JP2004259828A - 半導体露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】紫外レーザ光を露光光とする半導体露光装置に含まれる光学素子の光透過率が低下するのを防止することができる半導体露光装置を提供する。
【解決手段】レーザ光源2から射出される光を露光光としてマスクMを照明する照明光学系ISと、鏡筒22内に格納され、前記マスクMのパターン像を感光基板W上に形成する投影光学系PLとを備える半導体露光装置であって、前記鏡筒22内には、フッ素ガスが封入されている。
【選択図】 図1
【解決手段】レーザ光源2から射出される光を露光光としてマスクMを照明する照明光学系ISと、鏡筒22内に格納され、前記マスクMのパターン像を感光基板W上に形成する投影光学系PLとを備える半導体露光装置であって、前記鏡筒22内には、フッ素ガスが封入されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、紫外レーザ光を露光光とした半導体露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の高集積化、高密度化が進んでいる。この半導体集積回路の高集積化、高密度化を実現するために、回路の線幅を更に細く、又は、パターンを更に精細にする必要がある。そのため、半導体回路製造用縮小投影露光装置等についても解像度のますますの向上が求められている。
【0003】
露光装置において解像度を上げるために、露光光源波長としては、これまでにg線(波長436nm)、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)と短波長化してきており、より解像度を上げるために、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)へと、更なる短波長化が進んでいる。
【0004】
ArFエキシマレーザを露光光源とする半導体露光装置においては、光源からウエハまでの間に数十枚にもおよぶ様々な形状・用途の光学素子が配置されており、各光学素子表面にはそれぞれ目的に応じた光学薄膜がコートされている。また、それら光学素子を格納する鏡筒内には、N2ガス等の不活性ガスが流通されている。
【0005】
また、ArFエキシマレーザよりも波長の短い真空紫外波長のF2レーザを露光光源とした半導体露光装置においては、従来レンズ材料として使用されていた石英ガラス及びその他全ての酸化物は光を吸収し透過しないため、F2レーザの波長においても高い光透過性を有するCaF2単結晶の蛍石等がレンズ材料として用いられ、MgF2、AlF3、LaF3、GdF3等の金属フッ化物材料が膜材料として用いられる。また、光学素子等が格納されている鏡筒内には、Heガス若しくはN2ガス等の不活性ガスを流通させることが検討されている。
【0006】
このような半導体露光装置においては、露光装置の設置環境やN2ガス中に含まれる微量の有機物質やアンモニア等の不純物が鏡筒内に導かれてしまい、光学素子表面の薄膜上に付着し、レーザ照射後は重合あるいは固着して、その結果、該光学素子の光透過率が低下する。1台の半導体露光装置において、使用される全光学素子は同一鏡筒内に設置されているので、鏡筒内に存在する不純物で汚染されてほぼ等しく透過率が低下する。ここで、ある光学素子の片側コート面の透過率をTとし汚染による透過率低下量をΔTとすると、この光学素子の汚染後の両面透過率は(T−ΔT)2となる。全光学素子数をn個とすると、全系での透過率低下量は(T−ΔT)2nとなる。従って、レーザ光源から数十枚に及ぶ全光学素子を透過してウエハ上に到達する露光光の光量は、汚染が全くない理想状態と比較して、汚染がある場合には致命的に小さくなってしまう。もちろん、鏡筒内に持ち込まれる不純物量を極力抑える努力をしているが完全にゼロにすることは不可能なので、現実には不純物の重合固着に起因する透過率低下は、値の大小はともあれ必ず生じる問題である。
【0007】
また、水蒸気や酸素ガスは真空紫外光を吸収して透過させないことから、鏡筒内に浮遊するH2O、O2濃度が高いほど全系透過率が低下するため、F2レーザを露光光として用いる露光装置では、鏡筒内へ導入する不活性ガス中に含まれる水蒸気及び酸素ガスを極力少なくして、鏡筒内に残留するH2O、O2を極力少なくする必要がある。更に、比較較的低温で形成された光学薄膜は、バルクと比較して多孔質なので、水蒸気、酸素ガスが膜の隙間から光学薄膜の内部へ侵入して吸着する面積が大きい。H2O、O2の膜内吸着量が多いほど、露光装置の全系透過率は低下する。その上、膜内のH2O吸着面では、膜材料のフッ化物と吸着H2Oとが化学反応して、吸着面に酸化物薄層、水酸化物薄層が形成される。この酸化物薄層、水酸化物薄層は真空紫外光を吸収することから、全系透過率は更に低下する。
【0008】
発明者はこれまでに、光学素子表面にコートされている光学薄膜へのH2O、O2吸着面積を減らすために、光学薄膜を可能な限り緻密な構造にする発明について出願を行っている(特願2001−218045号)。また、H2O、O2の吸着により発生した水酸化物薄層及び酸化物薄層をポストフッ素化反応によりフッ化物に戻し、光学薄膜を加熱処理することにより光学薄膜構造を緻密化し、H2O、O2等の吸着面積を激減させることにより光透過率低下を極力抑える発明についても出願を行っている(特願2001−264512号、特願2002−198165号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の半導体露光装置においては、鏡筒内に水蒸気や酸素ガス等が混入した場合において、これら水蒸気や酸素ガス等は真空紫外光を吸収して透過させず、全系光透過率が低下することから、鏡筒内へのH2O、O2の侵入を極力抑えると共に、鏡筒内に流通させる不活性ガス中に含まれる水蒸気及び酸素ガスを極力減らす必要がある。
【0010】
また、不活性ガス中に含まれる微量の有機物質やアンモニア等の不純物が鏡筒内に導かれてしまい、鏡筒内に格納されている複数の光学素子表面にコートされている光学薄膜上にその有機物質やアンモニア等の不純物が付着し、レーザ照射後に重合あるいは固着して、その結果、該光学素子の光透過率が低下する問題を解消する必要がある。
【0011】
この発明の課題は、紫外レーザ光を露光光とする半導体露光装置に含まれる光学素子の光透過率が低下するのを防止することができる半導体露光装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の半導体露光装置は、レーザ光源から射出される光を露光光としてマスクを照明する照明光学系と、鏡筒内に格納され、前記マスクのパターン像を感光基板上に形成する投影光学系とを備える半導体露光装置であって、前記鏡筒内には、フッ素ガスが封入されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の半導体露光装置は、前記レーザ光源がフッ素レーザ光源であることを特徴とする。
【0014】
この請求項1及び請求項2に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内をフッ素雰囲気にすることにより、鏡筒内に残留する有機物及びアンモニア等の不純物がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こし気化するため、鏡筒に含まれる光学素子及び光学薄膜に不純物が付着することを防ぐことができる。また、レーザ光源がフッ素レーザ光源である場合に使用される光学素子及び光学薄膜はフッ化物材料であるため、光学素子及び光学薄膜がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こすことなく、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0015】
また、請求項3に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒の内側表面から少なくとも20nmまでの部分が、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていることを特徴とする。
【0016】
この請求項3に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内をフッ素雰囲気にした場合に、フッ素雰囲気中のフッ素ガスが鏡筒の内側表面を形成しているニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム、アルミニウム系合金等の金属類と接触して化学反応を起こし、フッ化物を生成する。しかしながら、生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、鏡筒に含まれる光学素子及び光学薄膜を汚染する汚染物質とはなりえない。従って、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0017】
また、請求項4に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒が該鏡筒内にフッ素ガスを供給する鏡筒内フッ素ガス供給部と、該鏡筒内のフッ素ガスを排出する鏡筒内フッ素ガス排出部とを備えることを特徴とする。
【0018】
この請求項4に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことができるため、露光装置を長時間稼動させる場合においても、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0019】
また、請求項5に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒が前記鏡筒内のフッ素ガス濃度を検出する鏡筒内フッ素ガス濃度検出部を備え、前記鏡筒内フッ素ガス濃度検出部より検出されるフッ素ガス濃度検出値が所定値よりも小さい場合に、前記鏡筒内フッ素ガス排出部から前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記鏡筒内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする。
【0020】
この請求項5に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内に封入されているフッ素ガスの濃度に基づいて、フッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共に鏡筒内のフッ素ガスが減少し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0021】
また、請求項6に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒内の汚染物質濃度を検出する鏡筒内汚染物質濃度検出部を備え、前記鏡筒内汚染物質濃度検出部により検出される汚染物質濃度検出値が所定値を超えた場合に、前記鏡筒内フッ素ガス排出部から前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記鏡筒内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする。
【0022】
この請求項6に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内の汚染物質の濃度に基づいて、鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共に鏡筒内の汚染物質が増大し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0023】
また、請求項7に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系が照明光学系格納容器内に格納され、前記照明光学系格納容器内にはフッ素ガスが封入されていることを特徴とする。
【0024】
この請求項7に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内をフッ素雰囲気にすることにより、照明光学格納容器内に残留する有機物及びアンモニア等の不純物がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こし気化するため、照明光学系格納容器に含まれる光学素子及び光学薄膜に汚染物質が付着することを防ぐことができる。従って、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0025】
また、請求項8に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系格納容器の内側表面から少なくとも20nmまでの部分が、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていることを特徴とする。
【0026】
この請求項8に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内をフッ素雰囲気にした場合に、フッ素雰囲気中のフッ素ガスが照明光学系格納容器の内側表面を形成しているニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム、アルミニウム系合金等と接触して化学反応を起こし、フッ化物を生成する。しかしながら、生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、照明光学系に含まれる光学素子及び光学薄膜を汚染する不純物とはなりえない。従って、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0027】
また、請求項9に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系格納容器が該照明光学系格納容器内にフッ素ガスを供給する格納容器内フッ素ガス供給部と、該照明光学系格納容器内のフッ素ガスを排出する格納容器内フッ素ガス排出部とを備えることを特徴とする。
【0028】
この請求項9に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことができるため、露光装置を長時間稼動させる場合においても、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0029】
また、請求項10に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系格納容器内のフッ素ガス濃度を検出する格納容器内フッ素ガス濃度検出部を備え、前記格納容器内フッ素ガス濃度検出部より検出されるフッ素ガス濃度検出値が所定値よりも小さい場合に、前記格納容器内フッ素ガス排出部から前記照明光学系格納容器内にさい場合に、前記格納容器内フッ素ガス排出部から前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記格納容器内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする。
【0030】
この請求項10に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの濃度に基づいて、フッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共に照明光学系格納容器内のフッ素ガスが減少し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0031】
また、請求項11に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系格納容器内の汚染物質濃度を検出する格納容器内汚染物質濃度検出部を備え、前記格納容器内汚染物質濃度検出部により検出される汚染物質濃度検出値が所定値を超えた場合に、前記格納容器内フッ素ガス排出部から前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記格納容器内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする。
【0032】
この請求項11に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内の汚染物質の濃度に基づいて、照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共に照明光学系格納容器内の汚染物質が増大し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0033】
また、請求項12に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒内または前記照明光学系格納容器内に封入されるフッ素ガスが濃度を0.0001〜100パーセントとし、ヘリウムガス,ネオンガス,アルゴンガス,クリプトンガス,キセノンガス及び窒素ガスの中の少なくとも1つのガスを希釈ガスとして用いることを特徴とする。
【0034】
この請求項12に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内または照明光学系格納容器内のフッ素ガスの濃度を0.0001パーセントより低濃度とすると、鏡筒内または照明光学系格納容器内の汚染物質の化学的除去効果を十分に得ることができなくなるため、封入するフッ素ガスの濃度を0.0001〜100パーセントの何れかに設定する。従って、鏡筒内または照明光学系格納容器内に含まれる光学素子及び光学薄膜への汚染物質の付着を防ぐことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。図1は、この実施の形態にかかる半導体露光装置の概略構成を示す図である。
【0036】
図1に示す半導体露光装置は、マスクMを照明するための照明光学系IS、マスクMのパターン像を形成する投影光学系PL、及びフォトレジスト等の感光性樹脂が塗布されているウエハ(感光基板)W、ウエハWを保持するウエハスエージWSを備えている。ここで、照明光学系ISは、真空紫外光であるF2レーザ光(フッ素レーザ光、波長157nm)を供給するレーザ光源部2、コリメートレンズ4、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ6、σ絞り8、ミラー10、コンデンサレンズ系12等により構成されており、照明光学系ISから供給される露光光はマスクMを照明する。マスクMのパターン像は、投影光学系PLを介して、フォトレジストが塗布されたウエハW上に投影露光される。なお、F2レーザ光を供給するレーザ光源部2の代わりに深紫外光であるArFエキシマレーザ光(フッ化アルゴンエキシマレーザ光、波長193nm)を供給するレーザ光源部を用いてもよい。
【0037】
ここで、照明光学系IS及びマスクMは、密閉空間である照明光学系格納容器14内に収容されている。ここで、照明光学系格納容器14は、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されている。なお、照明光学系格納容器14は、内側表面から少なくとも20nmまでの部分がニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていればよい。
【0038】
照明光学系格納容器14の材質をニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金以外の金属とした場合には、フッ素ガスが接することにより、フッ素ガスと反応し揮発性フッ化物が生成され、それら揮発性フッ化物が照明光学系格納容器14内に含まれる光学素子を汚染する不純物となるため、照明光学系格納容器14の材質をニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つとしている。即ち、ステンレスとフッ素ガスを接触させた場合には、反応が進行してCrF5ガスを生成する。CrF5ガスは、光学素子に被覆されている光学薄膜表面に吸着したのち、照明光学系格納容器14内にわずかに存在するH2Oと反応してCr2O3となる。生成されたCr2O3は、光学薄膜表面に固着して、光を吸収する。一方、フッ素はアルミニウムやニッケルとも反応してフッ化アルミニウムやフッ化ニッケルとなるが、これら生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、照明光学系格納容器14内に含まれる光学素子を汚染する物質とはなりえない。
【0039】
また、照明光学系格納容器14には、フッ素ガスが封入されている。なお、封入されるフッ素ガスは、その濃度を0.0001〜100パーセントとし、He(ヘリウム)ガス、Ne(ネオン)ガス、Ar(アルゴン)ガス、Kr(クリプトン)ガス、Xe(キセノン)ガス及びN2(窒素)ガスの中の少なくとも1つのガスを希釈ガスとして用いる。
【0040】
また、照明光学系格納容器14には、格納容器内フッ素ガス置換装置16が接続されている。照明光学系格納容器14は、格納容器内フッ素ガス置換装置16により格納容器内フッ素ガス供給部14aからフッ素ガスが供給され、格納容器内フッ素ガス排出部14bからフッ素ガスが排出されるように構成されている。なお、格納容器内フッ素ガス置換装置16は、照明光学系格納容器14内のフッ素ガスの交換を行なう際、フッ素ガスを安全且つ低環境負荷の状態で排出するために、格納容器内フッ素ガス除害用吸着カラム(図示せず)を備えている。
【0041】
また、照明光学系格納容器14には、格納容器内フッ素ガス濃度検出器18及び格納容器内汚染物質濃度検出器19が接続されている。格納容器内フッ素ガス濃度検出器18により検出された照明光学系格納容器14内のフッ素ガス濃度検出値及び格納容器内汚染物質濃度検出器19により検出された照明光学系格納容器14内の汚染物質濃度検出値が、制御部20に対して出力される。ここで、汚染物質とは、露光装置の設置環境により発生し、または照明光学系格納容器14内に封入されているガス中に含まれる有機物質、アンモニア等の不純物、水蒸気、及び酸素ガス等のことである。
【0042】
制御部20は、格納容器内フッ素ガス濃度検出器18より出力された照明光学系格納容器14内のフッ素ガス濃度検出値が所定の値よりも小さいか否かの判定を行なう。照明光学系格納容器14内のフッ素ガス濃度検出値が所定の値よりも小さいと判定された場合には、制御部20は、格納容器内フッ素ガス置換装置16に対して制御信号の出力を行ない、格納容器内フッ素ガス排出部14bから照明光学系格納容器14内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に格納容器内フッ素ガス供給部14aから新たなフッ素ガスを供給して、照明光学系格納容器14内のフッ素ガスの交換を行なう。
【0043】
また、制御部20は、格納容器内汚染物質濃度検出器19より出力された照明光学系格納容器14内の汚染物質濃度検出値が所定の値より大きいか否かの判定を行なう。照明光学系格納容器14内の汚染物質濃度検出値が所定の値よりも大きいと判定された場合には、制御部20は、格納容器内フッ素ガス置換装置16に対して制御信号の出力を行ない、格納容器内フッ素ガス排出部14bから照明光学系格納容器14内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に格納容器内フッ素ガス供給部14aから新たなフッ素ガスを供給して、照明光学系格納容器14内のフッ素ガスの交換を行なう。
【0044】
また、投影光学系PL、ウエハW、及びウエハステージWSは、密閉空間である鏡筒22に収容されている。ここで、鏡筒22は、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されている。なお、鏡筒22は、内側表面から少なくとも20nmまでの部分がニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていればよい。
【0045】
鏡筒22の材質をニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金以外の金属とした場合には、フッ素ガスが接することにより、フッ素ガスと反応し揮発性フッ化物が生成され、それら揮発性フッ化物が鏡筒22内に含まれる光学素子を汚染する不純物となるため、鏡筒22の材質をニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つとしている。即ち、ステンレスとフッ素ガスを接触させた場合には、反応が進行してCrF5ガスを生成する。CrF5ガスは、光学素子に被覆されている光学薄膜表面に吸着したのち、鏡筒22内にわずかに存在するH2Oと反応してCr2O3となる。生成されたCr2O3は、光学薄膜表面に固着して、光を吸収する。一方、フッ素はアルミニウムやニッケルとも反応してフッ化アルミニウムやフッ化ニッケルとなるが、これら生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、鏡筒22内に含まれる光学素子を汚染する物質とはなりえない。
【0046】
また、鏡筒22には、フッ素ガスが封入されている。なお、封入されるフッ素ガスは、その濃度を0.0001〜100パーセントとし、Heガス、Neガス、Arガス、Krガス、Xeガス及びN2ガスの中の少なくとも1つのガスを希釈ガスとして用いる。
【0047】
また、鏡筒22には、鏡筒内フッ素ガス置換装置24が接続されている。鏡筒22は、鏡筒内フッ素ガス置換装置24により、鏡筒内フッ素ガス供給部22aからフッ素ガスが供給され、鏡筒内フッ素ガス排出部22bからフッ素ガスが排出されるように構成されている。なお、鏡筒内フッ素ガス置換装置24は、鏡筒22内のフッ素ガスの交換を行なう際、フッ素ガスを安全且つ低環境負荷の状態で排出するために、鏡筒内フッ素ガス除害用吸着カラム(図示せず)を備えている。
【0048】
また、鏡筒22には、鏡筒内フッ素ガス濃度検出器26及び鏡筒内汚染物質検出器28が接続されている。鏡筒内フッ素ガス濃度検出器26により検出された鏡筒22内のフッ素ガス濃度検出値及び鏡筒内汚染物質検出器28により検出された鏡筒22内の汚染物質濃度検出値が、制御部20に対して出力される。ここで、汚染物質とは、露光装置の設置環境により発生し、または鏡筒22内に封入されているガス中に含まれる有機物質、アンモニア等の不純物、水蒸気、及び酸素ガス等のことである。
【0049】
制御部20は、鏡筒内フッ素ガス濃度検出器26より出力された鏡筒22内のフッ素ガス濃度検出値が所定の値より小さいか否かの判定を行なう。鏡筒22内のフッ素ガス濃度検出値が所定の値より小さいと判定された場合には、制御部20は、鏡筒内フッ素ガス置換装置24に対して制御信号の出力を行ない、鏡筒内フッ素ガス排出部22bから鏡筒22内のフッ素ガスを排出すると共に鏡筒内フッ素ガス供給部24aから新たなフッ素ガスを供給して、鏡筒22内のフッ素ガスの交換を行なう。
【0050】
また、制御部20は、鏡筒内汚染物質濃度検出器28より出力された鏡筒22内の汚染物質濃度検出値が所定の値を超えているか否かの判定を行なう。鏡筒22内の汚染物質濃度検出値が所定の値を超えていると判定された場合には、制御部20は、鏡筒内フッ素ガス置換装置24に対して制御信号の出力を行ない、鏡筒内フッ素ガス排出部22bから鏡筒22内のフッ素ガスを排出すると共に鏡筒内フッ素ガス供給部24aから新たなフッ素ガスを供給して、鏡筒22内のフッ素ガスの交換を行なう。
【0051】
この実施の形態にかかる半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器及び鏡筒内にフッ素ガスを封入する。従って、F2レーザ光を露光光源とする露光装置に用いられる光学素子及び光学薄膜がフッ化物材料で構成されている場合においても、照明光学系格納容器内及び鏡筒内の有機物、アンモニア等の不純物がフッ素ガスと化学反応を起こし気化するため、光学素子や光学薄膜に不純物が付着することを防ぐことができる。
【0052】
また、時間経過と共に有機物、アンモニア等の不純物とフッ素ガスとの化学反応により照明光学系格納容器内及び鏡筒内のフッ素ガスの濃度が低下した場合、または照明光学系格納容器内及び鏡筒内の水蒸気及び酸素ガス等の汚染物質が増大した場合においても、照明光学系格納容器内及び鏡筒内のフッ素ガスの濃度並びに照明光学系格納容器内及び鏡筒内の汚染物質の濃度に基づいて、照明光学系格納容器内及び鏡筒内のフッ素ガスの交換を行なうため、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0053】
なお、上述の実施の形態においては、フッ素ガス濃度検出器または汚染物質濃度検出器により検出される検出値に基づいて照明光学系格納容器内または鏡筒内のフッ素ガスの交換を行なったが、フッ素ガス濃度検出器または汚染物質濃度検出器等を用いることなくフッ素ガスを流通させ続けてもよい。
【0054】
この実施の形態にかかる露光装置において、投影光学系及び照明光学系を構成する光学部材の光透過率が低下しないことを以下に示す照射実験装置による実験により確認した。
【0055】
図2は、レーザ照射実験装置40の構成を示す図である。図2に示すように、レーザ照射実験装置40において、F2レーザ発振機42より導波管44内に射出されたF2レーザ光46は、開閉可能なシャッタ48、フッ化物窓50を透過し、更に5つの蛍石光学素子54a、54b、54c、54d、54eを順に透過する。ここで、図2に示す5つの蛍石光学素子54a〜54eは、その両表面にそれぞれ光学薄膜56a、56b、56c、56d、56eが積層されており、可動する支持台58に載置されている。これら蛍石光学素子54a〜54e及び支持台58は、密閉空間であるチャンバ60内に配置されている。チャンバ60内には、フッ素ガスが封入されており、開閉可能なバルブ62aを備えたガス供給管62及び開閉可能なバルブ64aを備えたガス排出管64が接続されている。5つの光学素子54a〜54eを透過した光束は、フッ化物窓66、開閉可能なシャッタ68を透過し、ジュールメータ70に達する。
【0056】
このレーザ照射実験装置40においては、蛍石光学素子54a〜54eを格納しているチャンバ60内に封入するガス環境、ガス濃度及び汚染物質濃度を変化させて、レーザ照射させることができる。また、蛍石光学素子54a〜54eに対しての透過率変動を測定することができる。従って、この実施の形態にかかる露光装置の照明光学系格納容器内または鏡筒内にレンズやプリズム、ミラーといった光学素子を格納させ、フッ素ガスを封入させた場合と同様の結果を得ることができる。
【0057】
図3は、チャンバ60内において、蛍石光学素子54a〜54eを載置した支持台58を動かす様子を示す図である。支持台58を動かすことにより、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過しない位置に配置させたり、F2レーザ光が通過する位置に配置させたりすることができる。
【0058】
まず、支持台58を動かすことにより、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過しない位置に配置させる。即ち、F2レーザ光が蛍石光学素子54a〜54eを透過しない状態にして、ジュールメータ70に達する光の光量T0を測定する。次に、支持台58を動かすことにより、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過する位置に配置させる。即ち、F2レーザ光が蛍石光学素子54a〜54eを透過する状態にして、ジュールメータ70に達する光の光量T1を測定する。レーザ照射によりレーザ光が通過する蛍石光学素子数は5つであるから、1つの光学素子当りの透過率Tは数式1により算出することができる。
【0059】
【数式1】
【0060】
【実施例】
図2に示すチャンバ60及び支持台58の材質を純アルミニウムとし、ガス供給管62及びガス排出管64の材質を純ニッケルとする。また、ガス供給管62のバルブ62a及びガス排出管64のバルブ64aの材質をステンレスとするが、フッ素ガスが接する部分にニッケルめっきを施し、フッ素ガスとステンレスが触れないようにする。
【0061】
フッ素ガスの接する部分を純ニッケルまたは純アルミニウムとした理由は、特願2002−198165に記載したように、全元素中で最も反応性の高いフッ素が純ニッケルまたは純アルミニウム以外の金属と反応した場合には揮発性フッ化物が生成される場合が多く、それら揮発性フッ化物が光学素子を汚染する不純物となるためである。例えば、ステンレスとフッ素ガスを接触させた場合には、室温においてさえ反応が進行してCrF5ガスを生成する。CrF5ガスは、光学素子に被覆されている光学薄膜表面に吸着したのち、チャンバや露光装置の鏡筒内にわずかに存在するH2Oと反応してCr2O3となる。生成されたCr2O3は、光学薄膜表面に固着して、光を吸収する。一方、フッ素はアルミニウムやニッケルとも反応してフッ化アルミニウムやフッ化ニッケルとなるが、これら生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、光学素子を汚染する物質とはなりえない。
【0062】
まず、蛍石光学素子54a〜54eをチャンバ60内に装填し、ガス供給管62よりHeガスで1000ppm(0.1パーセント)に希釈済みのフッ素ガスをチャンバ60内に流通させた。フッ素ガス流通を開始してから充分に時間が経過し、チャンバ60内のガス雰囲気が安定したところで、ガス排出管64よりチャンバ60内流通ガスを少量サンプルリングした。サンプリングしたガスを用いて、レーザ照射前のチャンバ60内の残留汚染物質成分を分析した。その結果、ガスクロマトグラフ質量分析法で分析した全有機物濃度は10μg/m3、NH3濃度は0.2μg/m3であった。また、酸素および水分濃度計で測定したH2O、O2濃度はいずれも5ppm程度であった。
【0063】
上記ガス雰囲気下において、レーザ照射試験を行った。まず、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過しない位置に配置し、ジュールメータ70に達した光量T0を測定し、蛍石光学素子1つ当りの透過率Tを数式1を用いて算出した。次に、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過する位置に配置し、F2レーザ光を所望のドーズ量だけ照射した。再び、ジュールメータ70に達した光量T1を測定し、透過率Tを数式1を用いて算出した。以下、同様にして、蛍石光学素子54a〜54eに対して所望のドーズ量のF2レーザ照射を行う毎に、光量T1を測定し、数式1を用いて透過率Tを算出することを繰り返した。
【0064】
図4は、F2レーザ照射による透過率Tの変動の様子を示す図である。F2レーザ照射ドーズ量によらず、透過率Tが一切変動していないことが容易にわかる。即ち、フッ素雰囲気下でF2レーザ照射を行なえば、有機物やアンモニアが光学薄膜上で固着または重合して光吸収物質が形成することなく、かつ、H2O,O2がF2レーザ照射時に膜と反応して酸化物や水酸化物薄層が形成されて光吸収が発生することもない。また、長期にわたるF2レーザ照射によっても光学素子の透過率低下を一切発生させない。
【0065】
なお、この実施例においては、フッ素ガスを希釈するためにHeガスを用いた実験結果を示したが、He、Ne、Ar、Kr、Xe及びN2ガスの少なくとも1つのガスを希釈ガスとして使用しても効果が同じであることを確認した。また、この実施例においては、フッ素ガス濃度1000ppm(0.1パーセント)の実験結果を示したが、フッ素ガス濃度としては0.0001〜100パーセントの何れにおいても効果があることを確認した。なお、高い化学反応力を持つフッ素が接ガス部分に及ぼす長期的な腐食影響を考慮すると、フッ素ガス濃度は1パーセント以下とすることが望ましい。一方、フッ素ガス濃度が低濃度すぎると汚染物質の化学的除去効果が不十分となるため、フッ素ガス濃度は10ppm(0.001パーセント)以上であることが望ましい。なお、ガス排出管64の後段にフッ素ガス除害用吸着カラム65を取り付けて、排出ガスを安全かつ低環境負荷とした。
【0066】
【比較例】
図2に示すチャンバ60、支持台58、ガス供給管62、ガス排出管64、バルブ62a及び64aの材質は全てステンレスとする。蛍石光学素子54a〜54eをチャンバ60内に装填し、ガス供給管62よりチャンバ60内にN2ガスを流通させる。流通を開始してから充分に時間が経過してチャンバ60内のガス雰囲気が安定したところで、ガス排出管64よりチャンバ60内流通ガスを少量サンプルリングした。サンプリングしたガスを用いて、チャンバ60内の残留汚染物質成分を分析した。その結果、ガスクロマトグラフ質量分析法で分析した全有機物濃度は10μg/m3、NH3濃度は0.2μg/m3であった。また、酸素および水分濃度計で測定したH2O,O2濃度はいずれも5ppm程度であった。レーザ照射前の残留ガス成分および濃度は、実施例の場合と全く同一であった。
【0067】
上記ガス雰囲気下において、レーザ照射試験を行った。図4は、レーザ照射による透過率変動の様子を示す図である。レーザ照射ドーズ量とともに透過率が低下していく様子が示されている。有機物やアンモニアが膜上で固着または重合して光吸収物質を形成し且つH2O,O2がレーザ照射時に膜と反応して酸化物や水酸化物薄層を形成し、光吸収が発生したことが原因である。
【0068】
【発明の効果】
この発明の半導体露光装置によれば、F2レーザに代表される真空紫外光を露光光源に用いる半導体露光装置において、鏡筒内または照明光学系格納容器内をフッ素雰囲気にすることにより、鏡筒内または照明光学系格納容器内に残留する有機物及びアンモニア等の不純物がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こし気化するため、鏡筒または照明光学系格納容器に含まれる光学素子及び光学薄膜への不純物の付着、光学薄膜表面の曇りの発生、光学薄膜表面の酸化または水酸化を防止することができる。また、レーザ光源がフッ素レーザ光源である場合に使用される光学素子及び光学薄膜はフッ化物材料であるため、光学素子及び光学薄膜がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こすことなく、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0069】
また、この発明の半導体露光装置によれば、鏡筒内または照明光学系格納容器内をフッ素雰囲気にした場合にフッ素雰囲気中のフッ素ガスが鏡筒または照明光学系格納容器の内側表面を形成しているニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金等の金属類と化学反応を起こしてフッ化物を生成する。しかしながら、生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、鏡筒に含まれる光学素子及び光学薄膜を汚染する不純物とはなりえない。従って、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0070】
また、この発明の半導体露光装置によれば、鏡筒内または照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスまたは汚染物質の濃度に基づいて、フッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共にフッ素ガスが減少または汚染物質が増大し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0071】
また、この発明の半導体露光装置によれば、鏡筒内または照明光学系格納容器内のフッ素ガスの濃度を0.0001パーセントより低濃度とすると、鏡筒内または照明光学系格納容器内の汚染物質の化学的除去効果を十分に得ることができなくなるため、封入するフッ素ガスの濃度を0.0001〜100パーセントの何れかに設定する。従って、鏡筒内または照明光学系格納容器内に含まれる光学素子及び光学薄膜への汚染物質の付着を防ぐことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0072】
また、この発明の半導体露光装置を用いれば、感光基板上に微細回路パターンを焼き付けている最中の光透過率低下や照度ムラの発生を防止することができる。従って、真空紫外光を用いる次世代半導体露光装置の生産性を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかる半導体露光装置の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかるF2レーザ照射実験装置の構成図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかるF2レーザ照射実験装置内で支持台が稼動する様子を示す図である。
【図4】この発明の実施例において、蛍石光学素子にF2レーザ照射して透過率Tを連続計測した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
M…マスク、IS…照明光学系、PL…投影光学系、W…ウエハ(感光基板)、WS…ウエハステージ、2…レーザ光源部、4…コリメートレンズ、6…フライアイレンズ、8…σ絞り、10…ミラー、12…コンデンサレンズ系、14…照明光学系格納容器、20…制御部、22…鏡筒、14a、22a…フッ素ガス供給部、14b、22b…フッ素ガス排出部、16、24…フッ素ガス置換装置、18、26…フッ素ガス濃度検出器、19、28…汚染物質濃度検出器、40…レーザ照射実験装置、42…F2レーザ発振器、44…導波管、48、68…シャッタ、50、66…フッ化物窓、54a〜54e…蛍石光学素子、56a〜56e…光学薄膜、58…支持台、60…チャンバ、62…ガス供給管、64…ガス排出管、65…フッ素ガス除害用吸着カラム、70…ジュールメータ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、紫外レーザ光を露光光とした半導体露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の高集積化、高密度化が進んでいる。この半導体集積回路の高集積化、高密度化を実現するために、回路の線幅を更に細く、又は、パターンを更に精細にする必要がある。そのため、半導体回路製造用縮小投影露光装置等についても解像度のますますの向上が求められている。
【0003】
露光装置において解像度を上げるために、露光光源波長としては、これまでにg線(波長436nm)、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)と短波長化してきており、より解像度を上げるために、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)へと、更なる短波長化が進んでいる。
【0004】
ArFエキシマレーザを露光光源とする半導体露光装置においては、光源からウエハまでの間に数十枚にもおよぶ様々な形状・用途の光学素子が配置されており、各光学素子表面にはそれぞれ目的に応じた光学薄膜がコートされている。また、それら光学素子を格納する鏡筒内には、N2ガス等の不活性ガスが流通されている。
【0005】
また、ArFエキシマレーザよりも波長の短い真空紫外波長のF2レーザを露光光源とした半導体露光装置においては、従来レンズ材料として使用されていた石英ガラス及びその他全ての酸化物は光を吸収し透過しないため、F2レーザの波長においても高い光透過性を有するCaF2単結晶の蛍石等がレンズ材料として用いられ、MgF2、AlF3、LaF3、GdF3等の金属フッ化物材料が膜材料として用いられる。また、光学素子等が格納されている鏡筒内には、Heガス若しくはN2ガス等の不活性ガスを流通させることが検討されている。
【0006】
このような半導体露光装置においては、露光装置の設置環境やN2ガス中に含まれる微量の有機物質やアンモニア等の不純物が鏡筒内に導かれてしまい、光学素子表面の薄膜上に付着し、レーザ照射後は重合あるいは固着して、その結果、該光学素子の光透過率が低下する。1台の半導体露光装置において、使用される全光学素子は同一鏡筒内に設置されているので、鏡筒内に存在する不純物で汚染されてほぼ等しく透過率が低下する。ここで、ある光学素子の片側コート面の透過率をTとし汚染による透過率低下量をΔTとすると、この光学素子の汚染後の両面透過率は(T−ΔT)2となる。全光学素子数をn個とすると、全系での透過率低下量は(T−ΔT)2nとなる。従って、レーザ光源から数十枚に及ぶ全光学素子を透過してウエハ上に到達する露光光の光量は、汚染が全くない理想状態と比較して、汚染がある場合には致命的に小さくなってしまう。もちろん、鏡筒内に持ち込まれる不純物量を極力抑える努力をしているが完全にゼロにすることは不可能なので、現実には不純物の重合固着に起因する透過率低下は、値の大小はともあれ必ず生じる問題である。
【0007】
また、水蒸気や酸素ガスは真空紫外光を吸収して透過させないことから、鏡筒内に浮遊するH2O、O2濃度が高いほど全系透過率が低下するため、F2レーザを露光光として用いる露光装置では、鏡筒内へ導入する不活性ガス中に含まれる水蒸気及び酸素ガスを極力少なくして、鏡筒内に残留するH2O、O2を極力少なくする必要がある。更に、比較較的低温で形成された光学薄膜は、バルクと比較して多孔質なので、水蒸気、酸素ガスが膜の隙間から光学薄膜の内部へ侵入して吸着する面積が大きい。H2O、O2の膜内吸着量が多いほど、露光装置の全系透過率は低下する。その上、膜内のH2O吸着面では、膜材料のフッ化物と吸着H2Oとが化学反応して、吸着面に酸化物薄層、水酸化物薄層が形成される。この酸化物薄層、水酸化物薄層は真空紫外光を吸収することから、全系透過率は更に低下する。
【0008】
発明者はこれまでに、光学素子表面にコートされている光学薄膜へのH2O、O2吸着面積を減らすために、光学薄膜を可能な限り緻密な構造にする発明について出願を行っている(特願2001−218045号)。また、H2O、O2の吸着により発生した水酸化物薄層及び酸化物薄層をポストフッ素化反応によりフッ化物に戻し、光学薄膜を加熱処理することにより光学薄膜構造を緻密化し、H2O、O2等の吸着面積を激減させることにより光透過率低下を極力抑える発明についても出願を行っている(特願2001−264512号、特願2002−198165号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の半導体露光装置においては、鏡筒内に水蒸気や酸素ガス等が混入した場合において、これら水蒸気や酸素ガス等は真空紫外光を吸収して透過させず、全系光透過率が低下することから、鏡筒内へのH2O、O2の侵入を極力抑えると共に、鏡筒内に流通させる不活性ガス中に含まれる水蒸気及び酸素ガスを極力減らす必要がある。
【0010】
また、不活性ガス中に含まれる微量の有機物質やアンモニア等の不純物が鏡筒内に導かれてしまい、鏡筒内に格納されている複数の光学素子表面にコートされている光学薄膜上にその有機物質やアンモニア等の不純物が付着し、レーザ照射後に重合あるいは固着して、その結果、該光学素子の光透過率が低下する問題を解消する必要がある。
【0011】
この発明の課題は、紫外レーザ光を露光光とする半導体露光装置に含まれる光学素子の光透過率が低下するのを防止することができる半導体露光装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の半導体露光装置は、レーザ光源から射出される光を露光光としてマスクを照明する照明光学系と、鏡筒内に格納され、前記マスクのパターン像を感光基板上に形成する投影光学系とを備える半導体露光装置であって、前記鏡筒内には、フッ素ガスが封入されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の半導体露光装置は、前記レーザ光源がフッ素レーザ光源であることを特徴とする。
【0014】
この請求項1及び請求項2に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内をフッ素雰囲気にすることにより、鏡筒内に残留する有機物及びアンモニア等の不純物がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こし気化するため、鏡筒に含まれる光学素子及び光学薄膜に不純物が付着することを防ぐことができる。また、レーザ光源がフッ素レーザ光源である場合に使用される光学素子及び光学薄膜はフッ化物材料であるため、光学素子及び光学薄膜がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こすことなく、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0015】
また、請求項3に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒の内側表面から少なくとも20nmまでの部分が、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていることを特徴とする。
【0016】
この請求項3に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内をフッ素雰囲気にした場合に、フッ素雰囲気中のフッ素ガスが鏡筒の内側表面を形成しているニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム、アルミニウム系合金等の金属類と接触して化学反応を起こし、フッ化物を生成する。しかしながら、生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、鏡筒に含まれる光学素子及び光学薄膜を汚染する汚染物質とはなりえない。従って、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0017】
また、請求項4に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒が該鏡筒内にフッ素ガスを供給する鏡筒内フッ素ガス供給部と、該鏡筒内のフッ素ガスを排出する鏡筒内フッ素ガス排出部とを備えることを特徴とする。
【0018】
この請求項4に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことができるため、露光装置を長時間稼動させる場合においても、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0019】
また、請求項5に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒が前記鏡筒内のフッ素ガス濃度を検出する鏡筒内フッ素ガス濃度検出部を備え、前記鏡筒内フッ素ガス濃度検出部より検出されるフッ素ガス濃度検出値が所定値よりも小さい場合に、前記鏡筒内フッ素ガス排出部から前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記鏡筒内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする。
【0020】
この請求項5に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内に封入されているフッ素ガスの濃度に基づいて、フッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共に鏡筒内のフッ素ガスが減少し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0021】
また、請求項6に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒内の汚染物質濃度を検出する鏡筒内汚染物質濃度検出部を備え、前記鏡筒内汚染物質濃度検出部により検出される汚染物質濃度検出値が所定値を超えた場合に、前記鏡筒内フッ素ガス排出部から前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記鏡筒内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする。
【0022】
この請求項6に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内の汚染物質の濃度に基づいて、鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共に鏡筒内の汚染物質が増大し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0023】
また、請求項7に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系が照明光学系格納容器内に格納され、前記照明光学系格納容器内にはフッ素ガスが封入されていることを特徴とする。
【0024】
この請求項7に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内をフッ素雰囲気にすることにより、照明光学格納容器内に残留する有機物及びアンモニア等の不純物がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こし気化するため、照明光学系格納容器に含まれる光学素子及び光学薄膜に汚染物質が付着することを防ぐことができる。従って、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0025】
また、請求項8に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系格納容器の内側表面から少なくとも20nmまでの部分が、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていることを特徴とする。
【0026】
この請求項8に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内をフッ素雰囲気にした場合に、フッ素雰囲気中のフッ素ガスが照明光学系格納容器の内側表面を形成しているニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム、アルミニウム系合金等と接触して化学反応を起こし、フッ化物を生成する。しかしながら、生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、照明光学系に含まれる光学素子及び光学薄膜を汚染する不純物とはなりえない。従って、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0027】
また、請求項9に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系格納容器が該照明光学系格納容器内にフッ素ガスを供給する格納容器内フッ素ガス供給部と、該照明光学系格納容器内のフッ素ガスを排出する格納容器内フッ素ガス排出部とを備えることを特徴とする。
【0028】
この請求項9に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことができるため、露光装置を長時間稼動させる場合においても、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0029】
また、請求項10に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系格納容器内のフッ素ガス濃度を検出する格納容器内フッ素ガス濃度検出部を備え、前記格納容器内フッ素ガス濃度検出部より検出されるフッ素ガス濃度検出値が所定値よりも小さい場合に、前記格納容器内フッ素ガス排出部から前記照明光学系格納容器内にさい場合に、前記格納容器内フッ素ガス排出部から前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記格納容器内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする。
【0030】
この請求項10に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの濃度に基づいて、フッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共に照明光学系格納容器内のフッ素ガスが減少し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0031】
また、請求項11に記載の半導体露光装置は、前記照明光学系格納容器内の汚染物質濃度を検出する格納容器内汚染物質濃度検出部を備え、前記格納容器内汚染物質濃度検出部により検出される汚染物質濃度検出値が所定値を超えた場合に、前記格納容器内フッ素ガス排出部から前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記格納容器内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする。
【0032】
この請求項11に記載の半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器内の汚染物質の濃度に基づいて、照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共に照明光学系格納容器内の汚染物質が増大し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0033】
また、請求項12に記載の半導体露光装置は、前記鏡筒内または前記照明光学系格納容器内に封入されるフッ素ガスが濃度を0.0001〜100パーセントとし、ヘリウムガス,ネオンガス,アルゴンガス,クリプトンガス,キセノンガス及び窒素ガスの中の少なくとも1つのガスを希釈ガスとして用いることを特徴とする。
【0034】
この請求項12に記載の半導体露光装置によれば、投影光学系が格納されている鏡筒内または照明光学系格納容器内のフッ素ガスの濃度を0.0001パーセントより低濃度とすると、鏡筒内または照明光学系格納容器内の汚染物質の化学的除去効果を十分に得ることができなくなるため、封入するフッ素ガスの濃度を0.0001〜100パーセントの何れかに設定する。従って、鏡筒内または照明光学系格納容器内に含まれる光学素子及び光学薄膜への汚染物質の付着を防ぐことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。図1は、この実施の形態にかかる半導体露光装置の概略構成を示す図である。
【0036】
図1に示す半導体露光装置は、マスクMを照明するための照明光学系IS、マスクMのパターン像を形成する投影光学系PL、及びフォトレジスト等の感光性樹脂が塗布されているウエハ(感光基板)W、ウエハWを保持するウエハスエージWSを備えている。ここで、照明光学系ISは、真空紫外光であるF2レーザ光(フッ素レーザ光、波長157nm)を供給するレーザ光源部2、コリメートレンズ4、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ6、σ絞り8、ミラー10、コンデンサレンズ系12等により構成されており、照明光学系ISから供給される露光光はマスクMを照明する。マスクMのパターン像は、投影光学系PLを介して、フォトレジストが塗布されたウエハW上に投影露光される。なお、F2レーザ光を供給するレーザ光源部2の代わりに深紫外光であるArFエキシマレーザ光(フッ化アルゴンエキシマレーザ光、波長193nm)を供給するレーザ光源部を用いてもよい。
【0037】
ここで、照明光学系IS及びマスクMは、密閉空間である照明光学系格納容器14内に収容されている。ここで、照明光学系格納容器14は、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されている。なお、照明光学系格納容器14は、内側表面から少なくとも20nmまでの部分がニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていればよい。
【0038】
照明光学系格納容器14の材質をニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金以外の金属とした場合には、フッ素ガスが接することにより、フッ素ガスと反応し揮発性フッ化物が生成され、それら揮発性フッ化物が照明光学系格納容器14内に含まれる光学素子を汚染する不純物となるため、照明光学系格納容器14の材質をニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つとしている。即ち、ステンレスとフッ素ガスを接触させた場合には、反応が進行してCrF5ガスを生成する。CrF5ガスは、光学素子に被覆されている光学薄膜表面に吸着したのち、照明光学系格納容器14内にわずかに存在するH2Oと反応してCr2O3となる。生成されたCr2O3は、光学薄膜表面に固着して、光を吸収する。一方、フッ素はアルミニウムやニッケルとも反応してフッ化アルミニウムやフッ化ニッケルとなるが、これら生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、照明光学系格納容器14内に含まれる光学素子を汚染する物質とはなりえない。
【0039】
また、照明光学系格納容器14には、フッ素ガスが封入されている。なお、封入されるフッ素ガスは、その濃度を0.0001〜100パーセントとし、He(ヘリウム)ガス、Ne(ネオン)ガス、Ar(アルゴン)ガス、Kr(クリプトン)ガス、Xe(キセノン)ガス及びN2(窒素)ガスの中の少なくとも1つのガスを希釈ガスとして用いる。
【0040】
また、照明光学系格納容器14には、格納容器内フッ素ガス置換装置16が接続されている。照明光学系格納容器14は、格納容器内フッ素ガス置換装置16により格納容器内フッ素ガス供給部14aからフッ素ガスが供給され、格納容器内フッ素ガス排出部14bからフッ素ガスが排出されるように構成されている。なお、格納容器内フッ素ガス置換装置16は、照明光学系格納容器14内のフッ素ガスの交換を行なう際、フッ素ガスを安全且つ低環境負荷の状態で排出するために、格納容器内フッ素ガス除害用吸着カラム(図示せず)を備えている。
【0041】
また、照明光学系格納容器14には、格納容器内フッ素ガス濃度検出器18及び格納容器内汚染物質濃度検出器19が接続されている。格納容器内フッ素ガス濃度検出器18により検出された照明光学系格納容器14内のフッ素ガス濃度検出値及び格納容器内汚染物質濃度検出器19により検出された照明光学系格納容器14内の汚染物質濃度検出値が、制御部20に対して出力される。ここで、汚染物質とは、露光装置の設置環境により発生し、または照明光学系格納容器14内に封入されているガス中に含まれる有機物質、アンモニア等の不純物、水蒸気、及び酸素ガス等のことである。
【0042】
制御部20は、格納容器内フッ素ガス濃度検出器18より出力された照明光学系格納容器14内のフッ素ガス濃度検出値が所定の値よりも小さいか否かの判定を行なう。照明光学系格納容器14内のフッ素ガス濃度検出値が所定の値よりも小さいと判定された場合には、制御部20は、格納容器内フッ素ガス置換装置16に対して制御信号の出力を行ない、格納容器内フッ素ガス排出部14bから照明光学系格納容器14内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に格納容器内フッ素ガス供給部14aから新たなフッ素ガスを供給して、照明光学系格納容器14内のフッ素ガスの交換を行なう。
【0043】
また、制御部20は、格納容器内汚染物質濃度検出器19より出力された照明光学系格納容器14内の汚染物質濃度検出値が所定の値より大きいか否かの判定を行なう。照明光学系格納容器14内の汚染物質濃度検出値が所定の値よりも大きいと判定された場合には、制御部20は、格納容器内フッ素ガス置換装置16に対して制御信号の出力を行ない、格納容器内フッ素ガス排出部14bから照明光学系格納容器14内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に格納容器内フッ素ガス供給部14aから新たなフッ素ガスを供給して、照明光学系格納容器14内のフッ素ガスの交換を行なう。
【0044】
また、投影光学系PL、ウエハW、及びウエハステージWSは、密閉空間である鏡筒22に収容されている。ここで、鏡筒22は、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されている。なお、鏡筒22は、内側表面から少なくとも20nmまでの部分がニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていればよい。
【0045】
鏡筒22の材質をニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金以外の金属とした場合には、フッ素ガスが接することにより、フッ素ガスと反応し揮発性フッ化物が生成され、それら揮発性フッ化物が鏡筒22内に含まれる光学素子を汚染する不純物となるため、鏡筒22の材質をニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つとしている。即ち、ステンレスとフッ素ガスを接触させた場合には、反応が進行してCrF5ガスを生成する。CrF5ガスは、光学素子に被覆されている光学薄膜表面に吸着したのち、鏡筒22内にわずかに存在するH2Oと反応してCr2O3となる。生成されたCr2O3は、光学薄膜表面に固着して、光を吸収する。一方、フッ素はアルミニウムやニッケルとも反応してフッ化アルミニウムやフッ化ニッケルとなるが、これら生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、鏡筒22内に含まれる光学素子を汚染する物質とはなりえない。
【0046】
また、鏡筒22には、フッ素ガスが封入されている。なお、封入されるフッ素ガスは、その濃度を0.0001〜100パーセントとし、Heガス、Neガス、Arガス、Krガス、Xeガス及びN2ガスの中の少なくとも1つのガスを希釈ガスとして用いる。
【0047】
また、鏡筒22には、鏡筒内フッ素ガス置換装置24が接続されている。鏡筒22は、鏡筒内フッ素ガス置換装置24により、鏡筒内フッ素ガス供給部22aからフッ素ガスが供給され、鏡筒内フッ素ガス排出部22bからフッ素ガスが排出されるように構成されている。なお、鏡筒内フッ素ガス置換装置24は、鏡筒22内のフッ素ガスの交換を行なう際、フッ素ガスを安全且つ低環境負荷の状態で排出するために、鏡筒内フッ素ガス除害用吸着カラム(図示せず)を備えている。
【0048】
また、鏡筒22には、鏡筒内フッ素ガス濃度検出器26及び鏡筒内汚染物質検出器28が接続されている。鏡筒内フッ素ガス濃度検出器26により検出された鏡筒22内のフッ素ガス濃度検出値及び鏡筒内汚染物質検出器28により検出された鏡筒22内の汚染物質濃度検出値が、制御部20に対して出力される。ここで、汚染物質とは、露光装置の設置環境により発生し、または鏡筒22内に封入されているガス中に含まれる有機物質、アンモニア等の不純物、水蒸気、及び酸素ガス等のことである。
【0049】
制御部20は、鏡筒内フッ素ガス濃度検出器26より出力された鏡筒22内のフッ素ガス濃度検出値が所定の値より小さいか否かの判定を行なう。鏡筒22内のフッ素ガス濃度検出値が所定の値より小さいと判定された場合には、制御部20は、鏡筒内フッ素ガス置換装置24に対して制御信号の出力を行ない、鏡筒内フッ素ガス排出部22bから鏡筒22内のフッ素ガスを排出すると共に鏡筒内フッ素ガス供給部24aから新たなフッ素ガスを供給して、鏡筒22内のフッ素ガスの交換を行なう。
【0050】
また、制御部20は、鏡筒内汚染物質濃度検出器28より出力された鏡筒22内の汚染物質濃度検出値が所定の値を超えているか否かの判定を行なう。鏡筒22内の汚染物質濃度検出値が所定の値を超えていると判定された場合には、制御部20は、鏡筒内フッ素ガス置換装置24に対して制御信号の出力を行ない、鏡筒内フッ素ガス排出部22bから鏡筒22内のフッ素ガスを排出すると共に鏡筒内フッ素ガス供給部24aから新たなフッ素ガスを供給して、鏡筒22内のフッ素ガスの交換を行なう。
【0051】
この実施の形態にかかる半導体露光装置によれば、照明光学系格納容器及び鏡筒内にフッ素ガスを封入する。従って、F2レーザ光を露光光源とする露光装置に用いられる光学素子及び光学薄膜がフッ化物材料で構成されている場合においても、照明光学系格納容器内及び鏡筒内の有機物、アンモニア等の不純物がフッ素ガスと化学反応を起こし気化するため、光学素子や光学薄膜に不純物が付着することを防ぐことができる。
【0052】
また、時間経過と共に有機物、アンモニア等の不純物とフッ素ガスとの化学反応により照明光学系格納容器内及び鏡筒内のフッ素ガスの濃度が低下した場合、または照明光学系格納容器内及び鏡筒内の水蒸気及び酸素ガス等の汚染物質が増大した場合においても、照明光学系格納容器内及び鏡筒内のフッ素ガスの濃度並びに照明光学系格納容器内及び鏡筒内の汚染物質の濃度に基づいて、照明光学系格納容器内及び鏡筒内のフッ素ガスの交換を行なうため、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0053】
なお、上述の実施の形態においては、フッ素ガス濃度検出器または汚染物質濃度検出器により検出される検出値に基づいて照明光学系格納容器内または鏡筒内のフッ素ガスの交換を行なったが、フッ素ガス濃度検出器または汚染物質濃度検出器等を用いることなくフッ素ガスを流通させ続けてもよい。
【0054】
この実施の形態にかかる露光装置において、投影光学系及び照明光学系を構成する光学部材の光透過率が低下しないことを以下に示す照射実験装置による実験により確認した。
【0055】
図2は、レーザ照射実験装置40の構成を示す図である。図2に示すように、レーザ照射実験装置40において、F2レーザ発振機42より導波管44内に射出されたF2レーザ光46は、開閉可能なシャッタ48、フッ化物窓50を透過し、更に5つの蛍石光学素子54a、54b、54c、54d、54eを順に透過する。ここで、図2に示す5つの蛍石光学素子54a〜54eは、その両表面にそれぞれ光学薄膜56a、56b、56c、56d、56eが積層されており、可動する支持台58に載置されている。これら蛍石光学素子54a〜54e及び支持台58は、密閉空間であるチャンバ60内に配置されている。チャンバ60内には、フッ素ガスが封入されており、開閉可能なバルブ62aを備えたガス供給管62及び開閉可能なバルブ64aを備えたガス排出管64が接続されている。5つの光学素子54a〜54eを透過した光束は、フッ化物窓66、開閉可能なシャッタ68を透過し、ジュールメータ70に達する。
【0056】
このレーザ照射実験装置40においては、蛍石光学素子54a〜54eを格納しているチャンバ60内に封入するガス環境、ガス濃度及び汚染物質濃度を変化させて、レーザ照射させることができる。また、蛍石光学素子54a〜54eに対しての透過率変動を測定することができる。従って、この実施の形態にかかる露光装置の照明光学系格納容器内または鏡筒内にレンズやプリズム、ミラーといった光学素子を格納させ、フッ素ガスを封入させた場合と同様の結果を得ることができる。
【0057】
図3は、チャンバ60内において、蛍石光学素子54a〜54eを載置した支持台58を動かす様子を示す図である。支持台58を動かすことにより、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過しない位置に配置させたり、F2レーザ光が通過する位置に配置させたりすることができる。
【0058】
まず、支持台58を動かすことにより、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過しない位置に配置させる。即ち、F2レーザ光が蛍石光学素子54a〜54eを透過しない状態にして、ジュールメータ70に達する光の光量T0を測定する。次に、支持台58を動かすことにより、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過する位置に配置させる。即ち、F2レーザ光が蛍石光学素子54a〜54eを透過する状態にして、ジュールメータ70に達する光の光量T1を測定する。レーザ照射によりレーザ光が通過する蛍石光学素子数は5つであるから、1つの光学素子当りの透過率Tは数式1により算出することができる。
【0059】
【数式1】
【0060】
【実施例】
図2に示すチャンバ60及び支持台58の材質を純アルミニウムとし、ガス供給管62及びガス排出管64の材質を純ニッケルとする。また、ガス供給管62のバルブ62a及びガス排出管64のバルブ64aの材質をステンレスとするが、フッ素ガスが接する部分にニッケルめっきを施し、フッ素ガスとステンレスが触れないようにする。
【0061】
フッ素ガスの接する部分を純ニッケルまたは純アルミニウムとした理由は、特願2002−198165に記載したように、全元素中で最も反応性の高いフッ素が純ニッケルまたは純アルミニウム以外の金属と反応した場合には揮発性フッ化物が生成される場合が多く、それら揮発性フッ化物が光学素子を汚染する不純物となるためである。例えば、ステンレスとフッ素ガスを接触させた場合には、室温においてさえ反応が進行してCrF5ガスを生成する。CrF5ガスは、光学素子に被覆されている光学薄膜表面に吸着したのち、チャンバや露光装置の鏡筒内にわずかに存在するH2Oと反応してCr2O3となる。生成されたCr2O3は、光学薄膜表面に固着して、光を吸収する。一方、フッ素はアルミニウムやニッケルとも反応してフッ化アルミニウムやフッ化ニッケルとなるが、これら生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、光学素子を汚染する物質とはなりえない。
【0062】
まず、蛍石光学素子54a〜54eをチャンバ60内に装填し、ガス供給管62よりHeガスで1000ppm(0.1パーセント)に希釈済みのフッ素ガスをチャンバ60内に流通させた。フッ素ガス流通を開始してから充分に時間が経過し、チャンバ60内のガス雰囲気が安定したところで、ガス排出管64よりチャンバ60内流通ガスを少量サンプルリングした。サンプリングしたガスを用いて、レーザ照射前のチャンバ60内の残留汚染物質成分を分析した。その結果、ガスクロマトグラフ質量分析法で分析した全有機物濃度は10μg/m3、NH3濃度は0.2μg/m3であった。また、酸素および水分濃度計で測定したH2O、O2濃度はいずれも5ppm程度であった。
【0063】
上記ガス雰囲気下において、レーザ照射試験を行った。まず、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過しない位置に配置し、ジュールメータ70に達した光量T0を測定し、蛍石光学素子1つ当りの透過率Tを数式1を用いて算出した。次に、蛍石光学素子54a〜54eをF2レーザ光が通過する位置に配置し、F2レーザ光を所望のドーズ量だけ照射した。再び、ジュールメータ70に達した光量T1を測定し、透過率Tを数式1を用いて算出した。以下、同様にして、蛍石光学素子54a〜54eに対して所望のドーズ量のF2レーザ照射を行う毎に、光量T1を測定し、数式1を用いて透過率Tを算出することを繰り返した。
【0064】
図4は、F2レーザ照射による透過率Tの変動の様子を示す図である。F2レーザ照射ドーズ量によらず、透過率Tが一切変動していないことが容易にわかる。即ち、フッ素雰囲気下でF2レーザ照射を行なえば、有機物やアンモニアが光学薄膜上で固着または重合して光吸収物質が形成することなく、かつ、H2O,O2がF2レーザ照射時に膜と反応して酸化物や水酸化物薄層が形成されて光吸収が発生することもない。また、長期にわたるF2レーザ照射によっても光学素子の透過率低下を一切発生させない。
【0065】
なお、この実施例においては、フッ素ガスを希釈するためにHeガスを用いた実験結果を示したが、He、Ne、Ar、Kr、Xe及びN2ガスの少なくとも1つのガスを希釈ガスとして使用しても効果が同じであることを確認した。また、この実施例においては、フッ素ガス濃度1000ppm(0.1パーセント)の実験結果を示したが、フッ素ガス濃度としては0.0001〜100パーセントの何れにおいても効果があることを確認した。なお、高い化学反応力を持つフッ素が接ガス部分に及ぼす長期的な腐食影響を考慮すると、フッ素ガス濃度は1パーセント以下とすることが望ましい。一方、フッ素ガス濃度が低濃度すぎると汚染物質の化学的除去効果が不十分となるため、フッ素ガス濃度は10ppm(0.001パーセント)以上であることが望ましい。なお、ガス排出管64の後段にフッ素ガス除害用吸着カラム65を取り付けて、排出ガスを安全かつ低環境負荷とした。
【0066】
【比較例】
図2に示すチャンバ60、支持台58、ガス供給管62、ガス排出管64、バルブ62a及び64aの材質は全てステンレスとする。蛍石光学素子54a〜54eをチャンバ60内に装填し、ガス供給管62よりチャンバ60内にN2ガスを流通させる。流通を開始してから充分に時間が経過してチャンバ60内のガス雰囲気が安定したところで、ガス排出管64よりチャンバ60内流通ガスを少量サンプルリングした。サンプリングしたガスを用いて、チャンバ60内の残留汚染物質成分を分析した。その結果、ガスクロマトグラフ質量分析法で分析した全有機物濃度は10μg/m3、NH3濃度は0.2μg/m3であった。また、酸素および水分濃度計で測定したH2O,O2濃度はいずれも5ppm程度であった。レーザ照射前の残留ガス成分および濃度は、実施例の場合と全く同一であった。
【0067】
上記ガス雰囲気下において、レーザ照射試験を行った。図4は、レーザ照射による透過率変動の様子を示す図である。レーザ照射ドーズ量とともに透過率が低下していく様子が示されている。有機物やアンモニアが膜上で固着または重合して光吸収物質を形成し且つH2O,O2がレーザ照射時に膜と反応して酸化物や水酸化物薄層を形成し、光吸収が発生したことが原因である。
【0068】
【発明の効果】
この発明の半導体露光装置によれば、F2レーザに代表される真空紫外光を露光光源に用いる半導体露光装置において、鏡筒内または照明光学系格納容器内をフッ素雰囲気にすることにより、鏡筒内または照明光学系格納容器内に残留する有機物及びアンモニア等の不純物がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こし気化するため、鏡筒または照明光学系格納容器に含まれる光学素子及び光学薄膜への不純物の付着、光学薄膜表面の曇りの発生、光学薄膜表面の酸化または水酸化を防止することができる。また、レーザ光源がフッ素レーザ光源である場合に使用される光学素子及び光学薄膜はフッ化物材料であるため、光学素子及び光学薄膜がフッ素雰囲気中のフッ素ガスと化学反応を起こすことなく、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0069】
また、この発明の半導体露光装置によれば、鏡筒内または照明光学系格納容器内をフッ素雰囲気にした場合にフッ素雰囲気中のフッ素ガスが鏡筒または照明光学系格納容器の内側表面を形成しているニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金等の金属類と化学反応を起こしてフッ化物を生成する。しかしながら、生成されたフッ化物は不揮発性固体であるため、鏡筒に含まれる光学素子及び光学薄膜を汚染する不純物とはなりえない。従って、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0070】
また、この発明の半導体露光装置によれば、鏡筒内または照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスまたは汚染物質の濃度に基づいて、フッ素ガスの交換を行なう。従って、時間経過と共にフッ素ガスが減少または汚染物質が増大し光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を招く前に、フッ素ガスの交換を行なうことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0071】
また、この発明の半導体露光装置によれば、鏡筒内または照明光学系格納容器内のフッ素ガスの濃度を0.0001パーセントより低濃度とすると、鏡筒内または照明光学系格納容器内の汚染物質の化学的除去効果を十分に得ることができなくなるため、封入するフッ素ガスの濃度を0.0001〜100パーセントの何れかに設定する。従って、鏡筒内または照明光学系格納容器内に含まれる光学素子及び光学薄膜への汚染物質の付着を防ぐことができ、光学素子及び光学薄膜の光透過率の低下を防ぐことができる。
【0072】
また、この発明の半導体露光装置を用いれば、感光基板上に微細回路パターンを焼き付けている最中の光透過率低下や照度ムラの発生を防止することができる。従って、真空紫外光を用いる次世代半導体露光装置の生産性を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかる半導体露光装置の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかるF2レーザ照射実験装置の構成図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかるF2レーザ照射実験装置内で支持台が稼動する様子を示す図である。
【図4】この発明の実施例において、蛍石光学素子にF2レーザ照射して透過率Tを連続計測した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
M…マスク、IS…照明光学系、PL…投影光学系、W…ウエハ(感光基板)、WS…ウエハステージ、2…レーザ光源部、4…コリメートレンズ、6…フライアイレンズ、8…σ絞り、10…ミラー、12…コンデンサレンズ系、14…照明光学系格納容器、20…制御部、22…鏡筒、14a、22a…フッ素ガス供給部、14b、22b…フッ素ガス排出部、16、24…フッ素ガス置換装置、18、26…フッ素ガス濃度検出器、19、28…汚染物質濃度検出器、40…レーザ照射実験装置、42…F2レーザ発振器、44…導波管、48、68…シャッタ、50、66…フッ化物窓、54a〜54e…蛍石光学素子、56a〜56e…光学薄膜、58…支持台、60…チャンバ、62…ガス供給管、64…ガス排出管、65…フッ素ガス除害用吸着カラム、70…ジュールメータ。
Claims (12)
- レーザ光源から射出される光を露光光としてマスクを照明する照明光学系と、
鏡筒内に格納され、前記マスクのパターン像を感光基板上に形成する投影光学系と、
を備える半導体露光装置であって、
前記鏡筒内には、フッ素ガスが封入されていることを特徴とする半導体露光装置。 - 前記レーザ光源は、フッ素レーザ光源であることを特徴とする請求項1に記載の半導体露光装置。
- 前記鏡筒の内側表面から少なくとも20nmまでの部分は、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体露光装置。
- 前記鏡筒は、該鏡筒内にフッ素ガスを供給する鏡筒内フッ素ガス供給部と、
該鏡筒内のフッ素ガスを排出する鏡筒内フッ素ガス排出部と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の半導体露光装置。 - 前記鏡筒は、前記鏡筒内のフッ素ガス濃度を検出する鏡筒内フッ素ガス濃度検出部を備え、
前記鏡筒内フッ素ガス濃度検出部より検出されるフッ素ガス濃度検出値が所定値よりも小さい場合に、前記鏡筒内フッ素ガス排出部から前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記鏡筒内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の半導体露光装置。 - 前記鏡筒内の汚染物質濃度を検出する鏡筒内汚染物質濃度検出部を備え、
前記鏡筒内汚染物質濃度検出部により検出される汚染物質濃度検出値が所定値を超えた場合に、前記鏡筒内フッ素ガス排出部から前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記鏡筒内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記鏡筒内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の半導体露光装置。 - 前記照明光学系は、照明光学系格納容器内に格納され、前記照明光学系格納容器内にはフッ素ガスが封入されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の半導体露光装置。
- 前記照明光学系格納容器の内側表面から少なくとも20nmまでの部分は、ニッケル、ニッケル系合金、モネル、アルミニウム及びアルミニウム系合金の中の少なくとも1つにより構成されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体露光装置。
- 前記照明光学系格納容器は、該照明光学系格納容器内にフッ素ガスを供給する格納容器内フッ素ガス供給部と、
該照明光学系格納容器内のフッ素ガスを排出する格納容器内フッ素ガス排出部と、
を備えることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の半導体露光装置。 - 前記照明光学系格納容器内のフッ素ガス濃度を検出する格納容器内フッ素ガス濃度検出部を備え、
前記格納容器内フッ素ガス濃度検出部より検出されるフッ素ガス濃度検出値が所定値よりも小さい場合に、前記格納容器内フッ素ガス排出部から前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記格納容器内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れか一項に記載の半導体露光装置。 - 前記照明光学系格納容器内の汚染物質濃度を検出する格納容器内汚染物質濃度検出部を備え、
前記格納容器内汚染物質濃度検出部により検出される汚染物質濃度検出値が所定値を超えた場合に、前記格納容器内フッ素ガス排出部から前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスを排出すると共に前記格納容器内フッ素ガス供給部より新たなフッ素ガスを供給して、前記照明光学系格納容器内に封入されているフッ素ガスの交換を行なうことを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れか一項に記載の半導体露光装置。 - 前記鏡筒内または前記照明光学系格納容器内に封入されるフッ素ガスは、濃度を0.0001〜100パーセントとし、ヘリウムガス,ネオンガス,アルゴンガス,クリプトンガス,キセノンガス及び窒素ガスの中の少なくとも1つのガスを希釈ガスとして用いることを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか一項に記載の半導体露光装置。
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