JP2004286262A - 除湿システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】密閉された容器状に形成され、その内部が水蒸気分離膜により空調空間(3)と水蒸気空間(2)とに仕切られた減湿ユニットAと、容器状に形成され、その内部が水蒸気分離膜により放湿空間(11,21)と排気空間(14,24)とに仕切られた第1の放湿ユニットB及び第2の放湿ユニットCを備え、前記減湿ユニットAの水蒸気空間(2)と前記第1の放湿ユニットBの放湿空間(11)とを、除湿用ブロア(12)を備えた配管によって接続し、さらに、この放湿空間(11)に、抽気用配管を介して抽気用ブロア(20)を接続し、この抽気用ブロア及び抽気用配管を介して、前記第1の放湿ユニットBの放湿空間(11)を第2の放湿ユニットCの放湿空間(21)に接続し、この放湿空間(21)に、排気用配管を介して排気用ブロア(30)を接続する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気分離膜を用いた減圧除湿システムに係り、特に、吸湿した低圧気体を大気圧以下の中間圧力に昇圧し、水蒸気分離膜を介して水蒸気を大気へ放出することにより、小さなエネルギで除湿を行うことを可能とした省エネ型除湿システムに関するものである。
また、本発明は、真空系に洩入したエアの排除におけるエネルギー効率の大幅な向上を図った省エネ型除湿システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から用いられている代表的な除湿手段として最も一般的なのは、「冷却除湿法」であるが、この冷却除湿法においては、水蒸気を一旦結露させるため、水蒸気1kg当たり539kcalもの凝縮エネルギーを必要としていた。また、冷凍機を成績係数の悪い低温域で運転せざるを得ないという弊害を伴っていた。
【0003】
また、特許文献1に記載されるような吸収または吸着を除湿原理に用いる方法は、分離再生のために高温熱源を必要とするため、排熱を利用することができる場所以外では、省エネ的手段とはいえなかった。
【0004】
また、特許文献2に記載されるような空気を通さず水蒸気だけを透過させるガス・ガス分離膜(以下、水蒸気分離膜という)を利用した除湿法は、小容量の中空糸型で実用化されてきたが、高い圧力差を必要とし、処理風量も小さく、空調には適していなかった。例えば、特許文献2の発明では、入口側を5kg/cm2(500kPa)程度に加圧し、透過側を減圧している。このように、水蒸気分離膜を空調用に用いる場合、大量の処理空気を加圧することは省エネに反するため、透過側を1kPa程度に真空引きすることになるが、従来技術では、このブロアに大気圧との差圧(100kPa)に相当する能力が必要とされていた。
【0005】
一方、特許文献3に記載される発明は、水蒸気透過膜を介して被冷却空気から水蒸気を分離するものであって、特に、水蒸気透過膜を利用した除湿システムとして空調にも利用できることが文献中に示されている。
【0006】
しかし、以下に詳述するように、この特許文献3に記載の発明は、(a)使用する水蒸気透過膜の圧力損失が高い、(b)除湿のために乾燥空気を使用しているため、空気の乾燥装置が必要であり、機構的に複雑で高価なシステムとなる、(c)除湿系に空気の洩入があると、その空気を大気に排出するために大きなエネルギーを必要とする等といった不都合があり、実用化が困難であった。以下、この特許文献3の発明の問題点をより具体的に説明する。
【0007】
すなわち、特許文献3に記載の発明は、図20に示したように、容器状に形成された水蒸気分離部125を備え、この水蒸気分離部125の内部には、水蒸気を透過させる水蒸気透過膜126により仕切られて、空気空間127と水蒸気空間128とが区画形成されている。この空気空間127には、加湿冷却部120で加湿により冷却された被冷却空気が導入される。一方、水蒸気分離部125の水蒸気空間128は閉空間に形成され、その内圧は、空気空間127に導入された被冷却空気の水蒸気分圧よりも低く設定されている。このため、水蒸気分離部125における水蒸気透過膜126の両側では水蒸気圧の差が存在し、この水蒸気圧差によって水蒸気透過膜126を水蒸気が透過し、被冷却空気から水蒸気を減少させることができる。
【0008】
また、水蒸気系統112は、上記水蒸気分離部125と、昇圧手段である圧縮機130と、水蒸気放出手段である水蒸気放出部140とが順に接続されている。この水蒸気系統112は、水蒸気分離部125における水蒸気空間128の水蒸気を圧縮機130へ送り込むと共に、圧縮機130から流出した水蒸気を水蒸気放出部140へ送り込む。圧縮機130は、水蒸気分離部125の水蒸気空間128から水蒸気を吸引し、吸引した水蒸気を圧縮して昇圧させる。
【0009】
また、水蒸気放出部140は容器状に形成され、その内部は、水蒸気を透過させる水蒸気透過膜141によって仕切られ、水蒸気空間142と空気空間143とが区画形成されている。この水蒸気放出部140の水蒸気空間142は閉空間に形成され、この水蒸気空間142には、上記圧縮機130で圧縮されて昇圧した水蒸気が導入される。一方、水蒸気放出部140の空気空間143は、放湿系統113に接続され、この空気空間143には、放湿系統113を通じて放湿用空気が導入される。
【0010】
すなわち、前記放湿系統113は、室外空気を放湿用空気として取り込み、取り込んだ放湿用空気を除湿機構160の吸湿部162に送り込むもので、吸湿部162で除湿された放湿用空気は、水蒸気放出部140の空気空間143へ送り込まれる。また、放湿系統113は、水蒸気放出部140の空気空間143から排出された放湿用空気を、除湿機構160の再生部163を通じて室外に排出する。
【0011】
ところで、このような構成を有する特許文献3の発明において、従来では、水蒸気放出部140を構成する水蒸気透過膜141としては、極めて圧力損失の高いものが使用されていた。そのため、原理的には、水蒸気透過膜141を挟んだ水蒸気空間142と空気空間143との間で水蒸気分圧差が存在すれば水蒸気は水蒸気空間142から空気空間143に移動するのであるが、実際には、水蒸気透過膜141の圧力損失が高いため、圧縮機130によって、水蒸気放出部140の水蒸気空間142に導入される水蒸気の圧力を、空気空間143に導入される放湿用空気の水蒸気分圧よりもかなり高い圧力にまで昇圧させる必要が生じる。
【0012】
そのため、特許文献3の発明では、圧縮機130による昇圧量を低減するために、放湿用空気を除湿機構160によって除湿することで、空気空間143に導入する放湿用空気の水蒸気分圧を低下させ、たとえ圧縮機130による昇圧量を少なくしても、水蒸気空間142と空気空間143との間で水蒸気透過膜141の圧力損失を越えて水蒸気が移動できるような水蒸気分圧差を得るようにしていた。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−5526号公報
【特許文献2】
特開2001−219025号公報
【特許文献3】
特開2001−74335号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献3の発明では、上述したようにして圧縮機130による昇圧量を低減しても、放湿用空気を乾燥させるための除湿機構160が必要であり、また、除湿機構160の性能を維持するために再生部163を設け、この再生部163に再生用の加熱空気を送り込むなどの構成も必要であった。そのため、装置全体が複雑化すると共に、圧縮機130以外に除湿機構160を運転するためのエネルギーも必要となるといった不都合があった。
【0015】
その上、特許文献3のようなシステムを実際に運転した場合、水蒸気分離部125の空気空間127や放湿系統113に空気が混入することは避けられず、混入空気の処理が困難であった。すなわち、空気の混入がない理想状態では、放湿ユニットは連続的に水分を放出することができるが、実際には、接合部や膜そのものの不完全さからエアの洩入があり、このエアの蓄積によりサイクルが止まってしまう。しかし、特許文献3にはそのような洩入エアについての対策は何ら開示されていない。
【0016】
このような洩入エアの蓄積によるシステムの停止を避けるには、水蒸気と共に放湿系統113に導かれた混入空気を、何らかの手段で外気や室内空間に排気する必要がある。しかし、この放湿系統113に流入した混入空気の圧力は、圧縮機130により加圧されているとはいえ、大気圧に比較すると格段に低いものである。
【0017】
具体的には、除湿ユニットとして使用される水蒸気分離部125において、除湿されて室内に供給される空気は26℃、湿度50%程度であるが、この室内空気の水蒸気分圧は1.7kPaである。そのため、この室内空気から水蒸気を除去するためには、水蒸気空間128の水蒸気分圧を、室内空気が流れる空気空間127の水蒸気分圧よりも低い圧力、例えば1kPa程度の水蒸気分圧となるように減圧する必要がある。そのため、放湿系統に混入した空気も減圧されるので、その後に圧縮機130で加圧されたとしても、大気圧100kPaに比較すると格段に低圧であるから、この混入空気をシステムから除去するには、除湿後において更に大気圧以上に昇圧する必要がある。
【0018】
しかし、このように混入空気を除去するために昇圧作業が必要であると、たとえ水蒸気透過膜を使用したり、放湿用空気として乾燥空気を用いることで省エネルギー化を図った除湿システムであっても、システム全体としてのエネルギー効率は悪化し、実用性に乏しいものとなる。
【0019】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、第1の目的は、前記水蒸気放出部における水蒸気透過膜として、圧力損失が少なく、低い水蒸気分圧差で水蒸気を透過する素材、例えば、高遮蔽型無孔系全熱交換シートを採用することにより、放湿用空気として、特許文献3のような乾燥空気を使用することなく、夏季には水蒸気分圧が3kPa程度に達する外気や、温度26℃/湿度50%として水蒸気分圧が1.7kPa程度の室内空気や室内排気をそのまま利用することのできる除湿システムを提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、混入空気があった場合でも、水蒸気とエアの再混合を防ぐべく流路を工夫し、エア比率の高くなった少量の気体をブロアで昇圧し、2段目放湿ユニット等を通して、更に気体容量を小さくしてから排気用ブロアで排出することにより、連続運転を可能とした除湿システムを提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、前記水蒸気透過膜を使用して水蒸気を移動させるに当たり、圧力差による水蒸気透過膜の破損を防止する保持構造や、水蒸気の移動性能に改良を施した除湿システムを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の除湿システムは、密閉された容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、空調対象となる空気が流れる空調空間と、前記空調対象となる空気から分離された水蒸気が移動する水蒸気空間とに仕切られた減湿ユニットと、容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、密閉された放湿空間と、放湿用空気に連通した排気空間とに仕切られた放湿ユニットを備え、前記減湿ユニットの水蒸気空間と前記放湿ユニットの放湿空間とが、除湿用ブロアを備えた配管によって接続され、この除湿用ブロアにより、前記水蒸気空間及び放湿空間内の圧力が、それぞれ前記空調空間及び排気空間内の圧力よりも低圧に設定されると共に、前記水蒸気空間の水蒸気分圧が空調空間の水蒸気分圧よりも低く、放湿空間の水蒸気分圧が排気空間の水蒸気分圧よりも高く設定され、前記減湿ユニット及び放湿ユニットに使用される水蒸気分離膜が、温度40℃、湿度90%の空気に対する透湿度が3000g/(m2・24h)以上であり、かつ、ガーレー透気抵抗度が100000秒以上の高遮蔽型無孔系全熱交換シートにより構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
上記のような構成を有する請求項1に記載の除湿システムによれば、減湿ユニット及び放湿ユニットに使用する水蒸気分離膜として、高遮蔽型無孔系全熱交換シートを用いることにより、放湿系統内の水蒸気分圧と空調空気あるいは排気用空気の水蒸気分圧との分圧差が小さくても済むため、少ないエネルギーで、しかも排気用空気として乾燥空気を使用しなくても十分な水蒸気の移動量を得ることが可能となる。その結果、従来用いられていた乾燥用空気を得るための設備も不要となり、簡単な構成で省エネ的な除湿を行うことが可能となる。
【0024】
請求項2に記載の除湿システムは、密閉された容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、空調対象となる空気が流れる空調空間と、前記空調対象となる空気から分離された水蒸気が移動する水蒸気空間とに仕切られた減湿ユニットと、容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、密閉された放湿空間と、大気あるいは室内排気に連通した排気空間とに仕切られた第1及び第2の放湿ユニットを備え、前記減湿ユニットの水蒸気空間と前記第1の放湿ユニットの放湿空間とが、除湿用ブロアを備えた配管によって接続され、この除湿用ブロアにより、前記水蒸気空間及び放湿空間内の圧力が、それぞれ前記空調空間及び排気空間内の圧力よりも低圧に設定されると共に、前記水蒸気空間の水蒸気分圧が空調空間の水蒸気分圧よりも低く、放湿空間の水蒸気分圧が排気空間の水蒸気分圧よりも高く設定され、前記第1の放湿ユニットの放湿空間には、抽気用配管を介して、第1の放湿ユニットの水蒸気分離膜を通して水蒸気を分圧差で放出した後にその放湿空間内に残存する水蒸気及びエアを抽出する抽気用ブロアが接続され、この抽気用ブロア及び抽気用配管を介して、前記第1の放湿ユニットの放湿空間が第2の放湿ユニットの放湿空間に接続され、この抽気用ブロアにより、第2の放湿用ユニットの放湿用空間の水蒸気分圧が排気空間の水蒸気分圧よりも高く設定され、前記第2の放湿ユニットの放湿空間には、排気用配管を介して、第2の放湿ユニットの水蒸気分離膜を通して水蒸気を分圧差で放出した後にその放湿空間内に残存する水蒸気及びエアを加圧して外部に排出する排気用ブロアが接続されていることを特徴とするものである。
【0025】
上記のような構成を有する請求項2に記載の除湿システムによれば、減湿ユニットから排出された水蒸気中にエアの洩入がある場合であっても、放湿手段を多段に構成することにより、順次、水蒸気を透過放出させ、最終段においてわずかに残った水蒸気と累積された洩入エアで構成される少量の気体を大気中に排出することができるので、除湿システム全体の運転効率を向上させることができる。
【0026】
請求項3に記載の除湿システムは、密閉された容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、空調対象となる空気が流れる空調空間と、前記空調対象となる空気から分離された水蒸気が移動する水蒸気空間とに仕切られた減湿ユニットと、容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、密閉された放湿空間と、大気あるいは室内排気に連通した排気空間とに仕切られた放湿ユニットを備え、前記減湿ユニットの水蒸気空間と前記放湿ユニットの放湿空間とが、除湿用ブロアを備えた配管によって接続され、この除湿用ブロアにより、前記水蒸気空間及び放湿空間内の圧力が、それぞれ前記空調空間及び排気空間内の圧力よりも低圧に設定されると共に、前記水蒸気空間の水蒸気分圧が空調空間の水蒸気分圧よりも低く、放湿空間の水蒸気分圧が排気空間の水蒸気分圧よりも高く設定され、前記放湿ユニットの放湿空間には、抽気用配管を介して、放湿ユニットの水蒸気分離膜を通して水蒸気を分圧差で放出した後にその放湿空間内に残存する水蒸気及びエアを抽出する抽気用ブロアが接続され、この抽気用ブロア及び抽気用配管を介して、前記放湿ユニットの放湿空間が水分凝縮器の給気側に接続され、前記水分凝縮器の排気側には、排気用配管を介して、水分凝縮器において水蒸気を凝縮分離された後の空気及び水蒸気を加圧して外部に排出する排気用ブロアが接続されていることを特徴とするものである。
【0027】
上記のような構成を有する請求項3に記載の除湿システムにおいても、減湿ユニットから排出された水蒸気中にエアの洩入がある場合であっても、放湿手段を多段に構成することにより、順次、水蒸気を透過放出させ、最終段においてわずかに残った水蒸気と累積された洩入エアで構成される少量の気体を大気中に排出することができるので、除湿システム全体の運転効率を向上させることができる。
【0028】
請求項4に記載の除湿システムは、密閉された容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、空調対象となる空気が流れる空調空間と、前記空調対象となる空気から分離された水蒸気が移動する水蒸気空間とに仕切られた減湿ユニットと、容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、密閉された放湿空間と、大気あるいは室内排気に連通した排気空間とに仕切られた放湿ユニットを備え、前記減湿ユニットの水蒸気空間と前記放湿ユニットの放湿空間とが、除湿用ブロアを備えた配管によって接続され、この除湿用ブロアにより、前記水蒸気空間及び放湿空間内の圧力が、それぞれ前記空調空間及び排気空間内の圧力よりも低圧に設定されると共に、前記水蒸気空間の水蒸気分圧が空調空間の水蒸気分圧よりも低く、放湿空間の水蒸気分圧が排気空間の水蒸気分圧よりも高く設定され、前記放湿ユニットの放湿空間には、排気用配管を介して、放湿ユニットの水蒸気分離膜を通して水蒸気を分圧差で放出した後にその放湿空間内に残存する水蒸気及びエアを加圧して外部に排出する排気用ブロアが接続されていることを特徴とするものである。
【0029】
上記のような構成を有する請求項4に記載の除湿システムによれば、放湿ユニットの水蒸気分離膜を介して水蒸気が排気空間に放出された後、放湿ユニットの放湿空間の水蒸気の質量流量は、放湿ユニットに導入されたときに比べて大幅に減少している。従って、このエアを大気中に放出するための加圧動力は、従来の方法に比べて少ない動力で済む。
【0030】
請求項5に記載の除湿システムは、請求項2、請求項3または請求項4に記載の除湿システムにおいて、前記減湿ユニット及び放湿ユニットに設けられた水蒸気分離膜が、温度40℃、湿度90%の空気に対する透湿度が3000g/(m2・24h)以上であり、かつ、ガーレー透気抵抗度が100000秒以上の高遮蔽型無孔系全熱交換シートにより構成されていることを特徴とするものである。
【0031】
上記のような構成を有する請求項5に記載の除湿システムによれば、請求項2、請求項3または請求項4に記載の除湿システムに用いられる減湿ユニット及び放湿ユニットに使用する水蒸気分離膜として、高遮蔽型無孔系全熱交換シートを用いることにより、放湿系統内の水蒸気分圧と空調空気あるいは排気用空気の水蒸気分圧との分圧差が小さくて済むため、少ないエネルギーで、しかも排気用空気として乾燥空気を使用しなくても十分な水蒸気の移動量を得ることが可能となる。その結果、従来用いられていた乾燥用空気を得るための設備も不要となり、簡単な構成で省エネ的な除湿を行うことが可能となる。
【0032】
請求項6に記載の除湿システムは、請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の除湿システムにおいて、前記放湿ユニットが、それぞれ水蒸気分離膜によって分離された放湿空間と排気空間とを備えた複数のブロックから構成され、各ブロックの放湿空間同士、排気空間同士が順次接続され、放湿ユニットに送り込まれた水蒸気が、各ブロックの放湿空間を通過するごとに、順次水蒸気分離膜を通じて対応するブロックの排気空間に移動するように構成され、前記各ブロックにおける放湿空間の流路断面積が、放湿ユニットの後段の放湿空間ほど小さく設定されていることを特徴とするものである。
【0033】
上記のような構成を有する請求項6に記載の除湿システムによれば、放湿ユニットにおいて、排出系側の水蒸気分離膜流路内において水蒸気が透過流出することによりエアが取り残され、エアの成分比が高まっていくと同時に、気体流量が減るため、出口に行く程気体流速が低下することに起因する出口側からのエア成分の拡散・逆流を防止することができる。
【0034】
請求項7に記載の除湿システムは、請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の除湿システムにおいて、前記放湿ユニットの上部に水蒸気が送り込まれてくる入口部が設けられ、その下部に残存水蒸気及び残存エアを排出する出口部が設けられ、放湿空間内部に形成される水蒸気及び残存エアの気流方向が下向きに形成されていることを特徴とするものである。
上記のような構成を有する請求項7に記載の除湿システムによれば、残存エアの比率が高くなる程、気体の比重が重くなる性質を利用して、エアと水蒸気の混合を防止することができる。
【0035】
請求項8に記載の除湿システムは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の除湿システムにおいて、前記水蒸気分離膜が、前記減湿ユニットあるいは放湿ユニットの低圧側の空間に配置され且つ水蒸気分離膜を挟んだ空間の圧力差によって変形することのない多孔質材料により支持され、この多孔質材料によって水蒸気分離膜の低圧側の空間が確保されていることを特徴とするものである。
上記のような構成を有する請求項8に記載の除湿システムによれば、水蒸気分離膜が、圧力差によって変形することのない多孔質材料により支持されているので、水蒸気分離膜を真空に耐え得る構造とすることができる。
【0036】
請求項9に記載の除湿システムは、請求項8に記載の除湿システムにおいて、シート状に形成された水蒸気分離膜と、前記水蒸気分離膜をその一方の側から支持する板状の多孔質材料と、前記多孔質材料によって確保された低圧側の空間とによって膜モジュールが形成され、高圧側の空間を形成するためのセパレータを、前記膜モジュールにおける前記水蒸気分離膜の他方の側に積層して積層単位モジュールが形成され、この積層単位モジュールが複数段積層されて積層モジュールが形成され、この積層モジュールを構成する複数の膜モジュールにおける低圧側空間の入口側及び出口側には、それぞれ各膜モジュールの低圧側空間と連通するチャンバが形成されていることを特徴とするものである。
上記のような構成を有する請求項9に記載の除湿システムによれば、減湿ユニット及び放湿ユニットの構成部材がモジュール化されているため、減湿ユニット及び放湿ユニットの製作工程が簡略化される。
【0037】
請求項10に記載の除湿システムは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の除湿システムにおいて、前記減湿ユニットあるいは放湿ユニットが、水蒸気分離膜を挟んだ空間の圧力差によって変形することのない多孔質パイプによって形成され、このパイプの外周又は内周に前記水蒸気分離膜が積層され、この水蒸気分離膜の積層された側に高圧側の空間が確保されていることを特徴とするものである。
上記のような構成を有する請求項10に記載の除湿システムによれば、パイプ状の部材を用いて本除湿システムを構成することができるので、設置スペース等に制約がある場所でも適用することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について、図面を参照して具体的に説明する。
【0039】
(1)第1実施形態
(1−1)構成
本実施形態の除湿システムは、図1に示すように、大別して減湿ユニットAと放湿ユニットB、これらのユニットを接続する配管13及びこの配管13上に設けられて、減湿ユニットAと放湿ユニットBの空間内の圧力を調整するブロア12(以下、後述する第2実施形態以降に記載する他のブロアと区別するため、1段目ブロアと呼ぶ)から構成されている。なお、この1段目ブロアが、請求項にいう除湿用ブロアに対応する。
【0040】
また、前記減湿ユニットAは密閉された容器状に形成され、その内部は、水蒸気のみを低圧損で透過させる第1の水蒸気分離膜1により、水蒸気空間2と空調空間3とに仕切られている。なお、第1の水蒸気分離膜1により仕切られた水蒸気空間2は閉空間とされ、その内圧は、前記1段目ブロア12により、約1.0kPa程度となるように調整されている。
【0041】
一方、放湿ユニットBは、前記減湿ユニットAと同様に容器状に形成され、その内部は、水蒸気のみを低圧損で透過させる第2の水蒸気分離膜10により仕切られ、密閉された放湿空間11と、大気あるいは室内排気に連通した排気空間14が形成されている。すなわち、前記放湿ユニットBの排気空間14には、放湿用空気として外気又は室内の排気が供給され、この放湿用空気が、第2の水蒸気分離膜10を透過した水蒸気を吸収して、大気中に放出されるように構成されている。
【0042】
また、前記減湿ユニットAの水蒸気空間2と放湿ユニットBの放湿空間11とは、前記1段目ブロア12を備えた配管13によって連通されている。この場合、1段目ブロア12は、放湿ユニットBの放湿空間11への吐出圧を、3kPa以上、50kPa以下(本第1実施形態では10kPa)に昇圧するように調整されている。なお、本実施形態で用いる減湿ユニットA及び放湿ユニットの詳細な構成については、後述する。
【0043】
また、本実施形態においては、前記水蒸気分離膜1及び10として、従来全熱交換器用のエレメントとして使用されている高遮蔽型無孔系全熱交換シートを用いる。この高遮蔽型無孔系全熱交換シートとしては、例えば、三菱製紙株式会社製の「高遮蔽性全熱交換用紙ER紙」を用いることができる。
【0044】
なお、この高遮蔽型無孔系全熱交換用紙は、熱交換器用のエレメントとしては知られているが、本実施形態のように、これを放湿ユニットあるいは減湿ユニットの水蒸気分離膜として使用することは、従来なかったものである。すなわち、この高遮蔽型無孔系全熱交換用紙は、「紙」と呼ばれるように、柔軟で強度も低いものであるため、これによって区切られた2つの熱交換空間の間の圧力差がない場合に使用されており、本発明のように、真空圧に近い1〜10kPaと大気圧である100kPaもの圧力差がある場所に使用することは全く想定されていなかった。
【0045】
また、この高遮蔽型無孔系全熱交換シートとしては、温度40℃、湿度90%の空気に対する透湿度が、3000g/(m2・24h)以上であることが好ましく、6000g/(m2・24h)以上であることがより好ましい。透湿度が3000g/(m2・24h)未満であると、後述するように、水蒸気分圧差1kPaあたりの水分移動量が半減するので、空調空気の除湿用としては実用性に乏しいものとなる。
【0046】
また、透湿度が3000g/(m2・24h)未満の場合に、所望の水分移動量を確保するために水蒸気分圧差を大きくすると、本発明の目的とする省エネが困難となり、従来技術と同様な問題が生じる。そのため、本発明においては、水蒸気分離膜の透湿度を上記のような値に設定することが望ましい。
【0047】
上述したように、透湿度は高い方が良いが、同時にエアも透過したのでは、真空度を維持するためのブロア動力が増大してしまう。そこで、分離膜には、高い透湿度と同時に、十分な空気遮蔽性能が要求される。
【0048】
表1に、三菱製紙株式会社製の「高遮蔽性全熱交換用紙ER紙」の性能表(「建築設備と配管工事」2001年12月増刊号P123に掲載)を示す。なお、表中のガーレー透気抵抗度の測定不能とは、空気を通さないことを意味している。また、透湿度とは、分離膜を介して多湿空気側から乾燥空気側へ移動する水分量を示す値である。
【0049】
【表1】
【0050】
従来から用いられている中空糸タイプの水蒸気分離膜(例えば、宇部メンブレンドライヤーDM,UMシリーズ)は、処理対象空気を5〜7気圧に加圧することを要していたが、本実施形態に用いられる三菱製紙株式会社製の「高遮蔽性全熱交換用紙ER紙」は、単に、室内排気と屋外空気との水蒸気分圧差だけで水分移動を図る全熱交換型換気扇のエレメントとして実用されている。このように透湿性能の高い全熱交換用紙は従来からもあったが、空気に対して「高遮蔽性」を併せ持つ製品は従来なかった。
【0051】
(1−2)作用
上記のような構成を有する本実施形態の除湿システムの作用を、図1及び表2を参照して説明する。なお、表2は、本実施形態における各部位(1段目ブロア12の入口側a、吐出側b及び放湿ユニットBの吐出側c)における分圧と、質量流量を示したものである。
【0052】
【表2】
【0053】
すなわち、減湿ユニットAの空調空間3に外気が取り入れられると、この減湿ユニットAに設けられた第1の水蒸気分離膜1の両側の水蒸気分圧の差によって、第1の水蒸気分離膜1を水蒸気が透過する。すなわち、一般に空調対象となる外気の水蒸気分圧は、もっとも高い夏季であっても3kPaであるのに対して、水蒸気分離膜1を挟んだ水蒸気空間2の内圧は約1.0kPa程度に設定されているため、その圧力差により、空調空間3に取り入れられた外気中の水蒸気が、第1の水蒸気分離膜1を透過して水蒸気空間2に移動する。その結果、空調空間3を通過した外気は、減湿された空調空気として室内に供給される。
【0054】
一方、水蒸気空間2に移動した水蒸気は、1段目ブロア12によって大気圧以下の所定の圧力(本実施形態では、10kPa)に昇圧され、放湿ユニットBの放湿空間11に導入される(表2−a、b参照)。このようにして放湿空間11に昇圧された水蒸気が導入されると、第2の水蒸気分離膜10を挟んで水蒸気圧の差が生じる。具体的には、大気に開放された側の水蒸気分圧は約3.0kPaであり、放湿空間11の水蒸気分圧は約10kPaであるため、放湿空間11に導入された水蒸気は、連続的に第2の水蒸気分離膜10を透過して、大気中に放出される。
【0055】
このように、減湿ユニットA、配管13及び放湿ユニットBからなる放湿系統に空気の洩入がない状態においては、放湿系内部の水蒸気分圧と空調空気及び排気空気の水蒸気分圧との間で所定の分圧差が確保されるため、空調空気に含まれていた水蒸気が、放湿系統を通じて大気中に排出されることになる。
【0056】
(1−3)効果
このように、本実施形態においては、減湿ユニットAを経た水蒸気を、水蒸気分離膜を有する放湿ユニットを介して大気中に放出するため、放湿ユニットの放湿空間11内の圧力を、放湿用空気の水蒸気分圧(約3.0kPa)よりも高い圧力(ここでは、10kPa)とすれば良いので、減湿ユニットAで除去した水蒸気を直接放湿用空気中に放出する場合のように、大気圧まで加圧する必要がなくなる。
従って、従来、水蒸気を大気中に直接放出するために100kPaに加圧していた場合に比べて、1/10の加圧で済むので大幅な省エネが可能となると共に、加圧用の圧縮機が不要となり、設備的にも優れている。
【0057】
また、放湿ユニットを備えた前記特許文献3の発明と比較しても、以下のような利点がある。すなわち、特許文献3の発明では、放湿ユニットBに供給する放湿用空気として、除湿された乾燥空気が必要であったが、本実施形態においては、外気又は室内の排気を用いることができるため、除湿機構が不要となる。
【0058】
すなわち、本発明においては、前記のように、減湿ユニットA及び放湿ユニットBに使用する水蒸気分離膜1及び10として、圧力損失の少ない水蒸気分離膜を利用することにより、放湿系統内の水蒸気分圧と空調空気あるいは放湿用空気の水蒸気分圧との分圧差が非常に小さくて済むため、少ないエネルギーで、しかも放湿用空気として乾燥空気を使用しなくても十分な水蒸気分圧差を得ることが可能となる。その結果、乾燥用空気を得るための設備も不要となり、簡単な構成で効果的な除湿を行うことが可能となる。
【0059】
この点を、水蒸気分離膜として、前記表1に性能表を示した三菱製紙株式会社製の「高遮蔽性全熱交換用紙ER紙」を使用した場合を例にとって、具体的に説明する。
まず、この水蒸気分離膜における単位面積及び単位時間当たりの水分移動量を求める。すなわち、表1の「透湿度」の欄に記載された40℃、湿度90%の水蒸気分圧は6.646kPaであるから、水蒸気分圧差1kPaあたりの水分移動量は次式で求められる。
【数1】
6000g/(m2・24h)÷(6.646kPa×24h)=37.6g/(m2・h・kPa)
【0060】
この水分移動量から、本実施形態で用いる水蒸気分離膜1m×1mを高さ方向に1cmピッチで1m(100段分)積み重ねた直交流型の交換器(水蒸気分離膜の面積は、100m2)の水分移動量を計算する。すなわち、夏季外気の水蒸気分圧3kPaを分離膜を介して1kPaで吸引したとすると、水分移動量は次式により求められる。
【0061】
【数2】
水分移動量=37.6g/(m2・h・kPa)×100m2×(3kPa−1kPa)=7.5Kg/h
なお、この除湿量は、夏季外気750m3/hの除湿処理に相当し、空調に適用可能なレベルということができる。
【0062】
(2)第2実施形態
本実施形態においては、水蒸気分離膜として、前記第1実施形態に使用したのと同じ水蒸気分離膜、すなわち、水蒸気分圧差が少なくても水蒸気を効率良く透過する三菱製紙株式会社製の「高遮蔽性全熱交換用紙ER紙」を使用したが、必ずしもこれに限られるものではなく、減湿ユニットや多段に構成した放湿ユニットに配設された水蒸気分離膜内外の圧力差を適宜設定すれば、従来から公知の水蒸気分離膜を使用することもできる。
【0063】
(2−1)構成
本実施形態は、減湿ユニットAを経た水蒸気中に、エアの洩入が0.5%ある場合についてのものである。以下の説明においては、例として1段目ブロアの入口圧力を1kPa、出口圧を4kPaとしているが、原理的には、入口圧は1.7kPa(一般空調室内の設計空気;26℃、湿度50%の水蒸気分圧)以下、出口圧は3.0kPa(夏季の東京の設計外気;33.4℃、湿度57.8%の水蒸気分圧)以上であれば良く、ブロア等の機器特性や規模によって適切な圧力や段数を設定する。また原理説明のため、分離膜は十分な接触面積を持っているものとする。
【0064】
本実施形態の除湿システムは、図2に示すように、放湿手段を多段に構成したものである。すなわち、上記第1実施形態の図1に示した放湿ユニットBの下流側に、2段目ブロア20(請求項にいう抽気用ブロア)を介して、放湿ユニットBと同様の構成を有する2段目放湿ユニットCが配設されている。この2段目放湿ユニットCの内部は、水蒸気のみを低圧損で透過させる第3の水蒸気分離膜22により仕切られ、第2の放湿空間21が形成されている。そして、前記1段目放湿ユニットBの放湿空間11と2段目放湿ユニットCの第2の放湿空間21とが、2段目ブロア20を備えた配管23(請求項にいう抽気用配管)によって連通されている。
【0065】
なお、本実施形態においては、2段目放湿ユニットCを1段目放湿ユニットBの後段に1段のみ設けたが、放湿ユニットを多段に設けて、順次その放湿空間内の水蒸気を水蒸気分離膜により分離することで、放湿空間に残存する空気の濃度をより高くしてから、外部に排気することも可能である。また、本実施形態における各ユニットの具体的構成については、後述する。
【0066】
(2−2)作用
上記のような構成を有する本実施形態の除湿システムの作用を、図3及び表3を参照して説明する。なお、図3は、本実施形態における系内の全圧と水蒸気分圧の分布を示す図であり、表3は、本実施形態における各部位における分圧と質量流量を示したものである。
【0067】
【表3】
【0068】
すなわち、第1実施形態と同様にして、減湿ユニットAの水蒸気空間2内を1kPa程度とすることによって、水蒸気分離膜1を介して水分を排出系側に取り込む。ここで、例えば0.5%のエアの洩入があった場合を想定すると、1段目ブロア12に導入される水蒸気分圧は0.995kPa、洩入エアの分圧は0.005kPaとなる(表3−a参照)。
【0069】
続いて、減湿ユニットAから供給された気体は、例えばルーツブロア型のメカニカルブースタ等の1段目ブロア12によって大気圧以下の所定の圧力(本実施形態では、4kPa)に昇圧され、1段目放湿ユニットBの放湿空間11に導入される。この場合、1段目ブロア12による圧縮比は4倍なので、1段目ブロア12の出口においては、水蒸気分圧は3.98kPa、洩入エアの分圧は0.02kPaとなる(表3−b参照)。
【0070】
このようにして放湿空間11に昇圧された気体が導入されると、第2の水蒸気分離膜10を挟んで水蒸気分圧の差が生じる。具体的には、大気に開放された側の水蒸気分圧は約3.0kPaであり、放湿空間11の水蒸気分圧は3.98kPaであるため、放湿空間11に導入された水蒸気は、その水蒸気分圧が3kPaとなるまで、第2の水蒸気分離膜10を透過して大気中に放出される。このため、放湿空間11には連続的に気体を導入することができる。
【0071】
一方、放湿空間11においては、取り残されたエアの比率が高まり、エアの分圧は遂には1kPaとなる。すなわち、1段目放湿ユニットBにおいて、出入口で圧力は同じ4kPaなので、残りの分圧1kPaはエアが占めてバランスする。このことは、放湿空間11内のエアが、入口におけるエア濃度に比べ50倍に濃縮されたことを意味する(表3−c参照)。
【0072】
なお、エアのモル流量は1段目放湿ユニットBの出入口で不変であるが、次式から気体全体のモル流量も1/50となったことが分かる。ここで、Q1は気体の放湿ユニット入口のモル流量、Q2は出口のモル流量を表す。
【数3】
【0073】
続いて、1段目放湿ユニットBの放湿空間11内に残存したエアは、2段目ブロア(抽気用ブロア)20によって大気圧以下の所定の圧力(本実施形態では、20kPa)に昇圧され、2段目放湿ユニットCの第2の放湿空間21に導入される。この場合、圧縮比は5倍なので、第2の放湿空間21における水蒸気分圧は15kPa、洩入エアの分圧は5kPaとなる(表3−d参照)。
【0074】
このようにして第2の放湿空間21に昇圧された水蒸気が導入されると、第3の水蒸気分離膜22を挟んで水蒸気圧の差が生じる。具体的には、大気に開放された側の水蒸気分圧は約3.0kPaであり、第2の放湿空間21の水蒸気分圧は15kPaであるため、第2の放湿空間21に導入された水蒸気は、その水蒸気分圧が3kPaとなるまで、第3の水蒸気分離膜22を透過して大気中に放出される。一方、第2の放湿空間21のエアの分圧は、(20kPa−3kPa=)17kPaとなるため、第2の放湿空間21のエアのモル流量は、入口に対して、5kPa/17kPa=0.3倍となる(表3−e参照)。
【0075】
そして、2つの放湿ユニットを通すことによって、モル流量が0.02×0.3=0.006倍となった気体を、3段目ブロア(排気用ブロア)30で大気圧まで昇圧して大気中に放出する。
なお、本実施形態において、多段に構成した放湿ユニットの1段目と2段目の役割は異なる。すなわち、1段目放湿ユニットAの役割は、低い圧力差で水蒸気を排出することであり、2段目放湿ユニットC以降の役割は、洩入エア対策である。
【0076】
(2−3)効果
このように、本実施形態においては、減湿ユニットAを経た水蒸気中にエアの洩入が0.5%ある場合であっても、放湿手段を多段に構成することにより容易に対応することができる。また、エアの分圧が高くなる結果、その体積は圧縮されるため、2段目ブロア20及び3段目ブロア30の流量を小さくすることができるので、運転効率も向上する。
【0077】
(3)第3実施形態
(3−1)構成
本実施形態は、上記第2実施形態の変形例であって、多段に構成した放湿手段の2段目を凝縮ユニットとしたものである。すなわち、本実施形態の除湿システムにおいては、図4に示すように、図1に示した放湿ユニットBの下流側に、2段目ブロア20を介して、凝縮ユニットDが配設されている。
この凝縮ユニットDとしては、例えば、図5に示すような縦型の放熱コイルによる水分凝縮器Eを用いてもよい。また、水冷式だけでなく、空冷式等種々の形態の凝縮ユニットを用いることができる。
【0078】
なお、本実施形態においては、水分凝縮器を放湿ユニットBの後段に1段だけ設けたが、水分凝縮器を多段に設けて、順次水蒸気を分離することで、放湿空間に残存する空気の濃度をより高くしてから、外部に排気することも可能である。また、上記第2実施形態に示した2段目放湿用ユニットCとこの水分凝縮器を1段あるいは複数段ずつ組み合わせて1段目放湿ユニットBに接続することで、より水分の除去率を向上させると共に空気の濃度を高くしてから外部に排出することもできる。
【0079】
(3−2)作用・効果
上記のような構成を有する本実施形態の除湿システムも、上記第2実施形態と同様の作用・効果を得ることができるだけでなく、放湿ユニットの2段目に、安価で丈夫な凝縮ユニットDを用いることにより、コストの削減を図ることができる。
【0080】
(4)第4実施形態
(4−1)構成
本実施形態は、洩入エアを2段目ブロア(抽気用ブロア)により直接大気に放出するようにしたものである。すなわち、処理空気量が多い場合は、動力の節減効果を図るべく、上記第2、第3実施形態に示したように放湿手段を多段に構成し、処理空気量が少ない場合は、装置の簡素化を図るべく、放湿手段を1段構成とし、2段目ブロア(抽気用ブロア)によって、洩入エアを直接大気に放出してもよい。
具体的には、図6に示すように、放湿ユニットBの下流側に設けられた2段目ブロア20で100kPaに昇圧した後、そのまま大気に放出するように構成されている。
【0081】
(4−2)作用・効果
上記のような構成を有する本実施形態の除湿システムは、以下のように作用する。すなわち、上記第2実施形態で述べたように、放湿ユニットBの第2の水蒸気分離膜10を介して水蒸気が大気中に放出された後、放湿ユニットBの放湿空間11のエアの分圧は1kPaとなるため、流量は1/50に圧縮されている。従って、このエアを大気中に放出するために100kPaに加圧するのは、従来の方法に比べて、少ない動力で済む。
【0082】
(5)減湿ユニット及び放湿ユニットの構成
続いて、上記減湿ユニット及び放湿ユニットの具体的な構成について説明する。まず、減湿ユニットAは、例えば図7に示したように構成されている。すなわち、空調対象となる取入れ外気が流れる空調系エア流路31(図1の空調空間3に相当する)と、この外気から分離された水蒸気が流れる水蒸気流路32(図1の水蒸気空間2に相当する)とが、互いに直交する方向に交互に積層されている。また、水蒸気流路32は、出口側チャンバ33に取り付けられた配管34(図1の配管13に相当する)によって、1段目ブロアに接続されている。
【0083】
また、放湿ユニットBは、例えば図8に示したように構成されている。すなわち、1段目ブロアを経た水蒸気が流れる放湿系流路35(図1の放湿空間11に相当する)と、水蒸気分離膜を透過した水蒸気を大気中へ放出するための排気用空気(外気又は室内排気)が流れる排気系流路36(図1の排気空間14に相当する)とが、互いに直交する方向に交互に積層されている。また、1段目ブロアを経た水蒸気は、まず、入口側チャンバ37を介して、放湿ユニットBの内部に取り入れられ、出口側チャンバ38に取り付けられた配管39(図2の配管23に相当する)によって、2段目ブロア(抽気用ブロア)に接続されている。
【0084】
また、図7及び図8に示した各流路には、上記各実施形態で詳述した水蒸気分離膜を備えた膜モジュールが密着して配設されている。この膜モジュールは、各流路内を減圧吸引しても、水蒸気分離膜が破損することがないようにするため、以下に述べるような構成とされている。
なお、図7に示した減湿ユニットは、水蒸気分離膜を挟んで、空調用空気と除湿された水蒸気の流れる方向が互いに直交する直交流型であるが、これらの気体が対向して流れる対向流型とすることもできる。また、図8に示した放湿ユニットも同様である。
【0085】
(5−1)膜モジュール
上記実施形態に示した水蒸気分離膜は、拡散用の不織布等と組み合わされて、膜モジュールを形成している。すなわち、膜モジュール40は、図9に示すように、水蒸気分離膜本体41、拡散用の不織布等42、複数個の小さな穴が形成された第1のパンチングメタル43、減圧吸引流路となる断面形状が波形のセパレータ44及び第2のパンチングメタル45とが、順次積層されて構成されている。そして、この膜モジュール40と、空調系エア流路を構成する断面形状が波形のセパレータ46とが、互いの流路が直交するように積層されて、積層単位モジュール47が構成されている。
【0086】
なお、この積層単位モジュール47を所定個数積層することにより積層モジュールが形成され、さらにその側面に、入口チャンバや出口チャンバを取り付けることによって、上記減湿ユニット及び放湿ユニットが形成されている。また、上記拡散用の不織布等42は、パンチングメタル43,45に形成された穴位置以外の水蒸気分離膜部分を有効にするために用いられている。
【0087】
また、上記膜モジュールを作成する場合、図10に示したように、水蒸気分離膜61と拡散材62とを予め複合素材として製造しておくこともできる。この場合、予め拡散機能付き水蒸気分離膜が得られているので、図9に示すような水蒸気分離膜と拡散材とを積層する工程が不要となるため、組立工程の簡略化が図れる。
【0088】
(5−2)膜モジュールの補強部材
上記の膜モジュールを真空に耐え得る構造とするために、以下のような補強部材を用いることが望ましい。
例えば、図11に示したように、焼結金属又は多孔質セラミック等の硬い材料からなるブロック状部材50の内部に、減圧吸引流路となる貫通孔51を形成して、膜モジュールの補強部材とすることができる。また、図12に示したように、アルミ引き抜き材等でパンチングブロック71を作成し、その内部に減圧吸引流路となる貫通孔72を形成して、膜モジュールの補強部材とすることもできる。
【0089】
また、図13に示すように、パンチングメタル板73に突起74を設けたり、スペーサーを挿入して、減圧吸引流路75を形成し、膜モジュールの補強部材とすることができる。さらに、図14に示すようなパイプ型モジュールにおいては、流路を穴明きの金属パイプ、焼結金属、セラミックス、多孔質ガラス76等で形成し、不織布等の拡散・クッション材77を介在させた上で、分離膜78を貼ることにより、吸引密着による分離膜の有効面積減少や応力による破損を防ぐことができる。
【0090】
そして、図15に示したように、直交流型または対向流型の積層モジュールにおいて、上記水蒸気流路32あるいは放湿系流路35を、上記ブロック状部材や多孔質材料91(焼結金属、セラミックス、多孔質ガラス等)で形成し、その表面に不織布等の拡散・クッション材を介在させた上で、水蒸気分離膜を配設することにより、吸引密着による水蒸気分離膜の有効面積の減少や応力破損を防ぐことができる。
【0091】
そして、上記水蒸気流路32あるいは放湿系流路35を形成する多孔質材料91と水蒸気分離膜を有する膜モジュール40を、空調系エア流路31あるいは排気系流路36を構成するセパレータと共に、互いの流路が直交するように積層して、減湿ユニットあるいは放湿ユニットを構成すれば、真空に耐え得る構造とすることができる。
【0092】
(5−3)放湿ユニットの効率の向上
上記放湿ユニットにおいては、排出系側の水蒸気分離膜流路92内において水蒸気が透過流出することにより、空気が取り残され、その成分比が高まっていく。それと同時に、ガス流量が減るため、出口に行く程、ガス流速が低下する。その結果、図16に示すように、エアの拡散力が卓越してしまうため、濃縮したエアが入口側へ拡散・逆流し、入口部分の水蒸気分圧を下げ、排気側への透過流量を減らしてしまうおそれがある。
【0093】
このようなガス拡散の影響を小さくするためには、出口付近の流速をある程度以上に保つ必要がある。このように出口付近の流速をある程度以上に保つ方法としては、流路の断面積を順次小さくしていく方法が考えられる。すなわち、図17に示すように、1段目ブロアを介して、排気系空気を1段目放湿ユニット80の入口チャンバ82に導入した後、中間チャンバ83a,83b,83cで折り返す毎に、その流量に見合うような流路断面積に狭めていく。そして、2段目ブロア84を介して接続される2段目放湿ユニットも同様の構成とすることにより、各段の放湿ユニットの出口付近の流速を、必要な最低流速以上に保つことができる。
【0094】
また、放湿ユニットに水分凝縮器93を用いた場合も、図18に示すように、ヘッダー毎に細管94の本数を減らすことにより、出口付近の流速を必要な最低流速以上に保つことができる。
【0095】
なお、放湿ユニット全体の入口・出口の流量比が大きい場合は、ある最低速度以上を保てるように、折り返し回数を多くする。また、複数個の放湿ユニットを、その流路断面積を変えて直線的に配列することもできる。
また、外調機としての処理負荷が変動し、小さくなった場合(例えば、夏→秋)には、バンクを切り替えて一部のみを使う方法、ブロアから直接適当な中間チャンバへ導入する方法等を用いて、最低流速以上を保つようにすることもできる。
【0096】
更に、気流方向を下向きとすることにより、エアと水蒸気の混合を防止することができる。すなわち、気体の重さはその質量数に比例し、N2の質量数は28、O2は32、H2Oは18であるために、水蒸気よりエアのほうが重い。この性質を利用して、図19に示すように、放湿ユニットの放湿系流路35において、気流方向を下向きとすることにより、エアと水蒸気の混合を防ぐことができる。また、気流方向は必ずしも真下である必要はなく、水平からある角度をもって下方へ傾けた構造でもよい。
【0097】
(6)他の実施形態
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。例えば、本発明に使用される高遮蔽型無孔系全熱交換シートとしては、パルプを抄紙することにより製造したものも使用することができるが、その他、多孔質ポリオレフィン樹脂フィルムなどの多孔質熱可塑性樹脂フィルムや、これらの樹脂にパルプなどの充填材を混合して成型したフィルムを使用することができる。
【0098】
また、上記各実施形態では、除湿用ブロア、抽気用ブロア及び排気用ブロアを、それぞれ1台のブロアとして説明したが、加圧あるいは吸引する水蒸気や空気の圧力によっては、複数台の機器を組み合わせて各ブロアを構成することも可能である。また、本明細書では、水蒸気や空気を加圧吸引する装置をブロアと総称しているが、このブロアには、従来技術で述べられているような、圧縮機や真空ポンプ等、同様な機能を有する装置が含まれるものである。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、除湿に要するエネルギを小さくでき、空調におけるランニングコストの削減、CO2削減対策となる。また、冷凍機の容量を小さく選定でき、高温で運転できるため、COPが向上し、省エネとなる。
【0100】
具体的には、水蒸気分離膜として、圧力損失が少なく、低い水蒸気分圧差で水蒸気を透過する素材、例えば、高遮蔽型無孔系全熱交換シートを採用することにより、放湿用空気として乾燥空気を使用することなく、外気、室内空気や室内排気をそのまま利用することのできる除湿システムを提供することができる。
【0101】
また、混入空気があった場合でも、水蒸気とエアの再混合を防ぐべく流路を工夫し、エア比率の高くなった少量の気体をブロアで昇圧して、多段に構成した放湿ユニット等を通して、更に気体容量を小さくしてから排気用ブロアで排出することにより、連続運転を可能とした除湿システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除湿システムの第1実施形態の構成を示す概略図
【図2】本発明に係る除湿システムの第2実施形態の構成を示す概略図
【図3】第2実施形態における系内の全圧と水蒸気分圧の分布を示す図
【図4】本発明に係る除湿システムの第3実施形態の構成を示す概略図
【図5】縦型の放熱コイルを用いた水分凝縮器の一例を示す斜視図
【図6】本発明に係る除湿システムの第4実施形態の構成を示す概略図
【図7】減湿ユニットAの構成を示す斜視図
【図8】放湿ユニットBの構成を示す斜視図
【図9】水蒸気分離膜を備えた膜モジュールの構成を示す分解斜視図
【図10】拡散機能付き水蒸気分離膜の構成を示す斜視図
【図11】膜モジュールの補強部材の一例を示す斜視図
【図12】膜モジュールの補強部材の一例を示す斜視図
【図13】膜モジュールの補強部材の一例を示す斜視図
【図14】パイプ型モジュールの構成を示す斜視図
【図15】積層モジュールの構成を示す斜視図
【図16】排出系の水蒸気分離膜流路内におけるガスの流れ及び空気分子の動きを示す図
【図17】下流側の流路断面積を順次狭めた放湿ユニットの構成を示す斜視図
【図18】下流側の流路断面積を順次狭めた水分凝縮器の構成を示す斜視図
【図19】気流方向を下向きにした放湿ユニットの構成を示す斜視図
【図20】従来の除湿システムの構成を示す図
【符号の説明】
1…第1の水蒸気分離膜
2…水蒸気空間
3…空調空間
10…第2の水蒸気分離膜
11…放湿空間
12…1段目ブロア(除湿用ブロア)
13…配管
14…排気空間
20…2段目ブロア(抽気用ブロア)
21…第2の放湿空間
22…第3の水蒸気分離膜
23…配管
30…3段目ブロア(排気用ブロア)
Claims (10)
- 密閉された容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、空調対象となる空気が流れる空調空間(3)と、前記空調対象となる空気から分離された水蒸気が移動する水蒸気空間(2)とに仕切られた減湿ユニットAと、
容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、密閉された放湿空間(11)と、大気あるいは室内排気に連通した排気空間(14)とに仕切られた放湿ユニットBを備え、
前記減湿ユニットAの水蒸気空間(2)と前記放湿ユニットBの放湿空間(11)とが、除湿用ブロア(12)を備えた配管によって接続され、
この除湿用ブロアにより、前記水蒸気空間(2)及び放湿空間(11)内の圧力が、それぞれ前記空調空間(3)及び排気空間(14)内の圧力よりも低圧に設定されると共に、前記水蒸気空間(2)の水蒸気分圧が空調空間(3)の水蒸気分圧よりも低く、放湿空間(11)の水蒸気分圧が排気空間(14)の水蒸気分圧よりも高く設定され、
前記減湿ユニットA及び放湿ユニットBに使用される水蒸気分離膜が、温度40℃、湿度90%の空気に対する透湿度が3000g/(m2・24h)以上であり、かつ、ガーレー透気抵抗度が100000秒以上の高遮蔽型無孔系全熱交換シートにより構成されていることを特徴とする除湿システム。 - 密閉された容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、空調対象となる空気が流れる空調空間(3)と、前記空調対象となる空気から分離された水蒸気が移動する水蒸気空間(2)とに仕切られた減湿ユニットAと、
容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、密閉された放湿空間(11,21)と、大気あるいは室内排気に連通した排気空間(14,24)とに仕切られた第1の放湿ユニットB及び第2の放湿ユニットCを備え、
前記減湿ユニットAの水蒸気空間(2)と前記第1の放湿ユニットBの放湿空間(11)とが、除湿用ブロア(12)を備えた配管によって接続され、
この除湿用ブロア(12)により、前記水蒸気空間(2)及び放湿空間(11)内の圧力が、それぞれ前記空調空間(3)及び排気空間(14)内の圧力よりも低圧に設定されると共に、前記水蒸気空間(2)の水蒸気分圧が空調空間(3)の水蒸気分圧よりも低く、放湿空間(11)の水蒸気分圧が排気空間(14)の水蒸気分圧よりも高く設定され、
前記第1の放湿ユニットBの放湿空間(11)には、抽気用配管(23)を介して、第1の放湿ユニットBの水蒸気分離膜を通して水蒸気を分圧差で放出した後にその放湿空間(11)内に残存する水蒸気及びエアを抽出する抽気用ブロア(20)が接続され、
この抽気用ブロア(20)及び抽気用配管(23)を介して、前記第1の放湿ユニットBの放湿空間(11)が第2の放湿ユニットCの放湿空間(21)に接続され、この抽気用ブロア(20)により、第2の放湿用ユニットCの放湿空間(21)の水蒸気分圧が排気空間(24)の水蒸気分圧よりも高く設定され、
前記第2の放湿ユニットCの放湿空間(21)には、排気用配管を介して、第2の放湿ユニットCの水蒸気分離膜を通して水蒸気を分圧差で放出した後にその放湿空間(21)内に残存する水蒸気及びエアを加圧して外部に排出する排気用ブロア(30)が接続されていることを特徴とする除湿システム。 - 密閉された容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、空調対象となる空気が流れる空調空間(3)と、前記空調対象となる空気から分離された水蒸気が移動する水蒸気空間(2)とに仕切られた減湿ユニットAと、
容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、密閉された放湿空間(11)と、大気あるいは室内排気に連通した排気空間(14)とに仕切られた放湿ユニットBを備え、
前記減湿ユニットAの水蒸気空間(2)と前記放湿ユニットBの放湿空間(11)とが、除湿用ブロア(12)を備えた配管によって接続され、
この除湿用ブロア(12)により、前記水蒸気空間(2)及び放湿空間(11)内の圧力が、それぞれ前記空調空間(3)及び排気空間(14)内の圧力よりも低圧に設定されると共に、前記水蒸気空間(2)の水蒸気分圧が空調空間(3)の水蒸気分圧よりも低く、放湿空間(11)の水蒸気分圧が排気空間(14)の水蒸気分圧よりも高く設定され、
前記放湿ユニットBの放湿空間(11)には、抽気用配管を介して、放湿ユニットBの水蒸気分離膜を通して水蒸気を分圧差で放出した後にその放湿空間内に残存する水蒸気及びエアを抽出する抽気用ブロア(20)が接続され、この抽気用ブロア及び抽気用配管を介して、前記放湿ユニットの放湿空間が水分凝縮ユニットDの給気側(93)に接続され、
前記水分凝縮ユニットDの排気側には、排気用配管を介して、水分凝縮ユニットDにおいて水蒸気を凝縮分離された後の空気及び水蒸気を加圧して外部に排出する排気用ブロア(30)が接続されていることを特徴とする除湿システム。 - 密閉された容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、空調対象となる空気が流れる空調空間(3)と、前記空調対象となる空気から分離された水蒸気が移動する水蒸気空間(2)とに仕切られた減湿ユニットAと、
容器状に形成され、その内部が、水蒸気のみを透過させる水蒸気分離膜により、密閉された放湿空間(11)と、大気あるいは室内排気に連通した排気空間(14)とに仕切られた放湿ユニットBを備え、
前記減湿ユニットAの水蒸気空間(2)と前記放湿ユニットBの放湿空間(11)とが、除湿用ブロア(12)を備えた配管によって接続され、
この除湿用ブロア(12)により、前記水蒸気空間(2)及び放湿空間(11)内の圧力が、それぞれ前記空調空間(3)及び排気空間(14)内の圧力よりも低圧に設定されると共に、前記水蒸気空間(2)の水蒸気分圧が空調空間(3)の水蒸気分圧よりも低く、放湿空間(11)の水蒸気分圧が排気空間(14)の水蒸気分圧よりも高く設定され、
前記放湿ユニットBの放湿空間(11)には、排気用配管を介して、放湿ユニットBの水蒸気分離膜を通して水蒸気を分圧差で放出した後にその放湿空間(11)内に残存する水蒸気及びエアを加圧して外部に排出する排気用ブロア(20)が接続されていることを特徴とする除湿システム。 - 前記減湿ユニット及び放湿ユニットに設けられた水蒸気分離膜が、温度40℃、湿度90%の空気に対する透湿度が3000g/(m2・24h)以上であり、かつ、ガーレー透気抵抗度が100000秒以上の高遮蔽型無孔系全熱交換シートにより構成されていることを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4に記載の除湿システム。
- 前記放湿ユニットが、それぞれ水蒸気分離膜によって分離された放湿空間と排気空間とを備えた複数のブロックから構成され、
各ブロックの放湿空間同士、排気空間同士が順次接続され、放湿ユニットに送り込まれた水蒸気が、各ブロックの放湿空間を通過するごとに、順次水蒸気分離膜を通じて対応するブロックの排気空間に移動するように構成され、
前記各ブロックにおける放湿空間の流路断面積が、放湿ユニットの後段の放湿空間ほど小さく設定されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の除湿システム。 - 前記放湿ユニットの上部に、水蒸気が送り込まれてくる入口部が設けられ、その下部に残存水蒸気及び残存エアを排出する出口部が設けられ、放湿空間内部に形成される水蒸気及び残存エアの気流方向が下向きに形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の除湿システム。
- 前記水蒸気分離膜が、前記減湿ユニットあるいは放湿ユニットの低圧側の空間に配置され且つ水蒸気分離膜を挟んだ空間の圧力差によって変形することのない多孔質材料により支持され、この多孔質材料によって水蒸気分離膜の低圧側の空間が確保されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の除湿システム。
- シート状に形成された水蒸気分離膜と、前記水蒸気分離膜をその一方の側から支持する板状の多孔質材料と、前記多孔質材料によって確保された低圧側の空間とによって膜モジュールが形成され、
高圧側の空間を形成するためのセパレータを、前記膜モジュールにおける前記水蒸気分離膜の他方の側に積層して積層単位モジュールが形成され、
この積層単位モジュールが複数段積層されて積層モジュールが形成され、
この積層モジュールを構成する複数の膜モジュールにおける低圧側空間の入口側及び出口側には、それぞれ各膜モジュールの低圧側空間と連通するチャンバが形成されていることを特徴とする請求項8に記載の除湿システム。 - 前記減湿ユニットあるいは放湿ユニットが、空間の圧力差によって変形することのない多孔質パイプによって形成され、このパイプの外周又は内周に前記水蒸気分離膜が積層され、この水蒸気分離膜の積層された側に高圧側の空間が確保されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の除湿システム。
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