JP2004249182A - 感光性樹脂版の廃液処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光性樹脂版を製版する際の廃液を処理するに際し、その処理後の処理水が河川等に放流できる程度の高い浄化性能が得られる廃液処理方法を提供する。
【解決手段】感光性樹脂版を製版した後の未硬化樹脂を含む廃液に対し、無機凝集剤(ポリ塩化アルミニウム)、カチオン系高分子凝集剤(ポリメタアクリル酸エステル)、アニオン系高分子凝集剤(ポリアクリルアミド)を順に添加していく。その後、廃液を濾過膜によって濾過し、スラッジと処理水とを固液分離する。
【選択図】 なし
【解決手段】感光性樹脂版を製版した後の未硬化樹脂を含む廃液に対し、無機凝集剤(ポリ塩化アルミニウム)、カチオン系高分子凝集剤(ポリメタアクリル酸エステル)、アニオン系高分子凝集剤(ポリアクリルアミド)を順に添加していく。その後、廃液を濾過膜によって濾過し、スラッジと処理水とを固液分離する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキソ印刷に使用する感光性樹脂版を製版した際に得られる未硬化樹脂を含む廃液を処理するための方法に係る。特に、本発明は、上記廃液を処理した後に得られる処理水に対するその後の更なる処理を不要にすることで産業廃棄物処理量の大幅な削減を図るための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、段ボール印刷、フィルム印刷、プレプリント印刷、ラベル印刷等に代表される凸版印刷用の版材として感光性樹脂版が使用されている。
【0003】
この感光性樹脂版の製版プロセスとしては、感光性樹脂原版表面の所定領域に紫外線等の光を照射して部分的に露光させ(その露光部分が硬化層となる)、この露光完了後の樹脂原版を、界面活性剤を主成分とした水系現像液によってブラシ洗浄し、未露光部の樹脂を現像液に溶解させることで露光部の潜像を画像(凸部)として樹脂版上に残すようにしている。
【0004】
このため、この現像動作を繰り返すに従って現像液中に溶解された樹脂の濃度が上昇していき、この濃度が2〜4重量%程度になると現像性能が劣化することになる。このため劣化した現像液は排出され、新たな現像液によって上記現像動作を行うことになる。
【0005】
ところで、上記製版の際に発生する現像廃液(現像性能が劣化したために排出された現像液)は、高濃度の未硬化樹脂等を含んでいるため、そのまま河川等に放流すると環境汚染の原因となってしまう可能性があり、未処理の廃液をそのまま放流することには大きな問題がある。
【0006】
このため、この廃液中の樹脂成分を凝集除去する方法が検討されている。例えば下記の特許文献1には、カチオン系高分子凝集剤を廃液に配合すると共に、その助剤として弱アニオン系高分子凝集剤またはノニオン系高分子凝集剤を添加して廃液中の未硬化樹脂を凝集除去することが開示されている。
【0007】
また、下記の特許文献2には、カチオン系高分子凝集剤及び高分子吸収性樹脂を廃液に配合することにより未硬化樹脂を凝集除去することが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−38367号公報
【特許文献2】
特開2001−47060号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したこれまでの廃液処理方法にあっては、充分な凝集性が得られないため、その凝集処理後の廃液を濾過したとしても、その濾過された後の処理水としては白濁したものしか得られず、河川等に放流できるまでの浄化はなされていないのが現状である。
【0010】
このため、上記凝集処理及び濾過処理によって得られたスラッジ(硬化樹脂)だけでなく、濾過後の処理水(白濁液)についても後処理が必要であり、産業廃棄物処分業者にこれらの処分を委託しなければならない。その量は多量であるため、充分な浄化処理が行われない可能性があり、環境汚染を招いてしまうことが懸念される。また、産業廃棄物処分業者に委託する処理水の量が大量であるため、その委託コストが高く経済的な問題にもなっている。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、感光性樹脂版を製版する際の廃液を処理するに際し、その処理後の処理水として河川等に放流できる程度の高い浄化性能が得られる廃液処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る廃液処理方法は、現像液を用いて感光性樹脂版を製版した際に得られる未硬化樹脂を含む廃液を処理するための方法を対象とする。そして、上記廃液に対して、無機凝集剤を添加した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、その後、更にアニオン系高分子凝集剤を添加していくことによりスラッジを凝集沈殿させる凝集工程と、この凝集工程によって得られた上記スラッジを含む廃液を濾過膜によって濾過することにより、上記スラッジと処理水とを分離する分離工程とを行うようにしている。
【0013】
この特定事項により、先ず、凝集工程にあっては、正の電荷を有するカチオン系高分子凝集剤、負の電荷を有するアニオン系高分子凝集剤によって廃液中の未硬化樹脂等の殆どの不純物質が凝集される。また、無機凝集剤は、上記各高分子凝集剤によって凝集された不純物質同士を更に凝集させるための核としての機能を果たし、凝集された不純物質が、この無機凝集剤を包み込むように凝集することになる。本解決手段では、この無機凝集剤を、カチオン系高分子凝集剤及びアニオン系高分子凝集剤の添加に先立って添加しておくことにより、各高分子凝集剤による不純物質の凝集は、上記核の周囲で迅速に行われ、これにより、不純物質は粗大凝集物を構成し、これがスラッジとして凝集沈殿される。
【0014】
その後の分離工程にあっては、粗大凝集物(スラッジ)を含む処理廃液を濾過膜(濾紙や濾布)によって固液分離し、透明度の高い処理水を得ることができる。この処理水は河川等に放流できる程度の高い純度を有している。その結果、上記凝集物質のみを産業廃棄物処分業者に廃棄物としてその処分を委託すればよく、その量は僅かであるため充分な浄化処理が行われることが期待でき環境汚染を招くことがない、また、その処分を委託する処分コストを低く抑えることが可能になる。
【0015】
−感光性樹脂版−
本発明で用いられる感光性樹脂版としては、少なくとも支持体および感光性樹脂組成物層を有するものであり、水系の現像液に対して現像性を持つために、感光性樹脂組成物に、イオン性親水基を含有する親水性成分が含まれ、さらに光重合性不飽和単量体、光増感剤その他が配合されることによって光感光性が付与されている。
【0016】
上記感光性樹脂組成物としては、疎水性成分に親水性または水膨潤性成分を付与するために、疎水性ポリマーをイオン性親水性基で変性した樹脂を主成分とするもの、疎水性ポリマーを主成分とした疎水性成分とイオン性親水基を含有する親水性または水膨潤性ポリマーを主成分とした親水性または水膨潤性成分の混合体を主成分とするもの、疎水性ポリマーとイオン性親水基を含有する親水性または水膨潤性ポリマーを化学的に結合させたものを主成分とするもの、疎水性ポリマーの原料となる疎水性モノマーと親水性ポリマーの原料となる親水性モノマーをブロック共重合体させたポリマーを主成分とするもの等に挙げられるように、疎水性成分に何らかの形で親水性または水膨潤性成分を組み合わせて、水系現像液に分散型の感光性フレキソ版としたタイプとしたものが好ましい例として挙げられる。
【0017】
ここで挙げた疎水性ポリマーとしては例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、アクリロニトリルゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレンゴム、ポリウレタンゴム、ブタジエンスチレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル酸コポリマー、ブタジエン−(メタ)アクリル酸−アクリルエステルコポリマー、シリコンゴム、ポリオキシプロピレングリコール、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のような版にゴム弾性を与えるポリマーや硬度や安定性を与えるアクリル樹脂やポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のポリマーを挙げることができ、これらは単独または必要に応じて複数組み合わせて用いられる。またこれら樹脂類は、モノマーや架橋剤と、またはポリマー同士で反応できるように変性することも可能である。
【0018】
上記親水性または水膨潤性ポリマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸またはその塩類の重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類−アクリロニトリル共重合体、−COOM基や−SO3M基や−SO4M基や−nPO(OM)nや(O)3−nPO(OM)n(nは1または2)基を含有するポリアクリレート、ポリビニル化合物、ポリウレタン、ポリウレアウレタン、ポリエステル、エポキシ化合物、ポリアミドおよびこれらの塩類や誘導体が挙げられる(なお前記Mは周期表I、II、III族元素、アミンまたはアンモニウム基を示す)。また親水性成分も同様に複数組み合わせて用いることが可能であり、必要に応じて変性してもよい。
【0019】
−感光性樹脂版の製法−
感光性樹脂版の製造方法としては、上記の疎水性ポリマー、親水性または水膨潤性ポリマー、その他、架橋剤、酸化防止剤等の原料をニーダーや押し出し機等で混練りすることによって感光性樹脂が製造され、さらに感光性樹脂層を中心に支持体上に接着層がコーティングされた支持体と粘着防止層がコーティングされたカバーフィルムを用いて挟み、熱プレス、カレンダー成形等の方法で順に積層することによって感光性樹脂原版を得ることができる。
【0020】
得られた感光性樹脂原版を硬化させる方法としては、150〜500nm、特に300〜400nmの波長を有する紫外線の照射により硬化する。その光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタハライドランプ、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、カーボンアーク灯、紫外線用蛍光灯等が好ましく使用される。
【0021】
次に、感光性樹脂版は、上記光源下で透明画像を有するネガフィルムをあてて紫外線を照射し、画像露光させ、露光されない非画像部を現像液を用いて除去することによってレリーフ画像が得られ、一方、溶解除去された未硬化の感光性樹脂は乳濁液あるいは懸濁液状溶液となって現像槽中に残る。
【0022】
本発明において使用される現像液としては、水だけでもよいが、さらに以下に示す化合物を配合してもよい、例えば、ラウリン酸ソーダ、ステアリン酸ソーダ、オレイン酸ソーダなどの脂肪酸カルボン酸塩類、アビエチン酸ソーダ、ロジン酸ソーダなどの樹脂石鹸類、ラウリル硫酸ソーダ、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどの1級および2級のアルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの1級および2級のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩類、ラウリルベンゼンスルホン酸ソーダ、ステアリルベンゼンスルホン酸ソーダなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩類、プロピルナフタレンスルホン酸ソーダ、ブチルナフタレンスルホン酸ソーダなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルスルホン酸ソーダなどのポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルスルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛油などの硫酸化油類、硫酸化オレイン酸ブチルなどの硫酸化脂肪酸エステル類、ジオクチルスルホ虎珀酸ソーダを代表とするアルキルスルホ虎珀酸塩類、a−オレフィンスルホン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、N−メチル−N−アルキルタウリン塩類、N−アルキルスルホ虎珀酸モノアミド塩類、脂肪酸モノグリセライド硫酸エステル塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、ラウルルアルコール燐酸モノエステルジソーダ塩やラウリルアルコール燐酸ジエステルソーダ塩などのアルキルホスフェートの塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル燐酸モノエステルジソーダ塩やポリオキシエチレンラウリルエーテル燐酸ジエステルソーダ塩などのポリオキシエチレンアルキルホスフェートの塩類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類、スチレン−無水マレイン酸共重合体部分鹸化物の塩類、オレフィン−無水マレイン酸共重合体部分鹸化物の塩類などのアニオン系界面活性剤が好ましく使用できる。なお、具体例としては主にナトリウム塩を挙げるが、カリウム塩、アンモニウム塩、なども可能で特に限定されるものでない。これ等アニオン系界面活性剤以外に5%以下のノニオン系活性剤を含有した現像液でも構わない。
【0023】
次に、これ等の現像液で露光されない未硬化の非画像部の樹脂は、溶解除去され現像槽中に樹脂含有の状態で繰り返し現像液として使用されるが、使用者の都合あるいは樹脂濃度の上昇に伴う現像性能の低下や現像液の変色、PHの変動等の劣化が著しくなり、このため劣化した現像液を廃液処理し、現像液を更新することが必要である。廃液処理される樹脂濃度は6〜7%程度になった時とかPHが10以下になった時とかを目安に液交換される。この使用済み現像廃液は、本発明の特徴である廃液処理方法によって処理されて、スラッジと処理水とに固液分離されることになる。この廃液処理方法については後述する。
【0024】
−カチオン系高分子凝集剤−
本発明で使用されるカチオン系高分子凝集剤としては例えば、ポリアクリルアミドにホルマリンとアミン類で変成したポリアクリルアミドのカチオン化変成物、カチオン性ビニルラクタム−アクリルアミド共重合体、ジアリルアンモニウムハロゲン化物のかん化重合物、イソブチレンと無水マレイン酸との共重合物にジアミンを反応させた共重合体、ビニルイミダゾリン重合体、ジアルキルアミノエチルアクリレートの重合体、ポリエチレンイミン、アルキレンジクロライドとアルキレンポリアミンとの重縮合物、ジシアンジアミドとホルマリンとの重縮合物、アニリンとホルマリンとの重縮合物、アミン類とエピクロヒドリンとの共重合体、アンモニアとエピクロヒドリンとの共重合体、アミン類とアスパラギン酸との共重合体、第4級アンモニウム塩を側鎖に有するアクリルポリマー等が挙げられ、好ましくはアミン類とエピクロヒドリンとの共重合体が挙げられる。
【0025】
ここでのアミン類としては例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、ブツルアミン、アミルアミン、アリルアミン、ヘキシルアミン、カプリルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、モノメチルアミノプロピルアミン、ベンジルアミン、ピペリジン、ピロリジン等のアルキル及び環状アミン類、ポリエチレンポリアミン類、アミノプロピルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、モノメチルアミノプロピルアミン、ジアルキルアミノプロピルアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
【0026】
−アニオン系高分子凝集剤−
本発明で使用されるアニオン系高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド系、アニオン性ポリアクリルアミド系、ポリアクリルアミドの部分加水分解物等が挙げられる。このアニオン系高分子凝集剤はカチオン系高分子凝集剤と略同等量の添加量で使用される。
【0027】
−無機凝集剤−
更に、本発明で使用される無機凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸鉄、その他一般の水処理で用いられている多価金属塩などが挙げられる。これらの無機凝集剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
なお、本発明において、濾過膜による濾過で固形分(スラッジ)を除いた廃液(処理水)を下水道や河川へ排水処理するには、さらに酸性化合物を添加してPH5.0〜9.0にしておいた方が好ましい。この酸性化合物としては、蟻酸、塩酸、硫酸、酢酸、燐酸、蓚酸、クエン酸、硝酸、モノクロロ酢酸等のPH3前後の酸性化合物が挙げられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
無機凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤を用いて現像廃液を処理するための具体的な処理作業としては、例えば、50L(50リットル)の現像廃液が入る簡易な廃液処理槽を準備しておき、樹脂濃度が約3%以上の廃液を投入し攪拌を開始する。そして、上記のうちから選択された無機凝集剤1.0〜1.5g/Lを加え所定時間(数秒程度)攪拌した後、上記のうちから選択されたカチオン系高分子凝集剤を0.01〜0.02g/Lを加えて所定時間(数秒程度)攪拌する。更にその後、上記のうちから選択されたアニオン系高分子凝集剤を0.01〜0.02g/Lを加える。その後、約2〜3分間攪拌し凝集物を発生させる。これにより、粘着性の小さいスラッジが凝集沈殿してくる。廃液樹脂濃度が約3%以下の場合は凝集粒子が小さくやや濾過性が落ちるので、樹脂濃度が4〜7%程度の廃液に適用することが好ましい。更に攪拌を続けながら酸性化合物を2〜3mL/L加え、2〜3分間攪拌を続けると廃液中のスラッジを除く処理としては下水道排水規制値(PH5.0〜9.0、BOD1200mg/L以下)を満足し下水道へ排水することが可能なものとなる。その後、攪拌を止め、静置後、濾布を用いて濾過しスラッジと処理水とを固液分離する。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。尚、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0031】
先ず、感光性樹脂原版を用いて、主成分がノニオン系の界面活性剤からなる現像剤(現像液)で40℃、15分間、ネガフィルムをパターン露光し、露光されない未露光部分をブラシ洗浄した。現像剤の濃度が約5%になったところでこの現像剤を50Lの樹脂廃液処理槽に移し、攪拌機で攪拌を開始した。
【0032】
次に、PAC(10%固形分濃度ポリ塩化アルミニウム)を1.2g/L、カチオン系高分子凝集剤(ユニフロッカUF−340、ポリメタアクリル酸エステル系分子量約310万、ユニチカ(株)製)を0.012g/L、アニオン系高分子凝集剤(ユニフロッカUF−105、ポリアクリルアミド系分子量約1300万、ユニチカ(株)製)を0.012g/L順次加え、混合・攪拌を続行した。約2〜3分間攪拌すると粗大凝集物が発生した。
【0033】
この粗大凝集物が発生した現像液廃液を濾紙(5A、アドバンテック東洋製)にて濾過したところ、容易にスラッジを取り出すことができ、透明な濾液が得られた。また、スラッジの粘着性は小さく、取り扱いが容易であった。この濾液のTOC濃度は、処理前の31000mg/Lに比べて約2000mg/L程度と低減し、スラッジ容積も廃液原液に比べ約1/9に減容できた。
【0034】
一方、比較例としては、凝集剤として無機凝集剤及びカチオン系高分子凝集剤のみを使用したものと、無機凝集剤のみを使用したものとをそれぞれ上記と同様の工程を行って濾液を得た。
【0035】
上記実施例及び各比較例それぞれについてスラッジの凝集性、濾液の状態、スラッジの粘着性についてそれぞれ検証した。その結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
この表からも明らかなように、本発明に係る廃液処理方法によれば、比較例のものに比べてスラッジの凝集性が良好であり、そのため、無色透明で純度の高い濾液(処理水)を得ることができた。この処理水は、そのまま河川等に放流したり下水道への排水処理することが可能な程度まで浄化されたものであった。また、上述した如く、本発明に係る廃液処理方法により得られたスラッジの粘着性は小さく、取り扱いが容易であった。
【0038】
このように、本発明に係る廃液処理方法によれば、河川等に放流したり下水道への排水処理することが可能な処理水が得られるため、上記凝集物質(スラッジ)のみを産業廃棄物処分業者に廃棄物として処分を委託すればよく、その量は僅かであり、その処分を委託する処分コストを低く抑えることが可能になる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、感光性樹脂版を製版した際の廃液を処理するに際し、無機凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤を順に添加していくことによりスラッジを凝集沈殿させ、これを濾過してスラッジと処理水とに分離している。このため、透明度が高く河川等に放流できる程度の処理水を得ることができる。その結果、上記スラッジのみを産業廃棄物処分業者に廃棄物としてその処分を委託すればよく、その量は僅かであるため充分な浄化処理を行うことが可能であり環境汚染を招くことがない。また、その処分を委託する処分コストを低く抑えることが可能になる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキソ印刷に使用する感光性樹脂版を製版した際に得られる未硬化樹脂を含む廃液を処理するための方法に係る。特に、本発明は、上記廃液を処理した後に得られる処理水に対するその後の更なる処理を不要にすることで産業廃棄物処理量の大幅な削減を図るための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、段ボール印刷、フィルム印刷、プレプリント印刷、ラベル印刷等に代表される凸版印刷用の版材として感光性樹脂版が使用されている。
【0003】
この感光性樹脂版の製版プロセスとしては、感光性樹脂原版表面の所定領域に紫外線等の光を照射して部分的に露光させ(その露光部分が硬化層となる)、この露光完了後の樹脂原版を、界面活性剤を主成分とした水系現像液によってブラシ洗浄し、未露光部の樹脂を現像液に溶解させることで露光部の潜像を画像(凸部)として樹脂版上に残すようにしている。
【0004】
このため、この現像動作を繰り返すに従って現像液中に溶解された樹脂の濃度が上昇していき、この濃度が2〜4重量%程度になると現像性能が劣化することになる。このため劣化した現像液は排出され、新たな現像液によって上記現像動作を行うことになる。
【0005】
ところで、上記製版の際に発生する現像廃液(現像性能が劣化したために排出された現像液)は、高濃度の未硬化樹脂等を含んでいるため、そのまま河川等に放流すると環境汚染の原因となってしまう可能性があり、未処理の廃液をそのまま放流することには大きな問題がある。
【0006】
このため、この廃液中の樹脂成分を凝集除去する方法が検討されている。例えば下記の特許文献1には、カチオン系高分子凝集剤を廃液に配合すると共に、その助剤として弱アニオン系高分子凝集剤またはノニオン系高分子凝集剤を添加して廃液中の未硬化樹脂を凝集除去することが開示されている。
【0007】
また、下記の特許文献2には、カチオン系高分子凝集剤及び高分子吸収性樹脂を廃液に配合することにより未硬化樹脂を凝集除去することが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−38367号公報
【特許文献2】
特開2001−47060号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したこれまでの廃液処理方法にあっては、充分な凝集性が得られないため、その凝集処理後の廃液を濾過したとしても、その濾過された後の処理水としては白濁したものしか得られず、河川等に放流できるまでの浄化はなされていないのが現状である。
【0010】
このため、上記凝集処理及び濾過処理によって得られたスラッジ(硬化樹脂)だけでなく、濾過後の処理水(白濁液)についても後処理が必要であり、産業廃棄物処分業者にこれらの処分を委託しなければならない。その量は多量であるため、充分な浄化処理が行われない可能性があり、環境汚染を招いてしまうことが懸念される。また、産業廃棄物処分業者に委託する処理水の量が大量であるため、その委託コストが高く経済的な問題にもなっている。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、感光性樹脂版を製版する際の廃液を処理するに際し、その処理後の処理水として河川等に放流できる程度の高い浄化性能が得られる廃液処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る廃液処理方法は、現像液を用いて感光性樹脂版を製版した際に得られる未硬化樹脂を含む廃液を処理するための方法を対象とする。そして、上記廃液に対して、無機凝集剤を添加した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、その後、更にアニオン系高分子凝集剤を添加していくことによりスラッジを凝集沈殿させる凝集工程と、この凝集工程によって得られた上記スラッジを含む廃液を濾過膜によって濾過することにより、上記スラッジと処理水とを分離する分離工程とを行うようにしている。
【0013】
この特定事項により、先ず、凝集工程にあっては、正の電荷を有するカチオン系高分子凝集剤、負の電荷を有するアニオン系高分子凝集剤によって廃液中の未硬化樹脂等の殆どの不純物質が凝集される。また、無機凝集剤は、上記各高分子凝集剤によって凝集された不純物質同士を更に凝集させるための核としての機能を果たし、凝集された不純物質が、この無機凝集剤を包み込むように凝集することになる。本解決手段では、この無機凝集剤を、カチオン系高分子凝集剤及びアニオン系高分子凝集剤の添加に先立って添加しておくことにより、各高分子凝集剤による不純物質の凝集は、上記核の周囲で迅速に行われ、これにより、不純物質は粗大凝集物を構成し、これがスラッジとして凝集沈殿される。
【0014】
その後の分離工程にあっては、粗大凝集物(スラッジ)を含む処理廃液を濾過膜(濾紙や濾布)によって固液分離し、透明度の高い処理水を得ることができる。この処理水は河川等に放流できる程度の高い純度を有している。その結果、上記凝集物質のみを産業廃棄物処分業者に廃棄物としてその処分を委託すればよく、その量は僅かであるため充分な浄化処理が行われることが期待でき環境汚染を招くことがない、また、その処分を委託する処分コストを低く抑えることが可能になる。
【0015】
−感光性樹脂版−
本発明で用いられる感光性樹脂版としては、少なくとも支持体および感光性樹脂組成物層を有するものであり、水系の現像液に対して現像性を持つために、感光性樹脂組成物に、イオン性親水基を含有する親水性成分が含まれ、さらに光重合性不飽和単量体、光増感剤その他が配合されることによって光感光性が付与されている。
【0016】
上記感光性樹脂組成物としては、疎水性成分に親水性または水膨潤性成分を付与するために、疎水性ポリマーをイオン性親水性基で変性した樹脂を主成分とするもの、疎水性ポリマーを主成分とした疎水性成分とイオン性親水基を含有する親水性または水膨潤性ポリマーを主成分とした親水性または水膨潤性成分の混合体を主成分とするもの、疎水性ポリマーとイオン性親水基を含有する親水性または水膨潤性ポリマーを化学的に結合させたものを主成分とするもの、疎水性ポリマーの原料となる疎水性モノマーと親水性ポリマーの原料となる親水性モノマーをブロック共重合体させたポリマーを主成分とするもの等に挙げられるように、疎水性成分に何らかの形で親水性または水膨潤性成分を組み合わせて、水系現像液に分散型の感光性フレキソ版としたタイプとしたものが好ましい例として挙げられる。
【0017】
ここで挙げた疎水性ポリマーとしては例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、アクリロニトリルゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレンゴム、ポリウレタンゴム、ブタジエンスチレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル酸コポリマー、ブタジエン−(メタ)アクリル酸−アクリルエステルコポリマー、シリコンゴム、ポリオキシプロピレングリコール、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のような版にゴム弾性を与えるポリマーや硬度や安定性を与えるアクリル樹脂やポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のポリマーを挙げることができ、これらは単独または必要に応じて複数組み合わせて用いられる。またこれら樹脂類は、モノマーや架橋剤と、またはポリマー同士で反応できるように変性することも可能である。
【0018】
上記親水性または水膨潤性ポリマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸またはその塩類の重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類−アクリロニトリル共重合体、−COOM基や−SO3M基や−SO4M基や−nPO(OM)nや(O)3−nPO(OM)n(nは1または2)基を含有するポリアクリレート、ポリビニル化合物、ポリウレタン、ポリウレアウレタン、ポリエステル、エポキシ化合物、ポリアミドおよびこれらの塩類や誘導体が挙げられる(なお前記Mは周期表I、II、III族元素、アミンまたはアンモニウム基を示す)。また親水性成分も同様に複数組み合わせて用いることが可能であり、必要に応じて変性してもよい。
【0019】
−感光性樹脂版の製法−
感光性樹脂版の製造方法としては、上記の疎水性ポリマー、親水性または水膨潤性ポリマー、その他、架橋剤、酸化防止剤等の原料をニーダーや押し出し機等で混練りすることによって感光性樹脂が製造され、さらに感光性樹脂層を中心に支持体上に接着層がコーティングされた支持体と粘着防止層がコーティングされたカバーフィルムを用いて挟み、熱プレス、カレンダー成形等の方法で順に積層することによって感光性樹脂原版を得ることができる。
【0020】
得られた感光性樹脂原版を硬化させる方法としては、150〜500nm、特に300〜400nmの波長を有する紫外線の照射により硬化する。その光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタハライドランプ、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、カーボンアーク灯、紫外線用蛍光灯等が好ましく使用される。
【0021】
次に、感光性樹脂版は、上記光源下で透明画像を有するネガフィルムをあてて紫外線を照射し、画像露光させ、露光されない非画像部を現像液を用いて除去することによってレリーフ画像が得られ、一方、溶解除去された未硬化の感光性樹脂は乳濁液あるいは懸濁液状溶液となって現像槽中に残る。
【0022】
本発明において使用される現像液としては、水だけでもよいが、さらに以下に示す化合物を配合してもよい、例えば、ラウリン酸ソーダ、ステアリン酸ソーダ、オレイン酸ソーダなどの脂肪酸カルボン酸塩類、アビエチン酸ソーダ、ロジン酸ソーダなどの樹脂石鹸類、ラウリル硫酸ソーダ、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどの1級および2級のアルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの1級および2級のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩類、ラウリルベンゼンスルホン酸ソーダ、ステアリルベンゼンスルホン酸ソーダなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩類、プロピルナフタレンスルホン酸ソーダ、ブチルナフタレンスルホン酸ソーダなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルスルホン酸ソーダなどのポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルスルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛油などの硫酸化油類、硫酸化オレイン酸ブチルなどの硫酸化脂肪酸エステル類、ジオクチルスルホ虎珀酸ソーダを代表とするアルキルスルホ虎珀酸塩類、a−オレフィンスルホン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、N−メチル−N−アルキルタウリン塩類、N−アルキルスルホ虎珀酸モノアミド塩類、脂肪酸モノグリセライド硫酸エステル塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、ラウルルアルコール燐酸モノエステルジソーダ塩やラウリルアルコール燐酸ジエステルソーダ塩などのアルキルホスフェートの塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル燐酸モノエステルジソーダ塩やポリオキシエチレンラウリルエーテル燐酸ジエステルソーダ塩などのポリオキシエチレンアルキルホスフェートの塩類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類、スチレン−無水マレイン酸共重合体部分鹸化物の塩類、オレフィン−無水マレイン酸共重合体部分鹸化物の塩類などのアニオン系界面活性剤が好ましく使用できる。なお、具体例としては主にナトリウム塩を挙げるが、カリウム塩、アンモニウム塩、なども可能で特に限定されるものでない。これ等アニオン系界面活性剤以外に5%以下のノニオン系活性剤を含有した現像液でも構わない。
【0023】
次に、これ等の現像液で露光されない未硬化の非画像部の樹脂は、溶解除去され現像槽中に樹脂含有の状態で繰り返し現像液として使用されるが、使用者の都合あるいは樹脂濃度の上昇に伴う現像性能の低下や現像液の変色、PHの変動等の劣化が著しくなり、このため劣化した現像液を廃液処理し、現像液を更新することが必要である。廃液処理される樹脂濃度は6〜7%程度になった時とかPHが10以下になった時とかを目安に液交換される。この使用済み現像廃液は、本発明の特徴である廃液処理方法によって処理されて、スラッジと処理水とに固液分離されることになる。この廃液処理方法については後述する。
【0024】
−カチオン系高分子凝集剤−
本発明で使用されるカチオン系高分子凝集剤としては例えば、ポリアクリルアミドにホルマリンとアミン類で変成したポリアクリルアミドのカチオン化変成物、カチオン性ビニルラクタム−アクリルアミド共重合体、ジアリルアンモニウムハロゲン化物のかん化重合物、イソブチレンと無水マレイン酸との共重合物にジアミンを反応させた共重合体、ビニルイミダゾリン重合体、ジアルキルアミノエチルアクリレートの重合体、ポリエチレンイミン、アルキレンジクロライドとアルキレンポリアミンとの重縮合物、ジシアンジアミドとホルマリンとの重縮合物、アニリンとホルマリンとの重縮合物、アミン類とエピクロヒドリンとの共重合体、アンモニアとエピクロヒドリンとの共重合体、アミン類とアスパラギン酸との共重合体、第4級アンモニウム塩を側鎖に有するアクリルポリマー等が挙げられ、好ましくはアミン類とエピクロヒドリンとの共重合体が挙げられる。
【0025】
ここでのアミン類としては例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、ブツルアミン、アミルアミン、アリルアミン、ヘキシルアミン、カプリルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、モノメチルアミノプロピルアミン、ベンジルアミン、ピペリジン、ピロリジン等のアルキル及び環状アミン類、ポリエチレンポリアミン類、アミノプロピルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、モノメチルアミノプロピルアミン、ジアルキルアミノプロピルアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
【0026】
−アニオン系高分子凝集剤−
本発明で使用されるアニオン系高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド系、アニオン性ポリアクリルアミド系、ポリアクリルアミドの部分加水分解物等が挙げられる。このアニオン系高分子凝集剤はカチオン系高分子凝集剤と略同等量の添加量で使用される。
【0027】
−無機凝集剤−
更に、本発明で使用される無機凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸鉄、その他一般の水処理で用いられている多価金属塩などが挙げられる。これらの無機凝集剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
なお、本発明において、濾過膜による濾過で固形分(スラッジ)を除いた廃液(処理水)を下水道や河川へ排水処理するには、さらに酸性化合物を添加してPH5.0〜9.0にしておいた方が好ましい。この酸性化合物としては、蟻酸、塩酸、硫酸、酢酸、燐酸、蓚酸、クエン酸、硝酸、モノクロロ酢酸等のPH3前後の酸性化合物が挙げられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
無機凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤を用いて現像廃液を処理するための具体的な処理作業としては、例えば、50L(50リットル)の現像廃液が入る簡易な廃液処理槽を準備しておき、樹脂濃度が約3%以上の廃液を投入し攪拌を開始する。そして、上記のうちから選択された無機凝集剤1.0〜1.5g/Lを加え所定時間(数秒程度)攪拌した後、上記のうちから選択されたカチオン系高分子凝集剤を0.01〜0.02g/Lを加えて所定時間(数秒程度)攪拌する。更にその後、上記のうちから選択されたアニオン系高分子凝集剤を0.01〜0.02g/Lを加える。その後、約2〜3分間攪拌し凝集物を発生させる。これにより、粘着性の小さいスラッジが凝集沈殿してくる。廃液樹脂濃度が約3%以下の場合は凝集粒子が小さくやや濾過性が落ちるので、樹脂濃度が4〜7%程度の廃液に適用することが好ましい。更に攪拌を続けながら酸性化合物を2〜3mL/L加え、2〜3分間攪拌を続けると廃液中のスラッジを除く処理としては下水道排水規制値(PH5.0〜9.0、BOD1200mg/L以下)を満足し下水道へ排水することが可能なものとなる。その後、攪拌を止め、静置後、濾布を用いて濾過しスラッジと処理水とを固液分離する。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。尚、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0031】
先ず、感光性樹脂原版を用いて、主成分がノニオン系の界面活性剤からなる現像剤(現像液)で40℃、15分間、ネガフィルムをパターン露光し、露光されない未露光部分をブラシ洗浄した。現像剤の濃度が約5%になったところでこの現像剤を50Lの樹脂廃液処理槽に移し、攪拌機で攪拌を開始した。
【0032】
次に、PAC(10%固形分濃度ポリ塩化アルミニウム)を1.2g/L、カチオン系高分子凝集剤(ユニフロッカUF−340、ポリメタアクリル酸エステル系分子量約310万、ユニチカ(株)製)を0.012g/L、アニオン系高分子凝集剤(ユニフロッカUF−105、ポリアクリルアミド系分子量約1300万、ユニチカ(株)製)を0.012g/L順次加え、混合・攪拌を続行した。約2〜3分間攪拌すると粗大凝集物が発生した。
【0033】
この粗大凝集物が発生した現像液廃液を濾紙(5A、アドバンテック東洋製)にて濾過したところ、容易にスラッジを取り出すことができ、透明な濾液が得られた。また、スラッジの粘着性は小さく、取り扱いが容易であった。この濾液のTOC濃度は、処理前の31000mg/Lに比べて約2000mg/L程度と低減し、スラッジ容積も廃液原液に比べ約1/9に減容できた。
【0034】
一方、比較例としては、凝集剤として無機凝集剤及びカチオン系高分子凝集剤のみを使用したものと、無機凝集剤のみを使用したものとをそれぞれ上記と同様の工程を行って濾液を得た。
【0035】
上記実施例及び各比較例それぞれについてスラッジの凝集性、濾液の状態、スラッジの粘着性についてそれぞれ検証した。その結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
この表からも明らかなように、本発明に係る廃液処理方法によれば、比較例のものに比べてスラッジの凝集性が良好であり、そのため、無色透明で純度の高い濾液(処理水)を得ることができた。この処理水は、そのまま河川等に放流したり下水道への排水処理することが可能な程度まで浄化されたものであった。また、上述した如く、本発明に係る廃液処理方法により得られたスラッジの粘着性は小さく、取り扱いが容易であった。
【0038】
このように、本発明に係る廃液処理方法によれば、河川等に放流したり下水道への排水処理することが可能な処理水が得られるため、上記凝集物質(スラッジ)のみを産業廃棄物処分業者に廃棄物として処分を委託すればよく、その量は僅かであり、その処分を委託する処分コストを低く抑えることが可能になる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、感光性樹脂版を製版した際の廃液を処理するに際し、無機凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤を順に添加していくことによりスラッジを凝集沈殿させ、これを濾過してスラッジと処理水とに分離している。このため、透明度が高く河川等に放流できる程度の処理水を得ることができる。その結果、上記スラッジのみを産業廃棄物処分業者に廃棄物としてその処分を委託すればよく、その量は僅かであるため充分な浄化処理を行うことが可能であり環境汚染を招くことがない。また、その処分を委託する処分コストを低く抑えることが可能になる。
Claims (1)
- 現像液を用いて感光性樹脂版を製版した際に得られる未硬化樹脂を含む廃液を処理するための方法であって、
上記廃液に対して、無機凝集剤を添加した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、その後、更にアニオン系高分子凝集剤を添加していくことによりスラッジを凝集沈殿させる凝集工程と、
この凝集工程によって得られた上記スラッジを含む廃液を濾過膜によって濾過することにより、上記スラッジと処理水とを分離する分離工程とを行うことを特徴とする感光性樹脂版の廃液処理方法。
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