JP2004241723A - 半導体ウエーハの製造方法、サポートリング及びサポートリング付ウエーハ - Google Patents
半導体ウエーハの製造方法、サポートリング及びサポートリング付ウエーハ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】周辺ダレの領域が非常に小さいあるいは最外周部分まで周辺ダレが全く無い半導体ウエーハを容易に製造する方法並びにその方法に好適に用いられるサポートリング及びサポートリング付ウエーハを提供する。
【解決手段】少なくとも半導体ウエーハの一主面を研磨し鏡面化する半導体ウエーハの製造方法において、研磨前の半導体ウエーハの外周部にサポートリングを装着することによってサポートリング付ウエーハを形成し、該サポートリング付ウエーハの状態で該半導体ウエーハを研磨するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも半導体ウエーハの一主面を研磨し鏡面化する半導体ウエーハの製造方法において、研磨前の半導体ウエーハの外周部にサポートリングを装着することによってサポートリング付ウエーハを形成し、該サポートリング付ウエーハの状態で該半導体ウエーハを研磨するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体ウエーハ(以下、単にウエーハということがある)の製造方法、具体的には研磨後にウエーハ主面の外周部に周辺ダレが無い半導体ウエーハの製造方法、並びにその製造方法に用いられるサポートリング及びサポートリング付ウエーハに関する。
【0002】
【関連技術】
半導体デバイスを作製するための原料ウエーハとして用いられる鏡面ウエーハの一般的な製造方法としては、まずチョクラルスキー法等により半導体インゴットを成長させ、これをスライスして得たウエーハに、主に面取り加工、平坦化加工(ラッピングまたは平面研削)、エッチング、表面研磨等の処理を順次施して鏡面ウエーハとすることが知られている。
【0003】
図9は、従来の一般的な鏡面ウエーハの製造工程の工程順の1例を示すフローチャートである。単結晶育成工程(ステップ100)において、所望の製品径より若干太く成長させた半導体単結晶棒を引上げ、これを円筒研削して円柱状のインゴットを得る。これをスライスしてウエーハとし(ステップ101)、粗面取り加工(ステップ102)、ラッピング(ステップ103)、エッチング(ステップ104)を施した後、面取り部に対して鏡面面取りを行ない(ステップ105)、ついで表面研磨を行なう(ステップ106)。表面研磨工程(ステップ106)では二段階または三段階の研磨により少なくともウエーハの一主面を鏡面化し、鏡面ウエーハとすることができる。上記したステップ101〜106によってウエーハ製造工程200が構成される。なお、上記ウエーハ製造工程200は主な工程を示したもので、他に洗浄工程や熱処理工程等の工程が加わったり、また工程の一部が省略されたり、同じ工程を多段で行なったり、工程順が入れ換えられたりすることもある。
【0004】
このような工程を経て得られた鏡面ウエーハ(以下製品ウエーハという事がある)の表面に回路を形成させて半導体デバイスを作製する場合、1枚のウエーハから極力多くのデバイスを得ることが望ましく、そのためにはウエーハ全面、特にウエーハ主面の外周端部近くまで極力フラットな形状とすることが要求される。つまり、図7に示すようにウエーハ外周部について、現状の規格ではウエーハ外周端部から一定の領域(例えば外周3mm)を除いたウエーハ主面側の領域(ウエーハ有効領域We)で高平坦化がなされていればよいが、近年、除外領域Rが狭くなり、外周端部から2mm、更には1mmまでの領域と外周まで高平坦度であるウエーハWが要望されつつある。図7において、F1はウエーハ主面(表面)、F2はウエーハ主面(裏面)、Xは外周Xmmという場合のXmmの距離をそれぞれ示す。
【0005】
鏡面ウエーハの製造工程における表面研磨は、前記したように通常、二段階あるいは三段階に分けて行われる。すなわち、表面をより平坦化及び鏡面化するため数μm〜十数μm程度の研磨代で研磨(一次研磨と言うことがある)を行った後、必要に応じて研磨代が1μm程度の研磨(2次研磨と言うことがある)を行い、さらに、わずかな研磨代での研磨(仕上げ研磨と言うことがある)を行うことで鏡面ウエーハとすることができる。
【0006】
なお、一般に研磨を行う際は、片面研磨装置であれば、図10に示すような装置が用いられる。この研磨装置10は、ウエーハWの片面を研磨する装置として構成され、回転する定盤12と研磨ヘッド13に装着したウエーハ保持部14と研磨剤供給ノズル16から成っている。定盤12の上面には研磨布18が貼付してある。定盤12は回転軸20により所定の回転速度で回転される。そして、ウエーハ保持部14は、真空吸着等によりそのワーク保持面15にウエーハWを保持し、回転軸22をもつ研磨ヘッド13に装着され、研磨ヘッド13により回転されると同時に所定の荷重で研磨布18にウエーハWを押し付ける。研磨剤24の供給はノズル16から所定の流量で研磨布18上に供給し、この研磨剤24がウエーハWと研磨布18の間に供給されることによりウエーハWが研磨される。このウエーハ保持部14は、ウエーハ保持面15に多数の真空吸着用の貫通孔26をもつウエーハ保持部本体14aおよびウエーハ保持部裏板14bとから構成され、貫通孔26はウエーハ保持部本体14aとウエーハ保持部裏板14bの間にある真空部28を経て真空ライン30から不図示の真空装置につながり、真空の発生によってウエーハ保持面15にウエーハWを吸着保持するようになっている。
【0007】
図10の装置においては、特にウエーハ保持部本体14aのウエーハ保持面15に熱硬化性樹脂皮膜を保護膜15aとして被覆したものとなっている。研磨ヘッド13は、その回転ホルダ32の内部に加圧空間部34を設け、ゴムシートなどからなる弾性体リング36を介してウエーハ保持部14を気密に保持している。加圧空間部34は加圧空気供給路38を経て空気圧縮機(不図示)につながっている。そしてウエーハWをウエーハ保持面15上の保護膜15aの表面に真空吸着保持しているウエーハ保持部14に回転あるいは揺動を与えると同時にウエーハ保持部14の背面を空気により加圧して、ウエーハ保持部14を研磨布18に押し付けるようになっている。
【0008】
このように、研磨布18を貼った定盤12とウエーハWを保持する研磨ヘッド13を相対的に回転させながら研磨布18とウエーハWの間に研磨剤(スラリー)24を供給することにより研磨が行われる。なお、ウエーハWの保持は、本例では図10に示したように多数の貫通孔26が設けられたウエーハ保持部14にウエーハWを真空吸着する方式で保持し、そのウエーハ保持部14には保護膜(樹脂)15aが形成されている例を示したが、ウエーハの保持方法や研磨ヘッドの形態は上記例に限らず、バッキングパッド等とテンプレートを使用した水貼り方式の保持方法やガラスやセラミックス製のウエーハ保持部(キャリアプレート又はマウント板ともいわれる)14にワックス等を介してウエーハWを貼り付ける形態のものなどもある。
【0009】
平坦度(フラットネス)はこのような一次研磨、二次・仕上げ研磨などの研磨により影響され、特に一次研磨によりほぼ決まる。図8は、一次研磨後のウエーハWの周辺部分の断面を模式的に示している。一次研磨の際、ウエーハの周辺部分が中央部分に比べて過剰に研磨され、研磨面側の面取り部近くの周辺部分にいわゆる周辺ダレSが生じている。この周辺ダレSは、製品径によらずウエーハ外周端部から約5mmの領域で発生しており、ウエーハ中央部分に比べ、ウエーハ厚が0.1〜0.6μm程度薄くなっている場合が多い。そして、このような周辺ダレは、外周端部に近づくほど急激に悪化しており、特に外周端部から3mmより外周側では急激に落ち込んでいることが多い。
【0010】
近年の高精度のデバイス作製では極めて高い平坦度が要求されており、ウエーハの中央部分に比べて例えば0.1〜0.2μm程度落ち込んでいる部分は使用できないため、周辺ダレSの量及び領域はできるだけ少なくすることが望まれている。つまり規格を外れる周辺ダレSの領域を、通常の規格で外周端部から3mm、近年では2mm、できれば1mm以内とすることが望まれている。
【0011】
周辺ダレSの発生原因としては、ウエーハWの中央部分よりも周辺部分の方がより新しい研磨剤に触れること、あるいは、研磨布の圧縮弾性によりウエーハWが研磨布に沈み込んだ状態で研磨されるため、研磨布の圧縮弾性による周辺部分での研磨圧力が高いこと等が挙げられる。これらの種々の要因により、研磨中、特に一次研磨中にウエーハの中央部分より周辺部分が過剰に研磨されて周辺ダレSが生じる。
【0012】
周辺ダレSを抑制する方法としては、ウエーハ保持部(保持盤)14でウエーハWを真空吸着して枚葉式に研磨を行う際、例えば、ウエーハ保持部(保持盤)14の外周にウエーハ保持面15よりウエーハWの厚さ分だけ突出するリテーナリングと呼ばれる治具を設けたり、あるいはウエーハより小径の保持盤を用いてウエーハの周辺部分を浮かせたりすることで過剰な研磨を抑える方法等が提案されている。さらに、特許文献1に開示されるようにリテーナリングと小径保持盤を組み合わせた方法も提案されている。
【0013】
その他の技術としては、特許文献2に開示されているように直径の大きなインゴットを育成し、研磨後、外周ダレが発生している部分を面取りし、製品ウエーハの平坦度を向上させる技術が開示されている。
【0014】
【特許文献1】
特開平8−257893号公報
【特許文献2】
特開2001−338899号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
鏡面ウエーハの平坦度の規格は、ウエーハ全面、あるいは局所的な区分で評価されるものなど様々であるが、測定値のうちの最悪値で平坦度を評価する場合、その測定領域に周辺ダレが生じているとウエーハ全体が欠陥品とされてしまうという問題があった。
【0016】
しかしながら、一次研磨で発生する周辺ダレは、研磨に使用する研磨布の圧縮弾性特性に強く依存しており、前記したような研磨工程において改良した保持盤を使用しても周辺ダレを完全に防止することは事実上不可能だった。
【0017】
特にリテーナリングを用いた方法では、ウエーハが研磨布に沈み込むことでウエーハ外周端に発生する局所圧力変動をリテーナリングにより除去できることを理想としているが、リテーナリングとウエーハの間には面取り部があり、ウエーハとリテーナーが完璧に一緒に上下動することが不可能なため、ウエーハ外周端に発生する局所圧力変動をなくすことはできない。
【0018】
従って周辺ダレの領域を近年要求されている外周端部から2mm以内とすることは非常に困難であり、ましてや1mm以内までのウエーハ最外周部分での周辺ダレ(外周ハネ及び変曲点も含む)を抑えたウエーハを製造することはできなかった。
【0019】
特許文献2に開示されている技術では、平坦度の改善はできるものの、インゴットの直径を大きくする必要がありコスト増となることや、面取り(縮径面取り)により多くの部分を研削する必要があり、装置的な負担や加工時間も増加し、また鏡面化後の処理である為、縮経面取り時に鏡面にキズ等をつけない為、ウエーハに保護膜を形成するなど、余計な工程が増えてしまうなどの問題があった。
【0020】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、周辺ダレの領域が非常に小さいあるいは最外周部分まで周辺ダレが全く無い半導体ウエーハを容易に製造する方法並びにその方法に好適に用いられるサポートリング及びサポートリング付ウエーハを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の半導体ウエーハの研磨方法は、少なくとも半導体ウエーハの一主面を研磨し鏡面化する半導体ウエーハの製造方法において、研磨前の半導体ウエーハの外周部にサポートリングを装着することによってサポートリング付ウエーハを形成し、該サポートリング付ウエーハの状態で該半導体ウエーハを研磨することを特徴とする。
【0022】
半導体インゴットをスライスしてウエーハとし、該ウエーハに面取り加工、平坦化加工、研磨を施して、少なくともウエーハの一主面を研磨し鏡面化する半導体ウエーハの製造方法において、ウエーハの平坦度を改善するために(特許文献2のように)実際にウエーハ径の大きいものを用いるのではなく、サポートリングを設けてウエーハ製品径より見かけ上大きいウエーハ(サポートリング付ウエーハ)として研磨を行った後、このサポートリングを除去すれば、従来研磨で発生していた周辺ダレの領域を無くすことが出来、外周ダレが減少、あるいは完全に除去することができる。
【0023】
これによりウエーハの周辺部分においても平坦度に優れ、かつ表面特性にも優れた半導体ウエーハを得ることができる。なお、このような方法であれば、研磨工程までの工程は何の変更も必要なく、研磨工程においてもウエーハ保持部の径が大きくなるだけであり比較的容易に装置改造ができる。なお、本発明で言う「ウエーハ製品径」とは顧客の仕様で決められているウエーハの直径を意味する。
【0024】
この場合、研磨前のサポートリングを装着した状態のウエーハ(サポートリング付ウエーハ)の径は、ウエーハ製品径より直径で1mm以上大きいことが好ましい。特に直径で4mm〜20mm程度大きい方が好ましい。
【0025】
このように研磨前の見かけ上のウエーハの径(サポートリング付ウエーハの径)を所望のウエーハ製品径より大きいものとすれば、ウエーハが研磨布に沈み込み発生する局所圧力変動領域がサポートリングの部分になり、製品となるウエーハの領域は圧力が均一となり、平らなウエーハが加工できる。特に直径で4mm以上(サポートリングの幅を2mm以上)とすれば、問題となっている最外周付近の領域の外周ダレを改善でき、更にある程度の幅があったほうがサポートリングの接着も行ないやすい。また上限も特に限定するものではないが20mm程度(サポートリングの幅を10mm程度)あれば研磨条件等のばらつき等の影響もなく安定して外周ダレの改善ができる。
【0026】
特にサポートリングはウエーハと一体化させると良い。サポートリングとウエーハが独立に回転しないように密着した状態にする。このようにすればサポートリングが着いていたとしても一枚のウエーハとして取り扱うことが出来、研磨剤の回り込み等の影響も少なく、多段で研磨する時もそのまま一枚のウエーハとして流すことも可能である。
【0027】
前記のように研磨前のウエーハ径を見かけ上製品径より大きくするためのサポートリングとしては、特に限定するものではないが、ウエーハを汚染する物質を含まず、再利用できるものであることが好ましい。また、研磨中に研磨布の沈み込み等がウエーハ主面まで影響しないように、サポートリング部分で吸収するために、サポートリングは軟質のものではなく、ある程度の硬さを有している必要がある。更に研磨中にウエーハからはずれないようにする必要がある。そこでこのサポートリングとしては形状記憶ポリマー、例えばポリウレタン系ポリマー、ポリノルボルネン系ポリマー、スチレン−ブタジエン系コポリマー、ポリイソプレン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、アクリル系、スチレン−アクリル系及び含フッ素系ポリマー、合成ゴム系、及びこれらの複合材料等から研磨条件等にあったポリマーを選択し使用すればよい。特にポリウレタン系プラスチック素材である形状記憶ポリマーを用いることが好ましい。
【0028】
このような形状記憶ポリマーを使用することで、加熱してゴム状になった状態でウエーハ外周部に取り付けることが出来、ウエーハと一体化させることが容易であり、取り付け後に成型、冷却することで製品部分のウエーハ形状(厚さ等)にあったサポートリングとすることができ、自由な形状のサポートリングを装着できる利点がある。
【0029】
また、この状態で研磨した後、サポートリングの除去もサポートリング部分に熱を加えることで、元のゴム状のリングに戻り、取り外しも容易である。
【0030】
形状記憶ポリマーにポリウレタン系プラスチック素材を用いれば、研磨布とほぼ同様な材質のものであり、その硬度も研磨布と同等か又はそれ以上に硬くすることもできる。研磨布の消耗・変形を防止でき好ましい。また、このようなサポートリングは、再利用も容易である。
【0031】
このようにサポートリングを用いウエーハ径を見かけ上ウエーハ製品径よりも大きいもの(サポートリング付ウエーハ)とした状態で研磨すれば、研磨布の圧縮弾性による周辺部分での研磨圧力の上昇等をサポートリング部で吸収でき高平坦度なウエーハが製造できる。特許文献2に開示されているように実際に製品径より大きくして研磨するのに比べ、コスト的にも時間的にも有利である。
【0032】
本発明のサポートリングは、半導体ウエーハの外周部に着脱可能に装着されるサポートリングであって、研磨前の半導体ウエーハの外周部に装着されてサポートリング付ウエーハを形成し、該サポートリング付ウエーハの状態で該半導体ウエーハを研磨した後、該研磨された半導体ウエーハの外周部から除去されることを特徴とする。このサポートリングは、上述したように、形状記憶ポリマーによって形成されるのが好適である。形状記憶ポリマーは、半導体ウエーハの外周部に接着する時にはやわらかくすることができ、ウエーハの形状(特に面取り形状)にそった形状に変形し、その後はウエーハと一体化して硬化させることができ、研磨時にもはずれることがなく接着でき、研磨後は容易に除去可能なサポートリングとなる。
【0033】
本発明のサポートリング付ウエーハは、半導体ウエーハの外周部に上述した本発明のサポートリングを着脱可能に装着したことを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0035】
図1は、本発明方法により半導体ウエーハを製造する工程順の1例を示すフローチャートである。図1において、図9に示した工程と同一又は類似工程は同一の符号で示す。図2は本発明方法における研磨工程における工程順の1例を模式的に示す説明図である。図3は本発明のサポートリング付ウエーハの1例を示す図面で、(a)は上面説明図、(b)は断面的説明図である。図4は研磨装置に本発明のサポートリング付ウエーハを取り付けて研磨する場合の1つの構成例の要部を示す断面的説明図である。
【0036】
図1に示すように、まず、チョクラルスキー法(CZ法)、浮遊帯域溶融法(FZ法)等によりシリコン等の原料融液から成長させた半導体単結晶を円筒研削により円柱状のインゴットにする(単結晶育成工程:ステップ100)。次に、作製したインゴットをスライスしてウエーハとし(ステップ101)、得られたウエーハの粗面取り(ステップ102)とラッピング(ステップ103)や平面研削などの平坦化加工を行う。なお、ここではラッピング(ステップ103)を行う場合について説明する。
【0037】
上記加工工程については特に限定されるものではなく、従来と同様の方法で行うことができ、一般に行われている方法であればいずれの方法であってもよい。また、通常、ラッピング(ステップ103)後は、ウエーハ表面の加工歪等を除去するため、エッチング(ステップ104)が行われる。
【0038】
従来の方法では、図9に示したように、ウエーハに粗面取り、ラッピング、エッチング及び鏡面面取り(ステップ105)を施した後、一次研磨(ステップ106)を行う。一次研磨では、従来同様、複数のウエーハをガラス等のプレートにワックス等を介して貼り付けて研磨するバッチ式、あるいは複数の貫通孔が設けられた保持板に真空吸着して1枚毎に研磨する枚葉式等、更には両面を同時に研磨する方式などいずれの形態でも行うことができる。
【0039】
一次研磨での研磨代は、通常、数μm〜十数μm程度となるが、前記したように研磨圧力の違い等の種々の理由によりウエーハの周辺部分の研磨代が中央部分に比べて多くなるのが一般的でウエーハ外周部で周辺ダレが生じる。
【0040】
図6は、従来の方法で一次研磨後にウエーハ形状を測定した例で、ウエーハの周辺部分の形状変化を外周端部1mmから10mmの位置を示したグラフである。このグラフは様々な研磨装置及び研磨条件で研磨したウエーハの外周形状であるが、このグラフによれば多くのウエーハで外周端部から内側5mm前後から落ち込みが始まって周辺ダレが生じ、外周端部に近づくほど落ち込み方が急になっていることがわかる。なお、外周端部から約0.5mmの領域は面取り部である。平坦度としては周辺2mm場外のSFQRmaxで約0.2μm(0.15μm〜0.3μm)程度である。
【0041】
本発明方法では、このような周辺ダレ等のウエーハ外周部の形状を最外周まで平らにするために、図3に示すように研磨前にウエーハWの外周部にサポートリング40を装着することによってサポートリング付ウエーハW1を形成し、このサポートリング40により見かけ上、製品径より大きいウエーハとした状態でこのサポートリング付ウエーハW1を研磨する。つまり、ウエーハWをサポートリング40によって大口径化した後にこのサポートリング付ウエーハW1を研磨する。
【0042】
具体的にサポートリングの装着の方法を図2によって説明する。図2(a)に示すように初めに基台39上に配置されたウエーハWの外周部に形状記憶ポリマー40aのリングを配置し形状記憶ポリマーのガラス転移点以上、例えばガラス転移点が100〜120℃程度の形状記憶ポリマーなら、120℃以上の高温で加熱する。又は120℃に加熱した形状記憶ポリマー40aをリング状に配置しても良い。このように加熱することで形状記憶ポリマー40aがゴム状に変質する。なお、形状記憶ポリマーのガラス転移点は、ウエーハを研磨する際の温度(通常50℃以下)より高い温度であることが好ましい。例えば80〜100℃程度であれば取り扱い易い。
【0043】
この状態で、図2(b)に示すように形状記憶ポリマー40aの形状を調整する為の調整冶具42を用い、形状記憶ポリマー40aを目的とする直径及び厚さにする。この調整治具42は、ウエーハW上に載置される調整治具本体44と該調整治具本体44の側面に上下動可能に設けられた上面押圧板46とウエーハWの側面に対して接離自在に移動する側面押圧部材48とを有しており、該上面押圧板46によって形状記憶ポリマー40aの上面を押圧し、該側面押圧板48によって形状記憶ポリマー40aの側面を押圧し、該形状記憶ポリマー40aを所望の形状に調節することができる(図2(c))。
【0044】
図2(c)の状態でガラス転移点以下、例えば30℃程度に冷却することで形状記憶ポリマー40aを硬化させ、ウエーハWと一体化した状態のサポートリング40付きウエーハW1とする(図2(d))。
【0045】
このようにしてウエーハ外周部にサポートリングを配置し一体化したウエーハ(サポートリング付ウエーハ)W1を、研磨装置のウエーハ保持部に保持し研磨する。(図2(e))
【0046】
研磨装置及び研磨条件については特に限定するものではなく、従来用いていたものが使用できる。例えば、図10に示したような研磨装置を用い、図4に示すようにサポートリング40を装着したウエーハ(サポートリング付ウエーハ)W1を保持し研磨すれば良い。但し、ウエーハ直径が従来より見かけ上大きくなる為、枚様式の研磨ヘッド(ウエーハ保持部)などでは、サポートリングを装着したウエーハ(サポートリング付ウエーハ)W1の直径でも処理できる程度のものを使用する。従来外周部形状を制御する為に用いていたリテーナリングはあってもなくても良い。
【0047】
このように研磨した後、サポートリング40をサポートリング付ウエーハW1から除去する。これは図2(f)のように形状記憶ポリマー40a(サポートリング40)をヒータ等により加熱することで、再度ゴム状に変質させ、もとの形状に戻す(図2(g))。その後ウエーハの洗浄を行う(図2(h))。なおこの例では、一次研磨後にこのような処理を行っているが、サポートリング40の除去は仕上げ研磨後に実施しても良い。
【0048】
このように加工することにより、ウエーハ周辺部分に発生している周辺ダレの影響を除去することができる。
【0049】
なお、周辺ダレは、通常外周端部から5mm程度内側あたりから生じるが、図6において観察できるように、外周端部から3mm程度内側のあたりから急に落ち込む場合が多い。したがって、外周除外領域が1mm程度の場合、例えばサポートリングにより見かけ上製品径より直径で4mm〜10mm大きいウエーハとして研磨を行い、次いでサポートリングを取り除くことで、一次研磨後の急に落ち込んでいる2〜3mm近辺の周辺ダレを改善することができる。
【0050】
さらに、研磨前のウエーハの径をサポートリングにより見かけ上製品径より直径で10〜20mm程度大きいものとすれば、外周ダレが生じやすい周辺部分の5mm付近の領域を実質的に除去して研磨することができる。ウエーハの外周端部から0.5mmまでは面取り部が形成されているが、面取り部を除くウエーハ表面(主面)は、周辺ダレの無い全面フラットのウエーハとすることができる。
【0051】
以上のように本発明では、研磨前のウエーハWの径をサポートリング40により見かけ上製品径より例えば4mm〜20mmまで大きいものとし(サポートリング装着ステップ106a)、サポートリング40をウエーハ外周部に装着したまま、即ちサポートリング付ウエーハW1を研磨をし(ステップ106b)、その後サポートリング40を除去する(ステップ106c)ことで、周辺ダレの少ない、あるいは全く無い鏡面ウエーハとすることができる。このように、本発明の研磨工程(ステップ106)は上述したように、ステップ106a〜106cによって構成される(図1)。
【0052】
なお、一次研磨の条件の違いにより周辺ダレが生じる範囲は多少異なるので、一次研磨前のサポートリングの幅(サポートリング付ウエーハの直径)は上記範囲に限定されるものではなく、また、要求される製品の規格に応じて適宜調整すればよい。
【0053】
外周ダレが最も発生しやすいのは一次研磨であり、この一次研磨においてサポートリング付ウエーハW1を形成し、研磨するのが効果的である。一次研磨後は仕上げ研磨を行って鏡面ウエーハとするが、仕上げ研磨前に、二次研磨を行うこともできる。二次研磨は表面粗さの改善と研磨傷やダメージの除去を目的として行い、研磨代は1μm以下、多くても数μm以下として行われる。このように必要に応じて二次研磨を行った後、仕上げ研磨を行う。仕上げ研磨ではほとんど研磨代は無いが、ヘイズを除去して完全な鏡面ウエーハに仕上げることができる。
【0054】
このような2次研磨時や仕上げ研磨では研磨代が少ない為、外周形状への影響は少ないが、このような研磨時にも本発明の方法によりサポートリングを配置した状態のウエーハ(サポートリング付ウエーハ)として研磨しても良い。
【0055】
以上のように製造された鏡面ウエーハは、所望のウエーハ製品径を有するとともに、ウエーハ表面全体にわたって、特に最外周部付近まで平坦度に優れているため、平坦度測定領域に急に落ち込むような周辺ダレが無く、ウエーハの良品率を著しく向上させることができる。
【0056】
また、このようなウエーハを用いることで表面全体に回路を形成させることができ、ひいては半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【0057】
また、本発明に係る方法では、従来の鏡面ウエーハ製造工程で使用している装置をそのまま使用できる上、他の装置を増設する必要も無いので、表面特性に優れた鏡面ウエーハを低コストで容易に製造することができる。
【0058】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0059】
(実施例1)
上記実施形態で説明したような従来のウエーハ製造方法でエッチング、鏡面面取りまでの加工を行った直径300mmのシリコンウエーハについて鏡面研磨を実施した。
【0060】
鏡面研磨する前に、ウエーハ外周部にサポートリングを装着した。このサポートリングは80℃のガラス転移点を持つポリウレタン系プラスチック素材の形状記憶ポリマーを用いた。サポートリングの装着については、上記した方法で行い、ウエーハの厚さと同じでウエーハ外部に幅3mmのリングを装置してサポートリング付ウエーハを形成した。このサポートリング付ウエーハの直径(見かけ上の直径)は306mmであった。
【0061】
このようなサポートリングが一体化されたウエーハ(サポートリング付ウエーハ)を図10に示すような研磨装置を用い研磨した。研磨条件は、研磨布としてポリウレタン製の不織布を用い研磨圧力300kg/cm2で、コロイダルシリカを含有するアルカリ溶液を研磨剤として供給し研磨した。研磨代は7μmで実施した。
【0062】
このような研磨(一次研磨)あがりの形状を確認した。形状はADE社製AFS3220を用い評価した。その結果、周辺2mm除外のSFQRmaxで0.05μmのウエーハが製造できた。従来レベルであるSFQRmax0.2μm程度よりはるかに改善されている。
【0063】
特にウエーハ外周10mmの範囲の形状を確認すると、図5に示すように外周ダレは大きく改善され、外周1mmまで略平らなウエーハが製造できた。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0065】
例えば、前記実施形態で説明した本発明に係るウエーハの製造工程は一例であって、各工程間で適宜洗浄を行うことができることは言うまでもない。また、従来の製造工程と同様、一部の工程の入れ替え、省略、追加をすることができる。例えば、粗面取りとラッピングの入れ替え、二次研磨の省略、またはラッピング後の熱処理工程の追加、あるいは一次研磨前にエッチング処理すること等もできる。また、ラッピングの代わりに平面研削等を行うこともできる。
【0066】
またウエーハの保持方法も上記例に限るものではなく、ガラスやセラミック製のキャリヤプレート(マウント板)にワックス等を介してウエーハを貼り付ける方式でもバッキングパッド等とテンプレートを使用して保持する方式でも良い。また、本発明は片面研磨に限らず、両面研磨を行う場合にも適用できる。
【0067】
ウエーハの材質及び大きさに関しては、本発明を実施するにあたり何ら制限は無く、現在製造されている直径のシリコン、GaAs、GaP、InP等の半導体ウエーハは勿論のこと、将来製造可能となる非常に大きなウエーハに対しても本発明を適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では研磨前にウエーハ径を見かけ上ウエーハ製品径より大きくなるようにサポートリングを装着し、サポートリングが一体化したウエーハ(サポートリング付ウエーハ)を研磨することで周辺ダレの少ない、あるいは周辺ダレが全く無い鏡面ウエーハを製造することができる。
【0069】
このような鏡面ウエーハは、所望のウエーハ製品径を有するとともに、全面にわたって、特に外周端部付近まで平坦度に優れているため、表面全体に回路を形成させることができ、半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【0070】
本発明によれば、サポートリングを装着する工程は増えるものの従来の設備が略そのまま使え、コスト的な増加や時間的な増加も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により半導体ウエーハを製造する工程順の1例を示すフローチャートである。
【図2】本発明方法における研磨工程における工程順の1例を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明のサポートリング付ウエーハの1例を示す図面で、(a)は上面説明図、(b)は断面的説明図である。
【図4】研磨装置に本発明のサポートリング付ウエーハを取り付けて研磨する場合の1つの構成例の要部を示す断面的説明図である。
【図5】実施例1において研磨されたウエーハの外周形状を示すグラフである。
【図6】従来方法による一次研磨後のウエーハの外周形状を示すグラフである。
【図7】ウエーハ外周部の一般的な形状を示す断面模式図である。
【図8】一次研磨後のウエーハの周辺部分の断面の模式図である。
【図9】従来の鏡面ウエーハの製造工程の工程順の1例を示すフローチャートである。
【図10】従来の研磨工程の1例を示す断面的説明図である。
【符号の説明】
10:研磨装置、12:定盤、13:研磨ヘッド、14:ウエーハ保持部、14a:ウエーハ保持部本体、14b:ウエーハ保持部裏板、15:ウエーハ保持面、15:ワーク保持面、15a:保護膜、16:研磨剤供給ノズル、18:研磨布、20,22:回転軸、24:研磨剤、26:貫通孔、28:真空部、30:真空ライン、32:回転ホルダ、34:加圧空間部、36:弾性体リング、38:加圧空気供給路、39:基台、40:サポートリング、40a:形状記憶ポリマー、42:調整治具、44:調整治具本体、46:上面押圧板、48:側面押圧部材、W:ウエーハ、W1:サポートリング付ウエーハ。
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体ウエーハ(以下、単にウエーハということがある)の製造方法、具体的には研磨後にウエーハ主面の外周部に周辺ダレが無い半導体ウエーハの製造方法、並びにその製造方法に用いられるサポートリング及びサポートリング付ウエーハに関する。
【0002】
【関連技術】
半導体デバイスを作製するための原料ウエーハとして用いられる鏡面ウエーハの一般的な製造方法としては、まずチョクラルスキー法等により半導体インゴットを成長させ、これをスライスして得たウエーハに、主に面取り加工、平坦化加工(ラッピングまたは平面研削)、エッチング、表面研磨等の処理を順次施して鏡面ウエーハとすることが知られている。
【0003】
図9は、従来の一般的な鏡面ウエーハの製造工程の工程順の1例を示すフローチャートである。単結晶育成工程(ステップ100)において、所望の製品径より若干太く成長させた半導体単結晶棒を引上げ、これを円筒研削して円柱状のインゴットを得る。これをスライスしてウエーハとし(ステップ101)、粗面取り加工(ステップ102)、ラッピング(ステップ103)、エッチング(ステップ104)を施した後、面取り部に対して鏡面面取りを行ない(ステップ105)、ついで表面研磨を行なう(ステップ106)。表面研磨工程(ステップ106)では二段階または三段階の研磨により少なくともウエーハの一主面を鏡面化し、鏡面ウエーハとすることができる。上記したステップ101〜106によってウエーハ製造工程200が構成される。なお、上記ウエーハ製造工程200は主な工程を示したもので、他に洗浄工程や熱処理工程等の工程が加わったり、また工程の一部が省略されたり、同じ工程を多段で行なったり、工程順が入れ換えられたりすることもある。
【0004】
このような工程を経て得られた鏡面ウエーハ(以下製品ウエーハという事がある)の表面に回路を形成させて半導体デバイスを作製する場合、1枚のウエーハから極力多くのデバイスを得ることが望ましく、そのためにはウエーハ全面、特にウエーハ主面の外周端部近くまで極力フラットな形状とすることが要求される。つまり、図7に示すようにウエーハ外周部について、現状の規格ではウエーハ外周端部から一定の領域(例えば外周3mm)を除いたウエーハ主面側の領域(ウエーハ有効領域We)で高平坦化がなされていればよいが、近年、除外領域Rが狭くなり、外周端部から2mm、更には1mmまでの領域と外周まで高平坦度であるウエーハWが要望されつつある。図7において、F1はウエーハ主面(表面)、F2はウエーハ主面(裏面)、Xは外周Xmmという場合のXmmの距離をそれぞれ示す。
【0005】
鏡面ウエーハの製造工程における表面研磨は、前記したように通常、二段階あるいは三段階に分けて行われる。すなわち、表面をより平坦化及び鏡面化するため数μm〜十数μm程度の研磨代で研磨(一次研磨と言うことがある)を行った後、必要に応じて研磨代が1μm程度の研磨(2次研磨と言うことがある)を行い、さらに、わずかな研磨代での研磨(仕上げ研磨と言うことがある)を行うことで鏡面ウエーハとすることができる。
【0006】
なお、一般に研磨を行う際は、片面研磨装置であれば、図10に示すような装置が用いられる。この研磨装置10は、ウエーハWの片面を研磨する装置として構成され、回転する定盤12と研磨ヘッド13に装着したウエーハ保持部14と研磨剤供給ノズル16から成っている。定盤12の上面には研磨布18が貼付してある。定盤12は回転軸20により所定の回転速度で回転される。そして、ウエーハ保持部14は、真空吸着等によりそのワーク保持面15にウエーハWを保持し、回転軸22をもつ研磨ヘッド13に装着され、研磨ヘッド13により回転されると同時に所定の荷重で研磨布18にウエーハWを押し付ける。研磨剤24の供給はノズル16から所定の流量で研磨布18上に供給し、この研磨剤24がウエーハWと研磨布18の間に供給されることによりウエーハWが研磨される。このウエーハ保持部14は、ウエーハ保持面15に多数の真空吸着用の貫通孔26をもつウエーハ保持部本体14aおよびウエーハ保持部裏板14bとから構成され、貫通孔26はウエーハ保持部本体14aとウエーハ保持部裏板14bの間にある真空部28を経て真空ライン30から不図示の真空装置につながり、真空の発生によってウエーハ保持面15にウエーハWを吸着保持するようになっている。
【0007】
図10の装置においては、特にウエーハ保持部本体14aのウエーハ保持面15に熱硬化性樹脂皮膜を保護膜15aとして被覆したものとなっている。研磨ヘッド13は、その回転ホルダ32の内部に加圧空間部34を設け、ゴムシートなどからなる弾性体リング36を介してウエーハ保持部14を気密に保持している。加圧空間部34は加圧空気供給路38を経て空気圧縮機(不図示)につながっている。そしてウエーハWをウエーハ保持面15上の保護膜15aの表面に真空吸着保持しているウエーハ保持部14に回転あるいは揺動を与えると同時にウエーハ保持部14の背面を空気により加圧して、ウエーハ保持部14を研磨布18に押し付けるようになっている。
【0008】
このように、研磨布18を貼った定盤12とウエーハWを保持する研磨ヘッド13を相対的に回転させながら研磨布18とウエーハWの間に研磨剤(スラリー)24を供給することにより研磨が行われる。なお、ウエーハWの保持は、本例では図10に示したように多数の貫通孔26が設けられたウエーハ保持部14にウエーハWを真空吸着する方式で保持し、そのウエーハ保持部14には保護膜(樹脂)15aが形成されている例を示したが、ウエーハの保持方法や研磨ヘッドの形態は上記例に限らず、バッキングパッド等とテンプレートを使用した水貼り方式の保持方法やガラスやセラミックス製のウエーハ保持部(キャリアプレート又はマウント板ともいわれる)14にワックス等を介してウエーハWを貼り付ける形態のものなどもある。
【0009】
平坦度(フラットネス)はこのような一次研磨、二次・仕上げ研磨などの研磨により影響され、特に一次研磨によりほぼ決まる。図8は、一次研磨後のウエーハWの周辺部分の断面を模式的に示している。一次研磨の際、ウエーハの周辺部分が中央部分に比べて過剰に研磨され、研磨面側の面取り部近くの周辺部分にいわゆる周辺ダレSが生じている。この周辺ダレSは、製品径によらずウエーハ外周端部から約5mmの領域で発生しており、ウエーハ中央部分に比べ、ウエーハ厚が0.1〜0.6μm程度薄くなっている場合が多い。そして、このような周辺ダレは、外周端部に近づくほど急激に悪化しており、特に外周端部から3mmより外周側では急激に落ち込んでいることが多い。
【0010】
近年の高精度のデバイス作製では極めて高い平坦度が要求されており、ウエーハの中央部分に比べて例えば0.1〜0.2μm程度落ち込んでいる部分は使用できないため、周辺ダレSの量及び領域はできるだけ少なくすることが望まれている。つまり規格を外れる周辺ダレSの領域を、通常の規格で外周端部から3mm、近年では2mm、できれば1mm以内とすることが望まれている。
【0011】
周辺ダレSの発生原因としては、ウエーハWの中央部分よりも周辺部分の方がより新しい研磨剤に触れること、あるいは、研磨布の圧縮弾性によりウエーハWが研磨布に沈み込んだ状態で研磨されるため、研磨布の圧縮弾性による周辺部分での研磨圧力が高いこと等が挙げられる。これらの種々の要因により、研磨中、特に一次研磨中にウエーハの中央部分より周辺部分が過剰に研磨されて周辺ダレSが生じる。
【0012】
周辺ダレSを抑制する方法としては、ウエーハ保持部(保持盤)14でウエーハWを真空吸着して枚葉式に研磨を行う際、例えば、ウエーハ保持部(保持盤)14の外周にウエーハ保持面15よりウエーハWの厚さ分だけ突出するリテーナリングと呼ばれる治具を設けたり、あるいはウエーハより小径の保持盤を用いてウエーハの周辺部分を浮かせたりすることで過剰な研磨を抑える方法等が提案されている。さらに、特許文献1に開示されるようにリテーナリングと小径保持盤を組み合わせた方法も提案されている。
【0013】
その他の技術としては、特許文献2に開示されているように直径の大きなインゴットを育成し、研磨後、外周ダレが発生している部分を面取りし、製品ウエーハの平坦度を向上させる技術が開示されている。
【0014】
【特許文献1】
特開平8−257893号公報
【特許文献2】
特開2001−338899号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
鏡面ウエーハの平坦度の規格は、ウエーハ全面、あるいは局所的な区分で評価されるものなど様々であるが、測定値のうちの最悪値で平坦度を評価する場合、その測定領域に周辺ダレが生じているとウエーハ全体が欠陥品とされてしまうという問題があった。
【0016】
しかしながら、一次研磨で発生する周辺ダレは、研磨に使用する研磨布の圧縮弾性特性に強く依存しており、前記したような研磨工程において改良した保持盤を使用しても周辺ダレを完全に防止することは事実上不可能だった。
【0017】
特にリテーナリングを用いた方法では、ウエーハが研磨布に沈み込むことでウエーハ外周端に発生する局所圧力変動をリテーナリングにより除去できることを理想としているが、リテーナリングとウエーハの間には面取り部があり、ウエーハとリテーナーが完璧に一緒に上下動することが不可能なため、ウエーハ外周端に発生する局所圧力変動をなくすことはできない。
【0018】
従って周辺ダレの領域を近年要求されている外周端部から2mm以内とすることは非常に困難であり、ましてや1mm以内までのウエーハ最外周部分での周辺ダレ(外周ハネ及び変曲点も含む)を抑えたウエーハを製造することはできなかった。
【0019】
特許文献2に開示されている技術では、平坦度の改善はできるものの、インゴットの直径を大きくする必要がありコスト増となることや、面取り(縮径面取り)により多くの部分を研削する必要があり、装置的な負担や加工時間も増加し、また鏡面化後の処理である為、縮経面取り時に鏡面にキズ等をつけない為、ウエーハに保護膜を形成するなど、余計な工程が増えてしまうなどの問題があった。
【0020】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、周辺ダレの領域が非常に小さいあるいは最外周部分まで周辺ダレが全く無い半導体ウエーハを容易に製造する方法並びにその方法に好適に用いられるサポートリング及びサポートリング付ウエーハを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の半導体ウエーハの研磨方法は、少なくとも半導体ウエーハの一主面を研磨し鏡面化する半導体ウエーハの製造方法において、研磨前の半導体ウエーハの外周部にサポートリングを装着することによってサポートリング付ウエーハを形成し、該サポートリング付ウエーハの状態で該半導体ウエーハを研磨することを特徴とする。
【0022】
半導体インゴットをスライスしてウエーハとし、該ウエーハに面取り加工、平坦化加工、研磨を施して、少なくともウエーハの一主面を研磨し鏡面化する半導体ウエーハの製造方法において、ウエーハの平坦度を改善するために(特許文献2のように)実際にウエーハ径の大きいものを用いるのではなく、サポートリングを設けてウエーハ製品径より見かけ上大きいウエーハ(サポートリング付ウエーハ)として研磨を行った後、このサポートリングを除去すれば、従来研磨で発生していた周辺ダレの領域を無くすことが出来、外周ダレが減少、あるいは完全に除去することができる。
【0023】
これによりウエーハの周辺部分においても平坦度に優れ、かつ表面特性にも優れた半導体ウエーハを得ることができる。なお、このような方法であれば、研磨工程までの工程は何の変更も必要なく、研磨工程においてもウエーハ保持部の径が大きくなるだけであり比較的容易に装置改造ができる。なお、本発明で言う「ウエーハ製品径」とは顧客の仕様で決められているウエーハの直径を意味する。
【0024】
この場合、研磨前のサポートリングを装着した状態のウエーハ(サポートリング付ウエーハ)の径は、ウエーハ製品径より直径で1mm以上大きいことが好ましい。特に直径で4mm〜20mm程度大きい方が好ましい。
【0025】
このように研磨前の見かけ上のウエーハの径(サポートリング付ウエーハの径)を所望のウエーハ製品径より大きいものとすれば、ウエーハが研磨布に沈み込み発生する局所圧力変動領域がサポートリングの部分になり、製品となるウエーハの領域は圧力が均一となり、平らなウエーハが加工できる。特に直径で4mm以上(サポートリングの幅を2mm以上)とすれば、問題となっている最外周付近の領域の外周ダレを改善でき、更にある程度の幅があったほうがサポートリングの接着も行ないやすい。また上限も特に限定するものではないが20mm程度(サポートリングの幅を10mm程度)あれば研磨条件等のばらつき等の影響もなく安定して外周ダレの改善ができる。
【0026】
特にサポートリングはウエーハと一体化させると良い。サポートリングとウエーハが独立に回転しないように密着した状態にする。このようにすればサポートリングが着いていたとしても一枚のウエーハとして取り扱うことが出来、研磨剤の回り込み等の影響も少なく、多段で研磨する時もそのまま一枚のウエーハとして流すことも可能である。
【0027】
前記のように研磨前のウエーハ径を見かけ上製品径より大きくするためのサポートリングとしては、特に限定するものではないが、ウエーハを汚染する物質を含まず、再利用できるものであることが好ましい。また、研磨中に研磨布の沈み込み等がウエーハ主面まで影響しないように、サポートリング部分で吸収するために、サポートリングは軟質のものではなく、ある程度の硬さを有している必要がある。更に研磨中にウエーハからはずれないようにする必要がある。そこでこのサポートリングとしては形状記憶ポリマー、例えばポリウレタン系ポリマー、ポリノルボルネン系ポリマー、スチレン−ブタジエン系コポリマー、ポリイソプレン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、アクリル系、スチレン−アクリル系及び含フッ素系ポリマー、合成ゴム系、及びこれらの複合材料等から研磨条件等にあったポリマーを選択し使用すればよい。特にポリウレタン系プラスチック素材である形状記憶ポリマーを用いることが好ましい。
【0028】
このような形状記憶ポリマーを使用することで、加熱してゴム状になった状態でウエーハ外周部に取り付けることが出来、ウエーハと一体化させることが容易であり、取り付け後に成型、冷却することで製品部分のウエーハ形状(厚さ等)にあったサポートリングとすることができ、自由な形状のサポートリングを装着できる利点がある。
【0029】
また、この状態で研磨した後、サポートリングの除去もサポートリング部分に熱を加えることで、元のゴム状のリングに戻り、取り外しも容易である。
【0030】
形状記憶ポリマーにポリウレタン系プラスチック素材を用いれば、研磨布とほぼ同様な材質のものであり、その硬度も研磨布と同等か又はそれ以上に硬くすることもできる。研磨布の消耗・変形を防止でき好ましい。また、このようなサポートリングは、再利用も容易である。
【0031】
このようにサポートリングを用いウエーハ径を見かけ上ウエーハ製品径よりも大きいもの(サポートリング付ウエーハ)とした状態で研磨すれば、研磨布の圧縮弾性による周辺部分での研磨圧力の上昇等をサポートリング部で吸収でき高平坦度なウエーハが製造できる。特許文献2に開示されているように実際に製品径より大きくして研磨するのに比べ、コスト的にも時間的にも有利である。
【0032】
本発明のサポートリングは、半導体ウエーハの外周部に着脱可能に装着されるサポートリングであって、研磨前の半導体ウエーハの外周部に装着されてサポートリング付ウエーハを形成し、該サポートリング付ウエーハの状態で該半導体ウエーハを研磨した後、該研磨された半導体ウエーハの外周部から除去されることを特徴とする。このサポートリングは、上述したように、形状記憶ポリマーによって形成されるのが好適である。形状記憶ポリマーは、半導体ウエーハの外周部に接着する時にはやわらかくすることができ、ウエーハの形状(特に面取り形状)にそった形状に変形し、その後はウエーハと一体化して硬化させることができ、研磨時にもはずれることがなく接着でき、研磨後は容易に除去可能なサポートリングとなる。
【0033】
本発明のサポートリング付ウエーハは、半導体ウエーハの外周部に上述した本発明のサポートリングを着脱可能に装着したことを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0035】
図1は、本発明方法により半導体ウエーハを製造する工程順の1例を示すフローチャートである。図1において、図9に示した工程と同一又は類似工程は同一の符号で示す。図2は本発明方法における研磨工程における工程順の1例を模式的に示す説明図である。図3は本発明のサポートリング付ウエーハの1例を示す図面で、(a)は上面説明図、(b)は断面的説明図である。図4は研磨装置に本発明のサポートリング付ウエーハを取り付けて研磨する場合の1つの構成例の要部を示す断面的説明図である。
【0036】
図1に示すように、まず、チョクラルスキー法(CZ法)、浮遊帯域溶融法(FZ法)等によりシリコン等の原料融液から成長させた半導体単結晶を円筒研削により円柱状のインゴットにする(単結晶育成工程:ステップ100)。次に、作製したインゴットをスライスしてウエーハとし(ステップ101)、得られたウエーハの粗面取り(ステップ102)とラッピング(ステップ103)や平面研削などの平坦化加工を行う。なお、ここではラッピング(ステップ103)を行う場合について説明する。
【0037】
上記加工工程については特に限定されるものではなく、従来と同様の方法で行うことができ、一般に行われている方法であればいずれの方法であってもよい。また、通常、ラッピング(ステップ103)後は、ウエーハ表面の加工歪等を除去するため、エッチング(ステップ104)が行われる。
【0038】
従来の方法では、図9に示したように、ウエーハに粗面取り、ラッピング、エッチング及び鏡面面取り(ステップ105)を施した後、一次研磨(ステップ106)を行う。一次研磨では、従来同様、複数のウエーハをガラス等のプレートにワックス等を介して貼り付けて研磨するバッチ式、あるいは複数の貫通孔が設けられた保持板に真空吸着して1枚毎に研磨する枚葉式等、更には両面を同時に研磨する方式などいずれの形態でも行うことができる。
【0039】
一次研磨での研磨代は、通常、数μm〜十数μm程度となるが、前記したように研磨圧力の違い等の種々の理由によりウエーハの周辺部分の研磨代が中央部分に比べて多くなるのが一般的でウエーハ外周部で周辺ダレが生じる。
【0040】
図6は、従来の方法で一次研磨後にウエーハ形状を測定した例で、ウエーハの周辺部分の形状変化を外周端部1mmから10mmの位置を示したグラフである。このグラフは様々な研磨装置及び研磨条件で研磨したウエーハの外周形状であるが、このグラフによれば多くのウエーハで外周端部から内側5mm前後から落ち込みが始まって周辺ダレが生じ、外周端部に近づくほど落ち込み方が急になっていることがわかる。なお、外周端部から約0.5mmの領域は面取り部である。平坦度としては周辺2mm場外のSFQRmaxで約0.2μm(0.15μm〜0.3μm)程度である。
【0041】
本発明方法では、このような周辺ダレ等のウエーハ外周部の形状を最外周まで平らにするために、図3に示すように研磨前にウエーハWの外周部にサポートリング40を装着することによってサポートリング付ウエーハW1を形成し、このサポートリング40により見かけ上、製品径より大きいウエーハとした状態でこのサポートリング付ウエーハW1を研磨する。つまり、ウエーハWをサポートリング40によって大口径化した後にこのサポートリング付ウエーハW1を研磨する。
【0042】
具体的にサポートリングの装着の方法を図2によって説明する。図2(a)に示すように初めに基台39上に配置されたウエーハWの外周部に形状記憶ポリマー40aのリングを配置し形状記憶ポリマーのガラス転移点以上、例えばガラス転移点が100〜120℃程度の形状記憶ポリマーなら、120℃以上の高温で加熱する。又は120℃に加熱した形状記憶ポリマー40aをリング状に配置しても良い。このように加熱することで形状記憶ポリマー40aがゴム状に変質する。なお、形状記憶ポリマーのガラス転移点は、ウエーハを研磨する際の温度(通常50℃以下)より高い温度であることが好ましい。例えば80〜100℃程度であれば取り扱い易い。
【0043】
この状態で、図2(b)に示すように形状記憶ポリマー40aの形状を調整する為の調整冶具42を用い、形状記憶ポリマー40aを目的とする直径及び厚さにする。この調整治具42は、ウエーハW上に載置される調整治具本体44と該調整治具本体44の側面に上下動可能に設けられた上面押圧板46とウエーハWの側面に対して接離自在に移動する側面押圧部材48とを有しており、該上面押圧板46によって形状記憶ポリマー40aの上面を押圧し、該側面押圧板48によって形状記憶ポリマー40aの側面を押圧し、該形状記憶ポリマー40aを所望の形状に調節することができる(図2(c))。
【0044】
図2(c)の状態でガラス転移点以下、例えば30℃程度に冷却することで形状記憶ポリマー40aを硬化させ、ウエーハWと一体化した状態のサポートリング40付きウエーハW1とする(図2(d))。
【0045】
このようにしてウエーハ外周部にサポートリングを配置し一体化したウエーハ(サポートリング付ウエーハ)W1を、研磨装置のウエーハ保持部に保持し研磨する。(図2(e))
【0046】
研磨装置及び研磨条件については特に限定するものではなく、従来用いていたものが使用できる。例えば、図10に示したような研磨装置を用い、図4に示すようにサポートリング40を装着したウエーハ(サポートリング付ウエーハ)W1を保持し研磨すれば良い。但し、ウエーハ直径が従来より見かけ上大きくなる為、枚様式の研磨ヘッド(ウエーハ保持部)などでは、サポートリングを装着したウエーハ(サポートリング付ウエーハ)W1の直径でも処理できる程度のものを使用する。従来外周部形状を制御する為に用いていたリテーナリングはあってもなくても良い。
【0047】
このように研磨した後、サポートリング40をサポートリング付ウエーハW1から除去する。これは図2(f)のように形状記憶ポリマー40a(サポートリング40)をヒータ等により加熱することで、再度ゴム状に変質させ、もとの形状に戻す(図2(g))。その後ウエーハの洗浄を行う(図2(h))。なおこの例では、一次研磨後にこのような処理を行っているが、サポートリング40の除去は仕上げ研磨後に実施しても良い。
【0048】
このように加工することにより、ウエーハ周辺部分に発生している周辺ダレの影響を除去することができる。
【0049】
なお、周辺ダレは、通常外周端部から5mm程度内側あたりから生じるが、図6において観察できるように、外周端部から3mm程度内側のあたりから急に落ち込む場合が多い。したがって、外周除外領域が1mm程度の場合、例えばサポートリングにより見かけ上製品径より直径で4mm〜10mm大きいウエーハとして研磨を行い、次いでサポートリングを取り除くことで、一次研磨後の急に落ち込んでいる2〜3mm近辺の周辺ダレを改善することができる。
【0050】
さらに、研磨前のウエーハの径をサポートリングにより見かけ上製品径より直径で10〜20mm程度大きいものとすれば、外周ダレが生じやすい周辺部分の5mm付近の領域を実質的に除去して研磨することができる。ウエーハの外周端部から0.5mmまでは面取り部が形成されているが、面取り部を除くウエーハ表面(主面)は、周辺ダレの無い全面フラットのウエーハとすることができる。
【0051】
以上のように本発明では、研磨前のウエーハWの径をサポートリング40により見かけ上製品径より例えば4mm〜20mmまで大きいものとし(サポートリング装着ステップ106a)、サポートリング40をウエーハ外周部に装着したまま、即ちサポートリング付ウエーハW1を研磨をし(ステップ106b)、その後サポートリング40を除去する(ステップ106c)ことで、周辺ダレの少ない、あるいは全く無い鏡面ウエーハとすることができる。このように、本発明の研磨工程(ステップ106)は上述したように、ステップ106a〜106cによって構成される(図1)。
【0052】
なお、一次研磨の条件の違いにより周辺ダレが生じる範囲は多少異なるので、一次研磨前のサポートリングの幅(サポートリング付ウエーハの直径)は上記範囲に限定されるものではなく、また、要求される製品の規格に応じて適宜調整すればよい。
【0053】
外周ダレが最も発生しやすいのは一次研磨であり、この一次研磨においてサポートリング付ウエーハW1を形成し、研磨するのが効果的である。一次研磨後は仕上げ研磨を行って鏡面ウエーハとするが、仕上げ研磨前に、二次研磨を行うこともできる。二次研磨は表面粗さの改善と研磨傷やダメージの除去を目的として行い、研磨代は1μm以下、多くても数μm以下として行われる。このように必要に応じて二次研磨を行った後、仕上げ研磨を行う。仕上げ研磨ではほとんど研磨代は無いが、ヘイズを除去して完全な鏡面ウエーハに仕上げることができる。
【0054】
このような2次研磨時や仕上げ研磨では研磨代が少ない為、外周形状への影響は少ないが、このような研磨時にも本発明の方法によりサポートリングを配置した状態のウエーハ(サポートリング付ウエーハ)として研磨しても良い。
【0055】
以上のように製造された鏡面ウエーハは、所望のウエーハ製品径を有するとともに、ウエーハ表面全体にわたって、特に最外周部付近まで平坦度に優れているため、平坦度測定領域に急に落ち込むような周辺ダレが無く、ウエーハの良品率を著しく向上させることができる。
【0056】
また、このようなウエーハを用いることで表面全体に回路を形成させることができ、ひいては半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【0057】
また、本発明に係る方法では、従来の鏡面ウエーハ製造工程で使用している装置をそのまま使用できる上、他の装置を増設する必要も無いので、表面特性に優れた鏡面ウエーハを低コストで容易に製造することができる。
【0058】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0059】
(実施例1)
上記実施形態で説明したような従来のウエーハ製造方法でエッチング、鏡面面取りまでの加工を行った直径300mmのシリコンウエーハについて鏡面研磨を実施した。
【0060】
鏡面研磨する前に、ウエーハ外周部にサポートリングを装着した。このサポートリングは80℃のガラス転移点を持つポリウレタン系プラスチック素材の形状記憶ポリマーを用いた。サポートリングの装着については、上記した方法で行い、ウエーハの厚さと同じでウエーハ外部に幅3mmのリングを装置してサポートリング付ウエーハを形成した。このサポートリング付ウエーハの直径(見かけ上の直径)は306mmであった。
【0061】
このようなサポートリングが一体化されたウエーハ(サポートリング付ウエーハ)を図10に示すような研磨装置を用い研磨した。研磨条件は、研磨布としてポリウレタン製の不織布を用い研磨圧力300kg/cm2で、コロイダルシリカを含有するアルカリ溶液を研磨剤として供給し研磨した。研磨代は7μmで実施した。
【0062】
このような研磨(一次研磨)あがりの形状を確認した。形状はADE社製AFS3220を用い評価した。その結果、周辺2mm除外のSFQRmaxで0.05μmのウエーハが製造できた。従来レベルであるSFQRmax0.2μm程度よりはるかに改善されている。
【0063】
特にウエーハ外周10mmの範囲の形状を確認すると、図5に示すように外周ダレは大きく改善され、外周1mmまで略平らなウエーハが製造できた。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0065】
例えば、前記実施形態で説明した本発明に係るウエーハの製造工程は一例であって、各工程間で適宜洗浄を行うことができることは言うまでもない。また、従来の製造工程と同様、一部の工程の入れ替え、省略、追加をすることができる。例えば、粗面取りとラッピングの入れ替え、二次研磨の省略、またはラッピング後の熱処理工程の追加、あるいは一次研磨前にエッチング処理すること等もできる。また、ラッピングの代わりに平面研削等を行うこともできる。
【0066】
またウエーハの保持方法も上記例に限るものではなく、ガラスやセラミック製のキャリヤプレート(マウント板)にワックス等を介してウエーハを貼り付ける方式でもバッキングパッド等とテンプレートを使用して保持する方式でも良い。また、本発明は片面研磨に限らず、両面研磨を行う場合にも適用できる。
【0067】
ウエーハの材質及び大きさに関しては、本発明を実施するにあたり何ら制限は無く、現在製造されている直径のシリコン、GaAs、GaP、InP等の半導体ウエーハは勿論のこと、将来製造可能となる非常に大きなウエーハに対しても本発明を適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では研磨前にウエーハ径を見かけ上ウエーハ製品径より大きくなるようにサポートリングを装着し、サポートリングが一体化したウエーハ(サポートリング付ウエーハ)を研磨することで周辺ダレの少ない、あるいは周辺ダレが全く無い鏡面ウエーハを製造することができる。
【0069】
このような鏡面ウエーハは、所望のウエーハ製品径を有するとともに、全面にわたって、特に外周端部付近まで平坦度に優れているため、表面全体に回路を形成させることができ、半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【0070】
本発明によれば、サポートリングを装着する工程は増えるものの従来の設備が略そのまま使え、コスト的な増加や時間的な増加も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により半導体ウエーハを製造する工程順の1例を示すフローチャートである。
【図2】本発明方法における研磨工程における工程順の1例を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明のサポートリング付ウエーハの1例を示す図面で、(a)は上面説明図、(b)は断面的説明図である。
【図4】研磨装置に本発明のサポートリング付ウエーハを取り付けて研磨する場合の1つの構成例の要部を示す断面的説明図である。
【図5】実施例1において研磨されたウエーハの外周形状を示すグラフである。
【図6】従来方法による一次研磨後のウエーハの外周形状を示すグラフである。
【図7】ウエーハ外周部の一般的な形状を示す断面模式図である。
【図8】一次研磨後のウエーハの周辺部分の断面の模式図である。
【図9】従来の鏡面ウエーハの製造工程の工程順の1例を示すフローチャートである。
【図10】従来の研磨工程の1例を示す断面的説明図である。
【符号の説明】
10:研磨装置、12:定盤、13:研磨ヘッド、14:ウエーハ保持部、14a:ウエーハ保持部本体、14b:ウエーハ保持部裏板、15:ウエーハ保持面、15:ワーク保持面、15a:保護膜、16:研磨剤供給ノズル、18:研磨布、20,22:回転軸、24:研磨剤、26:貫通孔、28:真空部、30:真空ライン、32:回転ホルダ、34:加圧空間部、36:弾性体リング、38:加圧空気供給路、39:基台、40:サポートリング、40a:形状記憶ポリマー、42:調整治具、44:調整治具本体、46:上面押圧板、48:側面押圧部材、W:ウエーハ、W1:サポートリング付ウエーハ。
Claims (9)
- 少なくとも半導体ウエーハの一主面を研磨し鏡面化する半導体ウエーハの製造方法において、研磨前の半導体ウエーハの外周部にサポートリングを装着することによってサポートリング付ウエーハを形成し、該サポートリング付ウエーハの状態で該半導体ウエーハを研磨することを特徴とする半導体ウエーハの製造方法。
- 前記研磨前のサポートリング付ウエーハの径が、ウエーハ製品径より1mm以上大きいことを特徴とする請求項1記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 前記サポートリングと前記半導体ウエーハとを一体化させて前記サポートリング付ウエーハを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 前記サポートリングが、形状記憶ポリマーによって形成されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 形状記憶ポリマーがポリウレタン系プラスチック素材によって形成されたものであることを特徴とする請求項4記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 前記サポートリングが、研磨時に研磨布の硬度と同等か又はそれ以上に硬いことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 半導体ウエーハの外周部に着脱可能に装着されるサポートリングであって、研磨前の半導体ウエーハの外周部に装着されてサポートリング付ウエーハを形成し、該サポートリング付ウエーハの状態で該半導体ウエーハを研磨した後、該研磨された半導体ウエーハの外周部から除去されることを特徴とするサポートリング。
- 形状記憶ポリマーによって形成されることを特徴とする請求項7記載のサポートリング。
- 半導体ウエーハの外周部に請求項7又は8記載のサポートリングを着脱可能に装着したことを特徴とするサポートリング付ウエーハ。
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