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JP2004244625A - 含水土壌処理剤および含水土壌の粒状化方法 - Google Patents

含水土壌処理剤および含水土壌の粒状化方法 Download PDF

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JP2004244625A
JP2004244625A JP2004008386A JP2004008386A JP2004244625A JP 2004244625 A JP2004244625 A JP 2004244625A JP 2004008386 A JP2004008386 A JP 2004008386A JP 2004008386 A JP2004008386 A JP 2004008386A JP 2004244625 A JP2004244625 A JP 2004244625A
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Shuichi Toriya
修一 登利屋
Satoshi Yamada
郷司 山田
Keiko Izumi
啓子 泉
Shigeyuki Nozaki
茂幸 野▲崎▼
Shuichi Kozuki
秀一 上月
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

【課題】 高含水比の含水土壌であっても少量で対応し得る含水土壌処理剤および含水土壌の粒状化方法を提供する。
【解決手段】 (a)水溶性重合体と、(b)比表面積が0.11〜1.63m2/cm3の石膏を構成要素に含むものであることを特徴とする含水土壌処理剤である。(a)水溶性重合体としては、好ましくはカルボシキル基(カルボン酸塩基を含む)および/またはスルホン基(スルホン酸塩基を含む)を含有するもの、さらに好ましくは、カルボキシル基を含有し、且つ全構成ユニット100mol%中、スルホン基含有ユニットが0.5〜50mol%であるものが推奨される。
また、本発明の含水土壌の粒状化方法は、上記本発明の含水土壌処理剤を含水土壌に混合することを特徴とするものである。

Description

本発明は、含水土壌を改質し、砂などの代替品として埋め戻し材などに再利用し得るようにするための処理剤および粒状化方法に関するものである。本発明の処理剤および粒状化方法は、含水比が高く、極めて低粘度の含水土壌にも適用可能である。
土木工事などで発生する建設発生土のうち、掘削工事で発生する発生土は、掘削部へ水を流し込んで汚泥として外部へ排出することがあり、このような汚泥は含水比が高いため、そのままでは通常のトラックやダンプカーで運搬することすらできず、当然、埋め戻し材として使用することはできない。このため、泥土に対して、脱水処理や固化処理などを施して運搬可能な状態とすることが行われている。
しかし、脱水処理を行っても、上記のような再利用を行うには、さらに適切な改良を施す必要があり、また、固化処理を行う場合では、得られた固化土壌をどうするか、という点で、発生する泥土量と見合うだけの固化土壌の廃棄場所がそれほどない、という問題を抱えていた。
こういった観点から、泥土などの含水土壌をさらさらの砂状のような粒状物にして、埋め戻し材に利用する検討がなされている。粒状化方法としては、例えば、カルボシキル基含有水溶性重合体粉末を添加混合し、次に石灰を添加混合し、養生を経て粒状化する方法がある(特許文献1)。また、カルボキシル基含有水溶性重合体粉末が含水土壌に溶け難い、という問題を解決した技術として、カルボキシル基とスルホン基とを含有する水溶性重合体を用いて粒状化する方法がある(特許文献2)。この特許文献2では、上記水溶性重合体を用いて粒状化した含水土壌(粒状土)の強度を高めるべく、セメント、生石灰、石膏などの如き水硬性物質を用いる方法も開示している。さらに、特許文献3には、アクリルアミドとアクリル酸との共重合体とアルギン酸ナトリウムとを、泥土に混ぜて粒状化する方法が開示されている。
上記従来技術は、夫々特色があり、それなりの効果を発揮しているが、含水比が高く粘度の低い泥土に適用するには、十分な処理性能を備えているとはいえない場合もあり、例えば、上述の水溶性重合体の如き処理剤を多量に必要とすることが多かった。
特開平6−17052号公報 特開2000−136383号公報 特開平10−152682号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高含水比の含水土壌であっても少量で対応し得る含水土壌処理剤および含水土壌の粒状化方法を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の含水土壌処理剤は、(a)水溶性重合体と、(b)比表面積が0.11〜1.63m2/cm3の石膏を構成要素に含むものであるところに要旨を有するものである。本発明の含水土壌処理剤では、(a)水溶性重合体としては、カルボシキル基(カルボン酸塩基を含む、以下同じ)および/またはスルホン基(スルホン酸塩基を含む、以下同じ)を含有するもの;さらには、カルボキシル基を有し、且つ全構成ユニット100mol%中、スルホン基含有ユニットが0.5〜50mol%であるもの;が好ましい。また、(b)石膏は、半水石膏および/または無水石膏が好適である。
以下、本明細書においては、上記水溶性重合体や該重合体を形成するための単量体における「カルボキシル基」には、特に断らない限り、遊離のカルボキシル基(−COOH基)に加えて、カルボン酸塩基も含めるものとし、同「スルホン基」には、特に断らない限り、遊離のスルホン基(−SO3H基)に加えて、スルホン酸塩基も含めることとする。
上記含水土壌処理剤が、さらに(c)水硬性物質を構成要素とする場合も本発明の好ましい一態様である。
本発明の含水土壌の粒状化方法は、上記本発明の含水土壌処理剤を含水土壌に混合して粒状土とするところに要旨が存在する(すなわち、本発明の含水土壌の粒状化方法は、粒状土を製造する方法である)。本発明の粒状化方法は、例えば、(a)水溶性重合体と(b)石膏とを、略同時に含水土壌に混合する手順や、(a)水溶性重合体を含水土壌と混合し、続いて含水土壌が粒状化する前に(b)石膏を混合する手順で実施することが好ましい。また、含水土壌処理剤の構成要素の一つである(c)水硬性物質は、含水土壌が粒状化した後に添加することが望ましい。
本発明の含水土壌処理剤は、構成要素として用いる特定の比表面積を有する石膏の作用により、優れた含水土壌処理性能を有しており、上記フロー値が非常に大きな高含水比土壌であっても、僅かな使用量で、例えば砂の代替品として使用可能な粒状土とすることができる。
このように、本発明の含水土壌処理剤および含水土壌の粒状化方法は、通常、汚泥として廃棄される含水土壌を再利用することができるので、環境保全、省資源、および廃棄場所の延命を図り得ると共に、含水土壌の処分費用を低減することが可能である。
上述の通り、従来から、例えば特許文献2に開示の水溶性重合体からなる処理剤を用いて含水土壌を処理して得られる粒状土について、さらに水硬性物質で処理して強度を高め得ること、およびこうした水硬性物質として石膏が有効に使用できることが知られていた。
しかしながら、本発明者等は、特定の形態を有する石膏の場合には、一旦形成された粒状土を硬化させ、その強度を高めるという作用ではなく、水溶性重合体と略同時に含水土壌に混合するか、該水溶性重合体を含水土壌に混合後、含水土壌が粒状化する前に添加混合することで、非常に優れた含水土壌処理作用(粒状化作用)を発揮し、従来の含水土壌処理剤では、粒状化できなかった高含水比・低粘度の土壌についても、粒状化し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の含水土壌処理剤は、(a)水溶性重合体と、(b)比表面積が0.11〜1.63m2/cm3の石膏を構成要素に含むものであるところに最大の特徴を有している。
本発明の含水土壌処理剤による含水土壌処理のメカニズムは次のようであると考えている。水溶性重合体が含水土壌に添加混合されると、この水溶性重合体が水に溶けながら水と結合することで、これらの水を取り込み、このような水を含んだ状態で水溶性重合体の分子鎖がいくつかの土壌粒子に吸着し、土壌粒子同士を付着結合するが、高含水比の土壌の場合には、水溶性重合体単独では土壌粒子を結合させる力が弱いことから、安定な粒状化状態を形成するためには添加量を多くする必要が生じる。しかしながら、含水土壌と水溶性重合体とが存在する系内に、さらに上述の如き形態の石膏を共存させることで、該石膏を介して水溶性重合体の架橋が生じ、見かけの分子量が増大して凝集力が向上する。これにより、上記土壌粒子間に、より強固な結合が形成され、且つこれらの土壌粒子の間隙に含水土壌中の水が包含されて、安定な粒状化物が得られるようになる。加えて、特定種類の石膏の場合には水硬性も有するため、得られた粒状化物を固化することもできる(詳しくは後述する)。この場合、固化後の粒状化物は、例えば水硬性物質の一つであるセメントで固化されたものとは異なり、pHが中性を示す。以下、本発明の含水土壌処理剤の構成要素について、詳細に説明する。
本発明で用いられる(a)水溶性重合体は、25℃の水に0.1質量%以上溶解し得るものであれば、特に限定されない。具体例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリエーテル型重合体;ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなどのアミド型重合体;ポリビニルピロリドンなどのラクタム含有重合体;ポリビニルアルコールなどの水酸基含有重合体;ビーガム、ヒドロキシエチルセルロースなどの天然のノニオン型水溶性重合体;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などのカルボキシル基含有重合体;ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンのスルホン化物などのスルホン基含有重合体;アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなどのアニオン性水溶性重合体またはこれらの金属塩など;ポリエチレンイミンなどのアミン型重合体;ポリビニルピリジンなどのピリジン含有重合体;ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの第4級アンモニウム塩含有重合体;キトサンなどのカチオン性水溶性重合体またはこれらの塩;などが挙げられる。
(a)水溶性重合体の合成に際しては、上記水溶性重合体を構成する単量体を2種以上併用したり、その他の単量体、例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート[例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなど]、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどの単量体を、水溶性に影響が出ない程度に一部併用してもよい。
これらのうち、カルボキシル基含有単量体を重合して得られる水溶性重合体、あるいは(メタ)アクリルアミドを重合して得られる水溶性重合体は、安全で且つ粘ついた感じがなく、常温、常湿下でさらっとした粉末であることから好ましく用いられる。
カルボシキル基含有水溶性重合体の合成に用い得るカルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、シトラコン酸、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、およびこれらの単量体のカルボン酸塩(例えば、アルカリ金属塩やアンモニウム塩)が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種単独で使用する他、2種以上を併用することもできる。上記例示の単量体の中でも、(メタ)アクリル酸およびその塩が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
上記のカルボシキル基含有水溶性重合体では、さらにスルホン基を含有していることが好ましい。上述の如きカルボキシル基含有水溶性重合体では、水に対する溶解速度が比較的遅く、このような水溶性重合体を用いた含水土壌処理剤では、含水土壌の処理時間(粒状化時間)が比較的長くなる場合がある。しかし、こうしたカルボシキル基含有水溶性重合体でも、さらにスルホン基やスルホン酸塩基を導入することで、水に対する溶解速度が非常に速くなるため、このような水溶性重合体を用いた含水土壌処理剤では、短時間での含水土壌の粒状化が可能となる。
さらにスルホン基を含有する水溶性重合体の合成に使用し得るスルホン基含有単量体としては、スルホン基を有する重合性単量体であれば特に限定されないが、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、イソプロペニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、イソプレンのスルホン化物、およびこれら単量体のスルホン酸塩(アルカリ金属塩やアンモニウム塩など)が挙げられる。これらの単量体は、1種単独で使用する他、2種以上を併用することもできる。上記例示の単量体の中でも、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、およびこれらの塩が好ましく、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。よって、カルボキシル基およびスルホン基含有水溶性重合体としては、(メタ)アクリル酸と、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および/またはスルホエチル(メタ)アクリレートとを含む単量体組成物を重合させて得られる水溶性重合体が、最も好ましい。
上記のカルボキシル基含有水溶性重合体や、カルボキシル基およびスルホン基含有水溶性重合体の形成においては、上述のカルボキシル基含有単量体やスルホン基含有単量体と共重合可能な他の単量体を用いてもよい。このような他の単量体としては、例えば、アリルホスホン酸、イソプロペニルホスホン酸、ビニルホスホン酸、およびこれらの塩などのモノエチレン性不飽和酸;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの、ポリアルキレングリコールと上記カルボキシル基含有単量体とのエステル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル;アリルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オールなどの不飽和アルコール;アクロレインなどのアルデヒド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミドなどのアミド系単量体;ホスホエチルメタクリレート;スチレン;アリルアルコールのエチレンオキシド付加物;N−ビニル−2−ピロリドン;N−ビニルアセトアミド;N−ビニルホルムアミド;などが挙げられる。
上記例示の他の単量体のうち、モノエチレン性不飽和酸;ポリアルキレングリコールと上記カルボキシル基含有単量体とのエステル;(メタ)アクリル酸エステル;ビニルエステル;アルキルビニルエーテル;不飽和アルコール;ホスホエチルメタクリレート;スチレン;アリルアルコールのエチレンオキシド付加物;N−ビニル−2−ピロリドン;N−ビニルアセトアミド;N−ビニルホルムアミド;などのように、含水土壌の処理時にアンモニアなどの気体を発生する虞が無い単量体がより好適である。これらの他の単量体は、必要に応じて、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記例示の他の単量体の中でも、メチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンが特に好ましい。
例えば、上記のカルボシキル基含有水溶性重合体においては、該水溶性重合体の全構成ユニット100mol%中、カルボキシル基含有ユニットが50mol%以上、より好ましくは75mol%以上、さらに好ましくは80mol%以上であることが望ましい。カルボキシル基含有ユニット量が上記範囲を下回るときには、含水土壌に対する含水土壌処理剤の使用量を増加させる必要が生じる場合がある。他方、上記カルボキシル基含有水溶性重合体では、構成ユニットの全て(すなわち100mol%)がカルボキシル基含有ユニットでもよいが、この場合、土壌中に存在する金属イオンの影響を受け易くなり、含水土壌処理剤の使用量の変動幅が大きくなることもあるため、こうした現象の回避が要求される場合には、カルボシキル基含有ユニット量を99.5mol%以下とすることが好ましく、99mol%以下とすることがより好ましい。
また、カルボキシル基およびスルホン基含有水溶性重合体においては、該水溶性重合体の全構成ユニット100mol%中、スルホン基含有ユニットが0.5mol%以上、より好ましくは1mol%以上であって、50mol%以下、より好ましくは25mol%以下、さらに好ましくは20mol%以下であることが望ましい。また、カルボシキル基含有ユニット量は、このスルホン基含有ユニット量の好適範囲を満足させつつ、上述のカルボキシル基含有水溶性重合体における好適範囲の中から選択すればよい。
なお、本明細書において、カルボキシル基含有水溶性重合体や、カルボキシル基およびスルホン基含有水溶性重合体における上述の「構成ユニット」とは、これらの水溶性重合体を構成する基本単位を意味し、カルボキシル基含有ユニットとは、こうした基本単位のうち、カルボキシル基を含有するものを、スルホン基含有ユニットとは、同じくスルホン基を含有するものを意味している。
スルホン基含有ユニット量が上記範囲を下回ると、スルホン基の導入による重合体の水溶解速度向上効果が十分に確保できない場合があり、他方、上記範囲を超えると、含水土壌に対する含水土壌処理剤の使用量を増加させる必要が生じる場合がある。
また、上記のカルボキシル基およびスルホン基含有水溶性重合体において、上述のカルボキシル基含有ユニット量とスルホン基含有ユニット量の好適範囲から導き出せるカルボキシル基とスルホン基との好適なモル比は、199:1〜1:1であり、このモル比は99:1〜4:1であることがより好ましい。なお、上記水溶性重合体におけるカルボシキル基とスルホン基とのモル比は、例えば、常法に従い、pH=2に調整された水溶液と、pH=10に調整された水溶液とを用いたコロイド滴定を実施することで容易に測定することができる。
上述のカルボキシル基含有水溶性重合体、並びにカルボキシル基およびスルホン基含有水溶性重合体[以下、これらの重合体をまとめて「カルボキシル基(およびスルホン基)含有水溶性重合体」と称する]の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、ラジカル重合開始剤などの重合開始剤を用いる重合方法;イオン化放射線、電子線などの放射線や、紫外線などの電磁波を照射する重合方法;加熱による重合方法;などの従来公知の各種重合方法を採用することができ、さらに、これら重合方法の2種以上を併用することも可能である。
また、重合形式としては、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合などの従来公知の各種重合形式を採用することができ、さらにこれらはバッチ式、連続式のいずれの態様であっても構わない。
上述の重合開始剤を用いる重合方法を採用する場合に用い得るラジカル重合開始剤は、特に限定されないが、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキサイドなどの過酸化物;亜硫酸水素ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄アンモニウム、L−アスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの、レドックス系で好適に用いられる還元剤;2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 、2,2'−アゾビス(2−アミノプロパン) 二塩酸塩、2,2'−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル) プロパン〕二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)などのアゾ系開始剤;などが使用可能である。なお、重合開始剤の使用量や、重合反応の条件などは、特に限定されるものではなく、使用する単量体の種類、量などに応じて適宜決定すればよい。
上述のカルボキシル基(およびスルホン基)含有水溶性重合体では、その重量平均分子量は特に限定されないが、例えば10万以上、より好ましくは50万以上、さらに好ましくは100万以上であって、2000万以下、より好ましくは1000万以下であることが推奨される。重量平均分子量が上記範囲を超えると、水に対する溶解速度が低下する場合があり、また、このような水溶性重合体を構成要素とする含水土壌処理剤では、含水土壌と混合した際に増粘効果が生じて両者を均一に混合することが困難となる虞がある他、重合体の合成自体も困難となる傾向にある。他方、重量平均分子量が上記範囲を下回る場合には、この水溶性重合体を用いた含水土壌処理剤では、含水土壌処理性能(粒状化性能)が低下することがある。なお本発明者等の検討により、一般的には、上記水溶性重合体の重量平均分子量は、上記範囲内でもより高分子量側の方が、含水土壌処理性能が優れている傾向にあることが判明している。
ちなみに、含水土壌処理剤の取り扱い性の面から、水溶性重合体[カルボキシル基(およびスルホン基)含有水溶性重合体に限定されない]の水溶液の好適な粘度は、例えば、濃度0.2質量%の場合に25℃で5〜10000mPa・s、より好ましくは10〜2000mPa・sである。よって、水溶性重合体の重量平均分子量は、このような水溶液粘度を達成できるように調整することも好ましい。
上述の通り、カルボキシル基(およびスルホン基)含有水溶性重合体では、これらに含まれるカルボキシル基は、遊離のカルボキシル基またはカルボン酸塩基の態様で存在していればよいが、遊離のカルボキシル基が含まれていることがより好ましい。なお、カルボン酸塩基の場合の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;アミン塩;などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
カルボキシル基(およびスルホン基)含有水溶性重合体中に含まれるカルボキシル基100mol%中、遊離のカルボキシル基の割合は、5mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましく、40mol%以上であることがさらに好ましく、60mol%以上であることが特に好ましい。遊離のカルボキシル基の割合が上記下限値を下回ると、このような水溶性重合体を用いた含水土壌処理剤では、含水土壌処理性能が低下する場合がある。処理すべき含水土壌の性質によっては(例えば関東地方で排出される含水土壌)、遊離のカルボキシル基の割合は、100mol%であることが最も好ましい。
カルボキシル基(およびスルホン基)含有水溶性重合体が、カルボン酸塩基やスルホン酸塩基を有する場合では、これらの水溶性重合体を形成するための単量体としてカルボン酸塩基やスルホン酸塩基を含有するものを用いて合成する他、遊離のカルボキシル基や遊離のスルホン基を有する単量体を用いて一旦重合体を合成した後、これら遊離のカルボキシル基や遊離のスルホン基の一部または全部を中和して塩(カルボン酸塩基、スルホン酸塩基)としてもよい。中和のために利用できるアルカリとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩;アンモニア;モノメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、第2級ブタノールアミンなどのアルカノールアミン類などを挙げることができるが、ナトリウムの水酸化物や炭酸塩が一般的である。
また、(a)水溶性重合体のうち、スルホン基含有水溶性重合体や、上記のカルボキシル基およびスルホン基含有水溶性重合体におけるスルホン基は、この水溶性重合体を形成するための重合性単量体が予め有していた基の他、特定の重合体を後変成することにより導入された基であってもよい。
スルホン基を後変成により導入するに当たり、ベースとなる重合体(後変成用重合体)としては、例えば、上記例示のカルボキシル基含有単量体、上記例示のスルホン基含有単量体やその他の単量体(上記例示の各単量体の他、例えばブタジエンやイソプレンの如き分子内に二重結合を2個以上有するもの)を、上記例示の各種方法で重合して得られるものが使用できる。このような後変成用重合体の中でも、ポリ(メタ)アクリル酸が好適であり、ポリアクリル酸がより好ましい。
上述の後変成用重合体にスルホン基を導入する後変成の方法としては、該水溶性重合体に、後述のスルホン基導入化合物を反応させる方法が採用できる。例えば、後変成用重合体の含有するカルボキシル基と、スルホン基導入化合物であるイセチオン酸ナトリウム(ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム)が含有するヒドロキシル基とを、エステル結合させる方法;後変成用重合体が含有するカルボキシル基と、スルホン基導入化合物であるタウリン・ナトリウム塩(アミノエタンスルホン酸ナトリウム)が含有するアミノ基とを、アミド結合させる方法;スルホン基導入化合物である発煙硫酸などを用いて、後変成用重合体をスルホン化する方法;後変成用重合体が含有する二重結合に、スルホン基導入化合物である亜硫酸水素ナトリウムを付加反応させる方法;などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
スルホン基導入化合物としては、後変成用重合体にスルホン基を導入し得るものであれば特に限定されない。上記例示の化合物以外の具体例としては、ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムなどのエステル結合形成に好適な化合物;アミノメタンスルホン酸ナトリウム、アミノプロパンスルホン酸などのアミド結合形成に好適な化合物;などが挙げられる。
後変成の反応方法・条件は特に限定されず、使用するスルホン基導入化合物およびその反応のタイプに応じて、適宜選択すればよい。例えば、後変成用重合体とスルホン基導入化合物とを混合して加熱する方法などが採用できる。また、後変成用重合体に対するスルホン基導入化合物の使用量についても特に限定されず、必要なスルホン基量を満たし得るように、該重合体や該化合物の種類、これらの組み合わせなどに応じて、適宜決定すればよい。また、後変成用重合体として、カルボキシル基およびスルホン基含有水溶性重合体を用い、該水溶性重合体中のスルホン基量を高める目的で、上記の後変成を実施することも可能である。
なお、後変成によりスルホン基を導入した水溶性重合体において、スルホン基含有ユニット量を定量するに当たっては、この後変成によってスルホン基が導入された基本単位も、前記スルホン基含有ユニットに含めて評価する。
(a)水溶性重合体を本発明の含水土壌処理剤で使用する場合には、該重合体は水溶液やエマルジョンであってもよく、粉体であっても構わない。なお、(a)水溶性重合体の種類や分子量などによっては、水溶液が非常に高粘度となり、取り扱い性が低下したり、含水土壌処理時において、含水土壌との混合性が低下する場合もあるため、このような水溶性重合体の水溶液の場合には、水を多量に使用して該水溶液濃度を下げ、粘度を低下させる必要があることもある。よって、取り扱い性や含水土壌との混合性を考慮すると、(a)水溶性重合体は、必要に応じて乾燥、粉砕して、粉体として使用することが好ましい。なお、(a)水溶性重合体の乾燥方法や粉砕方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用すればよい。
(a)水溶性重合体を粉体(粒子)として用いる場合の粒径は、平均粒径で0.01〜2mmであることが好ましく、0.02〜1mmであることがより好ましい。平均粒径がこのような範囲の(a)水溶性重合体であれば、この水溶性重合体を構成要素とする処理剤を含水土壌と混合しても継粉になり難く、取り扱い性も良好である。
本発明で用いる(b)石膏は、比表面積が0.11m2/cm3以上1.63m2/cm3以下のものである。本発明の処理剤では、上述の通り、(b)石膏を水溶性重合体分子間での結合を形成するために使用するが、(b)石膏がこのような比表面積を有する場合には、該処理剤は、従来以上に高度な含水土壌処理性能(粒状化性能)を有するようになり、非常に低粘度の高含水比土壌の処理も容易になる。その理由は定かではないが、上記の如く大きな比表面積を有する石膏では、水溶性重合体分子と反応し得る面積が大きいため、水溶性重合体分子間の結合(架橋)を速やかに形成させ得る作用が発揮されるためではないか、と考えている。加えて、(b)石膏は水硬性も有するため、粒状土を固化させることも可能となる。(b)石膏の比表面積は0.15m2/cm3以上、より好ましくは0.20m2/cm3以上であって、1.50m2/cm3以下、より好ましくは1.00m2/cm3以下であることが推奨される。
比表面積が上記範囲を下回ると、(b)石膏の平均粒径が増大する傾向にあるため、(a)水溶性重合体を結合して凝集力を向上させる効果が低減してしまう。また、半水石膏や無水石膏の場合には、水和反応による自由水の取り込み効果が発揮されるが、比表面積が上記範囲を下回る場合には、こうした効果も低減してしまう。他方、比表面積が上記範囲を超えると、処理系内に溶出するカルシウムイオン量が増大し、(a)水溶性重合体の不溶化を引き起こしてしまうため、(a)水溶性重合体の必要量が増大したり、含水土壌の粒状化が不可能になったりする。
なお、本発明で定める(b)石膏の比表面積は、日機装株式会社製マイクロトラックFRA粒度分布計「9200−FRA」を用い、測定溶媒にアセトンを用い、[物質](測定物資)に関する設定のうち、Transparency(光透過性)を「Yes」、Spherical Particle(真球か否かの選択)を「No」とし、Particle Refractive Index(粒子の絶対屈折率)を、無水石膏および半水石膏の場合は「1.55」、二水石膏の場合は「1.52」とし、[溶媒]の設定について、Fluid Refractive Index(溶媒の絶対屈折率)をアセトンの絶対屈折率(1.36)として測定される値である。
また、(b)石膏の平均粒径は、800μm以下であることが好ましい。このような平均粒径の石膏であれば、含水土壌と混合しても継子になり難く、スムーズに処理することができる。上記平均粒径は、635μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることがさらに好ましい。他方、(b)石膏の平均粒径は、7μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。なお、(b)石膏の平均粒径は、上記比表面積測定を実施した際に求められる値である。
なお、(b)石膏の種類としては、半水石膏(焼石膏)、無水石膏、二水石膏(石膏の二水物)、およびこれらの混合物のいずれであってもよいが、半水石膏および/または無水石膏が好適である。これらは、水和反応し得ることから、高度に自由水を取り込むことができるため、含水土壌処理剤の処理性能をより高めることを可能とする。加えて、粒状土を固化し得るため、粒状土の強度を高めることもできる。
また、本発明の含水土壌処理剤では、(b)石膏の水硬性によって処理後の粒状土を固化することが可能であるが、粒状土にさらなる強度向上が要求される場合など、必要に応じて(c)水硬性物質も用いることができる。水硬性物質としては、水中で硬化が進行する物質であれば特に限定されないが、例えば、セメント、生石灰、消石灰、石膏(半水石膏、無水石膏)、およびこれらの混合物などが挙げられる。上記例示の水硬性物質の中でも、セメントが好適である。また、石膏については、上記(b)の石膏に該当する比表面積を有するもの、(b)に該当し得ない比表面積を有するもののいずれも、(c)水硬性物質として用い得る。なお、上記含水土壌処理剤を用いる本発明の粒状化方法においては、通常の態様では、(c)水硬性物質は、(a)水溶性重合体や(b)石膏を含水土壌と混合して粒状土を形成させた後に添加するため(詳しくは後述する)、(b)石膏に該当し得る比表面積を有するものを(c)水硬性物質として使用する場合にも、別個の構成要素として取り扱い得る。
上記のセメントとしては、公知の各種セメントを採用することができる。例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメントなどのポルトランドセメント;高炉セメント;アルミナセメント;カルシウムセメント;フライアッシュセメント;などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。中でも重金属である6価クロムの溶出が実質的に見られない点で、高炉セメントが好ましく採用できる。
その他、本発明の含水土壌処理剤では、吸水性樹脂、吸水性繊維物質(セルロース、パルプ、回収古紙など)、タルク、ベントナイト、酸性白土、アルミナ、カオリン、シリカ、ゼオライト、パーライト、珪砂、珪藻土、フライアッシュなどを必要に応じて構成要素とすることもできる。
本発明の含水土壌処理剤の好ましい形態は、[1]粉体状の(a)水溶性重合体と、粉体状の(b)石膏とが予め混合された粉体状のもの、[2]粉体状の(a)水溶性重合体と、粉体状の(b)石膏とを別々に包装した形態のもの、[3](a)水溶性重合体の水溶液またはエマルジョンと、粉体状の(b)石膏とを別々に包装した形態のもの、などいずれも採用可能である。なお、(c)水硬性物質も構成要素とする場合には、該水硬性物質は、[1]〜[3]のいずれの形態においても、(a)水溶性重合体や(b)石膏とは、別個に包装した形態で採用することが好ましい。この理由については後述する。
上記各形態の含水土壌処理剤による含水土壌の粒状化方法は、次の通りである。上記[1]の形態の場合は、(a)水溶性重合体および(b)石膏は同時に含水土壌に混合して処理(粒状化)する。上記[2]や[3]の形態の場合は、別々に包装した(a)水溶性重合体と(b)石膏とを含水土壌に略同時に混合して粒状化することも可能であるが、(a)水溶性重合体を先に混合し、その後含水土壌が粒状化する前に(b)石膏を混合して粒状化する方法を採用することも可能である。(a)水溶性重合体の混合後、(b)石膏を添加するまでの時間は、特に限定されないが、含水土壌と(a)水溶性重合体が十分に混合されてから(b)石膏を添加することが好ましく、処理スケールの大きさにもよるが、例えば、(a)水溶性重合体の混合後20〜180秒程度の時間をおいてから(b)石膏を添加することが推奨される。なお、含水土壌の処理を開始してから、すなわち、上記[1]の形態の場合では、(a)水溶性重合体と(b)石膏を含水土壌に混合してから、上記[2]や[3]の形態の場合では、(a)水溶性重合体を含水土壌に混合してから、含水土壌の粒状化完了までの時間(トータル処理時間)は420秒以内であることが望ましい。
また、(c)水硬性物質は、(a)水溶性重合体および(b)石膏を混合して含水土壌を粒状化した後に添加することが好ましい。含水土壌の粒状化前に(c)水硬性物質を添加すると、含水土壌を粒状化することができなくなる場合がある。
含水土壌と(a)水溶性重合体や(b)石膏とを混合する方法は特に限定されないが、これらを混練することなく撹拌・混合し得る混合機を用いることが好ましい。例えば、これらの混合物に剪断力を付与しながら撹拌し得るように、棒状や釣針状などに形成されている形状の撹拌翼を備えた装置が好適である。すなわち、撹拌翼は、撹拌・混合によって移動する混合物の移動方向に対して、できるだけ直角方向に拡がった形状である場合が、混練による粒子径の粗大化を抑制し得ると共に、撹拌翼や装置内壁への混合物の付着を防止することができるため、望ましい。
このような装置としては、水平軸型混合機や垂直軸型混合機などが挙げられる。水平軸型混合機としては、一軸および複数軸パドル型混合機が好ましい。垂直軸型混合機としては、例えば、パンミキサ型混合機が好ましく、遊星型混合機がより好ましく、該遊星型混合機の中でも、ソイルミキサや、モルタルミキサ、アイリッヒ混合機が特に好ましい。
粒状化までの時間は短い方が作業効率上好ましく、通常、数分以内である。撹拌によって、含水土壌はさらさらの粒状土になる。粒状土の粒径は、0.1〜100mm程度であることが好ましく、0.1〜10mmであることがより好ましい。
また、(a)水溶性重合体や(b)石膏を混合して得られる粒状土に(c)水硬性物質を混合する方法も特に限定されないが、やはり、粒状土と(c)水硬性物質を混練することなく撹拌・混合し得る装置を使用することが望ましい。また、上述の、含水土壌と(a)水溶性重合体や(b)石膏との混合時ほどには剪断がかからないようにし、例えば、粒状土の表面に(c)水硬性物質をまぶすように付着させることが好ましい。別段、水硬性物質の一部が粒状土の内部に取り込まれても差し支えない。
こうした含水土壌の処理における処理剤の使用量は、含水土壌の態様(含水比や粘度、土壌成分の種類など)によって変動するが、例えば、含水土壌100質量部に対し、(a)水溶性重合体の使用量を0.01質量部以上であって、5質量部以下、より好ましくは1質量部以下とすることが推奨される。また、(b)石膏の使用量は、含水土壌100質量部に対し、1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であって、100質量部以下、より好ましくは60質量部以下とすることが望ましい。さらに、(c)水硬性物質を使用する場合では、その使用量を、含水土壌100質量部に対し、1質量部以上であって、35質量部以下、より好ましくは20質量部以下とすることが推奨される。よって、本発明の含水土壌処理剤における各構成要素の使用比率は、含水土壌100質量部に対する各構成要素の上記好適使用量の範囲内で、決定すればよい。
含水土壌では、含水比が同じであっても、土壌の成分組成などに応じてその粘度が異なり、処理の容易さにも違いが生じる。こうした成分組成などの違いによる影響を加味して、含水土壌の粘度に関係する特性を評価する指標として、例えば、後述の測定法によって得られるフロー値があるが、本発明の含水土壌処理剤および粒状化方法では、従来の処理剤が対象としていたフロー値55mm以上70mm未満程度の比較的低含水比の土壌のみならず、フロー値70mm以上1000mm以下程度の高含水比・低粘度の土壌に対しても、上述の如き少ない使用量で、従来レベルの粒径の粒状土とすることが可能であり、非常に優れた含水土壌処理性能を備えている。ちなみに、上記特許文献2では、例えば120%の高含水比土壌を処理した例が開示されているが、ここで使用している処理土壌は関東ロームの土であり、上記フロー値でいうと65mm未満となる。
上記フロー値は次のようにして求められる。内径:55mm、高さ:55mmの中空円筒をテーブル上に置き、該円筒内に含水土壌を詰めた後、円筒を垂直に持ち上げた際に、テーブルに広がった含水土壌の直径を2方向について測定し、この平均値をフロー値とする。
本発明の処理剤および粒状化方法で得られる粒状土は、トラックで運搬することが可能であり、砂の代替品としての埋め戻し材など、種々の用途に再利用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、本実施例において、「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
<水溶性重合体>
後記実施例および比較例で用いた水溶性重合体は、アクリル酸:90mol%と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム:10mol%との共重合体であり、次の製法によって合成したものである。
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた1Lのステンレス鋼製セパラブルフラスコ(I)に、シクロヘキサン:340g、ソルビタンモノステアレート:4.59gを入れ、撹拌しながら50ml/分の速度で窒素を導入し、70℃まで昇温した。
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた500mlのセパラブルフラスコ(II)に、アクリル酸:113.05g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸:36.11g、48質量%水酸化ナトリウム水溶液:14.54g、イオン交換水:133.71gを入れ、撹拌して溶解させた。さらに撹拌を継続しながら窒素を25分間セパラブルフラスコ(II)の溶液内に導入した後、2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル) プロパン〕二塩酸塩が0.02質量%、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)が0.02質量%、および次亜リン酸ソーダ一水和物が0.02質量%の水溶液:42.62gをセパラブルフラスコ(II)の溶液に加え、さらに5分間窒素を導入することにより、該溶液中の溶存酸素を1mg/L以下とした。その後、セパラブルフラスコ(II)で調製した単量体を、セパラブルフラスコ(I)に2時間かけてフィードして重合を行い、さらに30分間熟成した。引き続き脱水を行った後、30℃まで冷却し、内容物の固液分離を行い、乾燥して水溶性重合体(白色微粒子)を得た。
この水溶性重合体の0.2質量%水溶液について、B型粘度計で、ローター:No.2、30rpmの条件で測定した25℃での粘度は、83mPa・sであった。
<評価土壌>
評価土壌A
評価土壌Aは、豊浦標準砂:5部、シルト:75部、粘土:270部、および水道水:350部を十分に混合してなる含水土壌である。この評価土壌について、上述の測定法によって求められるフロー値は、250mmであった。
評価土壌B
評価土壌Bは、豊浦標準砂:5部、シルト:75部、粘土:270部、および水道水:280部を十分に混合してなる含水土壌である。この評価土壌について、上述の測定法によって求められるフロー値は、185mmであった。
<石膏>
後記実施例および比較例で用いた石膏は、和光純薬工業株式会社から購入したものを、乳鉢で粉砕し、比表面積を調整したものである。これら石膏の比表面積および平均粒径を表1に示す。表1の比表面積および平均粒径は、日機装株式会社製マイクロトラックFRA粒度分布計「9200−FRA」を用い、測定溶媒にアセトンを用い、下記の条件で測定した。[物質]Transparency(光透過性):「Yes」、Spherical Particle(真球か否かの選択):「No」、Particle Refractive Index(粒子の絶対屈折率):「1.55(無水石膏・半水石膏)」または「1.52(二水石膏)」、[溶媒]:アセトン、Fluid Refractive Index(溶媒の絶対屈折率):1.36。
Figure 2004244625
実施例1
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.18部と表1に示す石膏No.6(無水石膏):10部を予め混合した処理剤を添加し、360秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表3に示す。
実施例2
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.16部を添加し、170秒間撹拌した。その後、表1に示す石膏No.6(無水石膏):10部を添加し、さらに40秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表3に示す。
実施例3
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.18部と表1に示す石膏No.6(無水石膏):5部を予め混合した処理剤を添加し、310秒間撹拌した。その後、ポルトランドセメント(水硬性物質;太平洋セメント株式会社製):5部を添加し、さらに20秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表3に示す。
実施例4
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.21部と表1に示す石膏No.8(二水石膏):10部を予め混合した処理剤を添加し、200秒間撹拌した。その後、ポルトランドセメント(水硬性物質;太平洋セメント株式会社製):5部を添加し、さらに30秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表3に示す。
実施例5
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.18部と表1に示す石膏No.3(無水石膏):10部を予め混合した処理剤を添加し、210秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表3に示す。
実施例6
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.18部と表1に示す石膏No.5(無水石膏):10部を予め混合した処理剤を添加し、340秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表4に示す。
実施例7
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.18部と表1に示す石膏No.4(無水石膏):10部を予め混合した処理剤を添加し、165秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表4に示す。
実施例8
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.25部と表1に示す石膏No.9(半水石膏):10部を予め混合した処理剤を添加し、210秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表4に示す。
実施例9
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.25部と表1に示す石膏No.9(半水石膏):20部を予め混合した処理剤を添加し、90秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表4に示す。
実施例10
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.25部と表1に示す石膏No.9(半水石膏):5部を予め混合した処理剤を添加し、160秒間撹拌した。その後、高炉セメント(水硬性物質;太平洋セメント株式会社製):5部を添加し、さらに15秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表4に示す。
比較例1
評価土壌B:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.6部を添加し、300秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。すなわち、本比較例は、石膏を使用しない例である。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表5に示す。
比較例2
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.18部と表1に示す石膏No.2(無水石膏):10部を予め混合した処理剤を添加し、420秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表5に示す。
比較例3
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.18部と表1に示す石膏No.7(無水石膏):10部を予め混合した処理剤を添加し、300秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表5に示す。
比較例4
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.18部と表1に示す石膏No.7(無水石膏):5部を予め混合した処理剤を添加し、300秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表5に示す。
比較例5
評価土壌A:100部を、ビーター型撹拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで撹拌しながら、水溶性重合体:0.18部と表1に示す石膏No.1(無水石膏):10部を予め混合した処理剤を添加し、330秒間撹拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を表2に示す基準に従って評価した。結果を表5に示す。
Figure 2004244625
表2における処理後の評価値が4以上のものが合格、3以下が不合格である。なお、評価値4および5(粒状化状態評価:○)のものについては、トラックなどでの運搬が容易な程度に粒状化が達成されており、適用場所などによっては、埋め戻し材としての使用も可能である。さらに評価値6および7(粒状化状態評価:◎)のものについては、埋め戻し材として好適に使用できる。
Figure 2004244625
Figure 2004244625
Figure 2004244625
表3〜5において、石膏の添加方法のうち、「混合」は予め水溶性重合体と混合して評価土壌に添加したことを、「後添加」は水溶性重合体と評価土壌とを混合した後に添加したことを、夫々意味している。さらに「粒状化状態」の数値は表2の評価値を意味している。
表3および4に示すように、実施例1〜10では、含水土壌処理剤に用いる石膏として、比表面積が本発明の範囲内であるものを使用しており、いずれも良好な含水土壌処理性能を有し、処理後の粒状土は埋め戻し材に好適であった。
これに対し、表5に示す比較例2および5は、含水土壌処理剤に用いた石膏の比表面積が本発明の範囲を下回るもの、比較例3および4は含水土壌処理剤に用いた石膏の比表面積が本発明の範囲を超えるものであり、細かい粒径の粒状土とすることができず、処理された含水土壌は埋め戻し材に不適であった。また、石膏を使用しなかった比較例1においても、比較例2〜5と同様の結果が得られた。

Claims (9)

  1. (a)水溶性重合体と、(b)比表面積が0.11〜1.63m2/cm3の石膏を構成要素に含むものであることを特徴とする含水土壌処理剤。
  2. 上記水溶性重合体は、カルボキシル基(カルボン酸塩基を含む、以下同じ)および/またはスルホン基(スルホン酸塩基を含む、以下同じ)を含有するものである請求項1に記載の含水土壌処理剤。
  3. 上記水溶性重合体は、カルボキシル基を有し、且つ全構成ユニット100mol%中、スルホン基含有ユニットが0.5〜50mol%である請求項2に記載の含水土壌処理剤。
  4. 上記石膏は、半水石膏および/または無水石膏である請求項1〜3のいずれかに記載の含水土壌処理剤。
  5. さらに(c)水硬性物質を構成要素とするものである請求項1〜4のいずれかに記載の含水土壌処理剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の含水土壌処理剤を、含水土壌に混合することを特徴とする含水土壌の粒状化方法。
  7. (a)水溶性重合体と(b)石膏とを、同時に含水土壌に混合する請求項6に記載の粒状化方法。
  8. (a)水溶性重合体を含水土壌と混合し、続いて含水土壌が粒状化する前に(b)石膏を混合する請求項6に記載の粒状化方法。
  9. 含水土壌が粒状化した後に、(c)水硬性物質を添加する請求項7または8に記載の粒状化方法。
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