JP2004101883A - 光学フィルムの製造方法と光学フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性線硬化型樹脂を基材上に塗布した後、活性線を照射して活性線硬化樹脂層を形成し、その上に光学薄膜層を形成する光学フィルムの製造方法において、活性線硬化樹脂層が未硬化の状態にあるとき、基材裏面に塗布したバックコート層も未乾燥状態にあるよう塗設することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光板保護層等として用いられる光学フィルムの製造方法とそれにより作製した光学フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロースエステルフィルムの用途の一つとして、液晶モニター、テレビの偏光板等の保護層として使用されることがある。この場合、偏光板にする際、接着剤との密着性確保のため鹸化処理が行われ、その後、接着剤により偏光子に貼合される。
【0003】
従来、活性線硬化樹脂層(ハードコート層ともいう)や防眩層を塗布したフィルムは、活性線を照射して硬化させた時等に膜収縮によるカールが発生することが多い。その予防策として、活性線硬化樹脂層裏面に溶剤処理を行う(例えば、特開平9−20912号公報、特開平9−218302号公報参照)、あるいは下記特許文献1、2及び3に記載されている如く、アンチカール層(兼ブロッキング防止層)としてのバックコート層を形成する等の技術が開発されている。
【0004】
バックコート層を塗布する場合、活性線硬化樹脂層を塗布乾燥し硬化後にバックコート層を塗布する方法や、バックコート層を塗布乾燥後に活性線硬化型樹脂を塗布・硬化する方法等が行われている。
【0005】
しかし、これらの方法で作製されたフィルムでは、偏光板化する際の鹸化処理にてカールが発生し、その後の搬送で蛇行したり、貼合時ずれて位置精度が出ない等不具合があった。また、貼合する時、貼合面での泡の巻き込みがあり製品の収率を下げる原因にもなっていた。また、表面に微小な膜厚ムラが発生することがあり、これも収率を下げる原因となっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−183528号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2001−64422号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2001−83327号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題を解決するためになされた。
【0010】
即ち、本発明の目的は、活性線硬化樹脂層を塗設した樹脂フィルム等を鹸化する際、処理後のカールの発生がなく、鹸化処理後の蛇行や貼合せ時の位置ずれがなく、貼合せ時の泡の巻き込みもなく、また、活性線硬化樹脂層表面の微小な膜厚ムラの発生もなく、従って、生産性のよい光学フィルムの製造方法とそれにより作製された光学フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
発明者等は、鋭意検討した結果、本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成されることが判明した。
【0012】
〔1〕 活性線硬化型樹脂を基材上に塗布した後、活性線を照射して活性線硬化樹脂層を形成し、その上に光学薄膜層を形成する光学フィルムの製造方法において、活性線硬化樹脂層が未硬化の状態にあるとき、基材裏面に塗布したバックコート層も未乾燥状態にあるよう塗設することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0013】
〔2〕 バックコート層を活性線硬化樹脂層を塗布する前に塗布することを特徴とする〔1〕記載の光学フィルムの製造方法。
【0014】
〔3〕 活性線硬化樹脂層塗布後、ドライヤーに入る前にバックコート層を塗布することを特徴とする〔1〕記載の光学フィルムの製造方法。
【0015】
〔4〕 活性線硬化樹脂層とバックコート層を同時に塗布することを特徴とする〔1〕記載の光学フィルムの製造方法。
【0016】
〔5〕 活性線硬化樹脂層塗布後、乾燥の途中にバックコート層を塗布することを特徴とする〔1〕記載の光学フィルムの製造方法。
【0017】
〔6〕 活性線硬化樹脂層を塗布し乾燥終了後、活性線を照射して硬化させるまでの間に、バックコート層を塗布することを特徴とする〔1〕記載の光学フィルムの製造方法。
【0018】
〔7〕 活性線硬化型樹脂を基材上に塗布した後、活性線を照射して活性線硬化樹脂層を形成し、その上に光学薄膜層を形成した光学フィルムにおいて、活性線硬化樹脂層が未硬化の状態であるとき、基材裏面に塗布したバックコート層も未乾燥状態にあるよう塗設して作製したことを特徴とする光学フィルム。
【0019】
本発明において、未乾燥状態のバックコート層とは、フィルム表面もしくはフィルム中に存在する溶剤量(残留溶剤量)が初期塗布膜に含まれる溶剤量の5%以上の状態をさす。
【0020】
一般にバックコート層に用いられる溶剤は、セルロースエステルフィルムに浸透もしくは溶解する性質を有しており、表面が乾燥していてもフィルム中に浸透し、残留している。
【0021】
塗布乾燥時におけるバックコート層の残留溶媒量はバックコート層のみを塗布した未乾燥のフィルムをサンプリングし、下記の方法で算出することができる。
【0022】
尚、サンプリングの際は、溶媒の揮発を防止するため、バックコート層塗布面からさらなる溶媒の揮発を防止するためのフィルムを貼り付けて行うことが、より正確な残留溶媒量が求められるため好ましい。
【0023】
残留溶剤量の測定:
110℃の恒温槽に1時間投入し、投入前の質量をa[g/m2]、投入後の質量をb[g/m2]とする。塗布液濃度x[質量%]、塗布量y[g/m2]とすると、残留溶剤量Z[質量%]は次の式で表される。
【0024】
Z[質量%]=(a−b)/(y×(1−x/100))÷100
活性線硬化樹脂層液は、塗布しやすいように溶剤にて希釈し塗布するのが一般的であり、塗布後、ドライヤーにて乾燥され、その後、活性線を必要量照射され硬化される。硬化の際、速やかに硬化させるため、照射雰囲気中に窒素等の不活性ガスを導入し、酸素濃度を1%未満、好ましくは100ppm未満にし硬化することもある。
【0025】
活性線硬化樹脂層が未硬化の状態とは、活性線が照射されて十分に硬化される前の状態を指し、希釈溶剤を含んでいてもよい。
【0026】
また、未硬化の状態には活性線を硬化に必要な光量の数分の1の照射を行い、活性線硬化樹脂層の流動性を無くしているが本来の硬度に達していなく、更に活性線照射が必要なハーフキュアの状態も含む。
【0027】
また、光学薄膜層としては、反射防止層が代表的なものである。光学薄膜層は、塗布、あるいは真空蒸着、スパッタリング、CVD(化学蒸着)法及び大気圧もしくはその近傍の圧力での放電プラズマによる方法等で、形式が可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の構成につきさらに詳細に説明する。
【0029】
〔作製工程〕
従来、例えば図1に示す如き工程により、活性線硬化樹脂層とバックコート層の塗布・乾燥が行われていた。
【0030】
図1において、ロール状に巻かれた基材1を巻きだし、まず基材表面に塗布機Aにより活性線硬化樹脂層液を塗布する。これをドライヤー4により乾燥させた後活性線照射器5により、例えば紫外線を照射して完全に硬化させる。
【0031】
次に、基材1の裏面に塗布機Bによりバックコート層液が塗布されドライヤー8にて乾燥された後、ロール状に巻き取られる。
【0032】
これに対し本発明においては、例えば図2の如く、基材表面に塗布機Aにより活性線硬化樹脂層液が塗布された後、ドライヤー4にて乾燥させるが硬化されることなく、基材1の裏面に塗布機Bによりバックコート層液が塗布されドライヤー8にて乾燥された後、なお未硬化の活性線硬化樹脂層を硬化させるため、活性線照射器5により活性線を照射される。
【0033】
実際には、バックコート層液が塗布される順序は、上記の通りにする必要はなく、活性線硬化樹脂層液が硬化される前であればよい。
【0034】
従って、図2において塗布機Bを
1)塗布機Aの前に置く
2)塗布機Aと向かい合わせて置く
3)塗布機Aとドライヤー4の間に置く
4)ドライヤー8と活性線照射器5の間に置く
等も考えられる。
【0035】
無論、置く位置によっては、例えば基材1の両面に塗られた塗布層が未乾燥状態のとき搬送しなければならない、あるいは両面同時塗布となるので基材支持・搬送に特別な工夫を要する場合もある。
【0036】
いくつかの例を図3に示すと、図3(1)は、小径リバースキスグラビア(マイクログラビア)塗布器を使用した例である。
【0037】
ロール状に巻かれた基材1の表面に塗布機Aにより活性線硬化樹脂層液が塗布され、搬送ローラにより搬送された基材1の裏面に塗布機Bによりバックコート層液が塗布される。これをドライヤー4により両面共に乾燥させ、ドライヤー4を出たところで、図示していないが、なお未硬化の活性線硬化樹脂層へ活性線照射器により、例えば紫外線を照射して硬化させる。
【0038】
あるいは、図3(2)に示す如く、基材1にダイを利用しての塗布機A及び塗布機Bを用いて両面同時塗布を行い、これをドライヤー4により乾燥させ、やはり未硬化の活性線硬化樹脂層を、図示していないが活性線照射器により照射した活性線にて硬化させるというものである。
【0039】
また塗布法については特に限定はない。ロール塗布、グラビアロール塗布、ワイヤーバー塗布、ブレード塗布、ダイ塗布、スライドホッパー塗布、スプレー塗布、カーテン塗布等いずれも用いることが出来る。
【0040】
バックコート層塗布後は、乾燥終了までは、接触させないことが必要であり、表面の乾燥終了までは、エアーによるフローティング搬送が好ましい。その後ロールにより支持搬送が行われる。
【0041】
フローティング搬送もバックコート層塗布直後は、エアー量を少なくし、乾燥の進行につれ、エアー量を強くしたり、ノズルとの距離を接近させるようにしたほうが好ましい。
【0042】
表面が乾燥し、接触しても問題ない状態でロールに接触させる。しかし、それでも残留溶剤が多い状態では、テフロン(R)ライニングのような非粘着性を有するロール等を用いることが好ましい。
【0043】
また、上記工程を経た後もなおバックコート層中の残留溶剤量が多く、後乾燥を行う必要がある場合もある。
【0044】
〔基材〕
本発明で光学フィルムの基材として用いられる樹脂フィルムは特に限定はされないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム(CAPフィルム)、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができるが、本発明には、セルローストリアセテートフィルム(TACフィルム)等のセルロースエステルフィルム、ポリカーボネート(以下PCと略すことがある)フィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム及びポリスルホン系フィルムが透明性、機械的性質、光学的異方性がない点など好ましく、特にセルロースエステルフィルム(CAPフィルム、TACフィルム)及びPCフィルムが、それらの中でも、製膜性が容易で加工性に優れているため好ましく用いられ、特にTACフィルムを使用するのが好ましい。
【0045】
セルロースエステルフィルムを用いる場合、本発明の各塗布層塗設前にセルロースエステルフィルムがアルカリ鹸化処理されていてもよい。例えば、製膜後アルカリ鹸化処理した後、活性線硬化樹脂層を塗設し、さらにアルカリ鹸化処理をすることもできる。
【0046】
次に、TACフィルムの製膜法について述べるが、CAPも同様に製膜することができる。TACフィルムは一般的に、TACフレーク原料及び可塑剤をメチレンクロライドに溶解して粘稠液とし、これに可塑剤を溶解してドープとなし、エクストルーダーダイスから、エンドレスに回転するステンレス等の金属ベルト(バンドともいう)上に流延して、乾燥させ、生乾きの状態でベルトから剥離し、ロール等の搬送装置により、両面から乾燥させて巻き取り、製造される。PCフィルムについてもTACフィルムと同様に製膜することが出来る。
【0047】
上記可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが好ましく用いられる。リン酸エステルとしては、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)、ビフェニル−ジフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェートが含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的なものである。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、エチルフタリルエチルグリコレート等が用いられる。クエン酸エステルとしては、クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)およびクエン酸アセチルトリブチル(OACTB)が用いられる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。リン酸エステル系可塑剤(TPP、TCP、ビフェニル−ジフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート)、フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DEHP)が好ましく用いられる。このほか、ポリ酢酸ビニル共重合体、脂肪族直鎖状ポリエステル、メチルメタクリレート系共重合物などの重量平均分子量1000〜100000の高分子化合物を高分子可塑剤として添加することができる。
【0048】
この中でもトリフェニルフォスフェート(TPP)、エチルフタリルエチルグリコレートが特に好ましく用いられる。可塑剤の添加量はフィルム中に通常2〜15質量%添加され、より好ましくは4〜8質量%になるよう添加することが望ましい。
【0049】
また、PCフィルムにも上記可塑剤を添加することができる。
さらに本発明に有用な基材であるTAC又はPCフィルム中に、紫外線吸収剤を含有させることによって、耐光性に優れた偏光板用保護フィルムを得ることが出来る。本発明に有用な紫外線吸収剤としては、サリチル酸誘導体(UV−1)、ベンゾフェノン誘導体(UV−2)、ベンゾトリアゾール誘導体(UV−3)、アクリロニトリル誘導体(UV−4)、安息香酸誘導体(UV−5)又は有機金属錯塩(UV−6)等があり、それぞれ(UV−1)としては、サリチル酸フェニル、4−t−ブチルフェニルサリチル酸等を、(UV−2)としては、2−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等を、(UV−3)としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を、(UV−4)としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、メチル−α−シアノ−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート等を、(UV−5)としては、レゾルシノール−モノベンゾエート、2′,4′−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等を、(UV−6)としては、ニッケルビス−オクチルフェニルサルファミド、エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸のニッケル塩等を挙げることができる。
【0050】
又、すべり性を改善するために、これら基材透明フィルムを製造する際のドープ中に、シリカ等の微粒子(平均粒径0.005〜0.2μm)を0.01〜0.5質量%添加することもできる。例えば日本アエロジル社製アエロジル200V、アエロジルR972Vなどを添加することができる。すべり性は鋼球での測定で、動摩擦係数0.4以下好ましくは0.2以下であることが望まれる。
【0051】
〔活性線硬化型樹脂とそれを用いた樹脂層〕
本発明の光学フィルムは活性線硬化樹脂層を有するが、特にクリアハードコート加工のために活性線硬化型樹脂が用いられる例について説明する。
【0052】
活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
【0053】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば特開昭59−151110号公報参照)。
【0054】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号公報参照)。
【0055】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1−105738号公報参照)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して使用することが出来る。
【0056】
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化型樹脂組成物に含まれる光反応開始剤又光増感剤は該組成物の2.5〜6質量%であることが特に好ましい。2.5%未満では樹脂フィルムから溶出する可塑剤及び/又は紫外線吸収剤によって硬化阻害を受け、耐擦傷性が低下し、逆に6質量%を超えると相対的に紫外線硬化型樹脂成分が減るため逆に耐擦傷性が低下したり、塗布性が悪化するなどのため塗膜の面品質を悪くすることがある。
【0057】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメチルジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
【0058】
紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アデカオプトマーKR・BYシリーズ;KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B、(以上、旭電化工業社製)あるいはコーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業社製)、あるいはセイカビーム PHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業社製)、あるいはKRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー社製)、あるいはRC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業社製)、あるいはオーレックスNo.340クリヤ(中国塗料社製)、あるいはサンラッド H−601(三洋化成工業社製)、あるいはSP−1509、SP−1507(昭和高分子社製)、あるいはRCC−15C(グレース・ジャパン社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成社製)あるいはこの他の市販のものから適宜選択して利用することもできる。
【0059】
活性線硬化樹脂層の塗布組成物は固形分濃度は10〜95質量%であることが好ましく、塗布方法により適当な濃度が選ばれる。
【0060】
活性線硬化型樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、特に限定なく使用出来る。例えば、紫外線を発生する光源であれば低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域から可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることも出来る。
【0061】
活性線硬化樹脂層を塗設する際の溶媒として前述の樹脂層を塗設する溶媒、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、あるいは混合されて利用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル又はプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
【0062】
紫外線硬化型樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、前記した公知の方法を用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚で0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。塗布速度は好ましくは10〜60m/minで行われる。
【0063】
紫外線硬化型樹脂組成物は塗布後、速やかに乾燥された後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒〜5分がよく、紫外線硬化型樹脂の硬化効率、作業効率とから3秒〜2分がより好ましい。こうして得た硬化皮膜層に、液晶表示装置パネルの表面に防眩性を与えるために、また他の物質との対密着性を防ぎ、対擦り傷性等を高めるために無機あるいは有機の微粒子を加えることもできる。例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、紫外線硬化型樹脂組成物に加えることが出来る。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜10μmであり、紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部となるように配合することが望ましい。防眩効果を付与するには、平均粒径0.1〜1μm、樹脂組成物100質量部に対して1〜15質量部が好適である。
【0064】
また硬化された層の耐熱性を高めるために、酸化防止剤を光硬化反応を抑制しないようなものを選んで用いることが出来る。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることが出来る。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−t−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることが出来る。
【0065】
〔バックコート層〕
カールによる不都合を解消し、かつ偏光板用保護フィルム等としての機能を損なわないようにするため、活性線硬化樹脂層を塗設した反対側にアンチカール層(バックコート層)を設ける。すなわち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせるものである。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング層を兼ねて塗設され、その場合、塗布組成物にはブロッキング防止機能を持たせるための無機微粒子及び/又は有機微粒子を含有させることができる。
【0066】
アンチカール機能の付与は、具体的には偏光板用保護フィルムとして用いる樹脂フィルム基材を溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒の混合物の他、さらに溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
【0067】
カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。
【0068】
このような混合組成物に含まれる、樹脂フィルム基材を溶解又は膨潤させる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルムなどがある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノールなどがある。
【0069】
これらの塗布組成物を塗布機を用いて樹脂フィルム(基材)の表面にウェット膜厚1〜100μmに塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであると良い。
【0070】
ここで用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体あるいは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等のセルロースエステル系樹脂、マレイン酸および/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合体、メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ブタジエン/アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン社製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン社製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマーなどが好ましく用いられる。特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層が用いられる。
【0072】
【実施例】
次に、実施例を示し本発明の構成と効果を具体的に説明するが、本発明の構成がこれらに限定されるわけではない。
【0073】
実施例1
〔1〕試料の作製
(1)基材
下記の如くして作製した透明なセルローストリアセテートフィルム(膜厚80μm、幅1330mm)を用いた。
【0074】
〈樹脂フィルムの作製〉
(ドープ組成物)
セルローストリアセテート(平均酸化度61.0%) 100質量部
トリフェニルフォスフェート 8質量部
2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−
6−(t−ブチル)フェノール 1質量部
2−〔(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4,6−ジ−t−ペンチ
ルフェノール 1質量部
メチレンクロライド 430質量部
メタノール 90質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し撹伴しながら完全に溶解してドープ組成物を得た。
【0075】
次にこのドープ組成物を濾過し、冷却して33℃に保ちステンレスバンド上に均一に流延し、剥離が可能になるまで溶媒を蒸発させたところで、ステンレスバンド上から剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥させ膜厚80μmのフィルムを得た。
【0076】
ステンレスバンドに接している面をb面とし、もう一方の面をa面とする。
なお、活性線硬化樹脂層形成にはb面をもちいた。
【0077】
(2)活性線硬化樹脂層液の組成
下記のものを混合溶解して用いた。
【0078】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上のもの 20質量部
ジエトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4質量部
シリコーン系界面活性剤 1質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
メチルエチルケトン 75質量部
(3)バックコート層液の組成
下記のものを混合溶解して用いた。
【0079】
アセトン 32質量部
酢酸エチル 50質量部
イソプロピルアルコール 4質量部
ジアセチルセルロース 0.5質量部
超微粒子シリカ 2%アセトン分散液 0.1質量部
(アエロジル200;日本アエロジル社製)
(4)光学フィルムの作製装置
図4に示す如く、活性線硬化樹脂層の塗布機A、活性線照射器5、ドライヤー(乾燥機)4、8および9を配置し、バックコート層液の塗布機Bの位置を変更可能な装置を用いて、下記表1の如き条件にて光学フィルムを作製した。なお、塗布機はいずれもスライドホッパー型のものを用いた。
【0080】
活性線硬化樹脂層(ハードコート層)はウエット膜厚13μm、ドライ膜厚5μm、バックコート層はウエット膜厚13μmで塗布を行った。
【0081】
紫外線照射条件
160mJ/cm2を照射した。
【0082】
ドライヤー乾燥条件
80℃にて搬送速度30m/minにて行った。
【0083】
反射防止層
活性線硬化樹脂層の上に下記の反射防止層(光学薄膜層)を塗布した。
【0084】
《中屈折率層の作製》
前記ハードコート層の上に、下記中屈折率層組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を、130mJ/cm2照射して硬化させ、中屈折率層を作製した。
【0085】
なお、この中屈折率層の厚さは77nmで、屈折率は1.70であった。
【0086】
《高屈折率層の作製》
前記中屈折率層の上に、下記高屈折率層組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を130mJ/cm2照射して硬化させ、高屈折率層を作製した。
【0087】
なお、この高屈折率層の高屈折率層の厚さは68nmで、屈折率は1.91であった。
【0088】
前記高屈折率層の上に、下記低屈折率層組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を130mJ/cm2照射して硬化させ、更に120℃で5分間熱硬化させ、低屈折率層を有する反射防止層を作製した。
【0089】
(テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製)
テトラエトキシシラン25gとエタノール222gを混合し、これにクエン酸一水和物の1.5質量%水溶液54gを添加した後に、室温にて3時間撹拌して調製した。
【0090】
なお、この反射防止層の低屈折率層の厚さは93nmで、屈折率は1.44であった。
【0091】
(5)偏光板の作製
先に作製した試料No.1〜7の光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして下記の方法に従って偏光板を作製した。
【0092】
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素1質量部、ヨウ化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し偏光膜を得た。
【0093】
下記1.〜5.の工程で、偏光膜と光学フィルム、保護樹脂フィルムとをはり合わせて偏光板を作製した。
【0094】
〈偏光板の作製方法〉
1.長手方向30cm、巾手方向18cmに切り取った本発明の光学フィルムを1枚と樹脂フィルム(トリアセチルセルロースフィルム)1枚を保護フィルムとし、これらを2mol/lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で2分間浸漬し、さらに水洗、乾燥した。なお、光学フィルムは、あらかじめ反射防止層表面に易接着フィルムを貼り付けておいた。
【0095】
2.保護樹脂フィルム試料と同サイズの上記偏光膜を固形分濃度2%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬する。
【0096】
3.上記2.の偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、上記1.で処理された本発明の光学フィルムのa面上にのせ、更にその上に上記1.で処理された保護樹脂フィルムのa面が偏光膜に接する様に積層し配置する。
【0097】
4.ハンドローラで上記3.で積層された偏光膜と光学フィルム、保護樹脂フィルムとの積層物に圧力をかけ密着させた後、積層物の端部から過剰の接着剤及び気泡を取り除きはり合わせる。ハンドローラで20〜30N/cm2の応力をかけて、ローラスピードは約2m/minとした。
【0098】
5.80℃の乾燥器中に4.で得た試料を2分間放置する。
〔2〕性能評価
評価は、いずれも目視にて行った。
【0099】
鹸化後のカール回復
○ :鹸化前と同じか、わずかにカールが強くなる程度
○△:鹸化前に比べてカールが強くなったが、鹸化後の搬送性には問題ないレベル
△ :鹸化前に比して明らかにカールが強く、鹸化後の搬送で蛇行が発生した
× :鹸化後はカールが強く、鹸化後の搬送で蛇行により搬送困難
××:鹸化後はカールが強く、特にエッジ部ではカールして折れ曲り、搬送不能
貼合せ時の空気の巻き込み
○ :巻き込み無し
○△:貼合せ開始時巻き込み少々あるが、すぐになくなる
△ :貼合せ開始後、時々泡の巻き込み有り
× :大きな泡の巻き込み有り
貼合せ時の位置ずれ
○ :位置ずれ無し
△ :耳が1mm程度ずれギザギザとなる
× :耳の折れ込みが発生
なお、上記評価で「○△」が使用可能下限である。
【0100】
【表1】
【0101】
表1から明らかな如く、試料No.2〜6の本発明内の条件で作製したものはいずれの特性も優れた性能を有するが、本発明外の比較例である試料No.1と7は、いずれの特性も問題があることがわかる。
【0102】
実施例2
〔1〕試料の作製
基材を下記ポリカーボネートフィルム(膜厚80μm、幅1330mm)に変え、紫外線照射条件を150mJ/cm2とした以外は実施例1と同様に試料を作製した。
【0103】
〈樹脂フィルムの作製〉
上記組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し撹拌しながら完全に溶解して、ドープ組成物を得た。
【0104】
次にこのドープ組成物を濾過し、冷却して33℃に保ち、ステンレスバンド上に均一に流延し、33℃で5分間乾燥した。次に65℃でレタデーション5nmになるように乾燥時間を調整し、ステンレスバンド上から剥離後、多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ膜厚80μmのポリカーボネートフィルムを得た。このとき、ステンレスバンドに接していた側をb面とし、その反対面をa面とする。
【0105】
〔2〕性能評価
特性評価も実施例1と同様に行ったところ、実施例1とほぼ同様な結果が得られた。
【0106】
【発明の効果】
本発明により、活性線硬化樹脂層を塗設した樹脂フィルム等を鹸化する際、処理後のカールの発生がなく、鹸化処理後の蛇行や貼合せ時の位置ずれがなく、貼合せ時の泡の巻き込みもなく、また、活性線硬化樹脂層表面の微小な膜厚ムラの発生もなく、従って、生産性のよい光学フィルムの製造方法とそれにより作製された光学フィルムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の活性線硬化樹脂層とバックコート層の塗布・乾燥の工程を示す図。
【図2】本発明の活性線硬化樹脂層とバックコート層の塗布・乾燥の工程を示す図。
【図3】本発明の活性線硬化樹脂層とバックコート層の塗布・乾燥の工程を示す図。
【図4】塗布機の位置を変更可能な光学フィルムの作製装置の工程を示す図。
【符号の説明】
1 基材
4、8、9 ドライヤー
5 活性線照射器
A、B 塗布機
Claims (7)
- 活性線硬化型樹脂を基材上に塗布した後、活性線を照射して活性線硬化樹脂層を形成し、その上に光学薄膜層を形成する光学フィルムの製造方法において、活性線硬化樹脂層が未硬化の状態にあるとき、基材裏面に塗布したバックコート層も未乾燥状態にあるよう塗設することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
- バックコート層を活性線硬化樹脂層を塗布する前に塗布することを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
- 活性線硬化樹脂層塗布後、ドライヤーに入る前にバックコート層を塗布することを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
- 活性線硬化樹脂層とバックコート層を同時に塗布することを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
- 活性線硬化樹脂層塗布後、乾燥の途中にバックコート層を塗布することを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
- 活性線硬化樹脂層を塗布し乾燥終了後、活性線を照射して硬化させるまでの間に、バックコート層を塗布することを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
- 活性線硬化型樹脂を基材上に塗布した後、活性線を照射して活性線硬化樹脂層を形成し、その上に光学薄膜層を形成した光学フィルムにおいて、活性線硬化樹脂層が未硬化の状態であるとき、基材裏面に塗布したバックコート層も未乾燥状態にあるよう塗設して作製したことを特徴とする光学フィルム。
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