JP2004241324A - 高圧放電ランプ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高圧放電ランプ装置の小型化・低価格化を図るために、電極間に印加する放電電圧を低電圧化しても、始動不良等の不具合を生ずることなく、ランプをいつでも点灯始動させることができるようにする。
【解決手段】安定点灯状態のランプを消灯してから、放電容器5内の水銀蒸気圧が低下して電極6、6間の絶縁破壊を生じやすくなる一定時間が経過し、且つ放電容器5の外表面の最高温度が未だ200℃以上にある時間帯に、点灯装置3で電極6、6間に放電を開始させる放電電圧を印加して、ランプ1を数秒間だけ限時的に点灯始動させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】安定点灯状態のランプを消灯してから、放電容器5内の水銀蒸気圧が低下して電極6、6間の絶縁破壊を生じやすくなる一定時間が経過し、且つ放電容器5の外表面の最高温度が未だ200℃以上にある時間帯に、点灯装置3で電極6、6間に放電を開始させる放電電圧を印加して、ランプ1を数秒間だけ限時的に点灯始動させるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気分圧が高い水銀蒸気中の放電によって発光する高圧放電ランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクタや投射型液晶ディスプレイ装置等に用いるバックライトは、矩形状のスクリーンに対して充分な輝度、効率及び演色性を以って均一に画像を投射することが要求されるため、その光源として、一対の電極が対向して配置された放電容器内に水銀や金属ハロゲン化物を封入した高圧放電ランプが用いられている。
【0003】そして、近年は、光源の小型化、点光源化をより一層推進することが求められているため、金属ハロゲン化物を封入した高圧放電ランプに代わり、放電容器内に0.15mg/mm3以上の水銀が封入されてランプの安定点灯状態における水銀蒸気圧が100気圧を超える超高圧水銀ランプと称する高圧放電ランプが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−148561号公報
【特許文献2】
特開平6−52830号公報
【0005】この種のランプは、上記スクリーンの高輝度・高効率・高演色性を実現するために、安定点灯状態における放電容器内の水銀蒸気圧を100気圧以上に高めることにより、電極間に生ずる放電アークの径方向の拡がりを抑えて光出力を向上させるようにしたもので、例えば、定格ランプ電力150Wのランプは、その点灯始動時に電子安定器と呼ばれる点灯装置で電極間に15kV以上の放電パルス電圧を印加して絶縁破壊させることにより放電を開始する仕組みになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、最近は、高圧放電ランプ装置の小型化・低価格化を図るための絶縁距離の短縮や電極部材の低価格化による耐電圧低下に伴って、ランプの点灯始動時に電極間に印加する放電電圧を低電圧化することが望まれており、従来における15kV以上のパルス電圧を10kVあるいはそれ以下に低減したいという要請がある。
【0007】このような要請に鑑み、従来よりも5kV以上低い10kVのパルス電圧を電極間に印加してランプを点灯始動させる実験を行ったところ、安定点灯状態にあるランプを消灯させた後、そのランプが十分に冷却された冷間時に再度点灯始動を試みた場合は、多少の始動(点灯)不良が発生し、また、ランプを消灯してから5分程度経過し、ランプが未だ暖かい状態にある時に再度点灯始動を試みた場合は、始動不良が多数発生した。また、ランプを消灯してから数秒〜十数秒以内に再度点灯始動を試みた場合も、始動不良が多数発生した。ただし、ランプを消灯させてから1〜2分足らずで、そのランプが未だ熱い状態にある時に再度点灯始動を試みた場合は、始動不良が発生しなかった。
【0008】この実験結果に基づき、始動不良を生ずる原因を究明したところ、電極間に印加する放電電圧を10kV程度に低電圧化すると、安定点灯状態のランプを消灯した直後は、放電容器内の水銀蒸気圧が高いために、電極間を絶縁破壊して放電を開始させることが困難となり、また、ランプを消灯してから数分以上経過すると、放電容器内の水銀蒸気が略全量液化して、電極の表面に多量の水銀が付着するため、電極から電子を放出させることが困難となって始動不良を生ずることが判明した。
【0009】一方、ランプを消灯してから、放電容器内の水銀蒸気圧が10kV程度の放電電圧で放電を開始させることが可能な程度にまで低下し、且つ放電容器内の水銀蒸気が略全量液化する前までの時間帯に点灯始動を行えば、始動不良を生じないことが判明した。また、ランプを消灯してから放電容器内の水銀蒸気が略全量液化するまでの所要時間は、放電容器の外表面の最高温度に依存することを突き止めた。
【0010】すなわち、図3はランプ消灯後の経過時間と放電容器の外表面最高温度との関係を一例として示すグラフであって、本例では、安定点灯状態のランプを消灯してから2分以上経過すると、放電容器の外表面最高温度が200℃を下回って放電容器内の水銀蒸気が略全量液化することが実験により確認された。
【0011】また、安定点灯状態のランプを消灯してから放電容器の外表面最高温度が200℃を下回るまでの所要時間は、ランプ冷却用ファンの送風量や稼働時間等によって異なるが、その所要時間の長短にかかわらず、放電容器の外表面最高温度が200℃以上にあるときは、電極間に印加する放電電圧が10kV程度でもランプを不具合なく点灯始動させることが可能であることが確認された。
【0012】このような知見に基づいて、本発明は、高圧放電ランプ装置の小型化・低価格化を図るためにランプを点灯始動させる放電電圧を低電圧化すると共に、その放電電圧を低電圧化しても、ランプをいつでも不具合なく点灯始動させることができるようにすることを技術的課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、水銀が封入された放電容器内に対向して配置された一対の電極間に所定の放電電圧を印加してランプを点灯始動させる高圧放電ランプ装置において、安定点灯状態のランプを消灯してから一定時間が経過し、且つ前記放電容器の外表面の最高温度が200℃以上にある時間帯に、前記放電電圧を前記電極間に印加してランプを数秒間だけ限時的に点灯始動させる点灯装置を備えていることを特徴とする。
【0014】本発明によれば、安定点灯状態のランプを消灯してから一定時間が経過し、且つ放電容器内の外表面の最高温度が200℃以上にある時間帯に、放電電圧を電極間に印加するようになっており、その時間帯は、ランプ消灯直後と比較すれば放電容器内の水銀蒸気圧が低下して電極間の絶縁破壊を生じやすい状態にあると同時に、放電容器内の水銀蒸気が略全量液化するまでに到らず、電極の表面への水銀の付着量が少ない状態にあるので、放電電圧を低電圧化しても、電極間の放電を開始させてランプを点灯始動させることができる。
【0015】そして、ランプを点灯始動させることにより、電極温度が著しく上昇して、電極の表面に水銀が付着することが阻止され、あるいは電極の表面に付着した水銀が蒸散せられて、放電容器内で液化する水銀は、電極よりも温度が低い放電容器の内表面に付着する。なお、ランプの点灯始動時間が長いと、電極のみならず放電容器の温度も著しく上昇して、放電容器の内表面に付着した水銀が再蒸発し、ランプの始動停止後に、その再蒸発した水銀が電極の表面に付着するおそれがあるが、本発明の如くランプを数秒間だけ点灯始動させる場合は、そのおそれもない。
【0016】このように、安定点灯状態のランプを消灯した後、所定のタイミングでランプを数秒間だけ点灯始動させて、電極の表面に液化した水銀が付着することを防止すれば、その電極間に印加する放電電圧を低電圧化しても、ランプをいつでも不具合なく点灯始動させることができるので、放電電圧の低電圧化によって高圧放電ランプの小型化・低価格化を図ることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面によって具体的に説明する。
図1は本発明による高圧放電ランプ装置の一例を示す図、図2はそのランプ点灯装置とランプ冷却用ファンの動作を示す図である。
【0018】本例の高圧放電ランプ装置は、高圧放電ランプ1、反射鏡2、矩形波型電子安定器で成る点灯装置3と、反射鏡2内に送風するランプ冷却用ファン(図示せず)とを備えており、ランプ1は、石英ガラス製の発光管4の中央部に形成された最大外径約10mm、最大内径約4.5mm、内容積約60mm3の放電容器5内に、水銀が約0.18mg/mm3、始動用補助ガスのアルゴンが約20kPa(常温時)と、黒化防止のための微量のハロゲンとが封入されると共に、一対の電極6、6が1.0mmの電極間距離で対向して配置されたアーク長1mmの150W高圧放電ランプであって、各電極6、6は、放電容器5の両端を気密に封止するシール部7、7に埋設されたモリブデン箔8、8を介して電力供給用リード線9、9に接続され、該リード線9、9を通じて点灯装置3からランプ電力が供給されるようになっている。
【0019】点灯装置3は、電極6、6間に放電を開始させてランプ1を始動させるために印加する放電電圧が従来よりも5kV以上低い10kVに設定されると共に、安定点灯状態のランプ1を消灯してから約30秒経過し、且つ放電容器5の外表面の最高温度が200℃以上にある時間帯に、その10kVの放電電圧を電極6、6間に印加してランプ1を数秒間だけ限時的に点灯始動させるように設定されている。
【0020】つまり、安定点灯状態のランプ1を消灯してから約30秒経過するまでは、放電容器5内の水銀蒸気圧が高いために、10kV程度の低い放電電圧によって電極6、6間に放電を開始させることが困難であり、また、放電容器5の外表面最高温度が200℃を下回ると、放電容器5内の水銀蒸気が略全量液化し、電極6、6の表面に多量の水銀が付着することによって放電を開始させることが困難となるので、上記時間帯に放電電圧を印加する。
【0021】なお、安定点灯状態のランプ1を消灯してから放電容器5の外表面最高温度が200℃を下回るまでの所要時間は、ランプ冷却用ファンの送風量や稼働時間等の冷却条件によって定まるので、予めその冷却条件に応じた所要時間を求めてこれを点灯装置3に設定する。すなわち、ランプ1を消灯してから例えば2分経過後に放電容器5の外表面最高温度が200℃を下回る場合は、ランプ1の消灯後30秒〜2分の時間帯に点灯装置3で放電電圧を印加してランプ1を点灯始動させるように設定する。また、ランプ1を点灯始動させる時間は、例えば5秒間程度に設定する。
【0022】これにより、ランプ1を消灯すると、その消灯後30秒〜2分の時間帯にランプ1が5秒間だけ限時的に点灯始動せられて、電極6、6の温度が著しく上昇し、電極6、6の表面に水銀が付着することが阻止されるか、あるいは電極6、6の表面に付着した水銀が蒸散せられて、放電容器5内で液化する水銀は、電極6、6よりも温度が低い放電容器5の内表面に付着することとなり、電極6、6の表面には殆ど付着しないので、以後、ランプ1は、いつでも10kV程度の低い放電電圧で何ら不具合を生ずることなく点灯始動させることが可能となる。
【0023】すなわち、点灯装置3で電極6、6間に印加する放電電圧が、安定点灯状態のランプ1を消灯してから約30秒程度の時間が経過するまでは放電容器5内の水銀蒸気圧が高いために電極6、6間に放電を開始させることが困難な10kV程度に低電圧化されていても、ランプ1の消灯後30秒〜2分の時間帯に、その放電電圧を電極6、6間に印加してランプ1を数秒間だけ限時的に点灯始動させておけば、以後いつでもランプ1を点灯始動させることができる。
【0024】また、上記時間帯におけるランプ1の点灯始動時間が長すぎると、電極6、6のみならず放電容器5の温度も著しく上昇して、放電容器5の内表面に一旦付着した水銀が再蒸発し、その再蒸発した水銀が、ランプ1の始動停止後に電極6、6の表面に付着するおそれがあるが、ランプ1を点灯始動させる時間が数秒間程度であれば、そのおそれもない。
【0025】したがって、点灯装置3でランプ1を点灯始動させる際に電極6、6間に印加する放電電圧を従来の15kV以上から10kV程度にまで低電圧化することができ、放電電圧の低電圧化によって高圧放電ランプ装置の小型化・低価格化を実現することが可能となる。
【0026】なお、上記仕様のランプ1における最適な実施態様は、図2に示す如く、安定点灯状態のランプ1を消灯してから約60秒後に、点灯装置3で10kVの放電電圧を電極6、6間に印加して、ランプ1を5秒間だけ点灯始動させると共に、安定点灯状態のランプ1を消灯した後もランプ冷却用ファンを継続して90秒間稼動させる場合であって、この場合は、ランプ1の点灯始動時に、放電容器5内の水銀蒸気圧が著しく低下して電極6、6間の絶縁破壊を生じやすい状態となっており、しかも、電極6、6の表面に液化した水銀が付着する量も著しく少ないので、10kV程度の放電電圧でも、ランプ1を確実に始動させることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ランプを点灯始動させる際に電極間に印加する放電電圧を低電圧化しても、そのランプをいつでも不具合なく確実に点灯始動させることができるので、放電電圧の低電圧化によって高圧放電ランプ装置の小型化・低価格化を図ることが可能になるという大変優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高圧放電ランプ装置の一例を示す図
【図2】ランプの点灯装置とランプ冷却用ファンの動作を示す図
【図3】ランプ消灯後の経過時間と放電容器の外表面最高温度との関係を示すグラフ
【符号の説明】
1………………高圧放電ランプ
2………………反射鏡
3………………点灯装置
4………………発光管
5………………放電容器
6………………電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気分圧が高い水銀蒸気中の放電によって発光する高圧放電ランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクタや投射型液晶ディスプレイ装置等に用いるバックライトは、矩形状のスクリーンに対して充分な輝度、効率及び演色性を以って均一に画像を投射することが要求されるため、その光源として、一対の電極が対向して配置された放電容器内に水銀や金属ハロゲン化物を封入した高圧放電ランプが用いられている。
【0003】そして、近年は、光源の小型化、点光源化をより一層推進することが求められているため、金属ハロゲン化物を封入した高圧放電ランプに代わり、放電容器内に0.15mg/mm3以上の水銀が封入されてランプの安定点灯状態における水銀蒸気圧が100気圧を超える超高圧水銀ランプと称する高圧放電ランプが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−148561号公報
【特許文献2】
特開平6−52830号公報
【0005】この種のランプは、上記スクリーンの高輝度・高効率・高演色性を実現するために、安定点灯状態における放電容器内の水銀蒸気圧を100気圧以上に高めることにより、電極間に生ずる放電アークの径方向の拡がりを抑えて光出力を向上させるようにしたもので、例えば、定格ランプ電力150Wのランプは、その点灯始動時に電子安定器と呼ばれる点灯装置で電極間に15kV以上の放電パルス電圧を印加して絶縁破壊させることにより放電を開始する仕組みになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、最近は、高圧放電ランプ装置の小型化・低価格化を図るための絶縁距離の短縮や電極部材の低価格化による耐電圧低下に伴って、ランプの点灯始動時に電極間に印加する放電電圧を低電圧化することが望まれており、従来における15kV以上のパルス電圧を10kVあるいはそれ以下に低減したいという要請がある。
【0007】このような要請に鑑み、従来よりも5kV以上低い10kVのパルス電圧を電極間に印加してランプを点灯始動させる実験を行ったところ、安定点灯状態にあるランプを消灯させた後、そのランプが十分に冷却された冷間時に再度点灯始動を試みた場合は、多少の始動(点灯)不良が発生し、また、ランプを消灯してから5分程度経過し、ランプが未だ暖かい状態にある時に再度点灯始動を試みた場合は、始動不良が多数発生した。また、ランプを消灯してから数秒〜十数秒以内に再度点灯始動を試みた場合も、始動不良が多数発生した。ただし、ランプを消灯させてから1〜2分足らずで、そのランプが未だ熱い状態にある時に再度点灯始動を試みた場合は、始動不良が発生しなかった。
【0008】この実験結果に基づき、始動不良を生ずる原因を究明したところ、電極間に印加する放電電圧を10kV程度に低電圧化すると、安定点灯状態のランプを消灯した直後は、放電容器内の水銀蒸気圧が高いために、電極間を絶縁破壊して放電を開始させることが困難となり、また、ランプを消灯してから数分以上経過すると、放電容器内の水銀蒸気が略全量液化して、電極の表面に多量の水銀が付着するため、電極から電子を放出させることが困難となって始動不良を生ずることが判明した。
【0009】一方、ランプを消灯してから、放電容器内の水銀蒸気圧が10kV程度の放電電圧で放電を開始させることが可能な程度にまで低下し、且つ放電容器内の水銀蒸気が略全量液化する前までの時間帯に点灯始動を行えば、始動不良を生じないことが判明した。また、ランプを消灯してから放電容器内の水銀蒸気が略全量液化するまでの所要時間は、放電容器の外表面の最高温度に依存することを突き止めた。
【0010】すなわち、図3はランプ消灯後の経過時間と放電容器の外表面最高温度との関係を一例として示すグラフであって、本例では、安定点灯状態のランプを消灯してから2分以上経過すると、放電容器の外表面最高温度が200℃を下回って放電容器内の水銀蒸気が略全量液化することが実験により確認された。
【0011】また、安定点灯状態のランプを消灯してから放電容器の外表面最高温度が200℃を下回るまでの所要時間は、ランプ冷却用ファンの送風量や稼働時間等によって異なるが、その所要時間の長短にかかわらず、放電容器の外表面最高温度が200℃以上にあるときは、電極間に印加する放電電圧が10kV程度でもランプを不具合なく点灯始動させることが可能であることが確認された。
【0012】このような知見に基づいて、本発明は、高圧放電ランプ装置の小型化・低価格化を図るためにランプを点灯始動させる放電電圧を低電圧化すると共に、その放電電圧を低電圧化しても、ランプをいつでも不具合なく点灯始動させることができるようにすることを技術的課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、水銀が封入された放電容器内に対向して配置された一対の電極間に所定の放電電圧を印加してランプを点灯始動させる高圧放電ランプ装置において、安定点灯状態のランプを消灯してから一定時間が経過し、且つ前記放電容器の外表面の最高温度が200℃以上にある時間帯に、前記放電電圧を前記電極間に印加してランプを数秒間だけ限時的に点灯始動させる点灯装置を備えていることを特徴とする。
【0014】本発明によれば、安定点灯状態のランプを消灯してから一定時間が経過し、且つ放電容器内の外表面の最高温度が200℃以上にある時間帯に、放電電圧を電極間に印加するようになっており、その時間帯は、ランプ消灯直後と比較すれば放電容器内の水銀蒸気圧が低下して電極間の絶縁破壊を生じやすい状態にあると同時に、放電容器内の水銀蒸気が略全量液化するまでに到らず、電極の表面への水銀の付着量が少ない状態にあるので、放電電圧を低電圧化しても、電極間の放電を開始させてランプを点灯始動させることができる。
【0015】そして、ランプを点灯始動させることにより、電極温度が著しく上昇して、電極の表面に水銀が付着することが阻止され、あるいは電極の表面に付着した水銀が蒸散せられて、放電容器内で液化する水銀は、電極よりも温度が低い放電容器の内表面に付着する。なお、ランプの点灯始動時間が長いと、電極のみならず放電容器の温度も著しく上昇して、放電容器の内表面に付着した水銀が再蒸発し、ランプの始動停止後に、その再蒸発した水銀が電極の表面に付着するおそれがあるが、本発明の如くランプを数秒間だけ点灯始動させる場合は、そのおそれもない。
【0016】このように、安定点灯状態のランプを消灯した後、所定のタイミングでランプを数秒間だけ点灯始動させて、電極の表面に液化した水銀が付着することを防止すれば、その電極間に印加する放電電圧を低電圧化しても、ランプをいつでも不具合なく点灯始動させることができるので、放電電圧の低電圧化によって高圧放電ランプの小型化・低価格化を図ることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面によって具体的に説明する。
図1は本発明による高圧放電ランプ装置の一例を示す図、図2はそのランプ点灯装置とランプ冷却用ファンの動作を示す図である。
【0018】本例の高圧放電ランプ装置は、高圧放電ランプ1、反射鏡2、矩形波型電子安定器で成る点灯装置3と、反射鏡2内に送風するランプ冷却用ファン(図示せず)とを備えており、ランプ1は、石英ガラス製の発光管4の中央部に形成された最大外径約10mm、最大内径約4.5mm、内容積約60mm3の放電容器5内に、水銀が約0.18mg/mm3、始動用補助ガスのアルゴンが約20kPa(常温時)と、黒化防止のための微量のハロゲンとが封入されると共に、一対の電極6、6が1.0mmの電極間距離で対向して配置されたアーク長1mmの150W高圧放電ランプであって、各電極6、6は、放電容器5の両端を気密に封止するシール部7、7に埋設されたモリブデン箔8、8を介して電力供給用リード線9、9に接続され、該リード線9、9を通じて点灯装置3からランプ電力が供給されるようになっている。
【0019】点灯装置3は、電極6、6間に放電を開始させてランプ1を始動させるために印加する放電電圧が従来よりも5kV以上低い10kVに設定されると共に、安定点灯状態のランプ1を消灯してから約30秒経過し、且つ放電容器5の外表面の最高温度が200℃以上にある時間帯に、その10kVの放電電圧を電極6、6間に印加してランプ1を数秒間だけ限時的に点灯始動させるように設定されている。
【0020】つまり、安定点灯状態のランプ1を消灯してから約30秒経過するまでは、放電容器5内の水銀蒸気圧が高いために、10kV程度の低い放電電圧によって電極6、6間に放電を開始させることが困難であり、また、放電容器5の外表面最高温度が200℃を下回ると、放電容器5内の水銀蒸気が略全量液化し、電極6、6の表面に多量の水銀が付着することによって放電を開始させることが困難となるので、上記時間帯に放電電圧を印加する。
【0021】なお、安定点灯状態のランプ1を消灯してから放電容器5の外表面最高温度が200℃を下回るまでの所要時間は、ランプ冷却用ファンの送風量や稼働時間等の冷却条件によって定まるので、予めその冷却条件に応じた所要時間を求めてこれを点灯装置3に設定する。すなわち、ランプ1を消灯してから例えば2分経過後に放電容器5の外表面最高温度が200℃を下回る場合は、ランプ1の消灯後30秒〜2分の時間帯に点灯装置3で放電電圧を印加してランプ1を点灯始動させるように設定する。また、ランプ1を点灯始動させる時間は、例えば5秒間程度に設定する。
【0022】これにより、ランプ1を消灯すると、その消灯後30秒〜2分の時間帯にランプ1が5秒間だけ限時的に点灯始動せられて、電極6、6の温度が著しく上昇し、電極6、6の表面に水銀が付着することが阻止されるか、あるいは電極6、6の表面に付着した水銀が蒸散せられて、放電容器5内で液化する水銀は、電極6、6よりも温度が低い放電容器5の内表面に付着することとなり、電極6、6の表面には殆ど付着しないので、以後、ランプ1は、いつでも10kV程度の低い放電電圧で何ら不具合を生ずることなく点灯始動させることが可能となる。
【0023】すなわち、点灯装置3で電極6、6間に印加する放電電圧が、安定点灯状態のランプ1を消灯してから約30秒程度の時間が経過するまでは放電容器5内の水銀蒸気圧が高いために電極6、6間に放電を開始させることが困難な10kV程度に低電圧化されていても、ランプ1の消灯後30秒〜2分の時間帯に、その放電電圧を電極6、6間に印加してランプ1を数秒間だけ限時的に点灯始動させておけば、以後いつでもランプ1を点灯始動させることができる。
【0024】また、上記時間帯におけるランプ1の点灯始動時間が長すぎると、電極6、6のみならず放電容器5の温度も著しく上昇して、放電容器5の内表面に一旦付着した水銀が再蒸発し、その再蒸発した水銀が、ランプ1の始動停止後に電極6、6の表面に付着するおそれがあるが、ランプ1を点灯始動させる時間が数秒間程度であれば、そのおそれもない。
【0025】したがって、点灯装置3でランプ1を点灯始動させる際に電極6、6間に印加する放電電圧を従来の15kV以上から10kV程度にまで低電圧化することができ、放電電圧の低電圧化によって高圧放電ランプ装置の小型化・低価格化を実現することが可能となる。
【0026】なお、上記仕様のランプ1における最適な実施態様は、図2に示す如く、安定点灯状態のランプ1を消灯してから約60秒後に、点灯装置3で10kVの放電電圧を電極6、6間に印加して、ランプ1を5秒間だけ点灯始動させると共に、安定点灯状態のランプ1を消灯した後もランプ冷却用ファンを継続して90秒間稼動させる場合であって、この場合は、ランプ1の点灯始動時に、放電容器5内の水銀蒸気圧が著しく低下して電極6、6間の絶縁破壊を生じやすい状態となっており、しかも、電極6、6の表面に液化した水銀が付着する量も著しく少ないので、10kV程度の放電電圧でも、ランプ1を確実に始動させることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ランプを点灯始動させる際に電極間に印加する放電電圧を低電圧化しても、そのランプをいつでも不具合なく確実に点灯始動させることができるので、放電電圧の低電圧化によって高圧放電ランプ装置の小型化・低価格化を図ることが可能になるという大変優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高圧放電ランプ装置の一例を示す図
【図2】ランプの点灯装置とランプ冷却用ファンの動作を示す図
【図3】ランプ消灯後の経過時間と放電容器の外表面最高温度との関係を示すグラフ
【符号の説明】
1………………高圧放電ランプ
2………………反射鏡
3………………点灯装置
4………………発光管
5………………放電容器
6………………電極
Claims (3)
- 水銀が封入された放電容器内に対向して配置された一対の電極間に所定の放電電圧を印加してランプを点灯始動させる高圧放電ランプ装置において、安定点灯状態のランプ(1)を消灯してから一定時間が経過し、且つ前記放電容器(5)の外表面の最高温度が200℃以上にある時間帯に、前記放電電圧を前記電極(6、6)間に印加してランプ(1)を数秒間だけ限時的に点灯始動させる点灯装置(3)を備えていることを特徴とする高圧放電ランプ装置。
- 前記放電電圧が、安定点灯状態のランプ(1)を消灯してから一定時間が経過するまでは前記放電容器(5)内の水銀蒸気圧が高いために前記電極(6、6)間の放電を開始させることが困難な程度に低電圧化されている請求項1記載の高圧放電ランプ装置。
- 安定点灯状態のランプ(1)を消灯した後も継続して一定時間稼動するランプ冷却用ファンを備えている請求項1又は2記載の高圧放電ランプ装置。
Priority Applications (1)
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JP2003031551A JP2004241324A (ja) | 2003-02-07 | 2003-02-07 | 高圧放電ランプ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003031551A JP2004241324A (ja) | 2003-02-07 | 2003-02-07 | 高圧放電ランプ装置 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006127866A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Ushio Inc | 閃光放射装置 |
JP2006210280A (ja) * | 2005-01-31 | 2006-08-10 | Sharp Corp | ランプユニット、及び投射型画像表示装置 |
-
2003
- 2003-02-07 JP JP2003031551A patent/JP2004241324A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006127866A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Ushio Inc | 閃光放射装置 |
JP4586494B2 (ja) * | 2004-10-27 | 2010-11-24 | ウシオ電機株式会社 | 閃光放射装置 |
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