JP2004107800A - 立体横編物 - Google Patents
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Abstract
【課題】意匠性に優れ、弾力性のあるクッション性を有し、繰り返し或いは長時間使用しても弾力性が損なわれにくく、クッション性の耐久性に優れた立体横編物を提供する。
【解決手段】表裏二層の横編地がモノフィラメント糸により連結され、表裏の編地の少なくとも一方の編地表面が選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有していることを特徴とする立体横編物。
【選択図】 なし
【解決手段】表裏二層の横編地がモノフィラメント糸により連結され、表裏の編地の少なくとも一方の編地表面が選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有していることを特徴とする立体横編物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー、家具、事務用等の座席シート用クッション材、寝具、ベッドパッド、マットレス、床ずれ防止マット、枕、座布団等のクッション材、衣料用等のスペーサー、保型材、緩衝材、保温材、シューズ用のアッパー材、中敷材、或いはサポーターやプロテクター等に好適に用いられる立体横編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸とから構成された立体編物は、クッション性、通気性、保温性、体圧分散性等の機能を活かして、各種クッション材用途に利用されている。
これらの立体編物は、中間層を構成する連結糸にモノフィラメントを使用することにより、モノフィラメントの曲げ弾性を活用して立体編物の厚み方向にクッション性を付与している。立体編物のクッション性、圧縮回復性を向上させる方法として、特許文献1には、連結糸に弾性回復性の良好なモノフィラメントを用い、立体編物の圧縮回復性を良好にした立体編物が開示されている。
【0003】
しかしながら、ダブルラッセル機やダブル丸編機で編成された立体編物は、メッシュ構造とする程度の意匠性付与は可能だが、例えば車両用座席シートとして用いるには審美性等格段の意匠性が必須であり、かかる用途では、別途、意匠性に優れた生地を積層する等を余儀なくされるものである。又、連結糸のモノフィラメントの形状が何ら考慮されていないため弾力感のあるクッション性は得られておらず、さらに繰り返し或いは長時間使用する場合に、弾力感の低下や厚みの減少が生じる問題があった。さらには、立体編物の表裏の編地の伸長特性や圧縮撓み特性が考慮されていないため、ハンモック式の座席シートにする場合、良好なクッション性が得られない。
一方、特許文献2には立体編物をシートフレームに張設して、ハンモック式の座席シートとして使用することが開示されているが、メッシュ構造の意匠性しかなく、繰り返し使用した場合のクッション性の耐久性も不十分なものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−269747号公報
【特許文献2】
特開2001−87077号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点を解決し、意匠性に優れた立体横編物に関するものであり、さらには弾力感のあるクッション性を有し、繰り返し或いは長時間使用しても弾力感が損なわれにくく、クッション性の耐久性に優れた立体横編物に関する。特に、ハンモック式の座席シートに使用した場合に、反発感のあるクッション性を示すと共に、人体へのフィット感が良好で、かつ座った後に元の形状に復元しないヘタリが少なく形態保持性の良好な立体横編物に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために、立体編物の表裏の編地を選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有する横編地となし、さらには連結するモノフィラメントの直径と湾曲形状、立体編物の圧縮特性、圧縮撓み特性、立体編物に用いる繊維素材について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、表裏二層の横編地がモノフィラメントにより連結され、表裏の編地の少なくとも一方の編地表面が選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有していることを特徴とする立体横編物である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の立体横編物は、表裏二層の編地が横編地であり、この表裏二層の編地を連結する連結糸の少なくとも一部がモノフィラメントであり、かつ表裏の編地の少なくとも一方の編地表面が選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有していることが必要である。表裏二層の編地が横編地であり、編地表面に選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄が付与されることにより、希望する意匠性を存分に付与することが可能となる。
【0008】
ここでいう選針による柄とは、編針の上下運動を一針づつ制御して柄編成を行うことを意味し、これによりメッシュ、鹿の子、あぜ、2コース天竺等の単調な繰り返し柄から、ジャガード等の複雑柄までより高度な意匠性を立体編物表面に付与することができる。又、色糸切り替えによる柄とは、編成コース毎あるいは編成編目毎に任意の色糸を用いて色柄を付与することを意味し、ボーダー等の選針を行わない単純な色柄から、前述の選針による柄と組み合わせた複雑な色柄を付与できるものである。
【0009】
さらに、本発明の立体横編物(以下単に立体編物という)は、表裏二層の編
地の間に位置するモノフィラメントの曲率が0.01〜1.6となる様に立体編物を編成、仕上げ加工することが好ましい。
ここでいうモノフィラメントの曲率とは、立体編物の表裏二相の編地の間に位置するモノフィラメントが最大に湾曲した部分におけるモノフィラメントの中心線でできる円弧の曲率のことをいう。図1は立体編物のウエール列に沿った切断面から見たモノフィラメントの中心線を示す一例である。モノフィラメントの曲率はより好ましくは0.03〜1.0、さらに好ましくは0.05〜0.7である。モノフィラメントの曲率が0.01未満であると、立体編物の厚み方向に荷重が加わった場合、表の編地と裏の編地が立体編物の長さ方向(ウエール列に沿った方向)にずれるせん断変形が生じやすく、圧縮回復時のヒステリシスロスが大きく弾力感のないクッション性となる。また、繰り返し圧縮によりその傾向がさらに増長する。モノフィラメントの曲率が1.6を超えるとせん断変形は生じ難いが、これも弾力感のないクッション性となる。
【0010】
また本発明の立体編物は、立体編物を50%圧縮した時のモノフィラメントの屈曲伸長率が20%以下であることが好ましい。より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。モノフィラメントの屈曲伸長率とは、立体編物を50%圧縮した状態でモノフィラメントが最大に屈曲している個所の、凸側表面の伸長率のことである。図2は立体編物を50%圧縮した状態のウエール列に沿った切断面図であるが、モノフィラメントが最大に屈曲している凸側表面の一例を示す。モノフィラメントの屈曲伸長率が20%を超えると、立体編物を圧縮した後の残留歪が大きく、圧縮回復性の悪い立体編物となるとともに、繰り返し或いは長時間圧縮後に弾力感のあるクッション性が維持できないものとなる。
立体編物のモノフィラメントの屈曲伸長率は、75%圧縮時に20%以下であると圧縮回復性、クッション性の耐久性を向上させる上でさらに好ましい。
【0011】
立体編物におけるモノフィラメントの曲率や50%圧縮時のモノフィラメントの屈曲伸長率を前記適正範囲にするには、立体編物の厚みと用いるモノフィラメントの直径、立体編物中のモノフィラメントの編組織(表裏の編地を連結する際の幅方向の振り幅)、編成時のモノフィラメントの供給量、立体編物の仕上げ加工方法(幅出し率、オーバーフィード率)を最適化し、仕上げ加工後のモノフィラメントを適正形状にする必要がある。このうちモノフィラメントの編組織と立体編物の厚みの関係については、連結糸を編地の幅方向(コース列に沿った方向)に斜めに傾斜させて表と裏の編地を連結し、適正幅出し率で仕上げ加工することにより、図3のコース列に沿った切断面図に示す様に、圧縮前の立体編物の連結糸長H1(mm)と図4に示す50%圧縮後の連結糸長H2(mm)の関係がH1/H2≧0.55となる様にすることが、立体編物が50%圧縮された時の屈曲伸長率を20%以下にする上で好ましい。この際、連結糸長H1及びH2は図3及び図4に示す様に、立体編物をコース列に沿った切断面から見た時に、表と裏の編地の間にある連結糸の見掛け上の長さであり、コース列に沿った切断面を写真撮影して計測される長さである。
【0012】
連結糸をコース列に沿った方向に斜めに傾斜させる場合は、傾斜した連結糸と逆の傾斜方向にも連結糸を傾斜させて、連結糸を後述するトラス構造やクロス構造にすることが好ましい。
立体編物において、曲率が0.01〜1.6となり、50%圧縮時に屈曲伸長率が20%以下となるモノフィラメントの連結糸の割合は、立体編物の単位面積当たりに表裏の編地を連結するモノフィラメントの全本数の内の20%以上であることが必要で、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上である。
【0013】
尚、立体編物の連結糸は全てモノフィラメントであることが好ましいが、必要に応じてモノフィラメント以外の繊維を編成時に交編させてもよい。例えば、マルチフィラメント仮撚糸等を交編すると、圧縮時にモノフィラメント同士がこすれて発生する耳障りな音を低減できて好ましい。又、本発明でいうモノフィラメントとは、1本のフィラメントからなる糸を意味するが、フィラメントの直径が0.04mm以上の太さであれば、複数本の集合であっても本発明でいうモノフィラメントに含むものとする。
本発明の立体編物は、50%圧縮時のヒステリシスロスが50%以下であることが好ましい。より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。ヒステリシスロスが50%以下であると、弾力感のあるクッション性が発現し人体とのフィット性が増すと共に、繰り返し或いは長時間圧縮後も残留歪が少なく弾力感の変化も少ないものとなる。
【0014】
50%圧縮時のヒステリシスロスを50%以下にするには、連結糸のモノフィラメントの屈曲伸長率が20%以下となる様に立体編物の厚み、モノフィラメントの直径、モノフィラメントの傾斜状態等を適正化する方法が重要であるが、これに加え、曲げ回復時のヒステリシスロスが0.05cN・cm/yarn以下のモノフィラメントを連結糸に使用すると好ましい。より好ましくは0.030cN・cm/yarn以下であり、さらに好ましくは0.010cN・cm/yarn以下で0に近いほど好ましい。また、モノフィラメントの直径D(mm)と立体編物の厚みT0(mm)の関係を次式にすることが好ましい。
T0/D≧20
ここで、立体編物の厚みT0(mm)とは、490Paの荷重をかけて測定される厚みである。
【0015】
又、本発明の立体編物は、座った時の弾力感と瞬時の圧縮回復性を向上させる上で、50%圧縮時の応力緩和率が40%以下であることが好ましく、より好ましくは応力緩和率が30%以下である。応力緩和率が40%以下であると、立体編物の上にある程度の時間人が座っても、瞬時の回復性が良好なものとなる。
本発明の立体編物はハンモック式の座席シートとして使用する場合、圧縮撓み量が10mm以上80mm以下であることが、人体とのフィット感を有し快適な座り心地を得る上で好ましい。ここでいうハンモック式の座席シートとは、立体編物の周囲あるいは少なくとも2辺をシートフレームあるいは椅子の枠組みに緊張状態あるいは弛ませた状態で張ることにより、立体編物が帆の様な状態で座席シートの座部や背もたれ部を形成するものである。
【0016】
又、圧縮撓み量とは、四角にカットした立体編物の周囲を枠に固定し、立体編物の表面に対し直角方向に荷重を加えた時の立体編物の撓み量のことをいい、立体編物の表裏の編地の伸長特性によって大きく左右されるものである。撓み量が10mm未満であると人が座った際の沈み込みが少な過ぎ、立体編物によるシート面が人体にフィットせず、硬く座り心地の悪いものとなる。撓み量が80mmを越えるとフィット感は良好なものの、座った後に元の形状に復元しないヘタリが発生しやすく形態保持性が不十分なものとなる。圧縮撓み量はより好ましくは15mm以上70mm以下、さらに好ましくは15mm以上60mm以下である。
【0017】
圧縮撓み特性を適正な範囲とするには、立体編物のタテ方向(ウエール方向に沿った方向)及びヨコ方向(コース列に沿った方向)の伸長特性と、厚み方向の圧縮特性が重要となるが、本発明の立体編物はタテ方向及びヨコ方向の伸長率が3%以上50%以下であることが、比較的沈み込み量が多く人体へのフィット性を向上させたハンモック式座席シートを得る上で好ましい。より好ましくは5%以上45%以下である。又、比較的反発感が強く、座った後にヘタリが少なく形態保持性の良好なハンモック式座席シートを得るには、立体編物のタテ方向及びヨコ方向の伸長率が0.5%以上20%以下であることが好ましい。より好ましくは1%以上15%以下である。
尚、立体編物が伸長された際の伸長残留歪は、ハンモック式座席シートに座った後のヘタリを少なくする上で、10%以下が好ましい。より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。
【0018】
立体編物のタテ方向及びヨコ方向の伸長率及び伸長残留歪を適正な範囲とするには、立体編物の表裏の編組織および仕上げ加工方法が重要となる。表裏の編組織がメッシュ等の孔空き組織であれば1メッシュを構成する編目数(コース数)を12コース以下にすることが好ましく、仕上げ加工方法はタテ方向とヨコ方向の伸長率のバランスをとり、ヨコ方向を幅出しヒートセットすることが好ましい。表裏の少なくとも一方の編組織が孔空きでない平坦組織や凹凸組織等の編組織であれば、全ウエールがニットループで形成される編組織や、ニットループ組織とタックループ組織及びウエルト組織の複合組織等を用いることができる。ハンモック式の座席シートで沈み込みが多くフィット性の良好なクッション性を得るために、立体編物の伸長率を比較的大きくするには、全ウエールにニットループを形成しない挿入編は行わずに、少なくとも全ウエールの半分以上のウエールにおいてニットループを形成する編組織が好ましい。
【0019】
又、ハンモック式の座席シートで反発感のあるクッション性を示し、繰り返し或いは長時間座った後の形態保持性を良好にするために、立体編物の伸長率を比較的小さくするには、立体編物の表裏の少なくとも一方の編地のヨコ方向に挿入糸が直線状に挿入されていることが好ましい。挿入糸をヨコ方向に直線状に挿入することにより、立体編物のタテ方向及び/又はヨコ方向の伸長特性は、表裏の編地の編目の変形やメッシュ形態の変形には大きく影響されず、挿入糸自身の伸長特性によって決定づけられるものとなる。即ち、人が座ることによりハンモック式に張設した立体編物表面にほぼ垂直方向の外力が働いて、立体編物の表裏の編地が伸ばされようとする際に、編目形態やメッシュ形態の変形による繊維間のずれが生じ難く、繰り返し或いは長時間座った後の形態保持性が良好なものとなる。
【0020】
ここで、表裏の少なくとも一方の編地に挿入糸が直線状に挿入されている状態とは、平編等の組織で編まれる地組織にタック編、インレイ編、裏毛編等の方法で立体編物の全幅に渡る様に、挿入糸が直線に近い形態で挿入されている状態、或いは、連結糸部分に直線状に挿入されている状態のことをいう。この際、挿入糸に用いる繊維はポリトリメチレンテレフタレート繊維やポリエステル系エラストマー繊維等の弾性回復性の良好な繊維を用いることが好ましく、さらにモノフィラメントであると、単繊維間の摩擦抵抗によって伸長回復性が阻害されることが少なくなりより好ましい。又、挿入糸は地糸とのスリップを防止するため、熱融着や樹脂接着等によって地糸と接着されていることが好ましい。
【0021】
立体編物の表裏の編組織は同一である必要は無く、異なる編組織、異なる伸長特性のものであってもよいが、裏側の編地の伸長率が表側の編地の伸長率より少ない方が、ハンモック式の座席シートとして使用する場合に、人が座った際にモノフィラメントによる弾力感がより加わり、人体へのフィット性も良好となる。挿入糸をヨコ方向に直線状に挿入する場合も、立体編物の裏側の編地に挿入することが好ましい。
さらに立体編物は圧縮撓み時のヒステリシスロスが65%以下であることが、ハンモック式の座席シートとして使用する場合に反発感のあるクッション性を有する上で好ましい。より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下で0に近いほど良い。又、立体編物は圧縮撓み時の残留歪量が30mm以下であることが、長時間或いは繰り返し座った後にヘタリが少なく形態保持性を向上させる上で好ましい。より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下であり0に近いほど良い。
【0022】
ここで、立体編物の圧縮撓み時のヒステリシスロス及び残留歪量を低下させるには、表裏を構成する繊維を0%以上の伸長率で伸長熱処理する方法等で達成することができる。熱処理は原糸製造の段階や、仮撚、流体噴射加工等の糸加工段階でアンダーフィードで熱処理を施してもよく、或いは編地の段階で伸長熱処理してもよい。編地で伸長熱処理する場合は、幅方向に5%以上の伸長率で熱処理することが好ましい。
さらに本発明の立体編物は常温下での圧縮回復率が90%以上、70℃雰囲気下での圧縮回復率が70%以上であることが好ましい。より好ましくは常温下での圧縮回復率が95%以上、70℃雰囲気下での圧縮回復率が75%以上である。常温下での圧縮回復性が90%以上であることにより、通常に使用してもヘタリが少なく良好なクッション性となる。又、70℃雰囲気下での圧縮回復率が70%以上であることにより、高温の過酷な環境下に置かれた後も、ヘタリが少なくクッション性に優れるものとなる。
【0023】
本発明の立体編物の連結糸に用いるモノフィラメントは、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の素材の繊維を用いることができるが、このうちポリトリメチレンテレフタレート繊維を連結糸の少なくとも一部を用いると、弾力感のあるクッション性を有し、繰り返し或いは長時間圧縮後のクッション性の耐久性が良好となり好ましい。
【0024】
又、立体編物の表裏の編地に用いる繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等の任意の繊維を用いることができる。このうちポリトリメチレンテレフタレート繊維を用いると、立体編物をハンモック式シートに使用する場合に圧縮撓み量を増大でき、ストローク感、フィット感が良好となり好ましい。さらにポリトリメチレンテレフタレート繊維は0%以上の伸長率で、原糸製造、糸加工、あるいは編地の段階で伸長熱処理されていることが圧縮撓み時のヒステリシスロス及び残留歪量低減のためより好ましい。
【0025】
繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。繊維の形態も、原糸、紡績糸、撚糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等嵩高加工糸のいずれのものを採用してもよく、マルチフィラメントでもモノフィラメントでも良いが、連結糸のモノフィラメントを編地表面への露出しない様に被覆率を上げるには、立体編物の少なくとも片側面にマルチフィラメントの仮撚加工糸、紡績糸等の嵩高糸を用いることが好ましい。又、立体編物にパワーのあるストレッチ性あるいは圧縮撓み性と回復性を付与するためには、少なくとも片側の編地にモノフィラメントを用いることが好ましい。尚モノフィラメントがサイドバイサイド等の複合紡糸された潜在捲縮発現性の糸条であるとよりストレッチ性と回復性が向上し好ましい。
又、立体編物は表裏糸及び連結糸を、ポリエステル系繊維100%で構成すると、廃棄の際に解重合によりモノマーに戻すリサイクルが可能となり、また、焼却しても有害ガスの発生が防止でき好ましい。
【0026】
本発明において、好ましく用いられるポリトリメチレンテレフタレート繊維は、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維であって、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むものである。したがって、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0027】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより製造される。この製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に製造した後、ブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。
【0028】
複合紡糸に関しては、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報等に例示されるような、第一成分にポリトリメチレンテレフタレート、第二成分にポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、あるいはナイロンを用いて、これらを並列に配置したサイドバイサイド型あるいは偏芯的に配置した偏芯シースコア型に複合紡糸したもの等が挙げられる。特に、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましく、中でも、特開2000−239927号公報に例示されるような、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型に複合紡糸したものが、高度の伸長回復性を兼備するので、立体編物の表裏の編地に用いると好ましい。
【0029】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキシ安息香酸等)等がある。また、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
【0030】
ポリトリメチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントは、例えば、国際公開WO01/75200号パンフレットに記載された方法により製造することができる。すなわち、ポリトリメチレンテレフタレートを紡口から吐出し、冷却浴中で急冷した後第1ロールで巻き取り、次いで温水中や乾熱雰囲気下で延伸しながら第2ロールで巻き取った後、乾熱雰囲気下や湿熱雰囲気下においてオーバーフィードでリラックス処理して第3ロールで巻き取る方法等で製造することができる。繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよいが、丸型断面が立体編物のクッション性の耐久性を向上させる上で好ましい。
【0031】
本発明の表裏の編地または連結糸のモノフィラメントに用いる繊維は、着色されていることが好ましい。
着色方法は、未着色の糸をかせやチーズ状で糸染めする方法(先染め)、紡糸前の原液に顔料、染料等を混ぜて着色する方法(原液着色)、立体編物状で染色したりプリントする方法等によって着色することができるが、立体編物状で染色すると立体形状を維持するのが困難であったり加工性が悪いため、先染めや原液着色が好ましい。
【0032】
連結糸に用いるモノフィラメントの繊度は、通常、20〜1500デシテックスの太さのものを用いることができる。立体編物に弾力感のあるより優れたクッション性を付与する上からは、モノフィラメントの太さは100〜1000デシテックスが好ましく、より好ましくは200〜900デシテックスである。又、表裏の編地に用いるマルチフィラメント等の繊維には、通常、50〜2000デシテックスの太さのものを用いることができ、フィラメント数は任意に設定できる。
この際、編機の針1本にかかるモノフィラメントの繊度T(デシテックス)と全マルチフィラメントの繊度d(デシテックス)はT/d≦0.9であることが、モノフィラメントをマルチフィラメントで被覆し、立体編物表面へのモノフィラメントの露出を防止し、モノフィラメント固有の光沢により立体編物表面がギラギラと光るギラツキを抑えると共に、表面の風合いを良好にする上で好ましい。
【0033】
本発明の立体編物は、相対する2列の針床を有する横編機で編成することができ、例えばVベッドを有する横編機等で編成できる。編機のゲージは7ゲージから28ゲージまでが好ましく用いられる。
立体編物の表裏の編地は希望する意匠性を付与することができるものであり、これに加えて4角、6角等のメッシュ等複数の開口部を有する編地にして軽量性、通気性を向上させてもよく、表面を平坦な組織にして肌触りを良好にしてもよい。表面を起毛するとより肌触りの良好なものが得られる。
【0034】
連結糸の密度については、立体編物6.45cm2 の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm2 )、連結糸のデシテックスをT(g/1×106cm)、連結糸の比重をρ0(g/cm3)とした時、立体編物6.45cm2 の面積中にある連結糸の総断面積(N・T/1×106・ρ0)が0.03〜0.35cm2が好ましく、より好ましくは0.05〜0.25cm2である。この範囲に設定することによって、立体編物がより適度な剛性による良好なクッション性を有するものとなる。
【0035】
連結糸は、表裏の編地中にループ状の編目を形成してもよく、表裏編地にタック編で引っかけた構造でもよいが、少なくとも2本の連結糸が表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜してクロス状(X状)とするか、少なくとも1本の連結糸でトラス状に連結することが、立体編物の形態安定性を向上させる上で好ましい。トラス構造の場合、図5のコース列に沿った切断面図に示す様に、1本の連結糸によって形成される角度(θ1)が40〜160度であると、立体編物の形態安定性が増し好ましい。また、クロス構造の場合は図6のコース列に沿った切断面図に示す様に2本の連結糸によって形成される角度(θ2)が15〜150度であると好ましい。この際、トラス構造及びクロス構造共に1本の同一の連結糸が表または裏面で折り返し、見かけ上2本となっている場合であっても良い。
立体編物の厚み、目付は目的に応じて任意に設定できるが、厚みは3〜30mmが好ましく用いられる。3mm未満であるとクッション性が低下する傾向となり、30mmを越えると立体編物の仕上げ加工が難しくなる。目付は150〜3000g/m2、好ましくは200〜2000g/m2である。
【0036】
立体編物の仕上げ加工方法は、先染め糸や原液着色糸を使用した立体編物の場合は生機を精練、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。連結糸或いは表裏糸のいずれかが未着色の立体編物の場合は、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。
仕上げ加工後の立体編物は、融着、縫製、樹脂加工等の手段で端部を処理したり、熱成形等により所望の形状にして、ハンモック式座席シートやベッドパッド等の各種用途に用いることができる。
尚、予め編成の段階で目増やし目減らし等を利用した成型編を行なって所望の形状に編立てすると、裁断、縫製等が合理化できて好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
立体編物の各種物性の測定方法は以下の通りである。
(1)モノフィラメントの曲率C1
立体編物の連結糸のモノフィラメントの湾曲状態の拡大写真を、モノフィラメントが湾曲してできた円弧(半円)に対して直角方向から撮影する。この際連結糸が傾斜している場合は傾斜の角度にあわせて撮影する。拡大写真をイメージスキャナーでコンピューターに読み込み、高精細画像解析システムIP1000PC(商品名、旭化成(株)製)の画像解析ソフトを用いて、モノフィラメントの湾曲が最も激しい個所の内接円(モノフィラメントの凹側)と外接円(モノフィラメントの凸側)を書き、それぞれの円の半径の平均値(実寸に直した値)を算出し、モノフィラメントの中心線に対する曲率半径r1(mm)を求め、下記式により曲率を算出する。
C1=1/r1
【0038】
(2)モノフィラメントの屈曲伸長率S(%)
立体編物の厚みT0(mm)を490Paの荷重をかけて測定し、立体編物の厚みがT0/2(mm)となる様に立体編物を50%圧縮した状態で、モノフィラメントの湾曲状態の拡大写真を、モノフィラメントの湾曲によってできた円弧(半円)に対して直角方向から撮影する。拡大写真をイメージスキャナーでコンピューターに読み込み、前述の様にモノフィラメントの湾曲が最も激しい個所のモノフィラメントの中心線でできる円弧に対する曲率半径r2(mm)を求め、下記式により屈曲伸長率S(%)を算出する。
S(%)=50D/r2
(但し、Dはモノフィラメントの直径(mm)である。)
50%圧縮した状態の拡大写真を撮影するには、50%圧縮した時に立体編物の編み終わり側の端部から、湾曲してはみ出してくるモノフィラメントを撮影すると、傾斜したモノフィラメントも撮影しやすい。又、写真撮影しやすくするために立体編物を50%圧縮した状態で樹脂で硬化させても良い。
【0039】
(3)50%圧縮回復時のヒステリシスロスL(%)
島津オートグラフAG−B型(島津製作所製)を用い、直径100mmの円盤状圧縮治具により、剛体面上に置いた15cm角、厚みT0(mm)の立体編物を10mm/minの速度でT0/2の厚みに圧縮し、所定の厚みになったら直ぐに10mm/minの速度で開放する。この際に得られる図7に示す荷重−変位曲線から、行き(圧縮)の曲線と変位軸(x軸)で形成される面積A0(cm2 )と、帰り(回復)の曲線と変位軸(x軸)で形成される面積A1(cm2 )を求め、次式でヒステリシスロスL(%)を算出する。
L(%)=(A0−A1)/A0×100
【0040】
(4)50%圧縮後の圧縮残留歪ε(%)
上記の(3)の方法で圧縮・開放した直後の残留歪率ε(%)を次式で算出する。
ε(%)=(T0−T1)/T0×100
(但し、T1(mm)は開放直後の490Paの荷重下での立体編物の厚みである。)
【0041】
(5)圧縮撓み量E(mm)、圧縮撓み時のヒステリシスロスQ(%)、圧縮撓み時の残留歪量E1(mm)
4隅に高さ15cmの足を取付けた内径が1辺30cm、外径が1辺41cmの四角形の板状の金属枠(上面に40番のサンドペーパーを貼りつけて滑り止め性を付与)と内径が1辺30cm、外径が1辺41cmの四角形の板状の金属枠(下面に40番のサンドペーパーを貼りつけて滑り止め性を付与)の間に立体編物を弛まない様に挟み、周囲を万力で固定する。
島津オートグラフAG−B型(島津製作所製)を用い、直径100mmの円形平面状の圧縮端子により、張設した立体編物の中央部を100mm/分の速度で圧縮し、245Nの荷重になったら同速で元に戻す。この際に得られる図7に示す荷重−変位曲線から、245N荷重時の変位を撓み量E(mm)、回復曲線の荷重が0となる変位を残留歪量E1(mm)とする。又、行き(圧縮)の曲線と変位軸(x軸)で形成される面積をa0(cm2 )、帰り(回復)の曲線と変位軸(x軸)で形成される面積をa1(cm2 )とした時に、次式でヒステリシスロスQ(%)を算出する。
Q(%)=(a0−a1)/a0×100
【0042】
(6)伸長率I(%)、伸長残留歪B(%)
仕上げ加工した立体編物を30cm×5cm(幅)にカットして試験片を作製し、試験片の20cmの間隔に印を付ける。試験片はタテ方向(ウエール列に沿った方向)とヨコ方向(コース列に沿った方向)のものを採取する。試験片の一端をチャックに固定して吊るし、さらにもう一端に荷重98Nの荷重をチャックで固定して吊るす。5分後に印間の長さL1を測定し、その後荷重を取り除き、1分後の印間の長さL2を測定し、次の式に従い伸長率、伸長残留歪を算出する。
I(%)=〔(L1−20)/20〕×100
B(%)=〔(L2−20)/20〕×100
【0043】
(7)圧縮回復率R(%)
厚みがT0(mm)の立体編物をT0/2(mm)となる様に50%圧縮した状態で、常温下(23±0.5℃)または70℃(±0.5℃)雰囲気下で22時間放置する。22時間後に圧縮を開放し常温下で30分間放置した後、490Paの荷重下での立体編物の厚みT2を測定し次式で圧縮回復率R(%)を算出する。
R(%)=(T2/T0)×100
(8)繰り返し圧縮残留歪ε(%)
フォームラバー繰り返し圧縮試験機A型(テスター産業(株)社製)を用い、立体編物を厚みT0(mm)がT0/2の厚みになる様に50%圧縮を25万回繰り返した後、厚みT3(mm)を測定し、次式で繰り返し圧縮残留歪ε(%)を算出する。
ε(%)=〔(T0−T3)/T0〕×100
【0044】
(9)モノフィラメントの曲げ回復時のヒステリシスロス2HB(%)
26本のモノフィラメントを1mm間隔でシート状に引き揃えて並べ、11mmのサンプル長となるようにモノフィラメントシートの両端の上下面を両面接着テープを介して厚紙で固定してつかみ代とする。両端のつかみ代は20mm長、30mm幅である。
KES−FB2純曲げ試験機(カトーテック製)を用い、モノフィラメントのシート状サンプルを正および逆方向に曲率2.5まで曲げ、曲率1における曲げ回復のヒステリシスロス2HB(cN・cm/yarn)を測定する。
(10)クッション性(弾力感)
立体編物をテーブルの上に置き、立体編物を上から指先(3本)で軽く3回押さえ、弾力感を以下の基準にしたがって官能評価する。繰り返し圧縮前後で評価する。
◎:弾力感が高い
○:弾力感がやや高い
△:弾力感が低い
×:弾力感が殆どない
【0045】
(11)ハンモックシートでのクッション性(反発感、フィット感)
座部が40cm角の四角い金属フレームで作られた椅子(4脚、背もたれなし)のフレームに立体編物の周囲を緩まないように縫製及びボルト止めして張設し、体重65kgの男性が10回、各5分間座り、クッション性を官能評価により、◎:反発感がある、○:反発感がややある、△:反発感がやや少ない、×:反発感が少ない、の4段階で評価する。又、フィット感を官能評価により、◎:フィット感が高い、○:フィット感がやや高い、△:フィット感がやや低い、×:フィット感が低い、の4段階で評価する。
(12)ハンモックシートでの形態保持性
上記no(11)の試験後、椅子に張った立体編物のへたり状態を外観評価によりし、◎:へたりが全くない、○:へたりが殆どない、△:ややへたりがある、×:へたりが激しい、の4段階で評価した。
(13)意匠性
立体編物の表面概観を観察し、◎:意匠性が非常に良好、○:意匠性が良好、×:意匠性に乏しい、の3段階で評価した。
【0046】
【参考例】
(ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントの製造)
実施例において使用したポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントは、以下の方法により製造した。
固有粘度[η]=0.9のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃で紡口から吐出し、40℃の冷却浴中に導いて冷却しつつ16.0m/分の速度の第1ロール群によって引張って細化した未延伸モノフィラメントとした後、温度55℃の延伸浴中で5倍に延伸しながら80.0m/分の第2ロール群によって引張り、その後、120℃のスチーム浴中で弛緩熱処理を施しながら、72.0m/分の第3ロール群を経た後、第3ロール群と同速の巻取り機で巻取り、280デシテックスの延伸モノフィラメントを製造した。
【0047】
尚、固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0048】
【実施例1】
14ゲージ、歯口5mm、両面出会いのVベッドの横編機を用い、表側の編地を形成する糸に835デシテックス240フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成株式会社製、商標「ソロ」仮撚加工糸167デシテックス48フィラメントの先染め糸、5本引き揃え)の黒色糸を図8に示す組織図の給糸No4、10、16に供給し、黄色糸を給糸No3、9、15に供給した。又、裏側の編地を形成する糸に835デシテックス240フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成株式会社製、商標「ソロ」仮撚加工糸167デシテックス48フィラメントの黒色先染め糸、5本引き揃え)を給糸No5、6、11、12、17、18に供給し、連結糸に参考例で製造した280デシテックスのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(直径0.16mm)を給糸No1、2、7、8、13、14に供給して、15コース/2.54cm、16ウエール/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を10%幅出しして150℃×2分で乾熱ヒートセットし、表側の編地が2色柄、裏側の編地が2コース天竺組織で、全連結糸が表側の編地の編目と相対する裏側の編目から2ウエール離れた編目を斜めに傾斜して連結し、X構造を形成している立体編物を得た。得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【0049】
【実施例2】
実施例1で得られた立体編物の生機を有り幅で150℃×2分で乾熱ヒートセットした以外は、実施例1と同様にして得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【実施例3】
実施例1で得られた立体編物の生機を20%幅出しして150℃×2分で乾熱ヒートセットした以外は、実施例1と同様にして得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【0050】
【実施例4】
連結糸に280デシテックスのポリブチレンテレフタレートモノフィラメント(旭化成株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【実施例5】
横編機をゴム出合いとし、編組織の給糸No1と2を1コースの全針タック編に変更し、同様に給糸No7、8及び13、14もそれぞれ1コースの全針タック編に変更した。連結糸に280デシテックスのポリエチレンテレフタレートモノフィラメント(旭化成株式会社製)を用い、全針タック編の部分に供給した以外は実施例2と同様にして、全連結糸が表側の編地の編目と相対する裏側の編目から1/2ウエール離れた編目を、X構造を形成せずに連結している立体編物を得た。得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【0051】
【比較例1】
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間12mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する3枚の筬(L1、L2、L3)から167デシテックス48フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成株式会社製、商標「ソロ」仮撚加工糸、黒色先染め糸)をいずれもオールインの配列で供給し、裏側の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から334デシテックス96フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成株式会社製、商標「ソロ」仮撚加工糸167デシテックス48フィラメントの黒色先染め糸、2本引き揃え)をL5ガイドに1イン1アウトの配列で、L6ガイドに1アウト1インの配列で供給し、連結糸を形成するL4の筬から参考例で製造した280デシテックスのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(直径0.16mm)をオールインの配列で供給した。以下に示す編組織で、打ち込み15コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を20%幅出しして150℃×2分で乾熱ヒートセットし、表側の編地が平坦な組織、裏側の編地がメッシュ組織で、全連結糸が表側の編地の編目と相対する裏側の編目から3ウエール離れた編目を斜めに傾斜して連結し、X構造を形成している立体編物を得た。得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は意匠性に乏しいものであった。
【0052】
(編組織)
L1:2322/1011/
L2:1011/2322/
L3:1000/0111/
L4:1043/6734/
L5:2210/1123/
L6:3222/0111/
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明の立体編物は、意匠性に優れ、弾力性のあるクッション性を有し、瞬時の圧縮回復性が良好で、繰り返し或いは長時間使用しても弾力性が損なわれにくく、クッション性の耐久性に優れるものである。特に、ハンモック式の座席シートに使用した場合に、弾力感のあるクッション性を示すと共に人体へのフィット感が良好で、かつ繰り返し或いは長時間座った後もヘタリが少なく、形態保持性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】立体編物のウエール列に沿った切断面から見たモノフィラメントの中心線を示す一例。
【図2】立体編物のウエール列に沿った切断面から見た、立体編物を50%圧縮した状態のモノフィラメントの湾曲状態を示す一例。
【図3】立体編物のコース列に沿った切断面図。
【図4】立体編物の50%圧縮時のコース列に沿った切断面図。
【図5】立体編物のコース列に沿った切断面図における連結糸のトラス構造の一例。
【図6】立体編物のコース列に沿った切断面図における連結糸のクロス構造の一例。
【図7】荷重−変位曲線。
【図8】実施例の編組織図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー、家具、事務用等の座席シート用クッション材、寝具、ベッドパッド、マットレス、床ずれ防止マット、枕、座布団等のクッション材、衣料用等のスペーサー、保型材、緩衝材、保温材、シューズ用のアッパー材、中敷材、或いはサポーターやプロテクター等に好適に用いられる立体横編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸とから構成された立体編物は、クッション性、通気性、保温性、体圧分散性等の機能を活かして、各種クッション材用途に利用されている。
これらの立体編物は、中間層を構成する連結糸にモノフィラメントを使用することにより、モノフィラメントの曲げ弾性を活用して立体編物の厚み方向にクッション性を付与している。立体編物のクッション性、圧縮回復性を向上させる方法として、特許文献1には、連結糸に弾性回復性の良好なモノフィラメントを用い、立体編物の圧縮回復性を良好にした立体編物が開示されている。
【0003】
しかしながら、ダブルラッセル機やダブル丸編機で編成された立体編物は、メッシュ構造とする程度の意匠性付与は可能だが、例えば車両用座席シートとして用いるには審美性等格段の意匠性が必須であり、かかる用途では、別途、意匠性に優れた生地を積層する等を余儀なくされるものである。又、連結糸のモノフィラメントの形状が何ら考慮されていないため弾力感のあるクッション性は得られておらず、さらに繰り返し或いは長時間使用する場合に、弾力感の低下や厚みの減少が生じる問題があった。さらには、立体編物の表裏の編地の伸長特性や圧縮撓み特性が考慮されていないため、ハンモック式の座席シートにする場合、良好なクッション性が得られない。
一方、特許文献2には立体編物をシートフレームに張設して、ハンモック式の座席シートとして使用することが開示されているが、メッシュ構造の意匠性しかなく、繰り返し使用した場合のクッション性の耐久性も不十分なものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−269747号公報
【特許文献2】
特開2001−87077号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点を解決し、意匠性に優れた立体横編物に関するものであり、さらには弾力感のあるクッション性を有し、繰り返し或いは長時間使用しても弾力感が損なわれにくく、クッション性の耐久性に優れた立体横編物に関する。特に、ハンモック式の座席シートに使用した場合に、反発感のあるクッション性を示すと共に、人体へのフィット感が良好で、かつ座った後に元の形状に復元しないヘタリが少なく形態保持性の良好な立体横編物に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために、立体編物の表裏の編地を選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有する横編地となし、さらには連結するモノフィラメントの直径と湾曲形状、立体編物の圧縮特性、圧縮撓み特性、立体編物に用いる繊維素材について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、表裏二層の横編地がモノフィラメントにより連結され、表裏の編地の少なくとも一方の編地表面が選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有していることを特徴とする立体横編物である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の立体横編物は、表裏二層の編地が横編地であり、この表裏二層の編地を連結する連結糸の少なくとも一部がモノフィラメントであり、かつ表裏の編地の少なくとも一方の編地表面が選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有していることが必要である。表裏二層の編地が横編地であり、編地表面に選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄が付与されることにより、希望する意匠性を存分に付与することが可能となる。
【0008】
ここでいう選針による柄とは、編針の上下運動を一針づつ制御して柄編成を行うことを意味し、これによりメッシュ、鹿の子、あぜ、2コース天竺等の単調な繰り返し柄から、ジャガード等の複雑柄までより高度な意匠性を立体編物表面に付与することができる。又、色糸切り替えによる柄とは、編成コース毎あるいは編成編目毎に任意の色糸を用いて色柄を付与することを意味し、ボーダー等の選針を行わない単純な色柄から、前述の選針による柄と組み合わせた複雑な色柄を付与できるものである。
【0009】
さらに、本発明の立体横編物(以下単に立体編物という)は、表裏二層の編
地の間に位置するモノフィラメントの曲率が0.01〜1.6となる様に立体編物を編成、仕上げ加工することが好ましい。
ここでいうモノフィラメントの曲率とは、立体編物の表裏二相の編地の間に位置するモノフィラメントが最大に湾曲した部分におけるモノフィラメントの中心線でできる円弧の曲率のことをいう。図1は立体編物のウエール列に沿った切断面から見たモノフィラメントの中心線を示す一例である。モノフィラメントの曲率はより好ましくは0.03〜1.0、さらに好ましくは0.05〜0.7である。モノフィラメントの曲率が0.01未満であると、立体編物の厚み方向に荷重が加わった場合、表の編地と裏の編地が立体編物の長さ方向(ウエール列に沿った方向)にずれるせん断変形が生じやすく、圧縮回復時のヒステリシスロスが大きく弾力感のないクッション性となる。また、繰り返し圧縮によりその傾向がさらに増長する。モノフィラメントの曲率が1.6を超えるとせん断変形は生じ難いが、これも弾力感のないクッション性となる。
【0010】
また本発明の立体編物は、立体編物を50%圧縮した時のモノフィラメントの屈曲伸長率が20%以下であることが好ましい。より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。モノフィラメントの屈曲伸長率とは、立体編物を50%圧縮した状態でモノフィラメントが最大に屈曲している個所の、凸側表面の伸長率のことである。図2は立体編物を50%圧縮した状態のウエール列に沿った切断面図であるが、モノフィラメントが最大に屈曲している凸側表面の一例を示す。モノフィラメントの屈曲伸長率が20%を超えると、立体編物を圧縮した後の残留歪が大きく、圧縮回復性の悪い立体編物となるとともに、繰り返し或いは長時間圧縮後に弾力感のあるクッション性が維持できないものとなる。
立体編物のモノフィラメントの屈曲伸長率は、75%圧縮時に20%以下であると圧縮回復性、クッション性の耐久性を向上させる上でさらに好ましい。
【0011】
立体編物におけるモノフィラメントの曲率や50%圧縮時のモノフィラメントの屈曲伸長率を前記適正範囲にするには、立体編物の厚みと用いるモノフィラメントの直径、立体編物中のモノフィラメントの編組織(表裏の編地を連結する際の幅方向の振り幅)、編成時のモノフィラメントの供給量、立体編物の仕上げ加工方法(幅出し率、オーバーフィード率)を最適化し、仕上げ加工後のモノフィラメントを適正形状にする必要がある。このうちモノフィラメントの編組織と立体編物の厚みの関係については、連結糸を編地の幅方向(コース列に沿った方向)に斜めに傾斜させて表と裏の編地を連結し、適正幅出し率で仕上げ加工することにより、図3のコース列に沿った切断面図に示す様に、圧縮前の立体編物の連結糸長H1(mm)と図4に示す50%圧縮後の連結糸長H2(mm)の関係がH1/H2≧0.55となる様にすることが、立体編物が50%圧縮された時の屈曲伸長率を20%以下にする上で好ましい。この際、連結糸長H1及びH2は図3及び図4に示す様に、立体編物をコース列に沿った切断面から見た時に、表と裏の編地の間にある連結糸の見掛け上の長さであり、コース列に沿った切断面を写真撮影して計測される長さである。
【0012】
連結糸をコース列に沿った方向に斜めに傾斜させる場合は、傾斜した連結糸と逆の傾斜方向にも連結糸を傾斜させて、連結糸を後述するトラス構造やクロス構造にすることが好ましい。
立体編物において、曲率が0.01〜1.6となり、50%圧縮時に屈曲伸長率が20%以下となるモノフィラメントの連結糸の割合は、立体編物の単位面積当たりに表裏の編地を連結するモノフィラメントの全本数の内の20%以上であることが必要で、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上である。
【0013】
尚、立体編物の連結糸は全てモノフィラメントであることが好ましいが、必要に応じてモノフィラメント以外の繊維を編成時に交編させてもよい。例えば、マルチフィラメント仮撚糸等を交編すると、圧縮時にモノフィラメント同士がこすれて発生する耳障りな音を低減できて好ましい。又、本発明でいうモノフィラメントとは、1本のフィラメントからなる糸を意味するが、フィラメントの直径が0.04mm以上の太さであれば、複数本の集合であっても本発明でいうモノフィラメントに含むものとする。
本発明の立体編物は、50%圧縮時のヒステリシスロスが50%以下であることが好ましい。より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。ヒステリシスロスが50%以下であると、弾力感のあるクッション性が発現し人体とのフィット性が増すと共に、繰り返し或いは長時間圧縮後も残留歪が少なく弾力感の変化も少ないものとなる。
【0014】
50%圧縮時のヒステリシスロスを50%以下にするには、連結糸のモノフィラメントの屈曲伸長率が20%以下となる様に立体編物の厚み、モノフィラメントの直径、モノフィラメントの傾斜状態等を適正化する方法が重要であるが、これに加え、曲げ回復時のヒステリシスロスが0.05cN・cm/yarn以下のモノフィラメントを連結糸に使用すると好ましい。より好ましくは0.030cN・cm/yarn以下であり、さらに好ましくは0.010cN・cm/yarn以下で0に近いほど好ましい。また、モノフィラメントの直径D(mm)と立体編物の厚みT0(mm)の関係を次式にすることが好ましい。
T0/D≧20
ここで、立体編物の厚みT0(mm)とは、490Paの荷重をかけて測定される厚みである。
【0015】
又、本発明の立体編物は、座った時の弾力感と瞬時の圧縮回復性を向上させる上で、50%圧縮時の応力緩和率が40%以下であることが好ましく、より好ましくは応力緩和率が30%以下である。応力緩和率が40%以下であると、立体編物の上にある程度の時間人が座っても、瞬時の回復性が良好なものとなる。
本発明の立体編物はハンモック式の座席シートとして使用する場合、圧縮撓み量が10mm以上80mm以下であることが、人体とのフィット感を有し快適な座り心地を得る上で好ましい。ここでいうハンモック式の座席シートとは、立体編物の周囲あるいは少なくとも2辺をシートフレームあるいは椅子の枠組みに緊張状態あるいは弛ませた状態で張ることにより、立体編物が帆の様な状態で座席シートの座部や背もたれ部を形成するものである。
【0016】
又、圧縮撓み量とは、四角にカットした立体編物の周囲を枠に固定し、立体編物の表面に対し直角方向に荷重を加えた時の立体編物の撓み量のことをいい、立体編物の表裏の編地の伸長特性によって大きく左右されるものである。撓み量が10mm未満であると人が座った際の沈み込みが少な過ぎ、立体編物によるシート面が人体にフィットせず、硬く座り心地の悪いものとなる。撓み量が80mmを越えるとフィット感は良好なものの、座った後に元の形状に復元しないヘタリが発生しやすく形態保持性が不十分なものとなる。圧縮撓み量はより好ましくは15mm以上70mm以下、さらに好ましくは15mm以上60mm以下である。
【0017】
圧縮撓み特性を適正な範囲とするには、立体編物のタテ方向(ウエール方向に沿った方向)及びヨコ方向(コース列に沿った方向)の伸長特性と、厚み方向の圧縮特性が重要となるが、本発明の立体編物はタテ方向及びヨコ方向の伸長率が3%以上50%以下であることが、比較的沈み込み量が多く人体へのフィット性を向上させたハンモック式座席シートを得る上で好ましい。より好ましくは5%以上45%以下である。又、比較的反発感が強く、座った後にヘタリが少なく形態保持性の良好なハンモック式座席シートを得るには、立体編物のタテ方向及びヨコ方向の伸長率が0.5%以上20%以下であることが好ましい。より好ましくは1%以上15%以下である。
尚、立体編物が伸長された際の伸長残留歪は、ハンモック式座席シートに座った後のヘタリを少なくする上で、10%以下が好ましい。より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。
【0018】
立体編物のタテ方向及びヨコ方向の伸長率及び伸長残留歪を適正な範囲とするには、立体編物の表裏の編組織および仕上げ加工方法が重要となる。表裏の編組織がメッシュ等の孔空き組織であれば1メッシュを構成する編目数(コース数)を12コース以下にすることが好ましく、仕上げ加工方法はタテ方向とヨコ方向の伸長率のバランスをとり、ヨコ方向を幅出しヒートセットすることが好ましい。表裏の少なくとも一方の編組織が孔空きでない平坦組織や凹凸組織等の編組織であれば、全ウエールがニットループで形成される編組織や、ニットループ組織とタックループ組織及びウエルト組織の複合組織等を用いることができる。ハンモック式の座席シートで沈み込みが多くフィット性の良好なクッション性を得るために、立体編物の伸長率を比較的大きくするには、全ウエールにニットループを形成しない挿入編は行わずに、少なくとも全ウエールの半分以上のウエールにおいてニットループを形成する編組織が好ましい。
【0019】
又、ハンモック式の座席シートで反発感のあるクッション性を示し、繰り返し或いは長時間座った後の形態保持性を良好にするために、立体編物の伸長率を比較的小さくするには、立体編物の表裏の少なくとも一方の編地のヨコ方向に挿入糸が直線状に挿入されていることが好ましい。挿入糸をヨコ方向に直線状に挿入することにより、立体編物のタテ方向及び/又はヨコ方向の伸長特性は、表裏の編地の編目の変形やメッシュ形態の変形には大きく影響されず、挿入糸自身の伸長特性によって決定づけられるものとなる。即ち、人が座ることによりハンモック式に張設した立体編物表面にほぼ垂直方向の外力が働いて、立体編物の表裏の編地が伸ばされようとする際に、編目形態やメッシュ形態の変形による繊維間のずれが生じ難く、繰り返し或いは長時間座った後の形態保持性が良好なものとなる。
【0020】
ここで、表裏の少なくとも一方の編地に挿入糸が直線状に挿入されている状態とは、平編等の組織で編まれる地組織にタック編、インレイ編、裏毛編等の方法で立体編物の全幅に渡る様に、挿入糸が直線に近い形態で挿入されている状態、或いは、連結糸部分に直線状に挿入されている状態のことをいう。この際、挿入糸に用いる繊維はポリトリメチレンテレフタレート繊維やポリエステル系エラストマー繊維等の弾性回復性の良好な繊維を用いることが好ましく、さらにモノフィラメントであると、単繊維間の摩擦抵抗によって伸長回復性が阻害されることが少なくなりより好ましい。又、挿入糸は地糸とのスリップを防止するため、熱融着や樹脂接着等によって地糸と接着されていることが好ましい。
【0021】
立体編物の表裏の編組織は同一である必要は無く、異なる編組織、異なる伸長特性のものであってもよいが、裏側の編地の伸長率が表側の編地の伸長率より少ない方が、ハンモック式の座席シートとして使用する場合に、人が座った際にモノフィラメントによる弾力感がより加わり、人体へのフィット性も良好となる。挿入糸をヨコ方向に直線状に挿入する場合も、立体編物の裏側の編地に挿入することが好ましい。
さらに立体編物は圧縮撓み時のヒステリシスロスが65%以下であることが、ハンモック式の座席シートとして使用する場合に反発感のあるクッション性を有する上で好ましい。より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下で0に近いほど良い。又、立体編物は圧縮撓み時の残留歪量が30mm以下であることが、長時間或いは繰り返し座った後にヘタリが少なく形態保持性を向上させる上で好ましい。より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下であり0に近いほど良い。
【0022】
ここで、立体編物の圧縮撓み時のヒステリシスロス及び残留歪量を低下させるには、表裏を構成する繊維を0%以上の伸長率で伸長熱処理する方法等で達成することができる。熱処理は原糸製造の段階や、仮撚、流体噴射加工等の糸加工段階でアンダーフィードで熱処理を施してもよく、或いは編地の段階で伸長熱処理してもよい。編地で伸長熱処理する場合は、幅方向に5%以上の伸長率で熱処理することが好ましい。
さらに本発明の立体編物は常温下での圧縮回復率が90%以上、70℃雰囲気下での圧縮回復率が70%以上であることが好ましい。より好ましくは常温下での圧縮回復率が95%以上、70℃雰囲気下での圧縮回復率が75%以上である。常温下での圧縮回復性が90%以上であることにより、通常に使用してもヘタリが少なく良好なクッション性となる。又、70℃雰囲気下での圧縮回復率が70%以上であることにより、高温の過酷な環境下に置かれた後も、ヘタリが少なくクッション性に優れるものとなる。
【0023】
本発明の立体編物の連結糸に用いるモノフィラメントは、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の素材の繊維を用いることができるが、このうちポリトリメチレンテレフタレート繊維を連結糸の少なくとも一部を用いると、弾力感のあるクッション性を有し、繰り返し或いは長時間圧縮後のクッション性の耐久性が良好となり好ましい。
【0024】
又、立体編物の表裏の編地に用いる繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等の任意の繊維を用いることができる。このうちポリトリメチレンテレフタレート繊維を用いると、立体編物をハンモック式シートに使用する場合に圧縮撓み量を増大でき、ストローク感、フィット感が良好となり好ましい。さらにポリトリメチレンテレフタレート繊維は0%以上の伸長率で、原糸製造、糸加工、あるいは編地の段階で伸長熱処理されていることが圧縮撓み時のヒステリシスロス及び残留歪量低減のためより好ましい。
【0025】
繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。繊維の形態も、原糸、紡績糸、撚糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等嵩高加工糸のいずれのものを採用してもよく、マルチフィラメントでもモノフィラメントでも良いが、連結糸のモノフィラメントを編地表面への露出しない様に被覆率を上げるには、立体編物の少なくとも片側面にマルチフィラメントの仮撚加工糸、紡績糸等の嵩高糸を用いることが好ましい。又、立体編物にパワーのあるストレッチ性あるいは圧縮撓み性と回復性を付与するためには、少なくとも片側の編地にモノフィラメントを用いることが好ましい。尚モノフィラメントがサイドバイサイド等の複合紡糸された潜在捲縮発現性の糸条であるとよりストレッチ性と回復性が向上し好ましい。
又、立体編物は表裏糸及び連結糸を、ポリエステル系繊維100%で構成すると、廃棄の際に解重合によりモノマーに戻すリサイクルが可能となり、また、焼却しても有害ガスの発生が防止でき好ましい。
【0026】
本発明において、好ましく用いられるポリトリメチレンテレフタレート繊維は、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維であって、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むものである。したがって、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0027】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより製造される。この製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に製造した後、ブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。
【0028】
複合紡糸に関しては、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報等に例示されるような、第一成分にポリトリメチレンテレフタレート、第二成分にポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、あるいはナイロンを用いて、これらを並列に配置したサイドバイサイド型あるいは偏芯的に配置した偏芯シースコア型に複合紡糸したもの等が挙げられる。特に、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましく、中でも、特開2000−239927号公報に例示されるような、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型に複合紡糸したものが、高度の伸長回復性を兼備するので、立体編物の表裏の編地に用いると好ましい。
【0029】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキシ安息香酸等)等がある。また、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
【0030】
ポリトリメチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントは、例えば、国際公開WO01/75200号パンフレットに記載された方法により製造することができる。すなわち、ポリトリメチレンテレフタレートを紡口から吐出し、冷却浴中で急冷した後第1ロールで巻き取り、次いで温水中や乾熱雰囲気下で延伸しながら第2ロールで巻き取った後、乾熱雰囲気下や湿熱雰囲気下においてオーバーフィードでリラックス処理して第3ロールで巻き取る方法等で製造することができる。繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよいが、丸型断面が立体編物のクッション性の耐久性を向上させる上で好ましい。
【0031】
本発明の表裏の編地または連結糸のモノフィラメントに用いる繊維は、着色されていることが好ましい。
着色方法は、未着色の糸をかせやチーズ状で糸染めする方法(先染め)、紡糸前の原液に顔料、染料等を混ぜて着色する方法(原液着色)、立体編物状で染色したりプリントする方法等によって着色することができるが、立体編物状で染色すると立体形状を維持するのが困難であったり加工性が悪いため、先染めや原液着色が好ましい。
【0032】
連結糸に用いるモノフィラメントの繊度は、通常、20〜1500デシテックスの太さのものを用いることができる。立体編物に弾力感のあるより優れたクッション性を付与する上からは、モノフィラメントの太さは100〜1000デシテックスが好ましく、より好ましくは200〜900デシテックスである。又、表裏の編地に用いるマルチフィラメント等の繊維には、通常、50〜2000デシテックスの太さのものを用いることができ、フィラメント数は任意に設定できる。
この際、編機の針1本にかかるモノフィラメントの繊度T(デシテックス)と全マルチフィラメントの繊度d(デシテックス)はT/d≦0.9であることが、モノフィラメントをマルチフィラメントで被覆し、立体編物表面へのモノフィラメントの露出を防止し、モノフィラメント固有の光沢により立体編物表面がギラギラと光るギラツキを抑えると共に、表面の風合いを良好にする上で好ましい。
【0033】
本発明の立体編物は、相対する2列の針床を有する横編機で編成することができ、例えばVベッドを有する横編機等で編成できる。編機のゲージは7ゲージから28ゲージまでが好ましく用いられる。
立体編物の表裏の編地は希望する意匠性を付与することができるものであり、これに加えて4角、6角等のメッシュ等複数の開口部を有する編地にして軽量性、通気性を向上させてもよく、表面を平坦な組織にして肌触りを良好にしてもよい。表面を起毛するとより肌触りの良好なものが得られる。
【0034】
連結糸の密度については、立体編物6.45cm2 の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm2 )、連結糸のデシテックスをT(g/1×106cm)、連結糸の比重をρ0(g/cm3)とした時、立体編物6.45cm2 の面積中にある連結糸の総断面積(N・T/1×106・ρ0)が0.03〜0.35cm2が好ましく、より好ましくは0.05〜0.25cm2である。この範囲に設定することによって、立体編物がより適度な剛性による良好なクッション性を有するものとなる。
【0035】
連結糸は、表裏の編地中にループ状の編目を形成してもよく、表裏編地にタック編で引っかけた構造でもよいが、少なくとも2本の連結糸が表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜してクロス状(X状)とするか、少なくとも1本の連結糸でトラス状に連結することが、立体編物の形態安定性を向上させる上で好ましい。トラス構造の場合、図5のコース列に沿った切断面図に示す様に、1本の連結糸によって形成される角度(θ1)が40〜160度であると、立体編物の形態安定性が増し好ましい。また、クロス構造の場合は図6のコース列に沿った切断面図に示す様に2本の連結糸によって形成される角度(θ2)が15〜150度であると好ましい。この際、トラス構造及びクロス構造共に1本の同一の連結糸が表または裏面で折り返し、見かけ上2本となっている場合であっても良い。
立体編物の厚み、目付は目的に応じて任意に設定できるが、厚みは3〜30mmが好ましく用いられる。3mm未満であるとクッション性が低下する傾向となり、30mmを越えると立体編物の仕上げ加工が難しくなる。目付は150〜3000g/m2、好ましくは200〜2000g/m2である。
【0036】
立体編物の仕上げ加工方法は、先染め糸や原液着色糸を使用した立体編物の場合は生機を精練、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。連結糸或いは表裏糸のいずれかが未着色の立体編物の場合は、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。
仕上げ加工後の立体編物は、融着、縫製、樹脂加工等の手段で端部を処理したり、熱成形等により所望の形状にして、ハンモック式座席シートやベッドパッド等の各種用途に用いることができる。
尚、予め編成の段階で目増やし目減らし等を利用した成型編を行なって所望の形状に編立てすると、裁断、縫製等が合理化できて好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
立体編物の各種物性の測定方法は以下の通りである。
(1)モノフィラメントの曲率C1
立体編物の連結糸のモノフィラメントの湾曲状態の拡大写真を、モノフィラメントが湾曲してできた円弧(半円)に対して直角方向から撮影する。この際連結糸が傾斜している場合は傾斜の角度にあわせて撮影する。拡大写真をイメージスキャナーでコンピューターに読み込み、高精細画像解析システムIP1000PC(商品名、旭化成(株)製)の画像解析ソフトを用いて、モノフィラメントの湾曲が最も激しい個所の内接円(モノフィラメントの凹側)と外接円(モノフィラメントの凸側)を書き、それぞれの円の半径の平均値(実寸に直した値)を算出し、モノフィラメントの中心線に対する曲率半径r1(mm)を求め、下記式により曲率を算出する。
C1=1/r1
【0038】
(2)モノフィラメントの屈曲伸長率S(%)
立体編物の厚みT0(mm)を490Paの荷重をかけて測定し、立体編物の厚みがT0/2(mm)となる様に立体編物を50%圧縮した状態で、モノフィラメントの湾曲状態の拡大写真を、モノフィラメントの湾曲によってできた円弧(半円)に対して直角方向から撮影する。拡大写真をイメージスキャナーでコンピューターに読み込み、前述の様にモノフィラメントの湾曲が最も激しい個所のモノフィラメントの中心線でできる円弧に対する曲率半径r2(mm)を求め、下記式により屈曲伸長率S(%)を算出する。
S(%)=50D/r2
(但し、Dはモノフィラメントの直径(mm)である。)
50%圧縮した状態の拡大写真を撮影するには、50%圧縮した時に立体編物の編み終わり側の端部から、湾曲してはみ出してくるモノフィラメントを撮影すると、傾斜したモノフィラメントも撮影しやすい。又、写真撮影しやすくするために立体編物を50%圧縮した状態で樹脂で硬化させても良い。
【0039】
(3)50%圧縮回復時のヒステリシスロスL(%)
島津オートグラフAG−B型(島津製作所製)を用い、直径100mmの円盤状圧縮治具により、剛体面上に置いた15cm角、厚みT0(mm)の立体編物を10mm/minの速度でT0/2の厚みに圧縮し、所定の厚みになったら直ぐに10mm/minの速度で開放する。この際に得られる図7に示す荷重−変位曲線から、行き(圧縮)の曲線と変位軸(x軸)で形成される面積A0(cm2 )と、帰り(回復)の曲線と変位軸(x軸)で形成される面積A1(cm2 )を求め、次式でヒステリシスロスL(%)を算出する。
L(%)=(A0−A1)/A0×100
【0040】
(4)50%圧縮後の圧縮残留歪ε(%)
上記の(3)の方法で圧縮・開放した直後の残留歪率ε(%)を次式で算出する。
ε(%)=(T0−T1)/T0×100
(但し、T1(mm)は開放直後の490Paの荷重下での立体編物の厚みである。)
【0041】
(5)圧縮撓み量E(mm)、圧縮撓み時のヒステリシスロスQ(%)、圧縮撓み時の残留歪量E1(mm)
4隅に高さ15cmの足を取付けた内径が1辺30cm、外径が1辺41cmの四角形の板状の金属枠(上面に40番のサンドペーパーを貼りつけて滑り止め性を付与)と内径が1辺30cm、外径が1辺41cmの四角形の板状の金属枠(下面に40番のサンドペーパーを貼りつけて滑り止め性を付与)の間に立体編物を弛まない様に挟み、周囲を万力で固定する。
島津オートグラフAG−B型(島津製作所製)を用い、直径100mmの円形平面状の圧縮端子により、張設した立体編物の中央部を100mm/分の速度で圧縮し、245Nの荷重になったら同速で元に戻す。この際に得られる図7に示す荷重−変位曲線から、245N荷重時の変位を撓み量E(mm)、回復曲線の荷重が0となる変位を残留歪量E1(mm)とする。又、行き(圧縮)の曲線と変位軸(x軸)で形成される面積をa0(cm2 )、帰り(回復)の曲線と変位軸(x軸)で形成される面積をa1(cm2 )とした時に、次式でヒステリシスロスQ(%)を算出する。
Q(%)=(a0−a1)/a0×100
【0042】
(6)伸長率I(%)、伸長残留歪B(%)
仕上げ加工した立体編物を30cm×5cm(幅)にカットして試験片を作製し、試験片の20cmの間隔に印を付ける。試験片はタテ方向(ウエール列に沿った方向)とヨコ方向(コース列に沿った方向)のものを採取する。試験片の一端をチャックに固定して吊るし、さらにもう一端に荷重98Nの荷重をチャックで固定して吊るす。5分後に印間の長さL1を測定し、その後荷重を取り除き、1分後の印間の長さL2を測定し、次の式に従い伸長率、伸長残留歪を算出する。
I(%)=〔(L1−20)/20〕×100
B(%)=〔(L2−20)/20〕×100
【0043】
(7)圧縮回復率R(%)
厚みがT0(mm)の立体編物をT0/2(mm)となる様に50%圧縮した状態で、常温下(23±0.5℃)または70℃(±0.5℃)雰囲気下で22時間放置する。22時間後に圧縮を開放し常温下で30分間放置した後、490Paの荷重下での立体編物の厚みT2を測定し次式で圧縮回復率R(%)を算出する。
R(%)=(T2/T0)×100
(8)繰り返し圧縮残留歪ε(%)
フォームラバー繰り返し圧縮試験機A型(テスター産業(株)社製)を用い、立体編物を厚みT0(mm)がT0/2の厚みになる様に50%圧縮を25万回繰り返した後、厚みT3(mm)を測定し、次式で繰り返し圧縮残留歪ε(%)を算出する。
ε(%)=〔(T0−T3)/T0〕×100
【0044】
(9)モノフィラメントの曲げ回復時のヒステリシスロス2HB(%)
26本のモノフィラメントを1mm間隔でシート状に引き揃えて並べ、11mmのサンプル長となるようにモノフィラメントシートの両端の上下面を両面接着テープを介して厚紙で固定してつかみ代とする。両端のつかみ代は20mm長、30mm幅である。
KES−FB2純曲げ試験機(カトーテック製)を用い、モノフィラメントのシート状サンプルを正および逆方向に曲率2.5まで曲げ、曲率1における曲げ回復のヒステリシスロス2HB(cN・cm/yarn)を測定する。
(10)クッション性(弾力感)
立体編物をテーブルの上に置き、立体編物を上から指先(3本)で軽く3回押さえ、弾力感を以下の基準にしたがって官能評価する。繰り返し圧縮前後で評価する。
◎:弾力感が高い
○:弾力感がやや高い
△:弾力感が低い
×:弾力感が殆どない
【0045】
(11)ハンモックシートでのクッション性(反発感、フィット感)
座部が40cm角の四角い金属フレームで作られた椅子(4脚、背もたれなし)のフレームに立体編物の周囲を緩まないように縫製及びボルト止めして張設し、体重65kgの男性が10回、各5分間座り、クッション性を官能評価により、◎:反発感がある、○:反発感がややある、△:反発感がやや少ない、×:反発感が少ない、の4段階で評価する。又、フィット感を官能評価により、◎:フィット感が高い、○:フィット感がやや高い、△:フィット感がやや低い、×:フィット感が低い、の4段階で評価する。
(12)ハンモックシートでの形態保持性
上記no(11)の試験後、椅子に張った立体編物のへたり状態を外観評価によりし、◎:へたりが全くない、○:へたりが殆どない、△:ややへたりがある、×:へたりが激しい、の4段階で評価した。
(13)意匠性
立体編物の表面概観を観察し、◎:意匠性が非常に良好、○:意匠性が良好、×:意匠性に乏しい、の3段階で評価した。
【0046】
【参考例】
(ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントの製造)
実施例において使用したポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントは、以下の方法により製造した。
固有粘度[η]=0.9のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃で紡口から吐出し、40℃の冷却浴中に導いて冷却しつつ16.0m/分の速度の第1ロール群によって引張って細化した未延伸モノフィラメントとした後、温度55℃の延伸浴中で5倍に延伸しながら80.0m/分の第2ロール群によって引張り、その後、120℃のスチーム浴中で弛緩熱処理を施しながら、72.0m/分の第3ロール群を経た後、第3ロール群と同速の巻取り機で巻取り、280デシテックスの延伸モノフィラメントを製造した。
【0047】
尚、固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0048】
【実施例1】
14ゲージ、歯口5mm、両面出会いのVベッドの横編機を用い、表側の編地を形成する糸に835デシテックス240フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成株式会社製、商標「ソロ」仮撚加工糸167デシテックス48フィラメントの先染め糸、5本引き揃え)の黒色糸を図8に示す組織図の給糸No4、10、16に供給し、黄色糸を給糸No3、9、15に供給した。又、裏側の編地を形成する糸に835デシテックス240フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成株式会社製、商標「ソロ」仮撚加工糸167デシテックス48フィラメントの黒色先染め糸、5本引き揃え)を給糸No5、6、11、12、17、18に供給し、連結糸に参考例で製造した280デシテックスのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(直径0.16mm)を給糸No1、2、7、8、13、14に供給して、15コース/2.54cm、16ウエール/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を10%幅出しして150℃×2分で乾熱ヒートセットし、表側の編地が2色柄、裏側の編地が2コース天竺組織で、全連結糸が表側の編地の編目と相対する裏側の編目から2ウエール離れた編目を斜めに傾斜して連結し、X構造を形成している立体編物を得た。得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【0049】
【実施例2】
実施例1で得られた立体編物の生機を有り幅で150℃×2分で乾熱ヒートセットした以外は、実施例1と同様にして得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【実施例3】
実施例1で得られた立体編物の生機を20%幅出しして150℃×2分で乾熱ヒートセットした以外は、実施例1と同様にして得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【0050】
【実施例4】
連結糸に280デシテックスのポリブチレンテレフタレートモノフィラメント(旭化成株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【実施例5】
横編機をゴム出合いとし、編組織の給糸No1と2を1コースの全針タック編に変更し、同様に給糸No7、8及び13、14もそれぞれ1コースの全針タック編に変更した。連結糸に280デシテックスのポリエチレンテレフタレートモノフィラメント(旭化成株式会社製)を用い、全針タック編の部分に供給した以外は実施例2と同様にして、全連結糸が表側の編地の編目と相対する裏側の編目から1/2ウエール離れた編目を、X構造を形成せずに連結している立体編物を得た。得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は、意匠性が非常に良好なものであった。
【0051】
【比較例1】
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間12mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する3枚の筬(L1、L2、L3)から167デシテックス48フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成株式会社製、商標「ソロ」仮撚加工糸、黒色先染め糸)をいずれもオールインの配列で供給し、裏側の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から334デシテックス96フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成株式会社製、商標「ソロ」仮撚加工糸167デシテックス48フィラメントの黒色先染め糸、2本引き揃え)をL5ガイドに1イン1アウトの配列で、L6ガイドに1アウト1インの配列で供給し、連結糸を形成するL4の筬から参考例で製造した280デシテックスのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(直径0.16mm)をオールインの配列で供給した。以下に示す編組織で、打ち込み15コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を20%幅出しして150℃×2分で乾熱ヒートセットし、表側の編地が平坦な組織、裏側の編地がメッシュ組織で、全連結糸が表側の編地の編目と相対する裏側の編目から3ウエール離れた編目を斜めに傾斜して連結し、X構造を形成している立体編物を得た。得られた立体編物の諸物性を表1に示す。本立体編物は意匠性に乏しいものであった。
【0052】
(編組織)
L1:2322/1011/
L2:1011/2322/
L3:1000/0111/
L4:1043/6734/
L5:2210/1123/
L6:3222/0111/
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明の立体編物は、意匠性に優れ、弾力性のあるクッション性を有し、瞬時の圧縮回復性が良好で、繰り返し或いは長時間使用しても弾力性が損なわれにくく、クッション性の耐久性に優れるものである。特に、ハンモック式の座席シートに使用した場合に、弾力感のあるクッション性を示すと共に人体へのフィット感が良好で、かつ繰り返し或いは長時間座った後もヘタリが少なく、形態保持性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】立体編物のウエール列に沿った切断面から見たモノフィラメントの中心線を示す一例。
【図2】立体編物のウエール列に沿った切断面から見た、立体編物を50%圧縮した状態のモノフィラメントの湾曲状態を示す一例。
【図3】立体編物のコース列に沿った切断面図。
【図4】立体編物の50%圧縮時のコース列に沿った切断面図。
【図5】立体編物のコース列に沿った切断面図における連結糸のトラス構造の一例。
【図6】立体編物のコース列に沿った切断面図における連結糸のクロス構造の一例。
【図7】荷重−変位曲線。
【図8】実施例の編組織図。
Claims (18)
- 表裏二層の横編地がモノフィラメントにより連結され、表裏の編地の少なくとも一方の編地表面が選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有していることを特徴とする立体横編物。
- モノフィラメントの曲率が0.01〜1.6であることを特徴とする請求項1に記載の立体横編物。
- 50%圧縮時のモノフィラメントの屈曲伸長率が20%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体横編物。
- 50%圧縮回復時のヒステリシスロスが50%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の立体横編物。
- 圧縮撓み量が10mm以上80mm以下、圧縮撓み時のヒステリシスロスが65%以下、圧縮撓み時の残留歪量が30mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の立体横編物。
- タテ方向及びヨコ方向の伸長率が3%以上50%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の立体横編物。
- タテ方向及びヨコ方向の伸長残留歪が10%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の立体横編物。
- 圧縮前の連結糸長H1(mm)と50%圧縮後の連結糸長H2(mm)の関係が次式で示されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の立体横編物。
H1/H2≧0.55 - モノフィラメントの直径D(mm)と厚みT0(mm)の関係が次式で示されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の立体横編物。
T0/D≧20 - 少なくとも一部の連結糸が、表側の編地の編目と相対する裏側の編目以外の離れたウエール列の編目を斜めに傾斜して連結し、該連結糸と逆方向に斜めに傾斜して表裏の編目を連結する連結糸が存在し、前記互いに逆方向に斜めに傾斜した連結糸がクロス構造またはトラス構造を形成していることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の立体横編物。
- 6.45cm2 の面積中にある連結糸の総断面積が0.03cm2 以上0.35cm2 以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の立体横編物。
- 表裏の少なくとも一方の編地のヨコ方向に挿入糸が直線状に挿入されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の立体横編物。
- 常温下での圧縮回復率が90%以上、70℃雰囲気下での圧縮回復率が70%以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の立体横編物。
- 請求項1〜13のいずれかに記載のハンモック式座席シート用立体横編物。
- 連結糸の少なくとも一部がポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントで構成されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の立体横編物。
- 表裏層の糸の少なくとも一部がポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメントで構成されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の立体横編物。
- 挿入糸がポリトリメチレンテレフタレート繊維であることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の立体横編物。
- 目増やし、目減らしのうち少なくともどちらかの編成方法を用いた成型編により所望の形状に形成されたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の立体横編物。
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