JP2004271971A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶の応答速度を向上させた画素を有する、画素の開口率を向上させた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】画素領域に区分された第1の領域と第2の領域を有し、各領域は第1と第2の電極により囲まれて領域が形成され、第1と第2の電極はそれぞれ長い第1の電極部分と短い第2の電極部分とを有し、第1の電極部分と第2の電極部分は鈍角となる関係を有して接続され、第1の電極と第2の電極部分は各領域内で互いに最も遠い辺になるように配置されていて、鈍角が第1の領域と第2の領域で異なる側に形成されている。
【選択図】 図43
【解決手段】画素領域に区分された第1の領域と第2の領域を有し、各領域は第1と第2の電極により囲まれて領域が形成され、第1と第2の電極はそれぞれ長い第1の電極部分と短い第2の電極部分とを有し、第1の電極部分と第2の電極部分は鈍角となる関係を有して接続され、第1の電極と第2の電極部分は各領域内で互いに最も遠い辺になるように配置されていて、鈍角が第1の領域と第2の領域で異なる側に形成されている。
【選択図】 図43
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置に係り、特にその画素構成の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置の画素として、液晶を介して対向配置される一方の基板の液晶側の面に、画素電極とこの画素電極との間に電界を発生せしめる対向電極とを備えたものが知られている。
【0003】
該画素電極と対向電極との間に基板と平行な成分を有する電界によって該液晶の光透過率を制御せしめる構成のものである。
【0004】
そして、このような各画素において、その領域内で前記電界の方向を異ならした領域を構成し、これにより視野角に依存する画像の色づきを補償した、いわゆるマルチドメイン方式のものであって、それら各領域における液晶の挙動(液晶分子の回転)を比較的電界の強い一端側から他端にかけて伝達させる工夫がなされているものが知られている。平行に配置された画素電極と対向電極との間に生じる電界のみでは液晶分子を回転させる力が弱い場合があるからである(特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平9−105908号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように構成された画素は、液晶の挙動を比較的電界の強い一端側から他端にかけて伝達させることから、その応答速度が遅く、その改善が望まれていた。
【0006】
また、特許文献1に示した画素はその他端側において、一方の電極が同一幅で延在された他端部を有するものであり、該他端部と他方の電極との間に生じる電界の方向が比較的不均一となり、この部分にいわゆるドメイン領域が生じ、結果として遮光しなければならず、画素のいわゆる開口率を狭めていたという指摘がなされていた。
【0007】
それ故、本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、液晶の応答速度を向上させた画素を有する液晶表示装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、画素の開口率を向上させた液晶表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0010】
手段1.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、画素領域に区分された第1の領域と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極により囲まれて領域が形成され、
第1と第2の電極はそれぞれ長い第1の電極部分と短い第2の電極部分とを有し、
第1の電極部分と第2の電極部分は鈍角となる関係を有して接続され、
前記第1の電極と第2の電極それぞれの第2の電極部分は各領域内で互いに最も遠い辺になるように配置されていて、
前記鈍角が第1の領域と第2の領域で異なる側に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
手段2.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段1の構成を前提とし、それぞれの前記鈍角が初期配向方向に対して異なる側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0012】
手段3.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、画素領域に区分された第1と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極を有し、
かつ、第1と第2の電極が平行に延在して主領域と第1と第2の電極が徐々に近接する補助領域を有し、
補助領域は画素領域の両端に配置され、かつ、それぞれ逆方向に徐々に近接するように配置され、
前記第1の領域と第2の領域はほぼ線対称に形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
手段4.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、画素領域内に、画素電極とこの画素電極との間に電界を生じせしめる対向電極とを備え、かつ、これら画素電極と対向電極とで囲まれた少なくとも2つの区分領域を備え、
これら区分領域のそれぞれは菱形状をなし、これら区分領域ほぼ液晶初期配向方向に対して線対称となって背中合わせに形成され、
これら各区分領域は、それぞれ一方の区分領域と背中合わせになる第1辺とこの第1辺の一方向側の端部にてこの第1辺と鈍角の開きを有して交差する第2辺とが前記画素電極と対向電極のうち一方の電極によって縁取られて形成されるとともに、
前記第1辺と平行となる第3辺とこの第3辺と前記一方向側と反対側の端部にて該第3辺と鈍角の開きを有して交差する第4辺とが前記画素電極と対向電極のうち他方の電極によって縁取られて形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
手段5.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、各区分領域の第1辺と第3辺のそれぞれの長さは該第1辺と第3辺の距離より大きく設定されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【0015】
手段6.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
手段7.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、各区分領域の第1辺を縁取る電極は各区分領域における共通の電極として構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
手段8.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、線対称に背中合わせに形成された各区分領域は液晶初期配向方向に沿って複数形成され、これら各区分領域の第1辺と第2辺とを縁取る電極は一体として構成され、かつ、第3辺と第4辺とを縁取る電極は一体として構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
手段9.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第2辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0019】
手段10.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第4辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0020】
手段11.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、各区分領域の第1辺および第2辺を縁取る電極は画素電極であり、第3辺および第4辺を縁取る電極は対向電極であることを特徴とするものである。
【0021】
手段12.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段11の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、前記対向電極は前記ドレイン信号線を絶縁膜を介して被って形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
手段13.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段12の構成を前提とし、前記対向電極は透光性の導電層で構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
なお、本発明は以上の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による液晶表示装置の実施例を図面を用いて説明をする。
【0025】
実施例1.
図1は、本発明による液晶表示装置の一実施例を示す等価回路図である。
図に示す等価回路は液晶を介して互いに対向配置される各基板のうち一方の基板の液晶側の面に形成される回路を示している。
【0026】
同図において、そのx方向に延在しy方向に並設されたゲート信号線GL(GL1、GL2、……、GLn、……)とy方向に延在しx方向に並設されたドレイン信号線DL(DL1、DL2、……、DLn、……)とが形成されている。
【0027】
各ゲート信号線GLと各ドレイン信号線DLとで囲まれた領域は画素領域を構成するとともに、これら各画素領域のマトリクス状の集合体は液晶表示部ARを構成するようになっている。
【0028】
また、x方向に並設される各画素領域のそれぞれにはそれら各画素領域内に走行された共通の対向電圧信号線CL(CL1、CL2、……、CLn、……)が形成されている。この対向電圧信号線CLは各画素領域の後述する対向電極CTに映像信号に対して基準となる対向電圧信号を供給するための信号線となるものである。
【0029】
各画素領域には、その片側のゲート信号線GLからの走査信号によって作動される薄膜トランジスタTFTと、この薄膜トランジスタTFTを介して片側のドレイン信号線DLからの映像信号が供給される画素電極PXが形成されている。
【0030】
この画素電極PXは、前記対向電極CTとの間に電界を発生させ、この電界によって液晶の光透過率を制御させるようになっている。なお、図中液晶を介して画素電極PXと対向電極CTの間に生じる容量をClcで示している。
【0031】
前記ゲート信号線GLのそれぞれのたとえば図中左側の一端は走査信号駆動回路Vに接続されている。また、前記ドレイン信号線DLのそれぞれのたとえば図中上側の一端は映像信号駆動回路Heに接続されている。
【0032】
前記各ゲート信号線GLは、走査信号駆動回路Vからの走査信号によって、その一つが順次選択されるようになっており、この選択のタイミングに合わせて、前記各ドレイン信号線DLのそれぞれには、映像信号が供給されるようになっている。
【0033】
さらに、この実施例では、前記対向電圧信号線CLのそれぞれのたとえば図中右側の一端は共通電極駆動回路に接続されている。この共通電極駆動回路は映像信号に対して基準となる基準信号を各対向電圧信号線CLのうち、走査信号駆動回路によって選択された画素列の対向電極CTに接続されている対向電圧信号線CLに供給されるようになっている。なお、前記基準信号は、以下の説明において、対向電圧信号と称する場合がある。
【0034】
また、図1において、画素電極PXと対向電圧信号線CLとの間には容量素子Cstgが形成されている。この容量素子Cstgは画素電極PXに供給された映像信号を比較的長い時間の間該画素電極PXに蓄積させるためである。
【0035】
図2は前記共通電極駆動回路Cmの駆動方法の概念を示す図で、図1に示した薄膜トランジスタTFT、画素電極PX、対向電極CT、容量素子Cstgは省略して示している。
【0036】
同図において、走査信号駆動回路Vからの走査信号の供給をスイッチング回路SW1の切り替えによって行い、今、ゲート信号線GL3が選択されているとする。この際、共通電極駆動回路Cmからの対向電圧信号の供給をスイッチング回路SW2の切り替えによって行い、対向電圧信号線CL3が選択されるようになる。
【0037】
ここで、ゲート信号線GL3はx方向に並設された画素列の各薄膜トラジスタTFTを駆動するゲート信号線であるとともに、対向電圧信号線CL3は該画素列の対向電極CTに接続される対向電圧信号線であり、それ以外の画素列におけるゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLはそれぞれ走査信号駆動回路Vおよび共通電極駆動回路Cmから電気的に切り離され、フローティング状態となっている。
【0038】
ここで、各画素領域の集合体である液晶表示部ARは図示しないシール材の内側に位置づけられ、走査信号駆動回路V、映像信号駆動回路He、共通電極駆動回路Cmのそれぞれは該シール材の外側に位置づけられている。ここで前記シール材は一方の基板に対する他方の基板の固着、かつ液晶を封止するために形成されるものである。
【0039】
このように構成された液晶表示装置は、走査されたゲート信号線GLによって選択される画素列以外の他の画素列におけるゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLはフローティングされることになる。
【0040】
このことから、電位が変動するドレイン信号線DLとゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLとの寄生容量は理想的には0となる。ここで、理想的状態で考えると、ゲート信号線GLのうち、寄生容量を構成する配線は1本となり、寄生容量Cgdは1/1024に劇的に低減する。また、対向電圧信号線CLのうち、寄生容量を構成する配線も1本となり、寄生容量Ccdは1/1024に劇的に低減する。このため、寄生容量全体としては1/1024に劇的に低減する。
【0041】
この場合、走査信号と対向電圧信号の双方がともにOFFになることが必要となる。何故なら、仮に一方のみがOFFした場合、例えば寄生容量Cgdが1/1024になっても寄生容量Ccdが従来通りで変化しない場合には、寄生容量全体では約1/2に低減するのみであり、両方をOFFにした場合の1/1024とは効果に2桁の差が生じることになるからである。
【0042】
なお、この実施例では、選択される画素列以外の他の画素列におけるゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLのいずれもフローティング状態としたものである。しかし、対向電圧信号線CLのみをフローティング状態とするようにしてもよい。
【0043】
対向電圧信号線CLのみをフローティング状態とすることによって、ゲート信号線GLをフローティングする場合とは異なる他の効果を奏するからである。
【0044】
すなわち、一つの対向電圧信号線CLに着目した場合、その対向電圧信号線CLには各画素毎の画素電極PXとの間に容量素子Cstgが接続され、該容量素子Cstgの数は多数に及んでいる。
【0045】
このような場合において、薄膜トランジスタTFTのON時に画素電極PXの各電位は該薄膜トランジスタTFTを介して供給される映像信号Dの電位により決定されることになる。該薄膜トランジスタTFTのON時に画素電極PXに供給される電圧をPXonとした場合、該薄膜トランジスタTFTのOFFへの切り替わり時の飛び込み電圧により、画素電極PXは保持期間中の電位PXoffとなる。ここで、飛び込み電圧とは、画素電極PXの電圧差(PXon−PXoff)を示す。そして、このPXoffと対向電極CTの電位により液晶分子を駆動する。
【0046】
前記飛び込み電圧は、薄膜トランジスタTFTの各部のサイズ、交差面積、絶縁膜の膜厚等に依存する。そして、これらの値は、製造工程中である範囲のばらつきが必ず生じるものであり、個々の全ての製品において同一の値を維持することは極めて困難となっている。このため、飛び込み電圧の値も製品毎に異なった特性を示すものとなる。
【0047】
一方、液晶は、直流電圧の蓄積によるフリッカ、残像等を回避するため、ライン単位あるいはフレーム単位等で交流化して駆動されるのが通常である。この交流化は、対向電圧信号線CLの電位に対してのものであり、すなわち長時間平均で対向電圧信号線と画素電極PXの電圧差に直流電圧が生じないようにするためである。
【0048】
従来において、対向電圧信号線CLの電位は薄膜トランジスタTFTのOFF期間においても外部から供給され、その電圧は予め定められた電圧であった。そしてこの電圧は、直流電圧が蓄積しないように、正極、負極のPXoffの中心電圧に設定するようにしていた。これがいわゆる最適Vcomと呼ばれる電圧である。
【0049】
しかし、この最適Vcomを外部から供給する方式では、前述の個々の製品での飛び込み電圧の差によるPXoffのばらつきに対応することが困難となっていた。さらに、薄膜トランジスタTFTの特性は使用環境等により長時間の使用で変動することがある。これは、近年のパーソナルコンピュータの製品寿命の長期化、またTV用途のように10年以上の使用が当然となってきた状況では、より一層クローズアップされるべき問題となっている。
【0050】
そしてこの薄膜トラジスタTFTの特性の変動によっても、飛び込み電圧は影響を受け、製品製作時とは飛び込み電圧が異なったものとなる。さらに、ゲート電圧を発生するドライバ、そのドライバにゲート電圧を供給する電源回路も長時間の使用による特性の変動は生じうる。これも飛び込み電圧に影響を及ぼす。
【0051】
したがって、従来の最適Vcomを外部から予め定まった電圧として供給する方式では、このような長時間での変動にも対応することができないことが指摘されている。
【0052】
これに対し、上述したように、薄膜トランジスタTFTのOFF時に対応させて対向電圧信号線CLをフローティングすることにより、対向電圧信号線CLはライン単位のPXoffの中心電圧となるように、容量素子Cstgを介して常に自己整合的に定まるようにできる。容量素子Cstgにより画素電極PXと対向電圧信号線CLの電気的容量を顕著に増大させていることが、有効に働く。
【0053】
このため、製品個々の飛び込み電圧のばらつきや、長時間の使用による飛込み電圧の変動などが生じても、その状況の変化に合わせて最適の電圧にCLが自己整合的に調整される。したがって、製品個々の個体差の影響を回避でき、また長時間使用による特性変動の影響も回避することができるという、従来の方式では成し得なかった効果が得られる。
【0054】
実施例2.
図3(a)は、図2に示したスイッチング回路SW1の一実施例を示す回路図である。
【0055】
まず、走査信号駆動回路Vから走査信号G1、G2、……、Gn、Gn+1がそれぞれ供給される各ゲート信号線GL1、GL2、……、GLn、GLn+1のうち、たとえばゲート信号線GLnの場合を例にとると、走査信号線駆動回路Vから走査信号Gnを供給する信号線は、まずスイッチング素子SW1(n)のゲート電極Gに接続されている。
【0056】
このスイッチング素子SW1(n)のたとえばドレイン電極Dは信号線VgONに接続され、ソース電極Sは前記ゲート信号線GLnに接続されている。
【0057】
また、このスイッチング素子SW1(n)のソース電極Sはスイッチング素子SW2(n)のソース電極Sに接続されている。前記スイッチング素子SW2(n)のゲート電極Gは走査信号線駆動回路Vから走査信号Gn+1を供給する信号線に接続され、そのドレイン電極は信号線VgOFFに接続されている。
【0058】
ゲート信号線GLn以外の他のゲート信号線GLのそれぞれにおいても、同様の構成となっており、前記信号線VgONおよび信号線VgOFFを共通のものとしている。
【0059】
なお、このスイッチング素子SW1は液晶を介して対向配置される各基板の一方の基板の面に形成されたものであっても、また、走査信号駆動回路Vに組み込まれたものであってもよいことはいうまでもない。
【0060】
図3(b)は、上述したスイッチング素子SW1の動作を示すフロー図である。
図3(b)は、その上方から、走査信号駆動回路Vから送出される走査信号Gn、Gn+1、Gn+2、その場合における走査信号線GLn、GLn+1、GLn+2に供給される走査信号を、さらに、この際のスイッチSW1(n)、スイッチSW1(n+1)、スイッチSW1(n+2)、スイッチSW2(n)、スイッチSW2(n+1)、スイッチSW2(n+2)、のオン・オフ状態を示している。
【0061】
換言すれば、走査信号駆動回路Vから送出される走査信号Gn、Gn+1、Gn+2のタイミングに合わせて、スイッチSW1(n)、スイッチSW1(n+1)、スイッチSW1(n+2)、スイッチSW2(n)、スイッチSW2(n+1)、スイッチSW2(n+2)を図示に示すようにオンあるいはオフさせることにより、走査信号線GLn、GLn+1、GLn+2には図示されるような走査信号が供給されるようになる。
【0062】
なお、ここで示すnはそれに1あるいは2のような数字に置き換えた場合においても同様に成立するものである。
【0063】
同図において、走査信号Gnが供給されるとスイッチSW1(n)がONになりゲート信号線GL(n)には信号線VgONを通してON電圧が供給される。そして、該走査信号が供給されなくなって次の走査信号Gn+1が供給されると前記スイッチSW1(n)がOFFになりスイッチSW2(n)がONになる。
【0064】
これによってゲート信号線GLnには信号線VgOFFを通してOFF電圧が供給される。
【0065】
その後、走査信号Gn、Gn+1の双方が供給されなくなってスイッチSW1(n)、SW2(n)のいずれもがOFFになり、ゲート信号線GL(n)はフローティング状態FTとなり、以降再び走査信号Gnが供給されるまでこのフローティング状態を維持する。
【0066】
この動作における実施例では、OFFを1ライン分書き込んだ後にフローティングに移行する場合を示したが、たとえば図3(c)に示すように、2ライン分(あるいはそれ以上)の時間を設けてフローティング状態に移行するようにしても良いことはいうまでもない。薄膜トランジスタTFTを十分にOFF電位にし、フローティング期間での薄膜トランジスタTFTからのリークを回避できるからである。
【0067】
このようにOFF期間を延ばすには、ゲート信号線GLnを走査信号Gn+2によって制御されて信号線VgOFFから信号を供給する他のスイッチSW3(n)を設ければよい。
【0068】
また、図4は、図2に示したスイッチング回路SW2の一実施例を示す回路図である。
【0069】
まず、共通電極駆動回路Cmから対向電圧信号C1、C2、……、Cn、……がそれぞれ供給される各対向電圧信号線CL1、CL2、……、CLn、……のうち、たとえば対向電圧信号線CLnの場合を例にとると、共通電極駆動回路Cmから対向電圧信号を供給する信号線は、まずスイッチング素子SW4(n)のゲート電極Gに接続されている。
【0070】
そして、該スイッチング素子SW4(n)のドレイン電極Dは信号線Vcに接続されているとともに、ソース電極Sは対向電圧信号線CLnに接続されている。
【0071】
対向電圧信号線CLn以外の他の対向電圧信号線CLのそれぞれにおいても、同様の構成となっており、前記信号線Vcを共通のものとしている。
【0072】
なお、このスイッチング素子SW4は液晶を介して対向配置される各基板の一方の基板の面に形成されたものであっても、また、走査信号駆動回路Vに組み込まれたものであってもよいことはいうまでもない。
【0073】
このような構成において、共通電極駆動回路Cmからの各対向電圧信号C1、C2、……、Cn、……は、それぞれ、走査信号駆動回路Vからの走査信号G1、G2、……、Gn、……の供給のタイミングにほぼ一致づけられて供給され、あるゲート信号線GLが担当する画素列において該ゲート信号線GLに走査信号Gが供給される場合は該該画素列内に形成されている対向電圧信号線CLに対向電圧信号Cが供給されるようになっている。
【0074】
このように構成されることによって、共通電極駆動回路Cmから対向電圧信号が供給されていない期間の対向電圧信号線CLはフローティング状態とすることができる。
【0075】
実施例3.
図5(a)は、図2に示したスイッチング回路SW1の他の実施例を示す回路図で、図3(a)に対応した図となっている。
【0076】
図3(a)の場合と比較して異なる構成は、フローティング状態となる各ゲート信号線GLは、高抵抗によってフローティング電位線FGと接続され、隣接しかつフローティング状態となっている他のゲート信号線GLと電気的に接続される構成となっていることにある。
【0077】
すなわち、たとえばゲート信号線GLnの場合を例にとると、スイッチング素子SW1を介して信号線VgONからの信号は、スイッチング素子SW3(n)およびスイッチング素子SW4(n)の並列接続体に入力されるようになっている。
【0078】
ここで、スイッチング素子SW3(n)は走査信号駆動回路Vからの信号Gnによって駆動され、スイッチング素子SW4(n)は走査信号駆動回路Vからの信号Gn+1によって駆動されるようになっている。
【0079】
スイッチング素子SW3(n)およびスイッチング素子SW4(n)の並列接続体の出力端は前記ゲート信号線GLnに接続されているとともに、フローティング電位線FGと高抵抗Rを介して接続されている。
【0080】
前記ゲート信号GLn以外の他のゲート信号線GLのそれぞれにおいても、同様の構成となっており、前記フローティング電位線FGを共通のものとしている。
【0081】
このように構成した場合、各ゲート信号線GLはそれぞれドレイン信号線DLを同じように横切る。したがって、各ゲート信号線GLによりドレイン信号線DLが受ける影響は、フローティング時には各ゲート信号線GL毎にほぼ同じとみなすことができる。
【0082】
このため、フローティング時に互いにゲート信号線GL間を高抵抗を介して電気的に接続することで、フローティングによる効果は維持でき、かつ外部ノイズ等の擾乱に対する耐性を向上させることができる。
【0083】
図5(b)は、上述したスイッチング回路SW1の動作を示すフロー図であり、図3(b)に対応した図となっている。
【0084】
図3(b)は、その上方から、走査信号駆動回路Vから送出される走査信号Gn、Gn+1、Gn+2、Gn+3、その場合における走査信号線GLn、GLn+1、GLn+2、GLn+3に供給される走査信号を、さらに、この際のスイッチSW1(n)ないしスイッチSW4(n)、スイッチSW1(n+1)ないしスイッチSW4(n+1)、スイッチSW1(n+2)ないしスイッチSW4(n+2)のオン・オフ状態を示している。
【0085】
同図において、走査信号Gnの供給(ON)によりスイッチSW1(n)とスイッチSW3(n)がONになり、信号線VgONを通してゲート信号線GLnにON電圧が供給される。そして、走査信号GnがOFFになり、走査信号Gn+1が供給(ON)されると、スイッチSW1(n)、SW3(n)がOFF,SW2(n)、SW4(n)がONになり、信号線VgOFFを通してOFF電圧がゲート信号線GLnに供給される。
【0086】
さらに、走査信号Gn、Gn+1がOFFになり、走査信号Gn+2以降がONになると、スイッチSW1(n)〜SW4(n)はいずれもOFFになり、ゲート信号線GL(n)は高抵抗Rを経由してフローティング電位線FGに接続される。これにより、大部分の時間でゲート信号線GL(n)はフローティング状態となる。
【0087】
ここで、GL(n)とFGとの接続は、G(n+1)以前及びG(n+2)以降でトランジスタによって行うようにしてもよい。その際、高抵抗Rは介在させてもあるいはさせなくても良い。トランジスタを設けない場合は、ON時の電圧の逆流を防ぐために高抵抗Rは必須であるが、トランジスタ回路でON/OFF制御する場合には該トランジスタにより制御できるからである。
【0088】
実施例4.
図6は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す平面図であり、図2に対応した図となっている。
【0089】
この実施例は、走査信号駆動回路Vに近接して設けられるスイッチング回路SW1を該走査信号駆動回路VとともにゲートドライバGDとして構成し、また、共通電極駆動回路Cmに近接して設けられるスイッチング回路SW2を該共通電極駆動回路CmとともにコモンドライバCDとして構成したものである。
【0090】
このようにした場合、映像信号駆動回路(ドレインドライバDD)は通常複数の半導体装置で形成されることはいうまでもなく、前記ゲートドライバGDおよびコモンドライバCDも複数の半導体装置で形成され、それらは透明基板SUB1に対して図7(a)に示すように配置されるようになる。
【0091】
しかし、このような配置に限定されることはなく、たとえば図7(b)に示すように、ゲートドライバGDとコモンドライバCDを透明基板SUB1の一方の端辺側に近接して配置させるようにし、たとえばコモンドライバCDをゲートドライバGDの外側に位置づけるようにして配置してもよい。
【0092】
そして、図7(b)に示すようにゲートドライバGDとコモンドライバCDを配置させた場合、コモンドライバCD側から延在される各対向電圧信号線CLを跨ぐようにしてゲートドライバGDを配置させるようにしてもよい。換言すれば、各対向電圧信号線CLはゲートドライバGDの下方を走行するように構成してもよい。
【0093】
対向電圧信号線CLとゲート信号線GLは同層で形成した場合であってもそれらが短絡しないように形成できるからである。なお、この場合にあって、対向電圧信号線CLとゲート信号線GLを絶縁膜を介して異層に形成してもよいことはもちろんである。
【0094】
実施例5.
図8(a)は、前記スイッチング回路SW1の他の実施例を示す回路で、図5(a)と対応した図となっている。
【0095】
図5(a)の場合と比較して異なる構成は、図5(a)に示す回路内に各対向電圧信号線CLに対向電圧信号を供給する回路を組み込ませていることにある。
【0096】
同図において、図4に示す回路に類似する回路を後段に組み込ませ、その回路の各スイッチSW5(n)を駆動させる信号(ゲート信号)として走査信号駆動回路Vからの走査信号Gnを用いていることにある。
【0097】
すなわち、走査信号Gnの供給によってONされるスイッチSW5を介し、信号線Vcを通して対向電圧信号が対向電圧信号線CL(n)に供給されるようになっている。前記対向電圧信号線CL(n)以外の他の対向電圧信号線CLにおいても同様の構成となっており、また信号線Vcは共通となっている。
【0098】
このように構成した回路は、その部品点数を低減でき、実装スペースの削減を図ることができるようになる。
【0099】
図8(a)に示す回路は走査信号駆動回路Vとともに半導体装置に組み込まれて構成してもよいし、また、図8(b)に示すように、透明基板SUB1の表面に形成するようにしてもよい。この場合、前記回路内に備えられるトランジスタはたとえばポリシリコンから形成されるのが通常となる。
【0100】
なお、図8(b)において、図8(a)に示す回路のうち走査信号駆動回路Vを除く他の回路を制御回路CCとして示している。
【0101】
図9は、上述したスイッチング回路SW1の動作を示すフロー図であり、図5(b)に対応した図となっている。
【0102】
図5(b)の場合と比較して異なる部分は、対向電圧信号線CLnないしCLn+3のそれぞれに供給される対向電圧信号を、スイッチSW5(n)ないしSW5(n+2)のオン・オフ状態を新たに示していることにある。
【0103】
実施例6.
図10(a)は本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す平面図である。この実施例では、上述したように共通電極駆動回路Cm(スイッチング回路SW2が組み込まれている)から各対向電圧信号線CL1、CL2、……、CLn、……に対向電圧信号を走査して供給することを前提として構成されるものである。
【0104】
液晶表示部ARの外側の領域であって、各対向電圧信号線CLの他端部(共通電極駆動回路Cmと反対側の他端部)にそれぞれ交差し、かつ該対向電圧信号線CLと絶縁膜を介して修正用配線AMLが形成とされ、この修正用配線AMLにはたとえば共通電極駆動回路Cmから補助配線ASL(液晶表示部ARの外側の領域に設けられる)を介して対向電圧信号が常時供給されるようにしている。
【0105】
このように構成された液晶表示装置は、たとえば図10(b)に示すように、対向電圧信号線CL1に断線CUTが生じた場合に、該対向電圧信号線CL1のうち共通電極駆動回路Cmから切り離された部分の画素列において表示不良が生じることになる。
【0106】
このような場合において、図10(c)に示すように、共通電極駆動回路Cmから切り離された対向電圧信号線CL1と修正用配線AMLとの交差部にたとえばレーザ光線を照射することによって、それらを電気的に接続させる(図中矢印Qに示す)。これによって、共通電極駆動回路Cmから切り離された対向電圧信号線CL1には前記補助配線ASLおよび修正用配線AMLを介して対向電圧信号が常時供給されるようになる。
【0107】
接続を回復できた部分の共通電圧信号線CL1は、フローティング状態ではなくなり、その分ドレイン信号線DLとの間の寄生容量が増大することになるが、数本程度まで修正しても依然として数百分の一の寄生容量を低減させる効果を維持させることができる。
【0108】
実施例7.
この実施例では、上述したようにゲート信号線GLがその書き込み時以外の大部分の時間でフローティングになる構成を前提に、各ドレイン信号線DLへの映像信号の極性をたとえば一ライン毎において隣接して配置されるドレイン信号線に供給される映像信号の極性と同相とすることにある。
【0109】
図11は、ドレイン信号線DLnおよびドレイン信号線DLn+1の各極性をたとえば+とし、次の段階におけるドレイン信号線DL1ないしDLnの極性を−として映像信号を供給した場合、あるライン(ゲート信号線Gn)におけるドレイン信号線DLnとドレイン信号線DLn+1の間の箇所における電位の変化を示した図である。
【0110】
この場合、前記ゲート信号線GLnがフローティング状態とされている場合、前記箇所は前記ドレイン信号線DLn、およびDLn+1に供給される信号の極性に応じ追随して変動することになる。
【0111】
すなわち、前記ゲート信号線Gnの前記箇所に対するドレイン信号線DLn、DLn+1のそれぞれの電位差は最初たとえばVaとなり、次の段階におけるドレイン信号線DLn、DLn+1のそれぞれの電位差もVaとなる。
【0112】
このことは、フローティングされた各ゲート信号線GLと映像信号が供給されるドレイン信号線DLとの間に寄生容量が発生しないことを意味し、消費電力の低減が図れる効果を奏することになる。
【0113】
比較のため、図12は、ドレイン信号線DLnに+の極性、ドレイン信号線DLn+1に−の極性とし、次の段階においてドレイン信号線DLnに−の極性、ドレイン信号線DLn+1に+の極性となるように映像信号を供給した場合、あるライン(ゲート信号線Gn)におけるドレイン信号線DLnとドレイン信号線DLn+1の間の箇所における電位の変化を示した図である。
【0114】
この場合、前記ゲート信号線GLnがフローティング状態とされている場合、前記ドレイン信号線DLn、およびDLn+1との間の電圧が一方においてVa、他方においてVbというように入れ替わって変動することになる。
【0115】
このことは、ドレイン信号線DLnおよびドレイン信号線DLn+1はゲート信号線GLに対して充放電する必要が生じ、消費電力の低減の妨げになってしまうことになる。
【0116】
上述した実施例では、隣接するドレイン信号線DLの極性を同層とするのは一ライン毎にする例を示したものであるが、二ライン、三ラインのような複数ライン毎であってもよく、またフレーム毎であってもよいことはいうまでもない。同様に、ゲート信号線GLとドレイン信号線DLとの間に寄生容量が発生せず、消費電力の低減が図れるからである。
【0117】
実施例8.
この実施例では、実施例7に示した構成、すなわち、各ドレイン信号線DLへの映像信号の極性をたとえば一あるいは数ライン毎において隣接して配置されるドレイン信号線に供給される映像信号の極性と同相とするとともに、対向電圧信号線CLをその走査時において反転駆動させることにある。
【0118】
このようにすることにより、ドレイン信号線DLにおける信号振幅自体を半減でき、さらに消費電力の低減を実現することができる。
【0119】
そして、ドレイン信号線DLにおける信号の振幅を低減させることにより、走査信号Gの振られ幅が低減し、フローティングによる消費電力低減効果を一層向上させることができる。
【0120】
また、従来みられたようないわゆるコモン反転は、画面全体の対向電極CTの電位を常に駆動させていたため、その負荷が極めて重く、該対向電極CTの駆動回路での消費電力が大きいという課題があった。
【0121】
しかし、上記実施例では対向電圧信号線CLもその電圧供給後にフローティングにするようにしている。すなわち駆動する対向電圧信号線CLの本数を数百分の1以下に大幅に低減させるため、前記共通電極駆動回路Cmでの消費電力も極わずかなものとなり、映像信号駆動回路Heの消費電力低減の効果がほぼそのまま全体の消費電力低減とすることができる。
【0122】
さらに、各対向電極CTに大電流を給電する必要が無くなり、信頼性が向上し、部品コストも低減できる。
【0123】
上述したように、対向電圧信号線CLは、その書き込み後にフローティングとなり、ゲート信号線GLの場合と同様に映像信号Dの電位に応じて追随するため、隣接する映像信号線DLが同層であることによりフローティングの効果が十分に発揮される。
【0124】
すなわち、(1)ゲートが書き込み時以外の大部分の時間でフローティングになる。(2)コモンが書き込み時以外の大部分の時間でフローティングになる。(3)隣接する映像信号線が同層で駆動される。(4)コモンがコモン反転駆動される。という各構成が合わさることにより、最大限の消費電力低減効果が実現するようになる。
【0125】
実施例9.
図13は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、共通電極駆動回路Cmとスイッチング回路SW2を介して各対向電圧信号線CLとの接続の他の実施例を示している。
【0126】
図13(a)は、各対向電圧信号線CLをたとえば上方から2つずつ接続し、この接続部を介して対向電圧信号が順次供給されることを示し、図13(b)は、各対向電圧信号線CLをたとえば上方から3つずつ接続し、この接続部を介して対向電圧信号が順次供給されることを示している。図示していないが、さらに4つずつ、それ以上の数ずつ接続してもよい。
【0127】
このように構成した場合、図13(c)に示すように、共通電極駆動回路CmのコモンドライバCDの数を走査信号駆動回路VのゲートドライバGDの数よりも低減させることができる。
【0128】
このことから、たとえば図14に示すように、共通電極駆動回路CmのコモンドライバCDを走査信号駆動回路VのゲートドライバGDに並設させて配置し(図14(a))、あるいは映像信号駆動回路HeのドレインドライバDDに並設させて配置させることができる(図14(b))。このため、液晶表示パネルの省スペース化を図ることができる。
【0129】
実施例10.
図15は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、図13(a)に対応した図となっている。図15(a)は、走査して供給される共通電極駆動回路Cmからの一の走査信号が供給される複数の対向電圧信号線CLがループ状に形成されている。
【0130】
すなわち、対向電圧信号線CLの断線に対する冗長構造となっており、ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLとがたとえば短絡しても該短絡部の両側で切断することにより、該短絡の不都合を解消させることができ正常な状態に復帰させることができる。
【0131】
また、図15(b)は、複数の対向電圧信号CLはループ状に形成されていないが、一端側において互いに接続された該複数の対向電圧信号CLの他端側から同時に対向電圧信号を供給させることによって、実質的には図15(a)に示した構成と同様にループ状に構成され、同様の機能をもたせるようにできる。
【0132】
なお、図15に示した構成は、それぞれ隣接する各対向電圧信号線CLどうしを冗長構造としたものである。しかし、図16(a)、(b)に示すように、たとえば一の対向電圧信号線CLに対してそれより3つめの対向電圧信号線CLとループ状に構成するようにしてもよいことはいうまでもない。すなわち、各ループが入れ子状に形成されていてもよい。
【0133】
なお、図16(a)は図15(a)に対応し、図16(b)は図15(b)に対応した図となっている。
【0134】
実施例11.
図17(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す平面図であり、また、図17(b)は、図17(a)のb−b線における断面図を示している。
【0135】
まず、透明基板SUB1の液晶側の面にはたとえばポリシリコン層からなる半導体層LTPSが形成されている。この半導体層LTPSはたとえばプラズマCVD装置によって成膜したアモルファスSi膜をエキシマレーザによって多結晶化したものである。
【0136】
この半導体層LTPSは薄膜トランジスタTFTのそれで、後述するゲート信号線GLをたとえば2回横切るように迂回して形成されたパターンをなしている。
【0137】
そして、このように半導体層LTPSが形成された透明基板SUB1の表面には、該半導体層PSをも覆ってたとえばSiO2あるいはSiNからなる第1絶縁膜INSが形成されている。
【0138】
この第1絶縁膜INSは前記薄膜トランジスタTFTのゲート絶縁膜として機能するともに、後述する容量素子Cstgの誘電体膜の一つとして機能するようになっている。
【0139】
そして、第1絶縁膜INSの上面には、図中x方向に延在しy方向に並設されるゲート信号線GLが形成され、このゲート信号線GLは後述するドレイン信号線DLとともに矩形状の画素領域を画するようになっている。
【0140】
該ゲート信号線GLは前述した半導体層LTPSを2回横切るようにして走行され、該半導体層LTPSを横切る部分は薄膜トランジスタTFTのゲート電極として機能するようになっている。
【0141】
また、各ゲート信号線GLの間には該ゲート信号線GLと並行に容量信号線CNLがたとえば該ゲート信号線GLと同工程で形成されるようになっている。この容量信号線CNLは画素領域内において前記容量素子Cstgの一の電極を構成するようになっている。
【0142】
なお、このゲート信号線GLの形成後は、第1絶縁膜INSを介して不純物のイオン打ち込みをし、前記半導体層LTPSにおいて前記ゲート信号線GLの直下を除く領域を導電化させることによって、薄膜トランジスタTFTのソース領域およびドレイン領域が形成されるようになっている。
【0143】
前記ゲート信号線GLおよび容量信号線CNLをも被って前記第1絶縁膜INSの上面には第2絶縁膜GIがたとえばSiO2あるいはSiNによって形成されている。
【0144】
この第2絶縁膜GIの表面には、y方向に延在しx方向に並設されるドレイン信号線DLが形成されている。そして、このドレイン信号線DLの一部にはその下の第2絶縁膜GIおよび第1絶縁膜INSを貫通するスルーホールTH1を通して前記半導体層LTPSに接続されている。該半導体層LTPSのドレイン信号線DLと接続された部分は薄膜トランジスタTFTの一方の領域、たとえばドレイン領域となる部分である。
【0145】
さらに、このドレイン信号線DLをも被って第2絶縁膜GIの表面には第3絶縁膜PASが形成されている。この第3絶縁膜PASはたとえば樹脂等の有機材料からなり、前記第2絶縁膜GIとともに前記薄膜トランジスタTFTへの液晶の直接の接触を回避するための保護膜となっている。第3絶縁膜PASを有機材料で構成したのは保護膜としての誘電率を低減させ、かつ表面を平坦化するためである。
【0146】
この第3絶縁膜PASの表面には画素電極PXが形成されている。この画素電極は、たとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成され、画素領域の大部分の領域に及んで形成されている。この画素電極PXは、液晶を介して対向配置される他の透明基板の液晶側の面において画素画素領域に共通に形成された対向電極(透光性の導電層)との間で電界を発生せしめ、該液晶の光透過率を制御されるようになっている。そして、画素電極PXはその一部においてその下の第3絶縁膜PAS、第2絶縁膜GI、および第1絶縁膜INSに貫通させて設けたスルーホールTH2を通して薄膜トランジスタTFTの他方の領域、たとえばソース領域に接続されている。
【0147】
この画素電極PXは、前記容量信号線CNLと重畳する領域において形成される容量素子Cstgの他方の電極をも兼ねている。この場合の容量素子Cstgの誘電体膜は第2絶縁膜GIと第3絶縁膜PASである。
【0148】
ここで、前記容量信号線CNLは、前述した図2において示した対向電圧信号線CLに替わるもので、該図2の説明で示したように、たとえばライン毎に電圧信号が走査されて供給されるようになり、かつそれ以外の容量信号線CNLはフローティング状態となるものである。
【0149】
このようにすることによって、ドレイン信号線DLと容量信号線CNLとの交差部における寄生容量を大幅に低減させることができるからである。
【0150】
実施例12.
図18(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す平面図であり、図18(b)は、図18(a)のb−b線における断面図を、図18(c)は、図18(a)のc−c線における断面図を示している。
【0151】
図17に示した構成とほぼ同様であるが、対向電極CTを薄膜トランジスタTFTが形成された面側に形成し、この対向電極CTと画素電極PXとをそれぞれ帯状のパターンとして、画素領域内において一方のドレイン信号線DL側から他方のドレイン信号線DLにかけて、たとえば対向電極CT、画素電極PX、対向電極CTという順で配列させている。なお、これら電極の数は特定されることがないことはもちろんである。
【0152】
画素電極PXと対向電極CTとの間に透明基板SUB1の面とほぼ平行な成分を有する電界を発生せしめ、この電界によって液晶の光透過率を制御するようにしている。
【0153】
画素電極PXは、開口率を向上させるためたとえばITO等のような透光性の導電層で形成し、第3絶縁膜PASの上面に配置させている。そして、この画素電極PXはその一部においてその下の第3絶縁膜PAS、第2絶縁膜GI、および第1絶縁膜INSに貫通して設けたスルーホールTH2を通して薄膜トランジスタTFTの他方の領域、たとえばソース領域に接続されている。
【0154】
また、対向電極CTは、図17に示した容量信号線CNLと同様の構成で形成した対向電圧信号線CLから図中y方向に延在させて形成した電極であり、各ドレイン信号線DLにそれぞれ隣接させて形成させている。
【0155】
この対向電圧信号線CLは、前述した図2において示したそれであり、該図2の説明で示したように、たとえばライン毎に対向電圧信号が走査されて供給されるようになり、かつそれ以外の対向電圧信号線CLはフローティング状態となるものである。
【0156】
ドレイン信号線DLと対向電圧信号線CLとの交差部における寄生容量を大幅に低減させることができるからである。
【0157】
なお、上述した実施例では、画素電極PXを第3絶縁膜PASの上面に形成したものである。しかし、図18(d)に示すように、第3絶縁膜PASの下層、すなわちドレイン信号線DLと同層となるように形成してもよいことはいうまでもない。同様の効果を奏することができるからである。
【0158】
実施例13.
図19(a)は本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図18(a)と対応した図となっている。また、図19(b)は図19(a)のb−b線における断面図を、図19(c)は図19(a)のc−c線における断面図を示している。
【0159】
図18(a)と比較して異なる構成は、まず、第3絶縁膜PASの上面に形成された画素電極PXと同層で対向電極CTおよびこの対向電極CTに接続される対向電圧信号線CLが形成されていることにある。
【0160】
そして、対向電極CTおよび対向電圧信号線CLはたとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成し、画素の開口率のより向上を図っている。
【0161】
ここで、対向電圧信号線CLは当該画素を駆動させるゲート信号線GLに重畳させて構成し、その中心軸は該ゲート信号線GLのそれとほぼ一致づけられているとともに、その幅は該ゲート信号線GLのそれよりも大きく形成されている。また、対向電極CTはドレイン信号線DLに重畳させて構成し、その中心軸は該ドレイン信号線Dのそれとほぼ一致づけられているとともに、その幅は該ドレイン信号線DLのそれよりも大きく形成されている。ドレイン信号線DLあるいはゲート信号線GLからの電気力線がこれら対向電圧信号線CLおよび対向電極CTに終端させやすくし、画素電極PXに終端させないようにするためである。該電極PXに至る前記電気力線はノイズの発生原因となるからである。
【0162】
また、第3絶縁膜PASの上層に形成された画素電極PXは該第3絶縁膜PASに形成されたスルーホールTH3を通して該第3絶縁膜PASの下層に引き出され、この引出線STMは画素電極PXと同様に第3絶縁膜PASの上層に形成された対向電圧信号線CLの一部と重ね合わされて形成されている。この重ね合わされた部分において容量素子Cstgを形成せんがためである。
【0163】
そして、このような構成において、当該画素を駆動するゲート信号線GLに重畳されて形成された対向電圧信号線CLとは異なる他の隣接する対向電圧信号線CLと当該画素の対向電極CTは分離されて、すなわち、電気的に切断されて構成されている。すなわち、図中x方向に並設される画素列に共通な対向電圧信号線CLはやはり図中x方向に並設される画素列に共通な他の対向電圧信号線CLとは電気的に分離されて形成されるようになっている。
【0164】
図2に示す実施例で説明したように、各対向電圧信号線CLへの対向電圧信号を各対向電圧信号線CL毎に走査して供給せんがためである。
【0165】
ここで、当該画素の対向電極CTの機能を充分に発揮させるため、前記他の対向電圧信号線CLとの分離は該他の対向電圧信号線CLの近傍でなされるようになっている。
【0166】
上述した実施例では、第3絶縁膜PASとしてたとえば樹脂等からなる有機材料層を用いた構成としたものである。保護膜としての誘電率の低減を図るためであることは上述したとおりである。保護膜の誘電率の低減を図ることにより、ドレイン信号線DLと対向電圧信号線CLの交差部の寄生容量の低減の効果を奏するからである。
【0167】
しかし、各対向電圧信号線CLへの対向電圧信号を各対向電圧信号線CL毎に走査して供給するとともに、この際に他の対向電圧信号線CLをフローティング状態とすることから、ドレイン信号線DLと対向電圧信号線CLの交差部の寄生容量を大幅に低減させることができる。
【0168】
このことから、前記第3絶縁膜PASを設けることなく、第2絶縁膜GI(無機材料層)のみで前記保護膜を形成することができる効果を有する。これによって、有機膜の形成が不要となり、工程の簡略化とコスト低減を実現することができる。また、歩留まりの向上も図れる。
【0169】
さらに、上述した実施例では、図中x方向に並設される画素列に共通な対向電圧信号線CLをやはり図中x方向に並設される画素列に共通な他の隣接する対向電圧信号線CLと電気的に分離した構成を示したものである。
【0170】
しかし、たとえば図15あるいは図16に示したように、複数の対向電圧信号線CLをループ状に接続させる場合、あるいはそれと同様の機能をもたせる場合に、該接続部において、該複数の対向電圧信号線CLとの電気的な分離を行なわなくてもよいことはいうまでもない。
【0171】
実施例14.
図20(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図19(a)に対応した図となっている。また、図20(b)は図20(a)のb−b線における断面図を、図20(c)は図20(a)のc−c線における断面図を示している。
【0172】
図19(a)と比較して異なる構成は、まず、当該画素を駆動させるゲート信号線GL(n+1)と重畳して形成される対向電圧信号線CL(n+2)は当該画素の図中下側の画素における対向電極CTと接続されており、当該画素の対向電極CTとは電気的に分離されて構成されている。換言すれば、当該画素の対向電極CTは当該画素の上側の画素を駆動させるゲート信号線GL(n)と重畳して形成される対向電圧信号線CL(n+1)に接続されて構成されている。
【0173】
また、当該画素の容量素子Cstgは当該画素の画素電極PXと当該画素の上側の画素を駆動させるゲート信号線GL(n)と重畳して形成される対向電圧信号線CL(n+1)との間に形成されている。
【0174】
この場合、図20(c)に示すように、該容量素子Cstgは第3絶縁膜PASに形成されたスルーホールTH3を通して該第3絶縁膜PASの下層に引き出された引出し線STMと前記対向電圧信号線CL(n+1)との間に前記第3絶縁膜PASを誘電体膜として構成されている。
【0175】
そして、各ゲート信号線GLにおける走査(スキャン)方向は図中上側から下側へゲート信号線GL(n)からゲート信号線GL(n+1)へとなされるようになっている。
【0176】
すなわち、当該画素のゲート信号線GL(n+1)に走査信号が供給された際(オン状態)には、それに重畳される対向電圧信号線CL(n+1)はフローティング状態になり、当該画素の対向電極CTには当該画素の上側の画素を駆動するゲート信号線GL(n)に重畳された対向電圧信号線CL(n+1)から対向電圧信号が供給されるようになっている。
【0177】
図20(d)は、上述した構成において、互いに隣接するゲート信号線GL(n)、GL(n+1)、GL(n+2)、および対向電圧信号線CL(n)、CL(n+1)、CL(n+2)の時間に対するオン(ON)、オフ(OFF)、フローティング(FT)状態を示す説明図である。この図から明らかとなるように、液晶表示部ARの全画素に及んで、ゲート信号線GLに走査信号が供給される際(ON)にはそれに重畳された対向電圧信号線CLはフローティング状態となる。
【0178】
このため、該ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLとの間の寄生容量を大幅に低減でき書き込み率の低下を回避することができる。
【0179】
なお、図20(a)は、図19(a)の場合と異なり、ドイレン信号線DL、対向電極CT、および画素電極PXのそれぞれが画素の中央にて屈曲された構成となっている。これは、液晶はその分子配列が同じ状態でも、液晶表示パネルに入射する光の入射方向によって透過光の偏光状態が変化し、入射方向に対応して光の透過率が異なってしまうことに鑑み、各電極の屈曲点を結んだ仮想の線を境にし一方の領域と他方の領域とで各電極間に作用する電界の方向を異ならしめ、これにより、視野角に依存する画像の色づきを補償するようにしたものである。このような構成は前述した各画素あるいは後述する他の画素においても適用できるものである。
【0180】
実施例15.
図21(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図20(a)に対応した図となっている。また、図21(b)は図21(a)のb−b線における断面図である。
【0181】
図20(a)の場合と比較して異なる構成は、ゲート信号線GLの走査方向が異なり、図中下側の画素から上側の画素にかけてそれらが駆動されるようになっているのみである。このため、隣接するどうしのゲート信号線GL(*)および対向電圧信号線CL(*)の命名において該*の部分を替えて記している。
【0182】
また、図21(c)は、互いに隣接するゲート信号線GL(n)、GL(n+1)、GL(n+2)、および対向電圧信号線CL(n)、CL(n+1)、CL(n+2)の時間に対するオン(ON)、オフ(OFF)、フローティング(FT)状態を示す説明図である。
【0183】
この実施例の場合においても、当該画素を駆動するゲート信号線GL(n+1)に走査信号が供給された際(ON)に、該ゲート信号線GL(n+1)に重畳されて配置されている対向電圧信号線CL(n)はフローティング状態となることから、これらゲート信号線GL(n+1)と対向電圧信号線CL(n)の間の寄生容量を大幅に低減させることができる。
【0184】
そして、さらに、前記ゲート信号線GL(n+1)が上記のONからOFFとなった段階でも前記対向電圧信号線CL(n)がフローティング状態とすることができる。
【0185】
このため、ゲート信号線GLは薄膜トランジスタTFTにON、及びOFFを書き込む連続した2ライン分の間フローティング状態とすることができるため、該薄膜トランジスタTFTのOFF特性を向上させることができるようになる。
【0186】
実施例16.
図22(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図21(a)に対応した図となっている。また、図22(b)は図22(a)のb−b線における断面図である。
【0187】
図21(a)の場合と比較して異なる構成は、当該画素を駆動させるゲート信号線GL(n+1)と隣接する他のゲート信号線GL(n+2)に近接するようにして補助配線層CLA(n+1)がたとえばゲート信号線GLの形成と同工程で形成されるようになっている。これにより該補助配線層CLA(n+1)はゲート信号線GLの材料と同一の材料で形成され、その抵抗は低い値に構成される。
【0188】
そして、この補助配線層CLA(n+1)の上方には前記ゲート信号線GL(n+2)とともに重畳されて形成される対向電圧信号線CL(n+1)が配置されている。前記補助配線層CLA(n+1)の一部は第3絶縁膜PASおよび第2絶縁膜GIを貫通するスルーホールTH3を通して互いに接続されている。
【0189】
補助配線層CLA(n+1)をも被って前記対向電圧信号線CL(n+1)を形成するのは、該対向電圧信号線CL(n+1)にシールド機能をもたせるためである。
【0190】
前記対向電圧信号線CLおよびこれに一体に形成される対向電極CTはたとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成されている。
【0191】
これらの透光性の導電層は他の金属層等と比較すると配線抵抗が増大するが、その不都合を前記補助配線層CLAによって回避している。これにより前記対向電圧信号線CLへ供給する対向電圧信号の波形鈍りを低減でき、該対向電圧信号の供給側とその反対側で生じる輝度差を防止することができる。
【0192】
なお、本実施例は図22(a)に示した構成に限定されることはなく、対向電圧信号線CLと対向電極CTとを一体に、かつ、その材料として透光性の導電層で形成する場合に全て適用できるものである。
【0193】
実施例17.
図23(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で図22(a)に対応した図となっている。また、図23(b)、図23(b’)は図23(a)のb−b線における断面図を示している。
【0194】
図22(a)の場合と比較して異なる部分は、補助配線層CLAとこれに重畳して配置される対向電圧信号線CLとの接続を容量結合で行っていることにある。
【0195】
たとえば、図23(b)に示すように、補助配線層CLAと前記容量結合を行なう部分の第3絶縁膜PASにたとえば開口(凹陥部でもよい)を設け、この開口をも被って対向電圧信号線CLを形成している。該容量結合を行なう部分において補助配線層CLAと対向電圧信号線CLとの間には比較的膜厚の薄い第2絶縁膜GIが介在され、補助配線層CLAと対向電圧信号線CLとの容量結合がなされる。
【0196】
また、図23(b’)は、図23(b)に示す部分の他の実施例を示す図で、同図に示すように、補助配線層CLAと対向電圧信号線CLとの容量結合を行なう部分にて、第2絶縁膜GIと第3絶縁膜PASとの間にフローティングされた金属層FTMを形成するようにしてもよい。
【0197】
実施例18.
図24は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で図23(a)に対応した図となっている。
【0198】
図23(a)の場合と比較して異なる構成は、当該画素を駆動するゲート信号線GLに近接させ、かつ画素電極PXおよび対向電極CTと交差するように第2の補助配線層CLA’を設け、該ゲート信号線GLに重畳されて配置される対向電圧信号線CLには被われない構成としている。
【0199】
なお、この第2の補助配線層CLA’はたとえば前記ゲート信号線GLの形成と同時に形成されるようになっている。
【0200】
そして、図中x方向に配列された画素列に共通な前記第2の補助配線層CLA’他の同様な画素列に共通な第2の補助配線層CLA’とそれぞれ液晶表示領域の外側の領域で接続され、これにより電気的に同機能を果たすように構成されている。
【0201】
これにより、第2の補助配線層CLA’と画素電極PXの交差する領域には容量素子Cstgを構成することができる。そして、該第2の補助配線層CLA’の対向電極CTとの交差部を設けることにより、該第2の補助配線層CLA’および対向電極CTの電位をそれぞれ安定させることができる。
【0202】
実施例19.
図25(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す平面図であり、たとえば図18(a)に対応した図となっている。また、図25(b)は図25(a)のb−b線における断面図を、図25(c)は図25(a)のc−c線における断面図を示している。
【0203】
この実施例では、画素電極PXおよび対向電極CTのパターンが異なり、他は図18(a)に示した構成とほぼ同様である。
【0204】
まず、第1絶縁膜INSの上面に対向電極CTが形成され、この対向電極CTは画素領域のほぼ全域に形成され、しかもx方向に隣接する他の画素領域における対向電極CTと接続されている。換言すれば、x方向に並設される各画素領域において対向電極CTは連続して形成され、y方向側に隣接される他の画素の対向電極CTとは電気的に分離されて形成されている。
【0205】
該対向電極CTは対向電圧信号線CLの機能をも合わせ持ち、その材料は、たとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成されている。
【0206】
また、画素電極PXは第3絶縁膜PASの上面に形成され、各画素領域においてその周辺を除く中央の大部分の領域に形成されている。この材料もたとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成されている。
【0207】
そして、この画素電極PXは、たとえば画素領域の中央部にて頂部を有するたとえば“くの字”状の開口が図中y方向に並設されて形成されている。
【0208】
このように構成された画素は、画素電極PXと対向電極CTとの間に透明基板SUB1の面とほぼ平行な成分を有する電界を発生させることができ、開口率を向上させることができる。
【0209】
また、上述した説明では、対向電極CTは第1絶縁膜INSの上面に形成したものであるが、たとえば図25(c)に示すように、透明基板SUB1の表面に形成するようにしてもよいことはもちろんである。
【0210】
なお、画素電極PXに形成する開口のパターンを上述のようにした理由は、画素電極PXと対向電極CTとの間に発生する電界の方向を異ならしめる領域を形成し、視野角に依存する画像の色づきを補償するためである。
【0211】
図26(a)は本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図25(a)と対応した図となっている。また、図26(b)は図26(a)のb−b線における断面図を、図26(b)は図26(a)のc−c線における断面図を示している。
【0212】
図25(a)の場合と比較して異なる構成は、画素電極PXと対向電極CTにある。すなわち、画素電極PXは、第2絶縁膜GIの表面に形成され、当該画素領域においてその周辺を除く中央の大部分の領域に形成されている。その材料は上述した透光性の導電層で形成されている。
【0213】
一方、対向電極CTは画素領域のほぼ全域に形成され、しかもx方向に隣接する他の画素領域における対向電極CTと接続され、対向電圧信号線CLの機能を合わせ持っている。y方向に隣接する画素領域の対向電極CTとは電気的に分離されていることは図25(a)の場合と同様である。また、その材料として透光性の導電層で形成されていることも図25(a)の場合と同様である。
【0214】
そして、この対向電極CTの各画素領域において、その中央部にて頂部を有するたとえば“くの字”状の開口が図中y方向に並設されて形成されている。
【0215】
このように構成した画素においても、図25(a)に示した構成と同様の機能を持たせることができる。
【0216】
実施例20.
図27(a)は上述した共通電極駆動回路Cmと各対向電圧信号線CLとの接続部における他の実施例を示した回路図で、図4に対応した図となっている。
【0217】
図4と比較して異なる構成は、該共通電極駆動回路Cmからの信号によってオンされるスイッチSW5(n)を介して対向電圧信号線CLに供給される対向電圧信号Vcは、OPアンプOPAから供給されるように構成されていることにある。
【0218】
該OPアンプOPAはそれに供給されるAC電圧波形をいわゆるブーストし、このブーストされた信号を前記対向電圧信号Vcとして用いている。このブーストは、たとえばOPアンプあるいはそのトランジスタで生じるオーバーシュート現象を利用するもので、回路定数を適切に設定することによって、図27(b)に示すような対向電圧信号Vcを得ることができる。
【0219】
図27(b)において、図中左側の波形Aは前記OPアンプOPAを介して得られる対向電圧信号を示し、図中右側の波形Bは、前記対向電圧信号が対向電圧信号線CLに供給される場合の対向電圧信号を示し、その供給端から近い(near)側から遠い(far away)側へかけて波形歪みが図のように生じることを示している。この図から明らかなように、対向電圧信号線CLの供給側から遠い側において波形歪みが生じた対向電圧信号は、矩形波の形状を充分に保持できるようになっている。
【0220】
このように構成した場合、各対向電圧信号線CLには選択的に信号を供給するため、全ての対向電圧信号線CLを同時に駆動した従来方式に比べ、負荷が数百分の一へと劇的に低減することになる。このため、OPアンプOPA、あるいはそのトランジスタによる単純な回路のみで、上述したような波形の補正を行なうことができる。そして、負荷の軽さにより補正の効果も十分に発揮でき、さらに、補正回路に用いる部品も、負荷が劇的に軽いことにより、電流耐性の低い安価な部品で済むようになる。また、流れる電流も理想的には数百分の一となるため、信頼性が高く長寿命化を実現できるようになる。
【0221】
ちなみに、図27(c)は、全ての対向電圧信号線CLを同時に駆動した従来方式において、図中右側の波形Aは対向電圧信号を示し、図中右側の波形Bは、前記対向電圧信号が対向電圧信号線CLに供給される場合の対向電圧信号を示し、その供給端から近い(near)側から遠い(far away)側へかけて波形歪みが図のように生じ、対向電圧信号線CLの供給側から遠い側においては矩形波の形状を保持できなくなっている。
【0222】
実施例21.
図28は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図である。
【0223】
x方向に並設される各画素の画素列に共通な対向電圧信号線CLは、多数のドレイン信号線DLが横切って介在する。たとえばSXGAでは1280本程度を横切ることになる。
【0224】
そして、理想的状態として、これら各ドレイン信号線DLに完全に同一の信号が与えられている場合は、ドレイン信号線DLからの対向電圧信号線CLへの影響はないが、実際の状態では、ユーザーの表示する画像パターンにより、図28(c)に示すように、液晶表示部AR中たとえば領域a、bのように、領域毎に異なったパターンが表示されることになる。
【0225】
このため、各ドレイン信号線DLは領域毎に異なった電圧が供給されることにななり、この際、各対向電圧信号線CLは前記領域aにとって最適な電圧と前記領域bにとって最適な電圧を有することになり、それらが異なることになる。
【0226】
したがって、各対向電圧信号線CLに対向電圧信号を供給する書き込み時に、この実際の画像に応じた値の対向電圧信号を供給することにより、いわゆるスミアを改善することができる。
【0227】
図28(a)は、液晶表示パネルPNLのゲートドライバGD、ドレインドライバDD、およびコモンドライバCDのそれぞれに映像制御回路TCONから各信号を供給することによって該液晶表示パネルPNLの液晶表示部ARに映像を行なうようになっている。また、該映像制御回路TCONからVc生成回路VcGNを介して対向電圧信号Vcを供給するようになっている。ここで、前記Vc生成回路VcGNは、たとえばDAコンバータ等により、映像制御回路TCONにより算出された最適データをVc電圧に変換し出力するようになっている。
【0228】
なお、図28(a)において、映像制御回路TCOMに入力される画像信号Vsigは液晶表示パネルPNLの外部から供給される画像信号である。
【0229】
図28(b)は、上述した各回路の動作フローを示す図である。まず、映像制御回路TCOMに画像信号Vsigが入力され、該映像制御回路TCOM内では、まず映像信号のデータを計測する(ステップ1)。そして、計測した前記データより最適なVcを計算するようになる(ステップ2)。
【0230】
この場合の映像信号のデータの計測は、
(1)加算法の例では
DLtotal=Σ(DLn):n=1〜max
DLbest=DLtotal/DL本数とし、
(2)差分法の例では
DLbest=VCcenter + Σ(DLn−VCcenter):n=1〜maxとし、
上記DLbestを算出し、Vc=DLbest−α とする。
【0231】
ここで、DlbestはVcの最適値算定用の計算上のDLの値、Vccenterは任意に設定された計算用のVC値である。この場合、DLの最大−最小の平均値あるいはそれより若干低い値に設定することが望ましい。また、αは画素への飛び込み電圧等を考慮した補正値である。
【0232】
この映像制御回路TCOMからゲートドライバGDに信号が供給され、前記画層信号内の同期信号により次のゲート信号線GLを選択するようになる(ステップ3)。
【0233】
この際に、映像制御回路TCOMからドレインドライバDDに信号が供給され、前記映像制御回路TCONから転送された各ライン毎の映像信号の情報を蓄積する(ステップ4)。そして、前記同期信号により映像信号を出力する(ステップ5)。
【0234】
また、この際に、前記映像制御回路TCONからVc生成回路VcGNに信号が供給され、該信号に基づきVcデータを生成し(ステップ6)、このデータから最適なVcの値に変更する(ステップ7)。
【0235】
また、この際に、前記映像制御回路TCOMからコモンドライバCDに信号が供給され、前記画像信号Vsig内の同期信号により次の対向電圧信号線CLを選択するようになる(ステップ8)。
【0236】
なお、この実施例においても、少なくとも各対向電圧信号線CLにおいて走査された対向電圧信号が供給されていない際の対向電圧信号線CLをフローティング状態とするものであるが、このようにフローティングしない場合においても適用できることはいうまでもない。
【0237】
実施例22.
図29(a)は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す平面図である。同図は、ゲート信号線GL、対向電圧信号線CL、及びドレイン信号線DL(図示せず)が形成された透明基板SUB1上に配置されたゲートドライバGD、コモンドライバCD、及びドレインドライバDDを示した図となっている。
【0238】
そして、このうちゲートドライバGDとコモンドライバCDはそれぞれ透明基板SUB1の一辺側に並列させ、これにより、液晶表示パネルPNLのいわゆる額縁の幅を狭める効果を奏したものとしている。
【0239】
ゲートドライバGDとコモンドライバCDは交互に配列され、この実施例ではゲートドライバGDの数よりもコモンドライバCDの数を多くして配置させている。ゲートドライバGDとコモンドライバCDはそれぞれ駆動電圧が異なり、同図に示すように別チップの構成では該チップ内の構成を異なるように構成できる。したがって、それぞれに適した端子数単位でチップを形成することで各ドライバの数を削減でき、省スペース化とコスト低減を図ることができる。
【0240】
また、図29(b)は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す平面図であり、図29(a)と対応した図となっている。
【0241】
図29(a)の場合と比較して異なる構成は、ゲートドライバGDの数よりもコモンドライバCDの数を少なくして配置させている。コモンドライバCDは、それからの対向電圧信号の振幅がゲートドライバGDからの走査信号のそれよりも小さいため、耐圧を小さく構成できる。これにより、コモンドライバCDの方が一チップ当りの出力を大きくすることができる。そこで、コモンドライバCDのチップ数をゲートドライバGDのそれより減らすことによって上記効果を図ることができる。
【0242】
この場合、走査によって対向電圧信号Cを供給する対向電圧信号線CLを複数本ごとにすることによって、容易にコモンドライバCDのチップ数を減らすことができるようになる。
【0243】
なお、この実施例では、ゲートドライバGDおよびコモンドライバCDの近傍において、ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLと交差させる部分が生じることは免れないことから、構成的には、ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLをそれぞれ絶縁膜を介した異層構造とする必要が生じる。このことから、ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLの配置は、たとえば図20、図25、あるいは図26に示したようにすることが望ましい。
【0244】
実施例23.
図30(a)は、実施例22で示したように、透明基板SUB1の一辺側にゲートドライバGDとコモンドライバCDとを交互に配置させた場合における他の実施例を示す平面図である。図30(a)ではゲートドライバGDの数がコモンドライバCDのそれよりも多く配置されている。
【0245】
このようにした場合、透明基板SUB1上で信号を伝達するデータ転送方式を容易に実現できるようになる。すなわち、映像制御回路TCONから同一のスタートパルスが該映像制御回路TCONに電気的に近接して配置されるゲートドライバGDとコモンドライバCDに出力され、該ゲートドライバGDからはそれが担当する各ゲート信号線GLに走査信号を順次走査して出力され、また、その際に、該コモンドライバCDからはそれが担当する各対向電圧信号線CLに対向電圧信号を順次走査して出力される。
【0246】
そして、前記ゲートドライバGDによる各ゲート信号線GLへの走査信号の順次供給および前記コモンドライバCDによる各対向電圧信号線CLへの対向電圧信号の順次供給が終了した段階で、これらゲートドライバGDおよびコモンドライバCDのそれぞれから、該ゲートドライバGDに近接して配置される他のゲートドライバGDおよび該コモンドライバCDに近接して配置される他のコモンドライバCDへそれぞれ同一のスタートパルスが出力される。
【0247】
すなわち、1チップの出力が完了すると、次のチップに出力信号の送出を指示し、さらに次のラインに出力が引き継がれることになる。
【0248】
この場合、各ゲートドライバGDからの走査信号はゲート信号線GLを1本毎に出力されるのに対し、各コモンドライバCDからの対向電圧信号Cは対向電圧信号線CLを複数本ごとに出力されるようになっている。
【0249】
このことから、図30(a)に示したように、映像制御回路TCONからのスタートパルスは、ゲートドライバGDおよびコモンドライバCDのそれぞれに別々に入力されるように配線することが望ましい。
【0250】
このように、コモンドライバCDからの走査信号の出力は複数の対向電圧信号線DL毎になるため、コモンドライバCDの出力の切り替えがゲートドライバGDの出力の設定されたn本毎になるように、該コモンドライバCDはチップ内での切り替えタイミングとなる一定時間をn倍化するよう設定することが望ましい。
【0251】
図30(b)は透明基板SUB1に搭載されたゲートドライバGDの側面図を、また図30(c)はコモンドライバCDの側面図を示しており、たとえばそれらのチップにモード切り替え端子MJTを設け、これらのモード切り替え端子MJTを透明基板SUB1面に形成した短絡配線SCLによって短絡個所を代えることでn倍化のnの変更等を容易に対応することができる。
【0252】
たとえば、図30(b)のゲートドライバGDではモード切り換え端子MJT間が開放のためn倍化しないが、図30(c)のコモンドライバCDではモード切り換え端子MJT間を短絡し、n本ごとに切り換るように設定される。nの値は短絡箇所にnの数に合わせて予め複数設けることで容易に対応できる。
【0253】
図30(d)は、他の実施例を示す平面図で、図30(a)に対応した図となっている。図30(d)では、ゲートドライバGDとコモンドライバCDにおけるそれぞれのドライバ間配線を該ドライバに対し互いに逆側に設けることで、配線の交差を防止できることを示している。ドライバ間のスタートパルスの伝送タイミングはコモンドライバCDの対向電圧信号Cの供給が複数本の対向電圧信号線CLを単位としていることにより走査信号Gおよび対向電圧信号Cの供給がずれ、配線の交差部があった場合にそれらの干渉により誤動作の懸念が生じる。
【0254】
したがって、図30(d)に示す実施例のように、配線を互いに交差しない配置とさせることで、安定した動作を実現させることができる。
【0255】
また、この実施例では、上記各ドライバはチップ(半導体チップ)を例に挙げて示したものである。しかし、いわゆるテープキャリア方式で構成されたドライバTCPであってもよく、この場合にあっても、上述したモード判定を透明基板SUB1上の短絡配線SCLの有無により判定できるようにできる。
【0256】
ここで、テープキャリア方式で構成されたドライバTCPとは、図31(a)に示すように、フレキシブル基板FBに半導体チップCHが搭載され、この半導体チップCHの各入力端子および各出力端子は該フレキシブル基板FBの表面に形成された入力配線および出力配線を介してそれぞれ各対向辺に引き出されて構成されている。そして、このうち出力配線の端部(端子)は透明基板SUB1の表面端辺にまで引き出されたたとえばゲート信号線GLあるいは対向電圧信号線CLと電気的に接続されるようになっている。
【0257】
この場合、半導体チップCHのモード判定端子のそれぞれからフレキシブル基板FB上に配線MILを延在させて構成し、図31(b)に示すように、これら配線KILは透明基板SUB1上に形成した短絡配線SCL上に位置付けられるようにすればよい。
【0258】
また、このような場合に限定されることはなく、図31(c)および(d)に示すように、該ドライバTCPをゲートドライバGD用、コモンドライバCD用として別に構成する場合は、該ドライバTCP上に判定用の短絡配線SCLを設けるようにしても良いことはいうまでもない。ドライバTCPの変更のみで対応でき、ドライバチップ自体を共通に用いることができるからである。
【0259】
実施例24.
図32(a)は、実施例23に示したと同様、透明基板SUB1の一辺側にゲートドライバGDとコモンドライバCDとを交互に配置させた場合における他の実施例を示す平面図である。図32(a)においてもゲートドライバGDの数がコモンドライバCDのそれよりも多く配置されている。
【0260】
図32(a)に示すように、映像制御回路TCONからの信号は、まず、該映像制御回路TCONに近接するゲートドライバGDに供給され、さらに該ゲートドライバGDに近接するコモンドライバCDに供給されるようになっている。
【0261】
この場合、該コモンドライバCDへの信号供給は前記ゲートドライバGDの搭載領域を走行する透明基板SUB1上の配線層によってなされるようになっている。
【0262】
また、前記ゲートドライバGDから次に配置される他のゲートドライバGDへの信号供給はそれらの間に配置されるコモンドライバCDの搭載領域を走行する透明基板SUB1上の配線層によってなされるようになっている。
【0263】
以下、これらが繰り返されることによって、前記各配線層は交差させる必要なく、データ転送を実現させることができる。そして、データ転送のための配線層は並設された各ドライバの両脇にはみ出させないようにするため、いわゆる液晶表示パネルの額縁に占める面積を縮小させることができる。
【0264】
なお、図32(b)は、図32(a)のゲートドライバGDとコモンドライバCDとの前記配線層との接続関係を具体的に示したもので、図中、OTGは出力端子群、ITGは入力端子群、SIは信号入力、SOは信号出力を示している。
【0265】
図32(c)は、さらに他の実施例を示す平面図で、図32(b)に対応した図となっている。
【0266】
図32(b)の場合と比較して異なる構成は、たとえばコモンドライバCDの領域を走行して該コモンドライバCDの両脇に配置される各ゲートドライバGDを接続させる配線層を該コモンドライバCDのチップ内に設けるようにしていることにある。すなわち、該コモンドライバCD内に形成される配線層(図中点線で示す)はその両端に信号入力SIおよび信号出力SOの各端子を備えている。
【0267】
ゲートドライバGDの場合も該コモンドライバCDと同様の構成が採用されている。
【0268】
この場合、図32(b)に示すように、各半導体チップにモード選択端子MSTを設け、透明基板SUB1面に設けた短絡配線SCLとの接続/非接続判定によりチップの動作を切り替えても良い。
【0269】
図32(d)、(e)は、それぞれ、前記短絡配線SCLの接続/非接続判定によってゲートドライバGDとしておよびコモンドライバGDとして用いていることを示している。
【0270】
このようにすることにより、ゲートドライバGDおよびコモンドライバGDを同一の構成とすることができ、それらをゲートドライバGDあるいはコモンドライバGDとして使用することができる。したがって、部品種類の削減、組み立ての容易化を実現することができる。
【0271】
なお、図32(f)は、コモンドライバCDの数をゲートドライバGDのそれよりも少なくするように構成するため、ゲート信号線GLとほぼ同数の対向電圧信号線CLをたとえばその上方から2本づつ接続させ、これら互いに接続された対向電圧信号線にそれぞれ対向電圧信号を順次走査して供給する例を示したものである。
【0272】
実施例25.
図33(a)は、実施例24等と同様、透明基板SUB1の一辺側にゲートドライバGDとコモンドライバCDとを交互に配置させた場合において、少なくとも一対の隣接して配置されるゲートドライバGDとコモンドライバCDを一つの半導体チップに組み込んで形成した場合を示す平面図である。
【0273】
すなわち、該半導体チップCHの図中右側においてゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLが配置される場合、該半導体チップCHの図中右側の辺にはその辺に沿ってゲート出力端子GTOが配列され、図中左側の辺にはその辺に沿ってコモン出力端子CTOが配列されている。
【0274】
そして、各コモン出力端子CTOのそれぞれは隣接して配置されるゲート出力端子GTOの間に配置され、これにより、該ゲート出力端子GTOが妨害となることなく該コモン出力端子CTOへ対向電圧信号CLを延在させて形成することができるようになっている。
【0275】
また、前記ゲート出力端子GTOおよびコモン出力端子CTOが並設された辺以外の他の辺のそれぞれにはそれに近接して電源端子VVが形成され、該辺の一方には信号入力端子SIが他方には信号出力端子SOが形成されている。
【0276】
また、このように構成された半導体チップCHは、図33(b)に示すように、ゲート出力端子GTO群とコモン出力端子CTO群の間をそれらと並行に走行するグランド線GNDLが形成され、このグランド線GNDLをほぼ境にして、図中左側のC回路側CCSには共通電極駆動回路Cmが形成され、図中右側のG回路側GCSには走査信号駆動回路Vが形成されるようになっている。
【0277】
さらに、このように構成された半導体チップCHは、図33(c)に示すように、ゲート出力端子GTO群とコモン出力端子CTO群の方向と直交する方向へ3区分に分け、その真中の領域LRをロジック領域、図中左側の領域CSRをコモンスイッチ領域、図中右側の領域GSRをゲートスイッチ領域として、それぞれ回路を組み込んでいる。
【0278】
ここで、半導体チップCHにおいて上述した各構成を全て備えている必要はなく、次に述べる構成が少なくとも1つ備えられていればよい。
【0279】
まず、最初に、ゲート出力端子GTOとコモン出力端子CTOを対向する辺にそれぞれ設ける。チップ内部で共通電極駆動回路Cmと走査信号線駆動回路Vを分離して形成でき、それらの干渉を防止できるからである。
【0280】
次に、電源端子VVをコモン出力端子CTOの側に設ける。走査信号Gと対向電圧信号Cは出力される電圧が異なっており、対向電圧信号Cの方がそのON時の電圧が低い分だけ電源ノイズの影響を受けにくいからである。
【0281】
次に、コモン出力端子COTが液晶表示部ARから遠い側に配列されている。コモン電位が外側に配置されることになり、外部ノイズによるシールド効果が得られるからである。
【0282】
次に、半導体チップCH内で、共通電極駆動回路Cmと走査信号駆動回路Vとの間にグランド線GNDLが延在する。各回路の互いの干渉を防止できるからである。
【0283】
さらに、半導体チップCH内でロジック回路を中央に配置し、その一方の側にゲートスイッチ回路、他方の側にコモンスイッチ回路を配置する。駆動電圧が走査信号駆動回路V、共通電極駆動回路Cmで共通のロジック部をまとめて配置し、駆動電圧が異なるスイッチ部を走査信号駆動回路V、共通電極駆動回路Cmのそれぞれで分けることができ、回路規模の縮小と低消費電力化、さらに干渉の防止を実現できるからである。この場合において、最大電圧が、ゲートスイッチ領域>コモンスイッチ領域>ロジック領域の関係とすることができる。
【0284】
図33(d)は他の実施例を示す平面図で、図33(a)に対応した図となっている。図33(a)の場合と比較して異なる構成は、複数の対向電圧信号線CLの共通接続は、半導体チップCHのコモン出力端子COTの端子面積を大きくし、このコモン出力端子COTのフェースダウンによってなされるように構成されていることにある。これにより、半導体チップCH内において共通電極駆動回路Cmの回路規模を低減させることができる。
【0285】
また、図33(e)は他の実施例を示す平面図で、図33(a)に対応した図となっている。図33(a)の場合と比較して異なる構成は、半導体チップの各コモン出力端子COTから一本の配線が分岐しその後複数の対向電圧信号線CLに接続された構成にある。
【0286】
このようにした場合、各コモン出力端子COTでの接続面積が増大可能であり、接続抵抗が低減できる。また、各コモン出力端子のサイズを連続して作る場合と比較して小型化できる。これにより、半導体チップCHの接続部の製造が容易になるという効果を奏する。
【0287】
また、図33(f)は他の実施例を示す平面図で、図33(a)に対応した図となっている。図33(a)の場合と比較して異なる構成は、半導体チップCHの各コモン出力端子COTはそれぞれ対向電圧信号線CLに接続され、かつ、隣接する複数のコモン出力端子COTがチップ内部で接続されていることにある。
【0288】
このように構成した場合、共通電極駆動回路Cmの規模の低減が図れる。また、コモン出力端子COTをゲート出力端子GOTと同様のピッチで構成できるため、たとえば異方性導電膜を介して該半導体チップCHと透明基板SUB1上の端子の接続時に生じる端子相互の高さの不均一を防止できる。これにより、接続安定性が向上し、接続抵抗低減と信頼性向上ができる。さらに、直行率(接続不良により再生作業を行うことなく、1回で接続できる割合)が向上しコストの低減を実現させることができる。
【0289】
実施例26.
本発明による液晶表示装置は、上述した各実施例で説明してきたように、ゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLがいずれも大部分の時間でフローティング状態となるものである。このことは、該時間の間ではそれに相当する半導体チップCHは遊んでいる状態にあり、時間当りの半導体チップの利用効率の悪いものとなることを意味する。
【0290】
それ故、この実施例では、半導体チップCHの1つの出力端子から走査信号Gと対向電圧信号Cの双方を時間差を設けて出力し、その信号の出力先を切り替えることにより、半導体チップの数の削減を図ることにある。
【0291】
このようにすることにより、たとえば走査信号Gと対向電圧信号Cを半導体チップCHの1端子から出力することで、該半導体チップの数を半減させることができるようになる。また、共通電極駆動回路Cmと走査信号駆動回路Vを共有する構成とできるので、専用の共通電極駆動回路Cm、専用の走査信号駆動回路Vの回路を別個に設ける場合より半導体チップの占める面積を削減でき、さらにチップコストの削減を実現できる。
【0292】
上述のように半導体チップCHの同一の出力端子からゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLの双方にそれぞれ時間差をもたせて出力を供給する場合、各画素に信号を書き込む際にはゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLにそれぞれ同時に信号が供給される必要が生じる。
【0293】
同一の出力端子に同時に異なる値を出力することはできないため、平面的に異なる端子にそれぞれ異なる電位を有する走査信号Gと対向電圧信号Cを出力し、それら各信号を配線を交差させる工夫を採ることにより本来のゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLに供給することを要する。
【0294】
このとき、図34(a)に示すように、同一の出力端子から先にゲート信号G−ONを出力する場合には、2ライン分以上離れた出力から対向電圧信号C−ONを供給する。走査信号G‐ONの次に信号G‐OFFを供給する必要があり、対向電圧信号C−ONの供給はそれ以降となるからである。
【0295】
この場合、図34(b)に示すように、ゲート信号G−ONを出力した後、対向電圧信号C−ONを供給するまで、3ライン以上とし、ゲート信号G−OFFとの間にフローティング状態の期間を設けても良い。ゲート信号Gと対向電圧信号Cの切り替えに要する時間を十分確保するためである。
【0296】
さらに、図34(c)に示すように、先に対向電圧信号C−ONを供給し、次にゲート信号GのON、OFFを順次出力するようにしてもよく、このようにした場合、対向電圧信号Cからゲート信号Gの供給までの期間は1ライン以上離れていればよい。この場合、フローティング状態から一度対向電圧信号C−ONをその電位状態に持ち上げ、その後ゲート信号G−ONを供給するため、該ゲート信号G−ONを見かけ上プリチャージすることになる。このため、該ゲート信号G−ONの立ち上がりが急峻となり、書き込み特性の一層の向上が図れる。また配線交差数が低減するため、歩留まりの向上が実現する。なお、フローティング状態は外部からフローティング電位を高抵抗経由で供給してもよい。
【0297】
図35は、上述したように、共通電極駆動回路Cmと走査信号駆動回路Vを共有する回路の一実施例を模式的に示した説明図で、図34(a)に示した信号を出力させるようになっている。
【0298】
まず、図35(a)に示すように、図中右側に信号供給端子を有し、それらの各端子には、図中上側から、順次、G−ON信号、G−OFF信号、COM(対向電圧)信号、G−ON信号、G−OFF信号、COM信号、G−ON信号、G−OFF信号、COM信号、……、COM信号が入力されるようになっている。これらの各信号は常時供給されるようになっている。そして、たとえばG−ON信号が供給される端子に対し同じG−ON信号が供給される他の端子において、同様な信号が供給されるようになっており、他のG−OFF信号等も同様となっている。
【0299】
また、順次G−ON信号、G−OFF信号、COM信号が供給され互いに隣接して配置される各端子は、それぞれ、上記各信号を全く受け入れないか、あるいは該各信号のうちそのいずれか一つを受け入れるたとえば走査スイッチ等を介して各端子Xに接続されるようになっている。たとえば、図35(a)の場合、図中端子X(n−2)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続され、端子X(n−1)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続されている。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになっている。
【0300】
さらに、前記各端子Xには、それぞれ、たとえば走査スイッチSSbを介してゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLのうち、それらに該端子Xからの信号を全く受け入れないか、あるいは一方の特定された信号線のみに受け入れるように構成されている。たとえば、図35(a)の場合、図中端子X(n−2)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n)に供給され、端子X(n−1)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n−1)に供給され、端子X(n)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n)に供給されるようになっている。
【0301】
このことから、nライン目のゲート信号線GL(n)、対向電圧信号線CL(n)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるとともに、それより一つ手前の(n−1)ライン目のゲート信号線GL(n−1)にはG−OFF信号が供給されることになる。
【0302】
つぎの段階では、図35(b)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n−1)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続され、端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0303】
また、図35(b)の場合、図中端子X(n−1)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+1)に供給され、端子X(n)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n)に供給され、端子X(n+1)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+1)に供給されるようになる。
【0304】
このことから、nライン目のゲート信号線GL(n)にはG−OFF信号が供給され、対向電圧信号線CL(n)はフローティング状態となる。一方、次の(n+1)ライン目のゲート信号線GL(n+1)、対向電圧信号線CL(n+1)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるようになる。
【0305】
つぎの段階でも、図35(c)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続され、端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+2)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0306】
また、図35(c)の場合、図中端子X(n)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+2)に供給され、端子X(n+1)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+1)に供給され、端子X(n+2)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+2)に供給されるようになる。
【0307】
このことから、(n+1)ライン目のゲート信号線GL(n+1)にはG−OFF信号が供給され、対向電圧信号線CL(n+1)はフローティング状態となる。一方、次の(n+2)ライン目のゲート信号線GL(n+2)、対向電圧信号線CL(n+2)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるようになる。
【0308】
つぎの段階でも、図35(d)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続され、端子X(n+2)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+3)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0309】
また、図35(d)の場合、図中端子X(n+1)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+3)に供給され、端子X(n+2)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+2)に供給され、端子X(n+3)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+3)に供給されるようになる。
【0310】
このことから、(n+2)ライン目のゲート信号線GL(n+2)にはG−OFF信号が供給され、対向電圧信号線CL(n+2)はフローティング状態となる。一方、次の(n+3)ライン目のゲート信号線GL(n+3)、対向電圧信号線CL(n+3)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるようになる。
【0311】
そして、これが順次繰り返され、最下位のラインから最上位のラインに以降する場合においても、上述した関係を維持しながら前記走査スイッチSSaおよびSSbはシフトされる。
【0312】
図36は、上述したように、共通電極駆動回路Cmと走査信号駆動回路Vを共有する回路の他の実施例を模式的に示した説明図で、図34(c)に示した信号を出力させるようになっている。
【0313】
図36は図35と対応した図となっており、図35の場合と比較して異なる構成は、走査スイッチSSa、SSbにおいて端子Xに対する入力側および出力側の接続関係が相違しているのみである。
【0314】
図35(a)に示すように、図中端子X(n−2)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、端子X(n−1)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続されている。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになっている。
【0315】
さらに、図36(a)の場合、図中端子X(n−2)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n−2)に供給され、端子X(n−1)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n−1)に供給され、端子X(n)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線(n−1)に供給されるようになっている。
【0316】
この段階で、nライン目のゲート信号線GL(n)、対向電圧信号線CL(n)は、それぞれフローティング状態となっており、それより一つ手前の(n−1)ライン目のゲート信号線GL(n−1)にはG−ON信号が供給され、対向電圧信号線CL(n−1)にはCOM信号が供給されることになる。
【0317】
つぎの段階では、図36(b)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n−1)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0318】
また、図36(b)の場合、図中端子X(n−1)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n−1)に供給され、端子X(n)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n)に供給され、端子X(n+1)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n)に供給されるようになる。
【0319】
このことから、nライン目のゲート信号線GL(n)にはG−ON信号が供給され、対向電圧信号線CL(n)にはCOM信号が供給される。
【0320】
つぎの段階でも、図36(c)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+2)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0321】
また、図36(c)の場合、図中端子X(n)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線(n)に供給され、端子X(n+1)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+1)に供給され、端子X(n+2)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+1)に供給されるようになる。
【0322】
このことから次の(n+2)ライン目のゲート信号線GL(n+2)および対向電圧信号線CL(n+2)はフローティング状態となる。
【0323】
つぎの段階でも、図36(d)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、端子X(n+2)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+3)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0324】
また、図36(d)の場合、図中端子X(n+1)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+1)に供給され、端子X(n+2)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+2)に供給され、端子X(n+3)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+2)に供給されるようになる。
【0325】
このことから、次の(n+3)ライン目のゲート信号線GL(n+3)はフローティング状態となり、対向電圧信号線CL(n+3)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるようになる。
【0326】
そして、これが順次繰り返され、最下位のラインから最上位のラインに以降する場合においても、上述した関係を維持しながら前記走査スイッチSSaおよびSSbはシフトされる。
【0327】
なお、図35、および図36は、それぞれ、G−ON信号、G−OFF信号、COM(対向電圧)信号が供給される端子から各ゲート信号線GLおよび各対向電圧信号線CLへの信号供給タイミングは、それをわかり易くするため、走査スイッチSSa、SSbの動作によって示したものである。しかし、このような構成はたとえばトランジスタ回路等を用いて行なう等のように、どのような構成としてもよいことはいうまでもない。
【0328】
実施例27.
図37は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、そのゲートドライバGD、ドレインドライバDL、およびコモンドライバCDに供給される制御信号を示したフロー図である。
【0329】
たとえば図28に示した実施例(実施例21)の説明のように、液晶表示部ARに輝度の明るい領域と輝度の暗い領域が存在する場合には、各ドレイン信号線DLには、それら各領域毎に異なった信号が出力されることになる。すなわち、各領域毎に映像信号Dの電圧が異なり、このためドレイン信号線DLにとっての負荷が領域毎に異なることになる。そして、該負荷が異なるということは必要とする電流が異なってくることを意味する。
【0330】
従来の技術では、予め最大負荷を想定しておき、一意的に同じバイアス電流で回路を駆動していた。しかし、この場合、低電流で駆動できる領域においても必要以上の電流を供給することになり、無駄な電流消費が生じ、消費電力が増大していた。
【0331】
それ故、本実施例では、液晶表示部ARの各領域毎にみかけの負荷容量に応じてバイアス電流を制御させることにより、消費電力の低減を実現させようとするものである。
【0332】
この場合、この実施例で説明する構成は、それ単独で用いてもよいが、上述した実施例で示したように、ゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLを同時にフローティング状態にする技術と組み合わせて用いる場合に特に顕著な効果を発揮するようになる。
【0333】
何故なら、従来においては映像信号Dの負荷は常に重い状態であり、これに対しゲート信号Gおよび対向電圧信号CのそれぞれをそのOFF時の大部分でフローティング状態にした場合、映像信号の負荷が理想的には数百分の一と劇的に低減しているからである。そこで、領域毎にバイアス電流をより高精度に制御することが可能となり、さらに映像信号駆動回路Heの低消費電力化を実現することができるからである。
【0334】
図37(a)において、まず、映像制御回路TCONに外部から画像信号Vsigが入力されるようになっている。該映像制御回路TCOMは、図37(b)に示すように、液晶表示パネルPNLのゲートドライバGD、ドレインドライバDD、およびコモンドライバCDのそれぞれに信号を供給されるようになっている。なお、この実施例では、同図に示すように、バイアス量指示信号BSSがドレインドライバDDに入力されるようになっている。
【0335】
画像信号Vsigが入力された映像制御回路TCONは、まずステップ1で該画像信号Vsigのデータを計測する。そして、ステップ2において、計測したデータより必要なバイアス電流を計算する。
【0336】
ここで、必要なバイアス電流の計算は、たとえば映像信号Dの値により設定し、たとえば該映像信号Dにより定まる電圧値に比例させた値を該バイアス電流の値とすることができる。
【0337】
映像制御回路TCONからゲートドライバGDへは、ステップ3にて、画像信号Vsig内の同期信号により次のゲート信号線GLを選択するようになる。
【0338】
そして、映像制御回路TCONからドレインドライバDDには、まず、ステップ4にて、映像制御回路TCONから転送された各ライン毎の映像信号Dを蓄積する。
【0339】
そして、ステップ5にて、各映像信号線DLに対応した出力アンプのバイアス電流を設定し、同期信号によってそれぞれの映像信号Dを出力する。
【0340】
さらに、ステップ6にて、映像制御回路TCONからゲートドライバGDへは、画像信号Vsig内の同期信号により次の対向電圧信号線CLを選択するようにする。
【0341】
他の実施例として、対向電圧信号線CLをフローティング状態とする構成に適用させる場合、上述した実施例で示したように、各ラインのドレイン信号線DLの合計による対向電圧信号線CLにおける対向電圧信号の変動量を計算し、その影響を考慮して前記バイアス量指示信号BSSの値を決定してもよいことはいうまでもない。
【0342】
そして、本実施例の構成を、各対向電圧信号線CLにおける対向電圧信号の電位をドレイン信号線DLのデータに応じて制御する実施例21に示した構成と組み合わせて用いてもよいことはもちろんである。
【0343】
なお、この実施例において、映像制御回路TCONからドレインドライバDDへの前記バイアス量指示信号は、図37(c)に示すように、ドレインドライバDDに新たに設けるバイアス量入力端子BITに入力されるように構成しても、あるいは図37(d)に示すように、映像制御回路TCONからドレインドライバDDに送られるデータにバイアス量データBQDの転送期間を設けるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0344】
図37(c)において、符号DITは画像データ入力端子、符号SITは同期信号入力端子を示し、図37(d)において、符号RDA、GDA、およびBDAはそれぞれ赤色用データ、緑色用データ、青色用データを示している。
【0345】
実施例28.
図38(a)、(b)はそれぞれ走査信号駆動回路Vのゲート信号線GL側の周辺における他の実施例を示す回路図、共通電極駆動回路Cmの対向電圧信号線CL側の周辺における他の実施例を示す回路図であり、それぞれ図3(a)、図4に対応した図となっている。
【0346】
図3(a)、図4に示した実施例のように、ゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLの大部分をフローティング状態とする構造では、それぞれSW1、SW5をONとしない場合は信号線毎が独立するため、外部からの静電気に対し弱い構造となっている。このため、製造工程中での静電気により断線や閾値変動が生じやすくなる。したがって、製造の容易化を実現するには、この静電気に対する配慮が必要となる。
【0347】
図38に示す実施例では、液晶表示部AR内の信号線がフローティングとなる構造を有する場合において、各信号線をダイオードで共通線に接続することで、静電気進入時に急速な静電気の拡散を実現し、静電気に強い構造としている。
【0348】
すなわち、図38(a)において、各ゲート信号線GLのうちゲート信号線GLnの場合を例に挙げると、該ゲート信号線GLのスイッチSW1(n)の接続部と信号線VgOFFとの間を双方向ダイオードBSDによって接続させた構成としている。また、図38(b)において、各対向電圧信号線CLのうち対向電圧信号線CLnの場合を例に挙げると、該対向電圧信号線CLnのスイッチSW5(n)の接続部と信号線Vcとの間に双方向ダイオードBSDによって接続させた構成としている。
【0349】
このように構成することにより、図38(a)に示すように、ゲート信号線GLに高電圧が加わった際に、該高電圧をゲート信号線GLから信号線VgOFFへと速やかに逃がすことができるようになる。そして、ゲート信号線GLと信号線VgOFFとを接続させる素子を双方向ダイオードBSDとすることにより、静電気の極性に問わず対応することができる。しかし、この双方向ダイオードBSDに替えて相互に逆極性のダイオードであっても、また一方向のダイオードであってもよいことはもちろんである。
【0350】
この実施例では、高電圧を逃すための信号線として信号線VgOFFを用いたものである。安定性を向上させるためである。しかし、信号線VgONであっても、さらに専用のバスイラインを設け、これら配線層を用いるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0351】
また、図38(b)に示すように、対向電圧信号線CLに高電圧が加わった際にも、該高電圧を対向電圧信号線CLから信号線Vcへと速やかに逃がすことができるようになる。この場合においても、専用のバスラインを設け、このバスラインを前記信号線Vcに替えて用いるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0352】
図39(a)、(b)は前記専用のバスラインに替えてフローティング電圧線FVLを用いた場合の他の実施例を示す図で、それぞれ図38(a)、(b)に対応した図となっている。
【0353】
このように構成することによって、静電気対策と同時に、フローティングしたゲート信号線GLあるいは対向電圧信号線CLの電位変動を抑制し、安定化させる効果を奏する。
【0354】
なお、この場合、ゲート信号線GL側のフローティング電圧線FVLの電位は対向電圧信号線CL側のフローティング電圧線FVLの電位よりも小さくする方が望ましい。薄膜トランジスタTFTのOFFを良好に維持するためである。
【0355】
さらに、図40は他の実施例を示す回路図で、図39(a)、(b)に示したように他のバスラインとしてたとえばフローティング電圧線FVLを用いた場合に、ゲート信号線GL側のフローティング電圧線FVLと対向電圧信号線DL側のフローティング電圧線FVLどおしを双方向ダイオードBSDで互いに接続させるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0356】
さらに、図41も他の実施例を示す回路図で、ゲート信号線GL側のフローティング電圧線FVLを双方向ダイオードBSDを介してGNDラインGNDLに接続させるとともに、対向電圧信号線CL側のフローティング電圧線FVLも他の双方向ダイオードBSDを介してGNDラインGNDLに接続させるようにしたものである。さらに静電気に強い構成を実現できるからである。
【0357】
ここで、前記双方向ダイオードBSDは図42(a)に示す等価回路からなっている。すなわち、一対の各ダイオードをそれらの極性を変えて並列接続させた構成となっている。このような双方向ダイオードBSDは、ドライバを構成する半導体チップに組み込ませて構成してもよいが、該ドライバとは別個に透明基板SUB1の面に形成するようにしてもよい。
【0358】
後者の場合、たとえば図42(b)に示すように構成することができる。図42(b)は平面図で、図42(a)の等価回路と幾何学的に対応させて描いている。
【0359】
図42(a)において、図中上側には一方のダイオードが形成され、このダイオードは半導体層LTPS(1)の図中左側の一端を陰極に、図中右側の一端を陽極としている。そして、該陰極と陽極との間の前記半導体層LTPS(1)上に絶縁膜を介してゲート電極が形成され、このゲート電極は前記陽極に接続されている。また、図中下側には他方のダイオードが形成され、このダイオードは半導体層LTPS(2)の図中左側の一端を陽極に、図中右側の一端を陰極としている。そして、該陽極と陰極との間の前記半導体層LTPS(2)上に絶縁膜を介してゲート電極が形成され、このゲート電極は前記陰極に接続されている。
【0360】
図42(c)は図42(b)のc−c線における断面図を、図42(d)は図42(b)のd−d線における断面図を示している。ここで、各半導体層LTPS(1)、LTPS(2)とそれらの上方に形成される各ゲート電極との間に介在される前記絶縁膜は第1絶縁膜INSを用いている。
【0361】
該双方向ダイオードBSDは、液晶表示装置の画素内の薄膜トランジスタTFTと並行して形成するため、層構造における構成は該薄膜トランジスタTFTと類似し、前記ゲート電極が当該ダイオードの陽極あるいは陰極に接続されているか否かの相違を有するにすぎないからである。
【0362】
このように構成された双方向ダイオードBSDは、その配線層の一方の電位をそのままゲート電極電位として用いることで、高電圧が加わった場合のみONとすることができる。またゲート電極として用いる側の配線層を逆にすれば、極性を逆にすることができる。
【0363】
また通常動作時のリーク電流を低減させるためには、配線層をゲート電極層で作成することが望ましい。半導体層の低抵抗化のためのイオン打ち込み時に該配線層下にイオンが打ち込まれないため、高抵抗状態となり、スルーホール近傍から半導体層イオンが打ち込まれた領域への電流リークを低減できるからである。また半導体層がアモルファスシリコンとした場合、ゲート電極の距離をスルーホール下まで延在しないようにすれば、高抵抗領域が作成できる。
【0364】
他に種々の形態による作成が可能であり、高電圧時に該高電圧を逃がしうる構成であればよい。
【0365】
実施例29.
液晶表示装置の画素として、液晶を介して対向配置される一方の基板の液晶側の面に、画素電極とこの画素電極との間に電界を発生せしめる対向電極とを備えたものが知られている。
【0366】
該画素電極と対向電極との間に基板と平行な成分を有する電界によって該液晶の光透過率を制御せしめる構成のものである。
【0367】
そして、このような各画素において、その領域内で前記電界の方向を異ならした領域を構成し、これにより視野角に依存する画像の色づきを補償した、いわゆるマルチドメイン方式のものであって、それら各領域における液晶の挙動(液晶分子の回転)を比較的電界の強い一端側から他端にかけて伝達させる工夫がなされているものが知られている。平行に配置された画素電極と対向電極との間に生じる電界のみでは液晶分子を回転させる力が弱い場合があるからである。
【0368】
しかし、このように構成された画素は、液晶の挙動を比較的電界の強い一端側から他端にかけて伝達させることから、その応答速度が遅く、その改善が望しいことが判明した。
【0369】
また、特開平9−105908号公報に開示された画素はその他端側において、一方の電極が同一幅で延在された他端部を有するものであり、該他端部と他方の電極との間に生じる電界の方向が比較的不均一となり、この部分にいわゆるドメイン領域が生じ、結果として遮光しなければならず、画素のいわゆる開口率を狭めていたという指摘がなされていた。
【0370】
本実施例に続く以下の実施例では、液晶の応答速度を向上させた画素を有する液晶表示装置を提供する。
また、画素の開口率を向上させた液晶表示装置を提供する。
【0371】
代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
(1)
本発明による液晶表示装置は、たとえば、画素領域に区分された第1の領域と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極により囲まれて領域が形成され、
第1と第2の電極はそれぞれ長い第1の電極部分と短い第2の電極部分とを有し、
第1の電極部分と第2の電極部分は鈍角となる関係を有して接続され、
前記第1の電極と第2の電極それぞれの第2の電極部分は各領域内で互いに最も遠い辺になるように配置されていて、
前記鈍角が第1の領域と第2の領域で異なる側に形成されていることを特徴とするものである。
【0372】
(2)
たとえば、(1)の構成を前提とし、それぞれの前記鈍角が初期配向方向に対して異なる側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0373】
(3)
たとえば、画素領域に区分された第1と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極を有し、
かつ、第1と第2の電極が平行に延在して主領域と第1と第2の電極が徐々に近接する補助領域を有し、
補助領域は画素領域の両端に配置され、かつ、それぞれ逆方向に徐々に近接するように配置され、
前記第1の領域と第2の領域はほぼ線対称に形成されていることを特徴とするものである。
【0374】
(4)
たとえば、画素領域内に、画素電極とこの画素電極との間に電界を生じせしめる対向電極とを備え、かつ、これら画素電極と対向電極とで囲まれた少なくとも2つの区分領域を備え、
これら区分領域のそれぞれは菱形状をなし、これら区分領域ほぼ液晶初期配向方向に対して線対称となって背中合わせに形成され、
これら各区分領域は、それぞれ一方の区分領域と背中合わせになる第1辺とこの第1辺の一方向側の端部にてこの第1辺と鈍角の開きを有して交差する第2辺とが前記画素電極と対向電極のうち一方の電極によって縁取られて形成されるとともに、
前記第1辺と平行となる第3辺とこの第3辺と前記一方向側と反対側の端部にて該第3辺と鈍角の開きを有して交差する第4辺とが前記画素電極と対向電極のうち他方の電極によって縁取られて形成されていることを特徴とするものである。
【0375】
(5)
たとえば、(4)の構成を前提とし、各区分領域の第1辺と第3辺のそれぞれの長さは該第1辺と第3辺の距離より大きく設定されていることを特徴とするものである。
【0376】
(6)
たとえば、(4)の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されていることを特徴とするものである。
【0377】
(7)
たとえば、(4)の構成を前提とし、各区分領域の第1辺を縁取る電極は各区分領域における共通の電極として構成されていることを特徴とするものである。
【0378】
(8)
たとえば、(4)の構成を前提とし、線対称に背中合わせに形成された各区分領域は液晶初期配向方向に沿って複数形成され、これら各区分領域の第1辺と第2辺とを縁取る電極は一体として構成され、かつ、第3辺と第4辺とを縁取る電極は一体として構成されていることを特徴とするものである。
【0379】
(9)
たとえば、(4)の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第2辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0380】
(10)
たとえば、(4)の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第4辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0381】
(11)
たとえば、(4)の構成を前提とし、各区分領域の第1辺および第2辺を縁取る電極は画素電極であり、第3辺および第4辺を縁取る電極は対向電極であることを特徴とするものである。
【0382】
(12)
たとえば、(11)の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、前記対向電極は前記ドレイン信号線を絶縁膜を介して被って形成されていることを特徴とするものである。
【0383】
(13)
たとえば、(12)の構成を前提とし、前記対向電極は透光性の導電層で構成されていることを特徴とするものである。
【0384】
以下、図面に基づきより詳細に説明する。
図43(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、画素電極PXと対向電極CTのパターンと配置状態を模式的に示した図である。
【0385】
図43(a)において、画素領域は図中x方向に分割された2つの領域、すなわち第1画素領域PAE1と第2画素領域PAE2を有して構成されている。
【0386】
ここで、図中x方向にはゲート信号線GL(図示せず)が走行され、y方向にはドレイン信号線DL(図示せず)が走行されて、これら信号線に囲まれた領域において前記第1画素領域PAE1と第2画素領域PAE2を備えている。なお、この画素におけるいわゆる初期配向方向は図中y方向にほぼ一致づけられている。
【0387】
また、前記第1画素領域PAE1と第2画素領域PAE2のそれぞれはy方向において長く形成された菱形形状をなしている。
【0388】
前記第1画素領域PAE1は、その図中左側辺および下側辺において対向電極CTによって画され、図中右側辺および上側辺において画素電極PXによって画されて構成されている。また、前記第2画素領域PAE2は、その図中左側辺および上側辺において画素電極PXによって画され、図中右側辺および下側辺において対向電極CTによって画されて構成されている。
【0389】
この実施例では、第1画素領域PAE1における前記画素電極PXと第2画素領域PAE2における前記画素領域PXは、第1画素領域PAE1および第2画素領域PAE2と画する部分で共通となっている。
【0390】
そして、同図に示すように、第1画素領域PAE1は、その右側辺であって画素電極PXの辺を第1辺部A、上側辺であって前記画素電極PXの辺を第2辺部Bとすると、該第1辺部Aと第2辺部で形成される角度は鈍角(>90°)となっている。また、該第1画素領域PAE1の左側辺であって対向電極CTの辺を第3辺部C、下側辺であって前記対向電極CTの辺を第4辺部Dとすると、該第3辺部Cと第4辺部Dで形成される角度は鈍角(>90°)となっている。すなわち、前記第1画素領域PAE1は菱形のパターンをなし、その内角のうち一の鈍角を有する角度を構成する二辺を一方の電極の辺で形成し、他の鈍角を有する角度を構成する二辺を他方の電極の辺で形成している。
【0391】
また、該第2画素領域PAE2は、第1画素領域PAE1の画素電極PXと共通化を図った画素電極PXの中心軸を中心として、該第2画素領域PAE2と背中合わせのほぼ線対称の関係にあって、第1画素領域PAE1と同様の構成となっている。
【0392】
このようなパターンを有する画素電極PXおよび対向電極CTを有する画素は、その画素電極PXと対向電極CTとの間に生じる電界の分布が図43(b)に示すようになり、第1画素領域PAE1および第2画素領域PAE2とも、その上下の各部分、すなわち、たとえば、第1画素領域PAE1を例に挙げると、その菱型形状の各角の前記鈍角部を除く他の鋭角部で電界が強くなるとともに、その電界方向も図43(d)に示すように液晶分子LQMの一方向への捩りによる回転運動を行い易くなるようになっている。ここで、図43(d)において、符号EADは初期配向方向を示し、その図の左側の液晶分子LQMは第1画素領域PAE1におけるそれを、右側の液晶分子LQMは第2画素領域PAE2におけるそれを示している。
【0393】
したがって、図43(c)に示すように、第1画素領域PAE1および第2画素領域PAE2の前記上下の各部分、すなわち○で囲まれた各領域にあって、その領域内の液晶分子LQMは高電界で駆動され、各領域において規定される一方向への捩りによる回転運動が該各領域以外の他の領域(画素の中央における領域)にまでそのまま追随され、高速かつ正規な液晶分子の駆動を達成させることができ、スメアの発生を抑制できるようになる。
【0394】
また、第1画素領域PAE1および第2画素領域PAE2における前記第1辺部Aと第2辺部Cの長さがそれら各辺の距離に比べて比較的長く、かつ平行に配置されていることから、製造が容易となり歩留まりが向上するという効果を奏する。
【0395】
また、配向処理時、前記第1辺部Aと第2辺部Cに相当する電極の延在方向と初期配向方向EADが略平行となるため、配向処理が容易かつ確実にでき、初期配向方向が安定するため、コントラスト費が向上するという効果を奏する。
【0396】
さらに、このように構成した各画素領域PAE1、PAE2は、それらの領域内のいずれの部分においても液晶分子が正常に挙動され、たとえばいわゆるドメイン領域となる部分を無くすことができるようになる。このため、これら各領域においてたとえばブラックマトリクスBM等の他の部材によって遮光する部分を皆無とすることができる。
【0397】
なお、この実施例の説明では、画素の中央を走行する電極を画素電極PX、この画素電極PXの両脇に配置される電極を対向電極CTとして構成したものであるが、該画素電極PXおよび対向電極CTをそれぞれ対向電極CTおよび画素電極PXとなるように構成するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0398】
実施例30.
図44(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す平面図である。また、図44(b)は図44(a)のb−b線における断面図を、図44(c)は図44(a)のc−c線における断面図を示している。
【0399】
同図において、まず、透明基板SUB1の液晶側の面にはたとえばポリシリコン層からなる半導体層PSIが形成されている。この半導体層PSIはたとえばプラズマCVD装置によって成膜したアモルファスSi膜をエキシマレーザによって多結晶化したものである。
【0400】
この半導体層PSIは薄膜トランジスタTFTのそれで、後述するゲート信号線GLをたとえば2回横切るように迂回して形成されたパターンをなしている。
【0401】
そして、このように半導体層PSIが形成された透明基板SUB1の表面には、該半導体層PSをも覆ってたとえばSiO2あるいはSiNからなる第1絶縁膜INSが形成されている。
【0402】
この第1絶縁膜INSは前記薄膜トランジスタTFTのゲート絶縁膜として機能するようになっている。
【0403】
そして、第1絶縁膜INSの上面には、図中x方向に延在しy方向に並設されるゲート信号線GLが形成され、このゲート信号線GLは後述するドレイン信号線DLとともに矩形状の画素領域を画するようになっている。
【0404】
該ゲート信号線GLは前述した半導体層PSIを2回横切るようにして走行され、該半導体層PSIを横切る部分は薄膜トランジスタTFTのゲート電極として機能するようになっている。
【0405】
なお、このゲート信号線GLの形成後は、第1絶縁膜INSを介して不純物のイオン打ち込みをし、前記半導体層PSIにおいて前記ゲート信号線GLの直下を除く領域を導電化させることによって、薄膜トランジスタTFTのソース領域およびドレイン領域が形成されるようになっている。
【0406】
前記ゲート信号線GLをも被って前記第1絶縁膜INSの上面には第2絶縁膜GIがたとえばSiO2あるいはSiNによって形成されている。
【0407】
この第2絶縁膜GIの表面には、y方向に延在しx方向に並設されるドレイン信号線DLが形成されている。そして、このドレイン信号線DLの一部にはその下の第2絶縁膜GIおよび第1絶縁膜INSを貫通するスルーホールTH1を通して前記半導体層PSIに接続されている。該半導体層PSIのドレイン信号線DLと接続された部分は薄膜トランジスタTFTの一方の領域、たとえばドレイン領域となる部分である。
【0408】
また、前記ドレイン信号線DLとゲート信号線GLで囲まれる画素領域内の前記第2絶縁膜GIの表面には画素電極PXが形成されている。この画素電極PXは画素領域のほぼ中央をy方向に走行する帯状のパターンとこの帯状のパターンの左右側からそれぞれ延在した枝状のパターンとからなっている。
【0409】
さらに、詳述すると、前記画素電極PXは、その帯状のパターンの当該画素領域の薄膜トランジスタTFT側の一端が、その下の第3絶縁膜PAS、第2絶縁膜GI、および第1絶縁膜INSに貫通させて設けたスルーホールTH2を通して薄膜トランジスタTFTの他方の領域、たとえばソース領域に接続されている。
【0410】
また、該帯状のパターンの該ソース領域の接続部から他端にかけて、その左右側から延在した前記枝状のパターンは、ほぼ等間隔にこの実施例では3つ設けられ、該延在方向は該帯状のパターンに対して鈍角(>90°)をなしている。
【0411】
なお、ドレイン信号線DLと同層に形成される該画素電極PXの前記枝状パターンの先端は該ドレイン信号線DLと電気的に接続を回避させるため、物理的に分離されて構成されている。
【0412】
これにより、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLとで囲まれた画素領域は、前記画素電極PXにより画された6つの領域が形成されることになる。この6つの各領域は後述する対向電極CTとの関係で、それぞれ機能的には同一の独立の画素領域を形成することになる。これについては後述する。
【0413】
なお、画素電極PXは、その材料として金属であってもよいが、この実施例では、たとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成している。いわゆる開口率をできるだけ向上させようとする配慮からである。
【0414】
さらに、このドレイン信号線DLおよび画素電極PXをも被って第2絶縁膜GIの表面には第3絶縁膜PASが形成されている。この第3絶縁膜PASはたとえば樹脂等の有機材料からなり、前記第2絶縁膜GIとともに前記薄膜トランジスタTFTへの液晶の直接の接触を回避するための保護膜となっている。第3絶縁膜PASを有機材料で構成したのは保護膜としての誘電率を低減させ、かつ表面を平坦化するためである。
【0415】
そして、この第3絶縁膜PASの上面には対向電極CTが形成されている。この対向電極CTは対向電圧信号線CLと一体に形成され、該対向電圧信号線CLは当該画素領域の薄膜トランジスタTFTを駆動させるゲート信号線GL(図中下側のゲート信号線GL)を被って形成されているが、当該画素領域を挟んで形成される他のゲート信号線GL(図中上側のゲート信号線GL)を被うことなく形成されている。同図に示した画素に対して図中x方向に並設される他の画素に共通な対向電圧信号線CLに対向電圧信号を供給させる場合の構成としているからである。
【0416】
前記対向電極CTは、まず前記画素電極PXの帯状パターンを間に位置づけ、ドレイン信号線DLのそれぞれに重畳されるようにして形成されている。この場合、該ドレイン信号線DLに重畳される対向電極CTはそれらの中心軸がほぼ一致づけられて配置され、かつ、その幅は該ドレイン信号線DLのそれよりも大きく形成されている。ドレイン信号線DLからの電気力線を該対向電極CT側に終端させ、画素電極PX側に終端させるのを回避させる配慮からである。
【0417】
ここで、本実施例では、一方の側のドレイン信号線DLに重畳された対向電極CTと他方の側のドレイン信号線DLに重畳された対向電極CTとは、前記画素電極PXの枝状のパターンが形成された部分にて互いに接続された構成をとっている。
【0418】
すなわち、当該画素領域において対向電極CTはいわゆる梯子状のパターンをなし、前記画素電極PXの枝状のパターン上の前記接続部によって、該画素電極PXの枝状のパターンとともに6つの同一機能を有する独立の画素領域を構成するようになっている。
【0419】
さらに詳述すれば、一方の側のドレイン信号線DLに重畳された対向電極CTと他方の側のドレイン信号線DLに重畳された対向電極CTとの前記接続部(接続パターン)は、該画素電極PXの枝状のパターンとほぼ同様のパターンをなし、該枝状のパターンとは完全には重畳することなく図中上側(y方向)に若干シフトされ、その結果、その一部が該枝状のパターンと重畳され残りは重畳されていない構成となっている。
【0420】
これにより、一の分割された画素領域を観察した場合、その画素領域の上側には画素電極PX(枝状のパターン)が対向電極CT(接続パターン)に重畳されることなく形成され、該画素領域の下側には対向電極CT(接続パターン)が画素電極PX(枝状のパターン)に重畳されることなく形成されている。このことは、その画素領域の上側において画素電極PX(枝状のパターン)の影響が大であり、下側において対向電極CT(接続パターン)の影響が大であることを意味する。
【0421】
すなわち、分割された各画素領域のそれぞれは、図43(a)に示した各画素領域と同様な効果を奏するようになることを意味する。
【0422】
そして、このことから、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLで囲まれた画素領域内の対向電圧信号線CLに近接する分割された画素領域には、画素電極PX(枝状パターン)と重畳する接続パターンは存在しないが、画素電極PX(枝状パターン)と重畳する接続パターンを(−)y方向に平行に移動させた如くのパターンとして形成されている。同様に、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLで囲まれた画素領域内の対向電圧信号線CLに近接する側とは反対側において、分割された画素領域も同様となっている。
【0423】
なお、この実施例で、画素電極PXの枝状パターンと対向電極CTの接続パターンとを一部重畳させて構成しているのは、この重畳させた部分において容量素子Cstgを形成させんがためである。
【0424】
また、一体に形成される対向電極CTと対向電圧信号線CLは、その材料として金属であってもよいが、この実施例では、たとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成している。いわゆる開口率をできるだけ向上させようとする配慮からである。
【0425】
また、この実施例では、たとえば透明基板SUB1と液晶を介して対向配置される他の透明基板の液晶側の面に、ブラックマトリクスBMが形成され、このブラックマトリクスBMは薄膜トランジスタTFTの形成領域を被ってゲート信号線GLに沿って形成されている。
【0426】
このブラックマトリクスBMは区分された各画素領域を被うことなく形成できる。上述したように該各画素領域内のいずれの部分においても液晶が正常に挙動でき、いわゆるドメイン領域となる部分を遮光する必要がないからである。
【0427】
そして、区分された各画素領域を各する画素電極PXおよび対向電極CTはたとえそれを透光性の導電層として用いた場合でも、たとえば液晶をノーマリホワイトモードのものを用いることによってそれらが遮光膜の機能を果たすことができる。
【0428】
このことから、前述したブラックマトリクスBMは薄膜トランスタTFTのみを被う構成とし、該薄膜トランジスタTFTを光照射による特性劣化を図るようにすることもできるようになる。
【0429】
実施例31.
図45(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図44(a)に対応した図となっている。また、図45(b)は図45(a)のb−b線における断面図を、図45(c)は図45(a)のc−c線における断面図を示している。
【0430】
図44(a)と比較して異なる構成は、まず、画素電極PXと対向電極CT(対向電圧信号線CL)は同層に形成され、それぞれ第3絶縁膜PASの表面に形成されていることにある。
【0431】
そして、ドレイン信号線CLとゲート信号線GLとで囲まれた画素領域は画素電極PXによって2つの領域に区分されている。すなわち、該画素電極PXは当該薄膜トランジスタTFTを駆動するゲート信号線GL側の一端からy方向に延在され、他のゲート信号線GLに近接する他端において鈍角(>90°)状に幅が徐々に広くなるように形成されている。
【0432】
一方、対向電極CTは、図44(a)に示したように、当該薄膜トランジスタTFTを駆動するゲート信号線GL側を被う対向電圧信号線CLから各ドレイン信号線DLに沿って延在するように構成され、該対向電極CTと対向電圧信号線CLとの接続部においてその幅が徐々に狭くなるように形成されている。この結果、対向電極CTの幅は対向電圧信号線CLへ近づくにつれ鈍角(>90°)状に幅が徐々に広くなって形成されるとともに、該鈍角の角度は、前記画素電極PXの前記他端において幅が広くなる際の角度とほぼ等しくなっている。
【0433】
なお、画素電極PXの前記一端は、その下に形成される第3絶縁膜PASを貫通するスルーホールTH3を通して第2絶縁膜GI面に形成された接続用配線CMに接続され、この接続用配線CMは、その下に形成される第2絶縁膜GIおよび第1絶縁膜INSを貫通するスルーホールTH2を通して薄膜トランジスタTFTのソース領域に接続されている。そして、この場合、前記接続用配線CMはその一部において対向電圧信号線CLとの重畳部を形成するようにし、この重畳部において第3絶縁膜PASを誘電体膜とする容量素子Cstgを構成している。
【0434】
このように構成した液晶表示装置の画素は、ドレイン信号線DLおよびゲート信号線GLによって囲まれた画素領域が画素電極PXと対向電極CTによって2つの領域に区分されるようになり、それぞれの領域において前記図43に示した構成における効果、すなわち、画素電極PXと対向電極CTの近接部に強電界を形成させることができ、それを駆動力として残りの面内の液晶の回転方向を制御することができる効果を奏する。
【0435】
実施例32.
図46(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図であり、図45(a)に対応した図となっている。また、図46(b)は図46(a)のb−b線における断面図を、図46(c)は図46(a)のc−c線における断面図を示している。
【0436】
図45(a)の場合と比較して異なる構成は対向電圧信号線CLにあり、対向電圧信号線CLは、当該画素を駆動するゲート信号線GLを被う対向電圧信号線CLは当該画素に形成されている対向電極CTと電気的に分離されていることにある。そして、該対向電極CTは当該画素を駆動するゲート信号線GLと当該画素を挟んで形成される他のゲート信号線GLを被う対向電圧信号線CLと電気的に接続されていることにある。
【0437】
そして、当該画素を駆動するゲート信号線GLを被う対向電圧信号線CLと当該画素の対向電極CTとの電気的分離箇所は遮光膜BMで被う構成としている。
【0438】
このように構成した場合、上述の実施例で説明したように、ゲート信号線GLの書き込み時に該ゲート信号線GL上の対向電圧信号線CLをフローティング状態とできるため書き込み特性を向上させることができる。
【0439】
また、図46(a)に示したと同様に、画素電極PXと対向電極CTの近接部に強電界を形成させることができ、それを駆動力として残りの面内の液晶の回転方向を制御することができる。したがって、発生させる電界をより強くすることが必要となり、ゲート信号線GLの書き込み時に該ゲート信号線GL上の対向電圧信号線CLをフローティングとできる上記構成が極めて効果的となる。
【0440】
実施例33.
図47(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図であり、図44(a)に対応した図となっている。また、図47(b)は図47(a)のb−b線における断面図を、図47(c)は図47(a)のc−c線における断面図を示している。
【0441】
図44(a)の場合と比較して異なる構成は、まず、対向電極CTおよび対向電圧信号線CLが第3絶縁膜PASの表面に形成され、これら対向電極CTおよび対向電圧信号線CLはたとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成している。
【0442】
そして、これら対向電極CTおよび対向電圧信号線CLの全体の電気抵抗を低減させるため、金属で構成された対向電圧信号線CL’を新たに設け、この対向電圧信号線CL’を前記対向電圧信号線CLとの接続を図っている。
【0443】
前記対向電圧信号線CL’は、当該画素を駆動するゲート信号線GLと該画素を挟んで形成される他のゲート信号線GLに隣接させて形成し、たとえば該他のゲート信号線GLの形成の際に同時に形成しているため該他のゲート信号線GLと同一の材料で構成されている。
【0444】
この対向電圧信号線CL’と第3絶縁膜PAS上の対向電圧信号線CLとの接続は該第3絶縁膜PASおよび第2絶縁膜GIを貫通するスルーホールTH4を通してなされる(図47(b)参照)。
【0445】
なお、前記対向電圧信号線CL’とそれに隣接するゲート信号線GLは第3絶縁膜PAS上の対向電圧信号線CLによって被われ、かつ当該画素の対向電極CTと一体に接続されている。そして、当該画素の前記対向電極CTは当該画素を駆動するゲート信号線GLを被って形成される対向電圧信号線CLとはこの対向電圧信号線CLの近傍にて電気的に分離されて構成されている。
【0446】
このことから、この近傍に形成される遮光膜BMは少なくとも対向電圧信号線CLと対向電極CTの電気的分離箇所を被うようにして形成されている。
【0447】
また、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLとで囲まれる領域が、画素電極PXと対向電極CTとで6つの領域に区分けされていることは図44(a)の場合と同様である。しかし、各領域の最外郭で形成されるパターンが図44(a)の場合と比較すると上下逆になっていることに相違を有する。
【0448】
すなわち、図44(a)の場合、y方向に延在する画素電極PXは、当該画素の薄膜トランジスタTFTと接続される側から反対の方向にかけて鈍角(>90°)を有するように枝状パターンを有し、これにともない一方のドレイン信号線DL上の対向電極CTと他方のドレイン信号線DL上の対向電極CTとの接続パターンも前記枝状パターンに類似させた構成としているものである。
【0449】
これに対し、本実施例の場合、y方向に延在する画素電極PXは、当該画素の薄膜トランジスタTFTと接続される側と反対の側から該薄膜トランジスタTFTの方向にかけて鈍角(>90°)を有するように枝状パターンを有し、これにともない一方のドレイン信号線DL上の対向電極CTと他方のドレイン信号線DL上の対向電極CTとの接続パターンも前記枝状パターンに類似させた構成としているものである。
【0450】
対向電極CTの前記接続パターンは、画素電極PXの枝状パターンを薄膜トランジスタTFT側へ、該画素電極PXの枝状パターンと一部重畳領域を残してシフトさせた位置に配置されている。対向電極CTの前記接続パターンと画素電極PXの枝状パターンとの一部重畳領域は、その部分において第3絶縁膜PASを誘電体膜とする容量素子Cstgを形成せんがためである。
【0451】
なお、前記画素電極PXは金属等で構成してもよいが、たとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成してもよいことはいうまでもない。いわゆる画素の開口率をできるだけ向上させるためである。
【0452】
実施例34.
図48は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図46(a)に対応した図となっている。
【0453】
図46(a)の場合と比較して異なる構成は、まず、当該画素を駆動するゲート信号線GLと当該画素領域を挟んで配置される他のゲート信号線GLと隣接させて金属で形成された対向電圧信号線CL’が形成されている。
【0454】
この対向電圧信号線CL’とこれに隣接される前記他のゲート信号線GLの上方の第3絶縁膜PASの上面には、前記対向電圧信号線CL’と他のゲート信号線GLをも被って、透光性の導電膜で形成された対向電圧信号線CLが形成されている。なお、この対向電圧信号線CLは当該画素の対向電極CTと一体に形成されたものである。
【0455】
また、ゲート信号線GLとドレイン信号線DLとで囲まれた画素領域を、画素電極PXと対向電極CTとで2つの領域に区分する構成は図46(a)の場合と同様である。しかし、それら各領域は図46(a)に示す各領域を上下逆にしたパターンとして形成されていることに相違を有する。
【0456】
すなわち、図中y方向に延在する画素電極PXは、薄膜トランジスタTFTとの接続部に近づくにつれ、鈍角(>90°)に広がって、その幅が徐々に大きくなるパターンを有している。一方、対向電極CTはその画素領域の中央部を除く周辺部に形成されるが、各ドレイン信号線DLと重畳されて形成されたそれは、前記薄膜トランジスタTFTの側とは反対側に近づくにつれ、鈍角(>90°)に広がって、その幅が徐々に大きくなるパターンを有している。
【0457】
この場合の、前記画素電極PXの広がり角と対向電極CTの広がり角とはほぼ等しく構成されている。
【0458】
このように構成された画素は、その区分された各領域が図46(a)に示す各領域を上下逆にしたパターンとして形成したものであることから、図46(a)に示した構成の場合と同様の効果を奏する。
【0459】
実施例35.
図49は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図48に対応した図となっている。
【0460】
図48の場合と比較して異なる構成は、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLとで囲まれた画素領域が、画素電極PXと対向電極CTによって4つに区分されていることにある。
【0461】
すなわち、該画素領域の中央をy方向に延在する画素電極PXが配置され、この画素電極PXの一端およびその反対側の他端はそれぞれ、その延在方向に至るに従い徐々に幅が広がるように形成され、それが対向電圧信号線CLの近傍にまで至っている。これにより、該画素電極PXの各端部は放射状に広がる形状をなし、その広がり面の各辺はそれぞれ直線状に延在する部分に対して鈍角(>90°)となっている。
【0462】
一方、当該画素領域を挟む各ドレイン信号線DLを被って形成されるそれぞれの対向電極CTは、そのほぼ中央部において、前記画素電極PX側へ延在する突出部CTpが形成され、この突起部CTpは該画素電極PXに近づくにつれその幅が徐々に狭まる形状をなし、その傾斜面の各辺はそれぞれ直線状に延在する部分に対して鈍角(>90°)となっている。
【0463】
このように構成した場合も、画素領域を画素電極PXと対向電極CTによって区分した各領域は、それぞれ図46(a)に示した構成と同様となり、該構成の説明に示した効果を奏するようになる。
【0464】
また、このように区分された各領域を2つ以上設けることにより、各領域の面積が比較的小さくなり、その内部の画素電極PXと対向電極CTによる電界の強度が大きくなり、応答速度の向上を図ることができる。
【0465】
実施例36.
図50は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図49に対応した図となっている。
【0466】
図49の場合と比較して異なる構成は、画素領域の中央を図中x方向に延在する対向電圧信号線CL’が走行して形成されていることにある。そして、該対向電圧信号線CL’は、たとえばゲート信号線GLの形成の際に同時に形成されるようになっているとともに、対向電極CTの突出部CTpの部分において、第3絶縁膜PAS、第2絶縁膜GI、および第1絶縁膜INSを貫通するスルーホールTHを通して該対向電極CT(対向電圧信号線CL)と接続されている。
【0467】
この対向電圧信号線CL’は金属等の電気的抵抗が比較的小さい材料で形成され、対向電極CTと一体に形成された対向電圧信号線CLの電気抵抗値を低減させるために設けられたものである。
【0468】
このため、対向電極CTおよび対向電圧信号線CLはたとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成してもよいことはいうまでもない。いわゆる画素の開口率をできるだけ向上させるためである。
【0469】
実施例37.
図51は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す図で、図49と対応した図となっている。
【0470】
図49の場合と比較した場合、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLとで囲まれた画素領域が、画素電極PXと対向電極CTによって4つに区分されていることは同様であるが、該画素電極PXと対向電極CTのそれぞれのパターンが異なっている。
【0471】
すなわち、当該画素領域の中央をy方向に延在する画素電極PXは、そのほぼ中央部において、該画素電極PXを挟んで配置される各対向電極CTの側へ延在する突出部PXpが形成され、この突起部PXpは各対向電極CTに近づくにつれその幅が徐々に狭まる形状をなし、その傾斜面は直線状に延在する部分に対して鈍角(>90°)となっている。
【0472】
一方、当該画素領域を挟む各ドレイン信号線DLを被って形成されるそれぞれの対向電極CTは、それら各端部で対向電圧信号線CLと接続する部分において、放射状に広がるの形状をなし、その広がり面は直線状に延在する部分に対して鈍角(>90°)となっている。
【0473】
このように構成した場合も、画素領域を画素電極PXと対向電極CTによって区分した各領域は、それぞれ図46(a)に示した構成と同様となり、該構成の説明に示した効果を奏するようになる。
【0474】
また、このように区分された各領域を2つ以上設けることにより、各領域の面積が比較的小さくなり、その内部の画素電極PXと対向電極CTによる電界の強度が大きくなり、応答速度の向上を図ることができる。
【0475】
実施例38.
図52は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す図で、図50と対応した図となっている。
【0476】
図50の場合と比較して異なる構成は、画素領域の中央を図中x方向に延在する対向電圧信号線CL’が走行して形成されていることにある。そして、該対向電圧信号線CL’は、たとえばゲート信号線GLの形成の際に同時に形成されるようになっている。この場合、画素電極PXの下方の突出部PXpの下方において、該突出部PXpからはみ出さない程度に若干その幅が広く形成されている。該対向電圧信号線CL’の電気的抵抗をできるだけ低減させようとする配慮からである。
【0477】
この対向電圧信号線CL’は、液晶表示部ARの外側の領域で対向電圧信号線CLと接続され、該対向電圧信号線CLの電気抵抗値を低減させるために設けられたものである。
【0478】
このため、対向電極CTおよび対向電圧信号線CLはたとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成してもよいことはいうまでもない。いわゆる画素の開口率をできるだけ向上させるためである。
【0479】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。
【0480】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明による液晶表示装置によれば、液晶の応答速度を向上させた画素を有するようにすることができる。
また、画素の開口率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液晶表示装置の一実施例を示す等価回路図である。
【図2】本発明による液晶表示装置の一実施例を示す概念図である。
【図3】図2に示すスイッチング回路SW1の一実施例を示す具体的な回路図、及び動作図である。
【図4】図2に示すスイッチング回路SW2の一実施例を示す具体的な回路図である。
【図5】図2に示すスイッチング回路SW1の他の実施例を示す具体的な回路図、及び動作図である。
【図6】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す図で、上述したスイッチング回路を駆動回路に組み込んだドライバを示す図である。
【図7】前記ドライバの配置状態を示した図である。
【図8】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す図で、走査信号駆動回路側のスイッチング回路SW1に対向電圧信号線を切り替えるスイッチング回路SW2を組み込んだ回路図である。
【図9】図8に示す回路のタイミング動作図である。
【図10】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、対向電圧信号線の断線に対する修復可能な構成を示す図である。
【図11】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、隣接するドレイン信号線に極性の同じ映像信号を供給することを示す図である。
【図12】隣接するドレイン信号線に極性の異なる映像信号を供給した場合の不都合を示す説明図である。
【図13】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、複数の対向電圧信号線に同時に対向電圧信号を供給する構成を示した図である。
【図14】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、透明基板面におけるドライバの配置を示した図である。
【図15】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、複数の対向電圧信号線に同時に対向電圧信号を供給する場合に、それら複数の対向電圧信号線がループ状に構成したことを示した図である。
【図16】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、対向電圧信号を同時に供給する複数の対向電圧信号線において、それら対向電圧信号線が入れ湖状となっている実施例を示した図である。
【図17】本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す構成図である。
【図18】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図19】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図20】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図21】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図22】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図23】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図24】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図25】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図26】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図27】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、共通電極駆動回路の周辺を示す回路図とその説明図である。
【図28】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、外部からの画像信号を各ドライバを介して出力するまでの制御を示すフローチャートおよびその説明図である。
【図29】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、各ドライバの配置等を示した図である。
【図30】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、半導体チップからなるゲートドライバおよびコモンドライバをデータ転送配線で接続させた図である。
【図31】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、TCP方式の半導体装置からなるゲートドライバおよびコモンドライバをデータ転送配線で接続させた図である。
【図32】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、半導体チップからなるゲートドライバおよびコモンドライバをデータ転送配線で接続させる場合の具体的構成を示す図である。
【図33】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、半導体チップからなるゲートドライバおよびコモンドライバをデータ転送配線で接続させる場合の他の具体的構成を示す図である。
【図34】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、一つの回路から走査信号および対向電圧信号を送出させる場合の信号波形を示した図である。
【図35】本発明による液晶表示装置であって、一つの回路から走査信号および対向電圧信号を送出させる場合のスイッチの切り替え動作を示した図である。
【図36】本発明による液晶表示装置であって、一つの回路から走査信号および対向電圧信号を送出させる場合のスイッチの他の切り替え動作を示した図である。
【図37】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、外部からの画像信号を各ドライバを介して出力するまでの制御を示すフローチャートおよびその説明図である。
【図38】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路が組み込まれていることを示した図である。
【図39】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路が組み込まれていることを示した図である。
【図40】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路が 組み込まれていることを示した図である。
【図41】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路が組み込まれていることを示した図である。
【図42】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路に組み込まれる双方向性ダイオードの構成を示した図である。
【図43】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す説明図で、その基本的条件を示した図である。
【図44】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図45】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図46】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図47】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図48】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図49】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図50】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図51】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図52】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図53】従来の液晶表示装置の一例を示す等価回路図である。
【符号の説明】
SUB…透明基板、AR…液晶表示部、GL…ゲート信号線、DL…ドレイン信号線、CL…対向電圧信号線、V…走査信号駆動回路、He…映像信号駆動回路、Cm…共通電極駆動回路、PX…画素電極、CT…対向電極、Cstg…容量素子、TFT…薄膜トランジスタ、SW1、SW2…スイッチング回路、GD…ゲートドライバ、DD…ドレインドライバ、CD…コモンドライバ、INS…第1絶縁膜、GI…第2絶縁膜、PAS…第3絶縁膜、TH…スルーホール、BM…ブラックマトリクス、BSD…双方向性ダイオード、FVL…フローティング電圧線、EAD…初期配向方向、PAE…画素の区分された領域。
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置に係り、特にその画素構成の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置の画素として、液晶を介して対向配置される一方の基板の液晶側の面に、画素電極とこの画素電極との間に電界を発生せしめる対向電極とを備えたものが知られている。
【0003】
該画素電極と対向電極との間に基板と平行な成分を有する電界によって該液晶の光透過率を制御せしめる構成のものである。
【0004】
そして、このような各画素において、その領域内で前記電界の方向を異ならした領域を構成し、これにより視野角に依存する画像の色づきを補償した、いわゆるマルチドメイン方式のものであって、それら各領域における液晶の挙動(液晶分子の回転)を比較的電界の強い一端側から他端にかけて伝達させる工夫がなされているものが知られている。平行に配置された画素電極と対向電極との間に生じる電界のみでは液晶分子を回転させる力が弱い場合があるからである(特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平9−105908号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように構成された画素は、液晶の挙動を比較的電界の強い一端側から他端にかけて伝達させることから、その応答速度が遅く、その改善が望まれていた。
【0006】
また、特許文献1に示した画素はその他端側において、一方の電極が同一幅で延在された他端部を有するものであり、該他端部と他方の電極との間に生じる電界の方向が比較的不均一となり、この部分にいわゆるドメイン領域が生じ、結果として遮光しなければならず、画素のいわゆる開口率を狭めていたという指摘がなされていた。
【0007】
それ故、本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、液晶の応答速度を向上させた画素を有する液晶表示装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、画素の開口率を向上させた液晶表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0010】
手段1.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、画素領域に区分された第1の領域と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極により囲まれて領域が形成され、
第1と第2の電極はそれぞれ長い第1の電極部分と短い第2の電極部分とを有し、
第1の電極部分と第2の電極部分は鈍角となる関係を有して接続され、
前記第1の電極と第2の電極それぞれの第2の電極部分は各領域内で互いに最も遠い辺になるように配置されていて、
前記鈍角が第1の領域と第2の領域で異なる側に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
手段2.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段1の構成を前提とし、それぞれの前記鈍角が初期配向方向に対して異なる側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0012】
手段3.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、画素領域に区分された第1と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極を有し、
かつ、第1と第2の電極が平行に延在して主領域と第1と第2の電極が徐々に近接する補助領域を有し、
補助領域は画素領域の両端に配置され、かつ、それぞれ逆方向に徐々に近接するように配置され、
前記第1の領域と第2の領域はほぼ線対称に形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
手段4.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、画素領域内に、画素電極とこの画素電極との間に電界を生じせしめる対向電極とを備え、かつ、これら画素電極と対向電極とで囲まれた少なくとも2つの区分領域を備え、
これら区分領域のそれぞれは菱形状をなし、これら区分領域ほぼ液晶初期配向方向に対して線対称となって背中合わせに形成され、
これら各区分領域は、それぞれ一方の区分領域と背中合わせになる第1辺とこの第1辺の一方向側の端部にてこの第1辺と鈍角の開きを有して交差する第2辺とが前記画素電極と対向電極のうち一方の電極によって縁取られて形成されるとともに、
前記第1辺と平行となる第3辺とこの第3辺と前記一方向側と反対側の端部にて該第3辺と鈍角の開きを有して交差する第4辺とが前記画素電極と対向電極のうち他方の電極によって縁取られて形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
手段5.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、各区分領域の第1辺と第3辺のそれぞれの長さは該第1辺と第3辺の距離より大きく設定されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【0015】
手段6.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
手段7.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、各区分領域の第1辺を縁取る電極は各区分領域における共通の電極として構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
手段8.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、線対称に背中合わせに形成された各区分領域は液晶初期配向方向に沿って複数形成され、これら各区分領域の第1辺と第2辺とを縁取る電極は一体として構成され、かつ、第3辺と第4辺とを縁取る電極は一体として構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
手段9.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第2辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0019】
手段10.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第4辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0020】
手段11.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段4の構成を前提とし、各区分領域の第1辺および第2辺を縁取る電極は画素電極であり、第3辺および第4辺を縁取る電極は対向電極であることを特徴とするものである。
【0021】
手段12.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段11の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、前記対向電極は前記ドレイン信号線を絶縁膜を介して被って形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
手段13.
本発明による液晶表示装置は、たとえば、手段12の構成を前提とし、前記対向電極は透光性の導電層で構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
なお、本発明は以上の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による液晶表示装置の実施例を図面を用いて説明をする。
【0025】
実施例1.
図1は、本発明による液晶表示装置の一実施例を示す等価回路図である。
図に示す等価回路は液晶を介して互いに対向配置される各基板のうち一方の基板の液晶側の面に形成される回路を示している。
【0026】
同図において、そのx方向に延在しy方向に並設されたゲート信号線GL(GL1、GL2、……、GLn、……)とy方向に延在しx方向に並設されたドレイン信号線DL(DL1、DL2、……、DLn、……)とが形成されている。
【0027】
各ゲート信号線GLと各ドレイン信号線DLとで囲まれた領域は画素領域を構成するとともに、これら各画素領域のマトリクス状の集合体は液晶表示部ARを構成するようになっている。
【0028】
また、x方向に並設される各画素領域のそれぞれにはそれら各画素領域内に走行された共通の対向電圧信号線CL(CL1、CL2、……、CLn、……)が形成されている。この対向電圧信号線CLは各画素領域の後述する対向電極CTに映像信号に対して基準となる対向電圧信号を供給するための信号線となるものである。
【0029】
各画素領域には、その片側のゲート信号線GLからの走査信号によって作動される薄膜トランジスタTFTと、この薄膜トランジスタTFTを介して片側のドレイン信号線DLからの映像信号が供給される画素電極PXが形成されている。
【0030】
この画素電極PXは、前記対向電極CTとの間に電界を発生させ、この電界によって液晶の光透過率を制御させるようになっている。なお、図中液晶を介して画素電極PXと対向電極CTの間に生じる容量をClcで示している。
【0031】
前記ゲート信号線GLのそれぞれのたとえば図中左側の一端は走査信号駆動回路Vに接続されている。また、前記ドレイン信号線DLのそれぞれのたとえば図中上側の一端は映像信号駆動回路Heに接続されている。
【0032】
前記各ゲート信号線GLは、走査信号駆動回路Vからの走査信号によって、その一つが順次選択されるようになっており、この選択のタイミングに合わせて、前記各ドレイン信号線DLのそれぞれには、映像信号が供給されるようになっている。
【0033】
さらに、この実施例では、前記対向電圧信号線CLのそれぞれのたとえば図中右側の一端は共通電極駆動回路に接続されている。この共通電極駆動回路は映像信号に対して基準となる基準信号を各対向電圧信号線CLのうち、走査信号駆動回路によって選択された画素列の対向電極CTに接続されている対向電圧信号線CLに供給されるようになっている。なお、前記基準信号は、以下の説明において、対向電圧信号と称する場合がある。
【0034】
また、図1において、画素電極PXと対向電圧信号線CLとの間には容量素子Cstgが形成されている。この容量素子Cstgは画素電極PXに供給された映像信号を比較的長い時間の間該画素電極PXに蓄積させるためである。
【0035】
図2は前記共通電極駆動回路Cmの駆動方法の概念を示す図で、図1に示した薄膜トランジスタTFT、画素電極PX、対向電極CT、容量素子Cstgは省略して示している。
【0036】
同図において、走査信号駆動回路Vからの走査信号の供給をスイッチング回路SW1の切り替えによって行い、今、ゲート信号線GL3が選択されているとする。この際、共通電極駆動回路Cmからの対向電圧信号の供給をスイッチング回路SW2の切り替えによって行い、対向電圧信号線CL3が選択されるようになる。
【0037】
ここで、ゲート信号線GL3はx方向に並設された画素列の各薄膜トラジスタTFTを駆動するゲート信号線であるとともに、対向電圧信号線CL3は該画素列の対向電極CTに接続される対向電圧信号線であり、それ以外の画素列におけるゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLはそれぞれ走査信号駆動回路Vおよび共通電極駆動回路Cmから電気的に切り離され、フローティング状態となっている。
【0038】
ここで、各画素領域の集合体である液晶表示部ARは図示しないシール材の内側に位置づけられ、走査信号駆動回路V、映像信号駆動回路He、共通電極駆動回路Cmのそれぞれは該シール材の外側に位置づけられている。ここで前記シール材は一方の基板に対する他方の基板の固着、かつ液晶を封止するために形成されるものである。
【0039】
このように構成された液晶表示装置は、走査されたゲート信号線GLによって選択される画素列以外の他の画素列におけるゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLはフローティングされることになる。
【0040】
このことから、電位が変動するドレイン信号線DLとゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLとの寄生容量は理想的には0となる。ここで、理想的状態で考えると、ゲート信号線GLのうち、寄生容量を構成する配線は1本となり、寄生容量Cgdは1/1024に劇的に低減する。また、対向電圧信号線CLのうち、寄生容量を構成する配線も1本となり、寄生容量Ccdは1/1024に劇的に低減する。このため、寄生容量全体としては1/1024に劇的に低減する。
【0041】
この場合、走査信号と対向電圧信号の双方がともにOFFになることが必要となる。何故なら、仮に一方のみがOFFした場合、例えば寄生容量Cgdが1/1024になっても寄生容量Ccdが従来通りで変化しない場合には、寄生容量全体では約1/2に低減するのみであり、両方をOFFにした場合の1/1024とは効果に2桁の差が生じることになるからである。
【0042】
なお、この実施例では、選択される画素列以外の他の画素列におけるゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLのいずれもフローティング状態としたものである。しかし、対向電圧信号線CLのみをフローティング状態とするようにしてもよい。
【0043】
対向電圧信号線CLのみをフローティング状態とすることによって、ゲート信号線GLをフローティングする場合とは異なる他の効果を奏するからである。
【0044】
すなわち、一つの対向電圧信号線CLに着目した場合、その対向電圧信号線CLには各画素毎の画素電極PXとの間に容量素子Cstgが接続され、該容量素子Cstgの数は多数に及んでいる。
【0045】
このような場合において、薄膜トランジスタTFTのON時に画素電極PXの各電位は該薄膜トランジスタTFTを介して供給される映像信号Dの電位により決定されることになる。該薄膜トランジスタTFTのON時に画素電極PXに供給される電圧をPXonとした場合、該薄膜トランジスタTFTのOFFへの切り替わり時の飛び込み電圧により、画素電極PXは保持期間中の電位PXoffとなる。ここで、飛び込み電圧とは、画素電極PXの電圧差(PXon−PXoff)を示す。そして、このPXoffと対向電極CTの電位により液晶分子を駆動する。
【0046】
前記飛び込み電圧は、薄膜トランジスタTFTの各部のサイズ、交差面積、絶縁膜の膜厚等に依存する。そして、これらの値は、製造工程中である範囲のばらつきが必ず生じるものであり、個々の全ての製品において同一の値を維持することは極めて困難となっている。このため、飛び込み電圧の値も製品毎に異なった特性を示すものとなる。
【0047】
一方、液晶は、直流電圧の蓄積によるフリッカ、残像等を回避するため、ライン単位あるいはフレーム単位等で交流化して駆動されるのが通常である。この交流化は、対向電圧信号線CLの電位に対してのものであり、すなわち長時間平均で対向電圧信号線と画素電極PXの電圧差に直流電圧が生じないようにするためである。
【0048】
従来において、対向電圧信号線CLの電位は薄膜トランジスタTFTのOFF期間においても外部から供給され、その電圧は予め定められた電圧であった。そしてこの電圧は、直流電圧が蓄積しないように、正極、負極のPXoffの中心電圧に設定するようにしていた。これがいわゆる最適Vcomと呼ばれる電圧である。
【0049】
しかし、この最適Vcomを外部から供給する方式では、前述の個々の製品での飛び込み電圧の差によるPXoffのばらつきに対応することが困難となっていた。さらに、薄膜トランジスタTFTの特性は使用環境等により長時間の使用で変動することがある。これは、近年のパーソナルコンピュータの製品寿命の長期化、またTV用途のように10年以上の使用が当然となってきた状況では、より一層クローズアップされるべき問題となっている。
【0050】
そしてこの薄膜トラジスタTFTの特性の変動によっても、飛び込み電圧は影響を受け、製品製作時とは飛び込み電圧が異なったものとなる。さらに、ゲート電圧を発生するドライバ、そのドライバにゲート電圧を供給する電源回路も長時間の使用による特性の変動は生じうる。これも飛び込み電圧に影響を及ぼす。
【0051】
したがって、従来の最適Vcomを外部から予め定まった電圧として供給する方式では、このような長時間での変動にも対応することができないことが指摘されている。
【0052】
これに対し、上述したように、薄膜トランジスタTFTのOFF時に対応させて対向電圧信号線CLをフローティングすることにより、対向電圧信号線CLはライン単位のPXoffの中心電圧となるように、容量素子Cstgを介して常に自己整合的に定まるようにできる。容量素子Cstgにより画素電極PXと対向電圧信号線CLの電気的容量を顕著に増大させていることが、有効に働く。
【0053】
このため、製品個々の飛び込み電圧のばらつきや、長時間の使用による飛込み電圧の変動などが生じても、その状況の変化に合わせて最適の電圧にCLが自己整合的に調整される。したがって、製品個々の個体差の影響を回避でき、また長時間使用による特性変動の影響も回避することができるという、従来の方式では成し得なかった効果が得られる。
【0054】
実施例2.
図3(a)は、図2に示したスイッチング回路SW1の一実施例を示す回路図である。
【0055】
まず、走査信号駆動回路Vから走査信号G1、G2、……、Gn、Gn+1がそれぞれ供給される各ゲート信号線GL1、GL2、……、GLn、GLn+1のうち、たとえばゲート信号線GLnの場合を例にとると、走査信号線駆動回路Vから走査信号Gnを供給する信号線は、まずスイッチング素子SW1(n)のゲート電極Gに接続されている。
【0056】
このスイッチング素子SW1(n)のたとえばドレイン電極Dは信号線VgONに接続され、ソース電極Sは前記ゲート信号線GLnに接続されている。
【0057】
また、このスイッチング素子SW1(n)のソース電極Sはスイッチング素子SW2(n)のソース電極Sに接続されている。前記スイッチング素子SW2(n)のゲート電極Gは走査信号線駆動回路Vから走査信号Gn+1を供給する信号線に接続され、そのドレイン電極は信号線VgOFFに接続されている。
【0058】
ゲート信号線GLn以外の他のゲート信号線GLのそれぞれにおいても、同様の構成となっており、前記信号線VgONおよび信号線VgOFFを共通のものとしている。
【0059】
なお、このスイッチング素子SW1は液晶を介して対向配置される各基板の一方の基板の面に形成されたものであっても、また、走査信号駆動回路Vに組み込まれたものであってもよいことはいうまでもない。
【0060】
図3(b)は、上述したスイッチング素子SW1の動作を示すフロー図である。
図3(b)は、その上方から、走査信号駆動回路Vから送出される走査信号Gn、Gn+1、Gn+2、その場合における走査信号線GLn、GLn+1、GLn+2に供給される走査信号を、さらに、この際のスイッチSW1(n)、スイッチSW1(n+1)、スイッチSW1(n+2)、スイッチSW2(n)、スイッチSW2(n+1)、スイッチSW2(n+2)、のオン・オフ状態を示している。
【0061】
換言すれば、走査信号駆動回路Vから送出される走査信号Gn、Gn+1、Gn+2のタイミングに合わせて、スイッチSW1(n)、スイッチSW1(n+1)、スイッチSW1(n+2)、スイッチSW2(n)、スイッチSW2(n+1)、スイッチSW2(n+2)を図示に示すようにオンあるいはオフさせることにより、走査信号線GLn、GLn+1、GLn+2には図示されるような走査信号が供給されるようになる。
【0062】
なお、ここで示すnはそれに1あるいは2のような数字に置き換えた場合においても同様に成立するものである。
【0063】
同図において、走査信号Gnが供給されるとスイッチSW1(n)がONになりゲート信号線GL(n)には信号線VgONを通してON電圧が供給される。そして、該走査信号が供給されなくなって次の走査信号Gn+1が供給されると前記スイッチSW1(n)がOFFになりスイッチSW2(n)がONになる。
【0064】
これによってゲート信号線GLnには信号線VgOFFを通してOFF電圧が供給される。
【0065】
その後、走査信号Gn、Gn+1の双方が供給されなくなってスイッチSW1(n)、SW2(n)のいずれもがOFFになり、ゲート信号線GL(n)はフローティング状態FTとなり、以降再び走査信号Gnが供給されるまでこのフローティング状態を維持する。
【0066】
この動作における実施例では、OFFを1ライン分書き込んだ後にフローティングに移行する場合を示したが、たとえば図3(c)に示すように、2ライン分(あるいはそれ以上)の時間を設けてフローティング状態に移行するようにしても良いことはいうまでもない。薄膜トランジスタTFTを十分にOFF電位にし、フローティング期間での薄膜トランジスタTFTからのリークを回避できるからである。
【0067】
このようにOFF期間を延ばすには、ゲート信号線GLnを走査信号Gn+2によって制御されて信号線VgOFFから信号を供給する他のスイッチSW3(n)を設ければよい。
【0068】
また、図4は、図2に示したスイッチング回路SW2の一実施例を示す回路図である。
【0069】
まず、共通電極駆動回路Cmから対向電圧信号C1、C2、……、Cn、……がそれぞれ供給される各対向電圧信号線CL1、CL2、……、CLn、……のうち、たとえば対向電圧信号線CLnの場合を例にとると、共通電極駆動回路Cmから対向電圧信号を供給する信号線は、まずスイッチング素子SW4(n)のゲート電極Gに接続されている。
【0070】
そして、該スイッチング素子SW4(n)のドレイン電極Dは信号線Vcに接続されているとともに、ソース電極Sは対向電圧信号線CLnに接続されている。
【0071】
対向電圧信号線CLn以外の他の対向電圧信号線CLのそれぞれにおいても、同様の構成となっており、前記信号線Vcを共通のものとしている。
【0072】
なお、このスイッチング素子SW4は液晶を介して対向配置される各基板の一方の基板の面に形成されたものであっても、また、走査信号駆動回路Vに組み込まれたものであってもよいことはいうまでもない。
【0073】
このような構成において、共通電極駆動回路Cmからの各対向電圧信号C1、C2、……、Cn、……は、それぞれ、走査信号駆動回路Vからの走査信号G1、G2、……、Gn、……の供給のタイミングにほぼ一致づけられて供給され、あるゲート信号線GLが担当する画素列において該ゲート信号線GLに走査信号Gが供給される場合は該該画素列内に形成されている対向電圧信号線CLに対向電圧信号Cが供給されるようになっている。
【0074】
このように構成されることによって、共通電極駆動回路Cmから対向電圧信号が供給されていない期間の対向電圧信号線CLはフローティング状態とすることができる。
【0075】
実施例3.
図5(a)は、図2に示したスイッチング回路SW1の他の実施例を示す回路図で、図3(a)に対応した図となっている。
【0076】
図3(a)の場合と比較して異なる構成は、フローティング状態となる各ゲート信号線GLは、高抵抗によってフローティング電位線FGと接続され、隣接しかつフローティング状態となっている他のゲート信号線GLと電気的に接続される構成となっていることにある。
【0077】
すなわち、たとえばゲート信号線GLnの場合を例にとると、スイッチング素子SW1を介して信号線VgONからの信号は、スイッチング素子SW3(n)およびスイッチング素子SW4(n)の並列接続体に入力されるようになっている。
【0078】
ここで、スイッチング素子SW3(n)は走査信号駆動回路Vからの信号Gnによって駆動され、スイッチング素子SW4(n)は走査信号駆動回路Vからの信号Gn+1によって駆動されるようになっている。
【0079】
スイッチング素子SW3(n)およびスイッチング素子SW4(n)の並列接続体の出力端は前記ゲート信号線GLnに接続されているとともに、フローティング電位線FGと高抵抗Rを介して接続されている。
【0080】
前記ゲート信号GLn以外の他のゲート信号線GLのそれぞれにおいても、同様の構成となっており、前記フローティング電位線FGを共通のものとしている。
【0081】
このように構成した場合、各ゲート信号線GLはそれぞれドレイン信号線DLを同じように横切る。したがって、各ゲート信号線GLによりドレイン信号線DLが受ける影響は、フローティング時には各ゲート信号線GL毎にほぼ同じとみなすことができる。
【0082】
このため、フローティング時に互いにゲート信号線GL間を高抵抗を介して電気的に接続することで、フローティングによる効果は維持でき、かつ外部ノイズ等の擾乱に対する耐性を向上させることができる。
【0083】
図5(b)は、上述したスイッチング回路SW1の動作を示すフロー図であり、図3(b)に対応した図となっている。
【0084】
図3(b)は、その上方から、走査信号駆動回路Vから送出される走査信号Gn、Gn+1、Gn+2、Gn+3、その場合における走査信号線GLn、GLn+1、GLn+2、GLn+3に供給される走査信号を、さらに、この際のスイッチSW1(n)ないしスイッチSW4(n)、スイッチSW1(n+1)ないしスイッチSW4(n+1)、スイッチSW1(n+2)ないしスイッチSW4(n+2)のオン・オフ状態を示している。
【0085】
同図において、走査信号Gnの供給(ON)によりスイッチSW1(n)とスイッチSW3(n)がONになり、信号線VgONを通してゲート信号線GLnにON電圧が供給される。そして、走査信号GnがOFFになり、走査信号Gn+1が供給(ON)されると、スイッチSW1(n)、SW3(n)がOFF,SW2(n)、SW4(n)がONになり、信号線VgOFFを通してOFF電圧がゲート信号線GLnに供給される。
【0086】
さらに、走査信号Gn、Gn+1がOFFになり、走査信号Gn+2以降がONになると、スイッチSW1(n)〜SW4(n)はいずれもOFFになり、ゲート信号線GL(n)は高抵抗Rを経由してフローティング電位線FGに接続される。これにより、大部分の時間でゲート信号線GL(n)はフローティング状態となる。
【0087】
ここで、GL(n)とFGとの接続は、G(n+1)以前及びG(n+2)以降でトランジスタによって行うようにしてもよい。その際、高抵抗Rは介在させてもあるいはさせなくても良い。トランジスタを設けない場合は、ON時の電圧の逆流を防ぐために高抵抗Rは必須であるが、トランジスタ回路でON/OFF制御する場合には該トランジスタにより制御できるからである。
【0088】
実施例4.
図6は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す平面図であり、図2に対応した図となっている。
【0089】
この実施例は、走査信号駆動回路Vに近接して設けられるスイッチング回路SW1を該走査信号駆動回路VとともにゲートドライバGDとして構成し、また、共通電極駆動回路Cmに近接して設けられるスイッチング回路SW2を該共通電極駆動回路CmとともにコモンドライバCDとして構成したものである。
【0090】
このようにした場合、映像信号駆動回路(ドレインドライバDD)は通常複数の半導体装置で形成されることはいうまでもなく、前記ゲートドライバGDおよびコモンドライバCDも複数の半導体装置で形成され、それらは透明基板SUB1に対して図7(a)に示すように配置されるようになる。
【0091】
しかし、このような配置に限定されることはなく、たとえば図7(b)に示すように、ゲートドライバGDとコモンドライバCDを透明基板SUB1の一方の端辺側に近接して配置させるようにし、たとえばコモンドライバCDをゲートドライバGDの外側に位置づけるようにして配置してもよい。
【0092】
そして、図7(b)に示すようにゲートドライバGDとコモンドライバCDを配置させた場合、コモンドライバCD側から延在される各対向電圧信号線CLを跨ぐようにしてゲートドライバGDを配置させるようにしてもよい。換言すれば、各対向電圧信号線CLはゲートドライバGDの下方を走行するように構成してもよい。
【0093】
対向電圧信号線CLとゲート信号線GLは同層で形成した場合であってもそれらが短絡しないように形成できるからである。なお、この場合にあって、対向電圧信号線CLとゲート信号線GLを絶縁膜を介して異層に形成してもよいことはもちろんである。
【0094】
実施例5.
図8(a)は、前記スイッチング回路SW1の他の実施例を示す回路で、図5(a)と対応した図となっている。
【0095】
図5(a)の場合と比較して異なる構成は、図5(a)に示す回路内に各対向電圧信号線CLに対向電圧信号を供給する回路を組み込ませていることにある。
【0096】
同図において、図4に示す回路に類似する回路を後段に組み込ませ、その回路の各スイッチSW5(n)を駆動させる信号(ゲート信号)として走査信号駆動回路Vからの走査信号Gnを用いていることにある。
【0097】
すなわち、走査信号Gnの供給によってONされるスイッチSW5を介し、信号線Vcを通して対向電圧信号が対向電圧信号線CL(n)に供給されるようになっている。前記対向電圧信号線CL(n)以外の他の対向電圧信号線CLにおいても同様の構成となっており、また信号線Vcは共通となっている。
【0098】
このように構成した回路は、その部品点数を低減でき、実装スペースの削減を図ることができるようになる。
【0099】
図8(a)に示す回路は走査信号駆動回路Vとともに半導体装置に組み込まれて構成してもよいし、また、図8(b)に示すように、透明基板SUB1の表面に形成するようにしてもよい。この場合、前記回路内に備えられるトランジスタはたとえばポリシリコンから形成されるのが通常となる。
【0100】
なお、図8(b)において、図8(a)に示す回路のうち走査信号駆動回路Vを除く他の回路を制御回路CCとして示している。
【0101】
図9は、上述したスイッチング回路SW1の動作を示すフロー図であり、図5(b)に対応した図となっている。
【0102】
図5(b)の場合と比較して異なる部分は、対向電圧信号線CLnないしCLn+3のそれぞれに供給される対向電圧信号を、スイッチSW5(n)ないしSW5(n+2)のオン・オフ状態を新たに示していることにある。
【0103】
実施例6.
図10(a)は本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す平面図である。この実施例では、上述したように共通電極駆動回路Cm(スイッチング回路SW2が組み込まれている)から各対向電圧信号線CL1、CL2、……、CLn、……に対向電圧信号を走査して供給することを前提として構成されるものである。
【0104】
液晶表示部ARの外側の領域であって、各対向電圧信号線CLの他端部(共通電極駆動回路Cmと反対側の他端部)にそれぞれ交差し、かつ該対向電圧信号線CLと絶縁膜を介して修正用配線AMLが形成とされ、この修正用配線AMLにはたとえば共通電極駆動回路Cmから補助配線ASL(液晶表示部ARの外側の領域に設けられる)を介して対向電圧信号が常時供給されるようにしている。
【0105】
このように構成された液晶表示装置は、たとえば図10(b)に示すように、対向電圧信号線CL1に断線CUTが生じた場合に、該対向電圧信号線CL1のうち共通電極駆動回路Cmから切り離された部分の画素列において表示不良が生じることになる。
【0106】
このような場合において、図10(c)に示すように、共通電極駆動回路Cmから切り離された対向電圧信号線CL1と修正用配線AMLとの交差部にたとえばレーザ光線を照射することによって、それらを電気的に接続させる(図中矢印Qに示す)。これによって、共通電極駆動回路Cmから切り離された対向電圧信号線CL1には前記補助配線ASLおよび修正用配線AMLを介して対向電圧信号が常時供給されるようになる。
【0107】
接続を回復できた部分の共通電圧信号線CL1は、フローティング状態ではなくなり、その分ドレイン信号線DLとの間の寄生容量が増大することになるが、数本程度まで修正しても依然として数百分の一の寄生容量を低減させる効果を維持させることができる。
【0108】
実施例7.
この実施例では、上述したようにゲート信号線GLがその書き込み時以外の大部分の時間でフローティングになる構成を前提に、各ドレイン信号線DLへの映像信号の極性をたとえば一ライン毎において隣接して配置されるドレイン信号線に供給される映像信号の極性と同相とすることにある。
【0109】
図11は、ドレイン信号線DLnおよびドレイン信号線DLn+1の各極性をたとえば+とし、次の段階におけるドレイン信号線DL1ないしDLnの極性を−として映像信号を供給した場合、あるライン(ゲート信号線Gn)におけるドレイン信号線DLnとドレイン信号線DLn+1の間の箇所における電位の変化を示した図である。
【0110】
この場合、前記ゲート信号線GLnがフローティング状態とされている場合、前記箇所は前記ドレイン信号線DLn、およびDLn+1に供給される信号の極性に応じ追随して変動することになる。
【0111】
すなわち、前記ゲート信号線Gnの前記箇所に対するドレイン信号線DLn、DLn+1のそれぞれの電位差は最初たとえばVaとなり、次の段階におけるドレイン信号線DLn、DLn+1のそれぞれの電位差もVaとなる。
【0112】
このことは、フローティングされた各ゲート信号線GLと映像信号が供給されるドレイン信号線DLとの間に寄生容量が発生しないことを意味し、消費電力の低減が図れる効果を奏することになる。
【0113】
比較のため、図12は、ドレイン信号線DLnに+の極性、ドレイン信号線DLn+1に−の極性とし、次の段階においてドレイン信号線DLnに−の極性、ドレイン信号線DLn+1に+の極性となるように映像信号を供給した場合、あるライン(ゲート信号線Gn)におけるドレイン信号線DLnとドレイン信号線DLn+1の間の箇所における電位の変化を示した図である。
【0114】
この場合、前記ゲート信号線GLnがフローティング状態とされている場合、前記ドレイン信号線DLn、およびDLn+1との間の電圧が一方においてVa、他方においてVbというように入れ替わって変動することになる。
【0115】
このことは、ドレイン信号線DLnおよびドレイン信号線DLn+1はゲート信号線GLに対して充放電する必要が生じ、消費電力の低減の妨げになってしまうことになる。
【0116】
上述した実施例では、隣接するドレイン信号線DLの極性を同層とするのは一ライン毎にする例を示したものであるが、二ライン、三ラインのような複数ライン毎であってもよく、またフレーム毎であってもよいことはいうまでもない。同様に、ゲート信号線GLとドレイン信号線DLとの間に寄生容量が発生せず、消費電力の低減が図れるからである。
【0117】
実施例8.
この実施例では、実施例7に示した構成、すなわち、各ドレイン信号線DLへの映像信号の極性をたとえば一あるいは数ライン毎において隣接して配置されるドレイン信号線に供給される映像信号の極性と同相とするとともに、対向電圧信号線CLをその走査時において反転駆動させることにある。
【0118】
このようにすることにより、ドレイン信号線DLにおける信号振幅自体を半減でき、さらに消費電力の低減を実現することができる。
【0119】
そして、ドレイン信号線DLにおける信号の振幅を低減させることにより、走査信号Gの振られ幅が低減し、フローティングによる消費電力低減効果を一層向上させることができる。
【0120】
また、従来みられたようないわゆるコモン反転は、画面全体の対向電極CTの電位を常に駆動させていたため、その負荷が極めて重く、該対向電極CTの駆動回路での消費電力が大きいという課題があった。
【0121】
しかし、上記実施例では対向電圧信号線CLもその電圧供給後にフローティングにするようにしている。すなわち駆動する対向電圧信号線CLの本数を数百分の1以下に大幅に低減させるため、前記共通電極駆動回路Cmでの消費電力も極わずかなものとなり、映像信号駆動回路Heの消費電力低減の効果がほぼそのまま全体の消費電力低減とすることができる。
【0122】
さらに、各対向電極CTに大電流を給電する必要が無くなり、信頼性が向上し、部品コストも低減できる。
【0123】
上述したように、対向電圧信号線CLは、その書き込み後にフローティングとなり、ゲート信号線GLの場合と同様に映像信号Dの電位に応じて追随するため、隣接する映像信号線DLが同層であることによりフローティングの効果が十分に発揮される。
【0124】
すなわち、(1)ゲートが書き込み時以外の大部分の時間でフローティングになる。(2)コモンが書き込み時以外の大部分の時間でフローティングになる。(3)隣接する映像信号線が同層で駆動される。(4)コモンがコモン反転駆動される。という各構成が合わさることにより、最大限の消費電力低減効果が実現するようになる。
【0125】
実施例9.
図13は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、共通電極駆動回路Cmとスイッチング回路SW2を介して各対向電圧信号線CLとの接続の他の実施例を示している。
【0126】
図13(a)は、各対向電圧信号線CLをたとえば上方から2つずつ接続し、この接続部を介して対向電圧信号が順次供給されることを示し、図13(b)は、各対向電圧信号線CLをたとえば上方から3つずつ接続し、この接続部を介して対向電圧信号が順次供給されることを示している。図示していないが、さらに4つずつ、それ以上の数ずつ接続してもよい。
【0127】
このように構成した場合、図13(c)に示すように、共通電極駆動回路CmのコモンドライバCDの数を走査信号駆動回路VのゲートドライバGDの数よりも低減させることができる。
【0128】
このことから、たとえば図14に示すように、共通電極駆動回路CmのコモンドライバCDを走査信号駆動回路VのゲートドライバGDに並設させて配置し(図14(a))、あるいは映像信号駆動回路HeのドレインドライバDDに並設させて配置させることができる(図14(b))。このため、液晶表示パネルの省スペース化を図ることができる。
【0129】
実施例10.
図15は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、図13(a)に対応した図となっている。図15(a)は、走査して供給される共通電極駆動回路Cmからの一の走査信号が供給される複数の対向電圧信号線CLがループ状に形成されている。
【0130】
すなわち、対向電圧信号線CLの断線に対する冗長構造となっており、ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLとがたとえば短絡しても該短絡部の両側で切断することにより、該短絡の不都合を解消させることができ正常な状態に復帰させることができる。
【0131】
また、図15(b)は、複数の対向電圧信号CLはループ状に形成されていないが、一端側において互いに接続された該複数の対向電圧信号CLの他端側から同時に対向電圧信号を供給させることによって、実質的には図15(a)に示した構成と同様にループ状に構成され、同様の機能をもたせるようにできる。
【0132】
なお、図15に示した構成は、それぞれ隣接する各対向電圧信号線CLどうしを冗長構造としたものである。しかし、図16(a)、(b)に示すように、たとえば一の対向電圧信号線CLに対してそれより3つめの対向電圧信号線CLとループ状に構成するようにしてもよいことはいうまでもない。すなわち、各ループが入れ子状に形成されていてもよい。
【0133】
なお、図16(a)は図15(a)に対応し、図16(b)は図15(b)に対応した図となっている。
【0134】
実施例11.
図17(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す平面図であり、また、図17(b)は、図17(a)のb−b線における断面図を示している。
【0135】
まず、透明基板SUB1の液晶側の面にはたとえばポリシリコン層からなる半導体層LTPSが形成されている。この半導体層LTPSはたとえばプラズマCVD装置によって成膜したアモルファスSi膜をエキシマレーザによって多結晶化したものである。
【0136】
この半導体層LTPSは薄膜トランジスタTFTのそれで、後述するゲート信号線GLをたとえば2回横切るように迂回して形成されたパターンをなしている。
【0137】
そして、このように半導体層LTPSが形成された透明基板SUB1の表面には、該半導体層PSをも覆ってたとえばSiO2あるいはSiNからなる第1絶縁膜INSが形成されている。
【0138】
この第1絶縁膜INSは前記薄膜トランジスタTFTのゲート絶縁膜として機能するともに、後述する容量素子Cstgの誘電体膜の一つとして機能するようになっている。
【0139】
そして、第1絶縁膜INSの上面には、図中x方向に延在しy方向に並設されるゲート信号線GLが形成され、このゲート信号線GLは後述するドレイン信号線DLとともに矩形状の画素領域を画するようになっている。
【0140】
該ゲート信号線GLは前述した半導体層LTPSを2回横切るようにして走行され、該半導体層LTPSを横切る部分は薄膜トランジスタTFTのゲート電極として機能するようになっている。
【0141】
また、各ゲート信号線GLの間には該ゲート信号線GLと並行に容量信号線CNLがたとえば該ゲート信号線GLと同工程で形成されるようになっている。この容量信号線CNLは画素領域内において前記容量素子Cstgの一の電極を構成するようになっている。
【0142】
なお、このゲート信号線GLの形成後は、第1絶縁膜INSを介して不純物のイオン打ち込みをし、前記半導体層LTPSにおいて前記ゲート信号線GLの直下を除く領域を導電化させることによって、薄膜トランジスタTFTのソース領域およびドレイン領域が形成されるようになっている。
【0143】
前記ゲート信号線GLおよび容量信号線CNLをも被って前記第1絶縁膜INSの上面には第2絶縁膜GIがたとえばSiO2あるいはSiNによって形成されている。
【0144】
この第2絶縁膜GIの表面には、y方向に延在しx方向に並設されるドレイン信号線DLが形成されている。そして、このドレイン信号線DLの一部にはその下の第2絶縁膜GIおよび第1絶縁膜INSを貫通するスルーホールTH1を通して前記半導体層LTPSに接続されている。該半導体層LTPSのドレイン信号線DLと接続された部分は薄膜トランジスタTFTの一方の領域、たとえばドレイン領域となる部分である。
【0145】
さらに、このドレイン信号線DLをも被って第2絶縁膜GIの表面には第3絶縁膜PASが形成されている。この第3絶縁膜PASはたとえば樹脂等の有機材料からなり、前記第2絶縁膜GIとともに前記薄膜トランジスタTFTへの液晶の直接の接触を回避するための保護膜となっている。第3絶縁膜PASを有機材料で構成したのは保護膜としての誘電率を低減させ、かつ表面を平坦化するためである。
【0146】
この第3絶縁膜PASの表面には画素電極PXが形成されている。この画素電極は、たとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成され、画素領域の大部分の領域に及んで形成されている。この画素電極PXは、液晶を介して対向配置される他の透明基板の液晶側の面において画素画素領域に共通に形成された対向電極(透光性の導電層)との間で電界を発生せしめ、該液晶の光透過率を制御されるようになっている。そして、画素電極PXはその一部においてその下の第3絶縁膜PAS、第2絶縁膜GI、および第1絶縁膜INSに貫通させて設けたスルーホールTH2を通して薄膜トランジスタTFTの他方の領域、たとえばソース領域に接続されている。
【0147】
この画素電極PXは、前記容量信号線CNLと重畳する領域において形成される容量素子Cstgの他方の電極をも兼ねている。この場合の容量素子Cstgの誘電体膜は第2絶縁膜GIと第3絶縁膜PASである。
【0148】
ここで、前記容量信号線CNLは、前述した図2において示した対向電圧信号線CLに替わるもので、該図2の説明で示したように、たとえばライン毎に電圧信号が走査されて供給されるようになり、かつそれ以外の容量信号線CNLはフローティング状態となるものである。
【0149】
このようにすることによって、ドレイン信号線DLと容量信号線CNLとの交差部における寄生容量を大幅に低減させることができるからである。
【0150】
実施例12.
図18(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す平面図であり、図18(b)は、図18(a)のb−b線における断面図を、図18(c)は、図18(a)のc−c線における断面図を示している。
【0151】
図17に示した構成とほぼ同様であるが、対向電極CTを薄膜トランジスタTFTが形成された面側に形成し、この対向電極CTと画素電極PXとをそれぞれ帯状のパターンとして、画素領域内において一方のドレイン信号線DL側から他方のドレイン信号線DLにかけて、たとえば対向電極CT、画素電極PX、対向電極CTという順で配列させている。なお、これら電極の数は特定されることがないことはもちろんである。
【0152】
画素電極PXと対向電極CTとの間に透明基板SUB1の面とほぼ平行な成分を有する電界を発生せしめ、この電界によって液晶の光透過率を制御するようにしている。
【0153】
画素電極PXは、開口率を向上させるためたとえばITO等のような透光性の導電層で形成し、第3絶縁膜PASの上面に配置させている。そして、この画素電極PXはその一部においてその下の第3絶縁膜PAS、第2絶縁膜GI、および第1絶縁膜INSに貫通して設けたスルーホールTH2を通して薄膜トランジスタTFTの他方の領域、たとえばソース領域に接続されている。
【0154】
また、対向電極CTは、図17に示した容量信号線CNLと同様の構成で形成した対向電圧信号線CLから図中y方向に延在させて形成した電極であり、各ドレイン信号線DLにそれぞれ隣接させて形成させている。
【0155】
この対向電圧信号線CLは、前述した図2において示したそれであり、該図2の説明で示したように、たとえばライン毎に対向電圧信号が走査されて供給されるようになり、かつそれ以外の対向電圧信号線CLはフローティング状態となるものである。
【0156】
ドレイン信号線DLと対向電圧信号線CLとの交差部における寄生容量を大幅に低減させることができるからである。
【0157】
なお、上述した実施例では、画素電極PXを第3絶縁膜PASの上面に形成したものである。しかし、図18(d)に示すように、第3絶縁膜PASの下層、すなわちドレイン信号線DLと同層となるように形成してもよいことはいうまでもない。同様の効果を奏することができるからである。
【0158】
実施例13.
図19(a)は本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図18(a)と対応した図となっている。また、図19(b)は図19(a)のb−b線における断面図を、図19(c)は図19(a)のc−c線における断面図を示している。
【0159】
図18(a)と比較して異なる構成は、まず、第3絶縁膜PASの上面に形成された画素電極PXと同層で対向電極CTおよびこの対向電極CTに接続される対向電圧信号線CLが形成されていることにある。
【0160】
そして、対向電極CTおよび対向電圧信号線CLはたとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成し、画素の開口率のより向上を図っている。
【0161】
ここで、対向電圧信号線CLは当該画素を駆動させるゲート信号線GLに重畳させて構成し、その中心軸は該ゲート信号線GLのそれとほぼ一致づけられているとともに、その幅は該ゲート信号線GLのそれよりも大きく形成されている。また、対向電極CTはドレイン信号線DLに重畳させて構成し、その中心軸は該ドレイン信号線Dのそれとほぼ一致づけられているとともに、その幅は該ドレイン信号線DLのそれよりも大きく形成されている。ドレイン信号線DLあるいはゲート信号線GLからの電気力線がこれら対向電圧信号線CLおよび対向電極CTに終端させやすくし、画素電極PXに終端させないようにするためである。該電極PXに至る前記電気力線はノイズの発生原因となるからである。
【0162】
また、第3絶縁膜PASの上層に形成された画素電極PXは該第3絶縁膜PASに形成されたスルーホールTH3を通して該第3絶縁膜PASの下層に引き出され、この引出線STMは画素電極PXと同様に第3絶縁膜PASの上層に形成された対向電圧信号線CLの一部と重ね合わされて形成されている。この重ね合わされた部分において容量素子Cstgを形成せんがためである。
【0163】
そして、このような構成において、当該画素を駆動するゲート信号線GLに重畳されて形成された対向電圧信号線CLとは異なる他の隣接する対向電圧信号線CLと当該画素の対向電極CTは分離されて、すなわち、電気的に切断されて構成されている。すなわち、図中x方向に並設される画素列に共通な対向電圧信号線CLはやはり図中x方向に並設される画素列に共通な他の対向電圧信号線CLとは電気的に分離されて形成されるようになっている。
【0164】
図2に示す実施例で説明したように、各対向電圧信号線CLへの対向電圧信号を各対向電圧信号線CL毎に走査して供給せんがためである。
【0165】
ここで、当該画素の対向電極CTの機能を充分に発揮させるため、前記他の対向電圧信号線CLとの分離は該他の対向電圧信号線CLの近傍でなされるようになっている。
【0166】
上述した実施例では、第3絶縁膜PASとしてたとえば樹脂等からなる有機材料層を用いた構成としたものである。保護膜としての誘電率の低減を図るためであることは上述したとおりである。保護膜の誘電率の低減を図ることにより、ドレイン信号線DLと対向電圧信号線CLの交差部の寄生容量の低減の効果を奏するからである。
【0167】
しかし、各対向電圧信号線CLへの対向電圧信号を各対向電圧信号線CL毎に走査して供給するとともに、この際に他の対向電圧信号線CLをフローティング状態とすることから、ドレイン信号線DLと対向電圧信号線CLの交差部の寄生容量を大幅に低減させることができる。
【0168】
このことから、前記第3絶縁膜PASを設けることなく、第2絶縁膜GI(無機材料層)のみで前記保護膜を形成することができる効果を有する。これによって、有機膜の形成が不要となり、工程の簡略化とコスト低減を実現することができる。また、歩留まりの向上も図れる。
【0169】
さらに、上述した実施例では、図中x方向に並設される画素列に共通な対向電圧信号線CLをやはり図中x方向に並設される画素列に共通な他の隣接する対向電圧信号線CLと電気的に分離した構成を示したものである。
【0170】
しかし、たとえば図15あるいは図16に示したように、複数の対向電圧信号線CLをループ状に接続させる場合、あるいはそれと同様の機能をもたせる場合に、該接続部において、該複数の対向電圧信号線CLとの電気的な分離を行なわなくてもよいことはいうまでもない。
【0171】
実施例14.
図20(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図19(a)に対応した図となっている。また、図20(b)は図20(a)のb−b線における断面図を、図20(c)は図20(a)のc−c線における断面図を示している。
【0172】
図19(a)と比較して異なる構成は、まず、当該画素を駆動させるゲート信号線GL(n+1)と重畳して形成される対向電圧信号線CL(n+2)は当該画素の図中下側の画素における対向電極CTと接続されており、当該画素の対向電極CTとは電気的に分離されて構成されている。換言すれば、当該画素の対向電極CTは当該画素の上側の画素を駆動させるゲート信号線GL(n)と重畳して形成される対向電圧信号線CL(n+1)に接続されて構成されている。
【0173】
また、当該画素の容量素子Cstgは当該画素の画素電極PXと当該画素の上側の画素を駆動させるゲート信号線GL(n)と重畳して形成される対向電圧信号線CL(n+1)との間に形成されている。
【0174】
この場合、図20(c)に示すように、該容量素子Cstgは第3絶縁膜PASに形成されたスルーホールTH3を通して該第3絶縁膜PASの下層に引き出された引出し線STMと前記対向電圧信号線CL(n+1)との間に前記第3絶縁膜PASを誘電体膜として構成されている。
【0175】
そして、各ゲート信号線GLにおける走査(スキャン)方向は図中上側から下側へゲート信号線GL(n)からゲート信号線GL(n+1)へとなされるようになっている。
【0176】
すなわち、当該画素のゲート信号線GL(n+1)に走査信号が供給された際(オン状態)には、それに重畳される対向電圧信号線CL(n+1)はフローティング状態になり、当該画素の対向電極CTには当該画素の上側の画素を駆動するゲート信号線GL(n)に重畳された対向電圧信号線CL(n+1)から対向電圧信号が供給されるようになっている。
【0177】
図20(d)は、上述した構成において、互いに隣接するゲート信号線GL(n)、GL(n+1)、GL(n+2)、および対向電圧信号線CL(n)、CL(n+1)、CL(n+2)の時間に対するオン(ON)、オフ(OFF)、フローティング(FT)状態を示す説明図である。この図から明らかとなるように、液晶表示部ARの全画素に及んで、ゲート信号線GLに走査信号が供給される際(ON)にはそれに重畳された対向電圧信号線CLはフローティング状態となる。
【0178】
このため、該ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLとの間の寄生容量を大幅に低減でき書き込み率の低下を回避することができる。
【0179】
なお、図20(a)は、図19(a)の場合と異なり、ドイレン信号線DL、対向電極CT、および画素電極PXのそれぞれが画素の中央にて屈曲された構成となっている。これは、液晶はその分子配列が同じ状態でも、液晶表示パネルに入射する光の入射方向によって透過光の偏光状態が変化し、入射方向に対応して光の透過率が異なってしまうことに鑑み、各電極の屈曲点を結んだ仮想の線を境にし一方の領域と他方の領域とで各電極間に作用する電界の方向を異ならしめ、これにより、視野角に依存する画像の色づきを補償するようにしたものである。このような構成は前述した各画素あるいは後述する他の画素においても適用できるものである。
【0180】
実施例15.
図21(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図20(a)に対応した図となっている。また、図21(b)は図21(a)のb−b線における断面図である。
【0181】
図20(a)の場合と比較して異なる構成は、ゲート信号線GLの走査方向が異なり、図中下側の画素から上側の画素にかけてそれらが駆動されるようになっているのみである。このため、隣接するどうしのゲート信号線GL(*)および対向電圧信号線CL(*)の命名において該*の部分を替えて記している。
【0182】
また、図21(c)は、互いに隣接するゲート信号線GL(n)、GL(n+1)、GL(n+2)、および対向電圧信号線CL(n)、CL(n+1)、CL(n+2)の時間に対するオン(ON)、オフ(OFF)、フローティング(FT)状態を示す説明図である。
【0183】
この実施例の場合においても、当該画素を駆動するゲート信号線GL(n+1)に走査信号が供給された際(ON)に、該ゲート信号線GL(n+1)に重畳されて配置されている対向電圧信号線CL(n)はフローティング状態となることから、これらゲート信号線GL(n+1)と対向電圧信号線CL(n)の間の寄生容量を大幅に低減させることができる。
【0184】
そして、さらに、前記ゲート信号線GL(n+1)が上記のONからOFFとなった段階でも前記対向電圧信号線CL(n)がフローティング状態とすることができる。
【0185】
このため、ゲート信号線GLは薄膜トランジスタTFTにON、及びOFFを書き込む連続した2ライン分の間フローティング状態とすることができるため、該薄膜トランジスタTFTのOFF特性を向上させることができるようになる。
【0186】
実施例16.
図22(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図21(a)に対応した図となっている。また、図22(b)は図22(a)のb−b線における断面図である。
【0187】
図21(a)の場合と比較して異なる構成は、当該画素を駆動させるゲート信号線GL(n+1)と隣接する他のゲート信号線GL(n+2)に近接するようにして補助配線層CLA(n+1)がたとえばゲート信号線GLの形成と同工程で形成されるようになっている。これにより該補助配線層CLA(n+1)はゲート信号線GLの材料と同一の材料で形成され、その抵抗は低い値に構成される。
【0188】
そして、この補助配線層CLA(n+1)の上方には前記ゲート信号線GL(n+2)とともに重畳されて形成される対向電圧信号線CL(n+1)が配置されている。前記補助配線層CLA(n+1)の一部は第3絶縁膜PASおよび第2絶縁膜GIを貫通するスルーホールTH3を通して互いに接続されている。
【0189】
補助配線層CLA(n+1)をも被って前記対向電圧信号線CL(n+1)を形成するのは、該対向電圧信号線CL(n+1)にシールド機能をもたせるためである。
【0190】
前記対向電圧信号線CLおよびこれに一体に形成される対向電極CTはたとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成されている。
【0191】
これらの透光性の導電層は他の金属層等と比較すると配線抵抗が増大するが、その不都合を前記補助配線層CLAによって回避している。これにより前記対向電圧信号線CLへ供給する対向電圧信号の波形鈍りを低減でき、該対向電圧信号の供給側とその反対側で生じる輝度差を防止することができる。
【0192】
なお、本実施例は図22(a)に示した構成に限定されることはなく、対向電圧信号線CLと対向電極CTとを一体に、かつ、その材料として透光性の導電層で形成する場合に全て適用できるものである。
【0193】
実施例17.
図23(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で図22(a)に対応した図となっている。また、図23(b)、図23(b’)は図23(a)のb−b線における断面図を示している。
【0194】
図22(a)の場合と比較して異なる部分は、補助配線層CLAとこれに重畳して配置される対向電圧信号線CLとの接続を容量結合で行っていることにある。
【0195】
たとえば、図23(b)に示すように、補助配線層CLAと前記容量結合を行なう部分の第3絶縁膜PASにたとえば開口(凹陥部でもよい)を設け、この開口をも被って対向電圧信号線CLを形成している。該容量結合を行なう部分において補助配線層CLAと対向電圧信号線CLとの間には比較的膜厚の薄い第2絶縁膜GIが介在され、補助配線層CLAと対向電圧信号線CLとの容量結合がなされる。
【0196】
また、図23(b’)は、図23(b)に示す部分の他の実施例を示す図で、同図に示すように、補助配線層CLAと対向電圧信号線CLとの容量結合を行なう部分にて、第2絶縁膜GIと第3絶縁膜PASとの間にフローティングされた金属層FTMを形成するようにしてもよい。
【0197】
実施例18.
図24は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で図23(a)に対応した図となっている。
【0198】
図23(a)の場合と比較して異なる構成は、当該画素を駆動するゲート信号線GLに近接させ、かつ画素電極PXおよび対向電極CTと交差するように第2の補助配線層CLA’を設け、該ゲート信号線GLに重畳されて配置される対向電圧信号線CLには被われない構成としている。
【0199】
なお、この第2の補助配線層CLA’はたとえば前記ゲート信号線GLの形成と同時に形成されるようになっている。
【0200】
そして、図中x方向に配列された画素列に共通な前記第2の補助配線層CLA’他の同様な画素列に共通な第2の補助配線層CLA’とそれぞれ液晶表示領域の外側の領域で接続され、これにより電気的に同機能を果たすように構成されている。
【0201】
これにより、第2の補助配線層CLA’と画素電極PXの交差する領域には容量素子Cstgを構成することができる。そして、該第2の補助配線層CLA’の対向電極CTとの交差部を設けることにより、該第2の補助配線層CLA’および対向電極CTの電位をそれぞれ安定させることができる。
【0202】
実施例19.
図25(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す平面図であり、たとえば図18(a)に対応した図となっている。また、図25(b)は図25(a)のb−b線における断面図を、図25(c)は図25(a)のc−c線における断面図を示している。
【0203】
この実施例では、画素電極PXおよび対向電極CTのパターンが異なり、他は図18(a)に示した構成とほぼ同様である。
【0204】
まず、第1絶縁膜INSの上面に対向電極CTが形成され、この対向電極CTは画素領域のほぼ全域に形成され、しかもx方向に隣接する他の画素領域における対向電極CTと接続されている。換言すれば、x方向に並設される各画素領域において対向電極CTは連続して形成され、y方向側に隣接される他の画素の対向電極CTとは電気的に分離されて形成されている。
【0205】
該対向電極CTは対向電圧信号線CLの機能をも合わせ持ち、その材料は、たとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成されている。
【0206】
また、画素電極PXは第3絶縁膜PASの上面に形成され、各画素領域においてその周辺を除く中央の大部分の領域に形成されている。この材料もたとえばITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成されている。
【0207】
そして、この画素電極PXは、たとえば画素領域の中央部にて頂部を有するたとえば“くの字”状の開口が図中y方向に並設されて形成されている。
【0208】
このように構成された画素は、画素電極PXと対向電極CTとの間に透明基板SUB1の面とほぼ平行な成分を有する電界を発生させることができ、開口率を向上させることができる。
【0209】
また、上述した説明では、対向電極CTは第1絶縁膜INSの上面に形成したものであるが、たとえば図25(c)に示すように、透明基板SUB1の表面に形成するようにしてもよいことはもちろんである。
【0210】
なお、画素電極PXに形成する開口のパターンを上述のようにした理由は、画素電極PXと対向電極CTとの間に発生する電界の方向を異ならしめる領域を形成し、視野角に依存する画像の色づきを補償するためである。
【0211】
図26(a)は本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図25(a)と対応した図となっている。また、図26(b)は図26(a)のb−b線における断面図を、図26(b)は図26(a)のc−c線における断面図を示している。
【0212】
図25(a)の場合と比較して異なる構成は、画素電極PXと対向電極CTにある。すなわち、画素電極PXは、第2絶縁膜GIの表面に形成され、当該画素領域においてその周辺を除く中央の大部分の領域に形成されている。その材料は上述した透光性の導電層で形成されている。
【0213】
一方、対向電極CTは画素領域のほぼ全域に形成され、しかもx方向に隣接する他の画素領域における対向電極CTと接続され、対向電圧信号線CLの機能を合わせ持っている。y方向に隣接する画素領域の対向電極CTとは電気的に分離されていることは図25(a)の場合と同様である。また、その材料として透光性の導電層で形成されていることも図25(a)の場合と同様である。
【0214】
そして、この対向電極CTの各画素領域において、その中央部にて頂部を有するたとえば“くの字”状の開口が図中y方向に並設されて形成されている。
【0215】
このように構成した画素においても、図25(a)に示した構成と同様の機能を持たせることができる。
【0216】
実施例20.
図27(a)は上述した共通電極駆動回路Cmと各対向電圧信号線CLとの接続部における他の実施例を示した回路図で、図4に対応した図となっている。
【0217】
図4と比較して異なる構成は、該共通電極駆動回路Cmからの信号によってオンされるスイッチSW5(n)を介して対向電圧信号線CLに供給される対向電圧信号Vcは、OPアンプOPAから供給されるように構成されていることにある。
【0218】
該OPアンプOPAはそれに供給されるAC電圧波形をいわゆるブーストし、このブーストされた信号を前記対向電圧信号Vcとして用いている。このブーストは、たとえばOPアンプあるいはそのトランジスタで生じるオーバーシュート現象を利用するもので、回路定数を適切に設定することによって、図27(b)に示すような対向電圧信号Vcを得ることができる。
【0219】
図27(b)において、図中左側の波形Aは前記OPアンプOPAを介して得られる対向電圧信号を示し、図中右側の波形Bは、前記対向電圧信号が対向電圧信号線CLに供給される場合の対向電圧信号を示し、その供給端から近い(near)側から遠い(far away)側へかけて波形歪みが図のように生じることを示している。この図から明らかなように、対向電圧信号線CLの供給側から遠い側において波形歪みが生じた対向電圧信号は、矩形波の形状を充分に保持できるようになっている。
【0220】
このように構成した場合、各対向電圧信号線CLには選択的に信号を供給するため、全ての対向電圧信号線CLを同時に駆動した従来方式に比べ、負荷が数百分の一へと劇的に低減することになる。このため、OPアンプOPA、あるいはそのトランジスタによる単純な回路のみで、上述したような波形の補正を行なうことができる。そして、負荷の軽さにより補正の効果も十分に発揮でき、さらに、補正回路に用いる部品も、負荷が劇的に軽いことにより、電流耐性の低い安価な部品で済むようになる。また、流れる電流も理想的には数百分の一となるため、信頼性が高く長寿命化を実現できるようになる。
【0221】
ちなみに、図27(c)は、全ての対向電圧信号線CLを同時に駆動した従来方式において、図中右側の波形Aは対向電圧信号を示し、図中右側の波形Bは、前記対向電圧信号が対向電圧信号線CLに供給される場合の対向電圧信号を示し、その供給端から近い(near)側から遠い(far away)側へかけて波形歪みが図のように生じ、対向電圧信号線CLの供給側から遠い側においては矩形波の形状を保持できなくなっている。
【0222】
実施例21.
図28は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図である。
【0223】
x方向に並設される各画素の画素列に共通な対向電圧信号線CLは、多数のドレイン信号線DLが横切って介在する。たとえばSXGAでは1280本程度を横切ることになる。
【0224】
そして、理想的状態として、これら各ドレイン信号線DLに完全に同一の信号が与えられている場合は、ドレイン信号線DLからの対向電圧信号線CLへの影響はないが、実際の状態では、ユーザーの表示する画像パターンにより、図28(c)に示すように、液晶表示部AR中たとえば領域a、bのように、領域毎に異なったパターンが表示されることになる。
【0225】
このため、各ドレイン信号線DLは領域毎に異なった電圧が供給されることにななり、この際、各対向電圧信号線CLは前記領域aにとって最適な電圧と前記領域bにとって最適な電圧を有することになり、それらが異なることになる。
【0226】
したがって、各対向電圧信号線CLに対向電圧信号を供給する書き込み時に、この実際の画像に応じた値の対向電圧信号を供給することにより、いわゆるスミアを改善することができる。
【0227】
図28(a)は、液晶表示パネルPNLのゲートドライバGD、ドレインドライバDD、およびコモンドライバCDのそれぞれに映像制御回路TCONから各信号を供給することによって該液晶表示パネルPNLの液晶表示部ARに映像を行なうようになっている。また、該映像制御回路TCONからVc生成回路VcGNを介して対向電圧信号Vcを供給するようになっている。ここで、前記Vc生成回路VcGNは、たとえばDAコンバータ等により、映像制御回路TCONにより算出された最適データをVc電圧に変換し出力するようになっている。
【0228】
なお、図28(a)において、映像制御回路TCOMに入力される画像信号Vsigは液晶表示パネルPNLの外部から供給される画像信号である。
【0229】
図28(b)は、上述した各回路の動作フローを示す図である。まず、映像制御回路TCOMに画像信号Vsigが入力され、該映像制御回路TCOM内では、まず映像信号のデータを計測する(ステップ1)。そして、計測した前記データより最適なVcを計算するようになる(ステップ2)。
【0230】
この場合の映像信号のデータの計測は、
(1)加算法の例では
DLtotal=Σ(DLn):n=1〜max
DLbest=DLtotal/DL本数とし、
(2)差分法の例では
DLbest=VCcenter + Σ(DLn−VCcenter):n=1〜maxとし、
上記DLbestを算出し、Vc=DLbest−α とする。
【0231】
ここで、DlbestはVcの最適値算定用の計算上のDLの値、Vccenterは任意に設定された計算用のVC値である。この場合、DLの最大−最小の平均値あるいはそれより若干低い値に設定することが望ましい。また、αは画素への飛び込み電圧等を考慮した補正値である。
【0232】
この映像制御回路TCOMからゲートドライバGDに信号が供給され、前記画層信号内の同期信号により次のゲート信号線GLを選択するようになる(ステップ3)。
【0233】
この際に、映像制御回路TCOMからドレインドライバDDに信号が供給され、前記映像制御回路TCONから転送された各ライン毎の映像信号の情報を蓄積する(ステップ4)。そして、前記同期信号により映像信号を出力する(ステップ5)。
【0234】
また、この際に、前記映像制御回路TCONからVc生成回路VcGNに信号が供給され、該信号に基づきVcデータを生成し(ステップ6)、このデータから最適なVcの値に変更する(ステップ7)。
【0235】
また、この際に、前記映像制御回路TCOMからコモンドライバCDに信号が供給され、前記画像信号Vsig内の同期信号により次の対向電圧信号線CLを選択するようになる(ステップ8)。
【0236】
なお、この実施例においても、少なくとも各対向電圧信号線CLにおいて走査された対向電圧信号が供給されていない際の対向電圧信号線CLをフローティング状態とするものであるが、このようにフローティングしない場合においても適用できることはいうまでもない。
【0237】
実施例22.
図29(a)は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す平面図である。同図は、ゲート信号線GL、対向電圧信号線CL、及びドレイン信号線DL(図示せず)が形成された透明基板SUB1上に配置されたゲートドライバGD、コモンドライバCD、及びドレインドライバDDを示した図となっている。
【0238】
そして、このうちゲートドライバGDとコモンドライバCDはそれぞれ透明基板SUB1の一辺側に並列させ、これにより、液晶表示パネルPNLのいわゆる額縁の幅を狭める効果を奏したものとしている。
【0239】
ゲートドライバGDとコモンドライバCDは交互に配列され、この実施例ではゲートドライバGDの数よりもコモンドライバCDの数を多くして配置させている。ゲートドライバGDとコモンドライバCDはそれぞれ駆動電圧が異なり、同図に示すように別チップの構成では該チップ内の構成を異なるように構成できる。したがって、それぞれに適した端子数単位でチップを形成することで各ドライバの数を削減でき、省スペース化とコスト低減を図ることができる。
【0240】
また、図29(b)は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す平面図であり、図29(a)と対応した図となっている。
【0241】
図29(a)の場合と比較して異なる構成は、ゲートドライバGDの数よりもコモンドライバCDの数を少なくして配置させている。コモンドライバCDは、それからの対向電圧信号の振幅がゲートドライバGDからの走査信号のそれよりも小さいため、耐圧を小さく構成できる。これにより、コモンドライバCDの方が一チップ当りの出力を大きくすることができる。そこで、コモンドライバCDのチップ数をゲートドライバGDのそれより減らすことによって上記効果を図ることができる。
【0242】
この場合、走査によって対向電圧信号Cを供給する対向電圧信号線CLを複数本ごとにすることによって、容易にコモンドライバCDのチップ数を減らすことができるようになる。
【0243】
なお、この実施例では、ゲートドライバGDおよびコモンドライバCDの近傍において、ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLと交差させる部分が生じることは免れないことから、構成的には、ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLをそれぞれ絶縁膜を介した異層構造とする必要が生じる。このことから、ゲート信号線GLと対向電圧信号線CLの配置は、たとえば図20、図25、あるいは図26に示したようにすることが望ましい。
【0244】
実施例23.
図30(a)は、実施例22で示したように、透明基板SUB1の一辺側にゲートドライバGDとコモンドライバCDとを交互に配置させた場合における他の実施例を示す平面図である。図30(a)ではゲートドライバGDの数がコモンドライバCDのそれよりも多く配置されている。
【0245】
このようにした場合、透明基板SUB1上で信号を伝達するデータ転送方式を容易に実現できるようになる。すなわち、映像制御回路TCONから同一のスタートパルスが該映像制御回路TCONに電気的に近接して配置されるゲートドライバGDとコモンドライバCDに出力され、該ゲートドライバGDからはそれが担当する各ゲート信号線GLに走査信号を順次走査して出力され、また、その際に、該コモンドライバCDからはそれが担当する各対向電圧信号線CLに対向電圧信号を順次走査して出力される。
【0246】
そして、前記ゲートドライバGDによる各ゲート信号線GLへの走査信号の順次供給および前記コモンドライバCDによる各対向電圧信号線CLへの対向電圧信号の順次供給が終了した段階で、これらゲートドライバGDおよびコモンドライバCDのそれぞれから、該ゲートドライバGDに近接して配置される他のゲートドライバGDおよび該コモンドライバCDに近接して配置される他のコモンドライバCDへそれぞれ同一のスタートパルスが出力される。
【0247】
すなわち、1チップの出力が完了すると、次のチップに出力信号の送出を指示し、さらに次のラインに出力が引き継がれることになる。
【0248】
この場合、各ゲートドライバGDからの走査信号はゲート信号線GLを1本毎に出力されるのに対し、各コモンドライバCDからの対向電圧信号Cは対向電圧信号線CLを複数本ごとに出力されるようになっている。
【0249】
このことから、図30(a)に示したように、映像制御回路TCONからのスタートパルスは、ゲートドライバGDおよびコモンドライバCDのそれぞれに別々に入力されるように配線することが望ましい。
【0250】
このように、コモンドライバCDからの走査信号の出力は複数の対向電圧信号線DL毎になるため、コモンドライバCDの出力の切り替えがゲートドライバGDの出力の設定されたn本毎になるように、該コモンドライバCDはチップ内での切り替えタイミングとなる一定時間をn倍化するよう設定することが望ましい。
【0251】
図30(b)は透明基板SUB1に搭載されたゲートドライバGDの側面図を、また図30(c)はコモンドライバCDの側面図を示しており、たとえばそれらのチップにモード切り替え端子MJTを設け、これらのモード切り替え端子MJTを透明基板SUB1面に形成した短絡配線SCLによって短絡個所を代えることでn倍化のnの変更等を容易に対応することができる。
【0252】
たとえば、図30(b)のゲートドライバGDではモード切り換え端子MJT間が開放のためn倍化しないが、図30(c)のコモンドライバCDではモード切り換え端子MJT間を短絡し、n本ごとに切り換るように設定される。nの値は短絡箇所にnの数に合わせて予め複数設けることで容易に対応できる。
【0253】
図30(d)は、他の実施例を示す平面図で、図30(a)に対応した図となっている。図30(d)では、ゲートドライバGDとコモンドライバCDにおけるそれぞれのドライバ間配線を該ドライバに対し互いに逆側に設けることで、配線の交差を防止できることを示している。ドライバ間のスタートパルスの伝送タイミングはコモンドライバCDの対向電圧信号Cの供給が複数本の対向電圧信号線CLを単位としていることにより走査信号Gおよび対向電圧信号Cの供給がずれ、配線の交差部があった場合にそれらの干渉により誤動作の懸念が生じる。
【0254】
したがって、図30(d)に示す実施例のように、配線を互いに交差しない配置とさせることで、安定した動作を実現させることができる。
【0255】
また、この実施例では、上記各ドライバはチップ(半導体チップ)を例に挙げて示したものである。しかし、いわゆるテープキャリア方式で構成されたドライバTCPであってもよく、この場合にあっても、上述したモード判定を透明基板SUB1上の短絡配線SCLの有無により判定できるようにできる。
【0256】
ここで、テープキャリア方式で構成されたドライバTCPとは、図31(a)に示すように、フレキシブル基板FBに半導体チップCHが搭載され、この半導体チップCHの各入力端子および各出力端子は該フレキシブル基板FBの表面に形成された入力配線および出力配線を介してそれぞれ各対向辺に引き出されて構成されている。そして、このうち出力配線の端部(端子)は透明基板SUB1の表面端辺にまで引き出されたたとえばゲート信号線GLあるいは対向電圧信号線CLと電気的に接続されるようになっている。
【0257】
この場合、半導体チップCHのモード判定端子のそれぞれからフレキシブル基板FB上に配線MILを延在させて構成し、図31(b)に示すように、これら配線KILは透明基板SUB1上に形成した短絡配線SCL上に位置付けられるようにすればよい。
【0258】
また、このような場合に限定されることはなく、図31(c)および(d)に示すように、該ドライバTCPをゲートドライバGD用、コモンドライバCD用として別に構成する場合は、該ドライバTCP上に判定用の短絡配線SCLを設けるようにしても良いことはいうまでもない。ドライバTCPの変更のみで対応でき、ドライバチップ自体を共通に用いることができるからである。
【0259】
実施例24.
図32(a)は、実施例23に示したと同様、透明基板SUB1の一辺側にゲートドライバGDとコモンドライバCDとを交互に配置させた場合における他の実施例を示す平面図である。図32(a)においてもゲートドライバGDの数がコモンドライバCDのそれよりも多く配置されている。
【0260】
図32(a)に示すように、映像制御回路TCONからの信号は、まず、該映像制御回路TCONに近接するゲートドライバGDに供給され、さらに該ゲートドライバGDに近接するコモンドライバCDに供給されるようになっている。
【0261】
この場合、該コモンドライバCDへの信号供給は前記ゲートドライバGDの搭載領域を走行する透明基板SUB1上の配線層によってなされるようになっている。
【0262】
また、前記ゲートドライバGDから次に配置される他のゲートドライバGDへの信号供給はそれらの間に配置されるコモンドライバCDの搭載領域を走行する透明基板SUB1上の配線層によってなされるようになっている。
【0263】
以下、これらが繰り返されることによって、前記各配線層は交差させる必要なく、データ転送を実現させることができる。そして、データ転送のための配線層は並設された各ドライバの両脇にはみ出させないようにするため、いわゆる液晶表示パネルの額縁に占める面積を縮小させることができる。
【0264】
なお、図32(b)は、図32(a)のゲートドライバGDとコモンドライバCDとの前記配線層との接続関係を具体的に示したもので、図中、OTGは出力端子群、ITGは入力端子群、SIは信号入力、SOは信号出力を示している。
【0265】
図32(c)は、さらに他の実施例を示す平面図で、図32(b)に対応した図となっている。
【0266】
図32(b)の場合と比較して異なる構成は、たとえばコモンドライバCDの領域を走行して該コモンドライバCDの両脇に配置される各ゲートドライバGDを接続させる配線層を該コモンドライバCDのチップ内に設けるようにしていることにある。すなわち、該コモンドライバCD内に形成される配線層(図中点線で示す)はその両端に信号入力SIおよび信号出力SOの各端子を備えている。
【0267】
ゲートドライバGDの場合も該コモンドライバCDと同様の構成が採用されている。
【0268】
この場合、図32(b)に示すように、各半導体チップにモード選択端子MSTを設け、透明基板SUB1面に設けた短絡配線SCLとの接続/非接続判定によりチップの動作を切り替えても良い。
【0269】
図32(d)、(e)は、それぞれ、前記短絡配線SCLの接続/非接続判定によってゲートドライバGDとしておよびコモンドライバGDとして用いていることを示している。
【0270】
このようにすることにより、ゲートドライバGDおよびコモンドライバGDを同一の構成とすることができ、それらをゲートドライバGDあるいはコモンドライバGDとして使用することができる。したがって、部品種類の削減、組み立ての容易化を実現することができる。
【0271】
なお、図32(f)は、コモンドライバCDの数をゲートドライバGDのそれよりも少なくするように構成するため、ゲート信号線GLとほぼ同数の対向電圧信号線CLをたとえばその上方から2本づつ接続させ、これら互いに接続された対向電圧信号線にそれぞれ対向電圧信号を順次走査して供給する例を示したものである。
【0272】
実施例25.
図33(a)は、実施例24等と同様、透明基板SUB1の一辺側にゲートドライバGDとコモンドライバCDとを交互に配置させた場合において、少なくとも一対の隣接して配置されるゲートドライバGDとコモンドライバCDを一つの半導体チップに組み込んで形成した場合を示す平面図である。
【0273】
すなわち、該半導体チップCHの図中右側においてゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLが配置される場合、該半導体チップCHの図中右側の辺にはその辺に沿ってゲート出力端子GTOが配列され、図中左側の辺にはその辺に沿ってコモン出力端子CTOが配列されている。
【0274】
そして、各コモン出力端子CTOのそれぞれは隣接して配置されるゲート出力端子GTOの間に配置され、これにより、該ゲート出力端子GTOが妨害となることなく該コモン出力端子CTOへ対向電圧信号CLを延在させて形成することができるようになっている。
【0275】
また、前記ゲート出力端子GTOおよびコモン出力端子CTOが並設された辺以外の他の辺のそれぞれにはそれに近接して電源端子VVが形成され、該辺の一方には信号入力端子SIが他方には信号出力端子SOが形成されている。
【0276】
また、このように構成された半導体チップCHは、図33(b)に示すように、ゲート出力端子GTO群とコモン出力端子CTO群の間をそれらと並行に走行するグランド線GNDLが形成され、このグランド線GNDLをほぼ境にして、図中左側のC回路側CCSには共通電極駆動回路Cmが形成され、図中右側のG回路側GCSには走査信号駆動回路Vが形成されるようになっている。
【0277】
さらに、このように構成された半導体チップCHは、図33(c)に示すように、ゲート出力端子GTO群とコモン出力端子CTO群の方向と直交する方向へ3区分に分け、その真中の領域LRをロジック領域、図中左側の領域CSRをコモンスイッチ領域、図中右側の領域GSRをゲートスイッチ領域として、それぞれ回路を組み込んでいる。
【0278】
ここで、半導体チップCHにおいて上述した各構成を全て備えている必要はなく、次に述べる構成が少なくとも1つ備えられていればよい。
【0279】
まず、最初に、ゲート出力端子GTOとコモン出力端子CTOを対向する辺にそれぞれ設ける。チップ内部で共通電極駆動回路Cmと走査信号線駆動回路Vを分離して形成でき、それらの干渉を防止できるからである。
【0280】
次に、電源端子VVをコモン出力端子CTOの側に設ける。走査信号Gと対向電圧信号Cは出力される電圧が異なっており、対向電圧信号Cの方がそのON時の電圧が低い分だけ電源ノイズの影響を受けにくいからである。
【0281】
次に、コモン出力端子COTが液晶表示部ARから遠い側に配列されている。コモン電位が外側に配置されることになり、外部ノイズによるシールド効果が得られるからである。
【0282】
次に、半導体チップCH内で、共通電極駆動回路Cmと走査信号駆動回路Vとの間にグランド線GNDLが延在する。各回路の互いの干渉を防止できるからである。
【0283】
さらに、半導体チップCH内でロジック回路を中央に配置し、その一方の側にゲートスイッチ回路、他方の側にコモンスイッチ回路を配置する。駆動電圧が走査信号駆動回路V、共通電極駆動回路Cmで共通のロジック部をまとめて配置し、駆動電圧が異なるスイッチ部を走査信号駆動回路V、共通電極駆動回路Cmのそれぞれで分けることができ、回路規模の縮小と低消費電力化、さらに干渉の防止を実現できるからである。この場合において、最大電圧が、ゲートスイッチ領域>コモンスイッチ領域>ロジック領域の関係とすることができる。
【0284】
図33(d)は他の実施例を示す平面図で、図33(a)に対応した図となっている。図33(a)の場合と比較して異なる構成は、複数の対向電圧信号線CLの共通接続は、半導体チップCHのコモン出力端子COTの端子面積を大きくし、このコモン出力端子COTのフェースダウンによってなされるように構成されていることにある。これにより、半導体チップCH内において共通電極駆動回路Cmの回路規模を低減させることができる。
【0285】
また、図33(e)は他の実施例を示す平面図で、図33(a)に対応した図となっている。図33(a)の場合と比較して異なる構成は、半導体チップの各コモン出力端子COTから一本の配線が分岐しその後複数の対向電圧信号線CLに接続された構成にある。
【0286】
このようにした場合、各コモン出力端子COTでの接続面積が増大可能であり、接続抵抗が低減できる。また、各コモン出力端子のサイズを連続して作る場合と比較して小型化できる。これにより、半導体チップCHの接続部の製造が容易になるという効果を奏する。
【0287】
また、図33(f)は他の実施例を示す平面図で、図33(a)に対応した図となっている。図33(a)の場合と比較して異なる構成は、半導体チップCHの各コモン出力端子COTはそれぞれ対向電圧信号線CLに接続され、かつ、隣接する複数のコモン出力端子COTがチップ内部で接続されていることにある。
【0288】
このように構成した場合、共通電極駆動回路Cmの規模の低減が図れる。また、コモン出力端子COTをゲート出力端子GOTと同様のピッチで構成できるため、たとえば異方性導電膜を介して該半導体チップCHと透明基板SUB1上の端子の接続時に生じる端子相互の高さの不均一を防止できる。これにより、接続安定性が向上し、接続抵抗低減と信頼性向上ができる。さらに、直行率(接続不良により再生作業を行うことなく、1回で接続できる割合)が向上しコストの低減を実現させることができる。
【0289】
実施例26.
本発明による液晶表示装置は、上述した各実施例で説明してきたように、ゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLがいずれも大部分の時間でフローティング状態となるものである。このことは、該時間の間ではそれに相当する半導体チップCHは遊んでいる状態にあり、時間当りの半導体チップの利用効率の悪いものとなることを意味する。
【0290】
それ故、この実施例では、半導体チップCHの1つの出力端子から走査信号Gと対向電圧信号Cの双方を時間差を設けて出力し、その信号の出力先を切り替えることにより、半導体チップの数の削減を図ることにある。
【0291】
このようにすることにより、たとえば走査信号Gと対向電圧信号Cを半導体チップCHの1端子から出力することで、該半導体チップの数を半減させることができるようになる。また、共通電極駆動回路Cmと走査信号駆動回路Vを共有する構成とできるので、専用の共通電極駆動回路Cm、専用の走査信号駆動回路Vの回路を別個に設ける場合より半導体チップの占める面積を削減でき、さらにチップコストの削減を実現できる。
【0292】
上述のように半導体チップCHの同一の出力端子からゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLの双方にそれぞれ時間差をもたせて出力を供給する場合、各画素に信号を書き込む際にはゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLにそれぞれ同時に信号が供給される必要が生じる。
【0293】
同一の出力端子に同時に異なる値を出力することはできないため、平面的に異なる端子にそれぞれ異なる電位を有する走査信号Gと対向電圧信号Cを出力し、それら各信号を配線を交差させる工夫を採ることにより本来のゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLに供給することを要する。
【0294】
このとき、図34(a)に示すように、同一の出力端子から先にゲート信号G−ONを出力する場合には、2ライン分以上離れた出力から対向電圧信号C−ONを供給する。走査信号G‐ONの次に信号G‐OFFを供給する必要があり、対向電圧信号C−ONの供給はそれ以降となるからである。
【0295】
この場合、図34(b)に示すように、ゲート信号G−ONを出力した後、対向電圧信号C−ONを供給するまで、3ライン以上とし、ゲート信号G−OFFとの間にフローティング状態の期間を設けても良い。ゲート信号Gと対向電圧信号Cの切り替えに要する時間を十分確保するためである。
【0296】
さらに、図34(c)に示すように、先に対向電圧信号C−ONを供給し、次にゲート信号GのON、OFFを順次出力するようにしてもよく、このようにした場合、対向電圧信号Cからゲート信号Gの供給までの期間は1ライン以上離れていればよい。この場合、フローティング状態から一度対向電圧信号C−ONをその電位状態に持ち上げ、その後ゲート信号G−ONを供給するため、該ゲート信号G−ONを見かけ上プリチャージすることになる。このため、該ゲート信号G−ONの立ち上がりが急峻となり、書き込み特性の一層の向上が図れる。また配線交差数が低減するため、歩留まりの向上が実現する。なお、フローティング状態は外部からフローティング電位を高抵抗経由で供給してもよい。
【0297】
図35は、上述したように、共通電極駆動回路Cmと走査信号駆動回路Vを共有する回路の一実施例を模式的に示した説明図で、図34(a)に示した信号を出力させるようになっている。
【0298】
まず、図35(a)に示すように、図中右側に信号供給端子を有し、それらの各端子には、図中上側から、順次、G−ON信号、G−OFF信号、COM(対向電圧)信号、G−ON信号、G−OFF信号、COM信号、G−ON信号、G−OFF信号、COM信号、……、COM信号が入力されるようになっている。これらの各信号は常時供給されるようになっている。そして、たとえばG−ON信号が供給される端子に対し同じG−ON信号が供給される他の端子において、同様な信号が供給されるようになっており、他のG−OFF信号等も同様となっている。
【0299】
また、順次G−ON信号、G−OFF信号、COM信号が供給され互いに隣接して配置される各端子は、それぞれ、上記各信号を全く受け入れないか、あるいは該各信号のうちそのいずれか一つを受け入れるたとえば走査スイッチ等を介して各端子Xに接続されるようになっている。たとえば、図35(a)の場合、図中端子X(n−2)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続され、端子X(n−1)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続されている。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになっている。
【0300】
さらに、前記各端子Xには、それぞれ、たとえば走査スイッチSSbを介してゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLのうち、それらに該端子Xからの信号を全く受け入れないか、あるいは一方の特定された信号線のみに受け入れるように構成されている。たとえば、図35(a)の場合、図中端子X(n−2)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n)に供給され、端子X(n−1)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n−1)に供給され、端子X(n)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n)に供給されるようになっている。
【0301】
このことから、nライン目のゲート信号線GL(n)、対向電圧信号線CL(n)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるとともに、それより一つ手前の(n−1)ライン目のゲート信号線GL(n−1)にはG−OFF信号が供給されることになる。
【0302】
つぎの段階では、図35(b)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n−1)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続され、端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0303】
また、図35(b)の場合、図中端子X(n−1)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+1)に供給され、端子X(n)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n)に供給され、端子X(n+1)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+1)に供給されるようになる。
【0304】
このことから、nライン目のゲート信号線GL(n)にはG−OFF信号が供給され、対向電圧信号線CL(n)はフローティング状態となる。一方、次の(n+1)ライン目のゲート信号線GL(n+1)、対向電圧信号線CL(n+1)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるようになる。
【0305】
つぎの段階でも、図35(c)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続され、端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+2)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0306】
また、図35(c)の場合、図中端子X(n)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+2)に供給され、端子X(n+1)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+1)に供給され、端子X(n+2)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+2)に供給されるようになる。
【0307】
このことから、(n+1)ライン目のゲート信号線GL(n+1)にはG−OFF信号が供給され、対向電圧信号線CL(n+1)はフローティング状態となる。一方、次の(n+2)ライン目のゲート信号線GL(n+2)、対向電圧信号線CL(n+2)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるようになる。
【0308】
つぎの段階でも、図35(d)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続され、端子X(n+2)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+3)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0309】
また、図35(d)の場合、図中端子X(n+1)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+3)に供給され、端子X(n+2)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+2)に供給され、端子X(n+3)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+3)に供給されるようになる。
【0310】
このことから、(n+2)ライン目のゲート信号線GL(n+2)にはG−OFF信号が供給され、対向電圧信号線CL(n+2)はフローティング状態となる。一方、次の(n+3)ライン目のゲート信号線GL(n+3)、対向電圧信号線CL(n+3)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるようになる。
【0311】
そして、これが順次繰り返され、最下位のラインから最上位のラインに以降する場合においても、上述した関係を維持しながら前記走査スイッチSSaおよびSSbはシフトされる。
【0312】
図36は、上述したように、共通電極駆動回路Cmと走査信号駆動回路Vを共有する回路の他の実施例を模式的に示した説明図で、図34(c)に示した信号を出力させるようになっている。
【0313】
図36は図35と対応した図となっており、図35の場合と比較して異なる構成は、走査スイッチSSa、SSbにおいて端子Xに対する入力側および出力側の接続関係が相違しているのみである。
【0314】
図35(a)に示すように、図中端子X(n−2)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、端子X(n−1)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続されている。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになっている。
【0315】
さらに、図36(a)の場合、図中端子X(n−2)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n−2)に供給され、端子X(n−1)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n−1)に供給され、端子X(n)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線(n−1)に供給されるようになっている。
【0316】
この段階で、nライン目のゲート信号線GL(n)、対向電圧信号線CL(n)は、それぞれフローティング状態となっており、それより一つ手前の(n−1)ライン目のゲート信号線GL(n−1)にはG−ON信号が供給され、対向電圧信号線CL(n−1)にはCOM信号が供給されることになる。
【0317】
つぎの段階では、図36(b)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n−1)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0318】
また、図36(b)の場合、図中端子X(n−1)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n−1)に供給され、端子X(n)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n)に供給され、端子X(n+1)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n)に供給されるようになる。
【0319】
このことから、nライン目のゲート信号線GL(n)にはG−ON信号が供給され、対向電圧信号線CL(n)にはCOM信号が供給される。
【0320】
つぎの段階でも、図36(c)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+2)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0321】
また、図36(c)の場合、図中端子X(n)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線(n)に供給され、端子X(n+1)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+1)に供給され、端子X(n+2)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+1)に供給されるようになる。
【0322】
このことから次の(n+2)ライン目のゲート信号線GL(n+2)および対向電圧信号線CL(n+2)はフローティング状態となる。
【0323】
つぎの段階でも、図36(d)に示すように、前記走査スイッチSSaおよびSSbは、それぞれ、前記端子Xに対する入力側と出力側との各接続関係を維持した状態で、そのまま次のラインにシフトされるようになる。図中端子X(n+1)は前記走査スイッチSSaを介してG−OFF信号が供給される端子に接続され、端子X(n+2)は前記走査スイッチSSaを介してG−ON信号が供給される端子に接続され、さらに、端子X(n+3)は前記走査スイッチSSaを介してCOM信号が供給される端子に接続される。そして、それ以外の他の端子XにはG−ON信号、G−OFF信号、COM信号のいずれも供給されないようになる。
【0324】
また、図36(d)の場合、図中端子X(n+1)からのG−OFF信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+1)に供給され、端子X(n+2)からのG−ON信号は前記走査スイッチSSbを介してゲート信号線GL(n+2)に供給され、端子X(n+3)からのCOM信号は前記走査スイッチSSbを介して対向電圧信号線CL(n+2)に供給されるようになる。
【0325】
このことから、次の(n+3)ライン目のゲート信号線GL(n+3)はフローティング状態となり、対向電圧信号線CL(n+3)には、それぞれG−ON信号、COM信号が供給されるようになる。
【0326】
そして、これが順次繰り返され、最下位のラインから最上位のラインに以降する場合においても、上述した関係を維持しながら前記走査スイッチSSaおよびSSbはシフトされる。
【0327】
なお、図35、および図36は、それぞれ、G−ON信号、G−OFF信号、COM(対向電圧)信号が供給される端子から各ゲート信号線GLおよび各対向電圧信号線CLへの信号供給タイミングは、それをわかり易くするため、走査スイッチSSa、SSbの動作によって示したものである。しかし、このような構成はたとえばトランジスタ回路等を用いて行なう等のように、どのような構成としてもよいことはいうまでもない。
【0328】
実施例27.
図37は、本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、そのゲートドライバGD、ドレインドライバDL、およびコモンドライバCDに供給される制御信号を示したフロー図である。
【0329】
たとえば図28に示した実施例(実施例21)の説明のように、液晶表示部ARに輝度の明るい領域と輝度の暗い領域が存在する場合には、各ドレイン信号線DLには、それら各領域毎に異なった信号が出力されることになる。すなわち、各領域毎に映像信号Dの電圧が異なり、このためドレイン信号線DLにとっての負荷が領域毎に異なることになる。そして、該負荷が異なるということは必要とする電流が異なってくることを意味する。
【0330】
従来の技術では、予め最大負荷を想定しておき、一意的に同じバイアス電流で回路を駆動していた。しかし、この場合、低電流で駆動できる領域においても必要以上の電流を供給することになり、無駄な電流消費が生じ、消費電力が増大していた。
【0331】
それ故、本実施例では、液晶表示部ARの各領域毎にみかけの負荷容量に応じてバイアス電流を制御させることにより、消費電力の低減を実現させようとするものである。
【0332】
この場合、この実施例で説明する構成は、それ単独で用いてもよいが、上述した実施例で示したように、ゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLを同時にフローティング状態にする技術と組み合わせて用いる場合に特に顕著な効果を発揮するようになる。
【0333】
何故なら、従来においては映像信号Dの負荷は常に重い状態であり、これに対しゲート信号Gおよび対向電圧信号CのそれぞれをそのOFF時の大部分でフローティング状態にした場合、映像信号の負荷が理想的には数百分の一と劇的に低減しているからである。そこで、領域毎にバイアス電流をより高精度に制御することが可能となり、さらに映像信号駆動回路Heの低消費電力化を実現することができるからである。
【0334】
図37(a)において、まず、映像制御回路TCONに外部から画像信号Vsigが入力されるようになっている。該映像制御回路TCOMは、図37(b)に示すように、液晶表示パネルPNLのゲートドライバGD、ドレインドライバDD、およびコモンドライバCDのそれぞれに信号を供給されるようになっている。なお、この実施例では、同図に示すように、バイアス量指示信号BSSがドレインドライバDDに入力されるようになっている。
【0335】
画像信号Vsigが入力された映像制御回路TCONは、まずステップ1で該画像信号Vsigのデータを計測する。そして、ステップ2において、計測したデータより必要なバイアス電流を計算する。
【0336】
ここで、必要なバイアス電流の計算は、たとえば映像信号Dの値により設定し、たとえば該映像信号Dにより定まる電圧値に比例させた値を該バイアス電流の値とすることができる。
【0337】
映像制御回路TCONからゲートドライバGDへは、ステップ3にて、画像信号Vsig内の同期信号により次のゲート信号線GLを選択するようになる。
【0338】
そして、映像制御回路TCONからドレインドライバDDには、まず、ステップ4にて、映像制御回路TCONから転送された各ライン毎の映像信号Dを蓄積する。
【0339】
そして、ステップ5にて、各映像信号線DLに対応した出力アンプのバイアス電流を設定し、同期信号によってそれぞれの映像信号Dを出力する。
【0340】
さらに、ステップ6にて、映像制御回路TCONからゲートドライバGDへは、画像信号Vsig内の同期信号により次の対向電圧信号線CLを選択するようにする。
【0341】
他の実施例として、対向電圧信号線CLをフローティング状態とする構成に適用させる場合、上述した実施例で示したように、各ラインのドレイン信号線DLの合計による対向電圧信号線CLにおける対向電圧信号の変動量を計算し、その影響を考慮して前記バイアス量指示信号BSSの値を決定してもよいことはいうまでもない。
【0342】
そして、本実施例の構成を、各対向電圧信号線CLにおける対向電圧信号の電位をドレイン信号線DLのデータに応じて制御する実施例21に示した構成と組み合わせて用いてもよいことはもちろんである。
【0343】
なお、この実施例において、映像制御回路TCONからドレインドライバDDへの前記バイアス量指示信号は、図37(c)に示すように、ドレインドライバDDに新たに設けるバイアス量入力端子BITに入力されるように構成しても、あるいは図37(d)に示すように、映像制御回路TCONからドレインドライバDDに送られるデータにバイアス量データBQDの転送期間を設けるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0344】
図37(c)において、符号DITは画像データ入力端子、符号SITは同期信号入力端子を示し、図37(d)において、符号RDA、GDA、およびBDAはそれぞれ赤色用データ、緑色用データ、青色用データを示している。
【0345】
実施例28.
図38(a)、(b)はそれぞれ走査信号駆動回路Vのゲート信号線GL側の周辺における他の実施例を示す回路図、共通電極駆動回路Cmの対向電圧信号線CL側の周辺における他の実施例を示す回路図であり、それぞれ図3(a)、図4に対応した図となっている。
【0346】
図3(a)、図4に示した実施例のように、ゲート信号線GLおよび対向電圧信号線CLの大部分をフローティング状態とする構造では、それぞれSW1、SW5をONとしない場合は信号線毎が独立するため、外部からの静電気に対し弱い構造となっている。このため、製造工程中での静電気により断線や閾値変動が生じやすくなる。したがって、製造の容易化を実現するには、この静電気に対する配慮が必要となる。
【0347】
図38に示す実施例では、液晶表示部AR内の信号線がフローティングとなる構造を有する場合において、各信号線をダイオードで共通線に接続することで、静電気進入時に急速な静電気の拡散を実現し、静電気に強い構造としている。
【0348】
すなわち、図38(a)において、各ゲート信号線GLのうちゲート信号線GLnの場合を例に挙げると、該ゲート信号線GLのスイッチSW1(n)の接続部と信号線VgOFFとの間を双方向ダイオードBSDによって接続させた構成としている。また、図38(b)において、各対向電圧信号線CLのうち対向電圧信号線CLnの場合を例に挙げると、該対向電圧信号線CLnのスイッチSW5(n)の接続部と信号線Vcとの間に双方向ダイオードBSDによって接続させた構成としている。
【0349】
このように構成することにより、図38(a)に示すように、ゲート信号線GLに高電圧が加わった際に、該高電圧をゲート信号線GLから信号線VgOFFへと速やかに逃がすことができるようになる。そして、ゲート信号線GLと信号線VgOFFとを接続させる素子を双方向ダイオードBSDとすることにより、静電気の極性に問わず対応することができる。しかし、この双方向ダイオードBSDに替えて相互に逆極性のダイオードであっても、また一方向のダイオードであってもよいことはもちろんである。
【0350】
この実施例では、高電圧を逃すための信号線として信号線VgOFFを用いたものである。安定性を向上させるためである。しかし、信号線VgONであっても、さらに専用のバスイラインを設け、これら配線層を用いるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0351】
また、図38(b)に示すように、対向電圧信号線CLに高電圧が加わった際にも、該高電圧を対向電圧信号線CLから信号線Vcへと速やかに逃がすことができるようになる。この場合においても、専用のバスラインを設け、このバスラインを前記信号線Vcに替えて用いるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0352】
図39(a)、(b)は前記専用のバスラインに替えてフローティング電圧線FVLを用いた場合の他の実施例を示す図で、それぞれ図38(a)、(b)に対応した図となっている。
【0353】
このように構成することによって、静電気対策と同時に、フローティングしたゲート信号線GLあるいは対向電圧信号線CLの電位変動を抑制し、安定化させる効果を奏する。
【0354】
なお、この場合、ゲート信号線GL側のフローティング電圧線FVLの電位は対向電圧信号線CL側のフローティング電圧線FVLの電位よりも小さくする方が望ましい。薄膜トランジスタTFTのOFFを良好に維持するためである。
【0355】
さらに、図40は他の実施例を示す回路図で、図39(a)、(b)に示したように他のバスラインとしてたとえばフローティング電圧線FVLを用いた場合に、ゲート信号線GL側のフローティング電圧線FVLと対向電圧信号線DL側のフローティング電圧線FVLどおしを双方向ダイオードBSDで互いに接続させるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0356】
さらに、図41も他の実施例を示す回路図で、ゲート信号線GL側のフローティング電圧線FVLを双方向ダイオードBSDを介してGNDラインGNDLに接続させるとともに、対向電圧信号線CL側のフローティング電圧線FVLも他の双方向ダイオードBSDを介してGNDラインGNDLに接続させるようにしたものである。さらに静電気に強い構成を実現できるからである。
【0357】
ここで、前記双方向ダイオードBSDは図42(a)に示す等価回路からなっている。すなわち、一対の各ダイオードをそれらの極性を変えて並列接続させた構成となっている。このような双方向ダイオードBSDは、ドライバを構成する半導体チップに組み込ませて構成してもよいが、該ドライバとは別個に透明基板SUB1の面に形成するようにしてもよい。
【0358】
後者の場合、たとえば図42(b)に示すように構成することができる。図42(b)は平面図で、図42(a)の等価回路と幾何学的に対応させて描いている。
【0359】
図42(a)において、図中上側には一方のダイオードが形成され、このダイオードは半導体層LTPS(1)の図中左側の一端を陰極に、図中右側の一端を陽極としている。そして、該陰極と陽極との間の前記半導体層LTPS(1)上に絶縁膜を介してゲート電極が形成され、このゲート電極は前記陽極に接続されている。また、図中下側には他方のダイオードが形成され、このダイオードは半導体層LTPS(2)の図中左側の一端を陽極に、図中右側の一端を陰極としている。そして、該陽極と陰極との間の前記半導体層LTPS(2)上に絶縁膜を介してゲート電極が形成され、このゲート電極は前記陰極に接続されている。
【0360】
図42(c)は図42(b)のc−c線における断面図を、図42(d)は図42(b)のd−d線における断面図を示している。ここで、各半導体層LTPS(1)、LTPS(2)とそれらの上方に形成される各ゲート電極との間に介在される前記絶縁膜は第1絶縁膜INSを用いている。
【0361】
該双方向ダイオードBSDは、液晶表示装置の画素内の薄膜トランジスタTFTと並行して形成するため、層構造における構成は該薄膜トランジスタTFTと類似し、前記ゲート電極が当該ダイオードの陽極あるいは陰極に接続されているか否かの相違を有するにすぎないからである。
【0362】
このように構成された双方向ダイオードBSDは、その配線層の一方の電位をそのままゲート電極電位として用いることで、高電圧が加わった場合のみONとすることができる。またゲート電極として用いる側の配線層を逆にすれば、極性を逆にすることができる。
【0363】
また通常動作時のリーク電流を低減させるためには、配線層をゲート電極層で作成することが望ましい。半導体層の低抵抗化のためのイオン打ち込み時に該配線層下にイオンが打ち込まれないため、高抵抗状態となり、スルーホール近傍から半導体層イオンが打ち込まれた領域への電流リークを低減できるからである。また半導体層がアモルファスシリコンとした場合、ゲート電極の距離をスルーホール下まで延在しないようにすれば、高抵抗領域が作成できる。
【0364】
他に種々の形態による作成が可能であり、高電圧時に該高電圧を逃がしうる構成であればよい。
【0365】
実施例29.
液晶表示装置の画素として、液晶を介して対向配置される一方の基板の液晶側の面に、画素電極とこの画素電極との間に電界を発生せしめる対向電極とを備えたものが知られている。
【0366】
該画素電極と対向電極との間に基板と平行な成分を有する電界によって該液晶の光透過率を制御せしめる構成のものである。
【0367】
そして、このような各画素において、その領域内で前記電界の方向を異ならした領域を構成し、これにより視野角に依存する画像の色づきを補償した、いわゆるマルチドメイン方式のものであって、それら各領域における液晶の挙動(液晶分子の回転)を比較的電界の強い一端側から他端にかけて伝達させる工夫がなされているものが知られている。平行に配置された画素電極と対向電極との間に生じる電界のみでは液晶分子を回転させる力が弱い場合があるからである。
【0368】
しかし、このように構成された画素は、液晶の挙動を比較的電界の強い一端側から他端にかけて伝達させることから、その応答速度が遅く、その改善が望しいことが判明した。
【0369】
また、特開平9−105908号公報に開示された画素はその他端側において、一方の電極が同一幅で延在された他端部を有するものであり、該他端部と他方の電極との間に生じる電界の方向が比較的不均一となり、この部分にいわゆるドメイン領域が生じ、結果として遮光しなければならず、画素のいわゆる開口率を狭めていたという指摘がなされていた。
【0370】
本実施例に続く以下の実施例では、液晶の応答速度を向上させた画素を有する液晶表示装置を提供する。
また、画素の開口率を向上させた液晶表示装置を提供する。
【0371】
代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
(1)
本発明による液晶表示装置は、たとえば、画素領域に区分された第1の領域と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極により囲まれて領域が形成され、
第1と第2の電極はそれぞれ長い第1の電極部分と短い第2の電極部分とを有し、
第1の電極部分と第2の電極部分は鈍角となる関係を有して接続され、
前記第1の電極と第2の電極それぞれの第2の電極部分は各領域内で互いに最も遠い辺になるように配置されていて、
前記鈍角が第1の領域と第2の領域で異なる側に形成されていることを特徴とするものである。
【0372】
(2)
たとえば、(1)の構成を前提とし、それぞれの前記鈍角が初期配向方向に対して異なる側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0373】
(3)
たとえば、画素領域に区分された第1と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極を有し、
かつ、第1と第2の電極が平行に延在して主領域と第1と第2の電極が徐々に近接する補助領域を有し、
補助領域は画素領域の両端に配置され、かつ、それぞれ逆方向に徐々に近接するように配置され、
前記第1の領域と第2の領域はほぼ線対称に形成されていることを特徴とするものである。
【0374】
(4)
たとえば、画素領域内に、画素電極とこの画素電極との間に電界を生じせしめる対向電極とを備え、かつ、これら画素電極と対向電極とで囲まれた少なくとも2つの区分領域を備え、
これら区分領域のそれぞれは菱形状をなし、これら区分領域ほぼ液晶初期配向方向に対して線対称となって背中合わせに形成され、
これら各区分領域は、それぞれ一方の区分領域と背中合わせになる第1辺とこの第1辺の一方向側の端部にてこの第1辺と鈍角の開きを有して交差する第2辺とが前記画素電極と対向電極のうち一方の電極によって縁取られて形成されるとともに、
前記第1辺と平行となる第3辺とこの第3辺と前記一方向側と反対側の端部にて該第3辺と鈍角の開きを有して交差する第4辺とが前記画素電極と対向電極のうち他方の電極によって縁取られて形成されていることを特徴とするものである。
【0375】
(5)
たとえば、(4)の構成を前提とし、各区分領域の第1辺と第3辺のそれぞれの長さは該第1辺と第3辺の距離より大きく設定されていることを特徴とするものである。
【0376】
(6)
たとえば、(4)の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されていることを特徴とするものである。
【0377】
(7)
たとえば、(4)の構成を前提とし、各区分領域の第1辺を縁取る電極は各区分領域における共通の電極として構成されていることを特徴とするものである。
【0378】
(8)
たとえば、(4)の構成を前提とし、線対称に背中合わせに形成された各区分領域は液晶初期配向方向に沿って複数形成され、これら各区分領域の第1辺と第2辺とを縁取る電極は一体として構成され、かつ、第3辺と第4辺とを縁取る電極は一体として構成されていることを特徴とするものである。
【0379】
(9)
たとえば、(4)の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第2辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0380】
(10)
たとえば、(4)の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第4辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0381】
(11)
たとえば、(4)の構成を前提とし、各区分領域の第1辺および第2辺を縁取る電極は画素電極であり、第3辺および第4辺を縁取る電極は対向電極であることを特徴とするものである。
【0382】
(12)
たとえば、(11)の構成を前提とし、画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、前記対向電極は前記ドレイン信号線を絶縁膜を介して被って形成されていることを特徴とするものである。
【0383】
(13)
たとえば、(12)の構成を前提とし、前記対向電極は透光性の導電層で構成されていることを特徴とするものである。
【0384】
以下、図面に基づきより詳細に説明する。
図43(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、画素電極PXと対向電極CTのパターンと配置状態を模式的に示した図である。
【0385】
図43(a)において、画素領域は図中x方向に分割された2つの領域、すなわち第1画素領域PAE1と第2画素領域PAE2を有して構成されている。
【0386】
ここで、図中x方向にはゲート信号線GL(図示せず)が走行され、y方向にはドレイン信号線DL(図示せず)が走行されて、これら信号線に囲まれた領域において前記第1画素領域PAE1と第2画素領域PAE2を備えている。なお、この画素におけるいわゆる初期配向方向は図中y方向にほぼ一致づけられている。
【0387】
また、前記第1画素領域PAE1と第2画素領域PAE2のそれぞれはy方向において長く形成された菱形形状をなしている。
【0388】
前記第1画素領域PAE1は、その図中左側辺および下側辺において対向電極CTによって画され、図中右側辺および上側辺において画素電極PXによって画されて構成されている。また、前記第2画素領域PAE2は、その図中左側辺および上側辺において画素電極PXによって画され、図中右側辺および下側辺において対向電極CTによって画されて構成されている。
【0389】
この実施例では、第1画素領域PAE1における前記画素電極PXと第2画素領域PAE2における前記画素領域PXは、第1画素領域PAE1および第2画素領域PAE2と画する部分で共通となっている。
【0390】
そして、同図に示すように、第1画素領域PAE1は、その右側辺であって画素電極PXの辺を第1辺部A、上側辺であって前記画素電極PXの辺を第2辺部Bとすると、該第1辺部Aと第2辺部で形成される角度は鈍角(>90°)となっている。また、該第1画素領域PAE1の左側辺であって対向電極CTの辺を第3辺部C、下側辺であって前記対向電極CTの辺を第4辺部Dとすると、該第3辺部Cと第4辺部Dで形成される角度は鈍角(>90°)となっている。すなわち、前記第1画素領域PAE1は菱形のパターンをなし、その内角のうち一の鈍角を有する角度を構成する二辺を一方の電極の辺で形成し、他の鈍角を有する角度を構成する二辺を他方の電極の辺で形成している。
【0391】
また、該第2画素領域PAE2は、第1画素領域PAE1の画素電極PXと共通化を図った画素電極PXの中心軸を中心として、該第2画素領域PAE2と背中合わせのほぼ線対称の関係にあって、第1画素領域PAE1と同様の構成となっている。
【0392】
このようなパターンを有する画素電極PXおよび対向電極CTを有する画素は、その画素電極PXと対向電極CTとの間に生じる電界の分布が図43(b)に示すようになり、第1画素領域PAE1および第2画素領域PAE2とも、その上下の各部分、すなわち、たとえば、第1画素領域PAE1を例に挙げると、その菱型形状の各角の前記鈍角部を除く他の鋭角部で電界が強くなるとともに、その電界方向も図43(d)に示すように液晶分子LQMの一方向への捩りによる回転運動を行い易くなるようになっている。ここで、図43(d)において、符号EADは初期配向方向を示し、その図の左側の液晶分子LQMは第1画素領域PAE1におけるそれを、右側の液晶分子LQMは第2画素領域PAE2におけるそれを示している。
【0393】
したがって、図43(c)に示すように、第1画素領域PAE1および第2画素領域PAE2の前記上下の各部分、すなわち○で囲まれた各領域にあって、その領域内の液晶分子LQMは高電界で駆動され、各領域において規定される一方向への捩りによる回転運動が該各領域以外の他の領域(画素の中央における領域)にまでそのまま追随され、高速かつ正規な液晶分子の駆動を達成させることができ、スメアの発生を抑制できるようになる。
【0394】
また、第1画素領域PAE1および第2画素領域PAE2における前記第1辺部Aと第2辺部Cの長さがそれら各辺の距離に比べて比較的長く、かつ平行に配置されていることから、製造が容易となり歩留まりが向上するという効果を奏する。
【0395】
また、配向処理時、前記第1辺部Aと第2辺部Cに相当する電極の延在方向と初期配向方向EADが略平行となるため、配向処理が容易かつ確実にでき、初期配向方向が安定するため、コントラスト費が向上するという効果を奏する。
【0396】
さらに、このように構成した各画素領域PAE1、PAE2は、それらの領域内のいずれの部分においても液晶分子が正常に挙動され、たとえばいわゆるドメイン領域となる部分を無くすことができるようになる。このため、これら各領域においてたとえばブラックマトリクスBM等の他の部材によって遮光する部分を皆無とすることができる。
【0397】
なお、この実施例の説明では、画素の中央を走行する電極を画素電極PX、この画素電極PXの両脇に配置される電極を対向電極CTとして構成したものであるが、該画素電極PXおよび対向電極CTをそれぞれ対向電極CTおよび画素電極PXとなるように構成するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0398】
実施例30.
図44(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す平面図である。また、図44(b)は図44(a)のb−b線における断面図を、図44(c)は図44(a)のc−c線における断面図を示している。
【0399】
同図において、まず、透明基板SUB1の液晶側の面にはたとえばポリシリコン層からなる半導体層PSIが形成されている。この半導体層PSIはたとえばプラズマCVD装置によって成膜したアモルファスSi膜をエキシマレーザによって多結晶化したものである。
【0400】
この半導体層PSIは薄膜トランジスタTFTのそれで、後述するゲート信号線GLをたとえば2回横切るように迂回して形成されたパターンをなしている。
【0401】
そして、このように半導体層PSIが形成された透明基板SUB1の表面には、該半導体層PSをも覆ってたとえばSiO2あるいはSiNからなる第1絶縁膜INSが形成されている。
【0402】
この第1絶縁膜INSは前記薄膜トランジスタTFTのゲート絶縁膜として機能するようになっている。
【0403】
そして、第1絶縁膜INSの上面には、図中x方向に延在しy方向に並設されるゲート信号線GLが形成され、このゲート信号線GLは後述するドレイン信号線DLとともに矩形状の画素領域を画するようになっている。
【0404】
該ゲート信号線GLは前述した半導体層PSIを2回横切るようにして走行され、該半導体層PSIを横切る部分は薄膜トランジスタTFTのゲート電極として機能するようになっている。
【0405】
なお、このゲート信号線GLの形成後は、第1絶縁膜INSを介して不純物のイオン打ち込みをし、前記半導体層PSIにおいて前記ゲート信号線GLの直下を除く領域を導電化させることによって、薄膜トランジスタTFTのソース領域およびドレイン領域が形成されるようになっている。
【0406】
前記ゲート信号線GLをも被って前記第1絶縁膜INSの上面には第2絶縁膜GIがたとえばSiO2あるいはSiNによって形成されている。
【0407】
この第2絶縁膜GIの表面には、y方向に延在しx方向に並設されるドレイン信号線DLが形成されている。そして、このドレイン信号線DLの一部にはその下の第2絶縁膜GIおよび第1絶縁膜INSを貫通するスルーホールTH1を通して前記半導体層PSIに接続されている。該半導体層PSIのドレイン信号線DLと接続された部分は薄膜トランジスタTFTの一方の領域、たとえばドレイン領域となる部分である。
【0408】
また、前記ドレイン信号線DLとゲート信号線GLで囲まれる画素領域内の前記第2絶縁膜GIの表面には画素電極PXが形成されている。この画素電極PXは画素領域のほぼ中央をy方向に走行する帯状のパターンとこの帯状のパターンの左右側からそれぞれ延在した枝状のパターンとからなっている。
【0409】
さらに、詳述すると、前記画素電極PXは、その帯状のパターンの当該画素領域の薄膜トランジスタTFT側の一端が、その下の第3絶縁膜PAS、第2絶縁膜GI、および第1絶縁膜INSに貫通させて設けたスルーホールTH2を通して薄膜トランジスタTFTの他方の領域、たとえばソース領域に接続されている。
【0410】
また、該帯状のパターンの該ソース領域の接続部から他端にかけて、その左右側から延在した前記枝状のパターンは、ほぼ等間隔にこの実施例では3つ設けられ、該延在方向は該帯状のパターンに対して鈍角(>90°)をなしている。
【0411】
なお、ドレイン信号線DLと同層に形成される該画素電極PXの前記枝状パターンの先端は該ドレイン信号線DLと電気的に接続を回避させるため、物理的に分離されて構成されている。
【0412】
これにより、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLとで囲まれた画素領域は、前記画素電極PXにより画された6つの領域が形成されることになる。この6つの各領域は後述する対向電極CTとの関係で、それぞれ機能的には同一の独立の画素領域を形成することになる。これについては後述する。
【0413】
なお、画素電極PXは、その材料として金属であってもよいが、この実施例では、たとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成している。いわゆる開口率をできるだけ向上させようとする配慮からである。
【0414】
さらに、このドレイン信号線DLおよび画素電極PXをも被って第2絶縁膜GIの表面には第3絶縁膜PASが形成されている。この第3絶縁膜PASはたとえば樹脂等の有機材料からなり、前記第2絶縁膜GIとともに前記薄膜トランジスタTFTへの液晶の直接の接触を回避するための保護膜となっている。第3絶縁膜PASを有機材料で構成したのは保護膜としての誘電率を低減させ、かつ表面を平坦化するためである。
【0415】
そして、この第3絶縁膜PASの上面には対向電極CTが形成されている。この対向電極CTは対向電圧信号線CLと一体に形成され、該対向電圧信号線CLは当該画素領域の薄膜トランジスタTFTを駆動させるゲート信号線GL(図中下側のゲート信号線GL)を被って形成されているが、当該画素領域を挟んで形成される他のゲート信号線GL(図中上側のゲート信号線GL)を被うことなく形成されている。同図に示した画素に対して図中x方向に並設される他の画素に共通な対向電圧信号線CLに対向電圧信号を供給させる場合の構成としているからである。
【0416】
前記対向電極CTは、まず前記画素電極PXの帯状パターンを間に位置づけ、ドレイン信号線DLのそれぞれに重畳されるようにして形成されている。この場合、該ドレイン信号線DLに重畳される対向電極CTはそれらの中心軸がほぼ一致づけられて配置され、かつ、その幅は該ドレイン信号線DLのそれよりも大きく形成されている。ドレイン信号線DLからの電気力線を該対向電極CT側に終端させ、画素電極PX側に終端させるのを回避させる配慮からである。
【0417】
ここで、本実施例では、一方の側のドレイン信号線DLに重畳された対向電極CTと他方の側のドレイン信号線DLに重畳された対向電極CTとは、前記画素電極PXの枝状のパターンが形成された部分にて互いに接続された構成をとっている。
【0418】
すなわち、当該画素領域において対向電極CTはいわゆる梯子状のパターンをなし、前記画素電極PXの枝状のパターン上の前記接続部によって、該画素電極PXの枝状のパターンとともに6つの同一機能を有する独立の画素領域を構成するようになっている。
【0419】
さらに詳述すれば、一方の側のドレイン信号線DLに重畳された対向電極CTと他方の側のドレイン信号線DLに重畳された対向電極CTとの前記接続部(接続パターン)は、該画素電極PXの枝状のパターンとほぼ同様のパターンをなし、該枝状のパターンとは完全には重畳することなく図中上側(y方向)に若干シフトされ、その結果、その一部が該枝状のパターンと重畳され残りは重畳されていない構成となっている。
【0420】
これにより、一の分割された画素領域を観察した場合、その画素領域の上側には画素電極PX(枝状のパターン)が対向電極CT(接続パターン)に重畳されることなく形成され、該画素領域の下側には対向電極CT(接続パターン)が画素電極PX(枝状のパターン)に重畳されることなく形成されている。このことは、その画素領域の上側において画素電極PX(枝状のパターン)の影響が大であり、下側において対向電極CT(接続パターン)の影響が大であることを意味する。
【0421】
すなわち、分割された各画素領域のそれぞれは、図43(a)に示した各画素領域と同様な効果を奏するようになることを意味する。
【0422】
そして、このことから、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLで囲まれた画素領域内の対向電圧信号線CLに近接する分割された画素領域には、画素電極PX(枝状パターン)と重畳する接続パターンは存在しないが、画素電極PX(枝状パターン)と重畳する接続パターンを(−)y方向に平行に移動させた如くのパターンとして形成されている。同様に、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLで囲まれた画素領域内の対向電圧信号線CLに近接する側とは反対側において、分割された画素領域も同様となっている。
【0423】
なお、この実施例で、画素電極PXの枝状パターンと対向電極CTの接続パターンとを一部重畳させて構成しているのは、この重畳させた部分において容量素子Cstgを形成させんがためである。
【0424】
また、一体に形成される対向電極CTと対向電圧信号線CLは、その材料として金属であってもよいが、この実施例では、たとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成している。いわゆる開口率をできるだけ向上させようとする配慮からである。
【0425】
また、この実施例では、たとえば透明基板SUB1と液晶を介して対向配置される他の透明基板の液晶側の面に、ブラックマトリクスBMが形成され、このブラックマトリクスBMは薄膜トランジスタTFTの形成領域を被ってゲート信号線GLに沿って形成されている。
【0426】
このブラックマトリクスBMは区分された各画素領域を被うことなく形成できる。上述したように該各画素領域内のいずれの部分においても液晶が正常に挙動でき、いわゆるドメイン領域となる部分を遮光する必要がないからである。
【0427】
そして、区分された各画素領域を各する画素電極PXおよび対向電極CTはたとえそれを透光性の導電層として用いた場合でも、たとえば液晶をノーマリホワイトモードのものを用いることによってそれらが遮光膜の機能を果たすことができる。
【0428】
このことから、前述したブラックマトリクスBMは薄膜トランスタTFTのみを被う構成とし、該薄膜トランジスタTFTを光照射による特性劣化を図るようにすることもできるようになる。
【0429】
実施例31.
図45(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図44(a)に対応した図となっている。また、図45(b)は図45(a)のb−b線における断面図を、図45(c)は図45(a)のc−c線における断面図を示している。
【0430】
図44(a)と比較して異なる構成は、まず、画素電極PXと対向電極CT(対向電圧信号線CL)は同層に形成され、それぞれ第3絶縁膜PASの表面に形成されていることにある。
【0431】
そして、ドレイン信号線CLとゲート信号線GLとで囲まれた画素領域は画素電極PXによって2つの領域に区分されている。すなわち、該画素電極PXは当該薄膜トランジスタTFTを駆動するゲート信号線GL側の一端からy方向に延在され、他のゲート信号線GLに近接する他端において鈍角(>90°)状に幅が徐々に広くなるように形成されている。
【0432】
一方、対向電極CTは、図44(a)に示したように、当該薄膜トランジスタTFTを駆動するゲート信号線GL側を被う対向電圧信号線CLから各ドレイン信号線DLに沿って延在するように構成され、該対向電極CTと対向電圧信号線CLとの接続部においてその幅が徐々に狭くなるように形成されている。この結果、対向電極CTの幅は対向電圧信号線CLへ近づくにつれ鈍角(>90°)状に幅が徐々に広くなって形成されるとともに、該鈍角の角度は、前記画素電極PXの前記他端において幅が広くなる際の角度とほぼ等しくなっている。
【0433】
なお、画素電極PXの前記一端は、その下に形成される第3絶縁膜PASを貫通するスルーホールTH3を通して第2絶縁膜GI面に形成された接続用配線CMに接続され、この接続用配線CMは、その下に形成される第2絶縁膜GIおよび第1絶縁膜INSを貫通するスルーホールTH2を通して薄膜トランジスタTFTのソース領域に接続されている。そして、この場合、前記接続用配線CMはその一部において対向電圧信号線CLとの重畳部を形成するようにし、この重畳部において第3絶縁膜PASを誘電体膜とする容量素子Cstgを構成している。
【0434】
このように構成した液晶表示装置の画素は、ドレイン信号線DLおよびゲート信号線GLによって囲まれた画素領域が画素電極PXと対向電極CTによって2つの領域に区分されるようになり、それぞれの領域において前記図43に示した構成における効果、すなわち、画素電極PXと対向電極CTの近接部に強電界を形成させることができ、それを駆動力として残りの面内の液晶の回転方向を制御することができる効果を奏する。
【0435】
実施例32.
図46(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図であり、図45(a)に対応した図となっている。また、図46(b)は図46(a)のb−b線における断面図を、図46(c)は図46(a)のc−c線における断面図を示している。
【0436】
図45(a)の場合と比較して異なる構成は対向電圧信号線CLにあり、対向電圧信号線CLは、当該画素を駆動するゲート信号線GLを被う対向電圧信号線CLは当該画素に形成されている対向電極CTと電気的に分離されていることにある。そして、該対向電極CTは当該画素を駆動するゲート信号線GLと当該画素を挟んで形成される他のゲート信号線GLを被う対向電圧信号線CLと電気的に接続されていることにある。
【0437】
そして、当該画素を駆動するゲート信号線GLを被う対向電圧信号線CLと当該画素の対向電極CTとの電気的分離箇所は遮光膜BMで被う構成としている。
【0438】
このように構成した場合、上述の実施例で説明したように、ゲート信号線GLの書き込み時に該ゲート信号線GL上の対向電圧信号線CLをフローティング状態とできるため書き込み特性を向上させることができる。
【0439】
また、図46(a)に示したと同様に、画素電極PXと対向電極CTの近接部に強電界を形成させることができ、それを駆動力として残りの面内の液晶の回転方向を制御することができる。したがって、発生させる電界をより強くすることが必要となり、ゲート信号線GLの書き込み時に該ゲート信号線GL上の対向電圧信号線CLをフローティングとできる上記構成が極めて効果的となる。
【0440】
実施例33.
図47(a)は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図であり、図44(a)に対応した図となっている。また、図47(b)は図47(a)のb−b線における断面図を、図47(c)は図47(a)のc−c線における断面図を示している。
【0441】
図44(a)の場合と比較して異なる構成は、まず、対向電極CTおよび対向電圧信号線CLが第3絶縁膜PASの表面に形成され、これら対向電極CTおよび対向電圧信号線CLはたとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成している。
【0442】
そして、これら対向電極CTおよび対向電圧信号線CLの全体の電気抵抗を低減させるため、金属で構成された対向電圧信号線CL’を新たに設け、この対向電圧信号線CL’を前記対向電圧信号線CLとの接続を図っている。
【0443】
前記対向電圧信号線CL’は、当該画素を駆動するゲート信号線GLと該画素を挟んで形成される他のゲート信号線GLに隣接させて形成し、たとえば該他のゲート信号線GLの形成の際に同時に形成しているため該他のゲート信号線GLと同一の材料で構成されている。
【0444】
この対向電圧信号線CL’と第3絶縁膜PAS上の対向電圧信号線CLとの接続は該第3絶縁膜PASおよび第2絶縁膜GIを貫通するスルーホールTH4を通してなされる(図47(b)参照)。
【0445】
なお、前記対向電圧信号線CL’とそれに隣接するゲート信号線GLは第3絶縁膜PAS上の対向電圧信号線CLによって被われ、かつ当該画素の対向電極CTと一体に接続されている。そして、当該画素の前記対向電極CTは当該画素を駆動するゲート信号線GLを被って形成される対向電圧信号線CLとはこの対向電圧信号線CLの近傍にて電気的に分離されて構成されている。
【0446】
このことから、この近傍に形成される遮光膜BMは少なくとも対向電圧信号線CLと対向電極CTの電気的分離箇所を被うようにして形成されている。
【0447】
また、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLとで囲まれる領域が、画素電極PXと対向電極CTとで6つの領域に区分けされていることは図44(a)の場合と同様である。しかし、各領域の最外郭で形成されるパターンが図44(a)の場合と比較すると上下逆になっていることに相違を有する。
【0448】
すなわち、図44(a)の場合、y方向に延在する画素電極PXは、当該画素の薄膜トランジスタTFTと接続される側から反対の方向にかけて鈍角(>90°)を有するように枝状パターンを有し、これにともない一方のドレイン信号線DL上の対向電極CTと他方のドレイン信号線DL上の対向電極CTとの接続パターンも前記枝状パターンに類似させた構成としているものである。
【0449】
これに対し、本実施例の場合、y方向に延在する画素電極PXは、当該画素の薄膜トランジスタTFTと接続される側と反対の側から該薄膜トランジスタTFTの方向にかけて鈍角(>90°)を有するように枝状パターンを有し、これにともない一方のドレイン信号線DL上の対向電極CTと他方のドレイン信号線DL上の対向電極CTとの接続パターンも前記枝状パターンに類似させた構成としているものである。
【0450】
対向電極CTの前記接続パターンは、画素電極PXの枝状パターンを薄膜トランジスタTFT側へ、該画素電極PXの枝状パターンと一部重畳領域を残してシフトさせた位置に配置されている。対向電極CTの前記接続パターンと画素電極PXの枝状パターンとの一部重畳領域は、その部分において第3絶縁膜PASを誘電体膜とする容量素子Cstgを形成せんがためである。
【0451】
なお、前記画素電極PXは金属等で構成してもよいが、たとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成してもよいことはいうまでもない。いわゆる画素の開口率をできるだけ向上させるためである。
【0452】
実施例34.
図48は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図46(a)に対応した図となっている。
【0453】
図46(a)の場合と比較して異なる構成は、まず、当該画素を駆動するゲート信号線GLと当該画素領域を挟んで配置される他のゲート信号線GLと隣接させて金属で形成された対向電圧信号線CL’が形成されている。
【0454】
この対向電圧信号線CL’とこれに隣接される前記他のゲート信号線GLの上方の第3絶縁膜PASの上面には、前記対向電圧信号線CL’と他のゲート信号線GLをも被って、透光性の導電膜で形成された対向電圧信号線CLが形成されている。なお、この対向電圧信号線CLは当該画素の対向電極CTと一体に形成されたものである。
【0455】
また、ゲート信号線GLとドレイン信号線DLとで囲まれた画素領域を、画素電極PXと対向電極CTとで2つの領域に区分する構成は図46(a)の場合と同様である。しかし、それら各領域は図46(a)に示す各領域を上下逆にしたパターンとして形成されていることに相違を有する。
【0456】
すなわち、図中y方向に延在する画素電極PXは、薄膜トランジスタTFTとの接続部に近づくにつれ、鈍角(>90°)に広がって、その幅が徐々に大きくなるパターンを有している。一方、対向電極CTはその画素領域の中央部を除く周辺部に形成されるが、各ドレイン信号線DLと重畳されて形成されたそれは、前記薄膜トランジスタTFTの側とは反対側に近づくにつれ、鈍角(>90°)に広がって、その幅が徐々に大きくなるパターンを有している。
【0457】
この場合の、前記画素電極PXの広がり角と対向電極CTの広がり角とはほぼ等しく構成されている。
【0458】
このように構成された画素は、その区分された各領域が図46(a)に示す各領域を上下逆にしたパターンとして形成したものであることから、図46(a)に示した構成の場合と同様の効果を奏する。
【0459】
実施例35.
図49は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図48に対応した図となっている。
【0460】
図48の場合と比較して異なる構成は、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLとで囲まれた画素領域が、画素電極PXと対向電極CTによって4つに区分されていることにある。
【0461】
すなわち、該画素領域の中央をy方向に延在する画素電極PXが配置され、この画素電極PXの一端およびその反対側の他端はそれぞれ、その延在方向に至るに従い徐々に幅が広がるように形成され、それが対向電圧信号線CLの近傍にまで至っている。これにより、該画素電極PXの各端部は放射状に広がる形状をなし、その広がり面の各辺はそれぞれ直線状に延在する部分に対して鈍角(>90°)となっている。
【0462】
一方、当該画素領域を挟む各ドレイン信号線DLを被って形成されるそれぞれの対向電極CTは、そのほぼ中央部において、前記画素電極PX側へ延在する突出部CTpが形成され、この突起部CTpは該画素電極PXに近づくにつれその幅が徐々に狭まる形状をなし、その傾斜面の各辺はそれぞれ直線状に延在する部分に対して鈍角(>90°)となっている。
【0463】
このように構成した場合も、画素領域を画素電極PXと対向電極CTによって区分した各領域は、それぞれ図46(a)に示した構成と同様となり、該構成の説明に示した効果を奏するようになる。
【0464】
また、このように区分された各領域を2つ以上設けることにより、各領域の面積が比較的小さくなり、その内部の画素電極PXと対向電極CTによる電界の強度が大きくなり、応答速度の向上を図ることができる。
【0465】
実施例36.
図50は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す平面図で、図49に対応した図となっている。
【0466】
図49の場合と比較して異なる構成は、画素領域の中央を図中x方向に延在する対向電圧信号線CL’が走行して形成されていることにある。そして、該対向電圧信号線CL’は、たとえばゲート信号線GLの形成の際に同時に形成されるようになっているとともに、対向電極CTの突出部CTpの部分において、第3絶縁膜PAS、第2絶縁膜GI、および第1絶縁膜INSを貫通するスルーホールTHを通して該対向電極CT(対向電圧信号線CL)と接続されている。
【0467】
この対向電圧信号線CL’は金属等の電気的抵抗が比較的小さい材料で形成され、対向電極CTと一体に形成された対向電圧信号線CLの電気抵抗値を低減させるために設けられたものである。
【0468】
このため、対向電極CTおよび対向電圧信号線CLはたとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成してもよいことはいうまでもない。いわゆる画素の開口率をできるだけ向上させるためである。
【0469】
実施例37.
図51は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す図で、図49と対応した図となっている。
【0470】
図49の場合と比較した場合、ドレイン信号線DLとゲート信号線GLとで囲まれた画素領域が、画素電極PXと対向電極CTによって4つに区分されていることは同様であるが、該画素電極PXと対向電極CTのそれぞれのパターンが異なっている。
【0471】
すなわち、当該画素領域の中央をy方向に延在する画素電極PXは、そのほぼ中央部において、該画素電極PXを挟んで配置される各対向電極CTの側へ延在する突出部PXpが形成され、この突起部PXpは各対向電極CTに近づくにつれその幅が徐々に狭まる形状をなし、その傾斜面は直線状に延在する部分に対して鈍角(>90°)となっている。
【0472】
一方、当該画素領域を挟む各ドレイン信号線DLを被って形成されるそれぞれの対向電極CTは、それら各端部で対向電圧信号線CLと接続する部分において、放射状に広がるの形状をなし、その広がり面は直線状に延在する部分に対して鈍角(>90°)となっている。
【0473】
このように構成した場合も、画素領域を画素電極PXと対向電極CTによって区分した各領域は、それぞれ図46(a)に示した構成と同様となり、該構成の説明に示した効果を奏するようになる。
【0474】
また、このように区分された各領域を2つ以上設けることにより、各領域の面積が比較的小さくなり、その内部の画素電極PXと対向電極CTによる電界の強度が大きくなり、応答速度の向上を図ることができる。
【0475】
実施例38.
図52は、本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す図で、図50と対応した図となっている。
【0476】
図50の場合と比較して異なる構成は、画素領域の中央を図中x方向に延在する対向電圧信号線CL’が走行して形成されていることにある。そして、該対向電圧信号線CL’は、たとえばゲート信号線GLの形成の際に同時に形成されるようになっている。この場合、画素電極PXの下方の突出部PXpの下方において、該突出部PXpからはみ出さない程度に若干その幅が広く形成されている。該対向電圧信号線CL’の電気的抵抗をできるだけ低減させようとする配慮からである。
【0477】
この対向電圧信号線CL’は、液晶表示部ARの外側の領域で対向電圧信号線CLと接続され、該対向電圧信号線CLの電気抵抗値を低減させるために設けられたものである。
【0478】
このため、対向電極CTおよび対向電圧信号線CLはたとえば、ITO (Indium Tin Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、IZO (Indium Zinc Oxide)、SnO2(酸化スズ)、In2O3(酸化インジウム)等の透光性の導電層で構成してもよいことはいうまでもない。いわゆる画素の開口率をできるだけ向上させるためである。
【0479】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。
【0480】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明による液晶表示装置によれば、液晶の応答速度を向上させた画素を有するようにすることができる。
また、画素の開口率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液晶表示装置の一実施例を示す等価回路図である。
【図2】本発明による液晶表示装置の一実施例を示す概念図である。
【図3】図2に示すスイッチング回路SW1の一実施例を示す具体的な回路図、及び動作図である。
【図4】図2に示すスイッチング回路SW2の一実施例を示す具体的な回路図である。
【図5】図2に示すスイッチング回路SW1の他の実施例を示す具体的な回路図、及び動作図である。
【図6】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す図で、上述したスイッチング回路を駆動回路に組み込んだドライバを示す図である。
【図7】前記ドライバの配置状態を示した図である。
【図8】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す図で、走査信号駆動回路側のスイッチング回路SW1に対向電圧信号線を切り替えるスイッチング回路SW2を組み込んだ回路図である。
【図9】図8に示す回路のタイミング動作図である。
【図10】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、対向電圧信号線の断線に対する修復可能な構成を示す図である。
【図11】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、隣接するドレイン信号線に極性の同じ映像信号を供給することを示す図である。
【図12】隣接するドレイン信号線に極性の異なる映像信号を供給した場合の不都合を示す説明図である。
【図13】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、複数の対向電圧信号線に同時に対向電圧信号を供給する構成を示した図である。
【図14】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、透明基板面におけるドライバの配置を示した図である。
【図15】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、複数の対向電圧信号線に同時に対向電圧信号を供給する場合に、それら複数の対向電圧信号線がループ状に構成したことを示した図である。
【図16】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、対向電圧信号を同時に供給する複数の対向電圧信号線において、それら対向電圧信号線が入れ湖状となっている実施例を示した図である。
【図17】本発明による液晶表示装置の画素の一実施例を示す構成図である。
【図18】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図19】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図20】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図21】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図22】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図23】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図24】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図25】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図26】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図27】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、共通電極駆動回路の周辺を示す回路図とその説明図である。
【図28】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、外部からの画像信号を各ドライバを介して出力するまでの制御を示すフローチャートおよびその説明図である。
【図29】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、各ドライバの配置等を示した図である。
【図30】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、半導体チップからなるゲートドライバおよびコモンドライバをデータ転送配線で接続させた図である。
【図31】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、TCP方式の半導体装置からなるゲートドライバおよびコモンドライバをデータ転送配線で接続させた図である。
【図32】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、半導体チップからなるゲートドライバおよびコモンドライバをデータ転送配線で接続させる場合の具体的構成を示す図である。
【図33】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、半導体チップからなるゲートドライバおよびコモンドライバをデータ転送配線で接続させる場合の他の具体的構成を示す図である。
【図34】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す説明図で、一つの回路から走査信号および対向電圧信号を送出させる場合の信号波形を示した図である。
【図35】本発明による液晶表示装置であって、一つの回路から走査信号および対向電圧信号を送出させる場合のスイッチの切り替え動作を示した図である。
【図36】本発明による液晶表示装置であって、一つの回路から走査信号および対向電圧信号を送出させる場合のスイッチの他の切り替え動作を示した図である。
【図37】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、外部からの画像信号を各ドライバを介して出力するまでの制御を示すフローチャートおよびその説明図である。
【図38】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路が組み込まれていることを示した図である。
【図39】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路が組み込まれていることを示した図である。
【図40】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路が 組み込まれていることを示した図である。
【図41】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路が組み込まれていることを示した図である。
【図42】本発明による液晶表示装置の他の実施例を示す構成図で、静電気対策用の回路に組み込まれる双方向性ダイオードの構成を示した図である。
【図43】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す説明図で、その基本的条件を示した図である。
【図44】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図45】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図46】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図47】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図48】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図49】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図50】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図51】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図52】本発明による液晶表示装置の画素の他の実施例を示す構成図である。
【図53】従来の液晶表示装置の一例を示す等価回路図である。
【符号の説明】
SUB…透明基板、AR…液晶表示部、GL…ゲート信号線、DL…ドレイン信号線、CL…対向電圧信号線、V…走査信号駆動回路、He…映像信号駆動回路、Cm…共通電極駆動回路、PX…画素電極、CT…対向電極、Cstg…容量素子、TFT…薄膜トランジスタ、SW1、SW2…スイッチング回路、GD…ゲートドライバ、DD…ドレインドライバ、CD…コモンドライバ、INS…第1絶縁膜、GI…第2絶縁膜、PAS…第3絶縁膜、TH…スルーホール、BM…ブラックマトリクス、BSD…双方向性ダイオード、FVL…フローティング電圧線、EAD…初期配向方向、PAE…画素の区分された領域。
Claims (13)
- 画素領域に区分された第1の領域と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極により囲まれて領域が形成され、
第1と第2の電極はそれぞれ長い第1の電極部分と短い第2の電極部分とを有し、
第1の電極部分と第2の電極部分は鈍角となる関係を有して接続され、
前記第1の電極と第2の電極それぞれの第2の電極部分は各領域内で互いに最も遠い辺になるように配置されていて、
前記鈍角が第1の領域と第2の領域で異なる側に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。 - それぞれの前記鈍角が初期配向方向に対して異なる側に位置づけられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 画素領域に区分された第1と第2の領域を有し、
各領域は第1と第2の電極を有し、
かつ、第1と第2の電極が平行に延在して主領域と第1と第2の電極が徐々に近接する補助領域を有し、
補助領域は画素領域の両端に配置され、かつ、それぞれ逆方向に徐々に近接するように配置され、
前記第1の領域と第2の領域はほぼ線対称に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 画素領域内に、画素電極とこの画素電極との間に電界を生じせしめる対向電極とを備え、かつ、これら画素電極と対向電極とで囲まれた少なくとも2つの区分領域を備え、
これら区分領域のそれぞれは菱形状をなし、これら区分領域ほぼ液晶初期配向方向に対して線対称となって背中合わせに形成され、
これら各区分領域は、それぞれ一方の区分領域と背中合わせになる第1辺とこの第1辺の一方向側の端部にてこの第1辺と鈍角の開きを有して交差する第2辺とが前記画素電極と対向電極のうち一方の電極によって縁取られて形成されるとともに、
前記第1辺と平行となる第3辺とこの第3辺と前記一方向側と反対側の端部にて該第3辺と鈍角の開きを有して交差する第4辺とが前記画素電極と対向電極のうち他方の電極によって縁取られて形成されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 各区分領域の第1辺と第3辺のそれぞれの長さは該第1辺と第3辺の距離より大きく設定されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
- 画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
- 各区分領域の第1辺を縁取る電極は各区分領域における共通の電極として構成されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
- 線対称に背中合わせに形成された各区分領域は液晶初期配向方向に沿って複数形成され、これら各区分領域の第1辺と第2辺とを縁取る電極は一体として構成され、かつ、第3辺と第4辺とを縁取る電極は一体として構成されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
- 画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第2辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
- 画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、各区分領域の第4辺は前記ドレイン信号線の映像信号線の供給側に位置づけられていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
- 各区分領域の第1辺および第2辺を縁取る電極は画素電極であり、第3辺および第4辺を縁取る電極は対向電極であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
- 画素電極は薄膜トランジスタを介してドレイン信号線からの映像信号が供給され、該ドレイン信号線は液晶初期配向方向にほぼ一致付けられて形成されているとともに、前記対向電極は前記ドレイン信号線を絶縁膜を介して被って形成されていることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
- 前記対向電極は透光性の導電層で構成されていることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
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