JP2004114363A - インクジェット画像形成装置 - Google Patents
インクジェット画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004114363A JP2004114363A JP2002277946A JP2002277946A JP2004114363A JP 2004114363 A JP2004114363 A JP 2004114363A JP 2002277946 A JP2002277946 A JP 2002277946A JP 2002277946 A JP2002277946 A JP 2002277946A JP 2004114363 A JP2004114363 A JP 2004114363A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink
- cartridge holder
- cartridge
- carriage
- unit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
Abstract
【課題】簡易な構成で、印刷精度の劣化を招くことなく、確実かつ容易にインクカートリッジを適正な時期に交換することが可能なインクジェット画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタ1の筐体におけるインクキャリッジ17の移動範囲の端部近傍に配置される開閉部10を配置して、インクカートリッジ17上のカートリッジホルダ9のみをインクキャリッジ17から独立して、用紙に対して適正な印刷を行う際の印刷位置、および前記インクキャリッジ17が前記移動範囲の端部に位置する状態でインクカートリッジ8の少なくとも一部が開閉部10を介してプリンタ1の筐体の外部に露出する露出位置の間で移動できるようにして、インクカートリッジ8のインク残量がニアエンプティになるとカートリッジホルダ9を露出位置に移動させる。
【選択図】図1
【解決手段】プリンタ1の筐体におけるインクキャリッジ17の移動範囲の端部近傍に配置される開閉部10を配置して、インクカートリッジ17上のカートリッジホルダ9のみをインクキャリッジ17から独立して、用紙に対して適正な印刷を行う際の印刷位置、および前記インクキャリッジ17が前記移動範囲の端部に位置する状態でインクカートリッジ8の少なくとも一部が開閉部10を介してプリンタ1の筐体の外部に露出する露出位置の間で移動できるようにして、インクカートリッジ8のインク残量がニアエンプティになるとカートリッジホルダ9を露出位置に移動させる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクジェット方式の画像形成装置に関し、特に、インクを収容するインクカートリッジの交換を確実かつ容易に行うことを可能にするインクジェット画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式の画像形成装置では、印刷によってインクが消耗した場合に、通常、インクを収容するインクカートリッジを交換することでインクの補充が行われる。このインクの補充が適正なタイミングで行われない場合は、インクカートリッジ内のインクが空になった状態で印刷が行われることになり、印刷ヘッド内にエアが混入して、その後の印刷に支障を来すことがある。
【0003】
このため、従来より、インクタンク内のインクが完全に空になる前に、あらかじめインクの残量がわずかであることを示すインクニアエンプティの警告灯を点灯させたり、表示画面上にその旨の表示を行う等により、インクカートリッジ内のインクが完全に空になる前に、ユーザに対してインクカートリッジの交換を促していた。
【0004】
ところが、上述のようにインクニアエンプティの警告灯によってユーザにインクカートリッジの交換を促す場合、ユーザがインクニアエンプティの警告灯に気付かない虞がある。また、画面上にインクカートリッジ内のインクの残量がわずかである旨の表示をする場合、ユーザがこの表示を認識しているにもかかわらず、印刷作業を迅速に遂行することを優先して、インクカートリッジの交換を後回しにする等の不都合がある。このため、結果的には、あらかじめインクカートリッジ内のインク残量がわずかである旨の表示をすることが、インクカートリッジのインクが空の状態で印刷されることを防止することに寄与しないことが多いという不都合があった。
【0005】
そこで、従来のインクジェット方式の画像形成装置の中には、インクカートリッジ内のインクの量が所定の量未満になったときに、インクキャリッジが自らを支持するシャフトを引き延ばしつつ、装置の筐体の一部に形成された開閉部から装置の外部にせり出して、ユーザにインクカートリッジの交換を促すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−36597号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット方式の画像形成装置では、キャリッジごと装置の外部にせり出す構造上、印刷精度に大きく関わる前記シャフトを伸張または収縮させる必要があることから、前記シャフト位置精度が適正に保たれない場合には、印刷精度が低下するという不都合があり、また、前記シャフトの位置精度を保つために、キャリッジやそれを支持する前記シャフトの構造が複雑化する虞があった。
【0007】
この発明の目的は、簡易な構成で、印刷精度の劣化を招くことなく、確実かつ容易にインクカートリッジを適正な時期に交換することが可能なインクジェット画像形成装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は以下の構成を備えている。
【0009】
(1)インクカートリッジを交換可能な状態で装着するカートリッジホルダを搭載したインクキャリッジと、前記インクキャリッジを印刷される用紙の搬送方向に直交する方向に往復移動させる駆動手段と、装置本体の動作を制御する制御手段と、を装置筐体内に備えたインクジェット画像形成装置において、
前記装置筐体における前記インクキャリッジの移動範囲の端部近傍に配置される開閉部と、
前記インクカートリッジ内のインク残量を検出する検出手段と、
前記カートリッジホルダを、前記用紙に対して適正な印刷を行う際の印刷位置、および前記インクキャリッジが前記移動範囲の端部に位置する状態で前記インクカートリッジの少なくとも一部が前記開閉部を介して前記装置筐体の外部に露出する露出位置の間で移動させる移動手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検出手段に前記インク残量が所定量以下になったことが検出された場合に、前記駆動手段によって前記インクキャリッジを前記開閉部の近傍に移動させるとともに、前記移動手段によって前記カートリッジホルダを前記露出位置に移動させることを特徴とする。
【0010】
この構成においては、インクカートリッジ内のインク残量がわずかになると、制御部によって前記インクカートリッジを装着しているカートリッジホルダが自動的に前記開閉部を介して前記露出位置に移動する。
【0011】
したがって、インクカートリッジ内のインクが残り少なくなっていることが、容易にユーザに把握されるとともに、インク残量が少ない状態で継続して印刷がされることが防止されることから、適正な時期に確実にインクカートリッジの交換がされるため、インクカートリッジ内のインクが空の状態で印刷がされることによって印刷ヘッド内にエアが侵入する等の不具合が確実に防止される。
【0012】
また、画像形成装置の上部にスキャナや自動原稿送り装置等が搭載された複写機モデルの場合においても、スキャナまたは自動原稿送り装置等によってインクカートリッジの交換が妨げられることがなく、スキャナまたは自動原稿送り装置等を可動させる機構やこれらの落下防止等の機構を特段に設けることが不要になる。
【0013】
さらに、インクカートリッジを筐体の外部に移動させるために、インクキャリッジを支持するガイド軸の伸縮機構等が不要であり、装置の構成が簡易化される。
【0014】
(2)前記移動手段は、前記印刷位置にある前記カートリッジホルダを前記インクキャリッジの一部に設けられた揺動支持部を中心に揺動させて前記露出位置に移動させることを特徴とする。
【0015】
この構成においては、カートリッジホルダが、インクキャリッジ上の揺動支持部を中心に揺動しつつ前記印刷位置から前記露出位置に移動する。したがって、カートリッジホルダを前記印刷位置から前記露出位置に移動させることが簡易な機構によって実現される。
【0016】
(3)前記移動手段は、前記印刷位置にある前記カートリッジホルダを前記インクキャリッジ上においてスライドさせて前記露出位置に移動させることを特徴とする。
【0017】
この構成においては、カートリッジホルダが、インクキャリッジに沿ってスライドしつつ前記印刷位置から前記露出位置に移動する。したがって、カートリッジホルダを前記印刷位置から前記露出位置に移動させることが簡易な機構によって実現されるとともに、前記露出位置に位置するカートリッジホルダを前記印刷位置に復帰させることが容易になる。
【0018】
(4)前記移動手段は、前記印刷位置にある前記カートリッジホルダを、用紙搬送方向または主走査方向に、前記揺動または前記スライドさせて前記露出位置に移動させることを特徴とする。
【0019】
この構成においては、カートリッジホルダが、前記印刷位置から2つの露出位置のうちの任意の露出位置にする。したがって、画像形成装置の配置位置等によって最適な露出位置にカートリッジホルダが移動することで、インクカートリッジの交換の便宜が図られる。
【0020】
(5)前記開閉部は、外部に開いた状態で、前記カートリッジホルダを支持することを特徴とする。
【0021】
この構成においては、カートリッジホルダが前記露出位置にある状態で、前記開閉部が前記カートリッジホルダを支持している。したがって、露出位置にあるカートリッジホルダを支持する部材を別個に設ける必要がなくなり、装置の構成が簡易化する。
【0022】
(6)前記開閉部は、前記装置筐体の内側から外側に向かって下向きに開くことを特徴とする。
【0023】
この構成においては、例えば、前記開閉部がカートリッジホルダから押圧されつつ、前記装置筐体の内側から外側に向かって下向きに開き、前記露出位置にある前記カートリッジホルダが前記開閉部によって支持される。したがって、前記カートリッジホルダの前記印刷位置から前記露出位置への移動の過程において前記開閉部が開くため、前記開閉部を駆動するための機構や前記露出位置において前記カートリッジホルダを支持するための部材が不要になる。
【0024】
(7)前記インクカートリッジ、前記カートリッジホルダ、および前記移動手段は、色毎にそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0025】
この構成においては、前記インクカートリッジ、前記カートリッジホルダ、および前記移動手段が、色毎に別個独立して設けられている。したがって、インク残量がわずかなインクカートリッジのみが前記開閉部を介して、前記筐体の外部にせり出すため、各色のインクカートリッジのうちで交換すべきインクカートリッジが容易に把握される。
【0026】
(8)前記インクキャリッジにインクを吐出する印刷ヘッド部が設けられている場合に、前記インクカートリッジと前記印刷ヘッド部とを連通する弾性チューブを備えたことを特徴とする。
【0027】
この構成においては、カートリッジホルダが前記露出位置に移動している際にも、印刷ヘッド部とインクカートリッジとのタンクの間が前記弾性チューブによって密封される。
【0028】
したがって、印刷ヘッド部に空気が侵入することが確実に防止されるとともに、インク漏れが生じたりインクが乾燥することが防止される。
【0029】
(9)前記インクキャリッジにインクを吐出する印刷ヘッド部が設けられている場合に、前記印刷ヘッド部と前記インクカートリッジとの間のインク流路を接離自在なメッシュ部材を備えたことを特徴とする。
【0030】
この構成においては、カートリッジホルダが前記露出位置に移動している際にも、印刷ヘッド部におけるインク流路とインクカートリッジにおけるインク流路とがそれぞれメッシュ部材によって覆われている。
【0031】
したがって、カートリッジホルダが前記露出位置に位置する状態でも、印刷ヘッド部に空気が侵入することやインク漏れが生じることが確実に防止される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明のインクジェット画像形成装置の実施形態である複合型インクジェットプリンタを説明する。
【0033】
図1は、複合型インクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという。)1の構成を示す斜視図である。プリンタ1は、インクジェット方式で用紙に印刷処理を行うプリンタ本体2と、原稿の画像を読み取るスキャナ3とを備えている。なお、以下の説明では、プリンタ本体2における面Fをプリンタ1の正面とする。
【0034】
プリンタ本体2は、用紙に対してインクを吐出して印刷を行う印刷部5と、印刷される用紙を収容するとともに所定のタイミングで印刷部5に対して、順次、用紙を供給する用紙収容部4と、を備えている。プリンタ本体2において、用紙収納部4から印刷部5を経由して排紙口6までの間に、図中のU字型の矢印で示す用紙搬送路15が形成されており、排紙口6の近傍には排紙される用紙が載置される排紙トレイ7が設けられている。また、プリンタ1の筐体の一部には、インクカートリッジがプリンタ1の外部に移動する際に用いる後述の開閉部10が形成されており、開閉部10の近傍には、支持部60が形成されている。。
まず、プリンタ1のうち、プリンタ本体2を説明する。図2は、プリンタ本体2の正面断面図である。同図に示すように、用紙収容部4は、印刷される用紙12を収容する給紙カセット11、給紙カセット11に積載されている用紙12のうちの最上位の用紙12を用紙搬送路15に導くピックアップローラ13および給紙ローラ14を備えている。
【0035】
給紙ローラ14から用紙搬送路15に沿って下流側に向かうと、印刷部5の直前に用紙12の斜行調整および用紙を印刷部に案内するタイミングの調整を行うPSローラ16が設けられている。
【0036】
印刷部5において、用紙搬送路15を挟んで両側に、用紙12に対して印刷を行う印刷ヘッドを搭載するキャリッジ17と、印刷ヘッドにより印刷される用紙12を支持するプラテン24が設けられている。印刷処理は用紙搬送方向に直交する方向、すなわち図中で紙面に直交する方向にキャリッジ17が移動することにより行われるが、キャリッジ17の移動に用いられる案内シャフト18がキャリッジ17の移動方向に沿って配置されている。
【0037】
用紙搬送路15におけるプラテン24およびキャリッジ17の下流側には、用紙をプリンタ本体2の外部に形成された排紙トレイ7上に排出するためのスターローラ25および排紙ローラ26が配置されている。
【0038】
次に、プリンタ1におけるスキャナ3を説明する。図3は、プリンタ1の左側面断面図である。同図に示すように、スキャナ3は、光学ユニット31、原稿カバー32、およびプラテンガラス33を備えており、プラテンガラス33上に載置された原稿画像を、光学ユニット31が矢印34で示す方向に移動しつつ順次読み取る。
【0039】
光学ユニット31は、原稿に光を照射する光源35と、光電変換素子であるCCDユニット40と、原稿からの反射光をCCDユニット40の方に導く第1ミラー36、第2ミラー37、および第3ミラー38と、原稿からの反射光をCCDユニット40上に結像させる結像レンズ39と、を備えている。なお、光学ユニット31は、プリンタ本体2におけるキャリッジ17と同様に、図示しない案内シャフトによって矢印34で示す副走査方向に移動自在に支持されている。
【0040】
なお、プリンタ本体2のキャリッジ17およびスキャナ3の光学ユニット31は共に、駆動側プーリおよび従動側プーリに張架されたタイミングベルトによって往復移動する。例えば、キャリッジ17は、プーリ20、21に張架されたタイミングベルト22の回転運動に伴って動作している。
【0041】
上述のプリンタ1の構成において、用紙収納部4内の給紙カセット11上に積層して収納されている用紙12は、ピックアップローラ13によって1枚ずつ取出され、一対の給紙ローラ14およびU字状の用紙搬送路15を介して印刷部5へ搬送される。そして、用紙搬送路15における印刷部5の上流側に配置されたPSローラ16により、用紙12の斜行調整がされ、所定のタイミングで印刷部5とプラテン24との間に印刷位置に搬送され、キャリッジ17に搭載された印刷ヘッド17aによって印刷処理が行われる。
【0042】
ここで、キャリッジ17の動作を説明すると、キャリッジ17は、プリンタ本体2の前面側から背面側、すなわち用紙搬送方向に直交する方向(以下、主走査方向という。)に配置される一対の案内シャフト18によって主走査方向19に移動自在に支持されており、キャリッジ17には一対のプーリ20およびプーリ21に張架されたタイミングベルト22の一部が固着されている。このため、キャリッジ17を主走査方向で移動させる際には、プーリ20がモータ23によって駆動される。
【0043】
印刷位置において印刷処理された用紙12は、用紙搬送路15における印刷位置の下流側に配置されたスターローラ25および排紙ローラ26によって挟持されて排紙トレイ7上に排出される。
【0044】
図4は、プリンタ1の一部を示す上面断面図であり、プリンタ1に適用されるインクキャリッジ17の構成を示す図である。図4(a)は、開閉部10が閉じている状態を示しており、カートリッジホルダ9が、用紙に対して適正な印刷を行う際の印刷位置(以下、印刷位置という。)にある状態を示している。一方、図4(b)は、開閉部10が開いている状態を示しており、インクカートリッジ8の少なくとも一部が開閉部10を介してプリンタ1の筐体の外部に露出する露出位置(以下、露出位置という。)にある状態を示している。
【0045】
図4に示すように、インクキャリッジ17は、タイミングベルト22に接続するためのベルト保持部40を備えている。また、インクキャリッジ17は、カラーインクが収容されたインクカートリッジ8a、および黒インクが収容されたインクカートリッジ8bを着脱自在に装着するカートリッジホルダ9を備えている。
【0046】
カートリッジホルダ9は、回転軸部41を中心にインクキャリッジ17に対して回転自在に装着される。このとき、カートリッジホルダ9は、通常、回転軸部41に設けられたスプリングによって時計回りに付勢されている。また、インクキャリッジ17には、カートリッジホルダ9をインクキャリッジ17に係止するためのフック42が設けられている。
【0047】
フック42は、インクキャリッジ17上に設けられた回転軸を中心に回転自在に設けられている。また、フック42は、バネ44に結合されておりこのバネの張力によってカートリッジホルダ9とインクキャリッジ17との係合の強さが決定される。なお、カートリッジホルダ9とインクキャリッジ17との係合は、図示しない係合解除機構によって任意に解除することができ、カートリッジホルダ9とインクキャリッジ17との係合が解除されると、図4(b)に示すように回転軸部41に設けられたスプリングによってカートリッジホルダ9が印刷位置から露出位置へと回転移動する。
【0048】
図5は、プリンタ1の要部を示すブロック図である。同図に示すように、プリンタ1は、上述の構成要素に加えて、制御部50、インク検出部54、ドライバ55、および開閉検出部56を備えている。
【0049】
制御部50は、CPU51、ROM52、およびRAM53から構成されている。ROM52は、プリンタ1の動作に必要なファームウェアを格納している。RAM53は、書込可能な不揮発性のメモリである。CPU51は、プリンタ1の動作を統括して制御する。
【0050】
インク検出部54は、インクカートリッジ8からのインクの吐出回数に基づいてインクカートリッジ8のインク残量を検出しており、インク残量が所定量を下回ったことを検出したときは、制御部50に対して所定の検出信号を出力する。なお、インク検出部54によるインク残量の検出手法は上述のものに限定されることはなく、本発明は、インク残量の検出手法のいかんにかかわらず適正に実施することができる。ドライバ55は、制御部50からの指令に基づいて、プーリ20を駆動する。開閉検出部56は、プリンタ1の筐体に形成された開閉部10が開いた状態であるか、または閉じた状態であるかを検出する。本実施形態では、開閉検出部56として開閉部10が開閉動作に伴ってON/OFFが切り替わるスイッチを用いている。なお、同図の係合解除機構57は、カートリッジホルダ9とインクキャリッジ17との係合を解除するものであり、例えば、図4中のフック42に半時計回りに外力を作用させる。
【0051】
ここで、プリンタ1のインクキャリッジ17の動作手順を、具体的に説明する。図示しないコンピュータ等からの印刷要求を受けると、制御部50は印刷要求に基づいて、ドライバ55にプーリ20を駆動させる。インクキャリッジ17は印刷ヘッド17aからインクを吐出しつつ印刷処理時の走査範囲内で往復移動する。この印刷処理時において、インク検出部54は、常にインクカートリッジ8内のインク残量を監視している。
【0052】
インク検出部54は、インクカートリッジ8内のインク残量が所定量を下回ったことを検出すると、検知信号を制御部50に向かって出力する。この検知信号を受けた制御部50は、ドライバ55を制御してインクキャリッジ17をメンテナンス処理が実行されるメンテナンス位置まで移動させる。インクキャリッジ17がメンテナンス位置まで移動すると、メンテナンス部により印刷ヘッド17aに対してノズルクリーニング等のメンテナンス処理が行われる。
【0053】
制御部50は、上述のメンテナンス処理が完了するとインクキャリッジ17をメンテナンス位置から、インクキャリッジ17の移動範囲の端部まで移動させる。制御部50は、インクキャリッジ17を前記移動範囲の端部まで移動させた後に、係合解除機構57にカートリッジホルダ9とフック42との係合を解除させる。
【0054】
カートリッジホルダ9は、フック42との係合が解除されると、回転軸41を中心に時計回りに回転して開閉部10の内壁を押圧し、最終的に開閉部10押し開いて、露出位置へと移動する。
【0055】
そして、カートリッジホルダ9が露出位置にある状態で、インクカートリッジ8の交換が完了すると、ユーザは、カートリッジホルダ9を軽く押圧することで容易にカートリッジホルダ9を印刷位置に復帰させることができる。
【0056】
カートリッジホルダ9は、印刷位置に復帰すると、インクキャリッジ17上で再度フック42に係止される。一方、開閉部10は、図示しないバネによってキャビネットの内側に付勢されているため、カートリッジホルダ9がインクキャリッジ17上に復帰するのに伴って自動的に閉じられる。
【0057】
開閉部10が閉じたことを開閉検出部56が検出すると、制御部50は、インクキャリッジ17を再びメンテナンス位置まで移動させ、メンテナンス部に初期メンテナンス処理を行わせた後、次の印刷処理に備えてインクキャリッジ11の基準位置合わせを行う。
【0058】
上述のように、プリンタ1においてインクカートリッジ8がインクニアエンプティになると、開閉部10を介してカートリッジホルダ9がプリンタ1のキャビネットの外部に現れることから、ユーザにインクカートリッジ8がインクニアエンプティであることを視認させることができる。このため、極めて容易にインクカートリッジ8の交換時期が来たことをユーザに認識させることができる。
【0059】
さらに、カートリッジホルダ9が露出位置にある状態では継続して印刷を行うことができないため、インクニアエンプティで継続して印刷が行われることにより、結果的にインクが空の状態で印刷が行われ、印刷ヘッド17aに空気が混入することを確実に防止することができる。
【0060】
また、ユーザは、古いインクカートリッジ8を新しいものに交換する必要があるが、このとき、インクカートリッジ8を取り付けるべきカートリッジホルダ9がキャビネットの外側に位置しているため、容易に古いインクカートリッジ8をカートリッジホルダ9から取り除き、新しいインクカートリッジ8を取り付けることができる。
【0061】
そして、開閉部10を介してカートリッジホルダ9を外部に出してインクカートリッジ8を交換できることから、図10に示す従来のプリンタ100のように、スキャナ103を上方に回動させてインクカートリッジ8を交換するための空間を開放することを不要にすることができる。この場合、スキャナ103の回転支点を設けたり、開放時におけるスキャナ3が急に閉まらないようにするダンパー装置等が不要になるため、装置の低コスト化を図ることができる。
【0062】
特に、本発明のプリンタ1は、インクキャリッジ17ごとプリンタ1の外部にせり出させる必要がなく、例えば、案内シャフト18に伸縮機構を設ける必要がないため、案内シャフト18の構成を変更させる必要等がなくなり、プリンタ1の構成を簡潔化することが可能になる。
【0063】
次に第2の実施形態におけるプリンタ1を説明する。第2の実施形態におけるプリンタ1の基本構成は第1の実施形態におけるプリンタ1と同様である。ただし、第2の実施形態におけるプリンタ1は、開閉部10が支持部材60の機能を有しており、プリンタ1の筐体に支持部材60が設けられていない点が第1の実施形態と相違している。
【0064】
図6は、第2の実施形態におけるプリンタ1の開閉部10近傍の構成を示している。同図が示すように、開閉部10はプリンタ1の筐体の内側から外側に向かって下向きに開く構造になっており、開閉部10が外部に開いた状態で、カートリッジホルダ9を支持するように構成されている。
【0065】
このため、露出位置にあるカートリッジホルダ9を開閉部10によって適正に支持することが可能になるため、露出位置にあるカートリッジホルダ9を支持するための部材を別途に設ける必要がなくなり、プリンタ1の構成を簡易化することが可能である
さらに、カートリッジホルダ9を印刷位置から露出位置に移動される際において、インク漏れの発生およびインク流路への空気の侵入を防止するために、印刷ヘッド17aとインクカートリッジ8とを連通する可撓性を有する弾性チューブ61を設けたり、印刷ヘッド17aとインクカートリッジ8との間のインク流路を接離自在なメッシュ部材62を設けると、さらに好適に本発明の効果を奏することができる。
【0066】
図7(a)は、弾性チューブ61を設けた構成を示しており、図7(b)は、メッシュ部材62を設けた構成を示している。図7(a)のように、弾性チューブ61を設けることにより、カートリッジホルダ9が露出位置にある状態で、インク漏れ、インク流路への空気の侵入、およびインクの乾燥を確実に防止することが可能である。
【0067】
また、図7(b)のように、メッシュ部材62を設けることにより、カートリッジホルダ9が露出位置にある状態で、インク漏れおよびインク流路への空気の侵入を確実に防止することが可能である。
【0068】
具体的には、カートリッジホルダ9が露出位置にある場合、すなわちメッシュ部材62内にインクがあり、このメッシュ部材62が大気に触れている状態では、メッシュの毛管力でメッシュ内部にインクを保持した状態を保ち、外部にインクが漏れたり、外部から空気が侵入することが防止される。
【0069】
これに対して、カートリッジホルダ9が印刷状態であり、メッシュ部材62の両側にインクが存在している場合には、メッシュ部材62は、単にインクの流れに対する抵抗としてのみ機能することから、インクはメッシュ内を自由に通過することができ、メッシュ部材62が特段インクの流れを妨げることはない。
【0070】
次に、第3の実施形態におけるプリンタ1を説明する。第3の実施形態におけるプリンタ1の基本構成は第1の実施形態および第2の実施形態におけるプリンタ1と同様である。ただし、第3の実施形態におけるプリンタ1では、カートリッジホルダ9がインクキャリッジ17上をスライドすることによって印刷位置から露出位置まで移動する点が、第1の実施形態および第2の実施形態と相違している。
【0071】
図8は、第3の実施形態におけるプリンタ1の開閉部近傍の上面図である。同図が示すように、ここでは、インクキャリッジ17が移動範囲の端部に位置している状態でカートリッジホルダ9がインクキャリッジ17に沿ってスライドしながら開閉部10を押し開き露出位置に移動する。なお、このとき、インクキャリッジ17には、カートリッジホルダ9の位置を決定するための位置決めピン43が設けられており、カートリッジホルダ9が適正な位置に保持される。
【0072】
この実施形態においても、図9に示すように、開閉部10がプリンタ1の筐体の内側から外側に向かって下向きに開くようにして、開閉部10が外部に開いた状態で、露出位置にあるカートリッジホルダ9を支持するように構成することでプリンタ1の構成を簡易化することが可能になる。
【0073】
上述のように、カートリッジホルダ9がキャビネットの外側に移動する際に、開閉部10がカートリッジホルダ9に押されて外向きに開放されるように構成すると、開閉部10の開閉のための駆動手段を別途設ける必要がなく、構成がシンプルでコストを抑えることが可能となる。
【0074】
なお、上述の実施形態では、カートリッジホルダ9を印刷位置と露出位置との間で移動させたり、開閉部10の開閉動作にモータ等を使用することなく低コスト化を図っているが、使用の便宜を考慮してカートリッジホルダ9や開閉部10を電動モータ等によって動作させるようにすることもできる。
【0075】
上述の実施形態においては、カートリッジホルダ9は、主走査方向または用紙搬送方向のうちのいずれか一方に移動するが、カートリッジホルダ9が印刷位置から2つの露出位置のいずれか任意の方に移動するようすることもできる。
【0076】
この場合、インクキャリッジ17とカートリッジホルダ9との間に、インクキャリッジ17に対して、スライド自在または揺動自在な土台部分を形成し、カートリッジホルダ9をこの土台部分に対してスライド自在または揺動自在に設けることで、用紙搬送方向または主走査方向のいずれにも任意に移動することが可能となり、プリンタ1の設置場所等にかかわらず、インクカートリッジ8の交換を容易に行うことができる。
【0077】
また、上述の実施形態では、インクカートリッジ8が互いに独立しておらず、一体的のインクカートリッジ8を1つのカートリッジホルダ9に保持した場合について説明しているが、各色のタンクをそれぞれ異なるインクカートリッジ8に個別に収容して、それぞれのカートリッジホルダ9を独立して移動可能とすることもできる。
【0078】
この場合、複数のインクカートリッジのうち、インクの残量が所定量以下になったインクカートリッジ8を装着しているカートリッジホルダ9のみが印刷位置から露出位置に移動するため、交換すべきインクカートリッジ8を容易に判別することが可能になる。
【0079】
なお、インクキャリッジ17の移動方向や光学ユニット31の移動方向は、上述のものに限られることはなく、インクキャリッジ17や光学系ユニット31の移動方向にかかわらず本発明を好適に実施することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0081】
(1)インクカートリッジ内のインク残量がわずかになると制御部が、前記インクカートリッジを装着しているカートリッジホルダを、自動的に前記開閉部を介して前記露出位置に移動させることにより、インクカートリッジ内のインクが残り少なくなっていることを、容易にユーザに把握させることができるとともに、インク残量が少ない状態で継続して印刷がされることを防止できるため、適正な時期に確実にインクカートリッジの交換をして、インクカートリッジ内のインクが空の状態で印刷がされることによって印刷ヘッド内にエアが侵入する等の不具合を確実に防止することができる。
【0082】
また、画像形成装置の上部にスキャナや自動原稿送り装置等が搭載された複写機モデルの場合においても、スキャナまたは自動原稿送り装置等によってインクカートリッジの交換が妨げられることを回避し、スキャナまたは自動原稿送り装置等を可動させる機構やこれらの落下防止等の機構を特段に設けることを不要にすることができる。
【0083】
さらに、インクカートリッジを筐体の外部に移動させるために、インクキャリッジを支持するガイド軸の伸縮機構等を不要にして、装置の構成を簡易化することができる。
【0084】
(2)カートリッジホルダをインクキャリッジ上の揺動支持部を中心に揺動させつつ前記印刷位置から前記露出位置に移動させることにより、カートリッジホルダを前記印刷位置から前記露出位置に移動させることを簡易な機構によって実現することができる。
【0085】
(3)カートリッジホルダをインクキャリッジに沿ってスライドさせつつ前記印刷位置から前記露出位置に移動させることにより、カートリッジホルダを前記印刷位置から前記露出位置に移動させることを簡易な機構によって実現できるとともに、前記露出位置に位置するカートリッジホルダを容易に前記印刷位置に復帰させることができる。
【0086】
(4)カートリッジホルダを、前記印刷位置から2つの露出位置のうちの任意の露出位置にさせることにより、画像形成装置の配置位置等によって最適な露出位置にカートリッジホルダを移動させて、インクカートリッジの交換の便宜を図ることができる。
【0087】
(5)カートリッジホルダが前記露出位置にある状態で、前記開閉部に前記カートリッジホルダを支持させることにより、露出位置にあるカートリッジホルダを支持する部材を別個に設けることを不要にして装置の構成を簡易化することができる。
【0088】
(6)例えば、前記開閉部をカートリッジホルダによって押圧させつつ、前記装置筐体の内側から外側に向かって下向きに開くとともに、前記露出位置にある前記カートリッジホルダを前記開閉部に支持させることにより、前記カートリッジホルダの前記印刷位置から前記露出位置への移動の過程において前記開閉部を開くことが可能になり、前記開閉部を駆動するための機構や前記露出位置において前記カートリッジホルダを支持するための部材を不要することができる。
【0089】
(7)前記インクカートリッジ、前記カートリッジホルダ、および前記移動手段を、色毎に別個独立して設けていることにより、インク残量がわずかなインクカートリッジのみを前記開閉部を介して、前記筐体の外部にせり出させることが可能になり、ユーザに各色のインクカートリッジのうちで交換すべきインクカートリッジを容易に把握させることができる。
【0090】
(8)カートリッジホルダを前記露出位置に移動させている際にも、印刷ヘッド部とインクカートリッジとのタンクの間を前記弾性チューブを用いて密封していることにより、印刷ヘッド部に空気が侵入することを確実に防止することができるとともに、インク漏れが生じることやインクが乾燥することを防止することができる。
【0091】
(9)カートリッジホルダを前記露出位置に移動させている際にも、印刷ヘッド部におけるインク流路とインクカートリッジにおけるインク流路とをそれぞれメッシュ部材によって覆っていることにより、カートリッジホルダが前記露出位置に位置する状態でも、印刷ヘッド部に空気が侵入することやインク漏れが生じることを確実に防止することができる。
【0092】
よって、簡易な構成で、印刷精度の劣化を招くことなく、確実かつ容易にインクカートリッジを適正な時期に交換することが可能なインクジェット画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るプリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るプリンタ本体の正面断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るプリンタの左側面断面図である。
【図4】第1の実施形態に係るプリンタの一部を示す上面断面図である。
【図5】プリンタの要部を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係るプリンタの開閉部近傍の構成を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係るプリンタの開閉部近傍の構成を示す図である。
【図8】第3の実施形態に係るプリンタの一部を示す上面断面図である。
【図9】第3の実施形態に係るプリンタの一部を示す上面断面図である。
【図10】従来のプリンタの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1−複合型インクジェットプリンタ
2−プリンタ本体
3−スキャナ
8(8a、8b)−インクカートリッジ
9−カートリッジホルダ
10−開閉部
17−インクキャリッジ
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクジェット方式の画像形成装置に関し、特に、インクを収容するインクカートリッジの交換を確実かつ容易に行うことを可能にするインクジェット画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式の画像形成装置では、印刷によってインクが消耗した場合に、通常、インクを収容するインクカートリッジを交換することでインクの補充が行われる。このインクの補充が適正なタイミングで行われない場合は、インクカートリッジ内のインクが空になった状態で印刷が行われることになり、印刷ヘッド内にエアが混入して、その後の印刷に支障を来すことがある。
【0003】
このため、従来より、インクタンク内のインクが完全に空になる前に、あらかじめインクの残量がわずかであることを示すインクニアエンプティの警告灯を点灯させたり、表示画面上にその旨の表示を行う等により、インクカートリッジ内のインクが完全に空になる前に、ユーザに対してインクカートリッジの交換を促していた。
【0004】
ところが、上述のようにインクニアエンプティの警告灯によってユーザにインクカートリッジの交換を促す場合、ユーザがインクニアエンプティの警告灯に気付かない虞がある。また、画面上にインクカートリッジ内のインクの残量がわずかである旨の表示をする場合、ユーザがこの表示を認識しているにもかかわらず、印刷作業を迅速に遂行することを優先して、インクカートリッジの交換を後回しにする等の不都合がある。このため、結果的には、あらかじめインクカートリッジ内のインク残量がわずかである旨の表示をすることが、インクカートリッジのインクが空の状態で印刷されることを防止することに寄与しないことが多いという不都合があった。
【0005】
そこで、従来のインクジェット方式の画像形成装置の中には、インクカートリッジ内のインクの量が所定の量未満になったときに、インクキャリッジが自らを支持するシャフトを引き延ばしつつ、装置の筐体の一部に形成された開閉部から装置の外部にせり出して、ユーザにインクカートリッジの交換を促すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−36597号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット方式の画像形成装置では、キャリッジごと装置の外部にせり出す構造上、印刷精度に大きく関わる前記シャフトを伸張または収縮させる必要があることから、前記シャフト位置精度が適正に保たれない場合には、印刷精度が低下するという不都合があり、また、前記シャフトの位置精度を保つために、キャリッジやそれを支持する前記シャフトの構造が複雑化する虞があった。
【0007】
この発明の目的は、簡易な構成で、印刷精度の劣化を招くことなく、確実かつ容易にインクカートリッジを適正な時期に交換することが可能なインクジェット画像形成装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は以下の構成を備えている。
【0009】
(1)インクカートリッジを交換可能な状態で装着するカートリッジホルダを搭載したインクキャリッジと、前記インクキャリッジを印刷される用紙の搬送方向に直交する方向に往復移動させる駆動手段と、装置本体の動作を制御する制御手段と、を装置筐体内に備えたインクジェット画像形成装置において、
前記装置筐体における前記インクキャリッジの移動範囲の端部近傍に配置される開閉部と、
前記インクカートリッジ内のインク残量を検出する検出手段と、
前記カートリッジホルダを、前記用紙に対して適正な印刷を行う際の印刷位置、および前記インクキャリッジが前記移動範囲の端部に位置する状態で前記インクカートリッジの少なくとも一部が前記開閉部を介して前記装置筐体の外部に露出する露出位置の間で移動させる移動手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検出手段に前記インク残量が所定量以下になったことが検出された場合に、前記駆動手段によって前記インクキャリッジを前記開閉部の近傍に移動させるとともに、前記移動手段によって前記カートリッジホルダを前記露出位置に移動させることを特徴とする。
【0010】
この構成においては、インクカートリッジ内のインク残量がわずかになると、制御部によって前記インクカートリッジを装着しているカートリッジホルダが自動的に前記開閉部を介して前記露出位置に移動する。
【0011】
したがって、インクカートリッジ内のインクが残り少なくなっていることが、容易にユーザに把握されるとともに、インク残量が少ない状態で継続して印刷がされることが防止されることから、適正な時期に確実にインクカートリッジの交換がされるため、インクカートリッジ内のインクが空の状態で印刷がされることによって印刷ヘッド内にエアが侵入する等の不具合が確実に防止される。
【0012】
また、画像形成装置の上部にスキャナや自動原稿送り装置等が搭載された複写機モデルの場合においても、スキャナまたは自動原稿送り装置等によってインクカートリッジの交換が妨げられることがなく、スキャナまたは自動原稿送り装置等を可動させる機構やこれらの落下防止等の機構を特段に設けることが不要になる。
【0013】
さらに、インクカートリッジを筐体の外部に移動させるために、インクキャリッジを支持するガイド軸の伸縮機構等が不要であり、装置の構成が簡易化される。
【0014】
(2)前記移動手段は、前記印刷位置にある前記カートリッジホルダを前記インクキャリッジの一部に設けられた揺動支持部を中心に揺動させて前記露出位置に移動させることを特徴とする。
【0015】
この構成においては、カートリッジホルダが、インクキャリッジ上の揺動支持部を中心に揺動しつつ前記印刷位置から前記露出位置に移動する。したがって、カートリッジホルダを前記印刷位置から前記露出位置に移動させることが簡易な機構によって実現される。
【0016】
(3)前記移動手段は、前記印刷位置にある前記カートリッジホルダを前記インクキャリッジ上においてスライドさせて前記露出位置に移動させることを特徴とする。
【0017】
この構成においては、カートリッジホルダが、インクキャリッジに沿ってスライドしつつ前記印刷位置から前記露出位置に移動する。したがって、カートリッジホルダを前記印刷位置から前記露出位置に移動させることが簡易な機構によって実現されるとともに、前記露出位置に位置するカートリッジホルダを前記印刷位置に復帰させることが容易になる。
【0018】
(4)前記移動手段は、前記印刷位置にある前記カートリッジホルダを、用紙搬送方向または主走査方向に、前記揺動または前記スライドさせて前記露出位置に移動させることを特徴とする。
【0019】
この構成においては、カートリッジホルダが、前記印刷位置から2つの露出位置のうちの任意の露出位置にする。したがって、画像形成装置の配置位置等によって最適な露出位置にカートリッジホルダが移動することで、インクカートリッジの交換の便宜が図られる。
【0020】
(5)前記開閉部は、外部に開いた状態で、前記カートリッジホルダを支持することを特徴とする。
【0021】
この構成においては、カートリッジホルダが前記露出位置にある状態で、前記開閉部が前記カートリッジホルダを支持している。したがって、露出位置にあるカートリッジホルダを支持する部材を別個に設ける必要がなくなり、装置の構成が簡易化する。
【0022】
(6)前記開閉部は、前記装置筐体の内側から外側に向かって下向きに開くことを特徴とする。
【0023】
この構成においては、例えば、前記開閉部がカートリッジホルダから押圧されつつ、前記装置筐体の内側から外側に向かって下向きに開き、前記露出位置にある前記カートリッジホルダが前記開閉部によって支持される。したがって、前記カートリッジホルダの前記印刷位置から前記露出位置への移動の過程において前記開閉部が開くため、前記開閉部を駆動するための機構や前記露出位置において前記カートリッジホルダを支持するための部材が不要になる。
【0024】
(7)前記インクカートリッジ、前記カートリッジホルダ、および前記移動手段は、色毎にそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0025】
この構成においては、前記インクカートリッジ、前記カートリッジホルダ、および前記移動手段が、色毎に別個独立して設けられている。したがって、インク残量がわずかなインクカートリッジのみが前記開閉部を介して、前記筐体の外部にせり出すため、各色のインクカートリッジのうちで交換すべきインクカートリッジが容易に把握される。
【0026】
(8)前記インクキャリッジにインクを吐出する印刷ヘッド部が設けられている場合に、前記インクカートリッジと前記印刷ヘッド部とを連通する弾性チューブを備えたことを特徴とする。
【0027】
この構成においては、カートリッジホルダが前記露出位置に移動している際にも、印刷ヘッド部とインクカートリッジとのタンクの間が前記弾性チューブによって密封される。
【0028】
したがって、印刷ヘッド部に空気が侵入することが確実に防止されるとともに、インク漏れが生じたりインクが乾燥することが防止される。
【0029】
(9)前記インクキャリッジにインクを吐出する印刷ヘッド部が設けられている場合に、前記印刷ヘッド部と前記インクカートリッジとの間のインク流路を接離自在なメッシュ部材を備えたことを特徴とする。
【0030】
この構成においては、カートリッジホルダが前記露出位置に移動している際にも、印刷ヘッド部におけるインク流路とインクカートリッジにおけるインク流路とがそれぞれメッシュ部材によって覆われている。
【0031】
したがって、カートリッジホルダが前記露出位置に位置する状態でも、印刷ヘッド部に空気が侵入することやインク漏れが生じることが確実に防止される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明のインクジェット画像形成装置の実施形態である複合型インクジェットプリンタを説明する。
【0033】
図1は、複合型インクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという。)1の構成を示す斜視図である。プリンタ1は、インクジェット方式で用紙に印刷処理を行うプリンタ本体2と、原稿の画像を読み取るスキャナ3とを備えている。なお、以下の説明では、プリンタ本体2における面Fをプリンタ1の正面とする。
【0034】
プリンタ本体2は、用紙に対してインクを吐出して印刷を行う印刷部5と、印刷される用紙を収容するとともに所定のタイミングで印刷部5に対して、順次、用紙を供給する用紙収容部4と、を備えている。プリンタ本体2において、用紙収納部4から印刷部5を経由して排紙口6までの間に、図中のU字型の矢印で示す用紙搬送路15が形成されており、排紙口6の近傍には排紙される用紙が載置される排紙トレイ7が設けられている。また、プリンタ1の筐体の一部には、インクカートリッジがプリンタ1の外部に移動する際に用いる後述の開閉部10が形成されており、開閉部10の近傍には、支持部60が形成されている。。
まず、プリンタ1のうち、プリンタ本体2を説明する。図2は、プリンタ本体2の正面断面図である。同図に示すように、用紙収容部4は、印刷される用紙12を収容する給紙カセット11、給紙カセット11に積載されている用紙12のうちの最上位の用紙12を用紙搬送路15に導くピックアップローラ13および給紙ローラ14を備えている。
【0035】
給紙ローラ14から用紙搬送路15に沿って下流側に向かうと、印刷部5の直前に用紙12の斜行調整および用紙を印刷部に案内するタイミングの調整を行うPSローラ16が設けられている。
【0036】
印刷部5において、用紙搬送路15を挟んで両側に、用紙12に対して印刷を行う印刷ヘッドを搭載するキャリッジ17と、印刷ヘッドにより印刷される用紙12を支持するプラテン24が設けられている。印刷処理は用紙搬送方向に直交する方向、すなわち図中で紙面に直交する方向にキャリッジ17が移動することにより行われるが、キャリッジ17の移動に用いられる案内シャフト18がキャリッジ17の移動方向に沿って配置されている。
【0037】
用紙搬送路15におけるプラテン24およびキャリッジ17の下流側には、用紙をプリンタ本体2の外部に形成された排紙トレイ7上に排出するためのスターローラ25および排紙ローラ26が配置されている。
【0038】
次に、プリンタ1におけるスキャナ3を説明する。図3は、プリンタ1の左側面断面図である。同図に示すように、スキャナ3は、光学ユニット31、原稿カバー32、およびプラテンガラス33を備えており、プラテンガラス33上に載置された原稿画像を、光学ユニット31が矢印34で示す方向に移動しつつ順次読み取る。
【0039】
光学ユニット31は、原稿に光を照射する光源35と、光電変換素子であるCCDユニット40と、原稿からの反射光をCCDユニット40の方に導く第1ミラー36、第2ミラー37、および第3ミラー38と、原稿からの反射光をCCDユニット40上に結像させる結像レンズ39と、を備えている。なお、光学ユニット31は、プリンタ本体2におけるキャリッジ17と同様に、図示しない案内シャフトによって矢印34で示す副走査方向に移動自在に支持されている。
【0040】
なお、プリンタ本体2のキャリッジ17およびスキャナ3の光学ユニット31は共に、駆動側プーリおよび従動側プーリに張架されたタイミングベルトによって往復移動する。例えば、キャリッジ17は、プーリ20、21に張架されたタイミングベルト22の回転運動に伴って動作している。
【0041】
上述のプリンタ1の構成において、用紙収納部4内の給紙カセット11上に積層して収納されている用紙12は、ピックアップローラ13によって1枚ずつ取出され、一対の給紙ローラ14およびU字状の用紙搬送路15を介して印刷部5へ搬送される。そして、用紙搬送路15における印刷部5の上流側に配置されたPSローラ16により、用紙12の斜行調整がされ、所定のタイミングで印刷部5とプラテン24との間に印刷位置に搬送され、キャリッジ17に搭載された印刷ヘッド17aによって印刷処理が行われる。
【0042】
ここで、キャリッジ17の動作を説明すると、キャリッジ17は、プリンタ本体2の前面側から背面側、すなわち用紙搬送方向に直交する方向(以下、主走査方向という。)に配置される一対の案内シャフト18によって主走査方向19に移動自在に支持されており、キャリッジ17には一対のプーリ20およびプーリ21に張架されたタイミングベルト22の一部が固着されている。このため、キャリッジ17を主走査方向で移動させる際には、プーリ20がモータ23によって駆動される。
【0043】
印刷位置において印刷処理された用紙12は、用紙搬送路15における印刷位置の下流側に配置されたスターローラ25および排紙ローラ26によって挟持されて排紙トレイ7上に排出される。
【0044】
図4は、プリンタ1の一部を示す上面断面図であり、プリンタ1に適用されるインクキャリッジ17の構成を示す図である。図4(a)は、開閉部10が閉じている状態を示しており、カートリッジホルダ9が、用紙に対して適正な印刷を行う際の印刷位置(以下、印刷位置という。)にある状態を示している。一方、図4(b)は、開閉部10が開いている状態を示しており、インクカートリッジ8の少なくとも一部が開閉部10を介してプリンタ1の筐体の外部に露出する露出位置(以下、露出位置という。)にある状態を示している。
【0045】
図4に示すように、インクキャリッジ17は、タイミングベルト22に接続するためのベルト保持部40を備えている。また、インクキャリッジ17は、カラーインクが収容されたインクカートリッジ8a、および黒インクが収容されたインクカートリッジ8bを着脱自在に装着するカートリッジホルダ9を備えている。
【0046】
カートリッジホルダ9は、回転軸部41を中心にインクキャリッジ17に対して回転自在に装着される。このとき、カートリッジホルダ9は、通常、回転軸部41に設けられたスプリングによって時計回りに付勢されている。また、インクキャリッジ17には、カートリッジホルダ9をインクキャリッジ17に係止するためのフック42が設けられている。
【0047】
フック42は、インクキャリッジ17上に設けられた回転軸を中心に回転自在に設けられている。また、フック42は、バネ44に結合されておりこのバネの張力によってカートリッジホルダ9とインクキャリッジ17との係合の強さが決定される。なお、カートリッジホルダ9とインクキャリッジ17との係合は、図示しない係合解除機構によって任意に解除することができ、カートリッジホルダ9とインクキャリッジ17との係合が解除されると、図4(b)に示すように回転軸部41に設けられたスプリングによってカートリッジホルダ9が印刷位置から露出位置へと回転移動する。
【0048】
図5は、プリンタ1の要部を示すブロック図である。同図に示すように、プリンタ1は、上述の構成要素に加えて、制御部50、インク検出部54、ドライバ55、および開閉検出部56を備えている。
【0049】
制御部50は、CPU51、ROM52、およびRAM53から構成されている。ROM52は、プリンタ1の動作に必要なファームウェアを格納している。RAM53は、書込可能な不揮発性のメモリである。CPU51は、プリンタ1の動作を統括して制御する。
【0050】
インク検出部54は、インクカートリッジ8からのインクの吐出回数に基づいてインクカートリッジ8のインク残量を検出しており、インク残量が所定量を下回ったことを検出したときは、制御部50に対して所定の検出信号を出力する。なお、インク検出部54によるインク残量の検出手法は上述のものに限定されることはなく、本発明は、インク残量の検出手法のいかんにかかわらず適正に実施することができる。ドライバ55は、制御部50からの指令に基づいて、プーリ20を駆動する。開閉検出部56は、プリンタ1の筐体に形成された開閉部10が開いた状態であるか、または閉じた状態であるかを検出する。本実施形態では、開閉検出部56として開閉部10が開閉動作に伴ってON/OFFが切り替わるスイッチを用いている。なお、同図の係合解除機構57は、カートリッジホルダ9とインクキャリッジ17との係合を解除するものであり、例えば、図4中のフック42に半時計回りに外力を作用させる。
【0051】
ここで、プリンタ1のインクキャリッジ17の動作手順を、具体的に説明する。図示しないコンピュータ等からの印刷要求を受けると、制御部50は印刷要求に基づいて、ドライバ55にプーリ20を駆動させる。インクキャリッジ17は印刷ヘッド17aからインクを吐出しつつ印刷処理時の走査範囲内で往復移動する。この印刷処理時において、インク検出部54は、常にインクカートリッジ8内のインク残量を監視している。
【0052】
インク検出部54は、インクカートリッジ8内のインク残量が所定量を下回ったことを検出すると、検知信号を制御部50に向かって出力する。この検知信号を受けた制御部50は、ドライバ55を制御してインクキャリッジ17をメンテナンス処理が実行されるメンテナンス位置まで移動させる。インクキャリッジ17がメンテナンス位置まで移動すると、メンテナンス部により印刷ヘッド17aに対してノズルクリーニング等のメンテナンス処理が行われる。
【0053】
制御部50は、上述のメンテナンス処理が完了するとインクキャリッジ17をメンテナンス位置から、インクキャリッジ17の移動範囲の端部まで移動させる。制御部50は、インクキャリッジ17を前記移動範囲の端部まで移動させた後に、係合解除機構57にカートリッジホルダ9とフック42との係合を解除させる。
【0054】
カートリッジホルダ9は、フック42との係合が解除されると、回転軸41を中心に時計回りに回転して開閉部10の内壁を押圧し、最終的に開閉部10押し開いて、露出位置へと移動する。
【0055】
そして、カートリッジホルダ9が露出位置にある状態で、インクカートリッジ8の交換が完了すると、ユーザは、カートリッジホルダ9を軽く押圧することで容易にカートリッジホルダ9を印刷位置に復帰させることができる。
【0056】
カートリッジホルダ9は、印刷位置に復帰すると、インクキャリッジ17上で再度フック42に係止される。一方、開閉部10は、図示しないバネによってキャビネットの内側に付勢されているため、カートリッジホルダ9がインクキャリッジ17上に復帰するのに伴って自動的に閉じられる。
【0057】
開閉部10が閉じたことを開閉検出部56が検出すると、制御部50は、インクキャリッジ17を再びメンテナンス位置まで移動させ、メンテナンス部に初期メンテナンス処理を行わせた後、次の印刷処理に備えてインクキャリッジ11の基準位置合わせを行う。
【0058】
上述のように、プリンタ1においてインクカートリッジ8がインクニアエンプティになると、開閉部10を介してカートリッジホルダ9がプリンタ1のキャビネットの外部に現れることから、ユーザにインクカートリッジ8がインクニアエンプティであることを視認させることができる。このため、極めて容易にインクカートリッジ8の交換時期が来たことをユーザに認識させることができる。
【0059】
さらに、カートリッジホルダ9が露出位置にある状態では継続して印刷を行うことができないため、インクニアエンプティで継続して印刷が行われることにより、結果的にインクが空の状態で印刷が行われ、印刷ヘッド17aに空気が混入することを確実に防止することができる。
【0060】
また、ユーザは、古いインクカートリッジ8を新しいものに交換する必要があるが、このとき、インクカートリッジ8を取り付けるべきカートリッジホルダ9がキャビネットの外側に位置しているため、容易に古いインクカートリッジ8をカートリッジホルダ9から取り除き、新しいインクカートリッジ8を取り付けることができる。
【0061】
そして、開閉部10を介してカートリッジホルダ9を外部に出してインクカートリッジ8を交換できることから、図10に示す従来のプリンタ100のように、スキャナ103を上方に回動させてインクカートリッジ8を交換するための空間を開放することを不要にすることができる。この場合、スキャナ103の回転支点を設けたり、開放時におけるスキャナ3が急に閉まらないようにするダンパー装置等が不要になるため、装置の低コスト化を図ることができる。
【0062】
特に、本発明のプリンタ1は、インクキャリッジ17ごとプリンタ1の外部にせり出させる必要がなく、例えば、案内シャフト18に伸縮機構を設ける必要がないため、案内シャフト18の構成を変更させる必要等がなくなり、プリンタ1の構成を簡潔化することが可能になる。
【0063】
次に第2の実施形態におけるプリンタ1を説明する。第2の実施形態におけるプリンタ1の基本構成は第1の実施形態におけるプリンタ1と同様である。ただし、第2の実施形態におけるプリンタ1は、開閉部10が支持部材60の機能を有しており、プリンタ1の筐体に支持部材60が設けられていない点が第1の実施形態と相違している。
【0064】
図6は、第2の実施形態におけるプリンタ1の開閉部10近傍の構成を示している。同図が示すように、開閉部10はプリンタ1の筐体の内側から外側に向かって下向きに開く構造になっており、開閉部10が外部に開いた状態で、カートリッジホルダ9を支持するように構成されている。
【0065】
このため、露出位置にあるカートリッジホルダ9を開閉部10によって適正に支持することが可能になるため、露出位置にあるカートリッジホルダ9を支持するための部材を別途に設ける必要がなくなり、プリンタ1の構成を簡易化することが可能である
さらに、カートリッジホルダ9を印刷位置から露出位置に移動される際において、インク漏れの発生およびインク流路への空気の侵入を防止するために、印刷ヘッド17aとインクカートリッジ8とを連通する可撓性を有する弾性チューブ61を設けたり、印刷ヘッド17aとインクカートリッジ8との間のインク流路を接離自在なメッシュ部材62を設けると、さらに好適に本発明の効果を奏することができる。
【0066】
図7(a)は、弾性チューブ61を設けた構成を示しており、図7(b)は、メッシュ部材62を設けた構成を示している。図7(a)のように、弾性チューブ61を設けることにより、カートリッジホルダ9が露出位置にある状態で、インク漏れ、インク流路への空気の侵入、およびインクの乾燥を確実に防止することが可能である。
【0067】
また、図7(b)のように、メッシュ部材62を設けることにより、カートリッジホルダ9が露出位置にある状態で、インク漏れおよびインク流路への空気の侵入を確実に防止することが可能である。
【0068】
具体的には、カートリッジホルダ9が露出位置にある場合、すなわちメッシュ部材62内にインクがあり、このメッシュ部材62が大気に触れている状態では、メッシュの毛管力でメッシュ内部にインクを保持した状態を保ち、外部にインクが漏れたり、外部から空気が侵入することが防止される。
【0069】
これに対して、カートリッジホルダ9が印刷状態であり、メッシュ部材62の両側にインクが存在している場合には、メッシュ部材62は、単にインクの流れに対する抵抗としてのみ機能することから、インクはメッシュ内を自由に通過することができ、メッシュ部材62が特段インクの流れを妨げることはない。
【0070】
次に、第3の実施形態におけるプリンタ1を説明する。第3の実施形態におけるプリンタ1の基本構成は第1の実施形態および第2の実施形態におけるプリンタ1と同様である。ただし、第3の実施形態におけるプリンタ1では、カートリッジホルダ9がインクキャリッジ17上をスライドすることによって印刷位置から露出位置まで移動する点が、第1の実施形態および第2の実施形態と相違している。
【0071】
図8は、第3の実施形態におけるプリンタ1の開閉部近傍の上面図である。同図が示すように、ここでは、インクキャリッジ17が移動範囲の端部に位置している状態でカートリッジホルダ9がインクキャリッジ17に沿ってスライドしながら開閉部10を押し開き露出位置に移動する。なお、このとき、インクキャリッジ17には、カートリッジホルダ9の位置を決定するための位置決めピン43が設けられており、カートリッジホルダ9が適正な位置に保持される。
【0072】
この実施形態においても、図9に示すように、開閉部10がプリンタ1の筐体の内側から外側に向かって下向きに開くようにして、開閉部10が外部に開いた状態で、露出位置にあるカートリッジホルダ9を支持するように構成することでプリンタ1の構成を簡易化することが可能になる。
【0073】
上述のように、カートリッジホルダ9がキャビネットの外側に移動する際に、開閉部10がカートリッジホルダ9に押されて外向きに開放されるように構成すると、開閉部10の開閉のための駆動手段を別途設ける必要がなく、構成がシンプルでコストを抑えることが可能となる。
【0074】
なお、上述の実施形態では、カートリッジホルダ9を印刷位置と露出位置との間で移動させたり、開閉部10の開閉動作にモータ等を使用することなく低コスト化を図っているが、使用の便宜を考慮してカートリッジホルダ9や開閉部10を電動モータ等によって動作させるようにすることもできる。
【0075】
上述の実施形態においては、カートリッジホルダ9は、主走査方向または用紙搬送方向のうちのいずれか一方に移動するが、カートリッジホルダ9が印刷位置から2つの露出位置のいずれか任意の方に移動するようすることもできる。
【0076】
この場合、インクキャリッジ17とカートリッジホルダ9との間に、インクキャリッジ17に対して、スライド自在または揺動自在な土台部分を形成し、カートリッジホルダ9をこの土台部分に対してスライド自在または揺動自在に設けることで、用紙搬送方向または主走査方向のいずれにも任意に移動することが可能となり、プリンタ1の設置場所等にかかわらず、インクカートリッジ8の交換を容易に行うことができる。
【0077】
また、上述の実施形態では、インクカートリッジ8が互いに独立しておらず、一体的のインクカートリッジ8を1つのカートリッジホルダ9に保持した場合について説明しているが、各色のタンクをそれぞれ異なるインクカートリッジ8に個別に収容して、それぞれのカートリッジホルダ9を独立して移動可能とすることもできる。
【0078】
この場合、複数のインクカートリッジのうち、インクの残量が所定量以下になったインクカートリッジ8を装着しているカートリッジホルダ9のみが印刷位置から露出位置に移動するため、交換すべきインクカートリッジ8を容易に判別することが可能になる。
【0079】
なお、インクキャリッジ17の移動方向や光学ユニット31の移動方向は、上述のものに限られることはなく、インクキャリッジ17や光学系ユニット31の移動方向にかかわらず本発明を好適に実施することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0081】
(1)インクカートリッジ内のインク残量がわずかになると制御部が、前記インクカートリッジを装着しているカートリッジホルダを、自動的に前記開閉部を介して前記露出位置に移動させることにより、インクカートリッジ内のインクが残り少なくなっていることを、容易にユーザに把握させることができるとともに、インク残量が少ない状態で継続して印刷がされることを防止できるため、適正な時期に確実にインクカートリッジの交換をして、インクカートリッジ内のインクが空の状態で印刷がされることによって印刷ヘッド内にエアが侵入する等の不具合を確実に防止することができる。
【0082】
また、画像形成装置の上部にスキャナや自動原稿送り装置等が搭載された複写機モデルの場合においても、スキャナまたは自動原稿送り装置等によってインクカートリッジの交換が妨げられることを回避し、スキャナまたは自動原稿送り装置等を可動させる機構やこれらの落下防止等の機構を特段に設けることを不要にすることができる。
【0083】
さらに、インクカートリッジを筐体の外部に移動させるために、インクキャリッジを支持するガイド軸の伸縮機構等を不要にして、装置の構成を簡易化することができる。
【0084】
(2)カートリッジホルダをインクキャリッジ上の揺動支持部を中心に揺動させつつ前記印刷位置から前記露出位置に移動させることにより、カートリッジホルダを前記印刷位置から前記露出位置に移動させることを簡易な機構によって実現することができる。
【0085】
(3)カートリッジホルダをインクキャリッジに沿ってスライドさせつつ前記印刷位置から前記露出位置に移動させることにより、カートリッジホルダを前記印刷位置から前記露出位置に移動させることを簡易な機構によって実現できるとともに、前記露出位置に位置するカートリッジホルダを容易に前記印刷位置に復帰させることができる。
【0086】
(4)カートリッジホルダを、前記印刷位置から2つの露出位置のうちの任意の露出位置にさせることにより、画像形成装置の配置位置等によって最適な露出位置にカートリッジホルダを移動させて、インクカートリッジの交換の便宜を図ることができる。
【0087】
(5)カートリッジホルダが前記露出位置にある状態で、前記開閉部に前記カートリッジホルダを支持させることにより、露出位置にあるカートリッジホルダを支持する部材を別個に設けることを不要にして装置の構成を簡易化することができる。
【0088】
(6)例えば、前記開閉部をカートリッジホルダによって押圧させつつ、前記装置筐体の内側から外側に向かって下向きに開くとともに、前記露出位置にある前記カートリッジホルダを前記開閉部に支持させることにより、前記カートリッジホルダの前記印刷位置から前記露出位置への移動の過程において前記開閉部を開くことが可能になり、前記開閉部を駆動するための機構や前記露出位置において前記カートリッジホルダを支持するための部材を不要することができる。
【0089】
(7)前記インクカートリッジ、前記カートリッジホルダ、および前記移動手段を、色毎に別個独立して設けていることにより、インク残量がわずかなインクカートリッジのみを前記開閉部を介して、前記筐体の外部にせり出させることが可能になり、ユーザに各色のインクカートリッジのうちで交換すべきインクカートリッジを容易に把握させることができる。
【0090】
(8)カートリッジホルダを前記露出位置に移動させている際にも、印刷ヘッド部とインクカートリッジとのタンクの間を前記弾性チューブを用いて密封していることにより、印刷ヘッド部に空気が侵入することを確実に防止することができるとともに、インク漏れが生じることやインクが乾燥することを防止することができる。
【0091】
(9)カートリッジホルダを前記露出位置に移動させている際にも、印刷ヘッド部におけるインク流路とインクカートリッジにおけるインク流路とをそれぞれメッシュ部材によって覆っていることにより、カートリッジホルダが前記露出位置に位置する状態でも、印刷ヘッド部に空気が侵入することやインク漏れが生じることを確実に防止することができる。
【0092】
よって、簡易な構成で、印刷精度の劣化を招くことなく、確実かつ容易にインクカートリッジを適正な時期に交換することが可能なインクジェット画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るプリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るプリンタ本体の正面断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るプリンタの左側面断面図である。
【図4】第1の実施形態に係るプリンタの一部を示す上面断面図である。
【図5】プリンタの要部を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係るプリンタの開閉部近傍の構成を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係るプリンタの開閉部近傍の構成を示す図である。
【図8】第3の実施形態に係るプリンタの一部を示す上面断面図である。
【図9】第3の実施形態に係るプリンタの一部を示す上面断面図である。
【図10】従来のプリンタの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1−複合型インクジェットプリンタ
2−プリンタ本体
3−スキャナ
8(8a、8b)−インクカートリッジ
9−カートリッジホルダ
10−開閉部
17−インクキャリッジ
Claims (9)
- インクカートリッジを交換可能な状態で装着するカートリッジホルダを搭載したインクキャリッジと、前記インクキャリッジを印刷される用紙の搬送方向に直交する方向に往復移動させる駆動手段と、装置本体の動作を制御する制御手段と、を装置筐体内に備えたインクジェット画像形成装置において、
前記装置筐体における前記インクキャリッジの移動範囲の端部近傍に配置される開閉部と、
前記インクカートリッジ内のインク残量を検出する検出手段と、
前記カートリッジホルダを、前記用紙に対して適正な印刷を行う際の印刷位置、および前記インクキャリッジが前記移動範囲の端部に位置する状態で前記インクカートリッジの少なくとも一部が前記開閉部を介して前記装置筐体の外部に露出する露出位置の間で移動させる移動手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検出手段に前記インク残量が所定量以下になったことが検出された場合に、前記駆動手段によって前記インクキャリッジを前記開閉部の近傍に移動させるとともに、前記移動手段によって前記カートリッジホルダを前記露出位置に移動させることを特徴とするインクジェット画像形成装置。 - 前記移動手段は、前記印刷位置にある前記カートリッジホルダを前記インクキャリッジの一部に設けられた揺動支持部を中心に揺動させて前記露出位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記移動手段は、前記印刷位置にある前記カートリッジホルダを前記インクキャリッジ上においてスライドさせて前記露出位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記移動手段は、前記印刷位置にある前記カートリッジホルダを、用紙搬送方向または主走査方向に、前記揺動または前記スライドさせて前記露出位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記開閉部は、外部に開いた状態で、前記カートリッジホルダを支持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記開閉部は、前記装置筐体の内側から外側に向かって下向きに開くことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記インクカートリッジ、前記カートリッジホルダ、および前記移動手段は、色毎にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記インクキャリッジにインクを吐出する印刷ヘッド部が設けられている場合に、前記インクカートリッジと前記印刷ヘッド部とを連通する弾性チューブを備えたことを特徴とする請求項1〜7に記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記インクキャリッジにインクを吐出する印刷ヘッド部が設けられている場合に、前記印刷ヘッド部と前記インクカートリッジとの間のインク流路を接離自在なメッシュ部材を備えたことを特徴とするインクジェット画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002277946A JP2004114363A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | インクジェット画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002277946A JP2004114363A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | インクジェット画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004114363A true JP2004114363A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32273397
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002277946A Pending JP2004114363A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | インクジェット画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004114363A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006278270A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Kyocera Corp | 燃料供給用カートリッジ及び燃料電池式携帯機器用置き台 |
US7731345B2 (en) | 2005-12-08 | 2010-06-08 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Solid ink jet image forming apparatus |
US8500241B2 (en) | 2010-03-31 | 2013-08-06 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Image recording apparatus |
JP2015044413A (ja) * | 2014-10-15 | 2015-03-12 | セイコーエプソン株式会社 | インク供給システムおよびインクジェットプリンター |
JP2015166153A (ja) * | 2014-03-04 | 2015-09-24 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出装置 |
JP2021130252A (ja) * | 2020-02-20 | 2021-09-09 | ブラザー工業株式会社 | 画像記録装置 |
US11660883B2 (en) | 2020-06-24 | 2023-05-30 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Image recording apparatus |
US11707937B2 (en) * | 2020-06-24 | 2023-07-25 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Image recording apparatus |
-
2002
- 2002-09-24 JP JP2002277946A patent/JP2004114363A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006278270A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Kyocera Corp | 燃料供給用カートリッジ及び燃料電池式携帯機器用置き台 |
US7731345B2 (en) | 2005-12-08 | 2010-06-08 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Solid ink jet image forming apparatus |
US8500241B2 (en) | 2010-03-31 | 2013-08-06 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Image recording apparatus |
JP2015166153A (ja) * | 2014-03-04 | 2015-09-24 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出装置 |
US9174447B2 (en) | 2014-03-04 | 2015-11-03 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Liquid ejecting device facilitating replacement of cartridge |
JP2015044413A (ja) * | 2014-10-15 | 2015-03-12 | セイコーエプソン株式会社 | インク供給システムおよびインクジェットプリンター |
JP2021130252A (ja) * | 2020-02-20 | 2021-09-09 | ブラザー工業株式会社 | 画像記録装置 |
JP7447535B2 (ja) | 2020-02-20 | 2024-03-12 | ブラザー工業株式会社 | 画像記録装置 |
US11660883B2 (en) | 2020-06-24 | 2023-05-30 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Image recording apparatus |
US11707937B2 (en) * | 2020-06-24 | 2023-07-25 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Image recording apparatus |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7438288B2 (en) | Recording apparatus | |
JP2007175948A (ja) | インクジェットプリンタ | |
JP2004114363A (ja) | インクジェット画像形成装置 | |
JP2006151573A (ja) | 排出装置及びインクジェットプリンタ | |
JP5082896B2 (ja) | プリンタ | |
JP2011084382A (ja) | 画像形成装置 | |
JP2005060007A (ja) | 媒体検出装置及び画像形成装置 | |
JP2000283852A (ja) | 測色装置及び印刷装置 | |
JP2008105209A (ja) | 画像記録装置 | |
JP6123725B2 (ja) | 記録装置 | |
US20080212143A1 (en) | Image recording apparatus and method for restoring recording head for image recording apparatus | |
US7625058B2 (en) | Image recording apparatus and method for recovering recording head | |
JP2006062122A (ja) | インクジェット記録装置及びその制御方法 | |
JP4779751B2 (ja) | 画像記録装置 | |
JP6705523B2 (ja) | インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 | |
JP2005335334A (ja) | 画像形成装置 | |
JP2005319740A (ja) | プリンタ | |
JP4701785B2 (ja) | 画像記録装置 | |
JP6935827B2 (ja) | インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 | |
JP2005306524A (ja) | 記録装置 | |
JP4141969B2 (ja) | 被記録媒体給送装置、記録装置、液体噴射装置 | |
JP4744223B2 (ja) | フィルム処理装置 | |
JP6991459B2 (ja) | 記録装置 | |
JP6493815B2 (ja) | インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 | |
KR100477691B1 (ko) | 보더리스 프린팅이 가능한 잉크젯 프린터 |