JP2004109179A - カラーレジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)と塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)を含む単量体類(G)を重合して得られる共重合体(I)からなるフッ素系界面活性剤を含有するカラーレジスト組成物であって、単量体類(G)中の塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)の含有率が5〜70重量%であることを特徴とするカラーレジスト組成物。
【選択図】 なし。
Description
【発明が関連する技術分野】
本発明は、スピンコート等による塗布性に優れ、カラー液晶ディスプレーに使用されるカラーフィルター等の作製に好適に用いることができるカラーレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー液晶ディスプレー等に用いられるカラーフィルターは、一般に赤(R)、緑(G)、青(B)の各画素と、その間に表示コントラスト向上等の目的でブラックマトリックス(BM)が形成された基本構成を有する。カラーフィルターの作製においては、一般的にガラス基板上にカラーレジスト組成物をスピンコートなどの塗布方法によって塗布し、乾燥後マスクを用いて露光、次いで現像し着色パターンを形成させるが、塗布の平滑性が良好でなく膜厚にムラがある場合や塗布ムラ、ハジキなどがある場合は画素の色ムラが発生する。このような色ムラを有するカラーフィルターを用いてカラー液晶ディスプレーを作製した場合、該ディスプレーに得られる画像もまた色ムラが生ずる。即ち、カラーフィルターにおけるこれらのR、G、B各画素及びBMの表面は高い平滑性が要求されており、そのためにはカラーレジスト組成物を塗布する際には均一な膜厚で、且つ塗布ムラ、ハジキが発生しないように塗布を行なう必要がある。
【0003】
このような問題に対し、従来塗布ムラを防止するためにフッ素系界面活性剤を使用する手法がとられており、その効果を顕著にするために該活性剤に用いる共重合体の構成成分の改良が行われている(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかしながらこれらのフッ素系界面活性剤をカラーレジスト組成物の一成分として用いた場合、近年の基板の大型化や、スピンコート、スリットコートなど塗布方法の多様化が進んでいる現状下においては、色ムラ防止効果が実用的なレベルではなく、改良が求められている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−230154号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平10−309455号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開2002−139830号公報(特許請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような実情に鑑み、本発明の課題は、スピンコート等による塗布性に優れ、カラー液晶ディスプレーに使用されるカラーフィルター等の作製に好適に用いることができるカラーレジスト組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、共重合成分としてフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体と塩基性基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体類を重合して得られた共重合体を有効な界面活性成分として含有するフッ素系界面活性剤を配合したカラーレジスト組成物は、スピンコ−ト等による塗布時に塗布ムラが発生せず、均一な塗膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)と塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)を含む単量体類(G)を重合して得られる共重合体(I)からなるフッ素系界面活性剤を含有するカラーレジスト組成物であって、単量体類(G)中の塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)の含有率が5〜70重量%であることを特徴とするフッ素系界面活性剤を含有するカラーレジスト組成物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本発明において(メタ)アクリレ−トは、メタクリレ−ト、アクリレ−ト、フッ素化アクリレ−ト、塩素化アクリレ−トを総称するものとする。
【0009】
本発明で用いるフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)としてはその構造が特に限定されるものではなく種々のものを使用することが可能であるが、例えば下記一般式(a1)、(a2)
【化3】
[式中、Rfは炭素数1〜20のパ−フルオロアルキル基または部分フッ素化アルキル基であり、直鎖状、分岐状または主鎖中に酸素原子が介入したもの、例えば−(OCFCF2)2CF(CF3)2等でも良く、R9は水素原子、メチル基、塩素原子またはフッ素原子であり、Xは2価の連結基で、mは0または1である。]
で示されるものが挙げられる。
【0010】
前記一般式(a1)、(a2)中のX(2価の連結基)としては、以下のものが挙げられる。
【化4】
(式中、nは1〜10の整数であり、R10は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。)、
または、
【化5】
【0011】
前記単量体(A)としては、例えば下記構造式(a1−1)〜(a1−55)及び(a2−1)で示される化合物が挙げられる。
【化6】
【0012】
【化7】
【0013】
【化8】
【0014】
【化9】
【0015】
【化10】
【0016】
【化11】
【0017】
前記単量体(A)は、1種類だけを用いても良いし、構造が異なる2種類以上の化合物の混合物であっても良い。
【0018】
本発明で用いるフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)は、カラーレジスト組成物を塗布した際の膜厚の振れの抑制、塗布ムラ、例えばストリエ−ションや色ムラの発生防止等の性能を発揮する共重合体を得る上で必須の成分であり、これらの効果が顕著である点から、該単量体(A)中のパ−フルオロアルキル基または部分フッ素化アルキル基の炭素数としては3〜12の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることが特に好ましい。また、単量体類(G)中の該単量体(A)の含有率が1〜95重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることが特に好ましく、2〜30重量%であることが最も好ましい。
【0019】
本発明で用いる塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)は、同一分子内にエチレン性不飽和基と第1〜3級アミノ基等の塩基性基を併せ持つ構造を有する化合物が挙げられ、顔料等の着色剤との相互作用効果が高く、着色剤の分散安定性が良好で、塗布ムラの発生を防止できる共重合体が得られることから、脂肪族アミノアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピリジン類が好ましく、例えば、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン等が挙げられる。
【0020】
具体例としては、下記構造式(b−1)〜(b−10)で示されるものが挙げられる。
【化12】
【化13】
【化14】
【0021】
前記単量体(B)は、1種類だけを用いても良いし、構造が異なる2種類以上の化合物の混合物であっても良い。
【0022】
単量体類(G)中の塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)の含有率が5重量%未満である単量体類から得られる共重合体をフッ素系界面活性剤として使用したカラーレジスト組成物は、該界面活性剤中の塩基性基の量が不足することによってカラーレジスト組成物をスピンコート、スリットコート等によって塗布したときの塗布ムラ防止に対し充分な効果が得られず、また該単量体(B)の含有率が70重量%を越える単量体類から得られる共重合体からなるフッ素界面活性剤は、カラーレジスト組成物を構成する他の構成成分との相溶性が悪くなることから好ましくない。従って単量体類(G)中の該単量体(B)の含有率は、5〜70重量%であることを必須とする。
【0023】
更に、カラーレジスト組成物をスピンコート等によって塗布したときの塗布ムラ防止に対して大きな効果が得られる共重合体を得ることができ、かつ、カラーレジスト組成物に対する該共重合体の溶解性が良好である点から、単量体類(G)中の該単量体(B)の含有率は10〜55重量%であることが特に好ましく、15〜45重量%であることが最も好ましい。また、該単量体(B)を含む単量体類(G)から得られる共重合体からなるフッ素系界面活性剤を配合したカラーレジスト組成物を使用した場合は、現像性向上の効果が高く露光後の現像における着色パターンが明確になる効果も得ることができる。
【0024】
本発明で用いる単量体類(G)としては、カラーレジスト組成物の塗布性向上や塗布ムラの発生防止、およびカラーレジスト組成物中への泡の抱き込み防止に効果がある共重合体が得られることから、更にシリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体(C)及び/又は分岐状脂肪族炭化水素基含有エチレン性不飽和単量体(D)を含有することが好ましい。
【0025】
前記シリコ−ン鎖含有エチレン性不飽和単量体(C)のシリコーン鎖の構造としては下記一般式(1)
【化15】
[式中、R1、R2は炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基又は下記一般式(2)
【化16】
(式中、R6、R7、R8は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、qは0〜3の整数である。)
で示される官能基であり、R3、R4、R5は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、pは0〜500の整数である。]
で示されるものが挙げられる。
【0026】
前記シリコ−ン鎖含有エチレン性不飽和単量体(C)の具体例としては下記構造式(c−1)〜(c−3)で示されるものが挙げられる。
【化17】
【0027】
【化18】
(式中、p、p’、p”は0〜500の整数であり、同じでも異なっていても良く、r、s、tは0〜3の整数であり、同じでも異なっていても良い。)
【0028】
前記単量体(C)は、1種類だけを用いても良いし、構造が異なる2種類以上の化合物の混合物であっても良い。
【0029】
本発明のカラーレジスト組成物の塗布性向上や塗布ムラの発生防止、液中パ−ティクルの発生防止、カラーレジスト組成物中への泡の抱き込み防止および現像液の塗れ性不良による現像ムラの発生防止に対して有用な共重合体が得られることから、シリコ−ン鎖含有エチレン性不飽和単量体(C)のシリコ−ン鎖部分の分子量としては5,000以下が好ましく、特に100〜1,000のものが好ましく、更にシリコーン鎖部分の構造としては、前記一般式(c−3)に示すような分岐型のものが好ましく、その中でも前記一般式(c−3)中でr、s、tが0のものが特に好ましい。
【0030】
前記分岐状脂肪族炭化水素基含有エチレン性不飽和単量体(D)としては、特に制限されるものではないが、工業的原料の入手の容易性、カラーレジスト組成物中の各成分に対する溶解性が良好な共重合体が得られ、かつ重合反応性が良好である点から、エチレン性不飽和基としてアクリルエステル基を含有するものが好ましく、例えば下記構造式(d−1)〜(d−12)で示されるものが挙げられる。
【化19】
【化20】
【0031】
前記単量体(D)は、1種類だけを用いても良いし、構造が異なる2種類以上の化合物の混合物であっても良い。
【0032】
前記単量体(D)としては、カラーレジスト組成物の起泡性の抑制、レベリング性の向上による均質且つ皮膜の形成が良好となる共重合体が得られることから、分岐状脂肪族炭化水素系骨格の構造において末端のうち少なくとも1つが3級炭素または4級炭素である化合物を使用することが好ましい。更に、分岐状脂肪族炭化水素系骨格の炭素数の合計が4以上の単量体を用いることにより、レベリング性、消泡性、後加工適性に対してさらに効果があり特に好ましい。
【0033】
本発明で用いるシリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体(C)及び/または分岐状脂肪族炭化水素系骨格を有するエチレン性不飽和単量体(D)は、カラーレジスト組成物の起泡性を抑制することにより、コーティング時の作業性を向上させ、高速、高剪断力の伴うコーティング方法にも対応し得るために有効なフッ素系界面活性剤として好適に用いられる共重合体を形成する成分であり、該組成物の静的および動的表面張力を低下させることにより、基材に対するレベリング性を向上させ、均質かつ平滑な皮膜の形成に寄与すると推測され、これらの効果が顕著である点から、単量体類(G)中の該単量体(C)及び/又は該単量体(D)の含有率が5〜60重量%であることが好ましく、7〜40重量%であることが特に好ましい。
【0034】
本発明のカラーレジスト組成物の優れた塗布性、塗布ムラの発生防止、液中パ−ティクルの発生防止、泡の抱き込みの低減化、現像液の塗れ性向上に伴う、優れた現像性等の諸性能をより向上させる共重合体が得られる点から、単量体類(G)として更にポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和単量体(E)を用いることが好ましい。該単量体(E)としては、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル又はジ(メタ)アクリル酸エステル、若しくは末端が炭素数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。更に、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル又はジ(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体のモノ(メタ)アクリル酸エステルとポリエチレングリコ−ルのジ(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、これら両者を同時に用いることが更に好ましい。
【0035】
本発明で用いるポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和単量体(E)は、得られる共重合体からなるフッ素系界面活性剤のカラーレジスト組成物中のその他の構成成分との相溶性が良く、フッ素系界面活性剤の使用量の調製が容易になる点から、単量体類(G)中の該単量体(E)の含有率が5〜80重量%であることが好ましく、10〜60重量%であること特に好ましい。
【0036】
本発明で用いる単量体類(G)としては、必要に応じて、更にその他のエチレン性不飽和単量体(F)を使用することができる。
【0037】
前記その他のエチレン性不飽和単量体(F)としては、例えば、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の一価ないし二価のカルボン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の誘導体として、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以後この表現はアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルの両方を総称するものとする。)、即ち(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ステアリルエステル等、また(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のヒドロキシアルキルエステル、即ち2−ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステル等が挙げられ、これらの中でも、工業的原料の入手の容易性、単量体類(G)の共重合が容易である点からメタクリル酸メチルが好ましい。
【0038】
また(メタ)アクリル酸の、炭素数が3〜18のエーテル酸素含有アルキルエステル、例えばメトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、メトキシプロピルエステル、メチルカルビルエステル、エチルカルビルエステル、ブチルカルビルエステル等、更に橋状結合含有モノマーとして、例えばジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等、またアルキル炭素数が1〜18のアルキルビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等、(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル、即ちグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等、またサートマー社製スチレンマクロモノマー4500、新中村化学工業(株)NKエステルM−230G等のマクロモノマー等が挙げられる。
【0039】
更にγ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のシランカップング基含有単量体、分子中に極性基、とりわけアニオン性基や水酸基を含有する単量体として、アクリル酸、メタアクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、部分スルホン化スチレン、モノ(アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェ−ト、モノ(メタクリロキシエチル)アシッドホスフェ−ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
【0040】
本発明で用いるフッ素系界面活性剤に用いる共重合体(I)の製造方法には何ら制限はなく種々の方法を用いることが可能であり、例えばラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法を用いて、それぞれ溶液重合、塊状重合、エマルジョン重合等によって製造できるが、特にラジカル重合法が簡便であり工業的に好ましい。
【0041】
この場合の重合開始剤としては特に制限されるものではないが、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ジアシル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ化合物、Mn(acac)3等の金属キレート化合物等が挙げられる。
【0042】
さらに必要に応じてラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノ−ル、エチルチオグリコ−ル酸、オクチルチオグリコ−ル酸等の連鎖移動剤や、更にγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のカップリング基含有チオ−ル化合物を連鎖移動剤等の添加剤として使用することができる。
【0043】
また光増感剤や光開始剤の存在下での光重合あるいは放射線や熱をエネルギー源とする重合によっても本発明で用いるフッ素系のランダムもしくはブロック共重合体を得ることができる。
【0044】
重合は溶剤の存在下又は非存在下のいずれでも実施できるが、作業性の点から溶剤存在下の場合の方が好ましい。前記溶剤としては、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブタノ−ル、iso−ブタノ−ル、tert−ブタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶剤、1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、更にパ−フルオロオクタン、パ−フルオロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナ−トリキッド類のいずれも使用できる。
【0045】
本発明で用いる共重合体(I)の数平均分子量としては、Mn=1,000〜200,000であり、優れた塗布性、ストリエーション等の塗布ムラの発生防止、液中パ−ティクルの発生防止、泡の抱き込みの低減化、現像時の現像液の塗れ性向上に伴う、優れた現像性を発揮する点から2,000〜50,000が好ましく、更にカラーレジスト組成物を塗布した際の塗布ムラを効率よく防止できる点から3,000〜30,000が特に好ましい。
【0046】
本発明のカラーレジスト組成物は、上記フッ素系界面活性剤を含有することの他は特に制限されるものではなく、カラーレジスト組成物中の成分として使用される各成分、例えば、着色剤(顔料、染料等)、分散剤、バインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤の各成分等と、上記単量体類(G)を共重合して得られる共重合体(I)を有効な界面活性成分として含むフッ素系界面活性剤とからなるものである。
【0047】
以下、これらの各成分について説明する。
前記着色剤としては、赤色、緑色、青色、黒色等の顔料および染料等を特に制限なく使用することができるが、耐熱性、耐光性の面から顔料が好ましく、通常、平均粒径が0.005〜3μmであり、特に塗布性が良好で透明性のある塗膜が得られることから0.01〜1μmであることが好ましい。
【0048】
前記分散剤としては、着色剤分散の際に有効である分散剤であれば特に限定されるものではなく、例えば顔料の中間体、染料の中間体、ポリアミド系化合物、ポリウレタン系化合物、アクリル系化合物、ポリエステル系化合物等が挙げられる。
【0049】
前記バインダー樹脂としては、カラーフィルター等の製作工程における露光後の現像の際に使用する現像液として用いるアルカリ性水溶液に可溶な樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えばカルボキシル基含有アクリル樹脂等が挙げられる。
【0050】
前記光重合性モノマーとしては、紫外線や可視光線等のエネルギー線照射により重合または架橋反応可能な光重合性官能基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、単官能性及び/又は多官能性ラジカル重合系化合物、イオン重合系化合物が挙げられ、例えば(メタ)アクリル化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。
【0051】
前記光重合開始剤としては、特に制限されるものではなく、ラジカル重合性、またはイオン重合性開始剤を使用することができる。
【0052】
前記溶剤としては特に制限されるものではないが、塗布性と乾燥性のバランスから、常圧での沸点が80〜200℃のものを使用することが好ましい。
【0053】
本発明のカラーレジスト組成物における上記フッ素系界面活性剤の含有量は、カラーレジスト組成物を基板に塗布する際の必要膜厚、塗布条件等に応じて適宜選択されるものであるが、通常、カラーレジスト組成物100重量部あたり、フッ素系界面活性剤0.01〜10重量部であり、好ましくは0.05〜1重量部である。
【0054】
なお、フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)の含有率が少ない単量体類(G)から得られる共重合体(I)からなるフッ素系界面活性剤を使用する場合においては、本発明のカラーレジスト組成物における該フッ素系界面活性剤の含有量を増加することによって、本発明による効果を十分に発揮させることが可能である。
【0055】
本発明のカラーレジスト組成物における上記フッ素系界面活性剤を混合する方法にも制限はなく、例えば、予め上記各成分を均一に混合したものに添加し混合する方法、着色剤をバインダー樹脂、分散剤、溶剤等により分散させるいわゆるカラーペースト作製時に添加する方法、カラーレジスト組成物の特定の成分に予め溶解、分散させてから該組成物を調製する方法等が挙げられる。
【0056】
本発明のカラーレジスト組成物においては、必要に応じてその他の成分、例えば保存安定剤、可塑剤、増粘剤、チクソ剤、シランカップリング剤等の密着性強化剤等の各種添加剤を添加することが可能である。
【0057】
本発明のカラーレジスト組成物の加工方法としては、種々の方法を適用でき特に制限されるものではないが、例えば、スピンコート、スリットコート、スリット&スピンコート等が挙げられる。
【0058】
また、本発明のカラーレジスト組成物の用途としても特に制限されるものではなく、例えば、パソコン、PDA(携帯情報端末)、テレビ、携帯電話、ビデオ等の液晶ディスプレー製造用等に好適に用いることができる。
【0059】
【実施例】
以下に本発明を具体的な合成例、実施例を挙げてより詳細に説明する。
【0060】
合成例1
撹拌装置、コンデンサ−、温度計を備えたガラスフラスコにフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(a1−1)18重量部、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(b−1)20部、シリコ−ン鎖含有エチレン性不飽和単量体(c−3)(r=s=t=0)12重量部、分子量2000のエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体の片末端アクリレート38重量部、テトラエチレングリコ−ルジアクリレート4重量部、メチルメタクリレ−ト8重量部、およびイソプロピルアルコ−ル(以下、IPAと略す)400重量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流温度まで加温して、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル4重量部を添加した後、15時間還流して重合反応を行い、その後、80℃減圧下で脱溶剤して残った固形物を乾燥することで共重合体を得た。この共重合体を合成例1のフッ素系界面活性剤とする。
【0061】
合成例2〜18
各種単量体類を表1に示す組成で用いた以外は合成例1と同様にして合成例2〜18のフッ素系界面活性剤を得た。尚、表1中の各単量体類の記号は本文または表下に掲載した化合物を示し、その右側の数値は各単量体類の仕込み重量部を示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1の脚注:
表1中の各記号は以下の化合物を示す。
a1−1:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘフ゜タテ゛カフルオロテ゛シルアクリレート
b−1:2−(シ゛メチルアミノ)エチルメタクリレート b−2:2−(シ゛メチルアミノ)エチルアクリレート
b−4:3−(シ゛メチルアミノ)フ゜ロヒ゜ルアクリルアミト゛ b−5:2−(シ゛エチルアミノ)エチルメタクリレート
b−9:4−ヒ゛ニルヒ゜リシ゛ン
c−3:3−{トリス(トリメチルシロキシ)シリル}フ゜ロヒ゜ルメタクリレート (r=s=t=0)
d−12:イソステアリルアクリレート
e−1:分子量約2000のエチレンオキシト゛とフ゜ロヒ゜レンオキシト゛の共重合体の片末端アクリレート
e−2:テトラエチレンク゛リコールシ゛アクリレート
MMA:メチルメタクリレート AA:アクリル酸 BA:フ゛チルアクリレート
【0064】
試験例1〜17、比較試験例1〜4
直径0.5mmのジルコニアビーズ200重量部を仕込んだ高速分散機に、着色剤としてC.I.ピグメントレッド254を8.0重量部、ポリエステル系分散剤としてアジスパーPB814(味の素株式会社製)を2.5重量部、バインダー樹脂としてメタクリル酸/ベンジルメタクリレート=13/87(重量比)共重合体(酸価84mgKOH/g、数平均分子量9500)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略)溶液(不揮発分39.7重量%)を25.0重量部、溶剤としてPGMEA64.5重量部を仕込み、回転数2000rpmで8時間分散を行い、赤色顔料分散液を得た。次に、この赤色顔料分散液100重量部に対し、光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート7.0重量部、光重合開始剤としてイルガキュア#369(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)を0.3重量部を加え混合した。その混合液に、合成例1〜18のフッ素系界面活性剤を所定量の濃度になる様に添加混合した後、孔径1.0μmのフィルターでろ過して、カラーレジスト組成物を調製した。また、比較試験例4としてフッ素系界面活性剤を用いないカラーレジスト組成物を調製した。得られたカラーレジスト組成物の塗布性と現像性について、以下の項目の試験を実施し、評価した。評価結果を表2に示す。
【0065】
塗布性の試験方法及び評価基準
(1)流し塗り
上記の手法によって調製したカラーレジスト組成物0.05mlを、斜め(水平から45度の角度)に設置したガラス板の上部に添加し流れさせることによって流し塗りをした後、室温で30分間乾燥させて、塗布状態を観察した。
◎:色ムラの発生が認められないもの。
○:色ムラの発生がわずかに認められるもの。
△:色ムラの発生がはっきりと認められるもの。
×:色ムラの発生がはっきりと認められ、表面荒れも認められるもの。
【0066】
(2)スピンコート
上記の手法によって調製したカラーレジスト組成物1mlを、12cm四方のガラス板上の中央部分に添加し、回転数600rpm、回転時間30秒間でスピンコ−ティングした後、90℃で3分間加熱乾燥させて、塗布状態を観察した。
◎:塗布ムラの発生が認められないもの。
○:実用上問題ない程度のわずかな塗布ムラの発生が認められるもの。
△:塗布ムラの発生が部分的に認められるもの。
×:塗布ムラの発生が全体的に認められるもの。
【0067】
現像性の試験方法及び評価基準
上記の手法によって調製したカラーレジスト組成物を、スピンコーターを用いてガラス板上に回転数1000rpm、回転時間9秒間で塗布した後、60℃で5分間予備乾燥させて膜厚1.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を線幅50μmのパターンマスクを用い、高圧水銀灯で1000J/m2露光した後、30℃に保持したアルカリ現像液で現像した。現像液として、ID19A1(アイテス社製、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド系)を蒸留水で30倍希釈したものを用いた(PH10.82)。現像後、蒸留水で更に洗浄した。これらの操作による線幅50μmのパターン化状態について観察した。
◎:パターンが良好に形成されたもの。
○:パターンの形成が良好よりもわずかに劣るもの。
△:パターンの欠落部分が発生したもの。
×:パターンが完全に欠落したもの。
【0068】
尚、表2中のフッ素系界面活性剤の含有量(重量%)は、カラーレジスト組成物中におけるフッ素系界面活性剤の含有重量%である。
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】
本発明のよれば、スピンコート等による塗布性に優れ、カラー液晶ディスプレー等に使用されるカラーフィルター等の作製に好適に用いることができるカラーレジスト組成物を提供できる。
Claims (7)
- フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)と塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)を含む単量体類(G)を重合して得られる共重合体(I)からなるフッ素系界面活性剤を含有するカラーレジスト組成物であって、単量体類(G)中の塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)の含有率が5〜70重量%であることを特徴とするフッ素系界面活性剤を含有するカラーレジスト組成物。
- 単量体類(G)中の塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)の含有率が10〜55重量%である請求項1記載のカラーレジスト組成物。
- 塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)が、脂肪族アミノアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類およびビニルピリジン類からなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項2記載のカラーレジスト組成物。
- 単量体類(G)として、更にシリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体(C)及び/又は分岐状脂肪族炭化水素基含有エチレン性不飽和単量体(D)を含有する請求項3記載のカラーレジスト組成物。
- 単量体類(G)として、更にポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和単量体(E)を含む請求項1記載のカラーレジスト組成物。
- 単量体類(G)中のフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)の含有率が2〜30重量%であり、単量体類(G)中の塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)の含有率が15〜45重量%である請求項1〜6のいずれか1項記載のカラーレジスト組成物。
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