JP2004106296A - Reaction liquid, set of ink composition and reaction liquid, ink-jet recording method, and record - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性ボールペン、万年筆、水性サインペン等の筆記具や、インクジェットプリンタ用に好適な反応液、インク組成物と反応液とのセット、インクジェット記録方法及び記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】
安価な装置で高解像度且つ高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有するインクジェット記録は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。しかしながら、インクジェット記録方法はインク組成物が液体であるために記録媒体上に着弾した際にインク液滴が記録媒体中に浸透するために輪郭部が不明瞭となったり、また、隣接する異なる色間の境界にじみ(所謂カラーブリード)が発生する現象があった。
【0003】
この問題を解決することを目的として、多価金属塩溶液を記録媒体に適用した後、少なくとも一つのカルボキシル基を有する染料を含むインク組成物を適用する方法が提案されている。即ち、多価金属イオンを含有する反応液と染料が記録媒体上で接触することにより不溶性物が形成される。この結果として輪郭部の不明瞭性の改善及びカラーブリードを生じることがなく、更に耐裏抜け性に優れた高品位の画像を得ることが可能となる(特許文献1参照)。
【0004】
また、塩との作用により増粘又は凝集するブラックインクとその塩を含有するカラーインクとを組合せて使用することにより、画像濃度が高く且つカラーブリードがない高品位のカラー画像が得られるという技術手段も開示されている。即ち、塩を含有する第一の液と、インク組成物との二液を印字することで、良好な画像を得ることが可能となる(特許文献2参照)。更に二液を用いる各種の提案がなされている(特許文献3及び4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−202328号公報
【特許文献2】
特開平6−106735号公報
【特許文献3】
特開平3−240557号公報
【特許文献4】
特開平3−240558号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記多価金属イオンを含有するインクセットについて種々の検討を行った。その結果、このようなインクセットにより確かに輪郭部の不明瞭性の改善及びカラーブリードを生じることがなく、更に耐裏抜け性に優れた高品位の画像を形成することは可能となるものの、一方ではその反応性が高いがゆえの新たな課題を認識するに到った。
【0007】
即ち、反応液中の多価金属イオンがインク組成物中の色材と反応し(染料の場合は染料凝集、顔料の場合は分散破壊)輪郭部の不明瞭性の改善及びカラーブリードを生じることがないといった効果を奏するものであるが、反応性が高いが故に、反応液とインク組成物が接触した時点(瞬間〜ほぼ数百msec)にほぼ反応が終了してしまう。従って、反応液と反応した色材成分は記録媒体上部に残り、未反応の色材はインク中の液体成分とともに記録媒体中へ浸透する。つまり未反応の色剤は実質的に発色に寄与しづらくなるばかりでなく、場合によっては裏抜けし、両面記録時の弊害になりかねない。
【0008】
この問題を改善するために勿論、反応液の反応性を更に高めること、具体的には、反応液中の多価金属濃度を高めること、多価金属としてより反応性の高い金属塩(3価)を用いることが容易に推定可能である。しかし、これら2点は何れも、反応液とインク組成物の反応性を極端に高めることに他ならず、印字記録中のミストによる悪影響等を考慮すると好ましい方法ではない。
【0009】
従って、本発明者らは、反応液とインク組成物の反応性を極端に高めることなく、色材を発色に対して有効利用する手段が必要であるとの結論に到った。従って、本発明の目的は、反応液とインク組成物の反応性を極端に高めることなく、輪郭部の不明瞭性の改善及びカラーブリードを生じることがなく、更に耐裏抜け性に優れた高品位の画像を形成することが可能となる反応液、インク組成物と反応液とのセット、インクジェット記録方法並びにその記録物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明によれば、少なくとも1種のインク組成物と共に画像形成に用いられる反応液であって、価数の異なる2種の金属イオン、若しくはそれらの塩を含有することを特徴とする反応液が提供される。
【0011】
上記本発明においては、前記反応液中の金属塩が、少なくとも1価の金属イオン、若しくはその塩を含有すること;前記反応液の表面張力が、前記反応液と反応するインク組成物の何れの表面張力よりも高いこと;前記反応液の表面張力が、前記インク組成物の何れの表面張力よりも高いこと;前記反応液が、全てのインク組成物と反応すること;及び前記インク組成物中の色材が、少なくとも顔料を含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明によれば、少なくとも1種のインク組成物と、該インク組成物と反応し該インク組成物を凝集せしめる反応液と、を有する画像形成に用いられるインク組成物と反応液とのセット(以下単に「インクセット」又は「セット」という場合がある)において、上記反応液が価数の異なる2種の金属イオン、若しくはそれらの塩を含有することを特徴とするセットが提供される。
【0013】
上記本発明においては、前記反応液中の金属塩が、少なくとも1価の金属イオン、若しくはその塩を含有すること;前記反応液の表面張力が、前記反応液と反応するインク組成物の何れの表面張力よりも高いこと;前記反応液の表面張力が、前記インク組成物の何れの表面張力よりも高いこと;前記反応液が、全てのインク組成物と反応すること;及び前記インク組成物中の色材が、少なくとも顔料を含むことが好ましい。
【0014】
更に本発明によれば、記録媒体に、少なくとも1種のインク組成物と該インク組成物中の少なくとも1種と反応し、該インク組成物を凝集せしめる反応液を付着させて、記録を行うインクジェット記録方法において、前記反応液が上記の反応液であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
【0015】
上記本発明においては、前記反応液を、前記インク組成物に先だって記録媒体に付与する工程を少なくとも含むこと;前記反応液中の金属塩が、少なくとも1価の金属イオン、若しくはその塩を含有すること;前記反応液の表面張力が、前記反応液と反応するインク組成物の何れの表面張力よりも高いこと;前記反応液の表面張力が、前記インク組成物の何れの表面張力よりも高いこと;前記反応液が、全てのインク組成物と反応すること;前記インク組成物中の色材が、少なくとも顔料を含むことが好ましい。
また、本発明によれば、上記の記録方法によって印字されていることを特徴とする記録物が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(反応液)
水性媒体中にイオン性基の作用によって水性媒体に分散又は溶解させられている色材の分散安定性を記録媒体上で破壊及び凝集することのできる反応液としては、金属塩及び水性媒体を含んでいることが好ましい。
【0017】
(金属塩について)
反応液に用いることができる金属塩とは、一価の金属イオン及び二価以上の多価金属イオンと、これら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶なものである。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+及びBa2+等の二価金属イオン、Al3+、Fe3+、Cr3+及びY3+等の三価金属イオン等が挙げられる。陰イオンとしては、SO4 2−、Cl−、CO3 2−、NO3 −、I−、Br−、ClO3 −及びCH3COO−等が挙げられる。また、一価の金属イオンとしては以下のものが挙げられる。例えば、(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3から選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。ここでM1はアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、Phはフェニル基を表す。
【0018】
そして、アルカリ金属の具体例としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられ、また、有機アンモニウムの具体例としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム及びトリエタノールアンモニウム等が挙げられる。勿論、本発明は上記化合物に限定されるものではない。
【0019】
また、反応液中の上記塩の含有量は、本発明に係る効果を考慮すると0.01〜20質量%が好ましい。また、反応液は、必ずしも可視域に吸収を示さないものである必要はない。可視域に吸収を示すとしても実質上画像に影響を与えない範囲であれば可視域に吸収を示すものであってもかまわない。
【0020】
(水性媒体)
本発明に係る反応液に用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、反応液の乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でも或は混合物としても使用することができる。また、水としては脱イオン水を使用することが望ましい。
【0021】
本発明に係る反応液中に含有される水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、反応液全質量に対して、好ましくは3〜50質量%の範囲が好適である。また、反応液に含有される水の含有量は反応液全質量に対して好ましくは50〜95質量%の範囲である。更に上記の成分の他に必要に応じて所望の物性値を持つ反応液とするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤等を添加することができる。
【0022】
(インク組成物)
上記した反応液は、色材がイオン性基によって水性媒体に分散又は溶解させられているインク組成物と組合せて記録に用いることで、高品質の画像を形成することができる等の好ましい効果が得られる。かかるインクに用いることのできる色材としては、例えば、染料、顔料、マイクロカプセル化顔料、更には着色樹脂等が挙げられる。以下これらの色材について詳述する。
【0023】
(染料)
インクの色材として用いる染料としては従来から公知の物を用いることができ、例えば、酸性染料、直接染料、分散染料等を用いることができる。例えば、アニオン性染料としては、既存のものでも、新規に合成したものでも適度な色調と濃度とを有するものであれば、大抵のものを用いることができる。また、これらのうちの何れかを混合して用いることも可能である。アニオン性染料の具体例を以下に挙げる。
【0024】
(イエロー用の色材)
C.I.ダイレクトイエロー8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99、C.I.リィアクティブイエロー2、3、17、25、37、42、C.I.フードイエロー3
【0025】
(レッド用の色材)
C.I.ダイレクトレッド2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、C.I.アシッドレッド6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289、C.I.リィアクティブレッド7、12、13、15、17、20、23、24、31、42、45、46、59、C.I.フードレッド87、92、94
【0026】
(ブルー用の色材)
C.I.ダイレクトブルー1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、117、127、138、158、161、C.I.リィアクティブブルー4、5、7、13、14、15、18、19、21、26、27、29、32、38、40、44、100
【0027】
(ブラック用色材)
C.I.ダイレクトブラック17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195、C.I.アシッドブラック2、48、51、52、110、115、156、C.I.フードブラック1、2
【0028】
(顔料)
用い得る顔料としては、例えば、カーボンブラックや有機顔料等が挙げられる。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料で、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等を使用することができるが、これらに限定されるものではなく従来公知のカーボンブラックを使用することが可能である。また、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を黒色顔料として用いてもよい。
【0029】
(有機顔料)
有機顔料として具体的には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、チオインジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料が例示できる。
【0030】
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:1、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。勿論、上記以外でも従来公知の有機顔料が使用可能である。
【0031】
(分散剤)
上記したカーボンブラックや有機顔料を用いる場合には分散剤を併用することが好ましい。分散剤としては、アニオン性基の作用によって上記の顔料を水性媒体に安定に分散させることのできるものが好適に用いられる。分散剤の具体例は、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重合体或はこれらの塩等が含まれる。また、これらの分散剤は、重量平均分子量が1000〜30000の範囲のものが好ましく、特には3000〜15000の範囲のものが好ましい。
【0032】
(自己分散型顔料)
色材として、顔料表面にイオン性基(アニオン性基)を結合させることによって分散剤なしで水性媒体に分散させることのできる顔料、所謂自己分散型顔料を用いることもでき、このような顔料の一例として、例えば、自己分散型カーボンブラックを挙げることができる。自己分散型カーボンブラックとしては、例えば、アニオン性基がカーボンブラック表面に結合したものを挙げることができる。
【0033】
(アニオン性カーボンブラック)
アニオン性カーボンブラックとしては、カーボンブラックの表面に、例えば、−COO(M2)、−SO3(M2)、−PO3H(M2)及び−PO3(M2)2から選ばれる少なくとも1つのアニオン性基を結合させたものが挙げられる。上記式中、M2は水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。これらの中で特に−COO(M2)や−SO3(M2)をカーボンブラック表面に結合してアニオン性に帯電せしめたカーボンブラックはインク中の分散性が良好なため本発明に特に好適に用い得るものである。
【0034】
ところで、上記親水性基中「M2」として表したもののうち、アルカリ金属の具体例としては、例えば、Li、Na、K、Rb及びCs等が挙げられ、また、有機アンモニウムの具体例としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0035】
そして、M2をアンモニウム或いは有機アンモニウムとした自己分散型カーボンブラックを含む本発明のインクは、記録画像の耐水性をより向上させることができ、この点において特に好適に用いることのできるものである。これは当該インクが記録媒体上に付与されると、アンモニウムが分解し、アンモニアが蒸発する影響によるものと考えられる。ここでM2をアンモニウムとした自己分散型カーボンブラックは、例えば、M2がアルカリ金属である自己分散型カーボンブラックをイオン交換法を用いてM2をアンモニウムに置換する方法や、酸を加えてH型とした後に水酸化アンモニウムを添加してM2をアンモニウムにする方法等が挙げられる。
【0036】
アニオン性に帯電している自己分散型カーボンブラックの製造方法としては、例えば、カーボンブラックを次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法が挙げられ、この方法によってカーボンブラック表面に−COONa基を化学結合させることができる。
【0037】
ところで、上記したような種々の親水性基は、カーボンブラックの表面に直接結合させてもよい。或いは他の原子団をカーボンブラック表面と該親水性基との間に介在させ、該親水性基をカーボンブラック表面に間接的に結合させてもよい。ここで他の原子団の具体例としては、例えば、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、置換若しくは未置換のフェニレン基、置換若しくは未置換のナフチレン基が挙げられる。
【0038】
ここでフェニレン基及びナフチレン基の置換基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また、他の原子団と親水性基の組合わせの具体例としては、例えば、−C2H4COO(M2)、−Ph−SO3(M2)、−Ph−COO(M2)等(但し、Phはフェニル基を表す)が挙げられる。
【0039】
ところで、本発明において上記した自己分散型カーボンブラックの中から2種若しくはそれ以上を適宜選択したインクの色材に用いてもよい。また、インク中の自己分散型カーボンブラックの添加量としてはインク全質量に対して、0.1〜15質量%、特には1〜10質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲とすることで自己分散型カーボンブラックはインク中で十分な分散状態を維持することができる。更にインクの色調の調整等を目的として、自己分散型カーボンブラックに加えて染料を色材として添加してもよい。
【0040】
(着色微粒子/マイクロカプセル化顔料)
色材として上記したものの他に、ポリマー等でマイクロカプセル化した顔料や樹脂粒子の周囲を色材で被覆した着色微粒子等も用いることができる。マイクロカプセルに関しては、本来的に水性媒体に対する分散性を有するが、分散安定性を高めるために上記したような分散剤を更にインク中に共存させてもよい。また、着色微粒子を色材として用いる場合には、上記したアニオン性分散剤等を用いることが好ましい。
【0041】
(水性媒体)
上記したような色材を分散させる水性媒体は、特に限定されるものでなく、反応液に用いる水性媒体として前記したものと同様のものを用いることができる。また、該カラーインクをインクジェット法(例えば、バブルジェット(登録商標)法等)で記録媒体に付着せしめる場合には、前述したように優れたインクジェット吐出特性を有するようにインク所望の粘度及び表面張力を有するように調整することが好ましい。本発明に係るインク組成物に用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、反応液の乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。
【0042】
具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でも或は混合物としても使用することができる。また、水としては脱イオン水を使用することが望ましい。
【0043】
本発明に係るインク組成物中に含有される水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク組成物全質量に対して、好ましくは3〜50質量%の範囲が好適である。また、インク組成物に含有される水の含有量は反応液全質量に対して好ましくは50〜95質量%の範囲である。更に上記の成分の他に必要に応じて保湿剤を添加することは勿論、所望の物性値を持つ反応液とするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤等を添加しても構わない。
【0044】
(インクセット)
前記反応液と組み合わせてインクセットを構成するインクの色調は特に限定されず、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー及びブラックから選ばれる1つの色調を示すインクとすればよい。具体的には、所望の色調のインクとなるように前記した色材の中から適宜選択して用いることができる。ここで各インク中の色材の含有量は、例えば、インクジェット記録に用いる場合には該インクが優れたインクジェット吐出特性を備え、また、所望の色調や濃度を有するように適宜選択すればよいが、目安としては、例えば、インク全質量に対して1〜50質量%の範囲が好ましい。また、インクに含有される水の量はインク全質量に対して50〜95質量%の範囲が好ましい。
【0045】
また、反応液と組み合わせるインクは、1種類に限定されるものでなく、異なる色調のインクを2つ以上組み合わせて多色画像の形成に適したインクセットとすることがより好ましい。この場合2つ以上のインクのうち、少なくとも1つのインクが反応液と反応すればよい。
【0046】
水性媒体に色材がイオン性基の作用によって分散させられているインクであれば、他のインクを染料を色材として含むインクとしてもよく、勿論、全てのインクを水性媒体に色材がイオン性基の作用によって分散させられているインクとしてもよい。このようなインクセットによれば、多色画像をインクジェット装置で形成する場合に問題とされる、異なる色調のインクが記録媒体上で隣接して付与されたときのブリーディングを抑えることができる。
【0047】
より具体的には、インクジェット多色画像において問題とされるブリーディングは、黒色インクと他のカラーインク(例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、レッドインク、グリーンインク及びブルーインクから選ばれる少なくとも1つのインク)との間が特に顕著になり易いため、本発明においても反応液と相互作用するように水性媒体にイオン性基の作用によって色材を分散させた構成とするインクとしては黒色インクを組み合わせることが好ましい。そして他のカラーインクについては、染料を水性媒体に溶解したインクとしてもよく、勿論、黒色インクと同様に色材をイオン性基の作用によって水性媒体に分散させたインクとしてもよい。
【0048】
(記録方法)
前記反応液は、色材がイオン性基の作用によって水性媒体に分散させられているインクと組み合わせて、(i)インクを記録媒体に付与する工程;及び(ii)反応液を記録媒体の少なくともインクが付与される領域に付与する工程、を有する記録方法を採用することによって反応液とインク組成物の反応性を極端に高めることなく、輪郭部の不明瞭性の改善及びカラーブリードを生じることがなく、更に耐裏抜け性に優れた高品位の画像を形成することが可能となる反応液、インク組成物と反応液とのセット、インクジェット記録方法並びにその記録物を提供することができる。
【0049】
尚、このようなインクセットが高画像濃度及び高発色で印字品位を良好にできる理由は明らかではないが、例えば、反応液とインクをインクジェット法によって記録媒体(紙)面上に飛翔させ、両者を付着させた場合、インク中では安定して存在していた顔料等の色材が、紙面に付着後急速に反応する。
【0050】
しかし、全ての色材が反応しきれなかった場合、一部の色材は他の成分とともに、記録媒体中へ浸透してしまう。一方、本発明の手段を用いた場合、前述の一部の色材が浸透する過程で更に反応を起こすと推察している。特に、一価の金属イオンを含有する場合には、多価金属イオンの場合と異なり、反応による分散破壊及び凝集よりむしろ、1種の塩析による固液分離が起こるため、より好ましい効果を奏すると現段階では推察している。
【0051】
即ち、塩析による固液分離を記録媒体中に色材が浸透する過程で起こすことで、記録媒体表面近傍で反応しきれなかった色材の浸透を極力抑制することが本発明の狙いである。その結果、反応液とインク組成物の反応性を極端に高めることなく、輪郭部の不明瞭性の改善及びカラーブリードを生じることがなく、更に耐裏抜け性に優れた高品位の画像を形成することが可能となるのである。
【0052】
上記インクと反応液とのインクセットをインクジェット等で用いた場合、
a:反応液を印字した後にインクを印字する場合、
b:インクを印字した後に反応液を印字する場合、
c:インクを印字した後に反応液を印字させ、更にインクを印字させる場合、
d:反応液を印字した後にインクを印字させ、更に反応液を印字させる場合等、
様々な記録方法が考えられる。そしてインクと反応液との記録方法は、適宜選択すればよい。しかし、本発明の目的を鑑みれば、反応液をインクに先だって記録媒体に付与する工程を少なくとも含む前記(a)又は(d)が好ましい。
【0053】
反応液付与方法としては、前述の吐出手段を用いても構わないが、勿論限定されるものではない。例えば、ローラー塗布、バーコート等の従来公知のいかなる手段であっても本発明の技術思想の範囲内である。尚、反応液付与手段は記録装置と一体であっても別体であっても構わない。吐出手段を用いて反応液を付与する場合には、吐出適性等の確保の制約もあり、むしろローラー塗布等の方法が好ましい場合もある。具体的に前記(a)の場合には、実質的に記録媒体の全面にインクジェット方式と別の方式を用いて反応液を付与することも可能である。以下に反応液付与方法の一例を挙げる。図32及び図33に反応液付与方法の一例を示す。
【0054】
図32において記録媒体は紙送りローラー321と反応液322を付与するためのコーティングローラー323との間に挟み込まれて通過する。その際、コーティングローラー323は反応液322が蓄えられたタンク324に浸されながら回転し、反応液を常に補充しながら記録媒体に反応液を付与する。図33においては反応液が充填された多孔質のコーティングローラー331が回転しながら記録媒体に反応液を付与する。勿論、図32及び図33の類の装置をユニット化してプリンタ本体に組みこんでも構わない。また、上記方法に限定させるものではなく従来公知の方法であっても構わない。
【0055】
これまでの発明者らの検討によれば以下のように考えられる。前記(a)又は(d)の付与方法においては、先ず、反応液91が記録媒体25に付与され(図8(a)参照)、次いで反応液が付与された部位にインク92が付与される(図8(b)参照)。そのためインク中の色材は、記録媒体25に付与された直後から記録媒体表面に存在する反応液と反応することによりインク中の色材をより多く記録媒体25の表面に留めることができる結果、輪郭部の不明瞭性の改善及びカラーブリードを生じることがなく、更に耐裏抜け性に優れた高品位の画像を形成することが可能になると考えられるからである。
【0056】
また、上記反応液とインク組成物とのインクセットを複数、若しくは上記反応液とインク組成物とのインクセットと他のインク組成物を組み合わせることによってカラー画像の形成に好適に用い得るインクセットを提供することができる。そしてこのようなインクセットを用いて、例えば、ブラックインクに上記インクセットを用いて黒色画像部及びカラー画像部と隣接するような記録を行った場合、ブリーディングの発生を極めて有効に抑えることができる。
【0057】
(インク特性、インクジェット吐出特性及び記録媒体への浸透性について)
上記各実施態様に係るインクセットは、インクジェット記録用のインクセットとして好適に用いることができる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があり、それらの記録方法に本発明の反応液及びインクは特に好適である。
【0058】
ところで、上記各実施態様に係る反応液及びインクをインクジェット記録用に用いる場合には、反応液及びインクはインクジェットヘッドから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えば、その粘度を1〜15cps及び表面張力を25mN/m(dyne/cm)以上、特には粘度を1〜5cps及び表面張力を25〜50mN/m(dyne/cm)とすることが好ましい。
【0059】
(インクジェット記録方法)
次に本発明の各々の反応液及びインクを好適に用い得るインクジェット記録方法について説明する。図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。
【0060】
発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極17−1、17−2、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基板20より成り立っている。
【0061】
上記ヘッドの電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインクに気泡が発生し、その発生する圧力でメニスカス23が突出し、インクがヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、記録媒体25に向かって飛翔する。図3には図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。このマルチヘッドはマルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0062】
(インクジェット記録装置)
図4に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、また、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0063】
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0064】
上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面の水分や塵埃等の除去が行われる。また、キャップを介して不図示のポンプによって記録へッドの各インク、更には反応液の吐出口に位置しているインク等を吸引して、記録ヘッド本来のインク、或はインク及び反応液の本来の吐出性能を回復させる回復系ユニットを構成している。
【0065】
そして本発明のようなインクセットを用い、反応液とインクの双方をインクジェット装置で吐出させる構成とした場合にもインクと反応液とで回復系を各々分けて設ける必要がない。なぜなら前記したように反応液と色材をイオン性基を用いて水性媒体に分散させたインクとは単に混合しただけで反応するわけではないため、反応液とインクとの回復系を共通化しても、回復系の機能が経時的に損なわれることはないためである。
【0066】
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。51は記録媒体を挿入するための紙給部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。
【0067】
これらの構成により記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。
【0068】
その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0069】
(インクカートリッジ)
図5は、記録ヘッドにインク若しくは反応液を供給する部材、例えば、チューブを介して供給されるインク若しくは反応液を収容したカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用のインク又は反応液を収納した収容部、例えば、袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、袋40中のインク又は反応液をヘッドに供給可能にする。44は廃インク又は廃反応液を受容する吸収体である。
【0070】
収容部40としてはインク又は反応液との接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。このようなカートリッジは、例えば、図9に示したようにインク又は反応液を吐出せしめる記録ヘッド901に着脱可能に構成されてなるとともに、該カートリッジ45を記録ヘッドに装着した状態ではインク又は反応液が記録ヘッド901に供給されるように構成されている。
【0071】
また、本発明に係るカートリッジの他の態様として、反応液とインクとを各々個別に収容した2つの収容部を有しインク及び該反応液を吐出させるためのヘッドに対して着脱可能に構成され、且つインク及び反応液が該記録ヘッドに供給可能に構成されているカートリッジを挙げることができる。
【0072】
図10はそのようなカートリッジ1001の一例を示すものであり、1003は反応液の収容部、1005がインクの収容部であり、該カートリッジは図11に示すようにインク及び反応液の各々を吐出せしめる記録ヘッド1101に着脱可能に構成されてなるとともに、該カートリッジ1001を記録ヘッド1101に装着した状態では反応液及びインクが記録ヘッド1101に供給されるように構成されているものである。
【0073】
また、本発明では、図10に示したように反応液とインクとが物理的に一体化されているものばかりでなく、例えば、図12に示すように、反応液を収納したカートリッジ1201とインクを収納したカートリッジ1203とを反応液及びインクの各々を吐出させる共通の記録ヘッド1205に装着し、反応液及びインクとを用いてインクジェット画像の記録を行なうことのできるように構成されているものもまた本発明の範囲内のものである。
【0074】
(記録ユニット)
本発明で使用されるインクジェット装置としては、上述のようにヘッドとカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであり、この中にはインク又は反応液を収容した収容部がある。例えば、インクを収容する場合には、インク吸収体を収納し、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。
【0075】
また、吸収体を用いず、収容部が内部にバネ等を仕込んだ袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図4に示す記録ヘッド65に代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
【0076】
更に本発明に係る記録ユニットの他の実施態様として反応液と黒、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー及びブラックの色相を有する該カラーインクから選ばれる少なくとも1つのインクとを、1個のインクタンク内の各々のインク収納部に収納し、且つ各々のインクを吐出させるための記録ヘッドを一体的に備えた記録ユニット、具体的には、例えば、図13に示すように反応液を収容部1301Lに、イオン性基によって水性媒体に分散させられている黒インクを収納部1301Bkに、また、イエロー、シアン及びマゼンタのカラーインクを各々カラーインク収納部1301Y、1301C及び1301Mに収納し、更に反応液と他の4つの色調の異なるインクを各々個別に吐出させることができるようにインク流路を分けて構成した記録ヘッド1303を備えているような記録ユニット1301が挙げられる。
【0077】
次に、第二の力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の形態として、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成例を図7に示す。
【0078】
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板等を指示固定するための基板84とから構成されている。
【0079】
図7において、インク流路80は、感光性樹脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZT等の誘電体材料で形成される。
【0080】
以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、ひずみ応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレートの吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。このような記録ヘッドは図4に示したものと同様な記録装置に組み込んで使用される。記録装置の細部の動作は先述と同様に行うもので差しつかえない。
【0081】
(インクセットを用いた記録装置及び記録方法)
次にインクセットを用いてカラー画像を記録する場合には、例えば、前記図3に示した記録ヘッドを5つキャリッジ1401上に並べた記録装置を用いることができる。図14はその一実施例であり、1401L、1401Bk、1401Y、1401M及び1401Cはそれぞれ、反応液、イオン性基の作用によって水性媒体に分散させられてなるカーボンブラックを含む黒色インク、及びシアン、マゼンタ、イエロー各色のインクを吐出するための記録ユニットである。該記録ユニットは前記した記録装置のキャリッジ上に配置され、記録信号に応じて各色のインクを吐出する。また、反応液は、各色の或いは各色の中の少なくとも1色の記録インクが記録紙に付着する部分に、先立って或はインク付着後に付着させる。
【0082】
また、図14では記録ユニットを5つ使用した例を示したが、これに限定されず、例えば、図15に示したように1つの記録ヘッドで上記の反応液、イオン性基の作用によって水性媒体に分散させられてなるカーボンブラックを含む黒色インク及びYMCの3色のインクを各々含むインクカートリッジ1501L、1501Bk、1501Y、1501M及び1501Cから供給される各色のインクを各々個別に吐出させることができるようにインク流路を分けて構成した記録ヘッド1501に取り付けて記録を行う態様も挙げられる。
【0083】
次に本発明に好適に使用できる記録装置及び記録ヘッドの他の具体例を説明する。図16は、本発明に係るインクセットを構成する反応液やインクの吐出時に気泡が大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いた液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【0084】
図16においては、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる記録媒体としての用紙1028を図16に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する方向Sに略平行に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0085】
移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a及び1026bに巻きかけられるベルト1016と、ローラユニット1022a及び1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。
【0086】
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図16の矢印R方向に回転したき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図16の矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。また、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図16の矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図16の矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0087】
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下単に「カートリッジ」という場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bが各色、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックごとにそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。
【0088】
図17は上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容する液体タンク1002とで主要部が構成されている。
【0089】
インクジェット記録ヘッド100は液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1002から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(図18参照)へと導かれるようになっている。カートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
【0090】
このような構成のインクジェットプリンタに搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を以下に更に詳しく説明する。図18は本発明の基本的な形態を示す液体吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図19〜図22は図18に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図である。尚、電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は省略している。
【0091】
本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば、図18に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或は金属等からなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、及び後述する液流路、吐出口を形成する材料層の支持体として、機能し得るものであれば、特に限定されるものではない。そこで、本例では、Si基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。吐出口は、レーザー光による形成方法の他、例えば、後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(Mirror Projection Aliner)等の露光装置により形成することもできる。
【0092】
図18において934は電気熱変換素子(以下単に「ヒータ」という場合がある)931及び共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側に熱エネルギー発生手段であるヒータ931がそれぞれ1列ずつ千鳥状に電気熱変換素子の間隔が、例えば、300dpiで配列されている。この基板934上にはインク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、更に吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
【0093】
ここで、図18においてはインク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を、例えば、スピンコート等の手法によって基板934上に形成することにより、インク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。本例では、更に、吐出口面(上面)935a側は撥水処理が施されている。
【0094】
本例では、図16の矢印S方向に走査しながら記録を行うシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1200dpiで記録を行う。駆動周波数は10kHzであり、一つの吐出口では最短時間間隔100μsごとに吐出を行うことになる。
【0095】
また、ヘッドの実例寸法の一例としては、例えば、図19に示すように、隣接するノズルを流体的に隔離する隔壁936aは、幅w=14μmである。図22に示すように、インク流路壁936により形成される発泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μm、N2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931のサイズは30μmでヒータ抵抗値は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。また、インク流路壁936及び隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレート厚は11μmのものが使用できる。
【0096】
吐出口832を含む吐出口プレートに設けられた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状は概略星形となっており、鈍角の角を有する6つの起部832aと、これら起部832aの間に交互に配され且つ鋭角の角を有する6つの伏部832bとから概略構成されている。即ち、吐出口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域としての起部832aをその基部として、図18に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に6つの溝が形成されている。(溝部の位置については図23の1141a参照)
【0097】
本例においては、吐出口部940は、例えば、その厚み方向に交差する方向で切断した断面が一辺27μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図20に示すT1は8μmである。起部832aの角度は全て120度であり、伏部832bの角度は全て60度である。
【0098】
従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致するようになっている。本例の吐出口832の開口面積は400μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)は1つあたり約33μm2となっている。図21は図20に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【0099】
次に、上述の構成のインクジェット記録ヘッドによる液体の吐出動作について図23〜図30を用いて説明する。図23〜図30は、図18〜図22に記載の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図であり、図22に示す発泡室1337のX−Y断面図である。この断面において吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。
【0100】
図23はヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示し、図24は図23の約1μs後、図25は図23の約2μs後、図26は図23の約3μs後、図27は図23の約4μs後、図28は図23の約5μs後、図29は図23の約6μs後、図30は図23の約7μs後の状態をそれぞれ示している。尚、以下の説明において、「落下」又は「落とし込み」、「落ち込み」とは、いわゆる重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動をいう。
【0101】
まず、図23に示すように、記録信号等に基づいたヒータ931への通電に伴いヒータ931上の液流路1338内に気泡101が生成されると、約2μs間に図24及び図25に示すように急激に体積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935aを上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。
【0102】
次に、気泡101の生成から約2μs後の時点で気泡101は上述のように最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ同時にメニスカス102の形成も始まる。このメニスカス102も図26に示すようにヒータ931側への方向に後退、即ち落下してゆく。
【0103】
ここで、本例においては、吐出口部に複数の溝1141を分散させて有していることにより、メニスカス102が後退する際に、溝1141の部分ではメニスカス後退方向FMとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカスの後退時のメニスカス及び主液滴(以下単に「液体」又は「インク」と記述する場合がある)Iaの形状が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正される。
【0104】
そして、本例では、このメニスカス102の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図27に示すように気泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)はヒータ931に向かって落ち込んでゆく。これは、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体(インク)Iaが、気泡101の大気連通後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持しているからである。
【0105】
ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体(インク)は、図28に示すように気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図29に示すようにヒータ931の表面を覆うように拡がってゆく。このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体はヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば、垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、即ち吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。
【0106】
その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と上側の液体(主液滴)との間の液体部分Ibが細くなってゆき、気泡101の生成から約7μs後の時点で図30に示すようにヒータ1の表面の中央で液体部分Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaとヒータ931の表面上に拡がった液体Icとに分離される。このように分離の位置は液流路1338内部、より好ましくは吐出口832よりも電気熱変換素子931側が望ましい。
【0107】
主液滴Iaは吐出方向に偏りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出され、記録媒体の被記録面の所定位置に着弾される。また、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、従来であれば主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出されない。
【0108】
このようにサテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊するミストにより記録媒体の被記録面が汚れるのを確実に防止することができる。尚、図27〜29において、Idは溝部に付着したインク(溝内のインク)を、また、Ieは液流路内に残存しているインクを表している。
【0109】
このように、本例の液体吐出ヘッドでは、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。また、高い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行うことができることによる、高速高精細印字を実現することができる。
【0110】
特に、気泡の体積減少段階でこの気泡を始めて大気と連通させることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できるので、所謂、突然不吐の要因となる、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもできる。
【0111】
また、本発明に好適に使用できる、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様として、例えば特許第2783647号公報に記載のように、いわゆるエッジシュータータイプが挙げられる。本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
【0112】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて膜沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。
【0113】
この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0114】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0115】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。
【0116】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0117】
更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成の何れでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0118】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或は記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0119】
また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0120】
更に、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、又は混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0121】
以上説明した本発明の実施形態においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、若しくは液体であるもの、或は上述のインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0122】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、又はインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、何れにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。
【0123】
このような場合インクは、特開昭54−56847号公報或は特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0124】
更に加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体又は別体に設けられるものの他、リーダと組み合せた複写装置、更には送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0125】
次に、上述した液体吐出ヘッドを搭載する液体吐出装置の概略について説明する。図31は、本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。
【0126】
図31において、インクジェットヘッドカートリッジ601は、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに供給するインクを保持するインクタンクとが一体となったものである。このインクジェットヘッドカートリッジ601は、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア603、604を介して回転するリードスクリュ605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されており、駆動モータ602の動力によってキャリッジ607とともにガイド608に沿って矢印a,b方向に往復移動される。記録媒体Pは、図示しない記録媒体搬送手段によってプラテンローラ609上を搬送され、紙押え板610によりキャリッジ607の移動方向にわたってプラテンローラ609に対して押圧される。
【0127】
リードスクリュ605の一端の近傍には、フォトカプラ611、612が配設されている。これらはキャリッジ607のレバー607aのこの域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知手段である。
【0128】
支持部材613は、上述のインクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面(吐出口面)を覆うキャップ部材614を支持するものである。また、インク吸引手段615は、キャップ部材614の内部にインクジェットヘッドカートリッジ601から空吐出等されて溜まったインクを吸引するものである。このインク吸引手段615によりキャップ内開口部(不図示)を介してインクジェットヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。
【0129】
インクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口面を払拭するためのクリーニングブレード617は、移動部材618により前後方向(上記キャリッジ607の移動方向に直交する方向)に移動可能に設けられている。これらクリーニングブレード617及び移動部材618は、本体支持体619に支持されている。クリーニングブレード617は、この形態に限らず、他の周知のクリーニングブレードであってもよい。
【0130】
液体吐出ヘッドの吸引回復操作にあたって、吸引を開始させるためのレバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッドカートリッジ601の液体吐出ヘッドに設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は装置本体側に設けられており、ここには図示しない。
【0131】
上述の構成を有するインクジェット記録装置600は、図示しない記録媒体搬送手段によりプラテンローラ609上を搬送される記録媒体P’に対し、インクジェットヘッドカートリッジ601は記録媒体P’の全幅にわたって往復移動しながら記録を行う。
【0132】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、以下の記載で、「部」又は「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。
【0133】
(反応液)
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し反応液を調製した。
・硝酸ナトリウム 5部
・硝酸マグネシウム 5部
・トリメチロールプロパン 6部
・グリセリン 5部
・ジエチレングリコール 5部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 1部
・水 73部
【0134】
(Bkインク)
アニオン系高分子P−1(スチレン−メタクリル酸−エチルアクリレート、酸価400、重量平均分子量6,000、固形分20%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム)を分散剤として用い、以下に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、1mm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ、3時間分散処理を行った。分散後の粘度は9mN/m、pHは10.0であった。この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去し、重量平均粒径100nmのカーボンブラック分散体を作製した。
【0135】
(顔料インク(カーボンブラック分散体)の組成)
・P−1水溶液(固形分20%) 40部
・カーボンブラック Mogul L
(キャブラック製) 12部
・グリセリン 9部
・ジエチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.1部
・イソプロピルアルコール 3部
・水 135部
次に、上記で得られた分散体を十分に攪拌して、顔料が含有されたインクジェット用の顔料インクを得た。最終調整物の固形分は約6%であった。
【0136】
(Cインク)
ブラック顔料インクの作製の際に使用したアニオン系高分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、重量平均粒径120nmのシアン色分散体を作製した。
【0137】
(シアン顔料インクの組成)
・P−1水溶液(固形分20%) 30部
・C.I.ピグメントブルー15:3
(ファストゲンブルーFGF、
大日本インキ化学(株)製) 12部
・グリセリン 9部
・ジエチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.1部
・水 135部
次に、上記で得られた分散体を十分に攪拌して、顔料が含有されたインクジェット用の顔料インクを得た。最終調整物の固形分は約5.9%であった。
【0138】
(Mインク)
ブラック顔料インクの作製の際に使用したアニオン系高分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、重量平均粒径115nmのマゼンタ色分散体を作製した。
【0139】
(マゼンタ顔料インクの組成)
・P−1水溶液(固形部20%) 20部
・C.I.ピグメントレッド122
(大日本インキ化学(株)製) 12部
・グリセリン 9部
・ジエチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.1部
・水 135部
次に、上記で得られた分散体を十分に攪拌して、顔料が含有されたインクジェット用の顔料インクを得た。最終調整物の固形物は約6.3%であった。
【0140】
(Yインク)
アニオン系高分子P−1(スチレン−メタクリル酸−エチルアクリレート、酸価400、重量平均分子量6,000、固形分20%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム)を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、重量平均粒径103nmのイエロー色分散体を作製した。
【0141】
(イエロー顔料インクの組成)
・P−1水溶液(固形部20%) 35部
・C.I.ピグメントイエロー180
(ノバパームイエローPH−G、ヘキスト)12部
・グリセリン 9部
・ジエチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.1部
・水 135部
次に、上記で得られた分散体を十分に攪拌して、顔料が含有されたインクジェット用の顔料インクを得た。最終調整物の固形分は約6%であった。
【0142】
<実施例1>
上記で調整したインクを下記のように組み合わせてインクセットを作製した。・反応液
・ブラックインク
・イエローインク
・マゼンタインク
・シアンインク
上記インクセットを用いて、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF−800(キヤノン製)を用いて下記のようにして輪郭の明瞭性及びブリードの評価を行った。評価項目を以下に示す。記録媒体としては、市販のコピー用紙、ボンド紙及び再生紙を使用した。
【0143】
・輪郭の明瞭性
印字画像は英数字を12ポイントのゴシック体で印字し12時間自然乾燥後に、輪郭部の明瞭性を光学顕微鏡を用いて以下の基準にて評価した。
a:輪郭が鮮明であり不明瞭さが見られない。
b:輪郭が鮮明であることは明らかであるが、一部の紙で輪郭の不明瞭さがある。
c:輪郭の境界が不明瞭である。
【0144】
・ブリード
印字画像は10cm四方の正方形内を、5×5のマス目(1マスのサイズ:2cm×2cm)で仕切り、ブラックインクと各カラーインクで交互にベタ印字したものにより、ブラック印字部とカラー印字部との境界のブリードを以下の基準にて評価した。
a:2色間の境界線が鮮明で、境界部に滲みや混色が見られない。
b:2色間の境界線が存在することは明らかであるが、一部の紙で境界部に多少の滲みや混色が見られる。
c:2色間の境界線の識別不能である。
【0145】
・耐裏抜け性
前述のブリード評価に用いた画像そのものを裏面より目視にて以下の基準にて評価した。
a:裏抜けが見られない。
b:一部の紙で境界部に多少の裏抜けが見られる。
c:裏抜けが見られる。
【0146】
比較例として、上記実施例の反応液中の金属塩を以下に変えた以外は実施例1と全く同様の評価を行った。
<比較例1>
硝酸ナトリウムを添加せず、硝酸マグネシウムを3部とした。
【0147】
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、インクジェット記録を行う際に反応液とインク組成物の反応性を極端に高めることなく、輪郭部の不明瞭性の改善及びカラーブリードを生じることなく、更に耐裏抜け性に優れた高品位の画像を形成することが可能となる反応液、インク組成物と反応液とのセット、インクジェット記録方法並びにその記録物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す縦断面図。
【図2】インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す横断面図。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す概略斜視図。
【図5】インクカートリッジの一例を示す縦断面図。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図。
【図7】インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図。
【図8】本発明の一実施態様に係る記録方法の概略説明図。
【図9】本発明の一実施態様に係るインクカートリッジが記録ヘッドに装着された状態を示す概略平面図。
【図10】本発明の一実施態様に係るインクカートリッジの他の実施態様を示す概略平面図。
【図11】図10のインクカートリッジが記録ヘッドに装着された状態を示す概略平面図。
【図12】本発明に係るインクカートリッジの他の実施態様を示す概略平面図。
【図13】本発明に係る記録ユニットの他の実施態様を示す概略斜視図。
【図14】本発明のインクセットの一実施態様に係る、液体組成物を収納した記録ユニット、イオン性基の作用によって水性媒体に分散されている色材を含む黒色インクを収納した記録ユニット、及びCMYの各カラーインクを収納した記録ユニットが同一キヤリッジ上に装着された状態を示す該略図。
【図15】図4のインクジェット装置の記録ヘッド部の一態様のオリフィス部の拡大図。
【図16】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図。
【図17】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図。
【図18】液体吐出ヘッドの一例の要部を模式的に示す概略斜視図。
【図19】液体吐出ヘッドの一例の一部を抽出した概念図。
【図20】図19に示した吐出口の部分の拡大図。
【図21】図20に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図。
【図22】図19における主要部の模式図。
【図23】図22中のX−Y斜視断面形状に対応し図24〜図30とともに液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図。
【図24】図22中のX−Y斜視断面形状に対応し図23及び図25〜図30とともに液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図。
【図25】図22中のX−Y斜視断面形状に対応し図23、図24及び図26〜図30とともに液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図。
【図26】図22中のX−Y斜視断面形状に対応し図23〜図25及び図27〜図30とともに液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図。
【図27】図22中のX−Y斜視断面形状に対応し図23〜図26及び図28〜図30とともに液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図。
【図28】図22中のX−Y斜視断面形状に対応し図23〜図27及び図29、図30とともに液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図。
【図29】図22中のX−Y斜視断面形状に対応し図23〜図28及び図30とともに液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図。
【図30】図22中のX−Y斜視断面形状に対応し図23〜図29とともに液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図。
【図31】本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図。
【図32】反応液付与方法の一例を示す図。
【図33】反応液付与方法の一例を示す図。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:インク溝
15:発熱ヘッド
16:保護膜
17−1、17−2:電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク小滴
25:記録媒体
26:マルチ溝
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通口
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
91:液体組成物
92:インク
100:インクジェット記録ヘッド
101:気泡
102:メニスカス
321:紙送りローラー
322:反応液
323:コーティングローラー
324:タンク
331:コーティングローラー
600:インクジェット記録装置
601:インクジェットヘッドカートリッジ
602:駆動モータ
603、604:駆動力伝達ギア
605:リードスクリュ
606:螺旋溝
607:キャリッジ
607a:レバー
608:ガイド
609:プラテンローラ
610:紙押え板
611、612:フォトカプラ
613:支持部材
614:キャップ部材
615:インク吸引手段
616:キャップ内開口部
617:クリーニングブレード
618:移動部材
619:本体支持体
620:(吸引開始)レバー
621:カム
832:吐出口
832a:起部
832b:伏部
901:記録ヘッド
931:電気熱変換素子(ヒータ,インク吐出エネルギ発生素子)
933:インク供給口(開口部)
934:基板
935:オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a:吐出口面
936:インク流路壁
936a:隔壁
940:吐出口部
1001:カートリッジ
1002:液体タンク
1003:液体組成物の収容部
1005:インクの収容部
1006:移動駆動部
1008:ケーシング
1010:記録部
1010a:キャリッジ部材
1012:カートリッジ
1012Y,M,C,B:インクジェットカートリッジ
1016:ベルト
1018:モータ
1020:駆動部
1022a、1022b:ローラユニット
1024a、1024b:ローラユニット
1026:回復ユニット
1026a、1026b:プーリ
1028:用紙
1030:搬送装置
1101:記録ヘッド
1141:溝
1141a:頂部
1201、1203:カートリッジ
1205:記録ヘッド
1301:記録ユニット
1303:記録ヘッド
1337:発泡室
1338:液流路
1401:キャリッジ
1501:記録ヘッド[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a writing implement such as an aqueous ballpoint pen, a fountain pen, and an aqueous signature pen, a reaction liquid suitable for an ink jet printer, a set of an ink composition and a reaction liquid, an ink jet recording method, and a recorded matter.
[0002]
[Prior art]
Ink jet recording, which is characterized by being able to print high-resolution and high-quality images at a high speed with an inexpensive device, is a printing method in which droplets of an ink composition fly and are attached to a recording medium such as paper for printing. Is the way. However, in the ink jet recording method, when the ink composition lands on a recording medium because the ink composition is a liquid, the ink droplets penetrate into the recording medium, so that the outline becomes unclear, or adjacent different colors are used. There was a phenomenon that boundary bleeding (so-called color bleed) occurred.
[0003]
In order to solve this problem, a method has been proposed in which a polyvalent metal salt solution is applied to a recording medium, and then an ink composition containing a dye having at least one carboxyl group is applied. That is, an insoluble substance is formed when the reaction solution containing the polyvalent metal ion and the dye come into contact with each other on the recording medium. As a result, it is possible to obtain a high-quality image that is more excellent in strike-through resistance without improving the unclearness of the contour portion and without causing color bleeding (see Patent Document 1).
[0004]
Further, by using a combination of a black ink which thickens or aggregates by the action of a salt and a color ink containing the salt, a high-quality color image having a high image density and no color bleed can be obtained. Means are also disclosed. That is, a good image can be obtained by printing two liquids of the first liquid containing the salt and the ink composition (see Patent Document 2). Further, various proposals using two liquids have been made (see Patent Documents 3 and 4).
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-5-202328
[Patent Document 2]
JP-A-6-106735
[Patent Document 3]
JP-A-3-240557
[Patent Document 4]
JP-A-3-240558
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
The present inventors have conducted various studies on an ink set containing the above polyvalent metal ion. As a result, it is possible to form a high-quality image that is more excellent in strike-through resistance without certainly improving the unclearness of the outline portion and causing color bleeding by such an ink set, On the other hand, they came to recognize new issues due to their high reactivity.
[0007]
That is, the polyvalent metal ions in the reaction liquid react with the coloring material in the ink composition (dye aggregation in the case of a dye, dispersion breakage in the case of a pigment), thereby improving the unclearness of the outline and causing color bleeding. However, since the reactivity is high, the reaction is almost completed when the reaction liquid comes into contact with the ink composition (from the moment to almost several hundred msec). Therefore, the coloring material component that has reacted with the reaction liquid remains on the recording medium, and the unreacted coloring material permeates into the recording medium together with the liquid component in the ink. That is, the unreacted colorant not only makes it difficult to substantially contribute to color development, but also in some cases, strikes through and may cause a problem during double-sided recording.
[0008]
In order to solve this problem, it is needless to say that the reactivity of the reaction solution is further increased, specifically, the concentration of the polyvalent metal in the reaction solution is increased, and a metal salt having higher reactivity as a polyvalent metal (a trivalent metal salt) is used. ) Can be easily estimated. However, none of these two points is nothing but the method of extremely increasing the reactivity between the reaction liquid and the ink composition, and is not a preferable method in consideration of the adverse effects of mist during printing and recording.
[0009]
Therefore, the present inventors have concluded that there is a need for a means for effectively utilizing the coloring material for coloring without extremely increasing the reactivity between the reaction liquid and the ink composition. Accordingly, it is an object of the present invention to provide a high-performance ink having excellent resistance to strike-through without significantly increasing the reactivity between the reaction liquid and the ink composition, improving the indistinctness of the outline, and preventing color bleeding. An object of the present invention is to provide a reaction liquid capable of forming a high-quality image, a set of an ink composition and a reaction liquid, an ink jet recording method, and a recorded matter thereof.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
The above object is achieved by the present invention described below. That is, according to the present invention, a reaction liquid used for image formation together with at least one ink composition, wherein the reaction liquid contains two kinds of metal ions having different valences or a salt thereof. A liquid is provided.
[0011]
In the present invention, the metal salt in the reaction solution contains at least a monovalent metal ion or a salt thereof; and the surface tension of the reaction solution may be any of the ink compositions that react with the reaction solution. Being higher than the surface tension; the surface tension of the reaction liquid being higher than any surface tension of the ink composition; the reaction liquid reacting with all the ink compositions; and Preferably contains at least a pigment.
[0012]
Further, according to the present invention, an ink composition used for forming an image, comprising: at least one ink composition; and a reaction liquid that reacts with the ink composition and causes the ink composition to aggregate, is used. In a set (hereinafter sometimes simply referred to as “ink set” or “set”), a set is provided in which the reaction liquid contains two kinds of metal ions having different valences or a salt thereof. .
[0013]
In the present invention, the metal salt in the reaction solution contains at least a monovalent metal ion or a salt thereof; and the surface tension of the reaction solution may be any of the ink compositions that react with the reaction solution. Being higher than the surface tension; the surface tension of the reaction liquid being higher than any surface tension of the ink composition; the reaction liquid reacting with all the ink compositions; and Preferably contains at least a pigment.
[0014]
Further, according to the present invention, an ink-jet recording method is provided in which at least one kind of ink composition and at least one kind of the ink composition react with at least one kind of ink composition, and a reaction liquid that causes the ink composition to adhere to the recording medium. In the recording method, there is provided an ink jet recording method, wherein the reaction liquid is the above reaction liquid.
[0015]
In the present invention, the method further includes at least a step of applying the reaction liquid to a recording medium prior to the ink composition; wherein the metal salt in the reaction liquid contains at least a monovalent metal ion or a salt thereof. That the surface tension of the reaction liquid is higher than any surface tension of the ink composition reacting with the reaction liquid; and that the surface tension of the reaction liquid is higher than any surface tension of the ink composition. The reaction liquid reacts with all the ink compositions; and the colorant in the ink composition preferably contains at least a pigment.
Further, according to the present invention, there is provided a recorded matter which is printed by the above recording method.
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Next, the present invention will be described in more detail with reference to preferred embodiments.
(Reaction liquid)
The reaction solution capable of breaking and aggregating the dispersion stability of the coloring material dispersed or dissolved in the aqueous medium by the action of the ionic group in the aqueous medium on the recording medium includes a metal salt and an aqueous medium. Preferably.
[0017]
(About metal salts)
The metal salt that can be used in the reaction solution is composed of a monovalent metal ion and a divalent or higher polyvalent metal ion, and an anion bonded to the polyvalent metal ion, and is soluble in water. is there. Specific examples of polyvalent metal ions include Ca2+, Cu2+, Ni2+, Mg2+, Zn2+And Ba2+Divalent metal ions such as Al3+, Fe3+, Cr3+And Y3+And the like. As the anion, SO4 2-, Cl−, CO3 2-, NO3 −, I−, Br−, ClO3 −And CH3COO−And the like. The following are examples of the monovalent metal ion. For example, (M1)2SO4, CH3COO (M1), Ph-COO (M1), (M1) NO3, (M1) Cl, (M1) Br, (M1) I, (M1)2SO3And (M1)2CO3It is preferable to use at least one selected from Here, M1 represents an alkali metal, ammonium or organic ammonium, and Ph represents a phenyl group.
[0018]
Specific examples of the alkali metal include, for example, Li, Na, K, Rb, and Cs. Specific examples of the organic ammonium include, for example, methyl ammonium, dimethyl ammonium, trimethyl ammonium, ethyl ammonium, and the like. Examples include diethyl ammonium, triethyl ammonium, methanol ammonium, dimethanol ammonium, trimethanol ammonium, ethanol ammonium, diethanol ammonium and triethanol ammonium. Of course, the present invention is not limited to the above compounds.
[0019]
The content of the salt in the reaction solution is preferably 0.01 to 20% by mass in consideration of the effects of the present invention. Further, the reaction solution does not necessarily have to show absorption in the visible region. Even if the absorption is shown in the visible range, the absorption may be shown in the visible range as long as it does not substantially affect the image.
[0020]
(Aqueous medium)
Examples of the aqueous medium used for the reaction solution according to the present invention include, for example, water or a mixed solvent of water and a water-soluble organic solvent. As the water-soluble organic solvent, those having an effect of preventing the reaction solution from drying are particularly preferable. Specifically, for example, alkyl alcohols having 1 to 4 carbon atoms such as methyl alcohol, ethyl alcohol, n-propyl alcohol, isopropyl alcohol, n-butyl alcohol, sec-butyl alcohol, and tert-butyl alcohol; dimethylformamide; Amides such as dimethylacetamide; ketones or keto alcohols such as acetone and diacetone alcohol; ethers such as tetrahydrofuran and dioxane; polyalkylene glycols such as polyethylene glycol and polypropylene glycol; ethylene glycol, propylene glycol, butylene glycol,
[0021]
The content of the water-soluble organic solvent contained in the reaction solution according to the present invention is not particularly limited, but is preferably in the range of 3 to 50% by mass relative to the total mass of the reaction solution. The content of water contained in the reaction solution is preferably in the range of 50 to 95% by mass based on the total mass of the reaction solution. Further, in addition to the above components, a surfactant, an antifoaming agent, a preservative, an antifungal agent and the like can be added as needed in order to obtain a reaction solution having desired physical properties.
[0022]
(Ink composition)
The above-described reaction liquid has a favorable effect that a high-quality image can be formed by using in combination with an ink composition in which a coloring material is dispersed or dissolved in an aqueous medium by an ionic group for recording. can get. Examples of coloring materials that can be used for such inks include dyes, pigments, microencapsulated pigments, and colored resins. Hereinafter, these coloring materials will be described in detail.
[0023]
(dye)
As a dye used as a coloring material of the ink, a conventionally known dye can be used, and for example, an acid dye, a direct dye, a disperse dye, or the like can be used. For example, as the anionic dye, most of existing dyes or newly synthesized dyes can be used as long as they have appropriate color tone and density. It is also possible to use a mixture of any of these. Specific examples of the anionic dye are described below.
[0024]
(Color material for yellow)
C. I.
[0025]
(Color material for red)
C. I.
[0026]
(Color material for blue)
C. I.
[0027]
(Color material for black)
C. I.
[0028]
(Pigment)
Examples of pigments that can be used include carbon black and organic pigments.
(Carbon black)
Examples of the carbon black include carbon black pigments such as furnace black, lamp black, acetylene black, and channel black. Examples of the carbon black include Rayvan 7000, Rayvan 5750, Rayvan 5250, Rayvan 5000, Rayvan 3500, Rayvan 2000, Rayvan 1500. Ray-Van 1250, Ray-Van 1200, Ray-Van 1190 ULTRA-II, Ray-Van 1170, Ray-Van 1255 (all manufactured by Columbia), Black Pearls (Black @ Pearls) L, Regal 400R, Regal 330R, Regal 660R, Mogul L, Monarch 700, Monak 800, Monak 880, Monak 900, Monak 1000 Monac 1100, Monac 1300, Monac 1400, Valcan XC-72R (all manufactured by Cabot Corporation), Color Black (Color Black) FW1, Color Black FW2, Color Black FW2V, Color Black FW18, Color Black FW200, Color Black S150 , Color Black S160, Color Black S170, Printex 35, Printex U, Printex V, Printex 140U, Printex 140V, Special Black 6, Special Black 5, Special Black 4A, Special Black No. 4 (all manufactured by Degussa), 25, no. 33, no. 40, no. 47, no. 52, no. 900, No. 2300, MCF-88, MA600, MA7, MA8, MA100 (all manufactured by Mitsubishi Chemical Corporation) and the like can be used, but not limited thereto, and conventionally known carbon black can be used. . Further, magnetic fine particles such as magnetite and ferrite, titanium black and the like may be used as a black pigment.
[0029]
(Organic pigment)
Specific examples of the organic pigment include insoluble azo pigments such as toluidine red, toluidine maroon, hanza yellow, benzidine yellow, and pyrazolone red; soluble azo pigments such as litor red, helio bordeaux, pigment scarlet, and permanent red 2B; alizarin, indantron Derivatives from vat dyes such as thioindigo maroon, phthalocyanine blue, phthalocyanine pigments such as phthalocyanine green, quinacridone red, quinacridone pigments such as quinacridone magenta, perylene red, perylene pigments such as perylene scarlet, isoindolinone yellow , Isoindolinone-based pigments such as isoindolinone orange, and imidazolone-based faces such as benzimidazolone yellow, benzimidazolone orange, and benzimidazolone red Pyranthrone pigments such as pyranthrone red and pyranthrone orange, thioindigo pigments, condensed azo pigments, thioindigo pigments, flavanthrone yellow, acylamide yellow, quinophthalone yellow, nickel azo yellow, copper azomethine yellow, perinone orange, Other pigments such as anthrone orange, dianthraquinonyl red, and dioxazine violet can be exemplified.
[0030]
When the organic pigment is represented by a color index (CI) number, the C.I. I. Pigment Yellow 12, 13, 14, 17, 20, 24, 74, 83, 86, 93, 109, 110, 117, 120, 125, 128, 137, 138, 147, 148, 151, 153, 154, 166, 168, C.I. I.
[0031]
(Dispersant)
When the above-described carbon black or organic pigment is used, it is preferable to use a dispersant in combination. As the dispersant, those capable of stably dispersing the above-mentioned pigment in an aqueous medium by the action of an anionic group are suitably used. Specific examples of the dispersant include, for example, styrene-acrylic acid copolymer, styrene-acrylic acid-alkyl acrylate copolymer, styrene-maleic acid copolymer, styrene-maleic acid-alkyl acrylate copolymer Styrene-methacrylic acid copolymer, styrene-methacrylic acid-alkyl acrylate copolymer, styrene-maleic acid half-ester copolymer, vinyl naphthalene-acrylic acid copolymer, vinyl naphthalene-maleic acid copolymer, Styrene-maleic anhydride-maleic acid half ester copolymer or salts thereof are included. Further, these dispersants preferably have a weight average molecular weight in the range of 1,000 to 30,000, particularly preferably in the range of 3,000 to 15,000.
[0032]
(Self-dispersible pigment)
As a coloring material, a pigment which can be dispersed in an aqueous medium without a dispersant by binding an ionic group (anionic group) to the pigment surface, a so-called self-dispersion pigment can also be used. One example is self-dispersion type carbon black. Examples of the self-dispersion type carbon black include those in which an anionic group is bonded to the surface of the carbon black.
[0033]
(Anionic carbon black)
As the anionic carbon black, for example, -COO (M2), -SO3(M2), -PO3H (M2) and -PO3(M2)2And at least one anionic group selected from the following. In the above formula, M2 represents a hydrogen atom, an alkali metal, ammonium or organic ammonium. Among them, particularly -COO (M2) and -SO3Carbon black obtained by bonding (M2) to the surface of carbon black and anionically charged is particularly suitable for use in the present invention because of its good dispersibility in ink.
[0034]
By the way, among those represented as “M2” in the hydrophilic group, specific examples of the alkali metal include, for example, Li, Na, K, Rb, and Cs, and specific examples of the organic ammonium include For example, methyl ammonium, dimethyl ammonium, trimethyl ammonium, ethyl ammonium, diethyl ammonium, triethyl ammonium, methanol ammonium, dimethanol ammonium, trimethanol ammonium and the like can be mentioned.
[0035]
The ink of the present invention containing self-dispersible carbon black in which M2 is ammonium or organic ammonium can further improve the water resistance of a recorded image, and can be particularly preferably used in this regard. It is considered that this is because when the ink is applied on the recording medium, ammonium is decomposed and ammonia evaporates. Here, the self-dispersion type carbon black in which M2 is ammonium is, for example, a method in which self-dispersion type carbon black in which M2 is an alkali metal is replaced with ammonium by using an ion exchange method, or an H type by adding an acid. And then adding ammonium hydroxide to convert M2 to ammonium.
[0036]
Examples of a method for producing a self-dispersible carbon black that is anionically charged include a method of oxidizing carbon black with sodium hypochlorite, and a method of chemically bonding a -COONa group to the surface of carbon black by this method. Can be done.
[0037]
Incidentally, various hydrophilic groups as described above may be directly bonded to the surface of carbon black. Alternatively, another atomic group may be interposed between the carbon black surface and the hydrophilic group, and the hydrophilic group may be indirectly bonded to the carbon black surface. Here, specific examples of the other atomic groups include, for example, a linear or branched alkylene group having 1 to 12 carbon atoms, a substituted or unsubstituted phenylene group, and a substituted or unsubstituted naphthylene group. .
[0038]
Here, examples of the substituent of the phenylene group and the naphthylene group include a linear or branched alkyl group having 1 to 6 carbon atoms. Specific examples of the combination of another atomic group and a hydrophilic group include, for example, -C2H4COO (M2), -Ph-SO3(M2), -Ph-COO (M2) and the like (where Ph represents a phenyl group).
[0039]
Incidentally, in the present invention, two or more of the above-described self-dispersion type carbon blacks may be used as a color material of an ink appropriately selected. The amount of the self-dispersing carbon black in the ink is preferably in the range of 0.1 to 15% by mass, particularly preferably 1 to 10% by mass, based on the total mass of the ink. Within this range, the self-dispersion type carbon black can maintain a sufficiently dispersed state in the ink. Further, for the purpose of adjusting the color tone of the ink, a dye may be added as a coloring material in addition to the self-dispersible carbon black.
[0040]
(Colored fine particles / microencapsulated pigment)
In addition to the above-mentioned coloring materials, pigments microencapsulated with a polymer or the like, colored fine particles in which resin particles are coated with a coloring material, and the like can be used. The microcapsules inherently have dispersibility in an aqueous medium, but the above-mentioned dispersant may be further co-present in the ink in order to enhance the dispersion stability. When using colored fine particles as a coloring material, it is preferable to use the above-described anionic dispersant or the like.
[0041]
(Aqueous medium)
The aqueous medium in which the coloring material is dispersed as described above is not particularly limited, and the same aqueous medium as described above can be used as the aqueous medium used in the reaction solution. When the color ink is applied to a recording medium by an inkjet method (for example, a bubble jet (registered trademark) method or the like), the desired viscosity and surface tension of the ink are set so as to have excellent inkjet discharge characteristics as described above. It is preferable to adjust so as to have the following. Examples of the aqueous medium used in the ink composition according to the present invention include, for example, water or a mixed solvent of water and a water-soluble organic solvent. As the water-soluble organic solvent, those having an effect of preventing the reaction solution from drying are particularly preferable.
[0042]
Specifically, for example, alkyl alcohols having 1 to 4 carbon atoms such as methyl alcohol, ethyl alcohol, n-propyl alcohol, isopropyl alcohol, n-butyl alcohol, sec-butyl alcohol, and tert-butyl alcohol; dimethylformamide; Amides such as dimethylacetamide; ketones or keto alcohols such as acetone and diacetone alcohol; ethers such as tetrahydrofuran and dioxane; polyalkylene glycols such as polyethylene glycol and polypropylene glycol; ethylene glycol, propylene glycol, butylene glycol,
[0043]
The content of the water-soluble organic solvent contained in the ink composition according to the present invention is not particularly limited, but is preferably in the range of 3 to 50% by mass relative to the total mass of the ink composition. Further, the content of water contained in the ink composition is preferably in the range of 50 to 95% by mass based on the total mass of the reaction solution. Further, in addition to the above components, if necessary, a humectant may be added, and a surfactant, an antifoaming agent, a preservative, an antifungal agent, etc. may be added to obtain a reaction solution having desired physical properties. It does not matter.
[0044]
(Ink set)
The color tone of the ink constituting the ink set in combination with the reaction liquid is not particularly limited, and may be, for example, an ink showing one color tone selected from yellow, magenta, cyan, red, green, blue, and black. Specifically, it can be used by appropriately selecting from the above-mentioned color materials so as to obtain an ink having a desired color tone. Here, the content of the coloring material in each ink may be appropriately selected, for example, when the ink is used for inkjet recording, so that the ink has excellent inkjet ejection characteristics, and has a desired color tone and density. As a guide, for example, a range of 1 to 50% by mass based on the total mass of the ink is preferable. The amount of water contained in the ink is preferably in the range of 50 to 95% by mass based on the total mass of the ink.
[0045]
Further, the ink used in combination with the reaction liquid is not limited to one kind, and it is more preferable to form an ink set suitable for forming a multicolor image by combining two or more inks having different color tones. In this case, at least one of the two or more inks may react with the reaction liquid.
[0046]
As long as the coloring material is dispersed in the aqueous medium by the action of the ionic group, other inks may be used as the ink containing the dye as a coloring material. The ink may be dispersed by the action of the functional group. According to such an ink set, bleeding when inks of different colors are applied adjacently on a recording medium, which is a problem when a multicolor image is formed by an inkjet apparatus, can be suppressed.
[0047]
More specifically, the bleeding which is a problem in an inkjet multicolor image includes a black ink and another color ink (for example, at least one selected from a yellow ink, a magenta ink, a cyan ink, a red ink, a green ink, and a blue ink). Between the two inks) is particularly prominent. In the present invention, a black ink is used as an ink in which a coloring material is dispersed by the action of an ionic group in an aqueous medium so as to interact with the reaction liquid. It is preferable to combine them. The other color ink may be an ink in which a dye is dissolved in an aqueous medium, or, of course, an ink in which a coloring material is dispersed in an aqueous medium by the action of an ionic group, similarly to the black ink.
[0048]
(Recording method)
(I) applying the ink to a recording medium in combination with an ink in which a coloring material is dispersed in an aqueous medium by the action of an ionic group; and (ii) reacting the reaction liquid with at least the recording medium. By adopting a recording method having a step of applying the ink to an area to which the ink is applied, without significantly increasing the reactivity between the reaction liquid and the ink composition, improving the unclearness of the outline and causing color bleeding. The present invention can provide a reaction liquid, a set of an ink composition and a reaction liquid, an ink jet recording method, and a recorded matter thereof, which can form a high-quality image having no strike-through resistance.
[0049]
It is not clear why such an ink set can improve the printing quality with high image density and high color development. For example, the reaction liquid and the ink are caused to fly on a recording medium (paper) surface by an ink jet method, and both inks are used. Is attached, the coloring material such as pigment, which has been stably present in the ink, reacts quickly after attaching to the paper surface.
[0050]
However, if all of the coloring materials do not react, some of the coloring materials will penetrate into the recording medium together with other components. On the other hand, when the means of the present invention is used, it is presumed that a further reaction occurs in the course of penetration of some of the coloring materials described above. In particular, when a monovalent metal ion is contained, unlike the case of a polyvalent metal ion, solid-liquid separation occurs by one type of salting-out rather than dispersion destruction and aggregation by a reaction, so that a more favorable effect is exhibited. At this stage, I guess.
[0051]
That is, it is an object of the present invention to suppress the permeation of the coloring material that has not been reacted in the vicinity of the recording medium as much as possible by causing the solid-liquid separation by salting out in the process of penetrating the coloring material into the recording medium. . As a result, a high-quality image with excellent strike-through resistance can be formed without significantly increasing the reactivity between the reaction liquid and the ink composition, without improving the clarity of the outline and without causing color bleeding. It is possible to do.
[0052]
When the ink set of the ink and the reaction liquid is used in an ink jet or the like,
a: When printing ink after printing the reaction liquid,
b: When printing the reaction liquid after printing the ink,
c: When printing the reaction liquid after printing the ink and then printing the ink,
d: When printing the ink after printing the reaction liquid and then printing the reaction liquid, etc.
Various recording methods are conceivable. The recording method of the ink and the reaction liquid may be appropriately selected. However, in view of the object of the present invention, the above (a) or (d), which includes at least the step of applying the reaction liquid to the recording medium prior to the ink, is preferable.
[0053]
As a method for applying the reaction liquid, the above-described discharging means may be used, but is not limited, of course. For example, any conventionally known means such as roller coating and bar coating are within the scope of the technical concept of the present invention. The reaction liquid applying means may be integrated with the recording device or may be separate from the recording device. When the reaction liquid is applied by using the discharge means, there is a restriction on securing discharge suitability and the like, and a method such as roller coating may be preferable in some cases. Specifically, in the case of the above (a), the reaction liquid can be applied to substantially the entire surface of the recording medium by using a method different from the ink jet method. An example of a method for applying a reaction liquid will be described below. FIGS. 32 and 33 show an example of a method for applying a reaction liquid.
[0054]
In FIG. 32, the recording medium passes between the paper feed roller 321 and the coating roller 323 for applying the reaction liquid 322. At this time, the coating roller 323 rotates while being immersed in the tank 324 in which the reaction liquid 322 is stored, and applies the reaction liquid to the recording medium while constantly replenishing the reaction liquid. In FIG. 33, the reaction liquid is applied to the recording medium while the porous coating roller 331 filled with the reaction liquid rotates. Of course, the apparatus shown in FIGS. 32 and 33 may be unitized and assembled into the printer body. The method is not limited to the above method, and may be a conventionally known method.
[0055]
According to the studies by the inventors so far, the following can be considered. In the application method (a) or (d), first, the
[0056]
In addition, a plurality of ink sets of the reaction liquid and the ink composition, or an ink set that can be suitably used for forming a color image by combining an ink set of the reaction liquid and the ink composition and another ink composition is provided. Can be provided. When such an ink set is used to perform recording adjacent to a black image portion and a color image portion using, for example, the above-described ink set for black ink, occurrence of bleeding can be extremely effectively suppressed. .
[0057]
(About ink characteristics, inkjet discharge characteristics, and permeability to recording media)
The ink set according to each of the above embodiments can be suitably used as an ink set for inkjet recording. Ink jet recording methods include a recording method in which mechanical energy is applied to ink to eject droplets, and a recording method in which thermal energy is applied to ink to eject droplets by bubbling of the ink. The reaction liquid and the ink of the present invention are particularly suitable.
[0058]
By the way, when the reaction liquid and the ink according to each of the above embodiments are used for inkjet recording, it is preferable that the reaction liquid and the ink have characteristics that can be ejected from the inkjet head. From the viewpoint of the ejection property from the ink jet head, the characteristics of the liquid include, for example, a viscosity of 1 to 15 cps and a surface tension of 25 mN / m (dyne / cm) or more, particularly a viscosity of 1 to 5 cps and a surface tension of Is preferably 25 to 50 mN / m (dyne / cm).
[0059]
(Inkjet recording method)
Next, an ink jet recording method that can suitably use each reaction liquid and ink of the present invention will be described. FIG. 1 is a cross-sectional view of the
[0060]
The
[0061]
When a pulse-like electric signal is applied to the electrodes 17-1 and 17-2 of the head, a region indicated by n of the
[0062]
(Inkjet recording device)
FIG. 4 shows an example of an ink jet recording apparatus incorporating this head. In FIG. 4, reference numeral 61 denotes a blade as a wiping member, one end of which is held and fixed by a blade holding member, and forms a cantilever. The blade 61 is arranged at a position adjacent to a recording area of the recording head 65, and in this example, is held in a form protruding into the movement path of the recording head 65.
[0063]
[0064]
The blade 61, the
[0065]
Also, in the case where the ink set as in the present invention is used and both the reaction liquid and the ink are ejected by the ink jet apparatus, it is not necessary to separately provide a recovery system for the ink and the reaction liquid. Because, as described above, the reaction liquid and the ink in which the colorant is dispersed in the aqueous medium using the ionic group do not react simply by being mixed, so the recovery system of the reaction liquid and the ink is shared. This is also because the function of the recovery system is not impaired over time.
[0066]
Reference numeral 65 denotes a recording head which has ejection energy generating means and performs recording by discharging ink on a recording medium facing an ejection port surface provided with ejection ports, and 66 denotes mounting of the recording head 65 and movement of the recording head 65. Is a carriage for performing the following. The carriage 66 is slidably engaged with the guide shaft 67, and a part of the carriage 66 is connected to a
[0067]
With these configurations, the recording medium is fed to a position facing the ejection opening surface of the recording head 65, and is discharged to a discharge section provided with a discharge roller 53 as recording proceeds. In the above configuration, when the recording head 65 finishes recording and returns to the home position, the
[0068]
As a result, the ejection openings of the recording head 65 are wiped. When capping is performed with the
[0069]
(ink cartridge)
FIG. 5 is a diagram illustrating an example of a member that supplies ink or a reaction liquid to the recording head, for example, a
[0070]
The
[0071]
Further, as another aspect of the cartridge according to the present invention, the cartridge has two storage portions for individually storing the reaction liquid and the ink, and is configured to be detachable from a head for discharging the ink and the reaction liquid. And a cartridge configured to be able to supply ink and reaction liquid to the recording head.
[0072]
FIG. 10 shows an example of such a
[0073]
In the present invention, not only the reaction liquid and the ink are physically integrated as shown in FIG. 10, but also, for example, a
[0074]
(Recording unit)
The ink jet device used in the present invention is not limited to the one in which the head and the cartridge are separated as described above, but may be suitably used in an integrated device as shown in FIG. In FIG. 6,
[0075]
Further, a structure may be used in which the storage portion is a bag in which a spring or the like is provided inside without using the absorber.
[0076]
Further, as another embodiment of the recording unit according to the present invention, one reaction liquid and at least one ink selected from the color inks having black, yellow, magenta, cyan, red, green, blue and black hues are used. A recording unit housed in each of the ink storage sections in the ink tank and integrally provided with a recording head for discharging each ink, specifically, for example, as shown in FIG. In the storage section 1301L, black ink dispersed in an aqueous medium by an ionic group is stored in the storage section 1301Bk, and yellow, cyan, and magenta color inks are stored in the color
[0077]
Next, as a form of an ink jet recording apparatus using the second mechanical energy, a nozzle forming substrate having a plurality of nozzles, a pressure generating element made of a piezoelectric material and a conductive material disposed to face the nozzles, An on-demand inkjet recording head that includes ink filling around the pressure generating element, displaces the pressure generating element by an applied voltage, and discharges a small droplet of ink from a nozzle can be given. FIG. 7 shows a configuration example of a recording head which is a main part of the recording apparatus.
[0078]
The head includes an
[0079]
In FIG. 7, an
[0080]
The recording head having the above-described configuration applies a pulse-like voltage to the
[0081]
(Recording apparatus and recording method using ink set)
Next, when a color image is printed using an ink set, for example, a printing apparatus in which five print heads shown in FIG. 3 are arranged on a
[0082]
Further, FIG. 14 shows an example in which five recording units are used. However, the present invention is not limited to this. For example, as shown in FIG. Each color ink supplied from the ink cartridges 1501L, 1501Bk, 1501Y, 1501M and 1501C containing black ink containing carbon black and YMC three colors ink dispersed in a medium can be individually ejected. A mode in which recording is performed by attaching to a
[0083]
Next, other specific examples of the recording apparatus and the recording head which can be suitably used in the present invention will be described. FIG. 16 is a main part of an example of a liquid ejection head of an ejection method in which bubbles are communicated with the atmosphere when ejecting a reaction liquid and ink constituting the ink set according to the present invention, and an ink jet printer as a liquid ejection apparatus using the head. FIG.
[0084]
In FIG. 16, the inkjet printer includes a
[0085]
The
[0086]
When the
[0087]
The
[0088]
FIG. 17 shows an example of an ink jet cartridge that can be mounted on the above ink jet recording apparatus. The
[0089]
The ink
[0090]
A specific example of the above-described liquid discharge head that can be mounted on the ink jet printer having such a configuration will be described in more detail below. FIG. 18 is a schematic perspective view schematically showing a main part of a liquid discharge head showing a basic mode of the present invention, and FIGS. 19 to 22 are front views showing shapes of discharge ports of the liquid discharge head shown in FIG. FIG. Note that electrical wiring and the like for driving the electrothermal transducer are omitted.
[0091]
In the liquid ejection head of this example, for example, a
[0092]
In FIG. 18,
[0093]
Here, although the ink
[0094]
In this example, a serial type head that performs printing while scanning in the direction of arrow S in FIG. 16 is used, and printing is performed at, for example, 1200 dpi. The driving frequency is 10 kHz, and one ejection port performs ejection at a minimum time interval of 100 μs.
[0095]
As an example of the actual dimensions of the head, for example, as shown in FIG. 19, a
[0096]
Of the cross section of the
[0097]
In this example, the
[0098]
Accordingly, a polygon formed by connecting the center O of the discharge port and the center of the groove adjacent to each other (the center (center of gravity) of a figure formed by connecting the top of the groove and two bases adjacent to the top). With the center of gravity G. The opening area of the
[0099]
Next, the operation of discharging the liquid by the ink jet recording head having the above configuration will be described with reference to FIGS. 23 to 30 are cross-sectional views for explaining the liquid discharging operation of the liquid discharging head shown in FIGS. 18 to 22, and are XY cross-sectional views of the bubbling
[0100]
23 shows a state in which a film-like bubble is generated on the heater. FIG. 24 is about 1 μs after FIG. 23, FIG. 25 is about 2 μs after FIG. 23, FIG. 26 is about 3 μs after FIG. 23, and FIG. 23 shows the state after about 4 μs in FIG. 23, FIG. 28 shows the state after about 5 μs in FIG. 23, and FIG. 30 shows the state after about 7 μs in FIG. In the following description, "fall" or "drop" does not mean "drop in the direction of gravity", and does not mean movement in the direction of the electrothermal transducer regardless of the mounting direction of the head. Say.
[0101]
First, as shown in FIG. 23, when air bubbles 101 are generated in the
[0102]
Next, at about 2 μs after the generation of the
[0103]
Here, in this example, since the plurality of
[0104]
In this example, since the falling speed of the
[0105]
The liquid (ink) that has dropped toward the
[0106]
Then, the liquid portion I between the liquid spread on the surface of the
[0107]
Main droplet IaIs discharged from the central portion of the
[0108]
As described above, the ejection of the satellite droplets can be suppressed, so that the splash which is likely to be generated by the ejection of the satellite droplets can be prevented, and the recording surface of the recording medium can be surely contaminated by the mist floating in a mist state. Can be prevented. 27 to 29, IdIndicates the ink attached to the groove (ink in the groove), and IeRepresents the ink remaining in the liquid flow path.
[0109]
As described above, in the liquid ejection head of this example, when the liquid is ejected at the volume reduction stage after the bubble has grown to the maximum volume, the plurality of grooves dispersed with respect to the center of the ejection port cause the main ejection during ejection. The direction of the droplet can be stabilized. As a result, it is possible to provide a liquid ejection head with high landing accuracy, with no deviation in the ejection direction. In addition, high-speed and high-definition printing can be realized because the ejection can be stably performed even with respect to foaming variation at a high driving frequency.
[0110]
In particular, by discharging the liquid by starting the bubble and communicating with the atmosphere at the stage of reducing the volume of the bubble, it is possible to prevent mist generated when the bubble is discharged by connecting the bubble to the atmosphere, so-called suddenly It is also possible to suppress a state in which droplets adhere to the ejection port surface, which is a cause of non-discharge.
[0111]
Further, as another embodiment of a recording head of a discharge system which can be suitably used in the present invention and communicates bubbles with the atmosphere at the time of discharge, there is a so-called edge shooter type as described in Japanese Patent No. 2783647, for example. The present invention provides an excellent effect particularly in an ink jet recording head and a recording apparatus in which a flying droplet is formed by utilizing thermal energy and recording is performed among the ink jet recording methods.
[0112]
Regarding the typical configuration and principle, it is preferable to use the basic principle disclosed in, for example, US Pat. Nos. 4,723,129 and 4,740,796. This method can be applied to both the so-called on-demand type and the continuous type. In particular, in the case of the on-demand type, it is arranged corresponding to the sheet or liquid path holding the liquid (ink). By applying at least one drive signal corresponding to the recording information and giving a rapid temperature rise exceeding the film boiling to the electrothermal transducer, heat energy is generated in the electrothermal transducer, and the recording head This is effective because film boiling occurs on the heat-acting surface of the liquid, and as a result, air bubbles in the liquid (ink) corresponding to this drive signal one-to-one can be formed.
[0113]
By discharging the liquid (ink) through the discharge opening by the growth and contraction of the bubble, at least one droplet is formed. When the drive signal is formed into a pulse shape, the growth and shrinkage of the bubble are performed immediately and appropriately, so that the ejection of the liquid (ink) having particularly excellent responsiveness can be achieved, which is more preferable.
[0114]
As the pulse-shaped drive signal, those described in US Pat. Nos. 4,463,359 and 4,345,262 are suitable. Further, if the conditions described in US Pat. No. 4,313,124 relating to the temperature rise rate of the heat acting surface are adopted, more excellent recording can be performed.
[0115]
As a configuration of the recording head, in addition to a combination configuration (a linear liquid flow path or a rectangular liquid flow path) of an ejection port, a liquid path, and an electrothermal converter as disclosed in each of the above-mentioned specifications, a thermal action A configuration using U.S. Pat. No. 4,558,333 or U.S. Pat. No. 4,459,600 which discloses a configuration in which a portion is arranged in a bent region is also included in the present invention.
[0116]
In addition, JP-A-59-123670 which discloses a configuration in which a common slit is used as a discharge portion of an electrothermal transducer for a plurality of electrothermal transducers, and an aperture for absorbing a pressure wave of thermal energy. The present invention is also effective as a configuration based on JP-A-59-138461 which discloses a configuration corresponding to a discharge unit.
[0117]
Further, as a full-line type recording head having a length corresponding to the width of the maximum recording medium that can be recorded by the recording device, the length is satisfied by a combination of a plurality of recording heads as disclosed in the above specification. The present invention can exhibit the above-mentioned effects more effectively, although it may be either a configuration or a configuration as a single recording head formed integrally.
[0118]
In addition, the print head is interchangeable with a print head of a replaceable chip type, which can be electrically connected to the main body of the apparatus or supplied with ink from the main body of the apparatus, or integrated with the print head itself. The present invention is also effective when a cartridge type recording head provided with an ink tank is used.
[0119]
It is preferable to add recovery means for the printhead, preliminary auxiliary means, and the like, which are provided as components of the printing apparatus of the present invention, since the effects of the present invention can be further stabilized. If these are specifically mentioned, capping means for the recording head, cleaning means, pressurizing or suction means, preheating means using an electrothermal converter or another heating element or a combination thereof, Performing a preliminary ejection mode in which ejection is performed separately from printing is also effective for performing stable printing.
[0120]
Further, the recording mode of the recording apparatus is not limited to a recording mode of only a mainstream color such as black, and may be a recording head integrally formed or a combination of a plurality of recording heads. The present invention is extremely effective for an apparatus having at least one of full colors.
[0121]
In the embodiment of the present invention described above, the ink is described as a liquid. However, an ink that solidifies at room temperature or below and softens at room temperature or is a liquid, or the above-described inkjet In general, the temperature of the ink itself is controlled within a range of 30 ° C. or more and 70 ° C. or less to control the temperature so that the viscosity of the ink is in a stable ejection range. What is necessary is just to be what constitutes.
[0122]
In addition, positively prevent temperature rise due to thermal energy by using it as energy for changing the state of the ink from a solid state to a liquid state, or use ink that solidifies in a standing state to prevent evaporation of the ink. In any case, thermal energy such as ink that liquefies and is ejected as liquid ink by application of thermal energy according to a recording signal, or that already starts to solidify when it reaches a recording medium. The use of an ink that liquefies for the first time is also applicable to the present invention.
[0123]
In such a case, as described in JP-A-54-56847 or JP-A-60-71260, the ink is held in a state in which it is held as a liquid or solid substance in the concave portion or through hole of the porous sheet. Alternatively, it may be configured to face the electrothermal converter. In the present invention, the most effective one for each of the above-mentioned inks is to execute the above-mentioned film boiling method.
[0124]
In addition, as a form of the recording apparatus according to the present invention, in addition to those provided integrally or separately as an image output terminal of an information processing device such as a word processor or a computer, a copying apparatus combined with a reader, and further, a transmission / reception function A facsimile device may be used.
[0125]
Next, an outline of a liquid ejection apparatus equipped with the above-described liquid ejection head will be described. FIG. 31 is a schematic perspective view of an ink
[0126]
In FIG. 31, an ink
[0127]
[0128]
The support member 613 supports the
[0129]
A
[0130]
In the suction recovery operation of the liquid ejection head, the
[0131]
In the
[0132]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to Examples and Comparative Examples. However, the present invention is not limited to the following Examples as long as the gist of the present invention is not exceeded. In the following description, “parts” or “%” are based on mass unless otherwise specified.
[0133]
(Reaction liquid)
The following components were mixed, sufficiently stirred and dissolved, and then subjected to pressure filtration with a micro filter having a pore size of 0.2 μm (manufactured by Fuji Film) to prepare a reaction solution.
・ Sodium nitrate 5 parts
・ Magnesium nitrate 5 parts
・ Trimethylolpropane 6 parts
・ Glycerin 5 parts
・ Diethylene glycol 5 parts
・ Acetylene glycol ethylene oxide adduct
(Product name: acetylenol EH) 1 part
・ Water 73 parts
[0134]
(Bk ink)
Using an anionic polymer P-1 (styrene-methacrylic acid-ethyl acrylate, acid value 400, weight average molecular weight 6,000, aqueous solution having a solid content of 20%, neutralizer: potassium hydroxide) as a dispersant, The materials shown were charged in a batch-type vertical sand mill (made by Imex), filled with glass beads of 1 mm diameter as a medium, and subjected to a dispersion treatment for 3 hours while cooling with water. The viscosity after dispersion was 9 mN / m, and the pH was 10.0. The dispersion was centrifuged to remove coarse particles, thereby producing a carbon black dispersion having a weight average particle diameter of 100 nm.
[0135]
(Composition of pigment ink (carbon black dispersion))
・ P-1 aqueous solution (
・ Carbon black Mogul L
(Manufactured by CABLACK) ¥ 12
・ Glycerin 9 parts
・ Diethylene glycol 6 parts
・ Acetylene glycol ethylene oxide adduct
(Product name: acetylenol EH) 0.1 part
・ Isopropyl alcohol 3 parts
・ Water 135 copies
Next, the dispersion obtained above was sufficiently stirred to obtain a pigment-containing inkjet pigment ink. The solids content of the final preparation was about 6%.
[0136]
(C ink)
Using the anionic polymer P-1 used in the preparation of the black pigment ink as a dispersant, a cyan dispersion having a weight average particle size of 120 nm was prepared using the following materials.
[0137]
(Cyan pigment ink composition)
・ P-1 aqueous solution (
・ C. I. Pigment Blue 15: 3
(Fastgen Blue FGF,
Dainippon Ink & Chemicals, Inc.) 12 parts
・ Glycerin 9 parts
・ Diethylene glycol 6 parts
・ Acetylene glycol ethylene oxide adduct
(Product name: acetylenol EH) 0.1 part
・ Water 135 copies
Next, the dispersion obtained above was sufficiently stirred to obtain a pigment-containing inkjet pigment ink. The solids content of the final preparation was about 5.9%.
[0138]
(M ink)
A magenta color dispersion having a weight average particle diameter of 115 nm was prepared using the anionic polymer P-1 used in preparing the black pigment ink as a dispersant and the following materials.
[0139]
(Composition of magenta pigment ink)
・ P-1 aqueous solution (
・ C. I. Pigment Red 122
(Dai Nippon Ink Chemical Co., Ltd.)
・ Glycerin 9 parts
・ Diethylene glycol 6 parts
・ Acetylene glycol ethylene oxide adduct
(Product name: acetylenol EH) 0.1 part
・ Water 135 copies
Next, the dispersion obtained above was sufficiently stirred to obtain a pigment-containing inkjet pigment ink. The solids of the final preparation were about 6.3%.
[0140]
(Y ink)
Using an anionic polymer P-1 (styrene-methacrylic acid-ethyl acrylate, acid value 400, weight average molecular weight 6,000, aqueous solution having a solid content of 20%, neutralizer: potassium hydroxide) as a dispersant, Using the materials shown, a yellow color dispersion having a weight average particle size of 103 nm was prepared.
[0141]
(Composition of yellow pigment ink)
・ P-1 aqueous solution (
・ C. I. Pigment Yellow 180
(Nova Palm Yellow PH-G, Hoechst) 12 parts
・ Glycerin 9 parts
・ Diethylene glycol 6 parts
・ Acetylene glycol ethylene oxide adduct
(Product name: acetylenol EH) 0.1 part
・ Water 135 copies
Next, the dispersion obtained above was sufficiently stirred to obtain a pigment-containing inkjet pigment ink. The solids content of the final preparation was about 6%.
[0142]
<Example 1>
An ink set was prepared by combining the above-prepared inks as follows.・ Reaction liquid
・ Black ink
・ Yellow ink
・ Magenta ink
・ Cyan ink
Using an ink jet recording apparatus BJF-800 (manufactured by Canon) having an on-demand type multi-recording head for discharging ink by applying thermal energy according to a recording signal to the ink using the above-described ink set, as follows. The clarity of the outline and the bleed were evaluated. The evaluation items are shown below. Commercially available copy paper, bond paper and recycled paper were used as recording media.
[0143]
・ Clarity of contour
The printed image was printed with alphanumeric characters in a 12-point Gothic font, air-dried for 12 hours, and the clarity of the outline was evaluated using an optical microscope according to the following criteria.
a: The outline is clear and no ambiguity is observed.
b: Although the outline is clear, the outline is unclear on some papers.
c: The boundary of the outline is unclear.
[0144]
・ Bleed
The printed image is divided into 5 cm squares (1 square size: 2 cm x 2 cm) within a 10 cm square, and solid printing is performed alternately with black ink and each color ink. The bleed at the boundary with the part was evaluated according to the following criteria.
a: The boundary between the two colors is clear, and no bleeding or color mixing is observed at the boundary.
b: Although it is clear that there is a boundary line between the two colors, some bleeding and color mixing are seen at the boundary portion on some papers.
c: The boundary between the two colors cannot be identified.
[0145]
・ Removal resistance
The image itself used for the above-described bleed evaluation was visually evaluated from the back surface according to the following criteria.
a: No strikethrough is seen.
b: Some strike-through is seen in the boundary part of some papers.
c: strikethrough is seen.
[0146]
As a comparative example, the same evaluation as in Example 1 was performed except that the metal salt in the reaction solution of the above example was changed as follows.
<Comparative Example 1>
Sodium nitrate was not added and magnesium nitrate was reduced to 3 parts.
[0147]
[0148]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, without significantly increasing the reactivity between the reaction liquid and the ink composition when performing ink-jet recording, without improving the unclearness of the outline portion and without causing color bleed, It is possible to provide a reaction liquid, a set of an ink composition and a reaction liquid, an ink jet recording method, and a recorded material thereof, which can form a high-quality image with excellent strike-through resistance.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view showing an example of a head of an ink jet recording apparatus.
FIG. 2 is a cross-sectional view illustrating an example of a head of the inkjet recording apparatus.
FIG. 3 is an external perspective view of a head obtained by multiplying the head shown in FIG. 1;
FIG. 4 is a schematic perspective view showing an example of an ink jet recording apparatus.
FIG. 5 is a longitudinal sectional view showing an example of an ink cartridge.
FIG. 6 is a perspective view illustrating an example of a recording unit.
FIG. 7 is a schematic sectional view showing another configuration example of the ink jet recording head.
FIG. 8 is a schematic explanatory diagram of a recording method according to an embodiment of the present invention.
FIG. 9 is a schematic plan view showing a state where the ink cartridge according to one embodiment of the present invention is mounted on a recording head.
FIG. 10 is a schematic plan view showing another embodiment of the ink cartridge according to one embodiment of the present invention.
11 is a schematic plan view showing a state where the ink cartridge of FIG. 10 is mounted on a recording head.
FIG. 12 is a schematic plan view showing another embodiment of the ink cartridge according to the present invention.
FIG. 13 is a schematic perspective view showing another embodiment of the recording unit according to the present invention.
FIG. 14 shows a recording unit containing a liquid composition, a recording unit containing a black ink containing a coloring material dispersed in an aqueous medium by the action of an ionic group, according to an embodiment of the ink set of the present invention, 5 is a schematic diagram showing a state in which recording units containing respective color inks of CMY and CMY are mounted on the same carriage.
FIG. 15 is an enlarged view of an orifice portion of one embodiment of the recording head portion of the ink jet device of FIG.
FIG. 16 is a schematic perspective view illustrating a main part of an example of an ink jet printer on which a liquid discharge head can be mounted.
FIG. 17 is a schematic perspective view showing an example of an ink jet cartridge provided with a liquid ejection head.
FIG. 18 is a schematic perspective view schematically showing a main part of an example of a liquid ejection head.
FIG. 19 is a conceptual diagram in which a part of an example of a liquid ejection head is extracted.
FIG. 20 is an enlarged view of a discharge port shown in FIG. 19;
FIG. 21 is a schematic diagram showing the state of ink adhesion at the ejection port shown in FIG. 20;
FIG. 22 is a schematic diagram of a main part in FIG. 19;
FIG. 23 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XY perspective cross-sectional shape in FIG. 22 and illustrating the liquid discharging operation of the liquid discharging head with time along with FIGS. 24 to 30;
24 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XY perspective cross-sectional shape in FIG. 22 and illustrating the liquid discharge operation of the liquid discharge head with time in conjunction with FIGS. 23 and 25 to 30.
FIG. 25 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XY perspective cross-sectional shape in FIG. 22 and illustrating the liquid discharging operation of the liquid discharging head with time in conjunction with FIGS. 23, 24, and 26 to 30;
FIG. 26 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XY perspective cross-sectional shape in FIG. 22 and illustrating the liquid discharging operation of the liquid discharging head with time along with FIGS. 23 to 25 and FIGS. 27 to 30;
FIG. 27 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XY perspective cross-sectional shape in FIG. 22 and explaining the liquid discharging operation of the liquid discharging head with time along with FIGS. 23 to 26 and FIGS.
FIG. 28 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XY perspective cross-sectional shape in FIG. 22 and explaining the liquid discharging operation of the liquid discharging head with time along with FIGS. 23 to 27, 29, and 30;
FIG. 29 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XY perspective cross-sectional shape in FIG. 22 and illustrating the liquid discharging operation of the liquid discharging head with time along with FIGS. 23 to 28 and FIG. 30;
FIG. 30 is a schematic cross-sectional view corresponding to the XY perspective cross-sectional shape in FIG. 22 and illustrating the liquid discharge operation of the liquid discharge head with time along with FIGS.
FIG. 31 is a schematic perspective view of an ink
FIG. 32 is a diagram showing an example of a reaction liquid applying method.
FIG. 33 is a diagram showing an example of a reaction liquid applying method.
[Explanation of symbols]
13: Head
14: Ink groove
15: Heating head
16: protective film
17-1, 17-2: Electrode
18: Heating resistor layer
19: Thermal storage layer
20: Substrate
21: Ink
22: Discharge orifice (micro hole)
23: Meniscus
24: Ink droplet
25: Recording medium
26: Multi groove
27: glass plate
28: Heating head
40: Ink bag
42: stopper
44: Ink absorber
45: Ink cartridge
51: Paper feed unit
52: Paper feed roller
53: Discharge roller
61: Blade
62: Cap
63: ink absorber
64: Discharge recovery unit
65: Recording head
66: Carriage
67: Guide shaft
68: Motor
69: Belt
70: Recording unit
71: Head section
72: Atmospheric communication port
80: Ink flow path
81: Orifice plate
82: diaphragm
83: Piezoelectric element
84: Substrate
85: Discharge port
91: Liquid composition
92: Ink
100: inkjet recording head
101: Bubbles
102: Meniscus
321: Paper feed roller
322: reaction solution
323: Coating roller
324: Tank
331: Coating roller
600: inkjet recording apparatus
601: inkjet head cartridge
602: drive motor
603, 604: driving force transmission gear
605: Lead screw
606: spiral groove
607: Carriage
607a: Lever
608: Guide
609: Platen roller
610: Paper holding plate
611, 612: Photo coupler
613: Support member
614: Cap member
615: ink suction means
616: Opening inside cap
617: Cleaning blade
618: Moving member
619: Main body support
620: (start suction) lever
621: cam
832: Discharge port
832a: Start
832b: Folded part
901: recording head
931: Electrothermal conversion element (heater, ink ejection energy generation element)
933: Ink supply port (opening)
934: Substrate
935: Orifice plate (discharge port plate)
935a: Discharge port surface
936: Ink channel wall
936a: Partition wall
940: Discharge port
1001: cartridge
1002: Liquid tank
1003: storage section for liquid composition
1005: ink storage unit
1006: Movement drive unit
1008: Casing
1010: Recording unit
1010a: carriage member
1012: Cartridge
1012Y, M, C, B: inkjet cartridge
1016: Belt
1018: Motor
1020: drive unit
1022a, 1022b: Roller unit
1024a, 1024b: Roller unit
1026: Recovery unit
1026a, 1026b: pulley
1028: Paper
1030: Transport device
1101: Recording head
1141: Groove
1141a: Top
1201, 1203: cartridge
1205: Recording head
1301: Recording unit
1303: Recording head
1337: Foaming room
1338: Liquid flow path
1401: Carriage
1501: Recording head
Claims (20)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002270704A JP2004106296A (en) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | Reaction liquid, set of ink composition and reaction liquid, ink-jet recording method, and record |
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- 2002-09-17 JP JP2002270704A patent/JP2004106296A/en active Pending
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