JP2004274432A - 無線アクセスシステム - Google Patents
無線アクセスシステム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004274432A JP2004274432A JP2003063064A JP2003063064A JP2004274432A JP 2004274432 A JP2004274432 A JP 2004274432A JP 2003063064 A JP2003063064 A JP 2003063064A JP 2003063064 A JP2003063064 A JP 2003063064A JP 2004274432 A JP2004274432 A JP 2004274432A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- subscriber station
- base station
- station device
- transmission power
- station apparatus
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Maintenance And Management Of Digital Transmission (AREA)
- Mobile Radio Communication Systems (AREA)
Abstract
【課題】基地局装置で加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレート(FER)を測定し、フレームエラーレートに基づいて送信電力制御を行うことにより、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図り、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる無線アクセスシステムを提供する。
【解決手段】基地局装置1が、任意の加入者局装置2からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果をデジタル値に変換して通常の下りフレームに含めて加入者局装置2に送信し、加入者局装置2が、予めフレームエラーレート規定値と、送信電力制限値とを記憶し、フレームエラーレートが規定値を満たすように送信電力制限値の範囲内で送信電力を調整する無線アクセスシステムである。
【選択図】 図1
【解決手段】基地局装置1が、任意の加入者局装置2からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果をデジタル値に変換して通常の下りフレームに含めて加入者局装置2に送信し、加入者局装置2が、予めフレームエラーレート規定値と、送信電力制限値とを記憶し、フレームエラーレートが規定値を満たすように送信電力制限値の範囲内で送信電力を調整する無線アクセスシステムである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加入者回線による無線アクセスシステムに係り、特に基地局装置側で最適なフレームエラーレートとなるように加入者局装置の送信電力を制御できる無線アクセスシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の無線アクセスシステムには、WLL(Wireless Local Loop)あるいはFWA(Fixed Wireless Access)と呼ばれる無線を使った加入者回線がある。このうち電気通信事業者が設置する基地局装置と複数の利用者宅地側に設置される加入者局装置とを結ぶ無線伝送路により構成される1対多方式の無線設備は、P−MP(Point−Multi Point)方式と呼ばれている。
【0003】
P−MP方式は準ミリ波帯、ミリ波帯といった高い周波数を使用し、高利得なアンテナを用いて見通し内の通信を行うもので、この標準規格は社団法人電波産業会で定めたARIB(Association of Radio Industries and Business)−STD59で規格化されているものである。この標準規格によれば、周波数は22GHz帯/26GHz帯/38GHz帯であるため、降雨・降雪などの天候状況に影響を受けやすく、無線回線のC/N値劣化を及ぼすため、基地局装置及び加入者局装置における回線の安定化は重要な問題となっている。尚、上記の無線アクセスシステムの概要については、「NIKKEI COMMUNlCATIONS1999.9.6」の高速無線アクセス「FWA」の将来性p106〜p112に記載されている。
【0004】
また、特に基地局装置においては、多数の加入者局装置からの上り回線の無線信号を受信するので、セル内の他の加入者局装置とのチャネルによる干渉や、自通信のマルチパスからの干渉を受けやすく、伝送路条件の悪化に対応できる送信電力を必要とする一方で、干渉を避けるために必要最小限の送信電力に抑える制御も必要である。
【0005】
従来の無線アクセスシステムでは、加入者局装置からデータが送信されると、基地局装置がデータを受信し、その際に受信レベルとして受信信号電界強度(Received Signal Strength Indicator:RSSIを測定し、最適受信レベルと測定された受信レベルRSSIとを比較して最適かどうか判断し、最適でない場合に、最適受信レベルと測定された受信レベルRSSIの大小関係又はその差分に伴い送信レベルの増減を指令する送信レベルコントロール指示を作成して加入者局装置に送信し、加入者局装置が送信レベルコントロール指示に従って、信レベルを増減して基地局装置にデータを送信する方法が一般的であった。
【0006】
尚、無線の送信電力制御に関する従来技術としては、平成9年(1997年)12月16日公開の特開平9−326753号「送信電力制御方式」(出願人:三菱電機株式会社、発明者:鈴木 邦之)がある。
この従来技術は、送受信機を有する複数の基地局と、前記基地局と無線通信を行う移動局から構成されるセルラー方式の移動通信システムにおける送信電力制御方法であって、基地局又は移動局の一方の無線局Aにおいて、相手局(無線局B)から送信された信号強度を測定し、この結果をメッセージにして無線局Bに送信し、無線局Bではメッセージを検出して検出された値に応じて送信電力値を決定する送信電力制御方式であり、これにより、無線局A(基地局)側の負荷を軽減できるものである。(特許文献1参照)
【0007】
【特許文献1】
特開平9−326753号公報(第3−6頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の無線アクセスシステムでは、基地局装置が多数の加入者局に対して、それぞれ受信レベルRSSIが最適かどうか判断し、最適でない場合は最適な送信レベルにするための送信レベルコントロール指示を加入者局装置に送信するので、特に加入者局が多い場合、基地局装置における負担が大きいという問題点があった。
【0009】
特に、FWAシステムを構成する装置では、データ通信速度がきわめて高速であるため、基本的なデータ通信を行う為の処理に要するCPUパワーが大きく、できる限りそれ以外の処理の軽減が望まれているので、加入者局装置側の送信電力制御のための負荷軽減が望まれている。
【0010】
上記問題点を解決する1つの方法として、基地局装置で、任意の加入者局からの受信レベルとしてRSSIを測定して測定結果を加入者局に送信し、加入者局で、基地局装置から送信される測定結果の受信レベルと最適な受信レベルとの差分に応じて送信電力を調整する無線アクセスシステムが提案されている。平成13年(2001年)7月12日出願の特願2001−211741号「送信電力制御方法及び無線アクセスシステム」(出願人:株式会社日立国際電気)がある。
【0011】
また、別の解決方法として、基地局装置で、任意の加入者局からの受信レベルRSSIとビットエラーレート(BER)を測定して加入者局に送信し、加入者局で、基地局装置から送信されるエラーの有無情報と、受信レベルと最適な受信レベルとの差分に応じて送信電力を調整する無線アクセスシステムが提案されている。平成13年(2001年)12月25日出願の特願2001−391522号「無線アクセスシステム」(出願人:株式会社日立国際電気)がある。
【0012】
上記2つの提案は、基地局装置では、RSSI又はRSSIとBERの測定のみを行い、測定結果を加入者局に送信し、加入者局側で、RSSI又はRSSIとBERに基づく送信電力調整を行うものであるので、基地局装置側の負荷を軽減することができるものとなっている。
【0013】
しかしながら、基地局装置で測定した受信レベルRSSIに基づいて加入者局側の送信電力制御を行う方法では、無線周波数近傍の干渉波がある環境、特に干渉波が多いとき、あるいは干渉波レベルが大きいときの、干渉波のレベルのRSSIレベルへの影響が考慮されていなかった。
【0014】
一方、干渉波レベルのRSSIレベルへの影響を考慮して、基地局装置で測定したBER(ビットエラーレート)基づいて加入者局側の送信電力制御を行う方法では、データ通信速度がきわめて高速である場合に、ビットエラーレート測定に係る負荷が大きくなることが考慮されていなかった。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、基地局装置で加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレート(FER)を測定し、フレームエラーレートに基づいて送信電力制御を行うことにより、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図り、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる無線アクセスシステムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも1つの基地局装置と基地局装置と無線通信を行う少なくとも1つの加入者局装置とを有する無線アクセスシステムであって、
基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果を加入者局装置に送信する基地局装置であり、
加入者局装置が、基地局装置から送信される測定結果を受信し、測定結果が規定のフレームエラーレートを満たすように送信電力を調整する加入者局装置であることを特徴としており、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができる。
【0017】
本発明は、請求項1記載の無線アクセスシステムにおいて、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果をデジタル値に変換し、デジタル値を通常の無線通信のために基地局装置から加入者局装置へ送信する下りフレームに含めて送信する基地局装置であることを特徴としており、基地局装置と加入者局装置間の伝送負荷を増すこと無く加入者局装置における送信電力制御の為の情報を送信して加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができる。
【0018】
本発明は、請求項1又は請求項2記載の無線アクセスシステムにおいて、加入者局装置が、予め基地局装置における規定のフレームエラーレートと、自己の送信電力の制限値とを記憶し、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たしていない場合に、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整して制御する加入者局装置であることを特徴としており、高速通信環境下であっても基地局装置で正確に測定されたフレームエラーレートに基づき、規定のフレームエラーレートを満たすことができるように加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができる。
【0019】
本発明は、請求項3記載の無線アクセスシステムにおいて、基地局装置に通信網を介して接続されて基地局装置及び加入者局装置を管理する管理センターを備え、
加入者局装置が、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整しても、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たさない場合には、管理センターに障害発生の通知を行う加入者局装置であることを特徴としており、送信電力の制限範囲内の調整で規定のフレームエラーレートを満たすことができないような状況に陥る障害発生をいち早く通報できる。
【0020】
本発明は、少なくとも1つの基地局装置と基地局装置と無線通信を行う少なくとも1つの加入者局装置とを有する無線アクセスシステムであって、
基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果が加入者局装置に対応付けて定められている規定のフレームエラーレートを満たすように、加入者局装置に対応付けて定められた送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整するための制御情報を特定し、制御情報を加入者局装置に送信する基地局装置であり、
加入者局装置が、基地局装置から送信される制御情報を受信し、制御情報に従って送信電力を調整する加入者局装置であることを特徴としており、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0022】
本発明に係る無線アクセスシステムは、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果をデジタル値に変換し、デジタル値を通常の無線通信のために基地局装置から加入者局装置へ送信する下りフレームに含めて加入者局装置に送信し、加入者局装置が、予め基地局装置における規定のフレームエラーレートと、自己の送信電力の制限値とを記憶し、基地局装置から送信される測定結果を受信し、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たしていない場合に、送信電力の制限値の範囲内で測定結果が規定のフレームエラーレートを満たすように送信電力を調整し、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整しても、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たさない場合には、管理センターに障害発生の通知を行うものなので、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、基地局装置と加入者局装置間の伝送負荷を増すこと無く、加入者局装置からの送信電力の適正化を図り、送信電力制御不能な障害発生をいち早く通報できる。
【0023】
次に、本発明の実施の形態に係る無線アクセスシステム(本システム)の構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線アクセスシステムの一構成例を示す構成ブロック図である。
本実施例の形態の無線アクセスシステム(本システム)の一構成例としては、図1に示すように、複数の加入者局装置2(図1では加入者局(1)2−1、加入者局(2)2−2)と、基地局装置1と、基地局装置1に接続する記憶装置4と、専用線を用いたATM網などの基幹ネットワーク6と、基地局装置1を基幹ネットワーク6に接続するためのルータ5と、基幹ネットワーク6に接続される管理センター(ネットワーク管理サイト)7とから構成されている。
【0024】
本システムの各構成の説明の前に、加入者局装置2と基地局装置1との送受信される無線フレームのフレーム構成について図2を用いて説明する。図2は、無線フレームの構成を示すフォーマット図である。
無線フレームは、図2に示すように、報知信号、要求信号、許可信号、ACK/NAC(単にACK情報と呼ぶ)、データ信号によって構成されている。
【0025】
報知信号は、基地局装置1と加入者局装置2との間の同期確保のために、基地局装置1から全加入者局装置2に対して一定間隔で送信される制御チャネルである。
要求信号は、ひとつの加入者局装置2が無線区間へのデータ送信を行う際に、基地局装置1に対して送信開始要求を行う制御チャネルである。
許可信号は、基地局装置1が要求信号に対して送信許可を与えるための制御チャネルである。
ACK/NAC(単にACK情報と呼ぶ)は、データ信号に対してACK/NACを返送するための制御チャネルである。
データ信号は、実際にユーザーが送受信しているデータチャネルである。
【0026】
次に、本システムの各部について説明する。
基幹ネットワーク6及びルータ5は、無線アクセスシステムを構成する為の一般的なネットワーク及びルータである。
【0027】
本システムの加入者局装置2は、無線アクセスシステムにおける加入者局装置の一般的な動作として基地局装置1と無線通信を行うことに加えて、本発明の特徴部分として、基地局装置1で測定されて送信されるフレームエラーレート(FER)情報に基づいて、送信電力を制御する加入者局装置である。
【0028】
具体的に加入者局装置2は、パラボラアンテナなどの狭ビームアンテナを備え、無線アクセスシステムにおける加入者局装置の一般的な動作として、基地局装置1から一定間隔で送信される図2に示した無線フレームにおける報知信号を受信し、加入者局装置2がデータ送信を行う際には無線フレームにおける要求信号を用いて送信要求を行い、基地局装置1から無線フレームにおける許可信号を用いて許可が為されれば、データを送受信することができる。
【0029】
そして、本発明の加入者局装置2の特徴部分として、加入者局装置2は、基地局装置1で測定されて送信される自己装置からの上り信号におけるフレームエラーレート(FER)に関する情報を受信して、その値がフレームエラーレート(FER)の規定値を満たしているか否かを判断し、規定値を満たしていない場合に、自己装置の定められた上限である送信電力レベル(送信電力制限値)の範囲内で送信電力を調整して制御するものである。
【0030】
ここで、フレームエラーレート(FER)の規定値は、無線アクセスシステムが通信品質として保証している伝送レート(フレームエラーレート)で、基地局装置1と加入者局装置2間の伝送路状況等によって異なり、システムとして予め定められているもので、各加入者局装置2によって異なる。
【0031】
よって、フレームエラーレート(FER)規定値は、予め加入者局装置2毎に設定されて加入者局装置2に記憶させておくか、又は、管理センター7から基地局装置1を介して各加入者局装置2に通知されるようにしてもよい。
【0032】
また、送信電力制限値は、加入者局装置2の規模や性能に依存する値であり、予め加入者局装置2毎に設定されて記憶されているものとする。
【0033】
加入者局装置2における具体的な送信電力の制御方法としては、基地局装置1で測定されて送信されるFER情報がFER規定値よりも大きく、通信保証品質を満たしていない場合、一般的には、送信電力が小さいと考えられるので、送信電力を微量ずつ増加させてみる制御を行う。但し、送信電力は、予め加入者局装置2毎に制限されている送信電力(送信電力制限値)を超えることなく、送信電力制限値の範囲内で制御を行いながら、フレームエラーレート(FER)が規定値を満たすように調整する。
尚、送信電力制御の詳細および、制御を行うための具体的構成例については、後述する。
【0034】
そして、加入者局装置2において、基地局装置1から送信されるフレームエラーレート(FER)の情報に基づいて送信電力が調整されて変更されると、加入者局装置2は、変更されて設定された送信電力の情報(送信電力設定値と呼ぶ)を無線フレームの要求信号の特定のフィールドを用いて基地局装置1に通知するものである。
【0035】
尚、加入者局装置2では、送信電力制御を行っても制限されている送信電力の最大(送信電力制限値)までの範囲内で規定のフレームエラーレート(FER)(FER規定値)に満たないときには、加入者局装置2の故障あるいは基地局装置1への干渉波が異常に発生していると判断して、基地局装置1、ルータ5、基幹ネットワーク6を介して管理センター7に加入者局装置の障害発生、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害発生を通知する。
或いは、加入者局装置2が基地局装置1に特定加入者局装置の障害発生、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害発生を通知し、基地局装置1がルータ5、基幹ネットワーク6を介して管理センター7に障害発生を通知するようにしても構わない。
【0036】
本システムの基地局装置1は、無線アクセスシステムにおける基地局装置の一般的な動作として配下の加入者局装置2と無線通信を行うことに加えて、本発明の特徴部分として、配下の加入者局装置2からの上り信号のフレームエラーレート(FER)を測定して各加入者局装置2に測定結果を通知する基地局装置である。
【0037】
基地局装置1は、複数の加入者局装置2をカバーするような広角なアンテナを備えている。
また、基地局装置1は、ルータ5を介してATM網などの基幹ネットワーク6に接続され、基幹ネットワーク6を介して管理センター7との通信が可能となっている。
【0038】
また、基地局装置1には、記憶装置4が接続されており、各種管理情報として、加入者管理情報テーブル41と、FERログ情報テーブル42が記憶されている。
加入者管理情報テーブル41は、加入者局装置2に関する送信電力制御を行うための各種情報を記憶するテーブルである。
【0039】
ここで、加入者管理情報テーブル41の具体的構成及び記憶データ例について、図3を使って説明する。図3は、本発明の加入者管理情報テーブル例を示すテーブル図である。
本発明の加入者管理情報テーブル41は、図3に示すように、加入者局装置2の識別子である加入者局IDに対応付ける形で、一般的管理情報であるデータリンク層レベルのアドレスであるMACアドレス及び運用中か否かを示す運用フラグに加え、本発明の特徴部分である加入者局装置送信電力情報及びFER現在値を記憶する。
【0040】
加入者局装置送信電力情報は、各加入者局装置2においてFER情報に基づいて設定された送信電力の設定値情報(送信電力設定値)であり、各加入者局装置2から基地局装置1に随時送信された情報が記憶されるようになっている。尚、図3では、加入者局装置送信電力情報として具体的な数値ではなく、D1,D2,D3という形で、加入者局装置2毎に異なる数値であることを示している。
【0041】
FER現在値は、各加入者局装置2のフレームエラーレート(FER)測定結果のリアルタイムな情報であり、基地局装置1で各加入者局装置2からの上りデータで測定される毎に更新されて記憶されるようになっている。尚、図3では、FER現在値として具体的な数値ではなく、F1,F2,F3という形で、加入者局装置2毎に異なる数値であることを示している。
【0042】
FERログ情報テーブル42は、加入者局装置2に関するフレームエラーレート(FER)の情報のログを時系列に記憶するテーブルである。
ここで、FERログ情報テーブル42の具体的構成及び記憶データ例について、図4を使って説明する。図4は、本発明のFERログ情報テーブル例を示すテーブル図である。
本発明のFERログ情報テーブル42は、図4に示すように、加入者局装置2の識別子である加入者局IDに対応付ける形で、基地局装置1における各測定時間のFER情報を時系列的に記憶する。
【0043】
そして、基地局装置1の動作は、無線アクセスシステムにおける基地局装置の一般的な動作として、一定間隔で図2に示した無線フレームにおける報知信号を送信し、任意の加入者局装置2からの無線フレームにおける要求信号を用いた送信要求を受け取ると、データチャネルの割り当てなど行い、当該加入者局装置2に対して無線フレームにおける許可信号を用いて許可を行い、当該加入者局装置2とのデータ送受信を行う。
【0044】
そして、本発明の基地局装置1の特徴部分として、各加入者局装置2から基地局装置1方向への上りデータ(要求信号、データ信号など)におけるフレームエラーレート(FER)を定期的に測定し、測定したリアルタイムのフレームエラーレート(FER)に関する情報を各加入者局装置2に送信すると共に、当該FERの測定結果を加入者IDに対応づけて記憶装置4の加入者管理情報テーブル41(図3参照)及びFERログ情報テーブル42(図4参照)に記憶する。
【0045】
ここで、フレームエラーレート(FER)の測定は、一般的に送信側でフレーム構成の何れかに誤り検出用の誤り検出符号(Cyclic Redundancy Check:CRC)を挿入して送信し、受信時にこのCRCビットをチェックすることでエラーの有無を判断し、フレームエラーレート(FER)を算出することになる。
尚、基地局装置1におけるフレームエラーレートの測定は、加入者局装置2から既知のPNパターン等を送信し、それに対してエラーレートを測定する方法であっても良い。また、既知のパターンはPNパターンに限定せず、既知であれば何でも良く、特に特定しない。
【0046】
よって、従来のビットエラーレート(BER)測定では、一般的に1フレームに数百〜数万ビット以上のデータがあるために測定母数が膨大で、フレームエラーレート(FER)測定に対して10の2乗〜4乗以上の差がでる。
即ち、フレームエラーレート(FER)の測定は、ビットエラーレート(BER)測定と比べると測定に必要な処理のCPU付加を大幅に軽減できることになる。
【0047】
そして、フレームエラーレート(FER)に関する情報を加入者局装置2に送信する際は、無線アクセスシステムのトラフィックに影響を与えない程度の間隔で、無線フレームによる報知信号、許可信号、或いはACX/NACの送信フレームを用いて、加入者局装置2に送信する。また、送信間隔は、例えば、数十秒から数分程度として、過度にトラフィックに負荷をかけないように行う。
【0048】
また、実際にフレームエラーレート(FER)に関する情報を送信する場合には、FERの測定結果をデジタル値に変換し、デジタル値を許可信号、或いはACK/NAC情報(単にACK情報と呼ぶ)、データ情報などの通常の無線通信でやりとりを行う下りフレームに含めて加入者局装置2に送信するようになっている。
尚、如何なるフレームにFERの測定結果を組み込むかについては、フレームエラーレートのディジタル値(FER情報)のビット数に応じて許可信号或いはACK情報、又はデータ情報送信フレームのどれかを選んで送信するようにしてもよい。
【0049】
ここで、基地局装置1から加入者局装置2に送信される下りフレームのフォーマットについて図5を使って説明する。図5は、本発明の無線アクセスシステムにおける基地局装置から送信される下りフレームのフォーマット図である。
基地局装置1から加入者局装置2に送信される下りフレームは、図5に示すように、送信するデータを組み込むデータ部と、FER測定結果をデジタル変換により16進の値としたFER情報と、受信したデータを正しく受信したか否かを示すACK情報とから構成されている。尚、データ部は無い場合もある。
ここで、データ部とACK情報の送信フレームは、従来から送信しているもので、本実施例では、データ部とACK情報の送信フレームにFER情報を組み入れて送信するものであり、FER情報送信のための特別なフレームを送信するわけではない。
【0050】
そして、本発明の基地局装置1は、各加入者局装置から要求信号を用いて通知される各加入者局装置における送信電力設定値を受信し、当該送信電力設定値を加入者IDに対応づけて記憶装置4の加入者管理情報テーブル41(図3参照)に記憶する。
【0051】
そして、本発明の基地局装置1では、各加入者局装置2からの要求信号を監視し、一定期間要求信号を受信しない加入者局装置2がある場合には、当該加入者局装置2に障害が発生したと判断して、ルータ5及び基幹ネットワーク6を介して管理センター7に障害発生の通知を行う。
【0052】
ここで、管理センター7への通知の方法の一例としては、TCP/IPネットワークにおいて、ルータやコンピュータ、端末など、ネットワークに接続された通信機器をネットワーク経由で監視・制御するためのプロトコルとして知られているSNMP(Simple Network Management Protocol)を用い、SNMP−TRAPメッセージで管理センター7に通知を行う。尚、SNMPを用いる場合、記億装置4の加入者管理情報テーブル41及びFERログ情報テーブル42は、SNMPの制御の対象となる機器の管理情報データベースでるところのMIB(Management Information Base)に相当する。
【0053】
また、基地局装置1は、記憶装置4の加入者管理情報テーブル41及びFERログ情報テーブル42を定期的に、又は管理センター7から指示によりチェックし、各加入者局装置2の状況として送信電力情報(送信電力設定値)、或いは送信電力情報とフレームエラーレート(FER)現在値の両方の情報を同時に管理センター7に通知している。
なお、管理センター7への各加入者局装置2の状況報告は、任意の加入者局装置2が異常と判断された場合にのみ、基地局装置1が管理センター7に行うものであってもよい。
【0054】
また、基地局装置1は、管理センター7からの要求に応じて、指定された加入者局装置2に関して記憶装置4のFERログ情報テーブル42に蓄積されたFERのログ情報を管理センター7に送信する。
【0055】
管理センター7は、無線アクセスシステムのネットワーク管理を行うサイトであり、管理専用のPC又はサーバーなどの処理装置を備えたものである。
そして、管理センター7は、基幹ネットワーク6及びルータ5等を介して複数の基地局装置1(図1では1つの基地局装置1のみ記載)に接続され、複数の基地局装置1および当該基地局装置1管理下の複数の加入者局装置2の状況を監視し、障害があれば障害発生の通知を受けて表示等の報知を行うものである。
【0056】
また、管理センター7は各基地局装置1に対して、管理下の加入者局装置1の加入者ID、MACアドレス、運用フラグなどの一般的な加入者管理情報を通知して、各基地局装置1において記憶装置4の加入者管理情報テーブル41およびFERログ情報テーブル42に設定されるようになっている。
【0057】
また、管理センター7は、障害が発生した加入者局装置2を管理する基地局装置1に対して該当の加入者局装置2に関するFERのログ情報を要求し、基地局装置1から送信されるFERのログ情報を受信して記憶し、障害解析などに利用する。
【0058】
次に、本発明の無線アクセスシステムの動作について、図1を使って説明する。
本発明の無線アクセスシステムでは、管理センター7から各基地局装置1に対して、管理下の加入者局装置1の加入者ID及び一般的な加入者管理情報が通知されて、各基地局装置1において記憶装置4の加入者管理情報テーブル41およびFERログ情報テーブル42に設定されている。
【0059】
そして、基地局装置1において、定期的に任意の加入者局装置2からの上りデータ(要求信号、データ信号など)を受信すると、フレームエラーレート(FER)を測定し、測定結果をデジタル値に変換して当該加入者局装置2に送信すると共に、測定結果をリアルタイムなFER情報として加入者IDに対応づけて記憶装置4の加入者管理情報テーブル41(図3参照)及びFERログ情報テーブル42(図4参照)に記憶される。
【0060】
基地局装置1から送信されたフレームエラーレート(FER)情報は、加入者局装置2で受信され、加入者局装置2において、FER情報の値がFER規定値の範囲内におさまるように、また送信電力の制限値を超えないように送信電力が調整されて設定され、送信電力設定値が基地局装置1に通知(送信)される。
【0061】
基地局装置1では、加入者局装置からの送信電力設定値を受信し、当該送信電力設定値が加入者IDに対応づけて記憶装置4の加入者管理情報テーブル41(図3参照)に記憶される。
【0062】
上記のように、基地局装置1と加入者局装置2との間のFER情報及び送信電力設定値のやり取りによって加入者局装置2からの送信電力を制御する過程で、基地局装置1が各加入者局装置2からの要求信号を監視し、一定期間要求信号を受信しない加入者局装置2がある場合には、当該加入者局装置2に障害が発生したと判断して、ルータ5及び基幹ネットワーク6を介して管理センター7に障害発生の通知を行い、管理センター7で障害発生を報知するような表示等を行う。
【0063】
また、加入者局装置2において、送信電力制御の過程で、送信電力制限値に達してもフレームエラーレート(FER)がFER規定値に満たないときには、加入者局装置2の故障あるいは基地局装置1への干渉波が異常に発生していると判断して、加入者局装置2が基地局装置1又は管理センター7に加入者局装置の障害、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害を通知し、管理センター7で障害発生の表示などによる報知を行う。
【0064】
次に、本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置2の構成例について、図6を使って説明する。図6は、本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置の構成例を示すブロック図である。
本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置2の構成例としては、図6に示すように、アンテナ21と、可変ATT(Attenuator)23を有するRF(Radio Frequency)部22と、IF(Intermediate Frequency)部24と、ベースバンド(Base band)部25と、送信レベル設定手段27を有する制御部26とから構成されている。
【0065】
次に、本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置2を構成する各部について具体的に説明する。
アンテナ21は、基地局装置1と無線通信を行うもので、受信した無線信号を可変ATT23bに出力し、可変ATT23aから入力した無線信号を送出するようになっている。
【0066】
RF部22は、無線高周波信号の送受信を行い、高周波信号と中間周波信号との周波数変換を行うもので、本発明の特徴部分である送信電力制御のための高周波信号の電力調整を行う可変ATT23aと、可変ATT23bを有している。
可変ATT23は、電気信号を減衰させるアッテネータであって、入力される設定位置に従って減衰率を変化させることができる一般的な可変アッテネータであり、可変ATT23aは、IF部24からの送信信号を高周波信号に変換した信号を減衰してアンテナ21に出力するものであり、可変ATT23bは、アンテナ21からの受信高周波信号を減衰してから中間周波への変換を行わせるものである。
【0067】
IF部24は、中間周波信号を扱う一般的なIF部であり、RF部22からの受信中間周波信号からベースバンド信号を取り出し、またベースバンド部25からの送信ベースバンド信号を中間周波に変換してRF部22に出力するものである。
【0068】
ベースバンド部25は、ベースバンド信号の変調及び復調を行う一般的なベースバンド部であり、制御部26から入力したデータをベースバンド信号に変調してIF部24に出力し、IF部24から入力したベースバンド信号からデータを復調して制御部26に出力するようになっている。
【0069】
制御部26は、加入者局装置2全体の制御を行うものであるが、本発明の特徴部分として、基地局装置1から送信されるFERの測定結果に従い、基地局装置1におけるFERが向上するように送信電力を設定する送信レベル設定手段27を有するものである。
【0070】
送信レベル設定手段27は、予めフレームエラーレート(FER)の規定値と送信電力制限値とを記憶しておき、基地局装置1から受信したFERの測定結果がFER規定値を満たすよう、また、送信電力が送信電力制限値を超えないように送信電力を設定するものである。
【0071】
具体的な送信電力制御方法の例としては、前回のFER情報を記憶しておき、例えば、現在の送信電力Pに対してFERを小さくするための送信電力の上昇分としてΔPだけ電力を上昇させるように、可変ATT23aの減衰率を調整するレベル設定データが生成されて可変ATT23aに出力され、可変ATT23aの減衰率が変化して、送信電力がΔPだけ上げられて、次のデータは送信されるようになっている。
そして、ΔP電力上昇の結果、受信したFERが改善されれば、更にΔPだけ上昇させて、次のデータは送信されるようになっている。
【0072】
但し、この時現在の送信電力Pが既に規定の最大電力に達していたなら、これ以上送信電力を上げることはできないため、基地局装置1又は管理センター7に加入者局装置の障害、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害を通知する処理を行う。
【0073】
本発明の実施の形態の無線アクセスシステムによれば、基地局装置1では、任意の加入者局装置2からの受信フレームでフレームエラーレート(FER)を測定して、測定結果を当該加入者局装置2に送信し、加入者局装置2では、受信したFERの測定結果が、予め設定されているフレームエラーレート(FER)の規定値の範囲内であるか判断し、範囲内でない場合に送信電力を送信電力制限値の範囲内で制御して基地局装置1にデータを送信するので、基地局装置1における送信電力制御のための負荷を軽減しながら、かつ無線通信におけるデータ伝送レートが適正化されて、システムとして保証している伝送レート(FER規定値)を満たした通信品質を提供できる効果がある。
【0074】
特に、本発明の実施の形態の無線アクセスシステムでは、基地局装置1における測定を従来のようにRSSIとするのではなく、FER(フレームエラーレート)とすることにより、干渉波などを除去した希望波に対するエラーレートが測定できるので、無線周波数近傍の干渉波がある環境、特に干渉波が多いとき、あるいは干渉波レベルが大きい状況であっても、FERは受信レベル(RSSI)のように干渉波のレベルの影響を受けないため、希望波に基づく加入者局装置2における送信電力を制御するために有効な情報を取得することができ、無線通信におけるデータ伝送レートが適正化されて、通信品質を向上できる効果がある。
【0075】
また、本発明の実施の形態の無線アクセスシステムでは、基地局装置1における測定を従来のようにBER(ビットエラーレート)とするのではなく、FER(フレームエラーレート)とすることにより、フレーム中に通常挿入されているCRCビットのチェックでエラーレートが測定できるので、測定母体を小さくできるので、基地局装置1におけるフレームエラーレート(FER)測定のためのデータ処理に要するCPUパワーを大幅に低減できる効果がある。
【0076】
また、基地局装置1は、フレームエラーレート(FER)測定結果をデジタル値に変換してFER情報とし、ACK情報送信フレームや、許可信号などに含めて送信するので、わざわざFER情報の送信用のフレームを生成することなく、基地局装置1から加入者局装置2への伝送負荷を増すこと無くFER情報を送信することができる効果がある。
【0077】
また、加入者局装置2毎に伝送路に応じたFER規定値を予め設定して記憶しておき、基地局装置1から送信されるFER情報がFER規定値の範囲内におさまるように送信電力を調整して基地局装置1にデータを送信するので、伝送路の回線品質が異なる場合があっても、個々の加入者局装置2毎にFER規定値を設定することができ、回線状況に特化した送信電力制御を行うことができる効果がある。
【0078】
また、本発明の無線アクセスシステムによれば、加入者局装置2における送信電力制御の過程で、送信電力制限値に達してもフレームエラーレート(FER)がFER規定値の範囲に満たないときには、加入者局装置2の故障あるいは基地局装置1への干渉波が異常に発生していると判断して、加入者局装置2が基地局装置1又は管理センター7に加入者局装置の障害、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害を通知し、管理センター7で障害発生の表示などによる報知を行うので、異常があるときにはすぐに管理センター7に通知され、障害に対して迅速に対応でき、システムの信頼性を向上できる効果がある。
【0079】
また、本発明の無線アクセスシステムによれば、基地局装置1が、各加入者局装置2のFER測定結果を時系列的に記憶装置4のFERログ情報テーブル42に記憶させ、また各加入者局装置2から通知された送信電力情報(送信電力設定値)を記憶装置4の加入者管理情報テーブル41に記憶させておき、定期的に、又は管理センター7から指示によりFERログ情報テーブル42をチェックして、各加入者局装置2の状況として送信電力情報(送信電力設定値)、或いは送信電力情報とフレームエラーレート(FER)現在値の両方の情報を同時に管理センター7に通知するので、管理センター7で配下の基地局装置1及びその管理下の加入者局装置2の状況を監視でき、システムの運用管理能力が向上して安定したサービスを提供できる効果がある。
【0080】
また、本発明の無線アクセスシステムによれば、管理センター7は、障害が発生した加入者局装置2を管理する基地局装置1に対して該当の加入者局装置2に関するFERのログ情報を要求し、基地局装置1は、指定された加入者局装置2に関して記憶装置4のFERログ情報テーブル42に蓄積されたFERのログ情報を管理センター7に送信し、管理センター7はFERログ情報を受信して記憶し、障害解析などに利用するので、障害が起きたときには各加入者局装置のフレームエラーレートの履歴を参考にすることができ、障害の特定が容易になり、システムの運用管理能力が向上して安定したサービスを提供できる効果がある。
【0081】
上記本発明の説明では、基地局装置1で各加入者局装置2からの上りデータ(フレーム)でフレームエラーレート(FER)を測定し、測定結果を加入者局装置2に送信して加入者局装置2で送信電力制御を行うものであったが、基地局装置1におけるフレームエラーレート(FER)の測定により、課題で説明した特願2001−211741号又は特願2001−391522号の提案で用いられるRSSI測定やビットエラーレート(BER)測定に比べて充分基地局装置1の負荷を軽減できた場合には、従来のように、基地局装置1内で、各加入者局装置2に対する送信電力制御のための情報(送信レベルコントロール指示)を作成して各加入者局装置2に送信し、加入者局装置2では、受信した送信レベルコントロール指示に従って送信電力を変更するようにしても構わない。
【0082】
その場合には、基地局装置1内に予め加入者局装置毎に定められたFERの規定値と送信電力上限値とを記憶しておき、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレート(FER)を測定し、当該フレームエラーレートの値と当該加入者局装置のFER規定値とを比較して当該加入者局装置における送信電力上限値の範囲内で送信電力制御のための情報(送信レベルコントロール指示)を作成して当該加入者局装置2に送信する。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果を加入者局装置に送信し、加入者局装置が、基地局装置から送信される測定結果を受信し、測定結果が規定のフレームエラーレートを満たすように送信電力を調整する無線アクセスシステムとしているので、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができ、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる効果がある。
【0084】
本発明によれば、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果をデジタル値に変換し、デジタル値を通常の無線通信のために基地局装置から加入者局装置へ送信する下りフレームに含めて送信する上記無線アクセスシステムとしているので、基地局装置と加入者局装置間の伝送負荷を増すこと無く加入者局装置における送信電力制御の為の情報を送信して加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができ、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる効果がある。
【0085】
本発明によれば、加入者局装置が、予め基地局装置における規定のフレームエラーレートと、自己の送信電力の制限値とを記憶し、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たしていない場合に、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整して制御する上記無線アクセスシステムとしているので、高速通信環境下であっても基地局装置で正確に測定されたフレームエラーレートに基づき、規定のフレームエラーレートを満たすことができるように加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができ、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる効果がある。
【0086】
本発明によれば、基地局装置に通信網を介して接続されて基地局装置及び加入者局装置を管理する管理センターを備え、加入者局装置が、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整しても、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たさない場合には、管理センターに障害発生の通知を行う上記無線アクセスシステムとしているので、送信電力の制限範囲内の調整で規定のフレームエラーレートを満たすことができないような状況に陥る障害発生をいち早く通報でき、システムの信頼性を向上できる効果がある。
【0087】
本発明によれば、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果が加入者局装置に対応付けて定められている規定のフレームエラーレートを満たすように、加入者局装置に対応付けて定められた送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整するための制御情報を特定し、制御情報を加入者局装置に送信し、加入者局装置が、基地局装置から送信される制御情報を受信し、制御情報に従って送信電力を調整する無線アクセスシステムとしているので、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができ、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線アクセスシステムの一構成例を示す構成ブロック図である。
【図2】無線フレームの構成を示すフォーマット図である。
【図3】本発明の加入者管理情報テーブル例を示すテーブル図である。
【図4】本発明のFERログ情報テーブル例を示すテーブル図である。
【図5】本発明の無線アクセスシステムにおける基地局装置から送信される下りフレームのフォーマット図である。
【図6】本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…基地局装置、 2…加入者局装置、 4…記憶装置、 5…ルータ、 6…基幹ネットワーク、 7…管理センター、 41…加入者管理情報テーブル、42…FERログ情報テーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は、加入者回線による無線アクセスシステムに係り、特に基地局装置側で最適なフレームエラーレートとなるように加入者局装置の送信電力を制御できる無線アクセスシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の無線アクセスシステムには、WLL(Wireless Local Loop)あるいはFWA(Fixed Wireless Access)と呼ばれる無線を使った加入者回線がある。このうち電気通信事業者が設置する基地局装置と複数の利用者宅地側に設置される加入者局装置とを結ぶ無線伝送路により構成される1対多方式の無線設備は、P−MP(Point−Multi Point)方式と呼ばれている。
【0003】
P−MP方式は準ミリ波帯、ミリ波帯といった高い周波数を使用し、高利得なアンテナを用いて見通し内の通信を行うもので、この標準規格は社団法人電波産業会で定めたARIB(Association of Radio Industries and Business)−STD59で規格化されているものである。この標準規格によれば、周波数は22GHz帯/26GHz帯/38GHz帯であるため、降雨・降雪などの天候状況に影響を受けやすく、無線回線のC/N値劣化を及ぼすため、基地局装置及び加入者局装置における回線の安定化は重要な問題となっている。尚、上記の無線アクセスシステムの概要については、「NIKKEI COMMUNlCATIONS1999.9.6」の高速無線アクセス「FWA」の将来性p106〜p112に記載されている。
【0004】
また、特に基地局装置においては、多数の加入者局装置からの上り回線の無線信号を受信するので、セル内の他の加入者局装置とのチャネルによる干渉や、自通信のマルチパスからの干渉を受けやすく、伝送路条件の悪化に対応できる送信電力を必要とする一方で、干渉を避けるために必要最小限の送信電力に抑える制御も必要である。
【0005】
従来の無線アクセスシステムでは、加入者局装置からデータが送信されると、基地局装置がデータを受信し、その際に受信レベルとして受信信号電界強度(Received Signal Strength Indicator:RSSIを測定し、最適受信レベルと測定された受信レベルRSSIとを比較して最適かどうか判断し、最適でない場合に、最適受信レベルと測定された受信レベルRSSIの大小関係又はその差分に伴い送信レベルの増減を指令する送信レベルコントロール指示を作成して加入者局装置に送信し、加入者局装置が送信レベルコントロール指示に従って、信レベルを増減して基地局装置にデータを送信する方法が一般的であった。
【0006】
尚、無線の送信電力制御に関する従来技術としては、平成9年(1997年)12月16日公開の特開平9−326753号「送信電力制御方式」(出願人:三菱電機株式会社、発明者:鈴木 邦之)がある。
この従来技術は、送受信機を有する複数の基地局と、前記基地局と無線通信を行う移動局から構成されるセルラー方式の移動通信システムにおける送信電力制御方法であって、基地局又は移動局の一方の無線局Aにおいて、相手局(無線局B)から送信された信号強度を測定し、この結果をメッセージにして無線局Bに送信し、無線局Bではメッセージを検出して検出された値に応じて送信電力値を決定する送信電力制御方式であり、これにより、無線局A(基地局)側の負荷を軽減できるものである。(特許文献1参照)
【0007】
【特許文献1】
特開平9−326753号公報(第3−6頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の無線アクセスシステムでは、基地局装置が多数の加入者局に対して、それぞれ受信レベルRSSIが最適かどうか判断し、最適でない場合は最適な送信レベルにするための送信レベルコントロール指示を加入者局装置に送信するので、特に加入者局が多い場合、基地局装置における負担が大きいという問題点があった。
【0009】
特に、FWAシステムを構成する装置では、データ通信速度がきわめて高速であるため、基本的なデータ通信を行う為の処理に要するCPUパワーが大きく、できる限りそれ以外の処理の軽減が望まれているので、加入者局装置側の送信電力制御のための負荷軽減が望まれている。
【0010】
上記問題点を解決する1つの方法として、基地局装置で、任意の加入者局からの受信レベルとしてRSSIを測定して測定結果を加入者局に送信し、加入者局で、基地局装置から送信される測定結果の受信レベルと最適な受信レベルとの差分に応じて送信電力を調整する無線アクセスシステムが提案されている。平成13年(2001年)7月12日出願の特願2001−211741号「送信電力制御方法及び無線アクセスシステム」(出願人:株式会社日立国際電気)がある。
【0011】
また、別の解決方法として、基地局装置で、任意の加入者局からの受信レベルRSSIとビットエラーレート(BER)を測定して加入者局に送信し、加入者局で、基地局装置から送信されるエラーの有無情報と、受信レベルと最適な受信レベルとの差分に応じて送信電力を調整する無線アクセスシステムが提案されている。平成13年(2001年)12月25日出願の特願2001−391522号「無線アクセスシステム」(出願人:株式会社日立国際電気)がある。
【0012】
上記2つの提案は、基地局装置では、RSSI又はRSSIとBERの測定のみを行い、測定結果を加入者局に送信し、加入者局側で、RSSI又はRSSIとBERに基づく送信電力調整を行うものであるので、基地局装置側の負荷を軽減することができるものとなっている。
【0013】
しかしながら、基地局装置で測定した受信レベルRSSIに基づいて加入者局側の送信電力制御を行う方法では、無線周波数近傍の干渉波がある環境、特に干渉波が多いとき、あるいは干渉波レベルが大きいときの、干渉波のレベルのRSSIレベルへの影響が考慮されていなかった。
【0014】
一方、干渉波レベルのRSSIレベルへの影響を考慮して、基地局装置で測定したBER(ビットエラーレート)基づいて加入者局側の送信電力制御を行う方法では、データ通信速度がきわめて高速である場合に、ビットエラーレート測定に係る負荷が大きくなることが考慮されていなかった。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、基地局装置で加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレート(FER)を測定し、フレームエラーレートに基づいて送信電力制御を行うことにより、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図り、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる無線アクセスシステムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも1つの基地局装置と基地局装置と無線通信を行う少なくとも1つの加入者局装置とを有する無線アクセスシステムであって、
基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果を加入者局装置に送信する基地局装置であり、
加入者局装置が、基地局装置から送信される測定結果を受信し、測定結果が規定のフレームエラーレートを満たすように送信電力を調整する加入者局装置であることを特徴としており、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができる。
【0017】
本発明は、請求項1記載の無線アクセスシステムにおいて、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果をデジタル値に変換し、デジタル値を通常の無線通信のために基地局装置から加入者局装置へ送信する下りフレームに含めて送信する基地局装置であることを特徴としており、基地局装置と加入者局装置間の伝送負荷を増すこと無く加入者局装置における送信電力制御の為の情報を送信して加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができる。
【0018】
本発明は、請求項1又は請求項2記載の無線アクセスシステムにおいて、加入者局装置が、予め基地局装置における規定のフレームエラーレートと、自己の送信電力の制限値とを記憶し、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たしていない場合に、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整して制御する加入者局装置であることを特徴としており、高速通信環境下であっても基地局装置で正確に測定されたフレームエラーレートに基づき、規定のフレームエラーレートを満たすことができるように加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができる。
【0019】
本発明は、請求項3記載の無線アクセスシステムにおいて、基地局装置に通信網を介して接続されて基地局装置及び加入者局装置を管理する管理センターを備え、
加入者局装置が、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整しても、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たさない場合には、管理センターに障害発生の通知を行う加入者局装置であることを特徴としており、送信電力の制限範囲内の調整で規定のフレームエラーレートを満たすことができないような状況に陥る障害発生をいち早く通報できる。
【0020】
本発明は、少なくとも1つの基地局装置と基地局装置と無線通信を行う少なくとも1つの加入者局装置とを有する無線アクセスシステムであって、
基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果が加入者局装置に対応付けて定められている規定のフレームエラーレートを満たすように、加入者局装置に対応付けて定められた送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整するための制御情報を特定し、制御情報を加入者局装置に送信する基地局装置であり、
加入者局装置が、基地局装置から送信される制御情報を受信し、制御情報に従って送信電力を調整する加入者局装置であることを特徴としており、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0022】
本発明に係る無線アクセスシステムは、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果をデジタル値に変換し、デジタル値を通常の無線通信のために基地局装置から加入者局装置へ送信する下りフレームに含めて加入者局装置に送信し、加入者局装置が、予め基地局装置における規定のフレームエラーレートと、自己の送信電力の制限値とを記憶し、基地局装置から送信される測定結果を受信し、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たしていない場合に、送信電力の制限値の範囲内で測定結果が規定のフレームエラーレートを満たすように送信電力を調整し、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整しても、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たさない場合には、管理センターに障害発生の通知を行うものなので、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、基地局装置と加入者局装置間の伝送負荷を増すこと無く、加入者局装置からの送信電力の適正化を図り、送信電力制御不能な障害発生をいち早く通報できる。
【0023】
次に、本発明の実施の形態に係る無線アクセスシステム(本システム)の構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線アクセスシステムの一構成例を示す構成ブロック図である。
本実施例の形態の無線アクセスシステム(本システム)の一構成例としては、図1に示すように、複数の加入者局装置2(図1では加入者局(1)2−1、加入者局(2)2−2)と、基地局装置1と、基地局装置1に接続する記憶装置4と、専用線を用いたATM網などの基幹ネットワーク6と、基地局装置1を基幹ネットワーク6に接続するためのルータ5と、基幹ネットワーク6に接続される管理センター(ネットワーク管理サイト)7とから構成されている。
【0024】
本システムの各構成の説明の前に、加入者局装置2と基地局装置1との送受信される無線フレームのフレーム構成について図2を用いて説明する。図2は、無線フレームの構成を示すフォーマット図である。
無線フレームは、図2に示すように、報知信号、要求信号、許可信号、ACK/NAC(単にACK情報と呼ぶ)、データ信号によって構成されている。
【0025】
報知信号は、基地局装置1と加入者局装置2との間の同期確保のために、基地局装置1から全加入者局装置2に対して一定間隔で送信される制御チャネルである。
要求信号は、ひとつの加入者局装置2が無線区間へのデータ送信を行う際に、基地局装置1に対して送信開始要求を行う制御チャネルである。
許可信号は、基地局装置1が要求信号に対して送信許可を与えるための制御チャネルである。
ACK/NAC(単にACK情報と呼ぶ)は、データ信号に対してACK/NACを返送するための制御チャネルである。
データ信号は、実際にユーザーが送受信しているデータチャネルである。
【0026】
次に、本システムの各部について説明する。
基幹ネットワーク6及びルータ5は、無線アクセスシステムを構成する為の一般的なネットワーク及びルータである。
【0027】
本システムの加入者局装置2は、無線アクセスシステムにおける加入者局装置の一般的な動作として基地局装置1と無線通信を行うことに加えて、本発明の特徴部分として、基地局装置1で測定されて送信されるフレームエラーレート(FER)情報に基づいて、送信電力を制御する加入者局装置である。
【0028】
具体的に加入者局装置2は、パラボラアンテナなどの狭ビームアンテナを備え、無線アクセスシステムにおける加入者局装置の一般的な動作として、基地局装置1から一定間隔で送信される図2に示した無線フレームにおける報知信号を受信し、加入者局装置2がデータ送信を行う際には無線フレームにおける要求信号を用いて送信要求を行い、基地局装置1から無線フレームにおける許可信号を用いて許可が為されれば、データを送受信することができる。
【0029】
そして、本発明の加入者局装置2の特徴部分として、加入者局装置2は、基地局装置1で測定されて送信される自己装置からの上り信号におけるフレームエラーレート(FER)に関する情報を受信して、その値がフレームエラーレート(FER)の規定値を満たしているか否かを判断し、規定値を満たしていない場合に、自己装置の定められた上限である送信電力レベル(送信電力制限値)の範囲内で送信電力を調整して制御するものである。
【0030】
ここで、フレームエラーレート(FER)の規定値は、無線アクセスシステムが通信品質として保証している伝送レート(フレームエラーレート)で、基地局装置1と加入者局装置2間の伝送路状況等によって異なり、システムとして予め定められているもので、各加入者局装置2によって異なる。
【0031】
よって、フレームエラーレート(FER)規定値は、予め加入者局装置2毎に設定されて加入者局装置2に記憶させておくか、又は、管理センター7から基地局装置1を介して各加入者局装置2に通知されるようにしてもよい。
【0032】
また、送信電力制限値は、加入者局装置2の規模や性能に依存する値であり、予め加入者局装置2毎に設定されて記憶されているものとする。
【0033】
加入者局装置2における具体的な送信電力の制御方法としては、基地局装置1で測定されて送信されるFER情報がFER規定値よりも大きく、通信保証品質を満たしていない場合、一般的には、送信電力が小さいと考えられるので、送信電力を微量ずつ増加させてみる制御を行う。但し、送信電力は、予め加入者局装置2毎に制限されている送信電力(送信電力制限値)を超えることなく、送信電力制限値の範囲内で制御を行いながら、フレームエラーレート(FER)が規定値を満たすように調整する。
尚、送信電力制御の詳細および、制御を行うための具体的構成例については、後述する。
【0034】
そして、加入者局装置2において、基地局装置1から送信されるフレームエラーレート(FER)の情報に基づいて送信電力が調整されて変更されると、加入者局装置2は、変更されて設定された送信電力の情報(送信電力設定値と呼ぶ)を無線フレームの要求信号の特定のフィールドを用いて基地局装置1に通知するものである。
【0035】
尚、加入者局装置2では、送信電力制御を行っても制限されている送信電力の最大(送信電力制限値)までの範囲内で規定のフレームエラーレート(FER)(FER規定値)に満たないときには、加入者局装置2の故障あるいは基地局装置1への干渉波が異常に発生していると判断して、基地局装置1、ルータ5、基幹ネットワーク6を介して管理センター7に加入者局装置の障害発生、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害発生を通知する。
或いは、加入者局装置2が基地局装置1に特定加入者局装置の障害発生、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害発生を通知し、基地局装置1がルータ5、基幹ネットワーク6を介して管理センター7に障害発生を通知するようにしても構わない。
【0036】
本システムの基地局装置1は、無線アクセスシステムにおける基地局装置の一般的な動作として配下の加入者局装置2と無線通信を行うことに加えて、本発明の特徴部分として、配下の加入者局装置2からの上り信号のフレームエラーレート(FER)を測定して各加入者局装置2に測定結果を通知する基地局装置である。
【0037】
基地局装置1は、複数の加入者局装置2をカバーするような広角なアンテナを備えている。
また、基地局装置1は、ルータ5を介してATM網などの基幹ネットワーク6に接続され、基幹ネットワーク6を介して管理センター7との通信が可能となっている。
【0038】
また、基地局装置1には、記憶装置4が接続されており、各種管理情報として、加入者管理情報テーブル41と、FERログ情報テーブル42が記憶されている。
加入者管理情報テーブル41は、加入者局装置2に関する送信電力制御を行うための各種情報を記憶するテーブルである。
【0039】
ここで、加入者管理情報テーブル41の具体的構成及び記憶データ例について、図3を使って説明する。図3は、本発明の加入者管理情報テーブル例を示すテーブル図である。
本発明の加入者管理情報テーブル41は、図3に示すように、加入者局装置2の識別子である加入者局IDに対応付ける形で、一般的管理情報であるデータリンク層レベルのアドレスであるMACアドレス及び運用中か否かを示す運用フラグに加え、本発明の特徴部分である加入者局装置送信電力情報及びFER現在値を記憶する。
【0040】
加入者局装置送信電力情報は、各加入者局装置2においてFER情報に基づいて設定された送信電力の設定値情報(送信電力設定値)であり、各加入者局装置2から基地局装置1に随時送信された情報が記憶されるようになっている。尚、図3では、加入者局装置送信電力情報として具体的な数値ではなく、D1,D2,D3という形で、加入者局装置2毎に異なる数値であることを示している。
【0041】
FER現在値は、各加入者局装置2のフレームエラーレート(FER)測定結果のリアルタイムな情報であり、基地局装置1で各加入者局装置2からの上りデータで測定される毎に更新されて記憶されるようになっている。尚、図3では、FER現在値として具体的な数値ではなく、F1,F2,F3という形で、加入者局装置2毎に異なる数値であることを示している。
【0042】
FERログ情報テーブル42は、加入者局装置2に関するフレームエラーレート(FER)の情報のログを時系列に記憶するテーブルである。
ここで、FERログ情報テーブル42の具体的構成及び記憶データ例について、図4を使って説明する。図4は、本発明のFERログ情報テーブル例を示すテーブル図である。
本発明のFERログ情報テーブル42は、図4に示すように、加入者局装置2の識別子である加入者局IDに対応付ける形で、基地局装置1における各測定時間のFER情報を時系列的に記憶する。
【0043】
そして、基地局装置1の動作は、無線アクセスシステムにおける基地局装置の一般的な動作として、一定間隔で図2に示した無線フレームにおける報知信号を送信し、任意の加入者局装置2からの無線フレームにおける要求信号を用いた送信要求を受け取ると、データチャネルの割り当てなど行い、当該加入者局装置2に対して無線フレームにおける許可信号を用いて許可を行い、当該加入者局装置2とのデータ送受信を行う。
【0044】
そして、本発明の基地局装置1の特徴部分として、各加入者局装置2から基地局装置1方向への上りデータ(要求信号、データ信号など)におけるフレームエラーレート(FER)を定期的に測定し、測定したリアルタイムのフレームエラーレート(FER)に関する情報を各加入者局装置2に送信すると共に、当該FERの測定結果を加入者IDに対応づけて記憶装置4の加入者管理情報テーブル41(図3参照)及びFERログ情報テーブル42(図4参照)に記憶する。
【0045】
ここで、フレームエラーレート(FER)の測定は、一般的に送信側でフレーム構成の何れかに誤り検出用の誤り検出符号(Cyclic Redundancy Check:CRC)を挿入して送信し、受信時にこのCRCビットをチェックすることでエラーの有無を判断し、フレームエラーレート(FER)を算出することになる。
尚、基地局装置1におけるフレームエラーレートの測定は、加入者局装置2から既知のPNパターン等を送信し、それに対してエラーレートを測定する方法であっても良い。また、既知のパターンはPNパターンに限定せず、既知であれば何でも良く、特に特定しない。
【0046】
よって、従来のビットエラーレート(BER)測定では、一般的に1フレームに数百〜数万ビット以上のデータがあるために測定母数が膨大で、フレームエラーレート(FER)測定に対して10の2乗〜4乗以上の差がでる。
即ち、フレームエラーレート(FER)の測定は、ビットエラーレート(BER)測定と比べると測定に必要な処理のCPU付加を大幅に軽減できることになる。
【0047】
そして、フレームエラーレート(FER)に関する情報を加入者局装置2に送信する際は、無線アクセスシステムのトラフィックに影響を与えない程度の間隔で、無線フレームによる報知信号、許可信号、或いはACX/NACの送信フレームを用いて、加入者局装置2に送信する。また、送信間隔は、例えば、数十秒から数分程度として、過度にトラフィックに負荷をかけないように行う。
【0048】
また、実際にフレームエラーレート(FER)に関する情報を送信する場合には、FERの測定結果をデジタル値に変換し、デジタル値を許可信号、或いはACK/NAC情報(単にACK情報と呼ぶ)、データ情報などの通常の無線通信でやりとりを行う下りフレームに含めて加入者局装置2に送信するようになっている。
尚、如何なるフレームにFERの測定結果を組み込むかについては、フレームエラーレートのディジタル値(FER情報)のビット数に応じて許可信号或いはACK情報、又はデータ情報送信フレームのどれかを選んで送信するようにしてもよい。
【0049】
ここで、基地局装置1から加入者局装置2に送信される下りフレームのフォーマットについて図5を使って説明する。図5は、本発明の無線アクセスシステムにおける基地局装置から送信される下りフレームのフォーマット図である。
基地局装置1から加入者局装置2に送信される下りフレームは、図5に示すように、送信するデータを組み込むデータ部と、FER測定結果をデジタル変換により16進の値としたFER情報と、受信したデータを正しく受信したか否かを示すACK情報とから構成されている。尚、データ部は無い場合もある。
ここで、データ部とACK情報の送信フレームは、従来から送信しているもので、本実施例では、データ部とACK情報の送信フレームにFER情報を組み入れて送信するものであり、FER情報送信のための特別なフレームを送信するわけではない。
【0050】
そして、本発明の基地局装置1は、各加入者局装置から要求信号を用いて通知される各加入者局装置における送信電力設定値を受信し、当該送信電力設定値を加入者IDに対応づけて記憶装置4の加入者管理情報テーブル41(図3参照)に記憶する。
【0051】
そして、本発明の基地局装置1では、各加入者局装置2からの要求信号を監視し、一定期間要求信号を受信しない加入者局装置2がある場合には、当該加入者局装置2に障害が発生したと判断して、ルータ5及び基幹ネットワーク6を介して管理センター7に障害発生の通知を行う。
【0052】
ここで、管理センター7への通知の方法の一例としては、TCP/IPネットワークにおいて、ルータやコンピュータ、端末など、ネットワークに接続された通信機器をネットワーク経由で監視・制御するためのプロトコルとして知られているSNMP(Simple Network Management Protocol)を用い、SNMP−TRAPメッセージで管理センター7に通知を行う。尚、SNMPを用いる場合、記億装置4の加入者管理情報テーブル41及びFERログ情報テーブル42は、SNMPの制御の対象となる機器の管理情報データベースでるところのMIB(Management Information Base)に相当する。
【0053】
また、基地局装置1は、記憶装置4の加入者管理情報テーブル41及びFERログ情報テーブル42を定期的に、又は管理センター7から指示によりチェックし、各加入者局装置2の状況として送信電力情報(送信電力設定値)、或いは送信電力情報とフレームエラーレート(FER)現在値の両方の情報を同時に管理センター7に通知している。
なお、管理センター7への各加入者局装置2の状況報告は、任意の加入者局装置2が異常と判断された場合にのみ、基地局装置1が管理センター7に行うものであってもよい。
【0054】
また、基地局装置1は、管理センター7からの要求に応じて、指定された加入者局装置2に関して記憶装置4のFERログ情報テーブル42に蓄積されたFERのログ情報を管理センター7に送信する。
【0055】
管理センター7は、無線アクセスシステムのネットワーク管理を行うサイトであり、管理専用のPC又はサーバーなどの処理装置を備えたものである。
そして、管理センター7は、基幹ネットワーク6及びルータ5等を介して複数の基地局装置1(図1では1つの基地局装置1のみ記載)に接続され、複数の基地局装置1および当該基地局装置1管理下の複数の加入者局装置2の状況を監視し、障害があれば障害発生の通知を受けて表示等の報知を行うものである。
【0056】
また、管理センター7は各基地局装置1に対して、管理下の加入者局装置1の加入者ID、MACアドレス、運用フラグなどの一般的な加入者管理情報を通知して、各基地局装置1において記憶装置4の加入者管理情報テーブル41およびFERログ情報テーブル42に設定されるようになっている。
【0057】
また、管理センター7は、障害が発生した加入者局装置2を管理する基地局装置1に対して該当の加入者局装置2に関するFERのログ情報を要求し、基地局装置1から送信されるFERのログ情報を受信して記憶し、障害解析などに利用する。
【0058】
次に、本発明の無線アクセスシステムの動作について、図1を使って説明する。
本発明の無線アクセスシステムでは、管理センター7から各基地局装置1に対して、管理下の加入者局装置1の加入者ID及び一般的な加入者管理情報が通知されて、各基地局装置1において記憶装置4の加入者管理情報テーブル41およびFERログ情報テーブル42に設定されている。
【0059】
そして、基地局装置1において、定期的に任意の加入者局装置2からの上りデータ(要求信号、データ信号など)を受信すると、フレームエラーレート(FER)を測定し、測定結果をデジタル値に変換して当該加入者局装置2に送信すると共に、測定結果をリアルタイムなFER情報として加入者IDに対応づけて記憶装置4の加入者管理情報テーブル41(図3参照)及びFERログ情報テーブル42(図4参照)に記憶される。
【0060】
基地局装置1から送信されたフレームエラーレート(FER)情報は、加入者局装置2で受信され、加入者局装置2において、FER情報の値がFER規定値の範囲内におさまるように、また送信電力の制限値を超えないように送信電力が調整されて設定され、送信電力設定値が基地局装置1に通知(送信)される。
【0061】
基地局装置1では、加入者局装置からの送信電力設定値を受信し、当該送信電力設定値が加入者IDに対応づけて記憶装置4の加入者管理情報テーブル41(図3参照)に記憶される。
【0062】
上記のように、基地局装置1と加入者局装置2との間のFER情報及び送信電力設定値のやり取りによって加入者局装置2からの送信電力を制御する過程で、基地局装置1が各加入者局装置2からの要求信号を監視し、一定期間要求信号を受信しない加入者局装置2がある場合には、当該加入者局装置2に障害が発生したと判断して、ルータ5及び基幹ネットワーク6を介して管理センター7に障害発生の通知を行い、管理センター7で障害発生を報知するような表示等を行う。
【0063】
また、加入者局装置2において、送信電力制御の過程で、送信電力制限値に達してもフレームエラーレート(FER)がFER規定値に満たないときには、加入者局装置2の故障あるいは基地局装置1への干渉波が異常に発生していると判断して、加入者局装置2が基地局装置1又は管理センター7に加入者局装置の障害、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害を通知し、管理センター7で障害発生の表示などによる報知を行う。
【0064】
次に、本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置2の構成例について、図6を使って説明する。図6は、本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置の構成例を示すブロック図である。
本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置2の構成例としては、図6に示すように、アンテナ21と、可変ATT(Attenuator)23を有するRF(Radio Frequency)部22と、IF(Intermediate Frequency)部24と、ベースバンド(Base band)部25と、送信レベル設定手段27を有する制御部26とから構成されている。
【0065】
次に、本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置2を構成する各部について具体的に説明する。
アンテナ21は、基地局装置1と無線通信を行うもので、受信した無線信号を可変ATT23bに出力し、可変ATT23aから入力した無線信号を送出するようになっている。
【0066】
RF部22は、無線高周波信号の送受信を行い、高周波信号と中間周波信号との周波数変換を行うもので、本発明の特徴部分である送信電力制御のための高周波信号の電力調整を行う可変ATT23aと、可変ATT23bを有している。
可変ATT23は、電気信号を減衰させるアッテネータであって、入力される設定位置に従って減衰率を変化させることができる一般的な可変アッテネータであり、可変ATT23aは、IF部24からの送信信号を高周波信号に変換した信号を減衰してアンテナ21に出力するものであり、可変ATT23bは、アンテナ21からの受信高周波信号を減衰してから中間周波への変換を行わせるものである。
【0067】
IF部24は、中間周波信号を扱う一般的なIF部であり、RF部22からの受信中間周波信号からベースバンド信号を取り出し、またベースバンド部25からの送信ベースバンド信号を中間周波に変換してRF部22に出力するものである。
【0068】
ベースバンド部25は、ベースバンド信号の変調及び復調を行う一般的なベースバンド部であり、制御部26から入力したデータをベースバンド信号に変調してIF部24に出力し、IF部24から入力したベースバンド信号からデータを復調して制御部26に出力するようになっている。
【0069】
制御部26は、加入者局装置2全体の制御を行うものであるが、本発明の特徴部分として、基地局装置1から送信されるFERの測定結果に従い、基地局装置1におけるFERが向上するように送信電力を設定する送信レベル設定手段27を有するものである。
【0070】
送信レベル設定手段27は、予めフレームエラーレート(FER)の規定値と送信電力制限値とを記憶しておき、基地局装置1から受信したFERの測定結果がFER規定値を満たすよう、また、送信電力が送信電力制限値を超えないように送信電力を設定するものである。
【0071】
具体的な送信電力制御方法の例としては、前回のFER情報を記憶しておき、例えば、現在の送信電力Pに対してFERを小さくするための送信電力の上昇分としてΔPだけ電力を上昇させるように、可変ATT23aの減衰率を調整するレベル設定データが生成されて可変ATT23aに出力され、可変ATT23aの減衰率が変化して、送信電力がΔPだけ上げられて、次のデータは送信されるようになっている。
そして、ΔP電力上昇の結果、受信したFERが改善されれば、更にΔPだけ上昇させて、次のデータは送信されるようになっている。
【0072】
但し、この時現在の送信電力Pが既に規定の最大電力に達していたなら、これ以上送信電力を上げることはできないため、基地局装置1又は管理センター7に加入者局装置の障害、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害を通知する処理を行う。
【0073】
本発明の実施の形態の無線アクセスシステムによれば、基地局装置1では、任意の加入者局装置2からの受信フレームでフレームエラーレート(FER)を測定して、測定結果を当該加入者局装置2に送信し、加入者局装置2では、受信したFERの測定結果が、予め設定されているフレームエラーレート(FER)の規定値の範囲内であるか判断し、範囲内でない場合に送信電力を送信電力制限値の範囲内で制御して基地局装置1にデータを送信するので、基地局装置1における送信電力制御のための負荷を軽減しながら、かつ無線通信におけるデータ伝送レートが適正化されて、システムとして保証している伝送レート(FER規定値)を満たした通信品質を提供できる効果がある。
【0074】
特に、本発明の実施の形態の無線アクセスシステムでは、基地局装置1における測定を従来のようにRSSIとするのではなく、FER(フレームエラーレート)とすることにより、干渉波などを除去した希望波に対するエラーレートが測定できるので、無線周波数近傍の干渉波がある環境、特に干渉波が多いとき、あるいは干渉波レベルが大きい状況であっても、FERは受信レベル(RSSI)のように干渉波のレベルの影響を受けないため、希望波に基づく加入者局装置2における送信電力を制御するために有効な情報を取得することができ、無線通信におけるデータ伝送レートが適正化されて、通信品質を向上できる効果がある。
【0075】
また、本発明の実施の形態の無線アクセスシステムでは、基地局装置1における測定を従来のようにBER(ビットエラーレート)とするのではなく、FER(フレームエラーレート)とすることにより、フレーム中に通常挿入されているCRCビットのチェックでエラーレートが測定できるので、測定母体を小さくできるので、基地局装置1におけるフレームエラーレート(FER)測定のためのデータ処理に要するCPUパワーを大幅に低減できる効果がある。
【0076】
また、基地局装置1は、フレームエラーレート(FER)測定結果をデジタル値に変換してFER情報とし、ACK情報送信フレームや、許可信号などに含めて送信するので、わざわざFER情報の送信用のフレームを生成することなく、基地局装置1から加入者局装置2への伝送負荷を増すこと無くFER情報を送信することができる効果がある。
【0077】
また、加入者局装置2毎に伝送路に応じたFER規定値を予め設定して記憶しておき、基地局装置1から送信されるFER情報がFER規定値の範囲内におさまるように送信電力を調整して基地局装置1にデータを送信するので、伝送路の回線品質が異なる場合があっても、個々の加入者局装置2毎にFER規定値を設定することができ、回線状況に特化した送信電力制御を行うことができる効果がある。
【0078】
また、本発明の無線アクセスシステムによれば、加入者局装置2における送信電力制御の過程で、送信電力制限値に達してもフレームエラーレート(FER)がFER規定値の範囲に満たないときには、加入者局装置2の故障あるいは基地局装置1への干渉波が異常に発生していると判断して、加入者局装置2が基地局装置1又は管理センター7に加入者局装置の障害、あるいは基地局装置周辺の伝搬環境に対する障害を通知し、管理センター7で障害発生の表示などによる報知を行うので、異常があるときにはすぐに管理センター7に通知され、障害に対して迅速に対応でき、システムの信頼性を向上できる効果がある。
【0079】
また、本発明の無線アクセスシステムによれば、基地局装置1が、各加入者局装置2のFER測定結果を時系列的に記憶装置4のFERログ情報テーブル42に記憶させ、また各加入者局装置2から通知された送信電力情報(送信電力設定値)を記憶装置4の加入者管理情報テーブル41に記憶させておき、定期的に、又は管理センター7から指示によりFERログ情報テーブル42をチェックして、各加入者局装置2の状況として送信電力情報(送信電力設定値)、或いは送信電力情報とフレームエラーレート(FER)現在値の両方の情報を同時に管理センター7に通知するので、管理センター7で配下の基地局装置1及びその管理下の加入者局装置2の状況を監視でき、システムの運用管理能力が向上して安定したサービスを提供できる効果がある。
【0080】
また、本発明の無線アクセスシステムによれば、管理センター7は、障害が発生した加入者局装置2を管理する基地局装置1に対して該当の加入者局装置2に関するFERのログ情報を要求し、基地局装置1は、指定された加入者局装置2に関して記憶装置4のFERログ情報テーブル42に蓄積されたFERのログ情報を管理センター7に送信し、管理センター7はFERログ情報を受信して記憶し、障害解析などに利用するので、障害が起きたときには各加入者局装置のフレームエラーレートの履歴を参考にすることができ、障害の特定が容易になり、システムの運用管理能力が向上して安定したサービスを提供できる効果がある。
【0081】
上記本発明の説明では、基地局装置1で各加入者局装置2からの上りデータ(フレーム)でフレームエラーレート(FER)を測定し、測定結果を加入者局装置2に送信して加入者局装置2で送信電力制御を行うものであったが、基地局装置1におけるフレームエラーレート(FER)の測定により、課題で説明した特願2001−211741号又は特願2001−391522号の提案で用いられるRSSI測定やビットエラーレート(BER)測定に比べて充分基地局装置1の負荷を軽減できた場合には、従来のように、基地局装置1内で、各加入者局装置2に対する送信電力制御のための情報(送信レベルコントロール指示)を作成して各加入者局装置2に送信し、加入者局装置2では、受信した送信レベルコントロール指示に従って送信電力を変更するようにしても構わない。
【0082】
その場合には、基地局装置1内に予め加入者局装置毎に定められたFERの規定値と送信電力上限値とを記憶しておき、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレート(FER)を測定し、当該フレームエラーレートの値と当該加入者局装置のFER規定値とを比較して当該加入者局装置における送信電力上限値の範囲内で送信電力制御のための情報(送信レベルコントロール指示)を作成して当該加入者局装置2に送信する。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果を加入者局装置に送信し、加入者局装置が、基地局装置から送信される測定結果を受信し、測定結果が規定のフレームエラーレートを満たすように送信電力を調整する無線アクセスシステムとしているので、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができ、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる効果がある。
【0084】
本発明によれば、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果をデジタル値に変換し、デジタル値を通常の無線通信のために基地局装置から加入者局装置へ送信する下りフレームに含めて送信する上記無線アクセスシステムとしているので、基地局装置と加入者局装置間の伝送負荷を増すこと無く加入者局装置における送信電力制御の為の情報を送信して加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができ、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる効果がある。
【0085】
本発明によれば、加入者局装置が、予め基地局装置における規定のフレームエラーレートと、自己の送信電力の制限値とを記憶し、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たしていない場合に、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整して制御する上記無線アクセスシステムとしているので、高速通信環境下であっても基地局装置で正確に測定されたフレームエラーレートに基づき、規定のフレームエラーレートを満たすことができるように加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができ、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる効果がある。
【0086】
本発明によれば、基地局装置に通信網を介して接続されて基地局装置及び加入者局装置を管理する管理センターを備え、加入者局装置が、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整しても、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たさない場合には、管理センターに障害発生の通知を行う上記無線アクセスシステムとしているので、送信電力の制限範囲内の調整で規定のフレームエラーレートを満たすことができないような状況に陥る障害発生をいち早く通報でき、システムの信頼性を向上できる効果がある。
【0087】
本発明によれば、基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、測定結果が加入者局装置に対応付けて定められている規定のフレームエラーレートを満たすように、加入者局装置に対応付けて定められた送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整するための制御情報を特定し、制御情報を加入者局装置に送信し、加入者局装置が、基地局装置から送信される制御情報を受信し、制御情報に従って送信電力を調整する無線アクセスシステムとしているので、高速通信環境下であっても基地局装置側の送信電力制御に係る負荷を軽減し、加入者局装置からの送信電力の適正化を図ることができ、伝送品質を向上してシステムとして保証している通信品質を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線アクセスシステムの一構成例を示す構成ブロック図である。
【図2】無線フレームの構成を示すフォーマット図である。
【図3】本発明の加入者管理情報テーブル例を示すテーブル図である。
【図4】本発明のFERログ情報テーブル例を示すテーブル図である。
【図5】本発明の無線アクセスシステムにおける基地局装置から送信される下りフレームのフォーマット図である。
【図6】本発明の無線アクセスシステムにおける加入者局装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…基地局装置、 2…加入者局装置、 4…記憶装置、 5…ルータ、 6…基幹ネットワーク、 7…管理センター、 41…加入者管理情報テーブル、42…FERログ情報テーブル
Claims (5)
- 少なくとも1つの基地局装置と前記基地局装置と無線通信を行う少なくとも1つの加入者局装置とを有する無線アクセスシステムであって、
前記基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、前記測定結果を前記加入者局装置に送信する基地局装置であり、
前記加入者局装置が、前記基地局装置から送信される測定結果を受信し、前記測定結果が規定のフレームエラーレートを満たすように送信電力を調整する加入者局装置であることを特徴とする無線アクセスシステム。 - 基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、前記測定結果をデジタル値に変換し、前記デジタル値を通常の無線通信のために前記基地局装置から前記加入者局装置へ送信する下りフレームに含めて送信する基地局装置であることを特徴とする請求項1記載の無線アクセスシステム。
- 加入者局装置が、予め基地局装置における規定のフレームエラーレートと、自己の送信電力の制限値とを記憶し、受信した測定結果が前記規定のフレームエラーレートを満たしていない場合に、前記送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整して制御する加入者局装置であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無線アクセスシステム。
- 基地局装置に通信網を介して接続されて基地局装置及び加入者局装置を管理する管理センターを備え、
加入者局装置が、送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整しても、受信した測定結果が規定のフレームエラーレートを満たさない場合には、前記管理センターに障害発生の通知を行う加入者局装置であることを特徴とする請求項3記載の無線アクセスシステム。 - 少なくとも1つの基地局装置と前記基地局装置と無線通信を行う少なくとも1つの加入者局装置とを有する無線アクセスシステムであって、
前記基地局装置が、任意の加入者局装置からの信号を受信してフレームエラーレートを測定し、前記測定結果が前記加入者局装置に対応付けて定められている規定のフレームエラーレートを満たすように、前記加入者局装置に対応付けて定められた送信電力の制限値の範囲内で送信電力を調整するための制御情報を特定し、前記制御情報を前記加入者局装置に送信する基地局装置であり、
前記加入者局装置が、前記基地局装置から送信される制御情報を受信し、前記制御情報に従って送信電力を調整する加入者局装置であることを特徴とする無線アクセスシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003063064A JP2004274432A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 無線アクセスシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003063064A JP2004274432A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 無線アクセスシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004274432A true JP2004274432A (ja) | 2004-09-30 |
Family
ID=33124749
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003063064A Pending JP2004274432A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 無線アクセスシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004274432A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006217206A (ja) * | 2005-02-03 | 2006-08-17 | Oki Electric Ind Co Ltd | 減衰波指向性のアンテナ装置及びそれを用いた携帯端末装置 |
WO2008050467A1 (fr) * | 2006-10-27 | 2008-05-02 | Mitsubishi Electric Corporation | Procédé de communication de données, système de communication et terminal mobile |
JP2010517491A (ja) * | 2007-01-30 | 2010-05-20 | クゥアルコム・インコーポレイテッド | 無線通信での制御チャネル制約 |
JP2017212675A (ja) * | 2016-05-27 | 2017-11-30 | Necプラットフォームズ株式会社 | 無線通信装置、方法及びプログラム |
JP2017536771A (ja) * | 2014-11-27 | 2017-12-07 | 華為技術有限公司Huawei Technologies Co.,Ltd. | 送信電力決定方法および装置 |
-
2003
- 2003-03-10 JP JP2003063064A patent/JP2004274432A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006217206A (ja) * | 2005-02-03 | 2006-08-17 | Oki Electric Ind Co Ltd | 減衰波指向性のアンテナ装置及びそれを用いた携帯端末装置 |
WO2008050467A1 (fr) * | 2006-10-27 | 2008-05-02 | Mitsubishi Electric Corporation | Procédé de communication de données, système de communication et terminal mobile |
US9019983B2 (en) | 2006-10-27 | 2015-04-28 | Mitsubishi Electric Corporation | Data communication method, communication system and mobile terminal |
US9635656B2 (en) | 2006-10-27 | 2017-04-25 | Mitsubishi Electric Corporation | Data communication method, communication system and mobile terminal |
US10165558B2 (en) | 2006-10-27 | 2018-12-25 | Mitsubishi Electric Corporation | Data communication method, communication system and mobile terminal |
JP2010517491A (ja) * | 2007-01-30 | 2010-05-20 | クゥアルコム・インコーポレイテッド | 無線通信での制御チャネル制約 |
JP2017536771A (ja) * | 2014-11-27 | 2017-12-07 | 華為技術有限公司Huawei Technologies Co.,Ltd. | 送信電力決定方法および装置 |
JP2017212675A (ja) * | 2016-05-27 | 2017-11-30 | Necプラットフォームズ株式会社 | 無線通信装置、方法及びプログラム |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN100380995C (zh) | 无线电资源管理方法及其管理设备、基站以及终端 | |
JP4905558B2 (ja) | 中継局、無線通信システムおよび負荷分散方法 | |
US9369955B2 (en) | Method, device, and system for regulating power consumption | |
EP2614666B1 (en) | Monitoring cellular radio access node performance | |
EP2260668B1 (en) | Interference reduction in a communication network by scheduling and link adaptation | |
TWI390897B (zh) | 無線區域網路中使用的存取點及其方法 | |
KR102296164B1 (ko) | 무선 통신 시스템에서 안테나 파라미터를 최적화하기 위한 장치 및 방법 | |
JP5378317B2 (ja) | 無線通信システムの送信電力設定方法及び無線基地局装置 | |
JP5283443B2 (ja) | 複合通信システム、禁止信号送信装置、無線基地局及び方法 | |
CN101322339B (zh) | 用于广播对应于相邻基站的负载信息的方法和设备 | |
FI108984B (fi) | Solukkoradiojärjestelmän toiminnan mittausmenetelmä ja solukkoradiojärjestelmä | |
CN111357324A (zh) | 用于在无线通信系统中执行与切换相关的测量的设备和方法 | |
CN107211285B (zh) | 用于匹配上行和下行链路覆盖区域的无线网络节点及方法 | |
JP2006527547A (ja) | 使用可能な上り送信電力を管理するためのシステム及び方法 | |
EP1999980A1 (en) | Method and apparatus for functional testing of a base station system | |
WO2002041511A1 (en) | Operations, administration and maintenance of components in a mobility network | |
EP3797545B1 (en) | Automatically optimising cell parameter of serving base station | |
US20150365959A1 (en) | A protection system for wireless nlos backhaul | |
KR100959038B1 (ko) | 자가 구성 가능 광대역 무선통신 시스템에서 파라미터 롤백장치 및 방법 | |
KR20110058420A (ko) | 이동 통신 시스템에서 서빙 기지국을 변경하는 방법 및 장치 | |
JPH11355840A (ja) | 無線通信システムおよびその制御方法 | |
JP2004274432A (ja) | 無線アクセスシステム | |
US9178585B2 (en) | Pilot channel configuration for MIMO network | |
JP5578992B2 (ja) | 無線移動局装置 | |
JP2001168795A (ja) | 無線アクセスシステム |