JP2004101424A - Scattering-type near-field microscope and scattering-type near-field spectroscopic system - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンプル表面に発生するエバネッセント光を、金属または誘電体からなる探針構造を有するカンチレバーにより散乱させて、散乱光を検出することにより、回折限界を超える高分解能でサンプル表面の光学特性を測定するための、散乱型近接場顕微鏡および散乱型近接場分光システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の散乱型近接場顕微鏡の第1の従来技術を、図6を基に説明する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の散乱型近接場顕微鏡は、金属または誘電体により製作され、先端が先鋭化された針状プローブ107を使用して、光源10 4、コンデンサーレンズ105、プリズム103よりなる全反射光学系、透過光学系あるいは反射光学系(透過光学系、反射光学系は図示せず)によりサンプル101の表面に発生させた微細な構造情報を有するエバネッセント光が存在する領域に前記プローブ107を挿入し、プローブ先端の微細構造とエバネッセント光とを相互作用させ、前記相互作用によって発生する伝播可能な散乱光を集光レンズ109で集光して光電検出器110で検出することによって、回折限界を超える分解能での微細構造計測を行っている。一般にエバネッセント光は強度が弱く検出が極めて困難であるが、本方式では探針先端の金属や誘電体の作用により散乱光は増強され、検出効率が向上する。
【0004】
また、第1の従来技術の応用例として、図7を基にストレート型の金属プローブを用いた散乱型近接場顕微鏡の第2の従来技術を説明する(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
第2の従来技術では、試料202の表面に生成されたエバネッセント光に先端が先鋭化された誘電体または金属からなるプローブ203を挿入し、プローブ先端で散乱された散乱光強度を計測することにより、回折限界を超える高い分解能で試料の光学情報を計測している。試料表面に発生するエバネッセント光の強度は試料からの距離に対して指数関数的に減少する。このため、試料表面に発生するエバネッセント光には試料表面の形状情報と光学情報が含まれている。そこで、通常、プローブと試料表面間の距離を一定に保ちながら、試料とプローブを相対的にスキャンさせて、形状情報と光学情報を分離して測定が行われる。第2の従来技術では、プローブ203を試料202の表面に対して平行に振動させ、そのときのプローブ203の振幅を半導体レーザ210とレンズ211,212および2分割フォトディテクタ213よりなる変位検出器によって測定することにより、プローブ203と試料202間の高さ方向の距離が一定になるように制御が行われる。プローブと試料を近接させた場合、プローブ先端203aにはシアフォースが作用する。このシアフォースにより、プローブの振幅や位相が変化する。このシアフォースは試料表面からの距離に依存するため、プローブの振幅または位相を計測することにより、プローブと試料間の距離制御が可能となる。
【0006】
更に、第1の従来技術に関する別の応用例である散乱型近接場顕微鏡の第3の従来技術について、図8を基に説明する(例えば、非特許文献1参照。)。
【0007】
第3の従来技術では原子間力顕微鏡用の探針付カンチレバーに銀をコートしたプローブ301が用いられている。第3の従来技術では透過製のサンプル302の裏面にNAが1.4の油浸対物レンズ303を配置し、対物レンズを通して、サンプル裏面から励起源となる波長488nmのレーザ光304をサンプルに照射する。このとき、対物レンズのNAが1以下となる部分に入射するレーザ光をカットするように光路上にマスク(図示せず)を挿入する。このとき、サンプルにはNAが1以上の光のみがサンプルに入射し、この光はサンプル表面部分で全反射されて、サンプルの表面にはエバネッセント光が形成される。このエバネッセント光にカンチレバーの探針301aを挿入すると、エバネッセント光が散乱される。このとき散乱光は探針にコートされた銀の作用により増強される。散乱光305は、励起光を集光したものと同一の対物レンズ303により集光されて、ノッチフィルター(図示せず)により励起光を除去し、その散乱光を冷却CCDカメラ付の分光器(図示せず)で分光分析することにより、回折限界を超える分解能で、ラマン分光分析を行っている。第3の従来技術では探針先端30 1aとサンプル302間に働く原子間力により探針とサンプルの距離制御が行われ、第2の従来技術と同じく、エバネッセント光に含まれる形状情報と光学情報を分離して測定することが可能である。
【0008】
【特許文献1】
特許第3196945号公報(第2−4項、第1図)
【0009】
【特許文献2】
特開平9−281122号公報(第3−7項、第4図)
【0010】
【非特許文献1】
Norihiko Hayazawa, Yasushi Inouye, Zouheir Sekkat, Satoshi Kawata,Near−field Raman scattering enhanced by a metallized tip, Chemical Physics Letters 335 (2001) 369−374
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しなしながら、第1から第3に示した従来技術では、エバネッセント光を散乱させるための金属や誘電体がプローブ先端近傍のみならずプローブ先端から離れた部分においても存在しているため、サンプル表面のエバネッセント成分以外のファーフィールド成分までも散乱してしまい、これが信号に混入してS/N比や分解能が低下してしまう。
【0012】
さらに、第1から第3に示した従来技術において、非透過性のサンプルなどを測定する場合には反射光学系によりエバネッセント光を発生させて、後方散乱成分を集光する必要がある。このとき、プローブ自体が反射光学系により入射される光や後方散乱光を遮断してしまう。さらにプローブやプローブホルダ、撓み量検出手段などのサンプル上方に配置される構成要素自体が入射用の反射光学系や集光光学系の配置に制約を与えてしまう。このため、反射光学系や集光光学系を効率よく測定できる位置に配置することができず、S/N比や分解能が低下してしまう。
【0013】
本発明の目的は上記課題を解決できるような散乱型近接場顕微鏡および散乱型近接場分光システムを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の散乱型近接場顕微鏡では、探針を有するカンチレバーと、カンチレバーを保持するためのカンチレバーホルダと、探針に対向する位置に配置されるサンプルホルダと、カンチレバーの撓み量を検出するための撓み量検出機構と、探針とサンプル間の距離を調整するための微動機構と、探針とサンプルを2次元平面内で相対的に移動させるスキャナと、撓み量検出機構からの信号を基に前記微動機構を動作させて、微小探針とサンプル間の距離の調整を行うためのサーボ回路と、サンプル表面にエバネッセント光を発生させるエバネッセント光発生手段と、サンプル表面に発生したエバネッセント光に探針を近接させた際に発生する散乱光を集光するための集光手段と、散乱光の強度を測定するための光検出部とを有する散乱型近接場顕微鏡において、探針の最先端部付近にのみ金属または誘電体部を設けた。
【0015】
さらに、本発明では、カンチレバーの一部または全部を光学的に透明な材料で構成し、探針の最先端部付近にのみ金属または誘電体部を設け、探針先端で後方散乱される光の一部または全部がカンチレバーを透過可能な構成とすることによって、探針の最先端部以外での散乱を極力抑えるとともに、カンチレバーを透過した後の後方散乱成分を集光可能な構成とした。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、ここで述べる実施形態は本発明の一実施形態例に過ぎず、この実施形態例で本発明が限定されるものではない。
【0017】
(1)第一実施形態例
図1に、本発明に係る散乱型近接場顕微鏡の第一実施形態例を示す。本実施形態例では、透明なサンプルホルダ1の下に開口数が1以上の対物レンズ2(ここでは開口数1.4の油浸レンズ)を配置した。この対物レンズ2にレーザ3からの光を導入する。レーザ光は、ビームエクスパンダー4により平行光に変換され、ダイクロイックミラー5により90°曲げられて対物レンズに導かれる。このとき、ビームエクスパンダー4とダイクロイックミラー5間の光路上に対物レンズ2に入射する光のうち開口数が1以下の部分の光をカットするように、円盤状の遮光板6を挿入する。このような光学系により、対物レンズ2から開口数が1以上の部分の光をサンプル7に入射することにより光は全反射角で入射し、サンプル7の表面にエバネッセント光が形成される。
【0018】
サンプル7はサンプルホルダ1上に載置されており、サンプルホルダ1には圧電素子より構成され、2次元平面内でのスキャンと高さ方向のサーボ動作が可能な3軸微動機構8が取り付けられている。
【0019】
一方、サンプル7の上方には、カンチレバーホルダ10が配置され、シリコン基板からなり、先端に先鋭化された探針部11aが設けられたカンチレバー11が取付けられる。この探針11aの最先端部のみに金属が蒸着されている。本実施形態例では蒸着金属として、銀を使用した。銀の蒸着範囲は探針最先端部から概ね200nm以内、好ましくは100nm以内の高さに限定されている。ここで本実施形態例においては先端部のみに金属を付着させる方法として、探針全体に金属薄膜を蒸着し、最先端部の約100nm部分のみを残して残りの金属をフォーカストイオンビーム(FIB)により、除去加工することにより製作した。
【0020】
カンチレバー11の撓みはカンチレバー上方に配置される光てこ光学系12により検出される。光てこ光学系はレーザダイオード13の光をレンズ14でカンチレバー11の背面に集光し、カンチレバー11からの反射光を受光面が4分割されたフォトディテクタ15で検出するような構成である。レーザダイオード13の波長は測定したい波長とは異なる波長を用いている。カンチレバー11が撓んだ場合にはフォトディテクタ15上のスポットが上下に動く。この時の各分割面での光強度の差を検出することでカンチレバー11の撓みが計測される。
【0021】
カンチレバーホルダ10は、探針11aとサンプル7表面とを近接させるための粗動ステージ18に搭載されている。粗動ステージ18はステッピングモータ19と送りネジ20による機構を用いてマイクロメータヘッド21の脚を支点にして、カンチレバーホルダ10と光てこ光学系12が搭載された粗動ステージ18をサンプル7に対して近接させるような構成である。
【0022】
このように構成された装置で、探針11aとサンプル7を原子間力が作用する領域まで近づけた場合、カンチレバー11の先端に作用する原子間力によりカンチレバー11に撓みが生ずる。この撓み量は探針11aとサンプル7間の距離に依存するため、撓み量が一定となるように微動機構8をサーボ機構(図示せず)によりサーボ動作させることによってサンプル7と探針11aの距離を一定に保つことが可能となる。
【0023】
サンプル7表面に発生するエバネッセント光は一般的には100nm〜200nmの間に存在しサンプル7表面から遠ざかるにしたがって指数関数曲線に乗って減衰する。探針11aとサンプル7をサーボ動作させながら、この領域に位置決めすることにより、探針先端11aでエバネッセント光が散乱され、さらに、探針先端11aで散乱された光は銀の電場増強作用により増強され、伝播光に変換される。
【0024】
この散乱光は、励起光の入射に用いたレンズと同一のレンズ2で集光される。集光を行う場合には、開口数1以下の部分も含め対物レンズ全体で集光が行われる。集光された光信号のうち、所望の検出信号をダイクロイックミラー5と吸収フィルター22で選択し、全反射ミラー23で90度に曲げられて結像レンズ24により結像された後、ショートパスフィルター25により光てこ光学系のレーザダイオード光の成分をカットし、光検出器26に導かれる。光検出器26には、ここでは光電子増倍管を用い、フォトンカウンター27を用いて、フォトンカウンティング方式により光強度の計測を行った。
【0025】
このように構成された散乱型近接場顕微鏡において、サンプルを3軸微動機構8によりサンプル7と探針11aの高さを一定に保ちながら、2次元平面内でスキャンさせることにより、サンプル表面での光学情報のマッピングが回折限界を超える分解能で測定される。更に、高さ方向の制御に用いたサーボ信号をマッピングすることによりサンプル表面の凹凸像も同時に測定できる。
【0026】
従来の散乱型近接場顕微鏡では探針の先端部分以外にも一様に金属または誘電体が付けられていたため、探針先端で散乱された後の散乱光や探針周囲に発生するエバネッセント光以外の迷光成分も探針で散乱されてしまい、これらがノイズとなってS/N比や分解能の低下を起こしていたが、本発明では散乱用の金属が先端部のみに限定されているため、これらのノイズ成分が低減されて、従来の散乱型近接場顕微鏡に比べてS/N比や分解能が向上する。なお、ここでは蒸着金属の高さを概ね100nm以下としたが、さらに高さを低くして局所的に金属を蒸着することにより更にS/N比や分解能が向上する。
【0027】
(2)第二実施形態例
図2に、本発明に係る散乱型近接場顕微鏡の第二実施形態例を示す。本実施形態例では、ベース30上にサンプルステージ31を配置し、サンプルステージ31上にサンプル32を載置した。サンプル32の上方に圧電素子より構成され、2次元平面内でのスキャンと高さ方向のサーボ動作が可能な3軸微動機構33を配置し、3軸微動機構33にカンチレバーホルダ34と、カンチレバー36の撓み測定用の小型の光てこ光学系が収められた光学ヘッド35が3軸微動機構33と一体に動作するように取り付けられている。
【0028】
カンチレバーホルダ34には、酸化シリコンからなり、先端に先鋭化された探針36aが設けられたカンチレバー36が取付けられる。この探針の最先端部のみに金属が蒸着されている。本実施形態例では蒸着金属として、銀を使用した。銀の蒸着範囲は探針最先端部から概ね100nm以内の高さに限定されている。本実施例においても先端部のみに金属を付着させる方法として、探針全体に金属薄膜を蒸着し、最先端部の約100nm部分のみを残して残りの金属をFIBにより、除去加工することにより製作した。
【0029】
また、カンチレバーホルダ34にはカンチレバー36励振用の圧電素子37が取り付けられており、カンチレバー36が加振され、光学ヘッド35により振幅が検出される。
【0030】
サンプル32の表面の上方にはレーザ光源38が配置され、全反射角を満たし、光路がカンチレバー36と干渉しない方向からレーザ光が入射され、サンプル32表面にエバネッセント光を発生させる。
【0031】
3軸微動機構33は、サンプル32とカンチレバー36を近接させるための粗動機構39に搭載されている。粗動機構はステッピングモータ40と送りネジ(図示せず)による機構を用いた。
【0032】
サンプル上方の後方散乱光を検出できる位置には散乱光集光用の対物レンズ41が配置される。対物レンズ41で集められた光は全反射ミラー42で反射されて、ノッチフィルター43で励起光成分をカットし、ショートパスフィルター44で光てこ用の半導体レーザの光がカットされたあと、結像レンズ45で結像されて、光検出器46に導かれる。本実施形態例では光検出器として、光電子増倍管を使用した。
【0033】
なお、光学ヘッド35内部は、図3に示すように、カンチレバー36背面の斜め上方に半導体レーザ49を配置し、カンチレバー背面に集光レンズ50でレーザ光を集光して、カンチレバー36からの反射光を4分割フォトダイオード51で検出する構成となっており、光学ヘッド35の中心部にはカンチレバー36の上方に配置された対物レンズ41で後方散乱光を集光可能なように開口窓52が設けられている。
【0034】
本実施形態例では、カンチレバー36をカンチレバーの共振周波数近傍で加振して探針36aがサンプル32に近づいた際の原子間力や間欠的な接触による、カンチレバー36の振幅の変化により探針36aとサンプル32間の距離制御を行っている。このときの振幅の変化量は探針36aとサンプル32間の距離に依存するため、振幅が一定となるようにサーボ機構(図示せず)によりサーボ動作を行うことにより、探針36aとサンプル32間の距離を一定の保つことが可能である。なお、振幅の代わりに、位相や周波数を用いて制御を行うことも可能である。
【0035】
また、本実施形態例では、入射するレーザ光にカンチレバー36の加振周波数に同期したパルス信号でモジュレーションを掛け、光電子増倍管46で検出される信号のうち、カンチレバー36の加振周波数に同期した散乱光成分のみをロックインアンプ47でロックイン検出するような光計測方式を用いてS/N比の向上をはかった。ここで、カンチレバー36の振幅は通常、数nm〜数十nmである。サンプル表面に発生したエバネッセント光はサンプル表面からの距離に対して指数関数曲線に乗って減衰するため、サンプル表面と垂直方向に加振されることに伴い、厳密にはエバネッセント光強度が変化する。本方式のように、入射光にパルス信号によりON/OFFのモジュレーションを掛けて、散乱光をロックイン検出すれば、カンチレバーの加振に伴うエバネッセント光強度の変動を最小に抑えることも可能となる。更に、探針36aがサンプル32表面から遠ざかるにしたがって分解能も低下するため、探針36aが近接した部分でのみ入射光を与えるようにすれば分解能も向上する。
【0036】
なお、ロックイン検出を行う場合には、カンチレバーの加振周波数に関わらず入射光に任意のモジュレーションをかけて、この周波数に同期した散乱光成分をロックイン検出する、あるいは、入射光は連続光として、カンチレバーの加振周波数に同期した成分のみをロックイン検出する方式も考えられ、いずれもS/N比の向上をはかることができる。
【0037】
従来の散乱型近接場顕微鏡では可視光に対して光学的に不透明なシリコン製のカンチレバーを利用してさらにカンチレバー全面にわたって散乱用の金属を蒸着したような構成であった。このため、後方散乱光の大部分はカンチレバーで遮られてしまい、集光用の対物レンズをサンプル表面に対して斜め上方に配置しカンチレバーで遮られないような工夫が必要であった。この場合には後方散乱光の一部しか対物レンズで集光することができず、集光効率が著しく悪かった。
【0038】
本実施形態例では、カンチレバー36および探針部分36aは可視光に対して光学的に透明な酸化シリコンにより構成され、金属は先端の極一部にしか付着していないため、カンチレバー36で後方散乱光が遮られる部分が大幅に少なくなり、集光用の対物レンズ41をカンチレバー36の後方にも配置することが可能となり、集光効率が大幅にアップする。さらに、金属付着部分がサンプル表面のエバネッセント光の存在する領域に限られるため、ファーフィールド成分の散乱が防止され、ファーフィールド光散乱に起因するノイズ成分の影響が少なくなる。
【0039】
このように構成した散乱型近接場顕微鏡により、形状の影響を受けずに、回折限界を超える光学情報を得ることができる。また、距離制御のフィードバック信号からサンプル表面の形状情報も同時に得ることができる。
【0040】
なお、本実施形態例ではサンプル上方にエバネッセント光発生手段を配置して外部から光を励起するような構成であるが、エバネッセント光発生手段は本方式に限定されず、例えば半導体レーザの発光面での強度分布測定や光導波路の境界面での強度分布測定のように励起光源を用いなくてもサンプル表面にエバネッセント光が存在するようなサンプルに対しても適用が可能である。
【0041】
また、集光用の対物レンズの配置はカンチレバー直上に限定されず、斜め方向などから集光を行う場合も本発明に含まれる。
【0042】
(3)第三実施形態例
図4に、本発明の第三実施形態例である散乱型近接場分光システムを示す。
本実施形態例では、透過性のサンプル用に第一実施形態例の散乱型近接場顕微鏡と同様の光学系を使用した。すなわち、透明なサンプルホルダ53の下に開口数が1以上の対物レンズ54(ここでは開口数1.4の油浸レンズ)を配置した。この対物レンズ54にレーザ55からの光を導入する。レーザ光は、ビームエクスパンダー56により平行光に変換され、ハーフミラー57により90°曲げられて対物レンズ54に導かれる。このとき、ビームエクスパンダー56とハーフミラー57間の光路上に対物レンズ54に入射する光のうち開口数が1以下の部分の光をカットするように、円盤状の遮光板58を挿入する。このような光学系により、対物レンズ54から開口数が1以上の部分の光をサンプル59に入射することにより光は全反射角で入射し、サンプル59の表面にエバネッセント光が形成される。また、サンプル59はサンプルホルダ53上に載置されており、サンプルホルダ53には圧電素子より構成され、2次元平面内でのスキャンと高さ方向のサーボ動作が可能な3軸微動機構60が取り付けられている。
【0043】
本実施形態例ではさらに非透過性のサンプル用にサンプル59の斜め上方にもレーザ61を配置し、エバネッセント光発生用のレーザを入射可能な構成とするとともに、探針62 aで散乱された後方散乱成分も集光可能なようにカンチレバー62の後方側にも集光用の対物レンズ63を配置した。さらにサンプル59の上方にも圧電素子より構成され、2次元平面内でのスキャンと高さ方向のサーボ動作が可能な3軸微動機構64を配置し、3軸微動機構64にカンチレバーホルダ65とカンチレバーの撓み測定用の小型の光てこ光学系が収められた光学ヘッド66を3軸微動機構と一体に動作するように取り付けた。光学ヘッド66の構成は、第二実施形態例の図3に示したものと同様のものを使用しており、カンチレバー62背面の斜め上方に半導体レーザを配置し、カンチレバー背面に集光レンズでレーザ光を集光して、カンチレバーからの反射光を4分割フォトダイオードで検出する構成となっており、光学ヘッドの中心部にはカンチレバーの上方に配置された対物レンズで後方散乱光を集光可能なように開口窓が設けられた構造である(光ヘッドの内部構造は図示せず)。
【0044】
サンプルの上方に設けられた3軸微動機構64は、ステッピングモータ67により駆動される粗動ステージ68に取り付けられており、粗動ステージ68により探針62aがサンプル59に近づけられる構成となっている。
【0045】
本実施形態例では、探針62aとサンプル59を原子間力が作用する領域まで近づけ、カンチレバーの先端62aに作用する原子間力により生ずるカンチレバーの撓みを計測し、この撓み量が一定となるように微動機構60または64をサーボ機構(図示せず)も用いてサーボ動作させることによってサンプル59と探針62aの距離を一定に保つようにした。なお、第二実施形態例と同じようにカンチレバーを加振しながら制御を行う方式も使用可能である。
【0046】
カンチレバー62として酸化シリコンからなり、先端に先鋭化された探針62aが設けられ、この探針の最先端部の約100nmの高さに銀を蒸着させて、さらに、探針の最先端部に直径が約50nmの大きさの微小開口を設けたものを使用した。このカンチレバーの製作は探針部全体に銀を蒸着し、先端から約100nmの高さの部分のみ残して、残りの金属をFIBで除去加工した後、さらに、FIBを用いて最先端部分を除去加工し、約50nmの微小開口を製作した。
【0047】
本実施形態例では、探針62aの開口部周囲の金属によりエバネセント光が散乱され、散乱光のうちサンプル59を透過した成分は励起光の入射に用いたレンズと同一の透過側の対物レンズ54で集光される。集光を行う場合には、開口数1以下の部分も含め対物レンズ54全体で集光が行われる。集光された光信号はハーフミラー57を透過し、全反射ミラー69で90度曲げられて、さらに全反射ミラー70,71で光路を変換されて、ショートパスフィルター72により光てこ光学系のレーザダイオード光の成分をカットし、さらに、ノッチフィルター73により励起光成分をカットされて、結像レンズ74により結像された後、分光システム75に導かれる。
【0048】
また、後方散乱成分は探針先端62aの開口部で集光されて可視光に対して透明な探針内部を透過して集光用の対物レンズ63で集光される。また、後方散乱光のうち開口部分で集められなかった成分もカンチレバー62を通して対物レンズ63で集光することができる。これらの光は、2枚の全反射ミラー76,77で光路を変換された後、透過光の光路と同じ光路を通り分光システム75に導かれる。ここで、全反射ミラー70は切り替え可能な構成となっており、後方散乱成分の計測を行う場合にはスルーに切り替えられる。
【0049】
このように構成された散乱型近接場分光システムにより、透過性サンプルや非透過性サンプル、あるいは装置のもつエバネッセント光発生手段以外の方法でサンプル表面にエバネッセント光が存在するようなサンプルに対して適宜入射方法と集光方法を選択して用いることが可能となる。また、全反射ミラー70をハーフミラーに切り替えることにより、透過光と後方散乱成分の双方が同時に計測可能となる。
【0050】
2つの3軸微動機構60,64は通常、透過光集光時にはサンプルの下側に設けられた3軸微動機構60を用い、後方散乱成分集光時にはサンプルの上側に設けられた3軸微動機構64を用いるが、これらは測定の対象により、任意に選択して使用可能である。
【0051】
本実施形態例では、分光器と冷却型CCDカメラにより構成される分光システム75を用いて、スペクトル強度を測定可能なように構成した。本システムを用いることにより、サンプルの任意の位置でのラマンスペクトルや蛍光スペクトル測定が回折限界を超える高い分解能で可能となる。また、サンプルと探針を相対的にスキャンしながらスペクトル強度を測定することにより、2次元平面内でのスペクトルマッピングも可能である。特に本実施形態例では銀をコートしたカンチレバーを用いているため、電場増強効果により散乱光強度は向上させることが可能となり、ラマン分光分析などの微弱光測定も実現できる。
【0052】
(4)その他の実施形態例
▲1▼カンチレバー
本発明において、後方散乱成分をカンチレバーで透過させたあと対物レンズで集光する場合のカンチレバーの材質は、検出光に対して光学的に透明であれば任意の材質が使用可能である。たとえば、第二実施形態例、第三実施形態例では酸化シリコン製のカンチレバーを使用したが、酸化シリコンは主に可視から近赤外にかけて光学的に透明ありこの範囲で使用可能である。また、シリコンナイトライド製のカンチレバーも近赤外までの光に対して光学的に透明でありこの範囲で使用可能である。また、約1.2μm以上の光に関してはシリコンでも光を通し、この範囲ではシリコン製のカンチレバーも使用可能である。
【0053】
さらに、カンチレバーと探針が別の材質で製作することも考えられる。例えば、可視光を検出する場合に使用するカンチレバーの例を図5に示す。このカンチレバー80では、探針部分80aは可視光に対して光学的に透明な酸化シリコンを使用し、カンチレバー部分81bは光学的に不透明なシリコン材料を用いた。このようなカンチレバーを用いることにより、光てこなどの変位検出用のレーザに対しては変位検出用のレーザがカンチレバーで効率よく反射されるとともに、サンプル側への漏れ光がカンチレバーでカットされるというメリットがある。
【0054】
また、探針先端に設けられる金属は銀に限定されず、たとえば、金、白金、タングステン、アルミニウムなどの金属のほか、誘電体なども目的に応じて使用できる。
【0055】
これらの金属や誘電体は散乱光の増強効果の有するものが望ましく、探針の母材よりも、先端に設けられる散乱体の増強率を大きくすることにより、S/N比が向上する。
【0056】
金属や誘電体を設ける方法は実施形態例で述べた蒸着に限定されず、たとえば、FIBを用いて探針先端に堆積する方法などが考えられる。
【0057】
これらの金属や誘電体などの散乱体が設けられる領域は、エバネッセント光が存在する領域のみでよく、通常、探針先端から200nm以内の高さに設けられる。この高さは200nm以内で目的により任意に選択可能であり、たとえば、高分解能を得るためにはできるだけ狭い領域にのみ散乱体を設けるほうがよい。
【0058】
また、探針先端に微小開口を製作する場合には、第三実施形態例で述べたような探針部分が中実の構造の他にもFIBなどでカンチレバー背面から探針先端にかけて物理的に中空開口を形成する方式も考えられる。
【0059】
さらに、探針先端の形状は任意であり、たとえば散乱光の増強度を向上させるために三角形状や菱形などに加工することも考えられる。
【0060】
▲2▼制御方式
第一実施形態例から第三実施形態例では、カンチレバーの静的なたわみを検出しながら探針とサンプル間の距離制御を行う、あるいは、カンチレバーをサンプルに対して上下方向に加振し、探針とサンプル間の距離を制御する方式を使用したが、本発明での探針とサンプル間の距離制御方式はこれらの方式に限定されず、たとえば、エバネッセント光の散乱強度や、サンプルと探針間に流れるトンネル電流により距離制御を行う方式も考えられ、これらはいずれも本発明に含まれる。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、エバネッセント場を散乱させるための金属または誘電体を探針の最先端部付近にのみ概ね200nm以下の領域に設けたカンチレバーを用いて、エバネッセント光発生手段によりサンプル表面に発生させたエバネッセント光を散乱させて、サンプルを透過、または後方散乱した散乱光を集光手段により集光し、光強度を検出することや、分光スペクトルを測定できるようにした。
【0062】
このように構成した散乱型近接場顕微鏡では、探針先端で散乱された散乱光や迷光がカンチレバーの先端部以外で散乱されることがなく、さらに、金属付着部分がサンプル表面のエバネッセント光の存在する領域に限られるため、ファーフィールド成分の散乱が防止され、ファーフィールド光散乱に起因するノイズ成分の影響が少なくなる。その結果、従来の散乱型近接場顕微鏡に比べて、S/N比とコントラストが向上する。
【0063】
また、探針先端で後方散乱され、集光手段で集光される光の一部または全部がカンチレバーを透過して集光されるように、カンチレバーの一部または全部を光学的に透明な材料で構成し、金属または誘電体を探針の最先端部付近の概ね200nm以下の領域に設けて散乱型近接場顕微鏡を構成した。
【0064】
このように構成した散乱型近接場顕微鏡では、カンチレバーで後方散乱光が遮られる部分が大幅に少なくなり、集光用の対物レンズをカンチレバーの後方にも配置することが可能となり、集光効率が大幅にアップし、S/N比とコントラストが向上する。
【0065】
さらに、探針先端に微小開口を設け、開口周りの金属でエバネッセント光を散乱し、後方散乱成分を集光することにより、さらに集光効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の散乱型近接場顕微鏡の第一実施形態例の構成図である。
【図2】本発明の散乱型近接場顕微鏡の第二実施形態例の構成図である。
【図3】第二実施形態例の光ヘッドの構成図である。
【図4】本発明の散乱型近接場分光システムの第三実施形態例の構成図である。
【図5】本発明の別の実施形態例に係るカンチレバーの構成図である。
【図6】第一の従来技術の構成図である。
【図7】第二の従来技術の構成図である。
【図8】第三の従来技術の構成図である。
【符号の説明】
2,41,54,63 対物レンズ
3,38,55,61 レーザ
6,58, 遮光板
7 サンプル
8,33,60,64 3軸微動機構
9,78 ベース
10,34,65 カンチレバーホルダ
11,36,62,80 カンチレバー
12 光てこ光学系
16,17 ミラー
18,68 粗動ステージ
26,46 光検出器
27 フォトンカウンター
35,66 光学ヘッド
39 粗動機構
47 ロックインアンプ
48,79 支柱
75 分光システム[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
According to the present invention, the evanescent light generated on the sample surface is scattered by a cantilever having a probe structure made of a metal or a dielectric, and the scattered light is detected. The present invention relates to a scattering type near-field microscope and a scattering type near-field spectroscopy system for measuring the following.
[0002]
[Prior art]
A first conventional technique of the conventional scattering type near-field microscope will be described with reference to FIG. 6 (for example, see Patent Document 1).
[0003]
The conventional scattering type near-field microscope uses a needle-
[0004]
Further, as an application example of the first related art, a second related art of a scattering type near-field microscope using a straight metal probe will be described with reference to FIG. 7 (for example, see Patent Document 2).
[0005]
In the second conventional technique, a
[0006]
Further, a third related art of a scattering near-field microscope which is another application example of the first related art will be described with reference to FIG. 8 (for example, see Non-Patent Document 1).
[0007]
In the third prior art, a
[0008]
[Patent Document 1]
Japanese Patent No. 3196945 (Section 2-4, FIG. 1)
[0009]
[Patent Document 2]
JP-A-9-281122 (Section 3-7, FIG. 4)
[0010]
[Non-patent document 1]
Norihiko Hayazawa, Yasushi Inouye, Zouheir Sekkat, Satoshi Kawabata, Near-field Raman scattering enhanced through the most common technical bulletin 2003
[0011]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the prior arts shown in the first to third aspects, the metal or dielectric for scattering the evanescent light exists not only near the tip of the probe but also in a portion distant from the tip of the probe. Even the far-field component other than the evanescent component is scattered, and this is mixed into the signal to lower the S / N ratio and the resolution.
[0012]
Furthermore, in the first to third conventional techniques, when measuring a non-transmissive sample or the like, it is necessary to generate evanescent light by a reflection optical system and collect the backscattered component. At this time, the probe itself blocks the light incident by the reflection optical system and the backscattered light. Furthermore, the components arranged above the sample, such as the probe, the probe holder, and the bending amount detecting means, impose restrictions on the arrangement of the reflecting optical system and the condensing optical system for incidence. For this reason, the reflection optical system and the condensing optical system cannot be arranged at positions where they can be measured efficiently, and the S / N ratio and the resolution are reduced.
[0013]
An object of the present invention is to provide a scattering near-field microscope and a scattering near-field spectroscopy system that can solve the above-mentioned problems.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, in the scattering type near-field microscope of the present invention, a cantilever having a probe, a cantilever holder for holding the cantilever, a sample holder arranged at a position facing the probe, and a cantilever A deflection amount detection mechanism for detecting the deflection amount of the probe, a fine movement mechanism for adjusting the distance between the probe and the sample, a scanner for relatively moving the probe and the sample in a two-dimensional plane, and a deflection amount A servo circuit for adjusting the distance between the microprobe and the sample by operating the fine movement mechanism based on a signal from the detection mechanism, evanescent light generating means for generating evanescent light on the sample surface, and a sample surface Light collecting means for collecting the scattered light generated when the probe is brought close to the evanescent light generated in the light source, and an optical detector for measuring the intensity of the scattered light. In scattering near-field microscope having a section, provided only the metal or dielectric portion in the vicinity of the leading edge portion of the probe.
[0015]
Further, in the present invention, part or all of the cantilever is made of an optically transparent material, and a metal or dielectric portion is provided only near the tip of the probe, so that the backscattered light at the tip of the probe is provided. Part or all of the structure is configured to transmit light through the cantilever, so that scattering other than at the tip of the probe is suppressed as much as possible, and the backscattered component transmitted through the cantilever can be collected.
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. The embodiment described here is merely an embodiment of the present invention, and the present invention is not limited to the embodiment.
[0017]
(1) First embodiment example
FIG. 1 shows a first embodiment of a scattering type near-field microscope according to the present invention. In the present embodiment, an objective lens 2 having a numerical aperture of 1 or more (here, an oil immersion lens having a numerical aperture of 1.4) is disposed below the
[0018]
The sample 7 is mounted on the
[0019]
On the other hand, above the sample 7, a cantilever holder 10 is arranged, and a cantilever 11 made of a silicon substrate and provided with a sharpened probe 11a at the tip is attached. Metal is deposited only on the tip of the probe 11a. In this embodiment, silver is used as the metal to be deposited. The silver deposition range is limited to a height of approximately 200 nm or less, preferably 100 nm or less, from the tip of the probe. Here, in the present embodiment, as a method of depositing metal only on the tip, a metal thin film is deposited on the entire probe, and the remaining metal is removed from only the approximately 100 nm portion at the foremost portion by a focused ion beam (FIB). And manufactured by removing.
[0020]
The bending of the cantilever 11 is detected by an optical lever
[0021]
The cantilever holder 10 is mounted on a coarse movement stage 18 for bringing the probe 11a close to the surface of the sample 7. The coarse movement stage 18 uses the mechanism of the stepping
[0022]
When the probe 11a and the sample 7 are brought close to the region where the atomic force acts with the device configured as described above, the cantilever 11 bends due to the atomic force acting on the tip of the cantilever 11. Since the amount of bending depends on the distance between the probe 11a and the sample 7, the fine movement mechanism 8 is servo-operated by a servo mechanism (not shown) so that the amount of bending is constant, thereby causing the sample 7 and the probe 11a to move. The distance can be kept constant.
[0023]
Evanescent light generated on the surface of the sample 7 generally exists between 100 nm and 200 nm, and attenuates along an exponential curve as the distance from the surface of the sample 7 increases. By positioning the probe 11a and the sample 7 in this area while performing servo operation, evanescent light is scattered at the probe tip 11a, and the light scattered at the probe tip 11a is enhanced by the electric field enhancing action of silver. And converted into propagating light.
[0024]
This scattered light is collected by the same lens 2 as the lens used to enter the excitation light. When condensing light, the light is condensed on the entire objective lens including the portion having a numerical aperture of 1 or less. A desired detection signal is selected from the condensed optical signals by the dichroic mirror 5 and the absorption filter 22, is bent by 90 degrees by the
[0025]
In the scattering near-field microscope configured as described above, the sample is scanned in a two-dimensional plane while the height of the sample 7 and the probe 11a is kept constant by the three-axis fine movement mechanism 8, so that the sample is scanned on the sample surface. The mapping of the optical information is measured at a resolution above the diffraction limit. Further, by mapping the servo signal used for the control in the height direction, an uneven image of the sample surface can be measured at the same time.
[0026]
In a conventional scattering-type near-field microscope, metal or a dielectric material is uniformly applied to the tip of the probe other than the tip of the tip. The stray light component is also scattered by the probe, which causes noise to cause a reduction in the S / N ratio and the resolution. However, in the present invention, since the metal for scattering is limited to only the tip portion, These noise components are reduced, and the S / N ratio and the resolution are improved as compared with the conventional scattering type near-field microscope. Here, the height of the metal to be deposited is set to approximately 100 nm or less, but the S / N ratio and the resolution are further improved by further reducing the height and locally depositing the metal.
[0027]
(2) Second embodiment example
FIG. 2 shows a second embodiment of the scattering near-field microscope according to the present invention. In the present embodiment, the
[0028]
The
[0029]
Further, a piezoelectric element 37 for exciting the
[0030]
Above the surface of the
[0031]
The three-axis
[0032]
An
[0033]
As shown in FIG. 3, a
[0034]
In this embodiment, the
[0035]
In this embodiment, the incident laser light is modulated by a pulse signal synchronized with the vibration frequency of the
[0036]
When performing lock-in detection, any modulation is applied to the incident light regardless of the oscillation frequency of the cantilever, and the scattered light component synchronized with this frequency is lock-in detected, or the incident light is a continuous light. As a method, lock-in detection of only a component synchronized with the vibration frequency of the cantilever can be considered, and in each case, the S / N ratio can be improved.
[0037]
The conventional scattering-type near-field microscope has a configuration in which a silicon cantilever optically opaque to visible light is used, and a metal for scattering is further deposited on the entire surface of the cantilever. For this reason, most of the backscattered light is blocked by the cantilever, and it is necessary to arrange the objective lens for condensing obliquely above the sample surface so as not to be blocked by the cantilever. In this case, only part of the backscattered light could be collected by the objective lens, and the light collection efficiency was extremely poor.
[0038]
In the present embodiment, the
[0039]
With the scattering near-field microscope configured as described above, optical information exceeding the diffraction limit can be obtained without being affected by the shape. Further, the shape information of the sample surface can be obtained simultaneously from the feedback signal of the distance control.
[0040]
In the present embodiment, the evanescent light generating means is arranged above the sample to excite light from the outside, but the evanescent light generating means is not limited to this method. It is also applicable to a sample in which evanescent light is present on the sample surface without using an excitation light source as in the case of the intensity distribution measurement described above and the intensity distribution measurement at the boundary surface of the optical waveguide.
[0041]
Further, the arrangement of the focusing objective lens is not limited to the position directly above the cantilever, and the present invention includes a case where the focusing is performed from an oblique direction or the like.
[0042]
(3) Third embodiment example
FIG. 4 shows a scattering type near-field spectroscopy system according to a third embodiment of the present invention.
In this embodiment, an optical system similar to that of the scattering type near-field microscope of the first embodiment is used for a transparent sample. That is, an
[0043]
In the present embodiment, a laser 61 is also arranged obliquely above the
[0044]
The three-axis fine movement mechanism 64 provided above the sample is attached to a
[0045]
In the present embodiment, the probe 62a and the
[0046]
A tip 62a made of silicon oxide is provided as a cantilever 62, and a sharpened tip 62a is provided at the tip. Silver is vapor-deposited at a height of about 100 nm at the tip of the tip, and further, at the tip of the tip. The one provided with a minute opening having a diameter of about 50 nm was used. This cantilever is manufactured by depositing silver on the entire probe part, leaving only the portion about 100 nm in height from the tip, removing the remaining metal with FIB, and removing the foremost part with FIB. This was processed to produce a small aperture of about 50 nm.
[0047]
In the present embodiment, evanescent light is scattered by the metal around the opening of the probe 62a, and the component of the scattered light that has transmitted through the
[0048]
The backscattering component is collected at the opening of the probe tip 62a, passes through the inside of the probe transparent to visible light, and is collected by the objective lens 63 for light collection. In addition, components of the backscattered light that are not collected at the aperture can be collected by the objective lens 63 through the cantilever 62. After the light paths of these lights are converted by the two total reflection mirrors 76 and 77, they are guided to the
[0049]
The scattering-type near-field spectroscopy system configured as described above is used for transmitting samples, non-transmitting samples, or samples in which evanescent light exists on the sample surface by a method other than the evanescent light generating means of the apparatus. It is possible to select and use an incident method and a light collecting method. Further, by switching the total reflection mirror 70 to a half mirror, both the transmitted light and the backscattered component can be measured simultaneously.
[0050]
The two three-axis
[0051]
In the present embodiment, the spectral intensity can be measured using a
[0052]
(4) Other embodiments
▲ 1 ▼ Cantilever
In the present invention, any material can be used as the material of the cantilever when the backscattering component is transmitted through the cantilever and then collected by the objective lens as long as it is optically transparent to the detection light. For example, in the second embodiment and the third embodiment, the cantilever made of silicon oxide is used. However, silicon oxide is optically transparent mainly in the visible to near infrared region and can be used in this range. Also, a silicon nitride cantilever is optically transparent to light up to near infrared and can be used in this range. In addition, silicon can transmit light of about 1.2 μm or more, and a silicon cantilever can be used in this range.
[0053]
Further, the cantilever and the probe may be made of different materials. For example, FIG. 5 shows an example of a cantilever used for detecting visible light. In the
[0054]
The metal provided at the tip of the probe is not limited to silver. For example, in addition to metals such as gold, platinum, tungsten, and aluminum, dielectrics and the like can be used according to the purpose.
[0055]
Desirably, these metals and dielectrics have an effect of enhancing scattered light, and the S / N ratio is improved by increasing the enhancement rate of the scatterer provided at the tip compared to the base material of the probe.
[0056]
The method of providing a metal or a dielectric is not limited to the vapor deposition described in the embodiment, but may be, for example, a method of depositing the tip of the probe using FIB.
[0057]
The region where these metal or dielectric scatterers are provided may be only the region where the evanescent light exists, and is usually provided at a height within 200 nm from the tip of the probe. This height can be arbitrarily selected within 200 nm depending on the purpose. For example, in order to obtain high resolution, it is better to provide a scatterer only in a region as narrow as possible.
[0058]
In the case where a small opening is formed at the tip of the probe, the probe portion may be physically formed from the back of the cantilever to the tip of the probe by FIB or the like in addition to a solid structure as described in the third embodiment. A method of forming a hollow opening is also conceivable.
[0059]
Further, the shape of the tip of the probe is arbitrary, and for example, it may be processed into a triangular shape, a rhombus, or the like in order to improve the intensity of scattered light.
[0060]
(2) Control method
In the first to third embodiments, the distance between the probe and the sample is controlled while detecting the static deflection of the cantilever, or the cantilever is vibrated up and down with respect to the sample to detect the deflection. Although the method of controlling the distance between the needle and the sample was used, the distance control method between the probe and the sample in the present invention is not limited to these methods. For example, the scattering intensity of evanescent light, the sample and the probe A method of controlling the distance by a tunnel current flowing therebetween is also conceivable, and these are all included in the present invention.
[0061]
【The invention's effect】
As described above, the present invention uses a cantilever in which a metal or a dielectric for scattering an evanescent field is provided only in the vicinity of the tip of the probe in a region of approximately 200 nm or less, and a sample is generated by an evanescent light generating means. The evanescent light generated on the surface is scattered, and the scattered light transmitted or backscattered through the sample is condensed by the condensing means, so that the light intensity can be detected and the spectrum can be measured.
[0062]
In the scattering-type near-field microscope configured in this manner, the scattered light and stray light scattered at the tip of the probe are not scattered except at the tip of the cantilever, and the metal-attached portion has the presence of evanescent light on the sample surface. Therefore, the scattering of the far-field component is prevented, and the influence of the noise component caused by the far-field light scattering is reduced. As a result, the S / N ratio and contrast are improved as compared with the conventional scattering type near-field microscope.
[0063]
Also, part or all of the cantilever is made of an optically transparent material so that part or all of the light that is backscattered at the tip of the probe and condensed by the light condensing means passes through the cantilever and is condensed. The scattering type near-field microscope was constructed by providing a metal or dielectric in a region of about 200 nm or less near the tip of the probe.
[0064]
In the scattering near-field microscope configured as described above, the portion where the backscattered light is blocked by the cantilever is significantly reduced, and the condensing objective lens can be arranged behind the cantilever. It is greatly improved, and the S / N ratio and the contrast are improved.
[0065]
Further, a minute aperture is provided at the tip of the probe, the evanescent light is scattered by the metal around the aperture, and the backscattered component is collected, thereby further improving the light collection efficiency.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a configuration diagram of a first embodiment of a scattering type near-field microscope of the present invention.
FIG. 2 is a configuration diagram of a second embodiment of the scattering type near-field microscope of the present invention.
FIG. 3 is a configuration diagram of an optical head according to a second embodiment.
FIG. 4 is a configuration diagram of a third embodiment of the scattering near-field spectroscopy system of the present invention.
FIG. 5 is a configuration diagram of a cantilever according to another embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a configuration diagram of a first related art.
FIG. 7 is a configuration diagram of a second conventional technique.
FIG. 8 is a configuration diagram of a third conventional technique.
[Explanation of symbols]
2,41,54,63 Objective lens
3,38,55,61 laser
6,58, Light shield
7 samples
8,33,60,64 3-axis fine movement mechanism
9,78 base
10,34,65 Cantilever holder
11,36,62,80 Cantilever
12. Optical lever optical system
16,17 mirror
18,68 Coarse movement stage
26,46 Photodetector
27 Photon Counter
35,66 Optical head
39 Coarse movement mechanism
47 Lock-in Amplifier
48,79 props
75 Spectroscopy system
Claims (17)
Priority Applications (1)
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