JP2004246118A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力映像信号と1フィールド前の入力映像信号との差分を求める回路と、差分に応じて複数の係数のいずれかを選択し、当該差分に当該選択された係数を乗算して第1の補正量を求める回路と、入力映像信号のノイズを検出するノイズ検出部と、ノイズ検出部の出力と第1の補正量を乗算して第2の補正量を求める回路と、入力映像信号に第2の補正量を加算して補正映像信号を求める回路と、補正映像信号に基づいて画像を表示する回路で構成する液晶表示装置。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関し、より特定的には、入力映像信号に基づいて画像表示する液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイは大型化・高精細化の発展が著しく、それにともない、用途はパソコン用ディスプレイとして静止画像を表示するだけでなく、動画像までも表示するように広がってきた。従来、液晶ディスプレイに動画像を表示する際は、液晶材料の透過率の応答が表示信号の変化に比べ遅いことに起因して、尾ひきなどの画質劣化が生じるという課題があった。特に、広視野角特性を特徴とする面内スイッチ型(以下、IPSと称す)液晶は、応答に要する時間(以下、応答時間と称す)が長いことが顕著である。
【0003】
そこで、上記課題を解決するための液晶表示装置として、特開2001−331154に示されるものがある。以下、図8および図9を参照して、この従来の液晶表示装置について説明する。
【0004】
図8はこの従来の液晶表示装置の構成を示すブロック図である。図8において、従来の液晶表示装置は、フィールドメモリ10と、演算部50と、係数決定部51と、オーバーフロー補正部12と、駆動部13と、液晶パネル14とを備えている。
【0005】
以下、図8を参照して、従来の液晶表示装置の動作について説明する。フィールドメモリ10には、階調データが入力され、1フィールド前の階調データを出力する。演算部50には、階調データとフィールドメモリ10の出力との差分値が入力され、この差分値に応じた補正量を出力する。
【0006】
オーバーフロー補正部12には、補正量の加算された階調データが入力され、補正量の加算によりオーバーフローが発生した(例えば、階調データの最大値を上回る、または最小値を下回る)場合には入力を補正して出力し、オーバーフローが発生しなかった場合には入力をそのまま出力する。駆動部13は、オーバーフロー補正手段12の出力に基づいた印加電圧によって液晶パネル14を駆動する。液晶パネル14は、駆動部13の制御に基づいて画像を表示する。
次に、演算部50の構成および動作について、より詳細に説明する。図5は、従来例における演算部50の構成を示すブロック図である。図5において、演算部50は、係数レジスタ60と、係数レジスタ61と、セレクタ22と、乗算器23とを有している。以下、演算部50および係数決定部51の動作について説明する。
【0007】
演算部50には、階調データとフィールドメモリ10の出力との差分値が、符号付きで入力される。この差分値は、1フィールド前の階調データに対する現在の階調データの増加量を表している。係数レジスタ60には、階調データ増加時の補正の度合を表す係数Aが予め格納されており、係数レジスタ61には、階調データ減少時の補正の度合を表す係数Bが予め格納されている。そして、セレクタ22には、演算部50入力された例えば9bitの差分値から、1ビットの符号ビットだけが取り出されて入力される。そして、セレクタ22は、この符号ビットの値に応じて、例えば“0”である場合には係数レジスタ60を選択し、“1“である場合には係数レジスタ61を選択して、選択した係数レジスタに予め格納されている係数を出力する。乗算器23は、演算部50に入力された符号付きの9bitの差分値に、セレクタ22の出力を乗算し、補正量として出力する。
【0008】
また、係数決定部51は、補正の度合をユーザに選択させ、このユーザにより選択された補正の度合に対応する2つの係数データを出力する。これら2つの係数データは、演算部50の係数レジスタ60および係数レジスタ61にそれぞれ供給され、係数レジスタ60および係数レジスタ61に記憶される係数Aおよび係数Bは、係数決定部51から供給される係数データによって随時更新される。
【0009】
なお、従来例において、係数決定部51においてユーザに選択させる補正の度合は、例えば、補正の度合を5段階の中から選択させても構わないし、係数レジスタ60および係数レジスタ61に設定する係数そのものをユーザに入力させても構わない。また、係数決定部51において、補正の度合に対応して出力する係数データは、例えば、補正の度合に基づいてデータテーブルを参照して出力しても構わないし、演算により算出して出力しても構わない。
【0010】
ここで、係数Aおよび係数Bについて説明する。上記のように、係数Aは、符号ビットが“0”であるとき、つまり差分値が正であるときに差分値に乗算され、この結果が、補正量として階調データに加算される。つまり係数Aは、階調データの増加時に、その増加量の何倍の補正量を階調データに上乗せして補正するかを表す係数である。したがって、係数Aを0に設定すれば補正はされず、0.5に設定すれば階調データの増加量の半分の補正量が階調データに上乗せされ、1.0に設定すれば階調データの増加量に相当する補正量が階調データに上乗せされることになる。
【0011】
一方、係数Bは、符号ビットが“1”であるとき、つまり差分値が負であるときに差分値に乗算され、この結果が、補正量として階調データに加算される。つまり係数Bは、階調データの減少時に、その減少量の何倍の補正量を階調データから差し引いて補正するのかを表す係数である。したがって、係数Bを0に設定すれば補正はされず、0.5に設定すれば階調データの減少量の半分の補正量が階調データから差し引かれ、1.0に設定すれば階調データの減少量に相当する補正量が階調データから差し引かれることになる。
【0012】
ここで、階調データの増加時と減少時とで、差分値にそれぞれ異なる係数(係数Aおよび係数B)を乗算して補正量を求めるようにしているが、この理由について説明する。液晶パネルでは、液晶に印加する電圧を変化させることにより、液晶分子の配列変化を生じさせ、その結果、液晶の透過率を変化させ、所定の階調表示を行っている。このとき、印加電圧を増加させたときには、印加された電界によって液晶分子の配列変化が生じ、一方、印加電圧を減少させたときには、分子間力によって液晶分子の配列変化が生じる。
【0013】
ところで、一般に、印加された電界による液晶分子の配列変化の速度は、分子間力による液晶分子の配列変化の速度よりも速くなる。したがって、階調データの増加時(印加電圧の増加時)の応答速度は、階調データの減少時(印加電圧の減少時)の応答速度に比べて速くなる。このように、階調データの増加時と減少時とでは、液晶の応答速度に差があるので、上述のように、それぞれに応じて別々に係数を設定できるのが好ましい。そして一般には上述の理由により、階調データの減少時の係数Bを階調データの増加時の係数Aよりも大きな値に設定するのが好ましい。
【0014】
なお、液晶パネルには、電圧が印加されていないときに透過率が最大(白表示)となるノーマリホワイト型と、逆に(黒表示)となるノーマリブラック型があり、これらは、階調データの増減に対応する白表示および黒表示の変化方向がそれぞれ異なっている。しかしながら、階調データの増加時の応答速度の方が階調データの減少時の応答速度に比べて速くなるという点では共通しており、上述した内容は、液晶パネルがノーマリホワイト型であるかノーマリブラック型であるかに関わりなく、どちらに対しても当てはまる。
【0015】
以上のように、従来例で示したとおり、複雑な演算処理を行うことや参照データテーブルに大量のデータを格納しておくことなしに、画素データに、1フィールド前の画素データとの差分値に所定の係数を乗じた補正量を加算するだけの簡単な動作および構成によって、液晶の応答速度を改善することができる。そして特に、階調データの増加時と減少時とで異なる係数値を差分に乗算して補正量を求めるので、液晶の特性に対応して応答速度をより最適に改善することができる。
【0016】
また、この従来例によれば、液晶の応答速度の補正の度合をユーザの好みに応じて随時、任意に変更することができ、しかも、その変更は、補正の度合を選択するだけで簡単に行うことができる。したがって、このような変更に対応するためにその都度データを書き換えたり大量のデータを予め格納しておく必要がなく、簡単な構成によって容易に補正の度合を変更することができる。
【0017】
なお、従来例において、演算部50に入力される差分値の符号は、階調データの増加時に正になるとして説明しているが、これは装置全体の設計に応じて変更され得るものである。また、従来例において、演算部50では、乗算器23には符号付きの差分値が入力され、係数Aおよび係数Bには符号をもたない値が設定されるが、これも装置全体の設計に応じて変更されうるものである。例えば、乗算器23に符号ビットを除いた差分の絶対値のみを入力し、係数Aおよび係数Bに符号付きの値を設定しても構わない。
【0018】
ここで図9を参照して、階調データを補正値によって補正した場合の動作についてより詳細に説明する。ここに、ある階調データの値をDxとし、このデータに対応する液晶印加電圧をVxとし、また、このVxの電圧を印加して十分安定したときの階調である液晶の状態をSxとする。いま、図9(a)に示すように、階調データがD1からD2に変化した場合(D1<D2)、補正を行わなければ、液晶に印加される電圧は、図9(b)に示すように、電圧V1から電圧V2に変化する。しかし、液晶は、電圧の変化に追従することができず、液晶の透過率は、図9(c)に示すように変化する。つまり、階調データがD1からD2に変化してから数フレーム後に、液晶の状態はS2となる。このように、補正を行わない場合にはS1からS2になるまでに数フレーム分の応答時間が生じる。
【0019】
ところで液晶材料は、一般に印加電圧の変化時における変化の度合が大きければ大きいほど変化速度も大きくなるという性質を有する。そこで、図9(e)に示すように、階調データが変化してから1フレーム後に液晶がS2の状態になるような、電圧V2よりも大きな電圧V3(十分時間が経過すればS3の状態になる)を、階調データの変化後1フレーム間だけ印加する(図9(d))。その後、印加電圧をV2にすれば、液晶の状態はS2で安定する。このように、階調データの変化時に、液晶の変化速度がより大きくなるように印加電圧を一時的に補正することにより、液晶の変化速度を増大させ、液晶の応答時間を例えば1フレームに短縮することができる。
【0020】
【特許文献1】
特開2001−331154号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001−331154に示されるような補正処理を行った場合、液晶の応答時間を短縮することが可能となったが、応答時間を短縮したために、ノイズの多い入力信号に対してそのまま反応し、以前よりノイズが目立つという問題が生じた。
【0022】
それ故に、本発明の目的は、応答速度の速くなった液晶表示装置であっても、液晶の応答速度という特徴を積極的に利用して、かつ小規模な回路追加で、ノイズリダクションを実現できる液晶表示装置を提供することにあり、他の目的は、多画面表示のように複数の入力信号が表示される状況において、各々の表示領域で最適なノイズリダクションを実現する液晶表示装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、入力映像信号と1フィールド前の入力映像信号との差分を求める回路と、差分に応じて複数の係数のいずれかを選択し、当該差分に当該選択された係数を乗算して第1の補正量を求める回路と、入力映像信号のノイズを検出するノイズ検出部と、ノイズ検出部の出力と第1の補正量を乗算して第2の補正量を求める回路と、入力映像信号に第2の補正量を加算して補正映像信号を求める回路と、補正映像信号に基づいて画像を表示する回路で構成する液晶表示装置である。
【0024】
上記のように、第1の発明によれば、応答速度の速くなった液晶表示装置であっても、液晶の応答速度を上げる回路を積極的に利用して、かつ小規模な回路追加で、ノイズリダクションを実現できる。
【0025】
第2の発明は、2つの入力映像信号を合成する多画面合成回路と、多画面合成回路の出力の1フィールド前の入力映像信号との差分を求める回路と、差分に応じて複数の係数のいずれかを選択し、当該差分に当該選択された係数を乗算して第1の補正量を求める回路と、入力映像信号のノイズを検出する多画面ノイズ検出部と、多画面ノイズ検出部の出力と第1の補正量を乗算して第2の補正量を求める回路と、多画面合成回路の出力に第2の補正量を加算して補正映像信号を求める回路と、補正映像信号に基づいて画像を表示する回路で構成する液晶表示装置である。
【0026】
上記のように、第2の発明によれば、多画面表示のように複数の入力信号が表示される状況において、各々の表示領域で最適なノイズリダクションを実現できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。図1において、10はフィールドメモリ、50は演算部、51は係数決定部、12はオーバーフロー補正部、13は駆動部、14は液晶パネル、1はノイズ検出部である。
【0029】
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施形態の液晶表示装置の動作について説明する。フィールドメモリ10には、階調データが入力され、1フィールド前の階調データを出力する。演算部50には、階調データとフィールドメモリ10の出力との差分値が入力され、この差分値に応じた補正量Aを出力する。
【0030】
ノイズ検出部1は入力映像信号のノイズ量を検出し、ノイズに応じた値を出力する。たとえば、ノイズのないときまたは非常に少ないとき、すなわち通常は1を出力する。これにより、補正値Aと1を乗算することになり、補正値Aの値がそのまま、補正値Bとして加算器に与えられる。すなわち、ノイズが少ないとき、液晶の応答速度が速くなるように制御する。一方、ノイズが非常に多いときは0に近い値を出力する。これにより、補正値Aは1以下の値と乗算し補正値Bとして加算器に与えられる。すなわち、ノイズ量に応じて、液晶の応答速度が遅くなるように制御する。
【0031】
図2はノイズ検出部の一例を示すブロック図である。5は垂直帰線期間抜き取り部、6はノイズ量算出部、7は変換テーブルである。映像信号Aが入力されたとき、垂直帰線期間の映像信号および文字多重信号などが重畳されていない期間を抜き取る。ノイズ量検出部6は垂直帰線期間抜き取り部5の出力からノイズ量を算出する。たとえば、ノイズ量の算出方法として、その期間の二乗和を用いる。変換テーブル7は算出されたノイズ量を0から1の値に変換し出力する。ノイズの少ない場合は1に近い値を出力し、ノイズが多い場合は0に近い値を出力する。なお、ノイズ検出部1の回路構成は図2で示した構成に限るものではない。
【0032】
オーバーフロー補正部12には、補正量Bの加算された階調データが入力され、補正量Bの加算によりオーバーフローが発生した(例えば、階調データの最大値を上回る、または最小値を下回る)場合には入力を補正して出力し、オーバーフローが発生しなかった場合には入力をそのまま出力する。駆動部13は、オーバーフロー補正手段12の出力に基づいた印加電圧によって液晶パネル14を駆動する。液晶パネル14は、駆動部13の制御に基づいて画像を表示する。
【0033】
次に、演算部50の構成および動作について、より詳細に説明する。図5は、従来例における演算部50の構成を示すブロック図である。図5において、演算部50は、係数レジスタ60と、係数レジスタ61と、セレクタ22と、乗算器23とを有している。以下、演算部50および係数決定部51の動作について説明する。
【0034】
演算部50には、階調データとフィールドメモリ10の出力との差分値が、符号付きで入力される。この差分値は、1フィールド前の階調データに対する現在の階調データの増加量を表している。係数レジスタ60には、階調データ増加時の補正の度合を表す係数Aが予め格納されており、係数レジスタ61には、階調データ減少時の補正の度合を表す係数Bが予め格納されている。そして、セレクタ22には、演算部50入力された例えば9bitの差分値から、1ビットの符号ビットだけが取り出されて入力される。そして、セレクタ22は、この符号ビットの値に応じて、例えば“0”である場合には係数レジスタ60を選択し、“1”である場合には係数レジスタ61を選択して、選択した係数レジスタに予め格納されている係数を出力する。乗算器23は、演算部50に入力された符号付きの9bitの差分値に、セレクタ22の出力を乗算し、補正量Aとして出力する。
【0035】
また、係数決定部51は、補正の度合をユーザに選択させ、このユーザにより選択された補正の度合に対応する2つの係数データを出力する。これら2つの係数データは、演算部50の係数レジスタ60および係数レジスタ61にそれぞれ供給され、係数レジスタ60および係数レジスタ61に記憶される係数Aおよび係数Bは、係数決定部51から供給される係数データによって随時更新される。
【0036】
ここで、係数Aおよび係数Bについて説明する。上記のように、係数Aは、符号ビットが“0”であるとき、つまり差分値が正であるときに差分値に乗算され、この結果が、補正量として階調データに加算される。つまり係数Aは、階調データの増加時に、その増加量の何倍の補正量を階調データに上乗せして補正するかを表す係数である。したがって、係数Aを0に設定すれば補正はされず、0.5に設定すれば階調データの増加量の半分の補正量が階調データに上乗せされ、1.0に設定すれば階調データの増加量に相当する補正量が階調データに上乗せされることになる。
【0037】
一方、係数Bは、符号ビットが“1”であるとき、つまり差分値が負であるときに差分値に乗算され、この結果が、補正量として階調データに加算される。つまり係数Bは、階調データの減少時に、その減少量の何倍の補正量を階調データから差し引いて補正するのかを表す係数である。したがって、係数Bを0に設定すれば補正はされず、0.5に設定すれば階調データの減少量の半分の補正量が階調データから差し引かれ、1.0に設定すれば階調データの減少量に相当する補正量が階調データから差し引かれることになる。
【0038】
ここで、階調データの増加時と減少時とで、差分値にそれぞれ異なる係数(係数Aおよび係数B)を乗算して補正量を求めるようにしているが、この理由について説明する。液晶パネルでは、液晶に印加する電圧を変化させることにより、液晶分子の配列変化を生じさせ、その結果、液晶の透過率を変化させ、所定の階調表示を行っている。このとき、印加電圧を増加させたときには、印加された電界によって液晶分子の配列変化が生じ、一方、印加電圧を減少させたときには、分子間力によって液晶分子の配列変化が生じる。
【0039】
ところで、一般に、印加された電界による液晶分子の配列変化の速度は、分子間力による液晶分子の配列変化の速度よりも速くなる。したがって、階調データの増加時(印加電圧の増加時)の応答速度は、階調データの減少時(印加電圧の減少時)の応答速度に比べて速くなる。このように、階調データの増加時と減少時とでは、液晶の応答速度に差があるので、上述のように、それぞれに応じて別々に係数を設定できるのが好ましい。そして一般には上述の理由により、階調データの減少時の係数Bを階調データの増加時の係数Aよりも大きな値に設定するのが好ましい。
【0040】
なお、液晶パネルには、電圧が印加されていないときに透過率が最大(白表示)となるノーマリホワイト型と、逆に(黒表示)となるノーマリブラック型があり、これらは、階調データの増減に対応する白表示および黒表示の変化方向がそれぞれ異なっている。しかしながら、階調データの増加時の応答速度の方が階調データの減少時の応答速度に比べて速くなるという点では共通しており、上述した内容は、液晶パネルがノーマリホワイト型であるかノーマリブラック型であるかに関わりなく、どちらに対しても当てはまる。
【0041】
本発明において、ノイズが多い場合の液晶パネル14の応答速度を図6に示す。このときの応答時間(階調を変化させたときに液晶パネル14の光出力が変化する時間)を測定した結果を示す図である。一方、図7は、ノイズがない場合の応答時間を測定した結果を示す図である。図6と図7を比較すると、中間調において、ノイズが多い場合は90ms、ノイズがない場合は30ms以下の応答時間である。実際に表示画面で見ると、ノイズがない場合は応答速度が速く、動画像においてもはっきりとした高画質が実現できる。また、ノイズが多い場合は応答速度が適度に遅くなりノイズを適度に抑圧できる。
【0042】
ここで図9を参照して、階調データを補正値によって補正した場合の動作についてより詳細に説明する。ここに、ある階調データの値をDxとし、このデータに対応する液晶印加電圧をVxとし、また、このVxの電圧を印加して十分安定したときの階調である液晶の状態をSxとする。いま、図9(a)に示すように、階調データがD1からD2に変化した場合(D1<D2)、補正を行わなければ、液晶に印加される電圧は、図9(b)に示すように、電圧V1から電圧V2に変化する。しかし、液晶は、電圧の変化に追従することができず、液晶の透過率は、図9(c)に示すように変化する。つまり、階調データがD1からD2に変化してから数フレーム後に、液晶の状態はS2となる。このように、補正を行わない場合にはS1からS2になるまでに数フレーム分の応答時間が生じる。
【0043】
ところで液晶材料は、一般に印加電圧の変化時における変化の度合が大きければ大きいほど変化速度も大きくなるという性質を有する。そこで、図9(e)に示すように、階調データが変化してから1フレーム後に液晶がS2の状態になるような、電圧V2よりも大きな電圧V3(十分時間が経過すればS3の状態になる)を、階調データの変化後1フレーム間だけ印加する(図9(d))。その後、印加電圧をV2にすれば、液晶の状態はS2で安定する。このように、階調データの変化時に、液晶の変化速度がより大きくなるように印加電圧を一時的に補正することにより、液晶の変化速度を増大させ、液晶の応答時間を例えば1フレームに短縮することができる。
【0044】
以上のように、ノイズが少ない場合の液晶応答速度を改善と、ノイズが多い場合の液晶応答速度を利用したノイズリダクションとを両立することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。図3において、10はフィールドメモリ、50は演算部、51は係数決定部、12はオーバーフロー補正部、13は駆動部、14は液晶パネル、2は多画面ノイズ検出部である。なお、図3において、図1と同一の構成には同一の参照符号を付す。
【0046】
図4は多画面ノイズ検出部2の一例を示すブロック図である。5、25は垂直帰線期間抜き取り部、6、26はノイズ量算出部、7、27は変換テーブル、28は表示用同期、クロック再生部、29は画面切り替え信号発生部である。図4において、図2と同一の構成には同一の参照符号を付す。
【0047】
以下、第2の実施形態の動作について説明する。ただし、第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、多画面ノイズ検出部2の内部構成のみであり、他の同一の構成についての詳しい説明は省略する。
【0048】
ここで、説明を簡単にするために図10で示すような2画面表示の場合について説明する。垂直帰線期間抜き取り部5は映像信号Aが入力されたとき、垂直帰線期間の映像信号および文字多重信号などが重畳されていない期間を抜き取る。垂直帰線期間抜き取り部25は映像信号Bが入力されたとき、垂直帰線期間の映像信号および文字多重信号などが重畳されていない期間を抜き取る。ノイズ量検出部6は垂直帰線期間抜き取り部5の出力からノイズ量を算出する。ノイズ量検出部26は垂直帰線期間抜き取り部25の出力からノイズ量を算出する。たとえば、ノイズ量の算出方法として、その期間の二乗和を用いる。変換テーブル7は算出されたノイズ量を0から1の値に変換し出力する。変換テーブル27は算出されたノイズ量を0から1の値に変換し出力する。ノイズの少ない場合は1に近い値を出力し、ノイズが多い場合は0に近い値を出力する。セレクタ30は変換テーブル7と変換テーブル27の出力を画面表示切り替え信号発生部の出力に応じて切り替えて出力する。表示用同期、クロック発生回路28は、液晶パネル14の表示に同期した、水平同期信号HD、垂直同期信号VD、クロックパルスCKを発生する。画面切り替え信号発生部29は表示用同期、クロック発生回路28の出力を元に切り替え信号を出力する。
【0049】
たとえば、図10で示される2画面の場合、映像信号Aの期間は0を出力し、映像信号Bの期間は1を出力する。このようにして、多画面ノイズ検出部2は映像信号A、Bのノイズ量に応じた信号を選択して出力する。
【0050】
なお、多画面ノイズ検出部2の回路構成は図4で示した構成に限るものではない。
【0051】
以上のように、多画面表示する液晶表示装置において、ノイズが少ない信号の画面には液晶応答速度を改善し、ノイズが多い信号の画面には液晶応答速度を利用したノイズリダクションを行うことにより、最適な視聴状態を提供できる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ノイズが少ない場合の液晶応答速度改善と、ノイズが多い場合の液晶応答速度を利用したノイズリダクションとを両立することができる。
【0053】
また、多画面表示する液晶表示装置において、ノイズが少ない信号の画面には液晶応答速度を改善し、ノイズが多い信号の画面には液晶応答速度を利用したノイズリダクションを行うことにより、最適な視聴状態を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態におけるノイズ検出部1の構成を示すブロック図
【図3】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の第1の実施形態における多画面ノイズ検出部2の構成を示すブロック図
【図5】従来の液晶表示装置における演算部50の構成を示すブロック図
【図6】第1の実施形態において、ノイズが多い場合の液晶パネル14の応答時間を測定した結果を示す図
【図7】第1の実施形態において、ノイズがない場合の液晶パネル14の応答時間を測定した結果を示す図
【図8】従来の液晶表示装置の構成を示すブロック図
【図9】従来の液晶表示装置における液晶応答速度の補正アルゴリズムを示す図
【図10】2画面を表示した場合の表示画面イメージ図
【符号の説明】
1 ノイズ検出部
5、25 垂直帰線期間抜き取り部
6、26 ノイズ量算出部
7、27 変換テーブル
10 フィールドメモリ
12 オーバーフロー補正部
13 駆動部
14 液晶パネル
28 表示用同期クロック再生部
29 画面切り替え信号発生部
30 セレクタ
50 演算部
51 係数決定部
Claims (7)
- 入力映像信号に基づいて画像表示する液晶表示装置であって、前記入力映像信号と1フィールド前の入力映像信号との差分を求める手段と、前記差分に応じて複数の係数のいずれかを選択し、当該差分に当該選択された係数を乗算して第1の補正量を求める手段と、前記入力映像信号のノイズを検出するノイズ検出手段と、前記ノイズ検出手段の出力と前記第1の補正量を乗算して第2の補正量を求める手段と、前記入力映像信号に前記第2の補正量を加算して補正映像信号を求める手段と、前記補正映像信号に基づいて画像を表示する手段とを備える液晶表示装置。
- ノイズ検出手段は入力信号の垂直帰線期間のノイズ量を算出するノイズ算出手段と、前記ノイズ算出手段の出力から第1の補正量を制限する信号に変換する変換テーブルとを含む、請求項1記載の液晶表示装置。
- ノイズ検出手段はノイズ量が多いとき、第1の補正量を少なくするように動作することを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置。
- 入力映像信号に基づいて画像表示する液晶表示装置であって、少なくとも2つの入力映像信号を合成する多画面合成手段と、前記多画面合成手段の出力の1フィールド前の入力映像信号との差分を求める手段と、前記差分に応じて複数の係数のいずれかを選択し、当該差分に当該選択された係数を乗算して第1の補正量を求める手段と、前記入力映像信号のノイズを検出する多画面ノイズ検出手段と、前記多画面ノイズ検出手段の出力と前記第1の補正量を乗算して第2の補正量を求める手段と、前記多画面合成手段の出力に前記第2の補正量を加算して補正映像信号を求める手段と、前記補正映像信号に基づいて画像を表示する手段とを備える液晶表示装置。
- 多画面ノイズ検出手段は少なくとも2つの入力信号の垂直帰線期間のノイズ量を算出するノイズ算出手段と、前記少なくとも2つのノイズ算出手段の出力を第1の補正量を制限する信号に変換する少なくとも2つの変換テーブルと、表示用の水平、垂直同期信号の発生と表示用クロック発生を行う表示用同期クロック発生手段と、前記表示用同期クロック発生手段の出力から、多画面の表示領域を示す信号を出力する画面切り替え信号発生手段と、前記画面切り替え信号発生手段の出力に応じて、前記少なくとも2つの変換テーブルの出力を切り替えるセレクタを含む、請求項4記載の液晶表示装置。
- 多画面ノイズ検出手段は少なくとも2つのノイズ量を算出し、各々の表示領域でノイズ量が多いとき、第1の補正量を少なくするように動作することを特徴とする請求項4記載の液晶表示装置。
- 前記補正量を求めるステップは、2つの係数を記憶するステップと、前記記憶した2つの係数のいずれかを前記差分の符号に応じて選択するステップと、前記選択された係数を前記差分に乗算するステップとを含む、請求項6記載の液晶表示方法。
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