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JP2004295120A - 感光性樹脂積層体およびそれを用いた印刷版材 - Google Patents

感光性樹脂積層体およびそれを用いた印刷版材 Download PDF

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JP2004295120A JP2004070231A JP2004070231A JP2004295120A JP 2004295120 A JP2004295120 A JP 2004295120A JP 2004070231 A JP2004070231 A JP 2004070231A JP 2004070231 A JP2004070231 A JP 2004070231A JP 2004295120 A JP2004295120 A JP 2004295120A
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Katsutoshi Sasashita
勝利 笹下
Shigehiko Ichikawa
成彦 市川
Shinji Tanaka
眞二 田中
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Abstract

【課題】 印刷版材表面への原図フイルムの均一真空密着を確保し、その結果として、画像再現性、特に凹細線の深さが深く優れた印刷用感光性樹脂版を提供すること。
【解決手段】 親水性ポリマまたは液状ゴム、 合成ゴム、水分散性ラテックス、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を含有する水現像可能な合成ゴム系感光性樹脂層の表面に、水溶性セルロース誘導体からなる層を設けた感光性樹脂積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は感光性樹脂積層体に関するものであり、さらに詳しくは、水現像可能な合成ゴム系感光性樹脂層(以下、感光層ということがある)表面に粘着防止膜を設けた水現像可能な感光性樹脂積層体に関するものである。特に、露光の際の原図フイルムと感光層との密着性を改良する方法に関するものである。
感光性樹脂印刷版を像形状に露光するに際しては、該樹脂印刷版の感光層の上に原図フイルム(ネガティブまたはポジティブ)を真空密着させて活性光線で露光する方法が主として用いられている。
しかしながら、感光性樹脂印刷版の感光層表面は、通常、粘着性を帯びていることが多く、この粘着性のために原図フイルムを感光層上に真空密着させる際に原図フイルムと感光層との均一な密着が阻害され、したがって画像の均一な焼き付けが不可能となる。また、露光後に原図フイルムを感光層から剥離する際に原図フイルムのゼラチン層が感光層面に転写したり、また感光層の表面が原図フイルムに転写するなどして原図フイルムを損傷することもある。
特に、水現像可能な感光性樹脂印刷原版の場合に感光層自体が水との親和性に富むために、空気中の湿度(水分)によって感光層表面の粘着が著しくなり、原図フイルムとの均一密着が困難になるなどの問題点がある。
このような問題点を解決する方法としては、例えば感光層表面をマット化することが行われている。
しかしながら、水現像可能な感光性樹脂印刷原版のように多湿な条件によって感光層表面の粘着性が著しく大きくなる場合には、マット化をしても原図フイルムの密着が十分でなく、したがって原図フイルムの密着を高めるために感光層表面を強くマット化すると、散乱光の増加により感光画像のシャープさが低下するという重大な問題もある。
また、原図フイルム自身にマット化したフイルムを使用する方法も用いられているが、この場合はフイルムコストが高い上に原図フイルム作製が通常のフイルムよりも困難であることが問題となる。さらにこの方法は感光層表面の粘着性が強い場合には密着不良を起こす可能性も大きく、散乱光により画像のシャープさが低下する問題もある。
このように、原図フイルムと感光層の密着性改良のために種々の手段が行われているが、いずれの方法も感光層表面の粘着性が大きい場合には、感光層表面への原図フイルムの均一真空密着はかなり困難である。
さらに、前述の原図フイルムの密着不良を改良する他の方法としては、感光層表面にケン化度90モル%以上の部分ケン化ポリ酢酸ビニルの層で被覆する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、重合度800以上、ケン化度75%以上90%未満のポリビニルアルコールで被覆する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、アルコール可溶性ポリアミドで被覆する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、感光層がより柔軟で粘着性が強いフレキソ印刷版材に対しては、ヒドロキシアルキルセルロースで被覆する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、フレキソ印刷版材の場合、特に感光層上に皺が発生し易い問題がある。そこで、皺防止としてポリビニルアルコールにグリセリンを含有させた粘着防止層(例えば、特許文献5参照)やポリビニルブチラールを含有する粘着層(例えば、特許文献6参照)が提案されている。
特開昭51−49803号公報(第1頁) 特開昭52−110010号公報(第1頁) 特開昭56−110941号公報(第1頁) 特許第2526316号公報(第1頁) 特許第2890770号公報(第1頁) 特開平10−301295号公報(第1頁)
しかし、特許文献1−6に提案された方法をもってしても、印刷版材表面への原図フイルムの均一真空密着性と画像再現性を満足できるものではなかった。本発明は、かかる従来技術の諸欠点に鑑み創案されたもので、その目的とするところは、水現像可能な合成ゴム系感光性樹脂層表面に特定の粘着防止膜を設けることで、原図フイルムの均一真空密着を確保し、その結果として、画像再現性、特に凹細線の深さが深く優れた印刷用感光性樹脂版を提供することにある。
かかる本発明の目的は、以下の手段により達成される。すなわち、本発明は、親水性ポリマまたは液状ゴム、合成ゴム、水分散性ラテックス、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を含有する水現像可能な合成ゴム系感光性樹脂層の表面に、水溶性セルロース誘導体からなる層を設けた感光性樹脂積層体をその骨子とする。
本発明により、製版工程でのカバーフィルム剥離作業を容易にすると共に、高度の画像再現性を与えることができる。特に、凹細線の深さの深い優れた水現像性の印刷版材を与えることができる。さらに、接着層を設けた場合には、水溶性セルロース誘導体からなる層と水現像可能な合成ゴム系感光性樹脂層との接着がより強くなり、水溶性セルロース誘導体からなる層に小皺の発生がないという効果が得られる。
本発明における水現像可能な合成ゴム系感光性樹脂層としては、次のような形態を挙げることができる。第1の形態は、親水性ポリマ、合成ゴム、水分散性ラテックス、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を含有する合成ゴム系感光性樹脂層である。第2の形態は、液状ゴム、合成ゴム、水分散性ラテックス、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を含有する合成ゴム系感光性樹脂層である。
感光性樹脂層には、親水性ポリマまたは液状ゴム、合成ゴム、水分散性ラテックス、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤および必要に応じて光増感剤、熱重合禁止剤などを添加することができる。感光性樹脂層は、通常、支持体上に設けられる。支持体の材質は特に制限されないが、例えば、スチール、アルミニウム、鉄、ガラス、プラスチックフイルムなどが用いられる。こうして形成される感光層は、原図フイルムを用いて活性光線により露光したのち水によって未露光部が洗い出される性質を有するものである。
次に第1の形態の感光層を形成する各成分について説明する。
本発明において、親水性ポリマとは、水に溶解または分散する性質を有するポリマをいい、たとえば、フイルム状に成形したポリマを水または温水に浸漬し、ブラシ等で擦過したときポリマが全面溶出するか、または一部溶出することにより、あるいはポリマが膨潤離散し水中に分散することによりフイルムが減量あるいは崩壊するものをいう。
このような親水性ポリマとしては、アルコールまたは水に溶解し得るポリマが例として挙げられ、ポリアミド、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース類等が使用できるが、ポリマ同士あるいはポリマと光重合性不飽和化合物との相溶性などの点からは、主としてポリアミドを使用することが好ましい。
本発明において好ましく使用される親水性ポリアミドとしては、従来提案されているすべてのものが含まれる。たとえば、特開昭48−72250号公報に示されるような3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどを共重合することによって得られるスルホン酸基またはスルホネート基を含有するポリアミド、特開昭49−43465号公報に示されているような分子中にエーテル結合を持つジカルボン酸、ジアミン、あるいは環状アミドのうちいずれか1種類を共重合して得られるところのエーテル結合を有するポリアミド、特開昭50−7605号公報に示されているようなN,N´−ジ(γ−アミノプロピル)ピペラジン等を共重合して得られる塩基性窒素を含有するポリアミドおよびこれらのポリアミドをアクリル酸等で四級化したポリアミド、特開昭55−74537号公報で提案されている分子量150〜1500のポリエーテルセグメントを含有する共重合ポリアミド、およびα−(N,N´−ジアルキルアミノ)−ε−カプロラクタムの開環重合またはα−(N,N´−ジアルキルアミノ)−ε−カプロラクタムとε−カプロラクタムの開環共重合で得られるところのポリアミドなどが挙げられる。
これらの親水性ポリアミドのうちでは、分子量150〜1500のポリエーテルセグメントを含有する共重合ポリアミド、より具体的には末端にアミノ基を有しポリエーテルセグメント部分の分子量が150〜1500であるポリオキシエチレンと脂肪族ジカルボン酸またはジアミンとから成る構成単位を30〜70重量%含有するところの共重合ポリアミドが、特に好ましく用いられる。
これらの親水性ポリアミドは単独で使用してもよいが2種類以上を混合して使用することもできる。
本発明において、合成ゴムとは、未加硫ゴムあるいは加硫ゴムをいい、両者の混合物も使用できる。加硫ゴムは、未加硫のゴムを加硫したものであるが、未加硫のゴムとしては、特に限定されるものではなく、例えば、分子量4万以上のいわゆる固体ゴムを好ましく使用することができる。合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム等の原料ゴムあるいはエラストマーや、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリル酸共重合体、等のジエン類の共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン類の共重合体が挙げられる。中でも、ジエン類またはオレフィン類の共重合体が好ましく使用される。
印刷版材の水現像性と印刷版の水性インキへの適合性を両立させるためには、親水性ポリマ中に合成ゴムが分散していることが好ましい。親水性ポリマ中にゴムを分散させる方法としては特に限定されないが、例えば、親水性ポリマと未加硫の合成ゴムを溶融混合する方法が挙げられる。その後、場合により該未加硫の合成ゴムを加硫することも行われる。溶融混合とは、二種以上のポリマを軟化点以上の温度で混合することをいう。溶融混合を行うことにより、連続親水性ポリママトリックス全体に微小サイズの合成ゴム粒子が分散するようになるので、その後、該合成ゴム粒子を加硫することにより、加硫された合成ゴム粒子が親水性ポリマ中に分散したブレンドポリマを得ることができる。ブレンドポリマの製造方法は、例えば、以下の方法で行うことができる。すなわち、親水性ポリマと未加硫の合成ゴム、および要求される場合には加硫剤を混合し、次いで加硫形成を行わせるに充分な温度でこの混合物を通常の素練り装置、例えばバンバリーミキサー、ブラベンダーミキサーまたは2軸等の混合押し出し成形機を使用して素練りする。親水性ポリマと合成ゴムを親水性ポリマを軟化させるに充分な温度で、あるいはより一般的には親水性ポリマが通常の温度で結晶性の場合にはその融点以上の温度で混合する。親水性ポリマと合成ゴムを緊密に混合した後に、必要に応じて加硫剤を加える。加硫温度での加熱および素練りは、一般に、数分またはそれ以下で加硫形成を完了させるに充分である。しかしより短い時間が所望されている場合には、一層高い温度を使用することができる。加硫の形成に適当な温度範囲は、親水性ポリマの溶融温度から合成ゴムの分解温度までであり、この範囲は一般に約100℃〜250℃であるが、その最高温度は使用する合成ゴムの種類、劣化防止剤の存在及び混合時間によって変化させることが好ましい。典型的には、この範囲は約130℃〜250℃である。より好ましい範囲は約150℃〜230℃である。合成ゴムの加硫されたブレンドポリマを得るためには、混合を中止することなく加硫が起こるまで混合を続けることが好ましい。
親水性ポリマと合成ゴムの混合比率は、重量比で1対9〜8対2が好ましく、より好ましくは1対9〜5対5である。
親水性ポリマの使用量は感光性樹脂層中に、3〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。親水性ポリマの使用量がかかる範囲内であれば、現像性が低下したり生版の形態保持性が低下したりすることもなく、刷版の耐水性が低下し耐刷性が悪くなることもない。
合成ゴムの使用量は感光性樹脂層中に、10〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70重量%である。ゴムの使用量がかかる範囲内であれば、刷版の柔軟性が低下することもなく、現像性も低下することもない。
親水性ポリマと合成ゴムの合計量は、感光性樹脂層中で20〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは50〜80重量%である。合計量がかかる範囲内であれば、得られた版表面の粘着が大きくなったり、版の形態保持性が損なわれることもなく、版の感光特性、特に画像再現性が低下することもない。
本発明における水分散性ラテックスとは「水分散ラテックス」からその大部分を占める水を除いて得られる重合体そのものをいい、「水分散ラテックス」とは重合体粒子を分散質として水中に分散したものをいう。「水分散ラテックス」は重合体粒子の電気的反発力により分散しており、この電荷は乳化剤、保護コロイド、ポリマなどの電離や吸着により引き起こされているものである。「水分散ラテックス」は水を蒸発すると、水分散性ラテックスとなり、連続皮膜を形成する性質を有するものである。しかしながらここで使用する水分散性ラテックスは、重合体架橋密度が高く連続皮膜を形成しにくいものが好ましく用いられる。
このような水分散性ラテックスとして、具体的には、ポリブタジエンラテックス、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテックス、ポリイソプレンラテックス、ポリウレタンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ビニルピリジン重合体ラテックス、ブチル重合体ラテックス、チオコール重合体ラテックス、アクリレート重合体ラテックスなどのラテックス重合体やこれら重合体にアクリル酸やメタクリル酸などの他の成分を共重合して得られる重合体が挙げられる。この中でも分子鎖中にブタジエン骨格またはイソプレン骨格を含有する水分散性ラテックスが、硬度の点から好ましく用いられる。具体的には、ポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリイソプレンラテックスが好ましい。
水分散性ラテックスの使用量は感光性樹脂層中に50重量%以下が好ましい。50重量%以下とすることで、充分な形態保持性が得られる。さらに、水現像性向上とゴム弾性付与の観点からは、5〜50重量%がより好ましい。
本発明において、感光性樹脂層には光重合性不飽和化合物が添加される。具体的には、分子中にエチレン性二重結合を有する光重合性不飽和化合物が添加される。光重合性不飽和化合物としては、公知のものが挙げられ、親水性ポリマ−と一定程度以上の相溶性のあるものが好ましく使用される。具体的には、次のようなものが挙げられる。2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの水酸基を有するモノアクリレートおよびモノメタクリレート。エチレングリコールなどの多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸などの不飽和カルボン酸の反応によって得られる多価アクリレートおよび多価メタクリレート。グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3、4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメタクリレートなどの不飽和エポキシ化合物。エチレングリコールジグリシジルエーテルなどの多価グリシジルエーテルとアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸の反応によって合成されるところの水酸基を有する多価アクリレートおよび多価メタクリレート。グリシジルメタクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸などの不飽和カルボン酸の反応によって合成されるところの水酸基を有する多価アクリレートおよび多価メタクリレート。アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたはN−メチロールメタクリルアミドと多価アルコールの縮合反応によって得られる多価アクリルアミドおよび多価メタクリルアミドなどのアクリルアミド系の光重合性モノマーなどであり、好ましくは水酸基を有するアクリルまたはメタクリル酸エステル類およびアクリルまたはメタクリルアミド類が使用される。
感光性樹脂層中の光重合性不飽和化合物の割合は10〜80重量%の範囲にあることが好ましい。より好ましくは10〜60重量%である。感光性樹脂層中の光重合性不飽和化合物の割合が10重量%以上であると、光重合によって生成する架橋構造の密度が不足することがなく、水を主成分とする水性インキの希釈溶剤に対して膨潤し難くなり、印刷中にベタ部の膨潤破壊、印刷不良を生ることもない。80重量%以下とすることで光重合によって生成する架橋構造の密度が過剰とならないために、製版されたレリーフが脆くならず、そのため印刷中にレリーフにクラックが入るなどの問題が発生することがないので好ましい。
本発明における光重合開始剤としては、従来公知の光重合開始剤が全て使用できる。例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などがある。これらの光重合開始剤は感光性樹脂層中に好ましくは0.01〜10重量%の範囲で使用される。
本発明において、感光性樹脂層に使用される親水性ポリマと光重合性不飽和化合物との相溶助剤としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド,N−メチルベンゼンスルホンアミドなどを添加することも可能である。これらの多価アルコール類、スルホンアミド系化合物は光重合部分の柔軟性をより高めてレリーフクラックの発生を防止する効果が認められる。このような多価アルコール、スルホンアミド系化合物等の相溶助剤は、感光性樹脂層中に30重量%以下の範囲で使用できる。
次に、本発明の第2の形態の感光層を形成する各成分について説明する。本発明の感光層の第2の形態は、液状ゴム、合成ゴム、水分散性ラテックス、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を含有する合成ゴム系感光性樹脂層である。
本発明において液状ゴムとは、室温で流動性を有するゴムである。一般に液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状クロロプレンゴムが挙げられる。液状ゴムとしては、通常分子量が約5、000未満のものが好適に用いられるが、分子量30,000以下のものであってもよい。また、液状ゴムの末端あるいは側鎖にエチレン性不飽和基が導入されたものであってもよい。液状ゴムは、水分散性ラテックスと光重合性不飽和化合物の混合体と合成ゴムの相溶性を向上させて水現像性を向上させるものである。
液状ゴムの使用量は感光性樹脂層中に、5〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。液状ゴムの使用量がかかる範囲内であれば、現像性が低下したり生版の形態保持性が低下したりすることがない。
第2の形態の感光層の合成ゴム、水分散性ラテックス、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤は、第1の形態で例示したものが用いられる。また、これらの各成分の使用量も第1の形態で述べたとおりである。
本発明のいずれの形態においても、感光性樹脂層の熱安定性を向上させるために従来公知の重合禁止剤を使用することができる。好ましい熱重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類などが挙げられる。これらの熱重合禁止剤は感光性樹脂層中に0.001〜5重量%の範囲で使用することが好ましい。また、染料、顔料、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、香料などを添加することもできる。
感光性樹脂層を製造する方法としては、予め水分散性ラテックスと光重合性不飽和化合物、必要により液状ゴムを混合したものを用意しておくのが好ましい。この混合物は「水分散ラテックス」と光重合性不飽和化合物、必要により液状ゴムを混合し、乾燥機で脱水させることによって得られる。このようにすることで、水分散性ラテックスに光重合性不飽和化合物が吸着された状態になり、水分散性ラテックスの融着を防止することができる。
上記水分散性ラテックスと光重合性不飽和化合物、必要により液状ゴムの混合物に、 合成ゴム、光重合開始剤、必要により親水性ポリマ、さらに光重合性不飽和化合物、液状ゴムなどを混練することにより、感光性樹脂組成物を得ることができる。混練設備としては、2軸押出機、単軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられるが特に限定するものではない。
この感光性樹脂組成物を用いて、接着剤を塗布した支持体に、押出機により溶融押し出しし、後に述べる本発明の水溶性セルロース誘導体からなる層を塗布したカバーフィルムを感光性樹脂層上に密着させることで感光性樹脂積層体を得ることができる。また、支持体とカバーフィルムの間に感光性樹脂組成物を挟み込み、加熱プレスなどで必要な厚さまで押さえ込むことによっても感光性樹脂積層体を得ることができる。支持体としてはスチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属やポリエステルなどのプラスチックシート、ブタジエンゴムなどの合成ゴムシートが好ましく使用される。
感光性樹脂層の厚みは0.1〜10mmの厚さに形成することが好ましい。感光性樹脂層の厚みを0.1mm以上とすることで、印刷版材として用いるのに必要なレリーフ深度が得られ、10mm以下とすることで、印刷版材の重量が抑えられ、取り扱いに実用上の不備が生じることがない。
本発明の親水性ポリマまたは液状ゴム、合成ゴム、水分散性ラテックス、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を含有する水現像可能な合成ゴム系感光性樹脂層の表面には、水溶性セルロース誘導体からなる層を設ける。さらに、感光性樹脂層と水溶性セルロース誘導体からなる層の間に接着層を設けても良い。
本発明における水溶性セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなどが挙げられる。水溶性セルロース誘導体からなる層の厚みは、0.2〜20μmの範囲にあることが好ましい。厚みをこの範囲とすることで、感光層の影響を受けることなく粘着防止効果が十分に得られる上、シャープな画像を形成することができる。
感光性樹脂層と水溶性セルロース誘導体からなる層の間に接着層を設ける場合、接着層は感光性樹脂層に対して接着性を有するものであれば制限無く使用できるが、好ましくは、部分ケン化ポリ酢酸ビニルと、水可溶性または水分散性ポリアミドとの混合物から形成される。ここで用いられる部分ケン化ポリ酢酸ビニルは、合成方法の如何にかかわらず公知のものであればどのようなものでも使用可能できるが、より好ましくはケン化度が40〜90モル%の範囲である。ケン化度が40モル%以上であれば水現像性が良好となる。また、ケン化度が90モル%以下であると部分ケン化ポリ酢酸ビニルの結晶性の高さに由来する活性光線の散乱が発生せず画像がシャープとなり好ましい。
接着層に使用するポリアミドは、水可溶性または水分散性のものであればどのようなものでも使用可能である。このようなポリアミドは感光層に使用されるポリアミドや合成ゴムと親和性が極めて良好であるので、接着層の被膜の脱離を防止する作用を十分に発揮する。具体的には、特開昭48−72250号公報に示されるような3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどを共重合することによって得られるスルホン酸基またはスルホネート基を含有するポリアミド、特開昭49−43465号公報に示されているような分子中にエーテル結合を持つジカルボン酸、ジアミン、あるいは環状アミドのうちいずれか1種類を共重合して得られるところのエーテル結合を有するポリアミド、特開昭50−7605号公報に示されているようなN,N´−ジ(γ−アミノプロピル)ピペラジン等を共重合して得られる塩基性窒素を含有するポリアミドおよびこれらのポリアミドをアクリル酸等で四級化したポリアミド、特開昭55−74537号公報で提案されている分子量150〜1500のポリエーテルセグメントを含有する共重合ポリアミド、およびα−(N,N´−ジアルキルアミノ)−ε−カプロラクタムの開環重合またはα−(N,N´−ジアルキルアミノ)−ε−カプロラクタムとε−カプロラクタムの開環共重合で得られるところのポリアミドなどが挙げられる。
これらのポリアミドの中では、分子量150〜1500のポリエーテルセグメントを含有する共重合ポリアミド、より具体的には末端にアミノ基を有しポリエーテルセグメント部分の分子量が150〜1500であるポリオキシエチレンと脂肪族ジカルボン酸またはジアミンとから成る構成単位を30〜70重量%含有するところの共重合ポリアミドが、特に好ましく用いられる。
これらのポリアミドは単独で使用してもよいが2種類以上を混合して使用することもできる。
接着層は部分ケン化ポリ酢酸ビニルと水可溶性または水分散性ポリアミドの2成分を任意の割合で混合した組成とすることが可能である。好ましい割合としては部分ケン化ポリ酢酸ビニル5〜98重量部に対して水可溶性または水分散性ポリアミド95〜2重量部である。接着層に部分ケン化ポリ酢酸ビニルと水可溶性または水分散性ポリアミドをこのような割合で混合した層を用いた場合には、感光層と接着層との間で十分な接着力が得られ、同時に接着層と水溶性セルロース誘導体からなる層との間でも十分な接着力が得られる。従って、粘着防止のための水溶性セルロース誘導体からなる層は感光層に強固に接着される。
水溶性セルロース誘導体からなる層は、感光層とカバーフィルムの両者に対して十分な接着性を有している。充分な接着性とは、水溶性セルロース誘導体からなる層が、通常の取り扱い中は感光層とカバーフィルムの両者に接着されており、そしてカバーフィルムは画像を露光する前に、容易に取り去られることを意味している。接着層を設ける場合は、感光層と水溶性セルロース誘導体からなる層との接着性がさらに強くなりより好ましい。水溶性セルロース誘導体からなる層を設けることで、水現像可能な感光性樹脂印刷版材から原図フイルムを取り去るのを容易にする効果が認められた。また、原図フイルムとの密着性が良好であり、その結果画像再現性に優れ、特に凹細線の深さが深い印刷版材を与えることができる。もし凹細線の深さが不適切なときは、インキが付着されるべきでない部分にもインキが付着されるため、凹細線の深さは印刷版材にとって重要な課題である。
本発明において、水溶性セルロース誘導体からなる層は、表面の粘着防止の働きを受け持っている。また、接着層を設けた場合は、水溶性セルロース誘導体からなる層が感光層から脱離し難くする役割を果たしている。また、これらの2層はいずれも水現像時に感光層から溶出脱落するので、現像後の版面には残留しない。したがって、印刷時には悪影響を及ぼさないものである。
水溶性セルロース誘導体からなる層を感光層上に設ける方法としては、各種の方法が可能である。例えば、グラビアコータ、ロールコータ、カーテンフローコータ、スプレなどを使用して感光層上に水溶性セルロース誘導体からなる溶液を塗布して乾燥する。接着層を設ける場合は、まず感光層上に接着層を形成するための溶液を塗布し乾燥した後に、水溶性セルロース誘導体からなる層を形成する。被膜の塗布/ぬれ性を改良するために、必要ならば水溶性セルロース誘導体からなる層または接着層の1層以上に対して界面活性剤を添加することができる。界面活性剤は、水現像で水溶性セルロース誘導体からなる層および接着層が除去できる限りどれでも使用でき、アニオン系、ノニオン系、両性系より選ばれた1種以上の界面活性剤を使用できる。水溶性セルロース誘導体からなる層を感光層上に設ける最も簡便な方法は、感光層保護用カバーフイルムとして使用するフイルム上に、水溶性セルロース誘導体溶液を塗布乾燥して薄い被膜を作り、この被膜が感光層に接するようにしてカバーフイルムを圧着する方法である。接着層がある場合は、水溶性セルロース誘導体溶液を塗布乾燥して薄い被膜を作った上に接着層を形成するための溶液を塗布乾燥してフイルム上に2層構造を有する被膜を作る。このようにしてカバーフイルムを装着した印刷版材は、活性光線の露光に先だってカバーフイルムを剥がす際に、水溶性セルロース誘導体からなる被膜全体が感光層側に転写するので、水溶性セルロース誘導体からなる層が版表面となり、原図フイルムとの密着性が良好となる。カバーフイルムとしてマット化されたものを使用すれば、感光層側に転写された水溶性セルロース誘導体からなる層の表面もマット化されることになり、原図フイルムの密着性は極めて良好となる。
このようなカバーフイルムとしては、ポリエステルフイルムが酸素透過率、寸法安定性などの面から最適であるが、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、アセテートフイルム、塩化ビニルフイルム、セロファンなども使用可能である。これらのフイルムをマット化する方法としては、例えば、サンド吹き付け、ケミカルエッチング、マット化剤を含む樹脂のコーティングなどが使用できる。また、サンド吹き付け、ケミカルエッチングを行ったマットフイルムに樹脂を薄く塗布してマットの程度を調整したものも使用可能である。
本発明の感光性樹脂積層体に印刷用のレリーフ像を形成するためには、まず支持体側より、通常波長300〜400nmの光源、例えば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯により紫外線を照射し、その後、カバーフィルムを剥離した感光性樹脂層上にネガティブまたはポジティブの原画フィルムを密着させ紫外線照射し、光重合によって光硬化を行わせる。
次に、未露光部をスプレー式現像装置やブラシ式洗い出し機により溶出させることにより支持体上にレリーフ像を形成することができる。これを乾燥後、活性光線処理して印刷版材を得ることができる。
本発明を実施した場合には、従来に比べて次のような点が改善される。
(1)パウダ等を塗布する必要がないので、作業者の熟練が不要である。
(2)感光層自体の粘着性が強い場合にも、原図フイルムと接触する面には水溶性セルロース誘導体からなる層が面全体に形成されているので、原図フイルムの密着が容易である。
(3)水溶性セルロース誘導体を用いることで、得られる画像再現性、特に凹細線の深さが深くできる点で優れている。
(4)接着層を設ける場合は、接着層が水溶性セルロース誘導体からなる層と感光層との接着をより強くするために、カバーフイルムの剥離時や露光作業時に水溶性セルロース誘導体層が感光層から脱離する現象および粘着防止膜に小皺の入る現象が起こりにくくなる。
本発明の感光性樹脂積層体を使用した印刷版材は、画像再現性に優れ、特に凹細線の深さが深く優れた印刷用感光性樹脂版となる。
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。
参考例1:水分散性ラテックス/親水性モノマ混合物−1の製造
“ラックスター”DM811(大日本インキ化学(株)製、カルボキシ変性ブタジエンラテックス、固形分濃度:50.5%):33.7重量部(固形分で17重量部)と“Nipol”LX111NF(日本ゼオン(株)製、ブタジエンラテックス、固形分濃度:55%):14.5重量部(固形分で8重量部)、親水性モノマー成分である“ライトアクリレート”P400A(共栄社化学(株)製、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート):9重量部と“エポキシエステル”80MFSA(共栄社化学(株)製、グリセリンポリエーテルポリオールと無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートの重縮合物):11重量部を混合して、120℃に加熱した乾燥機で6時間乾燥し、水分を蒸発させて水分散性ラテックス/親水性モノマ混合物−1を得た。
参考例2:水分散性ラテックス/親水性モノマ/液状ゴム混合物−1の製造
“ラックスター”DM811(大日本インキ化学(株)製、カルボキシ変性ブタジエンラテックス、固形分濃度:50.5%):59.4重量部(固形分で30重量部)と親水性モノマー成分である“エポキシエステル”80MFSA(共栄社化学(株)製、グリセリンポリエーテルポリオールと無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートの重縮合物):6重量部と液状ゴムであるBAC−45(大阪有機化学工業(株)製、ポリブタジエン末端アクリレート):11重量部を混合して、120℃に加熱した乾燥機で4時間乾燥し、水分を蒸発させて水分散性ラテックス/親水性モノマ/液状ゴム混合物−1を得た。
参考例3:粘着防止膜付きカバーフイルム−1の作製
接着層(第1層)用組成物として、“ゴーセノール”KP−06(日本合成化学(株)製、ケン化度71〜75モル%の部分ケン化ポリ酢酸ビニル)を40重量部、水分散性ポリアミド(ε−カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩/α、ω−ジアミノプロピルポリオキシエチレン(数平均分子量1000)とアジピン酸の等モル塩=20/20/60(重量比)の共重合ポリアミド)60重量部を水/エタノール=50/50(重量比)の混合溶剤に濃度15%(重量)となるように80℃で溶解して原液を調製した。
また、水溶性セルロース誘導体からなる層(第2層)用組成物として、“メトローズ”SM15(信越化学(株)製、メチルセルロース)を水/メタノール/n−プロパノール=50/25/25(重量比)の混合溶剤に濃度4%(重量)となるように40℃で溶解して原液を調製した。
カバーフイルムとしてケミカルマット化ポリエステルフイルム(厚さ100μm)を選び、このマット面にグラビアコータでまず第2層用原液を乾燥膜厚1.5μmになるように塗布し、100℃で30秒乾燥した。その上に、第1層用原液を乾燥膜厚1.5μmになるように塗布し、100℃で30秒乾燥した。このようにしてマット化ポリエステルフイルム上に、フイルム側に第2層、その上に第1層の2層のコーティングを行い、粘着防止膜付きカバーフイルム−1を得た。
参考例4:粘着防止膜付きカバーフイルム−2の作製
粘着防止膜付きカバーフイルム−1から第1層を除いた以外は、粘着防止膜付きカバーフイルム−1の作製と同様にして、粘着防止膜付きカバーフイルム−2を得た。
参考例5:粘着防止膜付きカバーフイルム−3の作製
粘着防止膜付きカバーフイルム−1の第2層用組成物として、“メトローズ”SM15(信越化学(株)製、メチルセルロース)を“メトローズ”60SH−15(信越化学(株)製、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)に換えた以外は、粘着防止膜付きカバーフイルム−1の作製と同様にして、粘着防止膜付きカバーフイルム−3を得た。
参考例6:粘着防止膜付きカバーフイルム−4の作製
粘着防止膜付きカバーフイルム−1の第2層組成物として、“ゴーセノール”KH−17(日本合成化学(株)製、鹸化度78〜82モル%の部分鹸化ポリ酢酸ビニル)を水/エタノール=40/60(重量比)の混合溶剤に固形分濃度:10重量%となるように80℃で溶解した第2層用原液を用いた以外は、粘着防止膜付きカバーフイルム−1の作製と同様にして、粘着防止膜付きカバーフイルム−4を得た。
参考例7:粘着防止膜付きカバーフイルム−5の作製
粘着防止膜付きカバーフイルム−1の第2層用組成物として、“エスレックB”BL−1(積水化学工業(株)製、ポリビニルブチラール)をイソプロピルアルコール溶剤に固形分濃度:10重量%となるように80℃で溶解した第2層用原液を用いた以外は、粘着防止膜付きカバーフイルム−1の作製と同様にして、粘着防止膜付きカバーフイルム−5を得た。
<実施例1>
ポリアミド樹脂(ε−カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩/α,ω−ジアミノプロピルポリオキシエチレン(数平均分子量:1000)とアジピン酸の等モル塩=20/20/60(重量比)の共重合ポリアミド):2重量部、合成ゴムである“Nipol”DN214(日本ゼオン(株)製、部分架橋ニトリルゴム):18重量部、“Nipol”1072(日本ゼオン(株)製、カルボキシル化ニトリルゴム):4重量部および“Nipol”1220L(日本ゼオン(株)製、ブタジエンゴム):11重量部を、150℃に加熱した200mlの容量を持つラボニーダーミル((株)トーシン社製)で5分間混練した。この後、“プラストロジン”J(藤沢薬品工業(株)製、アミド系ゴム加工助剤):2重量部、“プロノン”204(日本油脂(株)製、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体):0.5重量部、水分散性ラテックスと親水性モノマの混合物である上記水分散性ラテックス/親水性モノマ混合物−1:45重量部および疎水性モノマである“ライトエステル”BP−6EM(共栄社化学(株)製、ビスフェノールとトリエチレングリコールメタクリレートのジエステル化物):8重量部と“ライトアクリレート”S−A(共栄社化学(株)製、ステアリルアクリレート):3重量部をラボニーダーミルに投入し、さらに120℃で10分間混練した。その後、光開始剤として“イルガキュア”651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):0.8重量部、紫外線吸収剤として“チヌビン”327(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):0.02重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル:0.3重量部を添加して5分間混練し、感光性樹脂組成物−1を得た。
このようにして得られた感光性樹脂組成物−1を、125μmのポリエチレンテレフタレートフイルムに予めポリエステル系接着剤を塗布した基板と、粘着防止膜付きカバーフイルム−2との間に挟み、110℃に加熱したプレス機で感光性樹脂層の厚みが1.7mmになるようにプレスし、感光性フレキソ印刷版材を得た。
<実施例2>
実施例1の粘着防止膜付きカバーフイルム−2を粘着防止膜付きカバーフイルム−1に換えた以外は、全て実施例1と同様にして感光性フレキソ印刷版材を得た。
<実施例3>
実施例1の粘着防止膜付きカバーフイルム−2を粘着防止膜付きカバーフイルム−3に換えた以外は、全て実施例1と同様にして感光性フレキソ印刷版材を得た。
<比較例1>
実施例1の粘着防止膜付きカバーフイルム−2を粘着防止膜付きカバーフイルム−4に換えた以外は、全て実施例1と同様にして感光性フレキソ印刷版材を得た。
<比較例2>
実施例1の粘着防止膜付きカバーフイルム−2を粘着防止膜付きカバーフイルム−5に換えた以外は、全て実施例1と同様にして感光性フレキソ印刷版原版を得た。
<比較例3>
ポリアミド樹脂(ε−カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩/α,ω−ジアミノプロピルポリオキシエチレン(数平均分子量:1000)とアジピン酸の等モル塩=20/20/60(重量比)の共重合ポリアミド):2重量部、合成ゴムである“Nipol”DN214(日本ゼオン(株)製、部分架橋ニトリルゴム):23重量部、“Nipol”1072(日本ゼオン(株)製、カルボキシル化ニトリルゴム):4重量部および“Nipol”1220L(日本ゼオン(株)製、ブタジエンゴム):31重量部を150℃に加熱した200mlの容量を持つラボニーダーミル((株)トーシン社製)で5分間混練した。この後、“プラストロジン”J(藤沢薬品工業(株)製、アミド系ゴム加工助剤):2重量部、“プロノン”204(日本油脂(株)製、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体):0.5重量部、親水性モノマである“ライトアクリレート”P400A(共栄社化学(株)製、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート):9重量部と“エポキシエステル”80MFSA(共栄社化学(株)製、グリセリンポリエーテルポリオールと無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートの重縮合物):11重量部および疎水性モノマである“ライトエステル”BP−6EM(共栄社化学(株)製、ビスフェノールとトリエチレングリコールメタクリレートのジエステル化物):8重量部と“ライトアクリレート”S−A(共栄社化学(株)製、ステアリルアクリレート):3重量部をラボニーダーミルに投入し、さらに120℃で10分間混練した。その後、光開始剤として“イルガキュア”651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):0.8重量部、紫外線吸収剤として“チヌビン”327(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):0.02重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル:0.3重量部を添加して5分間混練し、感光性樹脂組成物−2を得た。
このようにして得られた感光性樹脂組成物−2を、125μmのポリエチレンテレフタレートフイルムに予めポリエステル系接着剤を塗布した基板と、粘着防止膜付きカバーフイルム−1との間に挟み、110℃に加熱したプレス機で感光性樹脂層の厚みが1.7mmになるようにプレスし、感光性フレキソ印刷版材を得た。
このようにして得られた実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2、比較例3の感光性フレキソ印刷版材を、支持体側からケミカル灯露光機(“TE−A3−SH”日本電子精機(株)製)により2分間裏露光した。その後、カバーフイルムを剥がし、粘着防止膜上に、画像再現性評価用ネガフイルム(幅100μm凹細線)を真空密着させ、同じケミカル灯露光機でネガフイルム側から20分間露光した。カバーフイルムを剥がした時、接着層のない粘着防止膜付きカバーフイルム−2を用いた実施例1は、粘着防止膜上に軽微であるが小皺が発生した。その他のものは、小皺の発生がなかった。
露光終了後、ブラシ長20mmのナイロン−6,10製ブラシ束を備えたブラシ台が設置された“JemFlex”JOW−A2−WFD(日本電子精機(株)製、フレキソ用洗い出し機)で現像を行った。現像液には50℃の水を用いた。現像7分間で700μmのレリーフ像が形成された。その後60℃に加熱した乾燥機で水分を除去した。その後、同じケミカル灯露光機を用いて後露光を行い、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の画像を評価した結果を表1に示した。
Figure 2004295120
以上のデータから、本発明の感光性樹脂層と水溶性セルロース誘導体からなる層を有する感光性フレキソ印刷版は、比較例1、2、3の感光性フレキソ印刷版よりも凹細線の深さの深い優れた画像を有することが明らかである。
<実施例4>
合成ゴム“Nipol”1043(日本ゼオン(株)製、ニトリルゴム):30重量部を130℃に加熱した200mlの容量を持つラボニーダーミル((株)トーシン社製)で5分間混練した。この後、“プラストロジン”J(藤沢薬品工業(株)製、アミド系ゴム加工助剤):2重量部、“プロノン”204(日本油脂(株)製、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体):0.5重量部、水分散性ラテックスと親水性モノマと液状ゴムの混合物である上記水分散性ラテックス/親水性モノマ/液状ゴム混合物−1:47重量部および疎水性モノマである“ライトエステル”1,9NDA(共栄社化学(株)製、1,9ノナンジオールジアクリレート):12重量部と“ライトアクリレート”S−A(共栄社化学(株)製、ステアリルアクリレート):6重量部をラボニーダーミルに投入し、さらに120℃で10分間混練した。その後、光開始剤として“イルガキュア”651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):0.9重量部、紫外線吸収剤として“チヌビン”327(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):0.025重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル:0.2重量部を添加して5分間混練し、感光性樹脂組成物−3を得た。
このようにして得られた感光性樹脂組成物−3を、125μmのポリエチレンテレフタレートフイルムに予めポリエステル系接着剤を塗布した基板と、粘着防止膜付きカバーフイルム−2との間に挟み、110℃に加熱したプレス機で感光性樹脂層の厚みが1.7mmになるようにプレスし、感光性フレキソ印刷版材を得た。
<実施例5>
実施例4の粘着防止膜付きカバーフイルム−2を粘着防止膜付きカバーフイルム−1に換えた以外は、全て実施例4と同様にして感光性フレキソ印刷版材を得た。
<実施例6>
実施例4の粘着防止膜付きカバーフイルム−2を粘着防止膜付きカバーフイルム−3に換えた以外は、全て実施例4と同様にして感光性フレキソ印刷版材を得た。
<比較例4>
実施例4の粘着防止膜付きカバーフイルム−2を粘着防止膜付きカバーフイルム−4に換えた以外は、全て実施例4と同様にして感光性フレキソ印刷版材を得た。
<比較例5>
実施例4の粘着防止膜付きカバーフイルム−2を粘着防止膜付きカバーフイルム−5に換えた以外は、全て実施例4と同様にして感光性フレキソ印刷版材を得た。
<比較例6>
合成ゴム“Nipol”1043(日本ゼオン(株)製、ニトリルゴム):30重量部を130℃に加熱した200mlの容量を持つラボニーダーミル((株)トーシン社製)で5分間混練した。この後、“プラストロジン”J(藤沢薬品工業(株)製、アミド系ゴム加工助剤):2重量部、“プロノン”204(日本油脂(株)製、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体):0.5重量部、水分散性ラテックスと親水性モノマの混合物である上記水分散性ラテックス/親水性モノマー混合物−1:45重量部および疎水性モノマである“ライトエステル”1,9NDA(共栄社化学(株)製、1,9ノナンジオールジアクリレート):12重量部と“ライトアクリレート”S−A(共栄社化学(株)製、ステアリルアクリレート):6重量部をラボニーダーミルに投入し、さらに120℃で10分間混練した。その後、光開始剤として“イルガキュア”651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):0.9重量部、紫外線吸収剤として“チヌビン”327(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):0.025重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル:0.2重量部を添加して5分間混練し、感光性樹脂組成物−4を得た。
このようにして得られた感光性樹脂組成物−4を、125μmのポリエチレンテレフタレートフイルムに予めポリエステル系接着剤を塗布した基板と、粘着防止膜付きカバーフイルム−1との間に挟み、110℃に加熱したプレス機で感光性樹脂層の厚みが1.7mmになるようにプレスし、感光性フレキソ印刷版材を得た。
このようにして得られた実施例4、実施例5、実施例6、比較例4、比較例5、比較例6の感光性フレキソ印刷版材を、支持体側からケミカル灯露光機(“TE−A3−SH”日本電子精機(株)製)により2分間裏露光した。その後、カバーフイルムを剥がし、粘着防止膜上に、画像再現性評価用ネガフイルム(幅100μm凹細線)を真空密着させ、同じケミカル灯露光機でネガフイルム側から20分間露光した。カバーフイルムを剥がした時、接着層のない粘着防止膜付きカバーフイルム−2を用いた実施例4は、粘着防止膜上に軽微であるが小皺が発生した。その他のものは、小皺の発生がなかった。
露光終了後、ブラシ長20mmのナイロン−6,10製ブラシ束を備えたブラシ台が設置された“JemFlex”JOW−A2−WFD(日本電子精機(株)製、フレキソ用洗い出し機)で現像を行った。現像液には50℃の水を用いた。現像7分間で700μmのレリーフ像が形成された。その後60℃に加熱した乾燥機で水分を除去した。その後、同じケミカル灯露光機を用いて後露光を行い、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の画像を評価した結果を表2に示した。
Figure 2004295120
以上のデータから、本発明の感光性樹脂層と水溶性セルロース誘導体からなる層を有する感光性フレキソ印刷版は、比較例4、5、6の感光性フレキソ印刷版よりも凹細線の深さの深い優れた画像を有することが明らかである。

Claims (9)

  1. 親水性ポリマまたは液状ゴム、合成ゴム、水分散性ラテックス、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を含有する水現像可能な合成ゴム系感光性樹脂層の表面に、水溶性セルロース誘導体からなる層を設けた感光性樹脂積層体。
  2. 請求項1記載の水現像可能な合成ゴム系感光性樹脂層の表面に、接着層および水溶性セルロースからなる層をこの順に設けた感光性樹脂積層体。
  3. 水溶性セルロース誘導体がメチルセルロースであることを特徴とする請求項1または2記載の感光性樹脂積層体。
  4. 水溶性セルロース誘導体からなる層の厚みが0.2〜20μmの範囲である請求項1記載の感光性樹脂積層体。
  5. 接着層および水溶性セルロース誘導体からなる層の合計厚みが0.2〜20μmの範囲である請求項2記載の感光性樹脂積層体。
  6. 接着層が、部分ケン化ポリ酢酸ビニルと、水可溶性または水分散性ポリアミドとの混合物からなる層である請求項2記載の感光性樹脂積層体。
  7. 水溶性セルロース誘導体からなる層または接着層に、アニオン系、ノニオン系、両性系より選ばれた1種以上の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1または2記載の感光性樹脂積層体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂積層体を用いた印刷版材。
  9. 印刷版材がフレキソ版材であることを特徴とする請求項8記載の印刷版材。
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