JP2004114510A - 透明保護部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性を低下させずに充分な衝撃吸収緩和効果を得ることができ、生産性も良好な、表示画面の透明保護部材を提供する。
【解決手段】透明保護部材20は、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、近赤外線遮蔽透明基体8、および色調整透明基体10が、それぞれ透明弾性粘着層3を介して積層一体化されており、色調整透明基体10が透明弾性粘着層3を介して表示画面1に接合されている。透明弾性粘着層3、3、3、3の合計厚みは1〜5mmである。
【選択図】図1
【解決手段】透明保護部材20は、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、近赤外線遮蔽透明基体8、および色調整透明基体10が、それぞれ透明弾性粘着層3を介して積層一体化されており、色調整透明基体10が透明弾性粘着層3を介して表示画面1に接合されている。透明弾性粘着層3、3、3、3の合計厚みは1〜5mmである。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種表示装置の表示画面等の被保護面を保護するのに好適に用いられる透明保護部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平面ブラウン管、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、プロジェクションTV、およびその他の各種表示装置における表示画面には、光線透過率に優れたガラスが多用されている。
しかしながらガラスは衝撃に弱い素材であることから、表示画面の保護のため、表示画面の外側に空気層を隔てて前面ガラスなどを設置し、その上にポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステルなどからなる透明基体や、ゴム系樹脂などからなる透明弾性体などからなる衝撃吸収緩和層を設けるとともに、これらに画面画質の向上のための種々の光学機能を付与することが提案されている。これによって表示画面の割れ防止や破損時のガラスの飛散防止を達成することができる。
さらに近年では、このような前面ガラスを設けず、表示画面上に、直接、衝撃吸収緩和性能を有するとともに、表示画面の視認性を向上させ得る種々の光学機能が付与された透明部材を備えた保護部材を設けることが検討されている。
【0003】
例えば、光学機能が付与された透明基体に、耐擦傷性やガラス飛散防止性を向上させ得る樹脂フィルムを設けるとともに、最外層となる表面に反射防止層を設けた保護部材が開示されている。その透明基体には、例えばアクリル系ゴム状樹脂、シリコーン系ゴム状樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが用いられる。そして、該透明基体に、厚みが0.2〜0.3mmのポリウレタン系樹脂フィルムを組み合わせることにより、耐擦傷性、衝撃の吸収緩和、打痕傷の経時回復性、ガラスの破壊時の飛散防止などを向上させている。(特許文献1、2参照)
【0004】
また、衝撃吸収緩和性能を改善する構成として、基材フィルムとゴムフィルムの積層体が開示されており、ここでのゴムフィルムの厚みは150〜300μmの範囲とされている。ゴムフィルムの材料としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴムなどが示されている。また、表示画面に貼り合わせる方法として、貼り合わせる側の表面を平滑とすることで貼着可能とする例が示されている。(特許文献3、4参照)
【0005】
また、表示画面に、直接、粘着剤層を介してガラス飛散防止層とガラス割れ防止層の複数層を一体化することで衝撃吸収緩和層を構成した例もある。この衝撃吸収緩和層としては、せん断弾性率で1×104〜2×108Paの範囲であるアイオノマー樹脂などの熱可塑性エラストマーが例示されており、その厚みは100〜1700μmとされている。(特許文献5参照)
【0006】
また、複数の透明支持体層が粘着剤層を介して積層されており、該透明支持体層の1層の厚みが225μm以上であって、合計厚みでは300〜1000μmの範囲であり、粘着剤層の合計厚みが30〜150μmの範囲であって、積層された構成での弾性率が3.5GPa以下とされている例もある。(特許文献6参照)
【0007】
また、光学機能である反射防止機能、防眩機能、電磁波遮蔽機能、近赤外線遮蔽機能、色調整機能などを透明基体に設け、該透明基体と粘着剤層とを積層した構成の、複数の光学機能を備えた積層体が開示されている。ここでの透明基体の合計の厚さは0.3mm以上とされ、粘着剤層の厚みは0.5〜50μmの範囲とされている。(特許文献7参照)
【0008】
【特許文献1】
特開平7−168005号公報
【特許文献2】
特開2000−249804号公報
【特許文献3】
特開2000−56694号公報
【特許文献4】
特開2001−83886号公報
【特許文献5】
特開2002−23649号公報
【特許文献6】
特開2002−175020号公報
【特許文献7】
特開2002−251144号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1、2に記載されている例では、光学機能が付与された透明基体としてポリウレタン系樹脂を用いることによって、この透明基体で衝撃の吸収緩和効果を得ようとしているが、透明基体の厚みは0.2〜0.3mmとされており充分な衝撃吸収緩和となっていない。この構成において、充分な衝撃吸収緩和効果を得ようとすると、衝撃緩和部材(透明基体)の厚みを1mm以上とすることが必要であるが、気泡の発生などから製作が困難である。
【0010】
特許文献3、4に記載されている例は、基材フィルムとゴムフィルムの積層体構造で衝撃吸収緩和を得ようとしたものであるが、ゴムフィルムの厚みは150〜300μmの範囲であり、充分な衝撃緩和は得られていない。ゴムフィルムの厚みを厚くすることは、衝撃吸収緩和を改善するには有効であるが、透明性を低下することを免れない。また、表示画面との貼り合せにおいて、ゴムフィルムの表面を平滑とすることで貼着する方法を示しているが、この方法で得られる接合力は、積層構造体全体を保持する接合力としては、不十分である。
【0011】
特許文献5に記載されている例は、表示画面に、直接、粘着剤層を介してガラス飛散防止層とガラス割れ防止層の複数層を一体化するものであるが、光学機能層を設けるための加熱加工の際に収縮が生じ、これによって貼り合わせ面の平滑性が失われるので、表示画面に貼り合せることが著しく困難なものであった。
【0012】
特許文献6に記載されている例は、複数の透明支持体層が粘着剤層を介して積層されたものであり、透明支持体層の1層の厚みが225μm以上であり合計厚みは300〜1000μmの範囲とされ、粘着剤層の合計厚みは30〜150μmである。このものも層厚が薄いため、同様に充分な衝撃吸収緩和が期待できない。
【0013】
特許文献7に記載されている例においては、光学機能である反射防止機能、防眩機能、電磁波遮蔽機能、近赤外線遮蔽機能、色調整機能などの複数の光学機能が透明基体に付与されており、透明基体の合計の厚さは0.3mm以上とされているが、粘着剤層の厚みが0.5〜50μmの範囲と薄いことから、充分な衝撃吸収緩和は得られていない。
【0014】
このように、上記に開示されているいずれの透明保護部材も、充分な衝撃吸収緩和効果が得られておらず、本発明の課題は、透明性を低下させずに充分な衝撃吸収緩和効果を得ることができ、生産性も良好な、表示画面の透明保護部材を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、透明基体とオルガノポリシロキサン架橋物からなる透明弾性粘着層を積層一体化させるとともに、透明弾性体粘着層の合計厚みを1〜5mmとすることで、充分な衝撃吸収緩和効果を得ることが可能となり、これによって、透明性に優れ、生産性の良好な透明保護部材が得られることを見出して本発明に至った。
【0016】
すなわち、本発明の透明保護部材は、複数の透明基体と、オルガノポリシロキサン架橋物からなる複数の透明弾性粘着層とが交互に積層一体化されており、前記透明弾性粘着層の合計厚みが1〜5mmであることを特徴とする。
【0017】
前記オルガノポリシロキサン架橋物は、(a)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を2個以上含有するジオルガノポリシロキサンと、(b)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を1個以上含有するSiO4/2単位および(R)3SiO1/2単位からなるレジン構造のオルガノポリシロキサン(Rは一価の炭化水素基あるいはアルケニル基を表す)と、(c)一分子中にケイ素原子に結合する水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含有する組成物を硬化させて得られるものであることが好ましい。
【0018】
前記透明弾性粘着層の一層の厚みが0.01mm以上であることが好ましい。前記透明保護部材を構成する透明基体のうち、最も外側に設けられた透明基体に、反射防止機能、防眩機能、耐擦傷性機能、および防汚機能から選ばれる少なくとも1つの機能が付与されていることが好ましい。
【0019】
前記透明保護部材を構成している透明基体および透明弾性粘着層のうち、1以上の透明基体および/または1以上の透明弾性粘着層に、電磁波遮蔽機能、近赤外線遮蔽機能、色調整機能、防眩機能、偏光機能、光学位相機能および光拡散機能から選ばれる少なくとも1つの機能が付与されていることが好ましい。
【0020】
本発明の透明保護部材は、各種表示装置の表示画面等の被保護面上に接合して好適に用いられ、被保護面に接合される層が、前記透明弾性粘着層からなる構成とすることができる。または、被保護面に接合される層として、前記透明基体上に粘着剤層を設けてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第一の実施形態を模式的に示したものであり、透明保護部材20が表示画面1上に接合された接合体の断面図である。図中符号1aは被保護面であり、本実施形態では表示画面の表示面である。
本実施形態の透明保護部材20は、その表面側、すなわち表示画面1の視認側から順に、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、近赤外線遮蔽透明基体8、および色調整透明基体10が、それぞれ透明弾性粘着層3を介して積層されており、色調整透明基体10が透明弾性粘着層3を介して表示画面1の被保護面1aに接合されている。
反射防止層付透明基体25は、透明基体5に反射防止層4が積層一体化されており、反射防止層4が透明保護部材20の最も外側となるように設けられている。電磁波遮蔽層付透明基体27は、透明基体7上に電磁波遮蔽層6が積層一体化されている。
【0022】
本実施形態においては4層の透明弾性粘着層3が設けられているが、該4層の透明弾性粘着層3の合計厚みは、1mm以上であることが必要で、1mm未満であると耐衝撃性能が不十分となる。好ましくは2mm以上であることが望まれる。また、5mmより厚くすることは、経済的な問題からさけるべきである。
また、各透明弾性粘着層3の厚みはそれぞれ0.01mm以上であることが好ましい。各透明弾性粘着層3の厚みが0.01mm未満であると粘着性能が主となり弾性性能が従属的となることから衝撃吸収緩和性能を充分に発揮させることが難しくなるとともに、製造上の厚み制御も高度となってしまう。透明弾性粘着層3の厚みの上限は、経済的な問題から4.99mmとすることが好ましい。
透明弾性粘着層3の厚みのより好ましい範囲は0.05〜2.00mmであり、さらに好ましい範囲は0.10〜1.00mmである。
【0023】
透明弾性粘着層3はオルガノポリシロキサン架橋物からなる。本発明で用いられるオルガノポリシロキサン架橋物は、(a)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を2個以上含有するジオルガノポリシロキサンと、(b)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を1個以上含有するSiO4/2単位および(R)3SiO1/2単位からなるレジン構造のオルガノポリシロキサン(Rは一価の炭化水素基あるいはアルケニル基を表す)と、(c)一分子中にケイ素原子に結合する水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有する組成物に、さらに(d)白金族金属系触媒を含有させて架橋反応させ、硬化させることによって得ることができる。このようにして得られるオルガノポリシロキサン架橋物は、透明性に優れており粘着性能を有するとともに、経時的な特性変化もなく、透明弾性粘着層として良好な特性を有する。
【0024】
上記(a)成分として好ましいのは、主鎖成分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子末端がトリオルガノシロキサン基で封鎖された直鎖状のものであるが、分岐状の構造を含んでいてもよく、また全体が環状体であってもよい。機械的な物性の点からは直鎖状であることが好ましい。アルケニル基は分子鎖の末端でも、分子鎖の途中に存在していても構わない。
オルガノ基は、脂肪族不飽和結合を含まない非置換または置換の1価の炭化水素基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基などのアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、メチルベンジル基などのアラルキル基、あるいは前記した基の炭素原子に結合する水素原子の一部がハロゲン原子、シアノ基などで置換された基が挙げられる。一般的には、炭素原子数が1から10のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、フェニル基、クロロフェニル基が好ましい。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基など炭素原子数が2〜4の低級アルケニル基が好ましい。
【0025】
上記(b)成分として好ましいのは、三次元網目状構造を有するオルガノポリシロキサンであり、SiO4/2単位(以下、b1単位と呼ぶ)およびR3SiO1/2単位(Rは一価の炭化水素基あるいはアルケニル基を表す)(以下、b2単位と呼ぶ)からなり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜8,000の範囲にある。ここで一価の炭化水素基およびアルケニル基は(a)成分の説明で前述したものと同様の基が挙げられる。
(b)成分におけるb2単位/b1単位=0.3〜3が好ましく、0.7〜1がより好ましい。このようなレジン構造のオルガノポリシロキサンは、周知の方法で、各単位源となる化合物を求められる割合で組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解することによって合成することができる。このレジン構造のオルガノポリシロキサンは、一種または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
上記(c)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一分子中にケイ素原子に結合する水素原子を好ましくは3個以上有するもので、架橋剤として使用される。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、環状あるいは三次元網目状構造のいずれでもよい。基本骨格は、(a)成分あるいは(b)成分のオルガノポリシロキサンと同様で良いが、水素原子が結合していないオルガノ基においては、脂肪族不飽和結合を含まず、置換または非置換の一価炭化水素基とされ、(a)成分の説明で前述したものが挙げられる。
(c)成分の粘度は、得られる組成物の取り扱い作業性が良好で架橋物の物理的特性が良好である必要性から、0.5〜1000cpであることがよい。
(c)成分の具体例としては、メチルハイドロジェンシロキサン環状重合体、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジメチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、および式:R’3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体、式:R’2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン共重合体、式:R’HSiO2/2で示されるシロキサン単位と式:R’SiO3/2で示されるシロキサン単位および/または式:HSiO3/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン共重合体などが挙げられる。これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは単独であるいは二種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
(b)成分の配合量は、(a)成分と(b)成分の合計量に対し5〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。(b)成分が少なすぎると、機械的物性が不足し粘着力が低くなり、多すぎると硬化物の硬さが高くなる。オルガノポリシロキサン中のアルケニル基の量は0.05〜0.2モル/100gが好ましい。
また(c)成分の配合量は、組成物中の全アルケニル基1モルに対して、(b)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量として0.4〜10モル、好ましくは0.4〜1.5モルとなる量である。上記モル比が小さすぎると添加効果が充分に得られず、大きすぎると硬さが増し、物性が経時で変化するおそれが生じる。
【0028】
上記(d)触媒は、ヒドロシリル化反応を促進するための白金族金属触媒で、例えば、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンとの錯体、白金とアルケニルシロキサンとの錯体等の白金系、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム系、ロジウム系触媒、およびこれらの触媒を含有してなる熱可塑性樹脂粉末などが挙げられる。
(d)触媒の添加量は、(a)成分および(b)成分の合計量に対し、白金族金属原子換算の質量基準で、0.1〜1,000ppmとなる量が推奨される。
【0029】
本発明で用いられるオルガノポリシロキサン架橋物の硬さ、すなわち本実施形態における透明弾性粘着層3の硬さは、JIS K6301に規定される50°以下であることが好ましく、この範囲であれば充分な衝撃吸収緩和を得ることができる。また、例えばオルガノシランまたはオルガノシラザンなどで表面処理されたシリカ粉等の補強性充填剤を添加することにより、オルガノポリシロキサン架橋物の硬さを増すことができ、これによって加工上の取り扱い易さを改善することができるが、高い透明性を維持するためには、上記補強性充填剤等の添加物の添加量は極力抑えることが好ましい。なお、オルガノシランまたはオルガノシラザン等で表面処理されたシリカ粉末を、透明性の許容の範囲で添加することは任意である。
【0030】
本発明において、オルガノポリシロキサン架橋物の硬さ、すなわち透明弾性粘着層3の硬さは、低いほど衝撃吸収緩和効果が良好となるが、粘着性が低下することとなる。粘着性を保持するためには、そのせん断弾性率が1×103〜1×106Paの範囲であることが好ましく、かかるせん断弾性率を達成するためには、オルガノポリシロキサン架橋物の数平均重合度は20以上、2,000以下であることが好ましい。
【0031】
硬化前のオルガノポリシロキサン組成物の粘度(常温25℃)は、加工上の取り扱い易さの点から、50〜100,000cp程度が好ましい。また、オルガノポリシロキサン組成物には、3−メチル−1−ブテン−3−オールなどのアルキンアルコールあるいはベンゾトリアゾールなどの硬化抑制剤を添加してもよい。硬化抑制剤を添加する場合には、その添加によって透明弾性粘着層の物性に悪影響が生じないように少量添加とすることが好ましい。また、取り扱い作業性のためには、前記(c)成分を含有する液と、(a)成分および(b)成分を含有する液の二液に分けて調製することが好ましい。
【0032】
本発明で用いられる透明基体、本実施形態では、反射防止層付透明基体25の透明基体5、電磁波遮蔽層付透明基体27の透明基体7、近赤外線遮蔽透明基体8、および色調整透明基体10を構成する材質は、光線透過率が良好なものであれば特には限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボネート、フッ素樹脂などからなる樹脂フィルムを用いることが可能である。透明基体の物性としては、例えば近赤外線遮蔽機能や、色調整機能などの種々の光学機能を容易に付与することが可能で、機械的な応力や熱的応力で歪みが発生しないことが好ましく、上記に挙げた樹脂の中でも、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタアクリレートなどが特に好適である。
【0033】
透明保護部材20の、表示画面1に接合される側を内側とすると、透明保護部材20を構成する透明基体のうち、最も外側に設けられる透明基体5の外側面上には、低屈折率の物質からなる層と高屈折率の物質からなる層が交互に積層された反射防止層4が設けられており、これによって反射防止機能が付与されている。かかる反射防止層4を形成する方法としては、塗布液を塗布する方法、蒸着法、スパッタリング法など周知の方法を用いることができる。
【0034】
また、本実施形態では採用していないが、最も外側に設けられる透明基体5には、反射防止機能だけでなく、防眩機能等の光学機能を付与することが好ましく、さらに、耐擦傷性機能や防汚染機能を付与することがより好ましい。
防眩機能は、透明基体5の外側面上に、シリカ粒子やアクリル粒子などのビーズ形状物を含有する樹脂からなる防眩層を設けることによって付与することができる。かかる防眩層は塗布液を塗布する周知の方法によって形成することができる。
耐擦傷機能は、透明基体5の外側面上に、ハードコート層を設けることによって付与することができる。ハードコート層の材料としては、熱硬化型のSiO2系の材料、UV硬化型のフッ素系ポリマー材料などが硬度的に好ましいが、これらに限定されるものではない。界面反射を低減させるためには、透明基体の屈折率に近い屈折率を有する材料を選択することが好ましい。ハードコート層の厚さは0.001〜0.01mmが適当である。0.001mmより薄いと鉛筆硬度Hを満たし難く、0.01mmを超えるとクラックの発生が起こりやすい。
防汚機能は、透明基体5の外側面上に、UV硬化型のフッ素系樹脂などからなる層を設けることによって付与することができる。
透明基体5の外側面上に設ける最外層に、これらの機能を2種以上付与することもできる。
【0035】
電磁波遮蔽層付透明基体27は、透明基体7上に、例えば、薄膜透明な低抵抗値の金属メッシュまたはエッチングメッシュからなる電磁波遮蔽層6を積層一体化することにより形成できる。かかる電磁波遮蔽層6を設けることにより、例えばプラズマディスプレイにおける放電によるネオン原子の遷移過程に伴って放出される電磁波や近赤外線など、各種表示装置の発光作用に伴って放出される電磁波や近赤外線を遮蔽する機能を付与することができる。
【0036】
近赤外線遮蔽透明基体8は、透明基体中に、近赤外線を吸収する染料系の化合物を含有させて分散させることによって、近赤外線遮蔽性を付与したものである。
【0037】
色調整透明基体10は、透明基体に、赤・緑・青色の透過性をそれぞれ調整し得る色調整機能を付与したものである。かかる色調製機能は、補正しようとする色調の波長を選択的に吸収する色素を、塗料として透明基体の表面に塗布する方法や、該色素を透明基体中に含有させて分散させることで付与することができる。かかる色調整機能を付与することにより、発光と外光との関係において、光の拡散や散乱による光量損失を考慮して、視認される赤・緑・青色の各色を調製することができるので、表示画面1の視認性を向上させることができる。
【0038】
なお、これらの光学的機能付与のうち、近赤外線遮蔽機能や色調整機能は、透明基体のみでなく、透明弾性粘着層3、すなわちオルガノポリシロキサン架橋物からなる層にも付与することができる。具体的には、硬化前のオルガノポリシロキサン組成物に、付与しようとする機能を有する染料および/または色素を含有させることにより、これらの光学的機能を付与した透明弾性粘着層を形成することができる。
【0039】
また、本実施形態では採用していないが、透明保護部材20を構成する透明基体および/または透明弾性粘着層3に偏光機能、光学位相機能または光拡散機能等の光学機能を付与することもできる。
光学位相機能や偏光機能が付与された透明基体の例としては、偏光板、波長板、これらを積層した楕円偏光板、反射型偏光板、半透過型偏光板、反射型楕円偏光板、半透過型楕円偏光板などの透明基体が挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合系部分ケン化フィルムのような親水性高分子フィルムにヨウ素および/または二色性染料を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物や塩化ビニルの脱塩素処理物のようなポリエン配向フィルムなどが挙げられる。
一方、光拡散機能が付与された透明基体の例としては、平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウムなどの無機系微粒子、または、架橋または架橋系のポリマーなどからなる有機系微粒子を添加分散配合させた透明基体などが挙げられる。
透明基体や透明弾性粘着層に粒子等を練り込んで光学機能を付与する場合は、1つの層に複数の機能を付与することができる。
【0040】
本実施形態における透明基体5、7、近赤外線遮蔽透明基体8、および色調整透明基体10は、好ましくはフィルムシート形状で供給される。
一方、透明弾性粘着層3は、取り扱い作業性上、(c)成分からなる液と(a)および(b)成分からなる液との二液を別個に調製し、(d)成分を、(a)および(b)成分からなる液に、または前記二液を混合するのと同時に、触媒として添加し、前記二液を等量の配合比で混練撹拌した後に、室温あるいは加熱することで加硫硬化させる。硬化物を層状に成形するために、注型成形法や、ダイコーティング法などの成形法を用いることができる。気泡のない層を形成するために、脱泡処理やプレス成形を行うことが好ましい。
また、透明弾性粘着層3は粘着性が発現する組成配合であるために、透明弾性粘着層3が最外層となる場合には、最外層となる該透明弾性粘着層3上に離型性のある離形基材を積層した状態で保存することが好ましい。かかる離型基材としては、フッ素フィルム、ポリエチレンフィルム、ポロプロピレンフルム、ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルムなどが好ましい。
【0041】
図2は、本発明の第二の実施形態を模式的に示したものあり、透明保護部材30が表示画面1上に接合された接合体の断面図である。本実施形態において、前記第一の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の透明保護部材30は、その表面側、すなわち表示画面1の視認側から順に、反射防止層付透明基体25、透明弾性粘着層3、透明基体2、色調整透明弾性粘着層11、透明基体2、近赤外線遮蔽透明弾性粘着層9、および電磁波遮蔽層付透明基体27が積層一体化されており、電磁波遮蔽層付透明基体27がアクリル系粘着剤層12を介して表示画面1の被保護面1aに接合されている。
【0042】
本実施形態において、透明弾性粘着層3および透明基体2には光学機能が付与されていない。
色調整透明弾性粘着層11は、透明弾性粘着層に、赤・緑・青色の透過性をそれぞれ調整し得る色調整機能を付与したものである。かかる色調整機能は、硬化前のオルガノポリシロキサン組成物に、補正しようとする色調の波長を選択的に吸収する色素を含有させることによって付与することができる。
近赤外線遮蔽透明弾性粘着層9は、透明弾性粘着層中に、近赤外線を吸収する染料系の化合物を含有させて分散させることによって、近赤外線遮蔽が付与されている。
【0043】
本実施形態においては、透明弾性粘着層3、色調整透明弾性粘着層11、および近赤外線遮蔽透明弾性粘着層9の厚みの合計が1mm以上とされており、好ましくは2mm以上、5mm以下とされる。
透明弾性粘着層3、色調整透明弾性粘着層11、および近赤外線遮蔽透明弾性粘着層9のそれぞれの厚みは0.01mm以上、5mm以下であることが好ましく、より好ましい範囲は0.05mm〜2.00mmであり、さらに好ましい範囲は0.10〜1.00mmである。
【0044】
上記の各実施形態によれば、複数の透明基体が透明弾性粘着層を介して積層されており、該透明弾性粘着層の合計厚みが1mm以上とされているので、衝撃吸収緩和が充分に得られるものである。
しかも、該透明弾性粘着層は高い透明性と粘着性を兼ね備えたものであり、透明弾性粘着層の合計厚みを1mm以上としても、透明性に優れた透明保護部材を実現することができる。また、透明弾性粘着層を透明基体と直接粘着接合させることが可能であり、また表示画面に透明弾性粘着層を介して直接接合することもできる。
また、透明弾性粘着層を構成するオルガノポリシロキサンは、硬化前の組成物の状態で流動性などの操作性が良好であるので、コーティング法を用いて連続的に成形することが可能であり、また注型成形も可能であるので、透明保護部材の生産性が良好となる。
さらに、透明基体だけでなく、透明弾性粘着層にも種々の光学機能を設けることができるので、透明保護部材の構成の自由度が大きい。
また、透明弾性粘着層を構成するオルガノポリシロキサン架橋物は耐熱性に優れているので、経時的な劣化が極めて少ない透明保護部材を得ることができる。
【0045】
特に、上記第一の実施形態のように、表示画面1に接合される層が透明弾性粘着層3である構成とすれば、衝撃吸収緩和機能を担う層が接合のための粘着層を兼ねるので、薄型化、経済性の点で有利である。
一方、上記第二の実施形態のように、透明基材7が粘着剤層12を介して表示画面1に接合される構成とすれば、被保護面に接合される側の最外層が粘着剤層12からなるので、該最外層が透明弾性粘着層3である場合に比べて、保存のために該最外層上に設ける離型基材を安価なものとすることができ、製造上経済的に有利である。
【0046】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変形が可能である。例えば、光学機能が付与された透明基体や透明粘着層の積層位置や層数、付与する光学機能の組合せ等を変更することによって他種の透明保護部材を構成することができる。実際には、加工の容易性や加工の安定性などを考慮して透明保護部材の構成を決めるのが好ましい。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
図3に示す構成の透明保護部材40を製造した。本実施例の透明保護部材40は、表面側から順に、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、透明基体2、および離型基材15が、それぞれ透明弾性粘着層3、3、3を介して積層されており、表面側の最外層は反射防止層4からなっている。本実施例において、前記第一および第二の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
離型基材15は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一面に離型剤がコーテイングされて離型面とされたものが用いられている。
【0048】
(1)透明弾性粘着層3となる液状オルガノポリシロキサンの準備
分子鎖の両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖された粘度5000cpのジメチルポリシロキサン60部と、SiO4/2単位50モル%、(CH3)3SiO1/2単位42.5モル%、CH2=CH(CH3)2SiO1/2単位7.5モル%からなるレジン構造のビニルメチルポリシロキサン40部と、トリメチルシロキシ基で封止されたメチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体5.3部(ケイ素原子に結合した水素原子の量は、前記ビニル基の合計量あたり0.3倍モル)、および塩化白金酸のドデシルアルコール変性溶液(白金金属1質量部)0.05部(白金金属換算で5ppm)を混合して、液状オルガノポリシロキサンを調製した。
【0049】
(2)透明基体の準備
反射防止層付透明基体25として、フッ素系反射防止層4が積層されたアクリルフィルム(アクリルフィルムの厚み100μm)を1000mm幅の大きさで用意した。
電磁波遮蔽層付透明基体27として、金属酸化膜および銀系透明導電膜を、蒸着またはスパッタリングにて交互に繰り返し成膜してなる電磁波遮蔽層6が積層されたポリエチレンテレフタレートフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚み188μm)を1000mm幅の大きさで用意した。
透明基体2として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み125μm)を1000mm幅の大きさで用意した。
【0050】
(3)離型フィルムの準備
離型基材15として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一面に、シリコーン離型剤(信越化学工業社製、商品名:X−70−201)を厚さ1μmとなるようにコーティングしてなる離型フィルムを1000mm幅の大きさで準備した。
【0051】
(4)透明保護部材の製作
第一工程:反射防止層付透明基体25の透明基体5上に、コーティング装置を用いて、上記(1)で調製した液状オルガノポリシロキサンを200μmの厚みで塗布した後、ラミネート装置を用いて、電磁波遮蔽層付透明基体27を、電磁波遮蔽層6が前記液状オルガノポリシロキサンの未加硫層と密着するように積層した状態で、40℃の熱風槽で連続加硫して硬化させ、1000mm長さで切り出し、縦×横が1000mm×1000mmの第一の積層枚葉構造物を形成した。
【0052】
第二工程:透明基体2上に、コーティング装置を用いて、上記(1)で調製した準備した液状オルガノポリシロキサンを200μmの厚みで塗布した後、ラミネート装置を用いて、離型基材15を、前記液状オルガノポリシロキサンの未加硫層と密着するように積層した状態で、40℃の熱風槽で連続加硫して硬化させ、1000mm長さで切り出し、縦×横が1000mm×1000mmの第二の積層枚葉構造物を形成した。
【0053】
第三工程:次いで、縦×横が1000mm×1000mmの成形型を備えた熱プレス成形装置を用い、前記第一工程で作製した第一の積層枚葉構造物と、第二工程で作製した第二の積層枚葉構造物とを、それぞれの透明基体7、2が、所定厚みの空間を介して対向するように成形型内に配置した。そして、これらの間に上記(1)で調製した準備した液状オルガノポリシロキサンを600μmの厚みで注型した後、40℃の加熱プレスを行って縦×横が1000mm×1000mmの透明保護部材40を得た。
【0054】
得られた透明保護部材40における、透明弾性粘着層3、3、3の合計の厚みは、1000μm、すなわち1mmであった。
この透明保護部材40を使用する際は、離型基材15を剥離して透明弾性粘着層3を剥き出しにし、真空プレス装置等を用いて、該透明弾性粘着層3を表示画面上に密着させることによって、表示画面上に接合することができる。表示画面の視認側の最外層は反射防止層4となる。
【0055】
このようにして得られた透明保護部材40の光線透過率は85%であった。また、この透明保護部材40の離型基材15を剥離して、縦×横が1000mm×1000mmの厚さ5mmの強化ガラス上に、真空プレス装置を用いて貼り合せた。強化ガラス上に透明保護部材40を接合した接合体において光学的な歪みは無かった。また、該接合体に対して、1kgの鋼球を1mの高さから落下させたがガラスの割れ破損はなかった。
【0056】
(実施例2)
図4に示す構成の透明保護部材50を製造した。本実施例の透明保護部材50は、表面側から順に、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、および透明基体2が、それぞれ透明弾性粘着層3、3を介して積層されており、さらに、透明基体2上に色調整透明弾性粘着層11を介して粘着シート14が積層されている。表面側の最外層は反射防止層4からなっている。本実施例において、前記第一および第二の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
粘着シート14は、ポリエチレンテレフタレート2上にアクリル系粘着剤からなる粘着剤層12が設けられ、さらにその上にポリエチレンフィルム13が積層されている。
【0057】
(1)透明弾性粘着層となる液状オルガノポリシロキサンの準備
実施例1と同様の組成で、液状オルガノポリシロキサンを調製した。
また、この液状オルガノポリシロキサンに赤色色素(三井化学株式会社製、商品名:PD−319)を1200ppmの濃度となるように添加分散配合して、赤色液状オルガノポリシロキサンを調製した。
【0058】
(2)透明基体の準備
実施例1と同様の、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、および透明基体2を用意した。
(3)粘着シートの準備
アクリル系粘着剤(綜研化学社製、商品名:SKダイン)からなる粘着剤層(厚み25μm)12が設けられたポリエチレンテレフタレート(厚み125μm)2のシートを用い、粘着層12上にポリエチレンフィルム(厚み100μm)13を積層したものを粘着シート14として使用した。この粘着シート14は1000mm幅の大きさとした。
【0059】
(4)透明保護部材の製作
第一工程:実施例1と同様にして、反射防止層付透明基体25の透明基体5と、電磁波遮蔽層付透明基体27の電磁波遮蔽層6との間に、透明弾性粘着層3が介在して積層一体化された、縦×横が1000mm×1000mmの第一の積層枚葉構造物を形成した。
【0060】
第二工程:透明基体2上に、コーティング装置を用いて、上記(1)で調製した準備した赤色液状オルガノポリシロキサンを200μmの厚みで塗布した後、ラミネート装置を用いて、粘着シート14を、該粘着シート14を構成している透明基材2が前記赤色液状オルガノポリシロキサンの未加硫層と密着するように積層した状態で、40℃の熱風槽で連続加硫して硬化させ、1000mm長さで切り出して、縦×横が1000mm×1000mmの第二の積層枚葉構造物を形成した。
【0061】
第三工程:次いで、前記実施例1と同様に熱プレス成形装置を用い、上記で作製した第一の積層枚葉構造物の透明基体7と、第二の積層枚葉構造物の透明基体2との間に、実施例1と同様の組成の液状オルガノポリシロキサンを1600μmの厚みで注型し、40℃の加熱プレスを行って縦×横が1000mm×1000mmの透明保護部材50を得た。
【0062】
得られた透明保護部材50における、透明弾性粘着層3、3および色調整透明弾性粘着層11の合計の厚みは2000μm、すなわち2mmであった。
透明保護部材50を使用する際には、粘着シート14のポリエチレンフィルム13を剥離して粘着剤層12を剥き出しにし、必要に応じて真空プレス装置等を用い、該粘着剤層12を表示画面上に密着させることによって、表示画面上に接合することができる。真空プレスを行うことにより、透明保護部材50の積層界面に残存する気泡を脱気することができる。
【0063】
このようにして得られた透明保護部材50の光線透過率は82%であった。また、この透明保護部材50の粘着剤層12を、縦×横が1000mm×1000mmの厚さ5mmの強化ガラス上に貼り合せた。強化ガラス上に透明保護部材50を接合した接合体において光学的な歪みは無かった。また、該接合体に対して、1kgの鋼球を1mの高さから落下させたがガラスの割れ破損はなかった。
【0064】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、透明性を低下させずに充分な衝撃吸収緩和効果を得ることができ、生産性も良好な、表示画面の透明保護部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施例1で作製した透明保護部材を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に係る実施例2で作製した透明保護部材を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…表示画面
2、5、7…透明基体
3…透明弾性粘着層
4…反射防止層
6…電磁波遮蔽層
8…近赤外線遮蔽透明基体
9…近赤外線遮蔽透明弾性粘着層
10…色調整透明基体
11…色調整透明弾性粘着層
12…アクリル系粘着剤層
25…反射防止層付透明基体
27…電磁波遮蔽層付透明基体
20、30、40、50…透明保護部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種表示装置の表示画面等の被保護面を保護するのに好適に用いられる透明保護部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平面ブラウン管、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、プロジェクションTV、およびその他の各種表示装置における表示画面には、光線透過率に優れたガラスが多用されている。
しかしながらガラスは衝撃に弱い素材であることから、表示画面の保護のため、表示画面の外側に空気層を隔てて前面ガラスなどを設置し、その上にポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステルなどからなる透明基体や、ゴム系樹脂などからなる透明弾性体などからなる衝撃吸収緩和層を設けるとともに、これらに画面画質の向上のための種々の光学機能を付与することが提案されている。これによって表示画面の割れ防止や破損時のガラスの飛散防止を達成することができる。
さらに近年では、このような前面ガラスを設けず、表示画面上に、直接、衝撃吸収緩和性能を有するとともに、表示画面の視認性を向上させ得る種々の光学機能が付与された透明部材を備えた保護部材を設けることが検討されている。
【0003】
例えば、光学機能が付与された透明基体に、耐擦傷性やガラス飛散防止性を向上させ得る樹脂フィルムを設けるとともに、最外層となる表面に反射防止層を設けた保護部材が開示されている。その透明基体には、例えばアクリル系ゴム状樹脂、シリコーン系ゴム状樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが用いられる。そして、該透明基体に、厚みが0.2〜0.3mmのポリウレタン系樹脂フィルムを組み合わせることにより、耐擦傷性、衝撃の吸収緩和、打痕傷の経時回復性、ガラスの破壊時の飛散防止などを向上させている。(特許文献1、2参照)
【0004】
また、衝撃吸収緩和性能を改善する構成として、基材フィルムとゴムフィルムの積層体が開示されており、ここでのゴムフィルムの厚みは150〜300μmの範囲とされている。ゴムフィルムの材料としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴムなどが示されている。また、表示画面に貼り合わせる方法として、貼り合わせる側の表面を平滑とすることで貼着可能とする例が示されている。(特許文献3、4参照)
【0005】
また、表示画面に、直接、粘着剤層を介してガラス飛散防止層とガラス割れ防止層の複数層を一体化することで衝撃吸収緩和層を構成した例もある。この衝撃吸収緩和層としては、せん断弾性率で1×104〜2×108Paの範囲であるアイオノマー樹脂などの熱可塑性エラストマーが例示されており、その厚みは100〜1700μmとされている。(特許文献5参照)
【0006】
また、複数の透明支持体層が粘着剤層を介して積層されており、該透明支持体層の1層の厚みが225μm以上であって、合計厚みでは300〜1000μmの範囲であり、粘着剤層の合計厚みが30〜150μmの範囲であって、積層された構成での弾性率が3.5GPa以下とされている例もある。(特許文献6参照)
【0007】
また、光学機能である反射防止機能、防眩機能、電磁波遮蔽機能、近赤外線遮蔽機能、色調整機能などを透明基体に設け、該透明基体と粘着剤層とを積層した構成の、複数の光学機能を備えた積層体が開示されている。ここでの透明基体の合計の厚さは0.3mm以上とされ、粘着剤層の厚みは0.5〜50μmの範囲とされている。(特許文献7参照)
【0008】
【特許文献1】
特開平7−168005号公報
【特許文献2】
特開2000−249804号公報
【特許文献3】
特開2000−56694号公報
【特許文献4】
特開2001−83886号公報
【特許文献5】
特開2002−23649号公報
【特許文献6】
特開2002−175020号公報
【特許文献7】
特開2002−251144号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1、2に記載されている例では、光学機能が付与された透明基体としてポリウレタン系樹脂を用いることによって、この透明基体で衝撃の吸収緩和効果を得ようとしているが、透明基体の厚みは0.2〜0.3mmとされており充分な衝撃吸収緩和となっていない。この構成において、充分な衝撃吸収緩和効果を得ようとすると、衝撃緩和部材(透明基体)の厚みを1mm以上とすることが必要であるが、気泡の発生などから製作が困難である。
【0010】
特許文献3、4に記載されている例は、基材フィルムとゴムフィルムの積層体構造で衝撃吸収緩和を得ようとしたものであるが、ゴムフィルムの厚みは150〜300μmの範囲であり、充分な衝撃緩和は得られていない。ゴムフィルムの厚みを厚くすることは、衝撃吸収緩和を改善するには有効であるが、透明性を低下することを免れない。また、表示画面との貼り合せにおいて、ゴムフィルムの表面を平滑とすることで貼着する方法を示しているが、この方法で得られる接合力は、積層構造体全体を保持する接合力としては、不十分である。
【0011】
特許文献5に記載されている例は、表示画面に、直接、粘着剤層を介してガラス飛散防止層とガラス割れ防止層の複数層を一体化するものであるが、光学機能層を設けるための加熱加工の際に収縮が生じ、これによって貼り合わせ面の平滑性が失われるので、表示画面に貼り合せることが著しく困難なものであった。
【0012】
特許文献6に記載されている例は、複数の透明支持体層が粘着剤層を介して積層されたものであり、透明支持体層の1層の厚みが225μm以上であり合計厚みは300〜1000μmの範囲とされ、粘着剤層の合計厚みは30〜150μmである。このものも層厚が薄いため、同様に充分な衝撃吸収緩和が期待できない。
【0013】
特許文献7に記載されている例においては、光学機能である反射防止機能、防眩機能、電磁波遮蔽機能、近赤外線遮蔽機能、色調整機能などの複数の光学機能が透明基体に付与されており、透明基体の合計の厚さは0.3mm以上とされているが、粘着剤層の厚みが0.5〜50μmの範囲と薄いことから、充分な衝撃吸収緩和は得られていない。
【0014】
このように、上記に開示されているいずれの透明保護部材も、充分な衝撃吸収緩和効果が得られておらず、本発明の課題は、透明性を低下させずに充分な衝撃吸収緩和効果を得ることができ、生産性も良好な、表示画面の透明保護部材を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、透明基体とオルガノポリシロキサン架橋物からなる透明弾性粘着層を積層一体化させるとともに、透明弾性体粘着層の合計厚みを1〜5mmとすることで、充分な衝撃吸収緩和効果を得ることが可能となり、これによって、透明性に優れ、生産性の良好な透明保護部材が得られることを見出して本発明に至った。
【0016】
すなわち、本発明の透明保護部材は、複数の透明基体と、オルガノポリシロキサン架橋物からなる複数の透明弾性粘着層とが交互に積層一体化されており、前記透明弾性粘着層の合計厚みが1〜5mmであることを特徴とする。
【0017】
前記オルガノポリシロキサン架橋物は、(a)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を2個以上含有するジオルガノポリシロキサンと、(b)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を1個以上含有するSiO4/2単位および(R)3SiO1/2単位からなるレジン構造のオルガノポリシロキサン(Rは一価の炭化水素基あるいはアルケニル基を表す)と、(c)一分子中にケイ素原子に結合する水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含有する組成物を硬化させて得られるものであることが好ましい。
【0018】
前記透明弾性粘着層の一層の厚みが0.01mm以上であることが好ましい。前記透明保護部材を構成する透明基体のうち、最も外側に設けられた透明基体に、反射防止機能、防眩機能、耐擦傷性機能、および防汚機能から選ばれる少なくとも1つの機能が付与されていることが好ましい。
【0019】
前記透明保護部材を構成している透明基体および透明弾性粘着層のうち、1以上の透明基体および/または1以上の透明弾性粘着層に、電磁波遮蔽機能、近赤外線遮蔽機能、色調整機能、防眩機能、偏光機能、光学位相機能および光拡散機能から選ばれる少なくとも1つの機能が付与されていることが好ましい。
【0020】
本発明の透明保護部材は、各種表示装置の表示画面等の被保護面上に接合して好適に用いられ、被保護面に接合される層が、前記透明弾性粘着層からなる構成とすることができる。または、被保護面に接合される層として、前記透明基体上に粘着剤層を設けてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第一の実施形態を模式的に示したものであり、透明保護部材20が表示画面1上に接合された接合体の断面図である。図中符号1aは被保護面であり、本実施形態では表示画面の表示面である。
本実施形態の透明保護部材20は、その表面側、すなわち表示画面1の視認側から順に、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、近赤外線遮蔽透明基体8、および色調整透明基体10が、それぞれ透明弾性粘着層3を介して積層されており、色調整透明基体10が透明弾性粘着層3を介して表示画面1の被保護面1aに接合されている。
反射防止層付透明基体25は、透明基体5に反射防止層4が積層一体化されており、反射防止層4が透明保護部材20の最も外側となるように設けられている。電磁波遮蔽層付透明基体27は、透明基体7上に電磁波遮蔽層6が積層一体化されている。
【0022】
本実施形態においては4層の透明弾性粘着層3が設けられているが、該4層の透明弾性粘着層3の合計厚みは、1mm以上であることが必要で、1mm未満であると耐衝撃性能が不十分となる。好ましくは2mm以上であることが望まれる。また、5mmより厚くすることは、経済的な問題からさけるべきである。
また、各透明弾性粘着層3の厚みはそれぞれ0.01mm以上であることが好ましい。各透明弾性粘着層3の厚みが0.01mm未満であると粘着性能が主となり弾性性能が従属的となることから衝撃吸収緩和性能を充分に発揮させることが難しくなるとともに、製造上の厚み制御も高度となってしまう。透明弾性粘着層3の厚みの上限は、経済的な問題から4.99mmとすることが好ましい。
透明弾性粘着層3の厚みのより好ましい範囲は0.05〜2.00mmであり、さらに好ましい範囲は0.10〜1.00mmである。
【0023】
透明弾性粘着層3はオルガノポリシロキサン架橋物からなる。本発明で用いられるオルガノポリシロキサン架橋物は、(a)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を2個以上含有するジオルガノポリシロキサンと、(b)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を1個以上含有するSiO4/2単位および(R)3SiO1/2単位からなるレジン構造のオルガノポリシロキサン(Rは一価の炭化水素基あるいはアルケニル基を表す)と、(c)一分子中にケイ素原子に結合する水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有する組成物に、さらに(d)白金族金属系触媒を含有させて架橋反応させ、硬化させることによって得ることができる。このようにして得られるオルガノポリシロキサン架橋物は、透明性に優れており粘着性能を有するとともに、経時的な特性変化もなく、透明弾性粘着層として良好な特性を有する。
【0024】
上記(a)成分として好ましいのは、主鎖成分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子末端がトリオルガノシロキサン基で封鎖された直鎖状のものであるが、分岐状の構造を含んでいてもよく、また全体が環状体であってもよい。機械的な物性の点からは直鎖状であることが好ましい。アルケニル基は分子鎖の末端でも、分子鎖の途中に存在していても構わない。
オルガノ基は、脂肪族不飽和結合を含まない非置換または置換の1価の炭化水素基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基などのアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、メチルベンジル基などのアラルキル基、あるいは前記した基の炭素原子に結合する水素原子の一部がハロゲン原子、シアノ基などで置換された基が挙げられる。一般的には、炭素原子数が1から10のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、フェニル基、クロロフェニル基が好ましい。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基など炭素原子数が2〜4の低級アルケニル基が好ましい。
【0025】
上記(b)成分として好ましいのは、三次元網目状構造を有するオルガノポリシロキサンであり、SiO4/2単位(以下、b1単位と呼ぶ)およびR3SiO1/2単位(Rは一価の炭化水素基あるいはアルケニル基を表す)(以下、b2単位と呼ぶ)からなり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜8,000の範囲にある。ここで一価の炭化水素基およびアルケニル基は(a)成分の説明で前述したものと同様の基が挙げられる。
(b)成分におけるb2単位/b1単位=0.3〜3が好ましく、0.7〜1がより好ましい。このようなレジン構造のオルガノポリシロキサンは、周知の方法で、各単位源となる化合物を求められる割合で組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解することによって合成することができる。このレジン構造のオルガノポリシロキサンは、一種または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
上記(c)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一分子中にケイ素原子に結合する水素原子を好ましくは3個以上有するもので、架橋剤として使用される。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、環状あるいは三次元網目状構造のいずれでもよい。基本骨格は、(a)成分あるいは(b)成分のオルガノポリシロキサンと同様で良いが、水素原子が結合していないオルガノ基においては、脂肪族不飽和結合を含まず、置換または非置換の一価炭化水素基とされ、(a)成分の説明で前述したものが挙げられる。
(c)成分の粘度は、得られる組成物の取り扱い作業性が良好で架橋物の物理的特性が良好である必要性から、0.5〜1000cpであることがよい。
(c)成分の具体例としては、メチルハイドロジェンシロキサン環状重合体、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジメチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、および式:R’3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体、式:R’2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン共重合体、式:R’HSiO2/2で示されるシロキサン単位と式:R’SiO3/2で示されるシロキサン単位および/または式:HSiO3/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン共重合体などが挙げられる。これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは単独であるいは二種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
(b)成分の配合量は、(a)成分と(b)成分の合計量に対し5〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。(b)成分が少なすぎると、機械的物性が不足し粘着力が低くなり、多すぎると硬化物の硬さが高くなる。オルガノポリシロキサン中のアルケニル基の量は0.05〜0.2モル/100gが好ましい。
また(c)成分の配合量は、組成物中の全アルケニル基1モルに対して、(b)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量として0.4〜10モル、好ましくは0.4〜1.5モルとなる量である。上記モル比が小さすぎると添加効果が充分に得られず、大きすぎると硬さが増し、物性が経時で変化するおそれが生じる。
【0028】
上記(d)触媒は、ヒドロシリル化反応を促進するための白金族金属触媒で、例えば、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンとの錯体、白金とアルケニルシロキサンとの錯体等の白金系、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム系、ロジウム系触媒、およびこれらの触媒を含有してなる熱可塑性樹脂粉末などが挙げられる。
(d)触媒の添加量は、(a)成分および(b)成分の合計量に対し、白金族金属原子換算の質量基準で、0.1〜1,000ppmとなる量が推奨される。
【0029】
本発明で用いられるオルガノポリシロキサン架橋物の硬さ、すなわち本実施形態における透明弾性粘着層3の硬さは、JIS K6301に規定される50°以下であることが好ましく、この範囲であれば充分な衝撃吸収緩和を得ることができる。また、例えばオルガノシランまたはオルガノシラザンなどで表面処理されたシリカ粉等の補強性充填剤を添加することにより、オルガノポリシロキサン架橋物の硬さを増すことができ、これによって加工上の取り扱い易さを改善することができるが、高い透明性を維持するためには、上記補強性充填剤等の添加物の添加量は極力抑えることが好ましい。なお、オルガノシランまたはオルガノシラザン等で表面処理されたシリカ粉末を、透明性の許容の範囲で添加することは任意である。
【0030】
本発明において、オルガノポリシロキサン架橋物の硬さ、すなわち透明弾性粘着層3の硬さは、低いほど衝撃吸収緩和効果が良好となるが、粘着性が低下することとなる。粘着性を保持するためには、そのせん断弾性率が1×103〜1×106Paの範囲であることが好ましく、かかるせん断弾性率を達成するためには、オルガノポリシロキサン架橋物の数平均重合度は20以上、2,000以下であることが好ましい。
【0031】
硬化前のオルガノポリシロキサン組成物の粘度(常温25℃)は、加工上の取り扱い易さの点から、50〜100,000cp程度が好ましい。また、オルガノポリシロキサン組成物には、3−メチル−1−ブテン−3−オールなどのアルキンアルコールあるいはベンゾトリアゾールなどの硬化抑制剤を添加してもよい。硬化抑制剤を添加する場合には、その添加によって透明弾性粘着層の物性に悪影響が生じないように少量添加とすることが好ましい。また、取り扱い作業性のためには、前記(c)成分を含有する液と、(a)成分および(b)成分を含有する液の二液に分けて調製することが好ましい。
【0032】
本発明で用いられる透明基体、本実施形態では、反射防止層付透明基体25の透明基体5、電磁波遮蔽層付透明基体27の透明基体7、近赤外線遮蔽透明基体8、および色調整透明基体10を構成する材質は、光線透過率が良好なものであれば特には限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボネート、フッ素樹脂などからなる樹脂フィルムを用いることが可能である。透明基体の物性としては、例えば近赤外線遮蔽機能や、色調整機能などの種々の光学機能を容易に付与することが可能で、機械的な応力や熱的応力で歪みが発生しないことが好ましく、上記に挙げた樹脂の中でも、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタアクリレートなどが特に好適である。
【0033】
透明保護部材20の、表示画面1に接合される側を内側とすると、透明保護部材20を構成する透明基体のうち、最も外側に設けられる透明基体5の外側面上には、低屈折率の物質からなる層と高屈折率の物質からなる層が交互に積層された反射防止層4が設けられており、これによって反射防止機能が付与されている。かかる反射防止層4を形成する方法としては、塗布液を塗布する方法、蒸着法、スパッタリング法など周知の方法を用いることができる。
【0034】
また、本実施形態では採用していないが、最も外側に設けられる透明基体5には、反射防止機能だけでなく、防眩機能等の光学機能を付与することが好ましく、さらに、耐擦傷性機能や防汚染機能を付与することがより好ましい。
防眩機能は、透明基体5の外側面上に、シリカ粒子やアクリル粒子などのビーズ形状物を含有する樹脂からなる防眩層を設けることによって付与することができる。かかる防眩層は塗布液を塗布する周知の方法によって形成することができる。
耐擦傷機能は、透明基体5の外側面上に、ハードコート層を設けることによって付与することができる。ハードコート層の材料としては、熱硬化型のSiO2系の材料、UV硬化型のフッ素系ポリマー材料などが硬度的に好ましいが、これらに限定されるものではない。界面反射を低減させるためには、透明基体の屈折率に近い屈折率を有する材料を選択することが好ましい。ハードコート層の厚さは0.001〜0.01mmが適当である。0.001mmより薄いと鉛筆硬度Hを満たし難く、0.01mmを超えるとクラックの発生が起こりやすい。
防汚機能は、透明基体5の外側面上に、UV硬化型のフッ素系樹脂などからなる層を設けることによって付与することができる。
透明基体5の外側面上に設ける最外層に、これらの機能を2種以上付与することもできる。
【0035】
電磁波遮蔽層付透明基体27は、透明基体7上に、例えば、薄膜透明な低抵抗値の金属メッシュまたはエッチングメッシュからなる電磁波遮蔽層6を積層一体化することにより形成できる。かかる電磁波遮蔽層6を設けることにより、例えばプラズマディスプレイにおける放電によるネオン原子の遷移過程に伴って放出される電磁波や近赤外線など、各種表示装置の発光作用に伴って放出される電磁波や近赤外線を遮蔽する機能を付与することができる。
【0036】
近赤外線遮蔽透明基体8は、透明基体中に、近赤外線を吸収する染料系の化合物を含有させて分散させることによって、近赤外線遮蔽性を付与したものである。
【0037】
色調整透明基体10は、透明基体に、赤・緑・青色の透過性をそれぞれ調整し得る色調整機能を付与したものである。かかる色調製機能は、補正しようとする色調の波長を選択的に吸収する色素を、塗料として透明基体の表面に塗布する方法や、該色素を透明基体中に含有させて分散させることで付与することができる。かかる色調整機能を付与することにより、発光と外光との関係において、光の拡散や散乱による光量損失を考慮して、視認される赤・緑・青色の各色を調製することができるので、表示画面1の視認性を向上させることができる。
【0038】
なお、これらの光学的機能付与のうち、近赤外線遮蔽機能や色調整機能は、透明基体のみでなく、透明弾性粘着層3、すなわちオルガノポリシロキサン架橋物からなる層にも付与することができる。具体的には、硬化前のオルガノポリシロキサン組成物に、付与しようとする機能を有する染料および/または色素を含有させることにより、これらの光学的機能を付与した透明弾性粘着層を形成することができる。
【0039】
また、本実施形態では採用していないが、透明保護部材20を構成する透明基体および/または透明弾性粘着層3に偏光機能、光学位相機能または光拡散機能等の光学機能を付与することもできる。
光学位相機能や偏光機能が付与された透明基体の例としては、偏光板、波長板、これらを積層した楕円偏光板、反射型偏光板、半透過型偏光板、反射型楕円偏光板、半透過型楕円偏光板などの透明基体が挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合系部分ケン化フィルムのような親水性高分子フィルムにヨウ素および/または二色性染料を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物や塩化ビニルの脱塩素処理物のようなポリエン配向フィルムなどが挙げられる。
一方、光拡散機能が付与された透明基体の例としては、平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウムなどの無機系微粒子、または、架橋または架橋系のポリマーなどからなる有機系微粒子を添加分散配合させた透明基体などが挙げられる。
透明基体や透明弾性粘着層に粒子等を練り込んで光学機能を付与する場合は、1つの層に複数の機能を付与することができる。
【0040】
本実施形態における透明基体5、7、近赤外線遮蔽透明基体8、および色調整透明基体10は、好ましくはフィルムシート形状で供給される。
一方、透明弾性粘着層3は、取り扱い作業性上、(c)成分からなる液と(a)および(b)成分からなる液との二液を別個に調製し、(d)成分を、(a)および(b)成分からなる液に、または前記二液を混合するのと同時に、触媒として添加し、前記二液を等量の配合比で混練撹拌した後に、室温あるいは加熱することで加硫硬化させる。硬化物を層状に成形するために、注型成形法や、ダイコーティング法などの成形法を用いることができる。気泡のない層を形成するために、脱泡処理やプレス成形を行うことが好ましい。
また、透明弾性粘着層3は粘着性が発現する組成配合であるために、透明弾性粘着層3が最外層となる場合には、最外層となる該透明弾性粘着層3上に離型性のある離形基材を積層した状態で保存することが好ましい。かかる離型基材としては、フッ素フィルム、ポリエチレンフィルム、ポロプロピレンフルム、ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルムなどが好ましい。
【0041】
図2は、本発明の第二の実施形態を模式的に示したものあり、透明保護部材30が表示画面1上に接合された接合体の断面図である。本実施形態において、前記第一の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の透明保護部材30は、その表面側、すなわち表示画面1の視認側から順に、反射防止層付透明基体25、透明弾性粘着層3、透明基体2、色調整透明弾性粘着層11、透明基体2、近赤外線遮蔽透明弾性粘着層9、および電磁波遮蔽層付透明基体27が積層一体化されており、電磁波遮蔽層付透明基体27がアクリル系粘着剤層12を介して表示画面1の被保護面1aに接合されている。
【0042】
本実施形態において、透明弾性粘着層3および透明基体2には光学機能が付与されていない。
色調整透明弾性粘着層11は、透明弾性粘着層に、赤・緑・青色の透過性をそれぞれ調整し得る色調整機能を付与したものである。かかる色調整機能は、硬化前のオルガノポリシロキサン組成物に、補正しようとする色調の波長を選択的に吸収する色素を含有させることによって付与することができる。
近赤外線遮蔽透明弾性粘着層9は、透明弾性粘着層中に、近赤外線を吸収する染料系の化合物を含有させて分散させることによって、近赤外線遮蔽が付与されている。
【0043】
本実施形態においては、透明弾性粘着層3、色調整透明弾性粘着層11、および近赤外線遮蔽透明弾性粘着層9の厚みの合計が1mm以上とされており、好ましくは2mm以上、5mm以下とされる。
透明弾性粘着層3、色調整透明弾性粘着層11、および近赤外線遮蔽透明弾性粘着層9のそれぞれの厚みは0.01mm以上、5mm以下であることが好ましく、より好ましい範囲は0.05mm〜2.00mmであり、さらに好ましい範囲は0.10〜1.00mmである。
【0044】
上記の各実施形態によれば、複数の透明基体が透明弾性粘着層を介して積層されており、該透明弾性粘着層の合計厚みが1mm以上とされているので、衝撃吸収緩和が充分に得られるものである。
しかも、該透明弾性粘着層は高い透明性と粘着性を兼ね備えたものであり、透明弾性粘着層の合計厚みを1mm以上としても、透明性に優れた透明保護部材を実現することができる。また、透明弾性粘着層を透明基体と直接粘着接合させることが可能であり、また表示画面に透明弾性粘着層を介して直接接合することもできる。
また、透明弾性粘着層を構成するオルガノポリシロキサンは、硬化前の組成物の状態で流動性などの操作性が良好であるので、コーティング法を用いて連続的に成形することが可能であり、また注型成形も可能であるので、透明保護部材の生産性が良好となる。
さらに、透明基体だけでなく、透明弾性粘着層にも種々の光学機能を設けることができるので、透明保護部材の構成の自由度が大きい。
また、透明弾性粘着層を構成するオルガノポリシロキサン架橋物は耐熱性に優れているので、経時的な劣化が極めて少ない透明保護部材を得ることができる。
【0045】
特に、上記第一の実施形態のように、表示画面1に接合される層が透明弾性粘着層3である構成とすれば、衝撃吸収緩和機能を担う層が接合のための粘着層を兼ねるので、薄型化、経済性の点で有利である。
一方、上記第二の実施形態のように、透明基材7が粘着剤層12を介して表示画面1に接合される構成とすれば、被保護面に接合される側の最外層が粘着剤層12からなるので、該最外層が透明弾性粘着層3である場合に比べて、保存のために該最外層上に設ける離型基材を安価なものとすることができ、製造上経済的に有利である。
【0046】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変形が可能である。例えば、光学機能が付与された透明基体や透明粘着層の積層位置や層数、付与する光学機能の組合せ等を変更することによって他種の透明保護部材を構成することができる。実際には、加工の容易性や加工の安定性などを考慮して透明保護部材の構成を決めるのが好ましい。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
図3に示す構成の透明保護部材40を製造した。本実施例の透明保護部材40は、表面側から順に、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、透明基体2、および離型基材15が、それぞれ透明弾性粘着層3、3、3を介して積層されており、表面側の最外層は反射防止層4からなっている。本実施例において、前記第一および第二の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
離型基材15は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一面に離型剤がコーテイングされて離型面とされたものが用いられている。
【0048】
(1)透明弾性粘着層3となる液状オルガノポリシロキサンの準備
分子鎖の両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖された粘度5000cpのジメチルポリシロキサン60部と、SiO4/2単位50モル%、(CH3)3SiO1/2単位42.5モル%、CH2=CH(CH3)2SiO1/2単位7.5モル%からなるレジン構造のビニルメチルポリシロキサン40部と、トリメチルシロキシ基で封止されたメチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体5.3部(ケイ素原子に結合した水素原子の量は、前記ビニル基の合計量あたり0.3倍モル)、および塩化白金酸のドデシルアルコール変性溶液(白金金属1質量部)0.05部(白金金属換算で5ppm)を混合して、液状オルガノポリシロキサンを調製した。
【0049】
(2)透明基体の準備
反射防止層付透明基体25として、フッ素系反射防止層4が積層されたアクリルフィルム(アクリルフィルムの厚み100μm)を1000mm幅の大きさで用意した。
電磁波遮蔽層付透明基体27として、金属酸化膜および銀系透明導電膜を、蒸着またはスパッタリングにて交互に繰り返し成膜してなる電磁波遮蔽層6が積層されたポリエチレンテレフタレートフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚み188μm)を1000mm幅の大きさで用意した。
透明基体2として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み125μm)を1000mm幅の大きさで用意した。
【0050】
(3)離型フィルムの準備
離型基材15として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一面に、シリコーン離型剤(信越化学工業社製、商品名:X−70−201)を厚さ1μmとなるようにコーティングしてなる離型フィルムを1000mm幅の大きさで準備した。
【0051】
(4)透明保護部材の製作
第一工程:反射防止層付透明基体25の透明基体5上に、コーティング装置を用いて、上記(1)で調製した液状オルガノポリシロキサンを200μmの厚みで塗布した後、ラミネート装置を用いて、電磁波遮蔽層付透明基体27を、電磁波遮蔽層6が前記液状オルガノポリシロキサンの未加硫層と密着するように積層した状態で、40℃の熱風槽で連続加硫して硬化させ、1000mm長さで切り出し、縦×横が1000mm×1000mmの第一の積層枚葉構造物を形成した。
【0052】
第二工程:透明基体2上に、コーティング装置を用いて、上記(1)で調製した準備した液状オルガノポリシロキサンを200μmの厚みで塗布した後、ラミネート装置を用いて、離型基材15を、前記液状オルガノポリシロキサンの未加硫層と密着するように積層した状態で、40℃の熱風槽で連続加硫して硬化させ、1000mm長さで切り出し、縦×横が1000mm×1000mmの第二の積層枚葉構造物を形成した。
【0053】
第三工程:次いで、縦×横が1000mm×1000mmの成形型を備えた熱プレス成形装置を用い、前記第一工程で作製した第一の積層枚葉構造物と、第二工程で作製した第二の積層枚葉構造物とを、それぞれの透明基体7、2が、所定厚みの空間を介して対向するように成形型内に配置した。そして、これらの間に上記(1)で調製した準備した液状オルガノポリシロキサンを600μmの厚みで注型した後、40℃の加熱プレスを行って縦×横が1000mm×1000mmの透明保護部材40を得た。
【0054】
得られた透明保護部材40における、透明弾性粘着層3、3、3の合計の厚みは、1000μm、すなわち1mmであった。
この透明保護部材40を使用する際は、離型基材15を剥離して透明弾性粘着層3を剥き出しにし、真空プレス装置等を用いて、該透明弾性粘着層3を表示画面上に密着させることによって、表示画面上に接合することができる。表示画面の視認側の最外層は反射防止層4となる。
【0055】
このようにして得られた透明保護部材40の光線透過率は85%であった。また、この透明保護部材40の離型基材15を剥離して、縦×横が1000mm×1000mmの厚さ5mmの強化ガラス上に、真空プレス装置を用いて貼り合せた。強化ガラス上に透明保護部材40を接合した接合体において光学的な歪みは無かった。また、該接合体に対して、1kgの鋼球を1mの高さから落下させたがガラスの割れ破損はなかった。
【0056】
(実施例2)
図4に示す構成の透明保護部材50を製造した。本実施例の透明保護部材50は、表面側から順に、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、および透明基体2が、それぞれ透明弾性粘着層3、3を介して積層されており、さらに、透明基体2上に色調整透明弾性粘着層11を介して粘着シート14が積層されている。表面側の最外層は反射防止層4からなっている。本実施例において、前記第一および第二の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
粘着シート14は、ポリエチレンテレフタレート2上にアクリル系粘着剤からなる粘着剤層12が設けられ、さらにその上にポリエチレンフィルム13が積層されている。
【0057】
(1)透明弾性粘着層となる液状オルガノポリシロキサンの準備
実施例1と同様の組成で、液状オルガノポリシロキサンを調製した。
また、この液状オルガノポリシロキサンに赤色色素(三井化学株式会社製、商品名:PD−319)を1200ppmの濃度となるように添加分散配合して、赤色液状オルガノポリシロキサンを調製した。
【0058】
(2)透明基体の準備
実施例1と同様の、反射防止層付透明基体25、電磁波遮蔽層付透明基体27、および透明基体2を用意した。
(3)粘着シートの準備
アクリル系粘着剤(綜研化学社製、商品名:SKダイン)からなる粘着剤層(厚み25μm)12が設けられたポリエチレンテレフタレート(厚み125μm)2のシートを用い、粘着層12上にポリエチレンフィルム(厚み100μm)13を積層したものを粘着シート14として使用した。この粘着シート14は1000mm幅の大きさとした。
【0059】
(4)透明保護部材の製作
第一工程:実施例1と同様にして、反射防止層付透明基体25の透明基体5と、電磁波遮蔽層付透明基体27の電磁波遮蔽層6との間に、透明弾性粘着層3が介在して積層一体化された、縦×横が1000mm×1000mmの第一の積層枚葉構造物を形成した。
【0060】
第二工程:透明基体2上に、コーティング装置を用いて、上記(1)で調製した準備した赤色液状オルガノポリシロキサンを200μmの厚みで塗布した後、ラミネート装置を用いて、粘着シート14を、該粘着シート14を構成している透明基材2が前記赤色液状オルガノポリシロキサンの未加硫層と密着するように積層した状態で、40℃の熱風槽で連続加硫して硬化させ、1000mm長さで切り出して、縦×横が1000mm×1000mmの第二の積層枚葉構造物を形成した。
【0061】
第三工程:次いで、前記実施例1と同様に熱プレス成形装置を用い、上記で作製した第一の積層枚葉構造物の透明基体7と、第二の積層枚葉構造物の透明基体2との間に、実施例1と同様の組成の液状オルガノポリシロキサンを1600μmの厚みで注型し、40℃の加熱プレスを行って縦×横が1000mm×1000mmの透明保護部材50を得た。
【0062】
得られた透明保護部材50における、透明弾性粘着層3、3および色調整透明弾性粘着層11の合計の厚みは2000μm、すなわち2mmであった。
透明保護部材50を使用する際には、粘着シート14のポリエチレンフィルム13を剥離して粘着剤層12を剥き出しにし、必要に応じて真空プレス装置等を用い、該粘着剤層12を表示画面上に密着させることによって、表示画面上に接合することができる。真空プレスを行うことにより、透明保護部材50の積層界面に残存する気泡を脱気することができる。
【0063】
このようにして得られた透明保護部材50の光線透過率は82%であった。また、この透明保護部材50の粘着剤層12を、縦×横が1000mm×1000mmの厚さ5mmの強化ガラス上に貼り合せた。強化ガラス上に透明保護部材50を接合した接合体において光学的な歪みは無かった。また、該接合体に対して、1kgの鋼球を1mの高さから落下させたがガラスの割れ破損はなかった。
【0064】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、透明性を低下させずに充分な衝撃吸収緩和効果を得ることができ、生産性も良好な、表示画面の透明保護部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施例1で作製した透明保護部材を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に係る実施例2で作製した透明保護部材を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…表示画面
2、5、7…透明基体
3…透明弾性粘着層
4…反射防止層
6…電磁波遮蔽層
8…近赤外線遮蔽透明基体
9…近赤外線遮蔽透明弾性粘着層
10…色調整透明基体
11…色調整透明弾性粘着層
12…アクリル系粘着剤層
25…反射防止層付透明基体
27…電磁波遮蔽層付透明基体
20、30、40、50…透明保護部材
Claims (7)
- 複数の透明基体と、オルガノポリシロキサン架橋物からなる複数の透明弾性粘着層とが交互に積層一体化されており、前記透明弾性粘着層の合計厚みが1〜5mmであることを特徴とする透明保護部材。
- 前記オルガノポリシロキサン架橋物が、(a)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を2個以上含有するジオルガノポリシロキサンと、(b)一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を1個以上含有するSiO4/2単位および(R)3SiO1/2単位からなるレジン構造のオルガノポリシロキサン(Rは一価の炭化水素基あるいはアルケニル基を表す)と、(c)一分子中にケイ素原子に結合する水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含有する組成物を硬化させて得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の透明保護部材。
- 前記透明弾性粘着層の一層の厚みが0.01mm以上であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の透明保護部材。
- 前記透明保護部材を構成する透明基体のうち、最も外側に設けられた透明基体に、反射防止機能、防眩機能、耐擦傷性機能、および防汚機能から選ばれる少なくとも1つの機能が付与されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の透明保護部材。
- 前記透明保護部材を構成している透明基体および透明弾性粘着層のうち、1以上の透明基体および/または1以上の透明弾性粘着層に、電磁波遮蔽機能、近赤外線遮蔽機能、色調整機能、防眩機能、偏光機能、光学位相機能および光拡散機能から選ばれる少なくとも1つの機能が付与されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の透明保護部材。
- 被保護面に接合される層が、前記透明弾性粘着層からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の透明保護部材。
- 被保護面に接合される層として、前記透明基体上に粘着剤層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の透明保護部材。
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