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JP2004122863A - 自動車におけるフロントフック支持部の補強構造 - Google Patents

自動車におけるフロントフック支持部の補強構造 Download PDF

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Abstract

【課題】サイドメンバの前端部に対するフックブラケットの支持強度をより向上させると共に、このようにした場合でも、自動車の衝突時に塑性変形して衝撃力を緩和可能にするサイドメンバにおけるクラッシュ部分の「クラッシュ寸法」に所望長が確保できるようにする。
【解決手段】自動車1が、車体2の側部を構成して前後方向に延び、その長手方向の各部断面が閉断面形状をなすサイドメンバ4と、このサイドメンバ4の前端部に支持されてフロントフック30を支持するフックブラケット31とを備える。サイドメンバ4の前端部内にフックブラケット31を嵌入し、サイドメンバ4の前端部とフックブラケット31とを貫通するボルト32によりサイドメンバ4の前端部にフックブラケット31を締結する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、サイドメンバの前端部に支持されて、車両の前方に位置する物体を牽引可能とするフロントフックを備えた自動車におけるフロントフック支持部の補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特開平7‐117716号公報
【0004】
上記自動車におけるフロントフック支持部の補強構造には、従来、上記特許文献1に示されたものがある。
【0005】
上記公報のものによれば、自動車は、車体の側部を構成して前後方向に延び、その長手方向の各部断面が閉断面形状をなすサイドメンバと、このサイドメンバの前端部の下面を形成する板部材に支持されてフロントフックを支持するフックブラケットとを備えている。
【0006】
上記自動車により、この自動車の前方に位置する他の自動車など、何らかの物体を牽引しようとするときには、一般に、この物体をワイヤーにより上記フロントフックに連結させて自動車を後進させ上記牽引を行う。この際、上記フロントフックは牽引の反力としてフック入力が与えられ、このフック入力は上記フックブラケットを介しサイドメンバにより支持される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1のものでは、フックブラケットはサイドメンバの各面のうち、下面を形成する板部材だけに支持されているため、上記牽引時のフック入力により、上記板部材における上記フックブラケットの支持部に応力集中が生じがちとなることから、上記フック入力が大きい場合には、上記サイドメンバに対するフックブラケットの支持強度が不足するおそれがある。
【0008】
そこで、上記サイドメンバに対するフックブラケットの支持強度を向上させようとして、このフックブラケットの形状を大きくすることにより、上記板部材に対するフックブラケットの支持部の面積を大きくし、もって、この支持部に応力集中が生じ難いようにすることが考えられる。
【0009】
しかし、上記支持部は剛性が高い部分であるため、上記のように支持部の面積を単に大きくすると、その分、自動車の衝突時に塑性変形して車体への衝撃力を緩和可能にするサイドメンバにおけるクラッシュ部分の前後方向の寸法(「クラッシュ寸法」)に所望長を確保し難くなるおそれがあり、これは、衝突時の車体に対する衝撃力の緩和を阻害させる原因となるものであって、好ましくない。
【0010】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、サイドメンバの前端部に対するフックブラケットの支持強度をより向上させると共に、このようにした場合でも、自動車の衝突時に塑性変形して衝撃力を緩和可能にするサイドメンバにおけるクラッシュ部分の「クラッシュ寸法」に所望長が確保できるようにすることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の自動車におけるフロントフック支持部の補強構造は、次の如くである。なお、この項において各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「発明の実施の形態」の項の内容に限定解釈するものではない。
【0012】
請求項1の発明は、車体2の側部を構成して前後方向に延び、その長手方向の各部断面が閉断面形状をなすサイドメンバ4と、このサイドメンバ4の前端部に支持されてフロントフック30を支持するフックブラケット31とを備えた自動車において、
【0013】
上記サイドメンバ4の前端部内に上記フックブラケット31を嵌入し、上記サイドメンバ4の前端部とフックブラケット31とを貫通するボルト32により上記サイドメンバ4の前端部に上記フックブラケット31を締結したものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記サイドメンバ4の前端部に対し上記ボルト32によりラジエータサポート5を支持させたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0016】
図において、符号1は自動車で、矢印Frはこの自動車1の前方を示し、下記する左右とは自動車1の車体2の幅方向をいうものとする。
【0017】
上記車体2は板金製で、その幅方向の中心線3を基準としてほぼ左右対称形とされている。
【0018】
上記車体2は、この車体2の左右各側部を構成して前後方向に延びるサイドメンバ4と、これら各サイドメンバ4の前端部から上方に向って突出する左右一対のラジエータサポート5と、車体2の幅方向に延びて上記ラジエータサポート5の各上端部に架設されスポット溶接Sにより結合されるアッパクロスメンバ6と、車体2の幅方向に延びて上記各ラジエータサポート5の各基部に架設され締結具7による締結で結合されるフロントクロスメンバ8と、上下方向に延びて上記アッパクロスメンバ6とフロントクロスメンバ8のそれぞれ長手方向の中途部に架設され締結具9による締結で上記各中途部に結合されるセンタクロスメンバ10とを備えている。
【0019】
上記車体2の幅方向に延びて、上記フロントクロスメンバ8の前方近傍に位置し、このフロントクロスメンバ8に支持される樹脂製のフロントバンパ11が設けられている。上記左右サイドメンバ4で挟まれた空間がエンジンルーム14とされてエンジン15が配置され、このエンジン15は、上記各サイドメンバ4の長手方向の中途部に固着された板金製のエンジンマウント16に支持されている。
【0020】
上記サイドメンバ4は、その長手方向の各部断面が閉断面形状とされて、上下方向で対面する上下面と、車体2の幅方向で対面する内外側面の各面がそれぞれ板部材19〜22により成形され、上記上下面と、内側面の各板部材19〜21が互いに一体成形されると共に、上記上下面の板部材19,20の各自由端縁にそれぞれ外向きフランジ23,23が一体成形され、これら外向きフランジ23,23に上記外側面の板部材22がスポット溶接Sにより結合されている。
【0021】
上記フロントクロスメンバ8は、上記各ラジエータサポート5の基部に前記締結具7による締結で結合され上記各サイドメンバ4の前端部の前方近傍に配置される基板27と、車体2の幅方向に延び上記各基板27に架設されて溶接により結合されるクロスメンバ本体28とを備えている。
【0022】
上記サイドメンバ4の前端部に支持され牽引用のフロントフック30を着脱自在に支持する板金製のフックブラケット31が設けられ、このフックブラケット31は上記サイドメンバ4の前端部内に嵌入されている。上記サイドメンバ4の前端部とフックブラケット31とを車体2の幅方向で貫通する上下一対のボルト32,32と、これら各ボルト32にねじ付けられるナット33とにより、上記サイドメンバ4の前端部に上記フックブラケット31が締結されて支持されている。
【0023】
上記フックブラケット31は上下一対の締結具34,34により上記フロントクロスメンバ8と互いに締結され、つまり、上記サイドメンバ4の前端部、フロントクロスメンバ8、およびフックブラケット31は締結具7,34により互いに締結されて、これらの組み合せ体4,8,31の強度と剛性とが向上させられている。
【0024】
上記の場合、サイドメンバ4に固着された上記フックブラケット31の部分の後端部から、サイドメンバ4に固着された上記エンジンマウント16の部分の前端部に至るまでの上記サイドメンバ4の部分はクラッシュ部分35とされている。このクラッシュ部分35は、前後方向で直線的に延びると共に、その長手方向の各部断面が互いにほぼ一定形状とされている。そして、上記クラッシュ部分35は、自動車1の衝突時の衝撃力でその前端側から後方に向けて順次塑性変形可能とされ、これにより、上記車体2への衝撃力が緩和可能とされている。
【0025】
上記フックブラケット31は、ほぼ直方体の箱形状であって前後方向の各部断面が閉断面であるブラケット本体36と、このブラケット本体36に固着され上記フロントフック30に成形されたボルト部37を螺合、離脱可能として上記フロントフック30を着脱自在に支持する円筒形状のナットである支持体38とを備えている。この支持体38の軸心39は前後方向に延び、この支持体38の前部は上記ブラケット本体36から前方に突出して、上記フロントクロスメンバ8の基板27に成形された貫通孔41に嵌入されている。
【0026】
上記ボルト32は、上記サイドメンバ4の前端部における内、外側面を成形している二つの板部材21,22を貫通し、また、ブラケット本体36の左右の各面を成形している二つの板部材43,43を貫通している。上記サイドメンバ4における二つの板部材21,22の各内面に、上記ブラケット本体36における二つの板部材43,43の各外面が面接合している。
【0027】
上記フックブラケット31は、上記ブラケット本体36の上記した左右板部材43,43の間に介設される上下一対の円筒形状スペーサ44を備え、これら各スペーサ44は上記各ボルト32の長手方向の中途部に外嵌されている。これら各スペーサ44は、上記ボルト32とナット33による締結力に対抗して、上記サイドメンバ4の前端部に対し上記フックブラケット31をより強固に締結させている。
【0028】
上記支持体38は、上記両ボルト32,32の間に配置され、上記ブラケット本体36の前後の各面を成形する板部材45,45に架設されて結合され、車体2の平面視(図1)で、上記各ボルト32と支持体38とは互いにほぼ直交している。
【0029】
また、上記ボルト32とナット33とにより、上記ラジエータサポート5の下端部が上記サイドメンバ4の前端部に対しフックブラケット31と共締めされて支持されている。
【0030】
上記構成によれば、サイドメンバ4の前端部内に上記フックブラケット31を嵌入し、上記サイドメンバ4の前端部とフックブラケット31とを車体2の幅方向で貫通するボルト32により上記サイドメンバ4の前端部に上記フックブラケット31を締結してある。
【0031】
このため、上記フックブラケット31は、上記サイドメンバ4の前端部の各面のうち、少なくともボルト32が貫通する二つの面の板部材21,22により両持ち支持されることとなる。
【0032】
よって、単一の面を成形する板部材でフックブラケット31が支持されていた従来の技術に比べて、上記サイドメンバ4の前端部に対するフックブラケット31の支持強度は、より向上するという「効果」が生じる。
【0033】
また、上記したように、サイドメンバ4の前端部に対するフックブラケット31の支持強度が向上する分、このフックブラケット31の前後寸法Aを短くできるため、上記フックブラケット31の前端部内における上記フックブラケット31の占有空間の前後寸法が短くなることから、上記クラッシュ部分35の前後方向の全長である「クラッシュ寸法」Bをより長くさせることができ、この「クラッシュ寸法」Bに所望長を確保できるという他の「効果」も生じる。
【0034】
また、前記したように、フックブラケット31をその前後方向の各部断面を閉断面形状として、上記ボルト32が貫通する上記サイドメンバ4の前端部における二つの板部材21,22の各内面に、上記ボルト32が貫通する上記フックブラケット31における二つの板部材43,43の各外面を面接合させてある。
【0035】
このため、上記フックブラケット31が閉断面形状とされ、しかも、箱形状とされたことから、その構造上、フックブラケット31の強度と剛性とが向上する。しかも、このフックブラケット31は、少なくとも上記した二つの板部材43,43の互いに離れた2点で上記ボルト32によりサイドメンバ4の前端部に支持されることから、このサイドメンバ4の前端部に対するフックブラケット31の支持強度は極めて効果的に向上する。よって、前記諸「効果」がより効果的に生じる。
【0036】
また、前記したように、ボルト32を一対設け、これらボルト32,32の間に、フロントフック30を支持するフックブラケット31の支持体38を配置してある。
【0037】
このため、物体を牽引したときの上記フロントフック30へのフック入力は、上記各ボルト32とフックブラケット31とを介しサイドメンバ4の前端部における広い範囲の各部で、かつ、各部ほぼ均等な値で支持されることとなり、よって、その分、このサイドメンバ4の前端部に対するフックブラケット31の支持強度が更に向上して、上記諸「効果」が更に効果的に生じる。
【0038】
また、前記したように、サイドメンバ4の前端部に対し上記ボルト32によりラジエータサポート5を支持させてある。
【0039】
このため、上記サイドメンバ4の前端部に対するラジエータサポート5の支持に上記ボルト32が利用された分、上記ラジエータサポート5の支持構成は簡単となる。
【0040】
また、上記ラジエータサポート5は上記ボルト32によりフックブラケット31と共にサイドメンバ4の前端部に共締めされることから、このサイドメンバ4の前端部へのラジエータサポート5の支持により、上記サイドメンバ4のクラッシュ部分35の「クラッシュ寸法」Bが短くさせられるということが防止され、よって、上記他の「効果」がより確実に得られる。
【0041】
なお、以上は図示の例によるが、上記ボルト32はサイドメンバ4の前端部とフックブラケット31とを上下方向に貫通してもよく、また、ボルト32は単一であってもよい。また、上記フックブラケット31のブラケット本体36の後面を成形する板部材45はなくてもよく、また、上記ブラケット本体36は前後方向に延びる角筒形状であってもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明による効果は、次の如くである。
【0043】
請求項1の発明は、車体の側部を構成して前後方向に延び、その長手方向の各部断面が閉断面形状をなすサイドメンバと、このサイドメンバの前端部に支持されてフロントフックを支持するフックブラケットとを備えた自動車において、
【0044】
上記サイドメンバの前端部内に上記フックブラケットを嵌入し、上記サイドメンバの前端部とフックブラケットとを貫通するボルトにより上記サイドメンバの前端部に上記フックブラケットを締結してある。
【0045】
このため、上記フックブラケットは、上記サイドメンバの前端部の各面のうち、少なくともボルトが貫通する二つの面の板部材により両持ち支持されることとなる。
【0046】
よって、単一の面でフックブラケットが支持されていた従来の技術に比べて、上記サイドメンバの前端部に対するフックブラケットの支持強度は、より向上するという「効果」が生じる。
【0047】
また、上記したように、サイドメンバの前端部に対するフックブラケットの支持強度が向上する分、このフックブラケットの前後寸法を短くできるため、上記フックブラケットの前端部内における上記フックブラケットの占有空間の前後寸法が短くなることから、自動車の衝突時に塑性変形して衝撃力を緩和可能にするサイドメンバにおけるクラッシュ部分の「クラッシュ寸法」をより長くさせることができ、この「クラッシュ寸法」に所望長を確保できるという他の「効果」も生じる。
【0048】
請求項2の発明は、上記サイドメンバの前端部に対し上記ボルトによりラジエータサポートを支持させてある。
【0049】
このため、上記サイドメンバの前端部に対するラジエータサポートの支持に上記ボルトが利用された分、上記ラジエータサポートの支持構成は簡単となる。
【0050】
また、上記ラジエータサポートは上記ボルトによりフックブラケットと共にサイドメンバの前端部に共締めされることから、このサイドメンバの前端部へのラジエータサポートの支持により、上記サイドメンバの「クラッシュ寸法」が短くさせられるということが防止され、よって、上記他の「効果」がより確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車体の部分平面部分断面図である。
【図2】車体の部分正面図である。
【図3】車体の斜視展開図である。
【図4】図2の部分拡大部分断面図である。
【図5】車体の部分側面部分断面図である。
【符号の説明】
1   自動車
2   車体
3   中心線
4   サイドメンバ
5   ラジエータサポート
8   フロントクロスメンバ
30  フロントフック
31  フックブラケット
32  ボルト
33  ナット
34  クラッシュ部分
36  ブラケット本体
38  支持体
39  軸心
43  板部材
44  スペーサ
45  板部材

Claims (2)

  1. 車体の側部を構成して前後方向に延び、その長手方向の各部断面が閉断面形状をなすサイドメンバと、このサイドメンバの前端部に支持されてフロントフックを支持するフックブラケットとを備えた自動車において、
    上記サイドメンバの前端部内に上記フックブラケットを嵌入し、上記サイドメンバの前端部とフックブラケットとを貫通するボルトにより上記サイドメンバの前端部に上記フックブラケットを締結した自動車におけるフロントフック支持部の補強構造。
  2. 上記サイドメンバの前端部に対し上記ボルトによりラジエータサポートを支持させた請求項1に記載の自動車におけるフロントフック支持部の補強構造。
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