JP2004257928A - 欠陥観察方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体装置の自動欠陥観察において、欠陥観察の信頼性の劣化を抑え、欠陥観察に要する時間の短縮を図る。
【解決手段】欠陥観察装置であるSEM装置には、欠陥検査装置と当該SEM装置との間の座標系のずれの、ウェハ上の観察位置に対する分布に関する情報(ずれ情報)が登録される。欠陥検査装置で特定された欠陥の座標に基づき、SEM装置を用いて欠陥を探索する。このとき、SEM装置は、ずれ情報から得た座標系のずれの分布の方向に沿って視野を移動させながら複数回、欠陥の探索を行う。例えば、座標系のずれが図1(b)に示すような分布である場合は、その分布に沿って視野を移動させながら、図1(c)の如く要素視野V1〜V3による欠陥の探索を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】欠陥観察装置であるSEM装置には、欠陥検査装置と当該SEM装置との間の座標系のずれの、ウェハ上の観察位置に対する分布に関する情報(ずれ情報)が登録される。欠陥検査装置で特定された欠陥の座標に基づき、SEM装置を用いて欠陥を探索する。このとき、SEM装置は、ずれ情報から得た座標系のずれの分布の方向に沿って視野を移動させながら複数回、欠陥の探索を行う。例えば、座標系のずれが図1(b)に示すような分布である場合は、その分布に沿って視野を移動させながら、図1(c)の如く要素視野V1〜V3による欠陥の探索を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置製造における欠陥観察に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造において、半導体チップ上に発生した欠陥の観察、分類を行うことは重要である。例えば、その欠陥が発生した工程を特定することにより、製造プロセスを改善して歩留まりの向上を図ることができる。そのような欠陥の観察には、例えば走査電子顕微鏡(SEM)等の欠陥観察装置が用いられる。
【0003】
SEMは高分解能ではあるが、スループットが低いためウェーハ全体のような広範囲の中から微少な欠陥を探し出そうとすると長時間を要してしまう。そこで、SEMで欠陥の観察を行う場合には、事前に、高いスループットの例えば光学式の欠陥検査装置で欠陥の位置を検出し、その位置を示す位置情報を得る。そして、その位置に対応した領域をSEMで観察することで、当該欠陥の詳細な構造を観察する。つまり、SEMよりも短時間で欠陥の位置を検出できる欠陥検査装置で欠陥の位置を特定してから、その位置に対してSEMによる観察を行うことで、欠陥観察を短時間で行うことができる。欠陥観察を短時間で行うことは当該技術分野の重要な課題であり、そのための技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
欠陥検査装置並びに欠陥観察装置における欠陥の検出は、一般に、欠陥検出の対象となる試料の画像(以下「欠陥画像」)と、欠陥の無い正常な部分の試料の画像(以下「参照画像」)とを比較し、その相違を欠陥と判定するという方法が用いられる。参照画像は、欠陥画像と同じ回路パターンを有する例えば隣接チップから取得される。
【0005】
また、近年では欠陥の検査、観察に、自動欠陥観察(ADR:Auto Defect Review)機能を有するSEMのシステム(自動欠陥観察システム)が使用されている。ADR機能とは、欠陥検査装置で位置を検出された欠陥のSEM画像を自動的に取得するものである。この方式では、欠陥検査装置で得られた欠陥の位置情報(座標)に基づいて、欠陥観察装置がSEMにより自動的に欠陥を探索して検出する。つまり、自動欠陥観察システムでは、欠陥検査装置と欠陥観察装置とは互いに座標系を共有する。
【0006】
しかし、自動欠陥観察システムにおいて、欠陥検査装置が有する座標系と欠陥観察装置が有する座標系との間にずれが存在する場合がある。そのずれがあると、欠陥観察装置が観察領域(視野)の中から、欠陥を見つけ出すのが困難になる。また、ずれが極めて大きくなり、欠陥の位置が欠陥観察装置の視野の外にはみ出してしまうと、欠陥の検出は不可能になる。当該座標系のずれの程度(方向および大きさ)が、ウェハ全面で一定であれば容易にずれを補正することも可能であろうが、ウェハ上の位置によってばらつきがある場合が多いため困難である。
【0007】
この問題を解消するためには、欠陥観察装置の視野を、座標系のずれを考慮して広くとればよい。つまり、参照画像および欠陥画像がウェハ上の広範囲を含むようにすればよい。しかし、画像のピクセル数(SEMの走査線の数)を変えずに単に視野だけを広げると、画像の分解能が低下するため微小な欠陥の検出が困難になってしまう。その場合、画像のピクセル数を増やすことで分解能の低下を防止することはできるが、上述したようにSEMはスループットが低いため、それだけ観察時間が長くなるという問題が生じる。また、広範囲の視野内での欠陥観察の時間短縮を図るための技術もある(例えば、特許文献2)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−156132号公報(第5−8頁、第1−14図)
【特許文献2】
特許第3052167号公報(第2頁、第1−2図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、座標系のずれを考慮して、欠陥観察装置における視野を広範囲にとると、観察に要する時間が長くなるという問題が生じる。また、欠陥検査装置が検出した欠陥の座標の周辺に渡って、複数個の参照画像および欠陥画像を取得することによっても、等価的に欠陥観察装置における視野を広くすることができる。しかしこの場合も、取得する画像の数が増えるため、観察時間が長くなってしまう。また、参照画像および欠陥画像のピクセル数を変えずに視野を広げれば観察時間の低下は抑えられるが、分解能が低下するため微小な欠陥の検出が困難になる。
【0010】
さらに、座標系のずれは、欠陥検査装置並びに欠陥観察装置のそれぞれにおいて、参照画像と欠陥画像との間でも存在する場合がある。この座標系のずれは、ウェハ全体の観察を行う欠陥検査装置ではそれほど問題とはならない。しかし、欠陥検査装置によって特定された座標近傍のみを観察の対象とする欠陥観察装置においては次のような問題が生じる。即ち、その座標系のずれにより、参照画像の視野と欠陥画像の視野とがずれた場合、重なり合わない領域(参照画像および欠陥画像のうちいずれか片方のみにしか含まれない領域)における欠陥は検出不可能になる。このような欠陥の”取りこぼし”は、欠陥観察の信頼性を劣化させる。
【0011】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、半導体装置の欠陥観察において、欠陥観察の信頼性の劣化を抑え、欠陥観察に要する時間の短縮を図ることが可能な欠陥観察方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の局面によれば、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥の位置を示す座標情報を取得し、前記座標情報に基づき、欠陥観察装置を用いて前記欠陥を探索して観察する欠陥観察方法は、(a)前記欠陥検査装置と前記欠陥観察装置との間の座標系のずれの、前記ウェハ上の位置に対する分布を示すずれ情報を取得する工程と、(b)前記欠陥観察装置を用いて、長手方向が前記座標系のずれの分布の方向である形状を有する視野をもって前記欠陥を探索する工程とを備える。
【0013】
第2の局面によれば、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥の位置を示す座標情報を取得し、前記座標情報に基づき、欠陥観察装置を用いて前記欠陥を探索して観察する欠陥観察方法は、(a)前記欠陥検査装置と前記欠陥観察装置との間の座標系のずれの、前記ウェハ上の位置に対する分布を示すずれ情報を取得する工程と、(b)前記欠陥観察装置を用い複数個の要素視野から成る所定の視野をもって、前記要素視野毎に所定の順番で、前記欠陥を探索する工程とを備え、前記工程(b)における前記所定の順番は、前記座標系のずれの分布に基づき、前記座標情報が示す前記欠陥の位置に応じて変更される。
【0014】
第3の局面によれば、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥の位置を示す座標情報を取得し、前記座標情報に基づき、欠陥観察装置を用いて前記欠陥を探索して観察する欠陥観察方法は、(a)前記欠陥観察装置を用い複数個の要素視野から成る所定の視野をもって、前記要素視野毎に、前記ウェハの第1チップの欠陥を探索する工程と、(b)前記複数個の要素視野のうちの、前記工程(a)で前記欠陥が検出された前記要素視野を記憶する工程と、(c)前記工程(b)よりも後に行われ、前記欠陥観察装置を用い前記所定の視野をもって前記要素視野毎に、前記第1チップと同一または近接した第2チップの欠陥を探索する工程とを備え、前記工程(c)における前記要素視野毎の前記欠陥の探索は、前記工程(b)で記憶された前記要素視野から近い順に行われる。
【0015】
第4の局面によれば、複数のチップを有するウェハに対する欠陥観察方法は、(a)第1チップ上における欠陥の無い領域の画像である参照画像を取得する工程と、(b)欠陥観察の対象である第2チップ上における前記参照画像に対応した領域の画像である欠陥画像を取得する工程と、(c)前記参照画像と前記欠陥画像とを比較することにより、欠陥を探索して観察する工程とを有し、前記参照画像の視野と、前記欠陥画像の視野とが異なる広さである。
【0016】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
欠陥検査装置と欠陥観察装置との間で座標系のずれがなければ、欠陥検査装置が検出した欠陥のウェハ上の座標を欠陥観察装置で観察すると、常に図1(a)のように欠陥観察装置の観察領域(視野)1の中心に欠陥の像2が現れるはずである。しかし、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間で座標系のずれがあると、必ずしも欠陥観察装置の視野1の中心に欠陥の像2が現れるとは限らない。一般に、そのずれの程度(方向および大きさ)はウェハ上の観察位置によって異なり、欠陥観察装置の視野1の欠陥の像2が現れる位置にばらつきが生じる。その位置は例えば図1(b)に示すような一定の分布を有する。特にずれの程度が大きい観察位置では、視野1から欠陥の像2がはみ出してしまう。
【0017】
従来、欠陥観察装置の視野1から欠陥の像2がはみ出してしまうような場合は、欠陥観察装置を用いて(自動欠陥観察装置においては自動的に)視野を縦、横、斜め方向に移動させ、欠陥検査装置で特定された欠陥の座標の周辺の領域の参照画像および欠陥画像も取得していた。そして、それらの参照画像および欠陥画像を用いて欠陥を探索した後、欠陥の観察を行っていた。そのため、欠陥の観察に要する時間が増大していた。
【0018】
そこで、本実施の形態では、予め欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれの分布を示す情報(ずれ情報)を取得し、その情報に基づいて、欠陥観察装置の視野を当該座標系のずれの分布に沿って長い形状にする。
【0019】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法を説明する。本明細書では、欠陥観察装置としてSEM装置を例に挙げて説明を行うが、本発明の適用の範囲をそれに限定するものではなく、他の欠陥観察装置を用いるものであってもよい。まず、欠陥観察装置であるSEM装置に、欠陥検査装置と当該SEM装置との間の座標系のずれの、ウェハ上の観察位置に対する分布を示す情報(ずれ情報)を登録しておく。この情報は、例えば過去に行った欠陥観察の記録データから得ることができるし、その情報を得るための試験を行うことによっても得ることができる。
【0020】
そして、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、当該座標情報に基づき、SEM装置を用いて欠陥を探索する。このとき、SEM装置は、ずれ情報に基づき座標系のずれの分布の方向に沿って視野を移動させながら複数回、欠陥の探索を行う。その結果、SEM装置は、1回で探索可能な視野が、座標系のずれの分布の方向に沿って複数個並んだ形状の視野を等価的に得ることができる。本明細書では、欠陥観察装置の複数個の視野を組み合わせて、等価的に1つの広い視野を得るケースにおいて、当該広い視野を構成する個々の視野を「要素視野」と称する。
【0021】
例えば、欠陥検査装置と当該SEM装置との座標系のずれが図1(b)に示すような分布である場合は、その分布に沿って視野を移動させながら、図1(c)の如く要素視野V1〜V3による欠陥の探索を行う。つまり、座標系のずれの分布の方向に沿って視野を移動させながら3回、欠陥の探索を行う。SEM装置は、図1(d)の矢印のような走査を3回行うことになる。結果として、SEM装置は図1(c)に示すように、長手方向が座標系のずれの分布の方向である形状を有する視野1を得ることになる。
【0022】
また例えば、欠陥検査装置と当該SEM装置との座標系のずれが図2(a)に示すような分布である場合は、一旦SEMの視野を回転させ(即ち、走査方向を回転させる)、図2(b)に示すように、その分布に沿って要素視野V1〜V3による探索を行えばよい。
【0023】
このようにSEM装置の視野を、座標系のずれの分布の方向に沿って長い形状を有する視野にすることにより、効率的に欠陥の探索を行うことができる。言い換えれば、無駄な探索が省略されるため、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0024】
本実施の形態では、SEM装置が視野を移動させながら欠陥探索を行う回数を3回(即ち、要素視野の個数を3個)としたが、2回以上の複数回であればよい。但し、その回数を増やしすぎると、かえって欠陥観察に要する時間が長くなってしまう。欠陥観察装置とSEM装置との間の座標系のずれの分布の状態にもよるが、当該座標系のずれをカバーできる最小限の回数に留めておくことが望ましい。
【0025】
<実施の形態2>
図3は、本実施の形態に係る欠陥観察方法を説明するための図である。本実施の形態に係る欠陥観察法においても、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれ情報を取得し、その情報に基づいて、欠陥観察装置の観察領域を座標系のずれの分布に沿って長い形状にする。但し、実施の形態1と異なり、一回の探索における視野の形状そのものを、当該座標系のずれの分布に沿って長い形状にする。
【0026】
例えば、欠陥検査装置とSEM装置との座標系のずれが上記した図1(b)に示すような分布である場合は、図3(a)に示すように、その分布に沿って長い形状の単一の視野1をもって欠陥の探索を行う。つまり、SEM装置は、図3(b)の矢印のような走査を行う。また例えば、欠陥検査装置と当該SEM装置との座標系のずれの分布が縦方向、あるいは斜め方向に長い場合は、図4(a)および図4(b)のように、SEMの視野を回転(即ち、走査方向を回転させる)させればよい。
【0027】
このようにSEM装置の視野を、座標系のずれの分布の方向に沿って長い形状を有する視野にすることにより、効率的に欠陥の探索を行うことができ、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0028】
なお、本実施の形態では、図3(b)のように、SEM装置の走査距離を伸ばして視野を走査方向(横方向)に長くする例を示したが、走査回数を増やして走査方向に対して垂直(縦方向)に長くしても良い。また、視野の形状を長く伸ばしすぎると、かえって欠陥観察に要する時間が長くなってしまう。欠陥観察装置とSEM装置との間の座標系のずれの分布の状態にもよるが、当該座標系のずれをカバーできる最小限の長さに留めておくことが望ましい。
【0029】
<実施の形態3>
上記の実施の形態1および2では、欠陥観察装置に、単一の欠陥検査装置との間の座標系のずれ情報が登録される例を示した。しかし、欠陥観察装置は、常に同一の欠陥検査装置との組合せで使用されるとは限らず、複数個の欠陥検査装置と組み合わせて使用される場合もある。その場合、欠陥観察装置は、複数個の欠陥検査装置が特定した座標に基づいて、欠陥を探索して観察を行う。欠陥検査装置は、それぞれの個体毎に異なる座標系のずれを有する場合が多い。そこで、本実施の形態においては、欠陥観察装置であるSEM装置に、予め複数個の欠陥検査装置との間の座標系のずれの分布を示す、複数のずれ情報が登録される。
【0030】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法を説明する。まず、欠陥観察装置であるSEM装置に、複数個の欠陥検査装置と当該SEM装置との間の座標系のずれの分布を示す、複数個のずれ情報を登録しておく。そして、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、SEM装置は欠陥の探索に先立って、その登録された複数個のずれ情報の中から、当該欠陥の座標情報を取得した欠陥検査装置に対応したずれ情報を選択することで、SEM装置と当該欠陥検査装置との間の座標系のずれの分布を取得する。
【0031】
以降は実施の形態1と同様の方法で、欠陥検査装置が取得した座標情報に基づき、SEM装置を用いて欠陥を探索する。つまり、SEM装置は、当該欠陥検査装置との座標系のずれの分布の方向に沿って視野を移動させながら複数回、欠陥の探索を行う。
【0032】
例えば、SEM装置との座標系のずれの分布が図5(a)のような分布である欠陥検査装置Aを使用して欠陥の座標情報を取得した場合、当該SEM装置は、登録された複数個のずれ情報の中から欠陥検査装置Aに対応したずれ情報を選択し、図5(b)の如くその分布に沿って3回、欠陥の探索を行う。また、SEM装置との座標系のずれの分布が図5(c)のような分布である欠陥検査装置Bを使用して欠陥の座標情報を取得した場合、当該SEM装置は、登録された複数個のずれ情報の中から欠陥検査装置Bに対応したずれ情報を選択し、図5(d)の如くその分布に沿って3回、欠陥の探索を行う。
【0033】
このように、SEM装置は、複数個の欠陥検査装置に対応した複数個のずれ情報を有し、それに組合せた欠陥検査装置に応じて視野の長手方向の向きを変化させる。よって、当該SEM装置が、複数個の欠陥検査装置と組み合わせて使用される場合にも本発明を適応させることができる。また、実施の形態1と同様に、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できることは言うまでも無い。
【0034】
なお、本実施の形態においては、SEM装置による欠陥観察の手法として、実施の形態1の手法を適用したが、それに替えて、実施の形態2を適用することも可能であり、同様の効果を得ることができることは明らかである。
【0035】
<実施の形態4>
上述のように、欠陥観察装置は、欠陥検査装置で特定された欠陥の座標の周辺に渡って要素視野による欠陥の探索を複数回行うことにより、等価的に広い視野を得ることができる。それにより、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間に座標系のずれがあった場合でも、欠陥の探索が可能になる。
【0036】
例えば、欠陥観察装置としてのSEM装置の視野が、図6(a)のように要素視野V1〜V9により構成される場合、それら全ての要素視野V1〜V9の全てに対して欠陥の探索を行うと、探索に長時間を要してしまう。そのため、要素視野V1〜V9を所定の順番で探索し、欠陥を検出することができた時点で、欠陥の探索は打ち切られる。従って、欠陥の探索に要する時間は、要素視野V1〜V9を探索する順番に大きく左右される。
【0037】
一般に、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれの程度(方向および大きさ)は、ウェハ上の位置に依存して変化する。本実施の形態では、欠陥観察装置は、欠陥の探索に先立って欠陥検査装置との間の座標系のずれの分布の情報を取得し、その情報に基づいて、要素視野の探索する順番を決定する。
【0038】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法を説明する。まず、欠陥観察装置であるSEM装置に、欠陥検査装置と当該SEM装置との間の座標系のずれの、ウェハ上の観察位置に対する分布に関する情報(ずれ情報)を登録しておく。
【0039】
そして、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、座標情報に基づき、SEM装置は、図6(a)のような要素視野V1〜V9により構成される視野をもって欠陥を探索する。このときSEM装置は、ずれ情報に基づき、座標系のずれの分布の方向に応じて、要素視野の探索する順番を決定する。
【0040】
例えば、SEM装置に登録されたずれ情報から「観察位置がウェハの左端に近付くと座標系は左方向にずれ、右端に近付くと座標系は右方向にずれる」という傾向が得られたと仮定する。その場合、図6(b)に示すようなウェハ上の左端付近に位置するチップAにおける欠陥の探索においては、図6(a)に示す欠陥PAのように要素視野V2で欠陥が検出される確率が高い。また、ウェハ中央付近のチップBでは欠陥PBのように要素視野V5で、さらにウェハ右端付近のチップCでは欠陥PCのように要素視野V8で、欠陥が検出される確率が高い。
【0041】
そこで、SEM装置は、チップAにおいて欠陥の検索を行う場合は、要素視野V1〜V9のうち要素視野V2から欠陥の検索を開始し、以降、要素視野V2から近い順番で(例えば、V2、V1、V3、V5、・・・の順)欠陥の探索を行う。そして、欠陥を検出することができた時点で、その探索は打ち切られる。また、チップBにおいて欠陥の検索を行う場合は、要素視野V5から近い順に欠陥の検索を行い、同様に、チップCにおいて欠陥の検索を行う場合は、要素視野V8から近い順に行う。
【0042】
このようにSEM装置における要素視野の探索を行う順番を、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれの分布に基づいて決定することで、効率的に欠陥の検索を行うことができ、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0043】
また、本実施の形態でも、上記実施の形態3のように、SEM装置に複数個の欠陥検査装置に対応した複数個のずれ情報を登録しておく構成であってもよい。それにより、当該SEM装置が、複数個の欠陥検査装置と組み合わせて使用される場合にも本発明を対応させることができる。
【0044】
<実施の形態5>
一般に、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれの程度(方向および大きさ)は、ウェハ上の位置に依存して変化する。言い換えれば、ウェハ上の狭い範囲内では、座標系のずれの程度はほぼ一定であると考えられる。よって、同一チップ内においては、ほぼ同様の座標系のずれが生じる可能性が高い。
【0045】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法について説明する。まず、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。ここで、図7(b)に示すチップAにおいて2つの欠陥PA1、PA2が検出されたと仮定する。
【0046】
次いで、座標情報に基づき、SEM装置は、図7(a)のような要素視野V1〜V9により構成される視野をもって欠陥を探索する。まず、SEM装置は、欠陥検査装置が特定した欠陥PA1の座標に基づいて当該欠陥PA1を探索する。その結果、要素視野V2において、欠陥PA1が検出されたと仮定する。このことは、欠陥PA1の位置では、座標系が左方向にずれを有していたことを示している。
【0047】
続いて、SEM装置は、欠陥検査装置が特定した欠陥PA2の座標に基づいて当該欠陥PA2を探索する。欠陥PA1とPA2とは、共に同一のチップA上の欠陥である。同一チップ内においてはほぼ同様の座標系のずれが生じる可能性が高いので、欠陥PA2の位置においても欠陥PA1の位置と同様に左方向の座標系のずれが生じている可能性が高い。即ち、欠陥PA2も、欠陥PA1と同様に、要素視野V2において検出される可能性が高い。そこで、SEM装置は、要素視野V1〜V9に対する欠陥の探索の順番を要素視野V2から開始し、以降、要素視野V2から近い順番で行う。そして、欠陥を検出することができた時点で、その探索は打ち切られる。
【0048】
このように、本実施の形態においては、同一のチップ内で複数個の欠陥の探索を行う場合、一の欠陥が検出された要素視野の位置を記憶し、他の欠陥の検出の際には、一の欠陥が検出された要素視野から近い順に欠陥の探索を行う。よって、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれが存在する場合でも、効率的に欠陥の検索を行うことができ、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0049】
<実施の形態6>
実施の形態5では、ウェハ上の同一チップ内における複数個の欠陥の探索を行う場合について説明したが、近接する異なるチップ同士に対しても適用可能である。上述したように、ウェハ上の狭い範囲内では、座標系のずれの程度はほぼ一定であると考えられるので、近接するチップ内においては、ほぼ同様の座標系のずれが生じる可能性が高い。
【0050】
例えば、欠陥検査装置により、図8(b)に示すチップAにおいて欠陥PAが、チップAに近接するチップBにおいて欠陥PBがそれぞれ検出されたとする。そして、SEM装置が図8(a)のように要素視野V1〜V9により構成される視野をもって欠陥PA、PBを探索する場合を考える。
【0051】
まず、SEM装置は、欠陥検査装置が特定した欠陥PAの座標に基づいてチップA上で当該欠陥PAを探索する。その結果、要素視野V2において、欠陥PAが検出されたと仮定する。このことは、チップA上では、座標系が左方向にずれを有していたことを示唆している。
【0052】
続いて、SEM装置は、欠陥検査装置が特定した欠陥PBの座標に基づいてチップB上で当該欠陥PBを探索する。チップAとチップBとは、互いに近接したチップである。近接したチップ上においてはほぼ同様の座標系のずれが生じる可能性が高いので、チップB上においてもチップA上と同様に左方向の座標系のずれが生じている可能性が高い。即ち、欠陥PBも、欠陥PAと同様に要素視野V2において検出される可能性が高い。そこで、SEM装置は、要素視野V1〜V9に対する欠陥の探索の順番を要素視野V2から開始し、以降、要素視野V2から近い順番で行う。そして、欠陥PBを検出することができた時点で、その探索は打ち切られる。
【0053】
このように、本実施の形態においては、近接したチップ内で複数個の欠陥の探索を行う場合、一の欠陥が検出された要素視野の位置を記憶し、他の欠陥の探索の際には、一の欠陥が検出された要素視野から近い順に欠陥の探索を行う。よって、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれが存在する場合でも、効率的に欠陥の検索を行うことができ、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0054】
<実施の形態7>
座標系のずれは、欠陥検査装置と欠陥観察装置の間だけでなく、欠陥を探索のための参照画像と欠陥画像との間でも存在する。特に欠陥観察装置は、特定の座標近傍のみを視野とするので、参照画像の視野と欠陥画像の視野とがずれた場合、重なり合わない領域(参照画像および欠陥画像のうちいずれか片方のみにしか含まれない領域)における欠陥は検出不可能であり、欠陥の検出ミス、いわゆる”取りこぼし”が生じる。
【0055】
例えば、参照画像の視野が、図9(a)の如く参照チップの回路パターン5に対して領域R1であり、そして、欠陥画像の視野が、図9(b)の如く欠陥チップの回路パターン5に対して領域D1であったとする。欠陥画像の視野D1内には探索の対象である欠陥6が含まれている。本来、参照画像の視野R1と欠陥画像の視野D1とは、一致するべきであるが、この例では、座標系のずれによって互いにずれている。この場合、参照画像と欠陥画像との比較ができる領域は、領域D1と領域R1とが重なり合った部分、即ち図9(b)の領域S1となる。つまり、この例では、欠陥6は欠陥画像の視野D1に含まれているにも関わらず、参照画像と欠陥画像との間の座標系のずれが原因で、検出することができない。
【0056】
そこで、本実施の形態においては、参照画像の視野と欠陥画像の視野とを異なる広さにし、座標系のずれを考慮して参照画像の視野を図9(c)に示す領域R2のように欠陥画像の視野D1よりも広くとる。
【0057】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法について説明する。まず、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、SEM装置を用い、座標情報に基づいて参照チップから参照画像を、欠陥チップから欠陥画像をそれぞれ取得する。このとき、欠陥画像の視野を図9(b)の領域D1ようにとり、参照画像の視野を図9(c)の領域R2のように、欠陥画像の視野D1よりも広範囲にとる。それにより、欠陥画像内に、参照画像と重ならない部分は無くなるので、欠陥の検出ミスを防止することができる。
【0058】
また、欠陥画像の視野と参照画像の視野の両方を、従来のものより大きくしても欠陥の検出ミスは抑制できるが、その場合は欠陥の検出に要する時間が長くなってしまう。それに対し、本実施の形態では、参照画像の視野のみを大きくするので欠陥の検出に要する時間が増大は抑制さる。
【0059】
<実施の形態8>
本実施の形態においては、欠陥観察の対象であるチップの回路パターンが例えばメモリセルのような繰返しパターンを有している場合に、参照画像の視野を欠陥画像の視野よりも狭くとり、欠陥の検出を行う。
【0060】
本実施の形態に係る欠陥観察方法について説明する。まず、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、SEM装置を用い、座標情報に基づいて参照チップから参照画像を、欠陥チップから欠陥画像をそれぞれ取得する。ここで、欠陥を探索する個所における回路パターンが、図10(a)のように繰返しパターンを有しているものと仮定する。SEM装置は、参照画像として図10(a)に示す領域R3のように回路の繰返しパターンの単位パターンに相当する領域R3の画像を取得する。即ち、参照画像の視野は領域R3である。一方、欠陥画像としては、図10(b)の如く単位パターンを複数個含む領域D3の欠陥画像を取得する。即ち、欠陥画像の視野は領域D3である。
【0061】
そして、参照画像と欠陥画像とを比較して欠陥を探索する際は、欠陥画像に含まれる複数の単位パターンに対し、同一の参照パターンを繰返し使用して比較することで欠陥画像の欠陥6を検出する。
【0062】
このように、参照画像を小さくとり、それを繰返し利用して欠陥画像との比較を行うことにより、参照画像を取得する時間を短縮できるので、欠陥観察に要する時間の短縮を図ることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る欠陥観察方法によれば、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間に座標系のずれが存在する場合においても、効率的に欠陥の探索を行うことができるので、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。また、欠陥観察装置が、複数個の欠陥検査装置と組み合わせて使用される場合への適用も可能である。
【0064】
さらに、参照画像と欠陥画像との間に座標のずれが存在する場合でも、欠陥観察に要する時間の増大を防止しつつ、欠陥の検出ミスの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図2】実施の形態1に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図3】実施の形態2に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図4】実施の形態2に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図5】実施の形態3に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図6】実施の形態4に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図7】実施の形態5に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図8】実施の形態6に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図9】実施の形態7に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図10】実施の形態8に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 欠陥観察装置の視野、2 欠陥の像、5 回路パターン、6 欠陥、V1〜V9 要素視野、R1〜R3 参照画像の視野、D1,D3 欠陥画像の視野。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置製造における欠陥観察に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造において、半導体チップ上に発生した欠陥の観察、分類を行うことは重要である。例えば、その欠陥が発生した工程を特定することにより、製造プロセスを改善して歩留まりの向上を図ることができる。そのような欠陥の観察には、例えば走査電子顕微鏡(SEM)等の欠陥観察装置が用いられる。
【0003】
SEMは高分解能ではあるが、スループットが低いためウェーハ全体のような広範囲の中から微少な欠陥を探し出そうとすると長時間を要してしまう。そこで、SEMで欠陥の観察を行う場合には、事前に、高いスループットの例えば光学式の欠陥検査装置で欠陥の位置を検出し、その位置を示す位置情報を得る。そして、その位置に対応した領域をSEMで観察することで、当該欠陥の詳細な構造を観察する。つまり、SEMよりも短時間で欠陥の位置を検出できる欠陥検査装置で欠陥の位置を特定してから、その位置に対してSEMによる観察を行うことで、欠陥観察を短時間で行うことができる。欠陥観察を短時間で行うことは当該技術分野の重要な課題であり、そのための技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
欠陥検査装置並びに欠陥観察装置における欠陥の検出は、一般に、欠陥検出の対象となる試料の画像(以下「欠陥画像」)と、欠陥の無い正常な部分の試料の画像(以下「参照画像」)とを比較し、その相違を欠陥と判定するという方法が用いられる。参照画像は、欠陥画像と同じ回路パターンを有する例えば隣接チップから取得される。
【0005】
また、近年では欠陥の検査、観察に、自動欠陥観察(ADR:Auto Defect Review)機能を有するSEMのシステム(自動欠陥観察システム)が使用されている。ADR機能とは、欠陥検査装置で位置を検出された欠陥のSEM画像を自動的に取得するものである。この方式では、欠陥検査装置で得られた欠陥の位置情報(座標)に基づいて、欠陥観察装置がSEMにより自動的に欠陥を探索して検出する。つまり、自動欠陥観察システムでは、欠陥検査装置と欠陥観察装置とは互いに座標系を共有する。
【0006】
しかし、自動欠陥観察システムにおいて、欠陥検査装置が有する座標系と欠陥観察装置が有する座標系との間にずれが存在する場合がある。そのずれがあると、欠陥観察装置が観察領域(視野)の中から、欠陥を見つけ出すのが困難になる。また、ずれが極めて大きくなり、欠陥の位置が欠陥観察装置の視野の外にはみ出してしまうと、欠陥の検出は不可能になる。当該座標系のずれの程度(方向および大きさ)が、ウェハ全面で一定であれば容易にずれを補正することも可能であろうが、ウェハ上の位置によってばらつきがある場合が多いため困難である。
【0007】
この問題を解消するためには、欠陥観察装置の視野を、座標系のずれを考慮して広くとればよい。つまり、参照画像および欠陥画像がウェハ上の広範囲を含むようにすればよい。しかし、画像のピクセル数(SEMの走査線の数)を変えずに単に視野だけを広げると、画像の分解能が低下するため微小な欠陥の検出が困難になってしまう。その場合、画像のピクセル数を増やすことで分解能の低下を防止することはできるが、上述したようにSEMはスループットが低いため、それだけ観察時間が長くなるという問題が生じる。また、広範囲の視野内での欠陥観察の時間短縮を図るための技術もある(例えば、特許文献2)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−156132号公報(第5−8頁、第1−14図)
【特許文献2】
特許第3052167号公報(第2頁、第1−2図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、座標系のずれを考慮して、欠陥観察装置における視野を広範囲にとると、観察に要する時間が長くなるという問題が生じる。また、欠陥検査装置が検出した欠陥の座標の周辺に渡って、複数個の参照画像および欠陥画像を取得することによっても、等価的に欠陥観察装置における視野を広くすることができる。しかしこの場合も、取得する画像の数が増えるため、観察時間が長くなってしまう。また、参照画像および欠陥画像のピクセル数を変えずに視野を広げれば観察時間の低下は抑えられるが、分解能が低下するため微小な欠陥の検出が困難になる。
【0010】
さらに、座標系のずれは、欠陥検査装置並びに欠陥観察装置のそれぞれにおいて、参照画像と欠陥画像との間でも存在する場合がある。この座標系のずれは、ウェハ全体の観察を行う欠陥検査装置ではそれほど問題とはならない。しかし、欠陥検査装置によって特定された座標近傍のみを観察の対象とする欠陥観察装置においては次のような問題が生じる。即ち、その座標系のずれにより、参照画像の視野と欠陥画像の視野とがずれた場合、重なり合わない領域(参照画像および欠陥画像のうちいずれか片方のみにしか含まれない領域)における欠陥は検出不可能になる。このような欠陥の”取りこぼし”は、欠陥観察の信頼性を劣化させる。
【0011】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、半導体装置の欠陥観察において、欠陥観察の信頼性の劣化を抑え、欠陥観察に要する時間の短縮を図ることが可能な欠陥観察方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の局面によれば、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥の位置を示す座標情報を取得し、前記座標情報に基づき、欠陥観察装置を用いて前記欠陥を探索して観察する欠陥観察方法は、(a)前記欠陥検査装置と前記欠陥観察装置との間の座標系のずれの、前記ウェハ上の位置に対する分布を示すずれ情報を取得する工程と、(b)前記欠陥観察装置を用いて、長手方向が前記座標系のずれの分布の方向である形状を有する視野をもって前記欠陥を探索する工程とを備える。
【0013】
第2の局面によれば、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥の位置を示す座標情報を取得し、前記座標情報に基づき、欠陥観察装置を用いて前記欠陥を探索して観察する欠陥観察方法は、(a)前記欠陥検査装置と前記欠陥観察装置との間の座標系のずれの、前記ウェハ上の位置に対する分布を示すずれ情報を取得する工程と、(b)前記欠陥観察装置を用い複数個の要素視野から成る所定の視野をもって、前記要素視野毎に所定の順番で、前記欠陥を探索する工程とを備え、前記工程(b)における前記所定の順番は、前記座標系のずれの分布に基づき、前記座標情報が示す前記欠陥の位置に応じて変更される。
【0014】
第3の局面によれば、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥の位置を示す座標情報を取得し、前記座標情報に基づき、欠陥観察装置を用いて前記欠陥を探索して観察する欠陥観察方法は、(a)前記欠陥観察装置を用い複数個の要素視野から成る所定の視野をもって、前記要素視野毎に、前記ウェハの第1チップの欠陥を探索する工程と、(b)前記複数個の要素視野のうちの、前記工程(a)で前記欠陥が検出された前記要素視野を記憶する工程と、(c)前記工程(b)よりも後に行われ、前記欠陥観察装置を用い前記所定の視野をもって前記要素視野毎に、前記第1チップと同一または近接した第2チップの欠陥を探索する工程とを備え、前記工程(c)における前記要素視野毎の前記欠陥の探索は、前記工程(b)で記憶された前記要素視野から近い順に行われる。
【0015】
第4の局面によれば、複数のチップを有するウェハに対する欠陥観察方法は、(a)第1チップ上における欠陥の無い領域の画像である参照画像を取得する工程と、(b)欠陥観察の対象である第2チップ上における前記参照画像に対応した領域の画像である欠陥画像を取得する工程と、(c)前記参照画像と前記欠陥画像とを比較することにより、欠陥を探索して観察する工程とを有し、前記参照画像の視野と、前記欠陥画像の視野とが異なる広さである。
【0016】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
欠陥検査装置と欠陥観察装置との間で座標系のずれがなければ、欠陥検査装置が検出した欠陥のウェハ上の座標を欠陥観察装置で観察すると、常に図1(a)のように欠陥観察装置の観察領域(視野)1の中心に欠陥の像2が現れるはずである。しかし、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間で座標系のずれがあると、必ずしも欠陥観察装置の視野1の中心に欠陥の像2が現れるとは限らない。一般に、そのずれの程度(方向および大きさ)はウェハ上の観察位置によって異なり、欠陥観察装置の視野1の欠陥の像2が現れる位置にばらつきが生じる。その位置は例えば図1(b)に示すような一定の分布を有する。特にずれの程度が大きい観察位置では、視野1から欠陥の像2がはみ出してしまう。
【0017】
従来、欠陥観察装置の視野1から欠陥の像2がはみ出してしまうような場合は、欠陥観察装置を用いて(自動欠陥観察装置においては自動的に)視野を縦、横、斜め方向に移動させ、欠陥検査装置で特定された欠陥の座標の周辺の領域の参照画像および欠陥画像も取得していた。そして、それらの参照画像および欠陥画像を用いて欠陥を探索した後、欠陥の観察を行っていた。そのため、欠陥の観察に要する時間が増大していた。
【0018】
そこで、本実施の形態では、予め欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれの分布を示す情報(ずれ情報)を取得し、その情報に基づいて、欠陥観察装置の視野を当該座標系のずれの分布に沿って長い形状にする。
【0019】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法を説明する。本明細書では、欠陥観察装置としてSEM装置を例に挙げて説明を行うが、本発明の適用の範囲をそれに限定するものではなく、他の欠陥観察装置を用いるものであってもよい。まず、欠陥観察装置であるSEM装置に、欠陥検査装置と当該SEM装置との間の座標系のずれの、ウェハ上の観察位置に対する分布を示す情報(ずれ情報)を登録しておく。この情報は、例えば過去に行った欠陥観察の記録データから得ることができるし、その情報を得るための試験を行うことによっても得ることができる。
【0020】
そして、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、当該座標情報に基づき、SEM装置を用いて欠陥を探索する。このとき、SEM装置は、ずれ情報に基づき座標系のずれの分布の方向に沿って視野を移動させながら複数回、欠陥の探索を行う。その結果、SEM装置は、1回で探索可能な視野が、座標系のずれの分布の方向に沿って複数個並んだ形状の視野を等価的に得ることができる。本明細書では、欠陥観察装置の複数個の視野を組み合わせて、等価的に1つの広い視野を得るケースにおいて、当該広い視野を構成する個々の視野を「要素視野」と称する。
【0021】
例えば、欠陥検査装置と当該SEM装置との座標系のずれが図1(b)に示すような分布である場合は、その分布に沿って視野を移動させながら、図1(c)の如く要素視野V1〜V3による欠陥の探索を行う。つまり、座標系のずれの分布の方向に沿って視野を移動させながら3回、欠陥の探索を行う。SEM装置は、図1(d)の矢印のような走査を3回行うことになる。結果として、SEM装置は図1(c)に示すように、長手方向が座標系のずれの分布の方向である形状を有する視野1を得ることになる。
【0022】
また例えば、欠陥検査装置と当該SEM装置との座標系のずれが図2(a)に示すような分布である場合は、一旦SEMの視野を回転させ(即ち、走査方向を回転させる)、図2(b)に示すように、その分布に沿って要素視野V1〜V3による探索を行えばよい。
【0023】
このようにSEM装置の視野を、座標系のずれの分布の方向に沿って長い形状を有する視野にすることにより、効率的に欠陥の探索を行うことができる。言い換えれば、無駄な探索が省略されるため、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0024】
本実施の形態では、SEM装置が視野を移動させながら欠陥探索を行う回数を3回(即ち、要素視野の個数を3個)としたが、2回以上の複数回であればよい。但し、その回数を増やしすぎると、かえって欠陥観察に要する時間が長くなってしまう。欠陥観察装置とSEM装置との間の座標系のずれの分布の状態にもよるが、当該座標系のずれをカバーできる最小限の回数に留めておくことが望ましい。
【0025】
<実施の形態2>
図3は、本実施の形態に係る欠陥観察方法を説明するための図である。本実施の形態に係る欠陥観察法においても、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれ情報を取得し、その情報に基づいて、欠陥観察装置の観察領域を座標系のずれの分布に沿って長い形状にする。但し、実施の形態1と異なり、一回の探索における視野の形状そのものを、当該座標系のずれの分布に沿って長い形状にする。
【0026】
例えば、欠陥検査装置とSEM装置との座標系のずれが上記した図1(b)に示すような分布である場合は、図3(a)に示すように、その分布に沿って長い形状の単一の視野1をもって欠陥の探索を行う。つまり、SEM装置は、図3(b)の矢印のような走査を行う。また例えば、欠陥検査装置と当該SEM装置との座標系のずれの分布が縦方向、あるいは斜め方向に長い場合は、図4(a)および図4(b)のように、SEMの視野を回転(即ち、走査方向を回転させる)させればよい。
【0027】
このようにSEM装置の視野を、座標系のずれの分布の方向に沿って長い形状を有する視野にすることにより、効率的に欠陥の探索を行うことができ、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0028】
なお、本実施の形態では、図3(b)のように、SEM装置の走査距離を伸ばして視野を走査方向(横方向)に長くする例を示したが、走査回数を増やして走査方向に対して垂直(縦方向)に長くしても良い。また、視野の形状を長く伸ばしすぎると、かえって欠陥観察に要する時間が長くなってしまう。欠陥観察装置とSEM装置との間の座標系のずれの分布の状態にもよるが、当該座標系のずれをカバーできる最小限の長さに留めておくことが望ましい。
【0029】
<実施の形態3>
上記の実施の形態1および2では、欠陥観察装置に、単一の欠陥検査装置との間の座標系のずれ情報が登録される例を示した。しかし、欠陥観察装置は、常に同一の欠陥検査装置との組合せで使用されるとは限らず、複数個の欠陥検査装置と組み合わせて使用される場合もある。その場合、欠陥観察装置は、複数個の欠陥検査装置が特定した座標に基づいて、欠陥を探索して観察を行う。欠陥検査装置は、それぞれの個体毎に異なる座標系のずれを有する場合が多い。そこで、本実施の形態においては、欠陥観察装置であるSEM装置に、予め複数個の欠陥検査装置との間の座標系のずれの分布を示す、複数のずれ情報が登録される。
【0030】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法を説明する。まず、欠陥観察装置であるSEM装置に、複数個の欠陥検査装置と当該SEM装置との間の座標系のずれの分布を示す、複数個のずれ情報を登録しておく。そして、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、SEM装置は欠陥の探索に先立って、その登録された複数個のずれ情報の中から、当該欠陥の座標情報を取得した欠陥検査装置に対応したずれ情報を選択することで、SEM装置と当該欠陥検査装置との間の座標系のずれの分布を取得する。
【0031】
以降は実施の形態1と同様の方法で、欠陥検査装置が取得した座標情報に基づき、SEM装置を用いて欠陥を探索する。つまり、SEM装置は、当該欠陥検査装置との座標系のずれの分布の方向に沿って視野を移動させながら複数回、欠陥の探索を行う。
【0032】
例えば、SEM装置との座標系のずれの分布が図5(a)のような分布である欠陥検査装置Aを使用して欠陥の座標情報を取得した場合、当該SEM装置は、登録された複数個のずれ情報の中から欠陥検査装置Aに対応したずれ情報を選択し、図5(b)の如くその分布に沿って3回、欠陥の探索を行う。また、SEM装置との座標系のずれの分布が図5(c)のような分布である欠陥検査装置Bを使用して欠陥の座標情報を取得した場合、当該SEM装置は、登録された複数個のずれ情報の中から欠陥検査装置Bに対応したずれ情報を選択し、図5(d)の如くその分布に沿って3回、欠陥の探索を行う。
【0033】
このように、SEM装置は、複数個の欠陥検査装置に対応した複数個のずれ情報を有し、それに組合せた欠陥検査装置に応じて視野の長手方向の向きを変化させる。よって、当該SEM装置が、複数個の欠陥検査装置と組み合わせて使用される場合にも本発明を適応させることができる。また、実施の形態1と同様に、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できることは言うまでも無い。
【0034】
なお、本実施の形態においては、SEM装置による欠陥観察の手法として、実施の形態1の手法を適用したが、それに替えて、実施の形態2を適用することも可能であり、同様の効果を得ることができることは明らかである。
【0035】
<実施の形態4>
上述のように、欠陥観察装置は、欠陥検査装置で特定された欠陥の座標の周辺に渡って要素視野による欠陥の探索を複数回行うことにより、等価的に広い視野を得ることができる。それにより、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間に座標系のずれがあった場合でも、欠陥の探索が可能になる。
【0036】
例えば、欠陥観察装置としてのSEM装置の視野が、図6(a)のように要素視野V1〜V9により構成される場合、それら全ての要素視野V1〜V9の全てに対して欠陥の探索を行うと、探索に長時間を要してしまう。そのため、要素視野V1〜V9を所定の順番で探索し、欠陥を検出することができた時点で、欠陥の探索は打ち切られる。従って、欠陥の探索に要する時間は、要素視野V1〜V9を探索する順番に大きく左右される。
【0037】
一般に、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれの程度(方向および大きさ)は、ウェハ上の位置に依存して変化する。本実施の形態では、欠陥観察装置は、欠陥の探索に先立って欠陥検査装置との間の座標系のずれの分布の情報を取得し、その情報に基づいて、要素視野の探索する順番を決定する。
【0038】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法を説明する。まず、欠陥観察装置であるSEM装置に、欠陥検査装置と当該SEM装置との間の座標系のずれの、ウェハ上の観察位置に対する分布に関する情報(ずれ情報)を登録しておく。
【0039】
そして、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、座標情報に基づき、SEM装置は、図6(a)のような要素視野V1〜V9により構成される視野をもって欠陥を探索する。このときSEM装置は、ずれ情報に基づき、座標系のずれの分布の方向に応じて、要素視野の探索する順番を決定する。
【0040】
例えば、SEM装置に登録されたずれ情報から「観察位置がウェハの左端に近付くと座標系は左方向にずれ、右端に近付くと座標系は右方向にずれる」という傾向が得られたと仮定する。その場合、図6(b)に示すようなウェハ上の左端付近に位置するチップAにおける欠陥の探索においては、図6(a)に示す欠陥PAのように要素視野V2で欠陥が検出される確率が高い。また、ウェハ中央付近のチップBでは欠陥PBのように要素視野V5で、さらにウェハ右端付近のチップCでは欠陥PCのように要素視野V8で、欠陥が検出される確率が高い。
【0041】
そこで、SEM装置は、チップAにおいて欠陥の検索を行う場合は、要素視野V1〜V9のうち要素視野V2から欠陥の検索を開始し、以降、要素視野V2から近い順番で(例えば、V2、V1、V3、V5、・・・の順)欠陥の探索を行う。そして、欠陥を検出することができた時点で、その探索は打ち切られる。また、チップBにおいて欠陥の検索を行う場合は、要素視野V5から近い順に欠陥の検索を行い、同様に、チップCにおいて欠陥の検索を行う場合は、要素視野V8から近い順に行う。
【0042】
このようにSEM装置における要素視野の探索を行う順番を、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれの分布に基づいて決定することで、効率的に欠陥の検索を行うことができ、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0043】
また、本実施の形態でも、上記実施の形態3のように、SEM装置に複数個の欠陥検査装置に対応した複数個のずれ情報を登録しておく構成であってもよい。それにより、当該SEM装置が、複数個の欠陥検査装置と組み合わせて使用される場合にも本発明を対応させることができる。
【0044】
<実施の形態5>
一般に、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれの程度(方向および大きさ)は、ウェハ上の位置に依存して変化する。言い換えれば、ウェハ上の狭い範囲内では、座標系のずれの程度はほぼ一定であると考えられる。よって、同一チップ内においては、ほぼ同様の座標系のずれが生じる可能性が高い。
【0045】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法について説明する。まず、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。ここで、図7(b)に示すチップAにおいて2つの欠陥PA1、PA2が検出されたと仮定する。
【0046】
次いで、座標情報に基づき、SEM装置は、図7(a)のような要素視野V1〜V9により構成される視野をもって欠陥を探索する。まず、SEM装置は、欠陥検査装置が特定した欠陥PA1の座標に基づいて当該欠陥PA1を探索する。その結果、要素視野V2において、欠陥PA1が検出されたと仮定する。このことは、欠陥PA1の位置では、座標系が左方向にずれを有していたことを示している。
【0047】
続いて、SEM装置は、欠陥検査装置が特定した欠陥PA2の座標に基づいて当該欠陥PA2を探索する。欠陥PA1とPA2とは、共に同一のチップA上の欠陥である。同一チップ内においてはほぼ同様の座標系のずれが生じる可能性が高いので、欠陥PA2の位置においても欠陥PA1の位置と同様に左方向の座標系のずれが生じている可能性が高い。即ち、欠陥PA2も、欠陥PA1と同様に、要素視野V2において検出される可能性が高い。そこで、SEM装置は、要素視野V1〜V9に対する欠陥の探索の順番を要素視野V2から開始し、以降、要素視野V2から近い順番で行う。そして、欠陥を検出することができた時点で、その探索は打ち切られる。
【0048】
このように、本実施の形態においては、同一のチップ内で複数個の欠陥の探索を行う場合、一の欠陥が検出された要素視野の位置を記憶し、他の欠陥の検出の際には、一の欠陥が検出された要素視野から近い順に欠陥の探索を行う。よって、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれが存在する場合でも、効率的に欠陥の検索を行うことができ、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0049】
<実施の形態6>
実施の形態5では、ウェハ上の同一チップ内における複数個の欠陥の探索を行う場合について説明したが、近接する異なるチップ同士に対しても適用可能である。上述したように、ウェハ上の狭い範囲内では、座標系のずれの程度はほぼ一定であると考えられるので、近接するチップ内においては、ほぼ同様の座標系のずれが生じる可能性が高い。
【0050】
例えば、欠陥検査装置により、図8(b)に示すチップAにおいて欠陥PAが、チップAに近接するチップBにおいて欠陥PBがそれぞれ検出されたとする。そして、SEM装置が図8(a)のように要素視野V1〜V9により構成される視野をもって欠陥PA、PBを探索する場合を考える。
【0051】
まず、SEM装置は、欠陥検査装置が特定した欠陥PAの座標に基づいてチップA上で当該欠陥PAを探索する。その結果、要素視野V2において、欠陥PAが検出されたと仮定する。このことは、チップA上では、座標系が左方向にずれを有していたことを示唆している。
【0052】
続いて、SEM装置は、欠陥検査装置が特定した欠陥PBの座標に基づいてチップB上で当該欠陥PBを探索する。チップAとチップBとは、互いに近接したチップである。近接したチップ上においてはほぼ同様の座標系のずれが生じる可能性が高いので、チップB上においてもチップA上と同様に左方向の座標系のずれが生じている可能性が高い。即ち、欠陥PBも、欠陥PAと同様に要素視野V2において検出される可能性が高い。そこで、SEM装置は、要素視野V1〜V9に対する欠陥の探索の順番を要素視野V2から開始し、以降、要素視野V2から近い順番で行う。そして、欠陥PBを検出することができた時点で、その探索は打ち切られる。
【0053】
このように、本実施の形態においては、近接したチップ内で複数個の欠陥の探索を行う場合、一の欠陥が検出された要素視野の位置を記憶し、他の欠陥の探索の際には、一の欠陥が検出された要素視野から近い順に欠陥の探索を行う。よって、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間の座標系のずれが存在する場合でも、効率的に欠陥の検索を行うことができ、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。
【0054】
<実施の形態7>
座標系のずれは、欠陥検査装置と欠陥観察装置の間だけでなく、欠陥を探索のための参照画像と欠陥画像との間でも存在する。特に欠陥観察装置は、特定の座標近傍のみを視野とするので、参照画像の視野と欠陥画像の視野とがずれた場合、重なり合わない領域(参照画像および欠陥画像のうちいずれか片方のみにしか含まれない領域)における欠陥は検出不可能であり、欠陥の検出ミス、いわゆる”取りこぼし”が生じる。
【0055】
例えば、参照画像の視野が、図9(a)の如く参照チップの回路パターン5に対して領域R1であり、そして、欠陥画像の視野が、図9(b)の如く欠陥チップの回路パターン5に対して領域D1であったとする。欠陥画像の視野D1内には探索の対象である欠陥6が含まれている。本来、参照画像の視野R1と欠陥画像の視野D1とは、一致するべきであるが、この例では、座標系のずれによって互いにずれている。この場合、参照画像と欠陥画像との比較ができる領域は、領域D1と領域R1とが重なり合った部分、即ち図9(b)の領域S1となる。つまり、この例では、欠陥6は欠陥画像の視野D1に含まれているにも関わらず、参照画像と欠陥画像との間の座標系のずれが原因で、検出することができない。
【0056】
そこで、本実施の形態においては、参照画像の視野と欠陥画像の視野とを異なる広さにし、座標系のずれを考慮して参照画像の視野を図9(c)に示す領域R2のように欠陥画像の視野D1よりも広くとる。
【0057】
以下、本実施の形態に係る欠陥観察方法について説明する。まず、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、SEM装置を用い、座標情報に基づいて参照チップから参照画像を、欠陥チップから欠陥画像をそれぞれ取得する。このとき、欠陥画像の視野を図9(b)の領域D1ようにとり、参照画像の視野を図9(c)の領域R2のように、欠陥画像の視野D1よりも広範囲にとる。それにより、欠陥画像内に、参照画像と重ならない部分は無くなるので、欠陥の検出ミスを防止することができる。
【0058】
また、欠陥画像の視野と参照画像の視野の両方を、従来のものより大きくしても欠陥の検出ミスは抑制できるが、その場合は欠陥の検出に要する時間が長くなってしまう。それに対し、本実施の形態では、参照画像の視野のみを大きくするので欠陥の検出に要する時間が増大は抑制さる。
【0059】
<実施の形態8>
本実施の形態においては、欠陥観察の対象であるチップの回路パターンが例えばメモリセルのような繰返しパターンを有している場合に、参照画像の視野を欠陥画像の視野よりも狭くとり、欠陥の検出を行う。
【0060】
本実施の形態に係る欠陥観察方法について説明する。まず、従来の手法と同様に、欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥を検出し、その位置を示す座標情報を取得する。次いで、SEM装置を用い、座標情報に基づいて参照チップから参照画像を、欠陥チップから欠陥画像をそれぞれ取得する。ここで、欠陥を探索する個所における回路パターンが、図10(a)のように繰返しパターンを有しているものと仮定する。SEM装置は、参照画像として図10(a)に示す領域R3のように回路の繰返しパターンの単位パターンに相当する領域R3の画像を取得する。即ち、参照画像の視野は領域R3である。一方、欠陥画像としては、図10(b)の如く単位パターンを複数個含む領域D3の欠陥画像を取得する。即ち、欠陥画像の視野は領域D3である。
【0061】
そして、参照画像と欠陥画像とを比較して欠陥を探索する際は、欠陥画像に含まれる複数の単位パターンに対し、同一の参照パターンを繰返し使用して比較することで欠陥画像の欠陥6を検出する。
【0062】
このように、参照画像を小さくとり、それを繰返し利用して欠陥画像との比較を行うことにより、参照画像を取得する時間を短縮できるので、欠陥観察に要する時間の短縮を図ることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る欠陥観察方法によれば、欠陥検査装置と欠陥観察装置との間に座標系のずれが存在する場合においても、効率的に欠陥の探索を行うことができるので、欠陥観察に要する時間の短縮に寄与できる。また、欠陥観察装置が、複数個の欠陥検査装置と組み合わせて使用される場合への適用も可能である。
【0064】
さらに、参照画像と欠陥画像との間に座標のずれが存在する場合でも、欠陥観察に要する時間の増大を防止しつつ、欠陥の検出ミスの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図2】実施の形態1に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図3】実施の形態2に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図4】実施の形態2に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図5】実施の形態3に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図6】実施の形態4に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図7】実施の形態5に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図8】実施の形態6に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図9】実施の形態7に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【図10】実施の形態8に係る欠陥観察方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 欠陥観察装置の視野、2 欠陥の像、5 回路パターン、6 欠陥、V1〜V9 要素視野、R1〜R3 参照画像の視野、D1,D3 欠陥画像の視野。
Claims (9)
- 欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥の位置を示す座標情報を取得し、前記座標情報に基づき、欠陥観察装置を用いて前記欠陥を探索して観察する欠陥観察方法であって、
(a)前記欠陥検査装置と前記欠陥観察装置との間の座標系のずれの、前記ウェハ上の位置に対する分布を示すずれ情報を取得する工程と、
(b)前記欠陥観察装置を用いて、長手方向が前記座標系のずれの分布の方向である形状を有する視野をもって前記欠陥を探索する工程とを備える
ことを特徴とする欠陥観察方法。 - 請求項1に記載の欠陥観察方法であって、
前記工程(b)における前記視野は、要素視野による探索を前記座標系のずれの分布の方向に沿って複数回行うことによって得られる
ことを特徴とする欠陥観察方法。 - 欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥の位置を示す座標情報を取得し、前記座標情報に基づき、欠陥観察装置を用いて前記欠陥を探索して観察する欠陥観察方法であって、
(a)前記欠陥検査装置と前記欠陥観察装置との間の座標系のずれの、前記ウェハ上の位置に対する分布を示すずれ情報を取得する工程と、
(b)前記欠陥観察装置を用い複数個の要素視野から成る所定の視野をもって、前記要素視野毎に所定の順番で、前記欠陥を探索する工程とを備え、
前記工程(b)における前記所定の順番は、前記座標系のずれの分布に基づき、前記座標情報が示す前記欠陥の位置に応じて変更される
ことを特徴とする欠陥観察方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の欠陥観察方法であって、
前記欠陥観察装置には、予め複数の欠陥検査装置との間の前記座標系のずれの分布を示す複数の前記ずれ情報が登録されており、
前記工程(a)は、複数の前記ずれ情報の中から、前記座標情報を取得した欠陥検査装置に対応した前記ずれ情報を選択する工程である
ことを特徴とする欠陥観察方法。 - 欠陥検査装置を用いてウェハ上の欠陥の位置を示す座標情報を取得し、前記座標情報に基づき、欠陥観察装置を用いて前記欠陥を探索して観察する欠陥観察方法であって、
(a)前記欠陥観察装置を用い複数個の要素視野から成る所定の視野をもって、前記要素視野毎に、前記ウェハの第1チップの欠陥を探索する工程と、
(b)前記複数個の要素視野のうちの、前記工程(a)で前記欠陥が検出された前記要素視野を記憶する工程と、
(c)前記工程(b)よりも後に行われ、前記欠陥観察装置を用い前記所定の視野をもって前記要素視野毎に、前記第1チップと同一または近接した第2チップの欠陥を探索する工程とを備え、
前記工程(c)における前記要素視野毎の前記欠陥の探索は、前記工程(b)で記憶された前記要素視野から近い順に行われる
ことを特徴とする欠陥観察方法。 - 複数のチップを有するウェハに対する欠陥観察方法であって、
(a)第1チップ上における欠陥の無い領域の画像である参照画像を取得する工程と、
(b)欠陥観察の対象である第2チップ上における前記参照画像に対応した領域の画像である欠陥画像を取得する工程と、
(c)前記参照画像と前記欠陥画像とを比較することにより、欠陥を探索して観察する工程とを有し、
前記参照画像の視野と、前記欠陥画像の視野とが異なる広さである
ことを特徴とする欠陥観察方法。 - 請求項6に記載の欠陥観察方法であって、
前記参照画像の視野は、前記欠陥画像の視野よりも広い
ことを特徴とする欠陥観察方法。 - 請求項6に記載の欠陥観察方法であって、
前記参照画像の視野は、前記欠陥画像の視野よりも狭い
ことを特徴とする欠陥観察方法。 - 請求項8に記載の欠陥観察方法であって、
前記第1チップおよび前記第2チップ上のレイアウトは、繰返しパターンを有し、
前記参照画像は、前記第1チップの前記繰返しパターンにおける単位パターンの画像であり、
前記欠陥画像は、前記第2チップの前記繰返しパターンの画像であり、
前記工程(c)における比較は、前記第2チップの前記繰返しパターンの画像に対して、同一の前記単位パターンの画像を繰返し使用して比較する
ことを特徴とする欠陥観察方法。
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---|---|---|---|
JP2003050599A JP2004257928A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 欠陥観察方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008128866A (ja) * | 2006-11-22 | 2008-06-05 | Olympus Corp | 基板検査装置および基板検査方法 |
CN101499434B (zh) * | 2008-01-30 | 2013-01-23 | 奥林巴斯株式会社 | 检查系统 |
JP2017129369A (ja) * | 2016-01-18 | 2017-07-27 | 株式会社東芝 | 欠陥検査装置、欠陥検査方法、および欠陥検査プログラム |
-
2003
- 2003-02-27 JP JP2003050599A patent/JP2004257928A/ja active Pending
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