JP2004255902A - 電源分配装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】各エリアの部品を共用化・標準化し、スペース効率を上げる。
【解決手段】車内ネットワークの主幹線1から各エリアに電源分配を行う場合に、主幹線1に接続される共通部3の共通部本体ケース11、パワーMOSFETであるスイッチング電源用制御集積回路(IPS)13及び配線部品15の寸法及び形状を、少なくとも自動車内の各エリア間で共通とする。従来、各エリア毎に個別に設計及び製造していた電源分配箱に比較して、部品の共通化及び標準化を行うことができ、大量生産によるコスト削減を図ることができる。フューズ及びリレーを内蔵していた従来の電源分配箱に比較して、パワーMOSFETを仕様することでスペース効率を向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】車内ネットワークの主幹線1から各エリアに電源分配を行う場合に、主幹線1に接続される共通部3の共通部本体ケース11、パワーMOSFETであるスイッチング電源用制御集積回路(IPS)13及び配線部品15の寸法及び形状を、少なくとも自動車内の各エリア間で共通とする。従来、各エリア毎に個別に設計及び製造していた電源分配箱に比較して、部品の共通化及び標準化を行うことができ、大量生産によるコスト削減を図ることができる。フューズ及びリレーを内蔵していた従来の電源分配箱に比較して、パワーMOSFETを仕様することでスペース効率を向上する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車内で種々の車載機器が搭載されるにあたって、これらの車載機器を搭載するために空間上割り当てられたエリア毎に設置され、当該エリア内の単数または複数の車載機器に電源を分配する電源分配装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子制御技術の発展に伴い、自動車内には、エンジン始動、車輌走行、停止及び操舵角等の走行系の車載機器以外に、各種オーディオ機器やエアコン等のアクセサリ系の車載機器が搭載されるようになっている。これらの車載機器を操作及び制御する場合、通常は、車室内のインストゥルメント・パネル内等に制御用の電子制御ユニット(ECU)を設置し、この電子制御ユニットと各車載機器との間で通信を行いながら、電子制御ユニットからの指示に基づいて各電装機器が動作するようになっている。
【0003】
このように、各車載機器は、これらが電子制御ユニットとの間で通信を行いながら電気式に駆動する装置であることから、電源の供給を受ける以外に、電子制御ユニットとの間で制御信号の送受信を行う必要がある。したがって、各車載電源系は、電源系の電線と制御信号系の電線のそれぞれに接続される必要があることから、自動車内の配線構成は、車載機器が増大するとともに複雑化・煩雑化してきた。特に、多くの車載機器を操作制御するための電子制御ユニットが設置されるインストゥルメント・パネル内は、配線のためのスペースが多大となってしまい、スペース的に限界となっていた。
【0004】
そこで、近年、自動車内の各エリア毎に、そのエリア内の単数または複数の車載機器に電源を分岐させて供給する電源分配箱が設置されるようになり、電子制御ユニットと電装機器との通信は、個別に配線することが行われつつある。このような構成を採用すると、各エリア内で可及的に配線を完結させるようにでき、エリア間や各エリアと電子制御ユニットとの間については、比較的シンプルな主幹線を用いた車内ネットワークを通じて接続を行うことが可能なことから、インストゥルメント・パネル内などのスペース効率が向上する利点がある。
【0005】
ここで、電源分配箱は、各エリア毎にひとつずつ設けられるもので、各エリアにおいて各車載機器に電源を分配するバスバー等の配線部品と、電線を保護するためのヒューズやリレー等のパワーデバイスとを備えるものである。
【0006】
参考のために、この発明に関連する先行技術文献を例示しておく。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−228190公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては、上述のように、自動車内の電線の配策を簡素化する目的で、各エリア毎に電源分配箱をそれぞれ設置していたが、この電源分配箱は、各エリアの様々な車載機器に対応するため、各エリア毎に個別に設計し且つ生産しなければならなかった。このため、電源分配箱を含めた各エリア間での部品の共用化や、車種を越えた電源分配箱の標準化が困難であり、そのために、電源分配箱の大量生産化に限界がある他、各電源分配箱内においてもヒューズやリレー等の組付けを必要とするため、製造工程に手間がかかり、全体としてコスト高となっていた。
【0009】
また、電源分配箱には、ヒューズやリレー等の各種電気部品が必要であるため小型化に限界があり、個々のエリア毎にそれぞれ電源分配箱を設置することとなると、全体として設置スペースを多く必要としていた。
【0010】
そこで、この発明の課題は、各エリアの部品の共用化及び標準化が可及的に可能で、安価且つスペース効率の良い電源分配装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、自動車内で種々の車載機器が搭載されるにあたって、これらの車載機器を搭載するために空間上割り当てられたエリア毎に設置され、当該エリア内の単数または複数の車載機器に電源を分配する電源分配装置であって、車内ネットワークの主幹線に接続される共通部と、前記共通部に係脱自在に接続されるとともに各エリア内の車載機器に接続されるエリア別対応部とを備え、前記共通部が、共通部本体ケースと、前記共通部本体ケースに支持されて車内ネットワークの主幹線に接続される複数のスイッチング電源用制御集積回路と、前記共通部本体ケース内の配線を行う配線部品とを備え、前記共通部本体ケース、前記スイッチング電源用制御集積回路及び前記配線部品の寸法及び形状が、少なくとも自動車内の各エリア間で共通とされるものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電源分配装置であって、前記スイッチング電源用制御集積回路が、回路自己保護及び自己診断を行う半導体集積回路であるものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電源分配装置であって、前記スイッチング電源用制御集積回路が、前記車載機器の仕様に応じた複数の種類の半導体集積回路から選択されて適用され、前記共通部本体ケースに、前記スイッチング電源用制御集積回路を選択して収納することの可能な同一形状且つ同一寸法のソケットが形成されるものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電源分配装置であって、前記エリア内に設置された電子制御ユニットを前記主幹線に接続するための接続手段を有し、当該接続手段により、前記電子制御ユニットが前記主幹線を通じて前記スイッチング電源用制御集積回路に制御信号を与えることが可能に接続され、前記スイッチング電源用制御集積回路が、前記制御信号に基づいて前記各車載機器に電源を分配するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一の実施の形態に係る電源分配装置(スマートコネクタ)SCを示す分解斜視図、図2は同じくその機能ブロック図である。尚、この明細書において、「エリア」という場合は、自動車内で種々の車載機器が搭載されるにあたって、これらの車載機器を搭載するために空間上割り当てられた設計上の領域を言うものとし、通常は、単一のエリアに単一または複数の車載機器が搭載される。
【0016】
このスマートコネクタSCは、図1及び図2の如く、各エリア毎に、ヒューズ及びリレー等が内蔵された従来の電源分配箱に代えて1個ずつ設置されるもので、車内ネットワークの主幹線1に接続される共通部3と、この共通部3に係脱自在に接続されるとともに各エリア内の車載機器に接続されるエリア別対応部5とから構成されている。
【0017】
共通部3は、全てのスマートコネクタSCに共通に標準化されて製造されるものであって、共通部本体ケース11と、共通部本体ケース11に支持されて車内ネットワークの主幹線1に接続される3個のスイッチング電源用制御集積回路13と、共通部本体ケース11内の配線を行う3個のバスバー(配線部品)15とを備える。
【0018】
共通部本体ケース11は、3個のスイッチング電源用制御集積回路13を収納支持する集積回路支持部17と、車内ネットワークの主幹線1に係脱自在に接続するネットワークコネクタ部18と、バスバー15を固定支持するバスバー支持部19とが一体成形されてなる。
【0019】
集積回路支持部17は、各スイッチング電源用制御集積回路13を挿脱自在に保持するための3つのソケット21が形成されており、各ソケット21は、共通部本体ケース11の外側方向に向けて、各スイッチング電源用制御集積回路13を挿脱するための開口23が形成され、共通部本体ケース11の内側(バスバー支持部19側)が、各スイッチング電源用制御集積回路13とエリア別対応部5とを接続可能となるよう開放されている。各ソケット21は、スイッチング電源用制御集積回路13が適宜選択されて挿入できるように、同形状且つ同寸法に設定されている。
【0020】
ネットワークコネクタ部18は、図示しない主幹線1からの幹線コネクタ(図示省略)が挿脱自在に係合接続されるもので、その主幹線1からの幹線コネクタの端子挿入用であり、且つバスバー支持部19側からバスバー15の一部27が挿入される開口25が形成されている。
【0021】
バスバー支持部19は、3つのバスバー15を保持する保持溝(図示省略)が形成され、各保持溝は、バスバー15の一部(接続端子部)27,29,31がスイッチング電源用制御集積回路13や主幹線1からの幹線コネクタの端子に接続するよう、集積回路支持部17の内部通孔及びネットワークコネクタ部18の開口25に開放されている。また、バスバー支持部19の外側面は、エリア別対応部5の後述する第1の挿入部45が嵌合されるように開放されている。
【0022】
スイッチング電源用制御集積回路13は、インテリジェント・パワー・スイッチ(IPS)と称される低損失のパワーMOSFET内蔵の半導体集積回路(IC)であって、回路自己保護及び自己診断を行う機能と、主幹線1から与えられた制御信号に基づいて電源供給の各端子35へのスイッチング切替え(電源分配)を行う機能とを有している。このスイッチング電源用制御集積回路13は、例えば定格電流が3アンペアのものと1アンペアのものの2種類が存在し、いずれかが適宜選択されて集積回路支持部17の開口23に挿脱自在に挿入支持される。
【0023】
3個のスイッチング電源用制御集積回路13は、外形が同形状且つ同寸法に設定されており、これにより、定格電流が異なる種類の任意のスイッチング電源用制御集積回路13を、集積回路支持部17のいずれのソケット21にも支障なく挿入することが可能となっている。
【0024】
3つのバスバー15のうちの2つのバスバー15a,15bは、ネットワークコネクタ部18に係合する主幹線1からの幹線コネクタと集積回路支持部17内のスイッチング電源用制御集積回路13とを結線するためのものであり、残りの1つのバスバー15cは、3個のスイッチング電源用制御集積回路13のうち最上段のものと中段のものとを結線するためのものである。
【0025】
エリア別対応部5は、エリア毎に異なった車載機器が搭載されることから、これらの車載機器への電源供給経路の別を考慮して、エリア別に個別に設計されるもので、エリア別対応部本体ケース41と、このエリア別対応部本体ケース41内に収納されてエリア内の各車載機器に接続されるバスバー(配線部品)43とを備える。
【0026】
エリア別対応部本体ケース41は、バスバー43を収納して共通部本体ケース11のバスバー支持部19内に挿入される第1の挿入部45と、車載機器からのコネクタが挿入される第2の挿入部47とを備える。そして、これらの両挿入部45,47は、車載機器からのコネクタの端子がバスバー43に接続されるよう、内部で挿通されている。
【0027】
バスバー43は、車載機器側のコネクタ端子(車載機器内のECUまたは各エリアに設けられたメインECUのコネクタを含む)に接続されるもので、第2の挿入部47側から挿入されて、第1の挿入部45内に支持される。バスバー43の一部43aは、第1の挿入部45の一部に形成された端子孔49を通じて、共通部3側に突出される。そして、共通部3とエリア別対応部5とが接続される際に、バスバー43の一部43aがスイッチング電源用制御集積回路13の端子35やコネクタ部18に接続される主幹線1からの幹線コネクタに接続される。
【0028】
具体的には、図2の如く、各車載機器の電源端子は、バスバー43を通じて、それぞれの定格電流に応じたスイッチング電源用制御集積回路13の各端子35に接続される。
【0029】
また、各エリア内の電子制御ユニット53は、信号経路としてバスバー43を通じて主幹線1に接続され、さらにこの主幹線1を通じて各スイッチング電源用制御集積回路13に接続されることになる。この場合、バスバー43は、エリア内に設置された電子制御ユニット53を主幹線1に接続するための接続手段として機能する。
【0030】
上記構成のスマートコネクタSCの組み立て工程時においては、共通部3の共通部本体ケース11の集積回路支持部17の3つのソケット21内に、それぞれスイッチング電源用制御集積回路13が収納される。この際、スイッチング電源用制御集積回路13の各端子35が、集積回路支持部17の共通部本体ケース11の内側(バスバー支持部19側)に向くように挿入されて収納される。そして、バスバー支持部19内にバスバー15を支持する。この際、バスバー15の一部(接続端子部)29,31を、スイッチング電源用制御集積回路13の各端子35に接続する。
【0031】
また、エリア別対応部5では、バスバー43を第2の挿入部47側から挿入し、第1の挿入部45内に支持する。この際、バスバー43の一部43aは、第1の挿入部45の一部に形成された端子孔49を通じて、共通部3側に突出される。
【0032】
そして、エリア別対応部5の第1の挿入部45を、共通部3のバスバー支持部19内の開放された開口に挿入して嵌合する。この際、エリア別対応部5のバスバー43の一部43aが端子孔49を通じて共通部3側に突出されていることから、これらのバスバー43の一部43aが、スイッチング電源用制御集積回路13の端子35に接続され、またコネクタ部18内に突出されて主幹線1からの幹線コネクタに接続可能な状態となる。
【0033】
この場合、共通部3については、共通部本体ケース11、バスバー15及びスイッチング電源用制御集積回路13といった各部品の仕様が標準化されているため、その大量生産化によるコスト削減が達成できる利点がある。尚、3つのソケット21内に挿入されるスイッチング電源用制御集積回路13については、上述のように定格電流が3アンペアのものと1アンペアのものの2種類があるが、これらは同形状且つ同寸法であり、いずれのソケット21内にも適合するため、適宜挿入選択を行うだけで、エリア別対応部本体ケース41の仕様、ひいては各エリア毎の車載機器の構成仕様に容易に適合することができる。
【0034】
あるいは、エリア内に車載機器が少ない場合には、スイッチング電源用制御集積回路13が3個も必要なく、1個または2個で足りる場合もある。この場合は、必要な個数分だけのスイッチング電源用制御集積回路13を必要なソケット21にのみ収納して使用すればよい。
【0035】
また、従来使用されてきた電源分配箱に比べて、ヒューズやリレー等を使用せずに、ICであるスイッチング電源用制御集積回路13を使用して電源分配、回路自己保護及び自己診断を行っているので、飛躍時に小型化を達成できる。
【0036】
次に、スマートコネクタSCの使用方法を説明する。
【0037】
まず、エリア別対応部5の第2の挿入部47に、各エリア内の車載機器側から引き出されたコネクタ(図示省略)を接続し、スイッチング電源用制御集積回路13と車載機器とを接続する。また、共通部3のネットワークコネクタ部18には、図2の如く、車内ネットワークの主幹線1が接続される。
【0038】
ところで、図2の如く、各エリア内の電子制御ユニット53は、信号経路として、バスバー43及び主幹線1を通じて各スイッチング電源用制御集積回路13に接続されることになる。そして、電子制御ユニット53から与えられた制御信号に基づいて、各スイッチング電源用制御集積回路13が主幹線1からの電源をスイッチ切替えして、各車載機器に分配する。この間、各スイッチング電源用制御集積回路13は、回路自己保護及び自己診断を行うので、従来の電源分配箱のようにヒューズ及びリレー等を設けなくても、過電流の防止や過負荷に対する制御を容易に行うことができる。
【0039】
ところで、自動車の場合、スイッチング電源用制御集積回路13で分配される電源は、単一の系統ではなく、複数の電源系統が設定される。
【0040】
例えば、エンジン始動、車輌走行、停止及び操舵角等の制御といった自動車の駆動系の電源系統は「走行系」と称される。また、オーディオやエアコン等の付加機能についての電源系統は「アクセサリ系」と称される。さらに、上記の「走行系」に関連して、エンジンがかかっている旨を伝達するための信号や、車輌走行、停止及び操舵角制御等の状態を検出した結果についてのデータの制御情報を送受信するための電源系統は、「アクセサリ系」よりも安全性の面で重視すべきであることから、「アクセサリ系」とは別の「制御情報系」と称する。
【0041】
これらの各電源系統は、自動車走行時における安全性に寄与する度合いが異なっており、定格電流等の仕様が異なるため、それぞれ別々のスイッチング電源用制御集積回路13で電源分配を行うこととしている。
【0042】
これらの「走行系」であるか「アクセサリ系」であるか「制御情報系」であるかの別は、電子制御ユニット53からの制御信号内に、電源系統を特定するための信号を含ませて通信を行い、スイッチング電源用制御集積回路13側で、いずれの系統であるかを特定判断するようにする。そして、その特定された系統に適合した電源分配を行うようにする。
【0043】
以上のように、各エリア毎に、スイッチング電源用制御集積回路13を内蔵したスマートコネクタSCを用いれば、車内ネットワークの主幹線1を通じて電子制御ユニット53と通信を行いながら、各スマートコネクタSC側で分散型処理を行って電源分配を行うことができ、これによって主幹線1を簡素化することで自動車内の電線の配策を簡素化できる。
【0044】
そして、形状及び寸法が標準化されたスイッチング電源用制御集積回路13で自己保護及び診断機能などの制御を行うこととし、このスイッチング電源用制御集積回路13を、共通部3のソケット21内に挿脱自在に装着できるようにしているので、必要な個数、必要な容量のスイッチング電源用制御集積回路13を自由に選択して搭載することができ、共通部3に使用する各部材を可及的に標準化しても、それぞれのエリア毎の車載機器の構成に高い自由度で対応することができる。したがって、共通部3の大量生産によるコスト低減を図ることができる。
【0045】
また、スイッチング電源用制御集積回路13を半導体集積回路で構成しているので、ヒューズやリレー等を備えた従来の電源分配箱に比べて省スペース化を図ることができる。
【0046】
特に、自動車においては、図3のように、メーターエリア61、エアコンエリア62、コンソールエリア63、LH(レフトハンド)エリア64、ステアリングエリア65、オーディオエリア66、RH(ライトハンド)エリア67等の多くのエリアが存在し、それぞれのエリア61〜67において車載機器68が存在することから、電線の配策の簡素化や省スペース化の利点は大きいものとなる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、車内ネットワークの主幹線から各エリアに電源分配を行う場合に、車内ネットワークの主幹線に接続される共通部の共通部本体ケース、スイッチング電源用制御集積回路及び配線部品の寸法及び形状を、少なくとも自動車内の各エリア間で共通としているので、従来、各エリア毎に個別に設計及び製造していた電源分配箱に比較して、部品の共通化及び標準化を行うことができ、大量生産によるコスト削減を図ることができる。
【0048】
請求項2に記載の発明によれば、スイッチング電源用制御集積回路が、回路自己保護及び自己診断を行う半導体集積回路であるので、フューズ及びリレー等を内蔵していた電源分配箱に比較して、スペース効率を向上でき、自動車内での設置スペース効率を向上することができる。
【0049】
請求項3に記載の発明によれば、スイッチング電源用制御集積回路が、車載機器の仕様に応じた複数の種類の半導体集積回路から選択されて適用され、共通部本体ケースに、スイッチング電源用制御集積回路を選択して収納することの可能な同一形状且つ同一寸法のソケットが形成されるので、どのような車載機器の仕様構成であっても、これに適合するようにスイッチング電源用制御集積回路を入れ替えて適用すればいいだけなので、標準化した部品を用いながら、様々な車載機器の仕様構成に容易に対応することができる。
【0050】
請求項4に記載の発明によれば、接続手段により、電子制御ユニットが主幹線を通じてスイッチング電源用制御集積回路に制御信号を与えるように構成しているので、電子制御ユニットからスイッチング電源用制御集積回路に制御信号を与える際の電線経路として主幹線を利用することができる。したがって、主幹線の有効利用を図ることができるとともに、各エリアの電子制御ユニットから他のエリアの電子制御ユニットに、何らかの信号を与えることも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施の形態に係る電源分配装置を示す分解斜視図である。
【図2】この発明の一の実施の形態に係る電源分配装置を示す機能ブロック図である。
【図3】自動車における電源分配装置の適用例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 主幹線
3 共通部
5 エリア別対応部
11 共通部本体ケース
13 スイッチング電源用制御集積回路
15 バスバー
17 集積回路支持部
18 ネットワークコネクタ部
19 バスバー支持部
21 ソケット
41 エリア別対応部本体ケース
43 バスバー
53 電子制御ユニット
61〜67 エリア
68 車載機器
SC スマートコネクタ
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車内で種々の車載機器が搭載されるにあたって、これらの車載機器を搭載するために空間上割り当てられたエリア毎に設置され、当該エリア内の単数または複数の車載機器に電源を分配する電源分配装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子制御技術の発展に伴い、自動車内には、エンジン始動、車輌走行、停止及び操舵角等の走行系の車載機器以外に、各種オーディオ機器やエアコン等のアクセサリ系の車載機器が搭載されるようになっている。これらの車載機器を操作及び制御する場合、通常は、車室内のインストゥルメント・パネル内等に制御用の電子制御ユニット(ECU)を設置し、この電子制御ユニットと各車載機器との間で通信を行いながら、電子制御ユニットからの指示に基づいて各電装機器が動作するようになっている。
【0003】
このように、各車載機器は、これらが電子制御ユニットとの間で通信を行いながら電気式に駆動する装置であることから、電源の供給を受ける以外に、電子制御ユニットとの間で制御信号の送受信を行う必要がある。したがって、各車載電源系は、電源系の電線と制御信号系の電線のそれぞれに接続される必要があることから、自動車内の配線構成は、車載機器が増大するとともに複雑化・煩雑化してきた。特に、多くの車載機器を操作制御するための電子制御ユニットが設置されるインストゥルメント・パネル内は、配線のためのスペースが多大となってしまい、スペース的に限界となっていた。
【0004】
そこで、近年、自動車内の各エリア毎に、そのエリア内の単数または複数の車載機器に電源を分岐させて供給する電源分配箱が設置されるようになり、電子制御ユニットと電装機器との通信は、個別に配線することが行われつつある。このような構成を採用すると、各エリア内で可及的に配線を完結させるようにでき、エリア間や各エリアと電子制御ユニットとの間については、比較的シンプルな主幹線を用いた車内ネットワークを通じて接続を行うことが可能なことから、インストゥルメント・パネル内などのスペース効率が向上する利点がある。
【0005】
ここで、電源分配箱は、各エリア毎にひとつずつ設けられるもので、各エリアにおいて各車載機器に電源を分配するバスバー等の配線部品と、電線を保護するためのヒューズやリレー等のパワーデバイスとを備えるものである。
【0006】
参考のために、この発明に関連する先行技術文献を例示しておく。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−228190公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては、上述のように、自動車内の電線の配策を簡素化する目的で、各エリア毎に電源分配箱をそれぞれ設置していたが、この電源分配箱は、各エリアの様々な車載機器に対応するため、各エリア毎に個別に設計し且つ生産しなければならなかった。このため、電源分配箱を含めた各エリア間での部品の共用化や、車種を越えた電源分配箱の標準化が困難であり、そのために、電源分配箱の大量生産化に限界がある他、各電源分配箱内においてもヒューズやリレー等の組付けを必要とするため、製造工程に手間がかかり、全体としてコスト高となっていた。
【0009】
また、電源分配箱には、ヒューズやリレー等の各種電気部品が必要であるため小型化に限界があり、個々のエリア毎にそれぞれ電源分配箱を設置することとなると、全体として設置スペースを多く必要としていた。
【0010】
そこで、この発明の課題は、各エリアの部品の共用化及び標準化が可及的に可能で、安価且つスペース効率の良い電源分配装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、自動車内で種々の車載機器が搭載されるにあたって、これらの車載機器を搭載するために空間上割り当てられたエリア毎に設置され、当該エリア内の単数または複数の車載機器に電源を分配する電源分配装置であって、車内ネットワークの主幹線に接続される共通部と、前記共通部に係脱自在に接続されるとともに各エリア内の車載機器に接続されるエリア別対応部とを備え、前記共通部が、共通部本体ケースと、前記共通部本体ケースに支持されて車内ネットワークの主幹線に接続される複数のスイッチング電源用制御集積回路と、前記共通部本体ケース内の配線を行う配線部品とを備え、前記共通部本体ケース、前記スイッチング電源用制御集積回路及び前記配線部品の寸法及び形状が、少なくとも自動車内の各エリア間で共通とされるものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電源分配装置であって、前記スイッチング電源用制御集積回路が、回路自己保護及び自己診断を行う半導体集積回路であるものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電源分配装置であって、前記スイッチング電源用制御集積回路が、前記車載機器の仕様に応じた複数の種類の半導体集積回路から選択されて適用され、前記共通部本体ケースに、前記スイッチング電源用制御集積回路を選択して収納することの可能な同一形状且つ同一寸法のソケットが形成されるものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電源分配装置であって、前記エリア内に設置された電子制御ユニットを前記主幹線に接続するための接続手段を有し、当該接続手段により、前記電子制御ユニットが前記主幹線を通じて前記スイッチング電源用制御集積回路に制御信号を与えることが可能に接続され、前記スイッチング電源用制御集積回路が、前記制御信号に基づいて前記各車載機器に電源を分配するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一の実施の形態に係る電源分配装置(スマートコネクタ)SCを示す分解斜視図、図2は同じくその機能ブロック図である。尚、この明細書において、「エリア」という場合は、自動車内で種々の車載機器が搭載されるにあたって、これらの車載機器を搭載するために空間上割り当てられた設計上の領域を言うものとし、通常は、単一のエリアに単一または複数の車載機器が搭載される。
【0016】
このスマートコネクタSCは、図1及び図2の如く、各エリア毎に、ヒューズ及びリレー等が内蔵された従来の電源分配箱に代えて1個ずつ設置されるもので、車内ネットワークの主幹線1に接続される共通部3と、この共通部3に係脱自在に接続されるとともに各エリア内の車載機器に接続されるエリア別対応部5とから構成されている。
【0017】
共通部3は、全てのスマートコネクタSCに共通に標準化されて製造されるものであって、共通部本体ケース11と、共通部本体ケース11に支持されて車内ネットワークの主幹線1に接続される3個のスイッチング電源用制御集積回路13と、共通部本体ケース11内の配線を行う3個のバスバー(配線部品)15とを備える。
【0018】
共通部本体ケース11は、3個のスイッチング電源用制御集積回路13を収納支持する集積回路支持部17と、車内ネットワークの主幹線1に係脱自在に接続するネットワークコネクタ部18と、バスバー15を固定支持するバスバー支持部19とが一体成形されてなる。
【0019】
集積回路支持部17は、各スイッチング電源用制御集積回路13を挿脱自在に保持するための3つのソケット21が形成されており、各ソケット21は、共通部本体ケース11の外側方向に向けて、各スイッチング電源用制御集積回路13を挿脱するための開口23が形成され、共通部本体ケース11の内側(バスバー支持部19側)が、各スイッチング電源用制御集積回路13とエリア別対応部5とを接続可能となるよう開放されている。各ソケット21は、スイッチング電源用制御集積回路13が適宜選択されて挿入できるように、同形状且つ同寸法に設定されている。
【0020】
ネットワークコネクタ部18は、図示しない主幹線1からの幹線コネクタ(図示省略)が挿脱自在に係合接続されるもので、その主幹線1からの幹線コネクタの端子挿入用であり、且つバスバー支持部19側からバスバー15の一部27が挿入される開口25が形成されている。
【0021】
バスバー支持部19は、3つのバスバー15を保持する保持溝(図示省略)が形成され、各保持溝は、バスバー15の一部(接続端子部)27,29,31がスイッチング電源用制御集積回路13や主幹線1からの幹線コネクタの端子に接続するよう、集積回路支持部17の内部通孔及びネットワークコネクタ部18の開口25に開放されている。また、バスバー支持部19の外側面は、エリア別対応部5の後述する第1の挿入部45が嵌合されるように開放されている。
【0022】
スイッチング電源用制御集積回路13は、インテリジェント・パワー・スイッチ(IPS)と称される低損失のパワーMOSFET内蔵の半導体集積回路(IC)であって、回路自己保護及び自己診断を行う機能と、主幹線1から与えられた制御信号に基づいて電源供給の各端子35へのスイッチング切替え(電源分配)を行う機能とを有している。このスイッチング電源用制御集積回路13は、例えば定格電流が3アンペアのものと1アンペアのものの2種類が存在し、いずれかが適宜選択されて集積回路支持部17の開口23に挿脱自在に挿入支持される。
【0023】
3個のスイッチング電源用制御集積回路13は、外形が同形状且つ同寸法に設定されており、これにより、定格電流が異なる種類の任意のスイッチング電源用制御集積回路13を、集積回路支持部17のいずれのソケット21にも支障なく挿入することが可能となっている。
【0024】
3つのバスバー15のうちの2つのバスバー15a,15bは、ネットワークコネクタ部18に係合する主幹線1からの幹線コネクタと集積回路支持部17内のスイッチング電源用制御集積回路13とを結線するためのものであり、残りの1つのバスバー15cは、3個のスイッチング電源用制御集積回路13のうち最上段のものと中段のものとを結線するためのものである。
【0025】
エリア別対応部5は、エリア毎に異なった車載機器が搭載されることから、これらの車載機器への電源供給経路の別を考慮して、エリア別に個別に設計されるもので、エリア別対応部本体ケース41と、このエリア別対応部本体ケース41内に収納されてエリア内の各車載機器に接続されるバスバー(配線部品)43とを備える。
【0026】
エリア別対応部本体ケース41は、バスバー43を収納して共通部本体ケース11のバスバー支持部19内に挿入される第1の挿入部45と、車載機器からのコネクタが挿入される第2の挿入部47とを備える。そして、これらの両挿入部45,47は、車載機器からのコネクタの端子がバスバー43に接続されるよう、内部で挿通されている。
【0027】
バスバー43は、車載機器側のコネクタ端子(車載機器内のECUまたは各エリアに設けられたメインECUのコネクタを含む)に接続されるもので、第2の挿入部47側から挿入されて、第1の挿入部45内に支持される。バスバー43の一部43aは、第1の挿入部45の一部に形成された端子孔49を通じて、共通部3側に突出される。そして、共通部3とエリア別対応部5とが接続される際に、バスバー43の一部43aがスイッチング電源用制御集積回路13の端子35やコネクタ部18に接続される主幹線1からの幹線コネクタに接続される。
【0028】
具体的には、図2の如く、各車載機器の電源端子は、バスバー43を通じて、それぞれの定格電流に応じたスイッチング電源用制御集積回路13の各端子35に接続される。
【0029】
また、各エリア内の電子制御ユニット53は、信号経路としてバスバー43を通じて主幹線1に接続され、さらにこの主幹線1を通じて各スイッチング電源用制御集積回路13に接続されることになる。この場合、バスバー43は、エリア内に設置された電子制御ユニット53を主幹線1に接続するための接続手段として機能する。
【0030】
上記構成のスマートコネクタSCの組み立て工程時においては、共通部3の共通部本体ケース11の集積回路支持部17の3つのソケット21内に、それぞれスイッチング電源用制御集積回路13が収納される。この際、スイッチング電源用制御集積回路13の各端子35が、集積回路支持部17の共通部本体ケース11の内側(バスバー支持部19側)に向くように挿入されて収納される。そして、バスバー支持部19内にバスバー15を支持する。この際、バスバー15の一部(接続端子部)29,31を、スイッチング電源用制御集積回路13の各端子35に接続する。
【0031】
また、エリア別対応部5では、バスバー43を第2の挿入部47側から挿入し、第1の挿入部45内に支持する。この際、バスバー43の一部43aは、第1の挿入部45の一部に形成された端子孔49を通じて、共通部3側に突出される。
【0032】
そして、エリア別対応部5の第1の挿入部45を、共通部3のバスバー支持部19内の開放された開口に挿入して嵌合する。この際、エリア別対応部5のバスバー43の一部43aが端子孔49を通じて共通部3側に突出されていることから、これらのバスバー43の一部43aが、スイッチング電源用制御集積回路13の端子35に接続され、またコネクタ部18内に突出されて主幹線1からの幹線コネクタに接続可能な状態となる。
【0033】
この場合、共通部3については、共通部本体ケース11、バスバー15及びスイッチング電源用制御集積回路13といった各部品の仕様が標準化されているため、その大量生産化によるコスト削減が達成できる利点がある。尚、3つのソケット21内に挿入されるスイッチング電源用制御集積回路13については、上述のように定格電流が3アンペアのものと1アンペアのものの2種類があるが、これらは同形状且つ同寸法であり、いずれのソケット21内にも適合するため、適宜挿入選択を行うだけで、エリア別対応部本体ケース41の仕様、ひいては各エリア毎の車載機器の構成仕様に容易に適合することができる。
【0034】
あるいは、エリア内に車載機器が少ない場合には、スイッチング電源用制御集積回路13が3個も必要なく、1個または2個で足りる場合もある。この場合は、必要な個数分だけのスイッチング電源用制御集積回路13を必要なソケット21にのみ収納して使用すればよい。
【0035】
また、従来使用されてきた電源分配箱に比べて、ヒューズやリレー等を使用せずに、ICであるスイッチング電源用制御集積回路13を使用して電源分配、回路自己保護及び自己診断を行っているので、飛躍時に小型化を達成できる。
【0036】
次に、スマートコネクタSCの使用方法を説明する。
【0037】
まず、エリア別対応部5の第2の挿入部47に、各エリア内の車載機器側から引き出されたコネクタ(図示省略)を接続し、スイッチング電源用制御集積回路13と車載機器とを接続する。また、共通部3のネットワークコネクタ部18には、図2の如く、車内ネットワークの主幹線1が接続される。
【0038】
ところで、図2の如く、各エリア内の電子制御ユニット53は、信号経路として、バスバー43及び主幹線1を通じて各スイッチング電源用制御集積回路13に接続されることになる。そして、電子制御ユニット53から与えられた制御信号に基づいて、各スイッチング電源用制御集積回路13が主幹線1からの電源をスイッチ切替えして、各車載機器に分配する。この間、各スイッチング電源用制御集積回路13は、回路自己保護及び自己診断を行うので、従来の電源分配箱のようにヒューズ及びリレー等を設けなくても、過電流の防止や過負荷に対する制御を容易に行うことができる。
【0039】
ところで、自動車の場合、スイッチング電源用制御集積回路13で分配される電源は、単一の系統ではなく、複数の電源系統が設定される。
【0040】
例えば、エンジン始動、車輌走行、停止及び操舵角等の制御といった自動車の駆動系の電源系統は「走行系」と称される。また、オーディオやエアコン等の付加機能についての電源系統は「アクセサリ系」と称される。さらに、上記の「走行系」に関連して、エンジンがかかっている旨を伝達するための信号や、車輌走行、停止及び操舵角制御等の状態を検出した結果についてのデータの制御情報を送受信するための電源系統は、「アクセサリ系」よりも安全性の面で重視すべきであることから、「アクセサリ系」とは別の「制御情報系」と称する。
【0041】
これらの各電源系統は、自動車走行時における安全性に寄与する度合いが異なっており、定格電流等の仕様が異なるため、それぞれ別々のスイッチング電源用制御集積回路13で電源分配を行うこととしている。
【0042】
これらの「走行系」であるか「アクセサリ系」であるか「制御情報系」であるかの別は、電子制御ユニット53からの制御信号内に、電源系統を特定するための信号を含ませて通信を行い、スイッチング電源用制御集積回路13側で、いずれの系統であるかを特定判断するようにする。そして、その特定された系統に適合した電源分配を行うようにする。
【0043】
以上のように、各エリア毎に、スイッチング電源用制御集積回路13を内蔵したスマートコネクタSCを用いれば、車内ネットワークの主幹線1を通じて電子制御ユニット53と通信を行いながら、各スマートコネクタSC側で分散型処理を行って電源分配を行うことができ、これによって主幹線1を簡素化することで自動車内の電線の配策を簡素化できる。
【0044】
そして、形状及び寸法が標準化されたスイッチング電源用制御集積回路13で自己保護及び診断機能などの制御を行うこととし、このスイッチング電源用制御集積回路13を、共通部3のソケット21内に挿脱自在に装着できるようにしているので、必要な個数、必要な容量のスイッチング電源用制御集積回路13を自由に選択して搭載することができ、共通部3に使用する各部材を可及的に標準化しても、それぞれのエリア毎の車載機器の構成に高い自由度で対応することができる。したがって、共通部3の大量生産によるコスト低減を図ることができる。
【0045】
また、スイッチング電源用制御集積回路13を半導体集積回路で構成しているので、ヒューズやリレー等を備えた従来の電源分配箱に比べて省スペース化を図ることができる。
【0046】
特に、自動車においては、図3のように、メーターエリア61、エアコンエリア62、コンソールエリア63、LH(レフトハンド)エリア64、ステアリングエリア65、オーディオエリア66、RH(ライトハンド)エリア67等の多くのエリアが存在し、それぞれのエリア61〜67において車載機器68が存在することから、電線の配策の簡素化や省スペース化の利点は大きいものとなる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、車内ネットワークの主幹線から各エリアに電源分配を行う場合に、車内ネットワークの主幹線に接続される共通部の共通部本体ケース、スイッチング電源用制御集積回路及び配線部品の寸法及び形状を、少なくとも自動車内の各エリア間で共通としているので、従来、各エリア毎に個別に設計及び製造していた電源分配箱に比較して、部品の共通化及び標準化を行うことができ、大量生産によるコスト削減を図ることができる。
【0048】
請求項2に記載の発明によれば、スイッチング電源用制御集積回路が、回路自己保護及び自己診断を行う半導体集積回路であるので、フューズ及びリレー等を内蔵していた電源分配箱に比較して、スペース効率を向上でき、自動車内での設置スペース効率を向上することができる。
【0049】
請求項3に記載の発明によれば、スイッチング電源用制御集積回路が、車載機器の仕様に応じた複数の種類の半導体集積回路から選択されて適用され、共通部本体ケースに、スイッチング電源用制御集積回路を選択して収納することの可能な同一形状且つ同一寸法のソケットが形成されるので、どのような車載機器の仕様構成であっても、これに適合するようにスイッチング電源用制御集積回路を入れ替えて適用すればいいだけなので、標準化した部品を用いながら、様々な車載機器の仕様構成に容易に対応することができる。
【0050】
請求項4に記載の発明によれば、接続手段により、電子制御ユニットが主幹線を通じてスイッチング電源用制御集積回路に制御信号を与えるように構成しているので、電子制御ユニットからスイッチング電源用制御集積回路に制御信号を与える際の電線経路として主幹線を利用することができる。したがって、主幹線の有効利用を図ることができるとともに、各エリアの電子制御ユニットから他のエリアの電子制御ユニットに、何らかの信号を与えることも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施の形態に係る電源分配装置を示す分解斜視図である。
【図2】この発明の一の実施の形態に係る電源分配装置を示す機能ブロック図である。
【図3】自動車における電源分配装置の適用例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 主幹線
3 共通部
5 エリア別対応部
11 共通部本体ケース
13 スイッチング電源用制御集積回路
15 バスバー
17 集積回路支持部
18 ネットワークコネクタ部
19 バスバー支持部
21 ソケット
41 エリア別対応部本体ケース
43 バスバー
53 電子制御ユニット
61〜67 エリア
68 車載機器
SC スマートコネクタ
Claims (4)
- 自動車内で種々の車載機器が搭載されるにあたって、これらの車載機器を搭載するために空間上割り当てられたエリア毎に設置され、当該エリア内の単数または複数の車載機器に電源を分配する電源分配装置であって、
車内ネットワークの主幹線に接続される共通部と、
前記共通部に係脱自在に接続されるとともに各エリア内の車載機器に接続されるエリア別対応部と
を備え、
前記共通部が、
共通部本体ケースと、
前記共通部本体ケースに支持されて車内ネットワークの主幹線に接続される複数のスイッチング電源用制御集積回路と、
前記共通部本体ケース内の配線を行う配線部品と
を備え、
前記共通部本体ケース、前記スイッチング電源用制御集積回路及び前記配線部品の寸法及び形状が、少なくとも自動車内の各エリア間で共通とされることを特徴とする電源分配装置。 - 請求項1に記載の電源分配装置であって、
前記スイッチング電源用制御集積回路が、回路自己保護及び自己診断を行う半導体集積回路であることを特徴とする電源分配装置。 - 請求項2に記載の電源分配装置であって、
前記スイッチング電源用制御集積回路が、前記車載機器の仕様に応じた複数の種類の半導体集積回路から選択されて適用され、
前記共通部本体ケースに、前記スイッチング電源用制御集積回路を選択して収納することの可能な同一形状且つ同一寸法のソケットが形成されることを特徴とする電源分配装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電源分配装置であって、
前記エリア内に設置された電子制御ユニットを前記主幹線に接続するための接続手段を有し、当該接続手段により、前記電子制御ユニットが前記主幹線を通じて前記スイッチング電源用制御集積回路に制御信号を与えることが可能に接続され、
前記スイッチング電源用制御集積回路が、前記制御信号に基づいて前記各車載機器に電源を分配する電源分配装置。
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---|---|---|---|
JP2003045779A JP2004255902A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | 電源分配装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009220806A (ja) * | 2008-02-20 | 2009-10-01 | Yazaki Corp | 駆動装置及び電源分配装置 |
DE102011083582A1 (de) * | 2011-09-28 | 2013-03-28 | Dbk David + Baader Gmbh | Stromverteiler für Kraftfahrzeug-Bordnetze |
JP2018129965A (ja) * | 2017-02-09 | 2018-08-16 | 矢崎総業株式会社 | 車両電源制御装置 |
-
2003
- 2003-02-24 JP JP2003045779A patent/JP2004255902A/ja not_active Abandoned
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DE102011083582A1 (de) * | 2011-09-28 | 2013-03-28 | Dbk David + Baader Gmbh | Stromverteiler für Kraftfahrzeug-Bordnetze |
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