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JP2004278894A - 製氷装置 - Google Patents

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JP2004278894A
JP2004278894A JP2003070012A JP2003070012A JP2004278894A JP 2004278894 A JP2004278894 A JP 2004278894A JP 2003070012 A JP2003070012 A JP 2003070012A JP 2003070012 A JP2003070012 A JP 2003070012A JP 2004278894 A JP2004278894 A JP 2004278894A
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Japan
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ice making
ice
cooling plate
making container
temperature
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Pending
Application number
JP2003070012A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Tatsui
洋 龍井
Nobuo Shimomura
信雄 下村
Kazuyuki Hamada
和幸 濱田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】透明度が高く、飲料液に入れてもミネラル分が浮遊するのが目立つことのない、官能的に好ましい高品位な氷をつくることのできる製氷装置を提供する。
【解決手段】製氷容器4の底面に、冷却板3と接するように製氷容器4よりも熱伝導率の高い冷却促進部材12が埋め込まれているものであり、製氷容器4に給水された水は、冷却板3により冷却されるため底面から上面に向かって凍結が進み、かつ、製氷容器4底面の冷却促進部材12が埋め込まれた周辺部分の温度が製氷容器4底面の他の部分よりも温度が低くなるため、垂直断面で見た場合、中心部の氷の高さが製氷容器4側面の氷の高さよりも高い凸状に氷が成長していき、空気は製氷容器4の上面から外部に拡散され、ミネラル分は製氷容器4側面に分散されるために透明度が高い氷を作ることができる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、家庭用冷蔵庫おいて比較的透明な氷をつくる製氷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭用冷蔵庫において、見た目が良く高品位な透明氷を作る製氷装置が望まれており、製氷容器に水を給水して製氷を行う際、製氷容器を振動させたり、製氷容器上面側の開口部から水面に向けて温風を吹き付けたりすることにより、水の凍結に伴い氷から吐き出されて発生した気泡が氷の中に混入することを防ぐ製氷装置が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の製氷装置を説明する。
【0004】
図9は従来の製氷装置が搭載された冷蔵庫の側断面図であり、図10は従来の製氷装置の側断面図である。図11は、従来の製氷容器内の氷の成長の様子を示す製氷皿の断面図である。
【0005】
図9および図10において、冷蔵庫31は、外箱32と内箱33とを有し、この間に断熱材が充填されてなる断熱構造体で、内箱33には複数の断熱中仕切板34が設けられて冷蔵室35、冷凍室36、野菜室37等が形成されている。
【0006】
冷蔵室35には、氷を作るための水が貯留される給水タンク38が設置されており、冷凍室36には製氷装置39および貯氷箱40が設けられている。なお、貯氷箱40は製氷装置39の下方に配置され、製氷装置39で作った氷を受けて蓄えるようになっている。
【0007】
また、冷蔵庫31には冷凍装置が収納されており、冷却器41を通って庫内空気をファン42により強制循環させながら庫内を冷却している。
【0008】
一方、製氷装置39は、給水タンク38からの水を貯留する製氷容器43、当該製氷容器43に貯留された水に空気を吹き付けるブロー機構44、製氷容器43を反転させて当該製氷容器43の氷を貯氷箱40に移す脱氷機構45等を有している。
【0009】
製氷容器43は、上面が開口して形成された合成樹脂製で、製氷容器43の裏側に冷却器41からファン42により冷凍室36に送られてきた冷気が送風されて、製氷容器43を底部側から冷却して製氷が行われる。
【0010】
ブロー機構44は、空気を送風するポンプ46、当該ポンプ46により送風される空気を製氷容器43の上方まで導く送風ダクト47、送風ダクト47により導かれた空気を過熱する空気過熱ヒータ48、空気過熱ヒータ48により加熱されて温風となった空気を製氷容器43に貯留された水に吹き当てるノズル49等から構成される。
【0011】
以上のように構成された従来の製氷装置について、その動作を説明する。
【0012】
給水タンク38から製氷容器43に供給され貯留された水は、冷却器41により冷却された冷気が、ファン42により製氷容器43の裏側に送風されることにより凍結していくが、その際、ブロー機構44から空気加熱ヒータ48により過熱された温風が、製氷容器43の上面に吹き付けられる。
【0013】
このため、氷は製氷容器43の底面側から成長していき、製氷容器43の上面側の温風が吹き付けられる上面側が最後に凍結するため、水が凍結して氷になる際に未凍結の水に吐き出された空気が逃げるための逃げ口が製氷完了まで確保される。
【0014】
更に、温風により製氷容器43に貯留された水が攪拌され、氷と水との界面上で水が移動するため、氷と水の界面にある気泡が氷から離脱して浮上し、未凍結の水面から冷凍室36中に脱気される。
【0015】
このために、製氷される氷に含まれる気泡の量が少ない、高品位な透明氷を得ることが出来る。
【0016】
【特許文献1】
特開2001−355946号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、製氷容器43の裏側に冷気が送風されて冷却を行うことにより、製氷容器43底面からの凍結と同時に製氷容器43側面からの凍結が生じてしまい、更に、水面の中央部近傍に温風を吹き付けているために、氷は製氷容器43を垂直断面で見ると、中心部近傍での氷の高さが製氷容器43側面近傍での氷の高さに比べ低い凹状に氷が成長していく。
【0018】
ここで、図11に示すように水にもともと溶け込んでいたカルシウムやマグネシウムといったミネラル分や空気は、水が凍結する際に氷から未凍結の水中に追い出されるため、凹状に成長した氷の中にある未凍結の水の中の空気やミネラル分の濃度は徐々に高くなっていく。
【0019】
空気は未凍結の水面から周辺の空間に、ある程度拡散されるが、ミネラル分は製氷容器43外部へ逃げることが出来ないため、最後のほうに凍る氷の略中央部分から上側部分にかけて、ミネラル分やミネラル分を核とした気泡が可視できる大きさまで集まることにより白濁が集中してしまい、氷の透明度が劣化してしまう。
【0020】
更に、集中したミネラル分は、氷を水等の飲料液に入れたときに氷から排出され、すぐに溶けることなく飲用液中を浮遊するが、製氷過程で容易に可視できる大きさにまで集まってしまうこともあるため、飲料液中で浮遊するのが観察され官能的に好ましい氷とならないことがある。
【0021】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、氷の白濁が固まって目立つことがない透明度の高い氷で、飲料液に氷を入れてもミネラル分が浮遊するのが目立つことのない見た目に好ましい高品位な氷を提供すること目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の製氷装置の発明は、0℃以下に保持された冷却板と、前記冷却板上に配置された製氷容器と、前記製氷容器に所定量の水を給水する給水装置とから構成され、前記製氷容器と前記冷却板は、冷却板の温度よりも高い温度に保持された空間に配置された製氷装置で、前記製氷容器の底面に、前記冷却板と接するように前記製氷容器よりも熱伝導率の高い冷却促進部材が埋め込まれているものであり、製氷容器に給水された水は、冷却板により冷却されるため底面から上面に向かって凍結が進み、かつ、製氷容器底面の冷却促進部材が配置している周辺部分の温度が製氷容器底面の他の部分よりも温度が低くなるため、垂直断面で見た場合、中心部の氷の高さが製氷容器側面の氷の高さよりも高い凸状に氷が成長していくという作用を有する。
【0023】
本発明の請求項2に記載の製氷装置の発明は、0℃以下に保持された冷却板と、前記冷却板上に配置され、前記冷却板を形成する材料よりも熱伝導率が低い材料で形成された製氷容器と、前記製氷容器に所定量の水を給水する給水装置とから構成され、前記製氷容器と前記冷却板は、冷却板の温度よりも高い温度に保持された空間に配置された製氷装置で、前記冷却板の一部に前記製氷容器方向に突出した凸状部が形成されており、前記製氷容器の裏面に前記凸状部に対応した凹状部が設けてあり、前記凸状部と前記凹状部が勘合しているもので、製氷容器に給水された水は冷却板により冷却され底面から凍結するが、製氷容器底面の凹状部に勘合した冷却板の凸状部付近の製氷容器底面の温度が製氷容器底面の他の部分よりも温度が低くなるため、氷が凸状に成長するという作用を有する。
【0024】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の製氷装置の発明において、冷却促進部材または凸状部が、製氷容器の底面を貫通していることを特徴とするもので、冷却促進部材または前記凸状部の近傍の前記製氷容器底面の温度が、その他の製氷容器底面の温度よりも低いために、氷が凸状に成長していくという作用を有し、製氷容器上面側の水面近傍まで、氷が凸状の成長を続ける。
【0025】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製氷装置の発明において、冷却促進部材または凸状部が、製氷容器の裏面と冷却板との接触面積のうち、半分以下の面積を占めていることを特徴とするもので、冷却促進部材または前記凸状部の近傍の前記製氷容器底面の温度が、その他の製氷容器底面の温度よりも低いために、氷が凸状に成長していくが、製氷容器裏面において、冷却促進部材または冷却板の凸状部の占める面積が、冷却板と接触している面積の半分以下に抑えられていることにより、凸状の氷の成長をより上部まで維持することができるという作用を有する。
【0026】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の製氷装置の発明において、製氷容器の側面は、比較的熱伝導率の低い合成樹脂材料で形成されていることを特徴とするもので、製氷容器側面が熱伝導率の低いために、容器底面からの冷却が容器側面に伝わりにくくなり、容器側面では冷却促進部材または冷却板の凸状部が埋め込まれている製氷容器底面よりも温度が低くなり、氷が確実に上に凸状に成長していくという作用を有する。
【0027】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製氷装置の発明において、冷却板と製氷容器が配された空間の温度が0℃以上であることを特徴とするもので、冷却促進部材または前記凸状部の近傍の前記製氷容器底面の温度が、その他の製氷容器底面の温度よりも低いために、氷が凸状に成長していくという作用を有する。
【0028】
更に、冷却板と製氷容器が設置された空間の温度が0℃以上に保たれているために、空間の空気から製氷容器側面が温められるために、氷が製氷容器側面から成長することが無く、氷が確実に上に凸状に成長するという作用も有する。
【0029】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6に記載の製氷装置の発明において、冷却板の温度を所定の温度になるように制御する冷却板温度制御手段を備えた製氷装置で、製氷初期での前記冷却板の温度よりも製氷後期での冷却板の温度の方が高くなるように、冷却板の温度を制御することを特徴とするもので、冷却促進部材または前記凸状部の近傍の前記製氷容器底面の温度が、その他の製氷容器底面の温度よりも低いために、氷が凸状に成長していくという作用を有する。
【0030】
更に、冷却板の温度が製氷初期では比較的低いために、製氷初期では凍結速度が比較的速く、製氷後期では凍結速度が比較的遅くなるという作用も有する。
【0031】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の製氷装置の発明において、給水装置は、製氷容器に所定量の水を所定間隔で間欠的に給水することを特徴とするもので、冷却促進部材または前記凸状部の近傍の前記製氷容器底面の温度が、その他の製氷容器底面の温度よりも低いために、氷が凸状に成長していくという作用を有する。
【0032】
更に、所定量の水を所定の時間間隔で給水することにより、常に未凍結の水の厚さが薄くなるという作用も有する。
【0033】
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の製氷装置の発明において、冷却促進部材または凸状部が製氷容器の略中央部に複数あることを特徴とするもので、前記冷却促進部材または前記凸状部の近傍の前記製氷容器底面の温度が、その他の製氷容器底面の温度よりも低いために、氷が凸状に成長していくという作用を有する。
【0034】
更に、冷却促進部材または凸状部が複数あり、複数の前記冷却促進部材または凸状部の間には、熱伝導率の比較的低い製氷容器形成部材があるために、分割して給水する少量の水が製氷容器底面に広がり易いという作用も有する。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による製氷装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
(実施の形態1)
図1は本発明による実施の形態1における製氷装置の側断面図であり、図2は同実施の形態の製氷装置の要部上面図、図3は同実施の形態の製氷装置の要部側断面図である。
【0037】
図1から図3において、製氷装置1は、給水装置2と、冷却板3と、冷却板3上に設置され樹脂製(例えばポリプロピレン)で成形された製氷容器4により構成されており、給水装置2が配置された空間と、冷却板3と製氷容器4が配置された空間とは、区画壁5で区画され、それぞれの空間は約3度に保持されている。
【0038】
給水装置2は、氷を作るための水を一時的に貯めておく給水タンク6と、給水タンク6内の水を所定量送り出すための給水ポンプ7と、給水ポンプ7から送り出された水を所定位置に導くための給水経路8から構成される。
【0039】
冷却板3はアルミニウムで形成され、冷却板3上の製氷容器4と接する面の反対面には、ペルチェ素子9の一方の面が密接するように固定されており、ペルチェ素子9の他方の面には、ヒートシンク10が密接するように固定され、ファン11から送風された風がヒートシンク10に吹き付けられるようになっている。また、冷却板3の温度は、ペルチェ素子9への通電を制御することにより所定の温度に制御出来るようになっている。
【0040】
また、冷却板3上に固定された製氷容器4は、給水経路8の下方に位置するように配置されており、製氷容器4の底面略中央部には、冷却板3と密接し、かつ製氷容器4の底面と同じ高さとなるようにアルミニウムで出来た冷却促進部材12が埋め込まれている。また、冷却促進部材12の冷却板3との接触面積は、製氷容器4底面と冷却板3との接触面積の半分以下となるように調整されている。
【0041】
そして製氷が完了すると製氷容器4と冷却板3とペルチェ素子9とヒートシンク10は、一体となって離氷動作に入り駆動源である駆動メカ14の駆動軸13により反転される。
【0042】
以上のように構成された製氷装置について、次にその動作を説明する。
【0043】
冷却板3は、ペルチェ素子9に冷却板3と接する面が冷却される所定の方向に直流電流を通電し、さらにペルチェ素子9への通電を制御することにより、約−8℃〜−18℃の所定の温度に保持される。その際、ペルチェ素子9のヒートシンク10側の面は、ヒートシンク10にファン11からの風を吹き付けることにより放熱されている。
【0044】
このとき、給水ポンプ7を所定時間駆動することにより、給水タンク6内の水が所定量だけ給水経路8から製氷容器4内に給水され、冷却板3からの冷却により製氷される。
【0045】
製氷容器4の外面に設置された温度センサー(図示せず)が給水後一定時間経過した後、所定の温度以下に下がったのを検知すると製氷が完了したと判断し、離氷メカ14により駆動軸13を回転させて、冷却板3,ペルチェ素子9,ヒートシンク10とともに製氷容器4を反転させ、同時にペルチェ素子9に製氷中と逆方向に通電することにより冷却板3を過熱して、製氷容器4内の氷と製氷容器4との接触面の氷を融かし、氷を自重により落下させることにより、製氷装置1の下方に設置された貯氷箱(図示せず)に貯氷する。
【0046】
以下に、本実施例における製氷時の氷の成長の仕方について図4を用いて説明する。
【0047】
図4(a)は氷の成長を表した製氷容器4の断面図である。図4(b)は、図4(a)から所定時間経過した後の製氷容器4の断面図である。
【0048】
一方、本実施の形態の製氷装置では、図4(a),(b)に示すように、製氷容器4内に貯留された水4aは、製氷容器4底面が冷却板3により冷却され、かつ上面が0℃以上の空気と接しているために、下から上に向かって氷4bの成長が進む。
【0049】
更に、製氷容器4の底面には、アルミニウムとポリプロピレンの熱伝導率の差により冷却促進部材12近傍とその他の領域で温度差が生じるために、冷却促進部材12が埋め込まれた製氷容器4底面の略中央部分では氷の成長が速く、製氷容器4の側面近傍では氷の成長が遅くなり、氷4bが凸状に成長していく。
【0050】
一方、氷が成長していくにつれて、冷却促進部材12と氷と水の界面との距離が離れていくために、凍結に対する冷却促進部材12の影響は徐々に小さくなり、中心部とその近傍とにおける氷の成長速度の差は小さくなるが、製氷容器4外部の空気の温度が高いため、製氷容器4側面近傍の水の温度はその他の部分の水の温度に比べ高く、製氷容器4側面近傍での凍結はその他の部分よりも若干遅くなり、製氷完了まで氷の凸状の成長が維持される。
【0051】
更に、水が凍結する際、もともと水に溶け込んでいた空気や、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分は、凍結速度が十分ゆっくりであれば氷から未凍結の水の中に追い出されるが、製氷容器4側面の凍結が中心部の凍結に比べ遅くなり氷が凸状に成長するために、空気は製氷容器4上側の開口部から周辺の空間に拡散され、ミネラル分は凍結の遅い製氷容器4側面に、可視できない大きさに拡散された状態で氷の中に閉じ込められるため、見た目上、透明な氷ができる。
【0052】
以上のように、本実施の形態の製氷装置1は、製氷容器4に貯留された水を下から上に成長させ、かつ、凸状に成長させることにより、氷の白濁の要因である空気を拡散させ、さらにはミネラル分を製氷容器4側面に拡散させながら凍結させることにより、見た目に高品位な透明度の高い氷で、飲用液体に溶かしても、ミネラル分が浮遊する所が目に付くことのない官能的に適した氷を提供することが出来る。
【0053】
なお、本実施の形態においては、ポリプロピレンで形成された製氷容器4を用いたが、シリコーンゴムなどのポリプロピレンに比べて熱伝導率の低いものを製氷容器4側面の材料として用いることにより、製氷容器4側面からの冷却を抑制することが出来るため、更に氷の凸状の成長を促進することができる。
【0054】
また、なお、本実施の形態においては、冷却板3の温度を制御するのにペルチェ素子9を用い、製氷容器4内の氷を離氷するためにペルチェ素子9に冷却時と逆方向の電流を負荷することにより、氷と製氷容器4内面の接触面の氷を溶かして離氷を行ったが、冷却板3の温度制御はペルチェ素子9に限定されるものではなく、また離氷の方法も、ペルチェ素子9を利用した融解に限定されるものではない。
【0055】
例えば、冷却板3にヒータを貼り付けておき、凍結完了後、ヒータに通電して離氷を行ってもよく、また、製氷容器4を反転させる際に変形させることにより離氷を行っても良い。
【0056】
また、なお、本実施の形態では、冷却板3と冷却促進部材12の材料としてアルミニウムを用いたが、それぞれを形成する部材を限定するものではなく、例えば、冷却板3と冷却促進部材12として熱伝導率の良い、表面処理を施した銅やステンレスを用いても良い。ただし、冷却促進部材12は、製氷容器4底面を貫通させるときは、水が直接接するため、耐腐食性や安全性が十分なものを選定する必要がある。
【0057】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2の製氷装置の側断面図を示し、図6は、同実施の形態の製氷装置の要部上断面図、図7は同実施の形態の製氷装置の要部側断面図である製氷装置の要部断面図を示す。
【0058】
図5から図7において、製氷装置15は、給水装置16と、冷却板17と、冷却板17上の所定の位置に設置された製氷容器18により構成されており、給水装置16が配置された空間と、冷却板17と製氷容器18が配置された空間とは、区画壁19で区画され、それぞれの空間は0℃以上に保持されている。
【0059】
給水装置16は、氷を作るための水を一時的に貯めておく給水タンク20と、給水タンク20内の水を所定量送り出すための給水ポンプ21と、給水ポンプ21から送り出された水を所定位置に導くための給水経路22から構成され、給水ポンプ21の駆動時間を制御することにより給水量を調節し、駆動間隔を制御することにより給水時間間隔を調整することが出来る。
【0060】
冷却板17はアルミニウムで形成し、冷却板17の製氷容器18と接する面の反対面には、ペルチェ素子23の一方の面が密接して固定されており、ペルチェ素子23の他方の面には、ヒートシンク24が密接して固定され、ファン25によりヒートシンク24に風が効率よく吹き付けられるようになっており、ペルチェ素子23への通電を制御することにより冷却板17の温度を所定の温度に保つことが出来るようになっている。
【0061】
ポリプロピレンで形成された製氷容器18には、水を貯留するための複数の製氷区画26が形成されており、各製氷区画間の溝27により水が行き来できる様になっており、それぞれの製氷区画26の底面には、底面中央部近傍に複数の孔26aが、全孔の合計面積が底面の面積の半分以下になるようにあけられている。
【0062】
また、冷却板17の製氷容器18と接する側の面には、製氷容器18の孔26aに対応する凸状部28が、製氷容器18の底面の肉厚で形成されており、冷却板17と製氷容器18は、孔26aと凸状部28が嵌合して固定されている。
【0063】
また、製氷容器18,冷却板17,ペルチェ素子23,ヒートシンク24は、給水経路22の下方に配置され、軸29により離氷メカ30と結合され、製氷終了後、離氷メカ30により反転される。
【0064】
以上のように構成された製氷装置について、次にその動作を説明する。
【0065】
給水タンク20内の水が、給水ポンプ21を所定時間駆動することにより、所定量だけ給水経路22から製氷容器18の所定の製氷区画26内に給水され、溝27を通って各製氷区画26に水が貯留される。この際、給水量は、所定の氷の大きさを作るための量よりも少ない量とし、各製氷区画内の水が約半分程度凍る所定の時間が経過した後に、再び給水ポンプ21を駆動して水を給水するという動作を、所定の氷の大きさを作るのに必要な量だけ水が給水されるまで繰り返す。
【0066】
また、冷却板17は、ペルチェ素子23に冷却板17と接する面が冷却される所定の方向に直流電流を通電し、さらにペルチェ素子23への通電を制御することにより、0℃以下の所定の温度に保持される。その際、ペルチェ素子23のヒートシンク24側の面は、ヒートシンク24にファン25からの風を吹き付けることにより放熱されている。製氷時、冷却板17の温度は−8℃〜−18℃の範囲で少なくとも2段階の温度帯に制御される。水が凍り始める製氷初期時は冷却板17の温度を下げ、水が完全に氷となる前から冷却板17の温度を上げる制御をペルチェ素子23に通電して行う。
【0067】
製氷容器18内の水が凍結し、製氷区画26外側に配置した温度センサー(図示せず)が所定の温度以下になると、製氷が完了したと検知して、離氷メカ30が製氷容器18を、冷却板17,ペルチェ素子23,ヒートシンク24とともに反転させ、ペルチェ素子23に製氷時と逆方向に通電することにより、冷却板17を過熱して、製氷容器18内の氷と製氷容器18との接触面の氷が融かすことにより、氷を自重により落下させ、製氷装置の下方に配置された貯氷箱(図示せず)に貯氷する。
【0068】
以下、図8を用いて、本実施の形態における製氷区画26内の水が凍結し氷となる様子を説明する。
【0069】
図8(a)は製氷初期の製氷容器の断面図である。図8(b)は製氷後期の製氷容器の断面図である。
【0070】
図8において、製氷区画26内に貯留された水26aは、製氷区画26底面が冷却板17により冷却され、かつ、上面が0℃以上の空気と接しているために、下から上に向かって氷26bの成長が進む。
【0071】
更に、製氷区画26の底面にはアルミニウムとポリプロピレンの熱伝導率の差により凸状部28近傍とその他の領域で温度差が生じるために、凸状部28が埋め込まれた製氷区画26底面の略中央部分では氷の成長が速く、製氷区画26の側面近傍では氷の成長が遅くなり、氷26bが凸状に成長していく。
【0072】
一方、氷が成長していくにつれて、氷26bと水26aとの界面と、冷却板17の凸状部28との距離が離れていくために、凍結に対する凸状部28の影響は徐々に小さくなるが、製氷区画26外部の空気の温度が高いため、製氷区画26側面近傍の温度は中心部に比べ高く、製氷区画26側面近傍での凍結は中心部での凍結よりも遅くなり、製氷が完了するまで凸状の氷の成長が維持される。
【0073】
水が凍結する際、もともと水に溶け込んでいた空気や、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分は、氷の成長速度である凍結速度が十分ゆっくりであれば氷から未凍結の水の中に追い出されるため、製氷区画26側面の凍結が中心部に比べ遅くなるために、空気は製氷区画26上側の開口部から周辺の空間に拡散され、ミネラル分は凍結の遅い製氷区画26側面に、可視できない大きさに拡散された状態で氷の中に閉じ込められるため、見た目上、透明な氷ができる。
【0074】
しかし、製氷初期において凍結速度が十分ゆっくりであっても、未凍結の水中の空気やミネラル分の濃度は、製氷が進むにつれ徐々に高くなっていくため、一定の凍結速度では製氷後期において白濁が生じやすい。
【0075】
そこで、比較的濃度の低い製氷初期では、冷却板17の温度が低く、初期に比べ濃度の高い製氷後期では冷却板17の温度が高くなるように冷却板17の温度をペルチェ素子23に流す電流を制御することにより調整し、製氷初期で凍結速度が比較的速く、製氷後期で凍結速度がよりゆっくりとなるように変化させることにより、給水開始から製氷完了までの製氷時間を長くすることなく、透明度の高い氷を作成することができる。
【0076】
更に、製氷容器18に水を分割して前に給水した水が完全に凍る前に給水することにより、未凍結の水の高さが薄くなるために、氷から吐き出されて濃度の高くなった水は、製氷容器18外の空間中に拡散されやすくなり、透明な氷がよりできやすくなる。
【0077】
更に、製氷区画26の底面中央近傍に冷却板17の凸状部28が複数あるために、最初に給水した水が十分に冷却された凸状部28上ですぐに凍結して製氷区画26底面全体に広がらなくなるのを防ぐことができるため、給水前にあらかじめ冷却板17の温度を上昇させておく必要がない。
【0078】
以上のように、本実施の形態の製氷装置1は、製氷容器18に貯留された水を下から上に、かつ、凸状に成長させることにより、氷の白濁の要因である空気を拡散させ、かつ、ミネラル分を製氷容器18側面に拡散させながら凍結させることにより、見た目に高品位な透明度の高い氷で、飲用液体に溶かしても、ミネラル分が浮遊する所が目に付くことのない官能的に適した氷を提供することが出来る。
【0079】
更に、氷の成長速度を製氷初期において速く、製氷後期においてよりゆっくりとすることにより、比較的短時間で透明度の高い氷を作ることができる。
【0080】
更に、水を分割して前に給水した水が完全に凍結する前に次の給水を行うことにより、未凍結中の水中に溶け込んだ空気を製氷容器18外の空間に拡散させやすくし、透明な氷をより得やすくできる。
【0081】
なお、本実施の形態においては、冷却板17の温度を制御するのにペルチェ素子23を用い、製氷容器18内の氷を離氷するためにペルチェ素子23に冷却時と逆方向の電流を負荷することにより、氷と製氷容器18内面の接触面の氷を溶かして離氷を行ったが、冷却板17の温度制御はペルチェ素子23に限定されるものではなく、また、離氷の方法も、ペルチェ素子23を利用した融解に限定されるものではない。
【0082】
例えば、冷却板17にヒータを貼り付けておき、凍結完了後、ヒータに通電して離氷を行ってもよく、また、製氷容器18を反転させる際に変形させることにより離氷を行っても良い。
【0083】
また、なお、本実施の形態では、冷却板17の材料としてアルミニウムを用いたが、形成する部材を限定するものではなく、例えば、冷却板17として熱伝導率の良い表面処理を施した銅やステンレスを用いても良い。ただし、冷却板17の凸状部を、製氷容器18底面に貫通させるときは、水が直接接するため、耐腐食性や安全性が十分なものを選定する必要がある。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明は、製氷容器の底面略中央部に、冷却板と接するように製氷容器を形成する材料よりも熱伝導率の高い冷却促進部材が配置されていることにより、氷を凸状に成長させ、最後に凍る製氷容器側面側にミネラル分を分散させることにより、比較的透明度が高く、水に溶かしてもミネラル分が浮遊することの無い官能的に好ましい氷を提供することができる。
【0085】
また、請求項2に記載の発明は、冷却板の一部に形成された製氷容器側に突出した凸状部と、凸状部に対応して製氷容器裏面に形成された凹状部が勘合して固定された冷却板と製氷容器を備えることにより、氷を凸状に成長させ、最後に凍る製氷容器側面側にミネラル分を分散させることにより、比較的透明度が高く、水に溶かしてもミネラル分が浮遊することの無い官能的に好ましい氷を提供することができる。
【0086】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、冷却促進部材または冷却板の凸状部を製氷容器底面に貫通させることにより、より確実に氷を凸状に成長させることができるため、透明度が高く、水に溶かしてもミネラル分が浮遊することの無い官能的に好ましい氷を提供することができる。
【0087】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、冷却促進部材または冷却板の凸状部の占める面積が、製氷容器裏面と冷却板とが接している面積の半分以下であるために、氷の凸状の成長をより上部まで維持することができ、透明度が高く、水に溶かしてもミネラル分が浮遊することの無い官能的に好ましい氷を提供することができる。
【0088】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、製氷容器側面の材料を熱伝導率の低い合成樹脂材料で形成することにより、製氷容器側面からの氷の成長を抑制し、氷の成長を確実に凸状として、透明度が高く、水に溶かしてもミネラル分が浮遊することの無い官能的に好ましい氷を提供することができる。
【0089】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明において、冷却板と製氷容器が配置された空間の温度を0℃以上としたもので、製氷容器側面からの氷の成長を抑制し、氷の成長を確実に凸状として、透明度が高く、水に溶かしてもミネラル分が浮遊することの無い官能的に好ましい氷を提供することができる。
【0090】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発明において、冷却板の温度を所定の温度に制御する冷却板温度制御手段により、製氷後期での冷却板の温度が製氷初期における冷却板の温度よりも低くなるように制御することにより、氷の成長速度である凍結速度が、製氷初期では比較的早く、製氷後期ではよりゆっくりとなり、氷の透明度が向上することができる。
【0091】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明において、製氷容器に所定量の水を所定間隔で間欠的に給水することにより、未凍結の水の厚さが常に薄くなり、氷の透明度が向上することができる。
【0092】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8の発明において、冷却促進部材または冷却板の凸状部が製氷容器底面の略中央部に複数あるもので、製氷容器に分割して給水する水のうち、最初に給水した水が製氷容器底面に広がりやすいため、一回あたりの給水量を少なくしても良く、氷の透明度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の製氷装置の側面図
【図2】同実施の形態の製氷装置の要部上面図
【図3】図2におけるA−A断面図
【図4】本発明の実施の形態1の製氷状態を示す製氷容器の断面図
【図5】本発明の実施の形態2の製氷装置の側断面図
【図6】同実施の形態の製氷装置の要部上面図
【図7】図6におけるA−A断面図
【図8】本発明の実施の形態2の製氷状態を示す製氷容器の断面図
【図9】従来の製氷装置を搭載した冷蔵庫の側断面図
【図10】従来の製氷装置の側断面図
【図11】従来の製氷状態を示す製氷容器の断面図
【符号の説明】
1 製氷装置
2 給水装置
3 冷却板
4 製氷容器
4a 水
4b 氷
5,19 区画壁
6,20 給水タンク
7,21 給水ポンプ
8,22 給水経路
9,23 ペルチェ素子
10,24 ヒートシンク
11,25 ファン
12 冷却促進部材
13 駆動軸
14 離氷メカ
15 製氷装置
16 給水装置
17 冷却板
18 製氷容器
26 製氷区画
26a 水
26b 氷
27 溝
28 凸状部
29 駆動軸
30 離氷メカ

Claims (9)

  1. 0℃以下の温度に保持された冷却板と、前記冷却板上に配置された製氷容器と、前記製氷容器に所定量の水を給水する給水装置とから構成され、前記製氷容器は冷却板の温度よりも高い温度に保持された空間に配置された製氷装置で、前記製氷容器の底面略中央部に、前記冷却板と接するように前記製氷容器を形成する材料よりも熱伝導率の高い冷却促進部材が配置していることを特徴とする製氷装置。
  2. 0℃以下の温度に保持された冷却板と、前記冷却板上に配置され、前記冷却板を形成する材料よりも熱伝導率が低い材料で形成された製氷容器と、前記製氷容器に所定量の水を給水する給水装置とから構成され、前記製氷容器は、冷却板の温度よりも高い温度に保持された空間に配置された製氷装置で、前記冷却板の上面側の一部には前記製氷容器方向に突出した凸状部が形成されており、前記製氷容器の裏面には前記凸状部に対応した凹状部が設けてあり、前記凸状部と前記凹状部が嵌合してなることを特徴とする製氷装置。
  3. 前記冷却促進部材または前記凸状部は、前記製氷容器の底面を貫通していることを特徴とする請求項1または2に記載の製氷装置。
  4. 前記冷却促進部材または前記凸状部の面積は、前記製氷容器の裏面と前記冷却板との接触面積のうち、半分以下の面積を占めていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製氷装置。
  5. 前記製氷容器の側面は、比較的熱伝導率の低い合成樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の製氷装置。
  6. 前記冷却板と前記製氷容器が配された空間の温度が、0℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製氷装置。
  7. 冷却板の温度を所定の温度になるように制御する冷却板温度制御手段を備えた製氷装置で、製氷初期での前記冷却板の温度よりも製氷後期での冷却板の温度の方が高くなるように、冷却板の温度を制御することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製氷装置。
  8. 前記給水装置は、所定量の水を所定時間間隔で間欠的に前記製氷容器に分割して給水することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の製氷装置。
  9. 前記冷却促進部材または前記凸状部が製氷容器の略中央部に複数あることを特徴とする請求項8に記載の製氷装置。
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