JP2004288550A - 電磁調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】IH調理器より発生する電磁波を消去ないし打消すことができるIH調理器を提供する。
【解決手段】調理器本体と、内釜4と、電磁誘導コイル5a、5bと、この電磁誘導コイルに高周波電流を給電する発信ユニット9とからなり、発信ユニット9より前記電磁誘導コイルに高周波電流を通電して前記内釜に収容されている被加熱物を加熱調理する電磁調理器1において、電磁誘導発熱コイル5a、5bの外周部に消磁コイル8を配置し、前記電磁誘導コイル5a、5bに通電される共に前記消磁コイル8に通電し、前記電磁誘導コイルが発生する加熱磁束と、前記消磁コイルより発生する消磁磁束を干渉させて、前記本体の外部に漏洩する電磁波を打消するように構成した。
【選択図】 図2
【解決手段】調理器本体と、内釜4と、電磁誘導コイル5a、5bと、この電磁誘導コイルに高周波電流を給電する発信ユニット9とからなり、発信ユニット9より前記電磁誘導コイルに高周波電流を通電して前記内釜に収容されている被加熱物を加熱調理する電磁調理器1において、電磁誘導発熱コイル5a、5bの外周部に消磁コイル8を配置し、前記電磁誘導コイル5a、5bに通電される共に前記消磁コイル8に通電し、前記電磁誘導コイルが発生する加熱磁束と、前記消磁コイルより発生する消磁磁束を干渉させて、前記本体の外部に漏洩する電磁波を打消するように構成した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IH炊飯器やIHジャーあるいはIH加熱調理器などの電磁調理器の改良に関し、特に電磁波の漏洩を減少ないし実質的に防止できる電磁調理器を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
IH炊飯器やIHジャーやホットプレートなどのIH加熱調理器は、比較的大量の電力を給電して食材に適した温度で発熱させ、効率的に調理できる点において優れている。この電磁調理器においては、家庭用電源を使用しているが、電磁加熱効果を高めるために、家庭用電源を高周波数に周波数変換して熱調理器に供給している。従って、通常の周波数の電力を供給する電気炊飯器や電熱ジャーなどの家電製品に比較して遙に大量の電磁波が発生し、これが本体の外周に漏洩することになる。
【0003】
一方、送電線、テレビ、エアコンあるいは電子レンジ等の家電製品から電磁波が多量に発生していることを周知であり、例えば、国立環境研究所と国立ガンセンターは全国免疫学調査を行っている。この調査は15才未満の白血病の子供約350人について、室内の電磁波、送電線までの距離や電気製品の使用状況と、健康な子ども約700人について日常生活の電磁波の影響などについて調査したもので、その結果、電磁波の平均値が0.4マイクロステラ(4ミリガウス)を越えると小児白血病の発生率が2倍になることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、日刊工業新聞社が1997年3月25日付で発行した文献「電磁場の健康影響」(放射線との比較で考える)によって、送電線下の住民に発生した白血病、携帯電話による脳腫瘍、妊婦が電気毛布を使用した場合の小児白血病や奇形児の発生、そしてテレビによる目の異常などついて詳細が報告されている(非特許文献2参照)。
【0005】
また、IH型の電気炊飯器は外釜の内部に内釜を収容し、その外釜を構成する壁部の中間位置と、壁部と底部との局面部と底部の中間部の3ケ所、更に炊飯器の形式によっては蓋部の中にも加熱線あるいは小型の電磁コイルを配置し、内釜の底部と壁部、更に天井部を加えた炊飯器の全周より全面的に誘導発熱させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】
毎日新聞社、2002.9.15 発行「サンデー毎日」(第35〜38頁)
【非特許文献2】
日刊工業新聞社、1997.3.25発行「電磁場の健康影響」(放射線との比較で考える)
【特許文献1】
特開平10─127484号公報公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記非特許文献1及び2の電磁波に関する記事によれば、送電線や電気機器自体から発生する電磁波を対象として問題を指摘している。従って、直観的に送電線や身近の電気機器自体から電磁波が発生するであろうと知覚できる。
【0008】
念のために、本発明者が家電製品などの電気機器の周囲より漏洩する電磁波を電磁波計で測定して見ると、確かに予想された程度の電磁波が発生していることが判明している。また、電気機器のみからだけではなく、これらの電気機器に接続されている電気コードや暖房用カーペットヒーターあるいは電気機器に設けられている電熱ヒータからも微量ではあるが電磁波が発生している。従って、コンピュータ作業のように、コンピュータと、これに接続される配線に接近した状態で長時間作業して電磁波の照射を受けると、その電磁波が微量であっても、その影響を無視することができないことは理解できる。
【0009】
これに対して発熱量の大きな電子レンジは、高周波電流が使用され、その内部構造を多孔板を通して目視でき、更に使用方法について詳細な注意書きがあることから、作動中にはできるだけ接近しないように注意することができる。しかし、IH炊飯器やIHジャーの場合は、従来の炊飯器やジャーと同様な外形をしていることから、一般には、その使用方法については特別に注意を払って生活をすることはない。
【0010】
前記特許文献1には、家電製品等の電気機器からの漏れ電磁波について説明されていないが、公報、第4頁の「段落0032」には、第2ワークコイルC1からの磁気を遮蔽するためにリング状の磁気遮蔽板が設けられていることが記載されている。
【0011】
周知のように電磁調理器は、電磁誘導コイルで発生した磁力線を内釜に作用させ、この内釜に渦電流を発生させてこの渦電流による発熱を利用して加熱するものであるが、前記特許文献1に記載されているように、内釜を収容する外釜の壁部と、この壁部と底部との接合部分と、更に底部に電磁誘導コイルが設けられている。
【0012】
従って、この電磁誘導コイルに通電すると、その周囲に磁束を発生させて内釜に収容されている水に漬けられた米を加熱炊飯する。前記電磁誘導コイルに対して発信ユニットで通常の周波数の交流を例えば、14kHz〜300kHzの高周波に変換した高周波電流を供給して高効率の誘導発熱を行っている。
【0013】
この誘導発熱コイルの断面方向の周囲には加熱用の磁束が発生しているので、この磁束は炊飯器の本体(ケース)の外側にも影響を与え、このケースの外側にかなりの量の電磁波を漏洩することになる。
【0014】
市販の5合炊き炊飯器(定格消費電力が1250W)について、炊飯時に漏洩する電磁波を実測したところ、ケースの側面は600〜400ミリガウス、また、蓋部の上面は110〜190ミリガウス、そしてコードは30〜50ミリガウスであった。
【0015】
つまり、炊飯工程における加熱初期、煮沸状態、むらし、更に炊飯後の保温状態によって供給電力が変動するが、発信ユニットから供給される電力が大きい加熱初期などの期間は電磁誘導も大きく、それに起因して発生する電磁波の強さも大きな値となっている。前記のように内釜の電磁加熱状態によって漏洩電磁波の強さも大きく変動するが、この漏洩電磁波の強さは、テレビやパソコンやエアコン、あるいは床暖房装置などに比較すると格段に大きな値となっている。
【0016】
本発明は、前記電磁調理器、特に、IH炊飯器における漏洩電磁波を消磁するか、あるいは可能な限り減少させることができる電磁調理器を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係る電磁調理器は、次のように構成されている。
【0018】
1)請求項1記載の発明は、調理器本体と、その内部に配置された被加熱物を収容する内釜と、この内釜の外周部に配置された電磁誘導コイルと、この電磁誘導コイルに高周波電流を給電する発信ユニットとからなり、前記発信ユニットより前記電磁誘導コイルに高周波電流を通電して前記内釜に収容されている被加熱物を加熱調理する電磁調理器において、前記電磁誘導発熱コイルの外周部に消磁コイルを配置し、前記電磁誘導コイルに通電される共に前記消磁コイルに通電し、前記電磁誘導コイルが発生する加熱磁束と、前記消磁コイルより発生する消磁磁束を干渉させて、前記本体外部に漏洩する電磁波を減少させるように構成したことを特徴としている。
【0019】
2)請求項2記載の発明は、前記電磁誘導コイルが発生する磁束を包むように、前記消磁コイルにより磁束を発生させて電磁波あるいは減少させるようにしたことを特徴としている。
【0020】
つまり、電磁誘導コイルより発生する磁束の影響を受ける範囲に消磁コイルを配置し、この消磁コイルより発生する磁束によって前記電磁誘導コイルより発生する磁束の内、電磁誘導加熱に大きく関与しなく、外部に漏洩電磁波となるものを消去するものである。
【0021】
3)請求項3記載の発明は、前記電磁誘導コイルと消磁コイルを直列に接続し、電磁誘導コイルに供給される高周波電流の一部または全部を流して消磁させることを特徴としている。
【0022】
電磁誘導コイルと消磁コイルとを流れる電流を逆向きにすると、両コイルが発生する磁束はバランスが良く、最も効率的に漏洩電磁波を消去できる。また、この両コイルには直列的に電流を流すことによって消磁効果を高めることが可能である。
【0023】
しかし、電磁誘導加熱装置の設計によっては、発信ユニットより両コイルに別々に高周波電流を供給するようにしても良い。
【0024】
4)請求項4記載の発明は、食品を加熱調理する部分に設ける線状の電熱ヒータであって、この電熱ヒータは2本を一対とし、これを4本以上の複数対を集合させると共に全体に加撚して一体化した複合電熱ヒータ線を形成し、前記2本一対の電熱ヒータと他の2本一対の電熱ヒータとは逆向きの波形で同程度の交流電流を通電し、一方の対より発生する電磁波を他方の対より発生する磁界によって消去するように構成したことを特徴としている。
【0025】
この発明は、電磁誘導コイルを使用した場合と異なり、電熱ヒータ線を使用した装置に関するものであるが、電流が大きいとそれに応じて電磁波が発生することになるので、この装置の場合の電磁波の消去方法を提案している。
【0026】
要するに、電線ケーブルや電熱ヒータ線も1対の配線あるいは1対の電熱ヒータ線に対して、他の一対の配線や電線ケーブル、あるいは電熱ヒータ線を沿わせて配線する。そして両配線に対して逆向きの磁束を発生させてバランス良く消磁させるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明を適用したIH炊飯器1の側断面図であって、本体(ケース)2の内部に外釜3が着脱自在に設けられ、その内部に水洗米を収容する内釜4を挿入できるようになっている。
【0029】
前記外釜3は壁部3aと底部3bと壁部3aの下端の曲面部3cで形成されており、この曲面部3cと底部3bに第1電磁誘導コイル5aと第2電磁誘導コイ5bが設けられている。更に、通常の電熱線(シーズヒータ等)からなる保温用ヒータ6が設けられている。なお、この構造は通常のIH炊飯器そのものである。
【0030】
本発明に係るIH炊飯器においては、前記電磁誘導コイル5aとヒータ8の外周部に消磁コイル8が籠形に巻回されている。
【0031】
図2は、図1に対応して電気回路を描いたもので、前記電磁誘導コイル5a、5bと、本発明において適用した消磁コイル8を有している。また、保温用ヒータ6は発振ユニット9(マイクロコンピュータからなるマイコン制御ユニット)に接続されて炊飯の段階に応じた電磁誘導制御が行われるようになっている。なお、内釜4の底部の温度を測定するために温度センサ10が複数個設けられている。
【0032】
前記構成の電磁誘導加熱方式のIH炊飯器において、例えば水洗米の吸水工程から保温工程に到る炊飯工程、又はそれらの各工程における飯米の炊飯量に応じて図示しないパルス幅変調回路、IGBT駆動回路、同期トリガー回路をマイコン制御ユニットによりそれぞれの部分を制御することにより、第1電磁誘導コイル5aと第2電磁誘導コイル5bなどの駆動及び出力制御を行うようになっている。
【0033】
図3は蓋部11の内部構造を示すもので、保温用ヒータ12aと電磁誘導コイル12bが設けられており、これらは前記発信ユニット9に接続され、炊飯工程のタイムスケジュール設定によって通電加熱されるようになっている。
【0034】
図4は消磁回路を示すもので、IH炊飯器1の主要部に設けた第1電磁誘導コイル5aと消磁コイル8などの関係を図示しており、図5は第1電磁誘導コイル5aと消磁コイル8における電流の方向とそれによって発生する磁束を示している。
【0035】
第1電磁誘導コイル5aに供給される電流i1の方向が左回りであると仮定すると、このコイル5aには右回りの磁束M1が発生する。また、図5に示すように第1電磁誘導コイル5aと消磁コイル8とが直列に接続されており、電流i2は右回りに流れ、この消磁コイル8の周囲には左回りの磁束M2が発生する。
【0036】
そして蓋部11の内部に電磁誘導コイル12bが配置されており、これには磁束M3が発生している。そして磁束M1とM2、あるいは磁束M1、M2及びM3を包囲するように大回りの消磁用磁の束M4が発生している。
【0037】
ところで、第1電磁誘導コイル5aで発生する磁束M1は、内釜4を電磁誘導によって主として加熱する役目をするものであり、これには大きな磁束が発生するようになっている。
【0038】
本発明においては、第1電磁誘導加熱コイル5a(5b、12b、6など)に対して消磁コイル8を一対として配置することを要件とするものであり、この消磁コイル8は電磁誘導発熱に大きく寄与することなく、本体2の外部に漏洩しようとする磁束と同等の大きさの逆向きの磁束によって漏洩磁束を消磁して、電磁波の漏洩を防止する機能をもつコイルを配置することが必要である。
【0039】
第1電磁誘導加熱コイル5aの巻線方向と消磁コイル8の巻線方向とは逆向きである。そして両コイル5a、8に対して同一の周波数の高周波電力が通電され、そして漏洩する電磁波Dを打消し、あるいは減少させることができる。
【0040】
前記のように、IH加熱装置の電磁誘導コイルより強力な電磁波が発生し、これが加熱装置との周辺に漏洩することを言うまでもないが、保温用のヒータ(図1の6)として使用されている通常の加熱コイルあるいは加熱装置からも電線状あるいはケーブル状のものであれば通電に伴なって電磁波が発生する。
【0041】
なお、蓋部11や底部3bより発生する磁束に対しては、前記と同様に本発明に係る消磁コイル8を組合わせることによって漏洩する電磁波を消去することができる。 (実施の形態2)
通常の加熱装置が使用された保温用のヒータ(シーズヒータなど)からも電磁波が漏洩しているが、本発明は、このような電磁波も消磁することができる。この構造について以下説明する。
【0042】
図6は、内釜4を電熱ヒータ線からなる電熱ヒータ15、16で保温する場合の例を示している。この電熱ヒータ15、16としては図7に示すような2本が一対の電熱ヒータ線(a,b)と、同様な2本が一対のヒータ線(c,d)を使用し、これらに撚りを加えて4本の撚り線の消磁ヒータ線17(ヒータ線a,b,c,dで構成されたもの)として使用する。
【0043】
図8は、図7に示した消磁ヒータ線17の結線図を示している。図示されるようにヒータ線aとbの端部同志が接続され、また、ヒータ線cとdの端部同志がそれぞれ接続され、ヒータ線aとcがある瞬間的にプラス状態とすると、ヒータ線bとdはマイナス状態となる。このように4本が1組のヒータ線に形成すると、その外観は図7の状態となる。また、その配線は図8のように構成されており、2対のヒータ線(a,b/c,d)を通過する電流によって発生する磁束は互いに消磁し合うことになり、従って、この消磁ヒータ線17から漏洩する電磁波は実質的に発生することがない。
【0044】
(実施の形態3)
図7と図8を参照して利用して配線を説明すると、電線を4本1組として撚りを加えて形成した消磁ヒータ線17の技術的思想は、電源部と電磁調理装置との間を結ぶ「配線」にも適用できる。
【0045】
即ち、2本の配線と、これと同じ特性を持つ2本の配線を準備し、これを図7のように加撚して複合線として形成する。この複合線を使用して図8のように電源部と電気機器との間を配線することによって、この複合線によりより電磁波が漏洩することを殆ど防止することができるのである。
(IH炊飯器における消磁コイルの設計方法)
【0046】
図9は、本体(ケース)2の内部の消磁コイル8と、外釜3の周囲に配置された第1電磁誘導コイル5aとの関係を示す図であり、各記号を次のように決定する。
r1 :本体2と第1電磁誘導コイル5aとの間の距離
r2 :本体2と消磁コイル8との間の距離
H :本体2の位置における磁界の強さ
I1 :第1電磁誘導コイル5aを流れる電流
I2 :消磁コイル8を流れる電流
n1 :第1電磁誘導コイル5aの巻数
n2 :消磁コイル8の巻数
【0047】
前記より本体2の位置における磁界の強さHは、次のように計算される。
H=I1 /2πr1 ・・・(1)
H=I2 /2πr2 ・・・(2)
∴ I2 =〔r2 /r1 〕×I1 ・・(3)
前記式(3)より、消磁コイル8を流れる電流I2 は、第1電磁誘導コイル5aを流れる電流I1 に対して〔r2 /r1 〕の大きさで良いことになる。
ここで、n0 =r1 /r2 とすると、 ・・(4)
すなわち、r1 /r2 (本)の並列導体(同一抵抗のものとする)をn0 本作るとすれば、並列導体の各導体に対して、〔I1 /n0 〕すなわち、〔r2 /r1 〕×I1 の電流が流れることになる。
【0048】
また、並列導体数が、電流I1 が流れる第1電磁コイル5aの巻数n1 と1:1になれば、有効な配置となるように設計するのが合理的である。
【0049】
これより、I1 の電流が流れる第1の電磁誘導コイル5aに対する消磁コイル8を流れる電流I2 の具体的条件が定まることになる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、調理器本体と、その内部に配置された被加熱物を収容する内釜と、この内釜の外周部に配置された電磁誘導コイルと、この電磁誘導コイルに高周波電流を給電する発信ユニットとからなり、前記発信ユニットより前記電磁誘導コイルに高周波電流を通電して前記内釜に収容されている被加熱物を加熱調理する電磁調理器において、
前記電磁誘導発熱コイルの外周部に消磁コイルを配置し、前記電磁誘導コイルに通電される共に前記消磁コイルに通電し、前記電磁誘導コイルが発生する加熱磁束と、前記消磁コイルより発生する消磁磁束を干渉させて、前記本体外部に漏洩する電磁波を減少させるように構成したことを特徴としている。
【0051】
従って、電磁誘導コイルより発生した加熱用の磁束の内、本体の外側に電磁波となって漏洩する磁束を、消磁コイルが捕捉してこれを消磁あるいは実用上問題がない範囲に打ち消すことができ、安全な電磁調理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】IH炊飯器の主要部の断面図である。
【図2】図1に示すIH炊飯器の電気回路図である。
【図3】図2に示すIH炊飯器の蓋部の電気回路図である。
【図4】電磁誘導コイルの外方に消磁コイルを設けた本発明に係るIH炊飯器の要部に発生する磁束の説明図である。
【図5】図4に示す電磁誘導コイルと消磁コイルに流れる電流と磁束の関係の説明図である。
【図6】電熱ヒータ線を使用した電熱式調理器の断面図である。
【図7】複合型電熱ヒータ線の説明図である。
【図8】図7の複合型電熱ヒータの結線図である。
【図9】IH炊飯器における消磁コイルの計算例の説明図である。
【記号の簡単な説明】
1 IH炊飯器 2 本体 3 外釜 3a 壁部
3b 底部 3c 局面部 4 内釜
5a 第1電磁誘導コイル 5b 第2電磁誘導コイル
6 保温用ヒータ 8 消磁コイル
9 発振ユニット 10 温度センサ 11 蓋部
12a 保温用ヒータ 12b 電磁誘導コイル
【発明の属する技術分野】
本発明は、IH炊飯器やIHジャーあるいはIH加熱調理器などの電磁調理器の改良に関し、特に電磁波の漏洩を減少ないし実質的に防止できる電磁調理器を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
IH炊飯器やIHジャーやホットプレートなどのIH加熱調理器は、比較的大量の電力を給電して食材に適した温度で発熱させ、効率的に調理できる点において優れている。この電磁調理器においては、家庭用電源を使用しているが、電磁加熱効果を高めるために、家庭用電源を高周波数に周波数変換して熱調理器に供給している。従って、通常の周波数の電力を供給する電気炊飯器や電熱ジャーなどの家電製品に比較して遙に大量の電磁波が発生し、これが本体の外周に漏洩することになる。
【0003】
一方、送電線、テレビ、エアコンあるいは電子レンジ等の家電製品から電磁波が多量に発生していることを周知であり、例えば、国立環境研究所と国立ガンセンターは全国免疫学調査を行っている。この調査は15才未満の白血病の子供約350人について、室内の電磁波、送電線までの距離や電気製品の使用状況と、健康な子ども約700人について日常生活の電磁波の影響などについて調査したもので、その結果、電磁波の平均値が0.4マイクロステラ(4ミリガウス)を越えると小児白血病の発生率が2倍になることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、日刊工業新聞社が1997年3月25日付で発行した文献「電磁場の健康影響」(放射線との比較で考える)によって、送電線下の住民に発生した白血病、携帯電話による脳腫瘍、妊婦が電気毛布を使用した場合の小児白血病や奇形児の発生、そしてテレビによる目の異常などついて詳細が報告されている(非特許文献2参照)。
【0005】
また、IH型の電気炊飯器は外釜の内部に内釜を収容し、その外釜を構成する壁部の中間位置と、壁部と底部との局面部と底部の中間部の3ケ所、更に炊飯器の形式によっては蓋部の中にも加熱線あるいは小型の電磁コイルを配置し、内釜の底部と壁部、更に天井部を加えた炊飯器の全周より全面的に誘導発熱させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】
毎日新聞社、2002.9.15 発行「サンデー毎日」(第35〜38頁)
【非特許文献2】
日刊工業新聞社、1997.3.25発行「電磁場の健康影響」(放射線との比較で考える)
【特許文献1】
特開平10─127484号公報公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記非特許文献1及び2の電磁波に関する記事によれば、送電線や電気機器自体から発生する電磁波を対象として問題を指摘している。従って、直観的に送電線や身近の電気機器自体から電磁波が発生するであろうと知覚できる。
【0008】
念のために、本発明者が家電製品などの電気機器の周囲より漏洩する電磁波を電磁波計で測定して見ると、確かに予想された程度の電磁波が発生していることが判明している。また、電気機器のみからだけではなく、これらの電気機器に接続されている電気コードや暖房用カーペットヒーターあるいは電気機器に設けられている電熱ヒータからも微量ではあるが電磁波が発生している。従って、コンピュータ作業のように、コンピュータと、これに接続される配線に接近した状態で長時間作業して電磁波の照射を受けると、その電磁波が微量であっても、その影響を無視することができないことは理解できる。
【0009】
これに対して発熱量の大きな電子レンジは、高周波電流が使用され、その内部構造を多孔板を通して目視でき、更に使用方法について詳細な注意書きがあることから、作動中にはできるだけ接近しないように注意することができる。しかし、IH炊飯器やIHジャーの場合は、従来の炊飯器やジャーと同様な外形をしていることから、一般には、その使用方法については特別に注意を払って生活をすることはない。
【0010】
前記特許文献1には、家電製品等の電気機器からの漏れ電磁波について説明されていないが、公報、第4頁の「段落0032」には、第2ワークコイルC1からの磁気を遮蔽するためにリング状の磁気遮蔽板が設けられていることが記載されている。
【0011】
周知のように電磁調理器は、電磁誘導コイルで発生した磁力線を内釜に作用させ、この内釜に渦電流を発生させてこの渦電流による発熱を利用して加熱するものであるが、前記特許文献1に記載されているように、内釜を収容する外釜の壁部と、この壁部と底部との接合部分と、更に底部に電磁誘導コイルが設けられている。
【0012】
従って、この電磁誘導コイルに通電すると、その周囲に磁束を発生させて内釜に収容されている水に漬けられた米を加熱炊飯する。前記電磁誘導コイルに対して発信ユニットで通常の周波数の交流を例えば、14kHz〜300kHzの高周波に変換した高周波電流を供給して高効率の誘導発熱を行っている。
【0013】
この誘導発熱コイルの断面方向の周囲には加熱用の磁束が発生しているので、この磁束は炊飯器の本体(ケース)の外側にも影響を与え、このケースの外側にかなりの量の電磁波を漏洩することになる。
【0014】
市販の5合炊き炊飯器(定格消費電力が1250W)について、炊飯時に漏洩する電磁波を実測したところ、ケースの側面は600〜400ミリガウス、また、蓋部の上面は110〜190ミリガウス、そしてコードは30〜50ミリガウスであった。
【0015】
つまり、炊飯工程における加熱初期、煮沸状態、むらし、更に炊飯後の保温状態によって供給電力が変動するが、発信ユニットから供給される電力が大きい加熱初期などの期間は電磁誘導も大きく、それに起因して発生する電磁波の強さも大きな値となっている。前記のように内釜の電磁加熱状態によって漏洩電磁波の強さも大きく変動するが、この漏洩電磁波の強さは、テレビやパソコンやエアコン、あるいは床暖房装置などに比較すると格段に大きな値となっている。
【0016】
本発明は、前記電磁調理器、特に、IH炊飯器における漏洩電磁波を消磁するか、あるいは可能な限り減少させることができる電磁調理器を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係る電磁調理器は、次のように構成されている。
【0018】
1)請求項1記載の発明は、調理器本体と、その内部に配置された被加熱物を収容する内釜と、この内釜の外周部に配置された電磁誘導コイルと、この電磁誘導コイルに高周波電流を給電する発信ユニットとからなり、前記発信ユニットより前記電磁誘導コイルに高周波電流を通電して前記内釜に収容されている被加熱物を加熱調理する電磁調理器において、前記電磁誘導発熱コイルの外周部に消磁コイルを配置し、前記電磁誘導コイルに通電される共に前記消磁コイルに通電し、前記電磁誘導コイルが発生する加熱磁束と、前記消磁コイルより発生する消磁磁束を干渉させて、前記本体外部に漏洩する電磁波を減少させるように構成したことを特徴としている。
【0019】
2)請求項2記載の発明は、前記電磁誘導コイルが発生する磁束を包むように、前記消磁コイルにより磁束を発生させて電磁波あるいは減少させるようにしたことを特徴としている。
【0020】
つまり、電磁誘導コイルより発生する磁束の影響を受ける範囲に消磁コイルを配置し、この消磁コイルより発生する磁束によって前記電磁誘導コイルより発生する磁束の内、電磁誘導加熱に大きく関与しなく、外部に漏洩電磁波となるものを消去するものである。
【0021】
3)請求項3記載の発明は、前記電磁誘導コイルと消磁コイルを直列に接続し、電磁誘導コイルに供給される高周波電流の一部または全部を流して消磁させることを特徴としている。
【0022】
電磁誘導コイルと消磁コイルとを流れる電流を逆向きにすると、両コイルが発生する磁束はバランスが良く、最も効率的に漏洩電磁波を消去できる。また、この両コイルには直列的に電流を流すことによって消磁効果を高めることが可能である。
【0023】
しかし、電磁誘導加熱装置の設計によっては、発信ユニットより両コイルに別々に高周波電流を供給するようにしても良い。
【0024】
4)請求項4記載の発明は、食品を加熱調理する部分に設ける線状の電熱ヒータであって、この電熱ヒータは2本を一対とし、これを4本以上の複数対を集合させると共に全体に加撚して一体化した複合電熱ヒータ線を形成し、前記2本一対の電熱ヒータと他の2本一対の電熱ヒータとは逆向きの波形で同程度の交流電流を通電し、一方の対より発生する電磁波を他方の対より発生する磁界によって消去するように構成したことを特徴としている。
【0025】
この発明は、電磁誘導コイルを使用した場合と異なり、電熱ヒータ線を使用した装置に関するものであるが、電流が大きいとそれに応じて電磁波が発生することになるので、この装置の場合の電磁波の消去方法を提案している。
【0026】
要するに、電線ケーブルや電熱ヒータ線も1対の配線あるいは1対の電熱ヒータ線に対して、他の一対の配線や電線ケーブル、あるいは電熱ヒータ線を沿わせて配線する。そして両配線に対して逆向きの磁束を発生させてバランス良く消磁させるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明を適用したIH炊飯器1の側断面図であって、本体(ケース)2の内部に外釜3が着脱自在に設けられ、その内部に水洗米を収容する内釜4を挿入できるようになっている。
【0029】
前記外釜3は壁部3aと底部3bと壁部3aの下端の曲面部3cで形成されており、この曲面部3cと底部3bに第1電磁誘導コイル5aと第2電磁誘導コイ5bが設けられている。更に、通常の電熱線(シーズヒータ等)からなる保温用ヒータ6が設けられている。なお、この構造は通常のIH炊飯器そのものである。
【0030】
本発明に係るIH炊飯器においては、前記電磁誘導コイル5aとヒータ8の外周部に消磁コイル8が籠形に巻回されている。
【0031】
図2は、図1に対応して電気回路を描いたもので、前記電磁誘導コイル5a、5bと、本発明において適用した消磁コイル8を有している。また、保温用ヒータ6は発振ユニット9(マイクロコンピュータからなるマイコン制御ユニット)に接続されて炊飯の段階に応じた電磁誘導制御が行われるようになっている。なお、内釜4の底部の温度を測定するために温度センサ10が複数個設けられている。
【0032】
前記構成の電磁誘導加熱方式のIH炊飯器において、例えば水洗米の吸水工程から保温工程に到る炊飯工程、又はそれらの各工程における飯米の炊飯量に応じて図示しないパルス幅変調回路、IGBT駆動回路、同期トリガー回路をマイコン制御ユニットによりそれぞれの部分を制御することにより、第1電磁誘導コイル5aと第2電磁誘導コイル5bなどの駆動及び出力制御を行うようになっている。
【0033】
図3は蓋部11の内部構造を示すもので、保温用ヒータ12aと電磁誘導コイル12bが設けられており、これらは前記発信ユニット9に接続され、炊飯工程のタイムスケジュール設定によって通電加熱されるようになっている。
【0034】
図4は消磁回路を示すもので、IH炊飯器1の主要部に設けた第1電磁誘導コイル5aと消磁コイル8などの関係を図示しており、図5は第1電磁誘導コイル5aと消磁コイル8における電流の方向とそれによって発生する磁束を示している。
【0035】
第1電磁誘導コイル5aに供給される電流i1の方向が左回りであると仮定すると、このコイル5aには右回りの磁束M1が発生する。また、図5に示すように第1電磁誘導コイル5aと消磁コイル8とが直列に接続されており、電流i2は右回りに流れ、この消磁コイル8の周囲には左回りの磁束M2が発生する。
【0036】
そして蓋部11の内部に電磁誘導コイル12bが配置されており、これには磁束M3が発生している。そして磁束M1とM2、あるいは磁束M1、M2及びM3を包囲するように大回りの消磁用磁の束M4が発生している。
【0037】
ところで、第1電磁誘導コイル5aで発生する磁束M1は、内釜4を電磁誘導によって主として加熱する役目をするものであり、これには大きな磁束が発生するようになっている。
【0038】
本発明においては、第1電磁誘導加熱コイル5a(5b、12b、6など)に対して消磁コイル8を一対として配置することを要件とするものであり、この消磁コイル8は電磁誘導発熱に大きく寄与することなく、本体2の外部に漏洩しようとする磁束と同等の大きさの逆向きの磁束によって漏洩磁束を消磁して、電磁波の漏洩を防止する機能をもつコイルを配置することが必要である。
【0039】
第1電磁誘導加熱コイル5aの巻線方向と消磁コイル8の巻線方向とは逆向きである。そして両コイル5a、8に対して同一の周波数の高周波電力が通電され、そして漏洩する電磁波Dを打消し、あるいは減少させることができる。
【0040】
前記のように、IH加熱装置の電磁誘導コイルより強力な電磁波が発生し、これが加熱装置との周辺に漏洩することを言うまでもないが、保温用のヒータ(図1の6)として使用されている通常の加熱コイルあるいは加熱装置からも電線状あるいはケーブル状のものであれば通電に伴なって電磁波が発生する。
【0041】
なお、蓋部11や底部3bより発生する磁束に対しては、前記と同様に本発明に係る消磁コイル8を組合わせることによって漏洩する電磁波を消去することができる。 (実施の形態2)
通常の加熱装置が使用された保温用のヒータ(シーズヒータなど)からも電磁波が漏洩しているが、本発明は、このような電磁波も消磁することができる。この構造について以下説明する。
【0042】
図6は、内釜4を電熱ヒータ線からなる電熱ヒータ15、16で保温する場合の例を示している。この電熱ヒータ15、16としては図7に示すような2本が一対の電熱ヒータ線(a,b)と、同様な2本が一対のヒータ線(c,d)を使用し、これらに撚りを加えて4本の撚り線の消磁ヒータ線17(ヒータ線a,b,c,dで構成されたもの)として使用する。
【0043】
図8は、図7に示した消磁ヒータ線17の結線図を示している。図示されるようにヒータ線aとbの端部同志が接続され、また、ヒータ線cとdの端部同志がそれぞれ接続され、ヒータ線aとcがある瞬間的にプラス状態とすると、ヒータ線bとdはマイナス状態となる。このように4本が1組のヒータ線に形成すると、その外観は図7の状態となる。また、その配線は図8のように構成されており、2対のヒータ線(a,b/c,d)を通過する電流によって発生する磁束は互いに消磁し合うことになり、従って、この消磁ヒータ線17から漏洩する電磁波は実質的に発生することがない。
【0044】
(実施の形態3)
図7と図8を参照して利用して配線を説明すると、電線を4本1組として撚りを加えて形成した消磁ヒータ線17の技術的思想は、電源部と電磁調理装置との間を結ぶ「配線」にも適用できる。
【0045】
即ち、2本の配線と、これと同じ特性を持つ2本の配線を準備し、これを図7のように加撚して複合線として形成する。この複合線を使用して図8のように電源部と電気機器との間を配線することによって、この複合線によりより電磁波が漏洩することを殆ど防止することができるのである。
(IH炊飯器における消磁コイルの設計方法)
【0046】
図9は、本体(ケース)2の内部の消磁コイル8と、外釜3の周囲に配置された第1電磁誘導コイル5aとの関係を示す図であり、各記号を次のように決定する。
r1 :本体2と第1電磁誘導コイル5aとの間の距離
r2 :本体2と消磁コイル8との間の距離
H :本体2の位置における磁界の強さ
I1 :第1電磁誘導コイル5aを流れる電流
I2 :消磁コイル8を流れる電流
n1 :第1電磁誘導コイル5aの巻数
n2 :消磁コイル8の巻数
【0047】
前記より本体2の位置における磁界の強さHは、次のように計算される。
H=I1 /2πr1 ・・・(1)
H=I2 /2πr2 ・・・(2)
∴ I2 =〔r2 /r1 〕×I1 ・・(3)
前記式(3)より、消磁コイル8を流れる電流I2 は、第1電磁誘導コイル5aを流れる電流I1 に対して〔r2 /r1 〕の大きさで良いことになる。
ここで、n0 =r1 /r2 とすると、 ・・(4)
すなわち、r1 /r2 (本)の並列導体(同一抵抗のものとする)をn0 本作るとすれば、並列導体の各導体に対して、〔I1 /n0 〕すなわち、〔r2 /r1 〕×I1 の電流が流れることになる。
【0048】
また、並列導体数が、電流I1 が流れる第1電磁コイル5aの巻数n1 と1:1になれば、有効な配置となるように設計するのが合理的である。
【0049】
これより、I1 の電流が流れる第1の電磁誘導コイル5aに対する消磁コイル8を流れる電流I2 の具体的条件が定まることになる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、調理器本体と、その内部に配置された被加熱物を収容する内釜と、この内釜の外周部に配置された電磁誘導コイルと、この電磁誘導コイルに高周波電流を給電する発信ユニットとからなり、前記発信ユニットより前記電磁誘導コイルに高周波電流を通電して前記内釜に収容されている被加熱物を加熱調理する電磁調理器において、
前記電磁誘導発熱コイルの外周部に消磁コイルを配置し、前記電磁誘導コイルに通電される共に前記消磁コイルに通電し、前記電磁誘導コイルが発生する加熱磁束と、前記消磁コイルより発生する消磁磁束を干渉させて、前記本体外部に漏洩する電磁波を減少させるように構成したことを特徴としている。
【0051】
従って、電磁誘導コイルより発生した加熱用の磁束の内、本体の外側に電磁波となって漏洩する磁束を、消磁コイルが捕捉してこれを消磁あるいは実用上問題がない範囲に打ち消すことができ、安全な電磁調理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】IH炊飯器の主要部の断面図である。
【図2】図1に示すIH炊飯器の電気回路図である。
【図3】図2に示すIH炊飯器の蓋部の電気回路図である。
【図4】電磁誘導コイルの外方に消磁コイルを設けた本発明に係るIH炊飯器の要部に発生する磁束の説明図である。
【図5】図4に示す電磁誘導コイルと消磁コイルに流れる電流と磁束の関係の説明図である。
【図6】電熱ヒータ線を使用した電熱式調理器の断面図である。
【図7】複合型電熱ヒータ線の説明図である。
【図8】図7の複合型電熱ヒータの結線図である。
【図9】IH炊飯器における消磁コイルの計算例の説明図である。
【記号の簡単な説明】
1 IH炊飯器 2 本体 3 外釜 3a 壁部
3b 底部 3c 局面部 4 内釜
5a 第1電磁誘導コイル 5b 第2電磁誘導コイル
6 保温用ヒータ 8 消磁コイル
9 発振ユニット 10 温度センサ 11 蓋部
12a 保温用ヒータ 12b 電磁誘導コイル
Claims (4)
- 調理器本体と、その内部に配置された被加熱物を収容する内釜と、この内釜の外周部に配置された電磁誘導コイルと、この電磁誘導コイルに高周波電流を給電する発信ユニットとからなり、前記発信ユニットより前記電磁誘導コイルに高周波電流を通電して前記内釜に収容されている被加熱物を加熱調理する電磁調理器において、
前記電磁誘導発熱コイルの外周部に消磁コイルを配置し、前記電磁誘導コイルに通電される共に前記消磁コイルに通電し、前記電磁誘導コイルが発生する加熱磁束と、前記消磁コイルより発生する消磁磁束を干渉させて、前記本体外部に漏洩する電磁波を減少させるように構成したことを特徴とする電磁調理器。 - 前記電磁誘導コイルが発生する加熱用磁束を包むように前記消磁コイルが発生する消磁磁束を形成したことを特徴とする請求項1記載の電磁調理器。
- 前記電磁誘導コイルと消磁コイルを直列に接続して電磁誘導コイルに供給される高周波電流の一部または全部を、消磁コイルに流すことを特徴とする請求項1記載の電磁調理器。
- 食品を加熱調理する部分に設ける線状の電熱ヒータであって、この電熱ヒータは2本を一対とし、これを4本以上の複数対を集合させると共に、全体に加撚して一体化した複合電熱ヒータ線を形成し、
前記2本一対の電熱ヒータと他の2本一対の電熱ヒータとは逆向きの波形で同程度の交流電流を通電して、一方の対より発生する磁束を他方の対より発生する磁束によって実質的に消去するように構成したことを特徴とする電熱ヒータ加熱式調理装置。
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- 2003-03-24 JP JP2003081336A patent/JP2004288550A/ja active Pending
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