JP2004243376A - タンデム圧延機におけるストリップの蛇行制御装置及び蛇行制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タンデム圧延機におけるストリップの蛇行制御装置は、圧延スタンド1出側におけるストリップ2の作業側張力Tws及び駆動側張力TDSをそれぞれ測定する張力測定手段3a,3bと、ストリップ作業側張力Twsとストリップ駆動側張力TDSとの差張力ΔTi を算出する演算手段4と、差張力ΔTi が所定範囲内にあるか否かを判定する判定手段5と、差張力ΔTi が所定範囲外であると判定された場合に、差張力ΔTi が所定範囲内になるように圧延スタンド1のレベリング制御を行うレベリング制御手段6と、差張力ΔTi が所定範囲外であると判定された場合に、差張力ΔTi に基づいてストリップ2の蛇行量が所定範囲内になるように蛇行修正ロール11の動作を制御する蛇行修正ロール動作制御手段8とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンデム圧延機におけるストリップの蛇行を防止する蛇行制御装置及び蛇行制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、タンデム圧延機におけるストリップの蛇行を防止するため、下記(1)式に従って各スタンドのレベリングを制御する方法が知られている。
ΔTi,i+1 =AΔSli+BΔW+CΔC …(1)
ただし、ΔTi,i+1 :第iスタンド前方差張力、ΔSli:第iスタンドレベリング量、ΔW:板の幅方向へのずれ量、ΔC:板の幅方向クラウン差分、A,B,C:圧延スケジュールによって決まる定数
前記(1)式に基づいてストリップの圧延を行う例を図2を参照して説明する。図2において、101は圧延機、102はストリップ、103は圧延方向、104は張力計、105は蛇行補正装置、106はレベリング装置、107は差張力信号、108はバイアス装置である。
【0003】
ここで、第iスタンドと第i+1スタンドとの間に設置された張力計104から前方差張力ΔTi,i+1 を検出する。差張力とは1つのスタンドにおいて、ストリップ両端(作業側端、駆動側端)の張力をそれぞれ測定し、その差を求めたものである。また、第iスタンドと第i+1スタンドとの間に設置されたCPC装置(図示せず)によりΔWを検出し、第iスタンドと第i+1スタンドとの間に設置されたクラウンメータ(図示せず)によりΔCを検出する。そして、BΔW+CΔCをバイアス信号装置108の出力として、AΔSli=ΔTi,i+1 −(BΔW+CΔC)によりΔSliを求め、この信号を蛇行補正装置105に送出する。蛇行補正装置105は、このΔSli信号をもとにレベリング装置106による第iスタンドのレベリングを制御するのである。
【0004】
また、特開昭63−188415号公報には、第iスタンドのレベリングを制御するにあたり、第iスタンドのみならず、第i+1スタンドの前方差張力、ストリップの幅方向のずれ量、及びストリップの幅方向のクラウン差分を検出し、これらに基づいて第iスタンドのレベリング量を制御する技術が開示されている。
【0005】
さらに、特開平11−151514号公報には、図3に示すように、第iスタンド出側に設置した電磁式タイプの位置検出器205によりストリップ202の板幅及び蛇行量を測定し、且つ第iスタンド出側に設置した張力計204によりストリップ202の全張力及び差張力を測定し、これら測定値に基づいて、第iスタンドのレベリングを制御する工程と、第1スタンド入側に設置した電磁式タイプの位置検出器205によりストリップ202の蛇行量を測定し、この測定値に基づいて、アンコイラー208の位置を制御する工程とを備えるようにしている。図3中、符号201は圧延機、203は圧延方向、206は演算器、207はレベリング装置である。なお、全張力とは、1つのスタンドにおいて、ストリップ両端(作業側端、駆動側端)の張力をそれぞれ測定し、その和を求めたものである。
【0006】
また、特開平7−124620号公報には、図4に示すように、圧延スタンド301の入側及び出側のそれぞれにおけるストリップ302の作業側張力T0WS 、T1WS 及び駆動側張力T0DS 、T1DS をそれぞれ測定する張力計3030WS 、3031WS 、3030DS 、3031DS と、ストリップ作業側張力T0WS 、T1WS とストリップ駆動側張力T0DS 、T1DS との差張力ΔT0 、ΔT1 を算出する張力偏差演算器3040 、3041 と、差張力ΔT0 、ΔT1 に基づいて圧下位置制御量を算出するレベリング量演算器3050 、3051 と、入側及び出側の圧下位置制御量に基づいて作業側レベリング量ΔSWS及び駆動側レベリング量ΔSDSを算出する制御レベリング量演算器306と、作業側レベリング量ΔSWS及び駆動側レベリング量ΔSDSのそれぞれに基づいて圧延スタンド301の圧下位置を制御する圧下位置制御器307W 、307D とを備えた蛇行制御装置が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来のストリップの蛇行制御装置や蛇行制御方法にあっては、以下の問題点があった。
即ち、図2に示す前記(1)式を用いて蛇行制御を行う場合、特開昭63−188415号公報に開示された蛇行制御方法の場合、及び図3に示す特開平11−151514号公報に開示された蛇行制御方法の場合にあっては、圧延スタンド間あるいは圧延スタンドの出側において板の幅方向へのずれ量(板の蛇行量)等を測定する必要があるが、この蛇行量の測定は冷間圧延の圧延機内では非常に困難であり、実施に際しては大幅な改造が必要となる場合もあり問題があった。
【0008】
また、図4に示す特開平7−124620号公報に開示された蛇行制御方法にあっては、制御レベリング量演算器306において、入側及び出側の圧下位置制御量に基づいて作業側レベリング量ΔSWS及び駆動側レベリング量ΔSDSを算出しているが、2つの入力から1つの出力を出すシステムとなるため、ハンチング等の異常制御を引き起こす可能性があった。
【0009】
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧延スタンド間あるいは圧延スタンドの出側において板の蛇行量を測定することなく、かつ、ハンチング等の異常制御を引き起こすことなく、ストリップの蛇行を確実に防止することができる、タンデム圧延機におけるストリップの蛇行制御装置及び蛇行制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明のうち請求項1に係るタンデム圧延機におけるストリップの蛇行制御装置は、タンデム圧延機の入側に設置された蛇行修正ロールを備えたタンデム圧延機におけるストリップの蛇行制御装置であって、前記タンデム圧延機の圧延スタンド出側におけるストリップの作業側張力および駆動側張力をそれぞれ測定する張力測定手段と、該張力測定手段によって測定されたストリップの各張力に基づいて、ストリップ作業側張力とストリップ駆動側張力との差張力を算出する演算手段と、該演算手段によって算出された前記差張力が所定範囲内にあるか否かを判定する判定手段と、該判定手段により前記差張力が所定範囲外であると判定された場合に、前記差張力が所定範囲内になるように前記圧延スタンドのレベリング制御を行うレベリング制御手段と、前記圧延スタンドの入側に設置された板位置検出器によって検出されたストリップの蛇行量に基づいて該蛇行量が所定範囲内になるように前記蛇行修正ロールの動作を制御するとともに、前記判定手段により前記差張力が所定範囲外であると判定された場合に、前記差張力に基づいてストリップの蛇行量が所定範囲内になるように前記蛇行修正ロールの動作を制御する蛇行修正ロール動作制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明のうち請求項2に係るタンデム圧延機におけるストリップの蛇行制御方法は、タンデム圧延機の圧延スタンド出側におけるストリップの作業側張力および駆動側張力をそれぞれ測定する工程と、測定されたストリップの各張力に基づいて、ストリップ作業側張力とストリップ駆動側張力との差張力を算出する工程と、前記差張力が所定範囲内にあるか否かを判定する工程と、前記差張力が所定範囲から外れる場合に、前記差張力が所定範囲内になるように前記圧延スタンドのレベリング制御を行う工程と、前記差張力が所定範囲から外れる場合に、前記差張力に基づいてストリップの蛇行量が所定範囲内になるように前記蛇行修正ロールの動作を制御する工程とを備えていることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る蛇行制御装置の系統図である。
図1において、ストリップ2は、図示しないアンコイラーから巻き出され、蛇行修正ロール11を介して矢印A方向に搬送されて複数の圧延スタンド1からなるタンデム圧延機により圧延されるようになっている。
【0013】
蛇行修正ロール11には、蛇行修正ロール11を動作させる蛇行修正ロール動作シリンダ10が接続され、蛇行修正ロール動作シリンダ10には蛇行修正ロール動作制御器8が接続されている。また、蛇行修正ロール11のやや下流側であって圧延スタンド1の入側には、蛇行修正ロール2を通過したストリップ2の蛇行量ΔWを検出する板位置検出器9が設置されている。板位置検出器9は、蛇行修正ロール動作制御器8に接続され、板位置検出器9によって検出されたストリップ2の蛇行量ΔWは蛇行修正ロール動作制御器8に送出される。蛇行修正ロール動作制御器8は、通常は、検出されたストリップ2の蛇行量ΔWに基づいてストリップ2の蛇行量ΔWが所定範囲内になる蛇行修正ロール11の移動量Δd1 を算出し、その算出結果を蛇行修正ロール動作シリンダ10に送出して蛇行修正ロール11の動作を制御するようになっている。なお、ストリップ2の蛇行量ΔWが例えば10mm以内になるように蛇行修正ロール11の動作を制御している。
【0014】
一方、各圧延スタンド1の出側(図1の場合、第iスタンド及び第i+1スタンドの出側)には、ストリップ2の作業側張力Twsを測定するための作業側張力計3aとストリップ2の駆動側張力TDSを測定するための駆動側張力計3bとが設置されている。これら作業側張力計3a及び駆動側張力計3bで請求項1に規定する「張力測定手段」を構成する。各張力計3a、3bとしては、例えばロードセルにより垂直荷重を測定し、さらにストリップ2の固定された接触角に基づき、ストリップ張力を検出する、従来より公知の装置が用いられる。
【0015】
これら張力計3a、3bは、圧延スタンド1,1間の張力を適切に保つために設けられているものであるが、本発明においては、ストリップ2の蛇行制御にも利用する。
作業側張力計3a及び駆動側張力計3bには、ストリップ作業側張力Twsとストリップ駆動側張力TDSとの差張力ΔTi (=Tws−TDS)を算出する差張力演算器4が接続されている。この差張力演算器4が請求項1に規定する「演算手段」を構成する。
【0016】
また、差張力演算器4には、差張力演算器4によって算出された差張力ΔTi が所定範囲内にあるか否かを判定する判定器5に接続されている。判定器5は、差張力ΔTi が所定範囲内にあるか否かを判定した結果、差張力ΔTi が所定範囲外の場合にはその旨の信号及び差張力ΔTi の値のデータ信号を後述するレベリング制御器6及び蛇行修正ロール動作制御器8のそれぞれに送出し、差張力ΔTi が所定範囲内の場合には、その旨の信号をベリング制御器6及び蛇行修正ロール動作制御器8のそれぞれに送出する。この判定器5が請求項1に規定する「判定手段」を構成する。なお、差張力ΔTi が所定範囲内か否かとなる場合の基準は、差張力ΔTi が例えば−5t以上5t以下の場合は所定範囲内のとなり、それ以外の場合は所定範囲外となる。
【0017】
さらに、判定器5には、判定器5からの信号に基づき、差張力ΔTi が所定範囲外の場合に、差張力ΔTi が所定範囲内になる作業側レベリング量ΔSWS及び駆動側レベリング量ΔSDSを算出するレベリング制御器6が接続されている。このレベリング制御器6は、作業側レベリング量ΔSWS及び駆動側レベリング量ΔSDSを圧延スタンド1に設けられている作業側圧下位置制御器7a及び駆動側圧下位置制御器7bのそれぞれに出力し、圧延スタンド1のレベリング制御を行うようになっている。このレベリング制御器6が請求項1に規定する「レベリング制御手段」を構成する。なお、レベリング制御器6は、差張力ΔTi が所定範囲内の場合には、作業側レベリング量ΔSWS及び駆動側レベリング量ΔSDSのそれぞれを0とし、レベリング制御を行わない。
【0018】
また、判定器5には、前述の蛇行修正ロール動作制御器8が接続されている。蛇行修正ロール動作制御器8は、通常は、検出されたストリップ2の蛇行量ΔWに基づいてストリップ2の蛇行量ΔWが所定範囲内になる蛇行修正ロール11の移動量Δd1 を算出し、その算出結果を蛇行修正ロール動作シリンダ10に送出して蛇行修正ロール11の動作を制御するようになっているが、判定器5からの信号に基づき、差張力ΔTi が所定範囲外の場合には、この差張力ΔTi に基づいてストリップ2の蛇行量ΔWが所定範囲内になる蛇行修正ロール11の移動量Δd2 を算出し、その算出結果を蛇行修正ロール動作シリンダ10に送出して蛇行修正ロール11の動作を制御するようになっている。蛇行修正ロール動作制御器8が請求項1に規定する「蛇行修正ロール制御手段」を構成する。
【0019】
このように、差張力ΔTi が所定範囲外の場合において、蛇行ロール動作制御器8における制御の基準をストリップ2の蛇行量ΔWから差張力ΔTi に切り替えるのは、差張力ΔTi が所定範囲外となると、ストリップ2の蛇行量が大きくなり、板位置検出器9によるストリップ2の蛇行量検出が不能となるからである。
【0020】
また、差張力ΔTi が所定範囲外の場合において、圧延スタンド1のレベリング制御のみならず、蛇行修正ロール11の動作を制御してストリップ2の蛇行量を制御しているのは、圧延スタンド1のレベリング制御のみでは、ストリップ2の蛇行を確実に修正することが困難だからである。
次に、ストリップ2の蛇行制御の方法について具体的に説明する。
【0021】
図1において、蛇行修正ロール動作制御器8は、通常は、板位置検出器9によって検出されたストリップ2の蛇行量ΔWに基づいてストリップ2の蛇行量ΔWが所定範囲内になる蛇行修正ロール11の移動量Δd1 を算出し、その算出結果を蛇行修正ロール動作シリンダ10に送出して蛇行修正ロール11の動作を制御するようになっている。なお、ストリップ2の蛇行量ΔWが例えば10mm以内になるように蛇行修正ロール11の動作を制御している。
【0022】
そして、第iスタンドの出側に設置された作業側張力計3a及び駆動側張力計3b張によって測定されたストリップ2の作業側張力Tws及び駆動側張力TDSは、差張力演算器4に送出される。差張力演算器4においては、作業側張力Tws及び駆動側張力TDSに基づいて、差張力ΔTi (=Tws−TDS)を算出する。そして、差張力演算器4は、この差張力ΔTi の値のデータを判定器5に送出する。
【0023】
判定器5では、差張力演算器4によって算出された差張力ΔTi が所定範囲内にあるか否かを判定する。ここで、差張力ΔTi が所定範囲内か否かとなる場合の基準は、差張力ΔTi が例えば−5t以上5t以下の場合は所定範囲内のとなり、それ以外の場合は所定範囲外となる。差張力ΔTi が5tよりも大きかったり−5tよりも小さい場合には、圧延機内でのストリップ2の蛇行が大きくなり、その蛇行に伴ってストリップ2の圧延形状も片伸びとなり、絞り破断が発生するからである。また、ストリップ2の蛇行によりせり込みといった現象が発生し、大きな圧延トラブルを招くことになるからである。
【0024】
そして、判定器5においては、差張力ΔTi が前述の所定範囲内にあるか否かを判定した結果、差張力ΔTi が所定範囲外の場合、即ち差張力ΔTi が5tよりも大きかったり−5tよりも小さい場合にはその旨の信号及び差張力ΔTi の値のデータ信号をレベリング制御器6及び蛇行修正ロール動作制御器8のそれぞれに送出する。また、判定器5は、差張力ΔTi が所定範囲内の場合、即ち差張力ΔTi が−5t以上5t以下の場合には、差張力ΔTi が所定範囲内である旨の信号をベリング制御器6及び蛇行修正ロール動作制御器8のそれぞれに送出する。
【0025】
レベリング制御器6においては、判定器5からの信号に基づき、差張力ΔTi が所定範囲外の場合に、差張力ΔTi が所定範囲内になる作業側レベリング量ΔSWS及び駆動側レベリング量ΔSDSを算出する。即ち、レベリング制御器6は、差張力ΔTi が5tより大きい場合には、作業側レベリング量ΔSWSとして作業側締め込み量GWSを算出し、駆動側レベリング量ΔSDSとして0を算出し、作業側レベリング量ΔSWSとしての作業側締め込み量GWS及び駆動側レベリング量ΔSDSとしての0を作業側圧下位置制御器7a及び駆動側圧下位置制御器7bのそれぞれに出力し、第iスタンドのレベリング制御を行う。また、レベリング制御器6は、差張力ΔTi が−5t以上5t以下の場合には、所定範囲内であるので、作業側レベリング量ΔSWS及び駆動側レベリング量ΔSDSのそれぞれを0とし、第iスタンドのレベリング制御は行われない。さらにレベリング制御器6は、差張力ΔTi が−5tより小さい場合には、作業側レベリング量ΔSWSとして作業側締め込み量0を算出し、駆動側レベリング量ΔSDSとしてGDSを算出し、作業側レベリング量ΔSWSとしての作業側締め込み量0及び駆動側レベリング量ΔSDSとしてのGDSを作業側圧下位置制御器7a及び駆動側圧下位置制御器7bのそれぞれに出力し、第iスタンドのレベリング制御を行う。これにより、圧延機内でのストリップ2の蛇行をある程度小さくでき、その蛇行伴って発生するストリップ2の片伸び現象もある程度抑制できる。
【0026】
そして、蛇行修正ロール動作制御器8においては、判定器5からの信号に基づき、差張力ΔTi が所定範囲内の場合、即ち差張力ΔTi が−5t以上5t以下の場合には、前述したストリップ2の蛇行量ΔWに基づく蛇行修正ロール11の動作の制御を続行し、検出されたストリップ2の蛇行量ΔWに基づいてストリップ2の蛇行量ΔWが所定範囲内、即ち10mm以内になる蛇行修正ロール11の移動量Δd1 を算出し、その算出結果を蛇行修正ロール動作シリンダ10に送出して蛇行修正ロール11の動作を制御する。
【0027】
そして、蛇行修正ロール動作制御器8は、判定器5からの信号に基づき、差張力ΔTi が所定範囲外の場合、即ち差張力ΔTi が5tよりも大きい場合には、この差張力ΔTi に基づいてストリップ2の蛇行量ΔWが所定範囲内、即ち10mm以内になる蛇行修正ロール11の移動量Δd2 (この場合、ストリップ2を作業側へ寄らせる)を算出し、その算出結果を蛇行修正ロール動作シリンダ10に送出して蛇行修正ロール11の動作を制御する。また、差張力ΔTi が所定範囲外の場合、即ち差張力ΔTi が−5tよりも小さい場合には、蛇行修正ロール動作制御器8は差張力ΔTi に基づいてストリップ2の蛇行量ΔWが所定範囲内、即ち10mm以内になる蛇行修正ロール11の移動量Δd2 (この場合、ストリップ2を駆動側へ寄らせる)を算出し、その算出結果を蛇行修正ロール動作シリンダ10に送出して蛇行修正ロール11の動作を制御する。
【0028】
このように、差張力ΔTi が所定範囲外の場合において、圧延スタンド1のレベリング制御のみならず、蛇行修正ロール11の動作を制御してストリップ2の蛇行量を制御することにより、圧延機内でのストリップ2の蛇行を完全に防止でき、その蛇行伴って発生するストリップ2の片伸び現象をも完全に防止できる。圧延スタンド1のレベリング制御により、差張力ΔTi が所定範囲内、即ち差張力ΔTi が−5t以上5t以下になると、蛇行修正ロール動作制御器8は、判定器5からの信号に基づき、ストリップ2の蛇行量ΔWに基づく蛇行修正ロール11の動作の制御に復帰する。
【0029】
なお、第i+1スタンドのレベリング制御についても、第iスタンドのレベリング制御と同様に行われる。
本発明にあっては、圧延スタンド1の出側における差張力ΔTi が所定範囲外の場合において、差張力ΔTi に基づくレベリング制御とこの差張力ΔTi に基づく蛇行修正ロール11の動作制御とを併用することにより、圧延機内でのストリップ2の蛇行を完全に防止できるので、ストリップ2の蛇行制御において、圧延スタンド間あるいは圧延スタンドの出側において板の幅方向へのずれ量(板の蛇行量)等を測定する必要はなく、また、2つの入力から1つの出力を出すシステムとならず、ハンチング等の異常制御を引き起こす可能性はない。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更を行うことができる。
例えば、差張力ΔTi が−5t以上5t以内の範囲内になるようにレベリング制御を行っているが、ストリップ2の材質、板幅、板厚、単位張力等を考慮して前記範囲を適宜変更することができる。また、ストリップ2の蛇行量を10mm以内になるように蛇行修正ロール11の動作制御を行っているが、ストリップ2の材質、板幅、板厚、単位張力等を考慮して前記範囲を適宜変更することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るタンデム圧延機におけるストリップの蛇行を防止する蛇行制御装置及び蛇行制御方法によれば、タンデム圧延機の圧延スタンド出側におけるストリップの作業側張力および駆動側張力をそれぞれ測定し、測定されたストリップの各張力に基づいて、ストリップ作業側張力とストリップ駆動側張力との差張力を算出し、前記差張力が所定範囲内にあるか否かを判定し、前記差張力が所定範囲から外れる場合に、前記差張力が所定範囲内になるように前記圧延スタンドのレベリング制御を行い、前記差張力が所定範囲から外れる場合に、前記差張力に基づいてストリップの蛇行量が所定範囲内になるように前記蛇行修正ロールの動作を制御するので、圧延スタンド間あるいは圧延スタンドの出側において板の蛇行量を測定することなく、かつ、ハンチング等の異常制御を引き起こすことなく、ストリップの蛇行を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るストリップの蛇行制御装置の系統図である。
【図2】従来例のストリップの蛇行制御方法を説明するための概略図である。
【図3】従来の他の例のストリップの蛇行制御方法を説明するための概略図である。
【図4】従来の更に他の例のストリップの蛇行制御方法を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 圧延スタンド
2 ストリップ
3a 作業側張力計
3b 駆動側張力計
4 差張力演算器(演算手段)
5 判定器(判定手段)
6 レベリング制御器(レベリング制御手段)
7a 作業側圧下位置制御器
7b 駆動側圧下位置制御器
8 蛇行修正ロール動作制御器(蛇行修正ロール動作制御手段)
9 板位置検出器
10 蛇行修正ロール動作シリンダ
11 蛇行修正ロール
Claims (2)
- タンデム圧延機の入側に設置された蛇行修正ロールを備えたタンデム圧延機におけるストリップの蛇行制御装置であって、
前記タンデム圧延機の圧延スタンド出側におけるストリップの作業側張力および駆動側張力をそれぞれ測定する張力測定手段と、
該張力測定手段によって測定されたストリップの各張力に基づいて、ストリップ作業側張力とストリップ駆動側張力との差張力を算出する演算手段と、
該演算手段によって算出された前記差張力が所定範囲内にあるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により前記差張力が所定範囲外であると判定された場合に、前記差張力が所定範囲内になるように前記圧延スタンドのレベリング制御を行うレベリング制御手段と、
前記圧延スタンドの入側に設置された板位置検出器によって検出されたストリップの蛇行量に基づいて該蛇行量が所定範囲内になるように前記蛇行修正ロールの動作を制御するとともに、前記判定手段により前記差張力が所定範囲外であると判定された場合に、前記差張力に基づいてストリップの蛇行量が所定範囲内になるように前記蛇行修正ロールの動作を制御する蛇行修正ロール動作制御手段とを備えていることを特徴とするタンデム圧延機におけるストリップの蛇行制御装置。 - タンデム圧延機の圧延スタンド出側におけるストリップの作業側張力および駆動側張力をそれぞれ測定する工程と、
測定されたストリップの各張力に基づいて、ストリップ作業側張力とストリップ駆動側張力との差張力を算出する工程と、
前記差張力が所定範囲内にあるか否かを判定する工程と、
前記差張力が所定範囲から外れる場合に、前記差張力が所定範囲内になるように前記圧延スタンドのレベリング制御を行う工程と、
前記差張力が所定範囲から外れる場合に、前記差張力に基づいてストリップの蛇行量が所定範囲内になるように前記蛇行修正ロールの動作を制御する工程とを備えていることを特徴とするタンデム圧延機におけるストリップの蛇行制御方法。
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