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JP2004131675A - 生分解性ポリエステル樹脂系ホットメルト接着剤 - Google Patents

生分解性ポリエステル樹脂系ホットメルト接着剤 Download PDF

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average molecular
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melt adhesive
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Shingo Sasaki
佐佐木 新吾
Tomohisa Kamimura
上村 知久
Atsuko Ueda
植田 敦子
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DIABOND INDUSTRY CO Ltd
Unitika Ltd
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Abstract

【課題】溶融塗工性、粉砕性等の作業性と接着性能とがバランスしたホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】数平均分子量20,000以上の脂肪族ポリエステル樹脂を有機溶剤の存在下で不揮発性の多価アルコールを用いて解重合反応することにより調製された数平均分子量5,000〜20,000の脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とし、150℃における溶融粘度が5,000〜50,000mPa.sである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とする生分解性ホットメルト接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂は、フィルム、不織布、繊維等の分野で広く使用され始めてはいるが、かかる脂肪族ポリエステル樹脂は、結晶性が高くかつ高分子量であるため、ホットメルト接着剤として用いるには、塗工後の可使時間が短くかつ溶融粘度が高いので、粘着剤や可塑剤を併用しても接着剤としての適性は高くない。
そこで、欠点となる高結晶性を抑制する目的でポリビニルアルコール・酢酸ビニル共重合体に脂肪族ポリエステルをグラフト重合してホットメルト接着剤としての適性を改良した生分解性ホットメルト接着剤が本出願人により提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のホットメルト接着剤は、溶融粘度が高いため、180℃以上の高い温度での溶融、貯留、塗工が必要になる。脂肪族ポリエステル樹脂成分を含むホットメルト接着剤は、180℃以上の高い温度下に曝されると、熱分解、場合によっては加水分解によって、分子量が低下し、溶融粘度が経時により低くなり、接着剤塗工厚みムラ等の問題が発生する。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−88334号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶融塗工性、粉砕性等の作業性と接着性能とがバランスしたホットメルト接着剤の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するものであって、数平均分子量20,000以上の脂肪族ポリエステル樹脂を有機溶剤の存在下で不揮発性の多価アルコールを用いて解重合反応により調製された数平均分子量5,000〜20,000の脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とし、150℃における溶融粘度が5,000〜50,000mPa.sであることを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂系ホットメルト接着剤である。
【0007】
さらには、数平均分子量20,000以上の脂肪族ポリエステル樹脂を有機溶剤の存在下で不揮発性の多価アルコールを用いて解重合反応により調製された数平均分子量5,000〜20,000の脂肪族ポリエステル樹脂を粉砕して調製される粉砕物を主成分とすることを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂系ホットメルト接着剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0009】
本発明に使用する生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂としては、例えば数平均分子量20,000以上のポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート・アジペートコポリマー、ポリ乳酸、あるいはこれらを主成分として他のジカルボン酸又は/及びジアルコールを共重合したポリエステル樹脂を例示することができる。
【0010】
上記の脂肪族ポリエステル樹脂は、数平均分子量20,000以上であり、単独で使用してもよいが、2種類以上の脂肪族ポリエステル樹脂を併用して一層の性能の向上を実現することができる。
【0011】
そして、生分解性を有する数平均分子量20,000以上の脂肪族ポリエステル樹脂を解重合するために使用する多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、さらには化学式 HO(CHCHO)OH(nが5以上)で表されるポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコール類、水添ロジンモノアルコール、水添ロジンジアルコール等の一分子中に1個以上の水酸基を含有する粘着剤、さらにはトリメチロールプロパン等の3価以上の多価アルコール、数平均分子量5,000以下の分子量既知の脂肪族ポリエステルの低重合体等を例示することができる。
【0012】
上記の解重合反応に使用する多価アルコールの量は、以下に示す数式により求めることができる。
Wa=[(1/Mn)−(1/Mn)]×M×W
但し、上記の数式において、Waは解重合反応に使用される多価アルコールの質量、Mnは目標とする脂肪族ポリエステル樹脂の数平均分子量、Mnは原料とする脂肪族ポリエステル樹脂の数平均分子量、Mは解重合反応に使用される多価アルコールの分子量、Wは原料とする脂肪族ポリエステル樹脂の質量をそれぞれ示している。
【0013】
また、上記の解重合反応に使用する有機溶剤としては、上記の解重合反応を進める温度で脂肪族ポリエステル樹脂及び多価アルコールの含有する水酸基と反応しない有機溶剤であって、例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン等のケトン類を挙げることができるが、これに限らない。解重合反応を進めるにあたり有機溶剤を使用することは、反応系の水分除去、酸素除去や空気中の酸素遮断のために重要である。
【0014】
上記の解重合反応は、上記の脂肪族ポリエステル樹脂、多価アルコール、有機溶剤のほか、テトラ(n−プロピル)チタネート、テトラ(n−ブチル)チタネート、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛等の解重合反応触媒の存在下で、150〜250℃、好ましくは180〜220℃まで徐々に昇温して反応系に存在する水分を有機溶剤と共に除去しながら進めることができる。反応終了後に有機溶剤の残存が予想される場合は減圧下で除去することが望ましい。
【0015】
得られた脂肪族ポリエステル樹脂の数平均分子量は、5,000〜20,000、好ましくは7,500〜15,000である。すなわち、数平均分子量5,000未満では塗工型ホットメルト接着剤としての凝集力が不足し、十分な接着強度が得られない。他方、20,000を超えると、150℃以下の相対的に低い温度での溶融、塗工が困難であり、粉末散布型のホットメルト接着剤として調製するにあたっても通常の機械粉砕で微粉末として調製が困難であるばかりでなく、液体窒素等を用いた冷凍粉砕しても十分な収率で調製するのが困難になる。
【0016】
得られた数平均分子量5,000〜20,000の脂肪族ポリエステル樹脂の150℃における溶融粘度は、5,000〜50,000mPa.sとなる場合が多いが、接着性能を向上すべく50質量%以下の量で、粘着剤を使用しても良く、また溶融粘度低下させるべく50質量%以下の量で生分解性可塑剤を使用しても良く、さらにはカルナバワックス、ライスワックス等の生分解性ワックスを使用しても良く、これらの使用により150℃における溶融粘度が5,000〜50,000mPa.sに調整することができる。
【0017】
上記粘着剤としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、ロジンエステル、水添ロジンエステル等の粘着剤を挙げることができ、可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールコポリマー、アジピン酸ジエチルエステル、アジピン酸ジプロピルエステル、アジピン酸ジブチルエステル、アクチルクエン酸トリブチル等を挙げることができる。
【0018】
更に、数平均分子量5,000〜20,000の脂肪族ポリエステル樹脂は、機械粉砕により得られた粉砕物を主成分として、粉末塗布型のホットメルト接着剤を簡易に調製することもできる。粉末散布型のホットメルト接着剤として調製する際は、可塑剤を使用しない方が粉砕性は向上するので、可塑剤を使用する必要はない。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ここで得られた生分解性ホットメルト接着剤の物性は、以下の方法で評価した。
【0020】
(1)溶融粘度
生分解性ホットメルト接着剤を150℃で溶融し、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて150℃で溶融粘度を測定した。
【0021】
(2)接着性能1
生分解性ホットメルト接着剤をホットメルトガンを用いて150℃で厚み50μmのユニチカ社製ポリ乳酸フィルムに、20g/mの目付けで溶融塗布した後、塗布済みのポリ乳酸フィルム2枚を塗布側が接するように重ねて、30N/cmの荷重下で150℃で3秒間のホットプレスを施して接着した後、剥離強度を引張り角度180度、引張り速度50mm/分の条件下で測定した。
【0022】
(3)接着性能2
下記の粉砕機で粉砕した粉末型ホットメルト接着剤を厚み0.2mmの厚紙状に約20g/mの目付けで散布し、その上に厚み0.1mmの紙を重ねて3kg/cmの荷重下で160℃で5秒間ホットプレスして接着した後、剥離強度を測定した。
【0023】
(4)粉砕性
卓上粉砕機(大阪ケミカル社製WanderBlennder)を用いて20℃で機械粉砕した後、83メッシュの試験ふるいで分級して通過分の質量%で示す。
【0024】
(5)生分解性
生分解性ホットメルト接着剤を60℃の好気性コンポスト中で処理し、炭酸ガスの発生量を測定し、理論炭酸ガス発生量に対する実測炭酸ガス発生量の比率(質量%)で評価した。
【0025】
実施例1〜3及び比較例1,2
数平均分子量約55,000のポリブチレンサクシネート系脂肪族ポリエステル樹脂(BASF社エコフレックス)100質量部に対して表1に示す質量部の分子量650の水添ロジンジオール(荒川化学社製KE−601)を用いて、トルエン50質量部、触媒としてテトラ(n−ブチル)チタネート0.1質量部を加え、200℃まで昇温した後、2時間加熱撹拌して解重合反応を進め、150℃に降温した後、37.5質量部の粘着剤(荒川化学社製水添ロジンエステルKE−100)及び30質量部のアセチルクエン酸トリブチルを加え、表1に示す生分解性ホットメルト接着剤を調製した。さらに、各生分解性ホットメルト接着剤の溶融粘度、接着性能1及び生分解性を評価して表1に示す結果を得た。実施例1,2,3については溶融粘度、接着性能1及び生分解性のいずれにおいても優れた結果が得られたが、比較例1,2については溶融粘度および接着性能1において劣っていた。
【0026】
【表1】
Figure 2004131675
【0027】
実施例4〜6及び比較例3,4
実施例1と同様に、但しポリブチレンサクシネート系ポリエステル樹脂100質量部を50質量部に減らし、数平均分子量54,000のポリ乳酸(カーギル・ダウ社製6250D)50質量部を用いて、表2に示す量でジエチレングリコール及びテトラ(n−ブチル)チタネート0.1質量部のみを加えて実施例1と同様に解重合反応を行い、粉砕性、接着性能2および生分解性を評価して表2に示す結果を得た。実施例4,5,6については溶融粘度、接着性能1及び生分解性のいずれにおいても優れた結果が得られたが、比較例3については接着性能2において特に劣っており、比較例4については粉砕性において特に劣っていた。
【0028】
【表2】
Figure 2004131675
【0029】
比較例5
実施例4で用いたポリ乳酸を−90℃まで冷却し、冷凍粉砕したところ、粉砕性は22.8%であって劣っており、接着性能2は8N/25mmであって、非常に劣っていた。
【0030】
実施例7
実施例2と同様にして溶融塗工形の生分解性ポリエステル樹脂系ホットメルト接着剤を繰り返し5回、調製して、表3に示す溶融粘度の良好な結果を得た。
【0031】
【表3】
Figure 2004131675
【0032】
以上の実施例1〜3と比較例1,2とから明らかなように、溶融塗工型の生分解性ホリエステル系ホットメルト接着剤にあっては、目標数平均分子量が5,000未満では溶融粘度が低く塗工性は良好であるが、充分な接着強度が得られない。
他方、目標数平均分子量が20,000を超えると、溶融粘度が著しく高く、被着体への溶融塗工が困難になる。目標数平均分子量が5,000〜20,000、好ましくは7,500〜15,000において溶融塗工性と接着強度とが良好なバランスを示すことが表1から明らかである。
【0033】
他方、実施例4〜6と比較例3,4とから明らかなように、粉末散布型の生分解性ポリエステル樹脂系ホットメルト接着剤にあっては、目標数平均分子量が5,000未満では良好な粉砕性を示すが、溶融塗工形ホットメルト接着剤と同様に充分な接着強度が得られない。他方、目標数平均分子量が20,000を超えると著しく粉砕性が低下する。目標数平均分子量が5,000〜20,000、好ましくは7,500〜15,000において粉砕性と接着強度とが良好なバランスを示す。
【0034】
通常、繊維、不織布、フィルム用として市販の生分解性ポリエステル樹脂は、数平均分子量が50,000以上の高分子量の物であり、ホットメルト接着剤としての適性は極めて低い材料である。
【0035】
他方、数平均分子量が5,000〜20,000の生分解性ポリエステル樹脂は、高分子量ポリエステル樹脂と比較して重縮合反応により安定生産が困難であるが、実施例7から明らかなように本発明の方法である解重合反応により安定して調製することが可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、溶融塗工性、粉砕性等の作業性と接着性能とがバランスしたホットメルト接着剤の提供が可能となる。

Claims (2)

  1. 数平均分子量20,000以上の脂肪族ポリエステル樹脂を有機溶剤の存在下で不揮発性の多価アルコールを用いて解重合反応することにより調製された数平均分子量5,000〜20,000の脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とし、150℃における溶融粘度が5,000〜50,000mPa.sであることを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂系ホットメルト接着剤。
  2. 数平均分子量20,000以上の脂肪族ポリエステル樹脂を有機溶剤の存在下で不揮発性の多価アルコールを用いて解重合反応をすることにより調製された数平均分子量5,000〜20,000の脂肪族ポリエステル樹脂を粉砕して調製される粉砕物を主成分とすることを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂系ホットメルト接着剤。
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