を貯湯する貯湯タンク2、湯水循環路16を通して貯湯タンク2内の湯水を循環させる湯水循環ポンプ17、熱源用循環路20を通して熱源用湯水を循環させる熱源用循環ポンプ21、熱媒循環路22を通して熱媒を熱消費端末3に循環供給させる熱媒循環ポンプ23、湯水循環路16を通流する湯水を加熱させる貯湯用熱交換器24、熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させる熱源用熱交換器25、熱媒循環路22を通流する熱媒を加熱させる熱媒加熱用熱交換器26、ファン27を作動させた状態でのバーナ28の燃焼により貯湯タンク2内から取り出した湯水および熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させる補助加熱用熱交換器29などを備えて構成されている。
【0026】
前記湯水循環路16は、その一部が並列になるように分岐接続され、その接続箇所に三方弁18が設けられており、分岐された一方側の流路には、ラジエター19が設けられている。
そして、三方弁18を切り換えることにより、貯湯タンク2の下部から取り出した湯水がラジエター19を通過するように循環させる状態と、貯湯タンク2の下部から取り出した湯水がラジエター19をバイパスするように循環させる状態とに切り換えるように構成されている。
【0027】
前記貯湯用熱交換器24においては、燃料電池1から出力される熱を回収した冷却水循環路13の冷却水を通流させることにより、湯水循環路16を通流する湯水を加熱させるように構成されている。
前記熱源用熱交換器25においては、燃料電池1にて出力される熱を回収した冷却水循環路13の冷却水を通流させることにより、熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させるように構成されている。
そして、補助加熱機構Mが、ファン27、バーナ28、補助加熱用熱交換器29により構成されている。
また、熱源用循環路20には、熱源用湯水の通流を断続させる熱源用断続弁40が設けられている。
【0028】
前記冷却水循環路13は、貯湯用熱交換器24側と熱源用熱交換器25側とに分岐され、その分岐箇所に、貯湯用熱交換器24側に通流させる冷却水の流量と熱源用熱交換器25側に通流させる冷却水の流量との割合を調整する分流弁30が設けられている。
【0029】
分流弁30は、冷却水循環路13の冷却水の全量を貯湯用熱交換器24側に通流させたり、冷却水循環路13の冷却水の全量を熱源用熱交換器25側に通流させることもできるように構成されている。
【0030】
前記熱媒加熱用熱交換器26においては、熱源用熱交換器25や補助加熱用熱交換器29にて加熱された熱源用湯水を通流させることにより、熱媒循環路22を通流する熱媒を加熱させるように構成されている。
前記熱消費端末3は、床暖房装置や浴室暖房装置などの暖房端末にて構成されている。
【0031】
また、貯湯タンク2から取り出した湯水を給湯するときの給湯熱負荷を計測する給湯負荷計測手段31が設けられ、熱消費端末3での端末熱負荷を計測する端末熱負荷計測手段32も設けられている。
【0032】
〔運転制御部〕
1 貯湯ユニット4に備えられる機器の運転制御
運転制御部5は、燃料電池1の運転中には冷却水循環ポンプ15を作動させる状態で、燃料電池1の運転および冷却水循環ポンプ15の作動状態を制御するとともに、湯水循環ポンプ17、熱源用循環ポンプ21、熱媒循環ポンプ23の作動状態を制御することによって、貯湯タンク2内に湯水を貯湯する貯湯運転や、熱消費端末3に熱媒を供給する熱媒供給運転を行うように構成されている。
【0033】
ちなみに、給湯するときには、熱源用断続弁40を閉弁した状態で貯湯タンク2から取り出した湯水を給湯するように構成され、必要に応じて、貯湯タンク2から取り出した湯水を補助加熱機構Mにて加熱したり、貯湯タンク2から取り出した湯水に水を混合させて、図外のリモコンにて設定されている給湯設定温度の湯水を給湯するように構成されている。
【0034】
2 燃料電池の運転制御
運転制御部5は、基本的に、現在要求されている現電力負荷を賄えるように、燃料電池1の出力を調整する電力負荷追従運転を行うように構成されている。
この目的から、運転制御部5においては、電力負荷・熱負荷および貯湯タンクの貯湯による蓄熱される蓄熱量が管理できるように構成されている。
さらに、本願にあっては、前記電力負荷追従運転において、その追従応答速度を、システム内に蓄積される蓄熱量との関係から決まる追従応答速度とするように、本願独特の構成が採用されている。
【0035】
2−1 電力負荷・熱負荷および蓄熱量の管理
運転制御部5は、時系列的な電力負荷、時系列的な熱負荷、およびシステム内に蓄熱される蓄熱量を管理するように構成されている。
【0036】
即ち、設定時間帯当たりの実電力負荷、実給湯熱負荷、および、実端末熱負荷の夫々を、電力負荷計測手段11およびインバータ6の出力値、給湯熱負荷計測手段31、および、端末熱負荷計測手段32にて計測して、さらには、設定時間当たりの熱負荷を給湯熱負荷と端末熱負荷として、管理可能になっている。
このシステムにあっては、電力負荷、熱負荷が、その瞬時値および設定時間当たりの値として管理される。
【0037】
一方、システム内に蓄積される蓄熱量は、貯湯タンクの貯湯状態から検出されるように構成されており、成層貯湯を行っている貯湯タンクの高さ方向の温度を検出することにより、このタンク内に蓄熱されている蓄熱量を検出、管理できるように構成されている。この蓄熱量に関しても、その瞬時値および設定時間当たりの値として管理される。
【0038】
2−2 電力負荷変動に対する追従
運転制御部5は、電力負荷計測手段11の計測値およびインバータ6の出力値に基づいて、現電力負荷を求めて、その現電力負荷を目標値として燃料電池1の出力を、これに追従するように調整するように構成されている。
【0039】
図3(イ)(ロ)に、現電力負荷変動に対する出力の追従応答状況を示した。これらの図面は、横軸が時間、縦軸が電力負荷を示しており、実線で示すように現電力負荷が第一負荷L1から、これより高い第二負荷L2に変化するとともに、さらに、第一負荷L1に戻った場合の追従状態を示すものである。
【0040】
本願手法を採用する場合の追従応答を破線で示し、従来手法を採用した場合の応答を一点鎖線で示した。以下、本願の一例として、蓄熱量に応じて変化速度を設定する例に関して説明する。
【0041】
これらの図において、図3(イ)が比較的蓄熱量が多いとき(Q0<蓄熱量<Qmax)の追従応答であり、(ロ)が蓄熱量が少ないとき(0<蓄熱量<Q0)の追従応答を示している。
図3(イ)に示す、蓄熱量が確保されている状態では、応答の立ち上がりが従来より遅いものとされており、立ち下がりは、従来同様に迅速に実行されている。
一方、図3(ロ)に示す、蓄熱量が少ない状態では、応答の立ち上がりが従来どおり迅速に行われており、立ち下がりは、従来より遅いものとされている。
【0042】
2−3 追従応答速度の設定のための構成
追従運転を行う場合の追従応答速度の設定に関して、以下詳細に説明する。
前記運転制御部5には、図2に示すように、出力変化速度決定手段500が備えられている。
この手段500は、管理されている現蓄熱量に対して、追従における出力の変化速度を設定するための設定指標を備えており、電力負荷に変化が発生した場合に、現蓄熱量から設定される増加側変化速度V、減少側変化速度Uを設定する。
【0043】
この設定指標を図4(イ)(ロ)に示した。
図4(イ)は変化が増加傾向にある場合の指標であり、図4(ロ)は変化が減少傾向にある場合の指標である。
これらの図にあって、横軸は蓄熱量を縦軸は出力変化速度を示している。
従って、この指標から蓄熱量が決まれば、対応する出力変化速度を求めることができる。
【0044】
イ 増加変化
出力が増加傾向をたどる場合に使用される図4(イ)に示す指標に記載の特性値Vmax,Vmin,Qmax,Q0は、以下に示す通りである。
ここで、Vmaxは高速側増加速度の一例であり、Vminは低速側増加速度の一例であり、Q0は基準値の一例である。この基準値Q0は、増加変化に対するものと減少変化に対するものが規定されるが、増加側と減少側とで異なる値となっていても、問題ない。
【0045】
【表1】
Vmax ;燃料電池の制御応答速度に応じた出力変化速度であり、燃料電池システムが安定に出力変化できる最高の速度である。この速度が、燃料電池出力の最大増加速度となる。従来、この変化速度のみが増加側の変化速度として使用されていた。
Vmim ;出力を増加させる場合の最低増加速度であり、熱需要変化パターン等から決められる。
Qmax ;貯湯タンクの最大蓄熱量である。
Q0 ;熱需要変化パターン等から決められる、変化速度を切り替えるべき閾値となる蓄熱量である。
【0046】
ロ 減少変化
出力が減少傾向をたどる場合に使用される図4(ロ)に示す指標の特性値Umax,Uminは、以下に示す通りである。QmaxとQ0とは、増加の場合と同様である。ここで、Umaxは高速側減少速度の一例であり、Uminは低速側減少速度の一例である。
【0047】
【表2】
Umax ;燃料電池の制御応答速度に応じた出力変化速度であり、燃料電池システムが安定に出力変化できる速度である。この速度が、燃料電池出力の最大減少速度となる。従来、この変化速度のみが、減少側の変化速度として採用されていた。
Umim ;出力を減少させる場合の最低減少速度であり、熱需要変化パターン等から決められる。
Qmax ;貯湯タンクの最大蓄熱量である。
Q0 ;熱需要変化パターン等から決められる、変化速度を切り替えるべき閾値となる蓄熱量である。
【0048】
2−4 出力変化速度の設定
前記出力変化速度決定手段500は、図4(イ)(ロ)に示される指標に従って、出力変化速度を決定する。この場合、運転制御部5において管理されている蓄熱量が参照される。以下蓄熱量がQ0以上ある場合と、Q0未満である場合とに分けて、図4(イ)(ロ)を参照しながら説明する。
【0049】
イ 蓄熱量がQ0以上の場合
蓄熱量は、Q0〜Qmaxの間にあるため、図4(イ)(ロ)から判明するように、増加側の変化速度はVminに、減少側の変化速度はUmaxとされる。
この状況が、図3(イ)に関して先に説明した状況である。
従って、負荷増加に対して、従来方法の変化速度であるVmaxよりも出力変化をゆっくり変化させることとなり出力増加時の排熱量が従来方法より少なくでき、熱余り状態を低減できる。
【0050】
ロ 蓄熱量がQ0未満の場合
蓄熱量は、0〜Q0の間にあるため、図4(イ)(ロ)から判明するように、増加側の変化速度はVmaxに、減少側の変化速度はUminとされる。
この状況が、図3(ロ)に関して先に説明した状況である。
負荷減少に対して、従来方法の変化速度であるUmaxよりも出力変化をゆっくり変化させているため出力減少時の熱出力量が従来方法より多くなり、さらに逆潮防止ヒーターの熱量も多くなるため、熱不足状態を補える。
【0051】
ここで、燃料電池システムの発電効率および熱効率を合わせると(総合効率)、通常70〜80%あるため、発電した電気を逆潮防止用の電気ヒーターで熱として回収しても、バックアップボイラー(効率70〜80%)で追炊きしても、効率的には違いがない。
【0052】
従って、上記構成では、追従制御の応答速度を蓄熱量に応じたものとするため、システムの総合効率を上昇させることが可能となる。
【0053】
〔別実施の形態〕
以下、本願の別実施例に関して説明する。
(1) 上記の実施の形態では、貯湯タンクに蓄熱された蓄熱量に対して出力変化速度の変更設定を実行する場合を説明したが、蓄熱量を貯湯タンクの高さ方向の温度レベル変化から判断するものとしたり、熱需要量に従って、変化速度を設定するものとしてもよい。即ち、運転制御部5において管理されている、設定時間当たりの電力負荷、熱負荷等に基づいて、実際に発生されている熱出力との関係から、その過不足状態を求め、反応速度をこの過不足との関係から決定してもよい。
【0054】
(2) また、蓄熱量の閾値をQ0と1点で出力変化速度を変更する例を示したが、図4に対応させて図5(イ)(ロ)に示すように、閾値を2点(Qh、Ql)として出力変化速度を設定することも可能である。
【0055】
この場合、Vmax、Vmin、Umax、Umin、Qmaxは先に図4で説明したと同様な特性値である。そして、Qh、Qlは、熱需要変化パターン等から決められることとなる。この場合も、Qh、Qlは、基準値の例となる。
この場合も、増加側と減少側とで基準値を異ならせてもよい。
【0056】
さらに、このような基準値、高速側増加速度、低速側増加速度、高速側減少速度、低速側減少速度は、現状、システムが保持している増加速度、減少速度に対して、蓄熱量との関係、熱余り状態、熱不足状態との関係から逐次的に、それより高速側もしくは低速側に変更設定できるものとしておいてもよい。
【0057】
(3) 上記の実施の形態では、システム内に蓄積される蓄熱量に応じて変化速度を設定する例を示したが、本願にあっては、電力負荷、熱負荷が管理されており、変化速度の設定は、熱余り、熱不足状態の解消にあるため、これら負荷に応じて、熱余り、熱不状態を判断し、その判断に基づいて変化速度を適宜設定するものとしてもよい。
(4) 上記の実施形態では、貯湯タンク2に加えて、熱消費端末3を設けて、熱負荷を給湯熱負荷と端末熱負荷としたコージェネレーションシステムを例示したが、熱消費端末3を設けずに、給湯熱負荷を熱負荷とするコージェネレーションシステムとしてもよい。
【0058】
(5) 上記の実施形態では、熱電併給装置として、燃料電池1を例示したが、熱電併給装置として、例えば、ガスエンジンなどの内燃機関と発電装置とを組み合わせたものや、スターリングエンジンなどの外燃機関と発電装置とを組み合わせたものなどを適応することも可能である。
【0059】
ちなみに、熱電併給装置として、例えば、燃料電池もしくは、ガスエンジンと発電装置とを組み合わせたものを適応するものでは、ラジエター19の設置位置を冷却水循環路13の流路中としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】コージェネレーションシステムの概略構成図
【図2】運転制御部の機能ブロック図
【図3】本願の出力の追従状態を示す図
【図4】蓄熱量と出力変化速度の設定指標を示す図
【図5】別実施の形態の蓄熱量と出力変化速度の設定指標を示す図
【符号の説明】
1 熱電併給装置
2 貯湯タンク
5 運転制御手段
Claims (7)
- 電力と熱とを出力してその出力を調整可能な熱電併給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、要求されている電力負荷を賄えるように、前記電力負荷に応じて前記熱電併給装置の出力を調整する電力負荷追従運転を行うコージェネレーションシステムであって、
前記運転制御手段が、システム内に蓄積された蓄熱量、時系列的な電力負荷、および熱負荷を管理するように構成され、
前記蓄熱量あるいは、前記電力負荷追従運転を行うことにより発生する前記熱負荷に対する熱出力の過不足量に応じて、前記電力負荷追従運転を行う追従応答速度を設定して運転を行うコージェネレーションシステム。 - 前記蓄熱量が基準値より小さい場合あるいは、前記熱負荷が大きく熱出力が不足する場合に、前記追従応答速度としての出力増加速度を高速側増加速度とし、出力減少速度を低速側減少速度とする請求項1記載のコージェネレーションシステム。
- 前記蓄熱量が基準値より大きい場合あるいは、前記熱負荷が小さく熱出力が余る場合に、前記追従応答速度としての出力増加速度を低速側増加速度とし、出力減少速度を高速側減少速度とする請求項1記載のコージェネレーションシステム。
- 前記熱電併給装置が燃料電池であり、前記追従応答速度である出力増加速度の最大速度が、前記燃料電池出力の最大増加速度である請求項1〜3のいずれか1項記載のコージェネレーションシステム。
- 熱出力を貯湯として蓄熱する貯湯タンクを備え、前記貯湯タンクに蓄熱される蓄熱量が、前記システム内に蓄熱される蓄熱量とされる請求項1〜4のいずれか1項記載のコージェネレーションシステム。
- 熱電併給装置により発生される電力が、併設される電力供給設備に逆流する逆潮流を、システム内に蓄積される熱を発生する電力消費により防止する逆潮流防止機器を備える請求項1〜5のいずれか1項記載のコージェネレーションシステム。
- 電力と熱とを出力してその出力を調整可能な熱電併給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、要求されている電力負荷を賄えるように、前記電力負荷に応じて前記熱電併給装置の出力を調整する電力負荷追従運転を行うコージェネレーションシステムの運転方法であって、
前記運転制御手段が、システム内に蓄積された蓄熱量、時系列的な電力負荷、および熱負荷を管理するように構成され、
前記蓄熱量あるいは、前記電力負荷追従運転を行うことにより発生する前記熱負荷に対する熱出力の過不足量に応じて、前記電力負荷追従運転を行う追従応答速度を設定して運転を行うコージェネレーションシステムの運転方法。
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