JP2004273141A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】メタノール等の高エネルギー密度を有する液体燃料を燃料として使用することができるSOFCモジュールを備えた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池素子を複数接続した燃料電池モジュールへ水素および一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料改質槽と、前記燃料電池モジュール内で空気ブロワーから供給された酸化剤と前記燃料改質槽から供給された燃料ガスとが発電反応することによって生成した水蒸気と二酸化炭素と熱とを含む排気ガスが流れる排ガス流路と、気体燃料を貯えた第一の燃料タンクと、液体燃料液を貯えた第二の燃料タンクと、前記第一の燃料タンクに貯えられた燃料を加熱および加湿して前記燃料改質槽へ供給する加熱加湿槽と、前記第二の燃料タンクに貯えられた燃料液を、前記排ガス流路からの熱によって気化させて前記燃料改質槽へ供給する気化槽と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】固体酸化物形燃料電池素子を複数接続した燃料電池モジュールへ水素および一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料改質槽と、前記燃料電池モジュール内で空気ブロワーから供給された酸化剤と前記燃料改質槽から供給された燃料ガスとが発電反応することによって生成した水蒸気と二酸化炭素と熱とを含む排気ガスが流れる排ガス流路と、気体燃料を貯えた第一の燃料タンクと、液体燃料液を貯えた第二の燃料タンクと、前記第一の燃料タンクに貯えられた燃料を加熱および加湿して前記燃料改質槽へ供給する加熱加湿槽と、前記第二の燃料タンクに貯えられた燃料液を、前記排ガス流路からの熱によって気化させて前記燃料改質槽へ供給する気化槽と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸化物形燃料電池素子を複数接続した燃料電池モジュール(以下、SOFCモジュールと示す。)を備えた燃料電池システムに関する。特には、可搬型機器や小型機器の電源に好適な燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、小型機器の電源として二次電池が用いられている。二次電池はこの10年間で鉛蓄電池、ニッカド電池から、小型で高密度タイプのニッケル水素電池、リチウムイオン電池へとシフトしてきた。現在では、小型で高密度・高出力という観点から小型機器用の電源としては、主にリチウムイオン2次電池が用いられている。(例えば、非特許文献1参照。)
【0003】
ノート型パソコン等の小型機器用燃料電池システムとして、水素燃料を用いた固体高分子型燃料電池(以下、PEFCと示す。)を備えた電源システムが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
ノート型パソコン等の小型機器用燃料電池システムとして、メタノール燃料を用いた固体高分子型燃料電池(以下、DMFCと示す。)を備えた電源システムが提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0005】
【非特許文献1】
[燃料電池Vol.2] 燃料電池開発情報センター出版、2002年7月1日発行、P4−16
【特許文献1】
特開平9−213359号公報(第1−第5頁、第一〜第二十図)
【特許文献2】
特開2002−56856号公報(第1−第6頁、第一〜第六図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
小型機器用電源のニーズとしては、例えば、ノートパソコンの通信源としての用途で考えると連続8時間以上稼動できる電源が要求される。これに対して、現状のリチウムイオン2次電池では、携帯電話の通話時間で連続2時間の通話が限界である。2次電池は、活物質の化学種を代えることで小型高性能化を達成してきたが、リチウム以上の高エネルギー化学種を見出すことはできない。すなわち、電池容量を変えずにエネルギー密度を4倍以上にすることはほぼ不可能であり、ニーズに応えるためには新たな電源システムが必要であった。
【0007】
リチウム二次電池より高いエネルギー密度を有する新たな電源システムとして燃料電池を挙げることができる。燃料電池のエネルギー密度はメタノールを燃料として用いた場合で考えると、リチウムイオン二次電池のおおよそ10倍のエネルギー密度を有しており、新しい小型機器用電源として期待される。小型機器用の燃料電池としては、特許文献1および特許文献2に示されるPEFCおよびDMFCと呼ばれる電解質が固体高分子タイプの燃料電池が有望視されている。
【0008】
PEFCは100℃以下で使用されるため燃料極触媒として白金を含む触媒が使用される。白金を含む触媒は一酸化炭素を含む燃料が供給されると劣化するため、都市ガス等の炭化水素系の燃料を供給する場合、燃料改質層だけでなく一酸化炭素を二酸化炭素に完全に改質する改質槽を新たに設けなければならない。さらに、一酸化炭素を二酸化炭素に変える反応は、(1)式に示すような発熱反応であるため前記改質槽とPEFC部との燃料供給流路に100℃以下に冷却する機構を設けなければならない。それゆえ、システムをコンパクト化することができないことと、エネルギー効率が低いという問題があった。
CO + 1/2O2 = CO2 + 284.7kJ/mol … (1)
【0009】
DMFCでは、高濃度のメタノールを燃料として用いるとメタノールが電解質膜を透過するメタノールクロスオーバーという現象が生じ、出力性能が低下するという問題がある。このため、現状のDMFCにおけるメタノール燃料の濃度は10%程度である。この濃度ではリチウムイオン二次電池のエネルギー密度と同程度であり、高濃度のメタノールで発電できる燃料電池システムの開発が課題とされてきた。
【0010】
SOFCでは、電気とともに高温の熱を発生させることができるため発電効率が高いことと、水素だけでなく一酸化炭素やメタンなどの気体燃料を燃料として使用することができるため、燃料多様性に優れているというメリットがある。しかし、メタノール等の高エネルギー密度を有する液体燃料を燃料として使用することが難しいという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、SOFCの燃料多様性に優れることと、高温の熱を発生させることができるという2つのメリットを利用して、メタノール等の高エネルギー密度を有する液体燃料を燃料として使用することができるSOFCモジュールを備えた燃料電池システムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、SOFCモジュールと、前記SOFCモジュールへ酸化剤を供給する空気ブロワーと、前記SOFCモジュールへ水素および一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料改質槽と、前記SOFCモジュール内で前記空気ブロワーから供給された酸化剤と前記燃料改質槽から供給された燃料ガスとが発電反応することによって生成した水蒸気と二酸化炭素と熱とを含む排気ガスが流れる排ガス流路と、常温・常圧で気体となる燃料を貯えた第一の燃料タンクと、常温・常圧で液体となる燃料液を貯えた第二の燃料タンクと、前記第一の燃料タンクに貯えられた燃料を加熱および加湿して前記燃料改質槽へ供給する加熱加湿槽と、前記第二の燃料タンクに貯えられた燃料液を、前記排ガス流路からの熱によって気化させて前記燃料改質槽へ供給する気化槽と、を備えることを特徴とする燃料電池システムを提供する。
【0013】
本発明によれば、常温・常圧で気体となる燃料を用いて、燃料の改質に必要な熱と水蒸気を発生させ、高エネルギー密度を有する常温・常圧で液体となる燃料液をSOFCモジュールの発電によって生じた熱によって気化させた後、燃料改質槽で水素および一酸化炭素を含む燃料に改質させる機構なので、コンパクトで高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0014】
この理由は、燃料改質に必要な熱を得るためのヒーターや、水タンクおよび水蒸気気化器等を設ける必要がないのでシステムをコンパクトにできることと、高エネルギー密度を有する燃料液を本システムで発生した熱によって気化させ、これを燃料として使用しているためSOFCモジュールの発電性能を向上させることができるためである。
【0015】
上記目的を達成するために第2の発明は、加熱加湿槽における加熱および加湿は、第一の燃料タンクに貯えられた燃料と、空気ブロワーから供給された酸化剤と、の化学反応によって生じることをを提供する。
【0016】
本発明によれば、加熱および加湿を空気ブロワーで取り込まれた酸化剤の一部を用いて行うので、コンパクトな燃料電池システムを提供することができる。
【0017】
この理由は、1つの空気ブロワーで酸化剤をSOFCモジュールおよび加熱加湿槽へ供給することができるためである。
【0018】
上記目的を達成するために第3の発明は、第一の燃料タンクに貯えられた燃料は、排ガス流路からの熱によって加温されて加熱加湿槽へ供給されることを提供する。
【0019】
本発明によれば、SOFCモジュールから出る熱の排熱を有効活用して温める機構を有するので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0020】
この理由は、温められた気体燃料を燃料改質槽に供給した方が燃料改質反応を効率良く行うことができるためである。
【0021】
上記目的を達成するために第4の発明は、空気ブロワーから供給された酸化剤は、排ガス流路からの熱によって加温されて、SOFCモジュールおよび加熱加湿槽に供給されることを提供する。
【0022】
本発明によれば、酸化剤を本発明におけるSOFCモジュール発電で生じた熱のによって温める機構を有するので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0023】
この理由は、SOFCモジュールの熱によって酸化剤を加温できるため、SOFCモジュールおよび加熱加湿槽に供給される酸化剤を新たにヒーター等を設けて温める必要がないためである。
【0024】
上記目的を達成するために第5の発明は、第二の燃料タンクには、SOFCモジュールの発電によって生じる電気によって作動する燃料液供給ポンプを有することを提供する。
【0025】
本発明によれば、第二の燃料タンクには、SOFCモジュールの発電によって生じる電気によって作動する燃料供給ポンプを有するので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0026】
この理由は、常温・常圧で液体となる燃料液は、気体燃料と異なり低圧であるためタンクを開けても燃料は流れないためポンプ等で供給する必要があるが、これを外部電源を必要とせず、SOFCモジュールの発電によって作動させることができるためである。
【0027】
上記目的を達成するために第6の発明は、空気ブロワーは、SOFCモジュールの発電によって生じる電気によって作動することを提供する。
【0028】
本発明によれば、空気ブロワーをSOFCモジュールによって作動させることができるため高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0029】
この理由は、空気ブロワーを作動させるための外部電源が不要となるためである。
【0030】
上記目的を達成するため第7の発明は、第二の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で液体となる燃料液は、メタノールであることを提供する。
【0031】
本発明によれば、第二の燃料タンクに貯えられた燃料液がメタノールであるので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0032】
この理由は、メタノール燃料は、リチウムイオン二次電池よりエネルギー密度が10倍程度有する高エネルギー密度を有するためである。また、SOFCモジュールで発生する熱を利用して、気化させることができるため高エネルギー密度の状態の燃料として使用することができるためである。さらに、メタノールは水蒸気と反応して、(2)式に示されるように一酸化炭素と水素を生成するが、SOFCの場合は一酸化炭素を燃料として使用することができるため、SOFCモジュールの発電効率を向上させることができるためである。
CH3OH + H2O = CO + 3H2 −49.8kJ/mol … (2)
【0033】
上記目的を達成するため第8の発明は、第一の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で気体となる燃料は、ジメチルエーテルであることを提供する。
【0034】
本発明によれば、第一の燃料タンクにおける燃料がジメチルエーテルなのでコンパクトで高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0035】
この理由は、ジメチルエーテルは数気圧にすると液化するため、液体として容易に燃料タンクに詰めることができるので、燃料タンクを小さくすることができることと、常温・常圧で気化するので燃料タンクを開けると即気化することと、揮発性が高く酸素と燃焼反応を低温で起こすことができ、容易に燃料電池システムを稼動させることができるためである。さらに、ジメチルエーテルには硫黄などの成分がほとんど含まれていないためシステム内に脱硫装置を設ける必要がなく、コンパクトにすることができるためである。
【0036】
上記目的を達成するため第9の発明は、燃料改質槽からSOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜950℃であることを提供する。
【0037】
本発明によれば、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜950℃であるので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0038】
この理由は、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃未満であるとSOFCモジュールにおける温度が500℃未満となり電池素子から得られる出力が低いので、トータルの燃料電池モジュールで得られる出力が低くなるためで、一方、950℃より高温になるとSOFCモジュールの温度は1000℃を超える可能性があり、SOFCから得られる出力が低下することと、高温を維持するために断熱材の厚みを厚くしなければならないので、システムが大きくなってしまうためである。
【0039】
上記目的を達成するため第10の発明は、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜650℃であることを提供する。
【0040】
本発明によれば、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜650℃であるのでコンパクトな燃料電池システムを提供することができる。
【0041】
この理由は、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜650℃程度であると、SOFCモジュール前段で必要な熱量を減らすことができるので燃料タンク等をよりコンパクトにできることと、放熱が小さいため断熱材の厚みを薄くすることができ、システム全体をコンパクトにすることができるためである。
【0042】
上記目的を達成するため第11の発明は、常温・常圧で気体となる燃料が貯えられた第一の燃料タンクのバルブを開放し前記燃料を燃料改質槽に供給する手段と、前記燃料改質槽において400℃以上の温度に達したら水素および一酸化炭素を含む燃料ガスをSOFCモジュールに供給する手段と、前記SOFCモジュールにおいて発電反応を起こさせる手段と、前記発電反応によって生じた電気によって常温・常圧で液体となる燃料液が貯えられた第二の燃料タンクに備えられた燃料液供給ポンプおよび空気ブロワーを作動する手段と、前記燃料液を前記SOFCモジュール反応で発生した熱によって気化する手段と、前記SOFCモジュールにおいて発電反応が起こり電気と熱を発生する手段と、を備えた燃料電池システムを提供する。
【0043】
本発明によれば、常温・常圧で気体となる燃料が貯えられた第一の燃料タンクのバルブを開放しただけで燃料電池システムが自動的に立ち上がるため高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0044】
この理由は、第一の燃料タンクのバルブを触ること以外は自動的に作動するため複雑な操作が不要であることと、システム外部から電源や熱源を必要としないためである。
【0045】
上記目的を達成するため第12の発明は、第一の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で気体となる燃料がジメチルエーテルで、前記第二の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で液体となる燃料液がメタノールであることを提供する。
【0046】
本発明によれば、ジメチルエーテルで起動させ、メタノールを改質した燃料でSOFCモジュールを発電させるため、短時間が起動しかつ高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0047】
この理由は、ジメチルエーテルは空気中の酸素と低温で燃焼反応を起こすことができるため短時間で温度を上げることができることと、高エネルギー密度を有するメタノールを改質した燃料を使用するのでSOFCモジュールで得られる発電性能が向上するためである。
【0048】
【発明の実施形態】
本発明における燃料電池システムは、電動自転車やノート型パソコン等の小型機器の電源として好適なもので、SOFCモジュールを備える。このSOFCモジュールは、水素や一酸化炭素を含む燃料と、空気に含まれる酸化剤とを利用した電気化学反応によって電気エネルギーを生じる。電気エネルギーを得る(1),(3)式の反応は発熱反応であるため、本発明の燃料電池システムは電気と熱の両方を提供することができる。
CO + 1/2O2 = CO2 + 284.7kJ/mol … (1)
H2 + 1/2O2 = H2O + 250kJ/mol … (3)
【0049】
本システムは電気と熱を提供できるので可搬型の小型機器だけでなく、暖房便座付きトイレや洗浄機能付きトイレなどにも好適である。
【0050】
本発明における燃料電池システムについて図1を用いて説明する。図1は、SOFCモジュール7と、SOFCモジュール7へ酸化剤を供給する空気ブロワー9と、SOFCモジュール7へ水素および一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料改質槽6と、SOFCモジュール7内で空気ブロワー9から供給された酸化剤と燃料改質槽6から供給された燃料ガスとが発電反応することによって生成した水蒸気と二酸化炭素と熱とを含む排気ガスが流れる排ガス流路106と、常温・常圧で気体となる燃料を貯えた第一の燃料タンク2と、常温・常圧で液体となる燃料液を貯えた第二の燃料タンク3と、第一の燃料タンク2に貯えられた燃料を加熱および加湿して燃料改質槽6へ供給する加熱加湿槽5と、第二の燃料タンク3に貯えられた燃料液を排ガス流路106からの熱によって気化させて燃料改質槽6へ供給する気化槽12と、を備え、さらに第二の燃料タンク3に燃料液を供給する燃料液供給ポンプ8と、第一の燃料タンク2に燃料供給用のバルブ4と、第一の燃料タンク2に貯えられた燃料を排ガス流路106からの熱によって温めて燃料改質槽6へ供給する熱交換槽11と、空気ブロワー9からの酸化剤を排ガス流路106からの熱によって温めてSOFCモジュール7および加熱加湿槽5へ供給する熱交換槽13と、を備えている。
【0051】
図2は、本発明における燃料電池システムに関する制御手段を説明するためのフローチャートである。図2のフローチャートについて第一の燃料タンク2に貯えられた燃料としてジメチルエーテルを、第二の燃料タンク3に貯えられた燃料液としてメタノールを用いた場合を例にとり、図1に示すシステムを用いて説明する。
【0052】
まずは、第一の燃料タンク2に備えられたバルブ4を開く。バルブ4は、ジメチルエーテルを供給するとともに着火の機構を有する。バルブ4の着火機構によってジメチルエーテルは(4)式に示す燃焼反応を引き起こし、発熱する。
CH3OCH3 + 3O2 = 3H2O + 2CO2 + 778.8 KJ/mol … (4)
(4)式で発生した熱とともに未反応のジメチルエーテルはさらに加熱加湿槽5において、酸素と反応して(5)または(6)の反応を起こし、さらに発熱する。
CH3OCH3 + 2O2 = H2O + 2H2 + 2CO2 + 278.8 KJ/mol … (5)
CH3OCH3 + O2 = H2O + 2H2 + 2CO + 204.8 KJ/mol … (6)
(5)または(6)の反応で発生した熱と、水素および一酸化炭素と水蒸気を含む燃料とともに燃料改質槽6へ供給される。燃料改質槽6においては、未反応ジメチルエーテルが存在すれば水蒸気と反応し、(7)式に示す反応が生じるが加熱加湿槽5でほとんどのジメチルエーテルが反応するため(7)式での吸熱反応は無視できる程度である。
CH3OCH3 + H2O → 4H2 + 2CO − 204.8 KJ/mol … (7)
上記(4)〜(7)の反応によって400℃以上の温度に達したら、水素および一酸化炭素を含む燃料がSOFCモジュール7に供給され(1),(3)式に示す発電反応を起こし、電気と熱を生成する。なお、ジメチルエーテルは発熱量が大きいことと低温で(5),(6)の反応を起こすので400℃以上の温度には容易に達することから起動時の制御は特に無くても良い。
SOFCモジュール7の発電によって、第二の燃料タンク3に設けられた燃料液供給ポンプ8と空気ブロワー9が稼動し、第二の燃料タンク3からメタノールが、空気ブロワーから酸化剤が供給される。メタノールは、SOFCモジュール7の発電で生じた熱によって気化槽12で気化され、メタノールガスとして燃料改質槽6へ供給される。燃料改質槽6において、メタノールガスが(2)式に示す改質反応を起こし、水素および一酸化炭素を含む燃料としてSOFCモジュール7へ供給される。
CH3OH + H2O = CO + 3H2 −49.8kJ/mol … (2)
一方、空気ブロワー9から酸化剤が燃料電池システム内に供給され、SOFCモジュール7で発電反応が行われる。
【0053】
本発明における第二の燃料タンクに貯えられる燃料液は、常温・常圧で液体となる燃料であれば良く、特に限定はないが、エネルギー密度の観点からメタノール、エタノールなどのアルコール系燃料が好ましい。燃料タンクをコンパクトにするという観点から液体燃料はエネルギー密度が大きいので好ましい。
【0054】
アルコール系燃料として最もエネルギー密度が高いのがメタノールである。電解質膜が高分子膜タイプの燃料電池では、高濃度メタノールを使用するとメタノールクロスオーバーという現象により電池が劣化するため使うことができないが、本発明の電池はSOFCであるためメタノールクロスオーバーという問題はなく、高濃度で使用することができる。SOFCではメタノールガスを(2)式に示す反応により水素と一酸化炭素に改質できるので、メタノールの100%を燃料として使用でき、本発明の燃料電池システムは高効率となりより好ましい。
【0055】
本発明における第二の燃料タンクには燃料液供給ポンプ8を有することが好ましい。この理由は、液体燃料はバルブを開いただけでは液が流れないこととポンプを有することで流量を制御することができるためである。また、燃料液供給ポンプの電源は、本発明のSOFCモジュール7の発電反応で生じる電気によって作動するものが好ましい。この理由は、SOFCモジュール7の発電で生じる電気によって作動すれば定置型だけでなく可搬型にも適応できるである。
【0056】
本発明における第一の燃料タンクに貯えられる燃料は、常温・常圧で気体である燃料であれば良く特に限定はないが、都市ガス、天然ガスなどの炭化水素系燃料、ジメチルエーテルなどの合成燃料が好ましい。燃料タンクをコンパクトにするという観点から燃料タンクに液体として貯蔵できる燃料が好ましい。この理由は、液体で貯蔵することができると燃料タンクをコンパクトにすることができるので小型機器の電源として採用することができるためである。
【0057】
都市ガス、天然ガスなどの炭化水素系燃料を用いる場合、硫黄成分が含まれるために脱硫装置を設けた方が好ましいことや炭素数の多い炭化水素系燃料では炭素析出防止のため多量の水蒸気が必要となり水蒸気発生器を設置した方が好ましいなど、システムの小型化を妨げる要因が含まれる。これに対し、ジメチルエーテルは硫黄成分がほとんど含まれず、高次炭素を含まないため炭素析出の問題もないことから脱硫装置や水蒸気発生器が無くてもシステムを稼動させることができる。また、ジメチルエーテルは、低温で(4)〜(6)の反応を起こすことができるため起動・立ち上げを早くすることができる。これら観点からは第一の燃料タンクに貯えられる燃料としてはジメチルエーテルがより好ましい。
【0058】
本発明における第一の燃料タンクに備えられたバルブ4には着火機構が付いたものが好ましい。着火機構が無くても発電可能であるが、本システムの起動をより早く行うためにはあることが好ましい。
【0059】
本発明における加熱加湿槽5は、燃料改質槽6で必要な熱源と水蒸気を得るために設けられた槽である。本システムの条件や用途に応じて(4)〜(6)のいずれかの反応を行うことができればよい。(4)〜(6)の反応は、供給される酸素の量を制御することで決まるため酸素の量を制御できる機構を設けることが好ましい。加熱加湿槽5に供給される酸素は空気ブロワー9から供給されることが好ましい。
【0060】
本発明における加熱加湿槽5は、(4)〜(6)の反応を効率良く行うために触媒を含むことが好ましい。触媒としては、少なくともアルミナを含む多孔質担体に白金、パラジウム等の貴金属を担持させたものを挙げることができる。
【0061】
本発明における燃料改質槽6は、SOFCモジュール7において有用な水素および一酸化炭素を含む燃料に改質するために設けられた槽である。また、SOFCモジュールを効率良く発電させるため400℃以上の温度でSOFCモジュール7へ燃料を供給できることが好ましい。この観点から、燃料改質槽6には(2)式の反応を促進させる触媒を含むことが好ましい。触媒としては、少なくともアルミナを含む多孔質担体にニッケルを担持させたものなどを挙げることができる。
【0062】
本発明における空気ブロワー9は、SOFCモジュール7の発電による電気によって稼動するものであることが好ましい。この理由は、SOFCモジュール7の発電によって稼動すれば定置型だけでなく可搬型にも適応可能となるためである。空気ブロワー9で供給される酸化剤はSOFCモジュール7の発電、加熱加湿槽での反応、SOFCモジュール7の冷却等で使用されるため流量を制御する機構を設けた方が良い。
【0063】
なお、ここで示すSOFCモジュール7の冷却とは、燃料電池モジュール内が1000℃を越えた場合や所定の温度より高い場合にSOFCモジュール7に過剰の酸化剤を供給して冷却するというものである。
【0064】
本発明における熱交換槽11は、第一の燃料タンク2から供給される燃料を温めて効率良く燃料を加熱するために設けられた槽である。熱交換槽11での熱源は本発明のSOFCモジュール7での熱を用いることが好ましい。この理由は、排熱を有効活用でき、高効率であるためである。
【0065】
本発明における熱交換槽13は、空気ブロワー9から供給される酸化剤を温めて効率良く発電および加熱加湿を行わせるために設けられた槽である。熱交換槽13での熱源は本発明のSOFCモジュール7での熱を用いることが好ましい。この理由は、排熱を有効活用でき、高効率であるためである。
【0066】
また、本発明においては排ガスに含まれる排熱を第一の燃料タンクに貯えられた燃料や酸化剤の加温のために用いることが好ましいとしているが、用途によっては熱をシステム外に使用しても良い。例えば、洗浄機能付きトイレに本システムを搭載する場合、SOFCモジュール7の発電による電気で洗浄機能を作動させ、熱を利用して洗浄水を温めるという使い方がある。
【0067】
本発明に係るSOFCモジュールの一例について図3を用いて説明する。SOFCモジュール7内部にはSOFC31が積層された状態で保持されている。SOFCモジュール7内の固体酸化物形燃料電池素子(以下、SOFCと示す。)31のそれぞれには空気導入管32が挿入されている。空気導入管32はSOFC31とは反対側の端部にて空気分配器33に接合されており,空気分配器33に供給された空気が空気導入管32に均等に分配されてSOFC31に供給されるようになっている。SOFCモジュール7は断熱構造になっている。断熱構造は略直方体の一面が開口部であり、開口部に相対する面には孔が一個もしくは複数個貫通しているような容器形状をしており、前記孔を通じて改質後の燃料がSOFCモジュール7に供給される。SOFCモジュール7の電池反応で生成した二酸化炭素、水蒸気、未反応燃料および未反応空気は、排ガス流路106を通じて排気される。
【0068】
本発明に係るSOFC31について図4を用いて説明する。図4はSOFC31の断面図である。円筒状で支持体の機能を有する空気極41上に帯状のインターコネクター42、電解質43、さらに電解質43の上にインターコネクター42と接触しないように燃料極44が構成されている。空気極41の内側に空気を流し、外側に燃料を流すと(8)式に示すように空気中の酸素が空気極と電解質の界面で電子と反応して、酸素イオンに変わり、この酸素イオンが電解質を通って燃料極に達する。そして、燃料ガスと酸素イオンが反応して水および二酸化炭素になる。これらの反応は(9),(10)式で示される。燃料極44とインターコネクター42を接続することによって外部へ電気を取り出すことができる。
1/2O2+2e−→O2− … (8)
H2+O2−→H2O+2e− … (9)
CO+O2−→CO2+2e− … (10)
【0069】
図5は、空気極41と電解質43の間に空気側電極反応層45を、そして電解質43と燃料極44の間に燃料側電極反応層46を設けたタイプについて示した断面図である。空気側電極反応層45は空気極側からの酸素ガスと電子から酸素イオンが生成する(8)式の反応を効率良く行うために設けられた層であり、この空気側電極反応層で生成した酸素イオンが電解質を通って燃料極側に移動する。そして、燃料側電極反応層46で(9),(10)式に示す反応が行われ、燃料極44とインターコネクター42を接続することで外部へ電気を取り出すことができる。
【0070】
SOFCは、電解質材料等の構成により適正温度が異なる。例えば、電解質材料においては、発電温度が900〜1000℃の場合は、イットリアあるいはスカンジアを固溶させたジルコニア、700〜900℃の場合は、スカンジアを固溶させたジルコニアや(La1−xSrxGa1−yMgyO3)や(La1−xSrxGa1−y ―zMgyCozO3)で表されるランタンガレート、500〜700℃の場合は、(CeO2)1−2X(B2O3)X (但し、B=Sm,Gd,Yのいずれか一種、0.05≦X≦0.15)で表されるセリウム酸化物や(La1−xSrxGa1−yMgyO3)や(La1−xSrxGa1−y ―zMgyCozO3)で表されるランタンガレートを用いることが好ましい。SOFCは500〜1000℃の範囲での発電が可能であるため、SOFCモジュールへ供給する燃料の温度は400〜950℃の範囲が好ましい。
【0071】
本発明におけるSOFCの空気極はSOFCモジュールにおける空気雰囲気下において電子導電性が高く、酸素ガス透過性が高く、(8)式の反応が効率よく行えるものであることが好ましい。この観点から好ましい材料としてLaAMnO3(A=CaまたはSrのいずれか)で表されるランタンマンガナイト、LaSrCoFeO3で表されるランタンコバルタイト、LaSrFeO3、LaSrFeCoO3、LaNiO3、SmSrCoO3、GdSrCoO3などを挙げることができる。
【0072】
(8)式の反応を効率よく行うことができ、出力性能を向上させるという観点からは空気極と電解質の間に空気側電極反応層と呼ばれる(8)式の反応を促進させる層を設けたものの方が好ましい。特に発電温度が低いほど(8)式の反応効率が低下するので空気側電極反応層の材料、微構造の適正化が重要となる。
【0073】
空気側電極反応層は、(8)式の反応を効率良く行い、出力性能を向上させるために設けられた層であるので酸素イオン導電性と電子導電性が高いものが好ましい。さらに、電解質材料との熱膨張係数が近く、電解質および空気極との反応性が低く、密着性が良好である材料であることが好ましい。上記理由からLaAMnO3で表されるランタンマンガナイトとスカンジアを固溶させたジルコニアが均一に混合された層、LaSrCoFeO3で表されるランタンコバルタイト層、SmSrCoO3層などを候補として挙げることができる。また、微構造としては酸素ガスを透過させなければならないので連通した開気孔を有することが好ましい。
【0074】
本発明におけるSOFCの燃料極は燃料電池モジュールの燃料雰囲気において電子導電性が高い、水素ガスおよび一酸化炭素ガスの透過性が高いものであることが好ましい。この観点から燃料極材料としてはNiを含む材料が好ましい。Niは燃料電池発電において凝集するため燃料雰囲気で安定な材料を混合させたものが好ましい。この観点からNiとイットリアを固溶させたジルコニアが均一に混合させた層(以下、Ni/YSZと示す。)、Niとカルシウムを固溶させたジルコニアを均一に混合させた層(以下、Ni/CSZと示す。)、Niとセリウム酸化物を均一に混合させた層(以下、Ni/セリウム酸化物)などが好ましい。Ni/YSZ等のNiの含有量は50〜90重量部程度が好ましい。
【0075】
(9),(10)式の反応を効率良く行うことができ、出力性能を向上させるという観点からは電解質と燃料極の間に燃料側電極反応層を設けることが好ましい。特に発電温度が低いほど(9)、(10)式の反応効率が低下するので燃料側電極反応層の材料、微構造の適正化が重要となる。
【0076】
燃料側電極反応層としては、SOFCモジュールの燃料雰囲気で電子導電性と酸素イオン導電性の両方の特性に優れるNi/YSZ、Niとスカンジアを固溶させたジルコニアが均一に混合された層(以下、Ni/SSZと示す。)、Ni/セリウム酸化物、セリウム酸化物などが好ましい。Ni/YSZ等のNiの含有量は、10〜50重量部程度が好ましい。また、微構造としては水素ガス、一酸化炭素ガスを透過させなければならないので連通した開気孔を有することが好ましい。
【0077】
本発明におけるSOFCのインターコネクターは燃料電池モジュールの空気雰囲気および燃料雰囲気において電子導電性が高い、ガス透過性が無い、酸素イオン導電性が無いものであることが好ましい。この観点からCa,Sr,Mgのいずれかを固溶させたランタンクロマイトが好ましい。
【0078】
小型機器用のSOFCの大きさとしてはマイクロチューブと呼ばれる外径の小さいタイプの固体酸化物形電池素子が好ましい。マイクロチューブ電池の外径としては2〜10mm程度が好ましい。この理由は、2mmより小さいと円筒部の極率が大きくなり、例えば、図4に示すタイプの燃料電池素子の場合、燃料極を成膜する際に電解質との間で剥がれを生じる可能性があるためで、一方、10mmより大きいと燃料電池モジュールに効率良く燃料電池素子を接続させることができないためである。
【0079】
本発明における燃料電池システムにおけるSOFCのタイプとしては、円筒縦縞形を例に挙げて説明しているが、円筒横縞形、平板型などであっても良い。
【0080】
平板型の場合は、インターコネクターはセパレータと呼ばれ、Ca,Sr,Mgのいずれかを固溶させたランタンクロマイトの他にフェライト系の耐熱性ステンレス等が用いられる。燃料電池モジュールの発電温度が800℃以下の場合は、金属でも十分な耐久性があるのでランタンクロマイトより安価なフェライト系の耐熱性ステンレス等の金属であっても良い。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、SOFCモジュール7と、前記SOFCモジュールへ酸化剤を供給する空気ブロワーと、SOFCモジュールへ水素および一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料改質槽と、前記SOFCモジュール内で前記空気ブロワーから供給された酸化剤と前記燃料改質槽から供給された燃料ガスとが発電反応することによって生成した水蒸気と二酸化炭素と熱とを含む排気ガスが流れる排ガス流路と、常温・常圧で気体となる燃料を貯えた第一の燃料タンクと、常温・常圧で液体となる燃料液を貯えた第二の燃料タンクと、前記第一の燃料タンクに貯えられた燃料を加熱および加湿して前記燃料改質槽へ供給する加熱加湿槽と、前記第二の燃料タンクに貯えられた燃料液を、前記排ガス流路からの熱によって気化させて前記燃料改質槽へ供給する気化槽と、を備えることを特徴とする燃料電池システムを提案したので、メタノール等の高エネルギー密度を有する液体燃料を燃料として使用することができるSOFCモジュールを備えた燃料電池システムを提供することをできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムについて説明する図である。
【図2】本発明に係る燃料電池システムの制御手段を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係る燃料電池モジュールについて説明する図である。
【図4】本発明に係る固体酸化物形燃料電池素子について説明する図である。
【図5】本発明に係る固体酸化物形燃料電池素子について説明する図である。
【符号の説明】
1…燃料電池システム
2…第一の燃料タンク
3…第二の燃料タンク
4…バルブ
5…加熱加湿槽
6…燃料改質槽
7…SOFCモジュール
8…燃料液供給ポンプ
9…空気ブロワー
10…空気分岐槽
11…熱交換槽
12…気化槽
13…熱交換槽
101…第一の燃料タンクから燃料改質槽に通じる燃料流路
102…第二の燃料タンクから燃料改質槽に通じる燃料流路
103…燃料改質槽からSOFCモジュールへ通じる燃料流路
104…空気ブロワーからSOFCモジュールへ通じる酸化剤流路
105…空気流路から加熱加湿槽に通じる酸化剤流路
106…排ガス流路
31…固体酸化物形燃料電池素子(SOFC)
32… 空気導入管
33… 空気分配器
41…空気極
42…インターコネクター
43…電解質
44…燃料極
45…空気側電極反応層
46…燃料側電極反応層
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸化物形燃料電池素子を複数接続した燃料電池モジュール(以下、SOFCモジュールと示す。)を備えた燃料電池システムに関する。特には、可搬型機器や小型機器の電源に好適な燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、小型機器の電源として二次電池が用いられている。二次電池はこの10年間で鉛蓄電池、ニッカド電池から、小型で高密度タイプのニッケル水素電池、リチウムイオン電池へとシフトしてきた。現在では、小型で高密度・高出力という観点から小型機器用の電源としては、主にリチウムイオン2次電池が用いられている。(例えば、非特許文献1参照。)
【0003】
ノート型パソコン等の小型機器用燃料電池システムとして、水素燃料を用いた固体高分子型燃料電池(以下、PEFCと示す。)を備えた電源システムが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
ノート型パソコン等の小型機器用燃料電池システムとして、メタノール燃料を用いた固体高分子型燃料電池(以下、DMFCと示す。)を備えた電源システムが提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0005】
【非特許文献1】
[燃料電池Vol.2] 燃料電池開発情報センター出版、2002年7月1日発行、P4−16
【特許文献1】
特開平9−213359号公報(第1−第5頁、第一〜第二十図)
【特許文献2】
特開2002−56856号公報(第1−第6頁、第一〜第六図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
小型機器用電源のニーズとしては、例えば、ノートパソコンの通信源としての用途で考えると連続8時間以上稼動できる電源が要求される。これに対して、現状のリチウムイオン2次電池では、携帯電話の通話時間で連続2時間の通話が限界である。2次電池は、活物質の化学種を代えることで小型高性能化を達成してきたが、リチウム以上の高エネルギー化学種を見出すことはできない。すなわち、電池容量を変えずにエネルギー密度を4倍以上にすることはほぼ不可能であり、ニーズに応えるためには新たな電源システムが必要であった。
【0007】
リチウム二次電池より高いエネルギー密度を有する新たな電源システムとして燃料電池を挙げることができる。燃料電池のエネルギー密度はメタノールを燃料として用いた場合で考えると、リチウムイオン二次電池のおおよそ10倍のエネルギー密度を有しており、新しい小型機器用電源として期待される。小型機器用の燃料電池としては、特許文献1および特許文献2に示されるPEFCおよびDMFCと呼ばれる電解質が固体高分子タイプの燃料電池が有望視されている。
【0008】
PEFCは100℃以下で使用されるため燃料極触媒として白金を含む触媒が使用される。白金を含む触媒は一酸化炭素を含む燃料が供給されると劣化するため、都市ガス等の炭化水素系の燃料を供給する場合、燃料改質層だけでなく一酸化炭素を二酸化炭素に完全に改質する改質槽を新たに設けなければならない。さらに、一酸化炭素を二酸化炭素に変える反応は、(1)式に示すような発熱反応であるため前記改質槽とPEFC部との燃料供給流路に100℃以下に冷却する機構を設けなければならない。それゆえ、システムをコンパクト化することができないことと、エネルギー効率が低いという問題があった。
CO + 1/2O2 = CO2 + 284.7kJ/mol … (1)
【0009】
DMFCでは、高濃度のメタノールを燃料として用いるとメタノールが電解質膜を透過するメタノールクロスオーバーという現象が生じ、出力性能が低下するという問題がある。このため、現状のDMFCにおけるメタノール燃料の濃度は10%程度である。この濃度ではリチウムイオン二次電池のエネルギー密度と同程度であり、高濃度のメタノールで発電できる燃料電池システムの開発が課題とされてきた。
【0010】
SOFCでは、電気とともに高温の熱を発生させることができるため発電効率が高いことと、水素だけでなく一酸化炭素やメタンなどの気体燃料を燃料として使用することができるため、燃料多様性に優れているというメリットがある。しかし、メタノール等の高エネルギー密度を有する液体燃料を燃料として使用することが難しいという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、SOFCの燃料多様性に優れることと、高温の熱を発生させることができるという2つのメリットを利用して、メタノール等の高エネルギー密度を有する液体燃料を燃料として使用することができるSOFCモジュールを備えた燃料電池システムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、SOFCモジュールと、前記SOFCモジュールへ酸化剤を供給する空気ブロワーと、前記SOFCモジュールへ水素および一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料改質槽と、前記SOFCモジュール内で前記空気ブロワーから供給された酸化剤と前記燃料改質槽から供給された燃料ガスとが発電反応することによって生成した水蒸気と二酸化炭素と熱とを含む排気ガスが流れる排ガス流路と、常温・常圧で気体となる燃料を貯えた第一の燃料タンクと、常温・常圧で液体となる燃料液を貯えた第二の燃料タンクと、前記第一の燃料タンクに貯えられた燃料を加熱および加湿して前記燃料改質槽へ供給する加熱加湿槽と、前記第二の燃料タンクに貯えられた燃料液を、前記排ガス流路からの熱によって気化させて前記燃料改質槽へ供給する気化槽と、を備えることを特徴とする燃料電池システムを提供する。
【0013】
本発明によれば、常温・常圧で気体となる燃料を用いて、燃料の改質に必要な熱と水蒸気を発生させ、高エネルギー密度を有する常温・常圧で液体となる燃料液をSOFCモジュールの発電によって生じた熱によって気化させた後、燃料改質槽で水素および一酸化炭素を含む燃料に改質させる機構なので、コンパクトで高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0014】
この理由は、燃料改質に必要な熱を得るためのヒーターや、水タンクおよび水蒸気気化器等を設ける必要がないのでシステムをコンパクトにできることと、高エネルギー密度を有する燃料液を本システムで発生した熱によって気化させ、これを燃料として使用しているためSOFCモジュールの発電性能を向上させることができるためである。
【0015】
上記目的を達成するために第2の発明は、加熱加湿槽における加熱および加湿は、第一の燃料タンクに貯えられた燃料と、空気ブロワーから供給された酸化剤と、の化学反応によって生じることをを提供する。
【0016】
本発明によれば、加熱および加湿を空気ブロワーで取り込まれた酸化剤の一部を用いて行うので、コンパクトな燃料電池システムを提供することができる。
【0017】
この理由は、1つの空気ブロワーで酸化剤をSOFCモジュールおよび加熱加湿槽へ供給することができるためである。
【0018】
上記目的を達成するために第3の発明は、第一の燃料タンクに貯えられた燃料は、排ガス流路からの熱によって加温されて加熱加湿槽へ供給されることを提供する。
【0019】
本発明によれば、SOFCモジュールから出る熱の排熱を有効活用して温める機構を有するので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0020】
この理由は、温められた気体燃料を燃料改質槽に供給した方が燃料改質反応を効率良く行うことができるためである。
【0021】
上記目的を達成するために第4の発明は、空気ブロワーから供給された酸化剤は、排ガス流路からの熱によって加温されて、SOFCモジュールおよび加熱加湿槽に供給されることを提供する。
【0022】
本発明によれば、酸化剤を本発明におけるSOFCモジュール発電で生じた熱のによって温める機構を有するので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0023】
この理由は、SOFCモジュールの熱によって酸化剤を加温できるため、SOFCモジュールおよび加熱加湿槽に供給される酸化剤を新たにヒーター等を設けて温める必要がないためである。
【0024】
上記目的を達成するために第5の発明は、第二の燃料タンクには、SOFCモジュールの発電によって生じる電気によって作動する燃料液供給ポンプを有することを提供する。
【0025】
本発明によれば、第二の燃料タンクには、SOFCモジュールの発電によって生じる電気によって作動する燃料供給ポンプを有するので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0026】
この理由は、常温・常圧で液体となる燃料液は、気体燃料と異なり低圧であるためタンクを開けても燃料は流れないためポンプ等で供給する必要があるが、これを外部電源を必要とせず、SOFCモジュールの発電によって作動させることができるためである。
【0027】
上記目的を達成するために第6の発明は、空気ブロワーは、SOFCモジュールの発電によって生じる電気によって作動することを提供する。
【0028】
本発明によれば、空気ブロワーをSOFCモジュールによって作動させることができるため高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0029】
この理由は、空気ブロワーを作動させるための外部電源が不要となるためである。
【0030】
上記目的を達成するため第7の発明は、第二の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で液体となる燃料液は、メタノールであることを提供する。
【0031】
本発明によれば、第二の燃料タンクに貯えられた燃料液がメタノールであるので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0032】
この理由は、メタノール燃料は、リチウムイオン二次電池よりエネルギー密度が10倍程度有する高エネルギー密度を有するためである。また、SOFCモジュールで発生する熱を利用して、気化させることができるため高エネルギー密度の状態の燃料として使用することができるためである。さらに、メタノールは水蒸気と反応して、(2)式に示されるように一酸化炭素と水素を生成するが、SOFCの場合は一酸化炭素を燃料として使用することができるため、SOFCモジュールの発電効率を向上させることができるためである。
CH3OH + H2O = CO + 3H2 −49.8kJ/mol … (2)
【0033】
上記目的を達成するため第8の発明は、第一の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で気体となる燃料は、ジメチルエーテルであることを提供する。
【0034】
本発明によれば、第一の燃料タンクにおける燃料がジメチルエーテルなのでコンパクトで高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0035】
この理由は、ジメチルエーテルは数気圧にすると液化するため、液体として容易に燃料タンクに詰めることができるので、燃料タンクを小さくすることができることと、常温・常圧で気化するので燃料タンクを開けると即気化することと、揮発性が高く酸素と燃焼反応を低温で起こすことができ、容易に燃料電池システムを稼動させることができるためである。さらに、ジメチルエーテルには硫黄などの成分がほとんど含まれていないためシステム内に脱硫装置を設ける必要がなく、コンパクトにすることができるためである。
【0036】
上記目的を達成するため第9の発明は、燃料改質槽からSOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜950℃であることを提供する。
【0037】
本発明によれば、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜950℃であるので高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0038】
この理由は、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃未満であるとSOFCモジュールにおける温度が500℃未満となり電池素子から得られる出力が低いので、トータルの燃料電池モジュールで得られる出力が低くなるためで、一方、950℃より高温になるとSOFCモジュールの温度は1000℃を超える可能性があり、SOFCから得られる出力が低下することと、高温を維持するために断熱材の厚みを厚くしなければならないので、システムが大きくなってしまうためである。
【0039】
上記目的を達成するため第10の発明は、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜650℃であることを提供する。
【0040】
本発明によれば、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜650℃であるのでコンパクトな燃料電池システムを提供することができる。
【0041】
この理由は、SOFCモジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜650℃程度であると、SOFCモジュール前段で必要な熱量を減らすことができるので燃料タンク等をよりコンパクトにできることと、放熱が小さいため断熱材の厚みを薄くすることができ、システム全体をコンパクトにすることができるためである。
【0042】
上記目的を達成するため第11の発明は、常温・常圧で気体となる燃料が貯えられた第一の燃料タンクのバルブを開放し前記燃料を燃料改質槽に供給する手段と、前記燃料改質槽において400℃以上の温度に達したら水素および一酸化炭素を含む燃料ガスをSOFCモジュールに供給する手段と、前記SOFCモジュールにおいて発電反応を起こさせる手段と、前記発電反応によって生じた電気によって常温・常圧で液体となる燃料液が貯えられた第二の燃料タンクに備えられた燃料液供給ポンプおよび空気ブロワーを作動する手段と、前記燃料液を前記SOFCモジュール反応で発生した熱によって気化する手段と、前記SOFCモジュールにおいて発電反応が起こり電気と熱を発生する手段と、を備えた燃料電池システムを提供する。
【0043】
本発明によれば、常温・常圧で気体となる燃料が貯えられた第一の燃料タンクのバルブを開放しただけで燃料電池システムが自動的に立ち上がるため高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0044】
この理由は、第一の燃料タンクのバルブを触ること以外は自動的に作動するため複雑な操作が不要であることと、システム外部から電源や熱源を必要としないためである。
【0045】
上記目的を達成するため第12の発明は、第一の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で気体となる燃料がジメチルエーテルで、前記第二の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で液体となる燃料液がメタノールであることを提供する。
【0046】
本発明によれば、ジメチルエーテルで起動させ、メタノールを改質した燃料でSOFCモジュールを発電させるため、短時間が起動しかつ高効率な燃料電池システムを提供することができる。
【0047】
この理由は、ジメチルエーテルは空気中の酸素と低温で燃焼反応を起こすことができるため短時間で温度を上げることができることと、高エネルギー密度を有するメタノールを改質した燃料を使用するのでSOFCモジュールで得られる発電性能が向上するためである。
【0048】
【発明の実施形態】
本発明における燃料電池システムは、電動自転車やノート型パソコン等の小型機器の電源として好適なもので、SOFCモジュールを備える。このSOFCモジュールは、水素や一酸化炭素を含む燃料と、空気に含まれる酸化剤とを利用した電気化学反応によって電気エネルギーを生じる。電気エネルギーを得る(1),(3)式の反応は発熱反応であるため、本発明の燃料電池システムは電気と熱の両方を提供することができる。
CO + 1/2O2 = CO2 + 284.7kJ/mol … (1)
H2 + 1/2O2 = H2O + 250kJ/mol … (3)
【0049】
本システムは電気と熱を提供できるので可搬型の小型機器だけでなく、暖房便座付きトイレや洗浄機能付きトイレなどにも好適である。
【0050】
本発明における燃料電池システムについて図1を用いて説明する。図1は、SOFCモジュール7と、SOFCモジュール7へ酸化剤を供給する空気ブロワー9と、SOFCモジュール7へ水素および一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料改質槽6と、SOFCモジュール7内で空気ブロワー9から供給された酸化剤と燃料改質槽6から供給された燃料ガスとが発電反応することによって生成した水蒸気と二酸化炭素と熱とを含む排気ガスが流れる排ガス流路106と、常温・常圧で気体となる燃料を貯えた第一の燃料タンク2と、常温・常圧で液体となる燃料液を貯えた第二の燃料タンク3と、第一の燃料タンク2に貯えられた燃料を加熱および加湿して燃料改質槽6へ供給する加熱加湿槽5と、第二の燃料タンク3に貯えられた燃料液を排ガス流路106からの熱によって気化させて燃料改質槽6へ供給する気化槽12と、を備え、さらに第二の燃料タンク3に燃料液を供給する燃料液供給ポンプ8と、第一の燃料タンク2に燃料供給用のバルブ4と、第一の燃料タンク2に貯えられた燃料を排ガス流路106からの熱によって温めて燃料改質槽6へ供給する熱交換槽11と、空気ブロワー9からの酸化剤を排ガス流路106からの熱によって温めてSOFCモジュール7および加熱加湿槽5へ供給する熱交換槽13と、を備えている。
【0051】
図2は、本発明における燃料電池システムに関する制御手段を説明するためのフローチャートである。図2のフローチャートについて第一の燃料タンク2に貯えられた燃料としてジメチルエーテルを、第二の燃料タンク3に貯えられた燃料液としてメタノールを用いた場合を例にとり、図1に示すシステムを用いて説明する。
【0052】
まずは、第一の燃料タンク2に備えられたバルブ4を開く。バルブ4は、ジメチルエーテルを供給するとともに着火の機構を有する。バルブ4の着火機構によってジメチルエーテルは(4)式に示す燃焼反応を引き起こし、発熱する。
CH3OCH3 + 3O2 = 3H2O + 2CO2 + 778.8 KJ/mol … (4)
(4)式で発生した熱とともに未反応のジメチルエーテルはさらに加熱加湿槽5において、酸素と反応して(5)または(6)の反応を起こし、さらに発熱する。
CH3OCH3 + 2O2 = H2O + 2H2 + 2CO2 + 278.8 KJ/mol … (5)
CH3OCH3 + O2 = H2O + 2H2 + 2CO + 204.8 KJ/mol … (6)
(5)または(6)の反応で発生した熱と、水素および一酸化炭素と水蒸気を含む燃料とともに燃料改質槽6へ供給される。燃料改質槽6においては、未反応ジメチルエーテルが存在すれば水蒸気と反応し、(7)式に示す反応が生じるが加熱加湿槽5でほとんどのジメチルエーテルが反応するため(7)式での吸熱反応は無視できる程度である。
CH3OCH3 + H2O → 4H2 + 2CO − 204.8 KJ/mol … (7)
上記(4)〜(7)の反応によって400℃以上の温度に達したら、水素および一酸化炭素を含む燃料がSOFCモジュール7に供給され(1),(3)式に示す発電反応を起こし、電気と熱を生成する。なお、ジメチルエーテルは発熱量が大きいことと低温で(5),(6)の反応を起こすので400℃以上の温度には容易に達することから起動時の制御は特に無くても良い。
SOFCモジュール7の発電によって、第二の燃料タンク3に設けられた燃料液供給ポンプ8と空気ブロワー9が稼動し、第二の燃料タンク3からメタノールが、空気ブロワーから酸化剤が供給される。メタノールは、SOFCモジュール7の発電で生じた熱によって気化槽12で気化され、メタノールガスとして燃料改質槽6へ供給される。燃料改質槽6において、メタノールガスが(2)式に示す改質反応を起こし、水素および一酸化炭素を含む燃料としてSOFCモジュール7へ供給される。
CH3OH + H2O = CO + 3H2 −49.8kJ/mol … (2)
一方、空気ブロワー9から酸化剤が燃料電池システム内に供給され、SOFCモジュール7で発電反応が行われる。
【0053】
本発明における第二の燃料タンクに貯えられる燃料液は、常温・常圧で液体となる燃料であれば良く、特に限定はないが、エネルギー密度の観点からメタノール、エタノールなどのアルコール系燃料が好ましい。燃料タンクをコンパクトにするという観点から液体燃料はエネルギー密度が大きいので好ましい。
【0054】
アルコール系燃料として最もエネルギー密度が高いのがメタノールである。電解質膜が高分子膜タイプの燃料電池では、高濃度メタノールを使用するとメタノールクロスオーバーという現象により電池が劣化するため使うことができないが、本発明の電池はSOFCであるためメタノールクロスオーバーという問題はなく、高濃度で使用することができる。SOFCではメタノールガスを(2)式に示す反応により水素と一酸化炭素に改質できるので、メタノールの100%を燃料として使用でき、本発明の燃料電池システムは高効率となりより好ましい。
【0055】
本発明における第二の燃料タンクには燃料液供給ポンプ8を有することが好ましい。この理由は、液体燃料はバルブを開いただけでは液が流れないこととポンプを有することで流量を制御することができるためである。また、燃料液供給ポンプの電源は、本発明のSOFCモジュール7の発電反応で生じる電気によって作動するものが好ましい。この理由は、SOFCモジュール7の発電で生じる電気によって作動すれば定置型だけでなく可搬型にも適応できるである。
【0056】
本発明における第一の燃料タンクに貯えられる燃料は、常温・常圧で気体である燃料であれば良く特に限定はないが、都市ガス、天然ガスなどの炭化水素系燃料、ジメチルエーテルなどの合成燃料が好ましい。燃料タンクをコンパクトにするという観点から燃料タンクに液体として貯蔵できる燃料が好ましい。この理由は、液体で貯蔵することができると燃料タンクをコンパクトにすることができるので小型機器の電源として採用することができるためである。
【0057】
都市ガス、天然ガスなどの炭化水素系燃料を用いる場合、硫黄成分が含まれるために脱硫装置を設けた方が好ましいことや炭素数の多い炭化水素系燃料では炭素析出防止のため多量の水蒸気が必要となり水蒸気発生器を設置した方が好ましいなど、システムの小型化を妨げる要因が含まれる。これに対し、ジメチルエーテルは硫黄成分がほとんど含まれず、高次炭素を含まないため炭素析出の問題もないことから脱硫装置や水蒸気発生器が無くてもシステムを稼動させることができる。また、ジメチルエーテルは、低温で(4)〜(6)の反応を起こすことができるため起動・立ち上げを早くすることができる。これら観点からは第一の燃料タンクに貯えられる燃料としてはジメチルエーテルがより好ましい。
【0058】
本発明における第一の燃料タンクに備えられたバルブ4には着火機構が付いたものが好ましい。着火機構が無くても発電可能であるが、本システムの起動をより早く行うためにはあることが好ましい。
【0059】
本発明における加熱加湿槽5は、燃料改質槽6で必要な熱源と水蒸気を得るために設けられた槽である。本システムの条件や用途に応じて(4)〜(6)のいずれかの反応を行うことができればよい。(4)〜(6)の反応は、供給される酸素の量を制御することで決まるため酸素の量を制御できる機構を設けることが好ましい。加熱加湿槽5に供給される酸素は空気ブロワー9から供給されることが好ましい。
【0060】
本発明における加熱加湿槽5は、(4)〜(6)の反応を効率良く行うために触媒を含むことが好ましい。触媒としては、少なくともアルミナを含む多孔質担体に白金、パラジウム等の貴金属を担持させたものを挙げることができる。
【0061】
本発明における燃料改質槽6は、SOFCモジュール7において有用な水素および一酸化炭素を含む燃料に改質するために設けられた槽である。また、SOFCモジュールを効率良く発電させるため400℃以上の温度でSOFCモジュール7へ燃料を供給できることが好ましい。この観点から、燃料改質槽6には(2)式の反応を促進させる触媒を含むことが好ましい。触媒としては、少なくともアルミナを含む多孔質担体にニッケルを担持させたものなどを挙げることができる。
【0062】
本発明における空気ブロワー9は、SOFCモジュール7の発電による電気によって稼動するものであることが好ましい。この理由は、SOFCモジュール7の発電によって稼動すれば定置型だけでなく可搬型にも適応可能となるためである。空気ブロワー9で供給される酸化剤はSOFCモジュール7の発電、加熱加湿槽での反応、SOFCモジュール7の冷却等で使用されるため流量を制御する機構を設けた方が良い。
【0063】
なお、ここで示すSOFCモジュール7の冷却とは、燃料電池モジュール内が1000℃を越えた場合や所定の温度より高い場合にSOFCモジュール7に過剰の酸化剤を供給して冷却するというものである。
【0064】
本発明における熱交換槽11は、第一の燃料タンク2から供給される燃料を温めて効率良く燃料を加熱するために設けられた槽である。熱交換槽11での熱源は本発明のSOFCモジュール7での熱を用いることが好ましい。この理由は、排熱を有効活用でき、高効率であるためである。
【0065】
本発明における熱交換槽13は、空気ブロワー9から供給される酸化剤を温めて効率良く発電および加熱加湿を行わせるために設けられた槽である。熱交換槽13での熱源は本発明のSOFCモジュール7での熱を用いることが好ましい。この理由は、排熱を有効活用でき、高効率であるためである。
【0066】
また、本発明においては排ガスに含まれる排熱を第一の燃料タンクに貯えられた燃料や酸化剤の加温のために用いることが好ましいとしているが、用途によっては熱をシステム外に使用しても良い。例えば、洗浄機能付きトイレに本システムを搭載する場合、SOFCモジュール7の発電による電気で洗浄機能を作動させ、熱を利用して洗浄水を温めるという使い方がある。
【0067】
本発明に係るSOFCモジュールの一例について図3を用いて説明する。SOFCモジュール7内部にはSOFC31が積層された状態で保持されている。SOFCモジュール7内の固体酸化物形燃料電池素子(以下、SOFCと示す。)31のそれぞれには空気導入管32が挿入されている。空気導入管32はSOFC31とは反対側の端部にて空気分配器33に接合されており,空気分配器33に供給された空気が空気導入管32に均等に分配されてSOFC31に供給されるようになっている。SOFCモジュール7は断熱構造になっている。断熱構造は略直方体の一面が開口部であり、開口部に相対する面には孔が一個もしくは複数個貫通しているような容器形状をしており、前記孔を通じて改質後の燃料がSOFCモジュール7に供給される。SOFCモジュール7の電池反応で生成した二酸化炭素、水蒸気、未反応燃料および未反応空気は、排ガス流路106を通じて排気される。
【0068】
本発明に係るSOFC31について図4を用いて説明する。図4はSOFC31の断面図である。円筒状で支持体の機能を有する空気極41上に帯状のインターコネクター42、電解質43、さらに電解質43の上にインターコネクター42と接触しないように燃料極44が構成されている。空気極41の内側に空気を流し、外側に燃料を流すと(8)式に示すように空気中の酸素が空気極と電解質の界面で電子と反応して、酸素イオンに変わり、この酸素イオンが電解質を通って燃料極に達する。そして、燃料ガスと酸素イオンが反応して水および二酸化炭素になる。これらの反応は(9),(10)式で示される。燃料極44とインターコネクター42を接続することによって外部へ電気を取り出すことができる。
1/2O2+2e−→O2− … (8)
H2+O2−→H2O+2e− … (9)
CO+O2−→CO2+2e− … (10)
【0069】
図5は、空気極41と電解質43の間に空気側電極反応層45を、そして電解質43と燃料極44の間に燃料側電極反応層46を設けたタイプについて示した断面図である。空気側電極反応層45は空気極側からの酸素ガスと電子から酸素イオンが生成する(8)式の反応を効率良く行うために設けられた層であり、この空気側電極反応層で生成した酸素イオンが電解質を通って燃料極側に移動する。そして、燃料側電極反応層46で(9),(10)式に示す反応が行われ、燃料極44とインターコネクター42を接続することで外部へ電気を取り出すことができる。
【0070】
SOFCは、電解質材料等の構成により適正温度が異なる。例えば、電解質材料においては、発電温度が900〜1000℃の場合は、イットリアあるいはスカンジアを固溶させたジルコニア、700〜900℃の場合は、スカンジアを固溶させたジルコニアや(La1−xSrxGa1−yMgyO3)や(La1−xSrxGa1−y ―zMgyCozO3)で表されるランタンガレート、500〜700℃の場合は、(CeO2)1−2X(B2O3)X (但し、B=Sm,Gd,Yのいずれか一種、0.05≦X≦0.15)で表されるセリウム酸化物や(La1−xSrxGa1−yMgyO3)や(La1−xSrxGa1−y ―zMgyCozO3)で表されるランタンガレートを用いることが好ましい。SOFCは500〜1000℃の範囲での発電が可能であるため、SOFCモジュールへ供給する燃料の温度は400〜950℃の範囲が好ましい。
【0071】
本発明におけるSOFCの空気極はSOFCモジュールにおける空気雰囲気下において電子導電性が高く、酸素ガス透過性が高く、(8)式の反応が効率よく行えるものであることが好ましい。この観点から好ましい材料としてLaAMnO3(A=CaまたはSrのいずれか)で表されるランタンマンガナイト、LaSrCoFeO3で表されるランタンコバルタイト、LaSrFeO3、LaSrFeCoO3、LaNiO3、SmSrCoO3、GdSrCoO3などを挙げることができる。
【0072】
(8)式の反応を効率よく行うことができ、出力性能を向上させるという観点からは空気極と電解質の間に空気側電極反応層と呼ばれる(8)式の反応を促進させる層を設けたものの方が好ましい。特に発電温度が低いほど(8)式の反応効率が低下するので空気側電極反応層の材料、微構造の適正化が重要となる。
【0073】
空気側電極反応層は、(8)式の反応を効率良く行い、出力性能を向上させるために設けられた層であるので酸素イオン導電性と電子導電性が高いものが好ましい。さらに、電解質材料との熱膨張係数が近く、電解質および空気極との反応性が低く、密着性が良好である材料であることが好ましい。上記理由からLaAMnO3で表されるランタンマンガナイトとスカンジアを固溶させたジルコニアが均一に混合された層、LaSrCoFeO3で表されるランタンコバルタイト層、SmSrCoO3層などを候補として挙げることができる。また、微構造としては酸素ガスを透過させなければならないので連通した開気孔を有することが好ましい。
【0074】
本発明におけるSOFCの燃料極は燃料電池モジュールの燃料雰囲気において電子導電性が高い、水素ガスおよび一酸化炭素ガスの透過性が高いものであることが好ましい。この観点から燃料極材料としてはNiを含む材料が好ましい。Niは燃料電池発電において凝集するため燃料雰囲気で安定な材料を混合させたものが好ましい。この観点からNiとイットリアを固溶させたジルコニアが均一に混合させた層(以下、Ni/YSZと示す。)、Niとカルシウムを固溶させたジルコニアを均一に混合させた層(以下、Ni/CSZと示す。)、Niとセリウム酸化物を均一に混合させた層(以下、Ni/セリウム酸化物)などが好ましい。Ni/YSZ等のNiの含有量は50〜90重量部程度が好ましい。
【0075】
(9),(10)式の反応を効率良く行うことができ、出力性能を向上させるという観点からは電解質と燃料極の間に燃料側電極反応層を設けることが好ましい。特に発電温度が低いほど(9)、(10)式の反応効率が低下するので燃料側電極反応層の材料、微構造の適正化が重要となる。
【0076】
燃料側電極反応層としては、SOFCモジュールの燃料雰囲気で電子導電性と酸素イオン導電性の両方の特性に優れるNi/YSZ、Niとスカンジアを固溶させたジルコニアが均一に混合された層(以下、Ni/SSZと示す。)、Ni/セリウム酸化物、セリウム酸化物などが好ましい。Ni/YSZ等のNiの含有量は、10〜50重量部程度が好ましい。また、微構造としては水素ガス、一酸化炭素ガスを透過させなければならないので連通した開気孔を有することが好ましい。
【0077】
本発明におけるSOFCのインターコネクターは燃料電池モジュールの空気雰囲気および燃料雰囲気において電子導電性が高い、ガス透過性が無い、酸素イオン導電性が無いものであることが好ましい。この観点からCa,Sr,Mgのいずれかを固溶させたランタンクロマイトが好ましい。
【0078】
小型機器用のSOFCの大きさとしてはマイクロチューブと呼ばれる外径の小さいタイプの固体酸化物形電池素子が好ましい。マイクロチューブ電池の外径としては2〜10mm程度が好ましい。この理由は、2mmより小さいと円筒部の極率が大きくなり、例えば、図4に示すタイプの燃料電池素子の場合、燃料極を成膜する際に電解質との間で剥がれを生じる可能性があるためで、一方、10mmより大きいと燃料電池モジュールに効率良く燃料電池素子を接続させることができないためである。
【0079】
本発明における燃料電池システムにおけるSOFCのタイプとしては、円筒縦縞形を例に挙げて説明しているが、円筒横縞形、平板型などであっても良い。
【0080】
平板型の場合は、インターコネクターはセパレータと呼ばれ、Ca,Sr,Mgのいずれかを固溶させたランタンクロマイトの他にフェライト系の耐熱性ステンレス等が用いられる。燃料電池モジュールの発電温度が800℃以下の場合は、金属でも十分な耐久性があるのでランタンクロマイトより安価なフェライト系の耐熱性ステンレス等の金属であっても良い。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、SOFCモジュール7と、前記SOFCモジュールへ酸化剤を供給する空気ブロワーと、SOFCモジュールへ水素および一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料改質槽と、前記SOFCモジュール内で前記空気ブロワーから供給された酸化剤と前記燃料改質槽から供給された燃料ガスとが発電反応することによって生成した水蒸気と二酸化炭素と熱とを含む排気ガスが流れる排ガス流路と、常温・常圧で気体となる燃料を貯えた第一の燃料タンクと、常温・常圧で液体となる燃料液を貯えた第二の燃料タンクと、前記第一の燃料タンクに貯えられた燃料を加熱および加湿して前記燃料改質槽へ供給する加熱加湿槽と、前記第二の燃料タンクに貯えられた燃料液を、前記排ガス流路からの熱によって気化させて前記燃料改質槽へ供給する気化槽と、を備えることを特徴とする燃料電池システムを提案したので、メタノール等の高エネルギー密度を有する液体燃料を燃料として使用することができるSOFCモジュールを備えた燃料電池システムを提供することをできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムについて説明する図である。
【図2】本発明に係る燃料電池システムの制御手段を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係る燃料電池モジュールについて説明する図である。
【図4】本発明に係る固体酸化物形燃料電池素子について説明する図である。
【図5】本発明に係る固体酸化物形燃料電池素子について説明する図である。
【符号の説明】
1…燃料電池システム
2…第一の燃料タンク
3…第二の燃料タンク
4…バルブ
5…加熱加湿槽
6…燃料改質槽
7…SOFCモジュール
8…燃料液供給ポンプ
9…空気ブロワー
10…空気分岐槽
11…熱交換槽
12…気化槽
13…熱交換槽
101…第一の燃料タンクから燃料改質槽に通じる燃料流路
102…第二の燃料タンクから燃料改質槽に通じる燃料流路
103…燃料改質槽からSOFCモジュールへ通じる燃料流路
104…空気ブロワーからSOFCモジュールへ通じる酸化剤流路
105…空気流路から加熱加湿槽に通じる酸化剤流路
106…排ガス流路
31…固体酸化物形燃料電池素子(SOFC)
32… 空気導入管
33… 空気分配器
41…空気極
42…インターコネクター
43…電解質
44…燃料極
45…空気側電極反応層
46…燃料側電極反応層
Claims (12)
- 固体酸化物形燃料電池素子を複数接続した燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールへ酸化剤を供給する空気ブロワーと、前記燃料電池モジュールへ水素および一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料改質槽と、前記燃料電池モジュール内で前記空気ブロワーから供給された酸化剤と前記燃料改質槽から供給された燃料ガスとが発電反応することによって生成した水蒸気と二酸化炭素と熱とを含む排気ガスが流れる排ガス流路と、常温・常圧で気体となる燃料を貯えた第一の燃料タンクと、常温・常圧で液体となる燃料液を貯えた第二の燃料タンクと、前記第一の燃料タンクに貯えられた燃料を加熱および加湿して前記燃料改質槽へ供給する加熱加湿槽と、前記第二の燃料タンクに貯えられた燃料液を、前記排ガス流路からの熱によって気化させて前記燃料改質槽へ供給する気化槽と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
- 前記加熱加湿槽における加熱および加湿は、前記第一の燃料タンクに貯えられた燃料と、前記空気ブロワーから供給された酸化剤と、の化学反応によって生じることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記第一の燃料タンクに貯えられた燃料は、前記排ガス流路からの熱によって加温されて前記加熱加湿槽へ供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
- 前記空気ブロワーから供給された酸化剤は、前記排ガス流路からの熱によって加温されて、前記燃料電池モジュールおよび前記加熱加湿槽に供給されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
- 前記第二の燃料タンクには、前記燃料電池モジュールの発電によって生じる電気によって作動する燃料液供給ポンプを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
- 前記空気ブロワーは、前記燃料電池モジュールの発電によって生じる電気によって作動することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
- 前記第二の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で液体となる燃料液は、メタノールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
- 前記第一の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で気体となる燃料は、ジメチルエーテルであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料改質槽から前記燃料電池モジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜950℃であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料改質槽から前記燃料電池モジュールへ供給される燃料の温度が400℃〜650℃であることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
- 常温・常圧で気体となる燃料が貯えられた第一の燃料タンクのバルブを開放し前記燃料を燃料改質槽に供給する手段と、前記燃料改質槽において400℃以上の温度に達したら水素および一酸化炭素を含む燃料を燃料電池モジュールに供給する手段と、前記燃料電池モジュールにおいて発電反応を起こさせる手段と、前記発電反応によって生じる電気によって常温・常圧で液体となる燃料液が貯えられた第二の燃料タンクの燃料液供給ポンプおよび空気ブロワーを作動する手段と、前記燃料液を前記燃料電池モジュール反応で発生した熱によって気化する手段と、前記燃料電池モジュールにおいて発電反応が起こり電気と熱を発生する手段と、を備えた燃料電池システム。
- 前記第一の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で気体となる燃料がジメチルエーテルで、前記第二の燃料タンクに貯えられた常温・常圧で液体となる燃料液がメタノールであることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
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