JP2004271644A - 光ファイバ及びそれを用いた光伝送システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】屈折率n1半径r1のセンターコア、その外周に屈折率n2半径r2の第1サイドコア、その外周に屈折率n3半径r3の第2サイドコア、更にその外側に屈折率n0のクラッド層を持ち、センターコアの屈折率分布パラメータαが3以上で無限大未満であり、それぞれの屈折率はn1>n3>n0>n2の関係にあり、第1サイドコア領域の断面積に相当するr1からr2までの第1サイドコア領域の比屈折率差を積分した値の絶対値が0.62%・μm以下で、波長1300nmでの分散が−10.0ps/nm/km以上−2.5ps/nm/km以下であり、波長1550nmでのコア有効断面積が50μm2以上75μm2以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光通信システムの構築に用いられる光ファイバとそれを用いた光伝送システムに関し、更に詳しくは、波長分割多重(WDM)伝送方式の光伝送システムの構築に用いて好適な光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】
情報化社会の発展により、通信情報量は飛躍的に増大する傾向にあり、これに伴って、光伝送方式では伝送容量を増大させるための研究が行われている。
【0003】
その場合、光伝送路である光ファイバは、使用波長において、その光信号をシングルモードで伝送できることが必要とされる。複数モードが光ファイバ内を伝搬すると、各伝搬モードごとの群速度の差により不可避にモード分散が起こり、信号波形の劣化を招くからである。
【0004】
このようなことから、まず波長1300nm付近に雰分散波長を有するシングルモードファイバ(Single Mode Fiber:SMF)が光伝送路として使用された。このSMFを用いると、波長1300nm付近では、伝送距離を100km以上にすることができ、しかも伝送容量が数百Mbpsの光伝送も可能となった。
【0005】
一方、光ファイバの伝送損失は、波長1550nm付近で最も小さくなる。そのため、損失との関係では、1550nm帯域で光伝送することが好ましいことになる。
【0006】
このような要求に応える光ファイバとして、波長1550nm付近に雰分散波長を有する分散シフトファイバ(Dispersion Shifted Fiber:DSF)が開発された。このDSFは、その断面における屈折率分布のプロファイルが段階型になっているものである。このDSFの開発により、現在では、波長1550nm付近において、伝送容量が数Gbpsの光伝送も可能になった。
【0007】
ところで、最近では、伝送容量の更なる増大を目的として、1本の光ファイバで複数波長の光信号を伝送する波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)伝送方式の研究が進められている。
【0008】
このWDM伝送方式で用いる光ファイバには次のような特性が要求される。
まず、非線形現象の1つである例えば四光波混合(Four Wave Mixing:FWM)の発生を防止するため、使用波長帯域に雰分散波長を存在させないという特性である。
【0009】
このような要求に応える光ファイバとしては、使用波長帯域で雰分散波長を持たないノンゼロ分散シフトファイバ(Non−Zero Dispersion Shifted Fiber:NZDSF)が開発されている。そして、このNZDSFを用いると、FWMは殆ど起こらないので、現在では、WDM伝送方式における最適の光ファイバとして評価されている。
【0010】
また、分散が大きいと信号波形の劣化が生ずるので、分散が小さいことも、WDM伝送方式で用いる光ファイバにとっては重要な特性である。
【0011】
更には、高パワーの導入時には、光ファイバでは例えば自己位相変調や相互位相変調のような他の非線形現象が起こりやすいので、それを抑制するために、コア有効断面積が大きいことも要求される。
【0012】
さて、近年では、伝送容量を増やすことを目的として、1550nm帯と1300nm帯の両方の使用を考慮したファイバも提案されている。(例えば、特許文献1〜特許文献4)
【0013】
【特許文献1】
特開2000‐221352号公報
【特許文献2】
特開2001‐264568号公報
【特許文献3】
米国特許第6396987号
【特許文献4】
米国特許号5905838号
【0014】
特許文献1には、零分散波長が1370nm〜1500nmにあり零分散波長での分散の傾きの絶対値が0.10ps/nm2/km以下であるファイバが開示されている。これによれば、1300nm帯および1550nm帯での四光波混合の発生を防ぐために、長波長帯の中間に零分散波長を位置させるというものである。
【0015】
また、特許文献2には、1550nmでの分散が5〜11ps/nm/kmでかつ、分散を分散の傾きで割った値(DPS)が250〜370nmというファイバが開示されている。
【0016】
また、特許文献3には、1550nmで分散が6ps/nm/km以上10ps/nm/km以下で分散の傾きの絶対値が0.07ps/nm2/km以下、かつコア有効断面積が60μm2以上の光ファイバが開示されている。
【0017】
また、特許文献4には、1310nmと1550nmでの分散の絶対値が1.0ps/nm/km以上8.0ps/nm/km以下、分散の傾きが0.06ps/nm2/km以下である光ファイバが開示されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1では、この開示された値から1300nmと1550nmの分散の取り得る範囲を推定すると、1300nmでは−25ps/nm/km以上、1550nmでは15ps/nm/km以下となる。SMFを1550nm帯で使用する場合、17ps/nm/km程度の分散を補償するためにDCFが必要である。このことから考えて、上記の分散の範囲では、両方の波長帯で良好な特性を持つとはいえない。
【0019】
また、特許文献2では、開示された値から、零分散波長は1300nm付近にあると推定される。これは、SMFに比べても零分散波長が短波側にある。このため、1300nm帯での分散はほぼ0で、この波長帯でWDM伝送を行う場合、四光波混合を起こす可能性が高い。
【0020】
このため、これらの光ファイバは1300nm帯と1550nm帯の両波長帯でWDM伝送に適しているとは言い難い。
【0021】
また、特許文献3では、請求範囲に1300nm帯での特性の記述がなく、1550nm帯での使用を前提としていると考えられる。
【0022】
一方、特許文献4では、図に記載されている1550nmのコア有効断面積はいずれも50μm2以下である。
このように、コア有効断面積が小さい場合は非線形現象が起きる可能性が高い。特に、分散とコア有効断面積はWDM伝送に対してトレードオフの関係にあるため、例えば分散を小さくすると、信号波形の劣化は抑制されるが、他方ではコア有効断面積が小さくなり非線形現象が発生しやすくなる。
【0023】
逆に、コア有効断面積を拡大して非線形現象の発生を抑制すると、その光ファイバの分散が大きくなってしまい、信号波形の劣化が引き起こされてくる。また、光ファイバの曲げ損失は増大し、そのため、その光ファイバを用いてゲーブルを組上げることが困難になる。
【0024】
このような、光ファイバの分散とコア有効断面積のトレードオフの関係は、SMFの波長1550nmでの分散が約17ps/nm/km、コア有効断面積が約75μm2程度なのに対して、DSFではそれらが約0ps/nm/km、約50μm2程度になっていることを一つの例としてあげることができる。このため、分散とコア有効断面積をどのようにバランスさせるかということは、光ファイバの屈折率プロファイルを設計する上で重要な点である。さらに、WDM伝送用光ファイバにおいては、分散のほかに分散の傾きなど他の特性を所望の値に維持させつつ、非線形現象の発生を抑制するためにコア有効断面積を拡大できる屈折率プロファイルの開発が非常に重要になってくる。
【0025】
本発明は、上記した問題を解決し、分散とコア有効断面積を最適にバランスさせ、かつ1300nm帯と1550nm帯の両波長帯で、WDM伝送方式に用いて好適な光ファイバの提供を目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、屈折率n0のクラッド層を持ち、そのクラッド層の中心軸に沿って屈折率n1半径r1のセンターコアがあり、その外周に屈折率n2半径r2の第1サイドコアを持ち、さらにその外周に屈折率n3半径r3の第2サイドコアを持ち、クラッド層の内側に少なくともそれらの3つの層を持つ構造を有し、そのセンターコアのαは3以上、無限大未満であり、それぞれの屈折率がn1>n3>n0>n2の関係を満たす屈折率プロファイルをもつ光ファイバであり、断面の屈折率プロファイルに関して、第1サイドコア領域の断面積に相当するr1からr2までの第1サイドコア領域の比屈折率差を積分した値の絶対値が0.60%μm以下であり、波長1300nmでの分散が−10.0ps/nm/km以上−2.5ps/nm/km以下であり、波長1550nmでのコア有効断面積が50μm2以上75μm2以下であり、使用波長帯で実質的にシングルモード動作をすることを特徴とする光ファイバが提供される。
【0027】
この光ファイバは波長1300nmにおいて、コア有効断面積が33μm2以上65μm2以下であることを特徴とする光ファイバであり、2mの長さの光ファイバを使用して測定したカットオフ波長が1450nm以下であるため、1300nm帯域での光伝送、とりわけWDM伝送方式に使用することができる。
【0028】
また、波長1550nmでの分散が5.0ps/nm/km以上10.0ps/nm/km以下であり、分散の傾きが0.065ps/nm2/km以下であり、零分散波長が1450nm以下であることから1550nmでWDM伝送に適した特徴を持つ。
【0029】
また、直径20mmで曲げたときの波長1550nmにおける曲げ損失が10dB以下であるので、ケーブル化時における側圧による損失の増大を防止できる光ファイバになっている。
【0030】
さらに、本発明においては、上記した特性に加えて、波長1620nmにおける分散が7.5ps/nm/km以上20.0ps/nm/km以下である光ファイバが提供される。この光ファイバは従来のSMFに比べて分散が小さいので、Lバンド帯での光伝送が可能である。
【0031】
また、本発明においては、上記した特性に加えて、1375〜1395nmの波長帯域における損失が0.5dB/km以下である光ファイバが提供される。この光ファイバはラマン増幅を用いたSバンド帯(1460〜1530nm)での伝送も可能にする。
【0032】
屈折率プロファイルのうち、センターコア領域は、その最大屈折率部分における前記クラッド領域に対する比屈折率差が0.45%以上0.6%以下である。また、第1サイドコア領域は、その最小屈折率部分における前記クラッド領域に対する比屈折率差が−0.05%以下である。さらに、第2サイドコア領域のうち、最大屈折率部分における前記クラッド領域に対する比屈折率差は0.45%以下である。
【0033】
更に本発明においては、上記した光ファイバのいずれかを含む光伝送路に、1400〜1650nmの波長帯域で負の分散の傾きを有する分散補償ファイバが接続されていることを特徴とする光伝送システムが提供される。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の光ファイバは、WDM伝送方式に用いることが開発目標になっている。そして、WDM伝送方式に用いる光ファイバに関しては、前記したように、非線形現象の発現を防止するために大きなコア有効断面積を有すること、信号波形の劣化を防ぐために波長分散は小さく、かつゼロではなく、また分散の傾きは大きくないこと、そしてその光ファイバはケーブル化されて敷設されるのであるから、ケーブル化時や敷設時に光損失の増加を起こしにくいこと、などの特性が要求される。
【0035】
上記した要求を満たすために、本発明者らは、開発目標の光ファイバに関しては以下のような特性目標を設定した。
【0036】
(1)まず、WDM伝送方式の実現にとっては、一般に考えられているように、波長1550nmにおけるコア有効断面積を最低でも50μm2以上に、好ましくは60μm2以上にすることが用いる光ファイバにとっては必要である。
【0037】
しかしながら、コア有効断面積を大きくしすぎると、光ファイバの曲げ損失が大きくなるので、波長1550nmにおけるコア有効断面積は最大でも75μm2に規制されるべきである。
【0038】
(2)次に分散に関しては、光信号が光ファイバ中を伝送される間に波形歪みは分散に応じて累積されていくので、長距離伝送に用いる光ファイバの場合ほど、その分散を小さくすることが必要になる。しかしながら、そのような光ファイバを短距離伝送に使用すると、それは過剰性能を示す場合もある。
【0039】
また、1300nm帯域で使用するSMFを1550nm帯域で使用するときの事例が示すように、分散が大きい光ファイバであっても、必要に応じては、その伝送路に分散補償器を介装することにより長距離伝送も可能である。
【0040】
このようなことから、光ファイバに対する分散の制約は、上記したコア有効断面積による制約に比べて大きいとはいえない。しかしながら、そうであるとはいっても、WDM伝送方式で使用する光ファイバの分散は、1300nm帯域で使用するSMFの分散(約17ps/nm/km)よりも小さい値であることが好ましいことはいうまでもない。また、分散の傾きが小さいほど、信号波長による波形歪みの違いが小さいので好ましい。
【0041】
(3)1300nm帯でのWDM伝送を考えた場合、1300nm帯でも絶対値が小さく0ではない分散を持つことが必要である。このため、分散および分散の傾きを1550nm帯と1300nm帯の両方でWDM伝送ができるように定める必要がある。
【0042】
(4)(2)〜(3)に示した分散に関する条件から、1550nmおよび1300nmでの分散の絶対値は10ps/nm/km以下に制限される。これより大きい場合は、分散による波形歪みが大きくなる。一方、1550nmでの分散が小さくなると、それにしたがって1300nmでの分散が小さくなる。1300nmでの分散は負であるので、つまり絶対値は大きくなり、1300nmでの伝送に不適となる。このため、1550nmでの分散の値には下限値を設ける必要があり、5ps/nm/kmが適当である。また、1300nmでの分散の上限は(3)で述べたWDM伝送の条件から−2.5ps/nm/kmに制限される。これらの制約から零分散波長は1450nm以下となる。
【0043】
(6)1300nmでのコア有効断面積は、1550nmでの値を50μm以上75μm2以下と定めたことから、コア有効断面積の波長依存性から33μm2以上65μm2以下と決めることができる。しかし、コア有効断面積が小さいとファイバの接続時の損失が大きくなりやすい問題があり、好ましくは38μm以上である。
【0044】
(7)また、WDM伝送方式で使用する光ファイバに関しては、直径20mmで曲げたときに、その曲げ損失を10dB/m以下にすることが必要である。好ましい曲げ損失は5dB/m以下、更に好ましくは2dB/m以下である。これは、ファイバをケーブル化したときや、敷設時あるいは敷設後に掛かる側圧による損失増加、もしくは機器の中でファイバを小さい半径で取り回したときの損失増加を防ぐために重要な規格である。
【0045】
(8)カットオフ波長は測定ファイバの長さが長くなるほど小さくなる。図4は本発明のファイバに対して、2mとケーブル状態に相当する長さ22mでのカットオフ波長の測定値の関係を示したものである。この図に示すように22mのファイバでは2mのファイバに対して200nm小さくなる傾向がある。実際の線路ではさらに長い距離を伝送するので、実際のファイバのカットオフ波長はもっと小さくなるはずである。しかし、実際の線路の長さは様々であるので、22mでの値で代表させることとする。本発明では、1300nm帯での使用を考慮すると22mでのカットオフは1250nm以下である必要がある。このため、ここでは、2mで測定したカットオフ波長の上限を1450nmとする。
【0046】
本発明者らは、このような観点から上記した目標特性を満たすべく、その他の諸特性を考察し、その上で、屈折率プロファイルを探索し、図1で示したような屈折率プロファイルが好適であることを見出した。
【0047】
図1で示した屈折率プロファイルは、センターコア領域1とその外側に円環形状に配置された第1サイドコア領域2と、その外側に円環形状に配置された第2サイドコア領域3、さらにその外側に円環形状に配置されたクラッド領域4を有している。そして、センターコア領域1のクラッド領域4に対する比屈折率差と、第1サイドコア領域2のクラッド領域4に対する比屈折率差、第2サイドコア領域3のクラッド領域4に対する比屈折率差は、それぞれ、Δ1(%)、Δ2(%)、Δ3(%)に、半径はr1(μm)、r2(μm)、r3(μm)なっている。
【0048】
ここで、Δ1(%)、Δ2(%)、Δ3(%)は、各領域の屈折率の絶対値が最も大きい部分に対して図1のように定義される。
【0049】
また、r1、r2は屈折率プロファイルのセンターコアと第1サイドコアをつなぐ線、第1サイドコアと第2サイドコアをつなぐ線のそれぞれがクラッドの屈折率と等しくなる点の位置で定義する。また、r3は第2サイドコアの最大値より外側の部分で屈折率プロファイルの傾きが最も大きい部分の接線Sがクラッドの屈折率と等しくなる点の位置で定義する。ただし、図2のように第2サイドコアに隣接した部分にクラッドより屈折率の低いトレンチ層が存在する場合は、r1と同様に第2サイドコアとトレンチ層をつなぐ線がクラッドの屈折率と等しくなる点をr3とする
【0050】
これらの屈折率プロファイルにおいて、上記したΔ1値は0.45%以上0.6%以下に設定されていることが好ましい。より好ましい範囲は、0.45%以上0.55%以下である。一般に、このΔ1値を大きくすると、分散は小さくなり、またコア有効断面積も小さくなり、逆にΔ1値を小さくすると、コア有効断面積は大きくなるが分散も大きくなり曲げ損失も大きくなる。コア有効断面積と分散に関する前記した設計目標を同時に満たすためには、Δ1値は上記範囲内にあることが好ましい。
【0051】
この前記した1550nmでの分散値は、1300nm帯域に零分散波長をもつSMFに比べて小さい値であるため、本発明の光ファイバは上記した1300nm零分散SMFを用いた場合よりも長距離伝送を可能にする。勿論、必要に応じては、分散補償器を使用することにより、本発明の光ファイバを長距離伝送に使用できることは当然である。
【0052】
また、Δ3が大きくなると、曲げ損失を規格の範囲内に納めようとするとカットオフ波長が大きくなり、使用波長帯において実質的にシングルモードにならなくなる傾向がある。このため、Δ3は0.45%以下に制限される。
【0053】
さらに、Δ2に関しては、負であること、望ましくは−0.05%以下である必要がある。これ以上であると、分散の傾きが大きくなる傾向があること、カットオフ波長が大きくなり、使用波長帯でシングルモード動作をしなくなることがある。
【0054】
分散の傾きやコア有効断面積の大きさに関しては、第1サイドコアの幅に当たる(r2− r1)を調整しても、Δ2を調整したときと同様の結果が得られることがある。特に、Δ2を浅くしたときは第1サイドコアの幅を広げることで、分散の傾きやコア有効断面積の大きさをほぼ一定の値に維持することができる。この点に着目して、r1から r2までの比屈折率差を積分した値の絶対値を「第1サイドコアの断面積」として導入する。単位は%・μmである(以下%・μmを単に%μmと記す)。
【0055】
図5は、実施例6のプロファイルをもとに、Δ2と(r2− r1)を様々に変化させて、この第1サイドコアの断面積とコア有効断面積の関係を調査したものである。これらの図から、コア有効断面積が50μm2以上になるには第1サイドコアの断面積は0.75%μm以下である必要がある。さらに様々なパラメータの屈折率プロファイルに関して同様な調査を行ったところ0.60%μm以下であれば特性を満たすことがわかった。
【0056】
ちなみに、前記特許文献4に記載の図から第1サイドコアの断面積を推定すると、いずれも0.61%μm以上であり、図に明記されたコア有効断面積は50μm2以下となっている。
【0057】
屈折率分布パラメータα値を小さくすると、曲げ損失を規格の範囲内に納めようとするとカットオフ波長が大きくなり、特に、2より小さい場合は使用波長帯において実質的にシングルモードにならなくなる傾向がある。このため、屈折率分布パラメータαは3以上である必要がある。さらに、屈折率分布パラメータαが小さい場合は、屈折率分布パラメータαの変動によって特性が大きく変動してしまう。このため屈折率分布パラメータαは4以上が望ましい。
【0058】
しかし屈折率分布パラメータαが無限大つまり完全な矩形の場合は、第1サイドコアの比屈折率差が負であるため、センターコアと第1サイドコアの界面の屈折率変化が大きくなる。このため界面の粘度差が大きくなり歪みが生じ、これがガラスの構造欠陥を誘起し伝送損失を増加させる恐れがある。このため、屈折率分布パラメータαの無限大は避けるべきである。
【0059】
本発明のファイバでは、1550nmにおけるコア有効断面積が50μm2以上75μm2以下に設定されるため、曲げ損失が小さく非線形現象の発現が抑制できる。そして、1550nm帯での分散が5.0ps/nm/km以上、10.0ps/nm/km以下であるため、FWMが抑制できると共にDWM伝送に適したファイバが提供できる。
【0060】
また、1550nmでの分散の傾きは、0.065ps/nm2/km以下に設定されるため、1550nm帯での波長帯域を広く取れるだけでなく、1300nmでの分散の絶対値を小さくすることができる。
【0061】
このため、本発明の光ファイバは、波長1300nmにおける分散が−10.0ps/nm/km以上になっている。この値は、前記したファイバに比べて小さい値であるため、本発明の光ファイバは1300nm帯域の信号光の伝送路として使用することができる。その場合、本発明の光ファイバのコア有効断面積は、波長1300nmにおいて33μm2以上65μm2以下に設定される。
【0062】
また、本発明の光ファイバは、波長1620nmにおける分散が7.5ps/nm/km以上20.0ps/nm/km以下になっている。この値は、上記した1300nm零分散SMFに比べて小さく、Lバンド伝送に使用することができる。
【0063】
以上の特性は、図1で示した屈折率分布のプロファイルにおいて、基本的には、中心のコア領域1と第1サイドコア領域2、第2サイドコア領域3の形状とそれらの3つの領域の外径にあたる2r3で規定されている。
【0064】
したがって、本発明の光ファイバにおける屈折率分布のプロファイルは、図1で示したものに限定されるわけではなく、上記した特性を発現するものであれば、例えば図2、3で示したように、図1の構造の外側にトレンチ層を設けたプロファイルであってもよい。
【0065】
しかしながら、屈折率プロファイル構造が簡単であり、したがってその製造も容易で製造歩留まりも高いという点で、図1で示した屈折率プロファイルであることが好ましい。
【0066】
本発明の光ファイバは、例えばVAD法やMCVD法で光ファイバ母材を製造し、それを透明ガラス化したのち線引きして製造することができる。
【0067】
とくに、VAD法で光ファイバ母材を製造し、それを含ハロゲンガス雰囲気で透明ガラス化すると、得られた光ファイバは、波長1390nmにおけるOH吸収ピークが小さくなり、具体的には、波長1390nmにおける損失が0.5dB/km以下の光ファイバになる。このような光ファイバは、Sバンド帯でラマン増幅を使用するシステムに用いることができる。
【0068】
さらに、OH吸収ピークの高さが0.1dB/km以下の場合は、1390nm付近の波長帯も伝送に使用できるため、より好ましい。
【0069】
また、本発明の光ファイバは1400〜1650nmの波長帯域で正の波長分散の傾きを有しているが、この光ファイバで構築した光伝送路に、負の分散の傾きを有する分散補償器を接続することにより、分散補償線路を構成することができる。
【0070】
【実施例】
以下に実施例1〜7及び比較例1〜3を記す。
図1で示した屈折率プロファイルを有する各種の光ファイバを製造し、その特性を調査した。屈折率プロファイルの構造パラメータと特性は一括して表1に示した。カットオフ波長は2mのファイバで測定したものである。
【0071】
【表1】
【0072】
表1から明らかなように、実施例1〜7の光ファイバは、いずれも、1500nm帯と1300nm帯で使用可能な特性を備えているが、比較例1〜3の光ファイバは実施例に比べて劣る点を持っている。
【0073】
以下、比較例と実施例の特徴的な点について述べる。
実施例2,7は実施例1に対してΔ1が大きくなっており、このため分散が小さくなっている。特に実施例2は、1300nmでの分散の値が請求範囲の下限であり、Δ1がこれ以上大きくなると、範囲を満たさなくなる。
【0074】
逆に、実施例3は実施例1に対してΔ1が小さくなっており、このため分散が大きくなっている。特に1550nmでの分散は請求範囲の上限であり、Δ1がこれ以上小さくなると、範囲を満たさなくなることは明かである。
【0075】
また、実施例2と実施例3を比較すると、実施例3では1550nmの分散が9.9ps/nm/km、コア有効断面積が65.4μm2であるのに対して、実施例2では5.5ps/nm/km、コア有効断面積が50.0μm2となっている。これから、コア有効断面積を大きくして非線形効果を抑制しようとしても、分散が大きくなることで信号歪みが大きくなってしまうことがわかる。それ故、分散とコア有効断面積をうまくバランスさせることが重要である。
【0076】
実施例4は実施例1に対してΔ2が小さくなっているため、分散の傾きが小さくなっている。
【0077】
実施例5は実施例1に対してΔ3が大きくなっており、このためカットオフ波長が大きくなっている。この例ではカットオフ波長は請求範囲の中にあるものの、実施例1の値との比較から、これ以上Δ3が大きくなると、範囲を満たさなくなることは明かである。
【0078】
さらに、実施例6は実施例1に対してΔ2が大きくなっており、このため分散の傾きとカットオフ波長が大きくなっている。カットオフ波長と1550nmでの分散の傾きは請求範囲の中にあるものの、実施例1の値との比較から、更にΔ2が大きくなると、範囲を満たさなくなることは明かである。
【0079】
屈折率分布パラメータα値が小さい比較例1は、カットオフ波長が1570nmと大きいため、1300nm帯でシングルモード動作をしないと考えられ、この波長帯での伝送には適さない。
【0080】
比較例2は実施例6よりΔ1とΔ2を大きくしたものである。この例では、実施例6に比べてΔ1を大きくすることでΔ2が大きくなったことによるカットオフ波長の増大は抑えることができているが、分散の傾きが大きくなり、請求範囲から外れている。このため、1550nmでの分散値は所望の値にもかかわらず、1300nmの分散は所望の範囲から外れている。このことから、1550nmの分散の傾きを、0.065ps/nm/km以下にしなければ、1550nmと1300nmで所望の分散値を取ることは難しいことが理解できる。
【0081】
比較例3は、コア有効断面積を大きくすることを目的としてaを小さくしたものである。2r3を小さくすることで、コア有効断面積を77.1μm2と大きくすることができるが、分散の傾きと曲げ損失が大きくなり、所望の範囲を外れている。このため、コア有効断面積は、他の特性とのバランスを考慮して大きくても75μm2以下に制限される必要がある。
【0082】
実施例7
実施例1の光ファイバと、図6で示した分散特性を有する分散補償光ファイバを接続した。後者の長さは、前者の長さの約1/15とした。
【0083】
そしてこの接続線路の分散特性を図7に示した。図7から明らかなように、1530〜1625nmの波長帯域で、残留する分散は−1.0〜1.0ps/nm/kmになっていて、形成された接続線路では分散が良好に補償されている。
【0084】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の光ファイバは、1300nm帯と1550nm帯での伝送が可能な特性を備えている。
【0085】
本発明の光ファイバを用いることにより、伝送容量の大きな伝送システムの構築が可能となるので、その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバ屈折率分布プロファイルの一実施例を示す概略図である。
【図2】本発明の光ファイバ屈折率分布プロファイルの他の実施例を示す概略図である。
【図3】本発明の光ファイバ屈折率分布プロファイルの更に他の実施例を示す概略図である。
【図4】本発明の光ファイバのカットオフ波長の測定条長依存性を示す特性図である。
【図5】本発明の光ファイバのコア有効断面積の第1サイドコアの断面積依存性を示す特性図である。
【図6】負の分散の傾きをもつ分散補償ファイバの分散特性図である。
【図7】本発明の光ファイバと図5の分散補償ファイバを接続した線路の分散特性図である。
【符号の説明】
1 中心のコア領域
2 第1サイドコア領域
3 第2サイドコア領域
4 トレンチ領域
5 クラッド領域
Claims (11)
- 屈折率n0のクラッド層を持ち、そのクラッド層の中心軸に沿って屈折率n1半径r1のセンターコアがあり、その外周に屈折率n2半径r2の第1サイドコアを持ち、さらにその外周に屈折率n3半径r3の第2サイドコアを持ち、クラッド層の内側に少なくともそれらの3つの層を持つ構造を有し、センターコアは屈折率分布パラメータαが3以上で無限大未満であり、それぞれの屈折率はn1>n3>n0>n2の関係にある光ファイバにおいて、
断面内の屈折率プロファイルに関して、第1サイドコア領域の断面積に相当するr1からr2までの第1サイドコア領域の比屈折率差を積分した値の絶対値が0.60μm以下であり
波長1300nmでの分散が−10.0ps/nm/km以上−2.5ps/nm/km以下であり、波長1550nmでのコア有効断面積が50μm2以上75μm2以下であり、使用波長帯で実質的にシングルモード動作をすることを特徴とする光ファイバ。 - 波長1300nmにおけるコア有効断面積が33μm2以上65μm2以下であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
- 波長1550nmでの分散が、5.0ps/nm/km以上10.0ps/nm/km以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光ファイバ。
- 零分散波長が1450nm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載の光ファイバ。
- 波長1550nmにおける分散の傾きが、0.065ps/nm2/km以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1に記載の光ファイバ。
- 2mの長さにおけるカットオフ波長が1450nm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1に記載の光ファイバ。
- 波長1550nmにおける直径20mmで曲げたときの曲げ損失が10dB/m以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1に記載の光ファイバ。
- 波長1620nmにおける分散が7.5ps/nm/km以上20.0ps/nm/km以下であることを特徴とする光ファイバ請求項1ないし請求項7のいずれか1に記載の光ファイバ。
- 1375〜1395nmの波長帯域における損失が0.5dB/km以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1に記載の光ファイバ。
- センターコアの比屈折率差Δ1が0.45%以上0.6%以下、第1サイドコアの比屈折率差Δ2が−0.05%以下、第2サイドコアの比屈折率差Δ3が0.45%以下であることを特徴とする光ファイバ請求項1ないし請求項9のいずれか1に記載の光ファイバ。
- 請求項1ないし10に記載の光ファイバを含む光伝送路に、1400〜1650nmの波長帯域で負の分散と負の分散の傾きを有する分散補償ファイバが接続されていることを特徴とする光伝送システム。
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