JP2004276420A - インクジェット記録シート - Google Patents
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Abstract
【課題】インク受理層表面に微細なひび割れが発生せず、紙支持体でありながら印字部に光沢感があり、さらに、印字画像に印字ムラがなく、水性染料インクおよび水性顔料インクの両者に良好な発色性を示すインクジェット記録シートを提供する。
【解決手段】支持体の少なくとも一方の面にインク受理層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該支持体が水溶性金属塩を含有した紙であり、かつ該インク受理層に少なくとも顔料とタンパク質を含有するインクジェット記録シート、および該インク受理層上に、少なくとも平均1次粒子径が3〜50nmの微粒子と結着剤からなる第2のインク受理層を設けたインクジェット記録シート。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体の少なくとも一方の面にインク受理層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該支持体が水溶性金属塩を含有した紙であり、かつ該インク受理層に少なくとも顔料とタンパク質を含有するインクジェット記録シート、および該インク受理層上に、少なくとも平均1次粒子径が3〜50nmの微粒子と結着剤からなる第2のインク受理層を設けたインクジェット記録シート。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録シートに関するものであり、さらに詳しくは、インク受理層表面に微細なひび割れが発生せず、紙支持体でありながら印字部に光沢感があり、さらに、印字画像に印字ムラがなく、水性染料インクおよび水性顔料インクの両者に良好な発色性を示すインクジェット記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
記録材料に要求される特性は、印字濃度、色調の鮮明性、ハジキやムラをなくすためのインク吸収性、汚れをなくすためのインク乾燥性等である。
【0004】
インクジェット記録方式に使用される記録シートとして、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料をポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受理層を設けてなる記録シートが知られている。
【0005】
従来は、シリカ等の含珪素顔料を水溶性バインダーと共に紙を代表とする吸水性支持体に塗布して得られる記録シートが公知である。
【0006】
また、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いることが一般に公知となっている。この気相法シリカは、一次粒子の平均粒子径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られるという特徴がある。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、益々光沢性が重要視されてきており、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の非吸水性支持体上に気相法シリカを主体とするインク受理層が塗設された記録シートが提案されている。
【0007】
また、アルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料も高い光沢が得られることが公知となっている。
【0008】
インクジェット記録シートを分類すると、支持体としては、紙、布帛等の吸水性支持体、樹脂被覆紙、合成樹脂フィルム等の非吸水性支持体に大別される。また、外観的には、光沢タイプとマットタイプに大別される。近年のデジタルカメラの普及により、従来写真店に依頼していたプリント処理を家庭でインクジェットプリンタを使って印字処理し、作製するようになってきた。そのため、より写真に近い光沢タイプのインクジェット記録シートが好まれて使われ、その使用量も増え続けている。
【0009】
また、パンフレットとかチラシといった、写真並の画質までは要求しないが、全く光沢がないと見栄えがしないといった商業印刷レベルの需要が増えている。従来は印刷方式により、これらパンフレットやチラシを作製していたが、印刷方式では少部数の作製にはコスト高となってしまい、最近では、少部数の作製はインクジェットプリンタを使用してなされるようになってきた。そのため、パンフレットあるいはチラシ用途に使用されている印刷用コート紙に近い外観のインクジェット記録シート、すなわち半光沢タイプのインクジェット記録シートの需要が増大している。半光沢タイプのインクジェット記録シートの支持体としては、いわゆる紙あるいは紙の少なくとも一方の面に顔料と結着剤からなる顔料層を設けた、いわゆるコート紙が使われている。これら支持体は、支持体自体がインクを吸収するため、インク吸収性に関しては写真用原紙のような非吸水性支持体を用いた写真並画質のインクジェット記録シートより有利である。しかし、インク吸収性を支持体にあまりに依存してしまうとインクジェット記録シートに着弾したインクは支持体内部に浸透してしまい印字画像の濃度は低いものとなってしまい、パンフレットあるいはチラシとして見栄えの悪いものとなってしまう。
【0010】
そこで、インク受理層自体に極力インクを止める工夫が必要となり、具体的には、インク受理層自体の塗層厚みを増したり、塗層の空隙率を高める必要がある。しかし、インク受理層の塗層厚みを増すとインク受理層表面に細かなひび割れが発生し、表面の光沢が落ちると共に、インクのフェザリングといった滲みが発生するようになる。また、従来の手法で作製したインク受理層では、その塗層の空隙率はあまり上がらず、インク吸収性も塗層厚みを増やしたのに見合うほど向上しない。
【0011】
一方、従来、支持体として非吸水性支持体の上に、ゼラチン、アミノ基不活性化ゼラチン、寒天等の可逆的にゾルゲル変換可能なバインダーを用い、このバインダーの水溶液が低温ではゲル状態となる機構を利用し、空隙率が高いインク受理層を設けたインクジェット記録シートが公知であるが、これら可逆的にゾルゲル変換可能なバインダーを利用したインク受理層塗布液は液温が30℃よりも低くなると固化するため、30℃よりも低温で固化、いわゆるコールドセットを行った後、低温で時間をかけてインク受理層の乾燥を行わなければならず、仮に、塗布後高温で乾燥するとインク受理層が大きく割れたり、酷いときは剥がれたりしてしまう(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
インクジェット記録シートにおいて、水性顔料インクへ対するインク吸収性等のインクジェット適性を向上させるために、支持体に水溶性多価金属塩を含有させたり、インク受理層に水溶性多価金属塩を含有させたインクジェット記録シートが提案されているが、インク受理層のひび割れという観点からはまだまだ不十分である(例えば、特許文献2、3参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平6−64306号公報
【特許文献2】
特開2002−264485号公報
【特許文献3】
特開2002−264486号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、インク受理層表面に微細なひび割れが発生せず、紙支持体でありながら印字部に光沢感があり、さらに、印字画像に印字ムラがなく、水性染料インクおよび水性顔料インクの両者に良好な発色性を示すインクジェット記録シートを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、以上のような問題点を解決するため鋭意研究の結果、以下の発明に至った。
【0016】
すなわち、支持体の少なくとも一方の面にインク受理層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該支持体が水溶性金属塩を含有した紙であり、かつ該インク受理層に少なくとも顔料とタンパク質を含有することを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0017】
該タンパク質がカゼインであることを特徴とする上記インクジェット記録シートの発明である。
【0018】
上記インクジェット記録シートの該インク受理層上に、少なくとも平均1次粒子径が3〜50nmの微粒子と結着剤からなる第2のインク受理層を設けたことを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0019】
上記の第2のインク受理層に含有する該微粒子が気相法シリカまたはコロイダルシリカであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0020】
上記の第2のインク受理層に含有する該微粒子がアルミナ水和物であることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
第1の本発明のインクジェット記録シートは、支持体が水溶性金属塩を含有した紙であり、かつ該紙の少なくとも一方の面に、少なくとも顔料とタンパク質を含有したインク受理層を塗設したことを特徴とする。該インク受理層を該支持体に塗設した際に、該紙内の水溶性金属塩と該インク受理層に含有するタンパク質が該紙と該インク受理層の界面で反応を起こすためか、該インク受理層が、必要以上に該紙中に浸透するのが抑えられ、結果的に、該インク受理層のひび割れが発生しなくなると推測される。また、該インク受理層表面の光沢感も増す。
【0022】
水溶性金属塩としては、例えば、水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、塩化モリブデン等が挙げられる。これらの金属塩は、単独で使用しても2種以上を併用しても構わない。この場合、異なる金属塩同士でも良いし、同金属の硫酸塩と塩化物のような組み合わせでも構わない。
【0023】
該紙は、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプ、と従来公知の填料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙であればよい。また、この様な原紙に、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を利用して平坦化処理をしてもよい。
【0024】
該水溶性金属塩は、紙に内添する填料や紙力増強剤等と共に抄紙工程で内添しても良いし、表面サイズ処理の際に、表面サイズ液中に含有させても良い。該水溶性金属塩を内添する場合、その含有量は、紙全体の質量に対して、1〜20質量%が好ましい。また、表面サイズ液中に含有させる場合は、表面サイズ液全体で1〜10質量%であることが好ましい。
【0025】
本発明に係わる紙で使用できる填料としては、従来公知のものが使用でき、何ら制限されない。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料などが挙げられる。
【0026】
本発明に係わる紙に用いる表面サイズ剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。主成分としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、変性澱粉、澱粉誘導体、セルロース誘導体、アルギン酸ソーダなどの天然高分子類、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、石油樹脂系、ロジンエステル系、スチレン・マレイン酸系共重合体、スチレン・アクリル共重合体系、スチレン・アクリルエマルジョン系共重合体、アクリル系共重合体系、アクリルエマルジョン系、オレフィン・マレイン酸樹脂系共重合体、ウレタン系、アルキルケテンダイマー、スチレン・メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル・ビニルホルマール・アクリル酸エステル共重合体、ロジン系などの表面サイズ剤が挙げられる。
【0027】
本発明に係わる紙に用いる紙力増強剤としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、カチオン化澱粉、植物ガム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド(アニオン性、カチオン性、両性)、変性ポリアクリルアミド等の乾燥紙力増強剤、澱粉、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチロール化ポリアクリルアミド等の湿潤紙力増強剤を挙げることができる。
【0028】
本発明に係わる紙への表面サイズ液の表面サイズ処理の方法は特に制限されず、従来公知な方法で塗布される。例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、タブサイズプレスの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機である。また、サイズプレス液の固形分濃度は特に制限されず、目標とする乾燥付着量を達成するべく調整すればよい。
【0029】
第1の本発明のインクジェット記録シートに係わるタンパク質としては、例えば、膠、ゼラチン、コラーゲン、ガゼイン等を挙げることができるが、好ましくは、カゼインが用いられる。カゼインを用いることで、インク受理層表面の光沢が向上する上、比較的大きな面積を単一の色で印字した際の印字ムラが減少する。該タンパク質のインク受理層への含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、特に制限されないが、顔料100質量部に対して2〜100質量部が好ましい。
【0030】
第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層に含有する顔料としては、特に制限させず、従来公知のものを使用することができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、チサンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、気相法シリカ、α,β,γ,δ−等のアルミニウム酸化物、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリスチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂の有機顔料等の白色顔料を一種類以上用いることができる。中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容量の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。通常これら顔料の平均粒子径は0.1〜20μmの範囲が好ましい。本発明において非晶質シリカを用いると、高い画像の保存性が得られる。
【0031】
該インク受理層には、顔料、タンパク質と共に、結着剤を含有することができる。例えば、天然高分子物質として、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、及びコーンスターチ等の澱粉類、ラミナラン、海藻マンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天、及びアルギン酸塩等の藻類から得られるもの、とろろあおい、やまいも、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、キャロブガム、及びベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、並びにサクシノグルカン、プルラン、カードラン、及びザンタンガム等のヘテロ糖類等の微生物粘質物等が挙げられる。
【0032】
また、半天然物(半合成品)としては、例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の繊維素誘導体、カルボキシメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、及びヒドロキシエチルグアーガム等の変性ガム、並びに前記天然高分子物質の加工或いは誘導体が挙げられる。
【0033】
半合成品である加工澱粉としては、例えば、白色デキストリン、黄色デキストリン、及びブリディシュガム等の培焼澱粉、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリン等の酵素変性デキストリン、可溶化澱粉等の酸分解澱粉、ジアルデヒドスターチ等の酸化澱粉、変性及び無変性アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、リン酸澱粉、脂肪酸澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉、及びカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、カルボキシアルキル澱粉、スルホアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、及びジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、及びジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリルアミド共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カチオン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カチオン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉スチレンマレイン酸共重合体、及び澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体等の澱粉グラフト共重合体等が挙げられる。
【0034】
合成品としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、及びポリビニルイソブチルエーテル等で変性した変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合物、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ニトリルブタジエン共重合体(NBR)、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンクロトン酸共重合体、及び塩化ビニル含有共重合体等が挙げられる。以上の結着剤は単独または二種以上を組合わせて用いても良い。
【0035】
本発明に係わるインク受理層に含有される結着剤の配合量は、該インク受理層のインク吸収性を阻害しない範囲であれば、特に制限されない。好ましくは、タンパク質100質量部に対して2〜50質量部である。
【0036】
第1の本発明のインクジェット記録シートにおけるインク受理層の塗布量は、1〜25g/m2の範囲であることが好ましい。塗工量が1g/m2未満ではインク受理層によるインク吸収性が充分ではないため、吸収ムラ等が発生し、インクジェット性能に悪影響が生じることがある。また、25g/m2を越えると塗膜の表面強度が低下することがある。
【0037】
第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層上に、少なくとも平均1次粒子径が3〜50nmの微粒子と結着剤からなる第2のインク受理層を設けて、インク受理層表面の光沢を一層向上させると共に、水性染料インクにも水性顔料インクにも対応して、高発色性を実現できることが判明した。また、第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層上であれば、第2のインク受理層を設けても、該第2のインク受理層表面にひび割れが発生しない。
【0038】
第2のインク受理層を設ける前に、第1の本発明のインクジェット記録シートを各種カレンダー装置を用いて平坦化処理しても良い。
【0039】
該第2のインク受理層に含有する結着剤としては、特に制限されず、例えば上記に挙げた結着剤を単独または二種以上を組合わせて用いればよい。該結着剤の該第2のインク受理層への含有量は、該微粒子100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましい。
【0040】
該第2のインク受理層に含有する平均1次粒子径が3〜50nmの微粒子としては、好ましくは2次粒子径が400nm以下の微粒子が用いられる。2次粒子径が400nm以下であれば印字の際のインク吸収性とインク受理層の光沢のバランスが非常によいものができる。例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されている、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したシリカゾル、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0041】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおける、第2のインク受理層に含有する微粒子を気相法シリカまたはコロイダルシリカとすることでインク受理層表面の白紙状態での光沢感を向上させることができる。
【0042】
一般にシリカ微粒子は、乾量基準でSiO293%以上、Al2O3約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶質シリカがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法および気相法がある。その中で、気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法であり、該気相法で製造された非晶質シリカを気相法シリカという。
【0043】
気相法シリカは、一般には火炎加水分解法によって作られる。具体的には、四塩化珪素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、例えば、日本アエロジル(株)からアエロジルとして市販されており入手することができる。
【0044】
コロイダルシリカは湿式法で合成された1次粒子径が数nm〜100nm程度の合成シリカであり、その形状は、一般的に球状または球状に近い形状をしている。各シリカ粒子の表面近傍には、いわゆる電気二重層が形成され、シリカ粒子同士は接近すると反発し合い安定なコロイド状態が保たれる。
【0045】
本発明で用いることができるコロイダルシリカとしては以下のようなものが市販されており入手することができる。例えば、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスS、スノーテックスO、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックス20L、スノーテックスOL、スノーテックスAK、スノーテックスXS、MA−ST、IPA−ST、EG−ST、DMAC−ST(以上、日産化学工業(株)製)、カタロイドS−20L、カタロイドS−20H、カタロイドS−30L、カタロイドS−30H、カタロイドSI−30、カタロイドSI−40、カタロイドSI−50、カタロイドSI−350、カタロイドSN、カタロイドSA、USB−1、USB−2、USB−3、OSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1622、OSCAL1722(以上、触媒化成工業(株)製)などを挙げることができる。
【0046】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおける、第2のインク受理層にはアルミナ水和物を好ましく用いることができる。アルミナ水和物を用いることにより、より一層優れた光沢性を発現することができるインクジェット記録シートとすることができる。
【0047】
アルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al2O3・nH2O
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
【0048】
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。アスペクト比が上記の範囲より小さい場合は、インク受理層の細孔径分布が狭くなり、インク吸収性が低下する。一方アスペクト比が上記の範囲を超える場合は、粒子を揃えてアルミナ水和物を製造することが困難となる。
【0049】
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
【0050】
本発明のインクジェツト記録シートには、市販のアルミナ水和物も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミナ水和物としては、アルミナゾル520(以上、日産化学工業(株)製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル(株)製)などを挙げることができる。
【0051】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおける第2のインク受理層の塗布量は、1〜20g/m2の範囲であることが好ましい。塗工量が1g/m2未満ではインク受理層によるインク吸収性が充分ではないため、吸収ムラ等が発生し、インクジェット性能に悪影響が生じることがある。また、20g/m2を越えると塗膜の表面強度が低下することがある。
【0052】
第1の本発明に係わるインク受理層、および第2の本発明に係わる第2のインク受理層の塗工方法としては、スライドホッパーコーティング方式、カーテンコーティング方法、エクストルージョンコーティング方式、エアーナイフコーティング方式、ブレードコーティング方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、及びグラビアコーティング方式、サイズプレスコーティング方式、スプレーコーティング方式等が挙げられる。
【0053】
【実施例】
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例、及び比較例において「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。なお、配合において示す部数は実質成分の数量である。
【0054】
<アルミナ水和物の合成>
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、硝酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15質量%になるように濃縮し、白色の微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、30nmであり、アスペクト比6.0の平板状の微粒子状アルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によって平均細孔半径、細孔容積及びBET比表面積を測定したところ、それぞれ7.1nm、0.65ml/gそして200m2/gであった。
【0055】
実施例1
広葉樹パルプ(LBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で320mlの叩解LBKPを得た。針葉樹パルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で350mlの叩解NBKPを得た。叩解LBKP70部と叩解NBKP30部からなる木材パルプ100部に、填料として軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業(株) サイズパインK903)0.10部、乾燥紙力増強剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA−SM)0.1部、硫酸バンド0.5部、水溶性金属塩としてギ酸カルシウム10部を加え、スラリーを調整後、長網抄紙機を用いて坪量150g/m2で抄造し、乾燥した後、サイズ液としてスチレン系樹脂(荒川化学工業(株) ポリマロン385)をインクラインドサイズプレスで乾燥片面付着量5g/m2で塗布し支持体としての紙を作製した。
【0056】
顔料として合成非晶質シリカ(日本シリカ工業(株) NIPGEL AZ600)100部、タンパク質として、ゼラチン(新田ゼラチン(株) IK−2000)20部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)10部を、40℃の水に加えてインク受理層塗布液を固形分濃度17%で作製し、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が40℃を保つように保持した。
【0057】
次に、該支持体の一方の面にインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥して第1の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0058】
実施例2
該タンパク質をカゼイン(日成共益(株) 酸カゼイン)に変更した以外は実施例1と同様にして、第1の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0059】
実施例3
広葉樹パルプ(LBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で320mlの叩解LBKPを得た。針葉樹パルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で350mlの叩解NBKPを得た。叩解LBKP70部と叩解NBKP30部からなる木材パルプ100部に、填料として軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業(株) サイズパインK903)0.10部、乾燥紙力増強剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA−SM)0.1部、硫酸バンド0.5部を加え、スラリーを調整後、長網抄紙機を用いて坪量150g/m2で抄造し、乾燥した後、サイズ液としてスチレン系樹脂(荒川化学工業(株) ポリマロン385)100部と水溶性金属塩としてギ酸カルシウム5部を秤量し、水に加えて固形分濃度2%で混合した後、インクラインドサイズプレスで乾燥片面付着量5g/m2で塗布し支持体としての紙を作製した。
【0060】
顔料として合成非晶質シリカ(日本シリカ工業(株) NIPGEL AZ600)100部、タンパク質として、ゼラチン(新田ゼラチン(株) IK−2000)20部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)10部を、40℃の水に加えてインク受理層塗布液を固形分濃度17%で作製し、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が40℃を保つように保持した。
【0061】
次に、該支持体の一方の面にインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥して第1の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0062】
実施例4
該タンパク質をカゼイン(日成共益(株) 酸カゼイン)に変更した以外は実施例3と同様にして、第1の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0063】
実施例5
水に下記配合を加えてなる第2のインク受理層塗布液(固形分濃度17%)を作製した。
アルミナ水和物 100部
ポリビニルアルコール((株)クラレ PVA105H) 20部
【0064】
次に、実施例2で作製した第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層上に、該第2のインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥して第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0065】
実施例6
該第2のインク受理層塗布液の該顔料をコロイダルシリカ(日産化学工業(株) スノーテックスOL 平均1次粒子径45nm)に変更した以外は実施例5と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0066】
実施例7
該第2のインク受理層塗布液の該顔料を気相法シリカ(日本アエロジル(株)アエロジル380 平均1次粒子径7nm)に変更した以外は実施例5と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0067】
実施例8
第1の本発明のインクジェット記録シートを実施例4で作製したものに変更した以外は実施例5と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0068】
実施例9
該第2のインク受理層塗布液の該顔料をコロイダルシリカ(日産化学工業(株) スノーテックスOL 平均1次粒子径45nm)に変更した以外は実施例8と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0069】
実施例10
該第2のインク受理層塗布液の該顔料を気相法シリカ(日本アエロジル(株)アエロジル380 平均1次粒子径7nm)に変更した以外は実施例8と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0070】
比較例1
広葉樹パルプ(LBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で320mlの叩解LBKPを得た。針葉樹パルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で350mlの叩解NBKPを得た。叩解LBKP70部と叩解NBKP30部からなる木材パルプ100部に、填料として軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業(株) サイズパインK903)0.10部、乾燥紙力増強剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA−SM)0.1部、硫酸バンド0.5部を加え、スラリーを調整後、長網抄紙機を用いて坪量150g/m2で抄造し、乾燥した後、サイズ液としてスチレン系樹脂(荒川化学工業(株) ポリマロン385)をインクラインドサイズプレスで乾燥片面付着量5g/m2で塗布し支持体としての紙を作製した。
【0071】
顔料として合成非晶質シリカ(日本シリカ工業(株) NIPGEL AZ600)100部、タンパク質として、ゼラチン(新田ゼラチン(株) IK−2000)20部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)10部を、40℃の水に加えてインク受理層塗布液を固形分濃度17%で作製し、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が40℃を保つように保持した。
【0072】
次に、該支持体の一方の面にインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥してインクジェット記録シートを得た。
【0073】
比較例2
顔料として合成非晶質シリカ(日本シリカ工業(株) NIPGEL AZ600)100部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)30部を、秤量し、水に加えてインク受理層塗布液を固形分濃度17%で作製した。次に、実施例1で作製した紙の一方の面に、該インク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥してインクジェット記録シートを得た。
【0074】
比較例3
支持体としての紙を実施例3で作製したものに変更した以外は比較例2と同様にしてインクジェット記録シートを作製した。
【0075】
比較例4
比較例1で作製したインクジェット記録シートのインク受理層上に、実施例5で作製した第2のインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥してインクジェット記録シートを得た。
【0076】
比較例5
インクジェット記録シートを比較例2で作製したものに変更した以外は比較例4と同様にしてインクジェット記録シートを作製した。
【0077】
比較例6
インクジェット記録シートを比較例3で作製したものに変更した以外は比較例4と同様にしてインクジェット記録シートを作製した。
【0078】
〈試験方法〉
ひび割れ具合
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートのインク受理層面を目視で観察して、ひび割れの発生具合を観察した。インク受理層表面にひび割れが全く観察されないものをひび割れ具合が優、細かなひび割れが観察されるものをひび割れ具合が並、多数の細かなひび割れや大きなインク受理層の裂けが観察されるものはひび割れ具合が劣と判定した。
【0079】
印字ムラ
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンタ(キヤノン(株) BJC−420J)で5cm×5cmのベタパターンをブルー印字し、目視評価を行った。印字ムラが全く見られず、均一であるものを印字ムラが優とし、印字ムラが若干見られるが、画像に影響を及ぼすほどではないものを印字ムラが並とし、印字ムラが見られ、印字部の場所により濃淡が現れ、画像が乱れているものを印字ムラが劣と判定した。
【0080】
印字部光沢性
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンタ(キヤノン(株) BJC−420J)でブラックの矩形パターンを印字した。この印字パターンを目視観察した。際だって光沢性のあるものを印字部光沢性が優とし、十分な光沢性のものを印字部光沢性が並とし、光沢感が劣るのものを印字部光沢性が劣とした。
【0081】
水性染料インク発色性
実施例および比較例で作製したインクジェット記録シートをA4判に断裁した後、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株) PM950C 水性染料インク使用)でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%のベタ印字を行い、各色の光学濃度(OD値)を光学濃度計(Gretag Machbeth AG SpectroEye)で測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良好であることを示す。
【0082】
水性顔料インク発色性
実施例および比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株) PM−4000PX 水性顔料インク使用)でシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(BK)の100%ベタ印字を行った後、各色の光学濃度(OD値)を光学濃度計(Gretag Machbeth AG SpectroEye)で測定した。数値が高い方が印字濃度は高く良好である。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
評価:
表1より明らかなように、本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層表面に細かなひび割れが生じていない。さらに、タンパク質としてカゼインを使用することにより、印字ムラが解消する。さらに、第2の本発明のインクジェット記録シートでは、第1の本発明のインクジェット記録シートに比べて、印字部の光沢が向上している上、表2、表3より明らかなように、第2の本発明のインクジェット記録シートは、水性染料インクに対しても、水性顔料インクに対しても高い発色濃度を示し良好な発色性を示している。一方、比較例では、本発明のインクジェット記録シート並にひび割れを解消することができず、また、水性顔料インクではもちろん、水性染料インクでも発色濃度が低い。
【0087】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層表面に微細なひび割れが発生せず、紙支持体でありながら印字部に光沢感があり、さらに、第2の本発明のインクジェット記録シートは、水性染料インクおよび水性顔料インクの両者に良好な発色性を示し有効である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録シートに関するものであり、さらに詳しくは、インク受理層表面に微細なひび割れが発生せず、紙支持体でありながら印字部に光沢感があり、さらに、印字画像に印字ムラがなく、水性染料インクおよび水性顔料インクの両者に良好な発色性を示すインクジェット記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
記録材料に要求される特性は、印字濃度、色調の鮮明性、ハジキやムラをなくすためのインク吸収性、汚れをなくすためのインク乾燥性等である。
【0004】
インクジェット記録方式に使用される記録シートとして、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料をポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受理層を設けてなる記録シートが知られている。
【0005】
従来は、シリカ等の含珪素顔料を水溶性バインダーと共に紙を代表とする吸水性支持体に塗布して得られる記録シートが公知である。
【0006】
また、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いることが一般に公知となっている。この気相法シリカは、一次粒子の平均粒子径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られるという特徴がある。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、益々光沢性が重要視されてきており、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の非吸水性支持体上に気相法シリカを主体とするインク受理層が塗設された記録シートが提案されている。
【0007】
また、アルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料も高い光沢が得られることが公知となっている。
【0008】
インクジェット記録シートを分類すると、支持体としては、紙、布帛等の吸水性支持体、樹脂被覆紙、合成樹脂フィルム等の非吸水性支持体に大別される。また、外観的には、光沢タイプとマットタイプに大別される。近年のデジタルカメラの普及により、従来写真店に依頼していたプリント処理を家庭でインクジェットプリンタを使って印字処理し、作製するようになってきた。そのため、より写真に近い光沢タイプのインクジェット記録シートが好まれて使われ、その使用量も増え続けている。
【0009】
また、パンフレットとかチラシといった、写真並の画質までは要求しないが、全く光沢がないと見栄えがしないといった商業印刷レベルの需要が増えている。従来は印刷方式により、これらパンフレットやチラシを作製していたが、印刷方式では少部数の作製にはコスト高となってしまい、最近では、少部数の作製はインクジェットプリンタを使用してなされるようになってきた。そのため、パンフレットあるいはチラシ用途に使用されている印刷用コート紙に近い外観のインクジェット記録シート、すなわち半光沢タイプのインクジェット記録シートの需要が増大している。半光沢タイプのインクジェット記録シートの支持体としては、いわゆる紙あるいは紙の少なくとも一方の面に顔料と結着剤からなる顔料層を設けた、いわゆるコート紙が使われている。これら支持体は、支持体自体がインクを吸収するため、インク吸収性に関しては写真用原紙のような非吸水性支持体を用いた写真並画質のインクジェット記録シートより有利である。しかし、インク吸収性を支持体にあまりに依存してしまうとインクジェット記録シートに着弾したインクは支持体内部に浸透してしまい印字画像の濃度は低いものとなってしまい、パンフレットあるいはチラシとして見栄えの悪いものとなってしまう。
【0010】
そこで、インク受理層自体に極力インクを止める工夫が必要となり、具体的には、インク受理層自体の塗層厚みを増したり、塗層の空隙率を高める必要がある。しかし、インク受理層の塗層厚みを増すとインク受理層表面に細かなひび割れが発生し、表面の光沢が落ちると共に、インクのフェザリングといった滲みが発生するようになる。また、従来の手法で作製したインク受理層では、その塗層の空隙率はあまり上がらず、インク吸収性も塗層厚みを増やしたのに見合うほど向上しない。
【0011】
一方、従来、支持体として非吸水性支持体の上に、ゼラチン、アミノ基不活性化ゼラチン、寒天等の可逆的にゾルゲル変換可能なバインダーを用い、このバインダーの水溶液が低温ではゲル状態となる機構を利用し、空隙率が高いインク受理層を設けたインクジェット記録シートが公知であるが、これら可逆的にゾルゲル変換可能なバインダーを利用したインク受理層塗布液は液温が30℃よりも低くなると固化するため、30℃よりも低温で固化、いわゆるコールドセットを行った後、低温で時間をかけてインク受理層の乾燥を行わなければならず、仮に、塗布後高温で乾燥するとインク受理層が大きく割れたり、酷いときは剥がれたりしてしまう(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
インクジェット記録シートにおいて、水性顔料インクへ対するインク吸収性等のインクジェット適性を向上させるために、支持体に水溶性多価金属塩を含有させたり、インク受理層に水溶性多価金属塩を含有させたインクジェット記録シートが提案されているが、インク受理層のひび割れという観点からはまだまだ不十分である(例えば、特許文献2、3参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平6−64306号公報
【特許文献2】
特開2002−264485号公報
【特許文献3】
特開2002−264486号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、インク受理層表面に微細なひび割れが発生せず、紙支持体でありながら印字部に光沢感があり、さらに、印字画像に印字ムラがなく、水性染料インクおよび水性顔料インクの両者に良好な発色性を示すインクジェット記録シートを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、以上のような問題点を解決するため鋭意研究の結果、以下の発明に至った。
【0016】
すなわち、支持体の少なくとも一方の面にインク受理層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該支持体が水溶性金属塩を含有した紙であり、かつ該インク受理層に少なくとも顔料とタンパク質を含有することを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0017】
該タンパク質がカゼインであることを特徴とする上記インクジェット記録シートの発明である。
【0018】
上記インクジェット記録シートの該インク受理層上に、少なくとも平均1次粒子径が3〜50nmの微粒子と結着剤からなる第2のインク受理層を設けたことを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0019】
上記の第2のインク受理層に含有する該微粒子が気相法シリカまたはコロイダルシリカであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0020】
上記の第2のインク受理層に含有する該微粒子がアルミナ水和物であることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
第1の本発明のインクジェット記録シートは、支持体が水溶性金属塩を含有した紙であり、かつ該紙の少なくとも一方の面に、少なくとも顔料とタンパク質を含有したインク受理層を塗設したことを特徴とする。該インク受理層を該支持体に塗設した際に、該紙内の水溶性金属塩と該インク受理層に含有するタンパク質が該紙と該インク受理層の界面で反応を起こすためか、該インク受理層が、必要以上に該紙中に浸透するのが抑えられ、結果的に、該インク受理層のひび割れが発生しなくなると推測される。また、該インク受理層表面の光沢感も増す。
【0022】
水溶性金属塩としては、例えば、水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、塩化モリブデン等が挙げられる。これらの金属塩は、単独で使用しても2種以上を併用しても構わない。この場合、異なる金属塩同士でも良いし、同金属の硫酸塩と塩化物のような組み合わせでも構わない。
【0023】
該紙は、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプ、と従来公知の填料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙であればよい。また、この様な原紙に、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を利用して平坦化処理をしてもよい。
【0024】
該水溶性金属塩は、紙に内添する填料や紙力増強剤等と共に抄紙工程で内添しても良いし、表面サイズ処理の際に、表面サイズ液中に含有させても良い。該水溶性金属塩を内添する場合、その含有量は、紙全体の質量に対して、1〜20質量%が好ましい。また、表面サイズ液中に含有させる場合は、表面サイズ液全体で1〜10質量%であることが好ましい。
【0025】
本発明に係わる紙で使用できる填料としては、従来公知のものが使用でき、何ら制限されない。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料などが挙げられる。
【0026】
本発明に係わる紙に用いる表面サイズ剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。主成分としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、変性澱粉、澱粉誘導体、セルロース誘導体、アルギン酸ソーダなどの天然高分子類、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、石油樹脂系、ロジンエステル系、スチレン・マレイン酸系共重合体、スチレン・アクリル共重合体系、スチレン・アクリルエマルジョン系共重合体、アクリル系共重合体系、アクリルエマルジョン系、オレフィン・マレイン酸樹脂系共重合体、ウレタン系、アルキルケテンダイマー、スチレン・メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル・ビニルホルマール・アクリル酸エステル共重合体、ロジン系などの表面サイズ剤が挙げられる。
【0027】
本発明に係わる紙に用いる紙力増強剤としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、カチオン化澱粉、植物ガム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド(アニオン性、カチオン性、両性)、変性ポリアクリルアミド等の乾燥紙力増強剤、澱粉、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチロール化ポリアクリルアミド等の湿潤紙力増強剤を挙げることができる。
【0028】
本発明に係わる紙への表面サイズ液の表面サイズ処理の方法は特に制限されず、従来公知な方法で塗布される。例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、タブサイズプレスの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機である。また、サイズプレス液の固形分濃度は特に制限されず、目標とする乾燥付着量を達成するべく調整すればよい。
【0029】
第1の本発明のインクジェット記録シートに係わるタンパク質としては、例えば、膠、ゼラチン、コラーゲン、ガゼイン等を挙げることができるが、好ましくは、カゼインが用いられる。カゼインを用いることで、インク受理層表面の光沢が向上する上、比較的大きな面積を単一の色で印字した際の印字ムラが減少する。該タンパク質のインク受理層への含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、特に制限されないが、顔料100質量部に対して2〜100質量部が好ましい。
【0030】
第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層に含有する顔料としては、特に制限させず、従来公知のものを使用することができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、チサンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、気相法シリカ、α,β,γ,δ−等のアルミニウム酸化物、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリスチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂の有機顔料等の白色顔料を一種類以上用いることができる。中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容量の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。通常これら顔料の平均粒子径は0.1〜20μmの範囲が好ましい。本発明において非晶質シリカを用いると、高い画像の保存性が得られる。
【0031】
該インク受理層には、顔料、タンパク質と共に、結着剤を含有することができる。例えば、天然高分子物質として、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、及びコーンスターチ等の澱粉類、ラミナラン、海藻マンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天、及びアルギン酸塩等の藻類から得られるもの、とろろあおい、やまいも、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、キャロブガム、及びベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、並びにサクシノグルカン、プルラン、カードラン、及びザンタンガム等のヘテロ糖類等の微生物粘質物等が挙げられる。
【0032】
また、半天然物(半合成品)としては、例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の繊維素誘導体、カルボキシメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、及びヒドロキシエチルグアーガム等の変性ガム、並びに前記天然高分子物質の加工或いは誘導体が挙げられる。
【0033】
半合成品である加工澱粉としては、例えば、白色デキストリン、黄色デキストリン、及びブリディシュガム等の培焼澱粉、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリン等の酵素変性デキストリン、可溶化澱粉等の酸分解澱粉、ジアルデヒドスターチ等の酸化澱粉、変性及び無変性アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、リン酸澱粉、脂肪酸澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉、及びカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、カルボキシアルキル澱粉、スルホアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、及びジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、及びジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリルアミド共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カチオン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カチオン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉スチレンマレイン酸共重合体、及び澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体等の澱粉グラフト共重合体等が挙げられる。
【0034】
合成品としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、及びポリビニルイソブチルエーテル等で変性した変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合物、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ニトリルブタジエン共重合体(NBR)、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンクロトン酸共重合体、及び塩化ビニル含有共重合体等が挙げられる。以上の結着剤は単独または二種以上を組合わせて用いても良い。
【0035】
本発明に係わるインク受理層に含有される結着剤の配合量は、該インク受理層のインク吸収性を阻害しない範囲であれば、特に制限されない。好ましくは、タンパク質100質量部に対して2〜50質量部である。
【0036】
第1の本発明のインクジェット記録シートにおけるインク受理層の塗布量は、1〜25g/m2の範囲であることが好ましい。塗工量が1g/m2未満ではインク受理層によるインク吸収性が充分ではないため、吸収ムラ等が発生し、インクジェット性能に悪影響が生じることがある。また、25g/m2を越えると塗膜の表面強度が低下することがある。
【0037】
第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層上に、少なくとも平均1次粒子径が3〜50nmの微粒子と結着剤からなる第2のインク受理層を設けて、インク受理層表面の光沢を一層向上させると共に、水性染料インクにも水性顔料インクにも対応して、高発色性を実現できることが判明した。また、第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層上であれば、第2のインク受理層を設けても、該第2のインク受理層表面にひび割れが発生しない。
【0038】
第2のインク受理層を設ける前に、第1の本発明のインクジェット記録シートを各種カレンダー装置を用いて平坦化処理しても良い。
【0039】
該第2のインク受理層に含有する結着剤としては、特に制限されず、例えば上記に挙げた結着剤を単独または二種以上を組合わせて用いればよい。該結着剤の該第2のインク受理層への含有量は、該微粒子100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましい。
【0040】
該第2のインク受理層に含有する平均1次粒子径が3〜50nmの微粒子としては、好ましくは2次粒子径が400nm以下の微粒子が用いられる。2次粒子径が400nm以下であれば印字の際のインク吸収性とインク受理層の光沢のバランスが非常によいものができる。例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されている、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したシリカゾル、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0041】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおける、第2のインク受理層に含有する微粒子を気相法シリカまたはコロイダルシリカとすることでインク受理層表面の白紙状態での光沢感を向上させることができる。
【0042】
一般にシリカ微粒子は、乾量基準でSiO293%以上、Al2O3約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶質シリカがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法および気相法がある。その中で、気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法であり、該気相法で製造された非晶質シリカを気相法シリカという。
【0043】
気相法シリカは、一般には火炎加水分解法によって作られる。具体的には、四塩化珪素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、例えば、日本アエロジル(株)からアエロジルとして市販されており入手することができる。
【0044】
コロイダルシリカは湿式法で合成された1次粒子径が数nm〜100nm程度の合成シリカであり、その形状は、一般的に球状または球状に近い形状をしている。各シリカ粒子の表面近傍には、いわゆる電気二重層が形成され、シリカ粒子同士は接近すると反発し合い安定なコロイド状態が保たれる。
【0045】
本発明で用いることができるコロイダルシリカとしては以下のようなものが市販されており入手することができる。例えば、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスS、スノーテックスO、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックス20L、スノーテックスOL、スノーテックスAK、スノーテックスXS、MA−ST、IPA−ST、EG−ST、DMAC−ST(以上、日産化学工業(株)製)、カタロイドS−20L、カタロイドS−20H、カタロイドS−30L、カタロイドS−30H、カタロイドSI−30、カタロイドSI−40、カタロイドSI−50、カタロイドSI−350、カタロイドSN、カタロイドSA、USB−1、USB−2、USB−3、OSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1622、OSCAL1722(以上、触媒化成工業(株)製)などを挙げることができる。
【0046】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおける、第2のインク受理層にはアルミナ水和物を好ましく用いることができる。アルミナ水和物を用いることにより、より一層優れた光沢性を発現することができるインクジェット記録シートとすることができる。
【0047】
アルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al2O3・nH2O
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
【0048】
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。アスペクト比が上記の範囲より小さい場合は、インク受理層の細孔径分布が狭くなり、インク吸収性が低下する。一方アスペクト比が上記の範囲を超える場合は、粒子を揃えてアルミナ水和物を製造することが困難となる。
【0049】
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
【0050】
本発明のインクジェツト記録シートには、市販のアルミナ水和物も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミナ水和物としては、アルミナゾル520(以上、日産化学工業(株)製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル(株)製)などを挙げることができる。
【0051】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおける第2のインク受理層の塗布量は、1〜20g/m2の範囲であることが好ましい。塗工量が1g/m2未満ではインク受理層によるインク吸収性が充分ではないため、吸収ムラ等が発生し、インクジェット性能に悪影響が生じることがある。また、20g/m2を越えると塗膜の表面強度が低下することがある。
【0052】
第1の本発明に係わるインク受理層、および第2の本発明に係わる第2のインク受理層の塗工方法としては、スライドホッパーコーティング方式、カーテンコーティング方法、エクストルージョンコーティング方式、エアーナイフコーティング方式、ブレードコーティング方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、及びグラビアコーティング方式、サイズプレスコーティング方式、スプレーコーティング方式等が挙げられる。
【0053】
【実施例】
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例、及び比較例において「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。なお、配合において示す部数は実質成分の数量である。
【0054】
<アルミナ水和物の合成>
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、硝酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15質量%になるように濃縮し、白色の微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、30nmであり、アスペクト比6.0の平板状の微粒子状アルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によって平均細孔半径、細孔容積及びBET比表面積を測定したところ、それぞれ7.1nm、0.65ml/gそして200m2/gであった。
【0055】
実施例1
広葉樹パルプ(LBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で320mlの叩解LBKPを得た。針葉樹パルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で350mlの叩解NBKPを得た。叩解LBKP70部と叩解NBKP30部からなる木材パルプ100部に、填料として軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業(株) サイズパインK903)0.10部、乾燥紙力増強剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA−SM)0.1部、硫酸バンド0.5部、水溶性金属塩としてギ酸カルシウム10部を加え、スラリーを調整後、長網抄紙機を用いて坪量150g/m2で抄造し、乾燥した後、サイズ液としてスチレン系樹脂(荒川化学工業(株) ポリマロン385)をインクラインドサイズプレスで乾燥片面付着量5g/m2で塗布し支持体としての紙を作製した。
【0056】
顔料として合成非晶質シリカ(日本シリカ工業(株) NIPGEL AZ600)100部、タンパク質として、ゼラチン(新田ゼラチン(株) IK−2000)20部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)10部を、40℃の水に加えてインク受理層塗布液を固形分濃度17%で作製し、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が40℃を保つように保持した。
【0057】
次に、該支持体の一方の面にインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥して第1の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0058】
実施例2
該タンパク質をカゼイン(日成共益(株) 酸カゼイン)に変更した以外は実施例1と同様にして、第1の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0059】
実施例3
広葉樹パルプ(LBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で320mlの叩解LBKPを得た。針葉樹パルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で350mlの叩解NBKPを得た。叩解LBKP70部と叩解NBKP30部からなる木材パルプ100部に、填料として軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業(株) サイズパインK903)0.10部、乾燥紙力増強剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA−SM)0.1部、硫酸バンド0.5部を加え、スラリーを調整後、長網抄紙機を用いて坪量150g/m2で抄造し、乾燥した後、サイズ液としてスチレン系樹脂(荒川化学工業(株) ポリマロン385)100部と水溶性金属塩としてギ酸カルシウム5部を秤量し、水に加えて固形分濃度2%で混合した後、インクラインドサイズプレスで乾燥片面付着量5g/m2で塗布し支持体としての紙を作製した。
【0060】
顔料として合成非晶質シリカ(日本シリカ工業(株) NIPGEL AZ600)100部、タンパク質として、ゼラチン(新田ゼラチン(株) IK−2000)20部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)10部を、40℃の水に加えてインク受理層塗布液を固形分濃度17%で作製し、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が40℃を保つように保持した。
【0061】
次に、該支持体の一方の面にインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥して第1の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0062】
実施例4
該タンパク質をカゼイン(日成共益(株) 酸カゼイン)に変更した以外は実施例3と同様にして、第1の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0063】
実施例5
水に下記配合を加えてなる第2のインク受理層塗布液(固形分濃度17%)を作製した。
アルミナ水和物 100部
ポリビニルアルコール((株)クラレ PVA105H) 20部
【0064】
次に、実施例2で作製した第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層上に、該第2のインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥して第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0065】
実施例6
該第2のインク受理層塗布液の該顔料をコロイダルシリカ(日産化学工業(株) スノーテックスOL 平均1次粒子径45nm)に変更した以外は実施例5と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0066】
実施例7
該第2のインク受理層塗布液の該顔料を気相法シリカ(日本アエロジル(株)アエロジル380 平均1次粒子径7nm)に変更した以外は実施例5と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0067】
実施例8
第1の本発明のインクジェット記録シートを実施例4で作製したものに変更した以外は実施例5と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0068】
実施例9
該第2のインク受理層塗布液の該顔料をコロイダルシリカ(日産化学工業(株) スノーテックスOL 平均1次粒子径45nm)に変更した以外は実施例8と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0069】
実施例10
該第2のインク受理層塗布液の該顔料を気相法シリカ(日本アエロジル(株)アエロジル380 平均1次粒子径7nm)に変更した以外は実施例8と同様にして第2の本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0070】
比較例1
広葉樹パルプ(LBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で320mlの叩解LBKPを得た。針葉樹パルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で350mlの叩解NBKPを得た。叩解LBKP70部と叩解NBKP30部からなる木材パルプ100部に、填料として軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業(株) サイズパインK903)0.10部、乾燥紙力増強剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA−SM)0.1部、硫酸バンド0.5部を加え、スラリーを調整後、長網抄紙機を用いて坪量150g/m2で抄造し、乾燥した後、サイズ液としてスチレン系樹脂(荒川化学工業(株) ポリマロン385)をインクラインドサイズプレスで乾燥片面付着量5g/m2で塗布し支持体としての紙を作製した。
【0071】
顔料として合成非晶質シリカ(日本シリカ工業(株) NIPGEL AZ600)100部、タンパク質として、ゼラチン(新田ゼラチン(株) IK−2000)20部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)10部を、40℃の水に加えてインク受理層塗布液を固形分濃度17%で作製し、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が40℃を保つように保持した。
【0072】
次に、該支持体の一方の面にインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥してインクジェット記録シートを得た。
【0073】
比較例2
顔料として合成非晶質シリカ(日本シリカ工業(株) NIPGEL AZ600)100部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)30部を、秤量し、水に加えてインク受理層塗布液を固形分濃度17%で作製した。次に、実施例1で作製した紙の一方の面に、該インク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥してインクジェット記録シートを得た。
【0074】
比較例3
支持体としての紙を実施例3で作製したものに変更した以外は比較例2と同様にしてインクジェット記録シートを作製した。
【0075】
比較例4
比較例1で作製したインクジェット記録シートのインク受理層上に、実施例5で作製した第2のインク受理層塗布液をワイヤーバーで乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布、乾燥してインクジェット記録シートを得た。
【0076】
比較例5
インクジェット記録シートを比較例2で作製したものに変更した以外は比較例4と同様にしてインクジェット記録シートを作製した。
【0077】
比較例6
インクジェット記録シートを比較例3で作製したものに変更した以外は比較例4と同様にしてインクジェット記録シートを作製した。
【0078】
〈試験方法〉
ひび割れ具合
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートのインク受理層面を目視で観察して、ひび割れの発生具合を観察した。インク受理層表面にひび割れが全く観察されないものをひび割れ具合が優、細かなひび割れが観察されるものをひび割れ具合が並、多数の細かなひび割れや大きなインク受理層の裂けが観察されるものはひび割れ具合が劣と判定した。
【0079】
印字ムラ
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンタ(キヤノン(株) BJC−420J)で5cm×5cmのベタパターンをブルー印字し、目視評価を行った。印字ムラが全く見られず、均一であるものを印字ムラが優とし、印字ムラが若干見られるが、画像に影響を及ぼすほどではないものを印字ムラが並とし、印字ムラが見られ、印字部の場所により濃淡が現れ、画像が乱れているものを印字ムラが劣と判定した。
【0080】
印字部光沢性
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンタ(キヤノン(株) BJC−420J)でブラックの矩形パターンを印字した。この印字パターンを目視観察した。際だって光沢性のあるものを印字部光沢性が優とし、十分な光沢性のものを印字部光沢性が並とし、光沢感が劣るのものを印字部光沢性が劣とした。
【0081】
水性染料インク発色性
実施例および比較例で作製したインクジェット記録シートをA4判に断裁した後、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株) PM950C 水性染料インク使用)でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%のベタ印字を行い、各色の光学濃度(OD値)を光学濃度計(Gretag Machbeth AG SpectroEye)で測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良好であることを示す。
【0082】
水性顔料インク発色性
実施例および比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株) PM−4000PX 水性顔料インク使用)でシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(BK)の100%ベタ印字を行った後、各色の光学濃度(OD値)を光学濃度計(Gretag Machbeth AG SpectroEye)で測定した。数値が高い方が印字濃度は高く良好である。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
評価:
表1より明らかなように、本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層表面に細かなひび割れが生じていない。さらに、タンパク質としてカゼインを使用することにより、印字ムラが解消する。さらに、第2の本発明のインクジェット記録シートでは、第1の本発明のインクジェット記録シートに比べて、印字部の光沢が向上している上、表2、表3より明らかなように、第2の本発明のインクジェット記録シートは、水性染料インクに対しても、水性顔料インクに対しても高い発色濃度を示し良好な発色性を示している。一方、比較例では、本発明のインクジェット記録シート並にひび割れを解消することができず、また、水性顔料インクではもちろん、水性染料インクでも発色濃度が低い。
【0087】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層表面に微細なひび割れが発生せず、紙支持体でありながら印字部に光沢感があり、さらに、第2の本発明のインクジェット記録シートは、水性染料インクおよび水性顔料インクの両者に良好な発色性を示し有効である。
Claims (5)
- 支持体の少なくとも一方の面にインク受理層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該支持体が水溶性金属塩を含有した紙であり、かつ該インク受理層に少なくとも顔料とタンパク質を含有することを特徴とするインクジェット記録シート。
- 該タンパク質がカゼインであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録シート。
- 請求項1または2記載のインクジェット記録シートの該インク受理層上に、少なくとも平均1次粒子径が3〜50nmの微粒子と結着剤からなる第2のインク受理層を設けたことを特徴とするインクジェット記録シート。
- 該第2のインク受理層に含有する該微粒子が気相法シリカまたはコロイダルシリカであることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録シート。
- 該第2のインク受理層に含有する該微粒子がアルミナ水和物であることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録シート。
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JP2003071347A JP2004276420A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | インクジェット記録シート |
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-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003071347A patent/JP2004276420A/ja active Pending
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