JP2004134928A - 信号伝送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】2本の伝送線の極性を検出することなく、かつその検出結果に合わせて接続を切り替えることもなしに、通信を行える信号伝送装置を提供する。
【解決手段】2本の伝送線(6a、6b)で構成された伝送路(6)に接続された複数のユニット(11〜16)を備えた信号伝送装置であって、前記複数のユニット(11〜16)のそれぞれは、前記伝送路(6)に電圧を印加する電圧印加部(40)と、前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定する電圧印加判定部と、前記伝送路(6)の極性に対する極性合わせの動作を行うこと無しに前記伝送路(6)を短絡させることでデータを送信するデータ送信部(41)と、前記伝送路(6)に電位差があるか否かを検出することでデータを受信するデータ受信部(42)とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】2本の伝送線(6a、6b)で構成された伝送路(6)に接続された複数のユニット(11〜16)を備えた信号伝送装置であって、前記複数のユニット(11〜16)のそれぞれは、前記伝送路(6)に電圧を印加する電圧印加部(40)と、前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定する電圧印加判定部と、前記伝送路(6)の極性に対する極性合わせの動作を行うこと無しに前記伝送路(6)を短絡させることでデータを送信するデータ送信部(41)と、前記伝送路(6)に電位差があるか否かを検出することでデータを受信するデータ受信部(42)とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2本の伝送路上に、複数の給電可能な端末機とリモートコントローラが接続されており、各端末機とリモコンの間で、ベースバンド信号の授受を行う情報伝送装置では、通信の極性を合わせるために直流電源の極性を検出して、その極性に切り替え合わせる機能が必要であった。
【0003】
特開平6−6357号公報には、情報伝送路に電源電圧が重畳されているか否かを検出できると共に、情報伝送路に電源電圧が重畳されている場合には、端末器の接続端子が情報伝送路に対して正極接続または逆極接続のいずれかであるのかを判別でき、その判別結果に基づいて、送信極性切換スイッチを制御することによって正極側出力ポートを正極側伝送路に接続でき、負極側出力ポートを負極性伝送路に接続する技術が示されている。
【0004】
また、図7は、特開平9−133395号公報に記載された空気調和機を示している。同技術は、複数の室内機101のすべてをリモートコントローラ104と同一伝送路106で接続し、室内機101には、アドレス値の設定を行うアドレス設定手段109を設け、アドレス設定手段109で設定されたアドレス値が予め設定された給電許可アドレス値である室内機101のリモコン動作用電源供給手段111をオン状態にし、リモートコントローラ104へ電力を供給する室内機101を一台だけにするものである。
【0005】
上記特開平9−133395号公報では、複数の室内機101のアドレス設定手段109のアドレス値が相互に異なるように設定される必要があるが、誤って重複した値にアドレス値が設定されると、複数台の室内機101が同時に電源供給を行うおそれがある。
【0006】
また、上記特開平9−133395号公報の技術によれば、アドレス値が重複無く正しく設定されたとしても、電源供給を行う室内機101のアドレス値(上記給電許可アドレス値、同公報の例では”0”)に設定された室内機101の電源が入っていない場合には、その室内機101から電源供給は行われず、また、他の室内機101も上記給電許可アドレス値を有していないため、電源供給を行わない。そのため、何らかの事情により上記給電許可アドレス値に設定された室内機101の電源が長期間投入されない場合には、その代わりとして電源供給を行う室内機101を確保すべく、他の室内機101に、上記給電許可アドレス値を設定し直す必要が生じる。
【0007】
図8は、日本国特許番号第2692467号公報に記載された空調制御装置の電力供給装置を示している。同技術では、室内制御ユニット202には、予め室内制御ユニット202毎の異なるシリアル番号を設定されて記憶しているEEPROM(番号記憶手段)と、電力供給手段251と、電源ライン252を監視してリモコンに対する他の室内制御ユニット202からの給電状態か否かを判定する給電判定手段221aと、該給電判定手段221aがリモコンの給電状態を判定すると、自己をリモコンの無給電ユニットに決定する無給電決定手段221bと、上記シリアル番号に基づいて給電タイミングを設定するタイミング手段221cと、該タイミング手段221cの給電タイミングに上記給電判定手段221aがリモコンの無給電状態を判定すると、自己をリモコンの給電ユニットに決定して上記電力供給手段251からリモコンに電力を供給する給電決定手段221dとが設けられている。
【0008】
上記特許番号第2692467号の技術では、複数の室内制御ユニット202にそれぞれ予めシリアル番号が設定されて記憶されている。そのシリアル番号は、例えば、製造出荷時等において各室内制御ユニット毎に異なるシリアル番号が設定されている旨が同公報に明記されている。この技術によれば、工場からの出荷時に、各室内制御ユニットにシリアル番号を重複無く記憶させる作業が必要となる。誤って重複した値にシリアル番号が設定されると、複数台の室内制御ユニット202が同時に電源供給を行うおそれがある。
【0009】
図9は、日本国特許番号第3161016号公報に記載された情報伝達装置を示している。同情報伝達装置は、2本の信号線30lx、30lyで構成された伝送路301と、各々該伝送路301に接続された複数のユニット310、315、360とを備え、該複数のユニット310、315、360は、各々前記伝送路301を通して、該複数のユニット310、315、360を集中制御するためのリモートコントローラとの間でベースバンド信号の授受を行う情報伝送装置であって、前記複数のユニット310、315、360のうちの特定のユニット360は、前記リモートコントローラを動作させるための直流電源を前記伝送路301の2本の信号線301x、301y間に供給する機能を有し、前記複数のユニット310、315、360のうちの前記特定のユニット360以外のユニット310、315はそれぞれ、前記特定のユニット360から前記伝送路301の2本の信号線301x、301y間に供給される直流電源の極性を判定するための極性判定回路320と、送信すべきデータを表したデータ信号XH、XLを生成するためのデータ生成部320と、前記極性判定回路320による判定の結果に基づき、前記データ生成部330からのデータ信号XH、XLを切り替えるための送信手順切替回路340と、前記送信手順切替回路340の出力にしたがって前記伝送路301上の直流電源の極性に合った信号極性を有するベースバンド信号を前記伝送路301へ送出するための送信回路350とを有する。
【0010】
上記特許番号第3161016号の技術では、特定のアドレス番号が設定された特定の室内ユニットのみを給電ユニットとしたときの、アドレス番号が重複してしまうミスの問題を解消するために、以下の構成が採用されている。室内ユニット310、315、360の製造時に、そのEERPOMに固有のシリアル番号を書き込んでおく。そして、図10に示すように、各ユニット310、315、360は、ステップS321で自己のシリアル番号(SN)に比例した時間だけ経過するまで待った後、ステップS322で伝送路301上の直流電源の有無を調べる。他のユニットによって直流電源が供給されていない場合、すなわち最も小さいシリアル番号が付与されている場合には、ステップS323に進んで自己が給電ユニット360として伝送路301へ直流電源を供給する。シリアル番号が大きいためにステップS322へ進んだ時点で既にいずれかのユニットが伝送路301への電源供給を開始している場合には、伝送路301への直流電源の供給を行わずに、ステップS325及びS326において送信極性を選択する。つまり、最小のシリアル番号が付与された室内ユニットのみが給電ユニット360となり、他の室内ユニット310、315は、伝送路301上の直流電源の極性を見てその極性に合うように送信信号の極性を切り替える。
【0011】
上記特許番号第3161016号の技術においても、製造時に、各室内制御ユニットにシリアル番号を重複無く記憶させる作業が必要となる。誤って重複した値にシリアル番号が設定されると、複数台の室内ユニットが同時に電源供給を行うおそれがある。
【0012】
【特許文献1】
特開平6−6357号公報(図1)
【特許文献2】
特開平9−133395号公報(図2)
【特許文献3】
特許番号第2692467号公報(図1)
【特許文献4】
特許番号第3161016号公報(図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、2本の伝送線の極性を検出することなく、かつその検出結果に合わせて接続を切り替えることもなしに、通信を行える信号伝送装置を提供することである。
本発明の他の目的は、2本の伝送線の極性を検出することなく、かつその検出結果に合わせて接続を切り替えることもなしに、通信を行うことができ、万一、アドレス値が重複する等の理由により、複数のユニットによる同時期の電圧印加(給電)が行われた場合でも確実に、電圧印加(給電)ユニットを1台に絞り込めることができる信号伝送装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、2本の伝送線の極性を検出することなく、かつその検出結果に合わせて接続を切り替えることもなしに、通信を行うことができ、何らかの理由で電圧印加(給電)ユニットによる電圧印加(給電)が行われない場合に、代わりに電圧印加(給電)を行う電圧印加(給電)ユニットが提供される信号伝送装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用する番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0015】
本発明の信号伝送装置は、2本の伝送線(6a、6b)で構成された伝送路(6)に接続された複数のユニット(11〜16)を備えた信号伝送装置であって、前記複数のユニット(11〜16)のそれぞれは、前記伝送路(6)に電圧を印加する電圧印加部(40)と、前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定する電圧印加判定部と、前記伝送路(6)の極性に対する極性合わせの動作を行うこと無しに前記伝送路(6)を短絡させることでデータを送信するデータ送信部(41)と、前記伝送路(6)に電位差があるか否かを検出することでデータを受信するデータ受信部(42)とを備えている。
【0016】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)の前記電圧印加判定部は、前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定し、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていると判定したときに、前記電圧の印加を停止する。
【0017】
本発明の信号伝送装置において、前記データ受信部(42)は、2つのフォトカプラ(7、8)を含んでいる。
【0018】
本発明の信号伝送装置において、前記データ送信部(41)は、第1及び第2のMOSFET(41a、41b)を含み、前記第1のMOSFET(41a)は、その第1電極が前記2本の伝送線(6a、6b)のうち第1の前記伝送線(6a)に接続され、その第2電極が接地され、前記第2のMOSFET(41b)は、その第1電極が前記2本の伝送線(6a、6b)のうち第2の前記伝送線(6b)に接続され、その第2電極が接地され、前記第1及び第2のMOSFET(41a、41b)の制御電極は互いに接続されている。
【0019】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧印加部(40)は、ランダムに決定されたタイミングであって、かつ前記電圧印加判定部が前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を開始する。
【0020】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧印加部(40)は、前記複数のユニット(11〜16)のそれぞれの据え付け又は起動が行われた後に独自に決定されたタイミングであって、かつ前記電圧印加判定部が前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を開始する。そのタイミングは、ユニットが据え付け時に有する値には依存せずに決定される。そのタイミングを決定するための値は、ユニットが据え付け時に有する値とは無関係な独創性を有する。
【0021】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)の前記電圧印加判定部は、前記伝送路(6)を監視して前記伝送路(6)の電圧が異常であるか否かを判定し、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記伝送路(6)の電圧が異常であると判定したときに、前記電圧の印加を停止する。
【0022】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)は、一時的に前記電圧の印加を中断し、前記電圧の印加を一時的に中断した前記ユニット(11)の前記電圧印加判定部は、前記電圧の印加を一時的に中断している間の前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定し、前記電圧の印加を一時的に中断した前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記電圧の印加を一時的に中断している間に前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていると判定したときに、前記電圧の印加を停止する。
【0023】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を一時的に中断した前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記電圧の印加を一時的に中断している間に前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を再開する。
【0024】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を行っていない前記ユニット(11)の前記電圧印加判定部は、前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定し、前記電圧の印加を行っていない前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を開始する。
【0025】
本発明の信号伝送装置において、前記送信部(41)は、前記送信部(41)を含む前記ユニット(11)が前記電圧の印加を行っているか否かを示す前記信号を、前記ユニット(11)を制御するためのリモートコントローラ(21)に出力し、前記ユニット(11)は、前記リモートコントローラ(21)から入力した、前記ユニット(11)による前記電圧の印加を開始又は停止する旨の信号に基づいて、前記電圧の印加の開始又は停止を行う。
【0026】
本発明の信号伝送装置において、前記伝送路(6)に対する前記電圧の印加は、前記伝送路(6)に接続され前記ユニット(11)を制御するためのリモートコントローラ(21)に対する電源の供給である。
【0027】
本発明は、2本の伝送路の極性を検出し、切り替え合わせることなしに、ベースバンド信号の伝送を行う情報伝送装置である。
【0028】
本発明の内容は、以下の▲1▼〜▲4▼の通りである。
▲1▼2本の伝送路上に複数の室内機のうちの1台が複数のリモコンに直流電源を供給しており、直流電源をオン/オフすることで信号の授受を行う伝送装置である。複数の室内機の中から給電ユニットを1台の室内機に限定する方法は、特に限定されない。アドレススイッチや、シリアル番号や、ランダム関数等何らかの手段により1台の給電ユニットが特定されればよい。
▲2▼送信ユニットは、送信回路の2つのMOSFETを同時にオンオフすることでデータを送信する。このとき、直流電源の極性に関わらず直流電源をオンオフすることができる(2本の伝送路間を短絡できればどのような構成でもよい)。
▲3▼受信回路は、2つのフォトカプラによって通信極性の無極性化を図っている。電流の有無によりデータを受信する。
▲4▼以上のように、伝送路の直流電源の極性に関係無く通信することができ、通信極性を完全に無極性化することができる。
【0029】
本発明の効果は、以下の通りである。
▲1▼極性検出回路や極性切替回路が不要であるため、通信回路のコストダウンとなる。
▲2▼極性を切り替え合わせるためのアルゴリズム(ソフト)が不要となり、簡素化されるため、製品の信頼性向上に繋がる。
【0030】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照して、本発明の信号伝送装置の一実施形態を説明する。
【0031】
本実施形態の信号伝送装置は、パッケージエアコン(PAC)である。PACは、オフィス、店舗、ビル等で使用される空調機であり、リモコン通信は、室内機とリモコン間に接続された通信ケーブルを通して温度情報や設定情報のやりとりをしている。PACのリモコン通信は、ルームエアコン(RAC)のような赤外線とは違い、通信ケーブルを使用した有線通信である。通信ケーブルの役割は2つある。一つ目はリモコンのコントローラ基板の駆動電圧を室内機から供給することであり、二つ目は温度情報や設定情報のやりとり(双方向通信)を行うことである。
【0032】
図3に示すように、4台のリモートコントローラ(以下、リモコンと略称する)21〜24のそれぞれは、各々同一伝送路(電力・信号線)6によって、16台の室内機11〜16とそれぞれ並列に接続されている。なお、本実施形態では、リモコンの台数を4台、室内機の台数を6台として説明するが、それぞれその台数に限定されないことはいうまでもない。
【0033】
複数の室内機11〜16のそれぞれは、複数の場所に設置されたリモコン21〜24のいずれからでも遠隔制御(リモートコントロール)される。
【0034】
伝送路6は、2線式であり、2本の配線6a、6bから構成されている。その2本の配線6a、6bは、グランド線と信号・電力線として機能し、室内機11〜16からリモコン21〜24への給電と、室内機11〜16とリモコン21〜24間の双方向のデータ通信とに用いられる。
【0035】
本実施形態では、2本の配線6a,6bを室内機11〜16に接続する場合及びリモコン21〜24を2本の配線6a,6bに接続する場合に、一々極性を考えなくてもよいようにリモコン21〜24を無極性化する。無極性2線方式は、直流電源ラインとデータ信号ラインを共通化(電源供給とデータ伝送を共通の通信線で兼用)することで電線を2本とし、端子接続の無極性化を実現した方式である。無極性2線方式は、2本の端子の極性を意識せずに接続できるため、据付工事が簡素化され、工事費・工数の低減につながる。
【0036】
2本の信号線6a、6bで構成される伝送路6は、各リモコン21〜24、および各室内機11〜16は、それぞれ信号線の極性に関わらず並列に接続されているから、いずれか1台の室内機11〜16が各リモコン21〜24に対する給電動作をすることによって伝送路6に接続された各リモコン21〜24に電力が供給される。
【0037】
次に、図2を参照して、本実施形態の室内機とリモコンの回路ブロックについて説明する。図2では、一台の室内機と一台のリモコンの接続関係のみが示されているが、図3に示した通り複数の室内機11〜16と複数のリモコン21〜24の関係についても、図2と同様である。
【0038】
室内機11とリモコン21とは、上記のように、2本の配線からなる伝送路6によって接続されている。給電ユニットとして選択された室内機11からは、給電回路40および伝送路6を介して、12Vの直流電圧がリモコン21に供給される。室内機11から出力された12Vの電圧には極性があるが、リモコン21のダイオードブリッジ31により全波整流されることで、極性無しの電圧が印加される。この全波整流方式により、給電の無極性化が実現されている。三端子レギュレータ32は、その無極性化された12Vの電圧からリモコン21用の5Vの一定電圧を生成する。
【0039】
室内機11は、データ送信回路41とデータ受信回路42とを備えている。リモコン21は、データ送信回路33と、データ受信回路34とを備えている。これらを用いて、室内機11とリモコン21との間の双方向通信が行われる。
【0040】
次に、図1を参照して、室内機11〜16とリモコン21〜24の回路構成について説明する。図1では、一台の室内機と一台のリモコンの接続関係のみが示されているが、図3に示した通り複数の室内機11〜16と複数のリモコン21〜24の関係についても、図1と同様である。
【0041】
室内機11〜16には、給電回路40と、データ送信回路41と、データ受信回路42とが設けられている。給電回路40には、短絡電流を所定値以下に制限するための電流制限回路40bが設けられている。
【0042】
給電回路40の電源スイッチ40aに、給電開始命令CS(オン信号、図示せず)が入力されると、伝送路6に電源が供給される。
【0043】
給電開始命令CSは、マイコンから出力される。給電開始命令CSは、アドレススイッチ、シリアル番号、ランダム関数のいずれに基づいて与えられるものであってもよい。これらのうち、ランダム関数(乱数)に基づいて、給電開始命令CSが出力されるケースについては後述する。
【0044】
まず、アドレススイッチに基づいて、給電開始命令CSが出力されるケースについて説明する。複数の室内機11〜16のそれぞれには、アドレス値の設定を行うアドレス設定手段(アドレススイッチ)が設けられ、そのアドレス設定手段で設定されたアドレス値が予め設定された給電許可アドレス値である室内機11〜16の電源スイッチ40aにのみ、給電開始命令CSが出力されることで、リモコン22〜24へ電力を供給する室内機11〜16を一台だけにするものである。
【0045】
このアドレススイッチを用いた技術によれば、複数の室内機11〜16のアドレス設定手段のアドレス値が相互に異なるように設定する作業は、据え付け時等に行われる。一般に、工場からの出荷段階では、複数の室内機のアドレス設定手段の値は、いずれも0又は1のように決まった一つの値に設定されている。そのため、その後、複数の室内機11〜16を現地で据え付けるときに、アドレス値が重複しないようにアドレス設定手段を設定し直す作業が必要となる。誤って重複した値にアドレス値が設定されると、複数台の室内機11〜16が同時に電源供給を行うおそれがある。そこで、本実施形態では、後述するように、仮に重複した値にアドレス値が設定された場合であっても給電ユニットを1台に絞り込める構成を採用している(図4参照)。
【0046】
次に、シリアル番号に基づいて、給電開始命令CSが出力されるケースについて説明する。室内機11〜16には、予め室内機11〜16毎の異なるシリアル番号を設定されて記憶している番号記憶手段と、上記シリアル番号に基づいて給電タイミングを設定するタイミング手段とが設けられている。複数の室内機11〜16にそれぞれ予めシリアル番号が設定されて記憶されている。そのシリアル番号は、例えば、製造出荷時等において各室内機11〜16毎に異なるシリアル番号が設定されている。この技術によれば、工場からの出荷時に、各室内機11〜16にシリアル番号を重複無く記憶させる作業が必要となる。誤って重複した値にシリアル番号が設定されると、複数台の室内機11〜16が同時に電源供給を行うおそれがある。そこで、本実施形態では、後述するように、仮に重複した値にシリアル番号が設定された場合であっても給電ユニットを1台に絞り込める構成を採用している(図4参照)。
【0047】
データ送信回路41は、2つのMOSFET41a、41bを備えている。
MOSFET41aのソースは、配線6aに接続され、そのドレインは、グランドに接地されている。MOSFET41aのソースとドレインとの間には、ドレインからソースに向かって順方向のダイオード41dが接続されている。
MOSFET41bのソースは、配線6bに接続され、そのドレインは、グランドに接地されている。MOSFET41bのソースとドレインとの間には、ドレインからソースに向かって順方向のダイオード41eが接続されている。
2つのMOSFET41a、41bのゲートには、インバータを介してTXD信号(入力信号)41cの入力端子と接続されている。
この例では、ドレインがMOSFETの第1電極であり、ソースが第2電極である。
【0048】
データ送信回路41では、スイッチング動作に応じて、ハイ状態のTXD信号41cが2つのMOSFET41a、41bのゲートに入力されることにより、配線6aと配線6bとを短絡させ、データを送信する。配線6aと配線6bとが短絡した場合には、リモコン21のデータ受信回路34のいずれのフォトダイオード9a、10aにも電流が供給されなくなり、受信信号(RxD)43bがローとなる。これに対し、伝送路6に給電がなされている時であって、配線6a、6bが短絡していない場合には、2本の配線6a、6bのうちのどちらが高電位側であるかに応じていずれかのフォトダイオード9a、10aに電流が供給され、受信信号(RxD)43bがハイとなる。具体的には、配線6bがグランドに接地され、配線6aに12Vが印加されている場合には、フォトダイオード9aに電流が供給され、フォトダイオード9aからの光を受けてフォトトランジスタ9bがオンする。反対に、配線6aがグランドに接地され、配線6bに12Vが印加されている場合には、フォトダイオード10aに電流が供給され、フォトダイオード10aからの光を受けてフォトトランジスタ10bがオンする。
データ送信回路41は、配線6aと配線6bとを短絡させることができれば、2つのMOSFETからなる構成に限定されない。例えば、マグネットリレー等の公知の手段を適用することも可能である。
【0049】
データ受信回路42は、フォトカプラ7と、フォトカプラ8とを備えている。フォトカプラ7は、配線6aから配線6bに向かって順方向の発光(フォト)ダイオード7bと、発光ダイオード7bからの光を受けてオンするフォトトランジスタ7aとを有している。
フォトカプラ8は、配線6bから配線6aに向かって順方向の発光ダイオード8bと、発光ダイオード8bからの光を受けてオンするフォトトランジスタ8aとを有している。
【0050】
フォトトランジスタ7aのエミッタは、グランドに接地され、そのコレクタは、インバータ42cの入力部に接続されている。また、フォトトランジスタ7aのコレクタには、電源供給部42dも接続されている。
フォトトランジスタ8aのエミッタは、グランドに接地され、そのコレクタは、インバータ42cの入力部に接続されている。
インバータ42cからは、受信信号(RxD)42bが出力される。
【0051】
発光ダイオード7bの入力部と配線6aとは、抵抗42aを介して接続されている。発光ダイオード7bの出力部は、発光ダイオード8bの入力部と接続されている。
発光ダイオード8bの入力部と配線6bとは接続されている。発光ダイオード8bの出力部は、発光ダイオード7bの入力部と抵抗42aとの間に接続されている。
【0052】
配線6bがグランドに接地され、配線6aに12Vが印加されている場合には、電流は、配線6a側から抵抗42aを介して発光ダイオード7bに入力され、発光ダイオード8bに入力されること無く配線6bに出力される。
反対に、配線6aがグランドに接地され、配線6bに12Vが印加されている場合には、電流は、配線6b側から発光ダイオード8bに入力され、抵抗42aを介して配線6aに出力される。
【0053】
データ受信回路42は、2つのフォトカプラ7、8により、データを受信する。ハイの受信信号(RxD)42bは、「1」を示すデータであり、ローの受信信号(RxD)42bは、「0」を示すデータである。
【0054】
リモコン21〜24には、ダイオードブリッジ31と、三端子レギュレータ32と、データ送信回路33と、データ受信回路34とが設けられている。
【0055】
電源回路32にダイオードブリッジ31が設けられることにより、無極性化が図られる。さらに、電源ラインがオフ(短絡)した時のリモコン電源の電圧の低下を緩和するために電解コンデンサ35が挿入されている。コンデンサ36は、三端子レギュレータ32により生成された5Vの電源を安定化させる。
【0056】
データ送信回路33と、データ受信回路34は、それぞれ室内機11〜16のデータ送信回路41、データ受信回路42と基本的に同じ構成である。
【0057】
データ送信回路33は、2つのMOSFET33a、33bを備えている。
MOSFET33aのソースは、配線6aに接続され、そのドレインは、グランドに接地されている。MOSFET33aのソースとドレインとの間には、ドレインからソースに向かって順方向のダイオード33dが接続されている。
MOSFET33bのソースは、配線6bに接続され、そのドレインは、グランドに接地されている。MOSFET33bのソースとドレインとの間には、ドレインからソースに向かって順方向のダイオード33eが接続されている。
2つのMOSFET33a、33bのゲートには、インバータを介してTXD信号33cの入力端子と接続されている。
【0058】
データ送信回路33では、スイッチング動作に応じて、ハイ状態のTXD信号33cが2つのMOSFET33a・33bのゲートに入力されることにより、配線6aと配線6bとを短絡させ、データを送信する。配線6aと配線6bとが短絡した場合には、室内機11のデータ受信回路42のいずれのフォトダイオード7b、8bにも電流が供給されなくなり、受信信号(RxD)42bがローとなる。これに対し、伝送路6に給電がなされている時であって、配線6a、6bが短絡していない場合には、2本の配線6a、6bのうちのどちらが高電位側であるかに応じていずれかのフォトダイオード7b、8bに電流が供給され、受信信号(RxD)42bがハイとなる。
【0059】
データ受信回路34は、フォトカプラ9と、フォトカプラ10とを備えている。
フォトカプラ9は、配線6aから配線6bに向かって順方向の発光ダイオード9aと、発光ダイオード9aからの光を受けてオンするフォトトランジスタ9bとを有している。
フォトカプラ10は、配線6bから配線6aに向かって順方向の発光ダイオード10aと、発光ダイオード10aからの光を受けてオンするフォトトランジスタ10bとを有している。
【0060】
フォトトランジスタ9bのエミッタは、グランドに接地され、そのコレクタは、インバータ43cの入力部に接続されている。フォトトランジスタ9bのコレクタには、電源供給部43dが接続されている。
フォトトランジスタ10bのエミッタは、グランドに接地され、そのコレクタは、インバータ43cの入力部に接続されている。
インバータ43cからは、受信信号(RxD)43bが出力される。
【0061】
発光ダイオード9aの入力部と配線6aとは、抵抗43aを介して接続されている。発光ダイオード9aの出力部は、発光ダイオード10aの入力部と接続されている。
発光ダイオード10aの入力部と配線6bとは接続されている。発光ダイオード10aの出力部は、発光ダイオード9aの入力部と抵抗43aとの間に接続されている。
【0062】
データ受信回路34は、2つのフォトカプラ9、10により、データを受信する。ハイの受信信号(RxD)43bは、「1」を示すデータであり、ローの受信信号(RxD)43bは、「0」を示すデータである。
【0063】
複数台の室内機11〜16の構成は、互いに同一である。
また、複数のリモコン21〜24の構成も互いに同一である。複数のリモコン21〜24の全てに対して、いずれか1台の室内機11から給電が行われる。
但し、以下に(6)として後述するように、室内機に対して給電の要否の指示を出すリモコンは、親リモコンとして1台のリモコン21が設定される。
【0064】
親リモコン21は、室内機11〜16との間の通信のタイミングを制御する。リモコン21が親リモコンとして設定されるには、リモコン21に設けられた親リモコン設定用スイッチ(図示せず)が切換えられればよい。なお、全てのリモコン21〜24について、親リモコン設定用スイッチが設けられており、ここでは、そのうちのリモコン21の親リモコン設定用スイッチが切換えられて親リモコンに設定されているとする。
【0065】
次に、室内機11〜16とリモコン21〜24との間の通信について説明する。
【0066】
本実施形態において、室内機11からリモコン21〜24へは、2本の電線(伝送路6)で直流電源が供給され、この電源ライン6(6a、6b)がTXD信号33c、41cによって短時間短絡されることで、室内機11とリモコン21〜24間での双方向の通信が行われる。
【0067】
リモコン21〜24は、蓄電機能を有し、信号が送信されるために短時間伝送路6が短絡されても、その短絡されている間にリモコン21〜24で消費される電力量は、この蓄電器(図1のコンデンサ35)がまかなう。
【0068】
本実施形態のようなPACリモコン通信では、通信制御方式としてポーリング方式が採用されており、各ユニット間で1対1の通信が行われている。
【0069】
室内機11〜16とリモコン21〜24との間の通信は、伝送路6の2本の配線6a、6b間の電圧を用いたデジタル通信である。給電が行われている伝送路6の2本の配線6a、6bを短絡させて伝送路6の電圧がゼロになったときが「0」のデータに相当し、短絡されずに伝送路6に12Vの電圧が印加されているときが「1」のデータに相当する。このように、室内機11〜16とリモコン21〜24は、それぞれデータ送信回路41、33のTXD信号41c、33cとしてハイ又はローの信号を供給することによるデジタル通信を行う。
【0070】
本実施形態では、マイコンから送信されるデジタル信号を、データ送信回路41、33がリモコン給電電圧12Vをスイッチングさせることで、信号伝送する(電源オン/オフ通信方式)。給電ユニット(室内機)から供給されている直流電源ライン(12V)をオン/オフ(スイッチング)させることでデータ信号を送受信する電源オン/オフ通信方式は、ベースバンド通信であるために、送信されるデータによって給電電圧の低下の割合が左右される。つまり、「0」のデータは無給電(電源オフ)、「1」のデータは給電(電源オン)に対応するため、「0」のデータが多くなると、通信時間中の短絡時間の割合が多くなり給電電圧の低下も大きくなる。
【0071】
上記のように、電源オン/オフ通信方式では、通信中の給電電圧の確保が課題となる。即ち、室内機11〜16から「0」のデータを送信すべく、データ送信回路41によって配線6a、6bが短絡されているときには、リモコン21〜24への給電がなされないことになり、0ビットが連続したデータの通信時に問題となる。
【0072】
本実施形態では、その給電がなされない間は、リモコン21〜24のコンデンサ35に蓄電されている電圧を用いて、三端子レギュレータ32がリモコン用電圧(5V)を安定的に供給する。また、通信速度を高速化することで、0ビットが連続したデータの通信時間自体を短縮化している。
【0073】
なお、電源オン/オフ通信方式では、デジタル信号の「0」が0V(ロー電圧)、「1」が12V(ハイ電圧)、またはその逆の組合せに対応させることができる。即ち、伝送路6の電圧値である0Vと12Vがそのままそれぞれ「0」と「1」のデータに対応する、またはその逆の組合せにすることができるが、それに代えて、以下の構成にすることもできる。
【0074】
伝送路6の電圧が12Vから0Vに下がったときに、初期値(ここではデータ「0」とする)から、他方の2値信号(本例ではデータ「1」)に切り替わり、その次に12Vから0Vに下がったときに初期値(本例ではデータ「0」)に戻り、その次に12Vから0Vに下がったときに他方の2値信号(本例ではデータ「1」)に切り替わり、それ以降はその繰り返しである。
【0075】
次に、室内機11〜16およびリモコン21〜24のそれぞれによる、伝送路6の極性判別の必要性について説明する。
【0076】
上記のように、室内機11〜16とリモコン21〜24の2本の6a、6bは、極性無しとされる。リモコン21〜24に入力された給電用の信号は、ダイオードブリッジ31により全波整流されることで極性に関係無く電源が作り出される。
【0077】
また、伝送路6において信号伝送を行う上においても、室内機11〜16とリモコン21〜24のそれぞれは、伝送路6に対して極性を合わせる必要が無い。信号伝送を行う上において、配線6aと配線6bのいずれが高電位側であっても、両配線6a、6bの短絡時と非短絡時とで「0」と「1」のデータを送信することができる。また、後述するように、各室内機11〜16は、伝送路6の給電の有無をモニタする上でも極性の判別が不要である。
【0078】
次に、電源供給する室内機の台数を1台に絞り込む必要性及びその方法について説明する。
【0079】
複数の室内機11〜16がリモコン21〜24へ給電されると、電源ライン6a、6bを短絡しても規定値以下に下がらないため、正常なデータ送信に支障をきたす場合がある。
また、複数台の室内機11〜16からリモコン21〜24に給電されると、リモコン21〜24には過剰電流が流れることになる。
【0080】
また、図6に示すように、複数(2台)の室内機が同時に給電した場合、給電ユニット同士の極性が互いに逆であった場合は、伝送路6の線間電圧が相殺されて0Vとなるために、リモコン21〜24に給電できなくなる。
【0081】
以上のことから、リモコン21〜24に電源を供給する室内機の台数は常に1台に絞り込まれる必要がある。
【0082】
次に、リモコン21〜24に電源を供給する室内機の台数を常に1台に絞り込むための方法について説明する。
【0083】
上記においては、アドレススイッチやシリアル番号を用いて給電を行う室内機を1台にする方法について簡単に説明した。以下では、ランダム関数(乱数)を用いて給電を行う室内機を1台に絞り込む方法について詳しく説明し、その説明の中で、アドレススイッチやシリアル番号を用いて、給電を行う室内機を1台に絞り込む方法について触れることとする。
【0084】
<基本原理>
室内機11〜16ごとのフリーランタイマ値(カウンタ値)や温度センサ値に基づいてランダムな遅延時間が設けられる。ランダム関数に代えて、アドレススイッチやシリアル番号が用いられる場合には、室内機11〜16ごとに設定されたアドレス値やシリアル番号に対応する時間が設けられる。
これにより、給電のタイミングをずらして給電ユニットを決定する。但し、複数の室内機11〜16のそれぞれに対して、ランダムに設定された遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)が同一になった場合には、同時給電が発生する可能性がある。
【0085】
<複数台同時給電発生時の処置方法>
同時給電が発生した場合には、同時給電ユニットの極性(正、逆)により伝送路6の電圧の状態が変わることを利用して給電ユニットを1台に絞り込む。
(1)同時給電ユニットの極性が1つでも異なる場合
伝送路6間の電圧を常時監視し電圧レベルが一定時間以上設定電圧値以下となる(異常状態)ことを検知して給電を取り止める(ランダム)。
(2)同時給電ユニットの極性が全て同じ場合
給電ユニットは、ランダムなタイミングで瞬間的に給電を取り止める。このときに伝送路6間の電圧が下がるか否かにより同時給電の有無を検知し給電ユニットが1台となるまで繰り返す。
【0086】
以下の(1)〜(6)に、リモコン21〜24に電源を供給する室内機(給電ユニット)の台数を1台に絞り込む方法について具体的に説明する。
【0087】
(1)複数の室内機11〜16の自分用の電源が同時に投入されると、複数の室内機11〜16のそれぞれは、ランダムに設定された遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)を経過した後に、リモコン21〜24への給電を行うことで、リモコン21〜24への給電時期(給電タイミング)をずらす(室内機一斉電源投入対策)。
【0088】
複数の室内機11〜16のそれぞれに電源が投入されて起動すると、複数の室内機11〜16のそれぞれでは、ソフトウェア処理にて乱数を発生させる(ランダム関数による場合)。複数の室内機11〜16のそれぞれでは、各乱数の値に対応する(例えば正比例する)遅延時間が設定される。室内機11〜16毎のフリーランタイマ値(カウンタ値)や温度センサ値に基づいてランダムな遅延時間を設定することができる。その設定された各遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)が経過した後に、室内機は、次の(2)を満たすことを条件に、リモコン21〜24への給電動作を開始する。
【0089】
具体的には、次の(2)を満たすことを条件に、各遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)が経過した時点で給電開始命令(オン信号)CSが、室内機11〜16のそれぞれの給電回路40の給電信号40aに入力されて、リモコン21〜24への給電が開始される。複数の室内機11〜16のそれぞれで発生した乱数(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)のうち、例えば最小の値の乱数(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)を発生させた一台の室内機11が給電ユニットに選択される。
【0090】
給電開始命令CSが電源スイッチ40aに入力されると、配線6bがグランドに接続され、配線6a、6b間に12Vが印加され、給電が行われる。
【0091】
(2)各室内機11〜16は、リモコン21〜24への給電を行う際、リモコン通信ライン(伝送路6)の電圧をモニタし、給電の可否を判定する。この判定動作は、▲1▼複数の室内機11〜16に一斉に電源を投入して、上記遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)により給電タイミングがずれたときと、▲2▼他の室内機よりも遅れて自己の室内機の電源が入れられたときのいずれのときにも行われる。
【0092】
上記(2)の判定動作では、リモコン21〜24へ給電している室内機の台数、2本の電線6の接続されている向きなどで、通信ライン(伝送路6)の電圧が異なる。
【0093】
上記(1)として説明したように、各室内機11〜16において、それぞれの乱数値によって決定された遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)の経過後に給電が開始されようとするが、その給電開始にあたり(給電開始前)には、それぞれの室内機11〜16は、受信信号(RxD)42bにより伝送路6(電線6a、6b間)の電圧をモニタして、上記(2)の動作を行う。
【0094】
各室内機11〜16では、上記(2)の動作の結果、最初に給電を開始した室内機11(ここでは、室内機11の乱数の値(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)が最小であったとする)は、給電可能と判定されるが、その最初に給電を開始した室内機11以外の、複数の室内機12〜16は、給電不可と判定される。
【0095】
上記(2)の具体的な回路動作について説明する。
各室内機11〜16のデータ受信回路42では、いずれかの室内機11〜16によって伝送路6を介して給電が行われているときには、受信信号(RxD)42bとしてハイ信号が出力される。上記のように、配線6aが12Vであり配線6bが0Vである場合にはフォトトランジスタ7aがオンし、反対に、配線6bが12Vであり配線6aが0Vである場合にはフォトトランジスタ8aがオンする。フォトトランジスタ7a又は8aのいずれがオンしても、電源供給部42dの高電位が、ハイの受信信号(RxD)42bとして出力される。一方、給電が行われておらず、配線6aと6bとの間の電位差が0Vである場合には、フォトトランジスタ7a及び8aの双方がオフであり、ローの受信信号(RxD)42bが出力される。これにより、データ受信回路42は、伝送路6での給電の有無を判断する。但し、2本の配線6a、6bの極性は判別できない。本実施形態では、2本の配線6a、6bの極性の検出は不要である。また、2本の配線6a、6bの極性に合わせて自己の室内機の極性を合わせる(接続を切り替える)ことも不要である。
【0096】
室内機12〜16の各データ受信回路42がハイの受信信号(RxD)42bを検出して伝送路6にて給電中であると判断すると、その室内機12〜16の各給電開始時期になっても、給電信号40aには、上記給電開始命令CSが入力されない。給電する室内機の台数を1台に絞り込むためである。給電信号40aに上記給電開始命令(オン信号)CSが入力されない限り、その室内機12〜16から給電が行われることは無い。
【0097】
データ送信回路41では、データ送信を行うときには、所定のタイミングでTXD信号(入力信号)41cとしてオン信号(送信データに対応する信号)が供給される。データ送信回路41では、2本の配線6a、6bの極性とは無関係に(2本の配線6a、6bの極性に合わせる動作を行うこと無しに)、TXD信号41cとしてオン信号を入力することで、2本の配線6a、6bを共に接地させて短絡させ、例えば「0」のデータを送信する。これにより、データ受信回路42において、2本の配線6a、6bの極性の検出は不要である。
【0098】
一方、データ受信回路42は、ローの受信信号(RxD)42bが出力された場合には、未だ他の室内機12〜16が給電を行っていないと判断し、その室内機11は、給電を開始すべく、給電信号40aに、上記給電開始命令CSを入力する(上記(1))。
【0099】
ここで、上記(1)で各室内機11〜16において乱数を発生させたとき、2台の室内機11、13の乱数が同じ値の最小値であったとする。又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間が同じ値の最小値であったとする。このとき、2台の室内機11、13のデータ受信回路42が上記(2)の極性判別を行うと、共に、伝送路6の電圧は0Vであると検知する。よって、2台の室内機11、13が同時の給電開始時期に給電を開始する。このとき、2台の室内機11、13の極性が同じであれば伝送路6には12Vが印加され、極性が逆であれば線間電圧を打ち消し合って伝送路6は0Vとなる。この場合、他の室内機12,14〜16が上記(2)を行うと、伝送路6の電圧は12V又は0Vと検出する。
【0100】
(3)リモコン21〜24へ給電している室内機は、常時、通信ライン(伝送路6)をモニタし、そのモニタの結果、異常であれば給電をとりやめる。
【0101】
ここでは、上記(1)及び(2)の結果、室内機11のみが給電を行っているとして説明する。室内機11は、給電開始後、室内機11のデータ受信回路42により、伝送路6の電圧を常時モニタする。そのモニタの結果、伝送路6の電圧が12Vでない場合には、異常であると判断して室内機11による給電を停止する。具体的には、ソフトウェアにより、給電信号40aに対する上記給電開始命令CSの入力を停止する。
【0102】
(4)リモコン21〜24へ給電していない室内機は、常時、通信ライン(伝送路6)をモニタし、そのモニタの結果、必要であれば給電を開始する。
【0103】
ここでも、上記(1)及び(2)の結果、室内機11のみが給電を行っているとして説明する。給電を行っていない室内機12〜16のそれぞれは、上記(2)の動作を行った後、常時、室内機12〜16のそれぞれのデータ受信回路42により、伝送路6の電圧を常時モニタする。そのモニタの結果、伝送路6の電圧が0Vであって給電が行われていない場合には、0Vであることを検知した室内機12〜16は、伝送路6での給電を開始する。なお、この場合、複数台の室内機12〜16が同時期に給電を行う事態が想定されるが、その対策は後述する(5)で行われる。
【0104】
室内機11が給電ユニットして選択されているのもかかわらず、伝送路6の電圧が0Vであるケースとしては、室内機11をメンテナンスする等に理由により室内機11の電源が切られている場合が考えられる。
【0105】
すなわち、上記(3)及び(4)から分かるように、給電中の室内機11も給電を行っていない室内機12〜16も、各データ受信回路42によって常時、伝送路6の電圧をモニタしており、その結果、給電中の室内機11によるモニタ結果が12V以外であれば、室内機11は給電を停止し、一方、給電を行っていない室内機12〜16によるモニタ結果が0Vであれば、室内機12〜16が給電を開始する。
【0106】
(5)リモコン21〜24へ給電している室内機は、定期的に(ランダムに)給電を取り止め、給電を止めた後の通信ライン(伝送路6)をモニタし、そのモニタ結果に基づいて、継続して給電する必要があるか否かを判定する。
【0107】
上記(5)は、複数の室内機11〜16によって同時期に給電が行われている場合を考慮した動作である。ここでは、2台の室内機11、12が同時期に給電を行っているとする。2台の室内機11、12の極性が同じであれば、伝送路6には12Vが印加されるため、2台の室内機11、12のそれぞれが上記(3)のモニタを行った結果は、正常(正常な検出値:12V)であると判断される。
【0108】
そのため、上記(5)では、給電中の室内機11、12は、それぞれ定期的に(ランダムなタイミング/サイクルで複数回)、一時的に(瞬間的に)伝送路6での給電を停止する。その一時的に給電を停止した室内機11は、その一時的に給電を停止した時点での伝送路6の電圧のモニタ結果が12Vであれば、他に給電中の室内機12があるとして自己11の給電を停止する(一時的な給電停止から給電の再開を行わない)。
【0109】
上記のように、同時期に給電中である室内機11、12は、それぞれ独立したランダムなタイミングで、一時的な給電停止と伝送路6の電圧の監視を行う。
また、同時期に給電中の室内機が3台以上である場合にも、上記(5)の動作により、給電する室内機は1台に絞られる。
【0110】
一方、給電中の室内機が一台しか無い場合(その一台は室内機11として説明する)、上記(5)の一時的な給電停止を行うと、その時点での伝送路6の電圧が0Vとなるため、給電ユニットは自分11の一台のみであると判断して、室内機11の給電を直ちに再開する。
【0111】
(6)上述したように、親リモコンに設定されているリモコン21は、室内機からの通信データに含まれる給電有り無し情報を集計し、複数の室内機が給電している場合には、室内機へ給電の要否の指示を通信により与える。
【0112】
上記(6)は、何らかの理由により、上記(5)を実行しても複数台の室内機11〜16による同時期の給電の状態が解消されない場合に備えたバックアップ動作である。
【0113】
複数の室内機11〜16のそれぞれは、自分が給電中であるのか否かを示す情報(給電有り無し情報)を伝送路6を用いた上記通信により、リモコン21〜24に送信する。複数の室内機11〜16のそれぞれから上記情報を受けた親リモコン21は、それらの情報に基づいて、複数の室内機11〜16による同時期の給電の有無、及び少なくとも一台の室内機による給電の有無を判断する。その判断結果に基づいて、リモコン21は、指示が必要な(現在の給電の有無の状態の変更が必要な)室内機に対して、給電を開始する旨の指示又は給電を停止する旨の指示を、伝送路6を用いた上記通信により送信する。
【0114】
次に、図4を参照して、本実施形態の給電アルゴリズムについて説明する。
なお、図4に示す以下の動作は、各室内機11〜16に内蔵されたマイコンのソフトウェアに基づいて実行される。
【0115】
なお、次のT1〜T6時間は、それぞれ所定時間を示しており、設計に応じて適宜設定される。また、室内機11〜16のうち伝送路6での給電を行う室内機を「給電ユニット」と称し、伝送路6での給電を行わない室内機を「無給電ユニット」と称すことにする。
【0116】
<給電アルゴリズムの概要>
ここでは、最大16台の室内機11〜16が接続された構成において、給電ユニットを一台に絞り込む給電アルゴリズムについて規定する。給電アルゴリズムは、初期立ち上げ時および給電ユニットの脱退検出時に行う。本アルゴリズムは、ランダム関数により給電ユニットを決定する方法であるが、万一、複数のユニットが同時に給電した場合でも必ず1台に絞り込むことができ、メンテナンス等の理由で給電ユニットの主電源が遮断された場合等でも給電していないユニットが自動的にリモコンに直流電源を供給する。
【0117】
なお、本アルゴリズムは、ランダム関数に代えて、アドレススイッチ又はシリアル番号により給電ユニットを決定する方法にも適用できる。
【0118】
<給電ユニット決定アルゴリズム>
電源立ち上げ(マイコンリセットスタート)時、または給電ユニットの受信信号(RxD)出力42bが異常状態の時、または給電ユニットが脱退したことを検知したときに、本アルゴリズムを実施する。伝送路6a、6b間が短絡されているかどうかを検知することで給電状態を把握し、給電ユニットを1台に決定する。給電ユニットが既に決定している場合は、無給電ユニットに決定する。
【0119】
ステップS1に示すように、各室内機11〜16では、給電スイッチを「無給電」状態とし、ソフトウェアで発生させた乱数に対応するT1時間(ランダム時間)が経過するのを待つ。なお、ランダム関数に代えて、アドレススイッチ又はシリアル番号により給電ユニットを決定する場合には、T1時間は、それぞれアドレス値又はシリアル番号に対応した時間(例えばアドレス値又はシリアル番号に比例した時間)である。
【0120】
ここで、「無給電」状態とは、図5に示すように、給電信号40aにオフ信号(0V)を入力することをいう。各室内機11〜16では、それぞれのT1時間が経過したときに、受信回路42の出力(RxD)42bにより伝送路6に直流電源が供給されているかどうかを検知する。
【0121】
ステップS1において、T1時間の経過後、受信回路42の出力(RxD)42bがローであればステップS2に進む(矢印Y1参照)。ここで、受信回路42の出力(RxD)42bがローである場合とは、伝送路6a及び伝送路6bが同電位である場合であり、発光ダイオード7b及び発光ダイオード8bのいずれにも電流が流れずに、フォトトランジスタ7a及びフォトトランジスタ8aのいずれもがオフの状態にある場合である。このように、伝送路6a及び伝送路6bが同電位(受信回路42の出力(RxD)42bがロー)である場合とは、図5に示すように、給電ユニットが無い(給電されていない)状態か、複数の室内ユニットが互いに逆の極性で伝送路6に給電中であり互いに線間電圧を打ち消し合っている場合が考えられる(図5のマイコン出力40aが「無給電」でマイコン入力42bが「Lo」を参照)。このように、受信回路42の出力(RxD)42bがローである場合には、ステップS2に進む。
【0122】
次いで、ステップS2では、各室内機11〜16は、給電スイッチを「給電」状態とする。ここで、「給電」状態とは、給電信号40aにオン信号(5V)を入力することをいう。これにより、配線6aに12Vが印加され、配線6bがグランドに接続する。これにより、当該室内機11〜16が給電ユニットに決定され、給電アルゴリズムが終了する。
【0123】
一方、ステップS1において、T1時間の経過後、受信回路42の出力(RxD)42bがハイであればステップS4に進む(矢印Y2参照)。ここで、受信回路42の出力(RxD)42bがハイである場合とは、伝送路6a及び伝送路6bが異なる電位である場合であり、発光ダイオード7b及び発光ダイオード8bのいずれか一方に電流が流れ、フォトトランジスタ7a及びフォトトランジスタ8aのいずれか一方がオンの状態にある場合である。このように、伝送路6a及び伝送路6bが異なる電位(受信回路42の出力(RxD)42bがハイ)である場合とは、図5に示すように、他の室内ユニットが給電中の状態である(図5のマイコン出力40aが「無給電」でマイコン入力42bが「Hi」を参照)。このように、受信回路42の出力(RxD)42bがハイである場合には、給電スイッチを「無給電」状態のままとする(ステップS4)。これにより、当該室内機11〜16が無給電ユニットに決定され、給電アルゴリズムが終了する。
【0124】
<給電ユニットの給電状態監視(常時有効)>
矢印Y7に示すように、ステップS2の給電ユニットの決定からT4(50ms)経過後(伝送路間電圧の立ち上がり時間考慮)、T5(10ms)継続して受信信号(RxD)42bがローレベルの場合、他に給電ユニットがある(逆極性に接続された給電ユニットによる同時給電)と判断し、ステップS1に戻って、再度給電アルゴリズムを実施する。ここで、自己の室内機11〜16が給電中であるにも拘らず、自己の受信信号(RxD)42bがローレベルである場合とは、他の室内機11〜16が自己の室内機11〜16とは逆の極性で伝送路6に給電中であり、互いに線間電圧を打ち消し合っている場合が考えられる(図5のマイコン出力40aが「給電」でマイコン入力42bが「Lo」を参照)。
【0125】
<無給電ユニットの給電状態監視(常時有効)>
矢印Y6に示すように、ステップS4の無給電ユニットの決定からT5(10ms)継続して受信信号(RxD)42bがローレベルの場合、給電ユニットの途中脱退(ステップS1、S4での判断時の後で給電ユニットが無くなった)と判断し、再度給電アルゴリズムを実施する(ステップS1に戻る)。給電ユニットの途中脱退には、その給電ユニットが給電を中断したケースか、その給電ユニットが故障したケースか、又は、その給電ユニットの電源がオフにされたケースが考えられる。
【0126】
<給電ユニットの給電状態確認アルゴリズム(瞬時切断シーケンス)>
ステップS2の給電ユニットの決定から、ソフトウェアで発生させた乱数に対応するT2時間(ランダム時間)の経過後に、他に給電ユニットが存在しないか(同じ極性に接続された給電ユニットによる同時給電)を確認するため、本アルゴリズムを実施する。
【0127】
矢印Y3に示すように、ステップS2の給電ユニットの決定から、T2時間(ランダム時間)の経過後に、受信信号(RxD)42bがハイレベルの場合、ステップS3に進む。ステップS3では、給電信号40aを一定時間T3(5ms)の間「無給電」とし、受信信号(RxD)42bを検知する。
【0128】
ステップS3の結果、受信信号(RxD)42bがローレベルであれば、他に給電ユニットが無いと判断して、矢印Y4に示すようにステップS2に戻って、給電信号40aを「給電」状態に切換えて、本アルゴリズムを終了する(給電継続)。
【0129】
一方、ステップS3の結果、受信信号(RxD)42bがハイレベルであれば、他に給電ユニットが有ると判断して、矢印Y5に示すようにステップS4に戻って、給電信号40aを「無給電」のままとし、無給電ユニットに決定して、本アルゴリズムを終了する(給電中断)。
【0130】
上記において、所定時間T1〜T5は、例えば、以下のように設定されることができる。
【0131】
(1)T1:ランダム遅延:100ms〜4,000msの範囲でランダムとする。100ms刻みとし、40パターンとすることができる。
(2)T2:瞬時切りランダム遅延:給電ユニット決定後100ms〜500msの範囲でランダムとし、10ms刻みとし、90パターンとすることができる。
(3)T3:瞬時切り時間(固定):5msとする。
(4)T4:給電開始からの待ち時間:50msとする。
(5)T5:給電異常検出時間:10ms(継続)。
【0132】
また、各ステップにおいて、受信信号(RxD)42bによる伝送路6の給電状態の読み込みについては、1ms毎のサンプリング周期にて5回一致を条件とする。
【0133】
室内機11〜16のうち、給電ユニットに決定された室内機は、例えば、赤色のLEDを点灯させて、外部から分かるようにする。
【0134】
なお、本実施形態において、室内機11〜16毎に設定されるランダムな遅延時間(T1)は、単一のマイコンで複数の室内機11〜16の分のランダムな値を生成して、それら複数の室内機11〜16に対して、それぞれ割り当てることができる。または、複数の室内機11〜16のそれぞれに設けられたフリーランタイマの値(カウンタ値)や温度センサ値に基づいて、それぞれ別個にランダムな遅延時間(T1)を設けることもできる。
【0135】
なお、特開平9−133395号公報の技術によれば、アドレス値が重複無く正しく設定されたとしても、電源供給を行う室内機のアドレス値(同公報の例では”0”)に設定された室内機の電源が入っていない場合には、他の室内機から電源供給が行われることが無い。これに対して、本実施形態では、室内機の電源が入っていない場合には、その室内機が乱数を発生すること又はその室内機に乱数が割り当てられることは無いから、その室内機が給電ユニットとして選択されることは無く、電源が入っている室内機が確実に給電ユニットとして選択される。
【0136】
【発明の効果】
本発明の信号伝送装置によれば、2本の伝送線の極性を検出することなく、かつその検出結果に合わせて接続を切り替えることもなしに、通信を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の信号伝送装置の一実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】
図2は、本発明の信号伝送装置の一実施形態の構成を示す回路ブロック図であ
る。
【図3】
図3は、本発明の信号伝送装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図であ
る。
【図4】
図4は、本発明の信号伝送装置の一実施形態の動作を示すフローチャートであ
る。
【図5】
図5は、本発明の信号伝送装置の一実施形態のマイコンの入出力と伝送路の状
態を示す図である。
【図6】
図6は、本発明の信号伝送装置の一実施形態において、伝送路への極性合わせ
を説明するための図である。
【図7】
図7は、特開平9−133395号の技術を示すブロック図である。
【図8】
図8は、特許番号第2692467号の技術を示すブロック図である。
【図9】
図9は、特許番号第3161016号の技術を示すブロック図である。
【図10】
図10は、特許番号第3161016号の技術を示すフローチャートである。
【符号の説明】
6 伝送路
6a 配線
6b 配線
11〜16 室内機
21〜24 リモコン
33 データ送信回路
34 受信・極性判別回路
40 給電回路
41 データ送信回路
42 データ受信回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2本の伝送路上に、複数の給電可能な端末機とリモートコントローラが接続されており、各端末機とリモコンの間で、ベースバンド信号の授受を行う情報伝送装置では、通信の極性を合わせるために直流電源の極性を検出して、その極性に切り替え合わせる機能が必要であった。
【0003】
特開平6−6357号公報には、情報伝送路に電源電圧が重畳されているか否かを検出できると共に、情報伝送路に電源電圧が重畳されている場合には、端末器の接続端子が情報伝送路に対して正極接続または逆極接続のいずれかであるのかを判別でき、その判別結果に基づいて、送信極性切換スイッチを制御することによって正極側出力ポートを正極側伝送路に接続でき、負極側出力ポートを負極性伝送路に接続する技術が示されている。
【0004】
また、図7は、特開平9−133395号公報に記載された空気調和機を示している。同技術は、複数の室内機101のすべてをリモートコントローラ104と同一伝送路106で接続し、室内機101には、アドレス値の設定を行うアドレス設定手段109を設け、アドレス設定手段109で設定されたアドレス値が予め設定された給電許可アドレス値である室内機101のリモコン動作用電源供給手段111をオン状態にし、リモートコントローラ104へ電力を供給する室内機101を一台だけにするものである。
【0005】
上記特開平9−133395号公報では、複数の室内機101のアドレス設定手段109のアドレス値が相互に異なるように設定される必要があるが、誤って重複した値にアドレス値が設定されると、複数台の室内機101が同時に電源供給を行うおそれがある。
【0006】
また、上記特開平9−133395号公報の技術によれば、アドレス値が重複無く正しく設定されたとしても、電源供給を行う室内機101のアドレス値(上記給電許可アドレス値、同公報の例では”0”)に設定された室内機101の電源が入っていない場合には、その室内機101から電源供給は行われず、また、他の室内機101も上記給電許可アドレス値を有していないため、電源供給を行わない。そのため、何らかの事情により上記給電許可アドレス値に設定された室内機101の電源が長期間投入されない場合には、その代わりとして電源供給を行う室内機101を確保すべく、他の室内機101に、上記給電許可アドレス値を設定し直す必要が生じる。
【0007】
図8は、日本国特許番号第2692467号公報に記載された空調制御装置の電力供給装置を示している。同技術では、室内制御ユニット202には、予め室内制御ユニット202毎の異なるシリアル番号を設定されて記憶しているEEPROM(番号記憶手段)と、電力供給手段251と、電源ライン252を監視してリモコンに対する他の室内制御ユニット202からの給電状態か否かを判定する給電判定手段221aと、該給電判定手段221aがリモコンの給電状態を判定すると、自己をリモコンの無給電ユニットに決定する無給電決定手段221bと、上記シリアル番号に基づいて給電タイミングを設定するタイミング手段221cと、該タイミング手段221cの給電タイミングに上記給電判定手段221aがリモコンの無給電状態を判定すると、自己をリモコンの給電ユニットに決定して上記電力供給手段251からリモコンに電力を供給する給電決定手段221dとが設けられている。
【0008】
上記特許番号第2692467号の技術では、複数の室内制御ユニット202にそれぞれ予めシリアル番号が設定されて記憶されている。そのシリアル番号は、例えば、製造出荷時等において各室内制御ユニット毎に異なるシリアル番号が設定されている旨が同公報に明記されている。この技術によれば、工場からの出荷時に、各室内制御ユニットにシリアル番号を重複無く記憶させる作業が必要となる。誤って重複した値にシリアル番号が設定されると、複数台の室内制御ユニット202が同時に電源供給を行うおそれがある。
【0009】
図9は、日本国特許番号第3161016号公報に記載された情報伝達装置を示している。同情報伝達装置は、2本の信号線30lx、30lyで構成された伝送路301と、各々該伝送路301に接続された複数のユニット310、315、360とを備え、該複数のユニット310、315、360は、各々前記伝送路301を通して、該複数のユニット310、315、360を集中制御するためのリモートコントローラとの間でベースバンド信号の授受を行う情報伝送装置であって、前記複数のユニット310、315、360のうちの特定のユニット360は、前記リモートコントローラを動作させるための直流電源を前記伝送路301の2本の信号線301x、301y間に供給する機能を有し、前記複数のユニット310、315、360のうちの前記特定のユニット360以外のユニット310、315はそれぞれ、前記特定のユニット360から前記伝送路301の2本の信号線301x、301y間に供給される直流電源の極性を判定するための極性判定回路320と、送信すべきデータを表したデータ信号XH、XLを生成するためのデータ生成部320と、前記極性判定回路320による判定の結果に基づき、前記データ生成部330からのデータ信号XH、XLを切り替えるための送信手順切替回路340と、前記送信手順切替回路340の出力にしたがって前記伝送路301上の直流電源の極性に合った信号極性を有するベースバンド信号を前記伝送路301へ送出するための送信回路350とを有する。
【0010】
上記特許番号第3161016号の技術では、特定のアドレス番号が設定された特定の室内ユニットのみを給電ユニットとしたときの、アドレス番号が重複してしまうミスの問題を解消するために、以下の構成が採用されている。室内ユニット310、315、360の製造時に、そのEERPOMに固有のシリアル番号を書き込んでおく。そして、図10に示すように、各ユニット310、315、360は、ステップS321で自己のシリアル番号(SN)に比例した時間だけ経過するまで待った後、ステップS322で伝送路301上の直流電源の有無を調べる。他のユニットによって直流電源が供給されていない場合、すなわち最も小さいシリアル番号が付与されている場合には、ステップS323に進んで自己が給電ユニット360として伝送路301へ直流電源を供給する。シリアル番号が大きいためにステップS322へ進んだ時点で既にいずれかのユニットが伝送路301への電源供給を開始している場合には、伝送路301への直流電源の供給を行わずに、ステップS325及びS326において送信極性を選択する。つまり、最小のシリアル番号が付与された室内ユニットのみが給電ユニット360となり、他の室内ユニット310、315は、伝送路301上の直流電源の極性を見てその極性に合うように送信信号の極性を切り替える。
【0011】
上記特許番号第3161016号の技術においても、製造時に、各室内制御ユニットにシリアル番号を重複無く記憶させる作業が必要となる。誤って重複した値にシリアル番号が設定されると、複数台の室内ユニットが同時に電源供給を行うおそれがある。
【0012】
【特許文献1】
特開平6−6357号公報(図1)
【特許文献2】
特開平9−133395号公報(図2)
【特許文献3】
特許番号第2692467号公報(図1)
【特許文献4】
特許番号第3161016号公報(図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、2本の伝送線の極性を検出することなく、かつその検出結果に合わせて接続を切り替えることもなしに、通信を行える信号伝送装置を提供することである。
本発明の他の目的は、2本の伝送線の極性を検出することなく、かつその検出結果に合わせて接続を切り替えることもなしに、通信を行うことができ、万一、アドレス値が重複する等の理由により、複数のユニットによる同時期の電圧印加(給電)が行われた場合でも確実に、電圧印加(給電)ユニットを1台に絞り込めることができる信号伝送装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、2本の伝送線の極性を検出することなく、かつその検出結果に合わせて接続を切り替えることもなしに、通信を行うことができ、何らかの理由で電圧印加(給電)ユニットによる電圧印加(給電)が行われない場合に、代わりに電圧印加(給電)を行う電圧印加(給電)ユニットが提供される信号伝送装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用する番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0015】
本発明の信号伝送装置は、2本の伝送線(6a、6b)で構成された伝送路(6)に接続された複数のユニット(11〜16)を備えた信号伝送装置であって、前記複数のユニット(11〜16)のそれぞれは、前記伝送路(6)に電圧を印加する電圧印加部(40)と、前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定する電圧印加判定部と、前記伝送路(6)の極性に対する極性合わせの動作を行うこと無しに前記伝送路(6)を短絡させることでデータを送信するデータ送信部(41)と、前記伝送路(6)に電位差があるか否かを検出することでデータを受信するデータ受信部(42)とを備えている。
【0016】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)の前記電圧印加判定部は、前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定し、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていると判定したときに、前記電圧の印加を停止する。
【0017】
本発明の信号伝送装置において、前記データ受信部(42)は、2つのフォトカプラ(7、8)を含んでいる。
【0018】
本発明の信号伝送装置において、前記データ送信部(41)は、第1及び第2のMOSFET(41a、41b)を含み、前記第1のMOSFET(41a)は、その第1電極が前記2本の伝送線(6a、6b)のうち第1の前記伝送線(6a)に接続され、その第2電極が接地され、前記第2のMOSFET(41b)は、その第1電極が前記2本の伝送線(6a、6b)のうち第2の前記伝送線(6b)に接続され、その第2電極が接地され、前記第1及び第2のMOSFET(41a、41b)の制御電極は互いに接続されている。
【0019】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧印加部(40)は、ランダムに決定されたタイミングであって、かつ前記電圧印加判定部が前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を開始する。
【0020】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧印加部(40)は、前記複数のユニット(11〜16)のそれぞれの据え付け又は起動が行われた後に独自に決定されたタイミングであって、かつ前記電圧印加判定部が前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を開始する。そのタイミングは、ユニットが据え付け時に有する値には依存せずに決定される。そのタイミングを決定するための値は、ユニットが据え付け時に有する値とは無関係な独創性を有する。
【0021】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)の前記電圧印加判定部は、前記伝送路(6)を監視して前記伝送路(6)の電圧が異常であるか否かを判定し、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記伝送路(6)の電圧が異常であると判定したときに、前記電圧の印加を停止する。
【0022】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を行っている前記ユニット(11)は、一時的に前記電圧の印加を中断し、前記電圧の印加を一時的に中断した前記ユニット(11)の前記電圧印加判定部は、前記電圧の印加を一時的に中断している間の前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定し、前記電圧の印加を一時的に中断した前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記電圧の印加を一時的に中断している間に前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていると判定したときに、前記電圧の印加を停止する。
【0023】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を一時的に中断した前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記電圧の印加を一時的に中断している間に前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を再開する。
【0024】
本発明の信号伝送装置において、前記電圧の印加を行っていない前記ユニット(11)の前記電圧印加判定部は、前記伝送路(6)を監視して他の前記ユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われているか否かを判定し、前記電圧の印加を行っていない前記ユニット(11)の前記電圧印加部(40)は、前記電圧印加判定部が前記他のユニット(12〜16)による前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を開始する。
【0025】
本発明の信号伝送装置において、前記送信部(41)は、前記送信部(41)を含む前記ユニット(11)が前記電圧の印加を行っているか否かを示す前記信号を、前記ユニット(11)を制御するためのリモートコントローラ(21)に出力し、前記ユニット(11)は、前記リモートコントローラ(21)から入力した、前記ユニット(11)による前記電圧の印加を開始又は停止する旨の信号に基づいて、前記電圧の印加の開始又は停止を行う。
【0026】
本発明の信号伝送装置において、前記伝送路(6)に対する前記電圧の印加は、前記伝送路(6)に接続され前記ユニット(11)を制御するためのリモートコントローラ(21)に対する電源の供給である。
【0027】
本発明は、2本の伝送路の極性を検出し、切り替え合わせることなしに、ベースバンド信号の伝送を行う情報伝送装置である。
【0028】
本発明の内容は、以下の▲1▼〜▲4▼の通りである。
▲1▼2本の伝送路上に複数の室内機のうちの1台が複数のリモコンに直流電源を供給しており、直流電源をオン/オフすることで信号の授受を行う伝送装置である。複数の室内機の中から給電ユニットを1台の室内機に限定する方法は、特に限定されない。アドレススイッチや、シリアル番号や、ランダム関数等何らかの手段により1台の給電ユニットが特定されればよい。
▲2▼送信ユニットは、送信回路の2つのMOSFETを同時にオンオフすることでデータを送信する。このとき、直流電源の極性に関わらず直流電源をオンオフすることができる(2本の伝送路間を短絡できればどのような構成でもよい)。
▲3▼受信回路は、2つのフォトカプラによって通信極性の無極性化を図っている。電流の有無によりデータを受信する。
▲4▼以上のように、伝送路の直流電源の極性に関係無く通信することができ、通信極性を完全に無極性化することができる。
【0029】
本発明の効果は、以下の通りである。
▲1▼極性検出回路や極性切替回路が不要であるため、通信回路のコストダウンとなる。
▲2▼極性を切り替え合わせるためのアルゴリズム(ソフト)が不要となり、簡素化されるため、製品の信頼性向上に繋がる。
【0030】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照して、本発明の信号伝送装置の一実施形態を説明する。
【0031】
本実施形態の信号伝送装置は、パッケージエアコン(PAC)である。PACは、オフィス、店舗、ビル等で使用される空調機であり、リモコン通信は、室内機とリモコン間に接続された通信ケーブルを通して温度情報や設定情報のやりとりをしている。PACのリモコン通信は、ルームエアコン(RAC)のような赤外線とは違い、通信ケーブルを使用した有線通信である。通信ケーブルの役割は2つある。一つ目はリモコンのコントローラ基板の駆動電圧を室内機から供給することであり、二つ目は温度情報や設定情報のやりとり(双方向通信)を行うことである。
【0032】
図3に示すように、4台のリモートコントローラ(以下、リモコンと略称する)21〜24のそれぞれは、各々同一伝送路(電力・信号線)6によって、16台の室内機11〜16とそれぞれ並列に接続されている。なお、本実施形態では、リモコンの台数を4台、室内機の台数を6台として説明するが、それぞれその台数に限定されないことはいうまでもない。
【0033】
複数の室内機11〜16のそれぞれは、複数の場所に設置されたリモコン21〜24のいずれからでも遠隔制御(リモートコントロール)される。
【0034】
伝送路6は、2線式であり、2本の配線6a、6bから構成されている。その2本の配線6a、6bは、グランド線と信号・電力線として機能し、室内機11〜16からリモコン21〜24への給電と、室内機11〜16とリモコン21〜24間の双方向のデータ通信とに用いられる。
【0035】
本実施形態では、2本の配線6a,6bを室内機11〜16に接続する場合及びリモコン21〜24を2本の配線6a,6bに接続する場合に、一々極性を考えなくてもよいようにリモコン21〜24を無極性化する。無極性2線方式は、直流電源ラインとデータ信号ラインを共通化(電源供給とデータ伝送を共通の通信線で兼用)することで電線を2本とし、端子接続の無極性化を実現した方式である。無極性2線方式は、2本の端子の極性を意識せずに接続できるため、据付工事が簡素化され、工事費・工数の低減につながる。
【0036】
2本の信号線6a、6bで構成される伝送路6は、各リモコン21〜24、および各室内機11〜16は、それぞれ信号線の極性に関わらず並列に接続されているから、いずれか1台の室内機11〜16が各リモコン21〜24に対する給電動作をすることによって伝送路6に接続された各リモコン21〜24に電力が供給される。
【0037】
次に、図2を参照して、本実施形態の室内機とリモコンの回路ブロックについて説明する。図2では、一台の室内機と一台のリモコンの接続関係のみが示されているが、図3に示した通り複数の室内機11〜16と複数のリモコン21〜24の関係についても、図2と同様である。
【0038】
室内機11とリモコン21とは、上記のように、2本の配線からなる伝送路6によって接続されている。給電ユニットとして選択された室内機11からは、給電回路40および伝送路6を介して、12Vの直流電圧がリモコン21に供給される。室内機11から出力された12Vの電圧には極性があるが、リモコン21のダイオードブリッジ31により全波整流されることで、極性無しの電圧が印加される。この全波整流方式により、給電の無極性化が実現されている。三端子レギュレータ32は、その無極性化された12Vの電圧からリモコン21用の5Vの一定電圧を生成する。
【0039】
室内機11は、データ送信回路41とデータ受信回路42とを備えている。リモコン21は、データ送信回路33と、データ受信回路34とを備えている。これらを用いて、室内機11とリモコン21との間の双方向通信が行われる。
【0040】
次に、図1を参照して、室内機11〜16とリモコン21〜24の回路構成について説明する。図1では、一台の室内機と一台のリモコンの接続関係のみが示されているが、図3に示した通り複数の室内機11〜16と複数のリモコン21〜24の関係についても、図1と同様である。
【0041】
室内機11〜16には、給電回路40と、データ送信回路41と、データ受信回路42とが設けられている。給電回路40には、短絡電流を所定値以下に制限するための電流制限回路40bが設けられている。
【0042】
給電回路40の電源スイッチ40aに、給電開始命令CS(オン信号、図示せず)が入力されると、伝送路6に電源が供給される。
【0043】
給電開始命令CSは、マイコンから出力される。給電開始命令CSは、アドレススイッチ、シリアル番号、ランダム関数のいずれに基づいて与えられるものであってもよい。これらのうち、ランダム関数(乱数)に基づいて、給電開始命令CSが出力されるケースについては後述する。
【0044】
まず、アドレススイッチに基づいて、給電開始命令CSが出力されるケースについて説明する。複数の室内機11〜16のそれぞれには、アドレス値の設定を行うアドレス設定手段(アドレススイッチ)が設けられ、そのアドレス設定手段で設定されたアドレス値が予め設定された給電許可アドレス値である室内機11〜16の電源スイッチ40aにのみ、給電開始命令CSが出力されることで、リモコン22〜24へ電力を供給する室内機11〜16を一台だけにするものである。
【0045】
このアドレススイッチを用いた技術によれば、複数の室内機11〜16のアドレス設定手段のアドレス値が相互に異なるように設定する作業は、据え付け時等に行われる。一般に、工場からの出荷段階では、複数の室内機のアドレス設定手段の値は、いずれも0又は1のように決まった一つの値に設定されている。そのため、その後、複数の室内機11〜16を現地で据え付けるときに、アドレス値が重複しないようにアドレス設定手段を設定し直す作業が必要となる。誤って重複した値にアドレス値が設定されると、複数台の室内機11〜16が同時に電源供給を行うおそれがある。そこで、本実施形態では、後述するように、仮に重複した値にアドレス値が設定された場合であっても給電ユニットを1台に絞り込める構成を採用している(図4参照)。
【0046】
次に、シリアル番号に基づいて、給電開始命令CSが出力されるケースについて説明する。室内機11〜16には、予め室内機11〜16毎の異なるシリアル番号を設定されて記憶している番号記憶手段と、上記シリアル番号に基づいて給電タイミングを設定するタイミング手段とが設けられている。複数の室内機11〜16にそれぞれ予めシリアル番号が設定されて記憶されている。そのシリアル番号は、例えば、製造出荷時等において各室内機11〜16毎に異なるシリアル番号が設定されている。この技術によれば、工場からの出荷時に、各室内機11〜16にシリアル番号を重複無く記憶させる作業が必要となる。誤って重複した値にシリアル番号が設定されると、複数台の室内機11〜16が同時に電源供給を行うおそれがある。そこで、本実施形態では、後述するように、仮に重複した値にシリアル番号が設定された場合であっても給電ユニットを1台に絞り込める構成を採用している(図4参照)。
【0047】
データ送信回路41は、2つのMOSFET41a、41bを備えている。
MOSFET41aのソースは、配線6aに接続され、そのドレインは、グランドに接地されている。MOSFET41aのソースとドレインとの間には、ドレインからソースに向かって順方向のダイオード41dが接続されている。
MOSFET41bのソースは、配線6bに接続され、そのドレインは、グランドに接地されている。MOSFET41bのソースとドレインとの間には、ドレインからソースに向かって順方向のダイオード41eが接続されている。
2つのMOSFET41a、41bのゲートには、インバータを介してTXD信号(入力信号)41cの入力端子と接続されている。
この例では、ドレインがMOSFETの第1電極であり、ソースが第2電極である。
【0048】
データ送信回路41では、スイッチング動作に応じて、ハイ状態のTXD信号41cが2つのMOSFET41a、41bのゲートに入力されることにより、配線6aと配線6bとを短絡させ、データを送信する。配線6aと配線6bとが短絡した場合には、リモコン21のデータ受信回路34のいずれのフォトダイオード9a、10aにも電流が供給されなくなり、受信信号(RxD)43bがローとなる。これに対し、伝送路6に給電がなされている時であって、配線6a、6bが短絡していない場合には、2本の配線6a、6bのうちのどちらが高電位側であるかに応じていずれかのフォトダイオード9a、10aに電流が供給され、受信信号(RxD)43bがハイとなる。具体的には、配線6bがグランドに接地され、配線6aに12Vが印加されている場合には、フォトダイオード9aに電流が供給され、フォトダイオード9aからの光を受けてフォトトランジスタ9bがオンする。反対に、配線6aがグランドに接地され、配線6bに12Vが印加されている場合には、フォトダイオード10aに電流が供給され、フォトダイオード10aからの光を受けてフォトトランジスタ10bがオンする。
データ送信回路41は、配線6aと配線6bとを短絡させることができれば、2つのMOSFETからなる構成に限定されない。例えば、マグネットリレー等の公知の手段を適用することも可能である。
【0049】
データ受信回路42は、フォトカプラ7と、フォトカプラ8とを備えている。フォトカプラ7は、配線6aから配線6bに向かって順方向の発光(フォト)ダイオード7bと、発光ダイオード7bからの光を受けてオンするフォトトランジスタ7aとを有している。
フォトカプラ8は、配線6bから配線6aに向かって順方向の発光ダイオード8bと、発光ダイオード8bからの光を受けてオンするフォトトランジスタ8aとを有している。
【0050】
フォトトランジスタ7aのエミッタは、グランドに接地され、そのコレクタは、インバータ42cの入力部に接続されている。また、フォトトランジスタ7aのコレクタには、電源供給部42dも接続されている。
フォトトランジスタ8aのエミッタは、グランドに接地され、そのコレクタは、インバータ42cの入力部に接続されている。
インバータ42cからは、受信信号(RxD)42bが出力される。
【0051】
発光ダイオード7bの入力部と配線6aとは、抵抗42aを介して接続されている。発光ダイオード7bの出力部は、発光ダイオード8bの入力部と接続されている。
発光ダイオード8bの入力部と配線6bとは接続されている。発光ダイオード8bの出力部は、発光ダイオード7bの入力部と抵抗42aとの間に接続されている。
【0052】
配線6bがグランドに接地され、配線6aに12Vが印加されている場合には、電流は、配線6a側から抵抗42aを介して発光ダイオード7bに入力され、発光ダイオード8bに入力されること無く配線6bに出力される。
反対に、配線6aがグランドに接地され、配線6bに12Vが印加されている場合には、電流は、配線6b側から発光ダイオード8bに入力され、抵抗42aを介して配線6aに出力される。
【0053】
データ受信回路42は、2つのフォトカプラ7、8により、データを受信する。ハイの受信信号(RxD)42bは、「1」を示すデータであり、ローの受信信号(RxD)42bは、「0」を示すデータである。
【0054】
リモコン21〜24には、ダイオードブリッジ31と、三端子レギュレータ32と、データ送信回路33と、データ受信回路34とが設けられている。
【0055】
電源回路32にダイオードブリッジ31が設けられることにより、無極性化が図られる。さらに、電源ラインがオフ(短絡)した時のリモコン電源の電圧の低下を緩和するために電解コンデンサ35が挿入されている。コンデンサ36は、三端子レギュレータ32により生成された5Vの電源を安定化させる。
【0056】
データ送信回路33と、データ受信回路34は、それぞれ室内機11〜16のデータ送信回路41、データ受信回路42と基本的に同じ構成である。
【0057】
データ送信回路33は、2つのMOSFET33a、33bを備えている。
MOSFET33aのソースは、配線6aに接続され、そのドレインは、グランドに接地されている。MOSFET33aのソースとドレインとの間には、ドレインからソースに向かって順方向のダイオード33dが接続されている。
MOSFET33bのソースは、配線6bに接続され、そのドレインは、グランドに接地されている。MOSFET33bのソースとドレインとの間には、ドレインからソースに向かって順方向のダイオード33eが接続されている。
2つのMOSFET33a、33bのゲートには、インバータを介してTXD信号33cの入力端子と接続されている。
【0058】
データ送信回路33では、スイッチング動作に応じて、ハイ状態のTXD信号33cが2つのMOSFET33a・33bのゲートに入力されることにより、配線6aと配線6bとを短絡させ、データを送信する。配線6aと配線6bとが短絡した場合には、室内機11のデータ受信回路42のいずれのフォトダイオード7b、8bにも電流が供給されなくなり、受信信号(RxD)42bがローとなる。これに対し、伝送路6に給電がなされている時であって、配線6a、6bが短絡していない場合には、2本の配線6a、6bのうちのどちらが高電位側であるかに応じていずれかのフォトダイオード7b、8bに電流が供給され、受信信号(RxD)42bがハイとなる。
【0059】
データ受信回路34は、フォトカプラ9と、フォトカプラ10とを備えている。
フォトカプラ9は、配線6aから配線6bに向かって順方向の発光ダイオード9aと、発光ダイオード9aからの光を受けてオンするフォトトランジスタ9bとを有している。
フォトカプラ10は、配線6bから配線6aに向かって順方向の発光ダイオード10aと、発光ダイオード10aからの光を受けてオンするフォトトランジスタ10bとを有している。
【0060】
フォトトランジスタ9bのエミッタは、グランドに接地され、そのコレクタは、インバータ43cの入力部に接続されている。フォトトランジスタ9bのコレクタには、電源供給部43dが接続されている。
フォトトランジスタ10bのエミッタは、グランドに接地され、そのコレクタは、インバータ43cの入力部に接続されている。
インバータ43cからは、受信信号(RxD)43bが出力される。
【0061】
発光ダイオード9aの入力部と配線6aとは、抵抗43aを介して接続されている。発光ダイオード9aの出力部は、発光ダイオード10aの入力部と接続されている。
発光ダイオード10aの入力部と配線6bとは接続されている。発光ダイオード10aの出力部は、発光ダイオード9aの入力部と抵抗43aとの間に接続されている。
【0062】
データ受信回路34は、2つのフォトカプラ9、10により、データを受信する。ハイの受信信号(RxD)43bは、「1」を示すデータであり、ローの受信信号(RxD)43bは、「0」を示すデータである。
【0063】
複数台の室内機11〜16の構成は、互いに同一である。
また、複数のリモコン21〜24の構成も互いに同一である。複数のリモコン21〜24の全てに対して、いずれか1台の室内機11から給電が行われる。
但し、以下に(6)として後述するように、室内機に対して給電の要否の指示を出すリモコンは、親リモコンとして1台のリモコン21が設定される。
【0064】
親リモコン21は、室内機11〜16との間の通信のタイミングを制御する。リモコン21が親リモコンとして設定されるには、リモコン21に設けられた親リモコン設定用スイッチ(図示せず)が切換えられればよい。なお、全てのリモコン21〜24について、親リモコン設定用スイッチが設けられており、ここでは、そのうちのリモコン21の親リモコン設定用スイッチが切換えられて親リモコンに設定されているとする。
【0065】
次に、室内機11〜16とリモコン21〜24との間の通信について説明する。
【0066】
本実施形態において、室内機11からリモコン21〜24へは、2本の電線(伝送路6)で直流電源が供給され、この電源ライン6(6a、6b)がTXD信号33c、41cによって短時間短絡されることで、室内機11とリモコン21〜24間での双方向の通信が行われる。
【0067】
リモコン21〜24は、蓄電機能を有し、信号が送信されるために短時間伝送路6が短絡されても、その短絡されている間にリモコン21〜24で消費される電力量は、この蓄電器(図1のコンデンサ35)がまかなう。
【0068】
本実施形態のようなPACリモコン通信では、通信制御方式としてポーリング方式が採用されており、各ユニット間で1対1の通信が行われている。
【0069】
室内機11〜16とリモコン21〜24との間の通信は、伝送路6の2本の配線6a、6b間の電圧を用いたデジタル通信である。給電が行われている伝送路6の2本の配線6a、6bを短絡させて伝送路6の電圧がゼロになったときが「0」のデータに相当し、短絡されずに伝送路6に12Vの電圧が印加されているときが「1」のデータに相当する。このように、室内機11〜16とリモコン21〜24は、それぞれデータ送信回路41、33のTXD信号41c、33cとしてハイ又はローの信号を供給することによるデジタル通信を行う。
【0070】
本実施形態では、マイコンから送信されるデジタル信号を、データ送信回路41、33がリモコン給電電圧12Vをスイッチングさせることで、信号伝送する(電源オン/オフ通信方式)。給電ユニット(室内機)から供給されている直流電源ライン(12V)をオン/オフ(スイッチング)させることでデータ信号を送受信する電源オン/オフ通信方式は、ベースバンド通信であるために、送信されるデータによって給電電圧の低下の割合が左右される。つまり、「0」のデータは無給電(電源オフ)、「1」のデータは給電(電源オン)に対応するため、「0」のデータが多くなると、通信時間中の短絡時間の割合が多くなり給電電圧の低下も大きくなる。
【0071】
上記のように、電源オン/オフ通信方式では、通信中の給電電圧の確保が課題となる。即ち、室内機11〜16から「0」のデータを送信すべく、データ送信回路41によって配線6a、6bが短絡されているときには、リモコン21〜24への給電がなされないことになり、0ビットが連続したデータの通信時に問題となる。
【0072】
本実施形態では、その給電がなされない間は、リモコン21〜24のコンデンサ35に蓄電されている電圧を用いて、三端子レギュレータ32がリモコン用電圧(5V)を安定的に供給する。また、通信速度を高速化することで、0ビットが連続したデータの通信時間自体を短縮化している。
【0073】
なお、電源オン/オフ通信方式では、デジタル信号の「0」が0V(ロー電圧)、「1」が12V(ハイ電圧)、またはその逆の組合せに対応させることができる。即ち、伝送路6の電圧値である0Vと12Vがそのままそれぞれ「0」と「1」のデータに対応する、またはその逆の組合せにすることができるが、それに代えて、以下の構成にすることもできる。
【0074】
伝送路6の電圧が12Vから0Vに下がったときに、初期値(ここではデータ「0」とする)から、他方の2値信号(本例ではデータ「1」)に切り替わり、その次に12Vから0Vに下がったときに初期値(本例ではデータ「0」)に戻り、その次に12Vから0Vに下がったときに他方の2値信号(本例ではデータ「1」)に切り替わり、それ以降はその繰り返しである。
【0075】
次に、室内機11〜16およびリモコン21〜24のそれぞれによる、伝送路6の極性判別の必要性について説明する。
【0076】
上記のように、室内機11〜16とリモコン21〜24の2本の6a、6bは、極性無しとされる。リモコン21〜24に入力された給電用の信号は、ダイオードブリッジ31により全波整流されることで極性に関係無く電源が作り出される。
【0077】
また、伝送路6において信号伝送を行う上においても、室内機11〜16とリモコン21〜24のそれぞれは、伝送路6に対して極性を合わせる必要が無い。信号伝送を行う上において、配線6aと配線6bのいずれが高電位側であっても、両配線6a、6bの短絡時と非短絡時とで「0」と「1」のデータを送信することができる。また、後述するように、各室内機11〜16は、伝送路6の給電の有無をモニタする上でも極性の判別が不要である。
【0078】
次に、電源供給する室内機の台数を1台に絞り込む必要性及びその方法について説明する。
【0079】
複数の室内機11〜16がリモコン21〜24へ給電されると、電源ライン6a、6bを短絡しても規定値以下に下がらないため、正常なデータ送信に支障をきたす場合がある。
また、複数台の室内機11〜16からリモコン21〜24に給電されると、リモコン21〜24には過剰電流が流れることになる。
【0080】
また、図6に示すように、複数(2台)の室内機が同時に給電した場合、給電ユニット同士の極性が互いに逆であった場合は、伝送路6の線間電圧が相殺されて0Vとなるために、リモコン21〜24に給電できなくなる。
【0081】
以上のことから、リモコン21〜24に電源を供給する室内機の台数は常に1台に絞り込まれる必要がある。
【0082】
次に、リモコン21〜24に電源を供給する室内機の台数を常に1台に絞り込むための方法について説明する。
【0083】
上記においては、アドレススイッチやシリアル番号を用いて給電を行う室内機を1台にする方法について簡単に説明した。以下では、ランダム関数(乱数)を用いて給電を行う室内機を1台に絞り込む方法について詳しく説明し、その説明の中で、アドレススイッチやシリアル番号を用いて、給電を行う室内機を1台に絞り込む方法について触れることとする。
【0084】
<基本原理>
室内機11〜16ごとのフリーランタイマ値(カウンタ値)や温度センサ値に基づいてランダムな遅延時間が設けられる。ランダム関数に代えて、アドレススイッチやシリアル番号が用いられる場合には、室内機11〜16ごとに設定されたアドレス値やシリアル番号に対応する時間が設けられる。
これにより、給電のタイミングをずらして給電ユニットを決定する。但し、複数の室内機11〜16のそれぞれに対して、ランダムに設定された遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)が同一になった場合には、同時給電が発生する可能性がある。
【0085】
<複数台同時給電発生時の処置方法>
同時給電が発生した場合には、同時給電ユニットの極性(正、逆)により伝送路6の電圧の状態が変わることを利用して給電ユニットを1台に絞り込む。
(1)同時給電ユニットの極性が1つでも異なる場合
伝送路6間の電圧を常時監視し電圧レベルが一定時間以上設定電圧値以下となる(異常状態)ことを検知して給電を取り止める(ランダム)。
(2)同時給電ユニットの極性が全て同じ場合
給電ユニットは、ランダムなタイミングで瞬間的に給電を取り止める。このときに伝送路6間の電圧が下がるか否かにより同時給電の有無を検知し給電ユニットが1台となるまで繰り返す。
【0086】
以下の(1)〜(6)に、リモコン21〜24に電源を供給する室内機(給電ユニット)の台数を1台に絞り込む方法について具体的に説明する。
【0087】
(1)複数の室内機11〜16の自分用の電源が同時に投入されると、複数の室内機11〜16のそれぞれは、ランダムに設定された遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)を経過した後に、リモコン21〜24への給電を行うことで、リモコン21〜24への給電時期(給電タイミング)をずらす(室内機一斉電源投入対策)。
【0088】
複数の室内機11〜16のそれぞれに電源が投入されて起動すると、複数の室内機11〜16のそれぞれでは、ソフトウェア処理にて乱数を発生させる(ランダム関数による場合)。複数の室内機11〜16のそれぞれでは、各乱数の値に対応する(例えば正比例する)遅延時間が設定される。室内機11〜16毎のフリーランタイマ値(カウンタ値)や温度センサ値に基づいてランダムな遅延時間を設定することができる。その設定された各遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)が経過した後に、室内機は、次の(2)を満たすことを条件に、リモコン21〜24への給電動作を開始する。
【0089】
具体的には、次の(2)を満たすことを条件に、各遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)が経過した時点で給電開始命令(オン信号)CSが、室内機11〜16のそれぞれの給電回路40の給電信号40aに入力されて、リモコン21〜24への給電が開始される。複数の室内機11〜16のそれぞれで発生した乱数(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)のうち、例えば最小の値の乱数(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)を発生させた一台の室内機11が給電ユニットに選択される。
【0090】
給電開始命令CSが電源スイッチ40aに入力されると、配線6bがグランドに接続され、配線6a、6b間に12Vが印加され、給電が行われる。
【0091】
(2)各室内機11〜16は、リモコン21〜24への給電を行う際、リモコン通信ライン(伝送路6)の電圧をモニタし、給電の可否を判定する。この判定動作は、▲1▼複数の室内機11〜16に一斉に電源を投入して、上記遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)により給電タイミングがずれたときと、▲2▼他の室内機よりも遅れて自己の室内機の電源が入れられたときのいずれのときにも行われる。
【0092】
上記(2)の判定動作では、リモコン21〜24へ給電している室内機の台数、2本の電線6の接続されている向きなどで、通信ライン(伝送路6)の電圧が異なる。
【0093】
上記(1)として説明したように、各室内機11〜16において、それぞれの乱数値によって決定された遅延時間(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)の経過後に給電が開始されようとするが、その給電開始にあたり(給電開始前)には、それぞれの室内機11〜16は、受信信号(RxD)42bにより伝送路6(電線6a、6b間)の電圧をモニタして、上記(2)の動作を行う。
【0094】
各室内機11〜16では、上記(2)の動作の結果、最初に給電を開始した室内機11(ここでは、室内機11の乱数の値(又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間)が最小であったとする)は、給電可能と判定されるが、その最初に給電を開始した室内機11以外の、複数の室内機12〜16は、給電不可と判定される。
【0095】
上記(2)の具体的な回路動作について説明する。
各室内機11〜16のデータ受信回路42では、いずれかの室内機11〜16によって伝送路6を介して給電が行われているときには、受信信号(RxD)42bとしてハイ信号が出力される。上記のように、配線6aが12Vであり配線6bが0Vである場合にはフォトトランジスタ7aがオンし、反対に、配線6bが12Vであり配線6aが0Vである場合にはフォトトランジスタ8aがオンする。フォトトランジスタ7a又は8aのいずれがオンしても、電源供給部42dの高電位が、ハイの受信信号(RxD)42bとして出力される。一方、給電が行われておらず、配線6aと6bとの間の電位差が0Vである場合には、フォトトランジスタ7a及び8aの双方がオフであり、ローの受信信号(RxD)42bが出力される。これにより、データ受信回路42は、伝送路6での給電の有無を判断する。但し、2本の配線6a、6bの極性は判別できない。本実施形態では、2本の配線6a、6bの極性の検出は不要である。また、2本の配線6a、6bの極性に合わせて自己の室内機の極性を合わせる(接続を切り替える)ことも不要である。
【0096】
室内機12〜16の各データ受信回路42がハイの受信信号(RxD)42bを検出して伝送路6にて給電中であると判断すると、その室内機12〜16の各給電開始時期になっても、給電信号40aには、上記給電開始命令CSが入力されない。給電する室内機の台数を1台に絞り込むためである。給電信号40aに上記給電開始命令(オン信号)CSが入力されない限り、その室内機12〜16から給電が行われることは無い。
【0097】
データ送信回路41では、データ送信を行うときには、所定のタイミングでTXD信号(入力信号)41cとしてオン信号(送信データに対応する信号)が供給される。データ送信回路41では、2本の配線6a、6bの極性とは無関係に(2本の配線6a、6bの極性に合わせる動作を行うこと無しに)、TXD信号41cとしてオン信号を入力することで、2本の配線6a、6bを共に接地させて短絡させ、例えば「0」のデータを送信する。これにより、データ受信回路42において、2本の配線6a、6bの極性の検出は不要である。
【0098】
一方、データ受信回路42は、ローの受信信号(RxD)42bが出力された場合には、未だ他の室内機12〜16が給電を行っていないと判断し、その室内機11は、給電を開始すべく、給電信号40aに、上記給電開始命令CSを入力する(上記(1))。
【0099】
ここで、上記(1)で各室内機11〜16において乱数を発生させたとき、2台の室内機11、13の乱数が同じ値の最小値であったとする。又はアドレス値やシリアル番号に対応する時間が同じ値の最小値であったとする。このとき、2台の室内機11、13のデータ受信回路42が上記(2)の極性判別を行うと、共に、伝送路6の電圧は0Vであると検知する。よって、2台の室内機11、13が同時の給電開始時期に給電を開始する。このとき、2台の室内機11、13の極性が同じであれば伝送路6には12Vが印加され、極性が逆であれば線間電圧を打ち消し合って伝送路6は0Vとなる。この場合、他の室内機12,14〜16が上記(2)を行うと、伝送路6の電圧は12V又は0Vと検出する。
【0100】
(3)リモコン21〜24へ給電している室内機は、常時、通信ライン(伝送路6)をモニタし、そのモニタの結果、異常であれば給電をとりやめる。
【0101】
ここでは、上記(1)及び(2)の結果、室内機11のみが給電を行っているとして説明する。室内機11は、給電開始後、室内機11のデータ受信回路42により、伝送路6の電圧を常時モニタする。そのモニタの結果、伝送路6の電圧が12Vでない場合には、異常であると判断して室内機11による給電を停止する。具体的には、ソフトウェアにより、給電信号40aに対する上記給電開始命令CSの入力を停止する。
【0102】
(4)リモコン21〜24へ給電していない室内機は、常時、通信ライン(伝送路6)をモニタし、そのモニタの結果、必要であれば給電を開始する。
【0103】
ここでも、上記(1)及び(2)の結果、室内機11のみが給電を行っているとして説明する。給電を行っていない室内機12〜16のそれぞれは、上記(2)の動作を行った後、常時、室内機12〜16のそれぞれのデータ受信回路42により、伝送路6の電圧を常時モニタする。そのモニタの結果、伝送路6の電圧が0Vであって給電が行われていない場合には、0Vであることを検知した室内機12〜16は、伝送路6での給電を開始する。なお、この場合、複数台の室内機12〜16が同時期に給電を行う事態が想定されるが、その対策は後述する(5)で行われる。
【0104】
室内機11が給電ユニットして選択されているのもかかわらず、伝送路6の電圧が0Vであるケースとしては、室内機11をメンテナンスする等に理由により室内機11の電源が切られている場合が考えられる。
【0105】
すなわち、上記(3)及び(4)から分かるように、給電中の室内機11も給電を行っていない室内機12〜16も、各データ受信回路42によって常時、伝送路6の電圧をモニタしており、その結果、給電中の室内機11によるモニタ結果が12V以外であれば、室内機11は給電を停止し、一方、給電を行っていない室内機12〜16によるモニタ結果が0Vであれば、室内機12〜16が給電を開始する。
【0106】
(5)リモコン21〜24へ給電している室内機は、定期的に(ランダムに)給電を取り止め、給電を止めた後の通信ライン(伝送路6)をモニタし、そのモニタ結果に基づいて、継続して給電する必要があるか否かを判定する。
【0107】
上記(5)は、複数の室内機11〜16によって同時期に給電が行われている場合を考慮した動作である。ここでは、2台の室内機11、12が同時期に給電を行っているとする。2台の室内機11、12の極性が同じであれば、伝送路6には12Vが印加されるため、2台の室内機11、12のそれぞれが上記(3)のモニタを行った結果は、正常(正常な検出値:12V)であると判断される。
【0108】
そのため、上記(5)では、給電中の室内機11、12は、それぞれ定期的に(ランダムなタイミング/サイクルで複数回)、一時的に(瞬間的に)伝送路6での給電を停止する。その一時的に給電を停止した室内機11は、その一時的に給電を停止した時点での伝送路6の電圧のモニタ結果が12Vであれば、他に給電中の室内機12があるとして自己11の給電を停止する(一時的な給電停止から給電の再開を行わない)。
【0109】
上記のように、同時期に給電中である室内機11、12は、それぞれ独立したランダムなタイミングで、一時的な給電停止と伝送路6の電圧の監視を行う。
また、同時期に給電中の室内機が3台以上である場合にも、上記(5)の動作により、給電する室内機は1台に絞られる。
【0110】
一方、給電中の室内機が一台しか無い場合(その一台は室内機11として説明する)、上記(5)の一時的な給電停止を行うと、その時点での伝送路6の電圧が0Vとなるため、給電ユニットは自分11の一台のみであると判断して、室内機11の給電を直ちに再開する。
【0111】
(6)上述したように、親リモコンに設定されているリモコン21は、室内機からの通信データに含まれる給電有り無し情報を集計し、複数の室内機が給電している場合には、室内機へ給電の要否の指示を通信により与える。
【0112】
上記(6)は、何らかの理由により、上記(5)を実行しても複数台の室内機11〜16による同時期の給電の状態が解消されない場合に備えたバックアップ動作である。
【0113】
複数の室内機11〜16のそれぞれは、自分が給電中であるのか否かを示す情報(給電有り無し情報)を伝送路6を用いた上記通信により、リモコン21〜24に送信する。複数の室内機11〜16のそれぞれから上記情報を受けた親リモコン21は、それらの情報に基づいて、複数の室内機11〜16による同時期の給電の有無、及び少なくとも一台の室内機による給電の有無を判断する。その判断結果に基づいて、リモコン21は、指示が必要な(現在の給電の有無の状態の変更が必要な)室内機に対して、給電を開始する旨の指示又は給電を停止する旨の指示を、伝送路6を用いた上記通信により送信する。
【0114】
次に、図4を参照して、本実施形態の給電アルゴリズムについて説明する。
なお、図4に示す以下の動作は、各室内機11〜16に内蔵されたマイコンのソフトウェアに基づいて実行される。
【0115】
なお、次のT1〜T6時間は、それぞれ所定時間を示しており、設計に応じて適宜設定される。また、室内機11〜16のうち伝送路6での給電を行う室内機を「給電ユニット」と称し、伝送路6での給電を行わない室内機を「無給電ユニット」と称すことにする。
【0116】
<給電アルゴリズムの概要>
ここでは、最大16台の室内機11〜16が接続された構成において、給電ユニットを一台に絞り込む給電アルゴリズムについて規定する。給電アルゴリズムは、初期立ち上げ時および給電ユニットの脱退検出時に行う。本アルゴリズムは、ランダム関数により給電ユニットを決定する方法であるが、万一、複数のユニットが同時に給電した場合でも必ず1台に絞り込むことができ、メンテナンス等の理由で給電ユニットの主電源が遮断された場合等でも給電していないユニットが自動的にリモコンに直流電源を供給する。
【0117】
なお、本アルゴリズムは、ランダム関数に代えて、アドレススイッチ又はシリアル番号により給電ユニットを決定する方法にも適用できる。
【0118】
<給電ユニット決定アルゴリズム>
電源立ち上げ(マイコンリセットスタート)時、または給電ユニットの受信信号(RxD)出力42bが異常状態の時、または給電ユニットが脱退したことを検知したときに、本アルゴリズムを実施する。伝送路6a、6b間が短絡されているかどうかを検知することで給電状態を把握し、給電ユニットを1台に決定する。給電ユニットが既に決定している場合は、無給電ユニットに決定する。
【0119】
ステップS1に示すように、各室内機11〜16では、給電スイッチを「無給電」状態とし、ソフトウェアで発生させた乱数に対応するT1時間(ランダム時間)が経過するのを待つ。なお、ランダム関数に代えて、アドレススイッチ又はシリアル番号により給電ユニットを決定する場合には、T1時間は、それぞれアドレス値又はシリアル番号に対応した時間(例えばアドレス値又はシリアル番号に比例した時間)である。
【0120】
ここで、「無給電」状態とは、図5に示すように、給電信号40aにオフ信号(0V)を入力することをいう。各室内機11〜16では、それぞれのT1時間が経過したときに、受信回路42の出力(RxD)42bにより伝送路6に直流電源が供給されているかどうかを検知する。
【0121】
ステップS1において、T1時間の経過後、受信回路42の出力(RxD)42bがローであればステップS2に進む(矢印Y1参照)。ここで、受信回路42の出力(RxD)42bがローである場合とは、伝送路6a及び伝送路6bが同電位である場合であり、発光ダイオード7b及び発光ダイオード8bのいずれにも電流が流れずに、フォトトランジスタ7a及びフォトトランジスタ8aのいずれもがオフの状態にある場合である。このように、伝送路6a及び伝送路6bが同電位(受信回路42の出力(RxD)42bがロー)である場合とは、図5に示すように、給電ユニットが無い(給電されていない)状態か、複数の室内ユニットが互いに逆の極性で伝送路6に給電中であり互いに線間電圧を打ち消し合っている場合が考えられる(図5のマイコン出力40aが「無給電」でマイコン入力42bが「Lo」を参照)。このように、受信回路42の出力(RxD)42bがローである場合には、ステップS2に進む。
【0122】
次いで、ステップS2では、各室内機11〜16は、給電スイッチを「給電」状態とする。ここで、「給電」状態とは、給電信号40aにオン信号(5V)を入力することをいう。これにより、配線6aに12Vが印加され、配線6bがグランドに接続する。これにより、当該室内機11〜16が給電ユニットに決定され、給電アルゴリズムが終了する。
【0123】
一方、ステップS1において、T1時間の経過後、受信回路42の出力(RxD)42bがハイであればステップS4に進む(矢印Y2参照)。ここで、受信回路42の出力(RxD)42bがハイである場合とは、伝送路6a及び伝送路6bが異なる電位である場合であり、発光ダイオード7b及び発光ダイオード8bのいずれか一方に電流が流れ、フォトトランジスタ7a及びフォトトランジスタ8aのいずれか一方がオンの状態にある場合である。このように、伝送路6a及び伝送路6bが異なる電位(受信回路42の出力(RxD)42bがハイ)である場合とは、図5に示すように、他の室内ユニットが給電中の状態である(図5のマイコン出力40aが「無給電」でマイコン入力42bが「Hi」を参照)。このように、受信回路42の出力(RxD)42bがハイである場合には、給電スイッチを「無給電」状態のままとする(ステップS4)。これにより、当該室内機11〜16が無給電ユニットに決定され、給電アルゴリズムが終了する。
【0124】
<給電ユニットの給電状態監視(常時有効)>
矢印Y7に示すように、ステップS2の給電ユニットの決定からT4(50ms)経過後(伝送路間電圧の立ち上がり時間考慮)、T5(10ms)継続して受信信号(RxD)42bがローレベルの場合、他に給電ユニットがある(逆極性に接続された給電ユニットによる同時給電)と判断し、ステップS1に戻って、再度給電アルゴリズムを実施する。ここで、自己の室内機11〜16が給電中であるにも拘らず、自己の受信信号(RxD)42bがローレベルである場合とは、他の室内機11〜16が自己の室内機11〜16とは逆の極性で伝送路6に給電中であり、互いに線間電圧を打ち消し合っている場合が考えられる(図5のマイコン出力40aが「給電」でマイコン入力42bが「Lo」を参照)。
【0125】
<無給電ユニットの給電状態監視(常時有効)>
矢印Y6に示すように、ステップS4の無給電ユニットの決定からT5(10ms)継続して受信信号(RxD)42bがローレベルの場合、給電ユニットの途中脱退(ステップS1、S4での判断時の後で給電ユニットが無くなった)と判断し、再度給電アルゴリズムを実施する(ステップS1に戻る)。給電ユニットの途中脱退には、その給電ユニットが給電を中断したケースか、その給電ユニットが故障したケースか、又は、その給電ユニットの電源がオフにされたケースが考えられる。
【0126】
<給電ユニットの給電状態確認アルゴリズム(瞬時切断シーケンス)>
ステップS2の給電ユニットの決定から、ソフトウェアで発生させた乱数に対応するT2時間(ランダム時間)の経過後に、他に給電ユニットが存在しないか(同じ極性に接続された給電ユニットによる同時給電)を確認するため、本アルゴリズムを実施する。
【0127】
矢印Y3に示すように、ステップS2の給電ユニットの決定から、T2時間(ランダム時間)の経過後に、受信信号(RxD)42bがハイレベルの場合、ステップS3に進む。ステップS3では、給電信号40aを一定時間T3(5ms)の間「無給電」とし、受信信号(RxD)42bを検知する。
【0128】
ステップS3の結果、受信信号(RxD)42bがローレベルであれば、他に給電ユニットが無いと判断して、矢印Y4に示すようにステップS2に戻って、給電信号40aを「給電」状態に切換えて、本アルゴリズムを終了する(給電継続)。
【0129】
一方、ステップS3の結果、受信信号(RxD)42bがハイレベルであれば、他に給電ユニットが有ると判断して、矢印Y5に示すようにステップS4に戻って、給電信号40aを「無給電」のままとし、無給電ユニットに決定して、本アルゴリズムを終了する(給電中断)。
【0130】
上記において、所定時間T1〜T5は、例えば、以下のように設定されることができる。
【0131】
(1)T1:ランダム遅延:100ms〜4,000msの範囲でランダムとする。100ms刻みとし、40パターンとすることができる。
(2)T2:瞬時切りランダム遅延:給電ユニット決定後100ms〜500msの範囲でランダムとし、10ms刻みとし、90パターンとすることができる。
(3)T3:瞬時切り時間(固定):5msとする。
(4)T4:給電開始からの待ち時間:50msとする。
(5)T5:給電異常検出時間:10ms(継続)。
【0132】
また、各ステップにおいて、受信信号(RxD)42bによる伝送路6の給電状態の読み込みについては、1ms毎のサンプリング周期にて5回一致を条件とする。
【0133】
室内機11〜16のうち、給電ユニットに決定された室内機は、例えば、赤色のLEDを点灯させて、外部から分かるようにする。
【0134】
なお、本実施形態において、室内機11〜16毎に設定されるランダムな遅延時間(T1)は、単一のマイコンで複数の室内機11〜16の分のランダムな値を生成して、それら複数の室内機11〜16に対して、それぞれ割り当てることができる。または、複数の室内機11〜16のそれぞれに設けられたフリーランタイマの値(カウンタ値)や温度センサ値に基づいて、それぞれ別個にランダムな遅延時間(T1)を設けることもできる。
【0135】
なお、特開平9−133395号公報の技術によれば、アドレス値が重複無く正しく設定されたとしても、電源供給を行う室内機のアドレス値(同公報の例では”0”)に設定された室内機の電源が入っていない場合には、他の室内機から電源供給が行われることが無い。これに対して、本実施形態では、室内機の電源が入っていない場合には、その室内機が乱数を発生すること又はその室内機に乱数が割り当てられることは無いから、その室内機が給電ユニットとして選択されることは無く、電源が入っている室内機が確実に給電ユニットとして選択される。
【0136】
【発明の効果】
本発明の信号伝送装置によれば、2本の伝送線の極性を検出することなく、かつその検出結果に合わせて接続を切り替えることもなしに、通信を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の信号伝送装置の一実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】
図2は、本発明の信号伝送装置の一実施形態の構成を示す回路ブロック図であ
る。
【図3】
図3は、本発明の信号伝送装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図であ
る。
【図4】
図4は、本発明の信号伝送装置の一実施形態の動作を示すフローチャートであ
る。
【図5】
図5は、本発明の信号伝送装置の一実施形態のマイコンの入出力と伝送路の状
態を示す図である。
【図6】
図6は、本発明の信号伝送装置の一実施形態において、伝送路への極性合わせ
を説明するための図である。
【図7】
図7は、特開平9−133395号の技術を示すブロック図である。
【図8】
図8は、特許番号第2692467号の技術を示すブロック図である。
【図9】
図9は、特許番号第3161016号の技術を示すブロック図である。
【図10】
図10は、特許番号第3161016号の技術を示すフローチャートである。
【符号の説明】
6 伝送路
6a 配線
6b 配線
11〜16 室内機
21〜24 リモコン
33 データ送信回路
34 受信・極性判別回路
40 給電回路
41 データ送信回路
42 データ受信回路
Claims (12)
- 2本の伝送線で構成された伝送路に接続された複数のユニットを備えた信号伝送装置であって、
前記複数のユニットのそれぞれは、
前記伝送路に電圧を印加する電圧印加部と、
前記伝送路を監視して他の前記ユニットによる前記電圧の印加が行われているか否かを判定する電圧印加判定部と、
前記伝送路の極性に対する極性合わせを行うこと無しに前記伝送路を短絡させることでデータを送信するデータ送信部と、
前記伝送路に電位差があるか否かを検出することでデータを受信するデータ受信部と
を備えた信号伝送装置。 - 請求項1記載の信号伝送装置において、
前記電圧の印加を行っている前記ユニットの前記電圧印加判定部は、前記伝送路を監視して他の前記ユニットによる前記電圧の印加が行われているか否かを判定し、前記電圧の印加を行っている前記ユニットの前記電圧印加部は、前記電圧印加判定部が前記他のユニットによる前記電圧の印加が行われていると判定したときに、前記電圧の印加を停止する
信号伝送装置。 - 請求項1または2に記載の信号伝送装置において、
前記データ受信部は、2つのフォトカプラを含んでいる
信号伝送装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の信号伝送装置において、
前記データ送信部は、第1及び第2のMOSFETを含み、
前記第1のMOSFETは、その第1電極が前記2本の伝送線のうち第1の前記伝送線に接続され、その第2電極が接地され、
前記第2のMOSFETは、その第1電極が前記2本の伝送線のうち第2の前記伝送線に接続され、その第2電極が接地され、
前記第1及び第2のMOSFETの制御電極は互いに接続されている
信号伝送装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の信号伝送装置において、
前記電圧印加部は、ランダムに決定されたタイミングであって、かつ前記電圧印加判定部が前記他のユニットによる前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を開始する
信号伝送装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の信号伝送装置において、
前記電圧印加部は、前記複数のユニットのそれぞれの据え付け又は起動が行われた後に独自に決定されたタイミングであって、かつ前記電圧印加判定部が前記他のユニットによる前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を開始する
信号伝送装置。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の信号伝送装置において、
前記電圧の印加を行っている前記ユニットの前記電圧印加判定部は、前記伝送路を監視して前記伝送路の電圧が異常であるか否かを判定し、前記電圧の印加を行っている前記ユニットの前記電圧印加部は、前記電圧印加判定部が前記伝送路の電圧が異常であると判定したときに、前記電圧の印加を停止する
信号伝送装置。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の信号伝送装置において、
前記電圧の印加を行っている前記ユニットは、
一時的に前記電圧の印加を中断し、前記電圧の印加を一時的に中断した前記ユニットの前記電圧印加判定部は、前記電圧の印加を一時的に中断している間の前記伝送路を監視して他の前記ユニットによる前記電圧の印加が行われているか否かを判定し、前記電圧の印加を一時的に中断した前記ユニットの前記電圧印加部は、前記電圧印加判定部が前記電圧の印加を一時的に中断している間に前記他のユニットによる前記電圧の印加が行われていると判定したときに、前記電圧の印加を停止する
信号伝送装置。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の信号伝送装置において、
前記電圧の印加を一時的に中断した前記ユニットの前記電圧印加部は、前記電圧印加判定部が前記電圧の印加を一時的に中断している間に前記他のユニットによる前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を再開する
信号伝送装置。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の信号伝送装置において、
前記電圧の印加を行っていない前記ユニットの前記電圧印加判定部は、前記伝送路を監視して他の前記ユニットによる前記電圧の印加が行われているか否かを判定し、前記電圧の印加を行っていない前記ユニットの前記電圧印加部は、前記電圧印加判定部が前記他のユニットによる前記電圧の印加が行われていないと判定したときに、前記電圧の印加を開始する
信号伝送装置。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の信号伝送装置において、
前記送信部は、前記送信部を含む前記ユニットが前記電圧の印加を行っているか否かを示す前記信号を、前記ユニットを制御するためのリモートコントローラに出力し、前記ユニットは、前記リモートコントローラから入力した、前記ユニットによる前記電圧の印加を開始又は停止する旨の信号に基づいて、前記電圧の印加の開始又は停止を行う
信号伝送装置。 - 請求項1から11のいずれか1項に記載の信号伝送装置において、
前記伝送路に対する前記電圧の印加は、前記伝送路に接続され前記ユニットを制御するためのリモートコントローラに対する電源の供給である
信号伝送装置。
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JP2002295829A JP2004134928A (ja) | 2002-10-09 | 2002-10-09 | 信号伝送装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009097760A (ja) * | 2007-10-15 | 2009-05-07 | Toshiba Carrier Corp | 空気調和機の通信制御装置 |
WO2023157787A1 (ja) * | 2022-02-17 | 2023-08-24 | ダイキン工業株式会社 | 空気調和システム |
-
2002
- 2002-10-09 JP JP2002295829A patent/JP2004134928A/ja active Pending
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WO2023157787A1 (ja) * | 2022-02-17 | 2023-08-24 | ダイキン工業株式会社 | 空気調和システム |
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