JP2004269675A - ボンディングシートおよびそれから得られるフレキシブル金属張積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着性、特に90度剥離方向での接着性を改良できるボンディングシートおよびそれを用いて得られる金属張積層板を提供する。
【解決手段】ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けたボンディングシートであって、前記ポリイミドフィルムが、その前駆体であるポリアミド酸を部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、アミド酸部位をイミド化して得られたことを特徴とする、ボンディングシート、並びに該ボンディングシートに金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けたボンディングシートであって、前記ポリイミドフィルムが、その前駆体であるポリアミド酸を部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、アミド酸部位をイミド化して得られたことを特徴とする、ボンディングシート、並びに該ボンディングシートに金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イミド化を完結させる前に処理を行って得たポリイミドフィルムに接着層を設けたボンディングシートおよびこれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板に関する。更に詳しくは、イミド化を完結させる前にチタン化合物により処理を行って得たポリイミドフィルムに接着層を設けたボンディングシートおよびこれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板であって、好ましくは25℃の環境下で90度剥離した際に接着強度が8N/cm以上であるフレキシブル金属張積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、これに伴って電子機器に用いられる電子部品に対しても小型化、軽量化の要請が高まっている。上記要請を受けて電子部品に用いられる素材についても、耐熱性、機械的強度、電気特性等の諸物性が求められており、半導体素子パッケージ方法やそれらを実装する配線板にも、より高密度、高機能、かつ高性能なものが求められるようになっている。フレキシブルプリント配線板(以下、FPCという)に関しては、細線加工、多層形成等が行われるようになり、FPCに直接部品を搭載する部品実装用FPC、両面に回路を形成した両面FPC、複数のFPCを積層して層間を配線でつないだ多層FPCなどが出現してきた。一般にFPCは柔軟で薄いベースフィルム上に回路パターンを形成し、その表面にカバー層を施した構成を有している。上述のようなFPCを得るためには、その材料として用いられる絶縁接着剤や絶縁有機フィルムの高性能化が必要となっている。具体的には、高い耐熱性、機械強度を有し、加工性、接着性、低吸湿性、電気特性、寸法安定性に優れることが求められている。これに対し、現在接着層として用いられているエポキシ樹脂やアクリル樹脂は、低温加工性或いは作業性が優れるものの、その他の特性については不十分である問題がある。
【0003】
上記問題を解決するために、接着層にもポリイミド材料を用いた二層FPCが提案されている。ポリイミド系接着材料は、エポキシ樹脂等の熱硬化性接着材料に対し、耐熱性、電気的信頼性、機械強度の点において優れている。従って、今後FPCに対する要求特性が厳しくなっていくに従い、二層FPCの比率が高まっていくと考えられる。
【0004】
しかしながら、一般的にポリイミドは接着性に劣る傾向がある。そのため、従来の熱硬化性樹脂を接着層に使用するFPCの場合においても、ベースフィルムとして使用するポリイミドフィルム(以下、コアフィルムとも言う。)には、コロナ処理、プラズマ処理などを施すことによってフィルム表面の活性化処理を行い、前記接着層とベースフィルムとの接着性を向上させる手段がとられているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記と同様に、接着層にポリイミド系材料を用いた二層FPCの場合においても、接着性の点で不安が残るが、これを改善するため、接着層もしくは金属箔表面にアルコキシシランなどのカップリング剤を塗布する方法(例えば、特許文献2参照)、或いはコアフィルム層ならびに接着層の組成を選定し、更にプラズマ処理を行って接着強度を向上させる方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。しかし、前者の場合、カップリング剤を塗布・乾燥させる工程が新たに必要となるため、工程全体が煩雑となる問題がある。また後者の場合、180度剥離方向での接着強度は向上するが、90度剥離方向での接着強度の改善が不十分であるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−3338号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平7−137196号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2002−317159号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、接着性、特に90度剥離方向での接着性を改良できるボンディングシート、及びそれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、ボンディングシートの接着層とコアフィルム層の界面(以下、A/PI界面ともいう。)における接着強度が不十分な場合、フレキシブル金属張積層板の90度剥離方向での金属箔に対する接着強度が低くなることを見出した。更に、イミド化を完結させる前に処理を行って得たポリイミドフィルムに接着層を設けてボンディングシートとした場合、上記問題が改善され、金属箔に対する接着強度、特に90度剥離方向における接着強度を大幅に向上させることができることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち本発明の第1は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けたボンディングシートであって、前記ポリイミドフィルムが、その前駆体であるポリアミド酸を部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、アミド酸部位をイミド化して得られたことを特徴とする、ボンディングシートに関する。
【0012】
好ましい実施態様は、前記ポリイミドフィルムが、その前駆体であるポリアミド酸をイミド化率50〜95%となるように部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、アミド酸部位をイミド化して得られたことを特徴とする、前記のボンディングシートに関する。
【0013】
更に好ましい実施態様は、前記ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける方法が、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液をポリイミドフィルムに塗布した後、該ポリアミド酸をイミド化することを特徴とする、前記何れかに記載のボンディングシートに関する。
【0014】
更に好ましい実施態様は、前記熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が、加熱によりイミド化されることを特徴とする、前記のボンディングシートに関する。
【0015】
更に好ましい実施態様は、前記ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける方法が、熱可塑性ポリイミドを含有するシートをポリイミドフィルムに貼り合わせることを特徴とする、前記何れかに記載のボンディングシートに関する。
【0016】
本発明の第2は、前記何れかに記載のボンディングシートに金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板に関する。
【0017】
好ましい実施態様は、金属箔とボンディングシートの接着強度が、25℃の環境下で90度剥離した際に8N/cm以上であることを特徴とする、前記のフレキシブル金属張積層板に関する。
【0018】
更に好ましい実施態様は、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて金属箔とボンディングシートを貼り合わせて得られることを特徴とする、前記何れかに記載のフレキシブル金属張積層板に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。
【0020】
本発明にかかるボンディングシートは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を部分的にイミド化して得たフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、残りのアミド酸部位をイミド化して得られたポリイミドフィルムをコアフィルムとして使用し、該フィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けてなることを特徴とする。
【0021】
前記コアフィルムの原料となるポリアミド酸については、特に制限は無く、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。その製造に関しては、従来公知の原料や反応条件等を用いることができる(例えば、後述する実施例参照)。
【0022】
前記ポリアミド酸は、例えば、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的に等モル量となるように有機溶媒中に溶解させて得られた溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造することができる。なお、前記ポリアミド酸溶液は、適当な分子量と溶液粘度が得られる傾向がある点から、通常ポリアミド酸固形分として15〜25重量%の濃度に調整されることが好ましい。
【0023】
前記コアフィルムに用いる酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、 p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)が例示されるが、中でも得られるポリイミドフィルムの弾性率、線膨張係数、吸水率のバランスの点から、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を用いることが好ましい。これらの酸二無水物は、単独または、任意の割合で混合して用いることができる。
【0024】
一方、前記コアフィルムに用いるジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンが例示されるが、中でも得られるポリイミドフィルムの弾性率、線膨張係数、吸水率のバランスの点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びp−フェニレンジアミンを用いることが好ましい。これらのジアミンは、単独または、任意の割合で混合して用いることができる。
【0025】
更に、前記有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが例示されるが、中でも沸点、汎用性の点から、N,N−ジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。これらの有機溶媒は、単独または、任意の割合で混合して用いることができる。
【0026】
一般に、ポリイミドはその前駆体であるポリアミド酸をイミド化することにより得られるが、イミド化には、熱キュア法及びケミカルキュア法のいずれを用いてもよい。なお、熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法であり、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸溶液に、化学的転化剤及び/又は触媒とを作用させてイミド化を促進する方法である。
【0027】
前記化学的転化剤とはポリアミド酸に対する脱水閉環剤を意味し、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’− ジアルキルカルボジイミド、ハロゲン化低級脂肪族、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物、またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。中でも入手の容易性、コストの点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族無水物、またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。
【0028】
また、前記触媒とはポリアミド酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分を意味し、例えば、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。中でも触媒としての反応性の点から、複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用いられる。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等が好ましく用いられる。イミド化を効果的に行うためには、化学的転化剤に触媒を併用して用いることが好ましい。
【0029】
上記熱キュア法若しくはケミカルキュア法を単独で、或いはケミカルキュア法と熱キュア法を併用してイミド化することもできる。中でも、フィルムの靭性、破断強度、及び生産性の点から、ケミカルキュアによりイミド化することが好ましい。イミド化の反応条件は特に制限されず、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ、熱キュア法及び/またはケミカルキュア法の選択等により、変動し得る。
【0030】
本発明においては、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、ポリアミド酸部位をポリイミドに転化し、場合によっては該フィルムを乾燥して本発明に係るボンディングシートのコアフィルムを得ることができる。なお、本発明においては、前記チタン化合物を塗布する態様として、通常の塗布に加えて、例えば、部分的にイミド化したフィルムをチタン化合物を含有する溶液に浸漬し、場合によってはフィルム表面に残存する余分な液滴を取り除くことにより、塗布するような態様も含まれるものとする。
【0031】
本発明に係るチタン化合物は、有機または無機化合物であるかを問わず特に限定されないが、例えば、塩化物、臭化物等のハロゲン化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、縮合リン酸塩等を例示することができる。更に、チタン原子との配位結合を形成し得る有機化合物を有する有機チタン化合物であってもよい。チタン原子との配位結合を形成し得る有機化合物としては、例えば、ジアミン、ジホスフィン等の中性分子やアセチルアセトナートイオン、カルボン酸イオン、ジチオカルバミン酸イオン等を有する有機化合物、またポリフィリン等の環状配位子等が挙げられる。これらの有機チタン化合物は、カップリング剤あるいは金属塩の形態で与えられうる。前記チタン化合物は、フィルム作製時において長時間安定した状態を保つ点から、熱重量分析による熱分解温度が100℃から250℃の範囲にあるものが好ましい。この範囲を外れるものは接着性向上の効果を発現しにくい傾向がある。
【0032】
前記有機チタン化合物の具体的な例として、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ブチルチタネートダイマー、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンオクチレングリコレート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ジヒドロキシチタンビスラクテート等が例示される。中でも、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートあるいはジヒドロキシチタンビスラクテートが、入手の容易性、コスト、安定性のバランスの点から最も好ましい。
【0033】
本発明におけるチタン化合物を含有する溶液とは、厳密にチタン化合物が溶解したものを意味するものではなく、チタン化合物が、液状、コロイド状、溶液状等の何れの態様で含まれていてもよい。中でも適当な溶媒に希釈した溶液状態、若しくは液状で用いるのが、作業性、均一性等の観点から、最も好ましい。
【0034】
本発明に係るポリイミドフィルムをコアフィルムとして用いることにより、本発明にかかる接着強度が改良されたボンディングシート、およびそれを用いて得られるフレキシブル金属張積層板を提供することができる。コアフィルムとして上記態様のフィルムを使用した場合、何故接着性が向上するかについては必ずしも明らかではないが、ポリイミドフィルムそのものの表面性が変化していることが影響しているものと考えられる。
【0035】
本発明に係るボンディングシートおよびそれを用いて得られるフレキシブル金属張積層板は、例えば、ポリアミド酸溶液に単にチタン化合物を混合した後に、ポリアミド酸をポリイミドに転化する方法により得られたポリイミドフィルムをコアフィルムとして用いた系と比較し、接着性に寄与するコアフィルム表面のみが選択的に処理されるため、コアフィルムの柔軟性を損なわず、フィルムの脆化が抑制されるという顕著な効果を有する。
【0036】
また、コアフィルムを完全にイミド化した後にチタン化合物で処理を行う系と比較しても、本発明はコアフィルムが部分的にイミド化された状態でチタン化合物による処理を行うため、接着性向上の効果の点で優れるという顕著な効果を有する。
【0037】
次に、部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、加熱乾燥し、ポリイミドフィルムを得る具体例について説明する。
【0038】
前記部分的にイミド化したフィルム、即ちポリアミド酸部位とポリイミド部位が混在するフィルム(以下、この状態のフィルムをゲルフィルムとも言う。)は公知の方法で製造することができる。例えば、ポリアミド酸をガラス板などの支持体上に流延または塗布し、熱的にイミド化することによって、または化学的転化剤及び触媒を低温でポリアミド酸溶液中に混合し、引き続いてこのポリアミド酸溶液を支持体上に流延または塗布し、温和な条件で加熱することによって得ることができる。前記ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有するものであることが好ましい。
【0039】
例えば、下記式(1)から算出される揮発分含量は5〜500%の範囲、好ましくは5〜100%、より好ましくは5〜50%の範囲である。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、該範囲を外れた場合は、接着性向上の効果が発現しにくい。
(A−B)×100/B・・・・式(1)
式(1)中、A及びBは以下のものを表す。
A:ゲルフィルムの重量
B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量
【0040】
更に、赤外線吸光分析法を用いた場合、下記式(2)から算出されるゲルフィルムのイミド化率は、50%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。なお、イミド化率の上限は、接着性向上の効果の点から、95%であることが好ましい。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、外れると接着性向上の効果が発現しにくい。
(C/D)×100/(E/F)・・・・式(2)
式(2)中、C、D、E、Fは以下のものを表す。
C:ゲルフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さ
D:ゲルフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さ
E:ポリイミドフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さ
F:ポリイミドフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さ
【0041】
本発明において、前記ゲルフィルムに塗布されるチタン化合物を含有する溶液に使用される溶剤は、特に制限無く、水、トルエン、テトラヒドロフラン、2−プロパノール、1−ブタノール、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセチルアセトンなどが使用可能である。これらの溶剤を2種類以上混合して使用しても良い。本発明において、汎用性、取り扱い性の点から、N,N−ジメチルホルムアミド、1−ブタノール、および水が特に好ましく用いられ得る。なお、該溶液に含有されるチタン化合物の濃度は、フィルム表面へのチタン化合物の塗布量の点から、0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%が好適である。
【0042】
上記ゲルフィルムに、チタン化合物を含有する溶液を塗布する方法は、当業者に公知の方法を用い得るが、例えば、グラビアコート、スプレーコート、ナイフコーター等が利用可能であり、塗布量の制御や均一性の観点より、グラビアコーターが特に好ましく用いられ得る。塗布量としては0.1g/m2〜100g/m2が好ましく、更には1g/m2〜10g/m2が好適であり、この範囲を外れると、接着性向上の効果とフィルム外観のバランスを両立しにくい傾向がある。
【0043】
また本発明において、塗布の一態様である、チタン化合物を含有する溶液に浸漬する場合は特に制限はなく、一般的なディプコート法が利用し得る。具体的には、該溶液を入れた槽に上記ゲルフィルムを連続的に、またはバッチで浸すことにより行われる。浸漬時間は1〜100秒であるのが好ましく、更には1〜20秒がより好適であり、この範囲を外れると、接着性向上の効果とフィルム外観のバランスを両立しにくい傾向がある。
【0044】
なお、前記ゲルフィルムは、チタン化合物を含有する溶液を塗布した後、フィルム表面の余分な液滴を除去する工程を加えることが、フィルム表面にムラのない外観の優れたポリイミドフィルムを得ることができるので好ましい。液滴の除去は、ニップロールによる液絞り、エアナイフ、ドクターブレード、拭き取り、吸い取りなどの公知の方法が利用可能であり、フィルムの外観、液切り性、作業性等の観点より、ニップロールが特に好ましく用いられ得る。
【0045】
前記チタン化合物を含有する溶液を塗布したゲルフィルムを支持体から剥離し、端部を固定して硬化時の収縮を回避しながら乾燥し、水、残留溶媒、残存転化剤及び触媒を除去し、ポリアミド酸を完全にポリイミドに転化する。このようにして、本発明に係るボンディングシートに用いられるポリイミドフィルムを得ることができる。
【0046】
残留揮発分を完全に除去し、更にポリアミド酸を完全にポリイミドに転化する方法は特に制限はなく、常法に従い、熱キュア法においてもケミカルキュア法においても、段階的、連続的に加熱して行うことができるが、最終的に短時間の高温加熱を用いるのが好ましい。具体的には、最終的に500〜580℃の温度で15〜400秒程度加熱するのが好ましい。この温度より高い場合及び/または時間が長い場合は、フィルムの熱劣化が起こり問題が生じる場合がある。逆にこの温度より低い場合及び/または時間が短い場合は、イミド化が十分に行われないため、充分なフィルム機械物性もしくは接着性が発現しないことがある。
【0047】
例えば、上記種々の方法で得られるポリイミドフィルムは、公知の方法により、無機あるいは有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤や酸化防止剤を添加しても良い。
【0048】
本発明に係るボンディングシートの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。
【0049】
また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
【0050】
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体となるポリアミド酸は、上記ポリイミドフィルムと同様に、従来公知の原料や反応条件等を用いて得ることができる(例えば、後述する実施例参照)。前記ポリアミド酸をイミド化する方法についても同様に、熱キュア法及び/又はケミカルキュア法を用いることができる。
【0051】
本発明に係るボンディングシートの製造方法としては、コアフィルムとなるポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、又は接着層をシート状に成形し、これを上記コアフィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示され得る。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、コアフィルム上に上記接着層を設けることが困難となることがある。従って、該観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を調製して、これをコアフィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。この時のイミド化の方法としては、熱キュア法若しくはケミカルキュア法のどちらも用いることができるが、ケミカルキュア法は接着層を熱劣化させずに化学的転化剤等を除去する加熱条件を設定しなくてはならない場合があるという点から、熱キュア法によりイミド化する方がより好ましい。また、前記ポリアミド酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。またボンディングシート各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。
【0052】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板は、上記ボンディングシートに金属箔を貼り合わせることにより得られる。使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
【0053】
本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。ボンディングシートと金属箔の貼り合わせ方法としては、例えば、単板プレスによるバッチ処理、熱ロールラミネート或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理が挙げられるが、生産性、維持費も含めた設備コストの点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を使用した方法がより好ましい。ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
【0054】
上記熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えるものであれば特に限定されず、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等を好適に用いることができる。中でも、耐熱性、リサイクル性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムがより好ましく用いられる。
【0055】
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
【0056】
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、ボンディングシートのガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、ボンディングシートのTg+100℃以上がより好ましい。Tg+50℃以上の温度であれば、ボンディングシートと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。またTg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。
【0057】
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。
【0058】
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
【0059】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、ボンディングシートや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
【0060】
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
【0061】
本発明のフレキシブル金属張積層板は、上述したようにチタン化合物を含有する溶液で処理を行ったコアフィルムを使用することにより、金属箔とボンディングシートとの接着強度を向上させることが可能となる。具体的には、25℃の環境下で90度剥離した際に8N/cm以上の接着強度を発現することが可能となる。接着強度がこの値以上であれば、フレキシブル金属張積層板としての使用に問題がないと考えられ、好ましい。
【0062】
本発明に係るボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板は、例えば、電子機器の配線板等の用途に好適に用いることができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
実施例及び比較例における金属箔引き剥し強度の評価法は次の通りである。
【0065】
(金属箔の引き剥がし強度)
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、90度および180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。測定後、サンプルの金属箔剥離面を光学顕微鏡で直接観察することにより、剥離界面を確認した。
【0066】
実施例1〜5および比較例1〜4において、ボンディングシートに用いられるポリイミドコアフィルム、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、次の合成例1〜8のいずれかに従って合成した。
【0067】
(合成例1;コアフィルムの合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)を795g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAという)を64.6g、p−フェニレンジアミン(以下、PDAという)を11.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAという)を91.9g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。1.9gのPMDAを35gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が5000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0068】
上記ポリアミド酸溶液90gに無水酢酸17gとイソキノリン2gを混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を110℃で4分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は30%であり、イミド化率は90%であった。
【0069】
上記ゲルフィルムに、チタン元素濃度100ppmのジヒドロキシチタンビスラクテート/イソプロピルアルコール溶液をスプレーコート方式で余分な液がフィルムに付着しないように塗布した後、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0070】
(合成例2;コアフィルムの合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを795g、ODAを40.7g、PDAを14.7g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、PMDAを37.0g、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下、TMHQという)を74.6g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。3.1gのPMDAを35gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が5000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0071】
上記ポリアミド酸溶液90gに無水酢酸17gとイソキノリン2gを混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を110℃で4分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は30%であり、イミド化率は95%であった。
【0072】
上記ゲルフィルムに、チタン元素濃度100ppmのジヒドロキシチタンビスラクテート/イソプロピルアルコール溶液をスプレーコート方式で余分な液がフィルムに付着しないように塗布した後、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0073】
(合成例3;コアフィルムの合成)
合成例1と同様の手順でゲルフィルムを得た後、これをチタン化合物の溶液を塗布せずに、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。得られたポリイミドフィルムに、下記条件でプラズマ処理を施した。
・雰囲気ガス種:アルゴン/ヘリウム/窒素=10/5/1
・処理密度:1391w・min/m2
【0074】
(合成例4;コアフィルムの合成)
合成例2と同様の手順でゲルフィルムを得た後、これをチタン化合物の溶液を塗布せずに、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。得られたポリイミドフィルムに、合成例3と同様にしてプラズマ処理を施した。
【0075】
(合成例5;コアフィルムの合成)
合成例1と同様の手順でゲルフィルムを得た後、これをチタン化合物の溶液を塗布せずに、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。得られたポリイミドフィルムに、チタン元素濃度100ppmのジヒドロキシチタンビスラクテート/イソプロピルアルコール溶液をスプレーコート方式で余分な液がフィルムに付着しないように塗布した後、120℃で5分間加熱した。
【0076】
(合成例6;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量1000mlのガラス製フラスコにDMFを650g、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPという)を82.1g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAという)を22.6g徐々に添加した。続いて、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGという)を49.2g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。4.1gのTMEGを35gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0077】
(合成例7;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量1000mlのガラス製フラスコにDMFを600g、BAPPを82.1g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を53.0g徐々に添加した。続いて、TMEGを4.1g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。4.1gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0078】
(合成例8;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量1000mlのガラス製フラスコにDMFを740g、BAPPを128.9g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDAを99.1g徐々に添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのBTDAを30gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0079】
(実施例1)
合成例6で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、合成例1で得られたポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて380℃で20秒間加熱してイミド化を行い、ボンディングシートを得た。
【0080】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度260℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0081】
(実施例2)
合成例6で得られたポリアミド酸溶液80gを冷却、攪拌しながら、これに無水酢酸12.3g、イソキノリン5.2g、DMF4.7gの混合溶液を添加した。添加後の溶液をアルミ箔上に流延塗布した後、115℃で4分間加熱を行い、自己支持性のゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを150℃、220℃、250℃で各2分間加熱して溶媒除去とイミド化を行い、熱可塑性ポリイミドのシートを得た。
【0082】
得られた熱可塑性ポリイミドのシートを合成例1で得られたポリイミドフィルムの両側に配し、さらにその両側に保護材料(100μm厚PTFEシート、ニトフロン;日東電工社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度250℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるボンディングシートを作製した。
【0083】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度260℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0084】
(実施例3)
合成例6で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、合成例2で得られたポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて380℃で20秒間加熱してイミド化を行い、ボンディングシートを得た。
【0085】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度260℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0086】
(実施例4)
合成例7で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、合成例1で得られたポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて380℃で20秒間加熱してイミド化を行い、ボンディングシートを得た。
【0087】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度300℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0088】
(実施例5)
合成例8で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、合成例1で得られたポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて380℃で20秒間加熱してイミド化を行い、ボンディングシートを得た。
【0089】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度280℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0090】
上記の実施例で得られたフレキシブル金属張積層板の評価結果を表1に示す。なお、表1内の剥離界面の記載にある「凝集破壊」とは接着層の凝集破壊を示し、「A/PI」とはA/PI界面での剥離を示す。本発明のフレキシブル金属張積層板は、180度剥離試験だけでなく90度剥離試験においても、優れた接着性を示した。剥離界面はA/PIから接着層の凝集破壊となっており、この90度剥離試験での接着性向上は、A/PI界面の接着強度が向上したことが影響していると考えられる。
【0091】
(比較例1)
合成例3で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は、実施例1と同様の手順に従い、ボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0092】
(比較例2)
合成例3で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は、実施例2と同様の手順に従い、ボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0093】
(比較例3)
合成例4で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は、実施例3と同様の手順に従い、ボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0094】
(比較例4)
合成例5で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は、実施例1と同様の手順に従い、ボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0095】
比較例1〜3に示すように、コアとなるポリイミドフィルムにチタン化合物による処理を施さなかった場合、180度剥離試験における接着強度は、実施例に近い値若しくはやや劣る結果となり、90度剥離試験における接着強度は、実施例の値より大幅に低下する結果となった。また、完全にイミド化された後にチタン化合物で処理を施したコアフィルムを使用した比較例4では、180度剥離試験では実施例とほぼ同様の接着強度を示すものの、90度剥離試験では接着強度が劣る結果となった。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】
本発明に係るボンディングシートは、イミド化を完結する前にチタン化合物により処理を施して得られたポリイミドフィルムをコアフィルムとし、これに接着層を設けることにより得られる。該ボンディングシートに金属箔を貼り合わせて得られる本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、180度剥離方向だけでなく90度剥離方向においても高い接着強度を有する。具体的には、25℃の環境下で90度剥離した際の接着強度が8N/cm以上とすることも可能である。
【0098】
本発明に係るボンディングシートは、コアフィルムの作製途中にチタン化合物による処理を行うため、コアフィルムの製造工程中に組み込むことが可能である。そのため、接着強度を向上させる手段として一般的に使用されているカップリング剤塗布のように、新たな工程を追加する必要が無く、生産性の点で有効である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、イミド化を完結させる前に処理を行って得たポリイミドフィルムに接着層を設けたボンディングシートおよびこれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板に関する。更に詳しくは、イミド化を完結させる前にチタン化合物により処理を行って得たポリイミドフィルムに接着層を設けたボンディングシートおよびこれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板であって、好ましくは25℃の環境下で90度剥離した際に接着強度が8N/cm以上であるフレキシブル金属張積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、これに伴って電子機器に用いられる電子部品に対しても小型化、軽量化の要請が高まっている。上記要請を受けて電子部品に用いられる素材についても、耐熱性、機械的強度、電気特性等の諸物性が求められており、半導体素子パッケージ方法やそれらを実装する配線板にも、より高密度、高機能、かつ高性能なものが求められるようになっている。フレキシブルプリント配線板(以下、FPCという)に関しては、細線加工、多層形成等が行われるようになり、FPCに直接部品を搭載する部品実装用FPC、両面に回路を形成した両面FPC、複数のFPCを積層して層間を配線でつないだ多層FPCなどが出現してきた。一般にFPCは柔軟で薄いベースフィルム上に回路パターンを形成し、その表面にカバー層を施した構成を有している。上述のようなFPCを得るためには、その材料として用いられる絶縁接着剤や絶縁有機フィルムの高性能化が必要となっている。具体的には、高い耐熱性、機械強度を有し、加工性、接着性、低吸湿性、電気特性、寸法安定性に優れることが求められている。これに対し、現在接着層として用いられているエポキシ樹脂やアクリル樹脂は、低温加工性或いは作業性が優れるものの、その他の特性については不十分である問題がある。
【0003】
上記問題を解決するために、接着層にもポリイミド材料を用いた二層FPCが提案されている。ポリイミド系接着材料は、エポキシ樹脂等の熱硬化性接着材料に対し、耐熱性、電気的信頼性、機械強度の点において優れている。従って、今後FPCに対する要求特性が厳しくなっていくに従い、二層FPCの比率が高まっていくと考えられる。
【0004】
しかしながら、一般的にポリイミドは接着性に劣る傾向がある。そのため、従来の熱硬化性樹脂を接着層に使用するFPCの場合においても、ベースフィルムとして使用するポリイミドフィルム(以下、コアフィルムとも言う。)には、コロナ処理、プラズマ処理などを施すことによってフィルム表面の活性化処理を行い、前記接着層とベースフィルムとの接着性を向上させる手段がとられているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記と同様に、接着層にポリイミド系材料を用いた二層FPCの場合においても、接着性の点で不安が残るが、これを改善するため、接着層もしくは金属箔表面にアルコキシシランなどのカップリング剤を塗布する方法(例えば、特許文献2参照)、或いはコアフィルム層ならびに接着層の組成を選定し、更にプラズマ処理を行って接着強度を向上させる方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。しかし、前者の場合、カップリング剤を塗布・乾燥させる工程が新たに必要となるため、工程全体が煩雑となる問題がある。また後者の場合、180度剥離方向での接着強度は向上するが、90度剥離方向での接着強度の改善が不十分であるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−3338号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平7−137196号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2002−317159号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、接着性、特に90度剥離方向での接着性を改良できるボンディングシート、及びそれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、ボンディングシートの接着層とコアフィルム層の界面(以下、A/PI界面ともいう。)における接着強度が不十分な場合、フレキシブル金属張積層板の90度剥離方向での金属箔に対する接着強度が低くなることを見出した。更に、イミド化を完結させる前に処理を行って得たポリイミドフィルムに接着層を設けてボンディングシートとした場合、上記問題が改善され、金属箔に対する接着強度、特に90度剥離方向における接着強度を大幅に向上させることができることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち本発明の第1は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けたボンディングシートであって、前記ポリイミドフィルムが、その前駆体であるポリアミド酸を部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、アミド酸部位をイミド化して得られたことを特徴とする、ボンディングシートに関する。
【0012】
好ましい実施態様は、前記ポリイミドフィルムが、その前駆体であるポリアミド酸をイミド化率50〜95%となるように部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、アミド酸部位をイミド化して得られたことを特徴とする、前記のボンディングシートに関する。
【0013】
更に好ましい実施態様は、前記ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける方法が、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液をポリイミドフィルムに塗布した後、該ポリアミド酸をイミド化することを特徴とする、前記何れかに記載のボンディングシートに関する。
【0014】
更に好ましい実施態様は、前記熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が、加熱によりイミド化されることを特徴とする、前記のボンディングシートに関する。
【0015】
更に好ましい実施態様は、前記ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける方法が、熱可塑性ポリイミドを含有するシートをポリイミドフィルムに貼り合わせることを特徴とする、前記何れかに記載のボンディングシートに関する。
【0016】
本発明の第2は、前記何れかに記載のボンディングシートに金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板に関する。
【0017】
好ましい実施態様は、金属箔とボンディングシートの接着強度が、25℃の環境下で90度剥離した際に8N/cm以上であることを特徴とする、前記のフレキシブル金属張積層板に関する。
【0018】
更に好ましい実施態様は、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて金属箔とボンディングシートを貼り合わせて得られることを特徴とする、前記何れかに記載のフレキシブル金属張積層板に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。
【0020】
本発明にかかるボンディングシートは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を部分的にイミド化して得たフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、残りのアミド酸部位をイミド化して得られたポリイミドフィルムをコアフィルムとして使用し、該フィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けてなることを特徴とする。
【0021】
前記コアフィルムの原料となるポリアミド酸については、特に制限は無く、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。その製造に関しては、従来公知の原料や反応条件等を用いることができる(例えば、後述する実施例参照)。
【0022】
前記ポリアミド酸は、例えば、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的に等モル量となるように有機溶媒中に溶解させて得られた溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造することができる。なお、前記ポリアミド酸溶液は、適当な分子量と溶液粘度が得られる傾向がある点から、通常ポリアミド酸固形分として15〜25重量%の濃度に調整されることが好ましい。
【0023】
前記コアフィルムに用いる酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、 p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)が例示されるが、中でも得られるポリイミドフィルムの弾性率、線膨張係数、吸水率のバランスの点から、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を用いることが好ましい。これらの酸二無水物は、単独または、任意の割合で混合して用いることができる。
【0024】
一方、前記コアフィルムに用いるジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンが例示されるが、中でも得られるポリイミドフィルムの弾性率、線膨張係数、吸水率のバランスの点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びp−フェニレンジアミンを用いることが好ましい。これらのジアミンは、単独または、任意の割合で混合して用いることができる。
【0025】
更に、前記有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが例示されるが、中でも沸点、汎用性の点から、N,N−ジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。これらの有機溶媒は、単独または、任意の割合で混合して用いることができる。
【0026】
一般に、ポリイミドはその前駆体であるポリアミド酸をイミド化することにより得られるが、イミド化には、熱キュア法及びケミカルキュア法のいずれを用いてもよい。なお、熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法であり、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸溶液に、化学的転化剤及び/又は触媒とを作用させてイミド化を促進する方法である。
【0027】
前記化学的転化剤とはポリアミド酸に対する脱水閉環剤を意味し、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’− ジアルキルカルボジイミド、ハロゲン化低級脂肪族、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物、またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。中でも入手の容易性、コストの点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族無水物、またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。
【0028】
また、前記触媒とはポリアミド酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分を意味し、例えば、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。中でも触媒としての反応性の点から、複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用いられる。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等が好ましく用いられる。イミド化を効果的に行うためには、化学的転化剤に触媒を併用して用いることが好ましい。
【0029】
上記熱キュア法若しくはケミカルキュア法を単独で、或いはケミカルキュア法と熱キュア法を併用してイミド化することもできる。中でも、フィルムの靭性、破断強度、及び生産性の点から、ケミカルキュアによりイミド化することが好ましい。イミド化の反応条件は特に制限されず、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ、熱キュア法及び/またはケミカルキュア法の選択等により、変動し得る。
【0030】
本発明においては、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、ポリアミド酸部位をポリイミドに転化し、場合によっては該フィルムを乾燥して本発明に係るボンディングシートのコアフィルムを得ることができる。なお、本発明においては、前記チタン化合物を塗布する態様として、通常の塗布に加えて、例えば、部分的にイミド化したフィルムをチタン化合物を含有する溶液に浸漬し、場合によってはフィルム表面に残存する余分な液滴を取り除くことにより、塗布するような態様も含まれるものとする。
【0031】
本発明に係るチタン化合物は、有機または無機化合物であるかを問わず特に限定されないが、例えば、塩化物、臭化物等のハロゲン化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、縮合リン酸塩等を例示することができる。更に、チタン原子との配位結合を形成し得る有機化合物を有する有機チタン化合物であってもよい。チタン原子との配位結合を形成し得る有機化合物としては、例えば、ジアミン、ジホスフィン等の中性分子やアセチルアセトナートイオン、カルボン酸イオン、ジチオカルバミン酸イオン等を有する有機化合物、またポリフィリン等の環状配位子等が挙げられる。これらの有機チタン化合物は、カップリング剤あるいは金属塩の形態で与えられうる。前記チタン化合物は、フィルム作製時において長時間安定した状態を保つ点から、熱重量分析による熱分解温度が100℃から250℃の範囲にあるものが好ましい。この範囲を外れるものは接着性向上の効果を発現しにくい傾向がある。
【0032】
前記有機チタン化合物の具体的な例として、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ブチルチタネートダイマー、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンオクチレングリコレート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ジヒドロキシチタンビスラクテート等が例示される。中でも、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートあるいはジヒドロキシチタンビスラクテートが、入手の容易性、コスト、安定性のバランスの点から最も好ましい。
【0033】
本発明におけるチタン化合物を含有する溶液とは、厳密にチタン化合物が溶解したものを意味するものではなく、チタン化合物が、液状、コロイド状、溶液状等の何れの態様で含まれていてもよい。中でも適当な溶媒に希釈した溶液状態、若しくは液状で用いるのが、作業性、均一性等の観点から、最も好ましい。
【0034】
本発明に係るポリイミドフィルムをコアフィルムとして用いることにより、本発明にかかる接着強度が改良されたボンディングシート、およびそれを用いて得られるフレキシブル金属張積層板を提供することができる。コアフィルムとして上記態様のフィルムを使用した場合、何故接着性が向上するかについては必ずしも明らかではないが、ポリイミドフィルムそのものの表面性が変化していることが影響しているものと考えられる。
【0035】
本発明に係るボンディングシートおよびそれを用いて得られるフレキシブル金属張積層板は、例えば、ポリアミド酸溶液に単にチタン化合物を混合した後に、ポリアミド酸をポリイミドに転化する方法により得られたポリイミドフィルムをコアフィルムとして用いた系と比較し、接着性に寄与するコアフィルム表面のみが選択的に処理されるため、コアフィルムの柔軟性を損なわず、フィルムの脆化が抑制されるという顕著な効果を有する。
【0036】
また、コアフィルムを完全にイミド化した後にチタン化合物で処理を行う系と比較しても、本発明はコアフィルムが部分的にイミド化された状態でチタン化合物による処理を行うため、接着性向上の効果の点で優れるという顕著な効果を有する。
【0037】
次に、部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、加熱乾燥し、ポリイミドフィルムを得る具体例について説明する。
【0038】
前記部分的にイミド化したフィルム、即ちポリアミド酸部位とポリイミド部位が混在するフィルム(以下、この状態のフィルムをゲルフィルムとも言う。)は公知の方法で製造することができる。例えば、ポリアミド酸をガラス板などの支持体上に流延または塗布し、熱的にイミド化することによって、または化学的転化剤及び触媒を低温でポリアミド酸溶液中に混合し、引き続いてこのポリアミド酸溶液を支持体上に流延または塗布し、温和な条件で加熱することによって得ることができる。前記ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有するものであることが好ましい。
【0039】
例えば、下記式(1)から算出される揮発分含量は5〜500%の範囲、好ましくは5〜100%、より好ましくは5〜50%の範囲である。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、該範囲を外れた場合は、接着性向上の効果が発現しにくい。
(A−B)×100/B・・・・式(1)
式(1)中、A及びBは以下のものを表す。
A:ゲルフィルムの重量
B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量
【0040】
更に、赤外線吸光分析法を用いた場合、下記式(2)から算出されるゲルフィルムのイミド化率は、50%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。なお、イミド化率の上限は、接着性向上の効果の点から、95%であることが好ましい。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、外れると接着性向上の効果が発現しにくい。
(C/D)×100/(E/F)・・・・式(2)
式(2)中、C、D、E、Fは以下のものを表す。
C:ゲルフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さ
D:ゲルフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さ
E:ポリイミドフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さ
F:ポリイミドフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さ
【0041】
本発明において、前記ゲルフィルムに塗布されるチタン化合物を含有する溶液に使用される溶剤は、特に制限無く、水、トルエン、テトラヒドロフラン、2−プロパノール、1−ブタノール、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセチルアセトンなどが使用可能である。これらの溶剤を2種類以上混合して使用しても良い。本発明において、汎用性、取り扱い性の点から、N,N−ジメチルホルムアミド、1−ブタノール、および水が特に好ましく用いられ得る。なお、該溶液に含有されるチタン化合物の濃度は、フィルム表面へのチタン化合物の塗布量の点から、0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%が好適である。
【0042】
上記ゲルフィルムに、チタン化合物を含有する溶液を塗布する方法は、当業者に公知の方法を用い得るが、例えば、グラビアコート、スプレーコート、ナイフコーター等が利用可能であり、塗布量の制御や均一性の観点より、グラビアコーターが特に好ましく用いられ得る。塗布量としては0.1g/m2〜100g/m2が好ましく、更には1g/m2〜10g/m2が好適であり、この範囲を外れると、接着性向上の効果とフィルム外観のバランスを両立しにくい傾向がある。
【0043】
また本発明において、塗布の一態様である、チタン化合物を含有する溶液に浸漬する場合は特に制限はなく、一般的なディプコート法が利用し得る。具体的には、該溶液を入れた槽に上記ゲルフィルムを連続的に、またはバッチで浸すことにより行われる。浸漬時間は1〜100秒であるのが好ましく、更には1〜20秒がより好適であり、この範囲を外れると、接着性向上の効果とフィルム外観のバランスを両立しにくい傾向がある。
【0044】
なお、前記ゲルフィルムは、チタン化合物を含有する溶液を塗布した後、フィルム表面の余分な液滴を除去する工程を加えることが、フィルム表面にムラのない外観の優れたポリイミドフィルムを得ることができるので好ましい。液滴の除去は、ニップロールによる液絞り、エアナイフ、ドクターブレード、拭き取り、吸い取りなどの公知の方法が利用可能であり、フィルムの外観、液切り性、作業性等の観点より、ニップロールが特に好ましく用いられ得る。
【0045】
前記チタン化合物を含有する溶液を塗布したゲルフィルムを支持体から剥離し、端部を固定して硬化時の収縮を回避しながら乾燥し、水、残留溶媒、残存転化剤及び触媒を除去し、ポリアミド酸を完全にポリイミドに転化する。このようにして、本発明に係るボンディングシートに用いられるポリイミドフィルムを得ることができる。
【0046】
残留揮発分を完全に除去し、更にポリアミド酸を完全にポリイミドに転化する方法は特に制限はなく、常法に従い、熱キュア法においてもケミカルキュア法においても、段階的、連続的に加熱して行うことができるが、最終的に短時間の高温加熱を用いるのが好ましい。具体的には、最終的に500〜580℃の温度で15〜400秒程度加熱するのが好ましい。この温度より高い場合及び/または時間が長い場合は、フィルムの熱劣化が起こり問題が生じる場合がある。逆にこの温度より低い場合及び/または時間が短い場合は、イミド化が十分に行われないため、充分なフィルム機械物性もしくは接着性が発現しないことがある。
【0047】
例えば、上記種々の方法で得られるポリイミドフィルムは、公知の方法により、無機あるいは有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤や酸化防止剤を添加しても良い。
【0048】
本発明に係るボンディングシートの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。
【0049】
また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
【0050】
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体となるポリアミド酸は、上記ポリイミドフィルムと同様に、従来公知の原料や反応条件等を用いて得ることができる(例えば、後述する実施例参照)。前記ポリアミド酸をイミド化する方法についても同様に、熱キュア法及び/又はケミカルキュア法を用いることができる。
【0051】
本発明に係るボンディングシートの製造方法としては、コアフィルムとなるポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、又は接着層をシート状に成形し、これを上記コアフィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示され得る。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、コアフィルム上に上記接着層を設けることが困難となることがある。従って、該観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を調製して、これをコアフィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。この時のイミド化の方法としては、熱キュア法若しくはケミカルキュア法のどちらも用いることができるが、ケミカルキュア法は接着層を熱劣化させずに化学的転化剤等を除去する加熱条件を設定しなくてはならない場合があるという点から、熱キュア法によりイミド化する方がより好ましい。また、前記ポリアミド酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。またボンディングシート各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。
【0052】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板は、上記ボンディングシートに金属箔を貼り合わせることにより得られる。使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
【0053】
本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。ボンディングシートと金属箔の貼り合わせ方法としては、例えば、単板プレスによるバッチ処理、熱ロールラミネート或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理が挙げられるが、生産性、維持費も含めた設備コストの点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を使用した方法がより好ましい。ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
【0054】
上記熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えるものであれば特に限定されず、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等を好適に用いることができる。中でも、耐熱性、リサイクル性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムがより好ましく用いられる。
【0055】
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
【0056】
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、ボンディングシートのガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、ボンディングシートのTg+100℃以上がより好ましい。Tg+50℃以上の温度であれば、ボンディングシートと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。またTg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。
【0057】
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。
【0058】
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
【0059】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、ボンディングシートや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
【0060】
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
【0061】
本発明のフレキシブル金属張積層板は、上述したようにチタン化合物を含有する溶液で処理を行ったコアフィルムを使用することにより、金属箔とボンディングシートとの接着強度を向上させることが可能となる。具体的には、25℃の環境下で90度剥離した際に8N/cm以上の接着強度を発現することが可能となる。接着強度がこの値以上であれば、フレキシブル金属張積層板としての使用に問題がないと考えられ、好ましい。
【0062】
本発明に係るボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板は、例えば、電子機器の配線板等の用途に好適に用いることができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
実施例及び比較例における金属箔引き剥し強度の評価法は次の通りである。
【0065】
(金属箔の引き剥がし強度)
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、90度および180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。測定後、サンプルの金属箔剥離面を光学顕微鏡で直接観察することにより、剥離界面を確認した。
【0066】
実施例1〜5および比較例1〜4において、ボンディングシートに用いられるポリイミドコアフィルム、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、次の合成例1〜8のいずれかに従って合成した。
【0067】
(合成例1;コアフィルムの合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)を795g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAという)を64.6g、p−フェニレンジアミン(以下、PDAという)を11.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAという)を91.9g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。1.9gのPMDAを35gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が5000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0068】
上記ポリアミド酸溶液90gに無水酢酸17gとイソキノリン2gを混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を110℃で4分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は30%であり、イミド化率は90%であった。
【0069】
上記ゲルフィルムに、チタン元素濃度100ppmのジヒドロキシチタンビスラクテート/イソプロピルアルコール溶液をスプレーコート方式で余分な液がフィルムに付着しないように塗布した後、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0070】
(合成例2;コアフィルムの合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを795g、ODAを40.7g、PDAを14.7g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、PMDAを37.0g、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下、TMHQという)を74.6g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。3.1gのPMDAを35gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が5000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0071】
上記ポリアミド酸溶液90gに無水酢酸17gとイソキノリン2gを混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を110℃で4分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は30%であり、イミド化率は95%であった。
【0072】
上記ゲルフィルムに、チタン元素濃度100ppmのジヒドロキシチタンビスラクテート/イソプロピルアルコール溶液をスプレーコート方式で余分な液がフィルムに付着しないように塗布した後、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0073】
(合成例3;コアフィルムの合成)
合成例1と同様の手順でゲルフィルムを得た後、これをチタン化合物の溶液を塗布せずに、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。得られたポリイミドフィルムに、下記条件でプラズマ処理を施した。
・雰囲気ガス種:アルゴン/ヘリウム/窒素=10/5/1
・処理密度:1391w・min/m2
【0074】
(合成例4;コアフィルムの合成)
合成例2と同様の手順でゲルフィルムを得た後、これをチタン化合物の溶液を塗布せずに、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。得られたポリイミドフィルムに、合成例3と同様にしてプラズマ処理を施した。
【0075】
(合成例5;コアフィルムの合成)
合成例1と同様の手順でゲルフィルムを得た後、これをチタン化合物の溶液を塗布せずに、300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。得られたポリイミドフィルムに、チタン元素濃度100ppmのジヒドロキシチタンビスラクテート/イソプロピルアルコール溶液をスプレーコート方式で余分な液がフィルムに付着しないように塗布した後、120℃で5分間加熱した。
【0076】
(合成例6;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量1000mlのガラス製フラスコにDMFを650g、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPという)を82.1g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAという)を22.6g徐々に添加した。続いて、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGという)を49.2g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。4.1gのTMEGを35gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0077】
(合成例7;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量1000mlのガラス製フラスコにDMFを600g、BAPPを82.1g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を53.0g徐々に添加した。続いて、TMEGを4.1g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。4.1gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0078】
(合成例8;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量1000mlのガラス製フラスコにDMFを740g、BAPPを128.9g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDAを99.1g徐々に添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのBTDAを30gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0079】
(実施例1)
合成例6で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、合成例1で得られたポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて380℃で20秒間加熱してイミド化を行い、ボンディングシートを得た。
【0080】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度260℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0081】
(実施例2)
合成例6で得られたポリアミド酸溶液80gを冷却、攪拌しながら、これに無水酢酸12.3g、イソキノリン5.2g、DMF4.7gの混合溶液を添加した。添加後の溶液をアルミ箔上に流延塗布した後、115℃で4分間加熱を行い、自己支持性のゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを150℃、220℃、250℃で各2分間加熱して溶媒除去とイミド化を行い、熱可塑性ポリイミドのシートを得た。
【0082】
得られた熱可塑性ポリイミドのシートを合成例1で得られたポリイミドフィルムの両側に配し、さらにその両側に保護材料(100μm厚PTFEシート、ニトフロン;日東電工社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度250℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるボンディングシートを作製した。
【0083】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度260℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0084】
(実施例3)
合成例6で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、合成例2で得られたポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて380℃で20秒間加熱してイミド化を行い、ボンディングシートを得た。
【0085】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度260℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0086】
(実施例4)
合成例7で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、合成例1で得られたポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて380℃で20秒間加熱してイミド化を行い、ボンディングシートを得た。
【0087】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度300℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0088】
(実施例5)
合成例8で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、合成例1で得られたポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて380℃で20秒間加熱してイミド化を行い、ボンディングシートを得た。
【0089】
得られたボンディングシートに18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度280℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0090】
上記の実施例で得られたフレキシブル金属張積層板の評価結果を表1に示す。なお、表1内の剥離界面の記載にある「凝集破壊」とは接着層の凝集破壊を示し、「A/PI」とはA/PI界面での剥離を示す。本発明のフレキシブル金属張積層板は、180度剥離試験だけでなく90度剥離試験においても、優れた接着性を示した。剥離界面はA/PIから接着層の凝集破壊となっており、この90度剥離試験での接着性向上は、A/PI界面の接着強度が向上したことが影響していると考えられる。
【0091】
(比較例1)
合成例3で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は、実施例1と同様の手順に従い、ボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0092】
(比較例2)
合成例3で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は、実施例2と同様の手順に従い、ボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0093】
(比較例3)
合成例4で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は、実施例3と同様の手順に従い、ボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0094】
(比較例4)
合成例5で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は、実施例1と同様の手順に従い、ボンディングシートならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
【0095】
比較例1〜3に示すように、コアとなるポリイミドフィルムにチタン化合物による処理を施さなかった場合、180度剥離試験における接着強度は、実施例に近い値若しくはやや劣る結果となり、90度剥離試験における接着強度は、実施例の値より大幅に低下する結果となった。また、完全にイミド化された後にチタン化合物で処理を施したコアフィルムを使用した比較例4では、180度剥離試験では実施例とほぼ同様の接着強度を示すものの、90度剥離試験では接着強度が劣る結果となった。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】
本発明に係るボンディングシートは、イミド化を完結する前にチタン化合物により処理を施して得られたポリイミドフィルムをコアフィルムとし、これに接着層を設けることにより得られる。該ボンディングシートに金属箔を貼り合わせて得られる本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、180度剥離方向だけでなく90度剥離方向においても高い接着強度を有する。具体的には、25℃の環境下で90度剥離した際の接着強度が8N/cm以上とすることも可能である。
【0098】
本発明に係るボンディングシートは、コアフィルムの作製途中にチタン化合物による処理を行うため、コアフィルムの製造工程中に組み込むことが可能である。そのため、接着強度を向上させる手段として一般的に使用されているカップリング剤塗布のように、新たな工程を追加する必要が無く、生産性の点で有効である。
Claims (8)
- ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けたボンディングシートであって、前記ポリイミドフィルムが、その前駆体であるポリアミド酸を部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、アミド酸部位をイミド化して得られたことを特徴とする、ボンディングシート。
- 前記ポリイミドフィルムが、その前駆体であるポリアミド酸をイミド化率50〜95%となるように部分的にイミド化したフィルムにチタン化合物を含有する溶液を塗布した後、アミド酸部位をイミド化して得られたことを特徴とする、請求項1記載のボンディングシート。
- 前記ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける方法が、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液をポリイミドフィルムに塗布した後、該ポリアミド酸をイミド化することを特徴とする、請求項1又は2に記載のボンディングシート。
- 前記熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が、加熱によりイミド化されることを特徴とする、請求項3記載のボンディングシート。
- 前記ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける方法が、熱可塑性ポリイミドを含有するシートをポリイミドフィルムに貼り合わせることを特徴とする、請求項1又は2に記載のボンディングシート。
- 請求項1乃至5に記載のボンディングシートに金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板。
- 金属箔とボンディングシートの接着強度が、25℃の環境下で90度剥離した際に8N/cm以上であることを特徴とする、請求項6に記載のフレキシブル金属張積層板。
- 一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて金属箔とボンディングシートを貼り合わせて得られることを特徴とする、請求項6又は7に記載のフレキシブル金属張積層板。
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