JP2004240027A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は有機感光体に高い帯電電位を付与し、階調性、鮮鋭性を改善する際に発生しやすい黒ポチ、白ヌケ等の画像欠陥の発生を少なくし、カラー画像等で要求される広い階調性、良好な鮮鋭性が得られる画像形成方法を提供すること、及びこれらの画像形成方法を用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】有機感光体が、導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を分散した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が特定の範囲にあることを特徴とする画像形成方法。 1式 900V≦|VH|≦1500V
【選択図】 図3
【解決手段】有機感光体が、導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を分散した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が特定の範囲にあることを特徴とする画像形成方法。 1式 900V≦|VH|≦1500V
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機感光体を用いた画像形成方法に関し、特にデジタル書き込みで感光体上に静電潜像を形成し、反転現像を行う画像形成方法及び画像形成装置に関するものであり、該画像形成方法に用いる有機感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法として最も代表的なカールソン法での複写機においては、感光体を一様に帯電させた後、露光によって電荷を像様に消去せしめ、静電荷潜像を形成する。この静電荷潜像をトナーによって現像して可視化し、次いでそのトナーを紙などに転写してから定着することにより画像形成が行われてきた。
【0003】
これまで電子写真感光体としては、セレン、酸化亜鉛、カドミウムなどの無機光導電性物質を感光層の主成分とする無機感光体が、広く使用されてきた。しかし、これらの無機感光体は有害なものが多く、環境対策上問題がある。
【0004】
従って近年、無公害である有機物を用いた有機感光体の開発が盛んであり、広く実用化されてきている。なかでも電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる物質に分担させ、所望の特性を有する化合物を広い範囲から選択できる機能分離型の感光体が盛んに開発されている。
【0005】
又、近年、電子写真法によるカラー画像形成方法として、デジタル信号処理による書き込みで、電子写真感光体上にカラー画像を形成するカラー画像形成方法が盛んに行われる様になってきた。
【0006】
従って、電子写真感光体としては、帯電特性及び感度が良好で、更に暗減衰が低いなど、電子写真特性は勿論のこと、カラー画像に要求される広い階調性、及びデシタル潜像の現像に最も適している反転現像に対する適正が要求される。
【0007】
即ち、電子写真画像の階調性を広くするため、反転現像において、未露光部電位(VH)を高くすると電位の微小欠陥が拡大し黒ポチ(カラーの場合は色ポチ)・混色が顕在化し、低くすると十分な、階調性、画像濃度を得ることが出来ない。更に、未露光部電位(VH)と、感光体と現像スリーブ間の直流バイアス電位(VDC)の電位差を大きくすると、電位の微小欠陥は顕在化しにくくなるが、大きくし過ぎると、微小トナーの付着やキャリア付着が起こりやすいという問題点も提起されている。
【0008】
又、未露光部電位(VH)を高くし、感光体にかかる電界強度を大きくした場合は、静電潜像のエッジ部電位が立ち上がる現象が顕在化し、トナー画像にも画像のエッジ部濃度が高くなり(以後、エッジ現象とも云う)、文字チリが発生したり、階調不良の画像となりやすい。特に、該エッジ現象が現れると、感光体から記録紙へのトナー画像の多数回の転写工程を必要とするカラー画像では、転写時の文字チリ、及び階調不良が顕在化しやすい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カラー画像等で要求される広い階調性、良好な鮮鋭性が得られる画像形成方法を提供することであり、有機感光体に高い帯電電位を付与し、階調性、鮮鋭性を改善する際に発生しやすい黒ポチ、白ヌケ等の画像欠陥の発生を少なくし、トナー付着やキャリア付着を防止した画像形成方法を提供することであり、且つ有機感光体に高い帯電電位を付与した際に発生しやすい過度のエッジ現象や文字チリを防止し、広い階調性、良好な鮮鋭性の電子写真画像を得ることができる画像形成方法を提供することであり、これらの画像形成方法を用いた画像形成装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために検討を重ねた結果、階調性、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得るためには、反転現像の実質的な現像電位幅(通常ダイナミックレンジと称され、露光電位とバイアス電位の差を云う)を広くする現像条件を構成すると同時に、ダイナミックレンジを大きくすることに伴う高帯電の条件下で発生しやすい過度のエッジ現象を防止し、且つ黒ポチ、白ヌケ、文字チリ等の画像欠陥を発生させない有機感光体、現像剤、現像条件の改善が必要であることを見いだし本発明を完成した。即ち、静電潜像の形成に際し、エッジ現象が少なく且つ黒ポチが発生しにくい有機感光体とエッジ現象を防止し、広い階調性、良好な鮮鋭性を可能とする現像剤のそれぞれの長所を生かす現像条件を検討し、これらの有機感光体、現像剤、現像条件の組み合わせが、相乗効果を出す組み合わせを見いだすことにより、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明の目的は、以下の構成を用いることにより達成される。
1.導電性基体上に感光層を有する有機感光体上に、静電潜像を形成し、該静電潜像を反転現像でトナー像に顕像化する画像形成方法において、該反転現像で用いるトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が、導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を分散した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0012】
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V
2.導電性基体上に感光層を有する有機感光体上に、静電潜像を形成し、該静電潜像を反転現像でトナー像に顕像化する画像形成方法において、該反転現像で用いるトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を含有した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0013】
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V
3.導電性基体上に感光層を有する有機感光体上にイエロー画像に対応した静電潜像を形成する工程、イエロートナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にマゼンタ画像に対応した静電潜像を形成する工程、マゼンタトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にシアン画像に対応した静電潜像を形成する工程、シアントナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にブラック画像に対応した静電潜像を形成する工程、ブラックトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、前記中間転写体に転写形成された各色のトナー像を記録紙に転写する工程を含む画像形成方法において、
前記現像剤中のトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が、導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を分散した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0014】
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V
4.導電性基体上に感光層を有する有機感光体上にイエロー画像に対応した静電潜像を形成する工程、イエロートナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にマゼンタ画像に対応した静電潜像を形成する工程、マゼンタトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にシアン画像に対応した静電潜像を形成する工程、シアントナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にブラック画像に対応した静電潜像を形成する工程、ブラックトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、前記中間転写体に転写形成された各色のトナー像を記録紙に転写する工程を含む画像形成方法において、
前記現像剤中のトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を含有した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0015】
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V
5.前記金属酸化物粒子が酸化チタン、酸化亜鉛、及び酸化スズから選ばれる少なくとも1種類以上を用いることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0016】
6.前記金属酸化物粒子がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理がなされていることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0017】
7.前記金属酸化物粒子が複数回の表面処理がなされていることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0018】
8.前記金属酸化物粒子の最後の表面処理が、反応性有機ケイ素化合物によるものであることを特徴とする前記7に記載の画像形成方法。
【0019】
9.前記金属酸化物粒子の最後の表面処理が、フッ素原子を有する反応性有機ケイ素化合物によるものであることを特徴とする前記7に記載の画像形成方法。
【0020】
10.前記1〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明に関わる反転現像の画像形成方法及び画像形成装置の説明をする。この発明に係る画像形成装置の実施形態を添付の図面に基づいて具体的に説明すると共に、実施形態の画像形成装置、現像装置を用いて作像を行なう具体的な実施例を挙げて説明し、本発明の画像形成方法により、黒ポチやカブリの発生もなく、階調性、画像濃度も十分な画像が得られることを明らかにする。
【0022】
図1は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
図1に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布した本発明の感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0023】
感光体への一様帯電の後、像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0024】
ここで、本発明の感光体の未露光部電位とは帯電器52により、感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われない領域の感光体表面電位を意味する。又、露光部電位とは像露光が行われた領域の感光体表面電位を意味する。電位測定は電位センサー547を図1のように現像位置に設けて行う。
【0025】
本発明の画像形成方法においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、像露光をスポット面積が2000μm2以下の露光ビームを用いて行うことが好ましい。このような小径のビーム露光を行っても、本発明の有機感光体は、該スポット面積に対応した画像を忠実に形成することができる。より好ましいスポット面積は、100〜800μm2である。その結果800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)以上で、階調性が豊かな電子写真画像を達成することができる。
【0026】
前記露光ビームのスポット面積とは、該露光ビームを該ビームと垂直な面で切断したとき、該切断面に現れる光強度分布面で、光強度が最大ピーク強度の1/e2以上の領域に相当する面積を意味する。
【0027】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系、及びLEDや液晶シャッター等の固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2までの部分をスポット面積とする。
【0028】
その静電潜像は次いで現像工程で現像器54を用いて現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0029】
現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と本発明の低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は現像スリーブ541に直流バイアス電圧、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0030】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0031】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写器)58が圧接され、給紙された記録紙Pを挟着して転写される。
【0032】
次いで記録紙Pは転写ローラーとほぼ同時に圧接状態とされた分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0033】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0034】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0035】
図2は前記図1の感光体ドラム50の帯電電位制御の構成を拡大した図である。
【0036】
以下に、未露光部電位の測定法と未露光部電位の修正を目的とした帯電電位調整プロセスを図2を用いて説明する。
【0037】
まず、感光体50上に帯電器52により一様に帯電する。帯電された感光体上にレーザダイオードの像露光器53によりデジタル露光されない未露光領域を形成する。該未露光領域の表面電位(未露光部電位)を電位センサー547により検出し、この検出された電位信号は図2中のプロセス制御部63に伝達する。プロセス制御部63は電位センサー547からの電位信号に基づいて帯電極を制御するプロセス制御器である。該制御器は電位センサーからの電位信号と目標電位信号とを比較し、その差を修正し、目標電位を達成する修正信号を決定する。高圧制御ユニット64はプロセス制御部63の制御信号を受け帯電器52に電流、電圧を供給する高圧制御ユニットである。前記決定された修正信号に基づきプロセス制御器から帯電電流、帯電グリット電圧の修正信号が高圧制御ユニットに出され、続いて高圧制御ユニットから帯電器52のコロナワイヤー521、スコロトロングリット522へそれぞれ修正された帯電電流、帯電グリット電圧が出力される。このプロセスを数回繰り返すことにより、電位センサー位置の感光体電位(未露光部電位)を目標電位に修正する事ができる。
【0038】
感光体の現像位置での未露光部電位を正確に測定する為には、上記電位センサーの位置を現像位置に取り付けて(必要により現像器を外して)測定するのが好ましいが、電位センサーの取り付け位置が現像位置から離れている場合は、電位センサーから現像位置までの電位暗減衰量を計算し、その分を補正すればよい。
【0039】
ここで、現像位置とは感光体上の潜像が現像剤により現像される位置を示すが、具体的には感光体と現像スリーブが最も接近した位置を現像位置の中心と見なす。即ち、本発明では現像位置の未露光部電位とは感光体が現像スリーブに最も接近した時の未露光部表面電位を示す。
【0040】
前記未露光部目標電位の設定には種々の方法があるが、本発明に用いられる反転現像方法では次に述べるような未露光部目標電位の設定方法(図3を用いて説明する)が好ましく用いられる。
【0041】
即ち、図3に示すように、プリンターや複写機の毎日の使用開始時、或いは所定のプリント枚数毎に感光体に帯電、像露光を行い、像露光後の露光部電位(VL)を電位センサーにより検知する。該VLを基準にして、画像濃度を支配する現像バイアス電位、次に現像バイアス電位を基準として、カブリの発生を防止する為の未露光部目標電位(VH)を設定する。
【0042】
本発明の反転現像の条件は感光体の現像位置での未露光部電位(VH)が絶対値で900〜1500V、より好ましくは1000〜1450Vである。VHと現像スリーブにかかる直流バイアス電位(VDC)の差(現像バイアス)は50〜300V、より好ましくは70〜250Vである。このような高電圧を印加した条件でも、本発明の感光体及び現像剤を用いて反転現像を行うと、反転現像に特有の黒ポチの発生が少なく、且つエッジ現象や文字チリが改善され、階調性及び鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。|VH|が900Vより低いと、階調性が低くなりやすく、1500Vを超えると、過度のエッジ現象が発生したり、文字チリ、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。又|VH|−|VDC|の差が50Vより小さいと、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすく、300Vを超えると、弱帯電性トナーの付着やキャリア付着の発生が増加する。
【0043】
本発明においては有機感光体と該現像剤を担持する現像スリーブとの距離(Dsd)は350〜800μm、感光体と現像スリーブの線速比は1:1〜1:3.5の範囲が好ましい。前記Dsdが800μmを越えると現像電界が弱くなり、現像性が低下する。
【0044】
本発明の有機感光体は、導電性基体上に感光層を有し、導電性支持体と感光層の間に、バインダー樹脂中に金属酸化物粒子を含有した中間層を有していることを特徴とする。
【0045】
該中間層のバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、エチレン系共重合樹脂、例えばELVAX4260(デュポン社製)、ポリウレタン樹脂、例えばNL2532(三井化学社製)、NL2249E(三井化学社製)、変性ポリオレフィン樹脂、例えばスーパクロン(日本製紙社製)、GS2000((株)鉛市)等が挙げられる。これらの中でも特にアルコール可溶性ポリアミドが好ましい。アルコール可溶性ポリアミドは、溶媒溶解性に優れ、且つ金属酸化物粒子の分散安定性も良好であり、ポリアミド樹脂と金属酸化物粒子粒子の相乗効果により、前記フリーキャリアのブロッキング性が向上し、黒ポチ等の画像欠陥の防止に著しい効果を示す。
【0046】
アルコール可溶性ポリアミドとしては、アルコキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン等が挙げられる。例えば、メトキシメチル化ナイロン、ナイロン6/66/610/12共重合等が市販されている。
【0047】
又、上記ポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。
【0048】
本発明のポリアミド樹脂を溶解し、塗布液を作製する溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミドの溶解性と作製された塗布液の塗布性の点で優れている。これらの溶媒は全溶媒中に30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、更には50〜100質量%が好ましい。前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0049】
又、本発明の中間層のバインダー樹脂としては熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、ポリウレタン、メラミン、エポキシ、アルキッド、フェノール、ブチラール、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。これらの樹脂中に金属酸化物粒子を含有させた中間層を有する有機感光体は高帯電電位を付与する画像形成方法では、繰り返し使用しても、帯電電位が安定しており、感度劣化も少なく、且つ黒ポチの発生を防止し、良好な電子写真画像を形成することができる。
【0050】
本発明の中間層に用いられる金属酸化物粒子は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化タングステン、酸化ビスマス等の金属酸化物が挙げられる。中でも、IIIa、IVa、IVbの金属酸化物粒子が好ましい。具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物が挙げられる。
【0051】
これらの金属酸化物粒子の表面には他の金属酸化物でコーティングする方が好ましい。例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化スズ、酸化アンチモンドープされた酸化スズ等で、芯材となる金属酸化物粒子の表面をコートし、金属酸化物粒子の表面に存在する水酸基を被覆し、耐湿性を改良する方が好ましい。中間層における粒子の含有率は、体積率にして10%から90%が好ましく、更には25%から75%が好ましい。
【0052】
金属酸化物粒子の数平均1次粒子径は10〜400nmであることが好ましい。該数平均1次粒子径とは、金属酸化物粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を1次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。
【0053】
このような金属酸化物粒子を中間層に含有させると画像欠陥の1つであるレーザ光によるモアレを低減したり、中間層のフリーキャリア(導電性支持体等から進入してくる電子やホール)のブロッキング性を高めることができると同時に、高電界下の潜像形成で発生しやすいエッジ現象を防止することができ、結果として文字チリ等の画像欠陥を発生させず、階調性、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0054】
又、本発明に用いる金属酸化物粒子はN型半導性粒子が好ましい。該N型半導性粒子とは、主たる電荷キャリアが電子である粒子を意味する。すなわち、主たる電荷キャリアが電子であることから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
【0055】
前記N型半導性粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の金属酸化物粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0056】
N型半導性粒子の平均粒径は、数平均1次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液のN型半導性粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中のN型半導性粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均1次粒径が前記範囲のN型半導性粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0057】
N型半導性粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0058】
N型半導性粒子に行われる表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0059】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0060】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0061】
また、該複数回の表面処理をアルミナ、シリカを用いて表面処理を行い、次いで反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものが特に好ましい。
【0062】
なお、前述のアルミナ、シリカの処理は同時に行っても良いが、特にシリカ処理を最初に行い、次いでアルミナ処理を行うことが好ましい。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合のアルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多いものが好ましい。
【0063】
前記酸化チタン等のN型半導性粒子のアルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物による表面処理は湿式法で行うことができる。例えば、シリカ、又はアルミナの表面処理を行ったN型半導性粒子は以下の様に作製することができる。
【0064】
N型半導性粒子として酸化チタン粒子を用いる場合、酸化チタン粒子(数平均1次粒子径:50nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
【0065】
なお、上記表面処理に用いられる金属酸化物の量は、前記表面処理時の仕込量にて酸化チタン粒子等のN型半導性粒子100質量部に対して、0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部の金属酸化物が用いられる。尚、前述のアルミナとシリカを用いた場合も例えば酸化チタン粒子の場合、酸化チタン粒子100質量部に対して各々1〜10質量部用いることが好ましく、アルミナよりもシリカの量が多いことが好ましい。
【0066】
上記の金属酸化物による表面処理の次に行われる反応性有機ケイ素化合物による表面処理は以下の様な湿式法で行うことが好ましい。
【0067】
即ち、有機溶剤や水に対して前記反応性有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させた液に前記金属酸化物で処理された酸化チタンを添加し、この液をセラミックビーズを用いたメディア分散を行うことが好ましい。次にメディア分散後の分散液を濾過後、加熱処理をしながら、減圧乾燥し、表面を有機ケイ素化合物で被覆した酸化チタン粒子を得る。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散させた懸濁液に前記反応性有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0068】
尚、本発明において酸化チタン粒子表面が反応性有機ケイ素化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
【0069】
前記表面処理に用いられる反応性有機ケイ素化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にて前記金属酸化物で処理された酸化チタン100質量部に対し、反応性有機ケイ素化合物を0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部が好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内における酸化チタン粒子の分散性等が悪くなる。また、上記範囲を超えてしまうと電気性能を悪化させる結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
【0070】
本発明で用いられる反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0071】
一般式(1)
(R)n−Si−(X)4−n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0072】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0073】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0074】
又、最後の表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0075】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0076】
本発明の酸化チタンの表面処理の他の1つはフッ素原子を有する有機ケイ素化合物により表面処理を施された酸化チタン粒子である。該フッ素原子を有する有機ケイ素化合物による表面処理、前記した湿式法で行うのが好ましい。
【0077】
即ち、有機溶剤や水に対して前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させ、この中に未処理の酸化チタンを添加し、このような溶液をメディア分散し、濾過、加熱処理を施した後に、乾燥し、酸化チタン表面をフッ素原子を有する有機ケイ素化合物で被覆する。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散した懸濁液に前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0078】
尚、前記酸化チタン表面がフッ素原子を有する有機ケイ素化合物によって被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析装置を用いて複合的に確認することができる。
【0079】
本発明に用いられるフッ素原子を有する有機ケイ素化合物としては、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0080】
前記ポリアミド樹脂中に分散されるN型半導性粒子の量は、例えば表面処理酸化チタンの場合では、該バインダー樹脂100質量部に対し、10〜10,000質量部、好ましくは50〜1,000質量部である。該表面処理酸化チタンをこの範囲で用いることにより、該酸化チタンの分散性を良好に保つことができ、黒ポチの発生しない、良好な中間層を形成することができる。
【0081】
又、本発明の中間層は実質的に絶縁層である。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108〜1015Ω・cmである。又、本発明の中間層の体積抵抗は好ましくは1×109〜1014Ω・cm、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmが良い。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0082】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
【0083】
本発明の中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記表面処理酸化チタン等の表面処理N型半導性粒子、バインダー樹脂、分散溶媒等から構成されるが、分散溶媒としては前記したポリアミド樹脂の溶媒と同様なものが適宜用いられる。
【0084】
次に、中間層以外の本発明に好ましく用いられる感光体の構成について記載する。
【0085】
本発明の感光体としては本発明の目的からは有機電子写真感光体(有機感光体とも云う)に本発明の中間層を適用することが好ましい。
【0086】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0087】
有機感光体の層構成は、特に限定はないが、基本的には電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層から構成されるが、その上に表面層を塗設した構成でもよい。又、表面層は保護層の機能と電荷輸送の機能を有しているので電荷輸送層の代わりに用いてもよい。
【0088】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0089】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0090】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0091】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0092】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設ける。
【0093】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0094】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0095】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。
【0096】
フタロシアニン顔料としては下記化学構造式を有するチタニルフタロシアニン顔料が電荷発生物質として良く知られている。
【0097】
【化1】
【0098】
(式中、Xはハロゲン原子を表し、nは0〜1の数を示す)。前記Xが塩素原子の場合nは0〜0.5が好ましく、0〜0.1がより好ましい。
【0099】
本発明ではこのチタニルフタロシアニン顔料の中で、Cu−KαX線に対するX線回折のブラッグ角(2θ±0.2°)において、27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン(オキシチタニルフタロシアニン)、同2θ±0.2において、7.5°、28.5°に顕著なピークを有するチタニルフタロシアニン顔料を用いることが好ましい。これらのチタニルフタロシアニン顔料は温湿度の環境変動が生じた場合に、環境メモリを発生し、黒帯状の画像欠陥を発生したり、高温高湿環境中で黒ポチが発生したり、或いは長時間の連続プリントにより、画像濃度の低下を発生しやすい特性を有しているが、本発明の中間層と組み合わせた場合、このような欠点が解消され、良好な電子写真画像を得ることができる。
【0100】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0101】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0102】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0103】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0104】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0105】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0106】
表面層
感光体の表面層(保護層)として、シロキサンポリカーボネートや架橋タイプのシロキサン系樹脂をバインダーとした層を設けてもよい。
【0107】
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
【0108】
感光層、中間層、表面層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0109】
又、これらの各層の塗布溶液は塗布工程に入る前に、塗布溶液中の異物や凝集物を除去するために、金属フィルター、メンブランフィルター等で濾過することが好ましい。例えば、日本ポール社製のプリーツタイプ(HDC)、デプスタイプ(プロファイル)、セミデプスタイプ(プロファイルスター)等を塗布液の特性に応じて選択し、濾過をすることが好ましい。
【0110】
次に有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0111】
本発明の画像形成方法に係るトナーについて説明する。
本発明の画像形成方法に用いる現像剤中のトナーは、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、トナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下であることを特徴とする。
【0112】
又、現像剤中のトナーは、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、トナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と、個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であることを特徴とする。
【0113】
上記のようなトナーを含有する現像剤を、前記した特定の有機感光体、前記1式及び2式を満足するような従来の現像条件よりは強い電界強度の条件下で反転現像を行うことにより、高電界下で発生しやすいエッジ現象を防止し、その結果文字チリが少なく、階調性、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0114】
本発明者等は、トナー中の小粒径成分の比率が高いと、現像後のトナー画像で、エッジ現象が高くなりやすく、その結果、文字チリが発生し、階調性が不十分な電子写真画像になりやすい。本発明では、現像時のエッジ現象の増大を防止するには、トナー中の小粒径成分の比率を、トナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下にすることにより達成でき、その結果、転写時に発生しやすい文字チリを防止でき、階調性、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることが出来る。
【0115】
又、本発明に用いるトナーは、小粒径成分の比率を小さくすると同時に、より単分散に近い分布を持たせることにより、より一層の効果を得ることができる。即ち、本発明に用いるトナーは、トナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、該トナーの体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と、前記トナーの前記個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20であり、全トナー中において、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下の粒度分布で構成されることにより、階調性、鮮鋭性が、非常に良好で、エッジ効果や文字チリの発生しない優れた電子写真画像を得ることができる。
【0116】
本発明に係るトナー(以下、単にトナーともいう)について説明する。
まず、本発明に係るトナーの体積粒径、個数粒径及び、前記体積粒径と前記個数粒径との比について説明する。
【0117】
本発明に記載の効果を得る観点から、本発明に係るトナーは、粒径分布として単分散であることが好ましく、50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15であることが必要であるが、好ましくは1.0〜1.13である。
【0118】
また、転写性や現像性の変動幅を抑制するためには、トナーの大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20であることが必要であるが、好ましくは、1.1〜1.19である。さらに、全トナー中において、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であることが必要であるが、好ましくは、5個数%〜9個数%である。
【0119】
本発明に係るトナーの50%体積粒径(Dv50)は3μm〜7μmが好ましく、更に、好ましくは3.5μm〜6.5μmである。また、本発明に係るトナーの50%個数粒径(Dp50)は、2μm〜6.5μmが好ましく、更に好ましくは、2.5μm〜6μmである。この範囲とすることにより、本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
【0120】
ここで、大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)或いは累積75%個数粒径(Dp75)とは、粒径の大きな方からの頻度を累積し、全体積の和或いは個数の和に対して、それぞれが75%を示す粒径分布部位の体積粒径或いは個数粒径で表す。
【0121】
本発明において、50%体積粒径(Dv50)、50%個数粒径(Dp50)、累積75%体積粒径(Dv75)、累積75%個数粒径(Dp75)等は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定することが出来る。
【0122】
本発明に係るトナーの構成成分、トナーの構成成分である結着樹脂の成分、その製造などについて説明する。
【0123】
本発明に係るトナーは着色剤、結着樹脂などを少なくとも含有するが、前記トナーは、粉砕・分級工程を経て製造してもよく、下記に示すような重合性単量体を重合して得た樹脂粒子を用いてトナーを作製する、いわゆる重合法で製造してもよい。重合法を用いてトナーを製造する場合には樹脂粒子を塩析/融着する工程を有する製造方法が特に好ましい。
【0124】
重合法に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を構成成分として用い、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
【0125】
(1)ラジカル重合性単量体
ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0126】
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等が挙げられる。
【0127】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0128】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0129】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0130】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0131】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0132】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0133】
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0134】
(2)架橋剤
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0135】
(3)酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン酸基を有する重合性単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の重合性単量体が挙げられる。
【0136】
カルボキシル基を有する重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
【0137】
スルホン酸基を有する重合性単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
【0138】
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0139】
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0140】
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0141】
〔連鎖移動剤〕
分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが出来る。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、四臭化炭素およびスチレンダイマー等が使用される。
【0142】
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
【0143】
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
【0144】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0145】
〔界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0146】
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0147】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0148】
本発明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
【0149】
〔着色剤〕
着色剤としては無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
【0150】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0151】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0152】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0153】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0154】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0155】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0156】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、等が挙げられる。
【0157】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0158】
また、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。
【0159】
これらの有機顔料及び染料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0160】
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0161】
本発明に係るトナーは離型剤を併用してもよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等を離型剤として使用することが出来る。また、本発明においては、下記一般式(2)で示されるエステルワックスを好ましく用いることが出来る。
【0162】
一般式(2)
R1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数を表すが、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。
【0163】
R1、R2は置換基を有しても良い炭化水素基を示す。
R1:炭素数=1〜40、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5
R2:炭素数=1〜40、好ましくは13〜29、更に好ましくは12〜25
以下に、本発明に係るエステル基を有する結晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0164】
【化2】
【0165】
【化3】
【0166】
これらエステルワックスは、樹脂粒子中に含有され、樹脂粒子を融着させて得られるトナーに良好な定着性(画像支持体に対する接着性)を付与する機能を有する。
【0167】
本発明に用いられる離型剤の添加量は、トナー全体に1質量%〜30質量%が好ましく、更に好ましくは2質量%〜20質量%であり、更に好ましくは3〜15質量%である。また、本発明のトナーは、上記の重合性単量体中に前記離型剤を溶解させたものを水中に分散し、重合させ、樹脂粒子中に離型剤として上記のようなエステル系化合物を内包させた粒子を形成させ、着色剤粒子ととも塩析/融着する工程を経て作製されたトナーが好ましい。
【0168】
本発明に係るトナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
【0169】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0170】
本発明に係るトナーに用いられる外添剤について説明する。
本発明に係るトナーには、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されないが、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0171】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0172】
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0173】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0174】
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0175】
滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0176】
これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%が好ましい。
外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置が挙げられる。
【0177】
本発明に係る静電荷像現像用トナーの製造方法について説明する。
《製造工程》
本発明のトナーは、離型剤を溶解した上記記載のような重合性単量体または重合性単量体溶液を水系媒体中に分散し、ついで重合法により離型剤を内包した樹脂粒子を調整する工程、前記樹脂粒子分散液を用いて水系媒体中で樹脂粒子を融着させる工程、得られた粒子を水系媒体中より濾過し界面活性剤などを除去する洗浄工程、得られた粒子を乾燥させる工程、さらに乾燥させて得られた粒子に外添剤などを添加する外添剤添加工程などから構成される重合法で製造することが好ましい。ここで樹脂粒子としては着色された粒子であってもよい。また、非着色粒子を樹脂粒子として使用することもできる、この場合には、樹脂粒子の分散液に着色剤粒子分散液などを添加した後に水系媒体中で融着させることで着色粒子とすることができる。
【0178】
特に、融着の方法としては、重合工程によって生成された樹脂粒子を用いて塩析/融着する方法が好ましい。また、非着色の樹脂粒子を使用した場合には、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で塩析/融着させることができる。
【0179】
また、着色剤や離型剤に限らず、トナーの構成要素である荷電制御剤等も本工程で粒子として添加することができる。
【0180】
なお、ここで水系媒体とは主成分として水からなるもので、水の含有量が50質量%以上であるものを示す。水以外のものとしては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどをあげることができる。好ましくは樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0181】
本発明での好ましい重合法としては、モノマー中に離型剤を溶解したモノマー溶液を臨界ミセル濃度以下の界面活性剤を溶解させた水系媒体中に機械的エネルギーによって油滴分散させた分散液に、水溶性重合開始剤を加え、ラジカル重合させる方法をあげることができる。この場合、モノマー中に油溶性の重合開始剤を加えて使用してもよい。
【0182】
この油滴分散を行うための分散機としては特に限定されるものでは無いが、例えばクレアミックス、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等をあげることができる。
【0183】
着色剤自体は表面改質して使用してもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散し、その中に表面改質剤を添加した後昇温し反応を行う。反応終了後、ろ過し同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返し乾燥させ表面改質剤で処理された顔料を得る。
【0184】
着色剤粒子は着色剤を水系媒体中に分散して調製される方法がある。この分散は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。
【0185】
顔料分散時の分散機は特に限定されないが、好ましくはクレアミックス、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0186】
ここで使用される界面活性剤は、前述の界面活性剤を使用することができる。塩析/融着を行う工程は、樹脂粒子及び着色剤粒子とが存在している水中にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、ついで樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。
【0187】
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0188】
トナーの粒径分布を達成するための方法としては特に限定されないが、例えば分級などの手法による制御や会合時における温度や時間、さらには会合を終了させるための停止方法の制御などの手法を使用することができる。
【0189】
特に好ましい製造方法として、水中での会合時間、会合温度、停止速度などを制御する方法をあげることができる。すなわち、塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。この塩析剤を添加する温度は特に限定されない。
【0190】
本発明では、樹脂粒子の分散液をできるだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱する方法を使用することが好ましい。この昇温までの時間としては30分未満、好ましくは10分未満である。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、1℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、急速な塩析/融着の進行により粗大粒子の発生を抑制する観点で、15℃/分以下が好ましい。特に好ましい形態としては、塩析/融着をガラス転移温度以上になった時点でも継続して進行させる方法をあげることができる。この方法とすることで、粒子の成長とともに融着が効果的に進行させることができ、最終的なトナーとしての耐久性を向上することができる。
【0191】
さらに、会合時に2価の金属塩を使用して塩析/融着することで特に粒径を制御することが可能となる。この理由としては明確ではないが、2価の金属塩を使用することで塩析時の斥力が大きくなり、界面活性剤の分散能を効果的に抑制することが可能となり、結果として流刑分布を制御することが可能となったものと推定される。
【0192】
また、塩析/融着を停止するために1価の金属塩及び水を添加することが好ましい。このものを添加することにより、塩析を停止させることができ、結果として大粒径成分や小粒径成分の存在を抑制することが可能となる。
【0193】
樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0194】
すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、本発明の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0195】
本発明のトナーを所定の形状に制御するためには、塩析と融着を同時進行させることが好ましい。凝集粒子を形成した後に加熱する方法ではその形状に分布を生じやすく、さらに微粒子の発生を抑制することができない。すなわち、凝集粒子を水系媒体中で攪拌しながら加熱するために凝集粒子の再分断が発生し、小粒径の成分が発生しやすいものと推定される。
【0196】
本発明に用いられる現像剤について説明する。
キャリアと混合して二成分現像剤として用いること場合にはキャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0197】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0198】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0199】
本発明の画像形成方法はカラー画像を形成する画像形成方法としても用いることができる。
【0200】
図4は本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段(定着工程でもある)24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0201】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程でもある)2Y、露光手段(露光工程でもある)3Y、現像手段(現像工程でもある)4Y、一次転写手段(一次転写工程でもある)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段(クリーニング工程でもある)6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
【0202】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0203】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y,5M,5C,5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体(記録紙ともいう)としての用紙Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A,22B,22C,22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段(二次転写工程でもある)としての二次転写ローラ5Aに搬送され、用紙P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された用紙Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0204】
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aにより用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0205】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラ5Y,5M,5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y,1M,1Cに圧接する。
【0206】
二次転写ローラ5Aは、ここを用紙Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
【0207】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L,82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0208】
筐体8は、画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
【0209】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y,1M,1C,1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71,72,73,74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y,5M,5C,5K、及びクリーニング手段6Aとから成る。
【0210】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0211】
実施例1
以下のようにして、実施例、比較例に用いる感光体1〜8を作製した。
【0212】
ポリアミド樹脂をイソプロピルアルコールで加温溶解後、定格濾過精度0.2μmのフィルターにて濾過後、酸化チタンSMT500SASを混合、該混合液を分散部分の構造がセラミックで表面加工されたサンドミル分散機で、分散時間10時間、バッチ式にて分散し中間層分散液を作製した。
【0213】
中間層分散液を同じ混合溶媒を用いて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製プロファイルスター絶対濾過精度:1.5μm、圧力;100kPa以下)した。
【0214】
上記中間層分散液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、120℃20分で乾燥し、乾燥膜厚1.7μmの中間層を形成した。
【0215】
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0216】
上記組成物を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、100℃30分で乾燥し、乾燥膜厚23μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
【0217】
感光体2の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体2を作製した。
【0218】
感光体3の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体3を作製した。
【0219】
感光体4の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体4を作製した。
【0220】
感光体5の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体5を作製した。
【0221】
感光体6の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体6を作製した。
【0222】
感光体7の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体7を作製した。
【0223】
感光体8の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成から金属酸化物粒子を除き、中間層膜厚を0.7μmにした以外は同様にして感光体8を作製した。
【0224】
【化4】
【0225】
尚、感光体1〜8の乾燥後の中間層の体積抵抗は前記測定条件で、全て2×108Ω・cm以上であった。
【0226】
尚、各層の膜厚は、中間層の固形分の付量で計算したが、塗布乾燥後、均一膜厚部分をランダムに10ケ所測定し、その平均値の膜厚もほぼ同様の膜厚を示している。膜厚測定は光検出方式の膜厚測定器MCPD−1000(瞬間マルチ測光検出器:大塚電子(株))を用いて行った。
【0227】
《現像剤》
《ラテックス1の製造》
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた5000mlのセパラブルフラスコに予めアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水(2760g)に溶解させた溶液を添加する。窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、内温を80℃に昇温させた。一方で例示化合物19)72.0gをスチレン115.1g、n−ブチルアクリレート42.0g、メタクリル酸10.9gからなるモノマーに加え、80℃に加温し溶解させ、モノマー溶液を作製した。ここで循環経路を有する機械式分散機により上記の加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。ついで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し80℃にて3時間加熱、撹拌することでラテックス粒子を作製した。引き続いて更に重合開始剤(KPS)7.73gをイオン交換水240mlに溶解させた溶液を添加し、15分後、80℃でスチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル14.0gの混合液を120分かけて滴下した。滴下終了後60分加熱撹拌させた後40℃まで冷却しラテックス粒子を得た。
【0228】
このラテックス粒子をラテックス1とする。
《着色粒子の製造》
(着色粒子1Bkの製造)
n−ドデシル硫酸ナトリウム=9.2gをイオン交換水160mlに撹拌溶解する。この液に、撹拌下、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)20gを徐々に加え、ついで、クレアミックスを用いて分散した。大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、重量平均径で112nmであった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0229】
前述の「ラテックス1」1250gとイオン交換水2000ml及び「着色剤分散液1」を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を付けた5リットルの四つ口フラスコに入れ撹拌する。30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10.0に調整した。ついで、塩化マグネシウム6水和物52.6gをイオン交換水72mlに溶解した水溶液を攪拌下、30℃にて5分間で添加した。その後、2分間放置した後に、昇温を開始し、液温度90℃まで5分で昇温する(昇温速度=12℃/分)。その状態で粒径をコールターカウンターTAIIにて測定し、体積平均粒径が4.3μmになった時点で塩化ナトリウム115gをイオン交換水700mlに溶解した水溶液を添加し粒子成長を停止させ、さらに継続して液温度85℃±2℃にて、8時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加し、pHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した着色粒子を下記条件で濾過/洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥し、着色粒子を得た。このものを「着色粒子1Bk」とする。
【0230】
(着色粒子2Bk、3Bk、4Bk及び5Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に変更した以外は同様にして、着色粒子2Bk〜5Bkを各々、製造した。
【0231】
(着色粒子6Bk〜8Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に設定し、且つ、体積平均粒径が3.0μmになった時点で粒子成長を停止させて、各々、着色粒子6Bk〜8Bkを製造した。
【0232】
(着色粒子9Bk、10Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に設定し、且つ、体積平均粒径が6.5μmになった時点で粒子成長を停止させ、各々、着色粒子9Bk、10Bkを製造した。
【0233】
(着色粒子11Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に設定し、且つ、体積平均粒径が2.6μmになった時点で粒子成長を停止させ、各々、着色粒子11Bkを製造した。
【0234】
(着色粒子12Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に設定し、且つ、体積平均粒径が7.0μmになった時点で粒子成長を停止させ、各々、着色粒子12Bkを製造した。
【0235】
着色粒子の製造条件を表1、最終的に得られた着色粒子の各々の物性を表2に示す。
【0236】
【表1】
【0237】
【表2】
【0238】
(トナー粒子の製造)
得られた着色粒子1Bk〜12Bkに、各々、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を0.5質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナー1Bk〜12Bkを得た。
【0239】
なお、トナーの形状及び粒径等の物性は表2に示した着色粒子の物性データとと同一であった。
【0240】
(現像剤の製造)
上記トナー粒子の各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤1Bk〜12Bkを各々、製造した。
【0241】
《評価》
上記感光体を図1及び図2の構造を基本的に有するデジタル複写機(スコロトロン帯電器、半導体レーザ像露光器、反転現像手段を有する)に設定し、複写実験を行った。この実験においては図2のプロセス制御部のメモリー中に未露光部目標電位のプログラムを組み込み、自動的に現像位置の未露光部目標電位が設定されるようにデジタル複写機を改造した。又、現像バイアス電位(Vbias)も目標値に自動的に設定されるように改造した。この複写実験の画像形成に際し、前記電位センサーにより未露光部電位を測定し、目標値の未露光部電位が得られていない場合は、制御部を通して、未露光部目標電位を達成するために、帯電手段の出力値を制御した。
【0242】
《画像評価》
上記デジタル複写機に各感光体、現像剤、現像位置の未露光部電位(VH)及び現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)を表3、表4のように組み合わせて(組み合わせNo.1〜45)、高温高湿:HH(30℃、80%RH)、低温低湿:LL(10℃、10%RH)環境で、A4紙、各5万枚の画素率7%の文字画像の複写を行い、スタート時及び1万枚コピー毎に白べた画像、ハーフトーン画像等の複写を行い、黒ポチ等の画像欠陥の有無を確認した。表3、表4に結果を示す。
【0243】
尚、上記デジタル複写機のその他の評価条件は下記の条件に設定した。
露光条件
露光部電位目標:−50V〜−150Vにする露光量に設定。
【0244】
露光ビーム:ドット密度800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)の像露光を行った。レーザビームスポット面積:0.8×10−9m2、レーザは680nmの半導体レーザを使用
転写条件
転写極;コロナ帯電方式
分離条件:分離爪ユニットの分離手段を用いた
クリーニング条件
クリーニング部に硬度70°、反発弾性65%、厚さ2(mm)、自由長9mmのクリーニングブレードをカウンター方向に線圧18(g/cm)となるように重り荷重方式で当接した。
【0245】
評価基準
黒ポチ(スタート時及び1万枚コピー毎に白べた画像で評価)
黒ポチについては、周期性が感光体の周期と一致し、目視できる黒ポチが、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0246】
◎:0.4mm以上の黒ポチ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の黒ポチ頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の黒ポチ頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
白ヌケ(スタート時及び1万枚コピー毎にハーフトーン画像で評価)
白ヌケについては、周期性が感光体の周期と一致し、目視できる白ヌケが、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0247】
◎:0.4mm以上の白ヌケ頻度:全ての複写画像が5個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の白ヌケ頻度:6個/A4以上、20個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の白ヌケ頻度:21個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
エッジ現象(HH、LL各5万枚コピー毎に評価)
HH及びLL条件で各5万枚の連続コピー終了毎に、2cm幅の相対反射濃度0.5のベタ画像部を0.1mm幅で濃度測定し、中心部濃度と端部近傍の最大濃度の差でエッジ現象を評価した。
【0248】
◎:中心部濃度と端部近傍の最大濃度の差が0.02より小さい(良好)
○:中心部濃度と端部近傍の最大濃度の差が0.02〜0.06(実用上問題なし)
×:中心部濃度と端部近傍の最大濃度の差が0.06より大きい(実用上問題有り)
文字チリ(HH、LL各5万枚コピー毎に評価)
0.1mmの線で作製された5cmの幅の格子画像を先端部に有するオリジナル画像をコピーして評価した。評価はコピー画像を20倍に拡大し、線の連続性及びチリの発生状況を観察した。
【0249】
◎:チリが無く、細線が連続している(良好)
○:チリが目視では判定できないレベルで軽微に発生し、細線が連続している(実用上問題なし)
△:チリが目視でも観察できるレベルで発生しているが細線は連続している(実用性再検討要)
×:チリが目視でも観察できるレベルで発生し、細線も断続する箇所が発生している(実用上問題有り)
画像濃度、階調性及び鮮鋭性の評価
上記評価条件を常温常湿(20℃、60%RH)環境に変更し、白画像から黒ベタ画像まで60段階の階調段差を持つオリジナル画像を複写し、画像濃度と階調性を評価した。評価は複写画像の階調濃度をマクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。
【0250】
(画像濃度)
◎:黒ベタ部濃度が1.3以上(良好)
○:黒ベタ部濃度が1.0〜1.3未満(実用上問題なし)
△:黒ベタ部濃度が0.7〜1.0未満(再評価が必要)
×:黒ベタ部濃度が0.7未満(実用上問題あり)
(階調性)
◎:階調性が41段差以上(良好)
○:階調性が21〜40段差(実用上問題なし)
△:階調性が11〜20段差(実用性の再検討要:階調性が重視されない画質では実用性あり)
×:階調性が10段差以下(実用上問題あり)
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、環境条件の厳しいHH及びLL環境において画像を出し、文字潰れで評価した。文字サイズ(ポイント)が異なる文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0251】
◎:4ポイント以下の文字が明瞭であり、容易に判読可能(良好)
○:6ポイント以下の文字が明瞭であり、容易に判読可能(実用上問題なし)
△:8ポイント以下の文字が明瞭であり、容易に判読可能(再評価が必要)
×:8ポイントの文字の一部又は全部が判読不能(実用上問題あり)
【0252】
【表3】
【0253】
【表4】
【0254】
表3、表4から明らかなように、本発明の画像形成方法、即ち、中間層に金属酸化物粒子を含有する感光体1〜7、現像剤中のトナーの体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、トナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下、及び未露光部電位VHと現像スリーブに印加する直流バイアス電位VDCが前記1式及び2式を同時に満たす場合(組み合わせNo.1〜3、8〜10、15〜17、22〜33)は黒ポチ、白ヌケ、エッジ現象、文字チリ、画像濃度、階調性、鮮鋭性共良好であるが、|VH|−|VDC|が30V(組み合わせNo.6、13、20)だと、黒ポチが発生し、階調性、鮮鋭性が低下している。|VH|−|VDC|が350V(組み合わせNo.7、14、21)だと、弱帯電性トナーの付着に起因した白ヌケ、文字チリが発生し、階調性、鮮鋭性が低下している。又、|VH|が1550(組み合わせNo.5、12、19)だと、静電破壊による黒ポチの欠陥が発生しており、エッジ現象、文字チリの評価も低下し、鮮鋭性が劣化している。|VH|が850V(組み合わせNo.4、11、18)では、階調性が低下している。一方、本発明外の感光体8(組み合わせNo.34、35)を用いた場合は黒ポチが発生しやすく、エッジ現象や文字チリの評価も低下しており、鮮鋭性が劣化している。又、本発明外のトナー(0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%より大きいトナー)を用いた組み合わせ(組み合わせNo.36、37)では、白ヌケが発生し、エッジ現象、文字チリも劣化し、鮮鋭性が低下しており、(組み合わせNo.38〜41)では、白ヌケが発生し、文字チリも発生しており、鮮鋭性が低下している。本発明外のトナー(体積平均粒径が2.5μmのトナー)を用いた組み合わせ(組み合わせNo.42、43)では、白ヌケが発生し、エッジ現象、文字チリも発生しており、階調性、鮮鋭性が低下し、本発明外のトナー(体積平均粒径が7.5μmのトナー)を用いた組み合わせ(組み合わせNo.44、45)では、階調性、鮮鋭性が不十分である。
【0255】
実施例2
実施例1で用いたトナーの作製において、着色分散液中のリーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)の代わりにC.I.ピグメントイエロー185(Yトナー)、C.I.ピグメントレッド122(Mトナー)、C.I.ピグメントブルー15:3(Cトナー)を用いた他は同様にして、トナー1Bk、トナー4Bkと同じような形状係数等を有する表5のトナー1Y、1M、1C、4Y、4M、4C6種を作製した。
〔現像剤の製造〕
上記トナー1Y、1M、1C、4Y、4M、4Cの各々10質量部と、平均粒径45μmのフェライト粒子のコアに絶縁性樹脂を被覆したキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1Y、1M、1C、4Y、4M、4Cを製造した。これらのトナーの形状及び粒径等の物性は表5に示す。
【0256】
【表5】
【0257】
〔現像剤の製造〕
上記トナー1Y、1M、1C、4Y、4M、4Cの各々10質量部と、平均粒径45μmのフェライト粒子のコアに絶縁性樹脂を被覆したキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1Y、1M、1C、4Y、4M、4Cを製造した。
【0258】
これらの現像剤1Bk、1Y、1M、1Cの現像剤1群、及び現像剤4Bk、4Y、4M、4Cの現像剤4群を用い、図4記載の中間転写体を有するカラー画像形成装置に、感光体1と同じ処方で作製した4本、感光体8と同じ処方で作製した4本の各感光体を組み合わせ、カラー画像を作製した。このとき、未露光部電位VHと現像スリーブに印加する直流バイアス電位VDCの条件を表6のように組み合わせた。
【0259】
評価は、実施例1と同じ評価を行った。評価結果も併せて表6に示す。
【0260】
【表6】
【0261】
表6からも明らかなように、中間転写体を用いた画像形成装置で作製したカラー画像も、上記実施例1のモノクロ画像の評価とほぼ同様の結果を示している。
【0262】
即ち、本発明の感光体、現像剤、未露光部電位VHと現像スリーブに印加する直流バイアス電位VDCが前記1式及び2式を同時に満たす場合(組み合わせNo.51〜53)は黒ポチ、白ヌケ、エッジ現象、文字チリ、画像濃度、階調性、鮮鋭性共良好であるが、感光体或いは現像剤が本発明外の組み合わせ(組み合わせNo.54〜57)では、黒ポチ、エッジ現象が低下し、鮮鋭性が劣化したり(組み合わせNo.56、57)、白ヌケ、文字チリが発生し、その結果、階調性や鮮鋭性が低下している(組み合わせNo.54、55)。
【0263】
【発明の効果】
本発明の画像形成方法を用いることにより、黒ポチ、白ヌケ、エッジ現象、文字チリ等の画像欠陥の発生を防止し、且つ、高い画像濃度及び高階調性の電子写真画像が得られる。又、該画像形成方法を用いた画像性能の良好な画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図。
【図2】図1の感光体ドラムの帯電電位制御の構成を拡大した図。
【図3】未露光部目標電位の設定方法を説明する図。
【図4】本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(又は感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
542 搬送量規制部材
543 現像剤攪拌搬送部材
544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機感光体を用いた画像形成方法に関し、特にデジタル書き込みで感光体上に静電潜像を形成し、反転現像を行う画像形成方法及び画像形成装置に関するものであり、該画像形成方法に用いる有機感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法として最も代表的なカールソン法での複写機においては、感光体を一様に帯電させた後、露光によって電荷を像様に消去せしめ、静電荷潜像を形成する。この静電荷潜像をトナーによって現像して可視化し、次いでそのトナーを紙などに転写してから定着することにより画像形成が行われてきた。
【0003】
これまで電子写真感光体としては、セレン、酸化亜鉛、カドミウムなどの無機光導電性物質を感光層の主成分とする無機感光体が、広く使用されてきた。しかし、これらの無機感光体は有害なものが多く、環境対策上問題がある。
【0004】
従って近年、無公害である有機物を用いた有機感光体の開発が盛んであり、広く実用化されてきている。なかでも電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる物質に分担させ、所望の特性を有する化合物を広い範囲から選択できる機能分離型の感光体が盛んに開発されている。
【0005】
又、近年、電子写真法によるカラー画像形成方法として、デジタル信号処理による書き込みで、電子写真感光体上にカラー画像を形成するカラー画像形成方法が盛んに行われる様になってきた。
【0006】
従って、電子写真感光体としては、帯電特性及び感度が良好で、更に暗減衰が低いなど、電子写真特性は勿論のこと、カラー画像に要求される広い階調性、及びデシタル潜像の現像に最も適している反転現像に対する適正が要求される。
【0007】
即ち、電子写真画像の階調性を広くするため、反転現像において、未露光部電位(VH)を高くすると電位の微小欠陥が拡大し黒ポチ(カラーの場合は色ポチ)・混色が顕在化し、低くすると十分な、階調性、画像濃度を得ることが出来ない。更に、未露光部電位(VH)と、感光体と現像スリーブ間の直流バイアス電位(VDC)の電位差を大きくすると、電位の微小欠陥は顕在化しにくくなるが、大きくし過ぎると、微小トナーの付着やキャリア付着が起こりやすいという問題点も提起されている。
【0008】
又、未露光部電位(VH)を高くし、感光体にかかる電界強度を大きくした場合は、静電潜像のエッジ部電位が立ち上がる現象が顕在化し、トナー画像にも画像のエッジ部濃度が高くなり(以後、エッジ現象とも云う)、文字チリが発生したり、階調不良の画像となりやすい。特に、該エッジ現象が現れると、感光体から記録紙へのトナー画像の多数回の転写工程を必要とするカラー画像では、転写時の文字チリ、及び階調不良が顕在化しやすい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カラー画像等で要求される広い階調性、良好な鮮鋭性が得られる画像形成方法を提供することであり、有機感光体に高い帯電電位を付与し、階調性、鮮鋭性を改善する際に発生しやすい黒ポチ、白ヌケ等の画像欠陥の発生を少なくし、トナー付着やキャリア付着を防止した画像形成方法を提供することであり、且つ有機感光体に高い帯電電位を付与した際に発生しやすい過度のエッジ現象や文字チリを防止し、広い階調性、良好な鮮鋭性の電子写真画像を得ることができる画像形成方法を提供することであり、これらの画像形成方法を用いた画像形成装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために検討を重ねた結果、階調性、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得るためには、反転現像の実質的な現像電位幅(通常ダイナミックレンジと称され、露光電位とバイアス電位の差を云う)を広くする現像条件を構成すると同時に、ダイナミックレンジを大きくすることに伴う高帯電の条件下で発生しやすい過度のエッジ現象を防止し、且つ黒ポチ、白ヌケ、文字チリ等の画像欠陥を発生させない有機感光体、現像剤、現像条件の改善が必要であることを見いだし本発明を完成した。即ち、静電潜像の形成に際し、エッジ現象が少なく且つ黒ポチが発生しにくい有機感光体とエッジ現象を防止し、広い階調性、良好な鮮鋭性を可能とする現像剤のそれぞれの長所を生かす現像条件を検討し、これらの有機感光体、現像剤、現像条件の組み合わせが、相乗効果を出す組み合わせを見いだすことにより、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明の目的は、以下の構成を用いることにより達成される。
1.導電性基体上に感光層を有する有機感光体上に、静電潜像を形成し、該静電潜像を反転現像でトナー像に顕像化する画像形成方法において、該反転現像で用いるトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が、導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を分散した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0012】
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V
2.導電性基体上に感光層を有する有機感光体上に、静電潜像を形成し、該静電潜像を反転現像でトナー像に顕像化する画像形成方法において、該反転現像で用いるトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を含有した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0013】
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V
3.導電性基体上に感光層を有する有機感光体上にイエロー画像に対応した静電潜像を形成する工程、イエロートナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にマゼンタ画像に対応した静電潜像を形成する工程、マゼンタトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にシアン画像に対応した静電潜像を形成する工程、シアントナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にブラック画像に対応した静電潜像を形成する工程、ブラックトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、前記中間転写体に転写形成された各色のトナー像を記録紙に転写する工程を含む画像形成方法において、
前記現像剤中のトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が、導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を分散した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0014】
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V
4.導電性基体上に感光層を有する有機感光体上にイエロー画像に対応した静電潜像を形成する工程、イエロートナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にマゼンタ画像に対応した静電潜像を形成する工程、マゼンタトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にシアン画像に対応した静電潜像を形成する工程、シアントナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にブラック画像に対応した静電潜像を形成する工程、ブラックトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、前記中間転写体に転写形成された各色のトナー像を記録紙に転写する工程を含む画像形成方法において、
前記現像剤中のトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を含有した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0015】
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V
5.前記金属酸化物粒子が酸化チタン、酸化亜鉛、及び酸化スズから選ばれる少なくとも1種類以上を用いることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0016】
6.前記金属酸化物粒子がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理がなされていることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0017】
7.前記金属酸化物粒子が複数回の表面処理がなされていることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0018】
8.前記金属酸化物粒子の最後の表面処理が、反応性有機ケイ素化合物によるものであることを特徴とする前記7に記載の画像形成方法。
【0019】
9.前記金属酸化物粒子の最後の表面処理が、フッ素原子を有する反応性有機ケイ素化合物によるものであることを特徴とする前記7に記載の画像形成方法。
【0020】
10.前記1〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明に関わる反転現像の画像形成方法及び画像形成装置の説明をする。この発明に係る画像形成装置の実施形態を添付の図面に基づいて具体的に説明すると共に、実施形態の画像形成装置、現像装置を用いて作像を行なう具体的な実施例を挙げて説明し、本発明の画像形成方法により、黒ポチやカブリの発生もなく、階調性、画像濃度も十分な画像が得られることを明らかにする。
【0022】
図1は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
図1に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布した本発明の感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0023】
感光体への一様帯電の後、像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0024】
ここで、本発明の感光体の未露光部電位とは帯電器52により、感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われない領域の感光体表面電位を意味する。又、露光部電位とは像露光が行われた領域の感光体表面電位を意味する。電位測定は電位センサー547を図1のように現像位置に設けて行う。
【0025】
本発明の画像形成方法においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、像露光をスポット面積が2000μm2以下の露光ビームを用いて行うことが好ましい。このような小径のビーム露光を行っても、本発明の有機感光体は、該スポット面積に対応した画像を忠実に形成することができる。より好ましいスポット面積は、100〜800μm2である。その結果800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)以上で、階調性が豊かな電子写真画像を達成することができる。
【0026】
前記露光ビームのスポット面積とは、該露光ビームを該ビームと垂直な面で切断したとき、該切断面に現れる光強度分布面で、光強度が最大ピーク強度の1/e2以上の領域に相当する面積を意味する。
【0027】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系、及びLEDや液晶シャッター等の固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2までの部分をスポット面積とする。
【0028】
その静電潜像は次いで現像工程で現像器54を用いて現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0029】
現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と本発明の低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は現像スリーブ541に直流バイアス電圧、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0030】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0031】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写器)58が圧接され、給紙された記録紙Pを挟着して転写される。
【0032】
次いで記録紙Pは転写ローラーとほぼ同時に圧接状態とされた分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0033】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0034】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0035】
図2は前記図1の感光体ドラム50の帯電電位制御の構成を拡大した図である。
【0036】
以下に、未露光部電位の測定法と未露光部電位の修正を目的とした帯電電位調整プロセスを図2を用いて説明する。
【0037】
まず、感光体50上に帯電器52により一様に帯電する。帯電された感光体上にレーザダイオードの像露光器53によりデジタル露光されない未露光領域を形成する。該未露光領域の表面電位(未露光部電位)を電位センサー547により検出し、この検出された電位信号は図2中のプロセス制御部63に伝達する。プロセス制御部63は電位センサー547からの電位信号に基づいて帯電極を制御するプロセス制御器である。該制御器は電位センサーからの電位信号と目標電位信号とを比較し、その差を修正し、目標電位を達成する修正信号を決定する。高圧制御ユニット64はプロセス制御部63の制御信号を受け帯電器52に電流、電圧を供給する高圧制御ユニットである。前記決定された修正信号に基づきプロセス制御器から帯電電流、帯電グリット電圧の修正信号が高圧制御ユニットに出され、続いて高圧制御ユニットから帯電器52のコロナワイヤー521、スコロトロングリット522へそれぞれ修正された帯電電流、帯電グリット電圧が出力される。このプロセスを数回繰り返すことにより、電位センサー位置の感光体電位(未露光部電位)を目標電位に修正する事ができる。
【0038】
感光体の現像位置での未露光部電位を正確に測定する為には、上記電位センサーの位置を現像位置に取り付けて(必要により現像器を外して)測定するのが好ましいが、電位センサーの取り付け位置が現像位置から離れている場合は、電位センサーから現像位置までの電位暗減衰量を計算し、その分を補正すればよい。
【0039】
ここで、現像位置とは感光体上の潜像が現像剤により現像される位置を示すが、具体的には感光体と現像スリーブが最も接近した位置を現像位置の中心と見なす。即ち、本発明では現像位置の未露光部電位とは感光体が現像スリーブに最も接近した時の未露光部表面電位を示す。
【0040】
前記未露光部目標電位の設定には種々の方法があるが、本発明に用いられる反転現像方法では次に述べるような未露光部目標電位の設定方法(図3を用いて説明する)が好ましく用いられる。
【0041】
即ち、図3に示すように、プリンターや複写機の毎日の使用開始時、或いは所定のプリント枚数毎に感光体に帯電、像露光を行い、像露光後の露光部電位(VL)を電位センサーにより検知する。該VLを基準にして、画像濃度を支配する現像バイアス電位、次に現像バイアス電位を基準として、カブリの発生を防止する為の未露光部目標電位(VH)を設定する。
【0042】
本発明の反転現像の条件は感光体の現像位置での未露光部電位(VH)が絶対値で900〜1500V、より好ましくは1000〜1450Vである。VHと現像スリーブにかかる直流バイアス電位(VDC)の差(現像バイアス)は50〜300V、より好ましくは70〜250Vである。このような高電圧を印加した条件でも、本発明の感光体及び現像剤を用いて反転現像を行うと、反転現像に特有の黒ポチの発生が少なく、且つエッジ現象や文字チリが改善され、階調性及び鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。|VH|が900Vより低いと、階調性が低くなりやすく、1500Vを超えると、過度のエッジ現象が発生したり、文字チリ、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。又|VH|−|VDC|の差が50Vより小さいと、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすく、300Vを超えると、弱帯電性トナーの付着やキャリア付着の発生が増加する。
【0043】
本発明においては有機感光体と該現像剤を担持する現像スリーブとの距離(Dsd)は350〜800μm、感光体と現像スリーブの線速比は1:1〜1:3.5の範囲が好ましい。前記Dsdが800μmを越えると現像電界が弱くなり、現像性が低下する。
【0044】
本発明の有機感光体は、導電性基体上に感光層を有し、導電性支持体と感光層の間に、バインダー樹脂中に金属酸化物粒子を含有した中間層を有していることを特徴とする。
【0045】
該中間層のバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、エチレン系共重合樹脂、例えばELVAX4260(デュポン社製)、ポリウレタン樹脂、例えばNL2532(三井化学社製)、NL2249E(三井化学社製)、変性ポリオレフィン樹脂、例えばスーパクロン(日本製紙社製)、GS2000((株)鉛市)等が挙げられる。これらの中でも特にアルコール可溶性ポリアミドが好ましい。アルコール可溶性ポリアミドは、溶媒溶解性に優れ、且つ金属酸化物粒子の分散安定性も良好であり、ポリアミド樹脂と金属酸化物粒子粒子の相乗効果により、前記フリーキャリアのブロッキング性が向上し、黒ポチ等の画像欠陥の防止に著しい効果を示す。
【0046】
アルコール可溶性ポリアミドとしては、アルコキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン等が挙げられる。例えば、メトキシメチル化ナイロン、ナイロン6/66/610/12共重合等が市販されている。
【0047】
又、上記ポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。
【0048】
本発明のポリアミド樹脂を溶解し、塗布液を作製する溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミドの溶解性と作製された塗布液の塗布性の点で優れている。これらの溶媒は全溶媒中に30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、更には50〜100質量%が好ましい。前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0049】
又、本発明の中間層のバインダー樹脂としては熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、ポリウレタン、メラミン、エポキシ、アルキッド、フェノール、ブチラール、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。これらの樹脂中に金属酸化物粒子を含有させた中間層を有する有機感光体は高帯電電位を付与する画像形成方法では、繰り返し使用しても、帯電電位が安定しており、感度劣化も少なく、且つ黒ポチの発生を防止し、良好な電子写真画像を形成することができる。
【0050】
本発明の中間層に用いられる金属酸化物粒子は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化タングステン、酸化ビスマス等の金属酸化物が挙げられる。中でも、IIIa、IVa、IVbの金属酸化物粒子が好ましい。具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物が挙げられる。
【0051】
これらの金属酸化物粒子の表面には他の金属酸化物でコーティングする方が好ましい。例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化スズ、酸化アンチモンドープされた酸化スズ等で、芯材となる金属酸化物粒子の表面をコートし、金属酸化物粒子の表面に存在する水酸基を被覆し、耐湿性を改良する方が好ましい。中間層における粒子の含有率は、体積率にして10%から90%が好ましく、更には25%から75%が好ましい。
【0052】
金属酸化物粒子の数平均1次粒子径は10〜400nmであることが好ましい。該数平均1次粒子径とは、金属酸化物粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を1次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。
【0053】
このような金属酸化物粒子を中間層に含有させると画像欠陥の1つであるレーザ光によるモアレを低減したり、中間層のフリーキャリア(導電性支持体等から進入してくる電子やホール)のブロッキング性を高めることができると同時に、高電界下の潜像形成で発生しやすいエッジ現象を防止することができ、結果として文字チリ等の画像欠陥を発生させず、階調性、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0054】
又、本発明に用いる金属酸化物粒子はN型半導性粒子が好ましい。該N型半導性粒子とは、主たる電荷キャリアが電子である粒子を意味する。すなわち、主たる電荷キャリアが電子であることから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
【0055】
前記N型半導性粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の金属酸化物粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0056】
N型半導性粒子の平均粒径は、数平均1次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液のN型半導性粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中のN型半導性粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均1次粒径が前記範囲のN型半導性粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0057】
N型半導性粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0058】
N型半導性粒子に行われる表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0059】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0060】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0061】
また、該複数回の表面処理をアルミナ、シリカを用いて表面処理を行い、次いで反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものが特に好ましい。
【0062】
なお、前述のアルミナ、シリカの処理は同時に行っても良いが、特にシリカ処理を最初に行い、次いでアルミナ処理を行うことが好ましい。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合のアルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多いものが好ましい。
【0063】
前記酸化チタン等のN型半導性粒子のアルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物による表面処理は湿式法で行うことができる。例えば、シリカ、又はアルミナの表面処理を行ったN型半導性粒子は以下の様に作製することができる。
【0064】
N型半導性粒子として酸化チタン粒子を用いる場合、酸化チタン粒子(数平均1次粒子径:50nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
【0065】
なお、上記表面処理に用いられる金属酸化物の量は、前記表面処理時の仕込量にて酸化チタン粒子等のN型半導性粒子100質量部に対して、0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部の金属酸化物が用いられる。尚、前述のアルミナとシリカを用いた場合も例えば酸化チタン粒子の場合、酸化チタン粒子100質量部に対して各々1〜10質量部用いることが好ましく、アルミナよりもシリカの量が多いことが好ましい。
【0066】
上記の金属酸化物による表面処理の次に行われる反応性有機ケイ素化合物による表面処理は以下の様な湿式法で行うことが好ましい。
【0067】
即ち、有機溶剤や水に対して前記反応性有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させた液に前記金属酸化物で処理された酸化チタンを添加し、この液をセラミックビーズを用いたメディア分散を行うことが好ましい。次にメディア分散後の分散液を濾過後、加熱処理をしながら、減圧乾燥し、表面を有機ケイ素化合物で被覆した酸化チタン粒子を得る。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散させた懸濁液に前記反応性有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0068】
尚、本発明において酸化チタン粒子表面が反応性有機ケイ素化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
【0069】
前記表面処理に用いられる反応性有機ケイ素化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にて前記金属酸化物で処理された酸化チタン100質量部に対し、反応性有機ケイ素化合物を0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部が好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内における酸化チタン粒子の分散性等が悪くなる。また、上記範囲を超えてしまうと電気性能を悪化させる結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
【0070】
本発明で用いられる反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0071】
一般式(1)
(R)n−Si−(X)4−n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0072】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0073】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0074】
又、最後の表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0075】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0076】
本発明の酸化チタンの表面処理の他の1つはフッ素原子を有する有機ケイ素化合物により表面処理を施された酸化チタン粒子である。該フッ素原子を有する有機ケイ素化合物による表面処理、前記した湿式法で行うのが好ましい。
【0077】
即ち、有機溶剤や水に対して前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させ、この中に未処理の酸化チタンを添加し、このような溶液をメディア分散し、濾過、加熱処理を施した後に、乾燥し、酸化チタン表面をフッ素原子を有する有機ケイ素化合物で被覆する。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散した懸濁液に前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0078】
尚、前記酸化チタン表面がフッ素原子を有する有機ケイ素化合物によって被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析装置を用いて複合的に確認することができる。
【0079】
本発明に用いられるフッ素原子を有する有機ケイ素化合物としては、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0080】
前記ポリアミド樹脂中に分散されるN型半導性粒子の量は、例えば表面処理酸化チタンの場合では、該バインダー樹脂100質量部に対し、10〜10,000質量部、好ましくは50〜1,000質量部である。該表面処理酸化チタンをこの範囲で用いることにより、該酸化チタンの分散性を良好に保つことができ、黒ポチの発生しない、良好な中間層を形成することができる。
【0081】
又、本発明の中間層は実質的に絶縁層である。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108〜1015Ω・cmである。又、本発明の中間層の体積抵抗は好ましくは1×109〜1014Ω・cm、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmが良い。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0082】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
【0083】
本発明の中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記表面処理酸化チタン等の表面処理N型半導性粒子、バインダー樹脂、分散溶媒等から構成されるが、分散溶媒としては前記したポリアミド樹脂の溶媒と同様なものが適宜用いられる。
【0084】
次に、中間層以外の本発明に好ましく用いられる感光体の構成について記載する。
【0085】
本発明の感光体としては本発明の目的からは有機電子写真感光体(有機感光体とも云う)に本発明の中間層を適用することが好ましい。
【0086】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0087】
有機感光体の層構成は、特に限定はないが、基本的には電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層から構成されるが、その上に表面層を塗設した構成でもよい。又、表面層は保護層の機能と電荷輸送の機能を有しているので電荷輸送層の代わりに用いてもよい。
【0088】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0089】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0090】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0091】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0092】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設ける。
【0093】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0094】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0095】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。
【0096】
フタロシアニン顔料としては下記化学構造式を有するチタニルフタロシアニン顔料が電荷発生物質として良く知られている。
【0097】
【化1】
【0098】
(式中、Xはハロゲン原子を表し、nは0〜1の数を示す)。前記Xが塩素原子の場合nは0〜0.5が好ましく、0〜0.1がより好ましい。
【0099】
本発明ではこのチタニルフタロシアニン顔料の中で、Cu−KαX線に対するX線回折のブラッグ角(2θ±0.2°)において、27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン(オキシチタニルフタロシアニン)、同2θ±0.2において、7.5°、28.5°に顕著なピークを有するチタニルフタロシアニン顔料を用いることが好ましい。これらのチタニルフタロシアニン顔料は温湿度の環境変動が生じた場合に、環境メモリを発生し、黒帯状の画像欠陥を発生したり、高温高湿環境中で黒ポチが発生したり、或いは長時間の連続プリントにより、画像濃度の低下を発生しやすい特性を有しているが、本発明の中間層と組み合わせた場合、このような欠点が解消され、良好な電子写真画像を得ることができる。
【0100】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0101】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0102】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0103】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0104】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0105】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0106】
表面層
感光体の表面層(保護層)として、シロキサンポリカーボネートや架橋タイプのシロキサン系樹脂をバインダーとした層を設けてもよい。
【0107】
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
【0108】
感光層、中間層、表面層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0109】
又、これらの各層の塗布溶液は塗布工程に入る前に、塗布溶液中の異物や凝集物を除去するために、金属フィルター、メンブランフィルター等で濾過することが好ましい。例えば、日本ポール社製のプリーツタイプ(HDC)、デプスタイプ(プロファイル)、セミデプスタイプ(プロファイルスター)等を塗布液の特性に応じて選択し、濾過をすることが好ましい。
【0110】
次に有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0111】
本発明の画像形成方法に係るトナーについて説明する。
本発明の画像形成方法に用いる現像剤中のトナーは、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、トナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下であることを特徴とする。
【0112】
又、現像剤中のトナーは、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、トナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と、個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であることを特徴とする。
【0113】
上記のようなトナーを含有する現像剤を、前記した特定の有機感光体、前記1式及び2式を満足するような従来の現像条件よりは強い電界強度の条件下で反転現像を行うことにより、高電界下で発生しやすいエッジ現象を防止し、その結果文字チリが少なく、階調性、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0114】
本発明者等は、トナー中の小粒径成分の比率が高いと、現像後のトナー画像で、エッジ現象が高くなりやすく、その結果、文字チリが発生し、階調性が不十分な電子写真画像になりやすい。本発明では、現像時のエッジ現象の増大を防止するには、トナー中の小粒径成分の比率を、トナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下にすることにより達成でき、その結果、転写時に発生しやすい文字チリを防止でき、階調性、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることが出来る。
【0115】
又、本発明に用いるトナーは、小粒径成分の比率を小さくすると同時に、より単分散に近い分布を持たせることにより、より一層の効果を得ることができる。即ち、本発明に用いるトナーは、トナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、該トナーの体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と、前記トナーの前記個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20であり、全トナー中において、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下の粒度分布で構成されることにより、階調性、鮮鋭性が、非常に良好で、エッジ効果や文字チリの発生しない優れた電子写真画像を得ることができる。
【0116】
本発明に係るトナー(以下、単にトナーともいう)について説明する。
まず、本発明に係るトナーの体積粒径、個数粒径及び、前記体積粒径と前記個数粒径との比について説明する。
【0117】
本発明に記載の効果を得る観点から、本発明に係るトナーは、粒径分布として単分散であることが好ましく、50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15であることが必要であるが、好ましくは1.0〜1.13である。
【0118】
また、転写性や現像性の変動幅を抑制するためには、トナーの大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20であることが必要であるが、好ましくは、1.1〜1.19である。さらに、全トナー中において、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であることが必要であるが、好ましくは、5個数%〜9個数%である。
【0119】
本発明に係るトナーの50%体積粒径(Dv50)は3μm〜7μmが好ましく、更に、好ましくは3.5μm〜6.5μmである。また、本発明に係るトナーの50%個数粒径(Dp50)は、2μm〜6.5μmが好ましく、更に好ましくは、2.5μm〜6μmである。この範囲とすることにより、本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
【0120】
ここで、大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)或いは累積75%個数粒径(Dp75)とは、粒径の大きな方からの頻度を累積し、全体積の和或いは個数の和に対して、それぞれが75%を示す粒径分布部位の体積粒径或いは個数粒径で表す。
【0121】
本発明において、50%体積粒径(Dv50)、50%個数粒径(Dp50)、累積75%体積粒径(Dv75)、累積75%個数粒径(Dp75)等は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定することが出来る。
【0122】
本発明に係るトナーの構成成分、トナーの構成成分である結着樹脂の成分、その製造などについて説明する。
【0123】
本発明に係るトナーは着色剤、結着樹脂などを少なくとも含有するが、前記トナーは、粉砕・分級工程を経て製造してもよく、下記に示すような重合性単量体を重合して得た樹脂粒子を用いてトナーを作製する、いわゆる重合法で製造してもよい。重合法を用いてトナーを製造する場合には樹脂粒子を塩析/融着する工程を有する製造方法が特に好ましい。
【0124】
重合法に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を構成成分として用い、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
【0125】
(1)ラジカル重合性単量体
ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0126】
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等が挙げられる。
【0127】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0128】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0129】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0130】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0131】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0132】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0133】
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0134】
(2)架橋剤
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0135】
(3)酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン酸基を有する重合性単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の重合性単量体が挙げられる。
【0136】
カルボキシル基を有する重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
【0137】
スルホン酸基を有する重合性単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
【0138】
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0139】
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0140】
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0141】
〔連鎖移動剤〕
分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが出来る。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、四臭化炭素およびスチレンダイマー等が使用される。
【0142】
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
【0143】
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
【0144】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0145】
〔界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0146】
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0147】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0148】
本発明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
【0149】
〔着色剤〕
着色剤としては無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
【0150】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0151】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0152】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0153】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0154】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0155】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0156】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、等が挙げられる。
【0157】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0158】
また、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。
【0159】
これらの有機顔料及び染料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0160】
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0161】
本発明に係るトナーは離型剤を併用してもよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等を離型剤として使用することが出来る。また、本発明においては、下記一般式(2)で示されるエステルワックスを好ましく用いることが出来る。
【0162】
一般式(2)
R1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数を表すが、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。
【0163】
R1、R2は置換基を有しても良い炭化水素基を示す。
R1:炭素数=1〜40、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5
R2:炭素数=1〜40、好ましくは13〜29、更に好ましくは12〜25
以下に、本発明に係るエステル基を有する結晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0164】
【化2】
【0165】
【化3】
【0166】
これらエステルワックスは、樹脂粒子中に含有され、樹脂粒子を融着させて得られるトナーに良好な定着性(画像支持体に対する接着性)を付与する機能を有する。
【0167】
本発明に用いられる離型剤の添加量は、トナー全体に1質量%〜30質量%が好ましく、更に好ましくは2質量%〜20質量%であり、更に好ましくは3〜15質量%である。また、本発明のトナーは、上記の重合性単量体中に前記離型剤を溶解させたものを水中に分散し、重合させ、樹脂粒子中に離型剤として上記のようなエステル系化合物を内包させた粒子を形成させ、着色剤粒子ととも塩析/融着する工程を経て作製されたトナーが好ましい。
【0168】
本発明に係るトナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
【0169】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0170】
本発明に係るトナーに用いられる外添剤について説明する。
本発明に係るトナーには、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されないが、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0171】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0172】
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0173】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0174】
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0175】
滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0176】
これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%が好ましい。
外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置が挙げられる。
【0177】
本発明に係る静電荷像現像用トナーの製造方法について説明する。
《製造工程》
本発明のトナーは、離型剤を溶解した上記記載のような重合性単量体または重合性単量体溶液を水系媒体中に分散し、ついで重合法により離型剤を内包した樹脂粒子を調整する工程、前記樹脂粒子分散液を用いて水系媒体中で樹脂粒子を融着させる工程、得られた粒子を水系媒体中より濾過し界面活性剤などを除去する洗浄工程、得られた粒子を乾燥させる工程、さらに乾燥させて得られた粒子に外添剤などを添加する外添剤添加工程などから構成される重合法で製造することが好ましい。ここで樹脂粒子としては着色された粒子であってもよい。また、非着色粒子を樹脂粒子として使用することもできる、この場合には、樹脂粒子の分散液に着色剤粒子分散液などを添加した後に水系媒体中で融着させることで着色粒子とすることができる。
【0178】
特に、融着の方法としては、重合工程によって生成された樹脂粒子を用いて塩析/融着する方法が好ましい。また、非着色の樹脂粒子を使用した場合には、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で塩析/融着させることができる。
【0179】
また、着色剤や離型剤に限らず、トナーの構成要素である荷電制御剤等も本工程で粒子として添加することができる。
【0180】
なお、ここで水系媒体とは主成分として水からなるもので、水の含有量が50質量%以上であるものを示す。水以外のものとしては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどをあげることができる。好ましくは樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0181】
本発明での好ましい重合法としては、モノマー中に離型剤を溶解したモノマー溶液を臨界ミセル濃度以下の界面活性剤を溶解させた水系媒体中に機械的エネルギーによって油滴分散させた分散液に、水溶性重合開始剤を加え、ラジカル重合させる方法をあげることができる。この場合、モノマー中に油溶性の重合開始剤を加えて使用してもよい。
【0182】
この油滴分散を行うための分散機としては特に限定されるものでは無いが、例えばクレアミックス、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等をあげることができる。
【0183】
着色剤自体は表面改質して使用してもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散し、その中に表面改質剤を添加した後昇温し反応を行う。反応終了後、ろ過し同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返し乾燥させ表面改質剤で処理された顔料を得る。
【0184】
着色剤粒子は着色剤を水系媒体中に分散して調製される方法がある。この分散は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。
【0185】
顔料分散時の分散機は特に限定されないが、好ましくはクレアミックス、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0186】
ここで使用される界面活性剤は、前述の界面活性剤を使用することができる。塩析/融着を行う工程は、樹脂粒子及び着色剤粒子とが存在している水中にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、ついで樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。
【0187】
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0188】
トナーの粒径分布を達成するための方法としては特に限定されないが、例えば分級などの手法による制御や会合時における温度や時間、さらには会合を終了させるための停止方法の制御などの手法を使用することができる。
【0189】
特に好ましい製造方法として、水中での会合時間、会合温度、停止速度などを制御する方法をあげることができる。すなわち、塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。この塩析剤を添加する温度は特に限定されない。
【0190】
本発明では、樹脂粒子の分散液をできるだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱する方法を使用することが好ましい。この昇温までの時間としては30分未満、好ましくは10分未満である。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、1℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、急速な塩析/融着の進行により粗大粒子の発生を抑制する観点で、15℃/分以下が好ましい。特に好ましい形態としては、塩析/融着をガラス転移温度以上になった時点でも継続して進行させる方法をあげることができる。この方法とすることで、粒子の成長とともに融着が効果的に進行させることができ、最終的なトナーとしての耐久性を向上することができる。
【0191】
さらに、会合時に2価の金属塩を使用して塩析/融着することで特に粒径を制御することが可能となる。この理由としては明確ではないが、2価の金属塩を使用することで塩析時の斥力が大きくなり、界面活性剤の分散能を効果的に抑制することが可能となり、結果として流刑分布を制御することが可能となったものと推定される。
【0192】
また、塩析/融着を停止するために1価の金属塩及び水を添加することが好ましい。このものを添加することにより、塩析を停止させることができ、結果として大粒径成分や小粒径成分の存在を抑制することが可能となる。
【0193】
樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0194】
すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、本発明の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0195】
本発明のトナーを所定の形状に制御するためには、塩析と融着を同時進行させることが好ましい。凝集粒子を形成した後に加熱する方法ではその形状に分布を生じやすく、さらに微粒子の発生を抑制することができない。すなわち、凝集粒子を水系媒体中で攪拌しながら加熱するために凝集粒子の再分断が発生し、小粒径の成分が発生しやすいものと推定される。
【0196】
本発明に用いられる現像剤について説明する。
キャリアと混合して二成分現像剤として用いること場合にはキャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0197】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0198】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0199】
本発明の画像形成方法はカラー画像を形成する画像形成方法としても用いることができる。
【0200】
図4は本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段(定着工程でもある)24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0201】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程でもある)2Y、露光手段(露光工程でもある)3Y、現像手段(現像工程でもある)4Y、一次転写手段(一次転写工程でもある)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段(クリーニング工程でもある)6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
【0202】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0203】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y,5M,5C,5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体(記録紙ともいう)としての用紙Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A,22B,22C,22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段(二次転写工程でもある)としての二次転写ローラ5Aに搬送され、用紙P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された用紙Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0204】
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aにより用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0205】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラ5Y,5M,5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y,1M,1Cに圧接する。
【0206】
二次転写ローラ5Aは、ここを用紙Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
【0207】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L,82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0208】
筐体8は、画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
【0209】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y,1M,1C,1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71,72,73,74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y,5M,5C,5K、及びクリーニング手段6Aとから成る。
【0210】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0211】
実施例1
以下のようにして、実施例、比較例に用いる感光体1〜8を作製した。
【0212】
ポリアミド樹脂をイソプロピルアルコールで加温溶解後、定格濾過精度0.2μmのフィルターにて濾過後、酸化チタンSMT500SASを混合、該混合液を分散部分の構造がセラミックで表面加工されたサンドミル分散機で、分散時間10時間、バッチ式にて分散し中間層分散液を作製した。
【0213】
中間層分散液を同じ混合溶媒を用いて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製プロファイルスター絶対濾過精度:1.5μm、圧力;100kPa以下)した。
【0214】
上記中間層分散液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、120℃20分で乾燥し、乾燥膜厚1.7μmの中間層を形成した。
【0215】
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0216】
上記組成物を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、100℃30分で乾燥し、乾燥膜厚23μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
【0217】
感光体2の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体2を作製した。
【0218】
感光体3の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体3を作製した。
【0219】
感光体4の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体4を作製した。
【0220】
感光体5の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体5を作製した。
【0221】
感光体6の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体6を作製した。
【0222】
感光体7の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成を下記のように変更した以外は同様にして感光体7を作製した。
【0223】
感光体8の作製
感光体1の作製において、中間層分散液の組成から金属酸化物粒子を除き、中間層膜厚を0.7μmにした以外は同様にして感光体8を作製した。
【0224】
【化4】
【0225】
尚、感光体1〜8の乾燥後の中間層の体積抵抗は前記測定条件で、全て2×108Ω・cm以上であった。
【0226】
尚、各層の膜厚は、中間層の固形分の付量で計算したが、塗布乾燥後、均一膜厚部分をランダムに10ケ所測定し、その平均値の膜厚もほぼ同様の膜厚を示している。膜厚測定は光検出方式の膜厚測定器MCPD−1000(瞬間マルチ測光検出器:大塚電子(株))を用いて行った。
【0227】
《現像剤》
《ラテックス1の製造》
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた5000mlのセパラブルフラスコに予めアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水(2760g)に溶解させた溶液を添加する。窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、内温を80℃に昇温させた。一方で例示化合物19)72.0gをスチレン115.1g、n−ブチルアクリレート42.0g、メタクリル酸10.9gからなるモノマーに加え、80℃に加温し溶解させ、モノマー溶液を作製した。ここで循環経路を有する機械式分散機により上記の加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。ついで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し80℃にて3時間加熱、撹拌することでラテックス粒子を作製した。引き続いて更に重合開始剤(KPS)7.73gをイオン交換水240mlに溶解させた溶液を添加し、15分後、80℃でスチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル14.0gの混合液を120分かけて滴下した。滴下終了後60分加熱撹拌させた後40℃まで冷却しラテックス粒子を得た。
【0228】
このラテックス粒子をラテックス1とする。
《着色粒子の製造》
(着色粒子1Bkの製造)
n−ドデシル硫酸ナトリウム=9.2gをイオン交換水160mlに撹拌溶解する。この液に、撹拌下、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)20gを徐々に加え、ついで、クレアミックスを用いて分散した。大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、重量平均径で112nmであった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0229】
前述の「ラテックス1」1250gとイオン交換水2000ml及び「着色剤分散液1」を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を付けた5リットルの四つ口フラスコに入れ撹拌する。30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10.0に調整した。ついで、塩化マグネシウム6水和物52.6gをイオン交換水72mlに溶解した水溶液を攪拌下、30℃にて5分間で添加した。その後、2分間放置した後に、昇温を開始し、液温度90℃まで5分で昇温する(昇温速度=12℃/分)。その状態で粒径をコールターカウンターTAIIにて測定し、体積平均粒径が4.3μmになった時点で塩化ナトリウム115gをイオン交換水700mlに溶解した水溶液を添加し粒子成長を停止させ、さらに継続して液温度85℃±2℃にて、8時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加し、pHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した着色粒子を下記条件で濾過/洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥し、着色粒子を得た。このものを「着色粒子1Bk」とする。
【0230】
(着色粒子2Bk、3Bk、4Bk及び5Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に変更した以外は同様にして、着色粒子2Bk〜5Bkを各々、製造した。
【0231】
(着色粒子6Bk〜8Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に設定し、且つ、体積平均粒径が3.0μmになった時点で粒子成長を停止させて、各々、着色粒子6Bk〜8Bkを製造した。
【0232】
(着色粒子9Bk、10Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に設定し、且つ、体積平均粒径が6.5μmになった時点で粒子成長を停止させ、各々、着色粒子9Bk、10Bkを製造した。
【0233】
(着色粒子11Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に設定し、且つ、体積平均粒径が2.6μmになった時点で粒子成長を停止させ、各々、着色粒子11Bkを製造した。
【0234】
(着色粒子12Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表1に記載の製造条件に設定し、且つ、体積平均粒径が7.0μmになった時点で粒子成長を停止させ、各々、着色粒子12Bkを製造した。
【0235】
着色粒子の製造条件を表1、最終的に得られた着色粒子の各々の物性を表2に示す。
【0236】
【表1】
【0237】
【表2】
【0238】
(トナー粒子の製造)
得られた着色粒子1Bk〜12Bkに、各々、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を0.5質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナー1Bk〜12Bkを得た。
【0239】
なお、トナーの形状及び粒径等の物性は表2に示した着色粒子の物性データとと同一であった。
【0240】
(現像剤の製造)
上記トナー粒子の各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤1Bk〜12Bkを各々、製造した。
【0241】
《評価》
上記感光体を図1及び図2の構造を基本的に有するデジタル複写機(スコロトロン帯電器、半導体レーザ像露光器、反転現像手段を有する)に設定し、複写実験を行った。この実験においては図2のプロセス制御部のメモリー中に未露光部目標電位のプログラムを組み込み、自動的に現像位置の未露光部目標電位が設定されるようにデジタル複写機を改造した。又、現像バイアス電位(Vbias)も目標値に自動的に設定されるように改造した。この複写実験の画像形成に際し、前記電位センサーにより未露光部電位を測定し、目標値の未露光部電位が得られていない場合は、制御部を通して、未露光部目標電位を達成するために、帯電手段の出力値を制御した。
【0242】
《画像評価》
上記デジタル複写機に各感光体、現像剤、現像位置の未露光部電位(VH)及び現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)を表3、表4のように組み合わせて(組み合わせNo.1〜45)、高温高湿:HH(30℃、80%RH)、低温低湿:LL(10℃、10%RH)環境で、A4紙、各5万枚の画素率7%の文字画像の複写を行い、スタート時及び1万枚コピー毎に白べた画像、ハーフトーン画像等の複写を行い、黒ポチ等の画像欠陥の有無を確認した。表3、表4に結果を示す。
【0243】
尚、上記デジタル複写機のその他の評価条件は下記の条件に設定した。
露光条件
露光部電位目標:−50V〜−150Vにする露光量に設定。
【0244】
露光ビーム:ドット密度800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)の像露光を行った。レーザビームスポット面積:0.8×10−9m2、レーザは680nmの半導体レーザを使用
転写条件
転写極;コロナ帯電方式
分離条件:分離爪ユニットの分離手段を用いた
クリーニング条件
クリーニング部に硬度70°、反発弾性65%、厚さ2(mm)、自由長9mmのクリーニングブレードをカウンター方向に線圧18(g/cm)となるように重り荷重方式で当接した。
【0245】
評価基準
黒ポチ(スタート時及び1万枚コピー毎に白べた画像で評価)
黒ポチについては、周期性が感光体の周期と一致し、目視できる黒ポチが、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0246】
◎:0.4mm以上の黒ポチ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の黒ポチ頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の黒ポチ頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
白ヌケ(スタート時及び1万枚コピー毎にハーフトーン画像で評価)
白ヌケについては、周期性が感光体の周期と一致し、目視できる白ヌケが、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0247】
◎:0.4mm以上の白ヌケ頻度:全ての複写画像が5個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の白ヌケ頻度:6個/A4以上、20個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の白ヌケ頻度:21個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
エッジ現象(HH、LL各5万枚コピー毎に評価)
HH及びLL条件で各5万枚の連続コピー終了毎に、2cm幅の相対反射濃度0.5のベタ画像部を0.1mm幅で濃度測定し、中心部濃度と端部近傍の最大濃度の差でエッジ現象を評価した。
【0248】
◎:中心部濃度と端部近傍の最大濃度の差が0.02より小さい(良好)
○:中心部濃度と端部近傍の最大濃度の差が0.02〜0.06(実用上問題なし)
×:中心部濃度と端部近傍の最大濃度の差が0.06より大きい(実用上問題有り)
文字チリ(HH、LL各5万枚コピー毎に評価)
0.1mmの線で作製された5cmの幅の格子画像を先端部に有するオリジナル画像をコピーして評価した。評価はコピー画像を20倍に拡大し、線の連続性及びチリの発生状況を観察した。
【0249】
◎:チリが無く、細線が連続している(良好)
○:チリが目視では判定できないレベルで軽微に発生し、細線が連続している(実用上問題なし)
△:チリが目視でも観察できるレベルで発生しているが細線は連続している(実用性再検討要)
×:チリが目視でも観察できるレベルで発生し、細線も断続する箇所が発生している(実用上問題有り)
画像濃度、階調性及び鮮鋭性の評価
上記評価条件を常温常湿(20℃、60%RH)環境に変更し、白画像から黒ベタ画像まで60段階の階調段差を持つオリジナル画像を複写し、画像濃度と階調性を評価した。評価は複写画像の階調濃度をマクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。
【0250】
(画像濃度)
◎:黒ベタ部濃度が1.3以上(良好)
○:黒ベタ部濃度が1.0〜1.3未満(実用上問題なし)
△:黒ベタ部濃度が0.7〜1.0未満(再評価が必要)
×:黒ベタ部濃度が0.7未満(実用上問題あり)
(階調性)
◎:階調性が41段差以上(良好)
○:階調性が21〜40段差(実用上問題なし)
△:階調性が11〜20段差(実用性の再検討要:階調性が重視されない画質では実用性あり)
×:階調性が10段差以下(実用上問題あり)
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、環境条件の厳しいHH及びLL環境において画像を出し、文字潰れで評価した。文字サイズ(ポイント)が異なる文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0251】
◎:4ポイント以下の文字が明瞭であり、容易に判読可能(良好)
○:6ポイント以下の文字が明瞭であり、容易に判読可能(実用上問題なし)
△:8ポイント以下の文字が明瞭であり、容易に判読可能(再評価が必要)
×:8ポイントの文字の一部又は全部が判読不能(実用上問題あり)
【0252】
【表3】
【0253】
【表4】
【0254】
表3、表4から明らかなように、本発明の画像形成方法、即ち、中間層に金属酸化物粒子を含有する感光体1〜7、現像剤中のトナーの体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、トナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下、及び未露光部電位VHと現像スリーブに印加する直流バイアス電位VDCが前記1式及び2式を同時に満たす場合(組み合わせNo.1〜3、8〜10、15〜17、22〜33)は黒ポチ、白ヌケ、エッジ現象、文字チリ、画像濃度、階調性、鮮鋭性共良好であるが、|VH|−|VDC|が30V(組み合わせNo.6、13、20)だと、黒ポチが発生し、階調性、鮮鋭性が低下している。|VH|−|VDC|が350V(組み合わせNo.7、14、21)だと、弱帯電性トナーの付着に起因した白ヌケ、文字チリが発生し、階調性、鮮鋭性が低下している。又、|VH|が1550(組み合わせNo.5、12、19)だと、静電破壊による黒ポチの欠陥が発生しており、エッジ現象、文字チリの評価も低下し、鮮鋭性が劣化している。|VH|が850V(組み合わせNo.4、11、18)では、階調性が低下している。一方、本発明外の感光体8(組み合わせNo.34、35)を用いた場合は黒ポチが発生しやすく、エッジ現象や文字チリの評価も低下しており、鮮鋭性が劣化している。又、本発明外のトナー(0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%より大きいトナー)を用いた組み合わせ(組み合わせNo.36、37)では、白ヌケが発生し、エッジ現象、文字チリも劣化し、鮮鋭性が低下しており、(組み合わせNo.38〜41)では、白ヌケが発生し、文字チリも発生しており、鮮鋭性が低下している。本発明外のトナー(体積平均粒径が2.5μmのトナー)を用いた組み合わせ(組み合わせNo.42、43)では、白ヌケが発生し、エッジ現象、文字チリも発生しており、階調性、鮮鋭性が低下し、本発明外のトナー(体積平均粒径が7.5μmのトナー)を用いた組み合わせ(組み合わせNo.44、45)では、階調性、鮮鋭性が不十分である。
【0255】
実施例2
実施例1で用いたトナーの作製において、着色分散液中のリーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)の代わりにC.I.ピグメントイエロー185(Yトナー)、C.I.ピグメントレッド122(Mトナー)、C.I.ピグメントブルー15:3(Cトナー)を用いた他は同様にして、トナー1Bk、トナー4Bkと同じような形状係数等を有する表5のトナー1Y、1M、1C、4Y、4M、4C6種を作製した。
〔現像剤の製造〕
上記トナー1Y、1M、1C、4Y、4M、4Cの各々10質量部と、平均粒径45μmのフェライト粒子のコアに絶縁性樹脂を被覆したキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1Y、1M、1C、4Y、4M、4Cを製造した。これらのトナーの形状及び粒径等の物性は表5に示す。
【0256】
【表5】
【0257】
〔現像剤の製造〕
上記トナー1Y、1M、1C、4Y、4M、4Cの各々10質量部と、平均粒径45μmのフェライト粒子のコアに絶縁性樹脂を被覆したキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1Y、1M、1C、4Y、4M、4Cを製造した。
【0258】
これらの現像剤1Bk、1Y、1M、1Cの現像剤1群、及び現像剤4Bk、4Y、4M、4Cの現像剤4群を用い、図4記載の中間転写体を有するカラー画像形成装置に、感光体1と同じ処方で作製した4本、感光体8と同じ処方で作製した4本の各感光体を組み合わせ、カラー画像を作製した。このとき、未露光部電位VHと現像スリーブに印加する直流バイアス電位VDCの条件を表6のように組み合わせた。
【0259】
評価は、実施例1と同じ評価を行った。評価結果も併せて表6に示す。
【0260】
【表6】
【0261】
表6からも明らかなように、中間転写体を用いた画像形成装置で作製したカラー画像も、上記実施例1のモノクロ画像の評価とほぼ同様の結果を示している。
【0262】
即ち、本発明の感光体、現像剤、未露光部電位VHと現像スリーブに印加する直流バイアス電位VDCが前記1式及び2式を同時に満たす場合(組み合わせNo.51〜53)は黒ポチ、白ヌケ、エッジ現象、文字チリ、画像濃度、階調性、鮮鋭性共良好であるが、感光体或いは現像剤が本発明外の組み合わせ(組み合わせNo.54〜57)では、黒ポチ、エッジ現象が低下し、鮮鋭性が劣化したり(組み合わせNo.56、57)、白ヌケ、文字チリが発生し、その結果、階調性や鮮鋭性が低下している(組み合わせNo.54、55)。
【0263】
【発明の効果】
本発明の画像形成方法を用いることにより、黒ポチ、白ヌケ、エッジ現象、文字チリ等の画像欠陥の発生を防止し、且つ、高い画像濃度及び高階調性の電子写真画像が得られる。又、該画像形成方法を用いた画像性能の良好な画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図。
【図2】図1の感光体ドラムの帯電電位制御の構成を拡大した図。
【図3】未露光部目標電位の設定方法を説明する図。
【図4】本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(又は感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
542 搬送量規制部材
543 現像剤攪拌搬送部材
544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
Claims (10)
- 導電性基体上に感光層を有する有機感光体上に、静電潜像を形成し、該静電潜像を反転現像でトナー像に顕像化する画像形成方法において、該反転現像で用いるトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が、導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を分散した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V - 導電性基体上に感光層を有する有機感光体上に、静電潜像を形成し、該静電潜像を反転現像でトナー像に顕像化する画像形成方法において、該反転現像で用いるトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を含有した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V - 導電性基体上に感光層を有する有機感光体上にイエロー画像に対応した静電潜像を形成する工程、イエロートナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にマゼンタ画像に対応した静電潜像を形成する工程、マゼンタトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にシアン画像に対応した静電潜像を形成する工程、シアントナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にブラック画像に対応した静電潜像を形成する工程、ブラックトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、前記中間転写体に転写形成された各色のトナー像を記録紙に転写する工程を含む画像形成方法において、
前記現像剤中のトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%個数粒径をDp50とすると、0.7×Dp50以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が、導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を分散した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V - 導電性基体上に感光層を有する有機感光体上にイエロー画像に対応した静電潜像を形成する工程、イエロートナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にマゼンタ画像に対応した静電潜像を形成する工程、マゼンタトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にシアン画像に対応した静電潜像を形成する工程、シアントナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、有機感光体上にブラック画像に対応した静電潜像を形成する工程、ブラックトナーを含む現像剤で当該静電潜像を現像する工程、前記有機感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、前記中間転写体に転写形成された各色のトナー像を記録紙に転写する工程を含む画像形成方法において、
前記現像剤中のトナーが、体積平均粒径が3.0〜7.0μmであり、且つトナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であり、該有機感光体が導電性支持体と感光層の間にバインダー樹脂中に金属酸化物粒子を含有した中間層を有しており、現像位置での静電潜像の未露光電位(VH)が、下記1式を満足し、且つ該未露光電位(VH)と現像スリーブに印加する直流バイアス電位(VDC)との関係が下記2式を満たすことを特徴とする画像形成方法。
1式 900V≦|VH|≦1500V
2式 50V≦|VH|−|VDC|≦300V - 前記金属酸化物粒子が酸化チタン、酸化亜鉛、及び酸化スズから選ばれる少なくとも1種類以上を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記金属酸化物粒子がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理がなされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記金属酸化物粒子が複数回の表面処理がなされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記金属酸化物粒子の最後の表面処理が、反応性有機ケイ素化合物によるものであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
- 前記金属酸化物粒子の最後の表面処理が、フッ素原子を有する反応性有機ケイ素化合物によるものであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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