【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は,質量分析計型のガス分析計に関するものである。更に詳述すれば,真空機器のリーク検出器,真空機器内の残留ガスの成分分析計,あるいはガスに含まれる微量ガスの分析計等に関する。これらは、例えば、半導体製造現場等で用いられる真空を用いた製造装置等のリーク検査、メンテナンス作業、真空機器のガス分圧測定,あるいは環境測定における毒性ガスの迅速検知,真空技術における清浄真空の達成等に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
ガス分析のための質量分析計はさまざまな動作原理のものが用いられている。例えば,四重極質量分析計,扇形磁場型質量分析計、タイムオブフライト型質量分析計,オメガトロン型質量分析計、あるいはイオン共振型質量分析計など数種類である。それぞれの装置に於いては,性能に一長一短があり、目的に応じて用いられて来た。
【0003】
真空を用いる技術においては、単に真空度を計測する全圧測定のみならず、真空の質を計測、管理する事が必要となってきている。例えば、半導体産業における半導体製造装置に於いては、残留ガス、特に製造工程で邪魔になる有害ガスを検知して極小に抑える事が、ミクロンオーダー、サブミクロンオーダーまで微小化された半導体回路の作成において、特に重要である。
【0004】
真空の質の管理とは、真空容器内の真空圧力そのものの厳密な計測を初めとして、その計測対象ガス中に残留する微量不純物ガスの成分濃度を分析、計測し、管理する事である。これらの分析、計測、管理が満足するレベルに達しないと、例えば半導体製造産業に於いては、経済的に要求される製造歩留まりを達成する事は不可能である。
【0005】
半導体製造技術に限らず、真空技術を利用する分野に於いては、何れに於いても、真空の質管理の重要性はますます高まってきており、その目的にかなった新しい真空度測定器、成分ガスの同定分析と、それぞれの構成ガスの分圧測定を行う事の出来る質量分析計が要求されて来たわけである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これまで、真空度全圧測定、あるいは成分ガスの同定分析、分圧測定には、色々な分析計が用いられて来たが、それらに共通して言える事は,電極構成が複雑で,重量が重くかさばり,高価な事であった。電極構造の複雑なる事は,真空計測装置として、特に高真空、超高真空の計測に於いては、致命的な欠点を持つ事であると、指摘されている。
【0007】
真空中で使用する機器においては,機器の管壁あるいは、真空容器内に具備された,電極などの部品の表面に吸着したガスが装置の稼動中に真空雰囲気中に放出して,思わぬ悪影響の原因となる。特に,高真空、超高真空機器に於いては、真空容器の壁面や機器部品表面から発生するガスを最小にする為の種々の工夫がこれまで成されては来たが、これらの機器においては、わずかな吸着ガスが発生しても、非常に大きな障害になるものである。成分ガスの同定及び分圧測定真空計の電極構造が、複雑であることは、これらの構造物の表面積が大きくなる事につながり、多量のガス放出の原因となる。また機器の大型化は,使用の簡便さを損ねる。真空装置の構造としては、構造が単純で、真空雰囲気中に曝される部分の表面積が出来るだけ小さい事が要求される。
【0008】
1959年から1960年台初頭、西ドイツの真空機器メーカー[ライボルト社]からFarvitron[商品名]の名称で発表された電場だけを用いたイオン共振型質量分析計があったが現在、この質量分析計型ガス分析装置は殆ど用いられていない。
【0009】
イオン共振型質量分析計は、Tretnerにより発表された、電場中でのイオンの共振現象を利用した質量分析計である。(Z.Angew.Phys.11395(1959))。被検査物質中のガス分子は、加速された電子の衝突を受けてイオン化され、イオンの走行方向に放物線状電位分布を持つ電場の中へ入れられる。放物線状電位分布の電場は、入り口側電極と其れと同電位の終端電極、また、該両電極の中央に置かれ、両電極の電位より低い電位の中央電極によって作られている。終端電極の外側に更に、信号検知電極が備えられる。
【0010】
初め、電子との衝突によって作られたイオンは、入り口側電極を通過後中央電極に向けて加速を受け、中央電極の位置で最大速度を持つ。中央電極を通過後は、終端電極へ向けて減速される。終端電極の位置で速度零となったイオンは、運動方向を反転して、今度は前に減速電場として働いた電場が加速電場として働き、中央電極を通り越した後は、入り口側電極へ向けて減速を受けながら進む。このようにして、入り口側電極と終端電極の間をイオンは往復振動する事になる。
【0011】
上記のような、イオンの振動運動は、放物線状電位分布の電場中における荷電粒子の振動運動として、広くバルクハウゼン・クルツ振動(略してB−K振動)の名前で知られている。荷電粒子の共振振動数は、電場分布が一定であれば、荷電粒子の持つ比電荷 m/e によって決まる。
【0012】
イオンを連続的に作らず、パルス状にして、間欠的に出し、そのパルス周波数を、丁度イオンのB−K振動数に同調させるようにすると、一群のイオン雲が入り口側電極に来るたびに新しいイオンが付け加わってイオンは増加し、共振現象を起こす。この共振イオン雲の両電極間の振動は、信号検知電極に於いて電気信号として検知される。
【0013】
以上がTretnerにより提供されたイオン共振型質量分析計の原理であるが、これを高真空、超高真空に用いるのは、大きな欠点が存在した。
【0014】
加速電子線の飛翔方向と、イオンの振動方向が一致しているため、電子線との衝突で作られたイオンが入り口側電極の位置で持つ入射運動エネルギーの分布によって、振動エネルギーの分布が影響を受け、得られる質量分析スペクトルの最終分解能を悪くする事になる。
【0015】
Tretnerの提唱したイオン振動型質量分析計の電極構造は極めて複雑である。真空雰囲気中に具備される構成要素で見ると、電子線発生用電子銃、電子線加速電極、電子線コレクター電極、入り口電極、中央電極、終端電極、及び信号検知電極である。構成要素が多い事は、その構成分品に吸着するガス量を多くし、高真空、超高真空の雰囲気中でのガス発生を極端に多くする。
【0016】
本発明は,電極構造を小型でかつ、シンプルが構造となして、構造体表面の吸着ガスの量を極度に少なくする事を可能とし、小型軽量で低コストの質量分析計を実現する事を目的にする。
【0017】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明にかかる質量分析計は、上記の目的を達成するために,次のように構成される。そのため、本発明の質量分析計は、先ず、以下のような動作原理で作動する。
▲1▼ 荷電粒子に直流電場を印加して、特定の質量のイオンだけを電子線の飛翔方向に直行する方向でB−K振動させて分離する。
▲2▼ 更に,この際のイオン生成に関して照射する電子線が電場の為に受ける偏向を殆ど無くする電極構造とする。
▲3▼ 分離したイオンの振動を外部の共振回路によって検知する。
▲4▼ 振動の検知に同期検波の手法を用いる。
【0018】
第1のイオン共振型質量分析装置(請求項1に対応)は、イオンのB−K共振振動を電子線の飛翔方向に対して直行する方向で行う点である。従来のTretner型(Farvitron商品名)質量分析計では、イオンは、加速電子の飛翔方向と同じ方向で振動させられており、この振幅を長く取ることで、振動数を測定可能範囲に抑えている。本発明においては、後述する如く、電子線の飛翔方向と、イオンの振動方向とは互いに直行する方向に取られており、これにより電極構造を著しく単純化し、小さくする事を可能にした。
【0019】
これによって、従来適応が困難とされていた、イオン共振型質量分析装置の高真空、超高真空への適用を可能となし、その応用範囲を極めて拡大する事が出来た。
【0020】
第2のイオン共振型質量分析装置(請求項2に対応)は、イオンのB−K共振振動を電子線の飛翔方向に対して直行する方向で行い、更に電子線の飛翔が、イオンの加減速電場の影響を殆ど受けない構造となっている。即ち、本第2実施例では、イオン振動の加減速電場が電子線に及ぼす影響を殆ど無い構造とした事で、イオン化個所によって生じるイオン振動数の偏差を無視できる程度に小さくする事が出来た。これによって、イオンの質量分解能を向上する事が出来、その応用範囲を極めて拡大する事が出来た。
【0021】
第3のイオン共振型質量分析装置(請求項3に対応)は、イオン雲の検出に関して、イオン共振振動用の加減速電極そのものを電気的共振回路の一部の構成部品となし、イオン雲の共振振動を、両電極間の変位電流として検出する事である。これにより、イオン検知用の電極を特別に具備する必要が無くなり、更に単純な電極構造を可能にした。
【0022】
更に第4のイオン共振型質量分析装置(請求項4に対応)は、電気信号検知に同期検波方式を採用している事である。電子線発生パルスのパルス周期に同期した同期検波を行う事で、検出信号に含まれる外乱ノイズは遮断され、非常に安定した、高感度の測定を可能にした。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1,図2,及び図3は共に、本発明の構造と動作原理を説明するためのものである。図1は,本発明の動作原理を示す鳥瞰図、図2は第1実施例を示す断面図であり,図3は第2実施例を示す。いずれの実施例においても,本発明の特徴であるイオン共振用の加減速電場発生用の平行平板電極を電気的共振回路の一部に組み合わせた構造を取っている。図中,1−A,1−Bは平行平板電極、2はグリッド電極、3は電子線,4は正イオン,5は電子線発生用の熱フィラメント,6は電子線コントロール電極,7は電子線トラップ,8は真空容器,10はパルス電源,11はイオンの加減速電源、12は電気的共振回路である。
【0024】
この動作原理についは、図1,図2を用いて先ず説明を加える。1〜7までの各要素は真空ポンプで排気される真空容器に収められている。
熱フィラメント5から放出した電子はパルス電源10で加速され,コントロール電極6を通過して電子線3となる。該電子線3は、平行平板電極1の一方の電極1−B近傍を通ってトラップ7に流入する。途中で真空容器内に残留するガス分子に衝突してこれをイオン化し,正イオン4を発生させる。
【0025】
正イオン4は電子線3の飛翔方向に対して直行する方向に向けて、イオン加減速電源11によって印可された加減速電場によって先ず加速され,グリッド電極2に向かって移動する。イオン4がグリッド電極2を通過した時点で,今度は同じイオン加減速電源11によって印可された加減速電場は減速作用をイオンに与える。イオンはここで減速されつつ平行平板電極1のもう一枚の電極1−A方向に飛翔する。イオンが平行平板電極1−Aに到着した時点で、その速度は零となり,ここで反転して,再びグリッド電極2に向かう。このとき、イオン加減速電源11によって印可された加減速電場は加速場として働く。かくて正イオン4はグリッド電極2を中心にして,2枚の平行平板電極1−A,1−Bの間で振動を繰り返す。
【0026】
図2では模式的に正イオン4が振動しながら右方向へ移動するような感じに描いてあるが,これは説明の便の為であって、実際は右方向への移動は行わずに一箇所で上下振動をする。電子線3とガス粒子の衝突は、電子線の飛翔距離全体に渡って引き起こされる。イオンの振動は、それぞれのイオンのイオン化した位置において、電子線3の方向に直行する方向で行われる。それらが最終的な検出信号に寄与する事になり、イオン化された粒子全部が信号強度に寄与する。
【0027】
その際の振動数は正イオン4の質量の関数であって、振動数(周波数)をf,平行平板電極1の極間距離をL,イオン加減速電源11の電圧をV,正イオン4の質量をMとすれば,f∝[√(V/M)]/Lの関係となる。
【0028】
ここで電子を加速するパルス電源10の周期を掃引すれば,パルス周波数が上記のfと同期したところで,2枚の平行平板電極1の間には定常的に,質量数Mの正イオン4のB−K型共振振動が持続する。質量の小さいイオンは高い周波数で,大きいイオンは低い周波数で振動する事になる。
【0029】
このイオン振動を電気的共振回路12が検知する。さらに電気的共振回路12の出力を,電子を加速するパルス電源10のパルス周期に同期させる同期検波をする事によって,イオン共振とは関係の無い外乱ノイズ、あるいは電気的共振回路12に発生するハーモニックス等を除去する事が出来て,検知の信頼性が格段に向上する。
【0030】
以上で説明を加えた第1実施例においては,グリッド電極は,平行平板電極1−A,1−Bの中間に配置され,特にその配置位置に関しての特定を行っておらない。一つの推奨される位置としては、平行平板電極1−A, 1−Bの中央位置である。グリッド電極がこの位置に置かれる場合は、構造がシンプルである事、グリッド電極と両平行平板電極との間の電場分布が対称であり、イオン振動の数学的取り扱いが単純化できるなどの特徴がある。
【0031】
次に第2実施例について、図3を用いて説明する。この第2実施例の特徴は、グリッド電極の配置にある。グリッド電極は、飛翔電子線近傍の電極から離れた位置に置かれる。すなわち、グリッド電極は、両電極の中央位置に配置されるのではなく、中央から外れて、飛翔電子線に遠ざけて置かれる。このような配置により、電子線は、加減速用電極の作る電場の影響を少なくする事が出来、電子線飛翔軌跡の偏向を極小に抑える事が出来る。
【0032】
第2実施例の動作原理は,図3に示すとおりである。図中の各要素の働きは図2の各要素と同様であるが,グリッド電極の位置が,両加減速電極間1−A,1−Bの中央におかれている図2の第1実施例と異なり,本第2実施例においては、それが平行平板電極1−Aの近傍に,これと平行に張られている。
【0033】
本発明のイオン振動型質量分析装置に於いては、グリッド電極2に印加したイオンの加減速電源11によって、平行平板電極1―A,1−B電極面にほぼ垂直に電場が作られており、これによって電子線はB電極に向かって偏向される。更に厳密に言うと、コントロール電極6の付近で発生したイオンは、トラップ7に近い所で生じたイオンよりも、1−B電極から離れたところで発生する事になる。これは、イオンの発生場所に応じてイオン振動数の誤差を生み、ひいては質量分析計の質量分解能の低下を招く。所が、図3で示す第2実施例に於いては、グリッド電極2を2つの平行平板電極の中心から偏って張って、B電極側の電場を弱くし、B電極の近傍を電子線3を走らす。これによって、電子線3の偏向は少なく、質量分解能の低下も生じない。
【0034】
電子線とガス粒子が衝突した個所で、ガス粒子のイオン化は引き起こされるが、電子線の走る位置における電場強度を弱くする電極構造であるため、電子線はその走る軌跡全体に渡って、偏向を受ける事が殆どない。従って、イオン化の起きる位置は、加減速電場の方向内においては常に一定である。この事は、イオンの共振周波数偏差を極小にする事につながり、イオンの質量分解能を低下させない
【0035】
上記の構造物は、例えば口径114mmの標準ICFフランジに取りつけ、そのまま真空容器の中に収める事が可能である。このような構成によって、真空容器中の残留ガス分析を、容易に行う事が出来る構造簡単なイオン共振型質量分析計を提供する事ができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明ではイオンの共振振動が、電子線の飛翔方向とは直行する方向に選ばれているため,大きな空間を必要とせず,装置の小型化が実現できた。かつ分離したイオンの検出をイオン共振用電極と組み合わせた外部の電気的共振回路で行うために,イオン検知用電極を不要とし、電極構造が非常に簡単となった。また同期検波方式の検知回路は、外乱ノイズに影響され無い計測方法の実現を可能にした。これは装置を小型化し、そこから発生するガスを少なくする事ができたので、高真空、超高真空への利用を可能にした。また電極の小型軽量化による製造コストの削減と高感度の測定により使用範囲の拡大に大きな効果があった。
更に又、第2実施例においては,飛翔電子線が偏向を殆ど受けない構造にした事から,質料分解能を上げる事ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極構造を原理的に示す鳥瞰図
【図2】本発明の動作原理図(実施例1)
【図3】本発明の動作原理図(実施例2)
【符号の説明】
1−A,1−B 平行平板電極
2 グリッド電極
3 電子線
4 正イオン
5 電子線発生用熱フィラメント
6 電子線加速用コントロール電源
7 電子線トラップ
8 真空容器
10 パルス電源
11 イオンの加減速電源
12 共振回路[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a gas analyzer of the mass spectrometer type. More specifically, the present invention relates to a leak detector of a vacuum device, a component analyzer of a residual gas in the vacuum device, an analyzer of a trace gas contained in the gas, and the like. These include, for example, leak inspection, maintenance work, gas partial pressure measurement of vacuum equipment, rapid detection of toxic gas in environmental measurement, and clean vacuum in vacuum technology used in semiconductor manufacturing sites and the like. It is used for achievement, etc.
[0002]
[Prior art]
Mass spectrometers for gas analysis have various operating principles. For example, there are several types such as a quadrupole mass spectrometer, a sector magnetic field mass spectrometer, a time of flight mass spectrometer, an omegatron mass spectrometer, and an ion resonance mass spectrometer. Each device has advantages and disadvantages in performance, and has been used according to the purpose.
[0003]
In the technology using a vacuum, it is necessary to measure and manage the quality of the vacuum as well as the total pressure measurement for simply measuring the degree of vacuum. For example, in semiconductor manufacturing equipment in the semiconductor industry, the detection and minimization of residual gases, especially harmful gases that hinder the manufacturing process, is required to create semiconductor circuits that are miniaturized to the order of microns and submicrons. Is particularly important in
[0004]
The management of the quality of the vacuum means to analyze, measure and manage the component concentration of the trace impurity gas remaining in the gas to be measured, including the strict measurement of the vacuum pressure itself in the vacuum vessel. If these analyzes, measurements and controls do not reach a satisfactory level, for example in the semiconductor manufacturing industry, it is impossible to achieve economically required manufacturing yields.
[0005]
Not only in semiconductor manufacturing technology, but in any field that uses vacuum technology, the importance of vacuum quality control is increasing more and more. There has been a demand for a mass spectrometer capable of identifying and analyzing component gases and measuring the partial pressure of each constituent gas.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
Until now, various analyzers have been used for the measurement of the total pressure of the vacuum, the identification analysis of the component gases, and the measurement of the partial pressure. Was heavy and bulky and expensive. It has been pointed out that the complexity of the electrode structure has a fatal drawback in a vacuum measurement device, particularly in the measurement of high vacuum and ultra-high vacuum.
[0007]
In equipment used in a vacuum, the gas adsorbed on the tube wall of the equipment or on the surface of components such as electrodes provided in the vacuum vessel is released into the vacuum atmosphere during operation of the equipment, causing unexpected adverse effects. Cause. In particular, in high-vacuum and ultra-high-vacuum equipment, various measures have been made to minimize the gas generated from the wall surface of the vacuum vessel and the surface of equipment parts. Is a very serious obstacle even if a small amount of adsorbed gas is generated. The complexity of the electrode structure of the component gas identification and partial pressure measurement vacuum gauges leads to an increase in the surface area of these structures, causing a large amount of gas release. In addition, the increase in size of the device impairs the ease of use. The structure of the vacuum device is required to have a simple structure and to have a surface area of a portion exposed to a vacuum atmosphere as small as possible.
[0008]
From 1959 to the early 1960s, there was an ion resonance type mass spectrometer using only an electric field, which was announced under the name of Farvitron [trade name] by a vacuum equipment manufacturer [Leybold GmbH] in West Germany. Almost no type gas analyzer is used.
[0009]
The ion resonance type mass spectrometer is a mass spectrometer published by Tretner and utilizing the resonance phenomenon of ions in an electric field. (Z. Angew. Phys. 11395 (1959)). The gas molecules in the test substance are ionized by the collision of accelerated electrons, and are put into an electric field having a parabolic potential distribution in the traveling direction of the ions. The electric field of the parabolic potential distribution is generated by the entrance electrode, the terminal electrode of the same potential as the entrance electrode, and the center electrode located at the center of the two electrodes and having a potential lower than the potential of both electrodes. A signal detection electrode is further provided outside the termination electrode.
[0010]
Initially, ions generated by collision with electrons are accelerated toward the center electrode after passing through the entrance-side electrode, and have a maximum velocity at the position of the center electrode. After passing through the center electrode, the speed is reduced toward the terminal electrode. The ions whose velocity becomes zero at the position of the terminal electrode reverse the direction of motion, and the electric field that previously worked as a deceleration electric field works as an acceleration electric field, and after passing through the center electrode, it moves toward the entrance side electrode. Proceed while decelerating. In this way, ions reciprocate between the entrance electrode and the terminal electrode.
[0011]
The oscillating motion of ions as described above is widely known as the oscillating motion of charged particles in an electric field having a parabolic potential distribution under the name of Barkhausen-Kurtz oscillation (abbreviated as BK oscillation). The resonance frequency of the charged particle is determined by the specific charge m / e of the charged particle if the electric field distribution is constant.
[0012]
If ions are not continuously formed but pulsed and emitted intermittently, and the pulse frequency is tuned to the BK frequency of the ions, each time a group of ion clouds comes to the entrance-side electrode As new ions are added, the ions increase, causing a resonance phenomenon. The vibration between the two electrodes of the resonant ion cloud is detected as an electric signal at the signal detection electrode.
[0013]
The above is the principle of the ion resonance type mass spectrometer provided by Tretner, but using this for high vacuum and ultra-high vacuum has a major drawback.
[0014]
Since the flight direction of the accelerating electron beam and the vibration direction of the ion coincide, the distribution of the vibration energy is affected by the distribution of the incident kinetic energy of the ions created by the collision with the electron beam at the position of the entrance electrode. As a result, the final resolution of the obtained mass spectrometry spectrum is deteriorated.
[0015]
The electrode structure of the ion vibration mass spectrometer proposed by Tretner is extremely complicated. The components provided in the vacuum atmosphere include an electron gun for generating an electron beam, an electron beam accelerating electrode, an electron beam collector electrode, an entrance electrode, a center electrode, a terminal electrode, and a signal detection electrode. The large number of components increases the amount of gas adsorbed on the component parts, and extremely increases the amount of gas generated in a high vacuum or ultra-high vacuum atmosphere.
[0016]
The present invention provides a compact, lightweight, and low-cost mass spectrometer by making the electrode structure compact and simple, making it possible to extremely reduce the amount of adsorbed gas on the surface of the structure. To the purpose.
[0017]
Means and Action for Solving the Problems
The mass spectrometer according to the present invention is configured as follows to achieve the above object. Therefore, the mass spectrometer of the present invention first operates according to the following operation principle.
{Circle around (1)} A DC electric field is applied to the charged particles, and only ions having a specific mass are separated by BK vibration in a direction perpendicular to the flight direction of the electron beam.
{Circle around (2)} Further, an electrode structure is provided which almost eliminates the deflection of the electron beam irradiated for the ion generation due to the electric field.
(3) Vibration of the separated ions is detected by an external resonance circuit.
{Circle around (4)} A synchronous detection technique is used to detect vibration.
[0018]
The first ion resonance type mass spectrometer (corresponding to claim 1) is characterized in that BK resonance vibration of ions is performed in a direction orthogonal to a flight direction of an electron beam. In a conventional Tretner-type (Farvitron trade name) mass spectrometer, ions are vibrated in the same direction as the flight direction of accelerated electrons, and by taking this amplitude longer, the frequency is suppressed to a measurable range. . In the present invention, as will be described later, the flight direction of the electron beam and the vibration direction of the ions are taken in directions orthogonal to each other, thereby making it possible to significantly simplify and reduce the electrode structure.
[0019]
As a result, it has become possible to apply the ion resonance mass spectrometer to high vacuum and ultra-high vacuum, which has been conventionally difficult to adapt, and it has been possible to greatly expand its application range.
[0020]
The second ion resonance type mass spectrometer (corresponding to claim 2) performs BK resonance vibration of ions in a direction perpendicular to the flight direction of the electron beam. The structure is hardly affected by the deceleration electric field. That is, in the second embodiment, since the structure in which the acceleration / deceleration electric field of the ion vibration has little effect on the electron beam, the deviation of the ion frequency caused by the ionization point can be reduced to a negligible level. . As a result, the mass resolution of ions can be improved, and the range of application can be greatly expanded.
[0021]
The third ion resonance type mass spectrometer (corresponding to claim 3), regarding the detection of the ion cloud, uses the acceleration / deceleration electrode for the ion resonance vibration itself as a part of the electric resonance circuit, and forms the ion cloud. The purpose is to detect the resonance vibration as a displacement current between both electrodes. This eliminates the need for specially providing an electrode for ion detection, thereby enabling a simpler electrode structure.
[0022]
Further, the fourth ion resonance mass spectrometer (corresponding to claim 4) is that a synchronous detection method is adopted for electric signal detection. By performing synchronous detection in synchronization with the pulse period of the electron beam generation pulse, disturbance noise included in the detection signal is cut off, enabling highly stable and highly sensitive measurement.
[0023]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
1, 2, and 3 are all for explaining the structure and operation principle of the present invention. FIG. 1 is a bird's-eye view showing the operation principle of the present invention, FIG. 2 is a sectional view showing a first embodiment, and FIG. 3 shows a second embodiment. In each of the embodiments, a structure in which a parallel plate electrode for generating an acceleration / deceleration electric field for ion resonance, which is a feature of the present invention, is combined with a part of an electric resonance circuit is adopted. In the figure, 1-A and 1-B are parallel plate electrodes, 2 is a grid electrode, 3 is an electron beam, 4 is a positive ion, 5 is a hot filament for generating an electron beam, 6 is an electron beam control electrode, and 7 is an electron. A line trap, 8 is a vacuum vessel, 10 is a pulse power supply, 11 is an ion acceleration / deceleration power supply, and 12 is an electric resonance circuit.
[0024]
The operation principle will be described first with reference to FIGS. Each of the elements 1 to 7 is housed in a vacuum vessel evacuated by a vacuum pump.
The electrons emitted from the hot filament 5 are accelerated by the pulse power supply 10 and pass through the control electrode 6 to become the electron beam 3. The electron beam 3 flows into the trap 7 through the vicinity of one electrode 1-B of the parallel plate electrode 1. On the way, it collides with gas molecules remaining in the vacuum vessel and ionizes them to generate positive ions 4.
[0025]
The positive ions 4 are first accelerated by the acceleration / deceleration electric field applied by the ion acceleration / deceleration power supply 11 in a direction perpendicular to the flight direction of the electron beam 3 and move toward the grid electrode 2. When the ions 4 pass through the grid electrode 2, the acceleration / deceleration electric field applied by the same ion acceleration / deceleration power supply 11 gives the ions a deceleration action. The ions fly in the direction of the other electrode 1-A of the parallel plate electrode 1 while being decelerated here. When the ions arrive at the parallel plate electrode 1-A, their velocities become zero, where they are reversed and head for the grid electrode 2 again. At this time, the acceleration / deceleration electric field applied by the ion acceleration / deceleration power supply 11 functions as an acceleration field. Thus, the positive ions 4 repeatedly oscillate around the grid electrode 2 between the two parallel plate electrodes 1-A and 1-B.
[0026]
In FIG. 2, the positive ions 4 are schematically depicted as moving to the right while oscillating. However, this is for the convenience of explanation. Vibrates vertically. The collision between the electron beam 3 and the gas particles is caused over the entire flight distance of the electron beam. The vibration of the ions is performed in a direction orthogonal to the direction of the electron beam 3 at the ionized position of each ion. They will contribute to the final detection signal, and all the ionized particles will contribute to the signal strength.
[0027]
The frequency at that time is a function of the mass of the positive ions 4. The frequency (frequency) is f, the distance between the parallel plate electrodes 1 is L, the voltage of the ion acceleration / deceleration power supply 11 is V, Assuming that the mass is M, the relationship is f∝ [√ (V / M)] / L.
[0028]
Here, if the cycle of the pulse power supply 10 for accelerating electrons is swept, when the pulse frequency is synchronized with the above-mentioned f, the positive ions 4 having a mass number M are constantly steadily between the two parallel plate electrodes 1. BK-type resonance vibration is maintained. Ions with smaller masses oscillate at higher frequencies and larger ions oscillate at lower frequencies.
[0029]
The electric resonance circuit 12 detects this ion vibration. Further, by performing synchronous detection in which the output of the electric resonance circuit 12 is synchronized with the pulse period of the pulse power supply 10 for accelerating electrons, disturbance noise unrelated to ion resonance or harmonics generated in the electric resonance circuit 12 And the like can be removed, and the reliability of detection is greatly improved.
[0030]
In the first embodiment described above, the grid electrode is disposed in the middle of the parallel plate electrodes 1-A and 1-B, and the position of the grid electrode is not specified. One recommended position is the center position of the parallel plate electrodes 1-A and 1-B. When the grid electrode is placed at this position, the features are that the structure is simple, the electric field distribution between the grid electrode and both parallel plate electrodes is symmetric, and the mathematical treatment of ion vibration can be simplified. is there.
[0031]
Next, a second embodiment will be described with reference to FIG. The feature of the second embodiment lies in the arrangement of the grid electrodes. The grid electrode is placed at a position away from the electrode near the flying electron beam. That is, the grid electrode is not located at the center of both electrodes, but is placed off the center and away from the flying electron beam. With such an arrangement, the electron beam can reduce the influence of the electric field generated by the acceleration / deceleration electrode, and can minimize the deflection of the electron beam trajectory.
[0032]
The operation principle of the second embodiment is as shown in FIG. The operation of each element in the figure is the same as that of each element in FIG. 2, but the position of the grid electrode is located at the center between the acceleration / deceleration electrodes 1-A and 1-B in the first embodiment of FIG. Unlike the example, in the second embodiment, it is stretched near and parallel to the parallel plate electrode 1-A.
[0033]
In the ion vibration type mass spectrometer of the present invention, an electric field is generated substantially perpendicularly to the electrode surfaces of the parallel plate electrodes 1-A and 1-B by the ion acceleration / deceleration power supply 11 applied to the grid electrode 2. This causes the electron beam to be deflected toward the B electrode. Strictly speaking, ions generated near the control electrode 6 are generated farther from the 1-B electrode than ions generated near the trap 7. This causes an error in the ion frequency depending on the location where the ions are generated, which in turn causes a decrease in the mass resolution of the mass spectrometer. However, in the second embodiment shown in FIG. 3, the grid electrode 2 is biased from the center of the two parallel plate electrodes to weaken the electric field on the B electrode side, and the electron beam 3 near the B electrode. Run. Thereby, the deflection of the electron beam 3 is small, and the deterioration of the mass resolution does not occur.
[0034]
At the point where the electron beam collides with the gas particle, ionization of the gas particle is caused.However, the electrode structure weakens the electric field strength at the position where the electron beam runs, so that the electron beam deflects over the entire trajectory where it runs. I rarely receive it. Therefore, the position where ionization occurs is always constant in the direction of the acceleration / deceleration electric field. This leads to minimizing the resonance frequency deviation of the ions, and does not lower the ion mass resolution.
The above structure can be mounted on a standard ICF flange having a diameter of 114 mm, for example, and can be stored in a vacuum vessel as it is. With such a configuration, it is possible to provide an ion resonance type mass spectrometer having a simple structure capable of easily performing residual gas analysis in a vacuum vessel.
[0036]
【The invention's effect】
In the present invention, since the resonance vibration of the ions is selected in a direction perpendicular to the flight direction of the electron beam, a large space is not required and the device can be downsized. In addition, since the detection of separated ions is performed by an external electric resonance circuit in combination with the ion resonance electrode, the ion detection electrode is not required, and the electrode structure is extremely simplified. In addition, the synchronous detection method detection circuit has enabled the realization of a measurement method that is not affected by disturbance noise. This reduced the size of the device and reduced the amount of gas generated from it, making it applicable to high vacuum and ultra-high vacuum. In addition, the manufacturing cost was reduced by reducing the size and weight of the electrodes, and the use of the electrodes was greatly enhanced by the high-sensitivity measurement.
Further, in the second embodiment, since the flying electron beam is hardly deflected, the resolution of the material can be increased.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a bird's-eye view showing the principle of the electrode structure of the present invention. FIG. 2 is a diagram showing the operation principle of the present invention (Example 1).
FIG. 3 is a diagram illustrating the operation principle of the present invention (Example 2).
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1-A, 1-B Parallel plate electrode 2 Grid electrode 3 Electron beam 4 Positive ion 5 Heat filament for generating electron beam 6 Control power supply for electron beam acceleration 7 Electron beam trap 8 Vacuum container 10 Pulse power supply 11 Ion acceleration / deceleration power supply 12 Resonance circuit